ダクタク句集2019年(令和1年)8月 [ダクタク2019年8月]
8/31sat
夏過ぎし クラクフからの 便りかな
(なつすぎし くらくふからの たよりかな)
※絵の会の友人から絵葉書が届いた。ポーランド
の古都クラクフは憧れの街。北緯50度という
と北海道を遥かに越え、樺太の中央辺りだ。
8/30fri
車椅子 押す武士の妻 今朝の秋
(くるまいす おすぶしのつま けさのあき)
※早朝に病院に行った。車椅子のご主人と思われ
る人を駐車場で下ろし、ゆるい坂道を登ってく
る夫婦に会った。雨模様だがさわやかな印象を
受けた。奥さんは毅然としていて周囲に目を配
り、空模様などを笑顔で語りかけている様子。
見たのはそれだけだが、いいなァ・・・。
8/29thu
夏休み 明けて様々な 顔揃い
(なつやすみ あけてさまざまな かおそろい)
※今週初めから新学期、続々と中学生が行く。登
校を待っていた顔、まだ休み気分の顔、寝ぼけ
ているような顔・・・様々だ。気の毒に。
8/28wed
分断も 一色も嫌い 国の秋
(ぶんだんも いっしょくもきらい くにのあき)
※定見もないポピュリズムは我慢がならない。そ
れにすがるしかないところまで追い詰めての煽
りは最低。
8/27tue
ひぐらしの かぼそき声で 缶ビール
(ひぐらしの かぼそきこえで かんびーる)
※夕方の散歩コースに「ひぐらし通り」と名付け
た道がある。ここの林には何故かひぐらしが多
い。以前立ち止まって鳴き声を聴いていたら、
木の上からバサッとシマヘビが落ちてきた。ほ
んの30センチ先で、これにはびっくりした。
しばらく寄り付かないことにした。今日は缶ビ
ール一杯分だけ立ち止まる。
8/26mon
稲刈りや 詮議の末の まだら刈り
(いねかりや せんぎのすえの まだらがり)
※例年なら盆明けに本格化する稲刈りだけれど、
今年は進行が遅くやや不規則な気配。梅雨時の
記録的な日照不足と8月に入っての日照り、そ
の匙加減が微妙に難しいらしい。さらに最近は
稲作の集約化が進んで耕作面積が大きくなって、
複数ブランド米を一人が収穫することも珍しく
ないという。広い田んぼ毎に収穫時期が大きく
前後してしまう。その間は「まだら田」に。
8/25sun
夏に鍋 三人が囲み クラス会
(なつになべ さんにんがかこみ くらすかい)
※延期が重なった会を東京駅2階の比内鶏を食わ
せる店で開催。三人は史上最少かな? そう歴
史がある会ではないけれども。
話が具合良く往復し、いつにない会になった。
8/23fri
サルスベリ 最後の色の 散りて処暑
(さるすべり さいごのいろの ちりてしょしょ)
※並木のサルスベリは真っ赤な花から始まり、白
が次に、一番多いピンクが咲き誇る頃に、紫が
かったピンクが後を追う。他所でもこの順番な
のだろうか。7月上旬からの長い花期が終わる
頃、今日は処暑、24節気の一つ。確かに涼し
い朝だ。
8/22thu
夏越えた 派遣工夫の なで肩よ
(なつこえた はけんこうふの なでがたよ)
※建設現場に人を送り込む会社の宿舎がある。一
昔前までは様々に呼ばれたが、数が減っている。
しかしニーズは今でもあるのだろう。出稼ぎと
いう言葉は死語ではない。
8/20tue
童顔の 白髪の釣り師 日の盛り
(どうがんの しらがのつりし ひのさかり)
※小櫃堰湖は盆休みが過ぎ、地元の釣り客のみと
なった。しかも多くの人が「毎日が日曜日族」
のよう。釣果が殆どないところは変わりがない。
8/19mon
贔屓みな 土持ち帰る 残暑かな
(ひいきみな つちもちかえる ざんしょかな)
