ダクタク句集2017年(平成29年)下期 自選集 [自選集2017]
12/31sun 2017
ほうきやの 嬶が店出す 大晦日
(ほうきやの かかあがみせだす おおみそか)
12/30sat 2017
拍子木の 遠く近くで 動きおり
(ひょうしぎの とおくちかくで うごきおり)
※年末はどの町内も毎日火の用心の声が聞こえる。
軽トラにスピーカーをつけてやっていたところも、
いつしか本来の復古調に。当番を決め、拍子木の
音に続いて皆で声を合わせる。
勤め人は大方家にいる昨日今日、「年末が正月ら
しくなって」きた。あの声、落ち着くなァ・・・。
(正月は年々落ち着かなくなってきている、とか)
12/29fri 2017
おしつまる 障子は小さき 紙を貼り
(おしつまる しょうじはちいさき かみをはり)
※家の大掃除、思ったほどにははかどらず、第4コ
ーナーを回ったところでタメ息が。障子は今年も
全面張替えを断念し、小さな紙で部分補修となる。
紙を花の形にしたり、色紙で昆虫をまねたり、せ
めて工夫したつもりが終わって眺めたら、成果は
イマイチ。もう2日。
12/28thu 2017
賀状書かぬ 師走わずかに 日脚伸ぶ
(がじょうかかぬ しわすわずかに ひあしのぶ)
※新年の挨拶は遠慮することにしている。賀状の用
意をしない12月もおしせまって、今日は誕生日で
やわらかな日差しが降りそそいでいる。俳句は季
語の重なりを原則禁じるが、これはなんと三つも
・・・、季語のテンコモリ。
12/24sun 2017
入院の 寝着でやつれ 聖夜かな
(にゅういんの ねまきでやつれ せいやかな)
※どういうわけか病院の寝間着に着替え、ベッドに
横になると、途端にやつれて見えた。患者らしく
なったということ。
12/23sat 2017
犬が寝て 手が動きおり 冬至の夜
(いぬがねて てがうごきおり とうじのよ)
※犬や猫のペットが寝ぼける、夢を見る、寝言を言
うとか言われるが、どうなのだろう? 当家の7歳
メス雑種犬は眠っている時に、表情は変えないが
オテのように片方の前足を差し出す仕草をする。
夢を見ているとしか思えない。
12/18mon 2017
門前に 居酒屋開くを 待つ初冬
(もんぜんに いざかやあくを まつしょとう)
※居酒屋の席に案内され、営業時間までそのまま
待たされる。ビールもこない。文句は言わない。
12/17sun 2017
男とて 暮らしのことなど 渓紅葉
(おとことて くらしのことなど たにもみじ)
※久しぶりとはいえ、話題はいつも高尚にというわけ
にはいかない。気のおけない間柄はまず暮らし向
きのことに始まる。医療費がどうの、年金がどうの
・・・。話題に男女の差は縮まっていくものなのだろ
うか?
12/13wed 2017
干し柿と 同じ色ともる 友の家
(ほしがきと おなじいろともる とものいえ)
※古い家でどうにも・・・と言っていたが、よその目
からすれば羨ましいことばかり。縁側があり、庭
に面して木製雨戸がある。まして、この御仁は
茶の間の窓に障子を残している。夕方近くを通
ると、今ではレアものとなった「暖か色の光」が
障子窓にほんのり映っている。いいなァと眺め
る。これはもう皆のために残すべきだ。寒さをこ
らえるのは本人。
12/11sat 2017
亡父の名を ちゃんづけで呼ぶ 露時雨
(ちちのなを ちゃんづけでよぶ つゆしぐれ)
※父の親しい友人がいつも「ちゃん」づけで呼んで
いたことをふと思い出した。それを真似てふざけ
て「〇〇ちゃん」と呼んだことも。今は二人ともい
ない。なのに「ちゃん」で呼ぶ音の響きが耳を離
れない。
12/10sun 2017
鼻水の 光る飼い主 曳かれおり
(はなみずの ひかるかいぬし ひかれおり)
※今朝は今シーズン一の冷え込み。風邪気味を押し
ての犬の散歩はきびしい。あれッ、向こうからも元
気な犬に引っ張られてシニアがやってくる。あれあ
れ・・・鼻水たらして。良く見ると、犬も飼い主も似て
いる。誰に?・・・。微熱の朝の幻想。
12/7thu 2017
本線は 50万ボルトと 冬に咆え
(ほんせんは ごじゅうまんぼるとと ふゆにほえ)
※送電線の鉄塔を何本も見通せる場所がある。豪
快な冬空を背景にしたところはなかなかのものだ。
12/6wed 2017
室蘭に 母恋という街 寒夜かな
(むろらんに ぼこいというまち かんやかな)
※なにげなく母恋の街を思い出した。室蘭に住んだ
のは40年以上前、今にして思えばなにもかもが
輝いた体験だった。夏にも思い出すし、冬にも。
きれいに整備された街に、あの頃と同じ素晴らし
い光がさしているだろうか? そしてあの頃の大
好きな人たちは・・・。
12/5tue 2017
秋深し 挑みし本を 置く今宵
(あきふかし いどみしほんを おくこよい)
※なにも今宵に限ったことではない。読んでみた
いなァと思っても、過去の実績から読了困難?
と思われるタイプの本がある。ヒマは無限にあ
るのに・・・と思いつつ、繰り返し押し寄せるギ
ブアップの波に抗しきれずに枕元に放り出す。
12/3sun 2017
さおだけぇ テープなれども 師走かな
(さおだけぇ てーぷなれども しわすかな)
※物干し竿売りの呼び声が聞こえる。スピーカー
から流れるのはテープの音だが、12月なら「い
いかな」と思う。売っているのは最早ステンレス
製だけだけれど。
12/1fri
酉の市 住んだ街まで 廻り道
(とりのいち すんだまちまで まわりみち)
※今年は三の酉まであり、11月30日でした。行く
ことはできませんでしたが、縁起熊手を求める人
と売り手の掛け合い、恒例の手締めの光景が報
道されていました。地方出の者にとっては、こうし
た下町の季節の催しにはなぜか憧れが強く、ちょ
っと遠くの駅で降り、ゆっくり徒歩で出向いたもの
でした。
11/30thu 2017
鹿野山 古寺は甍も 黄ばみおり
(かのうざん こじはいらかも きばみおり)
11/26sun 2017
蓮根掘り もはや体験 すべからず
(はすねほり もはやたいけん すべからず)
※初冬の風物詩、内房線沿いに蓮田が広がる。以前
住んだ浜松市でも天竜川の支流沿いに蓮田があり、
季節には蓮根堀りの作業を眺めたものだ。発動機
によるポンプで水を噴出させ、泥を飛ばして蓮根を
取り出し、浮かべた舟に乗せる。寒風の中、時には
腰まで畑の水と泥に浸かりながらの作業だ。最近は
観光用の体験教室なんてのもあるらしいが・・・。
11/22wed 2017
干し柿の 数を減らして 見張り番
(ほしがきの かずをへらして みはりばん)
※このところの寒さは一日の寒暖差も大きく、干し
柿には最適らしい。しかし、そろそろとなると鳥た
ちがやって来る。尾長、ヒヨドリなど。実に賢いし、
かつ貪欲である。
畑では良い出来だと楽しみにしていた落花生が
軒並みハクビシンにやられガックリきた。鳥たち
にも寛容ではいられない。
豊作や 僧が風切る スクーター
(ほうさくや そうがかぜきる すくーたー)
※若い僧侶が秋晴れの街道を行く。農家は不順な夏
の天候で心配されたが、まずまずの米作だったとか。
秋の野菜収穫は絶好調。豊作であれば檀家の実入
りも豊かだろう。お布施も・・・。お坊さんの表情も明
るい。
11/21tue 2017
秋の句を 諳んじ若き 僧が行く
(あきのくを そらんじわかき そうがいく)
※後を継いだ坊さんは地域の文化活動にも積極的だ。
句会とか歴史講座などにお寺を開放している。彼自
身が句会の有力メンバー。
11/17fri 2017
柿たわわ 食い散らしたる 日々遥か
(かきたわわ くいちらしたる ひびはるか)
※こちらは時期的にはちょっと前。小粒の甘柿。
11/16thu 2017
松茸や 薄いが施設の 土瓶蒸し
(まつたけや うすいがしせつの どびんむし)
※介護付き有料老人ホームに見学に行った。それ
も丁寧なバージョンらしくて、昼食と喫茶付きであ
る。最近は地方でも街中の一角に開業する例が
多い。自然が多すぎて、人間の住む環境が恋しい、
といった笑えない話は減ったみたい。びっくりした
のは昼食についた土瓶蒸しだ。マッタケを過度に
ありがたがる人種には属さないが、つましい暮ら
しだから何年ぶりだろう?
11/14tue 2017
故郷の 紅葉ひときわ チバニアン
(ふるさとの もみじひときわ ちばにあん)
※市原市養老川沿いの地層が地球の歴史を画する
標準標本と認められた。地球新生代の一時期(77
万年前~13万年前)の名称として「チバニアン(千
葉時代)」が採用され、全世界で使用される。一時
期とはいえ、ざっと64万年間、6400世紀分だ。
以前訪れた場所、紅葉の盛りにはちょっと早いが、
地球の磁場NSの転換を証明する地層が朝の光に
輝いている。
11/12sun 2017
人知れず コンビニ裏の アケビかな
(ひとしれず こんびにうらの あけびかな)
※なんとか今年も収穫?したい。侵入罪、窃盗罪に
ならないように気をつけて、暗くなってこっそりと。
ちょうど絵画教室の会があるから格好の素材にな
るのでは、と思っている。
11/8wed 2017
野菜手に ダム人帰る 秋の暮
(やさいてに だむびとかえる あきのくれ)
※ダムを保守する人々が交代で街に帰っていく。近
くの村で求めた野菜を持って。キノコやアケビなど、
ここにはお宝も多い。
11/6mon 2017
ふかしたる 大芋の湯気 子の目線
(ふかしたる おおいものゆげ このめせん)
※今年の収穫したサツマイモは品種のせいかどうか
大ぶりである。無理は覚悟で、切らずにそのまま
ふかしてみた。「アッチッチー」と言いながら半分に
すると盛大な湯気が・・・。その向こうに子供たちの
顔が見える。今時の子供は女の子でもイモ好きは
少なくなったというが、大芋の迫力はすごい。
11/5sun 2017
秋の灯や 父の草書に 歯が立たず
(あきのひや ちちのそうしょに はがたたず)
※文化の日。先人の文物に接し、楽しむなかで、更
なる文化が育まれるものだろうけれど、親の書付
すら読めないとは・・・。
10/29sun 2017
もうとろう 妻まだまだと 柿笑う
(もうとろう つままだまだと かきわらう)
※台風22号が今夜にも接近しそう。強風の前に柿
をとろうとするが反対される。このあたりではたわ
わに実った柿を収穫しようとしない家々が多い中
で、我が家はなんとも・・・。
10/27fri 2017
棄てられし 野菜崩れる 野分かな
(すてられし やさいくずれる のわきかな)
※日照時間が少なかった夏は野菜の価格が急騰し
たが、旬の野菜は9月後半に入って落ち着いた。
しかしこうなると一部は価格が急落して、運賃す
ら出ないとかで出荷されず、畑の傍らに捨てられ
てしまう。そうした野菜の山が台風21号の風で
散々に吹き飛ばされている。
10/26thu 2017
ヤギ二頭 草食む上に 柿千個
(やぎにとう くさはむうえに かきせんこ)
※今日は「柿の日」とか。いわれは知らない。いつも
散歩で見かけるヤギは薄暮の光でやっと確認できた。
ヤギがいるのは柿の木10本ほどの畑、どの木も葉
が落ちて赤い実がたわわになっている。
古式ゆかしい日本の景色? いや、新型のイルミネ
ーションのデザインかとも思う。その下は明るくは
ないが・・・。
10/22sun 2017
秋さわぎ ロボコン部室の 灯が揺れる
(あきさわぎ ろぼこんぶしつの ひがゆれる)
※台風が接近し、既に強風が吹き荒れている。木更
津高専チームは過去に大会で活躍した強豪。人気
があるのか、部室は結構な数の男女で賑わってい
る。悪天候の週末も遅くまで。
10/21sat 207
野球部の 子ら声変わり オフの秋
(やきゅうぶの こらこえがわり おふのあき)
※近くの中学校の野球部、夏に2年生以下の新チ
ームになり、秋の新人戦も終えた。朝のランニン
グの掛け声がぐっと低くなったような気がする。み
んな声変わりの時期だ。
10/19thu 2017
冷やかに バッハのアダージョ のみを聴く
(ひややかに ばっはのあだーじょ のみをきく)
※大学時代の友人が会社経営を託した子息に先立た
れたという。言葉がなかった。
10/13fri 2017
クレオメは 暑い日々から 三月咲き
