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ダクタク2022年12月 ブログトップ

ダクタク句集2022年(令和4年)12月 [ダクタク2022年12月]

12/31sat
行く年も走りおおせし鉄路あり 
  (ゆくとしもはしおおせしてつろあり)
さわし柿切れ干し柿を食らう暮れ
  (さわしがききれほしがきをくらうくれ)
暮れなれど二人ポカンと映画見る
  (くれなれどふたりぽかんとえいがみる)
歳晩に火鉢を出して非日常 
  (さいばんにひばちをだしてひにちじょう)
愚痴を言う大晦日にも三つだけ 
  (ぐちをいうおおみそかせにもみっつだけ)
   ※年内の仕事は最低限にして昨日までに終わっ
    た。今日は心身ともに予備日? これが大正
    解。それで句の方をちょっと棚卸し。暮れの
    句を掃除し残った句を羅列する。
    映画は「恋におちたシェイクスピア」、なぜ
    かちゃんと通しでは見なかったヤツ。

12/30fri
煤払い終え扇橋の千代女かな 
  (すすはらいおえせんきょうのちよじょかな)
   ※先代入船亭扇橋の得意演目ではなかったよう
    だが、古いテープで「加賀の千代女」を聴き、
    いっぺんで好きになった。今その動画はアッ
    プされていないようだ。
    千代女の有名な句に「あさがおやつるべとら
    れてもらひみず」がある。扇橋は落語界一の
    俳句好きだった。

黒豆の出来は如何と長電話 
  (くろまめのできはいかんとながでんわ)

12/29thu
耕筰忌 からたちの花の 今やっと 
  (こうさくき からたちのはなの いまやっと)
   ※明治以降の日本の歌には、メロディの繰り返
    しで1番2番ではなくて全曲流れるように一
    つのメロディによるものが多い。
    城ヶ島の雨(梁田貞)初恋(越谷達之助)小
    諸なる古城のほとり(弘田龍太郎)などなど。
    へたくそな私が歌えるようになるまで大いに
    時間を要したが、その分味わい深い。当時は
    一種の流行だったのかも。

12/28wed
海鼠腸を 食う人を見て 喜寿迎ふ 
  (このわたを くうひとをみて きじゅむこう)

喜寿の席 トンカツ食いて 見つめらる
  (きじゅのせき とんかつくいて みつめらる)

生きるのみ 雨のあがりて 喜寿の冬
  (いきるのみ あめのあがりて きじゅのふゆ)
   ※満77歳の誕生日を迎えた。祝いの宴で一席、
    羞恥心を抑えて喜寿の3句。

12/27tue
極月や 火の用心の 江戸言葉 
  (ごくげつや ひのようじんの えどことば)
   ※年末は毎日夕方に「火の用心」の見回りをし
    ている。最近はうるさいとかやめろとか一部
    住民が反発する所があったらしい。なんとア
    ホがいることか。
    拍子木の音のあとに、「火の用心さっしゃり
    ましょう」と粋な呼びかけをする人がいる。
    ハハーンあの人だな。

12/26mon
歳末に 展望しえぬ 世事多く 
  (さいまつに てんぼうしえぬ せじおおく)
   ※メディアは一斉に年末モード。一年を振り返
    り、翌一年をばっさりと展望する、・・・の
    だが。展望と言える内容は少ない。

12/25sun
車椅子 押すは孫の子 クリスマス
  (くるまいす おすはまごのこ くりすます)

手袋やクルマ待つ間の毛玉とり
  (てぶくろやくるままつまのけだまとり)
   ※クリスマス光景点描。平和だ。

12/24sat
窓越しにダンス練習見る聖夜
  (まどごしにだんすれんしゅうみるせいや)
   ※クリスマスめいたものは身辺にも近所にもな
    いと思っていたが、そうでもない。
    近くに越して来た中国人の中年独身男性がど
    ういうわけか家にイルミネーションを飾って
    いる。へえ・・と驚いて眺める。公民館のホ
    ールでは練習か本番か・・・。優雅だ。

12/23fri
冬嵐 アクア通いの 医師休診
  (ふゆあらし あくあがよいの いしきゅうしん)

名を聞きぬ 顔はメールで 冬の孫
  (なをききぬ かおはめーるで ふゆのまご)
   ※安全を考えるときりがない。まして冬に生ま
    れた初孫だ。

12/22thu
新聞を 素早く読みて 冬至かな
  (しんぶんを すばやくよみて とうじかな)

さわし柿切れ干し柿を食らう暮れ
  (さわしがききれほしがきをくらうくれ)
   ※12月はバタバタと忙しいとか、あっという
    間だとかの声を聞く気はない。こう寒いので
    は暖かい屋内でじっとしているにしくはない。
    今日は冬至ではないか。

12/20tue
木枯らしや不意なる喉の内視鏡
  (こがらしやふいなるのどのないしきょう)
   ※親しい友が甲状腺ガンで死んでから2年にな
    る。こちとらも甲状腺ホルモン某の持病があ
    る上に最近とみに喉元のところでミニトラブ
    ルが起こる。美声もかすれることが多い。
    呼吸器科に行って訴えた。心配を取り除いて
    と。そしていきなりの内視鏡だ。結論は、
    「きれいです。なんにもありません。あって
    も年齢相応の嚥下トラブルでしょう」と。

