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ダクタク句集2019年(令和1年)下期 自選集 [自選集2019]

12/31tue
年越しや 首の後ろの かゆみかな
     (としこしや くびのうしろの かゆみかな)
        ※このところ首の後ろに痒みがある。前にもあ
         った。ジンマシンに似て汗とかウィルスとか
         食い物とか、果てはストレスが原因だとか。
         まあ年寄りの場合一番は単純な加齢のせいだ
         という。面白くない。
         年末だし、いろいろ原因があるらしい方が賑
         やかでいい。
         おやッ、このボツっとあるのは?
         アシカケ2年のカユミかな?

12/30mon
田はまだら 二代目今日も 暮れの酒
     (たはまだら にだいめきょうも くれのさけ)
        ※稲刈りの後をそのまま放置しないで、年内に
         軽く耕しておくのが先代のやり方だった。跡
         取りもやってはいるのだが、やりかけが見え
         見え・・・。
         「春の田起こしは真面目にやるさ」と言った
         かどうか。

数え日や かくも少なき ジョウビタキ
     (かぞえびや かくもすくなき じょうびたき)

12/29sun
妻粋な 姐さん被りよ 年の暮れ
     (つまいきな あねさんかぶりよ としのくれ)

皺の手も ケーキ焼く日に 若返り
     (しわのても けーきやくひに わかがえり)

黒豆と ケーキに望みの カレーかな
     (くろまめと けーきにのぞみの かれーかな)

床磨き 齢な忘れそ 冬薔薇
     (ゆかみがき としなわすれそ ふゆそうび)
        ※前日私の誕生日における家内の風景画です。

12/28sat
エスエヌ比 耳よしばしは 高くあれ
     (えすえぬひ みみよしばしは たかくあれ)
        ※誕生日を迎えた。七十半ばの年齢で格別の抱
         負やら感慨やらはないが、SN比(sound-noise
         ratio)、若いころ一時オーディオに凝ってい
         た時、様々なコンポーネントを選ぶ際にこだ
         わったデータである。音源の音とその他拾っ
         た雑音などとの比率で高い方が性能が良い。
         この年齢でのSN比は、聞きたくない音を捨て
         去って、いかにきれいで好きな音だけを耳に
         入れるかだ。地獄耳と言われたい。

12/27fri
佃より 師走の道を 銀座まで
     (つくだより しわすのみちを ぎんざまで)
        ※都心散歩続き
         越中島を出発してから小一時間たったが、月
         島に適当な飲み屋が見当たらない。賑やかな
         通りは徹底して「もんじゃ焼き屋」の洪水、
         アーケードの両側ともそうだ。しかし夕方5
         時前だが、客の姿は全くない。インバウンド
         は日中らしい。
         諦めて勝鬨橋、築地方面に向かう。この季節、
         にぎやかな街のそぞろ歩きも悪くない。
         ついでに銀座四丁目を通り、有楽町駅までた
         どり着いた。勝手知ったる辺り。今日は三人
         の脚の調子が良い。1万5千歩くらいかな?

健脚は スマホに冬の 記録あり
     (けんきゃくは すまほにふゆの きろくあり)

三人で 分けなとミャンマーの 女の紅
     (さんにんで わけなとみゃんまーの ひとのべに)
        ※とある飲み屋で打ち上げ。ここの女性が注文
         の料理を減らすようにいう。さすがガード下
         近くの店だ。

壮士いま 討ち入りの日に 喜寿となる
     (そうしいま うちいりのひに きじゅとなる)
        ※メンバーの一人が誕生日に孫子を集め、十数
         人の祝いの会を催すという。孫自慢、病気自
         慢で令和元年の会も暮れた。

12/26thu
水門に さすが佃よ 子らの声
     (すいもんに さすがつくだよ こらのこえ)

月島は 外人頼みの 街と化し
     (つきしまは がいじんだのみの まちとかし)

路地裏に 鉢のみ多し 師走かな
     (ろじうらに はちのみおおし しわすかな)
        ※都心散歩続き
         佃は関西から来た漁師が開いた街。古い街並
         みと人情がウリだったのだが、ご多分にもれ
         ず交通の利便性に乗っかってビジネスとマン
         ションとインバウンドが一緒に押し寄せた。
         これは月島も同じ。

12/25wed
気圧されて 橋の名は出ず 冬の呆け
     (けおされて はしのなはでず ふゆのぼけ)
        ※都心散歩続き
         相生橋は、隅田川の永代橋のすぐ下流から分
         かれる晴海運河に架かる。橋のたもとから石
         川島公園を歩く。まわりは水また水の迫力だ。
         造船所跡には遊歩道があり、明治からのウォ
         ーターフロントに今や高層マンションが林立
         する。

短日や 川端を行く 乳母車
     (たんじつや かわばたをいく うばぐるま)
        ※傾いた西日が水面に映える。風が冷たくなっ
         てきた。

12/24tue
パソコンは 言うこと聞かず 上皇の日
     (ぱそこんは いうこときかず じょうこうのひ)

氷雨降る 動かぬマウスの 二三匹
     (ひさめふる うごかぬまうすの にさんびき)

ユーチューブ 30インチとなる 聖夜かな
     (ゆーちゅーぶ 30いんちとなる せいやかな)
        ※今度のパソコンは中古の元高性能機。ウィン
         ドウズ10とディスクSSDは最新版、モニタ
         ーは31.5インチの超大型。合計で6万円弱。
         バラバラ買いだったので散々調整に手間取っ
         たが、どうにか立ち上がった。きれいな大型
         画面でYouTubeを楽しんでいる。

12/23mon
鉄船と リベット撫でし 案内人
     (てつぶねと りべっとなでし あないにん)
        ※鋼船ではなくて鉄船です、懇切な案内人は商
         船大航海科昭和30年台卒業のOBで、建造
         当時は世界でも最新鋭でしたよと胸を張る。
         船内をくまなく案内してくれる。

銀杏見ゆ 訓練受けし 縄バシゴ
     (いちょうみゆ くれんうけし なわばしご)
        ※当時はこの船で学生が訓練を受けたらしい。
         縄バシゴ(シュラウド?)も結構古びていて
         手は縦索を掴めと言われていたと話す。

12/22sun
冬の日に 若い息吹の 明治丸
     (ふゆのひに わかいいぶきの めいじまる)
        ※先日いつもの仲間と都心散歩に出かけた。前
         日までの不順な天気が去って、暖かな晴れ日
         となった。午後の青空を背景にイチョウの葉
         がパラパラと落ちてくる。
         ここは東京海洋大学越中島キャンパス(旧東
         京商船大学)、京葉線で東京から二駅目、越
         中島駅で降りてすぐだ。

マスト見る 猛き眼よ 太刀を佩き
     (ますとみる たけきまなこよ たちをはき)
        ※ここで保存されている明治丸は明治7年英国
         グラスゴーで建造された、我が国初の灯台巡
         視船である。しかし何といっても帆付き鉄製
         のこの船を有名にしたのは、明治9年明治天
         皇の東北北海道巡幸の際にお召し艦となった
         ことである。当時明治天皇は24歳。

明治丸全景.jpg

12/21sat
木枯らしや 裂帛の気合いに たじろげり
     (こがらしや れっぱくのきあいに たじろげり)
        ※オリンピック出場をかけた空手の選手権。型
         の試合とか、採点とか知識がなかった上にや
         や懐疑的であったのだが、テレビでとはいえ
         目にしてして驚いた。その気合いの強さと鋭
         さ、何度繰り返しても寸分ぶれない正確さ。
         なおかつ長年洗練された型の美しさは息を飲
         むばかり。

12/20fri
部品換え もう二十年と 蜜柑むく
     (ぶひんかえ もうにじゅうねんと みかんむく)
        ※トイレの修理、20数年たって新品購入を進
         められると思ったら、タンクの中の主要部品
         を取り換えることで、修理マン曰く「これで
         新品同様ですよ」と。しかも格安。
         いい人に出会った。人間もかくありたいと切
         に思ったが、金属製の心臓が樹脂製の心臓に
         ・・・。格安では無理みたい。

12/19thu
長考や 加湿器の音 聞こえたり
     (ちょうこうや かしつきのおと きこえたり)
        ※将棋の対戦の終盤、息を飲む局面。張り詰め
         た静寂が支配する。

銀杏は 社に山と ありし頃
     (ぎんなんは やしろにやまと ありしころ)
        ※今年はギンナン拾いの時期を逸した。こうい
         う時のために或る神社がとってある。社務所
         の人なのか? 近くに住まう人が毎朝参道沿
         いに落ちたギンナンを、落ち葉と一緒に掃き
         寄せてくれているのだ。結構いい実が遅くま
         であったなあ。あそこなら安心、と出かけて
         みたら今年は実は殆どなかった。10年ぶり
         だからなァと納得しながら帰ってきた。

12/17tue
待ちかねし トイレ直す人 年の暮
     (まちかねし といれなおすひと としのくれ)

大掃除 テープの山の うず高く
     (おおそうじ てーぷのやまの うずたかく)
        ※そろそろ大掃除の時期だが、パソコン変更に
         忙殺されて殆ど何もしていない。家人には甚
         だ評判が悪い。
         長年捨てようか迷っていた録画済みビデオテ
         ープ、今年は思い切って全部捨てることにし
         た。思い入れのあるものが多いが、余りにも
         画質が違いすぎるのと、プレイヤーがもう限
         界を迎えたためだ。この3年間一度も見てい
         なかった。

12/16mon
病める友の パソコンを問う 冬支度
     (やめるともの ぱそこんをとう ふゆじたく)
        ※昨日から新しいパソコンの立ち上げとデータ
         移動に取り組んでいる。PCに関する自分の実
         力を過信して、中古の本体とモニターを別々
         に求めたものだから、かなり苦戦している。
         でも大型のモニターは快適そのもの。
         昨夜友人にその後どうしたか電話した。答え
         は「今回は中古はやめて、ノートを新品で注
         文した」とのこと。それが一番。

12/15sun
アンテナの 傾斜すれども 暮れの空
     (あんてなの けいしゃすれども くれのそら)

飛行機の 音遠くなり 鰯雲
     (ひこうきの おととおくなり いわしぐも)
        ※木更津上空から羽田空港に進入する飛行機、
         特に夕方はひっきりなしだ。晴れた日の、空
         が高い日の爆音は低い。雲が低く垂れ込んで
         いる日のそれはびっくりするほどうるさく聞
         こえる。

12/14sat
曲屋の 土間のにおいや 冬うらら
     (まがりやの どまのにおいや ふゆうらら)

曲屋に 光多き日 鴨来る
     (まがりやに ひかりおおきひ かもきたる)
        ※近郊の元豪農の家を見学した。形はいわゆる
         曲屋作りなのだけれども、格段に立派な構え
         だ。大きな三和土の上には明り取りが作られ
         ていて、大正後期の「便利さとおしゃれ」の
         取り込みを感じさせた。

12/13fri
パソコンを 買い替えかねて 炬燵かな
     (ぱそこんを かいかえかねて こたつかな)
        ※明年1月中旬、Win7のサポートが終了する。
         現在使用中のパソコンにはなんの不満もなく、
         順調に使えているから、もう一つ積極的にな
         れない。シブシブである

12/11wed
師走来て 材料来ても 庭師来ず
     (しわすきて ざいりょうきても にわしこず)

さざんかや 垣根を結ぶ 日にひとつ
     (さざんかや かきねをむすぶ ひにひとつ)
        ※9月の台風15号による被害以来、多くの職
         種の人手不足が今もって続いている。屋根工
         事、瓦葺職人はもちろん、大工、水道屋、ガ
         ラス屋、ペンキ屋、庭師、輸送(トラック)、
         電気工事など屋内外修理屋等々である。ちょ
         っと関連がないと思える職種でもどこかでつ
         ながっていて、「仕事は手一杯!!」と嬉し
         そうに言う。我が家でも庭師を待ちこがれて
         いるのだが。

12/9mon
被災せし 亀山湖にも 錦あり
     (ひさいせし かめやまこにも にしきあり)
        ※上総亀山に亀山ダムがある。先日の大雨で緊
         急放水寸前まで追い込まれたところ。11月
         下旬から12月上旬、関東では最も遅い紅葉
         見物の名所。耳にしていたが、今シーズンの
         紅葉はだめだ。多くが色褪せたままで終わっ
         ている。所々で見事な錦ぶりもあったが。
         多くの人間がトラウマの症状になっているの
         に植物が無縁でいられるはずがない。

12/8sun
大根のにおい 小便のにおい 冬の朝
   (だいこんのにおい しょうべんのにおい ふゆのあさ)
        ※大根のにおいがすると思ったら、自分の小水
         のにおいだった。子供の頃から大根を千切り
         にした味噌汁が好きだった。油揚げが刻んで
         入っていれば、それで大満足。ご馳走だ。登
         校前の時間がない時など、ご飯を味噌汁のお
         椀に全部入れてかき込んで叱られた。
         今は塩分摂取量を考え、味噌汁はたまに・・
         ・。貧しい食生活。

12/7sat
ヒヨドリの 順を作りて ミカン狩り
     (ひよどりの じゅんをつくりて みかんがり)

冬木立 白籏次郎を 語りけり
     (ふゆこだち しらはたしろうを かたりけり)
         ※山岳写真が好きな昔の同僚と、久しぶりに
          電話で話をした。白籏史朗氏の写真集の話。
          机を並べていた頃がなつかしい。
 
12/6fri
枇杷の花 生徒の薄着を 見ていたり
     (びわのはな せいとのうすぎを みていたり)
        ※この朝は一段と冷えたが、元気の良い朝練の
         中学生はなんとトレーニングウェアを脱いで
         抱え、半袖で学校に向かっていた。いっしょ
         の友達と我慢比べでもしていたか?
 
