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ダクタク句集2023年(令和5年)10月 [ダクタク2023年10月]

10/30thu
両国の駅頭の友秋衣
  (りょうごくのえきとうのともあきごろも)

大震災広きを頼む声と息
  (だいしんさいひろきをたのむこえといき)

一瞬の仏は積まれ秋の荼毘
  (いっしゅんのほとけはつまれあきのだび)

震災忌慰霊の大画茶ばみおり
  (しんさいきいれいのたいがちゃばみおり)

焔立つ彼方ビルのみ鳥渡る
  (ほむらたつかなたびるのみとりわたる)

黙し来て北斎通りのスジの雲
  (もくしきてほくさいどおりのすじのくも)

引越しの北斎が行く秋の空
  (ひっこしのほくさいがいくあきのそら)
   
   ※仲間との歩き会を8月下旬予定だったのを
    10月3日に延期した。理由はただ一つ、
    異常な残暑。
    行先は関東大震災100年に合わせ、両国
    駅近くの旧陸軍被服廠跡(今は都立横網町
    公園)にある東京都慰霊堂。ここには震災
    と東京大空襲の犠牲者を祀ってある。隣に
    は東京都復興記念館も。

10/14sat
句の後は雨上がりたり今朝の秋
  (くのあとはあめあがりたりけさのあき)

この秋も脳は縮めどなにほどぞ
  (このあきものうはちぢめどなにほどぞ)

諍いを蒸し返しつつ秋夜長
  (いさかいをむしかえしつつあきよなが)

秋冷の山よ盆地の句人たち
  (しゅうれいのやまよぼんちのくじんたち)

   ※待望の涼しさだが、なればなったで涼し過
    ぎと文句をたれたくなる。

10/11wed
郷愁や手で拭う柿朝一つ
  (きょうしゅうやてでぬぐうかきあさひとつ)

また増えし空き家は早生の柿実り
  (またふえしあきやはわせのかきみのり)

青柿に子規喜ぶを相伴し
  (あおがきにしきよろこぶをしょうばんし)

   ※10月に入って庭の柿の実を試し食い。ま
    だ青いものも渋くない、十分いける。
    今年は夏の異常な暑さはあったが、事前の
    ヘタムシ退治が功奏し、まずは昨年の失敗
    に雪辱を果たした。さらに大きく熟れてく
    れるかどうか?


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ダクタク句集2023年(令和5年)9月 [ダクタク2023年9月]

9/28thu
待宵や縦が良く合うお城かな
  (まつよいやたてがよくあうおしろかな)
   ※涼しくなったのも束の間、じりっじりっと
    気温が上がり今日はそのピーク。実は東京
    での会合を直前で延期した。賢かった。

9/24sun
喜捨の鐘二度目が寺の秋にしむ
  (きしゃのかねにどめがてらのあきにしむ)

僧招く胎蔵界に寺の秋
  (そうまねくたいぞうかいにてらのあき)
   ※こうも変わるものか? 昨日今日の最高気
    温は少し前までの最低気温にも及ばない。

9/22fri
風水のおとなしき地に秋めぐり
  (ふうすいのおとなしきちにあきめぐり)

曼殊沙華時期を違えず異夏消ゆ
  (まんじゅしゃげじきをたがえずいなつきゆ)
   ※どうやら異常な夏の終わりが近づいている。
    この地も暑さはひどく、色んな影響を被っ
    たが、風水害の被害は今のところ皆無に近
    い。28年になるこの地、有難いと思う。

9/18mon
モーツァルト秋はロンドか今日涼し
  (もーつぁるとあきはろんどかきょうすずし)
   ※各地の最高気温は相変わらず夕方のニュー
    ス種になっている。しかし今夕の涼しさは
    どうだ。湿度が低かったのだろうけれど、
    格段に秋を感じる気配だ。ただありがたや
    という気分。今日敬老の日。

9/17sun
本を繰る腕の涼しさ秋の朝
  (ほんをくるうでのすずしさあきのあさ)
   ※異常な高温の継続に、朝寝床での読書が快
    適になることを願っていた。一日やや涼し
    い日があり、しかしすぐ戻る。

9/15fri
石段に水つつしみて風の盆
  (いしだんにみずつつしみてかぜのぼん)

風の盆地方の声の手練れかな
  (かぜのぼんじかたのこえのてだれかな)

風の盆今年地方に聞きほれて
  (かぜのぼんことしじかたにききほれて)
   ※風の盆の季節、今年もテレビで見物した。
    4Kの充実した番組を満喫できた。とはいえ、
    どこの会場だったか? 上の街と下の街を
    繋ぐ長い石段があって、そこが格好の見物
    場所となり、下の広場がおわらの会場にな
    っていた。羨ましいと思った。
    男踊り、女踊り、いつも結構。比較的新し
    いという男女混合の振りも良かった。あそ
    こで見たいものだと思った。トイレが難し
    いかな、とも思った。

9/11mon
盆地秋記録的なる雨吸いて
  (ぼんちあききろくてきなるあめすいて)
   ※会津若松もかなりの雨にたたられた。この
    夏で言えば高温の記録も。新潟県の各地と
    同様、全国版のニュースにも現れた。

9/10sun
参道に婆の店あり風の秋
  (さんどうにばばのみせありかぜのあき)
   ※外房鴨川市の海岸国道から少し山に入った
    ところに清澄寺がある。日蓮が修行した古
    刹で、古くからの道場寺だった。日蓮が大
    成した後は聖地扱いの古寺となった。
    何十年も前独身時代、ドライブで近くまで
    行くと必ずここに寄った。参道にあったお
    ばさんの土産物店で世間話をするためだ。
    今もあるかな?と錯覚した。

9/8fri
北向きの銀行そそと颱風過
  (きたむきのぎんこうそそとたいふうか)
   ※市内に或る銀行の古手の支店がある。小さ
    な構えだが壁柱の石造りは古風で立派なも
    のだ。軽さと歯抜けが目立つ通りでは静か
    に評判を呼んできたが、もう取り壊される
    かも? 

9/7thu
草刈りて刈りて終わりし良夜かな
  (くさかりてかりておわりしりょうやかな)

この涼をひたすら待てり良夜かな
  (このりょうをひたすらまてりりょうやかな)

9/6wed
すんなりと起き上がってぞ今朝の秋
  (すんなりとおきあがってぞけさのあき)
   ※今朝早くから小雨が降って気温が下がった。
    起床時の「起動」も実に滑らかにいった。
    横になっていて、起き上がりざまの足腰の
    動きが多少重くなって久しい。最近はゆっ
    くり丁寧にやるようにしている。

9/5tue
集会所秋のバリウム列をなし
  (しゅうかいじょあきのばりうむれつをなし)
   ※胃ガンの検査、今年は市の中心近くの施設
    に赴いてではなく、各地区を廻る検診バス
    の世話になった。近いのはいいが、小さな
    列には見知った顔も。いいような悪いよう
    な・・・。素朴に健康。

9/4mon
ロレンスの沙漠の疾駆秋の色
  (ろれんすのさばくのしっくあきのいろ)
   ※何回目か、この映画をまた見た。今回は家
    のテレビで。今回が一番いい心持と素直に
    見ようという意思を持って。
    だから今回が一番いい感想だ。いや、やっ
    ぱり初めての時かな? いい勝負。感想の
    中身がちょっと違うかな。

9/2sat
子のマスク陽性となる夏の暮れ
  (このますくようせいとなるなつのくれ)
   ※コロナ感染者が相当増えているという。周辺
    でも陽性者が出て母親がびっくり、というの
    があった。これはきっと良いことなのだろう
    が、病院も患者側もさばさばとしていたと聞
    いた。

9/1fri
震災忌この地の震度六を知る
  (しんさいきこのちのしんどろくをしる)
   ※さしもの猛暑も地軸の傾きには抗しきれない。
    気温は下がらないが、朝夕の日影の広がりが
    日一日と変化している。
    首都直下大震災、対岸の火事にはならない。
    房総半島の共振範囲は微妙だが、この地の被
    災は免れないようだ。
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ダクタク句集2023年(令和5年)8月 [ダクタク2023年8月]

8/31thu
緑陰の影濃しすでに客があり
  (りょくいんのかげこしすでにきゃくがあり)

八月尽危険な暑さをかみしめる
  (はちがつじんきけんなあつさをかみしめる)
   ※これだけの暑さは異常という、歴史的とも
    いう、これからは何度も、とも。かみしめ
    ておくにしくはない。

8/29tue
旱天や実のなる木だけ水をやる
  (かんてんやみのなるきだけみずをやる)
   ※庭の果樹に関する限り、この暑い夏、日照
    りに恨みはない。もも、プラム、ぶどうと
    この間に収穫した果樹は皆例年よりかなり
    成績が良い。
    残るは柿と温州みかん、大切なこの時期実
    のつきは悪くない。素人の遊びの域を出な
    いが、悪くない気分。

8/28tue
次々とポッケから栗あげるとぞ
  (つぎつぎとぽっけからくりあげるとぞ)

栗飯のすでに香りが電話口
  (くりめしのすでにかおりがでんわぐち)

8/27sun
上弦の月に邯鄲酔いしれて
  (じょうげんのつきにかんたんよいしれて)
   ※月末から来月にかけての気温の予報も平年
    より高いとある。意外と朝晩のしのぎやす
    さがやってきて、裏をかいてくるかも。

8/26sat
絵を見せてやがて名を訊く酷暑なり
  (えをみせてやがてなをきくこくしょなり)
   ※75歳を超えると3年に一回認知症機能検査
    を受けさせられる。今日は何曜日?とかの
    試験と16枚の絵の名前を憶えているかどう
    か? 必要性は理解できるが、その代わり
    何千円でいいから金を払え! この無礼者!
    (逆に8000円ほど払わせられる)

8/25fri
一文字も書かず読まずに青芭蕉
  (ひともじもかかずよまずにあおばしょう)
   ※暑さの余り、3ヵ月前に訪れた漱石記念館
    を思い出した。こんな日も意外と風が通る
    涼しい家だったのかも知れない。とはいえ
    酷暑の日だったら、なんにもしないで終日
    ベランダから青芭蕉を眺めていたかも。

8/24thu
免許再た手続きしたる晩夏かな
  (めんきょまたてつづきしたるばんかかな)
   ※免許の更新は認知症試験を伴う。試験の内
    容、合否のラインには全く問題ないが、愉
    快なことではない。
    それに季節、晩夏であって欲しい。

8/23wed
洗い鯉好みし亡父の歳越えて
  (あらいごいこのみしちちのとしこえて)
   ※鯉の洗いは今の身の回りでは殆ど目にしな
    い。暑い中では、酢味噌でいただく懐かし
    い味だ。調べたら千葉県内でいくつか食す
    る場所があった。印旛沼周辺、養老渓谷と
    か。少し北の山間の味ではないみたい。

8/21mon
SLの汽笛サービス蝉時雨
  (えすえるのきてきさーびすせみしぐれ)
   ※甲子園の準決2試合を見る。
    ついでにYouTubeで磐越西線を走る観光列
    車の「雄姿」を久しぶりに見た。未だに元
    気だ。(当たり前、アップされたのは10
    年ほど前だ)

8/20sun
盆明けて深夜に重きカバン押す
  (ぼんあけてしんやにおもきかばんおす)
   ※海外からの帰国者がピークと聞いたが、リ
    ムジンバスの通りでもあるまいし、まして
    深夜だ。すごい音だ。
    ハハーン、旅行をしたカップルが喧嘩をし
    て家近くの道路で放り投げられた、ナ?
    きっとそうに違いない。

8/19sat
夏の果て雲の形を調べ居ぬ
  (なつのはてくものかたちをしらべいぬ)
   ※ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ秋の雲
    らしいのが現れた。が、秋の雲ではない。
    似て非なるものだ。関東南部の当地では空
    に雲が広がると、それで多少涼しく感じる。
    秋を感じる。これは末期的感覚!

