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ダクタク句集2023年(令和5年)10月 [ダクタク2023年10月]
10/30thu
両国の駅頭の友秋衣
(りょうごくのえきとうのともあきごろも)
大震災広きを頼む声と息
(だいしんさいひろきをたのむこえといき)
一瞬の仏は積まれ秋の荼毘
(いっしゅんのほとけはつまれあきのだび)
震災忌慰霊の大画茶ばみおり
(しんさいきいれいのたいがちゃばみおり)
焔立つ彼方ビルのみ鳥渡る
(ほむらたつかなたびるのみとりわたる)
黙し来て北斎通りのスジの雲
(もくしきてほくさいどおりのすじのくも)
引越しの北斎が行く秋の空
(ひっこしのほくさいがいくあきのそら)
※仲間との歩き会を8月下旬予定だったのを
10月3日に延期した。理由はただ一つ、
異常な残暑。
行先は関東大震災100年に合わせ、両国
駅近くの旧陸軍被服廠跡(今は都立横網町
公園)にある東京都慰霊堂。ここには震災
と東京大空襲の犠牲者を祀ってある。隣に
は東京都復興記念館も。
10/14sat
句の後は雨上がりたり今朝の秋
(くのあとはあめあがりたりけさのあき)
この秋も脳は縮めどなにほどぞ
(このあきものうはちぢめどなにほどぞ)
諍いを蒸し返しつつ秋夜長
(いさかいをむしかえしつつあきよなが)
秋冷の山よ盆地の句人たち
(しゅうれいのやまよぼんちのくじんたち)
※待望の涼しさだが、なればなったで涼し過
ぎと文句をたれたくなる。
10/11wed
郷愁や手で拭う柿朝一つ
(きょうしゅうやてでぬぐうかきあさひとつ)
また増えし空き家は早生の柿実り
(またふえしあきやはわせのかきみのり)
青柿に子規喜ぶを相伴し
(あおがきにしきよろこぶをしょうばんし)
※10月に入って庭の柿の実を試し食い。ま
だ青いものも渋くない、十分いける。
今年は夏の異常な暑さはあったが、事前の
ヘタムシ退治が功奏し、まずは昨年の失敗
に雪辱を果たした。さらに大きく熟れてく
れるかどうか?
両国の駅頭の友秋衣
(りょうごくのえきとうのともあきごろも)
大震災広きを頼む声と息
(だいしんさいひろきをたのむこえといき)
一瞬の仏は積まれ秋の荼毘
(いっしゅんのほとけはつまれあきのだび)
震災忌慰霊の大画茶ばみおり
(しんさいきいれいのたいがちゃばみおり)
焔立つ彼方ビルのみ鳥渡る
(ほむらたつかなたびるのみとりわたる)
黙し来て北斎通りのスジの雲
(もくしきてほくさいどおりのすじのくも)
引越しの北斎が行く秋の空
(ひっこしのほくさいがいくあきのそら)
※仲間との歩き会を8月下旬予定だったのを
10月3日に延期した。理由はただ一つ、
異常な残暑。
行先は関東大震災100年に合わせ、両国
駅近くの旧陸軍被服廠跡(今は都立横網町
公園)にある東京都慰霊堂。ここには震災
と東京大空襲の犠牲者を祀ってある。隣に
は東京都復興記念館も。
10/14sat
句の後は雨上がりたり今朝の秋
(くのあとはあめあがりたりけさのあき)
この秋も脳は縮めどなにほどぞ
(このあきものうはちぢめどなにほどぞ)
諍いを蒸し返しつつ秋夜長
(いさかいをむしかえしつつあきよなが)
秋冷の山よ盆地の句人たち
(しゅうれいのやまよぼんちのくじんたち)
※待望の涼しさだが、なればなったで涼し過
ぎと文句をたれたくなる。
10/11wed
郷愁や手で拭う柿朝一つ
(きょうしゅうやてでぬぐうかきあさひとつ)
また増えし空き家は早生の柿実り
(またふえしあきやはわせのかきみのり)
青柿に子規喜ぶを相伴し
(あおがきにしきよろこぶをしょうばんし)
※10月に入って庭の柿の実を試し食い。ま
だ青いものも渋くない、十分いける。
今年は夏の異常な暑さはあったが、事前の
ヘタムシ退治が功奏し、まずは昨年の失敗
に雪辱を果たした。さらに大きく熟れてく
れるかどうか?
ダクタク句集2023年(令和5年)9月 [ダクタク2023年9月]
9/28thu
待宵や縦が良く合うお城かな
(まつよいやたてがよくあうおしろかな)
※涼しくなったのも束の間、じりっじりっと
気温が上がり今日はそのピーク。実は東京
での会合を直前で延期した。賢かった。
9/24sun
喜捨の鐘二度目が寺の秋にしむ
(きしゃのかねにどめがてらのあきにしむ)
僧招く胎蔵界に寺の秋
(そうまねくたいぞうかいにてらのあき)
※こうも変わるものか? 昨日今日の最高気
温は少し前までの最低気温にも及ばない。
9/22fri
風水のおとなしき地に秋めぐり
(ふうすいのおとなしきちにあきめぐり)
曼殊沙華時期を違えず異夏消ゆ
(まんじゅしゃげじきをたがえずいなつきゆ)
※どうやら異常な夏の終わりが近づいている。
この地も暑さはひどく、色んな影響を被っ
たが、風水害の被害は今のところ皆無に近
い。28年になるこの地、有難いと思う。
9/18mon
モーツァルト秋はロンドか今日涼し
(もーつぁるとあきはろんどかきょうすずし)
※各地の最高気温は相変わらず夕方のニュー
ス種になっている。しかし今夕の涼しさは
どうだ。湿度が低かったのだろうけれど、
格段に秋を感じる気配だ。ただありがたや
という気分。今日敬老の日。
9/17sun
本を繰る腕の涼しさ秋の朝
(ほんをくるうでのすずしさあきのあさ)
※異常な高温の継続に、朝寝床での読書が快
適になることを願っていた。一日やや涼し
い日があり、しかしすぐ戻る。
9/15fri
石段に水つつしみて風の盆
(いしだんにみずつつしみてかぜのぼん)
風の盆地方の声の手練れかな
(かぜのぼんじかたのこえのてだれかな)
風の盆今年地方に聞きほれて
(かぜのぼんことしじかたにききほれて)
※風の盆の季節、今年もテレビで見物した。
4Kの充実した番組を満喫できた。とはいえ、
どこの会場だったか? 上の街と下の街を
繋ぐ長い石段があって、そこが格好の見物
場所となり、下の広場がおわらの会場にな
っていた。羨ましいと思った。
男踊り、女踊り、いつも結構。比較的新し
いという男女混合の振りも良かった。あそ
こで見たいものだと思った。トイレが難し
いかな、とも思った。
9/11mon
盆地秋記録的なる雨吸いて
(ぼんちあききろくてきなるあめすいて)
※会津若松もかなりの雨にたたられた。この
夏で言えば高温の記録も。新潟県の各地と
同様、全国版のニュースにも現れた。
9/10sun
参道に婆の店あり風の秋
(さんどうにばばのみせありかぜのあき)
※外房鴨川市の海岸国道から少し山に入った
ところに清澄寺がある。日蓮が修行した古
刹で、古くからの道場寺だった。日蓮が大
成した後は聖地扱いの古寺となった。
何十年も前独身時代、ドライブで近くまで
行くと必ずここに寄った。参道にあったお
ばさんの土産物店で世間話をするためだ。
今もあるかな?と錯覚した。
9/8fri
北向きの銀行そそと颱風過
(きたむきのぎんこうそそとたいふうか)
※市内に或る銀行の古手の支店がある。小さ
な構えだが壁柱の石造りは古風で立派なも
のだ。軽さと歯抜けが目立つ通りでは静か
に評判を呼んできたが、もう取り壊される
かも?
9/7thu
草刈りて刈りて終わりし良夜かな
(くさかりてかりておわりしりょうやかな)
この涼をひたすら待てり良夜かな
(このりょうをひたすらまてりりょうやかな)
9/6wed
すんなりと起き上がってぞ今朝の秋
(すんなりとおきあがってぞけさのあき)
※今朝早くから小雨が降って気温が下がった。
起床時の「起動」も実に滑らかにいった。
横になっていて、起き上がりざまの足腰の
動きが多少重くなって久しい。最近はゆっ
くり丁寧にやるようにしている。
9/5tue
集会所秋のバリウム列をなし
(しゅうかいじょあきのばりうむれつをなし)
※胃ガンの検査、今年は市の中心近くの施設
に赴いてではなく、各地区を廻る検診バス
の世話になった。近いのはいいが、小さな
列には見知った顔も。いいような悪いよう
な・・・。素朴に健康。
9/4mon
ロレンスの沙漠の疾駆秋の色
(ろれんすのさばくのしっくあきのいろ)
※何回目か、この映画をまた見た。今回は家
のテレビで。今回が一番いい心持と素直に
見ようという意思を持って。
だから今回が一番いい感想だ。いや、やっ
ぱり初めての時かな? いい勝負。感想の
中身がちょっと違うかな。
9/2sat
子のマスク陽性となる夏の暮れ
(このますくようせいとなるなつのくれ)
※コロナ感染者が相当増えているという。周辺
でも陽性者が出て母親がびっくり、というの
があった。これはきっと良いことなのだろう
が、病院も患者側もさばさばとしていたと聞
いた。
9/1fri
震災忌この地の震度六を知る
(しんさいきこのちのしんどろくをしる)
※さしもの猛暑も地軸の傾きには抗しきれない。
気温は下がらないが、朝夕の日影の広がりが
日一日と変化している。
首都直下大震災、対岸の火事にはならない。
房総半島の共振範囲は微妙だが、この地の被
災は免れないようだ。
待宵や縦が良く合うお城かな
(まつよいやたてがよくあうおしろかな)
※涼しくなったのも束の間、じりっじりっと
気温が上がり今日はそのピーク。実は東京
での会合を直前で延期した。賢かった。
9/24sun
喜捨の鐘二度目が寺の秋にしむ
(きしゃのかねにどめがてらのあきにしむ)
僧招く胎蔵界に寺の秋
(そうまねくたいぞうかいにてらのあき)
※こうも変わるものか? 昨日今日の最高気
温は少し前までの最低気温にも及ばない。
9/22fri
風水のおとなしき地に秋めぐり
(ふうすいのおとなしきちにあきめぐり)
曼殊沙華時期を違えず異夏消ゆ
(まんじゅしゃげじきをたがえずいなつきゆ)
※どうやら異常な夏の終わりが近づいている。
この地も暑さはひどく、色んな影響を被っ
たが、風水害の被害は今のところ皆無に近
い。28年になるこの地、有難いと思う。
9/18mon
モーツァルト秋はロンドか今日涼し
(もーつぁるとあきはろんどかきょうすずし)
※各地の最高気温は相変わらず夕方のニュー
ス種になっている。しかし今夕の涼しさは
どうだ。湿度が低かったのだろうけれど、
格段に秋を感じる気配だ。ただありがたや
という気分。今日敬老の日。
9/17sun
本を繰る腕の涼しさ秋の朝
(ほんをくるうでのすずしさあきのあさ)
※異常な高温の継続に、朝寝床での読書が快
適になることを願っていた。一日やや涼し
い日があり、しかしすぐ戻る。
9/15fri
石段に水つつしみて風の盆
(いしだんにみずつつしみてかぜのぼん)
風の盆地方の声の手練れかな
(かぜのぼんじかたのこえのてだれかな)
風の盆今年地方に聞きほれて
(かぜのぼんことしじかたにききほれて)
※風の盆の季節、今年もテレビで見物した。
4Kの充実した番組を満喫できた。とはいえ、
どこの会場だったか? 上の街と下の街を
繋ぐ長い石段があって、そこが格好の見物
場所となり、下の広場がおわらの会場にな
っていた。羨ましいと思った。
男踊り、女踊り、いつも結構。比較的新し
いという男女混合の振りも良かった。あそ
こで見たいものだと思った。トイレが難し
いかな、とも思った。
9/11mon
盆地秋記録的なる雨吸いて
(ぼんちあききろくてきなるあめすいて)
※会津若松もかなりの雨にたたられた。この
夏で言えば高温の記録も。新潟県の各地と
同様、全国版のニュースにも現れた。
9/10sun
参道に婆の店あり風の秋
(さんどうにばばのみせありかぜのあき)
※外房鴨川市の海岸国道から少し山に入った
ところに清澄寺がある。日蓮が修行した古
刹で、古くからの道場寺だった。日蓮が大
成した後は聖地扱いの古寺となった。
何十年も前独身時代、ドライブで近くまで
行くと必ずここに寄った。参道にあったお
ばさんの土産物店で世間話をするためだ。
今もあるかな?と錯覚した。
9/8fri
北向きの銀行そそと颱風過
(きたむきのぎんこうそそとたいふうか)
※市内に或る銀行の古手の支店がある。小さ
な構えだが壁柱の石造りは古風で立派なも
のだ。軽さと歯抜けが目立つ通りでは静か
に評判を呼んできたが、もう取り壊される
かも?
9/7thu
草刈りて刈りて終わりし良夜かな
(くさかりてかりておわりしりょうやかな)
この涼をひたすら待てり良夜かな
(このりょうをひたすらまてりりょうやかな)
9/6wed
すんなりと起き上がってぞ今朝の秋
(すんなりとおきあがってぞけさのあき)
※今朝早くから小雨が降って気温が下がった。
起床時の「起動」も実に滑らかにいった。
横になっていて、起き上がりざまの足腰の
動きが多少重くなって久しい。最近はゆっ
くり丁寧にやるようにしている。
9/5tue
集会所秋のバリウム列をなし
(しゅうかいじょあきのばりうむれつをなし)
※胃ガンの検査、今年は市の中心近くの施設
に赴いてではなく、各地区を廻る検診バス
の世話になった。近いのはいいが、小さな
列には見知った顔も。いいような悪いよう
な・・・。素朴に健康。
9/4mon
ロレンスの沙漠の疾駆秋の色
(ろれんすのさばくのしっくあきのいろ)
※何回目か、この映画をまた見た。今回は家
のテレビで。今回が一番いい心持と素直に
見ようという意思を持って。
だから今回が一番いい感想だ。いや、やっ
ぱり初めての時かな? いい勝負。感想の
中身がちょっと違うかな。
9/2sat
子のマスク陽性となる夏の暮れ
(このますくようせいとなるなつのくれ)
※コロナ感染者が相当増えているという。周辺
でも陽性者が出て母親がびっくり、というの
があった。これはきっと良いことなのだろう
が、病院も患者側もさばさばとしていたと聞
いた。
9/1fri
震災忌この地の震度六を知る
(しんさいきこのちのしんどろくをしる)
※さしもの猛暑も地軸の傾きには抗しきれない。
気温は下がらないが、朝夕の日影の広がりが
日一日と変化している。
首都直下大震災、対岸の火事にはならない。
房総半島の共振範囲は微妙だが、この地の被
災は免れないようだ。
ダクタク句集2023年(令和5年)8月 [ダクタク2023年8月]
8/31thu
緑陰の影濃しすでに客があり
(りょくいんのかげこしすでにきゃくがあり)
八月尽危険な暑さをかみしめる
(はちがつじんきけんなあつさをかみしめる)
※これだけの暑さは異常という、歴史的とも
いう、これからは何度も、とも。かみしめ
ておくにしくはない。
8/29tue
旱天や実のなる木だけ水をやる
(かんてんやみのなるきだけみずをやる)
※庭の果樹に関する限り、この暑い夏、日照
りに恨みはない。もも、プラム、ぶどうと
この間に収穫した果樹は皆例年よりかなり
成績が良い。
残るは柿と温州みかん、大切なこの時期実
のつきは悪くない。素人の遊びの域を出な
いが、悪くない気分。
8/28tue
次々とポッケから栗あげるとぞ
(つぎつぎとぽっけからくりあげるとぞ)
栗飯のすでに香りが電話口
(くりめしのすでにかおりがでんわぐち)
8/27sun
上弦の月に邯鄲酔いしれて
(じょうげんのつきにかんたんよいしれて)
※月末から来月にかけての気温の予報も平年
より高いとある。意外と朝晩のしのぎやす
さがやってきて、裏をかいてくるかも。
8/26sat
絵を見せてやがて名を訊く酷暑なり
(えをみせてやがてなをきくこくしょなり)
※75歳を超えると3年に一回認知症機能検査
を受けさせられる。今日は何曜日?とかの
試験と16枚の絵の名前を憶えているかどう
か? 必要性は理解できるが、その代わり
何千円でいいから金を払え! この無礼者!
(逆に8000円ほど払わせられる)
8/25fri
一文字も書かず読まずに青芭蕉
(ひともじもかかずよまずにあおばしょう)
※暑さの余り、3ヵ月前に訪れた漱石記念館
を思い出した。こんな日も意外と風が通る
涼しい家だったのかも知れない。とはいえ
酷暑の日だったら、なんにもしないで終日
ベランダから青芭蕉を眺めていたかも。
8/24thu
免許再た手続きしたる晩夏かな
(めんきょまたてつづきしたるばんかかな)
※免許の更新は認知症試験を伴う。試験の内
容、合否のラインには全く問題ないが、愉
快なことではない。
それに季節、晩夏であって欲しい。
8/23wed
洗い鯉好みし亡父の歳越えて
(あらいごいこのみしちちのとしこえて)
※鯉の洗いは今の身の回りでは殆ど目にしな
い。暑い中では、酢味噌でいただく懐かし
い味だ。調べたら千葉県内でいくつか食す
る場所があった。印旛沼周辺、養老渓谷と
か。少し北の山間の味ではないみたい。
8/21mon
SLの汽笛サービス蝉時雨
(えすえるのきてきさーびすせみしぐれ)
※甲子園の準決2試合を見る。
ついでにYouTubeで磐越西線を走る観光列
車の「雄姿」を久しぶりに見た。未だに元
気だ。(当たり前、アップされたのは10
年ほど前だ)
8/20sun
盆明けて深夜に重きカバン押す
(ぼんあけてしんやにおもきかばんおす)
※海外からの帰国者がピークと聞いたが、リ
ムジンバスの通りでもあるまいし、まして
深夜だ。すごい音だ。
ハハーン、旅行をしたカップルが喧嘩をし
て家近くの道路で放り投げられた、ナ?
きっとそうに違いない。
8/19sat
夏の果て雲の形を調べ居ぬ
(なつのはてくものかたちをしらべいぬ)
※ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ秋の雲
らしいのが現れた。が、秋の雲ではない。
似て非なるものだ。関東南部の当地では空
に雲が広がると、それで多少涼しく感じる。
秋を感じる。これは末期的感覚!
8/18fri
朝涼し小鳥に吾にパンの耳
(あさすずしことりにわれにぱんのみみ)
盆明けの会議紛糾夕まぐれ
(ぼんあけのかいぎふんきゅうゆうまぐれ)
※会議の構成は半数以上がシニアなのに、意見
が二つに割れて、それを訳ありと勘繰った一
部が同意見の者を糾合して変に硬化してしま
った。結果的な分断の状態ではある。
まあ今日は甲子園が休みだからいいようなも
のの・・・。
8/16wed
温湯なり夏のしまい湯動かざる
(ぬるゆなりなつのしまいゆうごかざる)
※台風7号は報道のわりにすんなり近畿を通過
してしまうのかと思いきや、方々に深刻な爪
痕を残しつつある。殊に鳥取の各河川はひど
い状況らしい、湯につかりながらラジオを聴
いている。
8/15tue
主人なす大提灯の盆支度
(あるじなすおおちょうちんのぼんじたく)
※故郷の盆の風物詩は商家の店先や元武家の
民家の門口に吊るした家紋を入れた大提灯
だ。全国共通の迎え火の光景は殆ど目にし
なかった。京都と西日本の城下町の中に同
じ盆の風習があるといわれる。
8/14mon
明けやすし咳き込む犬の名を呼べり
(あけやすしせきこむいぬのなをよべり)
水羊羹伯母のいつもの持たせかな
(みずようかんおばのいつものもたせかな)
8/13sun
糖尿値ラジオ体操だけでなく
(とうにょうちらじおたいそうだけでなく)
※定期の診察でかかりつけ医から長らく観察
を続けているHgA1cがやや危険側に向かい
つつあるとの託宣を受けた。これは衝撃だ
が想定の範囲内でもある。
さて朝起床時からおこなっている体操、運
動組み合わせの各種「割引」をやめようと
思う。
8/11fri
夏の朝おしゃべり止めよとはいえず
(なつのあさおしゃべりやめよはいえず)
気まぐれの昭和のタイマー風くれぬ
(きまぐれのしょうわのたいまーかぜくれぬ)
8/10thu
蝉しぐれ友のポリープ皆消えて
(せみしぐれとものぽりーぷみなきえて)
張りあふてあげてはもらい日々西瓜
(はりおうてあげてはもらいひびすいか)
※ガソリン代のかかった西瓜、ドヤ顔で届け
たら、帰りに西瓜を貰ってきた。これが甘
い。すごい。
8/9wed
白服を着て半日は汗かかず
(しろふくをきてはんにちはあせかかず)
※立派な服ではない、真白なTシャツに白い
散歩用ズボンだ。今日長崎原爆忌、台風の
影響が心配。
8/8tue
真空のパック新茶の香り立つ
(しんくうのぱっくしんちゃのかおりたつ)
※新茶は初夏の季語。真空パックは四季の季
語。有名な虚子の句
「方丈に今とどきたる新茶かな」
8/7mon
心太もひとつ所望して盛夏
(ところてんもひとつしょもうしてせいか)
※グテーレスが「地球は『沸騰期』に入った」
と。
窓放ち毎夜の仕度熱帯夜
(まどはなちまいよのしたくねったいや)
8/6sun
原爆忌同じ齢とつぶやけり
(げんばくきおなじよわいとつぶやけり)
イヤホンで広島の鐘を聴きいたり
(いやほんでひろしまのかねをききいたり)
広島のしじまを知りて原爆忌
(ひろしまのしじまをしりてげんばくき)
静寂とは蝉の声なり原爆忌
(しじまとはせみのこえなりげんばくき)
8/5sat
よれよれのTシャツ着たき大暑かな
(よれよれのてぃしゃつきたきたいしょかな)
盛夏かな残せし長き映画見し
(せいかかなのこせしながきえいがみし)
※酷暑と言われる夏も悪いことばかりではな
い。見たい映画の在庫が大いに捌けた。し
かも大して罪悪感なしに。
8/4fri
夏だ夏朝昨日よりもっと夏
(なつだなつあさきのうよりもっとなつ)
※嫌われ者の猛暑だが、朝の澄んだギラギラ
は夏のエネルギーそのもの。日々の散歩コ
ースだが、今日も記憶に残る光景だ。
炎昼や妻マージャンにデイのごと
(えんちゅうやつままーじゃんにでいのごと)
向日葵は見下ろしており件の絵
(ひまわりはみおろしておりくだんのえ)
8/3thu
初ぶどう飴色となりぶら下がり
(はつぶどうあめいろとなりぶらさがり)
戦やまず今年のトマト外れなし
(いくさやまずことしのとまとはずれなし)
向日葵や沖縄は風六十五
(ひまわりやおきなわはかぜろくじゅうご)
8/2wed
雷の来て一日の涼くれり
(かみなりのきていちにちのりょうくれり)
プラム落ちて無事に道路を横切りぬ
(ぷらむおちてぶじにどうろをよこぎりぬ)
※プラムの出来も今年は今までで最良。ぎり
ぎり完熟まで待ってお裾分け。
8/1tue
過去になき気温上総の日照りかな
(かこになききおんかずさのひでりかな)
喜雨はまずにおいとけむり畑道
(きうはまずにおいとけむりはたけみち)
※8月に入ってやっと雨が降った。量は今の
ところ僅か、大気の不安定さからくる雷雨
だけだ。長い日照りの後の降り始めの独特
の気配。
緑陰の影濃しすでに客があり
(りょくいんのかげこしすでにきゃくがあり)
八月尽危険な暑さをかみしめる
(はちがつじんきけんなあつさをかみしめる)
※これだけの暑さは異常という、歴史的とも
いう、これからは何度も、とも。かみしめ
ておくにしくはない。
8/29tue
旱天や実のなる木だけ水をやる
(かんてんやみのなるきだけみずをやる)
※庭の果樹に関する限り、この暑い夏、日照
りに恨みはない。もも、プラム、ぶどうと
この間に収穫した果樹は皆例年よりかなり
成績が良い。
残るは柿と温州みかん、大切なこの時期実
のつきは悪くない。素人の遊びの域を出な
いが、悪くない気分。
8/28tue
次々とポッケから栗あげるとぞ
(つぎつぎとぽっけからくりあげるとぞ)
栗飯のすでに香りが電話口
(くりめしのすでにかおりがでんわぐち)
8/27sun
上弦の月に邯鄲酔いしれて
(じょうげんのつきにかんたんよいしれて)
※月末から来月にかけての気温の予報も平年
より高いとある。意外と朝晩のしのぎやす
さがやってきて、裏をかいてくるかも。
8/26sat
絵を見せてやがて名を訊く酷暑なり
(えをみせてやがてなをきくこくしょなり)
※75歳を超えると3年に一回認知症機能検査
を受けさせられる。今日は何曜日?とかの
試験と16枚の絵の名前を憶えているかどう
か? 必要性は理解できるが、その代わり
何千円でいいから金を払え! この無礼者!