12/4wed
初雪や 散歩の靴の 重装備
     (はつゆきや さんぽのくつの じゅうそうび)
        ※初雪の知らせに電話したら、故郷の兄は散歩
         に出かけるところだった。買ったばかりの、
         滑り防止用の靴を履いているとか。寒気団が
         強いから融けない雪が降り続く。
 
12/3tue
シニア買う 中学前の たい焼き屋
     (しにあかう ちゅうがくまえの たいやきや)
        ※生徒の通る時間を避け、夕方に買いに行って
         いた亡き義兄。極端に食が細った後も少しで
         いいからとせがんでいた。
 
12/2mon
石蕗咲くも 堤の風に 凍えおり
     (つわさくも つつみのかぜに こごえおり)
        ※長年ブログに駄句を載せてきたが、ブログ運
         営会社のミスで、全部が消去されてしまった。
         当人にとっては大事件。復元を求めているが
         どうなることやら。朝の南の風が昼前に氷雨
         に変わり、気温は急落している。困った。
 
12/1sun
暮早し 越す人ありて 暇乞い
     (くれはやし こすひとありて いとまごい)
        ※同年輩で付き合っていた人が子供の住む地に
         引っ越していく。「これも終活です」と。ふ
         と我が身を考えた。狐火が見えそうな夜。



       ********************




11/30sat
山茶花や 清しき顔で 旅立ちぬ
     (さざんかや すがしきかおで たびだちぬ)
        ※本来旗幟鮮明の人、中曽根康弘死去。
         総理が見えてくると手練手管を、風見鶏とも。
         様々な成果をあげる。卒業後、政界引退後は
         信念の人に回帰できた。良い顔に。やっぱり
         逸材。

11/29fri
久々に 丹沢望む 小春かな
     (ひさびさに たんざわのぞむ こはるかな)
        ※小春日和は一向に・・・と書いたら、長い雨
         模様が明け、一転今朝は快晴。富士山は宝永
         火口の下縁辺りまで真っ白、丹沢の山塊も中
         腹まで積雪が見える。当地今朝6時の気温は
         1度台。霜に弱いカラーの葉はまだ大丈夫。

11/28thu
クレマチス サフランも揃い 帰り花
     (くれまちす さふらんもそろい かえりばな)
        ※小春日和の日は一向に来ないけれど、庭だけで
         も帰り花が数種類咲いている。その気で眺める
         せいかもしれないけれど、今年は種類も多いし、
         どこかおかしい。桜、梅、梨、躑躅などであれ
         ば例年のことなのだが・・・。
         9月の台風15号の強風のせいだ。人間でもト
         ラウマの症状に多くの人がなっているのに、植
         物にあのストレスが無害だったとは思われない。
         今年は「狂い咲き」の呼称の方が合う。

11/27wed
火消し壷 どっこいしょと言い 仕事終え
     (ひけしつぼ どっこいしょといい しごとおえ)
        ※昔の母の光景の続き。火消し壷の古いものは石
         をくり抜いて作られていた。蓋といえども分厚
         く重いし、冷たい土間に置かれていた。冬は家
         中の火の始末が大事だった。火消し壷は50年
         前から死語。

11/26tue
朝ドラの 火鉢に練炭の においあり
     (あさどらの ひばちにれんたんの においあり)
        ※毎朝早く母親が火鉢に火のついた炭をおき、新
         しい練炭を入れる。練炭に火がつくまでの間、
         部屋中に独特のにおいがした。この世から消え
         たにおい。

11/25mon
朝霧の 晴れて選挙の 報来たる
     (あさぎりの はれてせんきょの ほうきたる)
        ※香港区議会議員選挙で民主派が過半数確保の見
         込みとの速報が流れた。しかも過去最高の投票
         率とか。最悪のシナリオが回避され、民主化要
         求の一部が現実的な争点となるかもしれない。
         今朝は異常な程の高温で霧が発生、この地は視
         界150mほど、滅多にない朝だった。

11/24sun
オークション 沢庵噛みつ 競り合いぬ
     (おーくしょん たくあんかみつ せりあいぬ)
        ※最近時々こういうことをするようになった。品
         質上心配のない品物だったら、好都合なことも
         あります。今回は早々に退場しましたが、前回
         は中古の額縁f6を他に入札者がいないまま、安
         く落札し、かつ思った以上に良品だったので大
         喜びしました。

11/23sat
時雨るや 欠礼状やや 常となり
     (しぐるるや けつれいじょうやや つねとなり)
        ※殆ど降りやまない雨が昨日から続いている。賀
         状を交換している方には申し訳ないが、3年連
         続の欠礼状を差し上げることに。

11/21thu
酉の市 腰にまわした 革財布
     (とりのいち こしにまわした かわざいふ)
        ※今やネットで鷲(おおとり)神社の光景を眺め
         るのみ。威勢の良い手締めの声とオヤジの腰の
         ガマグチが記憶の定番。

11/20wed
新年の 御札作りや 神の家
     (しんねんの おふだづくりや かみのいえ)
        ※神社の社務所を兼ねた家では戸を開け放って、
         正月の御札やお守り、縁起物の準備をしてい
         た。いくつものダンボールが見える。家に帰
         ったら、一日延ばしにしていた欠礼状書きに
         とりかかろうか。

11/19tue
秋長けて 百万ドルの 夜景揺れ
     (あきたけて ひゃくまんどるの やけいゆれ)
        ※香港のデモ激化が連日伝えられる。デモ側に少
         しでも統制がとれていれば、今だからこそ訴求
         力が強くなるのだが。無秩序、過激化では思う
         ツボ・・・誰の?

11/17sun
ジョービタキ 初音こがれて 秋深し
     (じょーびたき はつねこがれて あきふかし)
        ※高い電線でいつも一羽で「ピーイッ」と呼びか
         けるように鳴くジョービタキ。門外漢の小生で
         もいつも楽しみにしていた。季節を問わずに
         「今日もいるな」と。
         それが、この初夏を最後に一度も聞いていない
         のだ。去年までは夏だって初秋だって聞いてい
         て、留鳥だと信じていたのに。まぼろし?
         しかし何の不思議もないのだ。図鑑にはジョー
         ビタキは渡り鳥とある。図鑑を信じよう。もう
         帰って来るはずだ。

11/16sat
笑みつつも 庭師研ぎ尽くす 鰯雲
     (えみつつも にわしとぎつくす いわしぐも)
        ※庭師にとって刃物は命。殆ど使い捨ての者も多
         いが、仕事の仕上がりに歴然とした差が出ると
         いう。こうした職人が愛用する刃物、業物を鍛
         え作る人もどんどん少なくなっているとか。

11/15fri
冴え冴えと 毘沙門沼の 秋残照
     (さえざえと びしゃもんぬまの あきざんしょう)
        ※今朝は予報通りかなり寒い。何十年も前だが故
         郷会津の裏磐梯に行った。夕暮れ時、五色沼の
         一方の出発点、毘沙門沼周辺は誰ひとりいなか
         った。売り物のエメラルド色には程遠いが、湖
         面は神々しく僅かな光を映していた。何度も訪
         れている中で一番の記憶。

11/14thu
秋に吹く ラッパ女子みな 熱き顔
     (あきにふく らっぱじょしみな あつきかお)
        ※吹奏楽コンクール全国大会が10月にあった。
         マーチが中心なんて大昔の話で、入賞した団体
         が選んだ自由曲は吹き映えも聴き映えもする難
         曲が多い。主役は断然女子、圧倒的だ。

11/13wed
京舞や 師匠に秋の 色香あり
     (きょうまいや ししょうにあきの いろかあり)
        ※東京公演が今月下旬にあるらしい。21年ぶり
         とか。五世井上八千代は井上流の家元、64歳
         にして人間国宝。家元を襲名したころから、気
         さくな中に既に凛とした気が漲っていた。今や、
         なんとも言えぬ上品な色香が・・・。

11/11mon
色づきぬ 通りに笑みの 残りけり
     (いろづきぬ とおりにえみの のこりけり)
        ※パレードの様子をテレビで見た。ざわめきが音
         がフウーッと消えて、微笑みだけが残った。そ
         んな感じがした。

11/10sun
祝いの日 心音しかと 命知る
     (いわいのひ しんおんしかと いのちしる)
        ※即位記念パレードの日。きれいに晴れ上がる。
         早朝寝床で枕と頭の間に手のひらを挟んでいた
         ら、ジーッという血流の音?に混じってドクッ
         ドクッという鼓動の音がはっきり聴こえた。手
         のひらを耳の孔にぴったり当てただけでも聴こ
         えるみたい。70年以上にわたって、休みなく
         働いている音。

11/9sat
立冬や 崩れし土手の 土の黒
     (りっとうや くずれしどての つちのくろ)

立冬や 高速下の 鳩の居間
     (りっとうや こうそくしたの はとのいま)
        ※立冬2句。知り合いの農家の後継が随分古い手
         押し式の耕耘機で田を起こしている。2,30
         年前の幅狭だから原動機は積んでいるものの、
         生産性は最新のものに較べればガタ落ちだ。
         聞けば、台風とは関係なく、新しいのは故障で
         修理に手間取るという。これは先代が大事にと
         っておいたものらしい。あの親父がね。
         へえ、この後継ぎ、ちゃんと喋れるんだァ。

11/8fri
早咲きの サザンカ街に 二つ三つ
     (はやざきの さざんかまちに ふたつみつ)
        ※我が家のサザンカは超がつく早咲きで、10月
         も20日前に最初の花が開く。長いことサザン
         カの開花は11月も遅くで、冬近しのシンボル
         として感じてきたから、花を見ると今年ももう
         終わりかと思ってしまう。

11/7thu
木守りの 柿も残さず オラが嬶
     (きまもりの かきものこさず おらがかかぁ)
        ※最近の子は柿を食わないのか? とってまで食
         わないということか? おいしそうな甘柿がた
         わわになったまま・・・もうすぐ冬だよ~と言
         いたくなる。

11/6wed
秋冷や 部活の女子に 気合いあり
     (しゅうれいや ぶかつのじょしに きあいあり)
        ※地元の高校の女子ソフトボール部は全国制覇の
         実績がある強豪チーム。近くの専用グラウンド
         では夕方照明をつけて練習を続ける。急に冷た
         くなったら大きな掛け声が一段と鋭く聞こえる。

11/5tue
落花生 乾すに新聞は 昭和とか
     (らっかせい ほすにしんぶんは しょうわとか)
        ※今年の落花生は総じてまあまあの出来。2,3
         年前からの大粒でなんとか量を確保した。この
         種は通常の3倍ほどの大きさで、乾燥させなく
         ともすぐに茹でて食べられる。生産県の千葉と
         しては通常の、味の豊かな品種で成果を上げた
         かったのだが、こちらは散々。
         しかし今年は鳥獣の被害がなかった。昨年この
         周辺でアライグマの捕物があったお蔭。

11/4mon
アリス聴く それぞれの秋 ・・・
     (ありすきく それぞれのあき てんてんてん)
        ※友人たちとの間でメールでの連絡板がある。こ
         のところの台風、豪雨で多くが被害を受けてい
         たことにびっくり。都内の友人は二人が避難所
         に駆け込んだし、建物がやられた人も何人か。
         こうした連絡の機会には病気や体調不良の人が
         増えてきていたのに、今回の主役は被害に。

11/3sun
熱き血が ありしかと問う 秋の夜
     (あつきちが ありしかととう あきのよる)
        ※ラグビーWCは南アが制覇した。南アは準決で
         ウェイルズを僅差で破ったのに、ニュージーラ
         ンドは3位決定戦でウェイルズに大差で勝った。
         そのニュージーランドを圧倒したのが準決イン
         グランドだから、決勝は算数だとイングランド
         勝利のはずだった。すごい南アの気力が体力に
         乗り移っていた。すごい感激ぶり。熱くなった。

11/2sat
新蕎麦や 到来すれば 間を置かず
     (しんそばや とうらいすれば まをおかず)
        ※「最近うまい蕎麦に行き当たらないなァ」とか
         言っている割には本当の蕎麦の味が分かってい
         ない。今回は地の産、秋の新蕎麦。おいしい。
         土の風味? 温暖なこの土地でも? あっとい
         う間に腹におさまった。

11/1fri
秋長けて 玉ねぎ200の 畝作り
     (あきたけて たまねぎにひゃくの うねづくり)
        ※苗を買う人は準備のタイミング。晴れ間が続き
         畑は気持ちが良い。と思っていたら、シマヘビ
         が出たとかでオバサン連中が騒いでいる。いつ
         ものヤツだろう。見に行ったら随分大きくなっ
         ていた。どうかな?