12/19mon
サッカーは 冬の季語なり メッシ勝つ
  (さっかーは ふゆのきごなり めっしかつ)
   ※アルゼンチン、PK戦の末に優勝。冬の季語で
    ある所以はシーズン設定にあるだろうと想像で
    きるが、この熱戦にはふさわしくない。手に汗
    握る2時間だった。

12/18sun
年賀状仕舞いを告げて月下弦
  (ねんがじょうしまいをつげてつきかげん)
   ※年賀状仕舞いとした。迷った。ここでも下りの
    明確な階段を降りることになるのだぞ、と言い
    聞かせる。

12/17sat
農道の一角カフェとなりて冬
  (のうどうのいっかくかふぇとなりてふゆ)
   ※行ってみると洒落た料理をこざっぱりと提供
    する、地元にはない店だ。この手の店が方々
    に現れ、センスを感じながらも、音もなく
    消えていく。お客は地方都市の若い女房連、
    30km圏内、単価1500円で基本的にはゼロサム
    ゲームである。逞しい例外もあるけれど。

12/16fri
木賃といふアパートの煤払い
  (もくちんというあぱーとのすすはらい)
   ※周辺の他の物件に較べ、50年以上前に建て
    られたもの。居住者がいっしょに大掃除して
    いた。今どき貴重な光景。黒光りしている?

12/13tue
出勤は 冬夕焼け見て 深夜番
  (しゅっきんは ふゆゆやけみて しんやばん)

人参のとれてシチュウに大切りに
  (にんじんのとれてしちゅうにおおぎりに)

12/11sun
着ぶくれて 週末頼みの 吊り革に
  (きぶくれて しゅうまつだのみの つりかわに)
   ※久々に「週末頼みの通勤」の感覚を思い出し
    た。ところがちっとも苦ではない。

12/10sat
湯気の音 剃刀の音 昼下がり
  (ゆげのおと かみそりのおと ひるさがり)
   ※馴染みの床屋の主人がなくなり、そのまま閉
    店。ずっと近くの格安店に行った。料金はほ
    ぼ半分、時間は1/3、「どうしましょう」以
    外無言、悪くない。

12/9fri
十二月 火星いざよふ 月を待つ
  (じゅうにがつ かせいいざよう つきをまつ)
   ※18時前の散歩のときに十六夜の月が山の端
    を離れた。行く先には火星が待っている。見
    事な月だが、なかなか火星に追いつけない。
    さて、このレース、今夜はどうなるか?

12/8thu
滑子汁 ふうふうする間の 香りかな
  (なめこじる ふうふうするまの かおりかな)
   ※寒さはなかなか戻らないなと嘆いている間に、
    これが平年並みとなってしまう。とにかく暖
    かい部屋、熱いものが欲しい。

12/7wed
神無月 四万人を 呼ぶ娘
  (かんなづき よんまんにんを よぶむすめ)
   ※先月初旬あいみょんがワンマン・ライヴで甲
    子園球場を札止めにした!! よく知らない
    歌手、二三度聴いたことはある。とても信じ
    られないペンライトの波また波。

12/6tue
モーツァルト忌 朝一番で ジュピターを
 (もーつぁるとき あさいちばんで じゅぴたーを)
   ※季語にモーツァルト忌というのがあると知っ
    た。やや異様な感じがするが、せっかくだから
    交響曲第41番で記念日(の一日遅れ)を刻む
    ことにした。

12/5mon
戦ありて 落ち葉の上に 松落葉
  (いくさありて おちばのうえに まつおちば)
   ※公民館、集会所の大掃除。こういうのをしっか
    りやるのが、シニアの役目だと少しは認識して
    出かける。それにしても外の作業は今日あたり
    かなり酷だ。彼の地では、寒さの酷さを知る者
    が寒さ攻めにしている。

12/3sat
初炬燵 文庫本にて 漱石を
  (はつごたつ ぶんこぼんにて そうせきを)
   ※昨日今日一段と冷え込む。リビングにコタツと
    いうのは今まで避けてきたが、もうこの歳、そ
    んなことは言っていられない。

12/2fri
大どれの大根 店を攻略す
  (おおどれのだいこん みせをこうりゃくす)

新聞は 瑣事のみ多く 日向ぼこ
  (しんぶんは さじのみおおく ひなたぼこ)
   ※ネットを初め情報過多の今日では新聞の位置も
    難しい。ヘッドラインはとっくに知られている
    し、深掘りするにしても対象の選択は読者によ
    ってことなる。全方位型になると、瑣事の羅列
    となりかねない。購読料を払っているので目を
    通さざるを得ない。半ばいやいやだ。家内はチ
    ラシ以外殆ど読まない、はっきりしている。こ
    れがうらやましい。

12/1thu
干し柿の 遅れて吊るす 十余り
  (ほしがきの おくれてつるす とおあまり)
   ※日々の瑣事のみで静かにしていると12月の到
    来に感慨はない。しかしこの日長いこと途切れ
    ていた友人とのメール交換が出来て、これから
    年末の幸いなる予感がする。
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