(逆に8000円ほど払わせられる)
8/25fri
一文字も書かず読まずに青芭蕉
(ひともじもかかずよまずにあおばしょう)
※暑さの余り、3ヵ月前に訪れた漱石記念館
を思い出した。こんな日も意外と風が通る
涼しい家だったのかも知れない。とはいえ
酷暑の日だったら、なんにもしないで終日
ベランダから青芭蕉を眺めていたかも。
8/24thu
免許再た手続きしたる晩夏かな
(めんきょまたてつづきしたるばんかかな)
※免許の更新は認知症試験を伴う。試験の内
容、合否のラインには全く問題ないが、愉
快なことではない。
それに季節、晩夏であって欲しい。
8/23wed
洗い鯉好みし亡父の歳越えて
(あらいごいこのみしちちのとしこえて)
※鯉の洗いは今の身の回りでは殆ど目にしな
い。暑い中では、酢味噌でいただく懐かし
い味だ。調べたら千葉県内でいくつか食す
る場所があった。印旛沼周辺、養老渓谷と
か。少し北の山間の味ではないみたい。
8/21mon
SLの汽笛サービス蝉時雨
(えすえるのきてきさーびすせみしぐれ)
※甲子園の準決2試合を見る。
ついでにYouTubeで磐越西線を走る観光列
車の「雄姿」を久しぶりに見た。未だに元
気だ。(当たり前、アップされたのは10
年ほど前だ)
8/20sun
盆明けて深夜に重きカバン押す
(ぼんあけてしんやにおもきかばんおす)
※海外からの帰国者がピークと聞いたが、リ
ムジンバスの通りでもあるまいし、まして
深夜だ。すごい音だ。
ハハーン、旅行をしたカップルが喧嘩をし
て家近くの道路で放り投げられた、ナ?
きっとそうに違いない。
8/19sat
夏の果て雲の形を調べ居ぬ
(なつのはてくものかたちをしらべいぬ)
※ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ秋の雲
らしいのが現れた。が、秋の雲ではない。
似て非なるものだ。関東南部の当地では空
に雲が広がると、それで多少涼しく感じる。
秋を感じる。これは末期的感覚!
8/18fri
朝涼し小鳥に吾にパンの耳
(あさすずしことりにわれにぱんのみみ)
盆明けの会議紛糾夕まぐれ
(ぼんあけのかいぎふんきゅうゆうまぐれ)
※会議の構成は半数以上がシニアなのに、意見
が二つに割れて、それを訳ありと勘繰った一
部が同意見の者を糾合して変に硬化してしま
った。結果的な分断の状態ではある。
まあ今日は甲子園が休みだからいいようなも
のの・・・。
8/16wed
温湯なり夏のしまい湯動かざる
(ぬるゆなりなつのしまいゆうごかざる)
※台風7号は報道のわりにすんなり近畿を通過
してしまうのかと思いきや、方々に深刻な爪
痕を残しつつある。殊に鳥取の各河川はひど
い状況らしい、湯につかりながらラジオを聴
いている。
8/15tue
主人なす大提灯の盆支度
(あるじなすおおちょうちんのぼんじたく)
※故郷の盆の風物詩は商家の店先や元武家の
民家の門口に吊るした家紋を入れた大提灯
だ。全国共通の迎え火の光景は殆ど目にし
なかった。京都と西日本の城下町の中に同
じ盆の風習があるといわれる。
8/14mon
明けやすし咳き込む犬の名を呼べり
(あけやすしせきこむいぬのなをよべり)
水羊羹伯母のいつもの持たせかな
(みずようかんおばのいつものもたせかな)
8/13sun
糖尿値ラジオ体操だけでなく
(とうにょうちらじおたいそうだけでなく)
※定期の診察でかかりつけ医から長らく観察
を続けているHgA1cがやや危険側に向かい
つつあるとの託宣を受けた。これは衝撃だ
が想定の範囲内でもある。
さて朝起床時からおこなっている体操、運
動組み合わせの各種「割引」をやめようと
思う。
8/11fri
夏の朝おしゃべり止めよとはいえず
(なつのあさおしゃべりやめよはいえず)
気まぐれの昭和のタイマー風くれぬ
(きまぐれのしょうわのたいまーかぜくれぬ)
8/10thu
蝉しぐれ友のポリープ皆消えて
(せみしぐれとものぽりーぷみなきえて)
張りあふてあげてはもらい日々西瓜
(はりおうてあげてはもらいひびすいか)
※ガソリン代のかかった西瓜、ドヤ顔で届け
たら、帰りに西瓜を貰ってきた。これが甘
い。すごい。
8/9wed
白服を着て半日は汗かかず
(しろふくをきてはんにちはあせかかず)
※立派な服ではない、真白なTシャツに白い
散歩用ズボンだ。今日長崎原爆忌、台風の
影響が心配。
8/8tue
真空のパック新茶の香り立つ
(しんくうのぱっくしんちゃのかおりたつ)
※新茶は初夏の季語。真空パックは四季の季
語。有名な虚子の句
「方丈に今とどきたる新茶かな」
8/7mon
心太もひとつ所望して盛夏
(ところてんもひとつしょもうしてせいか)
※グテーレスが「地球は『沸騰期』に入った」
と。
窓放ち毎夜の仕度熱帯夜
(まどはなちまいよのしたくねったいや)
8/6sun
原爆忌同じ齢とつぶやけり
(げんばくきおなじよわいとつぶやけり)
イヤホンで広島の鐘を聴きいたり
(いやほんでひろしまのかねをききいたり)
広島のしじまを知りて原爆忌
(ひろしまのしじまをしりてげんばくき)
静寂とは蝉の声なり原爆忌
(しじまとはせみのこえなりげんばくき)
8/5sat
よれよれのTシャツ着たき大暑かな
(よれよれのてぃしゃつきたきたいしょかな)
盛夏かな残せし長き映画見し
(せいかかなのこせしながきえいがみし)
※酷暑と言われる夏も悪いことばかりではな
い。見たい映画の在庫が大いに捌けた。し
かも大して罪悪感なしに。
8/4fri
夏だ夏朝昨日よりもっと夏
(なつだなつあさきのうよりもっとなつ)
※嫌われ者の猛暑だが、朝の澄んだギラギラ
は夏のエネルギーそのもの。日々の散歩コ
ースだが、今日も記憶に残る光景だ。
炎昼や妻マージャンにデイのごと
(えんちゅうやつままーじゃんにでいのごと)
向日葵は見下ろしており件の絵
(ひまわりはみおろしておりくだんのえ)
8/3thu
初ぶどう飴色となりぶら下がり
(はつぶどうあめいろとなりぶらさがり)
戦やまず今年のトマト外れなし
(いくさやまずことしのとまとはずれなし)
向日葵や沖縄は風六十五
(ひまわりやおきなわはかぜろくじゅうご)
8/2wed
雷の来て一日の涼くれり
(かみなりのきていちにちのりょうくれり)
プラム落ちて無事に道路を横切りぬ
(ぷらむおちてぶじにどうろをよこぎりぬ)
※プラムの出来も今年は今までで最良。ぎり
ぎり完熟まで待ってお裾分け。
8/1tue
過去になき気温上総の日照りかな
(かこになききおんかずさのひでりかな)
喜雨はまずにおいとけむり畑道
(きうはまずにおいとけむりはたけみち)
※8月に入ってやっと雨が降った。量は今の
ところ僅か、大気の不安定さからくる雷雨
だけだ。長い日照りの後の降り始めの独特
の気配。
ダクタク句集2023年(令和5年)7月 [ダクタク2023年7月]
7/31mon
胃を切りし人声高く油照り
(いをきりしひとこえたかくあぶらでり)
※友人知人の中に胃ガンで手術をした人が数
人いる。進行度にもよるのだろうが、最近
の何人かの方が予後が元気だ。表向きだが、
こちらが面食らうほどの声で充実の暮らし
ぶりを伝えてくれる人も。
7/29sat
苗売りのリヤカーが行く夢一夜
(なえうりのりやかーがいくゆめいちや)
※こう寝苦しい夜が続くと寝なくてはという
強迫観念は薄くなる。どうにでもなれと。
家々を廻る物売りのリヤカーなど、おぼろ
になって数十年もスキップすれば・・・。
7/28fri
子を褒める気持ちや桃の実がとれて
(こをほめるきもちやもものみがとれて)
※今季は枝の剪定と実欠きを今まで以上にや
ったことが功を奏し、見事な形の桃が数多
く採れた。お礼肥えをしっかりとやる。
7/27thu
悔やむことルーチンとなり夜光虫
(くやむことるーちんとなりやこうちゅう)
※今更悔やんでも何にもならない、もうとっ
くにわかっていることだけれど。
ははん・・・またやっている。制御不能。
7/26wed
皇后のアガパンサスよ巨き愛
(こうごうのあがぱんさすよおおきあい)
※7/24の誕生花はアガパンサスだった。花言
葉は純粋な愛。当家のアガパンサスもすぐ
隣家のそれも、背が高い。他所で見るより
背が高い。何故か雅子皇后を思った。
最近の笑顔は良い。花言葉もぴったり。
7/25tue
AIに画像使えと大暑かな
(えーあいにがぞうつかえとたいしょかな)
※生成AIの開発をめぐっての議論が世界的規
模でまっことかまびすしい。大きな懸念、
論点の一つが著作権侵害にかかわる問題だ。
LLCがどこからどの範囲でどう形をのこして
情報を得るか? フフッ、高みの見物。
7/24mon
風鈴やつたなき句を短冊に
(ふうりんやつたなきくをたんざくに)
オハグロの雨なき庭にとどまりて
(おはぐろのあめなきにわにとどまりて)
7/23sun
文庫本持つ手細りて梅雨末期
(ぶんこぼんもつてほそりてつゆまっき)
※朝晩はやや凌ぎやすい。特に朝早くは長袖
の寝巻に替えてゆっくり読書が出来る。そ
ういえば定期の検診でかかりつけ医から筋
肉維持の大切さを説かれ、太腿の中頃を自
分の両手で測ってみるように言われた。
体重の減少は良くても、それが筋肉の減少
によるものだったら問題ということらしい。
7/22sat
巴里祭終電車なる映画見し
(ぱりーさいしゅうでんしゃなるえいがみし)
※フランス映画はいいなあ。監督フランソワ
・トリュフォーの描くカトリーヌ・ドヌー
ブの円熟味だ。食傷気味のハリウッド映画
の陰で・・・。
梅雨寒や明日は切らむ足の爪
(つゆざむやあしたはきらんあしのつめ)
7/21fri
久闊や今日の炎暑を見舞い合う
(きゅうかつやきょうのえんしょをみまいあう)
古い顔梅雨の晴れ間のともしらが
(ふるいかおつゆのしらがのともしらが)
※「古い顔」という歌を、宴の最後に肩を組
み輪になって歌う。前回から4年近く経っ
ているから一同の老けはすごい。
78~81歳だし当然のことだ。ホッとし
ている。
7/20thu
夏帽子代々木駅から道険し
(なつぼうしよよぎえきからみちけわし)
日盛りやゆるり集まる同期会
(ひざかりやゆるりあつまるどうきかい)
※先日の東京猛暑日の昼日中、以前の勤務先
の同期会に出席した。年齢を考慮しての正
午開催なのだが、この日は裏目に。
7/19wed
門仲の居酒屋前に夏帽子
(もんなかのいざかやまえになつぼうし)
※あの、有名な居酒屋は健在だろうか?午後
5時少し前に店を開くのだが、その1時間
前から行列が出来る。幸いアーケードの屋
根で西日が当たることはない。しかし苦労
して入店しても、カウンターの上に片方の
肩を入れて立って飲むのだ。
バカ安、バカ旨。
7/18tue
早起きの姐やにやさし白粉花
(はやおきのねえやにやさしおしろいばな)
茄子の花日照りの下で父描けり
(なすのはなひでりのしたでちちかけり)
7/16sun
噴火忌や観光バスの馬力増え
(ふんかきやかんこうばすのばりきふえ)
※故郷の歳時記で磐梯山噴火忌を季語にした
句を読んだ。明治21年7月15日、午前8時少
し前とある。記憶にある最初の裏磐梯は急
坂で息せき切ったバスに乗って到着した。
毘沙門沼のエメラルド、他の五色沼の神秘、
桧原湖の光り、5歳の子供にはこの世のも
のとは思えなかった。噴火のお蔭とは!
7/13thu
年代の入りしウチワ古団扇
(ねんだいのはいりしうちわふるうちわ)
※団扇を配ることがなくなってきているから
古い団扇を大切にしている。比較的新しい
もので年代が特定できるものがあり、昭和
と分かってびっくり。35年以上も前。
7/12wed
家にいて四万六千日の夢
(いえにいてしまんろくせんにちのゆめ)
※観音様の結縁日に参詣すると四万六千日分
の功徳があるというコスパ抜群のお話。こ
のことは知っていたのだが、これが鬼灯市
の日取りと同じとは気づかなかった。田舎
者だねえ。
7/10mon
息ひそめ西瓜の受粉日の始め
(いきひそめすいかのじゅふんひのはじめ)
※不順な気候に人間世界はやり込められ続き
だが、当地の作物は結構順調だという話を
聞く。当家の畑作物、果樹もしかり、今の
ところうまくいっている。
7/8sat
朝曇り入院せりと仔細なく
(あさぐもりにゅういんせりとしさいなく)
※近くに住む親族が転倒して骨折3ヵ所。最
悪上手く回復しなければ車椅子ということ
も。しばらくは落ち着かない日々となりそ
う。
7/6thu
夏帽子やっと小さくなりし顔
(なつぼうしやっとちいさくなりしかお)
※雷雨と俄雨が続いたが、蒸し暑い晴れ間に
戻った。頃は7月、梅雨明けは待たずに夏
の道具を少しだけ。一番大きな麦わら帽子
で、帽子の似合わぬ、でかい顔が・・・。
7/5wed
七月や九州の雨上がらざる
(しちがつやきゅうしゅうのあめあがらざる)
上海の夏エアコンの止まらずと
(しゃんはいのなつえあこんのとまらずと)
ウクライナ西日戦慄じりじりと
(うくらいなにしびせんりつじりじりと)
7/4tue
真夜中の雷怖さ伝え得ず
(まよなかのかみなりこわさつたええず)
※関東の急な強雨と雷の発生はずうっと北関
東から埼玉付近までに限られていた。しか
し遂に今朝ニ時までの一時間に最大級の雷
に襲われた。雷鳴その音と数、激しさ、落
雷点の近さと数、継続時間・・・そのどれ
をとっても「怖さ」では史上No1だ。
さすが雷銀座生まれの雷、半端でない。
雷鳴や有り金参ると息殺し
(らいめいやありがねまいるといきころし)
暗闇に白爪草の稲光
(くらやみにしろつめぐさのいなびかり)
7/3mon
七月の句帳綴りて青インク
(しちがつのくちょうつづりてあおいんく)
バスで行くお田植祭や弾んだ日
(ばすでいくおたうえさいやはずんだひ)
※稲作の一毛作化に遠因があるらしいが、他
に農業機械化、苗栽培の分業化、農薬によ
る栽培短縮、早期刈入れでの台風時期の回
避、ざっとこんな理由で田植えはぐうーん
と早くなった。故郷でのお田植祭はすべて
7月に入ってからだ。
7/2sun
球拾ふ弟の蹴り半夏生
(たまひろうおとうとのけりはんげしょう)
腕を噛み上目遣いの犬の梅雨
(うでをかみうわめづかいのいぬのつゆ)
7/1sat
暑しとて人犬床に熱帯夜
(あつしとてひといぬゆかにねったいや)
短夜や薬効うすき犬の咳
(みじかよややっこううすきいぬのせき)
※とはいえ、一応医師の所見と処方は貰ってい
るがあてにはならないので、様々な咳止め対
策を試している。ハチミツを舐めさせ、蓮根
汁が効くといって濾して飲ませたり、最近は
もっと安直に大根の汁がいいとか・・・。
結構効いている、かと思うと思い切り咳き込
んで、短夜はたちまち過ぎていく。
胃を切りし人声高く油照り
(いをきりしひとこえたかくあぶらでり)
※友人知人の中に胃ガンで手術をした人が数
人いる。進行度にもよるのだろうが、最近
の何人かの方が予後が元気だ。表向きだが、
こちらが面食らうほどの声で充実の暮らし
ぶりを伝えてくれる人も。
7/29sat
苗売りのリヤカーが行く夢一夜
(なえうりのりやかーがいくゆめいちや)
※こう寝苦しい夜が続くと寝なくてはという
強迫観念は薄くなる。どうにでもなれと。
家々を廻る物売りのリヤカーなど、おぼろ
になって数十年もスキップすれば・・・。
7/28fri
子を褒める気持ちや桃の実がとれて
(こをほめるきもちやもものみがとれて)
※今季は枝の剪定と実欠きを今まで以上にや
ったことが功を奏し、見事な形の桃が数多
く採れた。お礼肥えをしっかりとやる。
7/27thu
悔やむことルーチンとなり夜光虫
(くやむことるーちんとなりやこうちゅう)
※今更悔やんでも何にもならない、もうとっ
くにわかっていることだけれど。
ははん・・・またやっている。制御不能。
7/26wed
皇后のアガパンサスよ巨き愛
(こうごうのあがぱんさすよおおきあい)
※7/24の誕生花はアガパンサスだった。花言
葉は純粋な愛。当家のアガパンサスもすぐ
隣家のそれも、背が高い。他所で見るより
背が高い。何故か雅子皇后を思った。
最近の笑顔は良い。花言葉もぴったり。
7/25tue
AIに画像使えと大暑かな
(えーあいにがぞうつかえとたいしょかな)
※生成AIの開発をめぐっての議論が世界的規
模でまっことかまびすしい。大きな懸念、
論点の一つが著作権侵害にかかわる問題だ。
LLCがどこからどの範囲でどう形をのこして
情報を得るか? フフッ、高みの見物。
7/24mon
風鈴やつたなき句を短冊に
(ふうりんやつたなきくをたんざくに)
オハグロの雨なき庭にとどまりて
(おはぐろのあめなきにわにとどまりて)
7/23sun
文庫本持つ手細りて梅雨末期
(ぶんこぼんもつてほそりてつゆまっき)
※朝晩はやや凌ぎやすい。特に朝早くは長袖
の寝巻に替えてゆっくり読書が出来る。そ
ういえば定期の検診でかかりつけ医から筋
肉維持の大切さを説かれ、太腿の中頃を自
分の両手で測ってみるように言われた。
体重の減少は良くても、それが筋肉の減少
によるものだったら問題ということらしい。
7/22sat
巴里祭終電車なる映画見し
(ぱりーさいしゅうでんしゃなるえいがみし)
※フランス映画はいいなあ。監督フランソワ
・トリュフォーの描くカトリーヌ・ドヌー
ブの円熟味だ。食傷気味のハリウッド映画
の陰で・・・。
梅雨寒や明日は切らむ足の爪
(つゆざむやあしたはきらんあしのつめ)
7/21fri
久闊や今日の炎暑を見舞い合う
(きゅうかつやきょうのえんしょをみまいあう)
古い顔梅雨の晴れ間のともしらが
(ふるいかおつゆのしらがのともしらが)
※「古い顔」という歌を、宴の最後に肩を組
み輪になって歌う。前回から4年近く経っ
ているから一同の老けはすごい。
78~81歳だし当然のことだ。ホッとし
ている。
7/20thu
夏帽子代々木駅から道険し
(なつぼうしよよぎえきからみちけわし)
日盛りやゆるり集まる同期会
(ひざかりやゆるりあつまるどうきかい)
※先日の東京猛暑日の昼日中、以前の勤務先
の同期会に出席した。年齢を考慮しての正
午開催なのだが、この日は裏目に。
7/19wed
門仲の居酒屋前に夏帽子
(もんなかのいざかやまえになつぼうし)
※あの、有名な居酒屋は健在だろうか?午後
5時少し前に店を開くのだが、その1時間
前から行列が出来る。幸いアーケードの屋
根で西日が当たることはない。しかし苦労
して入店しても、カウンターの上に片方の
肩を入れて立って飲むのだ。
バカ安、バカ旨。
7/18tue
早起きの姐やにやさし白粉花
(はやおきのねえやにやさしおしろいばな)
茄子の花日照りの下で父描けり
(なすのはなひでりのしたでちちかけり)
7/16sun
噴火忌や観光バスの馬力増え
(ふんかきやかんこうばすのばりきふえ)
※故郷の歳時記で磐梯山噴火忌を季語にした
句を読んだ。明治21年7月15日、午前8時少
し前とある。記憶にある最初の裏磐梯は急
坂で息せき切ったバスに乗って到着した。
毘沙門沼のエメラルド、他の五色沼の神秘、
桧原湖の光り、5歳の子供にはこの世のも
のとは思えなかった。噴火のお蔭とは!