(くれおめは あついひびから みつきさき)
※クレオメ(風蝶草)は妻がもらってきて植えたも
のだ。大好きな花の一番のニューフェース。5本
ほどが次々と花をつけ、3ヶ月以上になる。
「花魁草」と間違えた記事を書いたのが8/14。そ
れからもずうっと。現在は最後の一本だから、月
末まで持つかな? 一日花で咲き終わると節を
作るようにして上に伸びて咲くから、咲いた日数、
回数が節の数でわかる。
10/12thu 2017
ウンという 仁王すじ雲の 空に立つ
(うんという におうすじぐもの そらにたつ)
※「阿吽」の両像のうち描くの吽像。秋のすじ雲を
背景にスクッと立つ仁王像は生半可な写生を跳
ね返す。
10/10tue 2017
秋日和 師の絵横目で 描けども
(あきびより しのえよこめで えがけども)
※今日の絵画教室は郊外に出かけてのスケッチ。
天気が良すぎて、10月で熱中症要注意の夏日と
なった。どこを描くかより、いい日陰があるかどう
かを優先。先生のすぐ隣で、真似をする良い機
会だと意気込んだのだが、結果はまだまだ。
10/8sun 2017
赤き紅 真っ赤なバイクの シニア行く
(あかきべに まっかなばいくの しにあいく)
※爽やかな秋の朝にぴったり。
10/6fri 2017
秋の道 老執事行く 恋の旅
(あきのみち ろうしつじゆく こいのたび)
※映画のすじなんかは割愛。最後半に主人公が
信じる女性を訪ねて行くシーンが印象的だ。
9/29fri 2017
秋彼岸 菓子量り売る ジジの店
(あきひがん かしはかりうる じじのみせ)
※孫らしき子供が祖父母と遊ぶ店があった。なつか
しいお菓子、煎餅や飴玉などがガラスの容器に入
っていて見た目が本当にきれい。全てバラ売りか
量り売りとか。
9/28thu 2017
句碑ありて 根岸の里の 路地の秋
(くひありて ねぎしのさとの ろじのあき)
※根岸の里という響きがいい。江戸時代から明治大
正期までの通り呼び名か、今は台東区根岸。隣接
するのは下谷、更に南は入谷、その東側は浅草。
江戸の繁華街の郊外になる。現代の根岸のウリ
は子規庵と路地の散策。
9/24sun 2017
糸瓜忌や 居士の倍なる 年齢数え
(へちまきや こじのばいなる としかぞえ)
※9月22日鶯谷駅近く根岸に子規庵を訪ねた。糸
瓜忌にちなんで友人と行ったのだが、生憎雨降り。
その分しっとりと庵を楽しむことが出来た。加えて
現在「生誕150年記念特別展示」中である。
友人ともども子規没年年齢の倍以上・・・。今更に
子規の偉業を感じた。
9/20wed 2017
メール来る 友の秀句や 秋日和
(めーるくる とものしゅうくや あきびより)
※台風一過で秋日和。友人とは月に一二度メールの
やり取りをしている。お互いに3句ほど直近の句を
交換する。なかなか良い頻度で気に入っている。
強風が吹き荒れた後のほっとした気持ちが感じ取
れた。
9/9sat 2017
遅き実を 黙って待ちし 糸瓜かな
(おそきみを だまってまちし へちまかな)
※6月の畑に棚を作ったが、他のツル物が次々と実
をつけ収穫を迎えたのに、糸瓜は葉っぱと多くの
花をつけるが、実の成長は遅々としていた。
子規が日夜眺めた庭に、夏はヘチマが実をつけた。
彼は成長を喜び、ヘチマ水を飲んだとか。同じヘチ
マでも万分の一の詩心さえないのが哀しい。
9/7thu 2017
ハッピ着た 男が笑う 別な顔
(はっぴきた おとこがわらう べつなかお)
※法被を着て、一杯入った赤い顔の男がこちらを見
て会釈した。アレッ?と一瞬思ったが、時々朝に挨
拶する人と思いついた。あの真面目そうな彼が・・・。
9/1fri 2017
防災の 話あるとて 萩の家
(ぼうさいの はなしあるとて はぎのいえ)
※町内の各班ごとに集合して、防災の学習をすると
か。教材はなにかと問えば、漬物やらお菓子の持
ち寄りと言う。ははーん、食料の備蓄の訓練かな?
8/31thu 2017
病院の 裏手のヤギの 眼が強し
(びょういんの うらてのやぎの めがつよし)
※草を食むヤギに我が家の犬が尻尾を振って近づく。
痩せてはいても大柄のヤギが悠然と振り向く。犬は
この一瞬でたじろぐ。おとなしい、やさしい・・・という
ヤギだが、目と目線は意外と厳しい。
8/27sun 2017
秋来ぬと 沙矢香の弦の 響きかな
(あききぬと さやかのげんの ひびきかな)
※庄司紗矢香の比較的新しいYouTube。ヴィバ
ルディ「四季」のアレンジ版というのも、室内楽
団を彼女がリードしての演奏というのも面白い。
8/26sat 2017
お座敷へ 路地にさやかな 風蝶草
(おざしきへ ろじにさやかな ふうちょうそう)
8/15tue 2017
墓地を掃く 少女なりけり 盆の朝
(ぼちをはく しょうじょなりけり ぼんのあさ)
※早朝墓参の人はまだ殆どいない。静寂。墓地の
通路を掃除していたのは、いつも見かける寺の人
ではなく、作業の服装を整えた若い女性だった。
8/14mon 2017
盆の入り 夕に紅さす 花魁草
(ぼんのいり ゆうにべにさす おいらんそう)
※ピンクの可憐な花々にかんざしのような細いツル
を伸ばした花魁草は、夕方になると蕾が真っ赤に
見えて、色合いが増す。
故人をしのぶ迎え日の気持ちは、恋しい人を待っ
て紅をさす花魁の切ない思いに通じるものがある
・・・。
(実は実は花魁草というのは別の花で、長い間勘
違いしていた。今日句にした花は「クレオメ」が
本名らしい。別名「風蝶草」、「酔蝶花」とか)
8/9wed 2017
長崎の空 絶対悪という響き
(ながさきのそら ぜったいあくというひびき)
※今日9日は長崎原爆の日。
8/8tue 2017
新聞で くるむ野菜の 昭和かな
(しんぶんで くるむやさいの しょうわかな)
※今季の畑で自慢の作は「小玉スイカ」。これを新
聞紙でくるむ。設定も新聞紙の上にズッキーニ、
トウモロコシ、ゴーヤ、ナス、トマトを配し、傍らに
麦わら帽子を添えた。
野趣あふれる昭和の畑のイメージ。
8/7mon 2017
盆踊り 帰りはスイカの 賞品と
(ぼんおどり かえりはすいかの しょうひんと)
※優秀な踊り手に与えられる賞品? いや、そうで
はない。盆踊り大会の今時の売りは「抽選会」で
ある。これがあるから、年寄りも若者も集まる。
長らくクジ運に恵まれなかったが、今年は二等賞
のスイカが当たった。
8/6sun 2017
原爆忌 朝一番の 草むしり
(げんばくき あさいちばんの けさむしり)
※暑さがもどってきて、今日の広島原爆記念日。朝の
うち日陰で庭仕事をする。家の中から記念式典を伝
えるラジオの音が・・・。
7/23sun 2017
夾竹桃 愛煙患者の 吹き溜まり
(きょうちくとう あいえんかんじゃの ふきだまり)
※いつも通る病院の、道路沿いに置いてあるベンチ。
入院患者が朝の一服とおしゃべり。怪我などの外
科の患者だから、包帯は巻いていても至極元気が
良い。こちらの犬にまで挨拶してくれる。
それにしても病院の「敷地内全面禁煙」だが、外来
患者や職員、見舞い客などはわかるが、入院患者
に関してはいかがなものか? 敷地外には行けな
いのだから・・・。喫煙禁止とまで言うんですか?
ちょっと前まではこうした患者の交流の場は病棟の
各階毎にあったものだ。もちろん灰皿付きで。
7/21fri 2017
陽水の 少年時代の 空と雲
(ようすいの しょうねんじだいの そらとくも)
※真っ青な空にモクモクと立ち上る入道雲。自分の
記憶の底にある夏の空と雲、陽水の曲から連想す
る空と雲、8月終戦にまつわる出来事のシンボル
としての空と雲・・・三つとも思い浮かべる空と雲の
イメージはみな同じ。
7/20thu 2017
姉に送る 我が家の桃の 宅急便
(あねにおくる わがやのももの たっきゅうびん)
※家内が、病気で遠くに離れてしまった姉に桃を送
った。一番良いのは鳥にやられ二番手ということ
になるが、甘さと香りは抜群。これを味わって早く
帰って来て・・・と。
7/14fri 2017
熱帯夜 芳紀18歳が 枕辺に
(ねったいや ほうきじゅうはっさいが まくらべに)
※23時前、東に向いた寝室の窓を全開にして就
寝。暑気は残るが心地よい涼風も来る。なによ
り雲のない空に見事な月が・・・。月齢18歳ちょ
っとの色白な月だ。真っ暗な寝床で目を凝らす。
暑苦しさがすーっと引き、落ち着いてくる。絶
妙なタミング。
7/12wed 2017
香港の 一国二制度 明けぬ梅雨
(ほんこんの いっこくにせいど あけぬつゆ)
※文字通りに期待した人は少なかったかも知れない
が、中国一国に占める香港のウェイトがこんなに
も急速に下げるとは、そして大中華思想に浮かれ
る中国の「民意」がこんなにも急に膨張するとは
・・・。かの国に民意があるとしての話だが。
7/8sat 2017
再会は 炎熱の日の ビル影で
(さいかいは えんねつのひの びるかげで)
※昨夜は元の勤務先の同期会。最寄りの駅で待ち
合わせ、馴れた道を歩いて会場まで行く。代々木
の森も喘いでいる。暑さのピークを避けての日程
なのだが、今年はこれだ。ただ暑い。
7/7fri 2017
酔芙蓉 遠き日京島の 親子連れ
(すいふよう とおきひきょうじまの おやこづれ)
※酔芙蓉の見事な花を見た。ちょうど一年ほど前、
曳舟で降りて、京島界隈を訪ねた時を思い出した。
初めてなのに何故か懐かしい町並みと路地のたた
ずまいがいい。スカイツリーが見下ろす街として再
開発が進行しているようだが、もう少しそっとしてお
いて貰いたい・・・、と勝手な希望が。
突然の降雨で、子の手を引く女性が傘をさして歩
く傍らに酔芙蓉が咲いていた。
ほうきやの 嬶が店出す 大晦日
(ほうきやの かかあがみせだす おおみそか)
12/30sat 2017
拍子木の 遠く近くで 動きおり
(ひょうしぎの とおくちかくで うごきおり)
※年末はどの町内も毎日火の用心の声が聞こえる。
軽トラにスピーカーをつけてやっていたところも、
いつしか本来の復古調に。当番を決め、拍子木の
音に続いて皆で声を合わせる。
勤め人は大方家にいる昨日今日、「年末が正月ら
しくなって」きた。あの声、落ち着くなァ・・・。
(正月は年々落ち着かなくなってきている、とか)
12/29fri 2017
おしつまる 障子は小さき 紙を貼り
(おしつまる しょうじはちいさき かみをはり)
※家の大掃除、思ったほどにははかどらず、第4コ
ーナーを回ったところでタメ息が。障子は今年も
全面張替えを断念し、小さな紙で部分補修となる。
紙を花の形にしたり、色紙で昆虫をまねたり、せ
めて工夫したつもりが終わって眺めたら、成果は
イマイチ。もう2日。
12/28thu 2017
賀状書かぬ 師走わずかに 日脚伸ぶ
(がじょうかかぬ しわすわずかに ひあしのぶ)
※新年の挨拶は遠慮することにしている。賀状の用
意をしない12月もおしせまって、今日は誕生日で
やわらかな日差しが降りそそいでいる。俳句は季
語の重なりを原則禁じるが、これはなんと三つも
・・・、季語のテンコモリ。
12/24sun 2017
入院の 寝着でやつれ 聖夜かな
(にゅういんの ねまきでやつれ せいやかな)
※どういうわけか病院の寝間着に着替え、ベッドに
横になると、途端にやつれて見えた。患者らしく
なったということ。
12/23sat 2017
犬が寝て 手が動きおり 冬至の夜
(いぬがねて てがうごきおり とうじのよ)
※犬や猫のペットが寝ぼける、夢を見る、寝言を言
うとか言われるが、どうなのだろう? 当家の7歳
メス雑種犬は眠っている時に、表情は変えないが
オテのように片方の前足を差し出す仕草をする。
夢を見ているとしか思えない。
12/18mon 2017
門前に 居酒屋開くを 待つ初冬
(もんぜんに いざかやあくを まつしょとう)
※居酒屋の席に案内され、営業時間までそのまま
待たされる。ビールもこない。文句は言わない。
12/17sun 2017
男とて 暮らしのことなど 渓紅葉
(おとことて くらしのことなど たにもみじ)
※久しぶりとはいえ、話題はいつも高尚にというわけ
にはいかない。気のおけない間柄はまず暮らし向
きのことに始まる。医療費がどうの、年金がどうの
・・・。話題に男女の差は縮まっていくものなのだろ
うか?