       ********************




10/31thu
幼子を 繰り返し描く 秋深し
     (おさなごを くりかえしかく あきふかし)
        ※このところ顔のデッサンを真面目にやっている。
         多くはテレビやネットで出会ったお気に入りの
         顔、表情だ。
         じっくり時間をかけようとか、15分でしあげ
         ようとか、様々できて楽しい。やっぱり日本人
         の顔がいい。ホリは浅くとも奥は深い。

10/30wed
菊花展 花遅れての 空手形
     (きっかてん はなおくれての からてがた)
        ※知人丹精の菊が先日の15号で皆横倒しとなり、
         花の開きが著しく不調になったという。必死の
         介抱?を続けるが、目指した時期での花のピー
         ク作りは断念したという。しょぼくれている。

10/29tue
掘りしまま 落花生売る 雨上がり
     (ほりしまま らっかせいうる あめあがり)
        ※房総半島に再び豪雨の被害。15号の被害以来、
         ブルーシートをかけただけの住民はいかばかり
         だったか?
         「暑くもなし寒くもない、災害も少ない。だか
         ら人は易々と暮らし、人材は育たない」と揶揄
         付きで語られてきた房総の土地柄なのだが。

絵はどれも 晴天なのに 房総雨
     (えはどれも せいてんなのに ぼうそうう)
        ※強雨の中集まり、週末の文化祭の会場設営をし
         た。出品の絵を架け終わり、帰る頃には房総雨
         転じて暴走雨となった。

10/28mon
黒き影 地に累々と 浜の秋
     (くろきかげ ちにるいるいと はまのあき)
        ※ラグビー決勝はイングランド対南アフリカの対
         戦が決まった。オールブラックスはイングラン
         ドの前にその圧力を封じられ、戦略戦術両面で
         圧倒され敗退した。準々決勝までの比類なき?
         進軍からはちょっと信じられない結果となった。

10/26sat
警報の 解除の知らせ 虫なき夜
     (けいほうの かいじょのしらせ むしなきよ)
        ※千葉県が昨日一日豪雨に襲われた。小櫃川上流
         の亀山ダムが緊急放水する見込みと知り、一気
         に殺気立つ。この事態が自分の近くに? 近く
         の地区に避難勧告が出た。
         幸い放水は取りやめとなり、事なきを得た。

10/24thu
サツマイモ ついでの蔓に 舌鼓
     (さつまいも ついでのつるに したつづみ)
        ※貴重な晴れ間に収穫をした。狭い畑の3列の畝
         に、紅あずま、紅はるか、シルク・スイートの
         3品種。命じられるままに掘り進める。味わい
         はこれからだが、ツルの賞味はすぐ出来る。甘
         めの醤油で煮て、キンピラのようにピリ辛味に
         する。かなりのご馳走。江戸の昔から食されて
         きたと知る。
         イモもツルもと文句ないのだが、大量に出るツ
         ルと葉が曲者。二三ヶ月乾燥しても容易に燃え
         ない。半年近くたって、やっと処分できる。小
         さく切ってゴミ袋に入れて出す人も。

10/22tue
面ざしは 故郷の人に 秋の道
     (おもざしは こきょうのひとに あきのみち)
        ※即位礼当日で祝日。ゴミは集めに来ないし、昨
         夜とれた歯の詰め物を直して貰おうと歯医者に
         電話したらスゲナク休診ですと言われた。
         さりながら今日はおめでたい日、おだやかにつ
         つがなくを祈ること切なり。

10/21mon
美し夢 高みに去りて 鰯雲
     (うましゆめ たかみにさりて いわしぐも)
        ※ラグビー準決勝対南ア戦。格の違いを知らされ
         る圧力だった。ラインアウト、ターンオーバー
         等随所で差が見えた。後半敵にハンドリングミ
         スがなければ、もっと大差になっていたかも。
         夢から覚めて、ため息とこんな句が列島中に満
         ちている。

秋の蚊が ターンオーバー される瞬間
     (あきのかが たーんおーばー されるとき)

10/20sun
同志なる 母娘離り得ず 今朝の秋
     (どうしなる ははこさかりえず けさのあき)
        ※友人の100歳になるお母上が亡くなられた。
         お会いしたことはないが、温かい人柄に加え、
         一本筋の通った方だと以前から推察していた。
         会津盆地と松本盆地とを合わせ、母娘いっしょ
         の暮らしは半世紀近いだろう。合掌。

10/19sat
秋愁い バリウムバスに 並びおり
     (あきうれい ばりうむばすに ならびおり)
        ※度重なる風雨の被害あり、友人の病気あり、友
         人の近親者に不幸が相次いだりと、改めてこの
         秋はろくなことがない。
         ブルブルッ、吹く風は涼しさを通り越した。い
         やなバリウムが待っている。

10/18fri
新米を くれたる人の 黒い指
     (しんまいを くれたるひとの くろいゆび)

常よりも 盛りて新米 供えけり
     (つねよりも もりてしんまい そなえけり)
        ※家内が当地木更津の生まれ育ちなので、小中学
         校の同級生あたりから新米をいただいたりする。
         ブレンドをしていない純粋の地元米。おいしい。
         そうした縁で畑も借りている。稲わらや籾殻な
         ども。小生はありがたく寄生している。

10/16wed
瓦屋の手元に釣瓶落としの日
     (かわらやのてもとに つるべおとしのひ)
        ※台風15号から一ヶ月ちょっと、屋根のスレー
         ト補修と窓ガラスの復旧が終わった。とは言っ
         ても工事は半日だけ、多くは順番待ち。

10/15tue
笑みうかべ 水位を示す 秋の午後
     (えみうかべ すいいをしめす あきのごご)
        ※大河川の決壊による洪水被害が深刻だ。余りの
         様子に水が引いた後も自失状態の人々。呆れ気
         味の微笑みが痛々しい。

10/14mon
木犀の 鬱金遅参し 静かなり
     (もくせいの うこんちさんし しずかなり)
        ※彼岸花の開花遅れ、サクラの狂い咲き、そして
         金木犀の遅刻・・・全て台風襲来のパニックの
         せいだと信じている。

10/13sun
ススキの穂 嵐去る朝に 若々し
     (すすきのほ あらしさるあさに わかわかし)
        ※暴風雨の夜が明けて、被害の大きさが次第に明
         らかになる。各地で甚大な爪跡だ。ここ千葉県
         は心配したよりは比較的軽くて胸を撫でおろす。
         しかし台風15号の被害と合わせると状況は深
         刻だ。ブルーシートを吹き飛ばされた家が散見
         され、被災者の胸中がしのばれる

10/12sat
洋梨は 故郷の産よ 豊の秋
     (ようなしは こきょうのさんよ とよのあき)
        ※私の故郷会津を旅行中の先輩が旅先から「会津
         の果物」を送ってくれた。桃、梨と洋梨の詰め
         合わせ。洋梨の産地というのは初耳、おかげさ
         までおいしくいただいた。

10/11fri
破れたる 窓越し日々の 鱗雲
     (やぶれたる まどごしひびの うろこぐも)
        ※昨日までは台風の接近が嘘のように秋空が広が
         っていた。今日はさすがに雲が厚い。虎視眈々
         19号の露払いの雨雲が近づいている。

10/10thu
ふたまたの 大根十耕 したものの
     (ふたまたの だいこんじゅっこう したものの)
        ※大根十耕~大根は普通の何倍も耕し、土を深く
         柔らかくしてから植えよということらしい。
         「備えあれば・・・」というが、自然の驚異は
         時に一番弱いところをついてくる。備えはした
         ものの。

10/9wed
台風は みな来る気配 そぞろ寒
     (たいふうは みなくるけはい そぞろざむ)
        ※トラウマという症状が良く理解できるようにな
         ったのは台風15号の襲来以降のことだ。台風
         19号は海水温度の高い海域で急速に発達して
         最悪のコースをたどるかも。

10/7mon
爪使い イナゴの脚を もいでおり
     (つめつかい いなごのあしを もいでおり)
        ※東北地方では秋になるとイナゴの佃煮を食べる
         のが一般的だった。新鮮なやつを袋で買い、ま
         ず蒸し上げる。次に細かい異物は取り除き、イ
         ナゴの下肢の先っぽを摘み捨てる。ギザギザが
         ついているから。当時の貴重な蛋白源というよ
         り、甘露煮そのものがおいしく、おかずでもあ
         った。母親の味が一番。ザラメではなく白砂糖
         で薄味に上品に作られたものは苦手だった。

銀歯来る 秋の宝を 籠に詰め
     (ぎんばくる あきのたからを かごにつめ)
        ※小中学生の頃、季節の食材を届ける銀歯のオジ
         サンがいた。秋にはイナゴ、キノコ各種、春に
         は山菜なんでも、タケノコ、他にアユ、ウナギ、
         ドジョウ、川魚やシジミなど。要するに栽培で
         はなく、採集のお宝はなんでも持って来てくれ
         た。自分で採集するばかりでなく、多くの人か
         ら集めてくるネットを持っていた。
         「マムシはいるか?」「い、いらねえッ」

10/6sun
踏切に 若きススキの 少し揺れ
     (ふみきりに わかきすすきの すこしゆれ)

釣り師みな パーカー着込んで 初ふるえ
     (つりしみな ぱーかーきこんで はつふるえ)
        ※今朝は一段と涼しくなった。朝夕のTシャツ半
         袖はやせ我慢。倒壊した手製ブドウ棚のパイプ
         製枠組みが復旧、あとはゆっくり細かい棚をつ
         けていく。

10/5sat
イヌサフラン うすむらさきの 花来たり
     (いぬさふらん うすむらさきの はなきたり)
        ※コルチカムが正式名称で北アフリカ原産とあっ
         た。アヤメ科のサフランとは全くの別物。大き
         な球根で貰ってきたもの。
         季節違いのクロッカスとも似るが、こちらは花
         の時期に葉は全く見えない。

10/4fri
露けしや 線路をまたぐ 女の靴
     (つゆけしや せんろをまたぐ ひとのくつ)
        ※「危険ですので線路横断はしないで下さい」の
         看板は「ここなら安全です」のしるし。しかし
         線路の両側の道は雑草が生い茂り、窪地を跨ぐ
         小橋がかかっている。今の季節は朝露で靴はび
         しょ濡れになる。 

10/3thu
刈田雀 今日海鳥に 追われけり
     (かりたすずめ きょううみどりに おわれけり)
        ※被害を受けた堤道のサクラがどうしたわけかチ
         ラホラと花をつけている。結構な数。返り咲き
         というが、あれは小春日和の季節とかいうし・
         ・・、これは「狂い咲き」としか。
         ここから直線5キロほどの海岸には「盤洲干潟」
         という、動植物が豊かに生息するところがある
         が、海鳥が団体で内陸にやってくるのは冬以外
         には珍しい。

10/2wed
異邦人 昭和の歌もれ 良夜かな
     (いほうじん しょうわのうたもれ りょうやかな)
        ※西空に大きな三日月が見える。空気が澄んでい
         る。今日から10月。





       ********************



9/30mon
愛しきや 柿は五つと なりにけり
     (いとしきや かきはいつつと なりにけり)

長き月 多く描きたり 九月尽
     (ながきつき おおくかきたり くがつじん)
        ※9月9日の台風から20日が過ぎ、明日からも
         う10月。自分の被害とかよりも、あれだけ地
         域の人々が長期間苦しめられたことが重しとな
         った。この間意外と何枚かの絵を描いた。少し
         真面目に取り組んだ。

9/29sun
大金星 そばに関電 大黒星
     (だいきんぼし そばにかんでん だいくろぼし)
        ※ラグビーの快挙の影に隠れない、信じられない
         大失態。ガバナンスが言われて久しい現在、ま
         さに奇跡的な汚れぶりだ。業界2位に甘んじ長
         らく惰眠を貪ってきたせいだと、すぐ思った。

9/28sat
遅れしを 詫びつつ白き 曼珠沙華
     (おくれしを わびつつしろき まんじゅしゃげ)
        ※きちんと季節を守る彼岸花が例年より10日ほ
         ど遅く盛りになった。台風がショックになった
         のかな?

9/27fri
秋寒や 虫もむくげも ふるえおり
     (あきざむや むしもむくげも ふるえおり)
        ※今朝は肌寒いを少し通り越した寒さ。今朝6時
         の気温は17度、窓を開けた際の一句。季語は
         これ三つかな? 素直だけの句。
         昨日からぺしゃんこになったブドウ棚の復旧に
         着手。再びコンクリートで柱の基礎を打つ。

9/26thu
女郎花 似ても似つかぬ 顔思う
     (おみなえし にてもにつかぬ かおおもう)
        ※先日会社で後輩の、関西に住むK氏から見舞い
         の電話を貰った。久しぶりで嬉しかった。電話
         口では元気だったものの、氏はガンをやり、人
         工透析患者になったという。びっくりした。
         病いを寄せ付けない、下駄のような強面の持ち
         主なのだが・・・。絵手紙で礼状を書いた。

絵手紙を 投函すれば 秋の声
     (えてがみを とうかんすれば あきのこえ)

9/25wed
倒木を 伐るに汗なし 昼の虫
     (とうぼくを きるにあせなし ひるのむし)
        ※堤の倒れたサクラ2本は根っこのすぐ上で切ら
         れてしまった。少なくとも1本は重機で持ち上
         げて養生すれば十分蘇生したのに・・・と、お
         役所仕事の杜撰さに腹が立った。現場で仕事を
         した人にとってはチェーンソー一発、涼しい午
         後にアッという間のお手軽さだった。後には刻
         まれた枝や幹が土手に打ち捨てられている。

9/24tue
嵐来る 朝一番の 船便で
     (あらしくる あさいちばんの ふなびんで)
        ※昨日の日中の強風も結構なものだった。房総人
         はすっかりトラウマになっている? 横須賀に
         行っていた家内は早起きして、風が強くなる前
         の便で急ぎ帰ってきた。同じ考えの人で満員だ
         ったとか。

9/22sun
久留里線 カーブにそいて 曼珠沙華
     (くるりせん かーぶにそいて まんじゅしゃげ)
        ※久留里線の木更津-久留里間は一昨日夕方から運
         行を始めた。線路の両脇の彼岸花はこの季節の
         風物詩。

高バシゴ 鋏の音や 秋彼岸
     (たかばしご  はさみのおとや あきひがん)
        ※義兄が亡くなって秋の彼岸は初めて。頭の上から
         元気な声が聞こえてきそう・・・。

9/21sat
秋茄子や 世話せぬ主に 良く尽くし
     (あきなすや せわせぬぬしに よくつくし)
        ※家が一段落した畑仲間が三々五々畑に来ている
         らしい。防虫ネットが滅茶苦茶に倒れ、白菜の
         苗が飛ばされたり、オクラが地面に倒れたりと、
         みんな一様に嘆息をついているとか。
         8月に秋茄子仕立てを怠っていたのに、無残な
         中に茄子は恵みをくれているらしい。

9/20fri
十日過ぎて 列車走らず 捨案山子
     (とおかすぎて れっしゃはしらず すてかかし)
        ※JR久留里線は全線が不通のままである。出退勤
         時、高校生の登下校時には結構な利用者がある。
         その時間帯は3輌編成だ。今朝路線沿いを走る
         代行バスに出会った。

9/19thu
サンダルに 石の入る日 獺祭忌
     (さんだるに いしのはいるひ だっさいき)
        ※9/19は正岡子規の命日。糸爪忌が有名。獺祭と
         正岡子規で検索すると「獺祭の正規販売店」と
         いうのが現れた。獺祭は有名な日本酒の名前、
         もちろん本来は「かわうそ」のこと。
         子規は根岸の住居から言問通りを上って、上野
         の山の野球場に通ったにちがいない。手ぬぐい
         をさげ、下駄履きで。石も入ったかなァ・・・。

