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ダクタク2021年11月 ブログトップ

ダクタク句集2021年(令和3年)11月 [ダクタク2021年11月]

11/30tue
秋野菜 画材として後 分けたまふ
     (あきやさい がざいとしてのち わけたもう)

秋の暮 一幕ものの 場を数ふ
     (あきのくれ いちまくものの ばをかぞふ)
        ※我が創作にかかる芝居、長かったなァと思っ
         たが、アレッ・・・一幕だったか? 今から
         考えると色んな幕があって良かった、そうす
         るつもりだったのに。残念。まあ場数は多い
         し、今も続いているね。
         しかしぃ・・ちょっと待ってェな。ちょっと
         書き換えるやさかい。エエェ、出来ひんて?
         そ、そんな後生な・・・。

小春日の 人居ぬ園や 獏眠る
     (こはるびの ひといぬえんや ばくねむる)

11/28sun
小春日や なに食うたとから 長電話
     (こはるびや なにくうたとから ながでんわ)
        ※スマホで通話はスピーカーで。そして胸のポ
         ケットに突っ込んだまま話をする。両手フリ
         ーで。長引く友人とのスタイルがこれに落ち
         着き、スマホって便利だなァと感心。大いに
         笑われた。女の長電話を実体験中。

11/26fri
足腰の かすかに重く 石蕗の花
     (あしこしの かすかにおもく つわのはな)
        ※金木犀の生垣の剪定をやった。2日がかり。

11/25thu
母くれし やなぎ行李よ 冬支度
     (ははくれし やなぎごうりよ ふゆじたく)

友の笑み 蝶々とともに 冬茜
     (とものえみ ちょうちょとともに ふゆあかね)
        ※後輩の蝶キチの撮った写真が来年のカレンダ
         ーに採用されたと、それを贈ってくれた。立
         派な全国版で、彼の渾身の写真12枚が各月
         を飾っている。すごい出来だ。嬉しい。

11/23tue
マップ上 動線たどる 一葉忌
     (まっぷじょう どうせんたどる いちようき)
        ※一葉人気は根強い。都心の3か所の旧居跡を
         訪ねる人は引きも切らず、ネットの「一葉暮
         らしの研究」もいまだに旺盛のよう。
         ・・・アソコへはここを通ったとか、品を仕
         入れにアノ道を行った、この道は何歳の時誰
         を訪ねに通ったとかである。都心散歩の多く
         のファンに支持されているのではと思う。

11/22mon
デジタルや 愁思の顔も 修正し
     (でじたるや しゅうしのかおも しゅうせいし)
        ※顔の整形、といっても画像上のことだが。思
         う通りの方向に自分の画像を修正してくれる。
         以前からこの手のソフトはあったが、空前の
         進歩をしているというのだ。
           空前も 過ぎたらてんで 他人の顔
         最近、こういう小手先の開発ばかりだ。

11/21sun
起きるには まだたっぷりと 酉の市
     (おきるには まだたっぷりと とりのいち)

大いなる がま口腰に 酉の市
     (おおいなる がまぐちこしに とりのいち)

冷え込むや 帽子深めに お酉様
     (ひえこむや ぼうしふかめに おとりさま)
        ※久しぶりに熊手の店、露店の行列。ただお参
         りの客は寂しくて涙が出るほどの閑古鳥。威
         勢のいい手拍子もそこかしこに少しだけ。が
         ま口も空いたままか。今年は二の酉どまり。

11/20sat
秋の暮れ 種の袋の 字のうすし
     (あきのくれ たねのふくろの じのうすし)
        ※秋植え用に大切に保存しておいた種子がなん
         なのかわからない? 袋の上の鉛筆のメモが
         薄れている。そんなの知るか!! 種を見て
         もわからないのか?

11/19fri      
秋の暮 パテシエ修行の 娘が嫁ぐ
     (あきのくれ ぱてしえしゅぎょうの こがとつぐ)
        ※ケーキ店開業の夢は諦めて結婚するとか。小
         さいころから知っている、甥の娘だ。まあそ
         れもいいだろう、幸せを祈る。

11/18thu
七五三 子のつく名前 参り札
     (しちごさん このつくなまえ まいりふだ)

病葉も 岩風呂に入る 旅の宿
     (わくらばも いわぶろにいる たびのやど)
        ※PCでダウンロードした曲を整理してはせっせ
         とスマホに移し、オフで聴ける手筈を整えて
         いる。へへ、音の悪いのはリジェクトする。
         YouTubeは駄目。

11/17wed
時雨忌や 二の橋を越え 深川へ
     (しぐれきや にのはしをこえ ふかがわへ)
        ※時雨忌は芭蕉の忌日、陰暦10月12日。ゆ
         かりの深川へはいつも本所側から歩いて、門
         仲をゴールにする。
         本所二の橋のたもとには軍鶏なべや「五鉄」
         の跡地がある。鬼平の行きつけ。

11/16tue
さざんかや 昵懇の犬 動かざる
     (さざんかや じっこんのいぬ うごかざる)
        ※若い秋田犬が道路のあっちで腹ばいになって
         動かないでいる。我が家の犬に興味あっての
         ことではない。実はお目当ては小生である。


11/15mon
小春日は畑でワイヤレスイヤホンで
     (こはるびははたでわいやれすいやほんで)

秋夕焼 電車の音で 腰伸ばす
     (あきゆやけ でんしゃのおとで こしのばす)

幾百の 玉葱植えて 腰立たず
     (いくひゃくの たまねぎうえて こしたたず)
        ※3列の長い畝に黒マルチを張り、300本弱
         の玉葱の苗を飽きずに植える。しかし来年の
         春までは手間いらず。5月前半収穫の早生。