8/18fri
朝涼し小鳥に吾にパンの耳
  (あさすずしことりにわれにぱんのみみ)

盆明けの会議紛糾夕まぐれ
  (ぼんあけのかいぎふんきゅうゆうまぐれ)
   ※会議の構成は半数以上がシニアなのに、意見
    が二つに割れて、それを訳ありと勘繰った一
    部が同意見の者を糾合して変に硬化してしま
    った。結果的な分断の状態ではある。
    まあ今日は甲子園が休みだからいいようなも
    のの・・・。

8/16wed
温湯なり夏のしまい湯動かざる
  (ぬるゆなりなつのしまいゆうごかざる)
   ※台風7号は報道のわりにすんなり近畿を通過
    してしまうのかと思いきや、方々に深刻な爪
    痕を残しつつある。殊に鳥取の各河川はひど
    い状況らしい、湯につかりながらラジオを聴
    いている。

8/15tue
主人なす大提灯の盆支度
  (あるじなすおおちょうちんのぼんじたく)
   ※故郷の盆の風物詩は商家の店先や元武家の
    民家の門口に吊るした家紋を入れた大提灯
    だ。全国共通の迎え火の光景は殆ど目にし
    なかった。京都と西日本の城下町の中に同
    じ盆の風習があるといわれる。

8/14mon
明けやすし咳き込む犬の名を呼べり
  (あけやすしせきこむいぬのなをよべり)

水羊羹伯母のいつもの持たせかな
  (みずようかんおばのいつものもたせかな)

8/13sun
糖尿値ラジオ体操だけでなく
  (とうにょうちらじおたいそうだけでなく)
   ※定期の診察でかかりつけ医から長らく観察
    を続けているHgA1cがやや危険側に向かい
    つつあるとの託宣を受けた。これは衝撃だ
    が想定の範囲内でもある。
    さて朝起床時からおこなっている体操、運
    動組み合わせの各種「割引」をやめようと
    思う。

8/11fri
夏の朝おしゃべり止めよとはいえず
  (なつのあさおしゃべりやめよはいえず)

気まぐれの昭和のタイマー風くれぬ
  (きまぐれのしょうわのたいまーかぜくれぬ)

8/10thu
蝉しぐれ友のポリープ皆消えて
  (せみしぐれとものぽりーぷみなきえて)

張りあふてあげてはもらい日々西瓜
  (はりおうてあげてはもらいひびすいか)
   ※ガソリン代のかかった西瓜、ドヤ顔で届け
    たら、帰りに西瓜を貰ってきた。これが甘
    い。すごい。

8/9wed
白服を着て半日は汗かかず
  (しろふくをきてはんにちはあせかかず)
   ※立派な服ではない、真白なTシャツに白い
    散歩用ズボンだ。今日長崎原爆忌、台風の
    影響が心配。

8/8tue
真空のパック新茶の香り立つ
  (しんくうのぱっくしんちゃのかおりたつ)
   ※新茶は初夏の季語。真空パックは四季の季
    語。有名な虚子の句
     「方丈に今とどきたる新茶かな」

8/7mon
心太もひとつ所望して盛夏
  (ところてんもひとつしょもうしてせいか)
   ※グテーレスが「地球は『沸騰期』に入った」
    と。

窓放ち毎夜の仕度熱帯夜
  (まどはなちまいよのしたくねったいや)

8/6sun
原爆忌同じ齢とつぶやけり
  (げんばくきおなじよわいとつぶやけり)

イヤホンで広島の鐘を聴きいたり
  (いやほんでひろしまのかねをききいたり)

広島のしじまを知りて原爆忌
  (ひろしまのしじまをしりてげんばくき)

静寂とは蝉の声なり原爆忌
  (しじまとはせみのこえなりげんばくき)

8/5sat
よれよれのTシャツ着たき大暑かな
  (よれよれのてぃしゃつきたきたいしょかな)

盛夏かな残せし長き映画見し
  (せいかかなのこせしながきえいがみし)
   ※酷暑と言われる夏も悪いことばかりではな
    い。見たい映画の在庫が大いに捌けた。し
    かも大して罪悪感なしに。

8/4fri
夏だ夏朝昨日よりもっと夏
  (なつだなつあさきのうよりもっとなつ)
   ※嫌われ者の猛暑だが、朝の澄んだギラギラ
    は夏のエネルギーそのもの。日々の散歩コ
    ースだが、今日も記憶に残る光景だ。

炎昼や妻マージャンにデイのごと
  (えんちゅうやつままーじゃんにでいのごと)

向日葵は見下ろしており件の絵
  (ひまわりはみおろしておりくだんのえ)

8/3thu
初ぶどう飴色となりぶら下がり
  (はつぶどうあめいろとなりぶらさがり)

戦やまず今年のトマト外れなし
  (いくさやまずことしのとまとはずれなし)

向日葵や沖縄は風六十五
  (ひまわりやおきなわはかぜろくじゅうご)

8/2wed
雷の来て一日の涼くれり
  (かみなりのきていちにちのりょうくれり)

プラム落ちて無事に道路を横切りぬ
  (ぷらむおちてぶじにどうろをよこぎりぬ)
   ※プラムの出来も今年は今までで最良。ぎり
    ぎり完熟まで待ってお裾分け。

8/1tue
過去になき気温上総の日照りかな
  (かこになききおんかずさのひでりかな)

喜雨はまずにおいとけむり畑道
  (きうはまずにおいとけむりはたけみち)
   ※8月に入ってやっと雨が降った。量は今の
    ところ僅か、大気の不安定さからくる雷雨
    だけだ。長い日照りの後の降り始めの独特
    の気配。

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ダクタク句集2023年(令和5年)7月 [ダクタク2023年7月]

7/31mon
胃を切りし人声高く油照り
  (いをきりしひとこえたかくあぶらでり)
   ※友人知人の中に胃ガンで手術をした人が数
    人いる。進行度にもよるのだろうが、最近
    の何人かの方が予後が元気だ。表向きだが、
    こちらが面食らうほどの声で充実の暮らし
    ぶりを伝えてくれる人も。

7/29sat
苗売りのリヤカーが行く夢一夜
  (なえうりのりやかーがいくゆめいちや)
   ※こう寝苦しい夜が続くと寝なくてはという
    強迫観念は薄くなる。どうにでもなれと。
    家々を廻る物売りのリヤカーなど、おぼろ
    になって数十年もスキップすれば・・・。

7/28fri
子を褒める気持ちや桃の実がとれて
  (こをほめるきもちやもものみがとれて)
   ※今季は枝の剪定と実欠きを今まで以上にや
    ったことが功を奏し、見事な形の桃が数多
    く採れた。お礼肥えをしっかりとやる。

7/27thu
悔やむことルーチンとなり夜光虫
  (くやむことるーちんとなりやこうちゅう)
   ※今更悔やんでも何にもならない、もうとっ
    くにわかっていることだけれど。
    ははん・・・またやっている。制御不能。

7/26wed
皇后のアガパンサスよ巨き愛
  (こうごうのあがぱんさすよおおきあい)
   ※7/24の誕生花はアガパンサスだった。花言
    葉は純粋な愛。当家のアガパンサスもすぐ
    隣家のそれも、背が高い。他所で見るより
    背が高い。何故か雅子皇后を思った。
    最近の笑顔は良い。花言葉もぴったり。

7/25tue
AIに画像使えと大暑かな
  (えーあいにがぞうつかえとたいしょかな)
   ※生成AIの開発をめぐっての議論が世界的規
    模でまっことかまびすしい。大きな懸念、
    論点の一つが著作権侵害にかかわる問題だ。
    LLCがどこからどの範囲でどう形をのこして
    情報を得るか? フフッ、高みの見物。

7/24mon
風鈴やつたなき句を短冊に
  (ふうりんやつたなきくをたんざくに)

オハグロの雨なき庭にとどまりて
  (おはぐろのあめなきにわにとどまりて)

7/23sun
文庫本持つ手細りて梅雨末期
  (ぶんこぼんもつてほそりてつゆまっき)
   ※朝晩はやや凌ぎやすい。特に朝早くは長袖
    の寝巻に替えてゆっくり読書が出来る。そ
    ういえば定期の検診でかかりつけ医から筋
    肉維持の大切さを説かれ、太腿の中頃を自
    分の両手で測ってみるように言われた。
    体重の減少は良くても、それが筋肉の減少
    によるものだったら問題ということらしい。

7/22sat
巴里祭終電車なる映画見し
  (ぱりーさいしゅうでんしゃなるえいがみし)
   ※フランス映画はいいなあ。監督フランソワ
    ・トリュフォーの描くカトリーヌ・ドヌー
    ブの円熟味だ。食傷気味のハリウッド映画
    の陰で・・・。

梅雨寒や明日は切らむ足の爪
  (つゆざむやあしたはきらんあしのつめ)

7/21fri
久闊や今日の炎暑を見舞い合う
  (きゅうかつやきょうのえんしょをみまいあう)

古い顔梅雨の晴れ間のともしらが
  (ふるいかおつゆのしらがのともしらが)
   ※「古い顔」という歌を、宴の最後に肩を組
    み輪になって歌う。前回から4年近く経っ
    ているから一同の老けはすごい。
    78~81歳だし当然のことだ。ホッとし
    ている。

7/20thu
夏帽子代々木駅から道険し
  (なつぼうしよよぎえきからみちけわし)

日盛りやゆるり集まる同期会
  (ひざかりやゆるりあつまるどうきかい)
   ※先日の東京猛暑日の昼日中、以前の勤務先
    の同期会に出席した。年齢を考慮しての正
    午開催なのだが、この日は裏目に。

7/19wed
門仲の居酒屋前に夏帽子
  (もんなかのいざかやまえになつぼうし)
   ※あの、有名な居酒屋は健在だろうか?午後
    5時少し前に店を開くのだが、その1時間
    前から行列が出来る。幸いアーケードの屋
    根で西日が当たることはない。しかし苦労
    して入店しても、カウンターの上に片方の
    肩を入れて立って飲むのだ。
    バカ安、バカ旨。

7/18tue
早起きの姐やにやさし白粉花
  (はやおきのねえやにやさしおしろいばな)

茄子の花日照りの下で父描けり
  (なすのはなひでりのしたでちちかけり)

7/16sun
噴火忌や観光バスの馬力増え
  (ふんかきやかんこうばすのばりきふえ)
   ※故郷の歳時記で磐梯山噴火忌を季語にした
    句を読んだ。明治21年7月15日、午前8時少
    し前とある。記憶にある最初の裏磐梯は急
    坂で息せき切ったバスに乗って到着した。
    毘沙門沼のエメラルド、他の五色沼の神秘、
    桧原湖の光り、5歳の子供にはこの世のも
    のとは思えなかった。噴火のお蔭とは!