蝉鳴きて はてホトトギスと 思い聴く
     (せみなきて はてほととぎすと おもいきく)
        ※九月下旬に蝉来る。さてはホトトギスかと。

9/18wed
水澄むや 微笑みの仏を 描きおり
     (みずすむや えみのほとけを えがきおり)
        ※台風通過から一週間、昨日になってやっと屋根
         の被害確認ができた。ずれた箇所が一箇所あっ
         ただけで他は異常なしという。胸をなでおろし
         たが、窓のガラスを破って飛び込んできたスレ
         ートはどこからのものだったのだろう? 我が
         家の周辺に同種の破片が飛び散っている。
         まあ怪我はなかったし、物損も少しだけ。良し
         としなければならない。すこし落ち着いてきた。

9/17tue
新涼や ブルーシートの 家が増え
     (しんりょうや ぶるーしーとの いえがふえ)
        ※ブルーシートの家は周囲に散見される程度だっ
         たが、台風通過から一週間だというのに、昨日
         の雨の前後で一段と増えてびっくりした。かけ
         たくとも業者の手が間に合わなかったのだろう。

9/16mon
傘折れて 犬と濡れ帰る 敬老日
     (かさおれて いぬとぬれかえる けいろうび)
        ※被災の応急措置も終わり、落ち着いたなと思っ
         た矢先に、傘が大破した。珍しい折れ方、修復
         もままならない。災難は続いていたかと思い直
         し、帰宅した。

嵐寛も 千恵蔵もいる 敬老日
     (あらかんも ちえぞうもいる けいろうび)
        ※「テレビで時代劇でもどうぞ」と言われている
         人がいるかも知れない。なつかしい東映の古い
         映画「十三人の刺客」を見た。

9/15sun
陋屋に 見舞う言葉の 満ちて秋
     (ろうおくに みまうことばの みちてあき)
        ※たくさんの友人知人から電話、メールをいただ
         いている。修復の順番はまだか? 明日にかけ
         て雨と風がくるらしい。ガラスが破損した窓は
         テープで覆っただけの応急措置が甚だ心もとな
         く隙間が見えている。

9/14sat
春に描く 木々や秋には 道の上
     (はるにかく きぎやあきには みちのうえ)
        ※随分涼しくなった。いつも通る小櫃川の土手道、
         並木の中でも大きめの桜が2本根こそぎ倒れて
         いる。クルマは通れない。片付けの重機はいま
         だにこない。ちゃんとケアすれば十分生き返る
         のだが・・・。

9/13fri
ゴルフバックの人 瓦集める 人のそば
     (ごるふばっくのひと かわらあつめる ひとのそば)
        ※被災5日目。次第に落ち着きつつある。風雨の
         直接の被害より、インフラ寸断の被害が何倍に
         もなっている。今日辺りで殆どが回復するらし
         いが。
         多少の被害を被ったとはいえ、僻み目になって
         はいけない。少しそれがにおう句です。

9/12thu
泰山木 秋の野末に 斃れあり
     (たいさんぼく あきののずえに たおれあり)

作物は 田園に死す 秋の風
     (さくもつは でんえんにしす あきのかぜ)
        ※ホンのちょっとの差で災害の大きさ、有無が大
         きく分かれることがある。全く無傷、無被害の
         隣では瓦屋根が飛ばされ、どこから飛来したの
         か建材やらゴミが庭に溢れている。
         いつもその季節には見ているナジミの泰山木が
         根こそぎ倒れ、遥か公園の片隅に片付けられた。

9/11wed
日傘して 水貰う人の 列につく
     (ひがさして みずもらうひとの れつにつく) 
        ※電気と水の停止状態がかなりの地域で続いてい
         る。三日目に入って、生活の不便だけではなく
         身体の辛さと危険につながる。

9/10tue
なにごとも なかった顔で 秋木槿
     (なにごとも なかったかおで あきむくげ)
        ※先日の台風15号、当地では記録的な強風が吹
         き荒れ、一部に被害をもたらした。当家は屋根
         材(コロニアル)が剥がれ落ち、さらに風にあ
         おられ窓のガラスを直撃、ガラスは寝室中に飛
         び散った。未明の3時過ぎ、恐怖の出来事。
         小人はボヤク、「よりによって我が家の屋根が
         なんで壊れるの・・・?」と。とても木槿のよ
         うにはいかない。

9/8sun
シナトラの 九月の歌ハハハ やはり合う
     (しなとらの くがつのうたははは やはりあう)
        ※ご存知 September Song。結構古いCDだ。
         南から台風15号がやって来る。関東直撃と
         なるかも。ハハハとか言っていられない。

9/7sat
富士見える 雲の特異日 秋は良し
     (ふじみえる くものとくいび あきはよし)
        ※「雲の日」があってもいいかなと思った。今日
         9月7日を雲の日にすると、この日は面白い、
         立派な雲が現れる特異日になったりして・・・。

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9/5thu
風の盆 涼風ここに 届きたり
     (かぜのぼん りょうふうここに とどきたり)
        ※八尾町にはJR高山本線で降り立ったことがある
         が、この時期ではない。確か越中八尾駅という
         駅名だった。風の盆の空気を知らないからこそ、
         今でも憧れと恋しさが募る。

涼風や セールスの人の 声軽く
     (りょうふうや せーるすのひとの こえかるく)

9/4wed
愉しみは マスカットの味 筆洗う
     (たのしみは ますかっとのあじ ふであらう)
        ※画題は季節の果物で、当番に当たっていた。買
         い物したり準備する時から、描く楽しさより食
         べる楽しさが待ち遠しかった。絵の上達はなか
         なかに難しい。と思う。

9/3tue
おさまらぬ 揉め事火を吹く 残暑かな
     (おさまらぬ もめごとひをふく ざんしょかな)
        ※世界の紛争が日々詳細に生々しく報道される日
         常をかつて想像しただろか? 進歩の故だとも
         言えるが、これを毎日視聴する我々にとって、
         幸福とはとても呼べない。いい加減にしてくれ
         と言うのはなにも残暑だけではない。

9/2mon
コガネムシ お前の後の ブドウ食う
     (こがねむし おまえのあとの ぶどうくう)
        ※実は我が家のブドウが今採り頃。緑の粒々が日
         を受けて、黄色に飴がかった色に成熟している。
         他の果樹をよそに今年も好調だ。「粒は中ほど、
         甘さ控えめ」・・・褒め言葉は自在に。
         家内の姪の娘を来賓に迎えて、ブドウ刈りフェ
         スタの開会式をやろうかと今朝考えた。

9/1sun 
夏空に 白煙もうもうと 鉄の街
     (なつぞらに はくえんもうもうと てつのまち)
        ※当地から木更津の市街越しに君津製鉄所の煙突
         や煙が遠望できる。北九州市八幡の、遥か昔の
         光景を思い浮かべた。

九州の天空に雨の道哀し
     (きゅうしゅうのてんくうにあめのみちかなし)
        ※台風銀座とかいう言葉は死語のようだが、今年
         も北部九州は豪雨被害が相次いでいる。台風関
         連ではなく、前線が居座るケースが多い。なん
         とかならないものか・・・。





       ********************



8/31sat
夏過ぎし クラクフからの 便りかな
     (なつすぎし くらくふからの たよりかな)
        ※絵の会の友人から絵葉書が届いた。ポーランド
         の古都クラクフは憧れの街。北緯50度という
         と北海道を遥かに越え、樺太の中央辺りだ。

8/30fri
車椅子 押す武士の妻 今朝の秋
     (くるまいす おすぶしのつま けさのあき)
        ※早朝に病院に行った。車椅子のご主人と思われ
         る人を駐車場で下ろし、ゆるい坂道を登ってく
         る夫婦に会った。雨模様だがさわやかな印象を
         受けた。奥さんは毅然としていて周囲に目を配
         り、空模様などを笑顔で語りかけている様子。
         見たのはそれだけだが、いいなァ・・・。

8/29thu
夏休み 明けて様々な 顔揃い
     (なつやすみ あけてさまざまな かおそろい)
        ※今週初めから新学期、続々と中学生が行く。登
         校を待っていた顔、まだ休み気分の顔、寝ぼけ
         ているような顔・・・様々だ。気の毒に。

8/28wed
分断も 一色も嫌い 国の秋
     (ぶんだんも いっしょくもきらい くにのあき)
        ※定見もないポピュリズムは我慢がならない。そ
         れにすがるしかないところまで追い詰めての煽
         りは最低。

8/27tue
ひぐらしの かぼそき声で 缶ビール
     (ひぐらしの かぼそきこえで かんびーる)
        ※夕方の散歩コースに「ひぐらし通り」と名付け
         た道がある。ここの林には何故かひぐらしが多
         い。以前立ち止まって鳴き声を聴いていたら、
         木の上からバサッとシマヘビが落ちてきた。ほ
         んの30センチ先で、これにはびっくりした。
         しばらく寄り付かないことにした。今日は缶ビ
         ール一杯分だけ立ち止まる。

8/26mon
稲刈りや 詮議の末の まだら刈り
     (いねかりや せんぎのすえの まだらがり)
        ※例年なら盆明けに本格化する稲刈りだけれど、
         今年は進行が遅くやや不規則な気配。梅雨時の
         記録的な日照不足と8月に入っての日照り、そ
         の匙加減が微妙に難しいらしい。さらに最近は
         稲作の集約化が進んで耕作面積が大きくなって、
         複数ブランド米を一人が収穫することも珍しく
         ないという。広い田んぼ毎に収穫時期が大きく
         前後してしまう。その間は「まだら田」に。

8/25sun
夏に鍋 三人が囲み クラス会
     (なつになべ さんにんがかこみ くらすかい)
        ※延期が重なった会を東京駅2階の比内鶏を食わ
         せる店で開催。三人は史上最少かな? そう歴
         史がある会ではないけれども。
         話が具合良く往復し、いつにない会になった。

8/23fri
サルスベリ 最後の色の 散りて処暑
     (さるすべり さいごのいろの ちりてしょしょ)
        ※並木のサルスベリは真っ赤な花から始まり、白
         が次に、一番多いピンクが咲き誇る頃に、紫が
         かったピンクが後を追う。他所でもこの順番な
         のだろうか。7月上旬からの長い花期が終わる
         頃、今日は処暑、24節気の一つ。確かに涼し
         い朝だ。

8/22thu
夏越えた 派遣工夫の なで肩よ
     (なつこえた はけんこうふの なでがたよ)
        ※建設現場に人を送り込む会社の宿舎がある。一
         昔前までは様々に呼ばれたが、数が減っている。
         しかしニーズは今でもあるのだろう。出稼ぎと
         いう言葉は死語ではない。

8/20tue
童顔の 白髪の釣り師 日の盛り
     (どうがんの しらがのつりし ひのさかり)
        ※小櫃堰湖は盆休みが過ぎ、地元の釣り客のみと
         なった。しかも多くの人が「毎日が日曜日族」
         のよう。釣果が殆どないところは変わりがない。

8/19mon
贔屓みな 土持ち帰る 残暑かな
     (ひいきみな つちもちかえる ざんしょかな)
        ※甲子園準々決勝4試合は奇しくも東日本勢と西
         日本勢の対戦となった。こうなると、4勝0敗
         で全部いただきかな、などと東に肩入れしてし
         まう。しかしいただいたのは甲子園の土だった。
         4試合とも。

8/18sun
鼻歌や 安きメロンを 胸に抱き
     (はなうたや やすきめろんを むねにだき)
        ※メキシコ産のマスク風メロンを買ってきた。前
         回そのおいしさにびっくりしたヤツだ。しかも
         値段は大ぶりでニーキュッパ、298円とか。
         このコスパからすれば、自家スイカを大きく凌
         ぐ。人工受粉のためのガソリン代もいらないし。

8/17sat
油蝉 崩れきそうな 山の道
     (あぶらぜみ くずれきそうな やまのみち)

鳴き止みて 蝉のつくりし 静寂かな
     (なきやみて せみのつくりし しじまかな)
        ※お盆を過ぎると夏休みは第4コーナーをまわっ
         て、残すは直線100mのみ。東北の小中学校
         の夏休みは8月20日すぎで終わりだった。大
         人のお盆が過ぎると、気持ちの上ではもう休み
         ではなかった。今を盛りと鳴くセミたちにも妙
         な連帯意識があったものだ。今でもそんな気分
         が少し残っている。

8/16fri
夕立の 一部始終見る 雨宿り
     (ゆうだちの いちぶしじゅうみる あまやどり)
        ※このところ毎日夕立やにわか雨がある。散歩の
         途中で降り出し急に大降りになり、慌てて橋の
         下に駆け込んだ。実は降ったらアソコで雨宿り
         と当て込んでいたのだ。おかげで20分ほど激
         しい雨を見、ゆっくり音を聞いていた。
         街並みには雨宿りに適した場所が意外と少ない。

8/15thu
遠き夏 土蔵の中の 眠りかな
     (とおきなつ どぞうのなかの ねむりかな)
        ※8月15日なのに、今朝の通りは居住まいもゆ
         るやかで、連日の暑さにやや呆けた感じ。人も
         クルマも通りには少ない。
         遊び疲れて家に帰るなり、涼しい土蔵で眠った
         ままだったとか。今に起きるだろうと、夕食に
         も起こさなかったと母親は言った。記憶に残る
         長い昼寝の記録だ。「日本の一番長い日」。

8/14wed
亡き義姉の 安否問う人 月見草
     (なきあねの あんぴとうひと つきみそう) 

盆踊り アイサツ終わるを 待つ子かな
     (ぼんおどり あいさつおわるを まつこかな)
        ※町内会ごとの盆踊り大会。地域の活性化が言わ
         れて久しいが、どっこい盆踊りは生きている。
         主役は子供たち。長いアイサツNG、福引大会
         ベリーグッド。

8/13tue
盆の入り 坂の上なる 白き雲
     (ぼんのいり さかのうえなる しろきくも)

炎熱に けぶる家並や 盆の入り
     (えんねつに けぶるやなみや ぼんのいり)
        ※我が家に帰ってくる仏様はいないはずだが、ア
         ノ白い雲は客人か? ここ2日ほどにわか雨が
         あり、焼けた地面から土煙のような、水蒸気の
         ようなものが立ち込めた。迎え火も見えないか
         も・・・。