12/13wed 2017
干し柿と 同じ色ともる 友の家
(ほしがきと おなじいろともる とものいえ)
※古い家でどうにも・・・と言っていたが、よその目
からすれば羨ましいことばかり。縁側があり、庭
に面して木製雨戸がある。まして、この御仁は
茶の間の窓に障子を残している。夕方近くを通
ると、今ではレアものとなった「暖か色の光」が
障子窓にほんのり映っている。いいなァと眺め
る。これはもう皆のために残すべきだ。寒さをこ
らえるのは本人。
12/11sat 2017
亡父の名を ちゃんづけで呼ぶ 露時雨
(ちちのなを ちゃんづけでよぶ つゆしぐれ)
※父の親しい友人がいつも「ちゃん」づけで呼んで
いたことをふと思い出した。それを真似てふざけ
て「〇〇ちゃん」と呼んだことも。今は二人ともい
ない。なのに「ちゃん」で呼ぶ音の響きが耳を離
れない。
12/10sun 2017
鼻水の 光る飼い主 曳かれおり
(はなみずの ひかるかいぬし ひかれおり)
※今朝は今シーズン一の冷え込み。風邪気味を押し
ての犬の散歩はきびしい。あれッ、向こうからも元
気な犬に引っ張られてシニアがやってくる。あれあ
れ・・・鼻水たらして。良く見ると、犬も飼い主も似て
いる。誰に?・・・。微熱の朝の幻想。
12/7thu 2017
本線は 50万ボルトと 冬に咆え
(ほんせんは ごじゅうまんぼるとと ふゆにほえ)
※送電線の鉄塔を何本も見通せる場所がある。豪
快な冬空を背景にしたところはなかなかのものだ。
12/6wed 2017
室蘭に 母恋という街 寒夜かな
(むろらんに ぼこいというまち かんやかな)
※なにげなく母恋の街を思い出した。室蘭に住んだ
のは40年以上前、今にして思えばなにもかもが
輝いた体験だった。夏にも思い出すし、冬にも。
きれいに整備された街に、あの頃と同じ素晴らし
い光がさしているだろうか? そしてあの頃の大
好きな人たちは・・・。
12/5tue 2017
秋深し 挑みし本を 置く今宵
(あきふかし いどみしほんを おくこよい)
※なにも今宵に限ったことではない。読んでみた
いなァと思っても、過去の実績から読了困難?
と思われるタイプの本がある。ヒマは無限にあ
るのに・・・と思いつつ、繰り返し押し寄せるギ
ブアップの波に抗しきれずに枕元に放り出す。
12/3sun 2017
さおだけぇ テープなれども 師走かな
(さおだけぇ てーぷなれども しわすかな)
※物干し竿売りの呼び声が聞こえる。スピーカー
から流れるのはテープの音だが、12月なら「い
いかな」と思う。売っているのは最早ステンレス
製だけだけれど。
12/1fri
酉の市 住んだ街まで 廻り道
(とりのいち すんだまちまで まわりみち)
※今年は三の酉まであり、11月30日でした。行く
ことはできませんでしたが、縁起熊手を求める人
と売り手の掛け合い、恒例の手締めの光景が報
道されていました。地方出の者にとっては、こうし
た下町の季節の催しにはなぜか憧れが強く、ちょ
っと遠くの駅で降り、ゆっくり徒歩で出向いたもの
でした。
11/30thu 2017
鹿野山 古寺は甍も 黄ばみおり
(かのうざん こじはいらかも きばみおり)
11/26sun 2017
蓮根掘り もはや体験 すべからず
(はすねほり もはやたいけん すべからず)
※初冬の風物詩、内房線沿いに蓮田が広がる。以前
住んだ浜松市でも天竜川の支流沿いに蓮田があり、
季節には蓮根堀りの作業を眺めたものだ。発動機
によるポンプで水を噴出させ、泥を飛ばして蓮根を
取り出し、浮かべた舟に乗せる。寒風の中、時には
腰まで畑の水と泥に浸かりながらの作業だ。最近は
観光用の体験教室なんてのもあるらしいが・・・。
11/22wed 2017
干し柿の 数を減らして 見張り番
(ほしがきの かずをへらして みはりばん)
※このところの寒さは一日の寒暖差も大きく、干し
柿には最適らしい。しかし、そろそろとなると鳥た
ちがやって来る。尾長、ヒヨドリなど。実に賢いし、
かつ貪欲である。
畑では良い出来だと楽しみにしていた落花生が
軒並みハクビシンにやられガックリきた。鳥たち
にも寛容ではいられない。
豊作や 僧が風切る スクーター
(ほうさくや そうがかぜきる すくーたー)
※若い僧侶が秋晴れの街道を行く。農家は不順な夏
の天候で心配されたが、まずまずの米作だったとか。
秋の野菜収穫は絶好調。豊作であれば檀家の実入
りも豊かだろう。お布施も・・・。お坊さんの表情も明
るい。
11/21tue 2017
秋の句を 諳んじ若き 僧が行く
(あきのくを そらんじわかき そうがいく)
※後を継いだ坊さんは地域の文化活動にも積極的だ。
句会とか歴史講座などにお寺を開放している。彼自
身が句会の有力メンバー。
11/17fri 2017
柿たわわ 食い散らしたる 日々遥か
(かきたわわ くいちらしたる ひびはるか)
※こちらは時期的にはちょっと前。小粒の甘柿。
11/16thu 2017
松茸や 薄いが施設の 土瓶蒸し
(まつたけや うすいがしせつの どびんむし)
※介護付き有料老人ホームに見学に行った。それ
も丁寧なバージョンらしくて、昼食と喫茶付きであ
る。最近は地方でも街中の一角に開業する例が
多い。自然が多すぎて、人間の住む環境が恋しい、
といった笑えない話は減ったみたい。びっくりした
のは昼食についた土瓶蒸しだ。マッタケを過度に
ありがたがる人種には属さないが、つましい暮ら
しだから何年ぶりだろう?
11/14tue 2017
故郷の 紅葉ひときわ チバニアン
(ふるさとの もみじひときわ ちばにあん)
※市原市養老川沿いの地層が地球の歴史を画する
標準標本と認められた。地球新生代の一時期(77
万年前~13万年前)の名称として「チバニアン(千
葉時代)」が採用され、全世界で使用される。一時
期とはいえ、ざっと64万年間、6400世紀分だ。
以前訪れた場所、紅葉の盛りにはちょっと早いが、
地球の磁場NSの転換を証明する地層が朝の光に
輝いている。
11/12sun 2017
人知れず コンビニ裏の アケビかな
(ひとしれず こんびにうらの あけびかな)
※なんとか今年も収穫?したい。侵入罪、窃盗罪に
ならないように気をつけて、暗くなってこっそりと。
ちょうど絵画教室の会があるから格好の素材にな
るのでは、と思っている。
11/8wed 2017
野菜手に ダム人帰る 秋の暮
(やさいてに だむびとかえる あきのくれ)
※ダムを保守する人々が交代で街に帰っていく。近
くの村で求めた野菜を持って。キノコやアケビなど、
ここにはお宝も多い。
11/6mon 2017
ふかしたる 大芋の湯気 子の目線
(ふかしたる おおいものゆげ このめせん)
※今年の収穫したサツマイモは品種のせいかどうか
大ぶりである。無理は覚悟で、切らずにそのまま
ふかしてみた。「アッチッチー」と言いながら半分に
すると盛大な湯気が・・・。その向こうに子供たちの
顔が見える。今時の子供は女の子でもイモ好きは
少なくなったというが、大芋の迫力はすごい。
11/5sun 2017
秋の灯や 父の草書に 歯が立たず
(あきのひや ちちのそうしょに はがたたず)
※文化の日。先人の文物に接し、楽しむなかで、更
なる文化が育まれるものだろうけれど、親の書付
すら読めないとは・・・。
10/29sun 2017
もうとろう 妻まだまだと 柿笑う
(もうとろう つままだまだと かきわらう)
※台風22号が今夜にも接近しそう。強風の前に柿
をとろうとするが反対される。このあたりではたわ
わに実った柿を収穫しようとしない家々が多い中
で、我が家はなんとも・・・。
10/27fri 2017
棄てられし 野菜崩れる 野分かな
(すてられし やさいくずれる のわきかな)
※日照時間が少なかった夏は野菜の価格が急騰し
たが、旬の野菜は9月後半に入って落ち着いた。
しかしこうなると一部は価格が急落して、運賃す
ら出ないとかで出荷されず、畑の傍らに捨てられ
てしまう。そうした野菜の山が台風21号の風で
散々に吹き飛ばされている。
10/26thu 2017
ヤギ二頭 草食む上に 柿千個
(やぎにとう くさはむうえに かきせんこ)
※今日は「柿の日」とか。いわれは知らない。いつも
散歩で見かけるヤギは薄暮の光でやっと確認できた。
ヤギがいるのは柿の木10本ほどの畑、どの木も葉
が落ちて赤い実がたわわになっている。
古式ゆかしい日本の景色? いや、新型のイルミネ
ーションのデザインかとも思う。その下は明るくは
ないが・・・。
10/22sun 2017
秋さわぎ ロボコン部室の 灯が揺れる
(あきさわぎ ろぼこんぶしつの ひがゆれる)
※台風が接近し、既に強風が吹き荒れている。木更
津高専チームは過去に大会で活躍した強豪。人気
があるのか、部室は結構な数の男女で賑わってい
る。悪天候の週末も遅くまで。
10/21sat 207
野球部の 子ら声変わり オフの秋
(やきゅうぶの こらこえがわり おふのあき)
※近くの中学校の野球部、夏に2年生以下の新チ
ームになり、秋の新人戦も終えた。朝のランニン
グの掛け声がぐっと低くなったような気がする。み
んな声変わりの時期だ。
10/19thu 2017
冷やかに バッハのアダージョ のみを聴く
(ひややかに ばっはのあだーじょ のみをきく)
※大学時代の友人が会社経営を託した子息に先立た
れたという。言葉がなかった。
10/13fri 2017
クレオメは 暑い日々から 三月咲き
(くれおめは あついひびから みつきさき)
※クレオメ(風蝶草)は妻がもらってきて植えたも
のだ。大好きな花の一番のニューフェース。5本
ほどが次々と花をつけ、3ヶ月以上になる。
「花魁草」と間違えた記事を書いたのが8/14。そ
れからもずうっと。現在は最後の一本だから、月
末まで持つかな? 一日花で咲き終わると節を
作るようにして上に伸びて咲くから、咲いた日数、
回数が節の数でわかる。
10/12thu 2017
ウンという 仁王すじ雲の 空に立つ
(うんという におうすじぐもの そらにたつ)
※「阿吽」の両像のうち描くの吽像。秋のすじ雲を
背景にスクッと立つ仁王像は生半可な写生を跳
ね返す。
10/10tue 2017
秋日和 師の絵横目で 描けども
(あきびより しのえよこめで えがけども)
※今日の絵画教室は郊外に出かけてのスケッチ。
天気が良すぎて、10月で熱中症要注意の夏日と
なった。どこを描くかより、いい日陰があるかどう
かを優先。先生のすぐ隣で、真似をする良い機
会だと意気込んだのだが、結果はまだまだ。
10/8sun 2017
赤き紅 真っ赤なバイクの シニア行く
(あかきべに まっかなばいくの しにあいく)
※爽やかな秋の朝にぴったり。
10/6fri 2017
秋の道 老執事行く 恋の旅
(あきのみち ろうしつじゆく こいのたび)
※映画のすじなんかは割愛。最後半に主人公が
信じる女性を訪ねて行くシーンが印象的だ。
9/29fri 2017
秋彼岸 菓子量り売る ジジの店
(あきひがん かしはかりうる じじのみせ)
※孫らしき子供が祖父母と遊ぶ店があった。なつか
しいお菓子、煎餅や飴玉などがガラスの容器に入
っていて見た目が本当にきれい。全てバラ売りか
量り売りとか。
9/28thu 2017
句碑ありて 根岸の里の 路地の秋
(くひありて ねぎしのさとの ろじのあき)
※根岸の里という響きがいい。江戸時代から明治大
正期までの通り呼び名か、今は台東区根岸。隣接
するのは下谷、更に南は入谷、その東側は浅草。
江戸の繁華街の郊外になる。現代の根岸のウリ
は子規庵と路地の散策。
9/24sun 2017
糸瓜忌や 居士の倍なる 年齢数え
(へちまきや こじのばいなる としかぞえ)
※9月22日鶯谷駅近く根岸に子規庵を訪ねた。糸
瓜忌にちなんで友人と行ったのだが、生憎雨降り。
その分しっとりと庵を楽しむことが出来た。加えて
現在「生誕150年記念特別展示」中である。
友人ともども子規没年年齢の倍以上・・・。今更に
子規の偉業を感じた。
9/20wed 2017
メール来る 友の秀句や 秋日和
(めーるくる とものしゅうくや あきびより)
※台風一過で秋日和。友人とは月に一二度メールの
やり取りをしている。お互いに3句ほど直近の句を
交換する。なかなか良い頻度で気に入っている。
強風が吹き荒れた後のほっとした気持ちが感じ取
れた。
9/9sat 2017
遅き実を 黙って待ちし 糸瓜かな
(おそきみを だまってまちし へちまかな)
※6月の畑に棚を作ったが、他のツル物が次々と実
をつけ収穫を迎えたのに、糸瓜は葉っぱと多くの
花をつけるが、実の成長は遅々としていた。
子規が日夜眺めた庭に、夏はヘチマが実をつけた。
彼は成長を喜び、ヘチマ水を飲んだとか。同じヘチ
マでも万分の一の詩心さえないのが哀しい。
9/7thu 2017
ハッピ着た 男が笑う 別な顔
(はっぴきた おとこがわらう べつなかお)
※法被を着て、一杯入った赤い顔の男がこちらを見
て会釈した。アレッ?と一瞬思ったが、時々朝に挨
拶する人と思いついた。あの真面目そうな彼が・・・。
9/1fri 2017
防災の 話あるとて 萩の家
(ぼうさいの はなしあるとて はぎのいえ)
※町内の各班ごとに集合して、防災の学習をすると
か。教材はなにかと問えば、漬物やらお菓子の持
ち寄りと言う。ははーん、食料の備蓄の訓練かな?
