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ダクタク句集2017年(平成29年)下期 自選集 [自選集2017]

12/31sun 2017
ほうきやの 嬶が店出す 大晦日
     (ほうきやの かかあがみせだす おおみそか)

12/30sat 2017
拍子木の 遠く近くで 動きおり
     (ひょうしぎの とおくちかくで うごきおり)
        ※年末はどの町内も毎日火の用心の声が聞こえる。
         軽トラにスピーカーをつけてやっていたところも、
         いつしか本来の復古調に。当番を決め、拍子木の
         音に続いて皆で声を合わせる。
         勤め人は大方家にいる昨日今日、「年末が正月ら
         しくなって」きた。あの声、落ち着くなァ・・・。
         (正月は年々落ち着かなくなってきている、とか)

12/29fri 2017
おしつまる 障子は小さき 紙を貼り
     (おしつまる しょうじはちいさき かみをはり)
        ※家の大掃除、思ったほどにははかどらず、第4コ
         ーナーを回ったところでタメ息が。障子は今年も
         全面張替えを断念し、小さな紙で部分補修となる。
         紙を花の形にしたり、色紙で昆虫をまねたり、せ
         めて工夫したつもりが終わって眺めたら、成果は
         イマイチ。もう2日。

12/28thu 2017
賀状書かぬ 師走わずかに 日脚伸ぶ
     (がじょうかかぬ しわすわずかに ひあしのぶ)
        ※新年の挨拶は遠慮することにしている。賀状の用
         意をしない12月もおしせまって、今日は誕生日で
         やわらかな日差しが降りそそいでいる。俳句は季
         語の重なりを原則禁じるが、これはなんと三つも
         ・・・、季語のテンコモリ。

12/24sun 2017
入院の 寝着でやつれ 聖夜かな
     (にゅういんの ねまきでやつれ せいやかな)
        ※どういうわけか病院の寝間着に着替え、ベッドに
         横になると、途端にやつれて見えた。患者らしく
         なったということ。

12/23sat 2017
犬が寝て 手が動きおり 冬至の夜
     (いぬがねて てがうごきおり とうじのよ)
        ※犬や猫のペットが寝ぼける、夢を見る、寝言を言
         うとか言われるが、どうなのだろう? 当家の7歳
         メス雑種犬は眠っている時に、表情は変えないが
         オテのように片方の前足を差し出す仕草をする。
         夢を見ているとしか思えない。

12/18mon 2017
門前に 居酒屋開くを 待つ初冬
     (もんぜんに いざかやあくを まつしょとう)
        ※居酒屋の席に案内され、営業時間までそのまま
         待たされる。ビールもこない。文句は言わない。

12/17sun 2017
男とて 暮らしのことなど 渓紅葉
     (おとことて くらしのことなど たにもみじ)  
        ※久しぶりとはいえ、話題はいつも高尚にというわけ
         にはいかない。気のおけない間柄はまず暮らし向
         きのことに始まる。医療費がどうの、年金がどうの
         ・・・。話題に男女の差は縮まっていくものなのだろ
         うか?

12/13wed 2017
干し柿と 同じ色ともる 友の家
     (ほしがきと おなじいろともる とものいえ)
        ※古い家でどうにも・・・と言っていたが、よその目
         からすれば羨ましいことばかり。縁側があり、庭
         に面して木製雨戸がある。まして、この御仁は
         茶の間の窓に障子を残している。夕方近くを通
         ると、今ではレアものとなった「暖か色の光」が
         障子窓にほんのり映っている。いいなァと眺め
         る。これはもう皆のために残すべきだ。寒さをこ
         らえるのは本人。

12/11sat 2017
亡父の名を ちゃんづけで呼ぶ 露時雨
     (ちちのなを ちゃんづけでよぶ つゆしぐれ)
        ※父の親しい友人がいつも「ちゃん」づけで呼んで
         いたことをふと思い出した。それを真似てふざけ
         て「〇〇ちゃん」と呼んだことも。今は二人ともい
         ない。なのに「ちゃん」で呼ぶ音の響きが耳を離
         れない。

12/10sun 2017
鼻水の 光る飼い主 曳かれおり
     (はなみずの ひかるかいぬし ひかれおり)
        ※今朝は今シーズン一の冷え込み。風邪気味を押し
         ての犬の散歩はきびしい。あれッ、向こうからも元
         気な犬に引っ張られてシニアがやってくる。あれあ
         れ・・・鼻水たらして。良く見ると、犬も飼い主も似て
         いる。誰に?・・・。微熱の朝の幻想。

12/7thu 2017
本線は 50万ボルトと 冬に咆え
     (ほんせんは ごじゅうまんぼるとと ふゆにほえ)
        ※送電線の鉄塔を何本も見通せる場所がある。豪
         快な冬空を背景にしたところはなかなかのものだ。

12/6wed 2017
室蘭に 母恋という街 寒夜かな
     (むろらんに ぼこいというまち かんやかな)
        ※なにげなく母恋の街を思い出した。室蘭に住んだ
         のは40年以上前、今にして思えばなにもかもが
         輝いた体験だった。夏にも思い出すし、冬にも。
         きれいに整備された街に、あの頃と同じ素晴らし
         い光がさしているだろうか? そしてあの頃の大
         好きな人たちは・・・。

12/5tue 2017
秋深し 挑みし本を 置く今宵
     (あきふかし いどみしほんを おくこよい)
        ※なにも今宵に限ったことではない。読んでみた
         いなァと思っても、過去の実績から読了困難?
         と思われるタイプの本がある。ヒマは無限にあ
         るのに・・・と思いつつ、繰り返し押し寄せるギ
         ブアップの波に抗しきれずに枕元に放り出す。

12/3sun 2017
さおだけぇ テープなれども 師走かな
     (さおだけぇ てーぷなれども しわすかな)
        ※物干し竿売りの呼び声が聞こえる。スピーカー
         から流れるのはテープの音だが、12月なら「い
         いかな」と思う。売っているのは最早ステンレス
         製だけだけれど。

12/1fri
酉の市 住んだ街まで 廻り道
     (とりのいち すんだまちまで まわりみち)
        ※今年は三の酉まであり、11月30日でした。行く
         ことはできませんでしたが、縁起熊手を求める人
         と売り手の掛け合い、恒例の手締めの光景が報
         道されていました。地方出の者にとっては、こうし
         た下町の季節の催しにはなぜか憧れが強く、ちょ
         っと遠くの駅で降り、ゆっくり徒歩で出向いたもの
         でした。

11/30thu 2017
鹿野山 古寺は甍も 黄ばみおり
     (かのうざん こじはいらかも きばみおり)