8/12mon
新盆の 読経涼しや 寺の風
     (にいぼんの どきょうすずしや てらのかぜ)

新盆や 廿日待ちいし 湿りかな
     (にいぼんや はつかまちいし しめりかな)
        ※家人の兄姉と義兄3人の新盆の法要があり、会
         食をした。その時に黒い雨雲が来たと思ったら
        、突然雨が来た。しっかりした雨になった。7月
         下旬以来のお湿りである。誰もがホーッとして
         料亭の大きなガラス戸に見入った。
         故人3人からはなにくれと「もらいもの」する
         ことが多かった。この雨もそうか・・・。

8/10sat
端居して 流れるニュースの 瀬音かな
     (はしいして ながれるにゅーすの せおとかな)
        ※8月のテレビや新聞は毎年のように終戦特集が
         多い。またかと思う内容もあるが、新鮮に考え
         させられるニュースや番組もある。自分の年齢
         である、戦後74年にしてである。

8/9fri
水張りて 八月の空を 染め上げる
     (みずはりて はちがつのそらを そめあげる)
        ※水彩画特有の画法が画用紙に水を張り、それが
         乾かないうちに色をのせる。自然な形が出来、
         地の白色との境界はぼかされる。また色を微妙
         に変えることでグラデーションも可能だ。ウェ
         ット・オン・ウェットwet on wetと言うらしい。
         口で説明するのは簡単だが、この画法を駆使す
         るには相当な訓練が必要のようだ。
         真っ青な空に、もくもくと白い雲が湧き上がる
         ・・・8月の空を自在に表現できる日は遠い。

8/8thu
立秋や わらうしかない 暑さかな
     (りっしゅうや わらうしかない あつさかな)
    
甲子園 朝ドラなつに めぐり会い
     (こうしえん あさどらなつに めぐりあい)
        ※高校野球放送のハザマに主役のなつに出会った。
         可愛さと顔の部品の良品揃いで、女優としては
         表情が乏しくなるかなァ?と思ったのだが、果
         たしてその通りの印象を受けた。まあ、1,2
         回の視聴での印象だが・・・。

8/7wed
インゲンの 微かなにおい 夏の夕
     (いんげんの かすかなにおい なつのゆう)
        ※インゲンのおひたしが好き。しょうが風味のシ
         ンプルなやつ。茹でているときのほのかな香り
         で、もう分かってしまう。

8/6tue
原爆忌 シラサギとただ 蝉しぐれ
     (げんばくき しらさぎとただ せみしぐれ)
        ※74回目の広島原爆忌

8/5mon
線香を やり過ごす蚊や 朝に刺す
     (せんこうを やりすごすかや  あさにさす)
        ※一週間続いた熱帯夜が昨夜に途絶えた。熱い夜
         と蚊の襲来が重なると間違いなく睡眠不足にな
         る。蚊取り線香を焚いて万全を期したつもりで
         も、敵は鴨居のカゲやカーテンのテッペンにじ
         ーっと耐え忍び、しらじらとした頃になって元
         気に攻撃を始める。昔の蚊帳を思い出して、ぷ
         っくりした皮膚を掻く。

8/4sun
坂道や 格子戸の音と 桔梗かな
     (さかみちや こうしどのおとと ききょうかな)
        ※暑い部屋で根岸の里の子規庵を思い浮かべた。
         鶯谷駅徒歩5分、暑い最中に訪問したことはな
         い。
         こんな暑い日があったんだろうか?「ノボさん、
         大丈夫すか?」と声をかけて、我が家産のスイ
         カを差し入れたい。

8/3sat
稲穂波 薄き雲影が 行くごとし
     (いなほなみ うすきくもかげが いくごとし)
        ※日中の猛暑続きをテレビが「災害並」と伝えた。
         朝の散歩もサマータイム1時間半で凌いでいる。
         稲穂の実は7、8月で成長するという。今年の
         8月は挽回の時であり、肝腎な時なのだ。

8/2fri
目を合わせ 並びとどまる 燕の子
     (めをあわせ ならびとどまる つばめのこ)

初飛びは 同じ所へ 燕の子
     (はつとびは おなじところへ つばめのこ)
        ※最近の家はツバメにとって巣を作りにくい上に、
         敬遠する家庭も多い。ところが新築の家の夫婦
         が玄関でそっと上を眺めていた。ツバメの巣だ
         った。小さな女の姉妹がいるからハハンと思っ
         た。この家のツバメの子も巣立ったようだ。

8/1thu
梅雨明けや タンクの群れの 黒き影
     (つゆあけの たんくのむれの くろきかげ)

片影で タンクナンバーの 意味を聞く
     (かたかげで たんくなんばーの いみをきく)
        ※4、5年前の梅雨明け直後の季節に、福島県の
         被災地見学と東電福島第一原発を見てまわるツ
         アーに参加した。汚染水を入れた無数のタンク
         が今も増え続けていることがやりきれなかった。
         午後の傾いた日差しでタンクとその影が真っ黒
         に。言葉を失うとはこのことか?
         今回東電は第二原発を併せ、10基の廃炉を決
         めた。道のりの遠さを思った。



       ********************


7/31wed
黒人も 東欧もメダル 夏光州
     (こくじんも とうおうもめだる なつこうしゅう)
        ※世界水泳選手権が終わった。印象に残ったのは、
         黒人勢とハンガリーなど旧東欧勢の台頭だ。長
         いこと様々な理由で、水泳というスポーツが一
         般的ではなかったのが、自然体で取り払われた
         ことによるらしい。

長雨に 耐え我がスイカ 甘露なり
     (ながあめに たえわがすいか かんろなり)
        ※クソ暑い日が続いてはいるが、長い梅雨で日差
         しもない日が記録的に連続したのにである。
         苗を2本だけ植える恒例のスイカ栽培。まあ、
         というか最高に成功の部類だ。ラグビーボール
         型の、まず2個が真っ赤でうまかった。
         受粉をしに通った家内の努力賞でもある。

7/30tue
梅雨明けや 木々が待ちいし 消毒を
     (つゆあけや きぎがまちいし しょうどくを)
        ※梅雨の最後半が蒸し暑いまま梅雨明け。猛烈な
         暑さが加わった。いきなりだから生存ぎりぎり
         ? 畑も庭も植物たちは消毒を欲しがっている
         ように見える・・・サボれない。

7/29mon
熱闘の チームは散りて 土用かな
     (ねっとうの ちーむはちりて どようかな)
        ※夏の高校野球県予選。ヒイキの木更津総合は準
         決で敗退、4年連続の甲子園出場の夢は潰えた。
         この夏は気楽に眺められそう。

熱低と なりて頼れぬ 副え木無事
     (ねっていと なりてたよれぬ そえぎぶじ)

7/28sun
シニアあり 飼犬を木陰に 梅雨晴れ間
     (しにああり かいいぬをこかげに つゆはれま)

梅雨明けや 猛者が似合わぬ 犬を曳き
     (つゆあけや もさがにあわぬ いぬをひき)
        ※短命の台風6号が過ぎ去り、晴れ間が広がる。
         これはきっと梅雨明けかな? じっとりと汗が
         にじむ、蒸し暑さ。待ちかねた木々の消毒に精
         を出す。

7/27sat
釣りボート 船跡広がりて 夏の色
     (つりぼーと ふなあとひろがりて なつのいろ)
        ※近くの小櫃堰貯水池に若い釣り人がボートを繰
         り出している。一人乗り、バッテリー付きのス
         クリューで動く。様々な形がある。
         長い雨で水面はいつも濁っていたが、今朝はき
         れいに。台風がやってくるようだが・・・。

7/25thu
八月の あの雲のごと 梅雨晴れ間
     (はちがつの あのくものごと つゆはれま)
        ※関東の梅雨明けはおあずけ。朝から暑い。青空
         にもくもくと白い雲が・・・、テレビの8月終
         戦記念特番に決まって登場する「あの日の暑い
         一日」のシンボルだ。
         梅雨も好きではないが、クソ暑い猛暑もねえ・
         ・・。

サルスベリ 咲いて去る梅雨の 餞けに
     (さすすべり さいてさるつゆの はなむけに)

7/24wed
ここまでと 泥流のあと 戻り梅雨
     (ここまでと でいりゅうのあと もどりづゆ)
        ※当地でも近くの小櫃川が梅雨時や台風襲来時に
         氾濫したという。現在ある小櫃堰が出来る前の
         ことだ。その名残りが農家の壁に残る泥流の跡
         だったり、今も倉庫に吊るされている非常用の
         舟だ。

梅雨という 他に季語なきや 曇り空
     (つゆという ほかにきごなきや くもりぞら)
        ※こうも「充実した梅雨」だと、湿度に蒸された
         軽い頭は一種思考停止に近い症状を呈する。に
         わか雨が突如強雨となり、雷鳴が襲う。梅雨明
         けを間近に丹念な仕上げをしている。

7/22mon
グラジオラス 真紅の紅に なりそうな
     (ぐらじおらす しんくのべにに なりそうな)
        ※いろんな色がある中に、こんなにも真っ赤な赤
         はなかったと言ったら、「前からあった」と。
         「いや、ずうっと前のグラジオラスにはなかっ
         た」、「ずうっとって、どれぐらい前のことよ
         ?」かなりあどけないけれど、答えはまだない。

7/21sun
命日を 違える不孝 沙羅の花
     (めいにちを たがえるふこう しゃらのはな)
        ※日差しのない曇り日が続いている。蒸し暑い。
         モモの収穫の頃だが、今年は裏年、実が少ない。
         見事な桃を仏前にというわけにもいかない。

7/19fri
農薬を 撒き忘れた田や 青田風
     (のうやくを まきわすれたたや あおたかぜ)
        ※今水田に人を見かけることは少ない。その中に
         盛大に「雑草を育てて」いる田があった!? 農
         薬の効果とはこんなにも、と教えてくれる。昔
         は働き手が腰をかがめ、雑草を抜いていた。夏
         場の仕事で最も辛い仕事だったろう。今この田
         の草はほったらかしだ。(それとも、この田だ
         け飼料用米で、除草農薬を控えているのだろう
         か?我々は農薬OK? これも恐ろしい話だが)

7/18thu
朝顔の 日差し忘れて 細き蔓
     (あさがおの ひざしわすれて ほそきつる)
        ※梅雨の晴れ間も半日ほどで長続きしない。花も
         野菜も日光を忘れてしまうのでは。

7/16tue
プロの手に 曲がったキュウリや 長き梅雨
     (ぷろのてに まがったきゅうりや ながきつゆ)
        ※日照時間の少なさが記録破りのレベルに。生活
         に経済に深刻な影響が・・・報道が続く。これ
         ばっかりはお任せするしかない。

7/15mon
脂なし 口は臭わず 老いの梅雨
     (あぶらなし くちはにおわず おいのつゆ)
        ※時として自分の老いを強く感じる。心持ちや好
         奇心などが前向きな時に限って、外見や運動能
         力など加齢の足音が非日常的に揺す振りをかけ
         てくる。カウンターだからこれが効くのだ。
         「ハハーン、またか・・・」、自虐的に半ば笑
         顔で受け入れるのだが、もとより余裕はない。
         ひたいの脂はこの前まで「売る」ほどあったの
         だが。歯槽膿漏は60歳台後半で縁を切って以
         来無菌無臭。

7/14sun
梅雨空や 太鼓を据えて ひとたたき
     (つゆぞらや たいこをすえて ひとたたき)

団扇持ち エースの肩に ざわめけり
     (うちわもち えーすのかたに ざわめけり)
        ※夏の高校野球県予選が始まっている。雨模様の
         天気が続き、中断あり、思わぬ選手の故障あり、
         どのチームも応援団は苦戦している。

7/13sat
アジサイや 髪結いの亭主の 知らん顔
     (あじさいや かみゆいのていしゅの しらんかお)
        ※散歩道沿いに小さな美容院がある。そこの広め
         の駐車場には「犬の・・おことわり」の立札が
         二つもあある。朝旦那さんらしい人がいた。過
         去に一二度失敬したことがあるので、私も犬も
         うしろめたさもあり、軽く会釈をした。彼はそ
         れを冷たく無視した。愛犬家はイケスカナイと
         思っているのだろう。きっと。

7/12fri
梅雨明けず 工夫の肩に 赤トンボ
     (つゆあけず こうふのかたに あかとんぼ)
        ※小雨の中道路工事をしている人の肩に赤とんぼ
         がとまっていた。昨日のオハグロトンボといい、
         今日の赤トンボ、梅雨明けが近いのか? それ
         とも何かいいことの前兆か?

7/11thu
梅雨の夕 オハグロ低く 家路かな
     (つゆのゆう おはぐろひくく いえじかな)
        ※梅雨の晴れ間も2日とは持たない。今日は朝の
         日差しも次第に弱く、午後には今にも降り出す
         ような雲に覆われた。ハグロトンボ(羽黒蜻蛉)
         はどうしても梅雨明け後暑い日の木陰の印象。
         今シーズン初お目見え。

7/10wed
どの家も 紫陽花ムクゲ タチアオイ
     (どのいえも あじさいむくげ たちあおい)
        ※朝から久しぶりの晴れ間。しっかりした日差し
         はほぼ10日ぶりかな? それで、この駄句。
         小学生の作のよう? この季節、散歩道沿いの
         家々にはなじみの深い花が咲いている。ムクゲ
         とくれば畑にはオクラの花が。
         ついでにダクをもう一つ。

カンナ咲く 同じ色した 橋近く
     (かんなさく おなじいろした はしちかく)

7/8mon
緑陰に エレクトーン鳴るか 皺の手よ
     (りょくいんに えれくとーんなるか しわのてよ)
        ※昔のエレクトーンを引っ張り出し、机のすぐ横
         にセットしてみた。教則本の類は見つからない。
         古い挫折に対してリベンジなんて露ほども思わ
         ないが、鍵盤を押せば音が出るゥ。少しも狂っ
         ていないようだ。
         指も動くよ。やっぱり才能あるのかな・・・。

7/7sun
梅雨寒や 犬の病の 癒えざる日
     (つゆざむや いぬのやまいの いえざるひ)
        ※今日も朝からどんより曇り、時々雨。こんな日
         がまだ続くようだ。義兄の納骨で近くの寺まで
         出かける。晴れ男がいなくなって肌寒いほど。
         我が家の犬8歳は抗生物質服用で一週間がたつ。
         目の下の腫れも大分おさまったが、元通りには
         遠い。やっぱり歯槽膿漏だろうか?