7/13thu
年代の入りしウチワ古団扇
  (ねんだいのはいりしうちわふるうちわ)
   ※団扇を配ることがなくなってきているから
    古い団扇を大切にしている。比較的新しい
    もので年代が特定できるものがあり、昭和
    と分かってびっくり。35年以上も前。

7/12wed
家にいて四万六千日の夢
  (いえにいてしまんろくせんにちのゆめ)
   ※観音様の結縁日に参詣すると四万六千日分
    の功徳があるというコスパ抜群のお話。こ
    のことは知っていたのだが、これが鬼灯市
    の日取りと同じとは気づかなかった。田舎
    者だねえ。

7/10mon
息ひそめ西瓜の受粉日の始め
  (いきひそめすいかのじゅふんひのはじめ)
   ※不順な気候に人間世界はやり込められ続き
    だが、当地の作物は結構順調だという話を
    聞く。当家の畑作物、果樹もしかり、今の
    ところうまくいっている。

7/8sat
朝曇り入院せりと仔細なく
  (あさぐもりにゅういんせりとしさいなく)
   ※近くに住む親族が転倒して骨折3ヵ所。最
    悪上手く回復しなければ車椅子ということ
    も。しばらくは落ち着かない日々となりそ
    う。

7/6thu
夏帽子やっと小さくなりし顔
  (なつぼうしやっとちいさくなりしかお)
   ※雷雨と俄雨が続いたが、蒸し暑い晴れ間に
    戻った。頃は7月、梅雨明けは待たずに夏
    の道具を少しだけ。一番大きな麦わら帽子
    で、帽子の似合わぬ、でかい顔が・・・。

7/5wed
七月や九州の雨上がらざる
  (しちがつやきゅうしゅうのあめあがらざる)

上海の夏エアコンの止まらずと
  (しゃんはいのなつえあこんのとまらずと)

ウクライナ西日戦慄じりじりと
  (うくらいなにしびせんりつじりじりと)

7/4tue
真夜中の雷怖さ伝え得ず
  (まよなかのかみなりこわさつたええず)
   ※関東の急な強雨と雷の発生はずうっと北関
    東から埼玉付近までに限られていた。しか
    し遂に今朝ニ時までの一時間に最大級の雷
    に襲われた。雷鳴その音と数、激しさ、落
    雷点の近さと数、継続時間・・・そのどれ
    をとっても「怖さ」では史上No1だ。
    さすが雷銀座生まれの雷、半端でない。

雷鳴や有り金参ると息殺し
  (らいめいやありがねまいるといきころし)

暗闇に白爪草の稲光
  (くらやみにしろつめぐさのいなびかり)

7/3mon
七月の句帳綴りて青インク
  (しちがつのくちょうつづりてあおいんく)

バスで行くお田植祭や弾んだ日
  (ばすでいくおたうえさいやはずんだひ)
   ※稲作の一毛作化に遠因があるらしいが、他
    に農業機械化、苗栽培の分業化、農薬によ
    る栽培短縮、早期刈入れでの台風時期の回
    避、ざっとこんな理由で田植えはぐうーん
    と早くなった。故郷でのお田植祭はすべて
    7月に入ってからだ。

7/2sun
球拾ふ弟の蹴り半夏生
  (たまひろうおとうとのけりはんげしょう)

腕を噛み上目遣いの犬の梅雨
  (うでをかみうわめづかいのいぬのつゆ)

7/1sat
暑しとて人犬床に熱帯夜
  (あつしとてひといぬゆかにねったいや)

短夜や薬効うすき犬の咳
  (みじかよややっこううすきいぬのせき)
   ※とはいえ、一応医師の所見と処方は貰ってい
    るがあてにはならないので、様々な咳止め対
    策を試している。ハチミツを舐めさせ、蓮根
    汁が効くといって濾して飲ませたり、最近は
    もっと安直に大根の汁がいいとか・・・。
    結構効いている、かと思うと思い切り咳き込
    んで、短夜はたちまち過ぎていく。
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ダクタク句集2023年(令和5年)6月 [ダクタク2023年6月]

6/30fri
鬘着けて新内流しの夏越しかな
  (づらつけてしんないながしのなごしかな)

友の家茅の輪の先の根津辺り
  (とものいえちのわのさきのねづあたり)

受けとりし賀状また読む夏越しかな
  (うけとりしがじょうまたよむなごしかな)
   ※若い頃から習慣がなかった「夏越し払い」。
    正月に貰った賀状をこの機会に読む。初見
    の当座はああもしよう、こうもしようとレ
    スポンスを考えた筈が、見事にそのままに
    なっている。まあいつものことだ。ところ
    が今年は夏越しの祓いで一歩だけ賢くなる。

6/29thu
野仏や六月記憶やや掠れ
  (のぼとけやろくがつきおくややかすれ)
   ※家内の誕生日をつい忘れ、三日も過ぎて気づ
    いた。やってしまった。何日か前まではちゃ
    んと覚えていたのに。
    予定や用事を書きこむカレンダーには一切メ
    モがないから底意地が悪い。しかしそれは口
    に出さずにぐっとこらえて息を呑む。

6/28wed
シューベルトの梅雨ホロビッツの皺の指
 (しゅーべるとのつゆほろびっつのしわのゆび)
  ※音楽を聴くメディアの変遷は振り返ればすさ
   まじい。その時々で違うメディアに集めまく
   った。特大のFMアンテナを張ってテープに録
   音、ビデオテープが主流になるとよせばいい
   のにこれに何百本。その間レコードとCDはコ
   ンスタントに買い続けた。それらは今価値ゼ
   ロではないにしても。
   今やネットでなにもかも安易に手に入る。少
   しお金をかければ音質も中の上ぐらいはいく。
   なにより昔敬遠したホロヴィッツの長い指が
   目の前でシューベルトを、スカルラッティを
   奏でる。

6/26mon
歌もれて公民館に傘多し
  (うたもれてこうみんかんにかさおおし)

梅雨晴れや元善光寺といふを知る
  (つゆばれやもとぜんこうじというをしる)

6/25sun
背を正す体操をして昼寝かな
  (せをただすたいそうをしてひるねかな)

髪洗ふ女しばしの昼寝かな
  (かみあらうおんなしばしのひるねかな)
   ※短い昼寝には珍しく夢を、しかも良い夢を
    見た。長い黒髪をしっかり洗う若い女が現
    れた。なぜか香しい匂いを感じていた。こ
    んな夢が自在に見れるのであれば、この、
    背の曲がった男の余生にも少しは彩りがあ
    ろうというものだが。それにしても今日の
    日中は蒸し暑かった。ああ、途端に現実が
    ・・・。

6/23fri
梅雨籠り無愛な男にて難し
  (つゆごもりぶあいなおとこにてかたし)

鉛筆を手探りおりし梅雨の朝
  (えんぴつをてさぐりおりしつゆのあさ)

梅雨寒や摘果の桃の香りかな
  (つゆざむやてきかのもものかおりかな)

6/22thu
夏至の日や豪雨とならぬ日々が過ぎ
  (げしのひやごううとならぬひびがすぎ)

故郷の歳時記梅雨に父に会う
  (ふるさとのさいじきつゆにちちにあう)
   ※昭和55年に編まれた、その名も「会津歳
    時記」。丁寧な作りで編集も行き届いてい
    る。父親の句が約50句ほど、採用されて
    いる。あの頃父親は句作低調、友人から叱
    咤の声があったのを知っている。父の句を
    味わうのにあまり冷静ではない。「もっと
    後に良い句があるよ」と言ってしまう。

6/20tue
大谷はワイパー梅雨の鬱屈を
  (おおたにはわいぱーつゆのうっくつを)

扇風機出した日豚をたんと食い
  (せんぷうきだしたひぶたをたんとくい)

6/19mon
子規の家漱石の家梅雨を行く
  (しきのいえそうせきのいえつゆをいく)
   ※明治28年子規は漱石のいない家を訪ね、漱
    石の結婚話の助けになろうとした。根岸か
    ら早稲田馬場下まで。遠いようで近い?
    ナビで測ったら7km弱、健脚なら90分。
    大喀血を経た子規は人力車で行ったか。
    明治人は行き来を苦にしなかった。
    その年の暮、子規はこんな句を残している。
     漱石が来て虚子が来て大三十日
     (そうせきがきてきょしがきておおみそか)

6/18sun
大雷雨集会所の戸閉める人
  (だいらいうしゅうかいじょのとしめるひと)

雨上がる何年ぶりの裸足の子
  (あめあがるなんねんぶりのはだしのこ)
   ※梅雨も悪いもんじゃない。街中の、住宅地
    の様々な光景に素直にふれることが多い。
    ランドセルをガバガバ揺らして裸足で家に
    帰る子・・・昔いたなァ。

6/15thu
扇風機出す日に豚をたんと買い
  (せんぷうきだすひにぶたをたんとかい)

青蜥蜴二日いて白く帰りたり
  (あおとかげふつかいてしろくかえりたり)

6/14wed
紫陽花や新しき画帳をおろす
  (あじさいやあたらしきがちょうをおろす)

紫陽花や紫と黄と青と水
  (あじさいやむらさきときとあおとみず)
   ※6月の絵画教室、画材はやっぱりアジサイ。
    持ち寄るのは自慢の西洋アジサイ。それを
    更に選ぶから、機嫌よく描くには程遠い豪
    華さとなる。ひっそりと咲く額アジサイも
    いいのにね、などとぼやいてみせて下手な
    絵となる。

6/13tue
ユリノキの花を見る雨の日三日
  (ゆりのきのはなをみるあめのひみっか)

夏沙羅の花は梅雨時露を抱き
  (なつしゃらのはなはつゆどきつゆをだき)

6/12mon
犬の咳やみてもいかに夏の朝
  (いぬのせきやみてもいかになつのあさ)

蓮実茶事まねて朝五時ボトル持ち
  (はすみちゃじまねてあさごじぼとるもち)
   ※飼い犬の体調が良くない日々が続き、持病
    の咳込みが重なって、夜中に苦し気にする
    ことがある。おさまると、そういう日に限
    って早朝の散歩を喜ぶ。睡眠不足でこっち
    がフラッとすることも。

6/11sun
梅雨寒や妻はチラシを畳まざる
  (つゆざむやつまはちらしをたたまざる)

6/10sat
梅雨の朝鉛一色動かざる
  (つゆのあさなまりいっしょくうごかざる)
   ※何十年も前の北海道勤務の時、同じ6月の頃、
    梅雨はないという北海道、確かに梅雨らしい
    降雨はなかった。しかし来る日も来る日も重
    たい曇り空が続いた。梅雨空はあった。
    あの鉛の空の連続は若者には重たかった。

6/9fri
一文字も書かず候ふ梅雨に入る
  (ひともじもかかずそうろうつゆにいる)
   ※「今日は朝からなにも書いていない、読んで
    もいない」と書いている漱石の葉書があった。
    今日はそんな日、関東梅雨入り。

梅雨入りや亡母の誕生日を忘れ
  (つゆいりやははのたんじょうびをわすれ)

6/7wed
ビール飲んでやがてはつのる折節を
  (びーるのんでやがてはつのるおりふしを)
   ※先日5/17の東京行続き。打ち上げ。
    ビールも2杯も入ったところで、3年半ぶり
    の割には・・・通常の話だったなァ。孫がど
    うの、膝が痛いの、とか。そこがいい。
    友人の打ち上げの句が
     「夏の灯やここがと脚をさすりけり」
    (なつのひやここがとあしをさすりけり)
     「願わくは今しばらくの息災を」
    (ねがわくはいましばらくのそくさいを)

6/6tue
梅雨近し物皆上がるという暮らし
  (つゆちかしものみなあがるというくらし)
   ※戦争の影響の一つが物資不足、価格高騰とな
    って世界に蔓延している。実質上の負を「補
    償」するための賃金上昇、足りないとか言う
    が、この「補償」のためのアクションが方々
    でやってもよくなったことが最大の変革にな
    る。不足でもいい、過剰もいい、便乗でもい
    い、名目がすべて上がる。
    この戦争、実は日本が仕組んだのかも。

風吹くも西瓜本葉の伸び盛り
  (かぜふくもすいかほんばののびざかり)

6/4sun
交番でファミレスたずね夏帽子
  (こうばんでふぁみれすたずねなつぼうし)
   ※早稲田界隈の土地勘もはやゼロ。居酒屋もま
    まならず、いっそファミレスならと交番に飛
    び込む。正解。冷たい生ビールがすぐそばで
    待っていた。

6/3sat
妻と子に文豪端居する山房
  (つまとこにぶんごうはしいするさんぼう)
   ※広い家で弟子たちの出入りも多かった。漱石
    のやや潔癖すぎる神経症的性格からすれば亭
    主関白を予想できるが、漱石家の主導権はや
    っぱり妻子側に合ったのではないか? まと
    もに戦をするのも馬鹿げていると端居するこ
    とも多かったのでは? こちらの想像の方が
    ずっと楽しい。

6/2fri
硝子戸に青く蚊遣りの登りたる
  (がらすどにあおくかやりののぼりたる)