11/26sun 2017
蓮根掘り もはや体験 すべからず
     (はすねほり もはやたいけん すべからず)
        ※初冬の風物詩、内房線沿いに蓮田が広がる。以前
         住んだ浜松市でも天竜川の支流沿いに蓮田があり、
         季節には蓮根堀りの作業を眺めたものだ。発動機
         によるポンプで水を噴出させ、泥を飛ばして蓮根を
         取り出し、浮かべた舟に乗せる。寒風の中、時には
         腰まで畑の水と泥に浸かりながらの作業だ。最近は
         観光用の体験教室なんてのもあるらしいが・・・。

11/22wed 2017
干し柿の 数を減らして 見張り番
     (ほしがきの かずをへらして みはりばん)
        ※このところの寒さは一日の寒暖差も大きく、干し
         柿には最適らしい。しかし、そろそろとなると鳥た
         ちがやって来る。尾長、ヒヨドリなど。実に賢いし、
         かつ貪欲である。
         畑では良い出来だと楽しみにしていた落花生が
         軒並みハクビシンにやられガックリきた。鳥たち
         にも寛容ではいられない。

豊作や 僧が風切る スクーター
     (ほうさくや そうがかぜきる すくーたー)
        ※若い僧侶が秋晴れの街道を行く。農家は不順な夏
         の天候で心配されたが、まずまずの米作だったとか。
         秋の野菜収穫は絶好調。豊作であれば檀家の実入
         りも豊かだろう。お布施も・・・。お坊さんの表情も明
         るい。

11/21tue 2017
秋の句を 諳んじ若き 僧が行く
     (あきのくを そらんじわかき そうがいく)
        ※後を継いだ坊さんは地域の文化活動にも積極的だ。
         句会とか歴史講座などにお寺を開放している。彼自
         身が句会の有力メンバー。

11/17fri 2017
柿たわわ 食い散らしたる 日々遥か
     (かきたわわ くいちらしたる ひびはるか)
        ※こちらは時期的にはちょっと前。小粒の甘柿。

11/16thu 2017
松茸や 薄いが施設の 土瓶蒸し
     (まつたけや うすいがしせつの どびんむし)
        ※介護付き有料老人ホームに見学に行った。それ
         も丁寧なバージョンらしくて、昼食と喫茶付きであ
         る。最近は地方でも街中の一角に開業する例が
         多い。自然が多すぎて、人間の住む環境が恋しい、
         といった笑えない話は減ったみたい。びっくりした
         のは昼食についた土瓶蒸しだ。マッタケを過度に
         ありがたがる人種には属さないが、つましい暮ら
         しだから何年ぶりだろう?

11/14tue 2017
故郷の 紅葉ひときわ チバニアン
     (ふるさとの もみじひときわ ちばにあん)
        ※市原市養老川沿いの地層が地球の歴史を画する
         標準標本と認められた。地球新生代の一時期(77
         万年前~13万年前)の名称として「チバニアン(千
         葉時代)」が採用され、全世界で使用される。一時
         期とはいえ、ざっと64万年間、6400世紀分だ。
         以前訪れた場所、紅葉の盛りにはちょっと早いが、
         地球の磁場NSの転換を証明する地層が朝の光に
         輝いている。


11/12sun 2017
人知れず コンビニ裏の アケビかな
     (ひとしれず こんびにうらの あけびかな)
        ※なんとか今年も収穫?したい。侵入罪、窃盗罪に
         ならないように気をつけて、暗くなってこっそりと。
         ちょうど絵画教室の会があるから格好の素材にな
         るのでは、と思っている。

11/8wed 2017
野菜手に ダム人帰る 秋の暮
     (やさいてに だむびとかえる あきのくれ)
        ※ダムを保守する人々が交代で街に帰っていく。近
         くの村で求めた野菜を持って。キノコやアケビなど、
         ここにはお宝も多い。 

11/6mon 2017
ふかしたる 大芋の湯気 子の目線
     (ふかしたる おおいものゆげ このめせん)
        ※今年の収穫したサツマイモは品種のせいかどうか
         大ぶりである。無理は覚悟で、切らずにそのまま
         ふかしてみた。「アッチッチー」と言いながら半分に
         すると盛大な湯気が・・・。その向こうに子供たちの
         顔が見える。今時の子供は女の子でもイモ好きは
         少なくなったというが、大芋の迫力はすごい。

11/5sun 2017
秋の灯や 父の草書に 歯が立たず
     (あきのひや ちちのそうしょに はがたたず)
        ※文化の日。先人の文物に接し、楽しむなかで、更
         なる文化が育まれるものだろうけれど、親の書付
         すら読めないとは・・・。

10/29sun 2017
もうとろう 妻まだまだと 柿笑う
     (もうとろう つままだまだと かきわらう)
        ※台風22号が今夜にも接近しそう。強風の前に柿
         をとろうとするが反対される。このあたりではたわ
         わに実った柿を収穫しようとしない家々が多い中
         で、我が家はなんとも・・・。

10/27fri 2017
棄てられし 野菜崩れる 野分かな
     (すてられし やさいくずれる のわきかな)
        ※日照時間が少なかった夏は野菜の価格が急騰し
         たが、旬の野菜は9月後半に入って落ち着いた。
         しかしこうなると一部は価格が急落して、運賃す
         ら出ないとかで出荷されず、畑の傍らに捨てられ
         てしまう。そうした野菜の山が台風21号の風で
         散々に吹き飛ばされている。

10/26thu 2017
ヤギ二頭 草食む上に 柿千個
     (やぎにとう くさはむうえに かきせんこ)
        ※今日は「柿の日」とか。いわれは知らない。いつも
         散歩で見かけるヤギは薄暮の光でやっと確認できた。
         ヤギがいるのは柿の木10本ほどの畑、どの木も葉
         が落ちて赤い実がたわわになっている。
         古式ゆかしい日本の景色? いや、新型のイルミネ
         ーションのデザインかとも思う。その下は明るくは
         ないが・・・。

10/22sun 2017
秋さわぎ ロボコン部室の 灯が揺れる
     (あきさわぎ ろぼこんぶしつの ひがゆれる)
        ※台風が接近し、既に強風が吹き荒れている。木更
         津高専チームは過去に大会で活躍した強豪。人気
         があるのか、部室は結構な数の男女で賑わってい
         る。悪天候の週末も遅くまで。

10/21sat 207
野球部の 子ら声変わり オフの秋
     (やきゅうぶの こらこえがわり おふのあき)
        ※近くの中学校の野球部、夏に2年生以下の新チ
         ームになり、秋の新人戦も終えた。朝のランニン
         グの掛け声がぐっと低くなったような気がする。み
         んな声変わりの時期だ。