8/31thu 2017
病院の 裏手のヤギの 眼が強し
(びょういんの うらてのやぎの めがつよし)
※草を食むヤギに我が家の犬が尻尾を振って近づく。
痩せてはいても大柄のヤギが悠然と振り向く。犬は
この一瞬でたじろぐ。おとなしい、やさしい・・・という
ヤギだが、目と目線は意外と厳しい。
8/27sun 2017
秋来ぬと 沙矢香の弦の 響きかな
(あききぬと さやかのげんの ひびきかな)
※庄司紗矢香の比較的新しいYouTube。ヴィバ
ルディ「四季」のアレンジ版というのも、室内楽
団を彼女がリードしての演奏というのも面白い。
8/26sat 2017
お座敷へ 路地にさやかな 風蝶草
(おざしきへ ろじにさやかな ふうちょうそう)
8/15tue 2017
墓地を掃く 少女なりけり 盆の朝
(ぼちをはく しょうじょなりけり ぼんのあさ)
※早朝墓参の人はまだ殆どいない。静寂。墓地の
通路を掃除していたのは、いつも見かける寺の人
ではなく、作業の服装を整えた若い女性だった。
8/14mon 2017
盆の入り 夕に紅さす 花魁草
(ぼんのいり ゆうにべにさす おいらんそう)
※ピンクの可憐な花々にかんざしのような細いツル
を伸ばした花魁草は、夕方になると蕾が真っ赤に
見えて、色合いが増す。
故人をしのぶ迎え日の気持ちは、恋しい人を待っ
て紅をさす花魁の切ない思いに通じるものがある
・・・。
(実は実は花魁草というのは別の花で、長い間勘
違いしていた。今日句にした花は「クレオメ」が
本名らしい。別名「風蝶草」、「酔蝶花」とか)
8/9wed 2017
長崎の空 絶対悪という響き
(ながさきのそら ぜったいあくというひびき)
※今日9日は長崎原爆の日。
8/8tue 2017
新聞で くるむ野菜の 昭和かな
(しんぶんで くるむやさいの しょうわかな)
※今季の畑で自慢の作は「小玉スイカ」。これを新
聞紙でくるむ。設定も新聞紙の上にズッキーニ、
トウモロコシ、ゴーヤ、ナス、トマトを配し、傍らに
麦わら帽子を添えた。
野趣あふれる昭和の畑のイメージ。
8/7mon 2017
盆踊り 帰りはスイカの 賞品と
(ぼんおどり かえりはすいかの しょうひんと)
※優秀な踊り手に与えられる賞品? いや、そうで
はない。盆踊り大会の今時の売りは「抽選会」で
ある。これがあるから、年寄りも若者も集まる。
長らくクジ運に恵まれなかったが、今年は二等賞
のスイカが当たった。
8/6sun 2017
原爆忌 朝一番の 草むしり
(げんばくき あさいちばんの けさむしり)
※暑さがもどってきて、今日の広島原爆記念日。朝の
うち日陰で庭仕事をする。家の中から記念式典を伝
えるラジオの音が・・・。
7/23sun 2017
夾竹桃 愛煙患者の 吹き溜まり
(きょうちくとう あいえんかんじゃの ふきだまり)
※いつも通る病院の、道路沿いに置いてあるベンチ。
入院患者が朝の一服とおしゃべり。怪我などの外
科の患者だから、包帯は巻いていても至極元気が
良い。こちらの犬にまで挨拶してくれる。
それにしても病院の「敷地内全面禁煙」だが、外来
患者や職員、見舞い客などはわかるが、入院患者
に関してはいかがなものか? 敷地外には行けな
いのだから・・・。喫煙禁止とまで言うんですか?
ちょっと前まではこうした患者の交流の場は病棟の
各階毎にあったものだ。もちろん灰皿付きで。
7/21fri 2017
陽水の 少年時代の 空と雲
(ようすいの しょうねんじだいの そらとくも)
※真っ青な空にモクモクと立ち上る入道雲。自分の
記憶の底にある夏の空と雲、陽水の曲から連想す
る空と雲、8月終戦にまつわる出来事のシンボル
としての空と雲・・・三つとも思い浮かべる空と雲の
イメージはみな同じ。
7/20thu 2017
姉に送る 我が家の桃の 宅急便
(あねにおくる わがやのももの たっきゅうびん)
※家内が、病気で遠くに離れてしまった姉に桃を送
った。一番良いのは鳥にやられ二番手ということ
になるが、甘さと香りは抜群。これを味わって早く
帰って来て・・・と。
7/14fri 2017
熱帯夜 芳紀18歳が 枕辺に
(ねったいや ほうきじゅうはっさいが まくらべに)
※23時前、東に向いた寝室の窓を全開にして就
寝。暑気は残るが心地よい涼風も来る。なによ
り雲のない空に見事な月が・・・。月齢18歳ちょ
っとの色白な月だ。真っ暗な寝床で目を凝らす。
暑苦しさがすーっと引き、落ち着いてくる。絶
妙なタミング。
7/12wed 2017
香港の 一国二制度 明けぬ梅雨
(ほんこんの いっこくにせいど あけぬつゆ)
※文字通りに期待した人は少なかったかも知れない
が、中国一国に占める香港のウェイトがこんなに
も急速に下げるとは、そして大中華思想に浮かれ
る中国の「民意」がこんなにも急に膨張するとは
・・・。かの国に民意があるとしての話だが。
7/8sat 2017
再会は 炎熱の日の ビル影で
(さいかいは えんねつのひの びるかげで)
※昨夜は元の勤務先の同期会。最寄りの駅で待ち
合わせ、馴れた道を歩いて会場まで行く。代々木
の森も喘いでいる。暑さのピークを避けての日程
なのだが、今年はこれだ。ただ暑い。
7/7fri 2017
酔芙蓉 遠き日京島の 親子連れ
(すいふよう とおきひきょうじまの おやこづれ)
※酔芙蓉の見事な花を見た。ちょうど一年ほど前、
曳舟で降りて、京島界隈を訪ねた時を思い出した。
初めてなのに何故か懐かしい町並みと路地のたた
ずまいがいい。スカイツリーが見下ろす街として再
開発が進行しているようだが、もう少しそっとしてお
いて貰いたい・・・、と勝手な希望が。
突然の降雨で、子の手を引く女性が傘をさして歩
く傍らに酔芙蓉が咲いていた。
ダクタク句集2017年(平成29年)上期 自選集 [自選集2017]
6/24sat 2017
空師いる 森の静けさ 梅雨最中
(そらしいる もりのしずけさ つゆさなか)
※空師は簡単な道具ひとつで、木をするすると登り、
余分な枝を落として矯正し、下枝を刈ったりする林
業の専門職。チェーンソーのエンジン音やバサッ
バサッと鉈で枝が払われる音がする。
それらの音が止まるとシーンとした静寂。・・・
音が再び始まっても、かえって森の静けさが感じ
られるようだ。
6/23fri 2017
短夜や ミュシャの眼に 静まりぬ
(みじかよや みゅしゃのまなこに しずまりぬ)
※ミュシャの展覧会が終わったようだ。スラブ叙事詩
に描かれた母国の歴史とその変遷そして民衆の悲
劇、慟哭は凄まじい迫力で迫ってくる。
一枚に描かれた男の眼は、場面を想像することさえ
拒否するような深刻さだ。思い出すと・・・静まりはす
るのだけれど、決して鎮まりはしない。
6/21wed 2017
梅雨寒や 老班ついに 手の甲に
(つゆざむや ろうはんついに てのこうに)
※昨日は蒸し暑い中、上野の美術館に知人が出品し
た板院展を見に行った。今日は打って変わって朝か
ら雨。老班というもの、付き合いが始まってもう十年
近いので、取り立てての感興はない。「手の甲はよ
せ」って言ったのに・・・。
6/19mon 2017
商店の 引越し荷物 鉢あじさい
(しょうてんの ひっこしにもつ はちあじさい)
※地方の暮らしが便利になるのはいいに違いないが、
どこも「金太郎飴」のようで街に特色がなくなる。個
人商店が今も減り続けているのが一因だ。半年ほど
前に小間物店を閉めた家が、離れた住宅地に越し
ていくという。丹精を込めた花々がいつも店先を飾
っていた・・・。
「今日の便利より、明日のおもてなし」だが。
6/17sat 2017
タチアオイ 小路にラジオの 音漏れて
(たちあおい こうじにらじおの おともれて)
※もうすぐ夏至、日が長い。塀も倒れて朽ちてしま
った庭に見事なタチアオイが咲いている。3色も
4色も・・・午後7時を回ったのに夕日にほんのり
輝いている。ラジオのニュースがこぼれてくる。
6/16fri 2017
予約本 重なり来たる 梅雨の入り
(よやくぼん かさなりきたる つゆのいり)
※当市の図書館は財政上の理由から購入する本の
数が少ない。人気があって予約が殺到する本も購
入は大概一冊だ。直木賞と本屋大賞のダブル受賞
とか聞くと、まず予約するのが私のルーティン。予
約の消化はゆっくりで、半年余りかかってやっと順
番がやって来た。 「えっ、なんだっけ? この本」
貸出の延長はきかないから、第一優先で読まねば
ならない。
6/13tue 2017
桃の実の ジューンドロップは 音もなく
(もものみの じゅーんどろっぷは おともなく)
※強風や病害などによるものではなく、果樹が自ら
生育不良の実や過多な実を落とす。子孫(種子)
の確実な繁栄を期しての現象とか。
ジューンブライドの花嫁が結婚に幻滅して、同月
内に身を隠す・・・のではないらしい。
6/9fri 2017
スイカなり 雌花に翻弄されて梅雨
(すいかなり めばなにほんろうされてつゆ)
※素人のスイカ挑戦はなにかと騒がしい。このとこ
ろ雌花がようやくしっかりしてきたと思ったら、梅
雨だァ・・・。強い雨に濡れると受粉の確率が落ち
るとか。ここは、やっぱり虫頼み。
6/8thu 2017
ケータイで 焚き火の許可とる 梅雨の朝
(けーたいで たきびのきょかとる つゆのあさ)
6/7wed 2017
美女柳 二日見ぬ間の 黄の乱舞
(びじょやなぎ ふつかみぬまの きのらんぶ)
※留守にしていた2日の間に一気に「満開」。ちょ
っともったいない。明日辺りから曇りがちとなり、
梅雨入りとなるかも。
6/7wed 2017
早寝して かわず鳴く音の 一二分
(はやねして かわずなくねの いちにふん)
※疲労対策で早寝した。遠くでカエルの声が・・・。
田舎暮らしの特権、寝入り薬。
6/5mon 2017
タチアオイ 郵便局の 門構え
(たちあおい ゆうびんきょくの もんがまえ)
※郵政民営化で名称はなくなったものの、今も続く
特定郵便局。弊害は指摘されるが、土地も建物も
局長の所有物だから局ごとに違う装いと習慣が出
来る。良く言えばお役所仕事とは違う独特のアイ
デンティティがあったものだ。この立葵もその名残
りのひとつ。
6/4sun 2017
背を合わせ キャストする二人 水の上
(せをあわせ きゃすとするふたり みずのうえ)
※ここ2、3日は暑さ一服。今朝の微風は目をつぶれ
れ高原の涼風だ。近くの小櫃川取水堰ダム湖に釣
り客多数。小さな釣り用のボートにルアーを操る2
人。バッテリーで動く小さなモーターがついているか
ら、水面を音も立てずにゆっくりゆっくり移動する。
最近のウィークエンド光景。
6/3sat 2017
新しき 畑に馬鈴薯の 花二列
(あたらしき はたにばれいしょの はなにれつ)
※スギナ満載?だった畑に立派な畝がいくつか、汗
の結晶である。
スイカ、馬鈴薯、サツマイモなど酸性土壌に比較的
強い苗を植えた。今しも遅めの馬鈴薯が花をつけ
ている。これからはオクラを植える。
6/1thu 2017
新築の 家浮かびおり 茅萱の穂
(しんちくの いえうかびおり ちがやのほ)
※4月下旬~6月にかけて空き地や野原に繁茂する。
穂が出る前の実を口に入れ舐めると、かすかに甘
い味がすると言われる。家内は小学生の頃何度も
口にしたという。おやつもろくになかった時代。
穂が重なると白くて厚いジュウタンのよう。その向こ
うの家々が白い穂の上に浮かんで見える。
6/1thu 2017
茅萱の穂 道路に沿いて 飛びつくす
(ちがやのほ どうろにそいて とびつくす)
※5月下旬あたりから穂は次第に細くなり、風に舞
い始める。
5/31wed 2017
泰山木 母の金歯の 恋しかり
(たいさんぼく ははのきんばの こいしかり)
※母が死亡したのは故郷とは遠く離れた九州勤務の
時だった。知らせのあった翌朝、空港に向かう時に
目にしたのが社宅の庭にあった見事な泰山木。
早朝の光に輝いていた、真っ白な花々を忘れない。