7/6sat
しなやかに 山男の筆や 白むくげ
     (しなやかに やまおとこのふでや しろむくげ)
        ※胃の手術を受けた友人に会った。一時的にせよ
         痩せて弱っているかと思ったが、久しぶりに見
         た印象はかえって健康的に見えたからびっくり。
         過剰なものが削ぎ落とされて、すっきりした感
         じ。一安心。ビールで乾杯。
         アレコレとやりたいものは一向に削ぎ落とされ
         ていないようだ。書道を何年か前から師匠につ
         いているとか、彼のガラには合わないけれど、
         そこがまたいいなァ・・・。

7/4thu
破れ家に 軒より低き 桐の花
     (やぶれやに のきよりひくき きりのはな)
        ※九州南部や四国では豪雨が深刻な状況に。当地
         も朝から強い風を伴った雨が続く。

7/2tue
なければと 免許の話 半夏生
     (なければと めんきょのはなし はんげしょう)
        ※高齢者の運転免許返上の話題。地方のシニア仲
         間は「生活が成り立たない」の意見が圧倒的。
         都内のようにバスなど交通手段の支援施策もな
         いし、それ以前に交通手段が少ないから。
         でも、「白タク容認」の下では現実的提案があ
         りそうな気もする。

7/1mon
図書館の 返却口に 桔梗濃き
     (としょかんの へんきゃくぐちに ききょうこき)

読書室 静謐涼し 白い服
     (どくしょしつ せいひつすずし しろいふく)
        ※家内のクルマで図書館に行き、3、4時間後再
         びクルマに拾ってもらって帰る。これって図書
         館をデイケアに使っているのでは?と疑われか
         ねない。否定はできない。だけど昼ご飯や入浴
         はないからね。
         午前中早くの図書館はシーンとしてて至福の時
         間。ワクワクしてしまって落ち着かない。


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ダクタク句集2019年(令和1年)上期 自選集 [自選集2019]

6/30sun
梅雨の上り 待つ人ひとり 無人駅
     (つゆののぼり まつひとひとり むじんえき)
        ※台風は思った程でないまま過ぎ去ったが、梅雨
         の強嵐が吹きまくっている。犬の右目下に水泡
         が出来、一段とふくれてしまった。原因は目の
         病気、歯槽膿漏・・・等々? この一週間念入
         りに歯磨きをしたりケアをしてきたが、どうに
         も好転しない。庭の木々が大きく揺れるのを見
         ながら、明日の病院行きを決める。

6/29sat
大阪に 笑みと矢玉が 梅雨いくさ
     (おおさかに えみとやだまが つゆいくさ)
        ※何ひとつ方向付けが出せそうにないG20。参
         加することに意義もあろうが・・・。

良ければと 置かれた皿に 梅雨の雨
     (よければと おかれたさらに つゆのあめ)
        ※「良ければどうぞ」と書かれた札とともに多く
         の皿や湯呑などが閉店した商店の前に並べられ
         ている。

6/28fri
麻のれん 居酒屋さがす 神田かな
     (あさのれん いざかやさがす かんだかな)
        ※6/20都内散歩の続き
         神保町、駿河台下から靖国通りを神田駅方面目
         指して歩く。20回以上続く会が始まったのは
         7年前の神田駅ガード下の居酒屋でだった。
         「聖地」とも言える、その店の周辺を再訪した。
         しかし、店は容易には見つからない。場所の勘
         違い?倒産閉店?・・・。

麗しき ネパールの女や 梅雨の宴
     (うるわしき ねぱーるのひとや つゆのえん)
        ※結局その居酒屋は見つからなかった。とある居
         酒屋で今日の打ち上げ。とどこおりはない。

スマホ見せ 優しき孫を 暑気払い
     (すまほみせ やさしきまごを しょきばらい) 

薄くても サワー楽しき サクランボ
     (うすくても さわーたのしき さくらんぼ)

6/27thu
猫の碑や あじさいの陰に 佇めり
     (ねこのひや あじさいのかげに たたずめり)
        ※6/20都内散歩の続き
         山の上ホテル裏手の急坂が錦華坂。坂下には区
         立お茶の水小学校がある。ここには1873年
         創立の錦華小学校があったという。公立の小学
         校では最も古い学校の一つ。その1期生の一人
         が夏目漱石だ。
夏帽子 すずらん通りを 左側
     (なつぼうし すずらんどおりを ひだりがわ)
        ※神保町の古書店街のひとつ南側の通り。古いカ
         フェとか凝った専門店などがあった。その昔夏
         休みの半分ほどをバイトに費やし、この通りの
         店で高価な楽器を買った。帰りの巣鴨に向かう
         都電な中でいかに意気揚々としていたか。

6/26wed
阿久悠の 記念館涼し 梅雨晴れ間
     (あくゆうの きねんかんすずし つゆはれま)
        ※6/20都内散歩の続き
         明大本部(駿河台キャンパス)の明大博物館に
         寄る。刑罰に関する学説と資料展示がご自慢。
         阿久悠の記念館が併設されている。彼の写真と
         詩が入場者を迎える。いい先輩をもったものだ。
            「夢は砕けて夢と知り、
             愛は破れて愛と知り、
             時は流れて時と知り、
             友は別れて友と知り」

アレは梅雨 密会の地は 山の上
     (あれはつゆ みっかいのちは やまのうえ)
        ※山の上ホテルは改修中。昔懐かしい本館の建物
         は温存されている。

6/25tue
南風や 聖橋への 下り道
     (なんぷうや ひじりばしへの くだりみち)
        ※6/20都内散歩の続き
         湯島聖堂孔子廟の横、聖橋への下り道は快適。
         かつてランドマークだったに違いないニコライ
         堂の美しいドームが見える。

ニコライ堂 薫風受けて 僧二人
     (にこらいどう くんぷううけて そうふたり)
        ※「東京復活大聖堂教会」が正式名称とか。建物
         は国の重要文化財。1891年(明治27)建
         立、関東大震災で倒壊したが、その後再建。

6/24mon
明神の 小暗き裏手に 辿りつき
     (みょうじんの おぐらきうらてに たどりつき)
        ※6/20都内散歩の続き
         秋葉原から蔵前通りを上り、本郷三丁目近くで
         さすがに来過ぎに気づき、引き返して神田明神
         の裏手から石段を登る。すでに茅の輪が設置さ
         れて、夏越しの祓えも近い。帰宅して調べると
         どの神社も「茅の輪くぐり」は6月末までとし、
         夏越しの祓えも6月晦日だけでなく受け付ける
         とか。この日の参拝客にだれもくぐった人はな
         く、我々も茅の輪の横を歩いてきたのだが。

境内は 夏越し近くの 準備かな
     (けいだいは なごしちかくの じゅんびかな)
        ※「銭形平次」と大書した碑がある。野村胡堂の
         「銭形平次捕物控」の記念碑。 同じ神田では
         「半七捕物帳」(岡本綺堂)もあったなァ。
         前回3月の本所散策では「鬼平犯科帳」(池波
         正太郎)平蔵ゆかり?の地があった。

6/23sun
雑多なる 駅に手を振る 二人あり
     (ざったなる えきにてをふる ふたりあり)

夏至近く 秋葉原もまた ルツボかな
     (げしちかく あきはばらもまた るつぼかな)
        ※6/20木曜日の梅雨の晴れ間に、いつもの友人と
         三人で神田界隈を散歩した。前回と同じく秋葉
         原駅での待ち合わせ。電気店街の印象からすれ
         ば、ここは今や無国籍、多目的。メイドカフェ
         で売り、インバウンドが殺到している。耳を澄
         ますと様々な言葉が聞こえ、なによりエネルギ
         ーに溢れている。

6/22sat
レーダーを 見て傘を持ち 梅雨の朝
     (れーだーを みてかさをもち つゆのあさ)

雨雲や 妻はスイカの 受粉しに
     (あまぐもや つまはすいかの じゅふんしに)
        ※スイカの雄しべの花粉はデリケートだ。量が少
         ないし少しの雨にも流れてしまう。なるべく新
         鮮なうちに、雌しべに届けなければならない。
         早朝あやしい雲行きの場合には雨雲レーダーを
         チェックする。

6/21fri
酢の物を 徐々に好みて 古希を越え
     (すのものを じょじょにこのみて こきをこえ)
        ※古希を迎えるまでの10~15年間で食生活の
         基本が変わった。人後に落ちない生活習慣病、
         過剰な体重と問題を抱えながらも、それまでは
         なんにも対策らしきことは出来なかった。それ
         が、この年代を迎えると「かなり劇的に対策が
         身に付いた」のだ。野菜を食べる、特にキャベ
         ツは減量狙いで毎食一定量摂取する。運動する。
         その結果としてついてきたのは、「野菜好き」
         と「酢の物好き」と「減量成功」だった。
         実は古希を越えて久しいが、今では対策として
         の意識はなく、好みとして続いている。自分の
         体質は変わったのだ、とひそかに信じている。
         だからどうしたと言われれば、それだけのこと
         だが・・・。

6/19wed
梅雨の日や 形見となりし 長靴を
     (つゆのひや かたみとなりし ながぐつを)
        ※義兄の殆ど新品の長靴が届いた。故人の最後は
         左足一本だったが、これはちゃんと両足分ある。
         ありがたく使わせてもらうことにする。

6/18tue
紫陽花や 病の友に 歩を合わせ
     (あじさいや やまいのともに ほをあわせ)
        ※術後の友人を上野の山に連れ出した。まだ治療
        の山があるというが、元気そうで健啖ぶりにはホ
        ッとさせられた。

6/16sun
シンタマの 酢漬けに眼 覚めにけり
     (しんたまの すづけにまなこ さめにけり)
        ※6月に入ってからの雨の日に、富士山は降雪が
         あったというが、雨上がりの西空に真っ白な帽
         子をかぶった富士がきれいに見える。
         昨日の朝首輪をした犬と遭遇、我が家の犬に警
         戒して引き返し、自動車道の方にもどっていっ
         た。大丈夫かなと思った矢先に道路に飛び出し、
         轢かれて死んだ。アッという間の出来事。富士
         山に向かって、成仏を祈った。

6/15sat
木道に 車椅子の笑み 菖蒲園
     (もくどうに くるまいすのえみ しょうぶえん)
        ※菖蒲畑には木道が設えてあり、近くの施設から
         らしい車椅子が何台もゆっくり通る。本人も介
         添人もニッコリ、緩んでいる。スケッチの方は
         連敗脱出というまではいかず。少し前進、殆ど
         停滞、というところ。急ぐまい。
         8日には花菖蒲まつりがあって、茜襷(あかね
         だすき)に菅の笠(すげのかさ)の女性たちが
         菖蒲の花摘みをしたとか。

6/14fri
梅雨晴れ間 黒き土から 白きイモ
     (つゆはれま くろきつちから しろきいも)
        ※貴重な晴れ間にジャガイモを掘り出す。新しい
         品種とて家人は楽しみにしていた。まあまあの
         出来だ。

梅雨晴れ間 庭木を鋏む プロの音
     (つゆはれま にわきをはさむ ぷろのおと)
        ※西日本から嵐が近づいているらしい。気温が高
         く、ムシムシしている。今日は教室の仲間と袖
         ヶ浦公園の菖蒲園にスケッチに出かける。この
         季節の恒例としているのだが、絵の成績はひど
         く自己評価で実に3連敗中である。
         きれいなものをきれいに描くのはホントに難し
         い。今年は?

6/12wed
チャンドラー 分厚き本と 梅雨ごもり
     (ちゃんどらー ぶあつきほんと つゆごもり)
        ※梅雨らしい雨降りが続く。きらいな方ではない。
         家の中にこもって好きなことをシコシコしてい 
         ても、天候と薄暗い光がそれを許してくれそう
         な気がする。家人から何かいいつかることもな
         い。要するに曇天は天国である。

6/11tue
外れ年 モモを思いやる 梅雨の朝
     (はずれどし ももをおもいやる つゆのあさ)
        ※一昨日からの雨で庭の緑が一段と濃くなった。
         それにしても元気印の我が家のモモ、今年は
         「外れ年」のよう。去年は実の間引きを何度も
         重ねたが、それでも一本で150個ほどが収穫
         できた。今年はその1/5以下か? 外れ年と
         いう形容は良くない。有給休暇。充電の年か。

6/10mon
走り梅雨 シニアスマホ手に 疾走す
     (はしりづゆ しにあすまほてに しっそうす)
        ※見ただけでも寒気が。我が家の妻も運転中のス
         マホこそしないが、スピードはなかなかのもの。
         「スピードを出すな」も「危ないから」は効き
         目がない。「ガソリンを食うから」の方がいい
         みたい。なるほど、女のほうが合理的?

朝露や ぶどうの蔓の 朝の伸び
     (あさつゆや ぶどうのつるの あさののび)

6/9sun
梅雨入るも 岬の道は 晴れ上がり
     (つゆいるも みさきのみちは はれあがり)
        ※公民館の催しで「野山歩き会」があった。今回
         は内房南部にある大房岬(だいぶさみさき)を
         回遊する。地元の小学校の運動会と重なり参加
         者が目減りしたため、会講師のY氏から参加を
         懇請された。市の無料バスを利用するためには
         利用者の数が多いことが条件になるからだ。
         目標の岬の半島を遥かに眺める海岸から歩き始
         める。心配された天気は回復し、雲間から日差
         しがふり注ぐ。

杉落葉 山路を下りて 海光る
     (すぎおちば やまじをおりて うみひかる)
        ※この岬は内房の海に突き出た緑豊かな半島で、
         少年自然の家を始め、各種の施設と遊歩道があ
         る。なにより周囲に広がる海岸美が素晴らしい。
         倉本聰のテレビドラマ「やすらぎの郷」で海と
         海岸のロケに使われているとか。
         半島の標高はさして高くないが、展望台に登っ
         たかと思うと波打ち際まで下りてみたり、たち
         まち体力を消耗する。

砲台の 新緑染みて 謂れ聴く
     (ほうだいの しんりょくしみて いわれきく)
        ※太平洋戦争に準備された砲台跡がいくつかある。
         東京湾口で敵艦の進入を防ぐため、横須賀の三
         浦半島と内房沿いの各地に砲台が建設された。
         結局は使用されなかったもの。
         当時は海に向けて樹木は切り払われたのだろう
         が、今では伸びて様変わり、鬱蒼としている。

6/7fri
エンドウの 実を山ほどに 斃れけり
     (えんどうの みをやまほどに たおれけり)

菜種ごと 鋤き込まれてぞ 夏来る
     (なたねごと すきこまれてぞ なつきたる)
        ※春の菜の花は花が終わって種ができると、その
         まま畑に機械で鋤き込まれる。土壌の養分が増
         すのだろうが、「チリカ」窒素燐酸カリ「はみ
         ね」葉実根・・・肥料としてどんな効果がある
         のだろう?