10/19thu 2017
冷やかに バッハのアダージョ のみを聴く
     (ひややかに ばっはのあだーじょ のみをきく)
        ※大学時代の友人が会社経営を託した子息に先立た
         れたという。言葉がなかった。

10/13fri 2017
クレオメは 暑い日々から 三月咲き 
     (くれおめは あついひびから みつきさき)
        ※クレオメ(風蝶草)は妻がもらってきて植えたも
         のだ。大好きな花の一番のニューフェース。5本
         ほどが次々と花をつけ、3ヶ月以上になる。
         「花魁草」と間違えた記事を書いたのが8/14。そ
         れからもずうっと。現在は最後の一本だから、月
         末まで持つかな? 一日花で咲き終わると節を
         作るようにして上に伸びて咲くから、咲いた日数、
         回数が節の数でわかる。

10/12thu 2017
ウンという 仁王すじ雲の 空に立つ
     (うんという におうすじぐもの そらにたつ)
        ※「阿吽」の両像のうち描くの吽像。秋のすじ雲を
         背景にスクッと立つ仁王像は生半可な写生を跳
         ね返す。

10/10tue 2017
秋日和 師の絵横目で 描けども
     (あきびより しのえよこめで えがけども)
        ※今日の絵画教室は郊外に出かけてのスケッチ。
         天気が良すぎて、10月で熱中症要注意の夏日と
         なった。どこを描くかより、いい日陰があるかどう
         かを優先。先生のすぐ隣で、真似をする良い機
         会だと意気込んだのだが、結果はまだまだ。

10/8sun 2017
赤き紅 真っ赤なバイクの シニア行く
     (あかきべに まっかなばいくの しにあいく)
        ※爽やかな秋の朝にぴったり。

10/6fri 2017
秋の道 老執事行く 恋の旅
     (あきのみち ろうしつじゆく こいのたび)
        ※映画のすじなんかは割愛。最後半に主人公が
         信じる女性を訪ねて行くシーンが印象的だ。

9/29fri 2017
秋彼岸 菓子量り売る ジジの店
     (あきひがん かしはかりうる じじのみせ)
        ※孫らしき子供が祖父母と遊ぶ店があった。なつか
         しいお菓子、煎餅や飴玉などがガラスの容器に入
         っていて見た目が本当にきれい。全てバラ売りか
         量り売りとか。

9/28thu 2017
句碑ありて 根岸の里の 路地の秋
     (くひありて ねぎしのさとの ろじのあき)
        ※根岸の里という響きがいい。江戸時代から明治大
         正期までの通り呼び名か、今は台東区根岸。隣接
         するのは下谷、更に南は入谷、その東側は浅草。
         江戸の繁華街の郊外になる。現代の根岸のウリ
         は子規庵と路地の散策。

9/24sun 2017
糸瓜忌や 居士の倍なる 年齢数え
     (へちまきや こじのばいなる としかぞえ)
        ※9月22日鶯谷駅近く根岸に子規庵を訪ねた。糸
         瓜忌にちなんで友人と行ったのだが、生憎雨降り。
         その分しっとりと庵を楽しむことが出来た。加えて
         現在「生誕150年記念特別展示」中である。
         友人ともども子規没年年齢の倍以上・・・。今更に
         子規の偉業を感じた。 
       
9/20wed 2017
メール来る 友の秀句や 秋日和
     (めーるくる とものしゅうくや あきびより)
        ※台風一過で秋日和。友人とは月に一二度メールの
         やり取りをしている。お互いに3句ほど直近の句を
         交換する。なかなか良い頻度で気に入っている。
         強風が吹き荒れた後のほっとした気持ちが感じ取
         れた。

9/9sat 2017
遅き実を 黙って待ちし 糸瓜かな
     (おそきみを だまってまちし へちまかな)
        ※6月の畑に棚を作ったが、他のツル物が次々と実
         をつけ収穫を迎えたのに、糸瓜は葉っぱと多くの
         花をつけるが、実の成長は遅々としていた。
         子規が日夜眺めた庭に、夏はヘチマが実をつけた。
         彼は成長を喜び、ヘチマ水を飲んだとか。同じヘチ
         マでも万分の一の詩心さえないのが哀しい。

9/7thu 2017
ハッピ着た 男が笑う 別な顔
     (はっぴきた おとこがわらう べつなかお)
        ※法被を着て、一杯入った赤い顔の男がこちらを見
         て会釈した。アレッ?と一瞬思ったが、時々朝に挨
         拶する人と思いついた。あの真面目そうな彼が・・・。

9/1fri 2017
防災の 話あるとて 萩の家
     (ぼうさいの はなしあるとて はぎのいえ)
        ※町内の各班ごとに集合して、防災の学習をすると
         か。教材はなにかと問えば、漬物やらお菓子の持
         ち寄りと言う。ははーん、食料の備蓄の訓練かな?

8/31thu 2017
病院の 裏手のヤギの 眼が強し
     (びょういんの うらてのやぎの めがつよし)
        ※草を食むヤギに我が家の犬が尻尾を振って近づく。
         痩せてはいても大柄のヤギが悠然と振り向く。犬は
         この一瞬でたじろぐ。おとなしい、やさしい・・・という
         ヤギだが、目と目線は意外と厳しい。

8/27sun 2017
秋来ぬと 沙矢香の弦の 響きかな
     (あききぬと さやかのげんの ひびきかな)
        ※庄司紗矢香の比較的新しいYouTube。ヴィバ
         ルディ「四季」のアレンジ版というのも、室内楽
         団を彼女がリードしての演奏というのも面白い。

8/26sat 2017
お座敷へ 路地にさやかな 風蝶草
     (おざしきへ ろじにさやかな ふうちょうそう)
8/15tue 2017
墓地を掃く 少女なりけり 盆の朝
     (ぼちをはく しょうじょなりけり ぼんのあさ)
        ※早朝墓参の人はまだ殆どいない。静寂。墓地の
         通路を掃除していたのは、いつも見かける寺の人
         ではなく、作業の服装を整えた若い女性だった。

8/14mon 2017
盆の入り 夕に紅さす 花魁草
     (ぼんのいり ゆうにべにさす おいらんそう)
        ※ピンクの可憐な花々にかんざしのような細いツル
         を伸ばした花魁草は、夕方になると蕾が真っ赤に
         見えて、色合いが増す。
         故人をしのぶ迎え日の気持ちは、恋しい人を待っ
         て紅をさす花魁の切ない思いに通じるものがある
         ・・・。
         (実は実は花魁草というのは別の花で、長い間勘
          違いしていた。今日句にした花は「クレオメ」が
          本名らしい。別名「風蝶草」、「酔蝶花」とか)