11/14sun
人の顔したる源氏の人逝ける
     (ひとのかおしたるげんじのひとゆける)
        ※瀬戸内寂聴逝去。若いころは一般的な世評に
         乗って、おやおやという思いで眺めていたが、
         自分がそこから解き放たれると彼女の顔が生
         き生きと穏やかに見え始めた。ますますそう
         なった。合掌。

11/12fri
どっしりと 家伝の砧 壁にあり
     (どっしりと かでんのきぬた かべにあり)
        ※郊外から移築した豪農の民家が公園にある。
         様々な農具、民具を入れ替わりで展示してい
         た。機織りの仕上げに反物の布打ちに使った
         とか。生乾きの洗濯物をたたいて柔らかくし
         たり皺をのばしたりもした。昔村落の家々で
         砧の音がした・・・有名なその光景とは、な
         にをしていたんだろう? 聞きそびれた。

11/10wed  
男手が スマホを見つつ 菊膾
     (おとこでが すまほをみつつ きくなます)
        ※季節感はあっても好きなものではない。何度
         か口にする機会はあったが、ちょっと舌先で
         感じてすぐに飲み込む類のものだった。せっ
         かくの到来物の食用菊、少し前進したい。年
         齢並みに。

11/9tue
歩きけり 新酒試飲は 障子部屋
     (あるきけり しんしゅしいんは しょうじべや)
        ※今は近くに醸造会社はない。昔々の話。

望みしも 秋刀魚一向に 気配なし
     (のぞみしも さんまいっこうに けはいなし)

11/8mon
海舟の 呼吸が聞こえる 坂の秋
     (かいしゅうの いきがきこえる さかのあき)
        ※勝海舟は赤坂の地を愛し、都合3度も場所を
         変えて住まいした。幕末は氷川下。その場所
         はマンションの林の中に埋没しているが、近
         くの氷川神社や氷川坂には往時の息吹が残っ
         ているように感じた。交通の激しい大通りの
         間にあって、不思議な静寂がある。

11/7sun
墓売れて にわか夜なべの 石工かな
     (はかうれて にわかよなべの いしくかな)

吾亦紅 午前いっぱい 身じろがず
     (われもこう ごぜんいっぱい みじろがず)
        ※新しいクルマの試乗に行った。今のクルマは
         中古だから、二つのクルマの間には10年近
         くの隔たりがある。話には聞いていたが、IT
         絡みの装備は目を見張るほど。
         しかし「安全のために必要なもの」と運転手
         サポートという名の「大きなお世話」とが混
         然としている。

11/6sat
ゴミ寄せに 鴉が消えて 秋の暮
     (ごみよせに からすがきえて あきのくれ)
    
秋深しジュリーのサンフランシスコ
     (あきふかしじゅりーのさんふらんしすこ)
        ※暦には明日7日は立冬。いくら寒いとは言え
         今日明日が冬であるとは肌に合わない。年々
         のことだ。新旧暦のずれにあるのだから仕方
         がない。しかし自分の句作とかには実感を優
         先していきたい。まだ当分は秋の暮だ。 
         ジュリー・ロンドンの低い声が最も似合う季
         節。

11/5fri
日に一つ もいで柿食う 余生良し
     (ひにひとつ もいでかきくう よせいよし)
        ※胃のバリウム検査に行ってきた。1時間ごと
         の予約制に改まって待ち時間が短くなった。
         この街での検査も25回以上を数える。

11/4thu
文化の日 佳きことありて 嗽二度
     (ぶんかのひ よきことありて うがいにど)

文化の日 洗濯しつつ 長電話
     (ぶんかのひ せんたくしつつ ながでんわ)
        ※文化の日とて関係の催しはなにもない。展示
         だけの文化祭も繰り上げで既に終わっている。
         友人の洗濯時の無聊に付き合う。

11/3wed
背の曲がり 正すこと増え 鱗雲
     (せのまがり ただすことふえ うろこぐも)

立冬は とうに来るらし 秋霞
     (りっとうは とうにきたるらし あきがすみ)

先生の 甲高い声 秋の午後
     (せんせいの かんだかいこえ あきのごご)
        ※もう晩秋である。様々な老化やその兆候を感
         じ始めて久しくなるが、これも秋そのもの。
         人生の秋の風情。

11/2tue
山中の 食堂ひとり とろろ汁
     (さんちゅうの しょくどうひとり とろろじる)
        ※房総半島の紅葉の見頃は11月下旬から12
         月上旬。年によって短く、気がついた頃には
         盛りが終わっていたということも。
         今の山のドライブコースは人もクルマもとこ
         とんまばら。

11/1mon
故郷の 歳時記重し 秋燈下
     (ふるさとの さいじきおもし しゅうとうか)
        ※昭和55年発行の「会津歳時記」がある。横
         になって、うとうとしながら長時間見入るの
         が至福の時なのだが、大部だけに仰向けのま
         までは5分と持たない。
         歳時記といっても当時の俳人仲間が集まり、
         地域の俳人と先輩の句を発掘して郷土の匂い
         がする俳句集を編んでみよう、ということに
         なったらしい。どんな歳時記でもその中に自
         分の句がのる、残るというのは俳句人の夢。
         あれもこれと話と努力は大きくなり、出来上
         がりは重くなった。装丁も立派である。
         後にも先にもこれだけの目論見はこれ一回だ
         け。匂い豊かで、胸に重くなるのを今日も味
         わうことにしよう。
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