6/5wed
脚を撫で 紫陽花を見る 路地の家
     (あしをなで あじさいをみる ろじのいえ)
        ※前年末に亡くなった家人の姉の連れ合いが亡く
         なった。本来は頑健な身体の持ち主だったが、
         最後の10年ほどは様々な病気に罹り、家を離
         れ痛みと不自由の暮らしだった。糖尿病で2年
         ほど前に下肢を切断したが、義足にして心機一
         転と思っていただけに残念。合掌。

6/4tue
ゴイサギの 身じろぎもせず 青田風
     (ごいさぎの みじろぎもせず あおたかぜ)

迂回せり チガヤの果てに 霞む道 
     (うかいせり ちがやのはてに かすむみち)
        ※昨日のことである。薄曇りの一日で、半袖にそ
         よ風がぴったり、本当に心地良かった。体調も
         あろうが、こんなに気持ちの良い日は年に何日
         もない。十日間も続けば、もう天国だァ。

6/3mon
泰山木 切り花届く その白き
     (たいさんぼく きりばなとどく そのしろき)
        ※泰山木が好きだ。25年ほど前5月下旬に母が
         亡くなった時、北九州から急ぎ帰る朝に目にし
         たのが契機。この季節になると家人の友人の旦
         那様が、枝ごと花をいくつか切って届けて下さ
         る。キリッとした柑橘系の良い香りがする。

6/2sun
髪鋏み スイカ植えしか オクラはと
     (かみはさみ すいかうえしか おくらはと)
        ※いつも通う理髪店。よそより少し安い。釣り師
         としては県下で名の知れた主人だが、今は畑仕
         事が生きがい。6,7月は日が長く、店が終わ
         った後も畑に通っている。

6/1sat
雀の子 学校今年も 始まれり
     (すずめのこ がっこうことしも はじまれり)
        ※6月、巣立ったばかりの雀の子が兄弟姉妹揃っ
         て飛び回っている。まだ警戒することを知らな
         いで、同級生の後を追い、地面を這い庭の植栽
         の隙間に隠れたり。令和も早一ヶ月が過ぎた。



          **************************


5/31fri
雨上がる 夏服の子らの 声高く
     (あめあがる なつふくのこらの こえたかく)
        ※登校する中学生が夏服になった。見た目も涼し
         そうだし、当人たちの元気も良い。

五月雨や 濡れて乾いて また濡れぬ
     (さみだれや ぬれてかわいて またぬれぬ)
        ※雨雲は去ったはずなのに、こぬか雨のような雨
         が音もなく降ってきた。この程度の雨なら着衣
         が乾くスピードの方が勝っている。

5/30thu
ごみゼロの 朝やシニアの 輝けり
     (ごみぜろの あさやしにあの かがやけり)
        ※5/30は町内会の清掃大会。シニアは側溝の底ま
         で浚い、雑巾をかけたように磨き込む。・・・
         同じシニアでもそれほどしない人も多いが。

落花生 苗は暑さに へこたれず
     (らっかせい なえはあつさに へこたれず)
        ※去年成功した落花生を地植えした。丁寧に黒マ
         ルチを使い、防虫ネットで覆った。敵はアライ
         グマ、キョンなど大物。毅然として接近を予防
         し、侵入したら撃退する覚悟だ。(去年夏アラ
         イグマが2頭捕獲された)

5/28tue
真夏日に ひいきの鳥屋は ヒマならず
     (まなつびに ひいきのとりやは ひまならず)
        ※5月としては異常な真夏日の連続。近所の焼き
         鳥屋は冬場はもちろん、この天候にあっても夕
         方の列は変わらない。冷たいビールと・・・。

5/27mon
一人夜や 紫煙ひとすじ 五月闇
     (ひとりよや しえんひとすじ さつきやみ)
        ※少々暑すぎるけれども、ゆっくり夜を過ごす。
         これも至福の時間。

5/26sun
夏の夜 書かれしものを 探し食う
     (なつのよる かかれしものを さがしくう)
        ※今日は所用で夕方に帰宅。家人は外泊である。
         今晩のメニューと食材の在り処を見て、面倒く
         さいがのろのろと準備する。とはいってもカレ
         ーなのだが。

5/25sat
国賓を 待つ真夏日や 若き顔
     (こくひんを まつまなつびや わかきかお)
        ※令和最初の国賓トランプ米国大統領。最大級の
         警戒体制。当然だろう、日々世界の耳目を驚か
         す人物だ。若い警察官の顔に汗が流れるが、拭
         おうともせず毅然として立っている。

5/24fri
真夏日に 胃を切りし人の タバコ吸う
     (まなつびに いをきりしひとの たばこすう)
        ※意気軒昂なのは良いのだが、無茶はいけないと
         言うも、馬の耳に念仏。病気自体が大事なサイ
         ンだったのだから、これを機に「なにかを我慢
         する」度量もまた人生の味わいでは?

5/22wed 
通学路 白のシランは 絶えにけり
     (つうがくろ しろのしらんは たえにけり)
        ※今中学校の通学路沿いに100メートルほどシ
         ランが見事に咲いている。ところが咲いている
         のは赤紫の花だけだ。数年前白の株を15本ほ
         ど家からここに移植したのだが。増えてくれれ
         ば、の期待も空しく、年々減って今年はついぞ
         見かけない。

5/21tue
青嵐 ホタルブクロを 助けんと
     (あおあらし ほたるぶくろを たすけんと)
        ※朝から強い風雨が続いている。昨日施したノッ
         ポ花の添え木が傾いてしまって、かえって花を
         痛めている。ひどい風雨の最中、わが家人は敢
         然と救出に向かう。

5/20mon
花樗 木陰に傘を たたむ人
     (はなおうち こかげにかさを たたむひと)
        ※教えてもらった木は駅の近くの民家の前。セン
         ダンの木(おうち樗、楝は古名とか)だ。駅ま
         で急いできた人がここで時計を見て、ほっと休
         憩する。駅までは15秒。改札口とか階段はない。
         音を聞いてからでも間に合う。

5/19sun
ぶどう棚 雄々しき蔓を 懐柔し
     (ぶどうだな おおしきつるを かいじゅうし)
        ※ぶどう棚を拡張した。鉄パイプ、ジョイント類
         など材料費が結構かかる。家人は「これでブド
         ウを買った方が確実に満足できるのに」などと
         憎まれ口をたたく。
         奔放に伸びたツルを見極め、棚に導く。誘引と
         いう作業。ブドウのツル、元気はあるが実は折
         れやすい。なだめすかしながら、慎重に行う。

5/17fri
草むしり 耳に晩生の チューリップ
     (くさむしり みみにおくての ちゅーりっぷ)
        ※朝9時過ぎまでと決めて草むしりをしている。
         それ以上はやらないが、雑草の伸びと蔓延りの
         スピードに負けない程度だ。しゃがんだ姿勢で
         庭を見るのは新鮮な驚き。様々な色のバラとラ
         ベンダー、芍薬などがいつもと違った顔を見せ
         る。

5/16thu
時雨るや 京マチ子逝き ドリスデイも
     (しぐるるや きょうまちこゆき どりすでいも)
        ※どちらも90歳を超える高齢で天寿を全うした。
         昭和30年過ぎの中学生時代か、印象はとても
         鮮明だ。京マチ子は普通の女優として憧れるに
         は格が上の存在、勝手に別格だと思っていた。
         後年になっていたく感心した小津安二郎「浮草」
         で、一気に距離が縮まった。
         ドリスデイは、やっぱり同じ頃好きだった江利
         チエミが日本のドリスデイと呼ばれていたこと。
         そして何度か聴いたドリスデイの歌声には抜群
         のリズム感と声の彩りに思わず「すげえ」と洩
         らしたこと、昔々の話である。

5/15wed
五月雨 待ちいし緑の 呼吸の音
     (さつきあめ まちいしみどりの いきのおと)
        ※昨日今日の雨は久しぶり。庭の緑も畑の作物も
         一気に息を吹き返す。花木についたアブラムシ
         は消毒しても退治は難しいが、降雨に叩かれて
         大半が地面に落ちるとも。果実を期待する家人
         は一番雨を待っていた。

5/14tue
山吹や 盛りも子規の 好みかな
     (やまぶきや さかりもしきの このみかな)
        ※山際の家でヤマブキの花を見かけた。野生の花
         の印象が住む人をしのばせる。思い出せなかっ
         た子規の句を帰宅してから調べたら、ヤマブキ
         の散り際、花びらを詠んだものが多かった。

           山吹や 小鮒入れたる 桶に散る
           山吹や 花散りつくす 水の上
           山吹の 流れ去りけり 一しきり

5/13mon
子猫なく うつぎ花咲く 病院に
     (こねこなく うつぎはなさく びょういんに)
        ※近所に開業した犬猫病院が次第に流行ってきた。
         朝から患者?が待っている。当家の犬は幸いに
         して快食快便快眠の3拍子が揃い至って健康、
         今のところ医者要らず。
         先代の犬の後期に始めた、毎日牛乳とキャベツ
         のジクを摂らせること。これが秘訣だと信じて
         いる。それと美食回避、運動励行。
         アレッ、これって自分の日課と同じだ。

5/12sun
時雨るや 謡稽古の 渋く渋く
     (しぐるるや うたいげいこの しぶくしぶく)
        ※デイサービスを兼ねた施設から謡の練習らしい
         声が聞こえる。小雨模様の朝、しっとりとした、
         なにか良い感じ。

5/11sat
夕方は 嫌だといかつい 顔ながら
     (ゆうがたは いやだといかつい かおながら)
        ※一人住まいの同年代の知人がいる。若い頃から
         偉丈夫でならした人で、今もまだ体も挙措も堂
         々としている。一人住まいもなんのその、とは
         いうものの、「日暮れ時はさびしい」と。

5/10fri
ローズマリー 夏日予報の 日の朝
     (ろーずまりー なつびよほうの ひのあした)
        ※草むしりは朝のうちに済ませておこう、などと
         言う季節になった。当地はまだ25度を越える
         最高気温はなかった。ちょうど良い気候には長
         居をして欲しいものだが・・・。

5/8wed
覆うもの 隠すものなく 五月晴れ
     (おおうもの かくすものなく さつきばれ)
        ※快晴。雲ひとつなく、青さが際立っている。全
         てがさらされてしまいそうで、眩しいを通り越
         して何故か後ろめたい感じに近い心象だ。

5/7tue
ノド痛の 友にメールを 葱坊主
     (のどいたの ともにめーるを ねぎぼうず)
        ※10日間の連休が終わった。殆ど関係がないの
         にやれやれ感があるのはどうしてだろう。長年
         の勤め人暮らしの惰性かな?
         長い休みほど、アレもコレもと楽しみに計画し、
         結果はその何分の一も実現せず、休み最終日に
         は深刻な挫折感に苛まれたものだ。オマエ、な
         んのために生きているのか?・・・と。

5/5sun
憧れの エゾエンゴサクに あいまみえ
     (あこがれの えぞえんごさくに あいまみえ)
        ※北海道と東北の一部に自生する、ドラマでおな
         じみの花。群落とはいかないが、こちらで育て
         た人がいた。ははん、これか・・・。初夏の風
         を感じた。

5/4sat
ジョウビタキ 八十八夜に なお呼べり
     (じょうびたき はちじゅうはちやに なおよべり)
        ※渡り鳥とされるジョウビタキが5月に入っても、
         「ピーーィッ」と毎朝呼びかける。名前も知ら
         なかった、野鳥門外漢であるが、今年はこの鳥
         が「留鳥」であることを確認したい。

5/3fri
メールでも 訛りはありて 春の声
     (めーるでも なまりはありて はるのこえ)
        ※胃ガンで手術した古い友人とメールをやり取り
         した。元気な様子で安心した。幼稚園、小学校
         からの仲、大学時代は山岳部の猛者で海外にも
         何度か遠征した。バイカル湖の岸辺で拾ってき
         た石を土産に持ち帰ってくれたっけ。

5/2thu
芍薬の 色が描けぬ 今年また
     (しゃくやくの いろがえがけぬ ことしまた)
        ※絵画教室では「花はキライ」とか言っていられ
         ない。例会の半分ほどが季節の花のスケッチだ。
        「この見事な色が、自分で描けたらこんなところ
         にはいない」、声に出さない愚痴である。

5/1wed
新しき 御代や靴ひも 締めなおし
     (あたらしき みよやくつひも しめなおし)
        ※令和元年の初日。ボン・ボヤージ



          **************************


4/30tue
春惜しむ 平成のにおい 定まらず
     (はるおしむ へいせいのにおい さだまらず)
        ※昭和のにおいが色濃く感じられたのは平成に入
         って10年以上もたったころ。
         「降る雪や明治は遠くなりにけり」 中村草田
         男のこの有名な句は昭和6年作とか。

手をかざし 春に行く御代の まぶしさよ
     (てをかざし はるにいくみよの まぶしさよ)

4/29mon
ハナミズキ 軒先あたりが 暮れ残り
     (はなみずき のきさきあたりが くれのこり)
        ※ヒマ人がテレビを見ていると、年の瀬が押し迫
         ってきた感じになる。「平成最後の〇〇」、食
         傷気味のこの謳い文句ももう少しで地上から消
         える。

4/28sun
霊園が オープンと言い 山笑う
     (れいえんが おーぷんといい やまわらう)
        ※テーマパークやパチンコ屋の開業ではあるまい
         に、霊園がオープンとは・・。考えたらおかし
         くなった。近くの山も笑っている。新芽が吹い
         て山は今新緑初期。日に日に緑が濃くなってい
         く。さて自分のお墓はどうしよう?