7/13thu
年代の入りしウチワ古団扇
(ねんだいのはいりしうちわふるうちわ)
※団扇を配ることがなくなってきているから
古い団扇を大切にしている。比較的新しい
もので年代が特定できるものがあり、昭和
と分かってびっくり。35年以上も前。
7/12wed
家にいて四万六千日の夢
(いえにいてしまんろくせんにちのゆめ)
※観音様の結縁日に参詣すると四万六千日分
の功徳があるというコスパ抜群のお話。こ
のことは知っていたのだが、これが鬼灯市
の日取りと同じとは気づかなかった。田舎
者だねえ。
7/10mon
息ひそめ西瓜の受粉日の始め
(いきひそめすいかのじゅふんひのはじめ)
※不順な気候に人間世界はやり込められ続き
だが、当地の作物は結構順調だという話を
聞く。当家の畑作物、果樹もしかり、今の
ところうまくいっている。
7/8sat
朝曇り入院せりと仔細なく
(あさぐもりにゅういんせりとしさいなく)
※近くに住む親族が転倒して骨折3ヵ所。最
悪上手く回復しなければ車椅子ということ
も。しばらくは落ち着かない日々となりそ
う。
7/6thu
夏帽子やっと小さくなりし顔
(なつぼうしやっとちいさくなりしかお)
※雷雨と俄雨が続いたが、蒸し暑い晴れ間に
戻った。頃は7月、梅雨明けは待たずに夏
の道具を少しだけ。一番大きな麦わら帽子
で、帽子の似合わぬ、でかい顔が・・・。
7/5wed
七月や九州の雨上がらざる
(しちがつやきゅうしゅうのあめあがらざる)
上海の夏エアコンの止まらずと
(しゃんはいのなつえあこんのとまらずと)
ウクライナ西日戦慄じりじりと
(うくらいなにしびせんりつじりじりと)
7/4tue
真夜中の雷怖さ伝え得ず
(まよなかのかみなりこわさつたええず)
※関東の急な強雨と雷の発生はずうっと北関
東から埼玉付近までに限られていた。しか
し遂に今朝ニ時までの一時間に最大級の雷
に襲われた。雷鳴その音と数、激しさ、落
雷点の近さと数、継続時間・・・そのどれ
をとっても「怖さ」では史上No1だ。
さすが雷銀座生まれの雷、半端でない。
雷鳴や有り金参ると息殺し
(らいめいやありがねまいるといきころし)
暗闇に白爪草の稲光
(くらやみにしろつめぐさのいなびかり)
7/3mon
七月の句帳綴りて青インク
(しちがつのくちょうつづりてあおいんく)
バスで行くお田植祭や弾んだ日
(ばすでいくおたうえさいやはずんだひ)
※稲作の一毛作化に遠因があるらしいが、他
に農業機械化、苗栽培の分業化、農薬によ
る栽培短縮、早期刈入れでの台風時期の回
避、ざっとこんな理由で田植えはぐうーん
と早くなった。故郷でのお田植祭はすべて
7月に入ってからだ。
7/2sun
球拾ふ弟の蹴り半夏生
(たまひろうおとうとのけりはんげしょう)
腕を噛み上目遣いの犬の梅雨
(うでをかみうわめづかいのいぬのつゆ)
7/1sat
暑しとて人犬床に熱帯夜
(あつしとてひといぬゆかにねったいや)
短夜や薬効うすき犬の咳
(みじかよややっこううすきいぬのせき)
※とはいえ、一応医師の所見と処方は貰ってい
るがあてにはならないので、様々な咳止め対
策を試している。ハチミツを舐めさせ、蓮根
汁が効くといって濾して飲ませたり、最近は
もっと安直に大根の汁がいいとか・・・。
結構効いている、かと思うと思い切り咳き込
んで、短夜はたちまち過ぎていく。
ダクタク句集2023年(令和5年)6月 [ダクタク2023年6月]
6/30fri
鬘着けて新内流しの夏越しかな
(づらつけてしんないながしのなごしかな)
友の家茅の輪の先の根津辺り
(とものいえちのわのさきのねづあたり)
受けとりし賀状また読む夏越しかな
(うけとりしがじょうまたよむなごしかな)
※若い頃から習慣がなかった「夏越し払い」。
正月に貰った賀状をこの機会に読む。初見
の当座はああもしよう、こうもしようとレ
スポンスを考えた筈が、見事にそのままに
なっている。まあいつものことだ。ところ
が今年は夏越しの祓いで一歩だけ賢くなる。
6/29thu
野仏や六月記憶やや掠れ
(のぼとけやろくがつきおくややかすれ)
※家内の誕生日をつい忘れ、三日も過ぎて気づ
いた。やってしまった。何日か前まではちゃ
んと覚えていたのに。
予定や用事を書きこむカレンダーには一切メ
モがないから底意地が悪い。しかしそれは口
に出さずにぐっとこらえて息を呑む。
6/28wed
シューベルトの梅雨ホロビッツの皺の指
(しゅーべるとのつゆほろびっつのしわのゆび)
※音楽を聴くメディアの変遷は振り返ればすさ
まじい。その時々で違うメディアに集めまく
った。特大のFMアンテナを張ってテープに録
音、ビデオテープが主流になるとよせばいい
のにこれに何百本。その間レコードとCDはコ
ンスタントに買い続けた。それらは今価値ゼ
ロではないにしても。
今やネットでなにもかも安易に手に入る。少
しお金をかければ音質も中の上ぐらいはいく。
なにより昔敬遠したホロヴィッツの長い指が
目の前でシューベルトを、スカルラッティを
奏でる。
6/26mon
歌もれて公民館に傘多し
(うたもれてこうみんかんにかさおおし)
梅雨晴れや元善光寺といふを知る
(つゆばれやもとぜんこうじというをしる)
6/25sun
背を正す体操をして昼寝かな
(せをただすたいそうをしてひるねかな)
髪洗ふ女しばしの昼寝かな
(かみあらうおんなしばしのひるねかな)
※短い昼寝には珍しく夢を、しかも良い夢を
見た。長い黒髪をしっかり洗う若い女が現
れた。なぜか香しい匂いを感じていた。こ
んな夢が自在に見れるのであれば、この、
背の曲がった男の余生にも少しは彩りがあ
ろうというものだが。それにしても今日の
日中は蒸し暑かった。ああ、途端に現実が
・・・。
6/23fri
梅雨籠り無愛な男にて難し
(つゆごもりぶあいなおとこにてかたし)
鉛筆を手探りおりし梅雨の朝
(えんぴつをてさぐりおりしつゆのあさ)
梅雨寒や摘果の桃の香りかな
(つゆざむやてきかのもものかおりかな)
6/22thu
夏至の日や豪雨とならぬ日々が過ぎ
(げしのひやごううとならぬひびがすぎ)
故郷の歳時記梅雨に父に会う
(ふるさとのさいじきつゆにちちにあう)
※昭和55年に編まれた、その名も「会津歳
時記」。丁寧な作りで編集も行き届いてい
る。父親の句が約50句ほど、採用されて
いる。あの頃父親は句作低調、友人から叱
咤の声があったのを知っている。父の句を
味わうのにあまり冷静ではない。「もっと
後に良い句があるよ」と言ってしまう。
6/20tue
大谷はワイパー梅雨の鬱屈を
(おおたにはわいぱーつゆのうっくつを)
扇風機出した日豚をたんと食い
(せんぷうきだしたひぶたをたんとくい)
6/19mon
子規の家漱石の家梅雨を行く
(しきのいえそうせきのいえつゆをいく)
※明治28年子規は漱石のいない家を訪ね、漱
石の結婚話の助けになろうとした。根岸か
ら早稲田馬場下まで。遠いようで近い?
ナビで測ったら7km弱、健脚なら90分。
大喀血を経た子規は人力車で行ったか。
明治人は行き来を苦にしなかった。
その年の暮、子規はこんな句を残している。
漱石が来て虚子が来て大三十日
(そうせきがきてきょしがきておおみそか)
6/18sun
大雷雨集会所の戸閉める人
(だいらいうしゅうかいじょのとしめるひと)
雨上がる何年ぶりの裸足の子
(あめあがるなんねんぶりのはだしのこ)
※梅雨も悪いもんじゃない。街中の、住宅地
の様々な光景に素直にふれることが多い。
ランドセルをガバガバ揺らして裸足で家に
帰る子・・・昔いたなァ。
6/15thu
扇風機出す日に豚をたんと買い
(せんぷうきだすひにぶたをたんとかい)
青蜥蜴二日いて白く帰りたり
(あおとかげふつかいてしろくかえりたり)
6/14wed
紫陽花や新しき画帳をおろす
(あじさいやあたらしきがちょうをおろす)
紫陽花や紫と黄と青と水
(あじさいやむらさきときとあおとみず)
※6月の絵画教室、画材はやっぱりアジサイ。
持ち寄るのは自慢の西洋アジサイ。それを
更に選ぶから、機嫌よく描くには程遠い豪
華さとなる。ひっそりと咲く額アジサイも
いいのにね、などとぼやいてみせて下手な
絵となる。
6/13tue
ユリノキの花を見る雨の日三日
(ゆりのきのはなをみるあめのひみっか)
夏沙羅の花は梅雨時露を抱き
(なつしゃらのはなはつゆどきつゆをだき)
6/12mon
犬の咳やみてもいかに夏の朝
(いぬのせきやみてもいかになつのあさ)
蓮実茶事まねて朝五時ボトル持ち
(はすみちゃじまねてあさごじぼとるもち)
※飼い犬の体調が良くない日々が続き、持病
の咳込みが重なって、夜中に苦し気にする
ことがある。おさまると、そういう日に限
って早朝の散歩を喜ぶ。睡眠不足でこっち
がフラッとすることも。
6/11sun
梅雨寒や妻はチラシを畳まざる
(つゆざむやつまはちらしをたたまざる)
6/10sat
梅雨の朝鉛一色動かざる
(つゆのあさなまりいっしょくうごかざる)
※何十年も前の北海道勤務の時、同じ6月の頃、
梅雨はないという北海道、確かに梅雨らしい
降雨はなかった。しかし来る日も来る日も重
たい曇り空が続いた。梅雨空はあった。
あの鉛の空の連続は若者には重たかった。
6/9fri
一文字も書かず候ふ梅雨に入る
(ひともじもかかずそうろうつゆにいる)
※「今日は朝からなにも書いていない、読んで
もいない」と書いている漱石の葉書があった。
今日はそんな日、関東梅雨入り。
梅雨入りや亡母の誕生日を忘れ
(つゆいりやははのたんじょうびをわすれ)
6/7wed
ビール飲んでやがてはつのる折節を
(びーるのんでやがてはつのるおりふしを)
※先日5/17の東京行続き。打ち上げ。
ビールも2杯も入ったところで、3年半ぶり
の割には・・・通常の話だったなァ。孫がど
うの、膝が痛いの、とか。そこがいい。
友人の打ち上げの句が
「夏の灯やここがと脚をさすりけり」
(なつのひやここがとあしをさすりけり)
「願わくは今しばらくの息災を」
(ねがわくはいましばらくのそくさいを)
6/6tue
梅雨近し物皆上がるという暮らし
(つゆちかしものみなあがるというくらし)
※戦争の影響の一つが物資不足、価格高騰とな
って世界に蔓延している。実質上の負を「補
償」するための賃金上昇、足りないとか言う
が、この「補償」のためのアクションが方々
でやってもよくなったことが最大の変革にな
る。不足でもいい、過剰もいい、便乗でもい
い、名目がすべて上がる。
この戦争、実は日本が仕組んだのかも。
風吹くも西瓜本葉の伸び盛り
(かぜふくもすいかほんばののびざかり)
6/4sun
交番でファミレスたずね夏帽子
(こうばんでふぁみれすたずねなつぼうし)
※早稲田界隈の土地勘もはやゼロ。居酒屋もま
まならず、いっそファミレスならと交番に飛
び込む。正解。冷たい生ビールがすぐそばで
待っていた。
6/3sat
妻と子に文豪端居する山房
(つまとこにぶんごうはしいするさんぼう)
※広い家で弟子たちの出入りも多かった。漱石
のやや潔癖すぎる神経症的性格からすれば亭
主関白を予想できるが、漱石家の主導権はや
っぱり妻子側に合ったのではないか? まと
もに戦をするのも馬鹿げていると端居するこ
とも多かったのでは? こちらの想像の方が
ずっと楽しい。
6/2fri
硝子戸に青く蚊遣りの登りたる
(がらすどにあおくかやりののぼりたる)
白地着て認めたらむ巻の文
(しろじきてしたためたらんまきのふみ)
※先日の東京行続き。漱石山房記念館。
2017年に漱石最後の住まいを旧居跡に復
元したもの。空襲で焼失したのだが、弟子が
疎開させた書籍類、住居図面、写真、資料等
をもとに畳敷きの書斎を復元している。
筆まめだった漱石の巻紙の手紙や当時の手紙、
原稿類などが展示されている。
6/1thu
暑き日や漱石が街迂回せり
(あつきひやそうせきがまちうかいせり)
※先日の東京行続き。
コロナ禍を挟んで3年半ぶり。今回は出掛け
て、会って、喋ることが何よりの目的なのだ
が、早稲田に出来た「漱石山房記念館」に立
ち寄ることでコース選定をした。ところが街
歩きが予想より長時間に及び、クソ暑かった
ことで夏目坂に着くころにはへたへたになっ
た。生家跡、菩提寺、買い物をしただろう路
地の店とか「漱石が街」はカットして記念館
に直行することに。なに、何々跡と書いたも
のがあるだけだから。
鬘着けて新内流しの夏越しかな
(づらつけてしんないながしのなごしかな)
友の家茅の輪の先の根津辺り
(とものいえちのわのさきのねづあたり)
受けとりし賀状また読む夏越しかな
(うけとりしがじょうまたよむなごしかな)
※若い頃から習慣がなかった「夏越し払い」。
正月に貰った賀状をこの機会に読む。初見
の当座はああもしよう、こうもしようとレ
スポンスを考えた筈が、見事にそのままに
なっている。まあいつものことだ。ところ
が今年は夏越しの祓いで一歩だけ賢くなる。
6/29thu
野仏や六月記憶やや掠れ
(のぼとけやろくがつきおくややかすれ)
※家内の誕生日をつい忘れ、三日も過ぎて気づ
いた。やってしまった。何日か前まではちゃ
んと覚えていたのに。
予定や用事を書きこむカレンダーには一切メ
モがないから底意地が悪い。しかしそれは口
に出さずにぐっとこらえて息を呑む。
6/28wed
シューベルトの梅雨ホロビッツの皺の指
(しゅーべるとのつゆほろびっつのしわのゆび)
※音楽を聴くメディアの変遷は振り返ればすさ
まじい。その時々で違うメディアに集めまく
った。特大のFMアンテナを張ってテープに録
音、ビデオテープが主流になるとよせばいい
のにこれに何百本。その間レコードとCDはコ
ンスタントに買い続けた。それらは今価値ゼ
ロではないにしても。
今やネットでなにもかも安易に手に入る。少
しお金をかければ音質も中の上ぐらいはいく。
なにより昔敬遠したホロヴィッツの長い指が
目の前でシューベルトを、スカルラッティを
奏でる。
6/26mon
歌もれて公民館に傘多し
(うたもれてこうみんかんにかさおおし)
梅雨晴れや元善光寺といふを知る
(つゆばれやもとぜんこうじというをしる)
6/25sun
背を正す体操をして昼寝かな
(せをただすたいそうをしてひるねかな)
髪洗ふ女しばしの昼寝かな
(かみあらうおんなしばしのひるねかな)
※短い昼寝には珍しく夢を、しかも良い夢を
見た。長い黒髪をしっかり洗う若い女が現
れた。なぜか香しい匂いを感じていた。こ
んな夢が自在に見れるのであれば、この、
背の曲がった男の余生にも少しは彩りがあ
ろうというものだが。それにしても今日の
日中は蒸し暑かった。ああ、途端に現実が
・・・。
6/23fri
梅雨籠り無愛な男にて難し
(つゆごもりぶあいなおとこにてかたし)
鉛筆を手探りおりし梅雨の朝
(えんぴつをてさぐりおりしつゆのあさ)
梅雨寒や摘果の桃の香りかな
(つゆざむやてきかのもものかおりかな)
6/22thu
夏至の日や豪雨とならぬ日々が過ぎ
(げしのひやごううとならぬひびがすぎ)
故郷の歳時記梅雨に父に会う
(ふるさとのさいじきつゆにちちにあう)
※昭和55年に編まれた、その名も「会津歳
時記」。丁寧な作りで編集も行き届いてい
る。父親の句が約50句ほど、採用されて
いる。あの頃父親は句作低調、友人から叱
咤の声があったのを知っている。父の句を
味わうのにあまり冷静ではない。「もっと
後に良い句があるよ」と言ってしまう。
6/20tue
大谷はワイパー梅雨の鬱屈を
(おおたにはわいぱーつゆのうっくつを)
扇風機出した日豚をたんと食い
(せんぷうきだしたひぶたをたんとくい)
6/19mon
子規の家漱石の家梅雨を行く
(しきのいえそうせきのいえつゆをいく)
※明治28年子規は漱石のいない家を訪ね、漱
石の結婚話の助けになろうとした。根岸か
ら早稲田馬場下まで。遠いようで近い?