5/30tue 2017
二株の スイカの開花に 通いづめ
(ふたかぶの すいかのかいかに かよいづめ)
※スイカは3度目の挑戦。小さめのラグビーボール
型の品種。初心者は安全な接木済の苗で、やや
高価。雌花の咲いた早朝に受粉をしてやるのだが、
結構きまぐれでうまくいかない日も・・・。クルマで
出かけ、よ~く会話をしながら・・・?。実がなる日
を夢見れば、苦にならない。
5/27sat 2017
泰山木 根元に続く 靴の跡
(たいさんぼく ねもとにつずく くつのあと)
※久しぶりのお湿りあり。泰山木の葉っぱが格段に
光って見える。蕾がいくつか大きく、いい色になり
つつある。夕方蕾を数えに近づいて見上げる。
5/18thu 2017
焼き鳥を買って帰る 真っ赤な夕焼け
(やきとりをかってかえる まっかなゆうやけ)
※近くの坂道の中程にある焼き鳥屋。坂道は商売
に向かないというが、商店が次々と廃業していく
中で、ここだけは30年近く繁盛している。実にう
まくて、安い。ネクタイのサラリーマンから、子供
連れの母親、トラックの運転手などなど、夕方は
いつも客が待っている。
5/17wed 2017
タラの芽は 得られず戻る 山の駅
(たらのめは えられずもどる やまのえき)
※会津若松市内では既に遅く買えなかった。それで
はと、会津鉄道の停車時間の間に山間の駅前スー
パーらしき店に急行。結果は「今日はない」と。
雨も強くなり、諦める。今年はだめ。
5/17wed 2017
五月雨や 県境の村の 道くねり
(さみだれや けんざかいのむらの みちくねり)
※会津鉄道の県境近く。サクラが咲いている。まだ
春の真っ盛り。
5/17wed 2017
花ミズキ 赤のみ多き 村のあり
(はなみずき あかのみおおき むらのあり)
※会津山村道場とか七ケ岳登山口とかの駅名があ
る。このあたりは秋の紅葉が素晴らしい。
会津高原尾瀬口駅からは東武線で、今市経由で
浅草まで行く。この春から、この路線に速い特急
が走っている。速すぎるかな? 今回はバカ空き。
今市近くになると集落にミズキが目立つ。
5/17wed 2017
雨をおして ソースカツ丼で ビール飲み
(あめをおして そーすかつどんで びーるのみ)
※会津から今市に抜けるローカル線に乗った。生憎
の雨で眺望は良くないが、山々や線路沿いの谷は
若い新緑が煙っていて、なかなかのもの。途中の
駅で降りて、見知りの店まで歩き昼食をとった。
至極満足しました。
5/15mon 2017
故郷の町並みは 歯の抜けるごと
(ふるさとのまちなみは はのぬけるごと)
※地方都市はどこも同じだろうが、個人商店の衰退
は通りに空き地を量産している。昔通りの家々が
空き地のせいで、昔見えなかった角度から見えて、
「ほほう・・・」と感心したり。
粗末な家が多かったにしても、通りにびっしり詰
まった頃の方が街としては断然豊かだった。
5/15mon 2017
友は孫に 店を譲りて ヤマボウシ
(ともはまごに みせをゆずりて やまぼうし)
※こうした街の有り様、変遷に多くの感慨を持つで
あろう友人は多くを語らない。何十年もここに暮
らしてきたのだから。
5/14sun 2017
桐の花 昔家業の 栄えた日
(きりのはな むかしかぎょうの さかえたひ)
※弟の納骨の法要のため会津若松市に帰省。小雨
の中、久しぶりにゆっくり街を歩いた。その昔名家と
言われた特産下駄の老舗はとっくに廃業。塀越しに
見頃の桐の花が見えた。
5/10wed 2017
ネギ坊主 中学生の 口喧嘩
(ねぎぼうず ちゅうがくせいの くちげんか)
※畑に沿った通学路で、男の生徒同士の諍いの声
が・・・。結構険悪な感じ。手や足が出るか・・・。
大変だ。でも、大丈夫。パタッと口喧嘩がやみ、
黙って並んで歩いていく。この二人は大丈夫だ、
仲良くなるためのケンカ・・ネギ坊主が見ている。
5/5fri 2017
ナツユキソウ 北海道からの 同居人
(なつゆきそう ほっかいどうからの どうきょにん)
※今から40年ほど前北海道勤務の頃に出会った花。
白い清楚な花で、塀や垣根が少ない道内の家々に
良く似合っていた。調べてみたらセラスチューム
Cerastiumが正式名みたい。Snow in Summer
とも呼ばれるらしい。日本ではシロミミナグサとも。
今日は「子供の日」。先日前を通りかかった女子中
学生が「可愛いね。この花、大好き」と言う声が聞こ
えた。度重なる引越しにもめげず、同居してきた甲斐
があったというもの。
5/2tue 2017
春陰や 森繁が誦む 千曲川
(しゅんいんや もりしげがよむ ちくまがわ)
※YouTubeに森繁久彌が朗読する藤村「千曲川旅
情の歌」がある。春先のやわらかな光の信州が目
に浮かぶ。いいなァ・・・。絶品。
4/29sat 2017
断崖の椿は 叫びつつ落ちて
(だんがいのつばきは さけびつつおちて)
※日の当たらない岩壁に月遅れ?の椿が咲いていた。
真紅に白の斑が見事な花々。それが見ているうちに
ポロッと落ち、真下に転げ落ちた。
4/25tue 2017
オダマキは 虫ふところに あやしおり
(おだまきは むしふところに あやしおり)
※このところの陽気で背丈を増したオダマキだが、
意外と強い。かなりの風にも揺れるけれども実
は軸はびくともしない。しかし、そよ風にゆっくり
揺れるのがいい・・・。
4/24mon 2017
東北の 茎わかめ届く 友の味
(とうほくの くきわかめとどく とものあじ)
※我が家にとっては季節の風物詩。今年採れたての
わかめが届いた。岩手県産。ポン酢でいただく。
4/13thu 2017
フィエスタの 埃と脂粉 夢に見る
(ふぃえすたの ほこりとしふん ゆめにみる)
※今年の聖週間は4/9~15。スペインアンダルシア
では各地で伝統の催しが続く。なかでも聖像を聖
地に運ぶ巡礼の行進はすさまじいほど熱気に溢
れている。会社や学校はどうなる? いやいや、
その数日はひたすら歩き、歌い、踊り、食べ、飲
み、そして祈る。
4/13thu 2017
桜舞う 息子今流 ハグ2回
(さくらまう むすこいまりゅう はぐにかい)
※決して今流とは言えぬ息子が、玄関先で母親
をハグ。顔を見合わせて黙って。そして笑顔で
「もう一度」と。
4/6thu 2017
花愛でる 言葉を学ぶ 橋の上
(はなめでる ことばをまなぶ はしのうえ)
※今年も恒例の目黒川沿いの花見。昨年は中目
黒の雑踏に辟易したので、今年は目黒行人坂下
の周辺にした。夕暮れ、人出はまあまあ、ゆっく
り散策が出来る。それでもサクラを眺める橋の上
は人がいっぱい、各国の言葉が混じっている。
しっとりと、しみじみと花見を楽しむ気分、「・・・今
宵会う人みなうつくしき」とかにはちょっと遠いかな。
目黒の住人が良い店に案内してくれた。満足。
4/3mon 2017
悪妻と 良妻はいつも 紙一重
(あくさいと りょうさいはいつも かみひとえ)
※ハタ目には全面的な悪妻も、ホンの一面で夫に好
かれ、世間からも珍重されたり。その逆、誰の目に
も良妻賢母間違いなしなのに、ホンの一面の偏向、
性癖で悪妻確定となる。
「良かったね」と「ご愁傷様」が交錯する。
4/2sun 2017
虫たちに 任せておけぬと 桃受粉
(むしたちに まかせておけぬと ももじゅふん)
※三月は暖かい日が続かず、桃の開花も遅いし、
虫たちも影を潜めているようだ。今年は去年に引
き続き、桃の豊作を夢見ているが、そうは問屋は
卸してくれぬかも・・・。
3/27mon 2017
両側を見て 泣きべその我が絵かな
(りょうがわをみて なきべそのわがえかな)
※ところが絵自身は正直で、周りの絵を見ておろお
ろしている・・・。
3/27mon 2017
作品展 うれし恥ずかし 春幻
(さくひんてん うれしはずかし はるまぼろし)
※隣市の図書館で絵画教室の作品展を行う。今日
はそのために作品を持ち寄る日(搬入日というら
しい)。立派な図書館で、広いフリースペースが企
画もので常に活用されているところ。そんなところ
で一ヶ月も・・・? でも戦線離脱は無理なよう。で
も、少し嬉しくもある。
3/24fri 2017
老班の手が 班なきを撫で別れ
(ろうはんのてが はんなきをなでわかれ)
※昨日告別式。弟との別れ。
span style="font-size:x-small;">3/20mon 2017
桃は咲きてあり 弟は逝きてあり
(ももはさきてあり おとうとはゆきてあり)
※昨夜入院先で弟が死んだ。今朝桃が数輪開花した。
3/10fri 2017
また髪が 薄くなったねと 初雲雀
(またかみが うすくなったねと はつひばり)
※大きなお世話。
3/7tue 2017
春雷や 不義理をわびる 電話口
(しゅんらいや ふぎりをわびる でんわぐち)
※週末は急遽遠出したので、予定していた会合を
電話でドタキャンした。もどってから、幹事役の友
人からキツーイ詰問の電話が・・・。少しわけを話
してやっと了解してくれた。
3/6mon 2017
安達太良の 麓でかすかな 息をする
(あだたらの ふもとでかすかな いきをする)
※週末に入院中の弟を郡山市に見舞う。
3/6mon 2017
寝たきりの 視線すがしや 春の山
(ねたきりの しせんすがしや はるのやま)
※重篤と聞いてかけつけたが、幸い持ち直している。
視線は以前より落ち着いているように見受けられ
た。静かに窓外を見る眼は穏やかだが動かない。
3/6mon 2017
出迎えは この顔なりき 夏の駅
(でむかえは このかおなりき なつのえき)
※夏休みなどに帰省した時、駅で待っていてくれた
のは、いつもこの顔。いつも笑顔だった。
3/1wed 2017
春眠や 父の遺した 軸の前
(しゅんみんや ちちののこした じくのまえ)
※世界情勢が落ち着かない?とか言っても、たっぷ
り春眠を貪る日もある。雪解けで疎らに見え始め
た地面をジョウビタキが餌を探して歩いている図、
故郷の今ごろのイメージだ。気に入っている。
2/22wed 2014
春燈や 万太郎の句を 口ごもる
(しゅんとうや まんたろうのくを くちごもる)
※「春燈」は久保田万太郎の主宰した俳句誌。夕方
の散歩で彼の好きな句がどうしても出てこない。
記憶力の減退? 仕方なしに有名な句を諳んじる
ことに。季節が合わない・・・。
草笛を ふいて神田の 生まれかな
時雨るるや 麻布二の橋 三の橋
2/20mon 2017
70歳の デニムパンツや カラス啼く
(ななじゅうの でにむぱんつや からすなく)
※久しぶりに新調する。現在の体重、体型に合わせ
た最初の一本で、今までより細身だ。やや恥ずか
しい・・・。カラスがひやかしたらどうしよう。
2/17fri 2017
とちもちは 手間を惜しまぬ 風味あり
(とちもちは てまをおしまぬ ふうみあり)
※遥か昔、山に遊びに行って、トチノミが「食べら
れる」と聞いて、リュックに目一杯詰め込んで意
気揚々と家に持ち帰った。しかし母親にあえなく
引取りを拒否された。ちょっと苦い記憶。
時間をかけて丹念にアクを抜き、もち米と合わ
せ蒸して撞く。丁寧にやると短くとも20日ほど
日にちがかかる。
山に落ちている実は、そのままではクマもイノシ
シも目もくれない。
2/15wed 2017
あげるけど 場所は秘密と ふきのとう
(あげるけど ばしょはひみつと ふきのとう)
※早取りのふきのとうをくれた御仁は場所を明かさ
ないとか。ふふふ、こちらも実は良い場所を知っ
ている。そこはまだ早い。
・・・しかし本命はタラの芽だ。知っていた場所
はことごとく荒らされてしまっている・・・。
2/13mon 2017
ふきのとう 大雪報道の 日に届く
(ふきのとう おおゆきほうどうの ひにとどく)
※西日本に執拗な降雪が続く。ところがフキノトウ
が届いた。葉が開く前なのにずっしり大きなもの
で、粒ぞろい。びっくり、こんなにも早い?
