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ダクタク句集2022年(令和4年)10月 [ダクタク2022年10月]

10/31mon
友の待つ 広き階段 見上げ秋
  (とものまつ ひろきかいだん みあげあき)
   ※立派な階段、踊りがあって、また階段が。彼
    はどうやって登ったのかな? そう、エレベ
    ーターがあるのでは? ・・・もう遅い。

お隣の シュウメイギクの 揃い踏み
  (おとなりの しゅうめいぎくの そろいぶみ)

10/30sun
秋の夜のライン顔見し黙しおり
  (あきのよのらいんかおみしもくしおり)
   ※ラインが開通して初めて友人と顔を見ながら
    の会話を始めた時、相手がふっと押し黙った
    時があったならよーく考えた方が良い。相手
    は対面会話に感激したのではなく、こちらの
    顔の想像以上の老け込みに唖然として息を吞
    んだのだ。毎日見ている顔では気づかない老
    けの大きな溝がある。きっと。

10/29sat
杜鵑草 思い出しつつ つい疎遠
  (ほととぎす おもいだしつつ ついそえん)
   ※こんな時だからこそ親しい友人とはせめて連
    絡を保ちたい。遠隔での連絡手段が一般的に
    なっているとはいえ、ついその一歩が出ない
    ことも。

10/28fri
文化祭 準備を仕切る 嗄れ声
  (ぶんかさい じゅんびをしきる しゃがれごえ)

白マスク白髪が秋の草むしり
  (しろますくしらががあきのくさむしり)
   ※いくらなんでも俺は公民館の世話にはならな
    い、とイッパシの口をたたいていた男が、ど
    っぷりとは言わないまでも文化祭などの活動
    に参加している。アアとため息も出るが、同
    じ年代の人たちが手練れのエースである。

10/26wed
介護する 合間の絵筆 いわし雲
  (かいごする あいまのえふで いわしぐも)
   ※絵仲間の女性は80歳で介護の仕事をしてい
    る。絵教室も遅刻早退で忙しい。肝心の絵は
    あっさりしていて外連味がない。ごてごて塗
    りたくるコチトラは感心しきり。

10/25tue
公園に シニア週一 落葉掃き
  (こうえんに しにあしゅういち おちばはき)
   ※町内の道路、公園などの清掃はシニアの無償
    の労働に負っている。老人会、誘われたこと
    もない。とか言っているうちに10年近くだ。

10/24mon
イチジクの 絵にむらさきの 熟したり
  (いちじくの えにむらさきの じゅくしたり)
   ※当地の文化祭に仲間と水彩画を出展すること
    になった。いつもは間際に非才さを嘆くのだ
    が、今回は秋の野菜や果物をうまく描けた。
    それがどこであれ衆目に晒すというのは大変
    なことで、実はかなりホッとしている。

10/23sun
さつまいも 半分掘って 虫の里
  (さつまいも はんぶんほって むしのさと)
   ※関東南部は曇り日と雨天続きで日照時間が極
    端に少なかった。もう少しかな?と残してお
    いたサツマイモは意図せざる放置でどうなっ
    ていることやら。気をもんでいる。

10/22sat
教師褒め 親父酒出す 秋の夕
  (きょうしほめ おやじさけだす あきのゆう)
   ※この句は8/5の
    「ほろ酔いの 教師は黒く 大夕焼」
    と同じ思い出につながる。中学校の事務の先
    生が帰途に我が家に寄って、私の部活の充実
    ぶりを褒めていった。
    誰も覚えていないかもしれないが、テニスと
    タバコと酒が大好きな、しょうもない先生。
    俺は好きだったよ。

10/20thu
欅 自らなる形 秋に満つ
  (けやき みずからなるかたち あきにみつ)
   ※散歩ルートにある3本のケヤキ。紅葉、落葉
    前の今、一年の成長を全身で現わしているよ
    うに思われる。何の変哲もないケヤキなのだ
    が、一年の成績は5だなと思う。

10/19wed
秋冷えて 昨夜は風呂に 入りしかと
  (あきひえて さくやはふろに いりしかと)
   ※実はよくある話。もっと寒くなると毎晩風呂
    に入るが、多少肌寒くなっても風呂は二日に
    一度、もう一日はシャワーで済ます。済ます
    というより、のんびり・ゆったりかつ気軽な
    シャワーが好きだ。それで掲句のような疑問
    が湧き出る。ボケのせいではない証拠にかな
    り以前からのことなのだが。

10/18tue
児童向け 大きな字読む 良夜かな
  (じどうむけ おおきなじよむ りょうやかな)
   ※図書館にはシニア向けに大文字本が用意され
    ているが、その分がさばるので敬遠していた。
    この前借りてきた季語写真集は親切な内容で
    わかりやすく気に入っていたら、中高生向け
    の児童図書とあった。