ナビで測ったら7km弱、健脚なら90分。
大喀血を経た子規は人力車で行ったか。
明治人は行き来を苦にしなかった。
その年の暮、子規はこんな句を残している。
漱石が来て虚子が来て大三十日
(そうせきがきてきょしがきておおみそか)
6/18sun
大雷雨集会所の戸閉める人
(だいらいうしゅうかいじょのとしめるひと)
雨上がる何年ぶりの裸足の子
(あめあがるなんねんぶりのはだしのこ)
※梅雨も悪いもんじゃない。街中の、住宅地
の様々な光景に素直にふれることが多い。
ランドセルをガバガバ揺らして裸足で家に
帰る子・・・昔いたなァ。
6/15thu
扇風機出す日に豚をたんと買い
(せんぷうきだすひにぶたをたんとかい)
青蜥蜴二日いて白く帰りたり
(あおとかげふつかいてしろくかえりたり)
6/14wed
紫陽花や新しき画帳をおろす
(あじさいやあたらしきがちょうをおろす)
紫陽花や紫と黄と青と水
(あじさいやむらさきときとあおとみず)
※6月の絵画教室、画材はやっぱりアジサイ。
持ち寄るのは自慢の西洋アジサイ。それを
更に選ぶから、機嫌よく描くには程遠い豪
華さとなる。ひっそりと咲く額アジサイも
いいのにね、などとぼやいてみせて下手な
絵となる。
6/13tue
ユリノキの花を見る雨の日三日
(ゆりのきのはなをみるあめのひみっか)
夏沙羅の花は梅雨時露を抱き
(なつしゃらのはなはつゆどきつゆをだき)
6/12mon
犬の咳やみてもいかに夏の朝
(いぬのせきやみてもいかになつのあさ)
蓮実茶事まねて朝五時ボトル持ち
(はすみちゃじまねてあさごじぼとるもち)
※飼い犬の体調が良くない日々が続き、持病
の咳込みが重なって、夜中に苦し気にする
ことがある。おさまると、そういう日に限
って早朝の散歩を喜ぶ。睡眠不足でこっち
がフラッとすることも。
6/11sun
梅雨寒や妻はチラシを畳まざる
(つゆざむやつまはちらしをたたまざる)
6/10sat
梅雨の朝鉛一色動かざる
(つゆのあさなまりいっしょくうごかざる)
※何十年も前の北海道勤務の時、同じ6月の頃、
梅雨はないという北海道、確かに梅雨らしい
降雨はなかった。しかし来る日も来る日も重
たい曇り空が続いた。梅雨空はあった。
あの鉛の空の連続は若者には重たかった。
6/9fri
一文字も書かず候ふ梅雨に入る
(ひともじもかかずそうろうつゆにいる)
※「今日は朝からなにも書いていない、読んで
もいない」と書いている漱石の葉書があった。
今日はそんな日、関東梅雨入り。
梅雨入りや亡母の誕生日を忘れ
(つゆいりやははのたんじょうびをわすれ)
6/7wed
ビール飲んでやがてはつのる折節を
(びーるのんでやがてはつのるおりふしを)
※先日5/17の東京行続き。打ち上げ。
ビールも2杯も入ったところで、3年半ぶり
の割には・・・通常の話だったなァ。孫がど
うの、膝が痛いの、とか。そこがいい。
友人の打ち上げの句が
「夏の灯やここがと脚をさすりけり」
(なつのひやここがとあしをさすりけり)
「願わくは今しばらくの息災を」
(ねがわくはいましばらくのそくさいを)
6/6tue
梅雨近し物皆上がるという暮らし
(つゆちかしものみなあがるというくらし)
※戦争の影響の一つが物資不足、価格高騰とな
って世界に蔓延している。実質上の負を「補
償」するための賃金上昇、足りないとか言う
が、この「補償」のためのアクションが方々
でやってもよくなったことが最大の変革にな
る。不足でもいい、過剰もいい、便乗でもい
い、名目がすべて上がる。
この戦争、実は日本が仕組んだのかも。
風吹くも西瓜本葉の伸び盛り
(かぜふくもすいかほんばののびざかり)
6/4sun
交番でファミレスたずね夏帽子
(こうばんでふぁみれすたずねなつぼうし)
※早稲田界隈の土地勘もはやゼロ。居酒屋もま
まならず、いっそファミレスならと交番に飛
び込む。正解。冷たい生ビールがすぐそばで
待っていた。
6/3sat
妻と子に文豪端居する山房
(つまとこにぶんごうはしいするさんぼう)
※広い家で弟子たちの出入りも多かった。漱石
のやや潔癖すぎる神経症的性格からすれば亭
主関白を予想できるが、漱石家の主導権はや
っぱり妻子側に合ったのではないか? まと
もに戦をするのも馬鹿げていると端居するこ
とも多かったのでは? こちらの想像の方が
ずっと楽しい。
6/2fri
硝子戸に青く蚊遣りの登りたる
(がらすどにあおくかやりののぼりたる)
白地着て認めたらむ巻の文
(しろじきてしたためたらんまきのふみ)
※先日の東京行続き。漱石山房記念館。
2017年に漱石最後の住まいを旧居跡に復
元したもの。空襲で焼失したのだが、弟子が
疎開させた書籍類、住居図面、写真、資料等
をもとに畳敷きの書斎を復元している。
筆まめだった漱石の巻紙の手紙や当時の手紙、
原稿類などが展示されている。
6/1thu
暑き日や漱石が街迂回せり
(あつきひやそうせきがまちうかいせり)
※先日の東京行続き。
コロナ禍を挟んで3年半ぶり。今回は出掛け
て、会って、喋ることが何よりの目的なのだ
が、早稲田に出来た「漱石山房記念館」に立
ち寄ることでコース選定をした。ところが街
歩きが予想より長時間に及び、クソ暑かった
ことで夏目坂に着くころにはへたへたになっ
た。生家跡、菩提寺、買い物をしただろう路
地の店とか「漱石が街」はカットして記念館
に直行することに。なに、何々跡と書いたも
のがあるだけだから。
ダクタク句集2023年(令和5年)5月 [ダクタク2023年5月]
5/31wed
友堂々50号の絵梅雨に入る
(ともどうどうごじゅうごうのえつゆにいる)
※友人からの案内で地域絵画グループの美術展
を見に行った。なかなかどうして手管の面々、
圧倒された。うなだれて雨模様の中を帰って
きた。
5/30tue
片陰もなき牛込の柳町
(かたかげもなきうしごめのやなぎちょう))
※先日の東京行続き。
あの日は背中がじりじりと季節外れの真夏日。
好きで歩いているとはいえ、一時間休みなし
というのはやや危険。わかってはいるけど・
・・ほう、ここは東京女子医大のすぐ近くだ。
安心。
白靴で夏目通りよ坂の街
(しろぐつでなつめどおりよさかのまち)
5/29mon
手拭いを職人風に豆の飯
(てぬぐいをしょくにんふうにまめのめし)
薬の日どくだみ抜く手てぬるかり
(くすりのひどくだみぬくててぬるかり)
5/28sun
ランドセル開いたままの子走り梅雨
(らんどせるあいたままのこはしりづゆ)
西瓜苗植うるに場所の狭まりて
(すいかなえううるにばしょのせばまりて)
※家庭菜園でも連作障害を避けるために知恵
を絞る。スイカはウリ科、好みの野菜がワ
ンサとある。4,5年間を空けよとなると
相当に大変。
5/26fri
走り梅雨ブラ翁が間奏曲よ
(はしりづゆぶらおうがかんそうきょくよ)
※日ごとの天気の変化、寒暖の差が激しい。
梅雨も近い。ブラームス親方をブラ翁と称
し、型にはめようとする無理。句を作る者
が味わう快感。
5/25thu
緑陰に人や自在に神楽坂
(りょくいんにひとやじざいにかぐらざか)
※先日の東京行続き。
年に一度のフィエスタが近いとあって、坂
のそこかしこで関係の人がたむろしている。
久しぶりの都会の街と人。
日盛りやただ黙々と坂の道
(ひざかりやただもくもくとさかのみち)
※暑いというのに遠回りして坂の途中から大
久保通りに左折。牛込を経由し市谷を掠めて
北上、目標の一つ、夏目坂に向かう。
ただ歩く、これがいい。東京の普通の道を。
5/24wed
毘沙門天賽銭の音友の息
(びしゃもんてんさいせんのおととものいき)
※先日の東京行続き。
神楽坂を上ると中ほど左手に善国寺がある。
地域では「毘沙門さま」と呼ばれていると
か、山の手七福神の一つ。日傘が集ってい
る。神楽坂は日影が多く、酷暑?の中、こ
こまでは出足快調だ。
5/23tue
電車今夏の帽子を膝に置く
(でんしゃいまなつのぼうしをひざにおく)
※先日の東京行。電車に乗るのさえ多少興奮し
ている? それほど久しぶりの出来事。
駅頭は久闊よりも暑さかな
(えきとうはきゅうかつよりもあつさかな)
5/22mon
麦秋はこの地ここだけ夫婦いる
(ばくしゅうはこのちここだけふうふいる)
莢豌豆手疲るほどの地の恵み
(さやえんどうてつかるほどのちのめぐみ)
※都会をゆっくり味わい、疲れるほどに歩いた
が、住まいへの帰巣本能が以前より強い。
歳のせいもあり、またコロナ禍で寸断された
都会への思いのせいもあろう。
5/21sun
AIの変革にいるか夏木立
(え-あいのへんかくにいるかなつこだち)
※ほんのしばらくの間で世界中の話題になって
いる生成AI。良いにつけ悪いにつけ影響を
まともに被る世代ではない。したがって急速
な大変革とはいえ、その動きを劇場で味わっ
ている気分だ。今や出し物としては戦争を凌
ぐかも。
5/19fri
Тシャツの長き横文字夏来たる
(てーしゃつのながきよこもじなつきたる)
雨上がる緑の重さ薄暑かな
(あめあがるみどりのおもさはくしょかな)
5/17wed
薫風や三年見ぬ間の濠の駅
(くんぷうやみとせみぬまのほりのえき)
※気の合った仲間との、三年ぶりの歩き会は真
夏日の昼下がりの神楽坂に集合した。暑い。
想定外の「決死行」となった。
5/16tue
風薫る休場明け後の二連勝
(かぜかおるやすみあけごのにれんしょう)
※横綱の両膝のサポーター、単なるテーピング
ではなくてなにやら角ばったガード材がそこ
を覆っている。きょうも明日も横綱を応援し
ている。結果勝ちであればいい。
5/15mon
夏来たる無愛想なる街もよし
(なつきたるぶあいそうなるまちもよし)
※テレビも他のメディアも、また街に出れば商
店も通りも、東京も地方も「ターゲットは若
者」とりわけ「Z世代」とか。
これイコール落ち着かない世の中だ。
こびちゃいけない。
5/14sun
青嵐打ち捨てられし苗の青
(あおあらしうちすてられしなえのあお)
※当地の田植えは大半が四月中に終わっている
が、何の品種かもち米か?半月も遅れて田植
えをした。使いようがない、残った苗の山。
5/13sat
山法師の白は濁手爺の家
(やまぼうしのしろはにごしでじじのいえ)
※ヤマボウシの花が咲き始めている。いつも通
る家のそれはもう半ばを越えている。しかも
その白色は実に深い色をしている。家ごとに
木ごとに白が違う気がする。
5/12fri
聖五月戴冠式に仔細あり
(せいごがつたいかんしきにしさいあり)
サツマイモ植えず三日の雨続き
(さつまいもうえずみっかのあめつづき)
5/11thu
芍薬は画材見事な見得を切り
(しゃくやくはがざいみごとなみえをきり)
※今朝4時過ぎ当地を震度5強の強い揺れが襲
った。人生で初めての5強を体験、その最中
これが更に強くなったら・・・首都直下地震
ではないか?の強い恐怖に捕らわれた。
見舞いのメールなどを受信し、一息ついたの
は約一時間後。
5/9tue
細き棒ギブスの中を夏に入る
(ほそきぼうぎぶすのなかをなつにいる)
※知人が自分の庭で転倒し踝を骨折した。齢を
重ねての骨折は時に大変なのだが、時間はか
かるが完治できる見通しだ。ギブスに合った
木の棒をプレゼントした。大いに感謝された。
5/8mon
春惜しみ上野の山をただ抜ける
(はるおしみうえののやまをただぬける)
角曲がる都電見下ろし暮れかぬる
(かどまがるとでんみおろしくれかぬる)
※晩春という言葉にある郷愁を感じるのだが、
自分の体験と小津安二郎の映画の記憶とが混
然となって境目が妖しくなってことにも原因
がある。不甲斐ない自分の記憶力にがっかり
はするものの、悪い気分ではない。
春をじっくり惜しむほど情緒のある人間では
ない。なぜか浮かんでくるのは、言問通りか
らがら芸大の裏手に上がって、ただ御徒町方
面に上野の山を突っ切ってくる。もう一つは
王子駅付近で都電が直角に曲がるあたり、近
くには飛鳥山がありこの辺もサクラがあった。
広い道路をまたぐ横断歩道の上から飽かずに
眺めている。どちらも夕暮れ近く。
草の山と鎌を眺めつ春惜しむ
(くさのやまとかまをながめつはるおしむ)
5/6sat
芋植うる今日は二畝ばかりなり
(いもううるきょうはふたうねばかりなり)
磯茶屋の大椀どっと浅蜊汁
(いそじゃやのおおわんどっとあさりじる)
5/5fri
チェーホフは春の日そして春の夕
(ちぇーほふははるのひそしてはるのゆう)
※午前中はゆっくり読書と新聞、午後は晴れの
強風の中畑に駆り出される。行く春を惜しむ、
どころか黄砂混じりの風の中、サツマイモを
植える準備をする。今年はちゃんと黒マルチ
を張って50本植える予定。ちゃんとやるに
はやはり私の出番。
5/4thu
住職を庭師とまがふ日永かな
(じゅうしょくをにわしとまがうひながかな)
団地の子女子が率いて日永かな
(だんちのこじょしがひきいてひながかな)
5/3wed
峠越え八十八夜の歯科通い
(とうげこえはちじゅうはちやのしかがよい)
※家内が歯茎の治療に難渋し、腕の良い口腔
歯科を求めて隣市の医院を紹介してもらっ
た。国道沿いで行くと遠くなり、山越えの
ショートカットを選んで連れて行く。
それにしても遠い。午後の予約で行くと午
後一杯取られてしまう。
5/2tue
忌野忌木の間隠れの清志郎
(いまわのきこのまがくれのきよしろう)
※快晴。木漏れ日を浴びながら草むしり。新たに
入手したイヤホーンで清志郎を聴く。
フーン・・・いいなあ。いいのは清志郎であっ
て、値段の割にイヤホーンはだめ。それとも、
スマホ越しの音ってこんなものか?
5/1mon
句日記や苦あり楽あり柿若葉
(くにっきやくありらくありかきわかば)
※誰にも見てもらっていないという前提なれど
も、出来ればコンスタントに自分が満足する
句を作りたいと思う。
そのための強制力の一つがこのブログだ。始
めた以上自分で恥ずかしい句は見せられぬ、
決めて開店休業とはいかぬ、と。
友堂々50号の絵梅雨に入る
(ともどうどうごじゅうごうのえつゆにいる)
※友人からの案内で地域絵画グループの美術展
を見に行った。なかなかどうして手管の面々、
圧倒された。うなだれて雨模様の中を帰って
きた。
5/30tue
片陰もなき牛込の柳町
(かたかげもなきうしごめのやなぎちょう))
※先日の東京行続き。
あの日は背中がじりじりと季節外れの真夏日。
好きで歩いているとはいえ、一時間休みなし
というのはやや危険。わかってはいるけど・
・・ほう、ここは東京女子医大のすぐ近くだ。
安心。
白靴で夏目通りよ坂の街
(しろぐつでなつめどおりよさかのまち)
5/29mon
手拭いを職人風に豆の飯
(てぬぐいをしょくにんふうにまめのめし)
薬の日どくだみ抜く手てぬるかり
(くすりのひどくだみぬくててぬるかり)
5/28sun
ランドセル開いたままの子走り梅雨
(らんどせるあいたままのこはしりづゆ)
西瓜苗植うるに場所の狭まりて
(すいかなえううるにばしょのせばまりて)
※家庭菜園でも連作障害を避けるために知恵
を絞る。スイカはウリ科、好みの野菜がワ
ンサとある。4,5年間を空けよとなると
相当に大変。
5/26fri
走り梅雨ブラ翁が間奏曲よ
(はしりづゆぶらおうがかんそうきょくよ)
※日ごとの天気の変化、寒暖の差が激しい。
梅雨も近い。ブラームス親方をブラ翁と称
し、型にはめようとする無理。句を作る者
が味わう快感。
5/25thu
緑陰に人や自在に神楽坂
(りょくいんにひとやじざいにかぐらざか)
※先日の東京行続き。
年に一度のフィエスタが近いとあって、坂
のそこかしこで関係の人がたむろしている。
久しぶりの都会の街と人。
日盛りやただ黙々と坂の道
(ひざかりやただもくもくとさかのみち)
※暑いというのに遠回りして坂の途中から大
久保通りに左折。牛込を経由し市谷を掠めて
北上、目標の一つ、夏目坂に向かう。
ただ歩く、これがいい。東京の普通の道を。
5/24wed
毘沙門天賽銭の音友の息
(びしゃもんてんさいせんのおととものいき)
※先日の東京行続き。
神楽坂を上ると中ほど左手に善国寺がある。
地域では「毘沙門さま」と呼ばれていると
か、山の手七福神の一つ。日傘が集ってい
る。神楽坂は日影が多く、酷暑?の中、こ
こまでは出足快調だ。
5/23tue
電車今夏の帽子を膝に置く
(でんしゃいまなつのぼうしをひざにおく)
※先日の東京行。電車に乗るのさえ多少興奮し
ている? それほど久しぶりの出来事。
駅頭は久闊よりも暑さかな
(えきとうはきゅうかつよりもあつさかな)
5/22mon
麦秋はこの地ここだけ夫婦いる
(ばくしゅうはこのちここだけふうふいる)
莢豌豆手疲るほどの地の恵み
(さやえんどうてつかるほどのちのめぐみ)
※都会をゆっくり味わい、疲れるほどに歩いた
が、住まいへの帰巣本能が以前より強い。
歳のせいもあり、またコロナ禍で寸断された
都会への思いのせいもあろう。
5/21sun
AIの変革にいるか夏木立
(え-あいのへんかくにいるかなつこだち)
※ほんのしばらくの間で世界中の話題になって
いる生成AI。良いにつけ悪いにつけ影響を
まともに被る世代ではない。したがって急速
な大変革とはいえ、その動きを劇場で味わっ
ている気分だ。今や出し物としては戦争を凌
ぐかも。
5/19fri
Тシャツの長き横文字夏来たる
(てーしゃつのながきよこもじなつきたる)
雨上がる緑の重さ薄暑かな
(あめあがるみどりのおもさはくしょかな)
5/17wed
薫風や三年見ぬ間の濠の駅
(くんぷうやみとせみぬまのほりのえき)
※気の合った仲間との、三年ぶりの歩き会は真
夏日の昼下がりの神楽坂に集合した。暑い。
想定外の「決死行」となった。
5/16tue
風薫る休場明け後の二連勝
(かぜかおるやすみあけごのにれんしょう)
※横綱の両膝のサポーター、単なるテーピング
ではなくてなにやら角ばったガード材がそこ
を覆っている。きょうも明日も横綱を応援し
ている。結果勝ちであればいい。
5/15mon
夏来たる無愛想なる街もよし
(なつきたるぶあいそうなるまちもよし)
※テレビも他のメディアも、また街に出れば商
店も通りも、東京も地方も「ターゲットは若
者」とりわけ「Z世代」とか。
これイコール落ち着かない世の中だ。
こびちゃいけない。
5/14sun
青嵐打ち捨てられし苗の青
(あおあらしうちすてられしなえのあお)
※当地の田植えは大半が四月中に終わっている
が、何の品種かもち米か?半月も遅れて田植
えをした。使いようがない、残った苗の山。
5/13sat
山法師の白は濁手爺の家
(やまぼうしのしろはにごしでじじのいえ)
※ヤマボウシの花が咲き始めている。いつも通
る家のそれはもう半ばを越えている。しかも
その白色は実に深い色をしている。家ごとに
木ごとに白が違う気がする。
5/12fri
聖五月戴冠式に仔細あり
(せいごがつたいかんしきにしさいあり)
サツマイモ植えず三日の雨続き
(さつまいもうえずみっかのあめつづき)
5/11thu
芍薬は画材見事な見得を切り
(しゃくやくはがざいみごとなみえをきり)
※今朝4時過ぎ当地を震度5強の強い揺れが襲
った。人生で初めての5強を体験、その最中
これが更に強くなったら・・・首都直下地震
ではないか?の強い恐怖に捕らわれた。
見舞いのメールなどを受信し、一息ついたの
は約一時間後。
5/9tue
細き棒ギブスの中を夏に入る
(ほそきぼうぎぶすのなかをなつにいる)
※知人が自分の庭で転倒し踝を骨折した。齢を
重ねての骨折は時に大変なのだが、時間はか
かるが完治できる見通しだ。ギブスに合った
木の棒をプレゼントした。大いに感謝された。
5/8mon
春惜しみ上野の山をただ抜ける
(はるおしみうえののやまをただぬける)
角曲がる都電見下ろし暮れかぬる
(かどまがるとでんみおろしくれかぬる)
※晩春という言葉にある郷愁を感じるのだが、
自分の体験と小津安二郎の映画の記憶とが混
然となって境目が妖しくなってことにも原因
がある。不甲斐ない自分の記憶力にがっかり
はするものの、悪い気分ではない。
春をじっくり惜しむほど情緒のある人間では
ない。なぜか浮かんでくるのは、言問通りか
らがら芸大の裏手に上がって、ただ御徒町方
面に上野の山を突っ切ってくる。もう一つは
王子駅付近で都電が直角に曲がるあたり、近
くには飛鳥山がありこの辺もサクラがあった。
広い道路をまたぐ横断歩道の上から飽かずに
眺めている。どちらも夕暮れ近く。
草の山と鎌を眺めつ春惜しむ
(くさのやまとかまをながめつはるおしむ)
5/6sat
芋植うる今日は二畝ばかりなり
(いもううるきょうはふたうねばかりなり)
磯茶屋の大椀どっと浅蜊汁
(いそじゃやのおおわんどっとあさりじる)
5/5fri
チェーホフは春の日そして春の夕
(ちぇーほふははるのひそしてはるのゆう)
※午前中はゆっくり読書と新聞、午後は晴れの
強風の中畑に駆り出される。行く春を惜しむ、
どころか黄砂混じりの風の中、サツマイモを
植える準備をする。今年はちゃんと黒マルチ
を張って50本植える予定。ちゃんとやるに
はやはり私の出番。
5/4thu
住職を庭師とまがふ日永かな
(じゅうしょくをにわしとまがうひながかな)
団地の子女子が率いて日永かな
(だんちのこじょしがひきいてひながかな)
5/3wed
峠越え八十八夜の歯科通い
(とうげこえはちじゅうはちやのしかがよい)
※家内が歯茎の治療に難渋し、腕の良い口腔
歯科を求めて隣市の医院を紹介してもらっ
た。国道沿いで行くと遠くなり、山越えの
ショートカットを選んで連れて行く。
それにしても遠い。午後の予約で行くと午
後一杯取られてしまう。
5/2tue
忌野忌木の間隠れの清志郎
(いまわのきこのまがくれのきよしろう)
※快晴。木漏れ日を浴びながら草むしり。新たに
入手したイヤホーンで清志郎を聴く。
フーン・・・いいなあ。いいのは清志郎であっ
て、値段の割にイヤホーンはだめ。それとも、
スマホ越しの音ってこんなものか?
5/1mon
句日記や苦あり楽あり柿若葉
(くにっきやくありらくありかきわかば)
※誰にも見てもらっていないという前提なれど
も、出来ればコンスタントに自分が満足する
句を作りたいと思う。
そのための強制力の一つがこのブログだ。始
めた以上自分で恥ずかしい句は見せられぬ、
決めて開店休業とはいかぬ、と。
ダクタク句集2023年(令和5年)下期 自選集 [自選集2023]
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2023年9月分コピー済 未選定
9/28thu
待宵や縦が良く合うお城かな
(まつよいやたてがよくあうおしろかな)
※涼しくなったのも束の間、じりっじりっと
気温が上がり今日はそのピーク。実は東京
での会合を直前で延期した。賢かった。
9/24sun
喜捨の鐘二度目が寺の秋にしむ
(きしゃのかねにどめがてらのあきにしむ)
僧招く胎蔵界に寺の秋
(そうまねくたいぞうかいにてらのあき)
※こうも変わるものか? 昨日今日の最高気
温は少し前までの最低気温にも及ばない。
9/22fri
風水のおとなしき地に秋めぐり
(ふうすいのおとなしきちにあきめぐり)
曼殊沙華時期を違えず異夏消ゆ
(まんじゅしゃげじきをたがえずいなつきゆ)
※どうやら異常な夏の終わりが近づいている。
この地も暑さはひどく、色んな影響を被っ
たが、風水害の被害は今のところ皆無に近
い。28年になるこの地、有難いと思う。
9/18mon
モーツァルト秋はロンドか今日涼し
(もーつぁるとあきはろんどかきょうすずし)
※各地の最高気温は相変わらず夕方のニュー
ス種になっている。しかし今夕の涼しさは
どうだ。湿度が低かったのだろうけれど、
格段に秋を感じる気配だ。ただありがたや
という気分。今日敬老の日。
9/17sun
本を繰る腕の涼しさ秋の朝
(ほんをくるうでのすずしさあきのあさ)
※異常な高温の継続に、朝寝床での読書が快
適になることを願っていた。一日やや涼し
い日があり、しかしすぐ戻る。
9/15fri
石段に水つつしみて風の盆
(いしだんにみずつつしみてかぜのぼん)
風の盆地方の声の手練れかな
(かぜのぼんじかたのこえのてだれかな)
風の盆今年地方に聞きほれて
(かぜのぼんことしじかたにききほれて)
※風の盆の季節、今年もテレビで見物した。
4Kの充実した番組を満喫できた。とはいえ、
どこの会場だったか? 上の街と下の街を
繋ぐ長い石段があって、そこが格好の見物
場所となり、下の広場がおわらの会場にな
っていた。羨ましいと思った。
男踊り、女踊り、いつも結構。比較的新し
いという男女混合の振りも良かった。あそ
こで見たいものだと思った。トイレが難し
いかな、とも思った。
9/11mon
盆地秋記録的なる雨吸いて
(ぼんちあききろくてきなるあめすいて)
※会津若松もかなりの雨にたたられた。この
夏で言えば高温の記録も。新潟県の各地と
同様、全国版のニュースにも現れた。
9/10sun
参道に婆の店あり風の秋
(さんどうにばばのみせありかぜのあき)
※外房鴨川市の海岸国道から少し山に入った
ところに清澄寺がある。日蓮が修行した古
刹で、古くからの道場寺だった。日蓮が大
成した後は聖地扱いの古寺となった。
何十年も前独身時代、ドライブで近くまで
行くと必ずここに寄った。参道にあったお
ばさんの土産物店で世間話をするためだ。
今もあるかな?と錯覚した。
9/8fri
北向きの銀行そそと颱風過
(きたむきのぎんこうそそとたいふうか)
※市内に或る銀行の古手の支店がある。小さ
な構えだが壁柱の石造りは古風で立派なも
のだ。軽さと歯抜けが目立つ通りでは静か
に評判を呼んできたが、もう取り壊される
かも?