8/9wed 2017
長崎の空 絶対悪という響き
      (ながさきのそら ぜったいあくというひびき)
        ※今日9日は長崎原爆の日。

8/8tue 2017
新聞で くるむ野菜の 昭和かな
     (しんぶんで くるむやさいの しょうわかな)
        ※今季の畑で自慢の作は「小玉スイカ」。これを新
         聞紙でくるむ。設定も新聞紙の上にズッキーニ、
         トウモロコシ、ゴーヤ、ナス、トマトを配し、傍らに
         麦わら帽子を添えた。
         野趣あふれる昭和の畑のイメージ。

8/7mon 2017
盆踊り 帰りはスイカの 賞品と
     (ぼんおどり かえりはすいかの しょうひんと)
        ※優秀な踊り手に与えられる賞品? いや、そうで
         はない。盆踊り大会の今時の売りは「抽選会」で
         ある。これがあるから、年寄りも若者も集まる。
         長らくクジ運に恵まれなかったが、今年は二等賞
         のスイカが当たった。

8/6sun 2017
原爆忌 朝一番の 草むしり
     (げんばくき あさいちばんの けさむしり)
        ※暑さがもどってきて、今日の広島原爆記念日。朝の
         うち日陰で庭仕事をする。家の中から記念式典を伝
         えるラジオの音が・・・。

7/23sun 2017
夾竹桃 愛煙患者の 吹き溜まり
     (きょうちくとう あいえんかんじゃの ふきだまり)
        ※いつも通る病院の、道路沿いに置いてあるベンチ。
         入院患者が朝の一服とおしゃべり。怪我などの外
         科の患者だから、包帯は巻いていても至極元気が
         良い。こちらの犬にまで挨拶してくれる。
         それにしても病院の「敷地内全面禁煙」だが、外来
         患者や職員、見舞い客などはわかるが、入院患者
         に関してはいかがなものか? 敷地外には行けな
         いのだから・・・。喫煙禁止とまで言うんですか? 
         ちょっと前まではこうした患者の交流の場は病棟の
         各階毎にあったものだ。もちろん灰皿付きで。

7/21fri 2017
陽水の 少年時代の 空と雲
     (ようすいの しょうねんじだいの そらとくも)
        ※真っ青な空にモクモクと立ち上る入道雲。自分の
         記憶の底にある夏の空と雲、陽水の曲から連想す
         る空と雲、8月終戦にまつわる出来事のシンボル
         としての空と雲・・・三つとも思い浮かべる空と雲の
         イメージはみな同じ。

7/20thu 2017
姉に送る 我が家の桃の 宅急便
     (あねにおくる わがやのももの たっきゅうびん)
        ※家内が、病気で遠くに離れてしまった姉に桃を送
         った。一番良いのは鳥にやられ二番手ということ
         になるが、甘さと香りは抜群。これを味わって早く
         帰って来て・・・と。

7/14fri 2017
熱帯夜 芳紀18歳が 枕辺に
     (ねったいや ほうきじゅうはっさいが まくらべに)
         ※23時前、東に向いた寝室の窓を全開にして就
          寝。暑気は残るが心地よい涼風も来る。なによ
          り雲のない空に見事な月が・・・。月齢18歳ちょ
          っとの色白な月だ。真っ暗な寝床で目を凝らす。
          暑苦しさがすーっと引き、落ち着いてくる。絶
          妙なタミング。

7/12wed 2017
香港の 一国二制度 明けぬ梅雨
     (ほんこんの いっこくにせいど あけぬつゆ)
        ※文字通りに期待した人は少なかったかも知れない
         が、中国一国に占める香港のウェイトがこんなに
         も急速に下げるとは、そして大中華思想に浮かれ
         る中国の「民意」がこんなにも急に膨張するとは
         ・・・。かの国に民意があるとしての話だが。

7/8sat 2017
再会は 炎熱の日の ビル影で
     (さいかいは えんねつのひの びるかげで)
        ※昨夜は元の勤務先の同期会。最寄りの駅で待ち
         合わせ、馴れた道を歩いて会場まで行く。代々木
         の森も喘いでいる。暑さのピークを避けての日程
         なのだが、今年はこれだ。ただ暑い。

7/7fri 2017
酔芙蓉 遠き日京島の 親子連れ
     (すいふよう とおきひきょうじまの おやこづれ)
        ※酔芙蓉の見事な花を見た。ちょうど一年ほど前、
         曳舟で降りて、京島界隈を訪ねた時を思い出した。
         初めてなのに何故か懐かしい町並みと路地のたた
         ずまいがいい。スカイツリーが見下ろす街として再
         開発が進行しているようだが、もう少しそっとしてお
         いて貰いたい・・・、と勝手な希望が。
         突然の降雨で、子の手を引く女性が傘をさして歩
         く傍らに酔芙蓉が咲いていた。



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ダクタク句集2017年(平成29年)上期 自選集 [自選集2017]

6/24sat 2017
空師いる 森の静けさ 梅雨最中
     (そらしいる もりのしずけさ つゆさなか)
        ※空師は簡単な道具ひとつで、木をするすると登り、
         余分な枝を落として矯正し、下枝を刈ったりする林
         業の専門職。チェーンソーのエンジン音やバサッ
         バサッと鉈で枝が払われる音がする。
         それらの音が止まるとシーンとした静寂。・・・
         音が再び始まっても、かえって森の静けさが感じ
         られるようだ。

6/23fri 2017
短夜や ミュシャの眼に 静まりぬ
     (みじかよや みゅしゃのまなこに しずまりぬ)
        ※ミュシャの展覧会が終わったようだ。スラブ叙事詩
         に描かれた母国の歴史とその変遷そして民衆の悲
         劇、慟哭は凄まじい迫力で迫ってくる。
         一枚に描かれた男の眼は、場面を想像することさえ
         拒否するような深刻さだ。思い出すと・・・静まりはす
         るのだけれど、決して鎮まりはしない。

6/21wed 2017
梅雨寒や 老班ついに 手の甲に
     (つゆざむや ろうはんついに てのこうに)
        ※昨日は蒸し暑い中、上野の美術館に知人が出品し
         た板院展を見に行った。今日は打って変わって朝か
         ら雨。老班というもの、付き合いが始まってもう十年
         近いので、取り立てての感興はない。「手の甲はよ
         せ」って言ったのに・・・。