※甲子園準々決勝4試合は奇しくも東日本勢と西
日本勢の対戦となった。こうなると、4勝0敗
で全部いただきかな、などと東に肩入れしてし
まう。しかしいただいたのは甲子園の土だった。
4試合とも。
8/18sun
鼻歌や 安きメロンを 胸に抱き
(はなうたや やすきめろんを むねにだき)
※メキシコ産のマスク風メロンを買ってきた。前
回そのおいしさにびっくりしたヤツだ。しかも
値段は大ぶりでニーキュッパ、298円とか。
このコスパからすれば、自家スイカを大きく凌
ぐ。人工受粉のためのガソリン代もいらないし。
8/17sat
油蝉 崩れきそうな 山の道
(あぶらぜみ くずれきそうな やまのみち)
鳴き止みて 蝉のつくりし 静寂かな
(なきやみて せみのつくりし しじまかな)
※お盆を過ぎると夏休みは第4コーナーをまわっ
て、残すは直線100mのみ。東北の小中学校
の夏休みは8月20日すぎで終わりだった。大
人のお盆が過ぎると、気持ちの上ではもう休み
ではなかった。今を盛りと鳴くセミたちにも妙
な連帯意識があったものだ。今でもそんな気分
が少し残っている。
8/16fri
夕立の 一部始終見る 雨宿り
(ゆうだちの いちぶしじゅうみる あまやどり)
※このところ毎日夕立やにわか雨がある。散歩の
途中で降り出し急に大降りになり、慌てて橋の
下に駆け込んだ。実は降ったらアソコで雨宿り
と当て込んでいたのだ。おかげで20分ほど激
しい雨を見、ゆっくり音を聞いていた。
街並みには雨宿りに適した場所が意外と少ない。
8/15thu
遠き夏 土蔵の中の 眠りかな
(とおきなつ どぞうのなかの ねむりかな)
※8月15日なのに、今朝の通りは居住まいもゆ
るやかで、連日の暑さにやや呆けた感じ。人も
クルマも通りには少ない。
遊び疲れて家に帰るなり、涼しい土蔵で眠った
ままだったとか。今に起きるだろうと、夕食に
も起こさなかったと母親は言った。記憶に残る
長い昼寝の記録だ。「日本の一番長い日」。
8/14wed
亡き義姉の 安否問う人 月見草
(なきあねの あんぴとうひと つきみそう)
盆踊り アイサツ終わるを 待つ子かな
(ぼんおどり あいさつおわるを まつこかな)
※町内会ごとの盆踊り大会。地域の活性化が言わ
れて久しいが、どっこい盆踊りは生きている。
主役は子供たち。長いアイサツNG、福引大会
ベリーグッド。
8/13tue
盆の入り 坂の上なる 白き雲
(ぼんのいり さかのうえなる しろきくも)
炎熱に けぶる家並や 盆の入り
(えんねつに けぶるやなみや ぼんのいり)
※我が家に帰ってくる仏様はいないはずだが、ア
ノ白い雲は客人か? ここ2日ほどにわか雨が
あり、焼けた地面から土煙のような、水蒸気の
ようなものが立ち込めた。迎え火も見えないか
も・・・。
8/12mon
新盆の 読経涼しや 寺の風
(にいぼんの どきょうすずしや てらのかぜ)
新盆や 廿日待ちいし 湿りかな
(にいぼんや はつかまちいし しめりかな)
※家人の兄姉と義兄3人の新盆の法要があり、会
食をした。その時に黒い雨雲が来たと思ったら
、突然雨が来た。しっかりした雨になった。7月
下旬以来のお湿りである。誰もがホーッとして
料亭の大きなガラス戸に見入った。
故人3人からはなにくれと「もらいもの」する
ことが多かった。この雨もそうか・・・。
8/10sat
端居して 流れるニュースの 瀬音かな
(はしいして ながれるにゅーすの せおとかな)
※8月のテレビや新聞は毎年のように終戦特集が
多い。またかと思う内容もあるが、新鮮に考え