10/17mon
柿の実や 製材所の お茶時間
  (かきのみや せいざいしょの おちゃじかん)
   ※当家の一本の柿の木は今年お休み。数少ない
    実が殆ど7月までで落果した。周期的な不作
    なのか、以前のようなヘタ虫の被害か、今の
    ところ不明。

10/16sun
リヤカーに 子と芋と鍋 芋煮行
  (りやかーに こといもとなべ いもにこう)
   ※町内の親しい母親仲間が集まり、日と持ち寄
    りを決め、一切合切を積み込んで、町中から
    郊外の広い河畔の湧水場まで歩いていく。小
    一時間ほどもある女集団のおしゃべり付きの
    移動だ。今なら目立って、鼻つまみにもなろ
    うが、当時はなんとも街の光景になじんでい
    た。行った先は天国、おしゃべりと芋煮。息
    抜きと骨休め。

10/15sat
垣を剪り 果樹には秋の お礼肥
  (かきをきり かじゅにはあきの おれいごえ)
   ※金木犀も大方花を落としたし、少ししたら一
    年分の丈を詰める。秋の作業の一つ。

10/14fri
涼気早や 寒気となりて 坂の家
  (りょうきはや かんきとなりて さかのいえ)
   ※挨拶は寒いですねに変わった。坂の中途から
    見下ろす夕方の光景は光を失って空も地も鈍
    色。

10/12wed
長身の 荷風が覗く 路地の秋
  (ちょうしんの かふうがのぞく ろじのあき)
   ※YouTubeの朗読で荷風の「日和下駄」「濹東
    綺譚」を聞く。朗読で扱われているものの中
    では長い方、後者は3時間余りだ。しかし、
    いずれも以前に読んでいるので、歩きながら
    でも気軽に聞ける。細部は聞き流しても、む
    しろ荷風文章の達者なリズムが味わえる。

10/10mon
竿売りの 音高らかに 刈田道
  (さおうりの おとたからかに かりたみち)
  ※その道は行き止まりだよと言ってあげたかった
   が、農道をまっすぐに行く。テープの音が両側
   の小高い丘に反射するようだ。ナビ圏外の小道。
   あの手の軽トラのセールスは多分地の人ではな
   い。大量に安く仕入れて、県を跨ってでもひた
   すらに売り歩くと聞いた。

10/9sun
栗名月 雲の間にこそ 香りあり
  (くりめいげつ くものまにこそ かおりあり)
  ※ここ数日の曇天に半ば諦めていた十三夜、厚か
   った雲が夕方にかけゆっくり薄くなり、格好の
   名月待ちとなった。

客なくて 金木犀の 盛りかな
  (きゃくなくて きんもくせいの さかりかな)

10/7fri
コスモスや 犬に拒まれ 花の道
  (こすもすや いぬにこばまれ はなのみち)
  ※異常な寒さに我が家の犬はより元気になる。や
   や夏バテ気味の頃散歩を短縮して来のこと、今
   日その道に拒否権を発動した。

10/6thu
鰯雲 静かがよろし スピーカー
  (いわしぐも しずかがよろし すぴーかー)
  ※市がつけている広報スピーカー。防犯上の注意
   喚起や気候情報がメイン。不審者、詐欺電話情
   報、大雨や強風注意、警報、行方不明者捜索な
   ど幅広い。この季節に多いのが有害鳥獣駆除実
   施のお知らせ。等々。
   良く聞こえないという人も多い中で、近い人々
   は音の大きさに頭を抱えている。いずれにして
   も静かがいい。使わないで済むような。

10/4tue
露草や林間一帯を領す
  (つゆくさやりんかんいったいをりょうす)
  ※この光景は昨年まではなかった。一年草と言わ
   れる露草が辺り一面をわがもの顔に青い花を散
   りばめている。

10/3mon
クラス会 秋集合は 動物園
  (くらすかい あきしゅうごうは どうぶつえん)
  ※ミニクラス会を3年ぶりにやろうということに。
   年末年始の危険、風邪とのダブルパンチ、第8
   波だってこわいが・・・。慎重派と決行派、間
   をとってなるべく速やかに、ということになっ
   た。動物園の後は谷中に降りて一散歩、店に急
   ぐことに。

10/2sun
牛乳で コーヒー飲む癖 今朝の秋
  (ぎゅうにゅうで こーひーのむくせ けさのあき)
   ※コーヒーファンを自認して小うるさいことを
    言っていたのも今は昔。一日に一杯とする必
    要があり、その貴重な一杯を朝食の牛乳にイ
    ンスタントコーヒーを入れたことが運の尽き。
    「おや、おいしいねえ」となった。

10/1sat
法要の 客と出会いぬ 風蝶草
  (ほうようの きゃくとであいぬ ふうちょうそう)
   ※喪服の3人と出会った。理容店主の四十九日
    とわかった。故人は8月の暑い盛りに逝った。
    残暑が厳しいといわれていたが、台風と大雨
    が列島を翻弄している間にすっかり例年並み
    の気温になった。涼しい天国に早く来過ぎた
    と思っているかもしれない。


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