当地は晴れ続きで少し後ろめたさを感じるほどな
のに、外房などは更に暖かだからなあ?
2/11sat 2017
初午や 祖母にひかれて 祠参り
(はつうまや そぼにひかれて ほこらまいり)
※次々と商家のお稲荷さまを訪ね、好物のお土産
を供え、お祈りした。固いモチをサイコロ状に切り
油で揚げたもの、だったような気がする。商家の
庭はどこも屋根から落ちた雪が小山のようにあり、
小さな祠には家人の足跡を辿って行った
2/5sun 2017
ダクタク集 一年となりぬ ジョウビタキ
(だくたくしゅう いちねんとなりぬ じょうびたき)
※ダクタク【駄句多句】句集、一周年を迎える
2/5sun 2017
夢に見て 句にさいなまれ 春めぐる
(ゆめにみて くにさいなまれ はるめぐる)
※おおげさだが、こうしたことも一再ならず
2/4sat 2017
春立つ日 豆食う犬を 妻叱る
(はるたつひ まめくういぬを つましかる)
※節分の翌朝、散歩コースの家の玄関前に豆が落ち
ている。摂食中の我が家の愛犬は見逃さない。帰
って家人に言うと大いに怒る。「豆とチョコそしてネ
ギ」は絶対与えたら駄目と。叱られたのは私・・
1/26thu 2017
大寒や クリームすりこむ 白き爪
(だいかんや くりーむすりこむ しろきつめ)
※乾燥で足の指の爪が硬くなり、少し白くなってい
る。生色がない。爪は万病を映すとも言われる。
歳のせいもあろうが、裸足で寒風にさらしたこと
にも原因があるかも? 気休めかも知れないが、
ハンドクリームを爪の下にすり込んだ
1/25wed 2017
冬のバラ 仲間の筆の 速く見え
(ふゆのばら なかまのふでの はやくみえ)
※今年最初の絵画教室。年末年始から続くサボリ癖
を断ち切らんと出かけたが、筆は遅々として進まず。
どうも花はいけないと言い訳。顔は笑顔で・・・
1/24tue 2017
寒風や 場末の店の 煮込みかな
(かんぷうや ばすえのみせの にこみかな)
※場末といってもここは浅草。売りは煮込み。湯気
の向こうの、80歳過ぎの越後出身の女将さんが
「もう閉めるよ」と。まだ五時前なのに・・・
1/20fri 2017
妻倒れ 難聴進む 友の顔
(つまたおれ なんちょうすすむ とものかお)
※行きつけの理髪店の奥さんが入院した。やつれ
顔の主人が不安と睡眠不足を訴える。しかし、こ
ちらの言うことが殆ど聞き取れない。少しの間に
悪化した・・・。奥さんの快癒を祈ること切なり
1/17tue 2017
統計は 最後ではないと 年男
(とうけいは さいごではないと としおとこ)
※酉年年男。72歳の平均余命は13.4年とか
(厚生労働省「平成19年簡易生命表」)。今はこ
の種のデータが一瞬のうちに入手できる。統計
曰く、「君の年齢では今年が最後の年男ではな
いよ」「12年後まで頑張ってね、平均では生き
られるはずだよ」
ありがたいことなのか、どうか? 「たかが統計、
されど統計」である・・・
1/15sun 2017
ブログ書く 今の農家の 冬仕事
(ぶろぐかく いまののうかの ふゆしごと)
※知り合いの農家の後継は四季の仕事と交友など
を中心にいいブログを持っている。冬は時間があ
り、遊びもブログも充実しているという。冬仕事と
言えば、稲わらの加工、筵や縄作りなどが定番
で、ささやかな現金収入となっていたのは遥か昔
の話で今はゼロとか。それに代わる収入の道が
アルバイト以外にないのが悩み・・・
1/14sat 2017
カレンダーに 叱られ防止の WA
(かれんだーに しかられぼうしの だぶりゅーえい)
※結婚記念日Wedding Anniversaryだ。小さく印刷
文字のような字で2文字だけのサイン。このところ、
この書き込みのおかげで事なきを得ている。以前
は時々あった。その日になって突然言うものだから、
どうしよう? かなり困った。やや陰険だと思った。
来年頑張ろう・・と思った
1/13fri 2017
寒坊主と 呼びし昔は 雪の中
(かんぼうずと よびしむかしは ゆきのなか)
※故郷の街では寒行托鉢のお坊さんを良く見かけた。
今はどうかな? 編笠と黒づくめの僧形に、小学生
は悪態をついてこう呼んでいた。根雪で道路が狭く
なり、まっすぐに路肩を歩けなかった光景が蘇る
1/12thu 2017
朝練の 子が切なげに 咳をする
(あされんの こがせつなげに せきをする)
※中学校の周囲を白い息を吐きながらランニングし
ている。寒稽古という言葉が浮かぶ。あの子はや
めとけばいいのに・・・
1/11wed 2017
二年越し 鳥の名調べ 初ひかり
(にねんごし とりのなしらべ はつひかり)
※ジョービタキ? アカハラ? 年が明けてもまだ
名前に行き着かない。留鳥で、見かける時はいつ
も一羽。うすい赤茶色の胴体で腹に真っ白な部分
がある。ピヨーーヨ?いい声で鳴く。もっと真面目
に調べてみよう
1/9mon 2017
駅頭に 師を待つ父の 赭い顔
(えきとうに しをまつちちの あかいかお)
※戦後間もない年の正月に、師の篠田悌二郎とその
師の水原秋桜子を待っている。若い父にとって大巨
人を迎える喜びと緊張・・・
1/7sat 2017
寒の入り スーラの光 欲しいまま
(かんのいり すーらのひかり ほしいまま)
※厳しい寒さ。今朝の光はピリピリしている。季節は
違うが、点描の絵の光を思い出す。寒い朝に景色
を眺めている者などいないから、独り占め、欲しい
まま・・・。しかし「欲しいまま」というフレーズはいく
つかの句で見たことがある。パクリ。
点描風景画の趣味からすればスーラよりシスレー
だが、字数がね・・・
1/6fri 2017
タオルまき 隣町まで 初湯かな
(たおるまき となりまちまで はつゆかな)
※近くの温泉施設へなどではない。隣の町にある老
舗の銭湯へクルマで出かける。節目節目でしか行
かないが、本当にゆったりする。身も心も・・・
1/3tue 2017
名を知らぬ 読者に一礼 ブログ初め
(なをしらぬ どくしゃにいちれい ぶろぐぞめ)
※こんな「シニアの雑記帳」のようなブログにも一定
の読者がいる。感謝しながら、今年初めのブログ
を書いた。よろしくお願いします
1/2mon 2017
初詣 樹木葬とやらを 見て廻り
(はつもうで じゅもくそうとやらを みてまわり)
※清新な気持ちでお参りが出来た。最近は地方のお
寺や自治体でも様々な形で「新しい墓」を売り出して
いる。評判を読んだ都の「樹木葬」、当地でも古い寺
が境内の一角に樹木葬を設置した。なかなかの場
所だし、提案の内容もいい。ただ代替わりした、こ
の寺の坊主が「かなりのやり手」なのが気にかかる
1/1sun 2017
去年今年 虚子を手本に 句をひねる
(こぞことし きょしをてほんに くをひねる)
※しょうもない川柳らしき駄句を今年も作ろうと思っ
ている。このダクタク(駄句多句)句集は日々の小
文とあわせ「暮らしの意識」書き付け帳である。レ
ベルは低いが、比較はなしよ・・・
一年の計のつもり
空師いる 森の静けさ 梅雨最中
(そらしいる もりのしずけさ つゆさなか)
※空師は簡単な道具ひとつで、木をするすると登り、
余分な枝を落として矯正し、下枝を刈ったりする林
業の専門職。チェーンソーのエンジン音やバサッ
バサッと鉈で枝が払われる音がする。
それらの音が止まるとシーンとした静寂。・・・
音が再び始まっても、かえって森の静けさが感じ
られるようだ。
6/23fri 2017
短夜や ミュシャの眼に 静まりぬ
(みじかよや みゅしゃのまなこに しずまりぬ)
※ミュシャの展覧会が終わったようだ。スラブ叙事詩
に描かれた母国の歴史とその変遷そして民衆の悲
劇、慟哭は凄まじい迫力で迫ってくる。
一枚に描かれた男の眼は、場面を想像することさえ
拒否するような深刻さだ。思い出すと・・・静まりはす
るのだけれど、決して鎮まりはしない。
6/21wed 2017
梅雨寒や 老班ついに 手の甲に
(つゆざむや ろうはんついに てのこうに)
※昨日は蒸し暑い中、上野の美術館に知人が出品し
た板院展を見に行った。今日は打って変わって朝か
ら雨。老班というもの、付き合いが始まってもう十年
近いので、取り立てての感興はない。「手の甲はよ
せ」って言ったのに・・・。
6/19mon 2017
商店の 引越し荷物 鉢あじさい
(しょうてんの ひっこしにもつ はちあじさい)
※地方の暮らしが便利になるのはいいに違いないが、
どこも「金太郎飴」のようで街に特色がなくなる。個
人商店が今も減り続けているのが一因だ。半年ほど
前に小間物店を閉めた家が、離れた住宅地に越し
ていくという。丹精を込めた花々がいつも店先を飾
っていた・・・。
「今日の便利より、明日のおもてなし」だが。
6/17sat 2017
タチアオイ 小路にラジオの 音漏れて
(たちあおい こうじにらじおの おともれて)
※もうすぐ夏至、日が長い。塀も倒れて朽ちてしま
った庭に見事なタチアオイが咲いている。3色も
4色も・・・午後7時を回ったのに夕日にほんのり
輝いている。ラジオのニュースがこぼれてくる。
6/16fri 2017
予約本 重なり来たる 梅雨の入り
(よやくぼん かさなりきたる つゆのいり)
※当市の図書館は財政上の理由から購入する本の
数が少ない。人気があって予約が殺到する本も購
入は大概一冊だ。直木賞と本屋大賞のダブル受賞
とか聞くと、まず予約するのが私のルーティン。予
約の消化はゆっくりで、半年余りかかってやっと順
番がやって来た。 「えっ、なんだっけ? この本」
貸出の延長はきかないから、第一優先で読まねば
ならない。
6/13tue 2017
桃の実の ジューンドロップは 音もなく
(もものみの じゅーんどろっぷは おともなく)
※強風や病害などによるものではなく、果樹が自ら
生育不良の実や過多な実を落とす。子孫(種子)
の確実な繁栄を期しての現象とか。
ジューンブライドの花嫁が結婚に幻滅して、同月
内に身を隠す・・・のではないらしい。
6/9fri 2017
スイカなり 雌花に翻弄されて梅雨
(すいかなり めばなにほんろうされてつゆ)
※素人のスイカ挑戦はなにかと騒がしい。このとこ
ろ雌花がようやくしっかりしてきたと思ったら、梅
雨だァ・・・。強い雨に濡れると受粉の確率が落ち
るとか。ここは、やっぱり虫頼み。
6/8thu 2017
ケータイで 焚き火の許可とる 梅雨の朝
(けーたいで たきびのきょかとる つゆのあさ)
6/7wed 2017
美女柳 二日見ぬ間の 黄の乱舞
(びじょやなぎ ふつかみぬまの きのらんぶ)
※留守にしていた2日の間に一気に「満開」。ちょ
っともったいない。明日辺りから曇りがちとなり、