させられるニュースや番組もある。自分の年齢
である、戦後74年にしてである。
8/9fri
水張りて 八月の空を 染め上げる
(みずはりて はちがつのそらを そめあげる)
※水彩画特有の画法が画用紙に水を張り、それが
乾かないうちに色をのせる。自然な形が出来、
地の白色との境界はぼかされる。また色を微妙
に変えることでグラデーションも可能だ。ウェ
ット・オン・ウェットwet on wetと言うらしい。
口で説明するのは簡単だが、この画法を駆使す
るには相当な訓練が必要のようだ。
真っ青な空に、もくもくと白い雲が湧き上がる
・・・8月の空を自在に表現できる日は遠い。
8/8thu
立秋や わらうしかない 暑さかな
(りっしゅうや わらうしかない あつさかな)
甲子園 朝ドラなつに めぐり会い
(こうしえん あさどらなつに めぐりあい)
※高校野球放送のハザマに主役のなつに出会った。
可愛さと顔の部品の良品揃いで、女優としては
表情が乏しくなるかなァ?と思ったのだが、果
たしてその通りの印象を受けた。まあ、1,2
回の視聴での印象だが・・・。
8/7wed
インゲンの 微かなにおい 夏の夕
(いんげんの かすかなにおい なつのゆう)
※インゲンのおひたしが好き。しょうが風味のシ
ンプルなやつ。茹でているときのほのかな香り
で、もう分かってしまう。
8/6tue
原爆忌 シラサギとただ 蝉しぐれ
(げんばくき しらさぎとただ せみしぐれ)
※74回目の広島原爆忌
8/5mon
線香を やり過ごす蚊や 朝に刺す
(せんこうを やりすごすかや あさにさす)
※一週間続いた熱帯夜が昨夜に途絶えた。熱い夜
と蚊の襲来が重なると間違いなく睡眠不足にな
る。蚊取り線香を焚いて万全を期したつもりで
も、敵は鴨居のカゲやカーテンのテッペンにじ
ーっと耐え忍び、しらじらとした頃になって元
気に攻撃を始める。昔の蚊帳を思い出して、ぷ
っくりした皮膚を掻く。
8/4sun
坂道や 格子戸の音と 桔梗かな
(さかみちや こうしどのおとと ききょうかな)
※暑い部屋で根岸の里の子規庵を思い浮かべた。
鶯谷駅徒歩5分、暑い最中に訪問したことはな
い。
こんな暑い日があったんだろうか?「ノボさん、
大丈夫すか?」と声をかけて、我が家産のスイ
カを差し入れたい。
8/3sat
稲穂波 薄き雲影が 行くごとし
(いなほなみ うすきくもかげが いくごとし)
※日中の猛暑続きをテレビが「災害並」と伝えた。
朝の散歩もサマータイム1時間半で凌いでいる。
稲穂の実は7、8月で成長するという。今年の
8月は挽回の時であり、肝腎な時なのだ。
8/2fri
目を合わせ 並びとどまる 燕の子
(めをあわせ ならびとどまる つばめのこ)
初飛びは 同じ所へ 燕の子
(はつとびは おなじところへ つばめのこ)
※最近の家はツバメにとって巣を作りにくい上に、
敬遠する家庭も多い。ところが新築の家の夫婦
が玄関でそっと上を眺めていた。ツバメの巣だ
った。小さな女の姉妹がいるからハハンと思っ
た。この家のツバメの子も巣立ったようだ。
8/1thu
梅雨明けや タンクの群れの 黒き影
(つゆあけの たんくのむれの くろきかげ)
片影で タンクナンバーの 意味を聞く
(かたかげで たんくなんばーの いみをきく)
※4、5年前の梅雨明け直後の季節に、福島県の
被災地見学と東電福島第一原発を見てまわるツ
アーに参加した。汚染水を入れた無数のタンク
が今も増え続けていることがやりきれなかった。
午後の傾いた日差しでタンクとその影が真っ黒
に。言葉を失うとはこのことか?