9/7thu
草刈りて刈りて終わりし良夜かな
(くさかりてかりておわりしりょうやかな)
この涼をひたすら待てり良夜かな
(このりょうをひたすらまてりりょうやかな)
9/6wed
すんなりと起き上がってぞ今朝の秋
(すんなりとおきあがってぞけさのあき)
※今朝早くから小雨が降って気温が下がった。
起床時の「起動」も実に滑らかにいった。
横になっていて、起き上がりざまの足腰の
動きが多少重くなって久しい。最近はゆっ
くり丁寧にやるようにしている。
9/5tue
集会所秋のバリウム列をなし
(しゅうかいじょあきのばりうむれつをなし)
※胃ガンの検査、今年は市の中心近くの施設
に赴いてではなく、各地区を廻る検診バス
の世話になった。近いのはいいが、小さな
列には見知った顔も。いいような悪いよう
な・・・。素朴に健康。
9/4mon
ロレンスの沙漠の疾駆秋の色
(ろれんすのさばくのしっくあきのいろ)
※何回目か、この映画をまた見た。今回は家
のテレビで。今回が一番いい心持と素直に
見ようという意思を持って。
だから今回が一番いい感想だ。いや、やっ
ぱり初めての時かな? いい勝負。感想の
中身がちょっと違うかな。
9/2sat
子のマスク陽性となる夏の暮れ
(このますくようせいとなるなつのくれ)
※コロナ感染者が相当増えているという。周辺
でも陽性者が出て母親がびっくり、というの
があった。これはきっと良いことなのだろう
が、病院も患者側もさばさばとしていたと聞
いた。
9/1fri
震災忌この地の震度六を知る
(しんさいきこのちのしんどろくをしる)
※さしもの猛暑も地軸の傾きには抗しきれない。
気温は下がらないが、朝夕の日影の広がりが
日一日と変化している。
首都直下大震災、対岸の火事にはならない。
房総半島の共振範囲は微妙だが、この地の被
災は免れないようだ。
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8/31thu
緑陰の影濃しすでに客があり
(りょくいんのかげこしすでにきゃくがあり)
八月尽危険な暑さをかみしめる
(はちがつじんきけんなあつさをかみしめる)
※これだけの暑さは異常という、歴史的とも
いう、これからは何度も、とも。かみしめ
ておくにしくはない。
8/29tue
旱天や実のなる木だけ水をやる
(かんてんやみのなるきだけみずをやる)
※庭の果樹に関する限り、この暑い夏、日照
りに恨みはない。もも、プラム、ぶどうと
この間に収穫した果樹は皆例年よりかなり
成績が良い。
残るは柿と温州みかん、大切なこの時期実
のつきは悪くない。素人の遊びの域を出な
いが、悪くない気分。
8/28tue
次々とポッケから栗あげるとぞ
(つぎつぎとぽっけからくりあげるとぞ)
栗飯のすでに香りが電話口
(くりめしのすでにかおりがでんわぐち)
8/27sun
上弦の月に邯鄲酔いしれて
(じょうげんのつきにかんたんよいしれて)
※月末から来月にかけての気温の予報も平年
より高いとある。意外と朝晩のしのぎやす
さがやってきて、裏をかいてくるかも。
8/26sat
絵を見せてやがて名を訊く酷暑なり
(えをみせてやがてなをきくこくしょなり)
※75歳を超えると3年に一回認知症機能検査
を受けさせられる。今日は何曜日?とかの
試験と16枚の絵の名前を憶えているかどう
か? 必要性は理解できるが、その代わり
何千円でいいから金を払え! この無礼者!
(逆に8000円ほど払わせられる)
8/25fri
一文字も書かず読まずに青芭蕉
(ひともじもかかずよまずにあおばしょう)
※暑さの余り、3ヵ月前に訪れた漱石記念館
を思い出した。こんな日も意外と風が通る
涼しい家だったのかも知れない。とはいえ
酷暑の日だったら、なんにもしないで終日
ベランダから青芭蕉を眺めていたかも。
8/24thu
免許再た手続きしたる晩夏かな
(めんきょまたてつづきしたるばんかかな)
※免許の更新は認知症試験を伴う。試験の内
容、合否のラインには全く問題ないが、愉
快なことではない。
それに季節、晩夏であって欲しい。
8/23wed
洗い鯉好みし亡父の歳越えて
(あらいごいこのみしちちのとしこえて)
※鯉の洗いは今の身の回りでは殆ど目にしな
い。暑い中では、酢味噌でいただく懐かし
い味だ。調べたら千葉県内でいくつか食す
る場所があった。印旛沼周辺、養老渓谷と
か。少し北の山間の味ではないみたい。
8/21mon
SLの汽笛サービス蝉時雨
(えすえるのきてきさーびすせみしぐれ)
※甲子園の準決2試合を見る。
ついでにYouTubeで磐越西線を走る観光列
車の「雄姿」を久しぶりに見た。未だに元
気だ。(当たり前、アップされたのは10
年ほど前だ)
8/20sun
盆明けて深夜に重きカバン押す
(ぼんあけてしんやにおもきかばんおす)
※海外からの帰国者がピークと聞いたが、リ
ムジンバスの通りでもあるまいし、まして
深夜だ。すごい音だ。
ハハーン、旅行をしたカップルが喧嘩をし
て家近くの道路で放り投げられた、ナ?
きっとそうに違いない。
8/19sat
夏の果て雲の形を調べ居ぬ
(なつのはてくものかたちをしらべいぬ)
※ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ秋の雲
らしいのが現れた。が、秋の雲ではない。
似て非なるものだ。関東南部の当地では空
に雲が広がると、それで多少涼しく感じる。
秋を感じる。これは末期的感覚!
8/18fri
朝涼し小鳥に吾にパンの耳
(あさすずしことりにわれにぱんのみみ)
盆明けの会議紛糾夕まぐれ
(ぼんあけのかいぎふんきゅうゆうまぐれ)
※会議の構成は半数以上がシニアなのに、意見
が二つに割れて、それを訳ありと勘繰った一
部が同意見の者を糾合して変に硬化してしま
った。結果的な分断の状態ではある。
まあ今日は甲子園が休みだからいいようなも
のの・・・。
8/16wed
温湯なり夏のしまい湯動かざる
(ぬるゆなりなつのしまいゆうごかざる)
※台風7号は報道のわりにすんなり近畿を通過
してしまうのかと思いきや、方々に深刻な爪
痕を残しつつある。殊に鳥取の各河川はひど
い状況らしい、湯につかりながらラジオを聴
いている。
8/15tue
主人なす大提灯の盆支度
(あるじなすおおちょうちんのぼんじたく)
※故郷の盆の風物詩は商家の店先や元武家の
民家の門口に吊るした家紋を入れた大提灯
だ。全国共通の迎え火の光景は殆ど目にし
なかった。京都と西日本の城下町の中に同
じ盆の風習があるといわれる。
8/14mon
明けやすし咳き込む犬の名を呼べり
(あけやすしせきこむいぬのなをよべり)
水羊羹伯母のいつもの持たせかな
(みずようかんおばのいつものもたせかな)
8/13sun
糖尿値ラジオ体操だけでなく
(とうにょうちらじおたいそうだけでなく)
※定期の診察でかかりつけ医から長らく観察
を続けているHgA1cがやや危険側に向かい
つつあるとの託宣を受けた。これは衝撃だ
が想定の範囲内でもある。
さて朝起床時からおこなっている体操、運
動組み合わせの各種「割引」をやめようと
思う。
8/11fri
夏の朝おしゃべり止めよとはいえず
(なつのあさおしゃべりやめよはいえず)
気まぐれの昭和のタイマー風くれぬ
(きまぐれのしょうわのたいまーかぜくれぬ)
8/10thu
蝉しぐれ友のポリープ皆消えて
(せみしぐれとものぽりーぷみなきえて)
張りあふてあげてはもらい日々西瓜
(はりおうてあげてはもらいひびすいか)
※ガソリン代のかかった西瓜、ドヤ顔で届け
たら、帰りに西瓜を貰ってきた。これが甘
い。すごい。
8/9wed
白服を着て半日は汗かかず
(しろふくをきてはんにちはあせかかず)
※立派な服ではない、真白なTシャツに白い
散歩用ズボンだ。今日長崎原爆忌、台風の
影響が心配。
8/8tue
真空のパック新茶の香り立つ
(しんくうのぱっくしんちゃのかおりたつ)
※新茶は初夏の季語。真空パックは四季の季
語。有名な虚子の句
「方丈に今とどきたる新茶かな」
8/7mon
心太もひとつ所望して盛夏
(ところてんもひとつしょもうしてせいか)
※グテーレスが「地球は『沸騰期』に入った」
と。
窓放ち毎夜の仕度熱帯夜
(まどはなちまいよのしたくねったいや)
8/6sun
原爆忌同じ齢とつぶやけり
(げんばくきおなじよわいとつぶやけり)
イヤホンで広島の鐘を聴きいたり
(いやほんでひろしまのかねをききいたり)
広島のしじまを知りて原爆忌
(ひろしまのしじまをしりてげんばくき)
静寂とは蝉の声なり原爆忌
(しじまとはせみのこえなりげんばくき)
8/5sat
よれよれのTシャツ着たき大暑かな
(よれよれのてぃしゃつきたきたいしょかな)
盛夏かな残せし長き映画見し
(せいかかなのこせしながきえいがみし)
※酷暑と言われる夏も悪いことばかりではな
い。見たい映画の在庫が大いに捌けた。し
かも大して罪悪感なしに。
8/4fri
夏だ夏朝昨日よりもっと夏
(なつだなつあさきのうよりもっとなつ)
※嫌われ者の猛暑だが、朝の澄んだギラギラ
は夏のエネルギーそのもの。日々の散歩コ
ースだが、今日も記憶に残る光景だ。
炎昼や妻マージャンにデイのごと
(えんちゅうやつままーじゃんにでいのごと)
向日葵は見下ろしており件の絵
(ひまわりはみおろしておりくだんのえ)
8/3thu
初ぶどう飴色となりぶら下がり
(はつぶどうあめいろとなりぶらさがり)
戦やまず今年のトマト外れなし
(いくさやまずことしのとまとはずれなし)
向日葵や沖縄は風六十五
(ひまわりやおきなわはかぜろくじゅうご)
8/2wed
雷の来て一日の涼くれり
(かみなりのきていちにちのりょうくれり)
プラム落ちて無事に道路を横切りぬ
(ぷらむおちてぶじにどうろをよこぎりぬ)
※プラムの出来も今年は今までで最良。ぎり
ぎり完熟まで待ってお裾分け。
8/1tue
過去になき気温上総の日照りかな
(かこになききおんかずさのひでりかな)
喜雨はまずにおいとけむり畑道
(きうはまずにおいとけむりはたけみち)
※8月に入ってやっと雨が降った。量は今の
ところ僅か、大気の不安定さからくる雷雨
だけだ。長い日照りの後の降り始めの独特
の気配。
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7/31mon
胃を切りし人声高く油照り
(いをきりしひとこえたかくあぶらでり)
※友人知人の中に胃ガンで手術をした人が数
人いる。進行度にもよるのだろうが、最近
の何人かの方が予後が元気だ。表向きだが、
こちらが面食らうほどの声で充実の暮らし
ぶりを伝えてくれる人も。
7/29sat
苗売りのリヤカーが行く夢一夜
(なえうりのりやかーがいくゆめいちや)
※こう寝苦しい夜が続くと寝なくてはという
強迫観念は薄くなる。どうにでもなれと。
家々を廻る物売りのリヤカーなど、おぼろ
になって数十年もスキップすれば・・・。
7/28fri
子を褒める気持ちや桃の実がとれて
(こをほめるきもちやもものみがとれて)
※今季は枝の剪定と実欠きを今まで以上にや
ったことが功を奏し、見事な形の桃が数多
く採れた。お礼肥えをしっかりとやる。
7/27thu
悔やむことルーチンとなり夜光虫
(くやむことるーちんとなりやこうちゅう)
※今更悔やんでも何にもならない、もうとっ
くにわかっていることだけれど。
ははん・・・またやっている。制御不能。
7/26wed
皇后のアガパンサスよ巨き愛
(こうごうのあがぱんさすよおおきあい)
※7/24の誕生花はアガパンサスだった。花言
葉は純粋な愛。当家のアガパンサスもすぐ
隣家のそれも、背が高い。他所で見るより
背が高い。何故か雅子皇后を思った。
最近の笑顔は良い。花言葉もぴったり。
7/25tue
AIに画像使えと大暑かな
(えーあいにがぞうつかえとたいしょかな)
※生成AIの開発をめぐっての議論が世界的規
模でまっことかまびすしい。大きな懸念、
論点の一つが著作権侵害にかかわる問題だ。
LLCがどこからどの範囲でどう形をのこして
情報を得るか? フフッ、高みの見物。
7/24mon
風鈴やつたなき句を短冊に
(ふうりんやつたなきくをたんざくに)
オハグロの雨なき庭にとどまりて
(おはぐろのあめなきにわにとどまりて)
7/23sun
文庫本持つ手細りて梅雨末期
(ぶんこぼんもつてほそりてつゆまっき)
※朝晩はやや凌ぎやすい。特に朝早くは長袖
の寝巻に替えてゆっくり読書が出来る。そ
ういえば定期の検診でかかりつけ医から筋
肉維持の大切さを説かれ、太腿の中頃を自
分の両手で測ってみるように言われた。
体重の減少は良くても、それが筋肉の減少
によるものだったら問題ということらしい。
7/22sat
巴里祭終電車なる映画見し
(ぱりーさいしゅうでんしゃなるえいがみし)
※フランス映画はいいなあ。監督フランソワ
・トリュフォーの描くカトリーヌ・ドヌー
ブの円熟味だ。食傷気味のハリウッド映画
の陰で・・・。
梅雨寒や明日は切らむ足の爪
(つゆざむやあしたはきらんあしのつめ)
7/21fri
久闊や今日の炎暑を見舞い合う
(きゅうかつやきょうのえんしょをみまいあう)
古い顔梅雨の晴れ間のともしらが
(ふるいかおつゆのしらがのともしらが)
※「古い顔」という歌を、宴の最後に肩を組
み輪になって歌う。前回から4年近く経っ
ているから一同の老けはすごい。
78~81歳だし当然のことだ。ホッとし
ている。
7/20thu
夏帽子代々木駅から道険し
(なつぼうしよよぎえきからみちけわし)
日盛りやゆるり集まる同期会
(ひざかりやゆるりあつまるどうきかい)
※先日の東京猛暑日の昼日中、以前の勤務先
の同期会に出席した。年齢を考慮しての正
午開催なのだが、この日は裏目に。
7/19wed
門仲の居酒屋前に夏帽子
(もんなかのいざかやまえになつぼうし)
※あの、有名な居酒屋は健在だろうか?午後
5時少し前に店を開くのだが、その1時間
前から行列が出来る。幸いアーケードの屋
根で西日が当たることはない。しかし苦労
して入店しても、カウンターの上に片方の
肩を入れて立って飲むのだ。
バカ安、バカ旨。
7/18tue
早起きの姐やにやさし白粉花
(はやおきのねえやにやさしおしろいばな)
茄子の花日照りの下で父描けり
(なすのはなひでりのしたでちちかけり)
7/16sun
噴火忌や観光バスの馬力増え
(ふんかきやかんこうばすのばりきふえ)
※故郷の歳時記で磐梯山噴火忌を季語にした
句を読んだ。明治21年7月15日、午前8時少
し前とある。記憶にある最初の裏磐梯は急
坂で息せき切ったバスに乗って到着した。
毘沙門沼のエメラルド、他の五色沼の神秘、
桧原湖の光り、5歳の子供にはこの世のも
のとは思えなかった。噴火のお蔭とは!
7/13thu
年代の入りしウチワ古団扇
(ねんだいのはいりしうちわふるうちわ)
※団扇を配ることがなくなってきているから
古い団扇を大切にしている。比較的新しい
もので年代が特定できるものがあり、昭和
と分かってびっくり。35年以上も前。
7/12wed
家にいて四万六千日の夢
(いえにいてしまんろくせんにちのゆめ)
※観音様の結縁日に参詣すると四万六千日分
の功徳があるというコスパ抜群のお話。こ
のことは知っていたのだが、これが鬼灯市
の日取りと同じとは気づかなかった。田舎
者だねえ。
7/10mon
息ひそめ西瓜の受粉日の始め
(いきひそめすいかのじゅふんひのはじめ)
※不順な気候に人間世界はやり込められ続き
だが、当地の作物は結構順調だという話を
聞く。当家の畑作物、果樹もしかり、今の
ところうまくいっている。
7/8sat
朝曇り入院せりと仔細なく
(あさぐもりにゅういんせりとしさいなく)
※近くに住む親族が転倒して骨折3ヵ所。最
悪上手く回復しなければ車椅子ということ
も。しばらくは落ち着かない日々となりそ
う。
7/6thu
夏帽子やっと小さくなりし顔
(なつぼうしやっとちいさくなりしかお)
※雷雨と俄雨が続いたが、蒸し暑い晴れ間に
戻った。頃は7月、梅雨明けは待たずに夏
の道具を少しだけ。一番大きな麦わら帽子
で、帽子の似合わぬ、でかい顔が・・・。
7/5wed
七月や九州の雨上がらざる
(しちがつやきゅうしゅうのあめあがらざる)
上海の夏エアコンの止まらずと
(しゃんはいのなつえあこんのとまらずと)
ウクライナ西日戦慄じりじりと
(うくらいなにしびせんりつじりじりと)
7/4tue
真夜中の雷怖さ伝え得ず
(まよなかのかみなりこわさつたええず)
※関東の急な強雨と雷の発生はずうっと北関
東から埼玉付近までに限られていた。しか
し遂に今朝ニ時までの一時間に最大級の雷
に襲われた。雷鳴その音と数、激しさ、落
雷点の近さと数、継続時間・・・そのどれ
をとっても「怖さ」では史上No1だ。
さすが雷銀座生まれの雷、半端でない。
雷鳴や有り金参ると息殺し
(らいめいやありがねまいるといきころし)
暗闇に白爪草の稲光
(くらやみにしろつめぐさのいなびかり)
7/3mon
七月の句帳綴りて青インク
(しちがつのくちょうつづりてあおいんく)
バスで行くお田植祭や弾んだ日
(ばすでいくおたうえさいやはずんだひ)
※稲作の一毛作化に遠因があるらしいが、他
に農業機械化、苗栽培の分業化、農薬によ
る栽培短縮、早期刈入れでの台風時期の回
避、ざっとこんな理由で田植えはぐうーん
と早くなった。故郷でのお田植祭はすべて
7月に入ってからだ。
7/2sun
球拾ふ弟の蹴り半夏生
(たまひろうおとうとのけりはんげしょう)
腕を噛み上目遣いの犬の梅雨
(うでをかみうわめづかいのいぬのつゆ)
7/1sat
暑しとて人犬床に熱帯夜
(あつしとてひといぬゆかにねったいや)
短夜や薬効うすき犬の咳
(みじかよややっこううすきいぬのせき)
※とはいえ、一応医師の所見と処方は貰ってい
るがあてにはならないので、様々な咳止め対
策を試している。ハチミツを舐めさせ、蓮根
汁が効くといって濾して飲ませたり、最近は
もっと安直に大根の汁がいいとか・・・。
結構効いている、かと思うと思い切り咳き込
んで、短夜はたちまち過ぎていく。
************************************************
2023年9月分コピー済 未選定
9/28thu
待宵や縦が良く合うお城かな
(まつよいやたてがよくあうおしろかな)
※涼しくなったのも束の間、じりっじりっと
気温が上がり今日はそのピーク。実は東京
での会合を直前で延期した。賢かった。
9/24sun
喜捨の鐘二度目が寺の秋にしむ
(きしゃのかねにどめがてらのあきにしむ)
僧招く胎蔵界に寺の秋
(そうまねくたいぞうかいにてらのあき)
※こうも変わるものか? 昨日今日の最高気
温は少し前までの最低気温にも及ばない。
9/22fri
風水のおとなしき地に秋めぐり
(ふうすいのおとなしきちにあきめぐり)
曼殊沙華時期を違えず異夏消ゆ
(まんじゅしゃげじきをたがえずいなつきゆ)
※どうやら異常な夏の終わりが近づいている。
この地も暑さはひどく、色んな影響を被っ
たが、風水害の被害は今のところ皆無に近
い。28年になるこの地、有難いと思う。
9/18mon
モーツァルト秋はロンドか今日涼し
(もーつぁるとあきはろんどかきょうすずし)
※各地の最高気温は相変わらず夕方のニュー
ス種になっている。しかし今夕の涼しさは
どうだ。湿度が低かったのだろうけれど、
格段に秋を感じる気配だ。ただありがたや
という気分。今日敬老の日。
9/17sun
本を繰る腕の涼しさ秋の朝
(ほんをくるうでのすずしさあきのあさ)
※異常な高温の継続に、朝寝床での読書が快
適になることを願っていた。一日やや涼し
い日があり、しかしすぐ戻る。
9/15fri
石段に水つつしみて風の盆
(いしだんにみずつつしみてかぜのぼん)
風の盆地方の声の手練れかな
(かぜのぼんじかたのこえのてだれかな)
風の盆今年地方に聞きほれて
(かぜのぼんことしじかたにききほれて)
※風の盆の季節、今年もテレビで見物した。
4Kの充実した番組を満喫できた。とはいえ、
どこの会場だったか? 上の街と下の街を
繋ぐ長い石段があって、そこが格好の見物
場所となり、下の広場がおわらの会場にな
っていた。羨ましいと思った。
男踊り、女踊り、いつも結構。比較的新し
いという男女混合の振りも良かった。あそ
こで見たいものだと思った。トイレが難し
いかな、とも思った。
9/11mon
盆地秋記録的なる雨吸いて
(ぼんちあききろくてきなるあめすいて)
※会津若松もかなりの雨にたたられた。この
夏で言えば高温の記録も。新潟県の各地と
同様、全国版のニュースにも現れた。
9/10sun
参道に婆の店あり風の秋
(さんどうにばばのみせありかぜのあき)
※外房鴨川市の海岸国道から少し山に入った
ところに清澄寺がある。日蓮が修行した古
刹で、古くからの道場寺だった。日蓮が大
成した後は聖地扱いの古寺となった。
何十年も前独身時代、ドライブで近くまで
行くと必ずここに寄った。参道にあったお
ばさんの土産物店で世間話をするためだ。
今もあるかな?と錯覚した。
9/8fri
北向きの銀行そそと颱風過
(きたむきのぎんこうそそとたいふうか)
※市内に或る銀行の古手の支店がある。小さ
な構えだが壁柱の石造りは古風で立派なも
のだ。軽さと歯抜けが目立つ通りでは静か
に評判を呼んできたが、もう取り壊される
かも?