梅雨入りとなるかも。
6/7wed 2017
早寝して かわず鳴く音の 一二分
(はやねして かわずなくねの いちにふん)
※疲労対策で早寝した。遠くでカエルの声が・・・。
田舎暮らしの特権、寝入り薬。
6/5mon 2017
タチアオイ 郵便局の 門構え
(たちあおい ゆうびんきょくの もんがまえ)
※郵政民営化で名称はなくなったものの、今も続く
特定郵便局。弊害は指摘されるが、土地も建物も
局長の所有物だから局ごとに違う装いと習慣が出
来る。良く言えばお役所仕事とは違う独特のアイ
デンティティがあったものだ。この立葵もその名残
りのひとつ。
6/4sun 2017
背を合わせ キャストする二人 水の上
(せをあわせ きゃすとするふたり みずのうえ)
※ここ2、3日は暑さ一服。今朝の微風は目をつぶれ
れ高原の涼風だ。近くの小櫃川取水堰ダム湖に釣
り客多数。小さな釣り用のボートにルアーを操る2
人。バッテリーで動く小さなモーターがついているか
ら、水面を音も立てずにゆっくりゆっくり移動する。
最近のウィークエンド光景。
6/3sat 2017
新しき 畑に馬鈴薯の 花二列
(あたらしき はたにばれいしょの はなにれつ)
※スギナ満載?だった畑に立派な畝がいくつか、汗
の結晶である。
スイカ、馬鈴薯、サツマイモなど酸性土壌に比較的
強い苗を植えた。今しも遅めの馬鈴薯が花をつけ
ている。これからはオクラを植える。
6/1thu 2017
新築の 家浮かびおり 茅萱の穂
(しんちくの いえうかびおり ちがやのほ)
※4月下旬~6月にかけて空き地や野原に繁茂する。
穂が出る前の実を口に入れ舐めると、かすかに甘
い味がすると言われる。家内は小学生の頃何度も
口にしたという。おやつもろくになかった時代。
穂が重なると白くて厚いジュウタンのよう。その向こ
うの家々が白い穂の上に浮かんで見える。
6/1thu 2017
茅萱の穂 道路に沿いて 飛びつくす
(ちがやのほ どうろにそいて とびつくす)
※5月下旬あたりから穂は次第に細くなり、風に舞
い始める。
5/31wed 2017
泰山木 母の金歯の 恋しかり
(たいさんぼく ははのきんばの こいしかり)
※母が死亡したのは故郷とは遠く離れた九州勤務の
時だった。知らせのあった翌朝、空港に向かう時に
目にしたのが社宅の庭にあった見事な泰山木。
早朝の光に輝いていた、真っ白な花々を忘れない。
5/30tue 2017
二株の スイカの開花に 通いづめ
(ふたかぶの すいかのかいかに かよいづめ)
※スイカは3度目の挑戦。小さめのラグビーボール
型の品種。初心者は安全な接木済の苗で、やや
高価。雌花の咲いた早朝に受粉をしてやるのだが、
結構きまぐれでうまくいかない日も・・・。クルマで
出かけ、よ~く会話をしながら・・・?。実がなる日
を夢見れば、苦にならない。
5/27sat 2017
泰山木 根元に続く 靴の跡
(たいさんぼく ねもとにつずく くつのあと)
※久しぶりのお湿りあり。泰山木の葉っぱが格段に
光って見える。蕾がいくつか大きく、いい色になり
つつある。夕方蕾を数えに近づいて見上げる。
5/18thu 2017
焼き鳥を買って帰る 真っ赤な夕焼け
(やきとりをかってかえる まっかなゆうやけ)
※近くの坂道の中程にある焼き鳥屋。坂道は商売
に向かないというが、商店が次々と廃業していく
中で、ここだけは30年近く繁盛している。実にう
まくて、安い。ネクタイのサラリーマンから、子供
連れの母親、トラックの運転手などなど、夕方は
いつも客が待っている。
5/17wed 2017
タラの芽は 得られず戻る 山の駅
(たらのめは えられずもどる やまのえき)
※会津若松市内では既に遅く買えなかった。それで
はと、会津鉄道の停車時間の間に山間の駅前スー
パーらしき店に急行。結果は「今日はない」と。
雨も強くなり、諦める。今年はだめ。
5/17wed 2017
五月雨や 県境の村の 道くねり
(さみだれや けんざかいのむらの みちくねり)
※会津鉄道の県境近く。サクラが咲いている。まだ
春の真っ盛り。
5/17wed 2017
花ミズキ 赤のみ多き 村のあり
(はなみずき あかのみおおき むらのあり)
※会津山村道場とか七ケ岳登山口とかの駅名があ
る。このあたりは秋の紅葉が素晴らしい。
会津高原尾瀬口駅からは東武線で、今市経由で
浅草まで行く。この春から、この路線に速い特急
が走っている。速すぎるかな? 今回はバカ空き。
今市近くになると集落にミズキが目立つ。
5/17wed 2017
雨をおして ソースカツ丼で ビール飲み
(あめをおして そーすかつどんで びーるのみ)
※会津から今市に抜けるローカル線に乗った。生憎
の雨で眺望は良くないが、山々や線路沿いの谷は
若い新緑が煙っていて、なかなかのもの。途中の
駅で降りて、見知りの店まで歩き昼食をとった。
至極満足しました。
5/15mon 2017
故郷の町並みは 歯の抜けるごと
(ふるさとのまちなみは はのぬけるごと)
※地方都市はどこも同じだろうが、個人商店の衰退
は通りに空き地を量産している。昔通りの家々が
空き地のせいで、昔見えなかった角度から見えて、
「ほほう・・・」と感心したり。
粗末な家が多かったにしても、通りにびっしり詰
まった頃の方が街としては断然豊かだった。
5/15mon 2017
友は孫に 店を譲りて ヤマボウシ
(ともはまごに みせをゆずりて やまぼうし)
※こうした街の有り様、変遷に多くの感慨を持つで
あろう友人は多くを語らない。何十年もここに暮
らしてきたのだから。
5/14sun 2017
桐の花 昔家業の 栄えた日
(きりのはな むかしかぎょうの さかえたひ)
※弟の納骨の法要のため会津若松市に帰省。小雨
の中、久しぶりにゆっくり街を歩いた。その昔名家と
言われた特産下駄の老舗はとっくに廃業。塀越しに
見頃の桐の花が見えた。
5/10wed 2017
ネギ坊主 中学生の 口喧嘩
(ねぎぼうず ちゅうがくせいの くちげんか)
※畑に沿った通学路で、男の生徒同士の諍いの声
が・・・。結構険悪な感じ。手や足が出るか・・・。
大変だ。でも、大丈夫。パタッと口喧嘩がやみ、
黙って並んで歩いていく。この二人は大丈夫だ、
仲良くなるためのケンカ・・ネギ坊主が見ている。
5/5fri 2017
ナツユキソウ 北海道からの 同居人
(なつゆきそう ほっかいどうからの どうきょにん)
※今から40年ほど前北海道勤務の頃に出会った花。
白い清楚な花で、塀や垣根が少ない道内の家々に
良く似合っていた。調べてみたらセラスチューム
Cerastiumが正式名みたい。Snow in Summer
とも呼ばれるらしい。日本ではシロミミナグサとも。
今日は「子供の日」。先日前を通りかかった女子中
学生が「可愛いね。この花、大好き」と言う声が聞こ
えた。度重なる引越しにもめげず、同居してきた甲斐
があったというもの。
5/2tue 2017
春陰や 森繁が誦む 千曲川
(しゅんいんや もりしげがよむ ちくまがわ)
※YouTubeに森繁久彌が朗読する藤村「千曲川旅
情の歌」がある。春先のやわらかな光の信州が目
に浮かぶ。いいなァ・・・。絶品。
4/29sat 2017
断崖の椿は 叫びつつ落ちて
(だんがいのつばきは さけびつつおちて)
※日の当たらない岩壁に月遅れ?の椿が咲いていた。
真紅に白の斑が見事な花々。それが見ているうちに
ポロッと落ち、真下に転げ落ちた。
4/25tue 2017
オダマキは 虫ふところに あやしおり
(おだまきは むしふところに あやしおり)
※このところの陽気で背丈を増したオダマキだが、
意外と強い。かなりの風にも揺れるけれども実
は軸はびくともしない。しかし、そよ風にゆっくり
揺れるのがいい・・・。
4/24mon 2017
東北の 茎わかめ届く 友の味
(とうほくの くきわかめとどく とものあじ)
※我が家にとっては季節の風物詩。今年採れたての
わかめが届いた。岩手県産。ポン酢でいただく。
4/13thu 2017
フィエスタの 埃と脂粉 夢に見る
(ふぃえすたの ほこりとしふん ゆめにみる)
※今年の聖週間は4/9~15。スペインアンダルシア
では各地で伝統の催しが続く。なかでも聖像を聖
地に運ぶ巡礼の行進はすさまじいほど熱気に溢
れている。会社や学校はどうなる? いやいや、
その数日はひたすら歩き、歌い、踊り、食べ、飲
み、そして祈る。
4/13thu 2017
桜舞う 息子今流 ハグ2回
(さくらまう むすこいまりゅう はぐにかい)
※決して今流とは言えぬ息子が、玄関先で母親
をハグ。顔を見合わせて黙って。そして笑顔で
「もう一度」と。
4/6thu 2017
花愛でる 言葉を学ぶ 橋の上
(はなめでる ことばをまなぶ はしのうえ)
※今年も恒例の目黒川沿いの花見。昨年は中目
黒の雑踏に辟易したので、今年は目黒行人坂下
の周辺にした。夕暮れ、人出はまあまあ、ゆっく
り散策が出来る。それでもサクラを眺める橋の上
は人がいっぱい、各国の言葉が混じっている。
しっとりと、しみじみと花見を楽しむ気分、「・・・今
宵会う人みなうつくしき」とかにはちょっと遠いかな。
目黒の住人が良い店に案内してくれた。満足。
4/3mon 2017
悪妻と 良妻はいつも 紙一重
(あくさいと りょうさいはいつも かみひとえ)
※ハタ目には全面的な悪妻も、ホンの一面で夫に好
かれ、世間からも珍重されたり。その逆、誰の目に
も良妻賢母間違いなしなのに、ホンの一面の偏向、
性癖で悪妻確定となる。
「良かったね」と「ご愁傷様」が交錯する。
4/2sun 2017
虫たちに 任せておけぬと 桃受粉
(むしたちに まかせておけぬと ももじゅふん)
※三月は暖かい日が続かず、桃の開花も遅いし、
虫たちも影を潜めているようだ。今年は去年に引
き続き、桃の豊作を夢見ているが、そうは問屋は
卸してくれぬかも・・・。
3/27mon 2017
両側を見て 泣きべその我が絵かな
(りょうがわをみて なきべそのわがえかな)
※ところが絵自身は正直で、周りの絵を見ておろお
ろしている・・・。
3/27mon 2017
作品展 うれし恥ずかし 春幻
(さくひんてん うれしはずかし はるまぼろし)
※隣市の図書館で絵画教室の作品展を行う。今日
はそのために作品を持ち寄る日(搬入日というら
しい)。立派な図書館で、広いフリースペースが企
画もので常に活用されているところ。そんなところ
で一ヶ月も・・・? でも戦線離脱は無理なよう。で
も、少し嬉しくもある。
3/24fri 2017
老班の手が 班なきを撫で別れ
(ろうはんのてが はんなきをなでわかれ)