今回東電は第二原発を併せ、10基の廃炉を決
めた。道のりの遠さを思った。
夏過ぎし クラクフからの 便りかな
(なつすぎし くらくふからの たよりかな)
※絵の会の友人から絵葉書が届いた。ポーランド
の古都クラクフは憧れの街。北緯50度という
と北海道を遥かに越え、樺太の中央辺りだ。
8/30fri
車椅子 押す武士の妻 今朝の秋
(くるまいす おすぶしのつま けさのあき)
※早朝に病院に行った。車椅子のご主人と思われ
る人を駐車場で下ろし、ゆるい坂道を登ってく
る夫婦に会った。雨模様だがさわやかな印象を
受けた。奥さんは毅然としていて周囲に目を配
り、空模様などを笑顔で語りかけている様子。
見たのはそれだけだが、いいなァ・・・。
8/29thu
夏休み 明けて様々な 顔揃い
(なつやすみ あけてさまざまな かおそろい)
※今週初めから新学期、続々と中学生が行く。登
校を待っていた顔、まだ休み気分の顔、寝ぼけ
ているような顔・・・様々だ。気の毒に。
8/28wed
分断も 一色も嫌い 国の秋
(ぶんだんも いっしょくもきらい くにのあき)
※定見もないポピュリズムは我慢がならない。そ
れにすがるしかないところまで追い詰めての煽
りは最低。
8/27tue
ひぐらしの かぼそき声で 缶ビール
(ひぐらしの かぼそきこえで かんびーる)
※夕方の散歩コースに「ひぐらし通り」と名付け
た道がある。ここの林には何故かひぐらしが多
い。以前立ち止まって鳴き声を聴いていたら、
木の上からバサッとシマヘビが落ちてきた。ほ
んの30センチ先で、これにはびっくりした。
しばらく寄り付かないことにした。今日は缶ビ
ール一杯分だけ立ち止まる。
8/26mon
稲刈りや 詮議の末の まだら刈り
(いねかりや せんぎのすえの まだらがり)
※例年なら盆明けに本格化する稲刈りだけれど、
今年は進行が遅くやや不規則な気配。梅雨時の
記録的な日照不足と8月に入っての日照り、そ
の匙加減が微妙に難しいらしい。さらに最近は
稲作の集約化が進んで耕作面積が大きくなって、
複数ブランド米を一人が収穫することも珍しく
ないという。広い田んぼ毎に収穫時期が大きく
前後してしまう。その間は「まだら田」に。
8/25sun
夏に鍋 三人が囲み クラス会
(なつになべ さんにんがかこみ くらすかい)
※延期が重なった会を東京駅2階の比内鶏を食わ
せる店で開催。三人は史上最少かな? そう歴
史がある会ではないけれども。
話が具合良く往復し、いつにない会になった。
8/23fri
サルスベリ 最後の色の 散りて処暑
(さるすべり さいごのいろの ちりてしょしょ)
※並木のサルスベリは真っ赤な花から始まり、白
が次に、一番多いピンクが咲き誇る頃に、紫が
かったピンクが後を追う。他所でもこの順番な
のだろうか。7月上旬からの長い花期が終わる
頃、今日は処暑、24節気の一つ。確かに涼し
い朝だ。
8/22thu
夏越えた 派遣工夫の なで肩よ
(なつこえた はけんこうふの なでがたよ)
※建設現場に人を送り込む会社の宿舎がある。一
昔前までは様々に呼ばれたが、数が減っている。
しかしニーズは今でもあるのだろう。出稼ぎと
いう言葉は死語ではない。
8/20tue
童顔の 白髪の釣り師 日の盛り
(どうがんの しらがのつりし ひのさかり)
※小櫃堰湖は盆休みが過ぎ、地元の釣り客のみと
なった。しかも多くの人が「毎日が日曜日族」
のよう。釣果が殆どないところは変わりがない。
8/19mon
贔屓みな 土持ち帰る 残暑かな
(ひいきみな つちもちかえる ざんしょかな)