9/7thu
草刈りて刈りて終わりし良夜かな
(くさかりてかりておわりしりょうやかな)
この涼をひたすら待てり良夜かな
(このりょうをひたすらまてりりょうやかな)
9/6wed
すんなりと起き上がってぞ今朝の秋
(すんなりとおきあがってぞけさのあき)
※今朝早くから小雨が降って気温が下がった。
起床時の「起動」も実に滑らかにいった。
横になっていて、起き上がりざまの足腰の
動きが多少重くなって久しい。最近はゆっ
くり丁寧にやるようにしている。
9/5tue
集会所秋のバリウム列をなし
(しゅうかいじょあきのばりうむれつをなし)
※胃ガンの検査、今年は市の中心近くの施設
に赴いてではなく、各地区を廻る検診バス
の世話になった。近いのはいいが、小さな
列には見知った顔も。いいような悪いよう
な・・・。素朴に健康。
9/4mon
ロレンスの沙漠の疾駆秋の色
(ろれんすのさばくのしっくあきのいろ)
※何回目か、この映画をまた見た。今回は家
のテレビで。今回が一番いい心持と素直に
見ようという意思を持って。
だから今回が一番いい感想だ。いや、やっ
ぱり初めての時かな? いい勝負。感想の
中身がちょっと違うかな。
9/2sat
子のマスク陽性となる夏の暮れ
(このますくようせいとなるなつのくれ)
※コロナ感染者が相当増えているという。周辺
でも陽性者が出て母親がびっくり、というの
があった。これはきっと良いことなのだろう
が、病院も患者側もさばさばとしていたと聞
いた。
9/1fri
震災忌この地の震度六を知る
(しんさいきこのちのしんどろくをしる)
※さしもの猛暑も地軸の傾きには抗しきれない。
気温は下がらないが、朝夕の日影の広がりが
日一日と変化している。
首都直下大震災、対岸の火事にはならない。
房総半島の共振範囲は微妙だが、この地の被
災は免れないようだ。
************************************************
8/31thu
緑陰の影濃しすでに客があり
(りょくいんのかげこしすでにきゃくがあり)
八月尽危険な暑さをかみしめる
(はちがつじんきけんなあつさをかみしめる)
※これだけの暑さは異常という、歴史的とも
いう、これからは何度も、とも。かみしめ
ておくにしくはない。
8/29tue
旱天や実のなる木だけ水をやる
(かんてんやみのなるきだけみずをやる)
※庭の果樹に関する限り、この暑い夏、日照
りに恨みはない。もも、プラム、ぶどうと
この間に収穫した果樹は皆例年よりかなり
成績が良い。
残るは柿と温州みかん、大切なこの時期実
のつきは悪くない。素人の遊びの域を出な
いが、悪くない気分。
8/28tue
次々とポッケから栗あげるとぞ
(つぎつぎとぽっけからくりあげるとぞ)
栗飯のすでに香りが電話口
(くりめしのすでにかおりがでんわぐち)
8/27sun
上弦の月に邯鄲酔いしれて
(じょうげんのつきにかんたんよいしれて)
※月末から来月にかけての気温の予報も平年
より高いとある。意外と朝晩のしのぎやす
さがやってきて、裏をかいてくるかも。
8/26sat
絵を見せてやがて名を訊く酷暑なり
(えをみせてやがてなをきくこくしょなり)
※75歳を超えると3年に一回認知症機能検査
を受けさせられる。今日は何曜日?とかの
試験と16枚の絵の名前を憶えているかどう
か? 必要性は理解できるが、その代わり
何千円でいいから金を払え! この無礼者!
(逆に8000円ほど払わせられる)
8/25fri
一文字も書かず読まずに青芭蕉
(ひともじもかかずよまずにあおばしょう)
※暑さの余り、3ヵ月前に訪れた漱石記念館
を思い出した。こんな日も意外と風が通る
涼しい家だったのかも知れない。とはいえ
酷暑の日だったら、なんにもしないで終日
ベランダから青芭蕉を眺めていたかも。
8/24thu
免許再た手続きしたる晩夏かな
(めんきょまたてつづきしたるばんかかな)
※免許の更新は認知症試験を伴う。試験の内
容、合否のラインには全く問題ないが、愉
快なことではない。
それに季節、晩夏であって欲しい。
8/23wed
洗い鯉好みし亡父の歳越えて
(あらいごいこのみしちちのとしこえて)
※鯉の洗いは今の身の回りでは殆ど目にしな
い。暑い中では、酢味噌でいただく懐かし
い味だ。調べたら千葉県内でいくつか食す
る場所があった。印旛沼周辺、養老渓谷と
か。少し北の山間の味ではないみたい。
8/21mon
SLの汽笛サービス蝉時雨
(えすえるのきてきさーびすせみしぐれ)
※甲子園の準決2試合を見る。
ついでにYouTubeで磐越西線を走る観光列
車の「雄姿」を久しぶりに見た。未だに元
気だ。(当たり前、アップされたのは10
年ほど前だ)
8/20sun
盆明けて深夜に重きカバン押す
(ぼんあけてしんやにおもきかばんおす)
※海外からの帰国者がピークと聞いたが、リ
ムジンバスの通りでもあるまいし、まして
深夜だ。すごい音だ。
ハハーン、旅行をしたカップルが喧嘩をし
て家近くの道路で放り投げられた、ナ?
きっとそうに違いない。
8/19sat
夏の果て雲の形を調べ居ぬ
(なつのはてくものかたちをしらべいぬ)
※ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ秋の雲
らしいのが現れた。が、秋の雲ではない。
似て非なるものだ。関東南部の当地では空
に雲が広がると、それで多少涼しく感じる。
秋を感じる。これは末期的感覚!
8/18fri
朝涼し小鳥に吾にパンの耳
(あさすずしことりにわれにぱんのみみ)
盆明けの会議紛糾夕まぐれ
(ぼんあけのかいぎふんきゅうゆうまぐれ)
※会議の構成は半数以上がシニアなのに、意見
が二つに割れて、それを訳ありと勘繰った一
部が同意見の者を糾合して変に硬化してしま
った。結果的な分断の状態ではある。
まあ今日は甲子園が休みだからいいようなも
のの・・・。
8/16wed
温湯なり夏のしまい湯動かざる
(ぬるゆなりなつのしまいゆうごかざる)
※台風7号は報道のわりにすんなり近畿を通過
してしまうのかと思いきや、方々に深刻な爪
痕を残しつつある。殊に鳥取の各河川はひど
い状況らしい、湯につかりながらラジオを聴
いている。
8/15tue
主人なす大提灯の盆支度
(あるじなすおおちょうちんのぼんじたく)
※故郷の盆の風物詩は商家の店先や元武家の
民家の門口に吊るした家紋を入れた大提灯
だ。全国共通の迎え火の光景は殆ど目にし
なかった。京都と西日本の城下町の中に同
じ盆の風習があるといわれる。
8/14mon
明けやすし咳き込む犬の名を呼べり
(あけやすしせきこむいぬのなをよべり)
水羊羹伯母のいつもの持たせかな
(みずようかんおばのいつものもたせかな)
8/13sun
糖尿値ラジオ体操だけでなく
(とうにょうちらじおたいそうだけでなく)
※定期の診察でかかりつけ医から長らく観察
を続けているHgA1cがやや危険側に向かい
つつあるとの託宣を受けた。これは衝撃だ
が想定の範囲内でもある。
さて朝起床時からおこなっている体操、運
動組み合わせの各種「割引」をやめようと
思う。
8/11fri
夏の朝おしゃべり止めよとはいえず
(なつのあさおしゃべりやめよはいえず)
気まぐれの昭和のタイマー風くれぬ
(きまぐれのしょうわのたいまーかぜくれぬ)
8/10thu
蝉しぐれ友のポリープ皆消えて
(せみしぐれとものぽりーぷみなきえて)
張りあふてあげてはもらい日々西瓜
(はりおうてあげてはもらいひびすいか)
※ガソリン代のかかった西瓜、ドヤ顔で届け
たら、帰りに西瓜を貰ってきた。これが甘
い。すごい。
8/9wed
白服を着て半日は汗かかず
(しろふくをきてはんにちはあせかかず)
※立派な服ではない、真白なTシャツに白い
散歩用ズボンだ。今日長崎原爆忌、台風の
影響が心配。
8/8tue
真空のパック新茶の香り立つ
(しんくうのぱっくしんちゃのかおりたつ)
※新茶は初夏の季語。真空パックは四季の季
語。有名な虚子の句
「方丈に今とどきたる新茶かな」
8/7mon
心太もひとつ所望して盛夏
(ところてんもひとつしょもうしてせいか)
※グテーレスが「地球は『沸騰期』に入った」
と。
窓放ち毎夜の仕度熱帯夜
(まどはなちまいよのしたくねったいや)
8/6sun
原爆忌同じ齢とつぶやけり
(げんばくきおなじよわいとつぶやけり)
イヤホンで広島の鐘を聴きいたり
(いやほんでひろしまのかねをききいたり)
広島のしじまを知りて原爆忌
(ひろしまのしじまをしりてげんばくき)
静寂とは蝉の声なり原爆忌
(しじまとはせみのこえなりげんばくき)
8/5sat
よれよれのTシャツ着たき大暑かな
(よれよれのてぃしゃつきたきたいしょかな)
盛夏かな残せし長き映画見し
(せいかかなのこせしながきえいがみし)
※酷暑と言われる夏も悪いことばかりではな
い。見たい映画の在庫が大いに捌けた。し
かも大して罪悪感なしに。
8/4fri
夏だ夏朝昨日よりもっと夏
(なつだなつあさきのうよりもっとなつ)
※嫌われ者の猛暑だが、朝の澄んだギラギラ
は夏のエネルギーそのもの。日々の散歩コ
ースだが、今日も記憶に残る光景だ。
炎昼や妻マージャンにデイのごと
(えんちゅうやつままーじゃんにでいのごと)
向日葵は見下ろしており件の絵
(ひまわりはみおろしておりくだんのえ)
8/3thu
初ぶどう飴色となりぶら下がり
(はつぶどうあめいろとなりぶらさがり)
戦やまず今年のトマト外れなし
(いくさやまずことしのとまとはずれなし)
向日葵や沖縄は風六十五
(ひまわりやおきなわはかぜろくじゅうご)
8/2wed
雷の来て一日の涼くれり
(かみなりのきていちにちのりょうくれり)
プラム落ちて無事に道路を横切りぬ
(ぷらむおちてぶじにどうろをよこぎりぬ)
※プラムの出来も今年は今までで最良。ぎり
ぎり完熟まで待ってお裾分け。
8/1tue
過去になき気温上総の日照りかな
(かこになききおんかずさのひでりかな)
喜雨はまずにおいとけむり畑道
(きうはまずにおいとけむりはたけみち)
※8月に入ってやっと雨が降った。量は今の
ところ僅か、大気の不安定さからくる雷雨
だけだ。長い日照りの後の降り始めの独特
の気配。
************************************************
7/31mon
胃を切りし人声高く油照り
(いをきりしひとこえたかくあぶらでり)
※友人知人の中に胃ガンで手術をした人が数
人いる。進行度にもよるのだろうが、最近
の何人かの方が予後が元気だ。表向きだが、
こちらが面食らうほどの声で充実の暮らし
ぶりを伝えてくれる人も。
7/29sat
苗売りのリヤカーが行く夢一夜
(なえうりのりやかーがいくゆめいちや)
※こう寝苦しい夜が続くと寝なくてはという
強迫観念は薄くなる。どうにでもなれと。
家々を廻る物売りのリヤカーなど、おぼろ
になって数十年もスキップすれば・・・。
7/28fri
子を褒める気持ちや桃の実がとれて
(こをほめるきもちやもものみがとれて)
※今季は枝の剪定と実欠きを今まで以上にや
ったことが功を奏し、見事な形の桃が数多
く採れた。お礼肥えをしっかりとやる。
7/27thu
悔やむことルーチンとなり夜光虫
(くやむことるーちんとなりやこうちゅう)
※今更悔やんでも何にもならない、もうとっ
くにわかっていることだけれど。
ははん・・・またやっている。制御不能。
7/26wed
皇后のアガパンサスよ巨き愛
(こうごうのあがぱんさすよおおきあい)
※7/24の誕生花はアガパンサスだった。花言
葉は純粋な愛。当家のアガパンサスもすぐ
隣家のそれも、背が高い。他所で見るより
背が高い。何故か雅子皇后を思った。
最近の笑顔は良い。花言葉もぴったり。
7/25tue
AIに画像使えと大暑かな
(えーあいにがぞうつかえとたいしょかな)
※生成AIの開発をめぐっての議論が世界的規
模でまっことかまびすしい。大きな懸念、
論点の一つが著作権侵害にかかわる問題だ。
LLCがどこからどの範囲でどう形をのこして
情報を得るか? フフッ、高みの見物。
7/24mon
風鈴やつたなき句を短冊に
(ふうりんやつたなきくをたんざくに)
オハグロの雨なき庭にとどまりて
(おはぐろのあめなきにわにとどまりて)
7/23sun
文庫本持つ手細りて梅雨末期
(ぶんこぼんもつてほそりてつゆまっき)
※朝晩はやや凌ぎやすい。特に朝早くは長袖
の寝巻に替えてゆっくり読書が出来る。そ
ういえば定期の検診でかかりつけ医から筋
肉維持の大切さを説かれ、太腿の中頃を自
分の両手で測ってみるように言われた。
体重の減少は良くても、それが筋肉の減少
によるものだったら問題ということらしい。
7/22sat
巴里祭終電車なる映画見し
(ぱりーさいしゅうでんしゃなるえいがみし)
※フランス映画はいいなあ。監督フランソワ
・トリュフォーの描くカトリーヌ・ドヌー
ブの円熟味だ。食傷気味のハリウッド映画
の陰で・・・。
梅雨寒や明日は切らむ足の爪
(つゆざむやあしたはきらんあしのつめ)
7/21fri
久闊や今日の炎暑を見舞い合う
(きゅうかつやきょうのえんしょをみまいあう)
古い顔梅雨の晴れ間のともしらが
(ふるいかおつゆのしらがのともしらが)
※「古い顔」という歌を、宴の最後に肩を組
み輪になって歌う。前回から4年近く経っ
ているから一同の老けはすごい。
78~81歳だし当然のことだ。ホッとし
ている。
7/20thu
夏帽子代々木駅から道険し
(なつぼうしよよぎえきからみちけわし)
日盛りやゆるり集まる同期会
(ひざかりやゆるりあつまるどうきかい)
※先日の東京猛暑日の昼日中、以前の勤務先
の同期会に出席した。年齢を考慮しての正
午開催なのだが、この日は裏目に。
7/19wed
門仲の居酒屋前に夏帽子
(もんなかのいざかやまえになつぼうし)
※あの、有名な居酒屋は健在だろうか?午後
5時少し前に店を開くのだが、その1時間
前から行列が出来る。幸いアーケードの屋
根で西日が当たることはない。しかし苦労
して入店しても、カウンターの上に片方の
肩を入れて立って飲むのだ。
バカ安、バカ旨。
7/18tue
早起きの姐やにやさし白粉花
(はやおきのねえやにやさしおしろいばな)
茄子の花日照りの下で父描けり
(なすのはなひでりのしたでちちかけり)
7/16sun
噴火忌や観光バスの馬力増え
(ふんかきやかんこうばすのばりきふえ)
※故郷の歳時記で磐梯山噴火忌を季語にした
句を読んだ。明治21年7月15日、午前8時少
し前とある。記憶にある最初の裏磐梯は急
坂で息せき切ったバスに乗って到着した。
毘沙門沼のエメラルド、他の五色沼の神秘、
桧原湖の光り、5歳の子供にはこの世のも
のとは思えなかった。噴火のお蔭とは!
7/13thu
年代の入りしウチワ古団扇
(ねんだいのはいりしうちわふるうちわ)
※団扇を配ることがなくなってきているから
古い団扇を大切にしている。比較的新しい
もので年代が特定できるものがあり、昭和
と分かってびっくり。35年以上も前。
7/12wed
家にいて四万六千日の夢
(いえにいてしまんろくせんにちのゆめ)
※観音様の結縁日に参詣すると四万六千日分
の功徳があるというコスパ抜群のお話。こ
のことは知っていたのだが、これが鬼灯市
の日取りと同じとは気づかなかった。田舎
者だねえ。
7/10mon
息ひそめ西瓜の受粉日の始め
(いきひそめすいかのじゅふんひのはじめ)
※不順な気候に人間世界はやり込められ続き
だが、当地の作物は結構順調だという話を
聞く。当家の畑作物、果樹もしかり、今の
ところうまくいっている。
7/8sat
朝曇り入院せりと仔細なく
(あさぐもりにゅういんせりとしさいなく)
※近くに住む親族が転倒して骨折3ヵ所。最
悪上手く回復しなければ車椅子ということ
も。しばらくは落ち着かない日々となりそ
う。
7/6thu
夏帽子やっと小さくなりし顔
(なつぼうしやっとちいさくなりしかお)
※雷雨と俄雨が続いたが、蒸し暑い晴れ間に
戻った。頃は7月、梅雨明けは待たずに夏
の道具を少しだけ。一番大きな麦わら帽子
で、帽子の似合わぬ、でかい顔が・・・。
7/5wed
七月や九州の雨上がらざる
(しちがつやきゅうしゅうのあめあがらざる)
上海の夏エアコンの止まらずと
(しゃんはいのなつえあこんのとまらずと)
ウクライナ西日戦慄じりじりと
(うくらいなにしびせんりつじりじりと)
7/4tue
真夜中の雷怖さ伝え得ず
(まよなかのかみなりこわさつたええず)
※関東の急な強雨と雷の発生はずうっと北関
東から埼玉付近までに限られていた。しか
し遂に今朝ニ時までの一時間に最大級の雷
に襲われた。雷鳴その音と数、激しさ、落
雷点の近さと数、継続時間・・・そのどれ
をとっても「怖さ」では史上No1だ。
さすが雷銀座生まれの雷、半端でない。
雷鳴や有り金参ると息殺し
(らいめいやありがねまいるといきころし)
暗闇に白爪草の稲光
(くらやみにしろつめぐさのいなびかり)
7/3mon
七月の句帳綴りて青インク
(しちがつのくちょうつづりてあおいんく)
バスで行くお田植祭や弾んだ日
(ばすでいくおたうえさいやはずんだひ)
※稲作の一毛作化に遠因があるらしいが、他
に農業機械化、苗栽培の分業化、農薬によ
る栽培短縮、早期刈入れでの台風時期の回
避、ざっとこんな理由で田植えはぐうーん
と早くなった。故郷でのお田植祭はすべて
7月に入ってからだ。
7/2sun
球拾ふ弟の蹴り半夏生
(たまひろうおとうとのけりはんげしょう)
腕を噛み上目遣いの犬の梅雨
(うでをかみうわめづかいのいぬのつゆ)
7/1sat
暑しとて人犬床に熱帯夜
(あつしとてひといぬゆかにねったいや)
短夜や薬効うすき犬の咳
(みじかよややっこううすきいぬのせき)
※とはいえ、一応医師の所見と処方は貰ってい
るがあてにはならないので、様々な咳止め対
策を試している。ハチミツを舐めさせ、蓮根
汁が効くといって濾して飲ませたり、最近は
もっと安直に大根の汁がいいとか・・・。
結構効いている、かと思うと思い切り咳き込
んで、短夜はたちまち過ぎていく。
ダクタク句集2023年(令和5年)4月 [ダクタク2023年4月]
4/30sun
荷風忌や言葉あふれて街ゆれて
(かふうきやことばあふれてまちゆれて)
※インバウンドの回復のニュースで浅草雷門周
辺の雑踏が伝えられる。あそこにはすぐ横に
交番があって、我慢強い優しい警察官が絶え
ず笑顔で外国人に応対している。日本の若者
の言葉らしき洪水もある。荷風卒倒。
4/29sat
春爛漫バラは匂いて吾無臭
(はるらんまんばらはにおいてわれむしゅう)
※その昔顔は脂ぎって口の中、パンツの中、靴
の中は蒸れて異臭があった。普段においてそ
うだった。ところが今や匂いはないと人に言
われる。優秀な女歯科医に出会ってからは少
しのプラークもチェックされる。この10年
超、自分の歯の数に異動はない。口臭もない。
生きている証拠も急速に減っているというこ
とか。
4/27thu
動画見てブドウの芽かきためらわず
(どうがみてぶどうのめかきためらわず)
※動画投稿サイトもユーチューブ以外に様々あ
るらしいが、DIY・修理・家事・野菜果実栽
培・ガーデニングなどなど課題に広く応えて
くれるのはユーチューブだろう。本件のテー
マも関係のサイトが見きれないほどある。
4/26wed
しなやかな八十路の筆よ豆の花
(しなやかなやそじのふでよまめのはな)
※どこが痛い、ここが痛い、もう歳だからダメ、
とかいいながら筆を持たせると、対象をきり
っと見つめ、力強く筆を滑らせる。絵画教室
の師はまだ当分大丈夫だ。
4/25tue
新人の帽子は二つかげろへる
(しんじんのぼうしはふたつかげろえる)
※中学校野球部でも新人は二人だけ? うち一
人はつい先月までの小学生を思わせるチビ。
今部活は曲がり角、顧問の教師の激務防止と
やらで学校外から人材を呼んで運営や指導を
委ねるという。さて・・・。そもそも学年二
人ではチームがそのうち成立しなくなる。
これは少子化対策か?