白地着て認めたらむ巻の文
  (しろじきてしたためたらんまきのふみ)
   ※先日の東京行続き。漱石山房記念館。
    2017年に漱石最後の住まいを旧居跡に復
    元したもの。空襲で焼失したのだが、弟子が
    疎開させた書籍類、住居図面、写真、資料等
    をもとに畳敷きの書斎を復元している。
    筆まめだった漱石の巻紙の手紙や当時の手紙、
    原稿類などが展示されている。

6/1thu
暑き日や漱石が街迂回せり
  (あつきひやそうせきがまちうかいせり)
   ※先日の東京行続き。
    コロナ禍を挟んで3年半ぶり。今回は出掛け
    て、会って、喋ることが何よりの目的なのだ
    が、早稲田に出来た「漱石山房記念館」に立
    ち寄ることでコース選定をした。ところが街
    歩きが予想より長時間に及び、クソ暑かった
    ことで夏目坂に着くころにはへたへたになっ
    た。生家跡、菩提寺、買い物をしただろう路
    地の店とか「漱石が街」はカットして記念館
    に直行することに。なに、何々跡と書いたも
    のがあるだけだから。
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ダクタク句集2023年(令和5年)5月 [ダクタク2023年5月]

5/31wed
友堂々50号の絵梅雨に入る
  (ともどうどうごじゅうごうのえつゆにいる)
   ※友人からの案内で地域絵画グループの美術展
    を見に行った。なかなかどうして手管の面々、
    圧倒された。うなだれて雨模様の中を帰って
    きた。

5/30tue
片陰もなき牛込の柳町
  (かたかげもなきうしごめのやなぎちょう))
   ※先日の東京行続き。
    あの日は背中がじりじりと季節外れの真夏日。
    好きで歩いているとはいえ、一時間休みなし
    というのはやや危険。わかってはいるけど・
    ・・ほう、ここは東京女子医大のすぐ近くだ。
    安心。

白靴で夏目通りよ坂の街
  (しろぐつでなつめどおりよさかのまち)

5/29mon
手拭いを職人風に豆の飯
  (てぬぐいをしょくにんふうにまめのめし)

薬の日どくだみ抜く手てぬるかり
  (くすりのひどくだみぬくててぬるかり)

5/28sun
ランドセル開いたままの子走り梅雨
  (らんどせるあいたままのこはしりづゆ)

西瓜苗植うるに場所の狭まりて
  (すいかなえううるにばしょのせばまりて)
   ※家庭菜園でも連作障害を避けるために知恵
    を絞る。スイカはウリ科、好みの野菜がワ
    ンサとある。4,5年間を空けよとなると
    相当に大変。 

5/26fri
走り梅雨ブラ翁が間奏曲よ
 (はしりづゆぶらおうがかんそうきょくよ)
   ※日ごとの天気の変化、寒暖の差が激しい。
    梅雨も近い。ブラームス親方をブラ翁と称
    し、型にはめようとする無理。句を作る者
    が味わう快感。

5/25thu
緑陰に人や自在に神楽坂
  (りょくいんにひとやじざいにかぐらざか)
   ※先日の東京行続き。
    年に一度のフィエスタが近いとあって、坂
    のそこかしこで関係の人がたむろしている。
    久しぶりの都会の街と人。

日盛りやただ黙々と坂の道
  (ひざかりやただもくもくとさかのみち)
   ※暑いというのに遠回りして坂の途中から大
    久保通りに左折。牛込を経由し市谷を掠めて
    北上、目標の一つ、夏目坂に向かう。
    ただ歩く、これがいい。東京の普通の道を。

5/24wed
毘沙門天賽銭の音友の息
  (びしゃもんてんさいせんのおととものいき)
   ※先日の東京行続き。
    神楽坂を上ると中ほど左手に善国寺がある。
    地域では「毘沙門さま」と呼ばれていると
    か、山の手七福神の一つ。日傘が集ってい
    る。神楽坂は日影が多く、酷暑?の中、こ
    こまでは出足快調だ。

5/23tue
電車今夏の帽子を膝に置く
  (でんしゃいまなつのぼうしをひざにおく)
   ※先日の東京行。電車に乗るのさえ多少興奮し
    ている? それほど久しぶりの出来事。

駅頭は久闊よりも暑さかな
  (えきとうはきゅうかつよりもあつさかな)

5/22mon
麦秋はこの地ここだけ夫婦いる
  (ばくしゅうはこのちここだけふうふいる)

莢豌豆手疲るほどの地の恵み
  (さやえんどうてつかるほどのちのめぐみ)
   ※都会をゆっくり味わい、疲れるほどに歩いた
    が、住まいへの帰巣本能が以前より強い。
    歳のせいもあり、またコロナ禍で寸断された
    都会への思いのせいもあろう。

5/21sun
AIの変革にいるか夏木立
  (え-あいのへんかくにいるかなつこだち)
   ※ほんのしばらくの間で世界中の話題になって
    いる生成AI。良いにつけ悪いにつけ影響を
    まともに被る世代ではない。したがって急速
    な大変革とはいえ、その動きを劇場で味わっ
    ている気分だ。今や出し物としては戦争を凌
    ぐかも。

5/19fri
Тシャツの長き横文字夏来たる
  (てーしゃつのながきよこもじなつきたる)

雨上がる緑の重さ薄暑かな
  (あめあがるみどりのおもさはくしょかな)

5/17wed
薫風や三年見ぬ間の濠の駅
  (くんぷうやみとせみぬまのほりのえき)
   ※気の合った仲間との、三年ぶりの歩き会は真
    夏日の昼下がりの神楽坂に集合した。暑い。
    想定外の「決死行」となった。

5/16tue
風薫る休場明け後の二連勝
  (かぜかおるやすみあけごのにれんしょう)
   ※横綱の両膝のサポーター、単なるテーピング
    ではなくてなにやら角ばったガード材がそこ
    を覆っている。きょうも明日も横綱を応援し
    ている。結果勝ちであればいい。

5/15mon
夏来たる無愛想なる街もよし
  (なつきたるぶあいそうなるまちもよし)
   ※テレビも他のメディアも、また街に出れば商
    店も通りも、東京も地方も「ターゲットは若
    者」とりわけ「Z世代」とか。
    これイコール落ち着かない世の中だ。
    こびちゃいけない。

5/14sun
青嵐打ち捨てられし苗の青
  (あおあらしうちすてられしなえのあお)
   ※当地の田植えは大半が四月中に終わっている
    が、何の品種かもち米か?半月も遅れて田植
    えをした。使いようがない、残った苗の山。

5/13sat
山法師の白は濁手爺の家
  (やまぼうしのしろはにごしでじじのいえ)
   ※ヤマボウシの花が咲き始めている。いつも通
    る家のそれはもう半ばを越えている。しかも
    その白色は実に深い色をしている。家ごとに
    木ごとに白が違う気がする。

5/12fri
聖五月戴冠式に仔細あり
  (せいごがつたいかんしきにしさいあり)

サツマイモ植えず三日の雨続き
  (さつまいもうえずみっかのあめつづき)

5/11thu
芍薬は画材見事な見得を切り
  (しゃくやくはがざいみごとなみえをきり)
   ※今朝4時過ぎ当地を震度5強の強い揺れが襲
    った。人生で初めての5強を体験、その最中
    これが更に強くなったら・・・首都直下地震
    ではないか?の強い恐怖に捕らわれた。
    見舞いのメールなどを受信し、一息ついたの
    は約一時間後。

5/9tue
細き棒ギブスの中を夏に入る
  (ほそきぼうぎぶすのなかをなつにいる)
   ※知人が自分の庭で転倒し踝を骨折した。齢を
    重ねての骨折は時に大変なのだが、時間はか
    かるが完治できる見通しだ。ギブスに合った
    木の棒をプレゼントした。大いに感謝された。

5/8mon
春惜しみ上野の山をただ抜ける
  (はるおしみうえののやまをただぬける)

角曲がる都電見下ろし暮れかぬる
  (かどまがるとでんみおろしくれかぬる)
   ※晩春という言葉にある郷愁を感じるのだが、
    自分の体験と小津安二郎の映画の記憶とが混
    然となって境目が妖しくなってことにも原因
    がある。不甲斐ない自分の記憶力にがっかり
    はするものの、悪い気分ではない。
    春をじっくり惜しむほど情緒のある人間では
    ない。なぜか浮かんでくるのは、言問通りか
    らがら芸大の裏手に上がって、ただ御徒町方
    面に上野の山を突っ切ってくる。もう一つは
    王子駅付近で都電が直角に曲がるあたり、近
    くには飛鳥山がありこの辺もサクラがあった。
    広い道路をまたぐ横断歩道の上から飽かずに
    眺めている。どちらも夕暮れ近く。

草の山と鎌を眺めつ春惜しむ
  (くさのやまとかまをながめつはるおしむ)

5/6sat
芋植うる今日は二畝ばかりなり
  (いもううるきょうはふたうねばかりなり) 

磯茶屋の大椀どっと浅蜊汁
  (いそじゃやのおおわんどっとあさりじる)

5/5fri
チェーホフは春の日そして春の夕
  (ちぇーほふははるのひそしてはるのゆう)
   ※午前中はゆっくり読書と新聞、午後は晴れの
    強風の中畑に駆り出される。行く春を惜しむ、
    どころか黄砂混じりの風の中、サツマイモを
    植える準備をする。今年はちゃんと黒マルチ
    を張って50本植える予定。ちゃんとやるに
    はやはり私の出番。

5/4thu
住職を庭師とまがふ日永かな
  (じゅうしょくをにわしとまがうひながかな)

団地の子女子が率いて日永かな
  (だんちのこじょしがひきいてひながかな)

5/3wed
峠越え八十八夜の歯科通い
  (とうげこえはちじゅうはちやのしかがよい)
   ※家内が歯茎の治療に難渋し、腕の良い口腔
    歯科を求めて隣市の医院を紹介してもらっ
    た。国道沿いで行くと遠くなり、山越えの
    ショートカットを選んで連れて行く。
    それにしても遠い。午後の予約で行くと午
    後一杯取られてしまう。

5/2tue
忌野忌木の間隠れの清志郎
  (いまわのきこのまがくれのきよしろう)
  ※快晴。木漏れ日を浴びながら草むしり。新たに
   入手したイヤホーンで清志郎を聴く。
   フーン・・・いいなあ。いいのは清志郎であっ
   て、値段の割にイヤホーンはだめ。それとも、
   スマホ越しの音ってこんなものか?