6/19mon 2017
商店の 引越し荷物 鉢あじさい
     (しょうてんの ひっこしにもつ はちあじさい)
        ※地方の暮らしが便利になるのはいいに違いないが、
         どこも「金太郎飴」のようで街に特色がなくなる。個
         人商店が今も減り続けているのが一因だ。半年ほど
         前に小間物店を閉めた家が、離れた住宅地に越し
         ていくという。丹精を込めた花々がいつも店先を飾
         っていた・・・。
         「今日の便利より、明日のおもてなし」だが。

6/17sat 2017
タチアオイ 小路にラジオの 音漏れて
     (たちあおい こうじにらじおの おともれて)
        ※もうすぐ夏至、日が長い。塀も倒れて朽ちてしま
         った庭に見事なタチアオイが咲いている。3色も
         4色も・・・午後7時を回ったのに夕日にほんのり
         輝いている。ラジオのニュースがこぼれてくる。

6/16fri 2017
予約本 重なり来たる 梅雨の入り
     (よやくぼん かさなりきたる つゆのいり)
        ※当市の図書館は財政上の理由から購入する本の
         数が少ない。人気があって予約が殺到する本も購
         入は大概一冊だ。直木賞と本屋大賞のダブル受賞
         とか聞くと、まず予約するのが私のルーティン。予
         約の消化はゆっくりで、半年余りかかってやっと順
         番がやって来た。 「えっ、なんだっけ? この本」
         貸出の延長はきかないから、第一優先で読まねば
         ならない。

6/13tue 2017
桃の実の ジューンドロップは 音もなく
     (もものみの じゅーんどろっぷは おともなく)
        ※強風や病害などによるものではなく、果樹が自ら
         生育不良の実や過多な実を落とす。子孫(種子)
         の確実な繁栄を期しての現象とか。
         ジューンブライドの花嫁が結婚に幻滅して、同月
         内に身を隠す・・・のではないらしい。

6/9fri 2017
スイカなり 雌花に翻弄されて梅雨
     (すいかなり めばなにほんろうされてつゆ)
        ※素人のスイカ挑戦はなにかと騒がしい。このとこ
         ろ雌花がようやくしっかりしてきたと思ったら、梅
         雨だァ・・・。強い雨に濡れると受粉の確率が落ち
         るとか。ここは、やっぱり虫頼み。

6/8thu 2017
ケータイで 焚き火の許可とる 梅雨の朝
     (けーたいで たきびのきょかとる つゆのあさ)

6/7wed 2017
美女柳 二日見ぬ間の 黄の乱舞
     (びじょやなぎ ふつかみぬまの きのらんぶ)
        ※留守にしていた2日の間に一気に「満開」。ちょ
         っともったいない。明日辺りから曇りがちとなり、
         梅雨入りとなるかも。

6/7wed 2017
早寝して かわず鳴く音の 一二分
     (はやねして かわずなくねの いちにふん)
        ※疲労対策で早寝した。遠くでカエルの声が・・・。
         田舎暮らしの特権、寝入り薬。

6/5mon 2017
タチアオイ 郵便局の 門構え
     (たちあおい ゆうびんきょくの もんがまえ)
        ※郵政民営化で名称はなくなったものの、今も続く
         特定郵便局。弊害は指摘されるが、土地も建物も
         局長の所有物だから局ごとに違う装いと習慣が出
         来る。良く言えばお役所仕事とは違う独特のアイ
         デンティティがあったものだ。この立葵もその名残
         りのひとつ。

6/4sun 2017
背を合わせ キャストする二人 水の上
     (せをあわせ きゃすとするふたり みずのうえ)
        ※ここ2、3日は暑さ一服。今朝の微風は目をつぶれ
         れ高原の涼風だ。近くの小櫃川取水堰ダム湖に釣
         り客多数。小さな釣り用のボートにルアーを操る2
         人。バッテリーで動く小さなモーターがついているか
         ら、水面を音も立てずにゆっくりゆっくり移動する。
         最近のウィークエンド光景。

6/3sat 2017
新しき 畑に馬鈴薯の 花二列
     (あたらしき はたにばれいしょの はなにれつ)
        ※スギナ満載?だった畑に立派な畝がいくつか、汗
         の結晶である。
         スイカ、馬鈴薯、サツマイモなど酸性土壌に比較的
         強い苗を植えた。今しも遅めの馬鈴薯が花をつけ
         ている。これからはオクラを植える。

6/1thu 2017
新築の 家浮かびおり 茅萱の穂
     (しんちくの いえうかびおり ちがやのほ)
        ※4月下旬~6月にかけて空き地や野原に繁茂する。
         穂が出る前の実を口に入れ舐めると、かすかに甘
         い味がすると言われる。家内は小学生の頃何度も
         口にしたという。おやつもろくになかった時代。
         穂が重なると白くて厚いジュウタンのよう。その向こ
         うの家々が白い穂の上に浮かんで見える。

6/1thu 2017
茅萱の穂 道路に沿いて 飛びつくす
     (ちがやのほ どうろにそいて とびつくす)
        ※5月下旬あたりから穂は次第に細くなり、風に舞
         い始める。

5/31wed 2017
泰山木 母の金歯の 恋しかり
     (たいさんぼく ははのきんばの こいしかり)
        ※母が死亡したのは故郷とは遠く離れた九州勤務の
         時だった。知らせのあった翌朝、空港に向かう時に
         目にしたのが社宅の庭にあった見事な泰山木。
         早朝の光に輝いていた、真っ白な花々を忘れない。

5/30tue 2017
二株の スイカの開花に 通いづめ
     (ふたかぶの すいかのかいかに かよいづめ)
        ※スイカは3度目の挑戦。小さめのラグビーボール
         型の品種。初心者は安全な接木済の苗で、やや
         高価。雌花の咲いた早朝に受粉をしてやるのだが、
         結構きまぐれでうまくいかない日も・・・。クルマで
         出かけ、よ~く会話をしながら・・・?。実がなる日
         を夢見れば、苦にならない。

5/27sat 2017
泰山木 根元に続く 靴の跡
     (たいさんぼく ねもとにつずく くつのあと)
        ※久しぶりのお湿りあり。泰山木の葉っぱが格段に
         光って見える。蕾がいくつか大きく、いい色になり
         つつある。夕方蕾を数えに近づいて見上げる。

5/18thu 2017
焼き鳥を買って帰る 真っ赤な夕焼け
     (やきとりをかってかえる まっかなゆうやけ)
        ※近くの坂道の中程にある焼き鳥屋。坂道は商売
         に向かないというが、商店が次々と廃業していく
         中で、ここだけは30年近く繁盛している。実にう
         まくて、安い。ネクタイのサラリーマンから、子供
         連れの母親、トラックの運転手などなど、夕方は
         いつも客が待っている。