4/24mon
喜寿の春尾崎今なら同じ岸
(きじゅのはるおざきいまならおなじきし)
※尾崎豊の歌特集でたっぷりと聴いた。しみじ
みと繰り返し。
4/22sat
春の蚊や血を吸う知恵はなかりけり
(はるのかやちをすうちえはなかりけり)
4/21fri
葱坊主貯めし雑草抜きにけり
(ねぎぼうずためしざっそうぬきにけり)
学年の違う子らいる葱坊主
(がくねんのちがうこらいるねぎぼうず)
※コロナ禍の制限された暮らしは畑仕事を増や
したとか。周辺でもそれまでの庭を大胆に畑
にした家が何軒か見受けられる。やせた葱坊
主がクレイムを言いたがって・・・。
4/20thu
涅槃図や絵解きの僧の若返り
(ねはんずやえときのそうのわかがえり)
※ペンライトを使うところは変わりないが、声
が変わった、若い透き通るいい声だ。わかり
やすい。だが、こちとら内容を理解したいと
聴いているわけではない。嗄れ声のいつもの
声の方が落ち着くしありがたい。死んだわけ
じゃないだろう。
4/18tue
捻挫して常より見入るすみれ草
(ねんざしてつねよりみいるすみれそう)
※家内が犬を曳いていて踏み外し、捻挫した。
初め大層痛がったが、時間を置かず整形外科
で診てもらい患部を固定した。これが奏功し
軽くて済んだみたい。ほぼ全快。
4/17mon
大風のやみて間もなく浮かれ猫
(おおかぜのやみてまもなくうかれねこ)
※時々吹きまくる大風が長いこと続いた。建物
が揺れ撓るほどで睡眠には大敵。ようやく静
かになったと思ったら、・・・猫の恋の始ま
り? 早くないか? 温暖化?
4/16sun
外来の受付すれば青柳
(がいらいのうけつけすればあおやなぎ)
4/14fri
角とれてと言われ久しく蕨餅
(かどとれてといわれひさしくわらびもち)
4/13thu
屋根の鞠今も探して啄木忌
(やねのまりいまもさがしてたくぼくき)
※ふとしたことで昔のことを思い出し、その前
後のことまで妙に生々しく覚えていた、なん
てことがある。啄木の故郷を思っての一首、
「その昔小学校の柾屋根に
我が投げし鞠いかにかなりけむ」
4/12wed
どの家も表札のごとハナズオウ
(どのいえもひょうさつのごとはなずおう)
春愁や宅配人のほころべり
(しゅんしゅうやたくはいにんのほころべり)
4/11tue
描きし絵の穏やかなれど徂春かな
(かきしえのおだやかなれどそしゅんかな)
※絵画教室の会でOBの来訪があり、腕前の進
歩と積極的な出展、入賞のことなど、大いに
アオラレタ。なにこの歳になって、画家にな
りたいわけじゃなし・・・とお決まりの言い
訳はするものの、もう少し上手になってもと
素直に願う気持ちや切なるものがある。
4/10mon
田植え機のギヤなめらかに父となる
(たうえきのぎやなめらかにちちとなる)
※農業後継者の彼はまだ新米のうち。先日父親
になったらしい。田植えは早くて1週間後、
腕が鳴って仕方がないというところか?
4/9sun
山笑ふバイクは遅し郵便夫
(やまわらうばいくはおそしゆうびんふ)
春巻を揚げて届けに手の温み
(はるまきをあげてとどけにてのぬくみ)
※もらった筍の一部を春巻にし届ける。スマホ
で時刻を確認し揚げたてを。
4/8sat
春爛漫愛想尽かしの果樹あれど
(はるらんまんあいそづかしのかじゅあれど)
※一番遅いぶどうの木が芽吹き始めた。梅、桃、
プラム、柿に続いてである。狭い土地に果樹
を縦列に欲張って植えているせいか、昨年は
殆どの木の収穫が落ち込んだ。対虫害では努
力するもいずれも効なく終始した。ああ、と
嘆息すること、今に引きずっている。
4/7fri
旅ごころ蠢き長く放哉忌
(たびごころうごめきながくほうさいき)
※お金もないが、飼い犬がホテル・病院に預け
にくい事情があるため、旅行は控えることが
多い。コロナ禍で余計固まった感じ。
4/5wed
学校のサクラを望み湯屋はあり
(がっこうのさくらをのぞみゆやはあり)
※御多聞にもれず、サクラと言えば城に学校で
ある。小学校の桜並木を思い出していたら、
ふと何のつながりもなしに近くに建っていた
温泉会館なるものが頭に浮かんできた。これ
も小学校も少し離れて故郷の川沿いにあった。
温泉などではなく「沸かし」だったろう。
70年ほど前のこと、あのころは農閑期の人
々など家族連れが客だった。何年かで閉鎖し
た。二階建ての、それらしくないモルタル塗
りの白い建物だった。
4/4tue
龍一の音々さやか風光る
(りゅういちのおとおとさやかかぜひかる)
※坂本龍一死去
4/3mon
毎日が今良しと推す山笑ふ
(まいにちがいまよしとおすやまわらう)
※サクラの終盤になると背景の山々の若葉が輝
き始める。昨日は今が一番いい時季だと思っ
たが、今朝になると今日の方がもっと良くな
ったと。
4/2sun
花びらはいつにも増して連翹忌
(はなびらはいつにもましてれんぎょうき)
記念館は雪深くあり光太郎忌
(きねんかんはゆきぶかくありこうたろうき)
※真冬に訪れた、高村光太路郎記念館は当時の
厳しさそのままに花巻郊外にあった。藁ぶき
の小さな一軒家、村はずれで隣家はない。
大雪の中に見た、強烈な印象は今も鮮明であ
る。光太郎忌はサクラ咲く、うららかな季節
だが、思い出は常に雪に埋もれた、あの光景
だ。したがって句は季重なりとなる。なに、
構うものか。
4/1sat
桜散り桜餅食い四月馬鹿
(さくらちりさくらもちくいしがつばか)
※今日は文句ない晴れ日。なんと言われようと
午前中は桜吹雪を見に、午後は甲子園の決勝
観戦だ。雑草が庭で背伸びして笑っている。
荷風忌や言葉あふれて街ゆれて
(かふうきやことばあふれてまちゆれて)
※インバウンドの回復のニュースで浅草雷門周
辺の雑踏が伝えられる。あそこにはすぐ横に
交番があって、我慢強い優しい警察官が絶え
ず笑顔で外国人に応対している。日本の若者
の言葉らしき洪水もある。荷風卒倒。
4/29sat
春爛漫バラは匂いて吾無臭
(はるらんまんばらはにおいてわれむしゅう)
※その昔顔は脂ぎって口の中、パンツの中、靴
の中は蒸れて異臭があった。普段においてそ
うだった。ところが今や匂いはないと人に言
われる。優秀な女歯科医に出会ってからは少
しのプラークもチェックされる。この10年
超、自分の歯の数に異動はない。口臭もない。
生きている証拠も急速に減っているというこ
とか。
4/27thu
動画見てブドウの芽かきためらわず
(どうがみてぶどうのめかきためらわず)
※動画投稿サイトもユーチューブ以外に様々あ
るらしいが、DIY・修理・家事・野菜果実栽
培・ガーデニングなどなど課題に広く応えて
くれるのはユーチューブだろう。本件のテー
マも関係のサイトが見きれないほどある。
4/26wed
しなやかな八十路の筆よ豆の花
(しなやかなやそじのふでよまめのはな)
※どこが痛い、ここが痛い、もう歳だからダメ、
とかいいながら筆を持たせると、対象をきり
っと見つめ、力強く筆を滑らせる。絵画教室
の師はまだ当分大丈夫だ。
4/25tue
新人の帽子は二つかげろへる
(しんじんのぼうしはふたつかげろえる)
※中学校野球部でも新人は二人だけ? うち一
人はつい先月までの小学生を思わせるチビ。
今部活は曲がり角、顧問の教師の激務防止と
やらで学校外から人材を呼んで運営や指導を
委ねるという。さて・・・。そもそも学年二
人ではチームがそのうち成立しなくなる。
これは少子化対策か?
4/24mon
喜寿の春尾崎今なら同じ岸
(きじゅのはるおざきいまならおなじきし)
※尾崎豊の歌特集でたっぷりと聴いた。しみじ
みと繰り返し。
4/22sat
春の蚊や血を吸う知恵はなかりけり
(はるのかやちをすうちえはなかりけり)
4/21fri
葱坊主貯めし雑草抜きにけり
(ねぎぼうずためしざっそうぬきにけり)
学年の違う子らいる葱坊主
(がくねんのちがうこらいるねぎぼうず)
※コロナ禍の制限された暮らしは畑仕事を増や
したとか。周辺でもそれまでの庭を大胆に畑
にした家が何軒か見受けられる。やせた葱坊
主がクレイムを言いたがって・・・。
4/20thu
涅槃図や絵解きの僧の若返り
(ねはんずやえときのそうのわかがえり)
※ペンライトを使うところは変わりないが、声
が変わった、若い透き通るいい声だ。わかり
やすい。だが、こちとら内容を理解したいと
聴いているわけではない。嗄れ声のいつもの
声の方が落ち着くしありがたい。死んだわけ
じゃないだろう。
4/18tue
捻挫して常より見入るすみれ草
(ねんざしてつねよりみいるすみれそう)
※家内が犬を曳いていて踏み外し、捻挫した。
初め大層痛がったが、時間を置かず整形外科
で診てもらい患部を固定した。これが奏功し
軽くて済んだみたい。ほぼ全快。
4/17mon
大風のやみて間もなく浮かれ猫
(おおかぜのやみてまもなくうかれねこ)
※時々吹きまくる大風が長いこと続いた。建物
が揺れ撓るほどで睡眠には大敵。ようやく静
かになったと思ったら、・・・猫の恋の始ま
り? 早くないか? 温暖化?
4/16sun
外来の受付すれば青柳
(がいらいのうけつけすればあおやなぎ)
4/14fri
角とれてと言われ久しく蕨餅
(かどとれてといわれひさしくわらびもち)
4/13thu
屋根の鞠今も探して啄木忌
(やねのまりいまもさがしてたくぼくき)
※ふとしたことで昔のことを思い出し、その前
後のことまで妙に生々しく覚えていた、なん
てことがある。啄木の故郷を思っての一首、
「その昔小学校の柾屋根に
我が投げし鞠いかにかなりけむ」
4/12wed
どの家も表札のごとハナズオウ
(どのいえもひょうさつのごとはなずおう)
春愁や宅配人のほころべり
(しゅんしゅうやたくはいにんのほころべり)
4/11tue
描きし絵の穏やかなれど徂春かな
(かきしえのおだやかなれどそしゅんかな)
※絵画教室の会でOBの来訪があり、腕前の進
歩と積極的な出展、入賞のことなど、大いに
アオラレタ。なにこの歳になって、画家にな
りたいわけじゃなし・・・とお決まりの言い
訳はするものの、もう少し上手になってもと
素直に願う気持ちや切なるものがある。
4/10mon
田植え機のギヤなめらかに父となる
(たうえきのぎやなめらかにちちとなる)
※農業後継者の彼はまだ新米のうち。先日父親
になったらしい。田植えは早くて1週間後、
腕が鳴って仕方がないというところか?
4/9sun
山笑ふバイクは遅し郵便夫
(やまわらうばいくはおそしゆうびんふ)
春巻を揚げて届けに手の温み
(はるまきをあげてとどけにてのぬくみ)
※もらった筍の一部を春巻にし届ける。スマホ
で時刻を確認し揚げたてを。
4/8sat
春爛漫愛想尽かしの果樹あれど
(はるらんまんあいそづかしのかじゅあれど)
※一番遅いぶどうの木が芽吹き始めた。梅、桃、
プラム、柿に続いてである。狭い土地に果樹
を縦列に欲張って植えているせいか、昨年は
殆どの木の収穫が落ち込んだ。対虫害では努
力するもいずれも効なく終始した。ああ、と
嘆息すること、今に引きずっている。
4/7fri
旅ごころ蠢き長く放哉忌
(たびごころうごめきながくほうさいき)
※お金もないが、飼い犬がホテル・病院に預け
にくい事情があるため、旅行は控えることが
多い。コロナ禍で余計固まった感じ。
4/5wed
学校のサクラを望み湯屋はあり
(がっこうのさくらをのぞみゆやはあり)
※御多聞にもれず、サクラと言えば城に学校で
ある。小学校の桜並木を思い出していたら、
ふと何のつながりもなしに近くに建っていた
温泉会館なるものが頭に浮かんできた。これ
も小学校も少し離れて故郷の川沿いにあった。
温泉などではなく「沸かし」だったろう。
70年ほど前のこと、あのころは農閑期の人
々など家族連れが客だった。何年かで閉鎖し
た。二階建ての、それらしくないモルタル塗
りの白い建物だった。
4/4tue
龍一の音々さやか風光る
(りゅういちのおとおとさやかかぜひかる)
※坂本龍一死去
4/3mon
毎日が今良しと推す山笑ふ
(まいにちがいまよしとおすやまわらう)
※サクラの終盤になると背景の山々の若葉が輝
き始める。昨日は今が一番いい時季だと思っ
たが、今朝になると今日の方がもっと良くな
ったと。
4/2sun
花びらはいつにも増して連翹忌
(はなびらはいつにもましてれんぎょうき)
記念館は雪深くあり光太郎忌
(きねんかんはゆきぶかくありこうたろうき)
※真冬に訪れた、高村光太路郎記念館は当時の
厳しさそのままに花巻郊外にあった。藁ぶき
の小さな一軒家、村はずれで隣家はない。
大雪の中に見た、強烈な印象は今も鮮明であ
る。光太郎忌はサクラ咲く、うららかな季節
だが、思い出は常に雪に埋もれた、あの光景
だ。したがって句は季重なりとなる。なに、
構うものか。
4/1sat
桜散り桜餅食い四月馬鹿
(さくらちりさくらもちくいしがつばか)
※今日は文句ない晴れ日。なんと言われようと
午前中は桜吹雪を見に、午後は甲子園の決勝
観戦だ。雑草が庭で背伸びして笑っている。
ダクタク句集2023年(令和5年)3月 [ダクタク2023年3月]
3/31fri
酒倉は人呼ぶカフェに鳥曇り
(さかぐらはひとよぶかふぇにとりぐもり)
※街がやさしく変貌すると言えば耳障りは良い
が、街のいたるところでインバウンド向け、
フリー客向けに変身するのはどうにもいただ
けない。落ち着かない。
通りの両側に高いオフィスビルやマンション
が、目の高さにはいらっしゃいませの声。
うんざりだ。
3/30thu
春たけなわ入道雲のようなもの
(はるたけなわにゅうどうぐものようなもの)
※兄妹からなかなか良い電話が入った。積乱雲
のような形がにょきにょきと立ちかけている。
ちょいと歩くと汗がにじむような午後。
3/28tue
パスで行く博物館は花の道
(ぱすでいくはくぶつかんははなのみち)
※その昔上野の国立博物館年間パスを持ってい
た。驚くほど安かった。夏は勤務の後でも入
れる閉館時間だったように思う。ちょいぶら
っと見て御徒町まで歩く、それが良かった。
3/27mon
人ゆらり高き足場に花の風
(ひとゆらりたかきあしばにはなのかぜ)
桜湯はサービスとありカフェの午後
(さくらゆはさーびすとありかふぇのごご)
※雨がちな日が続き、当地のサクラはけなげに
も少しも散らずにピークを迎えている。
尊氏の本心はどこ藪椿
(たかうじのほんしんはどこやぶつばき)
3/26sun
目も耳も親譲りなり喜寿の春
(めもみみもおやゆずりなりきじゅのはる)
※見た目は別としても、目も耳も鼻も歯や咽喉
も、役割の面で今でも至極堅調である。親に
感謝している。
春場所は気付けば楽日花の冷え
(はるばしょはきづけばらくびはなのひえ)
3/25sat
待て待てと言葉緩めて春の雷
(まてまてとことばゆるめてはるのらい)
※もう言葉を荒げる年齢でもない、とは思うも
のの・・・。
汚すのも洗うのも雨土筆かな
(よごすのもあらうのもあめつくしかな)
3/24fri
たんぽぽの絮飛ばすとき命燃え
(たんぽぽのじょとばすときいのちもえ)
窓開けて歯科に客待つサクラかな
(まどあけてしかにきゃくまつさくらかな)
声も歌もサクラに吸われデイの庭
(こえもうたもさくらにすわれでいのにわ)
3/23thu
夕まぐれ野蒜の花が主演なり
(ゆうまぐれのびるのはながしゅえんなり)
※3月は映画の賞の月。我が家の主演賞は断然
花ニラ。地味で小さな花が夕方薄暗くなると
庭中に冴えてくる。
3/21tue
木瓜の垣見知る主人の赭ら顔
(ぼけのかきみしるしゅじんのあからがお)
※何年か越しの賜だろう、木瓜が棚いっぱいに
咲き誇っている。比較的地味な花だから、そ
の主人ともどもドヤ顔はしない。
3/19sun
春場所や贔屓力士の眉伸びて
(はるばしょやひいきりきしのまゆのびて)
※WBCに選抜高校野球も始まり球春真っ盛り。
相撲もと行きたいけれど休場相次ぎ、こちら
は戦国下剋上・・・。
3/17fri
藪椿手折って土の瓶思い
(やぶつばきたおってつちのびんおもい)
※椿らしくない、珍しいと思って、素焼きの花
瓶にさし、スケッチ始めたまでは良かったが、
上手に描けたと思った椿の絵がどうも椿に見
えない。仲間も「これ椿か?」と不評。こち
らは不満。・・・それもそのはず元々が椿ら
しくないのだから。
3/16thu
もぐら塚生命力の霞みおり
(もぐらづかせいめいりょくのかすみおり)
※国立科学博物館のもぐら研究の先生が話して
いた。仕事の半分以上が動物の骨の標本作り
であると。しかも標本作成には「3無」の特
徴がある由。「無計画」「無目的」「無制限」
にやるのだそうな。標本を多種、大量に持つ
ことが将来の研究のなによりの基盤だ、その
ためであると。なるほどとびっくり。
今日も動物園から送られてきた動物の死骸、
奄美で交通事故死したアマミノクロウサギの
死骸に向き合う。
3/15wed
春時雨香り充溢今朝のパン
(はるしぐれかおりじゅういつけさのぱん)
※薄暗い朝も許せる。
3/14tue
駅前の円墳にあり白木蓮
(えきまえのえんぷんにありしろもくれん
※すれ違う白マスクの数はそんなに減っていな
い。近くの駅では白が急増とか。
3/13mon
新設の波止は揺らいで眼張釣り
(しんせつのはとはゆらいでめばるつり)
※次第に風が強くなる。午後は雨も。新しい波
止は強風で揺れるのではないか、余計なお世
話。
3/12sun
春霞五重塔の圓遊の
(はるがすみごじゅうのとうのえんゆうの)
※圓遊の新作落語「五重塔から のっそり」を
聴いた。良かった。露伴「五重塔」のスジに
沿って、その空気を面白く上手に伝える。
サクラ前でもいいから谷中を歩きたいものだ。
3/11sat
皺の手や三月十日の句が多く
(しわのてやさんがつとおかのくがおおく)
※三月十日は東京大空襲で季語
今日三月十一日は東日本大震災、これも季語
うららかや都電の車庫に音ありて
(うららかやとでんのしゃこにおとありて)
3/10fri
春の夕ジムの灯りのみこうこう
(はるのゆうじむのあかりのみこうこう)
呼吸器の音と点滅春の闇
(こきゅうきのおととてんめつはるのやみ)
※アカデミー賞の発表が間近いからというので
もないが、過去の受賞作「ミリオンダラー・
ベイビー」を見た。以前にも見たが、今回も
感動した。クリント・イーストウッドにモー
ガン・フリーマンが揃い、ヒラリー・スワン
クときたら、2005賞総なめもわかる。
3/9thu
青海苔やこんなのという男あり
(あおのりやこんなのというおとこあり)
※今シーズンは地元木更津周辺の海苔も有明海
の海苔もそれぞれ違った原因で不漁となって
いるらしい。江戸前のつやつやした黒い海苔
がふんだんに・・・もうそんなことはないの
か? 青海苔は独特の風味があってファンも
多いのだが、不漁続きでは吐き捨てるように
しか言わない。
3/7tue
古竹を切りて三月垣直す
(ふるたけをきりてさんがつかきなおす)
※四月下旬並みの暖かさという今日まで延ばし
ていた作業をする。庭はクロッカス、ムスカ
リ、花ニラの順で賑やかになりそう。
3/6mon
今読まずはもう読まざるの春の雨
(いまよまずはもうよまざるのはるのあめ)
※楽しみにして用意した本なのに出足で躓くこ
とがある。年齢のせいもある。またそのうち
に出直しをと言っても、今回が事実上の最後
だろうと自分を脅迫し追い詰めてみる。
それでもだめ・・・。
3/5sun
春眠やふとんの重さ知りてなお
(しゅんみんやふとんのおもさしりてなお)
※うとうと目を覚ましたが、目はまだ開かない。
冬中使ってきた布団がやけに重く感じる。む
にゅむにゅ・・・暖かいけど、むにゅむにゅ
・・・。やってはいけない自句実況でした。
3/3fri
雪柳最初の白い二三点
(ゆきやなぎさいしょのしろいにさんてん)
雛の日や女房マージャン公民館
(ひなのひやにょうぼまーじゃんこうみんかん)
※どうやら偕老同穴となる雲行きの桃の節句で
はある。最近は女房元気で留守がいいという
常套句もどきが良く似合う。
3/2thu
今朝一はスカルラッティ春一番
(けさいちはすかるらってぃはるいちばん)
春一番ラインで老けを確認し
(はるいちばんらいんでふけをかくにんし)
※ラインで都心歩きの会再開の日を3人で相談
する。便利なものだ、しかも無料とはね。
3/1wed
蘖や鑿研ぐ日々を思いたり
(ひこばえやのみとぐひびをおもいたり)
※暖かすぎる日中、友人との再会兼街歩きも良
かろうと思う。ラインで見る顔もそうは老け
ていないようだし。
酒倉は人呼ぶカフェに鳥曇り
(さかぐらはひとよぶかふぇにとりぐもり)
※街がやさしく変貌すると言えば耳障りは良い
が、街のいたるところでインバウンド向け、
フリー客向けに変身するのはどうにもいただ
けない。落ち着かない。