5/1mon
句日記や苦あり楽あり柿若葉
  (くにっきやくありらくありかきわかば)
   ※誰にも見てもらっていないという前提なれど
    も、出来ればコンスタントに自分が満足する
    句を作りたいと思う。
    そのための強制力の一つがこのブログだ。始
    めた以上自分で恥ずかしい句は見せられぬ、
    決めて開店休業とはいかぬ、と。
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ダクタク句集2023年(令和5年)下期 自選集 [自選集2023]

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2023年9月分コピー済 未選定

9/28thu
待宵や縦が良く合うお城かな
  (まつよいやたてがよくあうおしろかな)
   ※涼しくなったのも束の間、じりっじりっと
    気温が上がり今日はそのピーク。実は東京
    での会合を直前で延期した。賢かった。

9/24sun
喜捨の鐘二度目が寺の秋にしむ
  (きしゃのかねにどめがてらのあきにしむ)

僧招く胎蔵界に寺の秋
  (そうまねくたいぞうかいにてらのあき)
   ※こうも変わるものか? 昨日今日の最高気
    温は少し前までの最低気温にも及ばない。

9/22fri
風水のおとなしき地に秋めぐり
  (ふうすいのおとなしきちにあきめぐり)

曼殊沙華時期を違えず異夏消ゆ
  (まんじゅしゃげじきをたがえずいなつきゆ)
   ※どうやら異常な夏の終わりが近づいている。
    この地も暑さはひどく、色んな影響を被っ
    たが、風水害の被害は今のところ皆無に近
    い。28年になるこの地、有難いと思う。

9/18mon
モーツァルト秋はロンドか今日涼し
  (もーつぁるとあきはろんどかきょうすずし)
   ※各地の最高気温は相変わらず夕方のニュー
    ス種になっている。しかし今夕の涼しさは
    どうだ。湿度が低かったのだろうけれど、
    格段に秋を感じる気配だ。ただありがたや
    という気分。今日敬老の日。

9/17sun
本を繰る腕の涼しさ秋の朝
  (ほんをくるうでのすずしさあきのあさ)
   ※異常な高温の継続に、朝寝床での読書が快
    適になることを願っていた。一日やや涼し
    い日があり、しかしすぐ戻る。

9/15fri
石段に水つつしみて風の盆
  (いしだんにみずつつしみてかぜのぼん)

風の盆地方の声の手練れかな
  (かぜのぼんじかたのこえのてだれかな)

風の盆今年地方に聞きほれて
  (かぜのぼんことしじかたにききほれて)
   ※風の盆の季節、今年もテレビで見物した。
    4Kの充実した番組を満喫できた。とはいえ、
    どこの会場だったか? 上の街と下の街を
    繋ぐ長い石段があって、そこが格好の見物
    場所となり、下の広場がおわらの会場にな
    っていた。羨ましいと思った。
    男踊り、女踊り、いつも結構。比較的新し
    いという男女混合の振りも良かった。あそ
    こで見たいものだと思った。トイレが難し
    いかな、とも思った。

9/11mon
盆地秋記録的なる雨吸いて
  (ぼんちあききろくてきなるあめすいて)
   ※会津若松もかなりの雨にたたられた。この
    夏で言えば高温の記録も。新潟県の各地と
    同様、全国版のニュースにも現れた。

9/10sun
参道に婆の店あり風の秋
  (さんどうにばばのみせありかぜのあき)
   ※外房鴨川市の海岸国道から少し山に入った
    ところに清澄寺がある。日蓮が修行した古
    刹で、古くからの道場寺だった。日蓮が大
    成した後は聖地扱いの古寺となった。
    何十年も前独身時代、ドライブで近くまで
    行くと必ずここに寄った。参道にあったお
    ばさんの土産物店で世間話をするためだ。
    今もあるかな?と錯覚した。

9/8fri
北向きの銀行そそと颱風過
  (きたむきのぎんこうそそとたいふうか)
   ※市内に或る銀行の古手の支店がある。小さ
    な構えだが壁柱の石造りは古風で立派なも
    のだ。軽さと歯抜けが目立つ通りでは静か
    に評判を呼んできたが、もう取り壊される
    かも? 

9/7thu
草刈りて刈りて終わりし良夜かな
  (くさかりてかりておわりしりょうやかな)

この涼をひたすら待てり良夜かな
  (このりょうをひたすらまてりりょうやかな)

9/6wed
すんなりと起き上がってぞ今朝の秋
  (すんなりとおきあがってぞけさのあき)
   ※今朝早くから小雨が降って気温が下がった。
    起床時の「起動」も実に滑らかにいった。
    横になっていて、起き上がりざまの足腰の
    動きが多少重くなって久しい。最近はゆっ
    くり丁寧にやるようにしている。

9/5tue
集会所秋のバリウム列をなし
  (しゅうかいじょあきのばりうむれつをなし)
   ※胃ガンの検査、今年は市の中心近くの施設
    に赴いてではなく、各地区を廻る検診バス
    の世話になった。近いのはいいが、小さな
    列には見知った顔も。いいような悪いよう
    な・・・。素朴に健康。

9/4mon
ロレンスの沙漠の疾駆秋の色
  (ろれんすのさばくのしっくあきのいろ)
   ※何回目か、この映画をまた見た。今回は家
    のテレビで。今回が一番いい心持と素直に
    見ようという意思を持って。
    だから今回が一番いい感想だ。いや、やっ
    ぱり初めての時かな? いい勝負。感想の
    中身がちょっと違うかな。

9/2sat
子のマスク陽性となる夏の暮れ
  (このますくようせいとなるなつのくれ)
   ※コロナ感染者が相当増えているという。周辺
    でも陽性者が出て母親がびっくり、というの
    があった。これはきっと良いことなのだろう
    が、病院も患者側もさばさばとしていたと聞
    いた。

9/1fri
震災忌この地の震度六を知る
  (しんさいきこのちのしんどろくをしる)
   ※さしもの猛暑も地軸の傾きには抗しきれない。
    気温は下がらないが、朝夕の日影の広がりが
    日一日と変化している。
    首都直下大震災、対岸の火事にはならない。
    房総半島の共振範囲は微妙だが、この地の被
    災は免れないようだ。



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8/31thu
緑陰の影濃しすでに客があり
  (りょくいんのかげこしすでにきゃくがあり)

八月尽危険な暑さをかみしめる
  (はちがつじんきけんなあつさをかみしめる)
   ※これだけの暑さは異常という、歴史的とも
    いう、これからは何度も、とも。かみしめ
    ておくにしくはない。

8/29tue
旱天や実のなる木だけ水をやる
  (かんてんやみのなるきだけみずをやる)
   ※庭の果樹に関する限り、この暑い夏、日照
    りに恨みはない。もも、プラム、ぶどうと
    この間に収穫した果樹は皆例年よりかなり
    成績が良い。
    残るは柿と温州みかん、大切なこの時期実
    のつきは悪くない。素人の遊びの域を出な
    いが、悪くない気分。

8/28tue
次々とポッケから栗あげるとぞ
  (つぎつぎとぽっけからくりあげるとぞ)

栗飯のすでに香りが電話口
  (くりめしのすでにかおりがでんわぐち)

8/27sun
上弦の月に邯鄲酔いしれて
  (じょうげんのつきにかんたんよいしれて)
   ※月末から来月にかけての気温の予報も平年
    より高いとある。意外と朝晩のしのぎやす
    さがやってきて、裏をかいてくるかも。

8/26sat
絵を見せてやがて名を訊く酷暑なり
  (えをみせてやがてなをきくこくしょなり)
   ※75歳を超えると3年に一回認知症機能検査
    を受けさせられる。今日は何曜日?とかの
    試験と16枚の絵の名前を憶えているかどう
    か? 必要性は理解できるが、その代わり
    何千円でいいから金を払え! この無礼者!
    (逆に8000円ほど払わせられる)

8/25fri
一文字も書かず読まずに青芭蕉
  (ひともじもかかずよまずにあおばしょう)
   ※暑さの余り、3ヵ月前に訪れた漱石記念館
    を思い出した。こんな日も意外と風が通る
    涼しい家だったのかも知れない。とはいえ
    酷暑の日だったら、なんにもしないで終日
    ベランダから青芭蕉を眺めていたかも。

8/24thu
免許再た手続きしたる晩夏かな
  (めんきょまたてつづきしたるばんかかな)
   ※免許の更新は認知症試験を伴う。試験の内
    容、合否のラインには全く問題ないが、愉
    快なことではない。
    それに季節、晩夏であって欲しい。

8/23wed
洗い鯉好みし亡父の歳越えて
  (あらいごいこのみしちちのとしこえて)
   ※鯉の洗いは今の身の回りでは殆ど目にしな
    い。暑い中では、酢味噌でいただく懐かし
    い味だ。調べたら千葉県内でいくつか食す
    る場所があった。印旛沼周辺、養老渓谷と
    か。少し北の山間の味ではないみたい。

8/21mon
SLの汽笛サービス蝉時雨
  (えすえるのきてきさーびすせみしぐれ)
   ※甲子園の準決2試合を見る。
    ついでにYouTubeで磐越西線を走る観光列
    車の「雄姿」を久しぶりに見た。未だに元
    気だ。(当たり前、アップされたのは10
    年ほど前だ)

8/20sun
盆明けて深夜に重きカバン押す
  (ぼんあけてしんやにおもきかばんおす)
   ※海外からの帰国者がピークと聞いたが、リ
    ムジンバスの通りでもあるまいし、まして
    深夜だ。すごい音だ。
    ハハーン、旅行をしたカップルが喧嘩をし
    て家近くの道路で放り投げられた、ナ?
    きっとそうに違いない。

8/19sat
夏の果て雲の形を調べ居ぬ
  (なつのはてくものかたちをしらべいぬ)
   ※ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ秋の雲
    らしいのが現れた。が、秋の雲ではない。
    似て非なるものだ。関東南部の当地では空
    に雲が広がると、それで多少涼しく感じる。
    秋を感じる。これは末期的感覚!

8/18fri
朝涼し小鳥に吾にパンの耳
  (あさすずしことりにわれにぱんのみみ)

盆明けの会議紛糾夕まぐれ
  (ぼんあけのかいぎふんきゅうゆうまぐれ)
   ※会議の構成は半数以上がシニアなのに、意見
    が二つに割れて、それを訳ありと勘繰った一
    部が同意見の者を糾合して変に硬化してしま
    った。結果的な分断の状態ではある。
    まあ今日は甲子園が休みだからいいようなも
    のの・・・。

8/16wed
温湯なり夏のしまい湯動かざる
  (ぬるゆなりなつのしまいゆうごかざる)
   ※台風7号は報道のわりにすんなり近畿を通過
    してしまうのかと思いきや、方々に深刻な爪
    痕を残しつつある。殊に鳥取の各河川はひど
    い状況らしい、湯につかりながらラジオを聴
    いている。

8/15tue
主人なす大提灯の盆支度
  (あるじなすおおちょうちんのぼんじたく)
   ※故郷の盆の風物詩は商家の店先や元武家の
    民家の門口に吊るした家紋を入れた大提灯
    だ。全国共通の迎え火の光景は殆ど目にし
    なかった。京都と西日本の城下町の中に同
    じ盆の風習があるといわれる。

8/14mon
明けやすし咳き込む犬の名を呼べり
  (あけやすしせきこむいぬのなをよべり)

水羊羹伯母のいつもの持たせかな
  (みずようかんおばのいつものもたせかな)

8/13sun
糖尿値ラジオ体操だけでなく
  (とうにょうちらじおたいそうだけでなく)
   ※定期の診察でかかりつけ医から長らく観察
    を続けているHgA1cがやや危険側に向かい
    つつあるとの託宣を受けた。これは衝撃だ
    が想定の範囲内でもある。
    さて朝起床時からおこなっている体操、運
    動組み合わせの各種「割引」をやめようと
    思う。

8/11fri
夏の朝おしゃべり止めよとはいえず
  (なつのあさおしゃべりやめよはいえず)

気まぐれの昭和のタイマー風くれぬ
  (きまぐれのしょうわのたいまーかぜくれぬ)

8/10thu
蝉しぐれ友のポリープ皆消えて
  (せみしぐれとものぽりーぷみなきえて)

張りあふてあげてはもらい日々西瓜
  (はりおうてあげてはもらいひびすいか)
   ※ガソリン代のかかった西瓜、ドヤ顔で届け
    たら、帰りに西瓜を貰ってきた。これが甘
    い。すごい。

8/9wed
白服を着て半日は汗かかず
  (しろふくをきてはんにちはあせかかず)
   ※立派な服ではない、真白なTシャツに白い
    散歩用ズボンだ。今日長崎原爆忌、台風の
    影響が心配。

8/8tue
真空のパック新茶の香り立つ
  (しんくうのぱっくしんちゃのかおりたつ)
   ※新茶は初夏の季語。真空パックは四季の季
    語。有名な虚子の句
     「方丈に今とどきたる新茶かな」

8/7mon
心太もひとつ所望して盛夏
  (ところてんもひとつしょもうしてせいか)
   ※グテーレスが「地球は『沸騰期』に入った」
    と。

窓放ち毎夜の仕度熱帯夜
  (まどはなちまいよのしたくねったいや)

8/6sun
原爆忌同じ齢とつぶやけり
  (げんばくきおなじよわいとつぶやけり)

イヤホンで広島の鐘を聴きいたり
  (いやほんでひろしまのかねをききいたり)

広島のしじまを知りて原爆忌
  (ひろしまのしじまをしりてげんばくき)