5/17wed 2017
タラの芽は 得られず戻る 山の駅
     (たらのめは えられずもどる やまのえき)
        ※会津若松市内では既に遅く買えなかった。それで
         はと、会津鉄道の停車時間の間に山間の駅前スー
         パーらしき店に急行。結果は「今日はない」と。
         雨も強くなり、諦める。今年はだめ。

5/17wed 2017
五月雨や 県境の村の 道くねり
     (さみだれや けんざかいのむらの みちくねり)
        ※会津鉄道の県境近く。サクラが咲いている。まだ
         春の真っ盛り。

5/17wed 2017
花ミズキ 赤のみ多き 村のあり
     (はなみずき あかのみおおき むらのあり)
        ※会津山村道場とか七ケ岳登山口とかの駅名があ
         る。このあたりは秋の紅葉が素晴らしい。
         会津高原尾瀬口駅からは東武線で、今市経由で
         浅草まで行く。この春から、この路線に速い特急
         が走っている。速すぎるかな? 今回はバカ空き。
         今市近くになると集落にミズキが目立つ。

5/17wed 2017
雨をおして ソースカツ丼で ビール飲み
     (あめをおして そーすかつどんで びーるのみ)
        ※会津から今市に抜けるローカル線に乗った。生憎
         の雨で眺望は良くないが、山々や線路沿いの谷は
         若い新緑が煙っていて、なかなかのもの。途中の
         駅で降りて、見知りの店まで歩き昼食をとった。
         至極満足しました。

5/15mon 2017
故郷の町並みは 歯の抜けるごと
     (ふるさとのまちなみは はのぬけるごと)
        ※地方都市はどこも同じだろうが、個人商店の衰退
         は通りに空き地を量産している。昔通りの家々が
         空き地のせいで、昔見えなかった角度から見えて、
         「ほほう・・・」と感心したり。
         粗末な家が多かったにしても、通りにびっしり詰
         まった頃の方が街としては断然豊かだった。

5/15mon 2017
友は孫に 店を譲りて ヤマボウシ
     (ともはまごに みせをゆずりて やまぼうし)
        ※こうした街の有り様、変遷に多くの感慨を持つで
         あろう友人は多くを語らない。何十年もここに暮
         らしてきたのだから。

5/14sun 2017
桐の花 昔家業の 栄えた日
     (きりのはな むかしかぎょうの さかえたひ)
        ※弟の納骨の法要のため会津若松市に帰省。小雨
         の中、久しぶりにゆっくり街を歩いた。その昔名家と
         言われた特産下駄の老舗はとっくに廃業。塀越しに
         見頃の桐の花が見えた。


5/10wed 2017
ネギ坊主 中学生の 口喧嘩
     (ねぎぼうず ちゅうがくせいの くちげんか)
        ※畑に沿った通学路で、男の生徒同士の諍いの声
         が・・・。結構険悪な感じ。手や足が出るか・・・。
         大変だ。でも、大丈夫。パタッと口喧嘩がやみ、
         黙って並んで歩いていく。この二人は大丈夫だ、
         仲良くなるためのケンカ・・ネギ坊主が見ている。

5/5fri 2017
ナツユキソウ 北海道からの 同居人
     (なつゆきそう ほっかいどうからの どうきょにん)
        ※今から40年ほど前北海道勤務の頃に出会った花。
         白い清楚な花で、塀や垣根が少ない道内の家々に
         良く似合っていた。調べてみたらセラスチューム
         Cerastiumが正式名みたい。Snow in Summer
         とも呼ばれるらしい。日本ではシロミミナグサとも。
         今日は「子供の日」。先日前を通りかかった女子中
         学生が「可愛いね。この花、大好き」と言う声が聞こ
         えた。度重なる引越しにもめげず、同居してきた甲斐
         があったというもの。
白360-5.jpegなつゆきそう.jpg

5/2tue 2017
春陰や 森繁が誦む 千曲川
     (しゅんいんや もりしげがよむ ちくまがわ)
        ※YouTubeに森繁久彌が朗読する藤村「千曲川旅
         情の歌」がある。春先のやわらかな光の信州が目
         に浮かぶ。いいなァ・・・。絶品。

4/29sat 2017
断崖の椿は 叫びつつ落ちて
     (だんがいのつばきは さけびつつおちて)
        ※日の当たらない岩壁に月遅れ?の椿が咲いていた。
         真紅に白の斑が見事な花々。それが見ているうちに
         ポロッと落ち、真下に転げ落ちた。

4/25tue 2017
オダマキは 虫ふところに あやしおり
     (おだまきは むしふところに あやしおり)
        ※このところの陽気で背丈を増したオダマキだが、
         意外と強い。かなりの風にも揺れるけれども実
         は軸はびくともしない。しかし、そよ風にゆっくり
         揺れるのがいい・・・。

4/24mon 2017
東北の 茎わかめ届く 友の味
     (とうほくの くきわかめとどく とものあじ)
        ※我が家にとっては季節の風物詩。今年採れたての
         わかめが届いた。岩手県産。ポン酢でいただく。

4/13thu 2017
フィエスタの 埃と脂粉 夢に見る
     (ふぃえすたの ほこりとしふん ゆめにみる)
        ※今年の聖週間は4/9~15。スペインアンダルシア
         では各地で伝統の催しが続く。なかでも聖像を聖
         地に運ぶ巡礼の行進はすさまじいほど熱気に溢
         れている。会社や学校はどうなる? いやいや、
         その数日はひたすら歩き、歌い、踊り、食べ、飲
         み、そして祈る。

4/13thu 2017
桜舞う 息子今流 ハグ2回
     (さくらまう むすこいまりゅう はぐにかい)
        ※決して今流とは言えぬ息子が、玄関先で母親
         をハグ。顔を見合わせて黙って。そして笑顔で
         「もう一度」と。

4/6thu 2017
花愛でる 言葉を学ぶ 橋の上
     (はなめでる ことばをまなぶ はしのうえ)
        ※今年も恒例の目黒川沿いの花見。昨年は中目
         黒の雑踏に辟易したので、今年は目黒行人坂下
         の周辺にした。夕暮れ、人出はまあまあ、ゆっく
         り散策が出来る。それでもサクラを眺める橋の上
         は人がいっぱい、各国の言葉が混じっている。
         しっとりと、しみじみと花見を楽しむ気分、「・・・今
         宵会う人みなうつくしき」とかにはちょっと遠いかな。
         目黒の住人が良い店に案内してくれた。満足。

4/3mon 2017
悪妻と 良妻はいつも 紙一重
     (あくさいと りょうさいはいつも かみひとえ)
        ※ハタ目には全面的な悪妻も、ホンの一面で夫に好
         かれ、世間からも珍重されたり。その逆、誰の目に
         も良妻賢母間違いなしなのに、ホンの一面の偏向、
         性癖で悪妻確定となる。
         「良かったね」と「ご愁傷様」が交錯する。

