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ダクタク2018年11月 ブログトップ

ダクタク句集2018年(平成30年)11月 [ダクタク2018年11月]

11/30fri
十一月 今日の晦日を 確かめる
     (じゅういちがつ きょうのみそかを たしかめる)
        ※薄暗い朝、まだ師走ではないことを確認する。

小春日や 初スイセンの 白い点
     (こはるびや はつすいせんの しろいてん)
        ※土手道の水仙ロード、年々長くなる。今朝そこ
         に2輪だけ開花しているのを発見した。かつか
         つ今日は11月。新記録かな?

11/29thu
鷹渡る 里芋の茎 枯るる頃
     (たかわたる さといものくき かるるころ)
        ※東京湾を南下する最後らしい?タカの群れが報
         道された。サシバなら9月下旬から10月上旬
         だろうから別な種類かも。昨年は双眼鏡を持ち
         出して、袖ヶ浦臨海公園に出かけたのだが見ら
         れなかった。今年は行かない。畑で最後のサト
         イモの収穫。まあまあの出来だ。

11/28wed
いま一度 畦の草刈り 冬構え
     (いまいちど あぜのくさかり ふゆがまえ)
        ※11月も下旬になると一気に年の瀬の感を強く
         する。知り合いの米農家を継いだ人は「百姓と
         言ったって、今はこつこつ自分でやる仕事は数
         える程、せいぜい十姓かな」とアケスケ。「その
         分全部お金がかかる」とも。
         当方の師走の仕事はガラス戸と網戸の清掃く
         らいなもの。一年を通してほんの「数姓」どまり。

11/27tue
キャッシュレス 余計なお世話と 三の酉
     (きゃっしゅれす よけいなおせわと さんのとり)
        ※今年は11/25が三の酉。現金を前掛けに詰めた
         熊手屋さんの威勢のいい掛け声で手締めとなる。
         これもカード決済となるか?キャッシュレスなど望
         まない、少なくともこの俺は、と思っても社会の仕
         組みをどんどん変えられてしまう。否応なしの追
         い詰め・・・否応なしの昔の消去。

11/25sun
冬の富士 見えるか賭ける 橋の上
     (ふゆのふじ みえるかかける はしのうえ)
        ※富士山からの直線距離で当地木更津は都心とほ
         ぼ同じ。しかし少し高い場所から眺めると当地か
         らは富士山の全容が見える。東京湾越しの富士
         山もいい。冬はちょっと自慢したくなる。

11/24sat
銀杏が 寄せられてあり 石畳
     (ぎんなんが よせられてあり いしだたみ)
        ※朝散歩するコースを迂回して、その神社はある。
         境内の4、5本の銀杏の木から毎年ギンナンの
         実をいただいている。辺りに人家が少ないのと
         実の粒が小さめなのが人気となっていない理由
         かもしれない。

11/21wed
秋空に 声と笑みあり 義姉の逝く
     (あきぞらに こえとえみあり ぎしのいく)

主なき 庭に今年も むかごかな
     (あるじなき にわにことしも むかごかな)
        ※11/19に家内の姉が亡くなった。79歳。気のいい、
         面倒見のいい人だった。合掌。

11/20tue
いつになく カタカナ料理で 秋深む
     (いつになく かたかなりょうりで あきふかむ)
        ※先日の都内散歩の最後は麻布十番で打ち上げ。
         適当な居酒屋がなく、家族連れで賑わうファミレス
         に入る。生魚、焼き鳥などはないが、これも一興。

対岸の 秋雷暗き 海を裂く
     (たいがんの しゅうらいくらき うみをさく)
        ※日産のゴーン会長逮捕。有価証券報告書の虚
         偽記載、会社資金の不正使用など社長以下の
         経営陣の被害者然とした会見内容にびっくり。
         悪事に加担していると見るのが常識。

11/18sun
三人して 麻布十番の 落ち葉踏む
     (みたりして あざぶじゅうばんの おちばふむ)
        ※都内散歩続き。終点予定の麻布十番に着いた
         のは夕方5時。この付近の町並みは山の手とい
         うより庶民的な下町の感じ。「赤い靴」の碑があ
         った。通りは既に灯りがついている。

諭吉墓よ 灯り持たずに 秋の暮
     (ゆきちぼよ あかりもたずに あきのくれ)
        ※浄土真宗麻生山善福寺は閉門17時とあって
         滑り込みセーフ。既に墓地は真っ暗。福沢諭吉
         の墓を手探りで発見する。

11/17sat
海舟も 参りし社の もみじかな
     (かいしゅうも まいりしやしろの もみじかな)
        ※都内散歩続き。夕暮れどきの氷川神社はしっと
         り落ち着いて、東京ド真ん中の神社とは思えな
         い。 

六本木 ときめくビルと 人の群れ
     (ろっぽんぎ ときめくびると ひとのむれ)
        ※東京ミッドタウン、六本木ヒルズの近くを歩く。
         ビルにはときめかないが、歩く人々には若いエ
         ネルギーを感じる。新しい光景。

荷風住みし 偏奇館辺り 坂の秋
     (かふうすみし へんきかんあたり さかのあき)
        ※麻布に入った。永井荷風が戦前に住んだ、お
         気に入りの偏奇館跡はこの辺りだ。