※甲子園準々決勝4試合は奇しくも東日本勢と西
日本勢の対戦となった。こうなると、4勝0敗
で全部いただきかな、などと東に肩入れしてし
まう。しかしいただいたのは甲子園の土だった。
4試合とも。
8/18sun
鼻歌や 安きメロンを 胸に抱き
(はなうたや やすきめろんを むねにだき)
※メキシコ産のマスク風メロンを買ってきた。前
回そのおいしさにびっくりしたヤツだ。しかも
値段は大ぶりでニーキュッパ、298円とか。
このコスパからすれば、自家スイカを大きく凌
ぐ。人工受粉のためのガソリン代もいらないし。
8/17sat
油蝉 崩れきそうな 山の道
(あぶらぜみ くずれきそうな やまのみち)
鳴き止みて 蝉のつくりし 静寂かな
(なきやみて せみのつくりし しじまかな)
※お盆を過ぎると夏休みは第4コーナーをまわっ
て、残すは直線100mのみ。東北の小中学校
の夏休みは8月20日すぎで終わりだった。大
人のお盆が過ぎると、気持ちの上ではもう休み
ではなかった。今を盛りと鳴くセミたちにも妙
な連帯意識があったものだ。今でもそんな気分
が少し残っている。
8/16fri
夕立の 一部始終見る 雨宿り
(ゆうだちの いちぶしじゅうみる あまやどり)
※このところ毎日夕立やにわか雨がある。散歩の
途中で降り出し急に大降りになり、慌てて橋の
下に駆け込んだ。実は降ったらアソコで雨宿り
と当て込んでいたのだ。おかげで20分ほど激
しい雨を見、ゆっくり音を聞いていた。
街並みには雨宿りに適した場所が意外と少ない。
8/15thu
遠き夏 土蔵の中の 眠りかな
(とおきなつ どぞうのなかの ねむりかな)
※8月15日なのに、今朝の通りは居住まいもゆ
るやかで、連日の暑さにやや呆けた感じ。人も
クルマも通りには少ない。
遊び疲れて家に帰るなり、涼しい土蔵で眠った
ままだったとか。今に起きるだろうと、夕食に
も起こさなかったと母親は言った。記憶に残る
長い昼寝の記録だ。「日本の一番長い日」。
8/14wed
亡き義姉の 安否問う人 月見草
(なきあねの あんぴとうひと つきみそう)
盆踊り アイサツ終わるを 待つ子かな
(ぼんおどり あいさつおわるを まつこかな)
※町内会ごとの盆踊り大会。地域の活性化が言わ
れて久しいが、どっこい盆踊りは生きている。
主役は子供たち。長いアイサツNG、福引大会
ベリーグッド。
8/13tue
盆の入り 坂の上なる 白き雲
(ぼんのいり さかのうえなる しろきくも)
炎熱に けぶる家並や 盆の入り
(えんねつに けぶるやなみや ぼんのいり)
※我が家に帰ってくる仏様はいないはずだが、ア
ノ白い雲は客人か? ここ2日ほどにわか雨が
あり、焼けた地面から土煙のような、水蒸気の
ようなものが立ち込めた。迎え火も見えないか
も・・・。
8/12mon
新盆の 読経涼しや 寺の風
(にいぼんの どきょうすずしや てらのかぜ)
新盆や 廿日待ちいし 湿りかな
(にいぼんや はつかまちいし しめりかな)
※家人の兄姉と義兄3人の新盆の法要があり、会
食をした。その時に黒い雨雲が来たと思ったら
、突然雨が来た。しっかりした雨になった。7月
下旬以来のお湿りである。誰もがホーッとして
料亭の大きなガラス戸に見入った。
故人3人からはなにくれと「もらいもの」する
ことが多かった。この雨もそうか・・・。
8/10sat
端居して 流れるニュースの 瀬音かな
(はしいして ながれるにゅーすの せおとかな)
※8月のテレビや新聞は毎年のように終戦特集が
多い。またかと思う内容もあるが、新鮮に考え
させられるニュースや番組もある。自分の年齢