※昨日告別式。弟との別れ。
span style="font-size:x-small;">3/20mon 2017
桃は咲きてあり 弟は逝きてあり
(ももはさきてあり おとうとはゆきてあり)
※昨夜入院先で弟が死んだ。今朝桃が数輪開花した。
3/10fri 2017
また髪が 薄くなったねと 初雲雀
(またかみが うすくなったねと はつひばり)
※大きなお世話。
3/7tue 2017
春雷や 不義理をわびる 電話口
(しゅんらいや ふぎりをわびる でんわぐち)
※週末は急遽遠出したので、予定していた会合を
電話でドタキャンした。もどってから、幹事役の友
人からキツーイ詰問の電話が・・・。少しわけを話
してやっと了解してくれた。
3/6mon 2017
安達太良の 麓でかすかな 息をする
(あだたらの ふもとでかすかな いきをする)
※週末に入院中の弟を郡山市に見舞う。
3/6mon 2017
寝たきりの 視線すがしや 春の山
(ねたきりの しせんすがしや はるのやま)
※重篤と聞いてかけつけたが、幸い持ち直している。
視線は以前より落ち着いているように見受けられ
た。静かに窓外を見る眼は穏やかだが動かない。
3/6mon 2017
出迎えは この顔なりき 夏の駅
(でむかえは このかおなりき なつのえき)
※夏休みなどに帰省した時、駅で待っていてくれた
のは、いつもこの顔。いつも笑顔だった。
3/1wed 2017
春眠や 父の遺した 軸の前
(しゅんみんや ちちののこした じくのまえ)
※世界情勢が落ち着かない?とか言っても、たっぷ
り春眠を貪る日もある。雪解けで疎らに見え始め
た地面をジョウビタキが餌を探して歩いている図、
故郷の今ごろのイメージだ。気に入っている。
2/22wed 2014
春燈や 万太郎の句を 口ごもる
(しゅんとうや まんたろうのくを くちごもる)
※「春燈」は久保田万太郎の主宰した俳句誌。夕方
の散歩で彼の好きな句がどうしても出てこない。
記憶力の減退? 仕方なしに有名な句を諳んじる
ことに。季節が合わない・・・。
草笛を ふいて神田の 生まれかな
時雨るるや 麻布二の橋 三の橋
2/20mon 2017
70歳の デニムパンツや カラス啼く
(ななじゅうの でにむぱんつや からすなく)
※久しぶりに新調する。現在の体重、体型に合わせ
た最初の一本で、今までより細身だ。やや恥ずか
しい・・・。カラスがひやかしたらどうしよう。
2/17fri 2017
とちもちは 手間を惜しまぬ 風味あり
(とちもちは てまをおしまぬ ふうみあり)
※遥か昔、山に遊びに行って、トチノミが「食べら
れる」と聞いて、リュックに目一杯詰め込んで意
気揚々と家に持ち帰った。しかし母親にあえなく
引取りを拒否された。ちょっと苦い記憶。
時間をかけて丹念にアクを抜き、もち米と合わ
せ蒸して撞く。丁寧にやると短くとも20日ほど
日にちがかかる。
山に落ちている実は、そのままではクマもイノシ
シも目もくれない。
2/15wed 2017
あげるけど 場所は秘密と ふきのとう
(あげるけど ばしょはひみつと ふきのとう)
※早取りのふきのとうをくれた御仁は場所を明かさ
ないとか。ふふふ、こちらも実は良い場所を知っ
ている。そこはまだ早い。
・・・しかし本命はタラの芽だ。知っていた場所
はことごとく荒らされてしまっている・・・。
2/13mon 2017
ふきのとう 大雪報道の 日に届く
(ふきのとう おおゆきほうどうの ひにとどく)
※西日本に執拗な降雪が続く。ところがフキノトウ
が届いた。葉が開く前なのにずっしり大きなもの
で、粒ぞろい。びっくり、こんなにも早い?
当地は晴れ続きで少し後ろめたさを感じるほどな
のに、外房などは更に暖かだからなあ?
2/11sat 2017
初午や 祖母にひかれて 祠参り
(はつうまや そぼにひかれて ほこらまいり)
※次々と商家のお稲荷さまを訪ね、好物のお土産
を供え、お祈りした。固いモチをサイコロ状に切り
油で揚げたもの、だったような気がする。商家の
庭はどこも屋根から落ちた雪が小山のようにあり、
小さな祠には家人の足跡を辿って行った
2/5sun 2017
ダクタク集 一年となりぬ ジョウビタキ
(だくたくしゅう いちねんとなりぬ じょうびたき)
※ダクタク【駄句多句】句集、一周年を迎える
2/5sun 2017
夢に見て 句にさいなまれ 春めぐる
(ゆめにみて くにさいなまれ はるめぐる)
※おおげさだが、こうしたことも一再ならず
2/4sat 2017
春立つ日 豆食う犬を 妻叱る
(はるたつひ まめくういぬを つましかる)
※節分の翌朝、散歩コースの家の玄関前に豆が落ち
ている。摂食中の我が家の愛犬は見逃さない。帰
って家人に言うと大いに怒る。「豆とチョコそしてネ
ギ」は絶対与えたら駄目と。叱られたのは私・・
1/26thu 2017
大寒や クリームすりこむ 白き爪
(だいかんや くりーむすりこむ しろきつめ)
※乾燥で足の指の爪が硬くなり、少し白くなってい
る。生色がない。爪は万病を映すとも言われる。
歳のせいもあろうが、裸足で寒風にさらしたこと
にも原因があるかも? 気休めかも知れないが、
ハンドクリームを爪の下にすり込んだ
1/25wed 2017
冬のバラ 仲間の筆の 速く見え
(ふゆのばら なかまのふでの はやくみえ)
※今年最初の絵画教室。年末年始から続くサボリ癖
を断ち切らんと出かけたが、筆は遅々として進まず。
どうも花はいけないと言い訳。顔は笑顔で・・・
1/24tue 2017
寒風や 場末の店の 煮込みかな
(かんぷうや ばすえのみせの にこみかな)
※場末といってもここは浅草。売りは煮込み。湯気
の向こうの、80歳過ぎの越後出身の女将さんが
「もう閉めるよ」と。まだ五時前なのに・・・
1/20fri 2017
妻倒れ 難聴進む 友の顔
(つまたおれ なんちょうすすむ とものかお)
※行きつけの理髪店の奥さんが入院した。やつれ
顔の主人が不安と睡眠不足を訴える。しかし、こ
ちらの言うことが殆ど聞き取れない。少しの間に
悪化した・・・。奥さんの快癒を祈ること切なり
1/17tue 2017
統計は 最後ではないと 年男
(とうけいは さいごではないと としおとこ)
※酉年年男。72歳の平均余命は13.4年とか
(厚生労働省「平成19年簡易生命表」)。今はこ
の種のデータが一瞬のうちに入手できる。統計
曰く、「君の年齢では今年が最後の年男ではな
いよ」「12年後まで頑張ってね、平均では生き
られるはずだよ」
ありがたいことなのか、どうか? 「たかが統計、
されど統計」である・・・
1/15sun 2017
ブログ書く 今の農家の 冬仕事
(ぶろぐかく いまののうかの ふゆしごと)
※知り合いの農家の後継は四季の仕事と交友など
を中心にいいブログを持っている。冬は時間があ
り、遊びもブログも充実しているという。冬仕事と
言えば、稲わらの加工、筵や縄作りなどが定番
で、ささやかな現金収入となっていたのは遥か昔
の話で今はゼロとか。それに代わる収入の道が
アルバイト以外にないのが悩み・・・
1/14sat 2017
カレンダーに 叱られ防止の WA
(かれんだーに しかられぼうしの だぶりゅーえい)
※結婚記念日Wedding Anniversaryだ。小さく印刷
文字のような字で2文字だけのサイン。このところ、
この書き込みのおかげで事なきを得ている。以前
は時々あった。その日になって突然言うものだから、
どうしよう? かなり困った。やや陰険だと思った。
来年頑張ろう・・と思った
1/13fri 2017
寒坊主と 呼びし昔は 雪の中
(かんぼうずと よびしむかしは ゆきのなか)
※故郷の街では寒行托鉢のお坊さんを良く見かけた。
今はどうかな? 編笠と黒づくめの僧形に、小学生
は悪態をついてこう呼んでいた。根雪で道路が狭く
なり、まっすぐに路肩を歩けなかった光景が蘇る
1/12thu 2017
朝練の 子が切なげに 咳をする
(あされんの こがせつなげに せきをする)
※中学校の周囲を白い息を吐きながらランニングし
ている。寒稽古という言葉が浮かぶ。あの子はや
めとけばいいのに・・・
1/11wed 2017
二年越し 鳥の名調べ 初ひかり
(にねんごし とりのなしらべ はつひかり)
※ジョービタキ? アカハラ? 年が明けてもまだ
名前に行き着かない。留鳥で、見かける時はいつ
も一羽。うすい赤茶色の胴体で腹に真っ白な部分
がある。ピヨーーヨ?いい声で鳴く。もっと真面目
に調べてみよう
1/9mon 2017
駅頭に 師を待つ父の 赭い顔
(えきとうに しをまつちちの あかいかお)
※戦後間もない年の正月に、師の篠田悌二郎とその
師の水原秋桜子を待っている。若い父にとって大巨
人を迎える喜びと緊張・・・
1/7sat 2017
寒の入り スーラの光 欲しいまま
(かんのいり すーらのひかり ほしいまま)
※厳しい寒さ。今朝の光はピリピリしている。季節は
違うが、点描の絵の光を思い出す。寒い朝に景色
を眺めている者などいないから、独り占め、欲しい
まま・・・。しかし「欲しいまま」というフレーズはいく
つかの句で見たことがある。パクリ。
点描風景画の趣味からすればスーラよりシスレー
だが、字数がね・・・
1/6fri 2017
タオルまき 隣町まで 初湯かな
(たおるまき となりまちまで はつゆかな)
※近くの温泉施設へなどではない。隣の町にある老
舗の銭湯へクルマで出かける。節目節目でしか行
かないが、本当にゆったりする。身も心も・・・
1/3tue 2017
名を知らぬ 読者に一礼 ブログ初め
(なをしらぬ どくしゃにいちれい ぶろぐぞめ)
※こんな「シニアの雑記帳」のようなブログにも一定
の読者がいる。感謝しながら、今年初めのブログ
を書いた。よろしくお願いします
1/2mon 2017
初詣 樹木葬とやらを 見て廻り
(はつもうで じゅもくそうとやらを みてまわり)
※清新な気持ちでお参りが出来た。最近は地方のお
寺や自治体でも様々な形で「新しい墓」を売り出して
いる。評判を読んだ都の「樹木葬」、当地でも古い寺
が境内の一角に樹木葬を設置した。なかなかの場
所だし、提案の内容もいい。ただ代替わりした、こ
の寺の坊主が「かなりのやり手」なのが気にかかる
1/1sun 2017
去年今年 虚子を手本に 句をひねる
(こぞことし きょしをてほんに くをひねる)
※しょうもない川柳らしき駄句を今年も作ろうと思っ
ている。このダクタク(駄句多句)句集は日々の小
文とあわせ「暮らしの意識」書き付け帳である。レ
ベルは低いが、比較はなしよ・・・
一年の計のつもり