11/16fri
氷川坂 明治の静けさ 今日の秋
     (ひかわざか めいじのしずけさ きょうのあき)

旧居跡 探しあぐねて 坂の秋
     (きゅうきょあと さがしあぐねて さかのあき)
        ※都内散歩続き。六本木寄りの赤坂六丁目にある
         転坂を下ると氷川坂下に出る。ここに明治元年
         までの勝海舟の旧居がある。といっても今はマ
         ンションで案内板があるだけ。ここは坂本龍馬
         も訪ねた場所か。
         明治に入り、駿府に住んだ海舟が東京に戻って
         居を構えたのも同じ氷川坂付近と知った。あの
         氷川清話を語った地だ。これがなかなか見つか
         らない。氷川坂、氷川神社の付近を探したがだ
         め、夕暮れ近く坂道がこたえる。

11/14wed
日枝神社 秋のさわぎを 濾過したり
     (ひえじんじゃ あきのさわぎを ろかしたり)
        ※都内散歩続き。赤坂見附から溜池方面に歩く。
         小高い山の頂に日枝神社がある。東隣は都立日
         比谷高校。下界の喧噪がうそのよう。

人の香と 町のにおいを 秋の風
     (ひとのかと まちのにおいを あきのかぜ)

11/12mon
記念回 坂また坂の 秋を行く
     (きねんかい さかまたさかの あきをいく)
弁慶濠 黄色の水面を ボートさく
     (べんけいぼり きいろのみなもを ぼーとさく)
        ※仲間3人で都内を歩こうと始めた会が先週ちょ
         うど20回を数えた。今回は四谷駅から赤坂を
         抜け、六本木をかすめて、麻布十番までという
         コース。 なじみの所ばかりだが、もちろん全部
         を歩くのは初めて。
         赤坂見附に坂道を下ると、色づいてきた木々が
         濠に映えている。クルマの音はするのだが、な
         ぜか静けさを感じる。

11/11sun
帰り花 大豆引き抜く 影長し
     (かえりばな だいずひきぬく かげながし)
        ※今年はここかしこでサクラの帰り花を見る。各地
         から似たような報道も多い。今日は小春日和。
         ここしばらく、列島各地は概ね穏やかだ。忘れる
         前にやってくるのが最近の災害だから・・・、油断
         はできないが。

11/10sat
シューさんの 三十路の遺作に 聴きすがる
     (しゅーさんの みそじのいさくに ききすがる)
        ※シューベルト 弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956は
         31歳で夭折した彼の遺作。若い作曲家が遺し
         た曲に、ゆうに2倍以上の歳のシニアがはらは
         らと聴き入る。

11/9fri
長き夜や 耳に手をあて 雨を知る
     (ながきよや みみにてをあて あめをしる)
        ※静かな夜でもじっと耳をすますと「シー」という
         音がする。雨の音でも遠くのクルマの音でもな
         い。これは自分の「人体」の音なのか、それとも
         耳内部の「雑音」なのか? 降雨の有無を確か
         めるには、さらに両手で聞き耳を立てなければ
         ならない。

11/7wed
みとりしと 介護士はいう 冬立つ日
     (みとりしと かいごしはいう ふゆたつひ)
        ※夜勤で帰る介護士が出勤の同僚に短く話をして
         いた。介護士と入居患者との間で信頼関係がで
         きる・・・。思いをめぐらせた。

11/6tue
ゆらゆらと 神無月の 痩せ蚊かな
     (ゆらゆらと かみなしづきの やせかかな)
        ※比較的暖かい朝。早いもので明日は立冬? 秋
         深しという言葉はまだまだと思っているのに。

11/5sun
灯りなき 門前ぼおーっと 黄菊かな
     (あかりなき もんぜんぼおーっと きぎくかな)
        ※菊花展にも出品する方から見事な大輪の黄菊を
         いただいた。我が家には不釣り合いだけれども、
         ありがたく朝夕眺めている。

11/4sun
文化祭 写真の空を 語る人
     (ぶんかさい しゃしんのそらを かたるひと)
        ※見事な空を熱く、小さな声で話してくれた。シニア
         男の多くが写真を趣味にしている。高価な機材が
         必要になることもあるが、素人が撮影した空、花、
         紅葉などの「発色のすごさ」を見るとそれも安いも
         のだと感じる。昔ならプロしか出せなかった色だ。
         明らかに時代が技術が後押ししているなと思った。

11/2fri
来し方は 一幕一場 秋の道
     (こしかたは いちまくいちば あきのみち)
        ※図書館の催しで歌舞伎「義経千本桜」(のうち
         3場)をAVで観た。名作だけあって、画像であ
         ってもなかなかのもの。これが8Kでより鮮明
         に迫力ある音響で鑑賞できる日を待っている。

11/1thu
枯れすすき 昭和も遠く なりにけり
     (かれすすき しょうわもとおく なりにけり)
        ※「降る雪や明治は遠くなりにけり」草田男
         残すところ平成はあと半年。今年は明治151
         年であり、昭和93年だ。これからは平成を振
         り返る話が列島中に満ち溢れるだろう。
         シニアにとっては「思い出さぐり」と「悔恨地
         獄」が毎日の商売のようなもの。特段に変化
         はない。



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