静寂とは蝉の声なり原爆忌
  (しじまとはせみのこえなりげんばくき)

8/5sat
よれよれのTシャツ着たき大暑かな
  (よれよれのてぃしゃつきたきたいしょかな)

盛夏かな残せし長き映画見し
  (せいかかなのこせしながきえいがみし)
   ※酷暑と言われる夏も悪いことばかりではな
    い。見たい映画の在庫が大いに捌けた。し
    かも大して罪悪感なしに。

8/4fri
夏だ夏朝昨日よりもっと夏
  (なつだなつあさきのうよりもっとなつ)
   ※嫌われ者の猛暑だが、朝の澄んだギラギラ
    は夏のエネルギーそのもの。日々の散歩コ
    ースだが、今日も記憶に残る光景だ。

炎昼や妻マージャンにデイのごと
  (えんちゅうやつままーじゃんにでいのごと)

向日葵は見下ろしており件の絵
  (ひまわりはみおろしておりくだんのえ)

8/3thu
初ぶどう飴色となりぶら下がり
  (はつぶどうあめいろとなりぶらさがり)

戦やまず今年のトマト外れなし
  (いくさやまずことしのとまとはずれなし)

向日葵や沖縄は風六十五
  (ひまわりやおきなわはかぜろくじゅうご)

8/2wed
雷の来て一日の涼くれり
  (かみなりのきていちにちのりょうくれり)

プラム落ちて無事に道路を横切りぬ
  (ぷらむおちてぶじにどうろをよこぎりぬ)
   ※プラムの出来も今年は今までで最良。ぎり
    ぎり完熟まで待ってお裾分け。

8/1tue
過去になき気温上総の日照りかな
  (かこになききおんかずさのひでりかな)

喜雨はまずにおいとけむり畑道
  (きうはまずにおいとけむりはたけみち)
   ※8月に入ってやっと雨が降った。量は今の
    ところ僅か、大気の不安定さからくる雷雨
    だけだ。長い日照りの後の降り始めの独特
    の気配。


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7/31mon
胃を切りし人声高く油照り
  (いをきりしひとこえたかくあぶらでり)
   ※友人知人の中に胃ガンで手術をした人が数
    人いる。進行度にもよるのだろうが、最近
    の何人かの方が予後が元気だ。表向きだが、
    こちらが面食らうほどの声で充実の暮らし
    ぶりを伝えてくれる人も。

7/29sat
苗売りのリヤカーが行く夢一夜
  (なえうりのりやかーがいくゆめいちや)
   ※こう寝苦しい夜が続くと寝なくてはという
    強迫観念は薄くなる。どうにでもなれと。
    家々を廻る物売りのリヤカーなど、おぼろ
    になって数十年もスキップすれば・・・。

7/28fri
子を褒める気持ちや桃の実がとれて
  (こをほめるきもちやもものみがとれて)
   ※今季は枝の剪定と実欠きを今まで以上にや
    ったことが功を奏し、見事な形の桃が数多
    く採れた。お礼肥えをしっかりとやる。

7/27thu
悔やむことルーチンとなり夜光虫
  (くやむことるーちんとなりやこうちゅう)
   ※今更悔やんでも何にもならない、もうとっ
    くにわかっていることだけれど。
    ははん・・・またやっている。制御不能。

7/26wed
皇后のアガパンサスよ巨き愛
  (こうごうのあがぱんさすよおおきあい)
   ※7/24の誕生花はアガパンサスだった。花言
    葉は純粋な愛。当家のアガパンサスもすぐ
    隣家のそれも、背が高い。他所で見るより
    背が高い。何故か雅子皇后を思った。
    最近の笑顔は良い。花言葉もぴったり。

7/25tue
AIに画像使えと大暑かな
  (えーあいにがぞうつかえとたいしょかな)
   ※生成AIの開発をめぐっての議論が世界的規
    模でまっことかまびすしい。大きな懸念、
    論点の一つが著作権侵害にかかわる問題だ。
    LLCがどこからどの範囲でどう形をのこして
    情報を得るか? フフッ、高みの見物。

7/24mon
風鈴やつたなき句を短冊に
  (ふうりんやつたなきくをたんざくに)

オハグロの雨なき庭にとどまりて
  (おはぐろのあめなきにわにとどまりて)

7/23sun
文庫本持つ手細りて梅雨末期
  (ぶんこぼんもつてほそりてつゆまっき)
   ※朝晩はやや凌ぎやすい。特に朝早くは長袖
    の寝巻に替えてゆっくり読書が出来る。そ
    ういえば定期の検診でかかりつけ医から筋
    肉維持の大切さを説かれ、太腿の中頃を自
    分の両手で測ってみるように言われた。
    体重の減少は良くても、それが筋肉の減少
    によるものだったら問題ということらしい。

7/22sat
巴里祭終電車なる映画見し
  (ぱりーさいしゅうでんしゃなるえいがみし)
   ※フランス映画はいいなあ。監督フランソワ
    ・トリュフォーの描くカトリーヌ・ドヌー
    ブの円熟味だ。食傷気味のハリウッド映画
    の陰で・・・。

梅雨寒や明日は切らむ足の爪
  (つゆざむやあしたはきらんあしのつめ)

7/21fri
久闊や今日の炎暑を見舞い合う
  (きゅうかつやきょうのえんしょをみまいあう)

古い顔梅雨の晴れ間のともしらが
  (ふるいかおつゆのしらがのともしらが)
   ※「古い顔」という歌を、宴の最後に肩を組
    み輪になって歌う。前回から4年近く経っ
    ているから一同の老けはすごい。
    78~81歳だし当然のことだ。ホッとし
    ている。

7/20thu
夏帽子代々木駅から道険し
  (なつぼうしよよぎえきからみちけわし)

日盛りやゆるり集まる同期会
  (ひざかりやゆるりあつまるどうきかい)
   ※先日の東京猛暑日の昼日中、以前の勤務先
    の同期会に出席した。年齢を考慮しての正
    午開催なのだが、この日は裏目に。

7/19wed
門仲の居酒屋前に夏帽子
  (もんなかのいざかやまえになつぼうし)
   ※あの、有名な居酒屋は健在だろうか?午後
    5時少し前に店を開くのだが、その1時間
    前から行列が出来る。幸いアーケードの屋
    根で西日が当たることはない。しかし苦労
    して入店しても、カウンターの上に片方の
    肩を入れて立って飲むのだ。
    バカ安、バカ旨。

7/18tue
早起きの姐やにやさし白粉花
  (はやおきのねえやにやさしおしろいばな)

茄子の花日照りの下で父描けり
  (なすのはなひでりのしたでちちかけり)

7/16sun
噴火忌や観光バスの馬力増え
  (ふんかきやかんこうばすのばりきふえ)
   ※故郷の歳時記で磐梯山噴火忌を季語にした
    句を読んだ。明治21年7月15日、午前8時少
    し前とある。記憶にある最初の裏磐梯は急
    坂で息せき切ったバスに乗って到着した。
    毘沙門沼のエメラルド、他の五色沼の神秘、
    桧原湖の光り、5歳の子供にはこの世のも
    のとは思えなかった。噴火のお蔭とは!

7/13thu
年代の入りしウチワ古団扇
  (ねんだいのはいりしうちわふるうちわ)
   ※団扇を配ることがなくなってきているから
    古い団扇を大切にしている。比較的新しい
    もので年代が特定できるものがあり、昭和
    と分かってびっくり。35年以上も前。

7/12wed
家にいて四万六千日の夢
  (いえにいてしまんろくせんにちのゆめ)
   ※観音様の結縁日に参詣すると四万六千日分
    の功徳があるというコスパ抜群のお話。こ
    のことは知っていたのだが、これが鬼灯市
    の日取りと同じとは気づかなかった。田舎
    者だねえ。

7/10mon
息ひそめ西瓜の受粉日の始め
  (いきひそめすいかのじゅふんひのはじめ)
   ※不順な気候に人間世界はやり込められ続き
    だが、当地の作物は結構順調だという話を
    聞く。当家の畑作物、果樹もしかり、今の
    ところうまくいっている。

7/8sat
朝曇り入院せりと仔細なく
  (あさぐもりにゅういんせりとしさいなく)
   ※近くに住む親族が転倒して骨折3ヵ所。最
    悪上手く回復しなければ車椅子ということ
    も。しばらくは落ち着かない日々となりそ
    う。

7/6thu
夏帽子やっと小さくなりし顔
  (なつぼうしやっとちいさくなりしかお)
   ※雷雨と俄雨が続いたが、蒸し暑い晴れ間に
    戻った。頃は7月、梅雨明けは待たずに夏
    の道具を少しだけ。一番大きな麦わら帽子
    で、帽子の似合わぬ、でかい顔が・・・。

7/5wed
七月や九州の雨上がらざる
  (しちがつやきゅうしゅうのあめあがらざる)

上海の夏エアコンの止まらずと
  (しゃんはいのなつえあこんのとまらずと)

ウクライナ西日戦慄じりじりと
  (うくらいなにしびせんりつじりじりと)

7/4tue
真夜中の雷怖さ伝え得ず
  (まよなかのかみなりこわさつたええず)
   ※関東の急な強雨と雷の発生はずうっと北関
    東から埼玉付近までに限られていた。しか
    し遂に今朝ニ時までの一時間に最大級の雷
    に襲われた。雷鳴その音と数、激しさ、落
    雷点の近さと数、継続時間・・・そのどれ
    をとっても「怖さ」では史上No1だ。
    さすが雷銀座生まれの雷、半端でない。

雷鳴や有り金参ると息殺し
  (らいめいやありがねまいるといきころし)

暗闇に白爪草の稲光
  (くらやみにしろつめぐさのいなびかり)

7/3mon
七月の句帳綴りて青インク
  (しちがつのくちょうつづりてあおいんく)

バスで行くお田植祭や弾んだ日
  (ばすでいくおたうえさいやはずんだひ)
   ※稲作の一毛作化に遠因があるらしいが、他
    に農業機械化、苗栽培の分業化、農薬によ
    る栽培短縮、早期刈入れでの台風時期の回
    避、ざっとこんな理由で田植えはぐうーん
    と早くなった。故郷でのお田植祭はすべて
    7月に入ってからだ。

7/2sun
球拾ふ弟の蹴り半夏生
  (たまひろうおとうとのけりはんげしょう)

腕を噛み上目遣いの犬の梅雨
  (うでをかみうわめづかいのいぬのつゆ)

7/1sat
暑しとて人犬床に熱帯夜
  (あつしとてひといぬゆかにねったいや)

短夜や薬効うすき犬の咳
  (みじかよややっこううすきいぬのせき)
   ※とはいえ、一応医師の所見と処方は貰ってい
    るがあてにはならないので、様々な咳止め対
    策を試している。ハチミツを舐めさせ、蓮根
    汁が効くといって濾して飲ませたり、最近は
    もっと安直に大根の汁がいいとか・・・。
    結構効いている、かと思うと思い切り咳き込
    んで、短夜はたちまち過ぎていく。
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ダクタク句集2023年(令和5年)4月 [ダクタク2023年4月]

4/30sun
荷風忌や言葉あふれて街ゆれて
  (かふうきやことばあふれてまちゆれて)
   ※インバウンドの回復のニュースで浅草雷門周
    辺の雑踏が伝えられる。あそこにはすぐ横に
    交番があって、我慢強い優しい警察官が絶え
    ず笑顔で外国人に応対している。日本の若者
    の言葉らしき洪水もある。荷風卒倒。

4/29sat
春爛漫バラは匂いて吾無臭
  (はるらんまんばらはにおいてわれむしゅう)
   ※その昔顔は脂ぎって口の中、パンツの中、靴
    の中は蒸れて異臭があった。普段においてそ
    うだった。ところが今や匂いはないと人に言
    われる。優秀な女歯科医に出会ってからは少
    しのプラークもチェックされる。この10年
    超、自分の歯の数に異動はない。口臭もない。
    生きている証拠も急速に減っているというこ
    とか。

4/27thu
動画見てブドウの芽かきためらわず
  (どうがみてぶどうのめかきためらわず)
   ※動画投稿サイトもユーチューブ以外に様々あ
    るらしいが、DIY・修理・家事・野菜果実栽
    培・ガーデニングなどなど課題に広く応えて
    くれるのはユーチューブだろう。本件のテー
    マも関係のサイトが見きれないほどある。

4/26wed
しなやかな八十路の筆よ豆の花
  (しなやかなやそじのふでよまめのはな)
   ※どこが痛い、ここが痛い、もう歳だからダメ、
    とかいいながら筆を持たせると、対象をきり
    っと見つめ、力強く筆を滑らせる。絵画教室
    の師はまだ当分大丈夫だ。

4/25tue
新人の帽子は二つかげろへる
  (しんじんのぼうしはふたつかげろえる)
   ※中学校野球部でも新人は二人だけ? うち一
    人はつい先月までの小学生を思わせるチビ。
    今部活は曲がり角、顧問の教師の激務防止と
    やらで学校外から人材を呼んで運営や指導を
    委ねるという。さて・・・。そもそも学年二
    人ではチームがそのうち成立しなくなる。
    これは少子化対策か?