通りの両側に高いオフィスビルやマンション
が、目の高さにはいらっしゃいませの声。
うんざりだ。
3/30thu
春たけなわ入道雲のようなもの
(はるたけなわにゅうどうぐものようなもの)
※兄妹からなかなか良い電話が入った。積乱雲
のような形がにょきにょきと立ちかけている。
ちょいと歩くと汗がにじむような午後。
3/28tue
パスで行く博物館は花の道
(ぱすでいくはくぶつかんははなのみち)
※その昔上野の国立博物館年間パスを持ってい
た。驚くほど安かった。夏は勤務の後でも入
れる閉館時間だったように思う。ちょいぶら
っと見て御徒町まで歩く、それが良かった。
3/27mon
人ゆらり高き足場に花の風
(ひとゆらりたかきあしばにはなのかぜ)
桜湯はサービスとありカフェの午後
(さくらゆはさーびすとありかふぇのごご)
※雨がちな日が続き、当地のサクラはけなげに
も少しも散らずにピークを迎えている。
尊氏の本心はどこ藪椿
(たかうじのほんしんはどこやぶつばき)
3/26sun
目も耳も親譲りなり喜寿の春
(めもみみもおやゆずりなりきじゅのはる)
※見た目は別としても、目も耳も鼻も歯や咽喉
も、役割の面で今でも至極堅調である。親に
感謝している。
春場所は気付けば楽日花の冷え
(はるばしょはきづけばらくびはなのひえ)
3/25sat
待て待てと言葉緩めて春の雷
(まてまてとことばゆるめてはるのらい)
※もう言葉を荒げる年齢でもない、とは思うも
のの・・・。
汚すのも洗うのも雨土筆かな
(よごすのもあらうのもあめつくしかな)
3/24fri
たんぽぽの絮飛ばすとき命燃え
(たんぽぽのじょとばすときいのちもえ)
窓開けて歯科に客待つサクラかな
(まどあけてしかにきゃくまつさくらかな)
声も歌もサクラに吸われデイの庭
(こえもうたもさくらにすわれでいのにわ)
3/23thu
夕まぐれ野蒜の花が主演なり
(ゆうまぐれのびるのはながしゅえんなり)
※3月は映画の賞の月。我が家の主演賞は断然
花ニラ。地味で小さな花が夕方薄暗くなると
庭中に冴えてくる。
3/21tue
木瓜の垣見知る主人の赭ら顔
(ぼけのかきみしるしゅじんのあからがお)
※何年か越しの賜だろう、木瓜が棚いっぱいに
咲き誇っている。比較的地味な花だから、そ
の主人ともどもドヤ顔はしない。
3/19sun
春場所や贔屓力士の眉伸びて
(はるばしょやひいきりきしのまゆのびて)
※WBCに選抜高校野球も始まり球春真っ盛り。
相撲もと行きたいけれど休場相次ぎ、こちら
は戦国下剋上・・・。
3/17fri
藪椿手折って土の瓶思い
(やぶつばきたおってつちのびんおもい)
※椿らしくない、珍しいと思って、素焼きの花
瓶にさし、スケッチ始めたまでは良かったが、
上手に描けたと思った椿の絵がどうも椿に見
えない。仲間も「これ椿か?」と不評。こち
らは不満。・・・それもそのはず元々が椿ら
しくないのだから。
3/16thu
もぐら塚生命力の霞みおり
(もぐらづかせいめいりょくのかすみおり)
※国立科学博物館のもぐら研究の先生が話して
いた。仕事の半分以上が動物の骨の標本作り
であると。しかも標本作成には「3無」の特
徴がある由。「無計画」「無目的」「無制限」
にやるのだそうな。標本を多種、大量に持つ
ことが将来の研究のなによりの基盤だ、その
ためであると。なるほどとびっくり。
今日も動物園から送られてきた動物の死骸、
奄美で交通事故死したアマミノクロウサギの
死骸に向き合う。
3/15wed
春時雨香り充溢今朝のパン
(はるしぐれかおりじゅういつけさのぱん)
※薄暗い朝も許せる。
3/14tue
駅前の円墳にあり白木蓮
(えきまえのえんぷんにありしろもくれん
※すれ違う白マスクの数はそんなに減っていな
い。近くの駅では白が急増とか。
3/13mon
新設の波止は揺らいで眼張釣り
(しんせつのはとはゆらいでめばるつり)
※次第に風が強くなる。午後は雨も。新しい波
止は強風で揺れるのではないか、余計なお世
話。
3/12sun
春霞五重塔の圓遊の
(はるがすみごじゅうのとうのえんゆうの)
※圓遊の新作落語「五重塔から のっそり」を
聴いた。良かった。露伴「五重塔」のスジに
沿って、その空気を面白く上手に伝える。
サクラ前でもいいから谷中を歩きたいものだ。
3/11sat
皺の手や三月十日の句が多く
(しわのてやさんがつとおかのくがおおく)
※三月十日は東京大空襲で季語
今日三月十一日は東日本大震災、これも季語
うららかや都電の車庫に音ありて
(うららかやとでんのしゃこにおとありて)
3/10fri
春の夕ジムの灯りのみこうこう
(はるのゆうじむのあかりのみこうこう)
呼吸器の音と点滅春の闇
(こきゅうきのおととてんめつはるのやみ)
※アカデミー賞の発表が間近いからというので
もないが、過去の受賞作「ミリオンダラー・
ベイビー」を見た。以前にも見たが、今回も
感動した。クリント・イーストウッドにモー
ガン・フリーマンが揃い、ヒラリー・スワン
クときたら、2005賞総なめもわかる。
3/9thu
青海苔やこんなのという男あり
(あおのりやこんなのというおとこあり)
※今シーズンは地元木更津周辺の海苔も有明海
の海苔もそれぞれ違った原因で不漁となって
いるらしい。江戸前のつやつやした黒い海苔
がふんだんに・・・もうそんなことはないの
か? 青海苔は独特の風味があってファンも
多いのだが、不漁続きでは吐き捨てるように
しか言わない。
3/7tue
古竹を切りて三月垣直す
(ふるたけをきりてさんがつかきなおす)
※四月下旬並みの暖かさという今日まで延ばし
ていた作業をする。庭はクロッカス、ムスカ
リ、花ニラの順で賑やかになりそう。
3/6mon
今読まずはもう読まざるの春の雨
(いまよまずはもうよまざるのはるのあめ)
※楽しみにして用意した本なのに出足で躓くこ
とがある。年齢のせいもある。またそのうち
に出直しをと言っても、今回が事実上の最後
だろうと自分を脅迫し追い詰めてみる。
それでもだめ・・・。
3/5sun
春眠やふとんの重さ知りてなお
(しゅんみんやふとんのおもさしりてなお)
※うとうと目を覚ましたが、目はまだ開かない。
冬中使ってきた布団がやけに重く感じる。む
にゅむにゅ・・・暖かいけど、むにゅむにゅ
・・・。やってはいけない自句実況でした。
3/3fri
雪柳最初の白い二三点
(ゆきやなぎさいしょのしろいにさんてん)
雛の日や女房マージャン公民館
(ひなのひやにょうぼまーじゃんこうみんかん)
※どうやら偕老同穴となる雲行きの桃の節句で
はある。最近は女房元気で留守がいいという
常套句もどきが良く似合う。
3/2thu
今朝一はスカルラッティ春一番
(けさいちはすかるらってぃはるいちばん)
春一番ラインで老けを確認し
(はるいちばんらいんでふけをかくにんし)
※ラインで都心歩きの会再開の日を3人で相談
する。便利なものだ、しかも無料とはね。
3/1wed
蘖や鑿研ぐ日々を思いたり
(ひこばえやのみとぐひびをおもいたり)
※暖かすぎる日中、友人との再会兼街歩きも良
かろうと思う。ラインで見る顔もそうは老け
ていないようだし。
ダクタク句集2023年(令和5年)2月 [ダクタク2023年2月]
2/28tue
春浅し友の旧居に杭打機
(はるあさしとものきゅうきょにくいうちき)
※随分前に越した友人宅跡だが周囲の土地を合
わせて工事が始まった。杭を打つ必要がある
建物? この近辺では珍しい。
2/26sun
春の海フェリーふわりと波の上
(はるのうみふぇりーふわりとなみのうえ)
※友人を見送って金谷港東京湾フェリーまで出
かけた。天気は良いのだがやや波が高い。心
配のほどではない。でっぷり肥えたフェリー
は無事浮かんで出港した。
2/24fri
春の闇濃かれ三つ星寄り添うて
(はるのやみこかれみつぼしよりそうて)
※昨夕、日の入り後18時30分頃の西の空で、
「新月」と「木星」「金星」とが一列に黄道
上に並ぶ天体ショーを見た。格別レアなこと
ではないが、タイミングと天候がこうもピタ
リと合うことは少ない。写真も撮れたよ。
2/23thu
春の旅ミシン黄色を纏いおり
(はるのたびみしんきいろをまといおり)
旅先の待ちにし膳よ蕗の薹
(たびさきのまちにしぜんよふきのとう)
※旅は思い浮かべるころから出かけるまでが至
福という。明るい黄色はお気に入り、さあ出
かけよう。
2/22wed
猫魔岳街を白くし春むかし
(ねこまだけまちをしろくしはるむかし)
※昔会津若松の点描。2月の午後。通りの遥か
先にあるのは真っ白な残雪をいただく猫魔岳。
これが浮き上がって大きく見える日がある。
市街の根雪は融けて道を洗い、コンクリート
舗装の道はこれも白く見える。家並みは後退。
2/21tue
春一日怠惰の時とのみ記して
(はるひとひたいだのときとのみきして)
ブランコをこいで人待つ青春か
(ぶらんこをこいでひとまつせいしゅんか)
※ろくなニュースはないが、そこは春だからそ
の気になれば春になる。
2/20mon
太陽光パネルが侵す春田かな
(たいようこうぱねるがおかすはるたかな)
蓬髪が床屋帰りで春の風
(ほうはつがとこやがえりではるのかぜ)
2/19sun
街道はうつらうつらの菜の花忌
(かいどうはうつらうつらのなのはなき)
※菜の花忌の頃に古い「街道を行く」のTV番組
を見た。本よりも随分端折ってあるものの、
上手い編集だ。田村高広のナレーションが懐
かしい。
2/18sat
寝もやらずジャガイモ植うる日はうつろ
(ねもやらずじゃがいもううるひはうつろ)
※ちょっと早めのジャガイモの植え付け。肥料
を多めにして、このタイミングの植付けは生
育が良いという話を仕入れてきた。
サボり気味の今年はこれが野良始めだ。ねむ
たい~・・・。
雪形を見たいと思う野良始め
(ゆきがたをみたいとおもうのらはじめ)
2/17fri
梅咲きて痒み嘆きし人いかに
(うめさきてかゆみなげきしひといかに)
※年寄りの冬季の痒みは空気と肌の乾燥が主因
と言われる。彼へのアドバイスは「入浴を一
日おきに、入浴の日は今まで通りちゃんと石
鹸で洗いちゃんと落とすこと。入浴しない日
は一日中石鹸を使わないこと。使わなくとも
すぐ慣れる」というもの。
2/16thu
春の宵億劫という音を上げる
(はるのよいおっくうというねをあげる)
※さて、もう歳かな? 何か動き始めるときに、
初めのひとふんばりを1テンポ待つことが近
頃多くなった。なんのこともないのだけれど、
その時の姿勢でしばしゆっくりするのだ。
2/14tue
家に肌あり初東風の似合う家
(いえにはだありはつこちのにあういえ)
※歳時記は季語とその季語を使った例句を味わ
って、季節感の妙を感じるものだ。しかし季
語の中には違和感どころか時代錯誤と言わざ
るを得ないものも数多い。窮屈でも文句を言
わずにその古い季語に合った対象を見つけよ
ということなのか。
2/12sun
かたや死にかたやはかくも春の声
(かたやしにかたやはかくもはるのこえ)
※久しぶりに聞く彼の声は以前と全然変わらな
い。前回の彼の電話は同期の友の死を伝える
ものだった。昔から二人を対で見がちな私。
2/11sat
生姜酒とめる者なく喜寿の春
(しょうがざけとめるものなくきじゅのはる)
天井のシミ数え切り喜寿の春
(てんじょうのしみかぞえきりきじゅのはる)
※町内会の人から喜寿のお祝いですよね、と言
われて改めて意識した。満77歳の誕生日か
ら2カ月ほど。感慨とてなにもない。
2/10fri
新海苔は産地苦渋の味少し
(しんのりはさんちくじゅうのあじすこし)
※地元木更津、富津の江戸前海苔はここ数年ク
ロダイの養殖場への侵入と食い荒らしなどに
よって被害を被っている。今季は有明海の海
苔の産地も海水温の上昇が海苔生育の大幅減
産につながっているらしい。
2/9thu
春寒やこころに農具並べおり
(はるざむやこころにのうぐならべおり)
※とっくに農具はラインアップ済み。鎌だって
研いである。
2/8wed
壁の上を春日は円くすべりおり
(かべのえをはるびはまるくすべりおり)
※寝室のカーテンの合わせ目から差し込む朝日
が壁の上に7,8センチの円い明るい形を作る。
日の出の時刻が日々早くなるから、見えだす
時刻は一日ごとに少し早くなり、その位置は
左にずれる。秋分の日以降の秋とはちょうど
逆の形だ。
ついでに言えばそこは床の間で春向きの掛け
軸がかけてある。その上を円い光がすべる。
出来過ぎた話。嘘のような本当の話。
2/6mon
童顔は遺影となりて余寒かな
(どうがんはいえいとなりてよざむかな)
寒紅玉切らさずただに好きなれば
(かんこうぎょくきらさずただにすきなれば)
煮大根においはわが身黙しおり
(にだいこんにおいはわがみもくしおり)
2/4sat
立春や師の舌かくも滑らかに
(りっしゅんやしのしたかくもなめらかに)
※絵にもおしゃべりにも盛んなのはすごい。御
年は80歳台後半で絵筆の軽妙なこと、言葉
に切れ目がないこと。
2/3fri
めずらしく朝のご飯寒卵
(めずらしくあさのごはんかんたまご)
豆まきや声の大きさ迷いつつ
(まめまきやこえのおおきさまよいつつ)
※外に向いてまず一声、大き過ぎたかな? 一
瞬のうちに脳裏を掠める。えいッ、構うな、
この大きさで、鬼に入られてしまう。
声の大きさ! 実は単なる羞恥心の減退、認
知症の手前の始まりだったりして・・・。
2/2thu
宵星の西に沈めば冬銀河
(よいぼしのにしにしずめばふゆぎんが)
※日脚が伸びたものの光はまだ弱い。宵の明星
が沈み暗い星空に変わるまで長い時間は要ら
ない。寒風は身を震わせるが、天空の変化の
微妙さは今頃が味わい深い。
2/1wed
着ぶくれて道ゆずりたる好々爺
(きぶくれてみちゆずりたるこうこうや)
客引きも色とりどりに着ぶくれて
(きゃくひきもいろとりどりにきぶくれて)
※1月の寒波はまだ続いている。客の出足はさ
らに細り、夜の街は大変だ。
春浅し友の旧居に杭打機
(はるあさしとものきゅうきょにくいうちき)
※随分前に越した友人宅跡だが周囲の土地を合
わせて工事が始まった。杭を打つ必要がある
建物? この近辺では珍しい。
2/26sun
春の海フェリーふわりと波の上
(はるのうみふぇりーふわりとなみのうえ)
※友人を見送って金谷港東京湾フェリーまで出
かけた。天気は良いのだがやや波が高い。心
配のほどではない。でっぷり肥えたフェリー
は無事浮かんで出港した。
2/24fri
春の闇濃かれ三つ星寄り添うて
(はるのやみこかれみつぼしよりそうて)
※昨夕、日の入り後18時30分頃の西の空で、
「新月」と「木星」「金星」とが一列に黄道
上に並ぶ天体ショーを見た。格別レアなこと
ではないが、タイミングと天候がこうもピタ
リと合うことは少ない。写真も撮れたよ。
2/23thu
春の旅ミシン黄色を纏いおり
(はるのたびみしんきいろをまといおり)
旅先の待ちにし膳よ蕗の薹
(たびさきのまちにしぜんよふきのとう)
※旅は思い浮かべるころから出かけるまでが至
福という。明るい黄色はお気に入り、さあ出
かけよう。
2/22wed
猫魔岳街を白くし春むかし
(ねこまだけまちをしろくしはるむかし)
※昔会津若松の点描。2月の午後。通りの遥か
先にあるのは真っ白な残雪をいただく猫魔岳。
これが浮き上がって大きく見える日がある。
市街の根雪は融けて道を洗い、コンクリート
舗装の道はこれも白く見える。家並みは後退。
2/21tue
春一日怠惰の時とのみ記して
(はるひとひたいだのときとのみきして)
ブランコをこいで人待つ青春か
(ぶらんこをこいでひとまつせいしゅんか)
※ろくなニュースはないが、そこは春だからそ
の気になれば春になる。
2/20mon
太陽光パネルが侵す春田かな
(たいようこうぱねるがおかすはるたかな)
蓬髪が床屋帰りで春の風
(ほうはつがとこやがえりではるのかぜ)
2/19sun
街道はうつらうつらの菜の花忌
(かいどうはうつらうつらのなのはなき)
※菜の花忌の頃に古い「街道を行く」のTV番組
を見た。本よりも随分端折ってあるものの、
上手い編集だ。田村高広のナレーションが懐
かしい。
2/18sat
寝もやらずジャガイモ植うる日はうつろ
(ねもやらずじゃがいもううるひはうつろ)
※ちょっと早めのジャガイモの植え付け。肥料
を多めにして、このタイミングの植付けは生
育が良いという話を仕入れてきた。
サボり気味の今年はこれが野良始めだ。ねむ
たい~・・・。
雪形を見たいと思う野良始め
(ゆきがたをみたいとおもうのらはじめ)
2/17fri
梅咲きて痒み嘆きし人いかに
(うめさきてかゆみなげきしひといかに)
※年寄りの冬季の痒みは空気と肌の乾燥が主因
と言われる。彼へのアドバイスは「入浴を一
日おきに、入浴の日は今まで通りちゃんと石
鹸で洗いちゃんと落とすこと。入浴しない日
は一日中石鹸を使わないこと。使わなくとも
すぐ慣れる」というもの。
2/16thu
春の宵億劫という音を上げる
(はるのよいおっくうというねをあげる)
※さて、もう歳かな? 何か動き始めるときに、
初めのひとふんばりを1テンポ待つことが近
頃多くなった。なんのこともないのだけれど、
その時の姿勢でしばしゆっくりするのだ。
2/14tue
家に肌あり初東風の似合う家
(いえにはだありはつこちのにあういえ)
※歳時記は季語とその季語を使った例句を味わ
って、季節感の妙を感じるものだ。しかし季
語の中には違和感どころか時代錯誤と言わざ
るを得ないものも数多い。窮屈でも文句を言
わずにその古い季語に合った対象を見つけよ
ということなのか。
2/12sun
かたや死にかたやはかくも春の声
(かたやしにかたやはかくもはるのこえ)
※久しぶりに聞く彼の声は以前と全然変わらな
い。前回の彼の電話は同期の友の死を伝える
ものだった。昔から二人を対で見がちな私。
2/11sat
生姜酒とめる者なく喜寿の春
(しょうがざけとめるものなくきじゅのはる)
天井のシミ数え切り喜寿の春
(てんじょうのしみかぞえきりきじゅのはる)
※町内会の人から喜寿のお祝いですよね、と言
われて改めて意識した。満77歳の誕生日か
ら2カ月ほど。感慨とてなにもない。
2/10fri
新海苔は産地苦渋の味少し
(しんのりはさんちくじゅうのあじすこし)
※地元木更津、富津の江戸前海苔はここ数年ク
ロダイの養殖場への侵入と食い荒らしなどに
よって被害を被っている。今季は有明海の海
苔の産地も海水温の上昇が海苔生育の大幅減
産につながっているらしい。
2/9thu
春寒やこころに農具並べおり
(はるざむやこころにのうぐならべおり)
※とっくに農具はラインアップ済み。鎌だって
研いである。
2/8wed
壁の上を春日は円くすべりおり
(かべのえをはるびはまるくすべりおり)
※寝室のカーテンの合わせ目から差し込む朝日
が壁の上に7,8センチの円い明るい形を作る。
日の出の時刻が日々早くなるから、見えだす
時刻は一日ごとに少し早くなり、その位置は
左にずれる。秋分の日以降の秋とはちょうど
逆の形だ。
ついでに言えばそこは床の間で春向きの掛け
軸がかけてある。その上を円い光がすべる。
出来過ぎた話。嘘のような本当の話。
2/6mon
童顔は遺影となりて余寒かな
(どうがんはいえいとなりてよざむかな)
寒紅玉切らさずただに好きなれば
(かんこうぎょくきらさずただにすきなれば)
煮大根においはわが身黙しおり
(にだいこんにおいはわがみもくしおり)
2/4sat
立春や師の舌かくも滑らかに
(りっしゅんやしのしたかくもなめらかに)
※絵にもおしゃべりにも盛んなのはすごい。御
年は80歳台後半で絵筆の軽妙なこと、言葉
に切れ目がないこと。
2/3fri
めずらしく朝のご飯寒卵
(めずらしくあさのごはんかんたまご)
豆まきや声の大きさ迷いつつ
(まめまきやこえのおおきさまよいつつ)
※外に向いてまず一声、大き過ぎたかな? 一
瞬のうちに脳裏を掠める。えいッ、構うな、
この大きさで、鬼に入られてしまう。
声の大きさ! 実は単なる羞恥心の減退、認
知症の手前の始まりだったりして・・・。
2/2thu
宵星の西に沈めば冬銀河
(よいぼしのにしにしずめばふゆぎんが)
※日脚が伸びたものの光はまだ弱い。宵の明星
が沈み暗い星空に変わるまで長い時間は要ら
ない。寒風は身を震わせるが、天空の変化の
微妙さは今頃が味わい深い。
2/1wed
着ぶくれて道ゆずりたる好々爺
(きぶくれてみちゆずりたるこうこうや)
客引きも色とりどりに着ぶくれて
(きゃくひきもいろとりどりにきぶくれて)
※1月の寒波はまだ続いている。客の出足はさ
らに細り、夜の街は大変だ。
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