4/2sun 2017
虫たちに 任せておけぬと 桃受粉
     (むしたちに まかせておけぬと ももじゅふん)
        ※三月は暖かい日が続かず、桃の開花も遅いし、
         虫たちも影を潜めているようだ。今年は去年に引
         き続き、桃の豊作を夢見ているが、そうは問屋は
         卸してくれぬかも・・・。

3/27mon 2017
両側を見て 泣きべその我が絵かな
     (りょうがわをみて なきべそのわがえかな)
        ※ところが絵自身は正直で、周りの絵を見ておろお
         ろしている・・・。

3/27mon 2017
作品展 うれし恥ずかし 春幻
     (さくひんてん うれしはずかし はるまぼろし)
        ※隣市の図書館で絵画教室の作品展を行う。今日
         はそのために作品を持ち寄る日(搬入日というら
         しい)。立派な図書館で、広いフリースペースが企
         画もので常に活用されているところ。そんなところ
         で一ヶ月も・・・? でも戦線離脱は無理なよう。で
         も、少し嬉しくもある。
 
3/24fri 2017
老班の手が 班なきを撫で別れ
     (ろうはんのてが はんなきをなでわかれ)
        ※昨日告別式。弟との別れ。

span style="font-size:x-small;">3/20mon 2017
桃は咲きてあり 弟は逝きてあり
     (ももはさきてあり おとうとはゆきてあり)
        ※昨夜入院先で弟が死んだ。今朝桃が数輪開花した。

3/10fri 2017
また髪が 薄くなったねと 初雲雀
     (またかみが うすくなったねと はつひばり)
        ※大きなお世話。

3/7tue 2017
春雷や 不義理をわびる 電話口
     (しゅんらいや ふぎりをわびる でんわぐち)
        ※週末は急遽遠出したので、予定していた会合を
         電話でドタキャンした。もどってから、幹事役の友
         人からキツーイ詰問の電話が・・・。少しわけを話
         してやっと了解してくれた。

3/6mon 2017
安達太良の 麓でかすかな 息をする
     (あだたらの ふもとでかすかな いきをする)
        ※週末に入院中の弟を郡山市に見舞う。

3/6mon 2017
寝たきりの 視線すがしや 春の山
     (ねたきりの しせんすがしや はるのやま)
        ※重篤と聞いてかけつけたが、幸い持ち直している。
         視線は以前より落ち着いているように見受けられ
         た。静かに窓外を見る眼は穏やかだが動かない。

3/6mon 2017
出迎えは この顔なりき 夏の駅
     (でむかえは このかおなりき なつのえき)
        ※夏休みなどに帰省した時、駅で待っていてくれた
         のは、いつもこの顔。いつも笑顔だった。

3/1wed 2017
春眠や 父の遺した 軸の前
     (しゅんみんや ちちののこした じくのまえ)
        ※世界情勢が落ち着かない?とか言っても、たっぷ
         り春眠を貪る日もある。雪解けで疎らに見え始め
         た地面をジョウビタキが餌を探して歩いている図、
         故郷の今ごろのイメージだ。気に入っている。

2/22wed 2014
春燈や 万太郎の句を 口ごもる
     (しゅんとうや まんたろうのくを くちごもる)
        ※「春燈」は久保田万太郎の主宰した俳句誌。夕方
         の散歩で彼の好きな句がどうしても出てこない。
         記憶力の減退? 仕方なしに有名な句を諳んじる
         ことに。季節が合わない・・・。
           草笛を ふいて神田の 生まれかな
           時雨るるや 麻布二の橋 三の橋

2/20mon 2017
70歳の デニムパンツや カラス啼く
     (ななじゅうの でにむぱんつや からすなく)
        ※久しぶりに新調する。現在の体重、体型に合わせ
         た最初の一本で、今までより細身だ。やや恥ずか
         しい・・・。カラスがひやかしたらどうしよう。

2/17fri 2017
とちもちは 手間を惜しまぬ 風味あり
     (とちもちは てまをおしまぬ ふうみあり)
        ※遥か昔、山に遊びに行って、トチノミが「食べら
         れる」と聞いて、リュックに目一杯詰め込んで意
         気揚々と家に持ち帰った。しかし母親にあえなく
         引取りを拒否された。ちょっと苦い記憶。
         時間をかけて丹念にアクを抜き、もち米と合わ
         せ蒸して撞く。丁寧にやると短くとも20日ほど
         日にちがかかる。
         山に落ちている実は、そのままではクマもイノシ
         シも目もくれない。

2/15wed 2017
あげるけど 場所は秘密と ふきのとう
     (あげるけど ばしょはひみつと ふきのとう)
        ※早取りのふきのとうをくれた御仁は場所を明かさ
         ないとか。ふふふ、こちらも実は良い場所を知っ
         ている。そこはまだ早い。
         ・・・しかし本命はタラの芽だ。知っていた場所
         はことごとく荒らされてしまっている・・・。

2/13mon 2017
ふきのとう 大雪報道の 日に届く
     (ふきのとう おおゆきほうどうの ひにとどく)
        ※西日本に執拗な降雪が続く。ところがフキノトウ
         が届いた。葉が開く前なのにずっしり大きなもの
         で、粒ぞろい。びっくり、こんなにも早い? 
         当地は晴れ続きで少し後ろめたさを感じるほどな
         のに、外房などは更に暖かだからなあ?

2/11sat 2017
初午や 祖母にひかれて 祠参り
     (はつうまや そぼにひかれて ほこらまいり)
        ※次々と商家のお稲荷さまを訪ね、好物のお土産
         を供え、お祈りした。固いモチをサイコロ状に切り
         油で揚げたもの、だったような気がする。商家の
         庭はどこも屋根から落ちた雪が小山のようにあり、
         小さな祠には家人の足跡を辿って行った

2/5sun 2017
ダクタク集 一年となりぬ ジョウビタキ
     (だくたくしゅう いちねんとなりぬ じょうびたき)
        ※ダクタク【駄句多句】句集、一周年を迎える

2/5sun 2017
夢に見て 句にさいなまれ 春めぐる
     (ゆめにみて くにさいなまれ はるめぐる)
        ※おおげさだが、こうしたことも一再ならず

2/4sat 2017
春立つ日 豆食う犬を 妻叱る
     (はるたつひ まめくういぬを つましかる)
        ※節分の翌朝、散歩コースの家の玄関前に豆が落ち
         ている。摂食中の我が家の愛犬は見逃さない。帰
         って家人に言うと大いに怒る。「豆とチョコそしてネ
         ギ」は絶対与えたら駄目と。叱られたのは私・・