4/24mon
喜寿の春尾崎今なら同じ岸
  (きじゅのはるおざきいまならおなじきし)
   ※尾崎豊の歌特集でたっぷりと聴いた。しみじ
    みと繰り返し。

4/22sat
春の蚊や血を吸う知恵はなかりけり
  (はるのかやちをすうちえはなかりけり)

4/21fri
葱坊主貯めし雑草抜きにけり
  (ねぎぼうずためしざっそうぬきにけり)

学年の違う子らいる葱坊主
  (がくねんのちがうこらいるねぎぼうず)
   ※コロナ禍の制限された暮らしは畑仕事を増や
    したとか。周辺でもそれまでの庭を大胆に畑
    にした家が何軒か見受けられる。やせた葱坊
    主がクレイムを言いたがって・・・。

4/20thu
涅槃図や絵解きの僧の若返り
  (ねはんずやえときのそうのわかがえり)
   ※ペンライトを使うところは変わりないが、声
    が変わった、若い透き通るいい声だ。わかり
    やすい。だが、こちとら内容を理解したいと
    聴いているわけではない。嗄れ声のいつもの
    声の方が落ち着くしありがたい。死んだわけ
    じゃないだろう。

4/18tue
捻挫して常より見入るすみれ草
  (ねんざしてつねよりみいるすみれそう)
   ※家内が犬を曳いていて踏み外し、捻挫した。
    初め大層痛がったが、時間を置かず整形外科
    で診てもらい患部を固定した。これが奏功し
    軽くて済んだみたい。ほぼ全快。

4/17mon
大風のやみて間もなく浮かれ猫
  (おおかぜのやみてまもなくうかれねこ)
   ※時々吹きまくる大風が長いこと続いた。建物
    が揺れ撓るほどで睡眠には大敵。ようやく静
    かになったと思ったら、・・・猫の恋の始ま
    り? 早くないか? 温暖化?

4/16sun
外来の受付すれば青柳
  (がいらいのうけつけすればあおやなぎ)

4/14fri
角とれてと言われ久しく蕨餅
  (かどとれてといわれひさしくわらびもち)

4/13thu
屋根の鞠今も探して啄木忌
  (やねのまりいまもさがしてたくぼくき)
   ※ふとしたことで昔のことを思い出し、その前
    後のことまで妙に生々しく覚えていた、なん
    てことがある。啄木の故郷を思っての一首、
    「その昔小学校の柾屋根に
        我が投げし鞠いかにかなりけむ」

4/12wed
どの家も表札のごとハナズオウ
  (どのいえもひょうさつのごとはなずおう)

春愁や宅配人のほころべり
  (しゅんしゅうやたくはいにんのほころべり)

4/11tue
描きし絵の穏やかなれど徂春かな
  (かきしえのおだやかなれどそしゅんかな)
   ※絵画教室の会でOBの来訪があり、腕前の進
    歩と積極的な出展、入賞のことなど、大いに
    アオラレタ。なにこの歳になって、画家にな
    りたいわけじゃなし・・・とお決まりの言い
    訳はするものの、もう少し上手になってもと
    素直に願う気持ちや切なるものがある。

4/10mon
田植え機のギヤなめらかに父となる
  (たうえきのぎやなめらかにちちとなる)
   ※農業後継者の彼はまだ新米のうち。先日父親
    になったらしい。田植えは早くて1週間後、
    腕が鳴って仕方がないというところか?

4/9sun
山笑ふバイクは遅し郵便夫
  (やまわらうばいくはおそしゆうびんふ)

春巻を揚げて届けに手の温み
  (はるまきをあげてとどけにてのぬくみ)
   ※もらった筍の一部を春巻にし届ける。スマホ
    で時刻を確認し揚げたてを。

4/8sat
春爛漫愛想尽かしの果樹あれど
  (はるらんまんあいそづかしのかじゅあれど)
   ※一番遅いぶどうの木が芽吹き始めた。梅、桃、
    プラム、柿に続いてである。狭い土地に果樹
    を縦列に欲張って植えているせいか、昨年は
    殆どの木の収穫が落ち込んだ。対虫害では努
    力するもいずれも効なく終始した。ああ、と
    嘆息すること、今に引きずっている。

4/7fri
旅ごころ蠢き長く放哉忌
  (たびごころうごめきながくほうさいき)
   ※お金もないが、飼い犬がホテル・病院に預け
    にくい事情があるため、旅行は控えることが
    多い。コロナ禍で余計固まった感じ。

4/5wed
学校のサクラを望み湯屋はあり
  (がっこうのさくらをのぞみゆやはあり)
   ※御多聞にもれず、サクラと言えば城に学校で
    ある。小学校の桜並木を思い出していたら、
    ふと何のつながりもなしに近くに建っていた
    温泉会館なるものが頭に浮かんできた。これ
    も小学校も少し離れて故郷の川沿いにあった。
    温泉などではなく「沸かし」だったろう。
    70年ほど前のこと、あのころは農閑期の人
    々など家族連れが客だった。何年かで閉鎖し
    た。二階建ての、それらしくないモルタル塗
    りの白い建物だった。

4/4tue
龍一の音々さやか風光る
  (りゅういちのおとおとさやかかぜひかる)
   ※坂本龍一死去

4/3mon
毎日が今良しと推す山笑ふ
  (まいにちがいまよしとおすやまわらう)
   ※サクラの終盤になると背景の山々の若葉が輝
    き始める。昨日は今が一番いい時季だと思っ
    たが、今朝になると今日の方がもっと良くな
    ったと。

4/2sun
花びらはいつにも増して連翹忌
  (はなびらはいつにもましてれんぎょうき)

記念館は雪深くあり光太郎忌
  (きねんかんはゆきぶかくありこうたろうき)
   ※真冬に訪れた、高村光太路郎記念館は当時の
    厳しさそのままに花巻郊外にあった。藁ぶき
    の小さな一軒家、村はずれで隣家はない。
    大雪の中に見た、強烈な印象は今も鮮明であ
    る。光太郎忌はサクラ咲く、うららかな季節
    だが、思い出は常に雪に埋もれた、あの光景
    だ。したがって句は季重なりとなる。なに、
    構うものか。

4/1sat
桜散り桜餅食い四月馬鹿
  (さくらちりさくらもちくいしがつばか)
   ※今日は文句ない晴れ日。なんと言われようと
    午前中は桜吹雪を見に、午後は甲子園の決勝
    観戦だ。雑草が庭で背伸びして笑っている。

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ダクタク句集2023年(令和5年)3月 [ダクタク2023年3月]

3/31fri
酒倉は人呼ぶカフェに鳥曇り
  (さかぐらはひとよぶかふぇにとりぐもり)
   ※街がやさしく変貌すると言えば耳障りは良い
    が、街のいたるところでインバウンド向け、
    フリー客向けに変身するのはどうにもいただ
    けない。落ち着かない。
    通りの両側に高いオフィスビルやマンション
    が、目の高さにはいらっしゃいませの声。
    うんざりだ。

3/30thu
春たけなわ入道雲のようなもの
  (はるたけなわにゅうどうぐものようなもの)
   ※兄妹からなかなか良い電話が入った。積乱雲
    のような形がにょきにょきと立ちかけている。
    ちょいと歩くと汗がにじむような午後。

3/28tue
パスで行く博物館は花の道
  (ぱすでいくはくぶつかんははなのみち)
   ※その昔上野の国立博物館年間パスを持ってい
    た。驚くほど安かった。夏は勤務の後でも入
    れる閉館時間だったように思う。ちょいぶら
    っと見て御徒町まで歩く、それが良かった。

3/27mon
人ゆらり高き足場に花の風
  (ひとゆらりたかきあしばにはなのかぜ)

桜湯はサービスとありカフェの午後
  (さくらゆはさーびすとありかふぇのごご)
   ※雨がちな日が続き、当地のサクラはけなげに
    も少しも散らずにピークを迎えている。

尊氏の本心はどこ藪椿
  (たかうじのほんしんはどこやぶつばき)

3/26sun
目も耳も親譲りなり喜寿の春
  (めもみみもおやゆずりなりきじゅのはる)
   ※見た目は別としても、目も耳も鼻も歯や咽喉
    も、役割の面で今でも至極堅調である。親に
    感謝している。

春場所は気付けば楽日花の冷え
  (はるばしょはきづけばらくびはなのひえ)

3/25sat
待て待てと言葉緩めて春の雷
  (まてまてとことばゆるめてはるのらい)
   ※もう言葉を荒げる年齢でもない、とは思うも
    のの・・・。

汚すのも洗うのも雨土筆かな
  (よごすのもあらうのもあめつくしかな)

3/24fri
たんぽぽの絮飛ばすとき命燃え
  (たんぽぽのじょとばすときいのちもえ)

窓開けて歯科に客待つサクラかな
  (まどあけてしかにきゃくまつさくらかな)

声も歌もサクラに吸われデイの庭
  (こえもうたもさくらにすわれでいのにわ)

3/23thu
夕まぐれ野蒜の花が主演なり
  (ゆうまぐれのびるのはながしゅえんなり)
   ※3月は映画の賞の月。我が家の主演賞は断然
    花ニラ。地味で小さな花が夕方薄暗くなると
    庭中に冴えてくる。

3/21tue
木瓜の垣見知る主人の赭ら顔
  (ぼけのかきみしるしゅじんのあからがお)
   ※何年か越しの賜だろう、木瓜が棚いっぱいに
    咲き誇っている。比較的地味な花だから、そ
    の主人ともどもドヤ顔はしない。

3/19sun
春場所や贔屓力士の眉伸びて
  (はるばしょやひいきりきしのまゆのびて)
   ※WBCに選抜高校野球も始まり球春真っ盛り。
    相撲もと行きたいけれど休場相次ぎ、こちら
    は戦国下剋上・・・。

3/17fri
藪椿手折って土の瓶思い
  (やぶつばきたおってつちのびんおもい)
   ※椿らしくない、珍しいと思って、素焼きの花
    瓶にさし、スケッチ始めたまでは良かったが、
    上手に描けたと思った椿の絵がどうも椿に見
    えない。仲間も「これ椿か?」と不評。こち
    らは不満。・・・それもそのはず元々が椿ら
    しくないのだから。

3/16thu
もぐら塚生命力の霞みおり
  (もぐらづかせいめいりょくのかすみおり)
   ※国立科学博物館のもぐら研究の先生が話して
    いた。仕事の半分以上が動物の骨の標本作り
    であると。しかも標本作成には「3無」の特
    徴がある由。「無計画」「無目的」「無制限」
    にやるのだそうな。標本を多種、大量に持つ
    ことが将来の研究のなによりの基盤だ、その
    ためであると。なるほどとびっくり。
    今日も動物園から送られてきた動物の死骸、
    奄美で交通事故死したアマミノクロウサギの
    死骸に向き合う。