である、戦後74年にしてである。
8/9fri
水張りて 八月の空を 染め上げる
(みずはりて はちがつのそらを そめあげる)
※水彩画特有の画法が画用紙に水を張り、それが
乾かないうちに色をのせる。自然な形が出来、
地の白色との境界はぼかされる。また色を微妙
に変えることでグラデーションも可能だ。ウェ
ット・オン・ウェットwet on wetと言うらしい。
口で説明するのは簡単だが、この画法を駆使す
るには相当な訓練が必要のようだ。
真っ青な空に、もくもくと白い雲が湧き上がる
・・・8月の空を自在に表現できる日は遠い。
8/8thu
立秋や わらうしかない 暑さかな
(りっしゅうや わらうしかない あつさかな)
甲子園 朝ドラなつに めぐり会い
(こうしえん あさどらなつに めぐりあい)
※高校野球放送のハザマに主役のなつに出会った。
可愛さと顔の部品の良品揃いで、女優としては
表情が乏しくなるかなァ?と思ったのだが、果
たしてその通りの印象を受けた。まあ、1,2
回の視聴での印象だが・・・。
8/7wed
インゲンの 微かなにおい 夏の夕
(いんげんの かすかなにおい なつのゆう)
※インゲンのおひたしが好き。しょうが風味のシ
ンプルなやつ。茹でているときのほのかな香り
で、もう分かってしまう。
8/6tue
原爆忌 シラサギとただ 蝉しぐれ
(げんばくき しらさぎとただ せみしぐれ)
※74回目の広島原爆忌
8/5mon
線香を やり過ごす蚊や 朝に刺す
(せんこうを やりすごすかや あさにさす)
※一週間続いた熱帯夜が昨夜に途絶えた。熱い夜
と蚊の襲来が重なると間違いなく睡眠不足にな
る。蚊取り線香を焚いて万全を期したつもりで
も、敵は鴨居のカゲやカーテンのテッペンにじ
ーっと耐え忍び、しらじらとした頃になって元
気に攻撃を始める。昔の蚊帳を思い出して、ぷ
っくりした皮膚を掻く。
8/4sun
坂道や 格子戸の音と 桔梗かな
(さかみちや こうしどのおとと ききょうかな)
※暑い部屋で根岸の里の子規庵を思い浮かべた。
鶯谷駅徒歩5分、暑い最中に訪問したことはな
い。
こんな暑い日があったんだろうか?「ノボさん、
大丈夫すか?」と声をかけて、我が家産のスイ
カを差し入れたい。
8/3sat
稲穂波 薄き雲影が 行くごとし
(いなほなみ うすきくもかげが いくごとし)
※日中の猛暑続きをテレビが「災害並」と伝えた。
朝の散歩もサマータイム1時間半で凌いでいる。
稲穂の実は7、8月で成長するという。今年の
8月は挽回の時であり、肝腎な時なのだ。
8/2fri
目を合わせ 並びとどまる 燕の子
(めをあわせ ならびとどまる つばめのこ)
初飛びは 同じ所へ 燕の子
(はつとびは おなじところへ つばめのこ)
※最近の家はツバメにとって巣を作りにくい上に、
敬遠する家庭も多い。ところが新築の家の夫婦
が玄関でそっと上を眺めていた。ツバメの巣だ
った。小さな女の姉妹がいるからハハンと思っ
た。この家のツバメの子も巣立ったようだ。
8/1thu
梅雨明けや タンクの群れの 黒き影
(つゆあけの たんくのむれの くろきかげ)
片影で タンクナンバーの 意味を聞く
(かたかげで たんくなんばーの いみをきく)
※4、5年前の梅雨明け直後の季節に、福島県の
被災地見学と東電福島第一原発を見てまわるツ
アーに参加した。汚染水を入れた無数のタンク
が今も増え続けていることがやりきれなかった。
午後の傾いた日差しでタンクとその影が真っ黒
に。言葉を失うとはこのことか?
今回東電は第二原発を併せ、10基の廃炉を決
めた。道のりの遠さを思った。