1/26thu 2017
大寒や クリームすりこむ 白き爪
     (だいかんや くりーむすりこむ しろきつめ)
        ※乾燥で足の指の爪が硬くなり、少し白くなってい
         る。生色がない。爪は万病を映すとも言われる。
         歳のせいもあろうが、裸足で寒風にさらしたこと
         にも原因があるかも? 気休めかも知れないが、
         ハンドクリームを爪の下にすり込んだ

1/25wed 2017
冬のバラ 仲間の筆の 速く見え
     (ふゆのばら なかまのふでの はやくみえ)
        ※今年最初の絵画教室。年末年始から続くサボリ癖
         を断ち切らんと出かけたが、筆は遅々として進まず。
         どうも花はいけないと言い訳。顔は笑顔で・・・


1/24tue 2017
寒風や 場末の店の 煮込みかな
     (かんぷうや ばすえのみせの にこみかな)
        ※場末といってもここは浅草。売りは煮込み。湯気
         の向こうの、80歳過ぎの越後出身の女将さんが
         「もう閉めるよ」と。まだ五時前なのに・・・

1/20fri 2017
妻倒れ 難聴進む 友の顔
     (つまたおれ なんちょうすすむ とものかお)
        ※行きつけの理髪店の奥さんが入院した。やつれ
         顔の主人が不安と睡眠不足を訴える。しかし、こ
         ちらの言うことが殆ど聞き取れない。少しの間に
         悪化した・・・。奥さんの快癒を祈ること切なり

1/17tue 2017
統計は 最後ではないと 年男
     (とうけいは さいごではないと としおとこ)
        ※酉年年男。72歳の平均余命は13.4年とか
         (厚生労働省「平成19年簡易生命表」)。今はこ
         の種のデータが一瞬のうちに入手できる。統計
         曰く、「君の年齢では今年が最後の年男ではな
         いよ」「12年後まで頑張ってね、平均では生き
         られるはずだよ」
         ありがたいことなのか、どうか? 「たかが統計、
         されど統計」である・・・

1/15sun 2017
ブログ書く 今の農家の 冬仕事
     (ぶろぐかく いまののうかの ふゆしごと)
        ※知り合いの農家の後継は四季の仕事と交友など
         を中心にいいブログを持っている。冬は時間があ
         り、遊びもブログも充実しているという。冬仕事と
         言えば、稲わらの加工、筵や縄作りなどが定番
         で、ささやかな現金収入となっていたのは遥か昔
         の話で今はゼロとか。それに代わる収入の道が
         アルバイト以外にないのが悩み・・・

1/14sat 2017
カレンダーに 叱られ防止の WA
     (かれんだーに しかられぼうしの だぶりゅーえい)
        ※結婚記念日Wedding Anniversaryだ。小さく印刷
         文字のような字で2文字だけのサイン。このところ、
         この書き込みのおかげで事なきを得ている。以前
         は時々あった。その日になって突然言うものだから、
         どうしよう? かなり困った。やや陰険だと思った。
         来年頑張ろう・・と思った

1/13fri 2017
寒坊主と 呼びし昔は 雪の中
     (かんぼうずと よびしむかしは ゆきのなか)
        ※故郷の街では寒行托鉢のお坊さんを良く見かけた。
         今はどうかな? 編笠と黒づくめの僧形に、小学生
         は悪態をついてこう呼んでいた。根雪で道路が狭く
         なり、まっすぐに路肩を歩けなかった光景が蘇る

1/12thu 2017
朝練の 子が切なげに 咳をする
     (あされんの こがせつなげに せきをする)
        ※中学校の周囲を白い息を吐きながらランニングし
         ている。寒稽古という言葉が浮かぶ。あの子はや
         めとけばいいのに・・・

1/11wed 2017
二年越し 鳥の名調べ 初ひかり
     (にねんごし とりのなしらべ はつひかり)
        ※ジョービタキ? アカハラ? 年が明けてもまだ
         名前に行き着かない。留鳥で、見かける時はいつ
         も一羽。うすい赤茶色の胴体で腹に真っ白な部分
         がある。ピヨーーヨ?いい声で鳴く。もっと真面目
         に調べてみよう 

1/9mon 2017
駅頭に 師を待つ父の 赭い顔
     (えきとうに しをまつちちの あかいかお)
        ※戦後間もない年の正月に、師の篠田悌二郎とその
         師の水原秋桜子を待っている。若い父にとって大巨
         人を迎える喜びと緊張・・・

1/7sat 2017
寒の入り スーラの光 欲しいまま
     (かんのいり すーらのひかり ほしいまま)
        ※厳しい寒さ。今朝の光はピリピリしている。季節は
         違うが、点描の絵の光を思い出す。寒い朝に景色
         を眺めている者などいないから、独り占め、欲しい
         まま・・・。しかし「欲しいまま」というフレーズはいく
         つかの句で見たことがある。パクリ。
         点描風景画の趣味からすればスーラよりシスレー
         だが、字数がね・・・

1/6fri 2017
タオルまき 隣町まで 初湯かな
     (たおるまき となりまちまで はつゆかな)
        ※近くの温泉施設へなどではない。隣の町にある老
         舗の銭湯へクルマで出かける。節目節目でしか行
         かないが、本当にゆったりする。身も心も・・・

1/3tue 2017
名を知らぬ 読者に一礼 ブログ初め
     (なをしらぬ どくしゃにいちれい ぶろぐぞめ)
        ※こんな「シニアの雑記帳」のようなブログにも一定
         の読者がいる。感謝しながら、今年初めのブログ
         を書いた。よろしくお願いします

1/2mon 2017
初詣 樹木葬とやらを 見て廻り
     (はつもうで じゅもくそうとやらを みてまわり)
        ※清新な気持ちでお参りが出来た。最近は地方のお
         寺や自治体でも様々な形で「新しい墓」を売り出して
         いる。評判を読んだ都の「樹木葬」、当地でも古い寺
         が境内の一角に樹木葬を設置した。なかなかの場
         所だし、提案の内容もいい。ただ代替わりした、こ
         の寺の坊主が「かなりのやり手」なのが気にかかる

1/1sun 2017
去年今年 虚子を手本に 句をひねる
     (こぞことし きょしをてほんに くをひねる)
        ※しょうもない川柳らしき駄句を今年も作ろうと思っ
         ている。このダクタク(駄句多句)句集は日々の小
         文とあわせ「暮らしの意識」書き付け帳である。レ
         ベルは低いが、比較はなしよ・・・
         一年の計のつもり




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