3/15wed
春時雨香り充溢今朝のパン
  (はるしぐれかおりじゅういつけさのぱん)
   ※薄暗い朝も許せる。

3/14tue
駅前の円墳にあり白木蓮
  (えきまえのえんぷんにありしろもくれん
   ※すれ違う白マスクの数はそんなに減っていな
    い。近くの駅では白が急増とか。

3/13mon
新設の波止は揺らいで眼張釣り
  (しんせつのはとはゆらいでめばるつり)
   ※次第に風が強くなる。午後は雨も。新しい波
    止は強風で揺れるのではないか、余計なお世
    話。

3/12sun
春霞五重塔の圓遊の
  (はるがすみごじゅうのとうのえんゆうの)
   ※圓遊の新作落語「五重塔から のっそり」を
    聴いた。良かった。露伴「五重塔」のスジに
    沿って、その空気を面白く上手に伝える。
    サクラ前でもいいから谷中を歩きたいものだ。

3/11sat
皺の手や三月十日の句が多く
  (しわのてやさんがつとおかのくがおおく)
   ※三月十日は東京大空襲で季語
    今日三月十一日は東日本大震災、これも季語

うららかや都電の車庫に音ありて
  (うららかやとでんのしゃこにおとありて)

3/10fri
春の夕ジムの灯りのみこうこう
  (はるのゆうじむのあかりのみこうこう)

呼吸器の音と点滅春の闇
  (こきゅうきのおととてんめつはるのやみ)
   ※アカデミー賞の発表が間近いからというので
    もないが、過去の受賞作「ミリオンダラー・
    ベイビー」を見た。以前にも見たが、今回も
    感動した。クリント・イーストウッドにモー
    ガン・フリーマンが揃い、ヒラリー・スワン
    クときたら、2005賞総なめもわかる。

3/9thu
青海苔やこんなのという男あり
  (あおのりやこんなのというおとこあり)
   ※今シーズンは地元木更津周辺の海苔も有明海
    の海苔もそれぞれ違った原因で不漁となって
    いるらしい。江戸前のつやつやした黒い海苔
    がふんだんに・・・もうそんなことはないの
    か? 青海苔は独特の風味があってファンも
    多いのだが、不漁続きでは吐き捨てるように
    しか言わない。

3/7tue
古竹を切りて三月垣直す
  (ふるたけをきりてさんがつかきなおす)
   ※四月下旬並みの暖かさという今日まで延ばし
    ていた作業をする。庭はクロッカス、ムスカ
    リ、花ニラの順で賑やかになりそう。

3/6mon
今読まずはもう読まざるの春の雨
  (いまよまずはもうよまざるのはるのあめ)
   ※楽しみにして用意した本なのに出足で躓くこ
    とがある。年齢のせいもある。またそのうち
    に出直しをと言っても、今回が事実上の最後
    だろうと自分を脅迫し追い詰めてみる。
    それでもだめ・・・。

3/5sun
春眠やふとんの重さ知りてなお
  (しゅんみんやふとんのおもさしりてなお)
   ※うとうと目を覚ましたが、目はまだ開かない。
    冬中使ってきた布団がやけに重く感じる。む
    にゅむにゅ・・・暖かいけど、むにゅむにゅ
    ・・・。やってはいけない自句実況でした。

3/3fri
雪柳最初の白い二三点
  (ゆきやなぎさいしょのしろいにさんてん)

雛の日や女房マージャン公民館
  (ひなのひやにょうぼまーじゃんこうみんかん)
   ※どうやら偕老同穴となる雲行きの桃の節句で
    はある。最近は女房元気で留守がいいという
    常套句もどきが良く似合う。

3/2thu
今朝一はスカルラッティ春一番
  (けさいちはすかるらってぃはるいちばん)

春一番ラインで老けを確認し
  (はるいちばんらいんでふけをかくにんし)
   ※ラインで都心歩きの会再開の日を3人で相談
    する。便利なものだ、しかも無料とはね。

3/1wed
蘖や鑿研ぐ日々を思いたり
  (ひこばえやのみとぐひびをおもいたり)
   ※暖かすぎる日中、友人との再会兼街歩きも良
    かろうと思う。ラインで見る顔もそうは老け
    ていないようだし。


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ダクタク句集2023年(令和5年)2月 [ダクタク2023年2月]

2/28tue
春浅し友の旧居に杭打機
  (はるあさしとものきゅうきょにくいうちき)
   ※随分前に越した友人宅跡だが周囲の土地を合
    わせて工事が始まった。杭を打つ必要がある
    建物? この近辺では珍しい。

2/26sun
春の海フェリーふわりと波の上
  (はるのうみふぇりーふわりとなみのうえ)
   ※友人を見送って金谷港東京湾フェリーまで出
    かけた。天気は良いのだがやや波が高い。心
    配のほどではない。でっぷり肥えたフェリー
    は無事浮かんで出港した。

2/24fri
春の闇濃かれ三つ星寄り添うて
  (はるのやみこかれみつぼしよりそうて)
   ※昨夕、日の入り後18時30分頃の西の空で、
    「新月」と「木星」「金星」とが一列に黄道
    上に並ぶ天体ショーを見た。格別レアなこと
    ではないが、タイミングと天候がこうもピタ
    リと合うことは少ない。写真も撮れたよ。

2/23thu
春の旅ミシン黄色を纏いおり
  (はるのたびみしんきいろをまといおり)

旅先の待ちにし膳よ蕗の薹
  (たびさきのまちにしぜんよふきのとう)
   ※旅は思い浮かべるころから出かけるまでが至
    福という。明るい黄色はお気に入り、さあ出
    かけよう。

2/22wed
猫魔岳街を白くし春むかし
  (ねこまだけまちをしろくしはるむかし)
   ※昔会津若松の点描。2月の午後。通りの遥か
    先にあるのは真っ白な残雪をいただく猫魔岳。
    これが浮き上がって大きく見える日がある。
    市街の根雪は融けて道を洗い、コンクリート
    舗装の道はこれも白く見える。家並みは後退。

2/21tue
春一日怠惰の時とのみ記して
  (はるひとひたいだのときとのみきして)

ブランコをこいで人待つ青春か
  (ぶらんこをこいでひとまつせいしゅんか)
   ※ろくなニュースはないが、そこは春だからそ
    の気になれば春になる。

2/20mon
太陽光パネルが侵す春田かな
  (たいようこうぱねるがおかすはるたかな)
   
蓬髪が床屋帰りで春の風
  (ほうはつがとこやがえりではるのかぜ)

2/19sun
街道はうつらうつらの菜の花忌
  (かいどうはうつらうつらのなのはなき)
   ※菜の花忌の頃に古い「街道を行く」のTV番組
    を見た。本よりも随分端折ってあるものの、
    上手い編集だ。田村高広のナレーションが懐
    かしい。

2/18sat
寝もやらずジャガイモ植うる日はうつろ
  (ねもやらずじゃがいもううるひはうつろ)
   ※ちょっと早めのジャガイモの植え付け。肥料
    を多めにして、このタイミングの植付けは生
    育が良いという話を仕入れてきた。
    サボり気味の今年はこれが野良始めだ。ねむ
    たい~・・・。

雪形を見たいと思う野良始め
  (ゆきがたをみたいとおもうのらはじめ)

2/17fri
梅咲きて痒み嘆きし人いかに
  (うめさきてかゆみなげきしひといかに)
   ※年寄りの冬季の痒みは空気と肌の乾燥が主因
    と言われる。彼へのアドバイスは「入浴を一
    日おきに、入浴の日は今まで通りちゃんと石
    鹸で洗いちゃんと落とすこと。入浴しない日
    は一日中石鹸を使わないこと。使わなくとも
    すぐ慣れる」というもの。

2/16thu
春の宵億劫という音を上げる
  (はるのよいおっくうというねをあげる)
   ※さて、もう歳かな? 何か動き始めるときに、
    初めのひとふんばりを1テンポ待つことが近
    頃多くなった。なんのこともないのだけれど、
    その時の姿勢でしばしゆっくりするのだ。

2/14tue
家に肌あり初東風の似合う家
  (いえにはだありはつこちのにあういえ)
   ※歳時記は季語とその季語を使った例句を味わ
    って、季節感の妙を感じるものだ。しかし季
    語の中には違和感どころか時代錯誤と言わざ
    るを得ないものも数多い。窮屈でも文句を言
    わずにその古い季語に合った対象を見つけよ
    ということなのか。

2/12sun
かたや死にかたやはかくも春の声
  (かたやしにかたやはかくもはるのこえ)
   ※久しぶりに聞く彼の声は以前と全然変わらな
    い。前回の彼の電話は同期の友の死を伝える
    ものだった。昔から二人を対で見がちな私。

2/11sat
生姜酒とめる者なく喜寿の春
  (しょうがざけとめるものなくきじゅのはる)

天井のシミ数え切り喜寿の春
  (てんじょうのしみかぞえきりきじゅのはる)
   ※町内会の人から喜寿のお祝いですよね、と言
    われて改めて意識した。満77歳の誕生日か
    ら2カ月ほど。感慨とてなにもない。

2/10fri
新海苔は産地苦渋の味少し
  (しんのりはさんちくじゅうのあじすこし)
   ※地元木更津、富津の江戸前海苔はここ数年ク
    ロダイの養殖場への侵入と食い荒らしなどに
    よって被害を被っている。今季は有明海の海
    苔の産地も海水温の上昇が海苔生育の大幅減
    産につながっているらしい。

2/9thu
春寒やこころに農具並べおり
  (はるざむやこころにのうぐならべおり)
   ※とっくに農具はラインアップ済み。鎌だって
    研いである。

2/8wed
壁の上を春日は円くすべりおり
  (かべのえをはるびはまるくすべりおり)
   ※寝室のカーテンの合わせ目から差し込む朝日
    が壁の上に7,8センチの円い明るい形を作る。
    日の出の時刻が日々早くなるから、見えだす
    時刻は一日ごとに少し早くなり、その位置は
    左にずれる。秋分の日以降の秋とはちょうど
    逆の形だ。
    ついでに言えばそこは床の間で春向きの掛け
    軸がかけてある。その上を円い光がすべる。
    出来過ぎた話。嘘のような本当の話。

2/6mon
童顔は遺影となりて余寒かな
  (どうがんはいえいとなりてよざむかな)

寒紅玉切らさずただに好きなれば
  (かんこうぎょくきらさずただにすきなれば)

煮大根においはわが身黙しおり
  (にだいこんにおいはわがみもくしおり)

2/4sat
立春や師の舌かくも滑らかに
  (りっしゅんやしのしたかくもなめらかに)
   ※絵にもおしゃべりにも盛んなのはすごい。御
    年は80歳台後半で絵筆の軽妙なこと、言葉
    に切れ目がないこと。

2/3fri
めずらしく朝のご飯寒卵
  (めずらしくあさのごはんかんたまご)

豆まきや声の大きさ迷いつつ
  (まめまきやこえのおおきさまよいつつ)
   ※外に向いてまず一声、大き過ぎたかな? 一
    瞬のうちに脳裏を掠める。えいッ、構うな、
    この大きさで、鬼に入られてしまう。
    声の大きさ! 実は単なる羞恥心の減退、認
    知症の手前の始まりだったりして・・・。

2/2thu
宵星の西に沈めば冬銀河
  (よいぼしのにしにしずめばふゆぎんが)
   ※日脚が伸びたものの光はまだ弱い。宵の明星
    が沈み暗い星空に変わるまで長い時間は要ら
    ない。寒風は身を震わせるが、天空の変化の
    微妙さは今頃が味わい深い。

2/1wed
着ぶくれて道ゆずりたる好々爺
  (きぶくれてみちゆずりたるこうこうや)

客引きも色とりどりに着ぶくれて
  (きゃくひきもいろとりどりにきぶくれて)
   ※1月の寒波はまだ続いている。客の出足はさ
    らに細り、夜の街は大変だ。

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