4/27sat
春嵐 いやがる犬の 注射しに
     (はるあらし いやがるいぬの ちゅうしゃしに)
        ※夏日近くの気温から一転2月並みの冷たい日に。
         近くの会場をパスしてしまったので、歩いて小
         一時間の会場まで犬を連れて行く。当家のメス
         犬様はクルマを好まない。雨に横殴りの風にと
         ことん難渋した。

4/26fri
野焼きする 煙が走り 鹿が飛ぶ
     (のやきする けむりがはしり しかがとぶ)
        ※風が強くなり山肌を煙が這い登る。いるはずの
         ない鹿が飛び出てきた。中ぐらいの外来種キョ
         ンだ。房総半島に多い害獣。昨年秋には野菜畑
         で、山から迷いでてきたキョンを見た。

4/25thu
蜘蛛の糸 サクラの花軸が 風に舞う
     (くものいと さくらのかじくが かぜにまう)
        ※すっかり葉桜になった並木道に、花軸が宙にい
         くつも揺れている。一部の木々に数え切れない
         ほど・・・。

シャクナゲに 白ミズキ咲き クレマチス
     (しゃくなげに しろみずきさき くれまちす)
        ※クレマチスも白。この時期主役の白い花々が咲
         きそろっている。信濃大町の作家丸山健二の
         「白い庭」を思い浮かべる。彼の庭の主役は
         バラ、シャクヤク、ボタンなど。

4/24wed
ぼそぼそと 術後の友に 春少し
     (ぼそぼそと じゅつごのともに はるすこし)
        ※甲状腺ガンの手術を受けた友人と電話で話す。
         声が出ない。しばらくはリハビリと並行して、
         専門医の経過観察が続くという。回復を祈る。

4/23tue
いざ水田 わが磨ききし 田植え機で
     (いざみずた わがみがききし たうえきで)

女房の 軽トラ苗を 満載し
     (にょうぼうの けいとらなえを まんさいし)
        ※田植えが真っ盛り。当節のこと、たくさんの人
         が集まってということはない。相当な広さであ
         っても、奥さんと二人で機械を操って、淡々と
         行う。

4/21sun
スマホ見せ 愛犬探す 少女あり
     (すまほみせ あいけんさがす しょうじょあり)
        ※今日は統一選後半の投票日。一段と暖かい晴れ
         日。子犬2匹を連れた娘が真剣な眼差しで周囲
         を見回していた。昨日の午後、近くの自宅から
         もう一匹の飼い犬が姿をくらましたとか。

4/20sat
統一選 街に昔日の さざめきが
     (とういつせん まちにせきじつの さざめきが)

石楠花の 向こうを赤の 選挙カー
     (しゃくなげの むこうをあかの せんきょかー)

窓々と ドライバー相手の 選挙戦
     (まどまどと どらいばーあいての せんきょせん)
        ※選挙活動は今日が最後。繁華街とか駅前でも人
         はわずかだ。この問題をどうするかを訴えるよ
         り、とりあえずは人影のない団地に繰り出す。
         人影は少ないが窓がある。窓の奥に人がいる。
         今日は土曜日。通りすがりのクルマもある。

4/18thu
はなずおう 今年五軒の 門の中
     (はなずおう ことしごけんの もんのなか)
        ※我が家のスオウが近所の庭に広がって何年か?
         今年はまた一軒増えた。全て鳥の仕業。草花で
         はなく低木だから時間がかかるのに。

4/17wed
ランドセル パン屋の前で 深呼吸
     (らんどせる ぱんやのまえで しんこきゅう)
        ※一段と大きくなった真新しいランドセル。なに
         もかも新鮮、広い社会への第一歩。

4/15mon
今年また 桜吹雪の 人となり
     (ことしまた さくらふぶきの ひととなり)
        ※嵐にも負けなかったサクラがほんの少しの風に
         散って舞う。堤の並木道でタイミングよく、遠
         山金四郎の桜吹雪を味わう。

散る花や 咲く花もあり 葉かげかな
     (ちるはなや さくはなもあり はかげかな)

4/14sun
人は笑み チューリップ畑の 沼に果つ
     (ひとはえみ ちゅーりっぷばたけの ぬまにはつ)
        ※千葉県佐倉市の「チューリップフェスタ」に出
         かけた。花の種類の多さと印旛沼沿いの園の広
         さにびっくり。小学校毎の畝が並んでいたり、
         掘った花を買うサービスがあったり、催しは多
         彩。快晴の園内は遠くが霞むほどで入園者はみ
         んな至極満足の体だ。
   F190413-0006b.jpg

モネがいる チューリップ畑の 青い空
     (もねがいる ちゅーりっぷばたけの あおいそら)
        ※4/7の句を再掲。
         やっぱりモネの「サッセンハイムのチューリッ
         プ畑」を思い起こした。

4/12fri
校庭を 駐車場にして 入学式
   (こうていを ちゅうしゃじょうにして にゅうがくしき)
        ※雨降り日の入学式。生徒が大事に手入れしてい
         たのを知っていただけに、「なんてバカなこと
         を、校庭がめちゃめちゃになるー」と憤る。し
         っかりと、無音で。

4/11thu
木魚あり 春の法事の 夢うつつ
     (もくぎょあり はるのほうじの ゆめうつつ)
        ※若い住職の読経の声が心地よい。差し込む春の
         日が暖かく、ついコックリしてしまう。

4/10wed
ジョウビタキ 留鳥となれ 春の雲
     (じょうびたき りゅうちょうとなれ はるのくも)
        ※紋付鳥とも呼ばれる尉鶲(ジョウビタキ)は渡
         り鳥で初夏には北方の大陸に帰ると言われる。
         そうかなあ・・・、夏にも、あの鳴き声は頻繁
         に聞いていたと思うのだが。どこかの愛鳥家の
         サイトで「韓国では留鳥とされている」とあっ
         た。よし、自信を持って観察していこう。

4/9tue
花の宴 まだ何度でもと 答えけり
     (はなのえん まだなんどでもと こたえけり)
        ※「今年のサクラも終わり、もう何度見ることが
         出来るかな?」 こういう一見弱気な質問をす
         る人には元気な(過ぎる)人が多い。

4/8mon
トンネルの 出口にサクラ また光り
     (とんねるの でぐちにさくら またひかり)

髭面の 手折れるサクラ 傘の下
     (ひげづらの たおれるさくら かさのした)
        ※近くの中学校のまわりには満開のソメイヨシノ
         に混じって、ヤマザクラと八重桜が追いかける
         ように咲き、鄙にはまれな見事な競艶ぶりだ。
         いや、鄙だからこその、この競艶。

4/7sun
鳶ゆうゆう カラスが後を 春うらら
     (とびゆうゆう からすがあとを はるうらら)
        ※サクラ満開。言うことない日曜日。

モネがいる チューリップ畠の 青い空
     (もねがいる ちゅーりっぷばたけの あおいそら)

4/6sat
トッピング サクラと答え 春朦朧
     (とっぴんぐ さくらとこたえ はるもうろう)
        ※一段と暖かくなり、当地河畔の桜も満開。気分
         が良く、頭も少しおかしくなりそう。

夜桜や 外反母趾の 痛さかな
     (よざくらや がいはんぼしの いたさかな)

4/5fri
つくしんぼ 東伏見の 土を割る
     (つくしんぼ ひがしふしみの つちをわる)
        ※藤島大「北風」を読んだ。早大ラグビー部の練
         習場が東伏見にあった頃、一年生フッカーの目
         を通して、伝統とハードな鍛錬と人間関係を豊
         かに描いている。OBの役割も印象的だ。
         「北風」は第二部歌だとか。学生ナンバー1に
         なった時以外、第一部歌「荒ふる」は封印され
         ている。著者も早大ラガーOB。

4/4thu
アイリスは 咲けど紫紺の 優勝旗
     (あいりすは さけどしこんの ゆうしょうき)
        ※甲子園選抜高校野球決勝戦は習志野(千葉)が
         東邦(愛知)に敗れた。あれよあれよの決勝進
         出で、春の紫紺の優勝旗が初めて千葉にやって
         来るかと期待したが・・・。

4/3wed
厚着して 病院に並ぶ ユキヤナギ
     (あつぎして びょういんにならぶ ゆきやなぎ)
        ※寒気団の襲来で寒さがもどってきている。午前
         8時ころに寒そうな列が出来ている。大半がお
         年寄り。なんとかならないかなァといつも思う。

4/2tue
サクラバナ いささかなりと 嫉妬して
     (さくらばな いささかなりと しっとして)
        ※新元号は万葉集の「梅の花」を愛でる巻の序文
         からとられたという。今朝の、今をときめく当
         地満開のサクラはきれいだったが、さて内心は
         どうであろうか?

4/1mon
新元号 ふーん煙草に 火をつける
     (しんげんごう ふーんたばこに ひをつける)
        ※新元号が「令和」に決まる。



          **************************


3/31sun
春ひばり 姪の息子に 嫁が来る
     (はるひばり めいのむすこに よめがくる)

ムスカリや この粒ほどに 幸多く
     (むすかりや このつぶほどに さちおおく)
        ※夜来の雨があがり、腕白息子最良の日が来た。

3/30sat
金柑を 貰いそこねて 土手の春
     (きんかんを もらいそこねて どてのはる)
        ※朝の散歩で顔見知りのお年寄りとこの冬は会わ
         なかった。この人の畑のそばにキンカンの木が
         何本もある。彼女に断って、そのたわわになっ
         たキンカンを貰おうと思っていた。残念。もう
         遅い。

3/29fri
春の日や 子規に勝れる おらが城
     (はるのひや しきにまされる おらがしろ) 
        ※先日民放TVで「お城総選挙」という番組を
         見た。郷里の会津若松城(鶴ヶ城)が16位で松
         山城よりも上位にきた。大概のランキングとは
         違う結果だ。しかし敬愛する子規に一泡吹かせ
         たようで快哉を叫んだものだ。
         ・・・松山城は三度訪れたが、まっこと良い城、
         一桁も上位に来るのが順当だと思う。
         松山城を本格的に築城したのは賤ヶ岳七本槍の
         一人加藤嘉明。家光の時代に嘉明は加増されて
         会津藩主となった。

3/28thu
花ニラは 清楚の極み 小さきも
     (はなにらは せいそのきわみ ちいさきも)
        ※東京の桜は昨日満開とか。当地は0~3分咲き。
         こんなに差があるのも珍しいのではと思う。家
         の桃の花は満開。散歩ルートでは桜並木の足元
         にひっそり咲く花ニラが主役。

3/27wed
酔いつぶれ 春の飲み屋の ざわめきを
     (よいつぶれ はるののみやの ざわめきを)
        ※都内散歩の会、最後は錦糸町駅前での打ち上げ。
         このところ酔うと気分が悪くなることがある。
         この日もあえなくダウン。居酒屋のざわめきが
         友人の声がとぎれとぎれに・・・。

3/25mon
春宵や 川のきわなる 鍋屋かな
     (しゅんしょうや かわのきわなる なべやかな)
        ※本所と深川の境目に堅川が流れている。その二
         の橋のたもとに軍鶏を食わせる鍋屋「五鉄」が
         あった。平蔵のなじみの店。池波正太郎「鬼平
         犯科帳」での話。今回も本所から錦糸町へ行く
         途中で、すぐ近くを通った。もちろん店はない。

編笠の 平蔵と会う 鍋屋かな
     (あみがさの へいぞうとあう なべやかな)

3/24sun
海舟翁 川の向こうを かけし春
     (かいしゅうおう かわのむこうを かけしはる)
        ※前回赤坂の路地をめぐって勝海舟の屋敷跡を探
         した。当地本所でも海舟ゆかりの地が複数ある。
         まず訪れたのは、吉良邸跡に近い両国公園の中
         の「生誕の地」。立派な記念碑と説明板があっ
         た。次は少し離れて錦糸町駅近くの「揺籃の地」
         と「幼少年時居住の地」だ。NHKのドラマ
         「小吉の女房」で住まいは本所割下水とあった。
         割下水とは雨水などを流す掘割のこと。明暦の
         大火後に整備されたとか。

3/23sat
シニア行く 春の本所は 松坂町
     (しにあいく はるのほんじょは まつざかちょう)
        ※芥川の碑を見て、吉良邸跡に。シニアの足の向
         く先はお決まりのコース。上野介の首を洗った
         という「首洗い井戸」なるものがあった。出来
         過ぎの配置。

洗うべき 春のほこりも なかりけり
     (あらうべき はるのほこりも なかりけり)

3/22fri
春まだき 粋人ありて 腹を切る
     (はるまだき すいじんありて はらをきる)
        ※両国橋を渡ったところに赤穂浪士大高源五の句
         碑がある。「日の恩や 忽ちくだく 厚氷」とあ
         る。立派な句碑だ。雅号は子葉。一流の風流人
         と交流し、吉良邸内偵の役目を担っていたとか。
         句碑の背後には大山巌の巨大な「表忠碑」が立
         っている。赤穂浪士の義挙を称えたのかな? 
         それにしても巨大すぎる。実は日露戦争の戦死
         者を悼んだものであるとか。

回向院 大火と力士 犬と猫
     (えこういん たいかとりきし いぬとねこ)
        ※明暦の大火の死者を供養するために幕府が建立
         したとか。駆け足の印象ではあるが、境内のあ
         ちこちにこの寺の特徴があふれている。力士、
         海難事故の犠牲者、犬猫の供養等々だ。立派な
         本堂は阿弥陀仏と千体地蔵が安置され、お堂の
         左右には犬猫の数知れない卒塔婆が壁にはめ込
         まれ並べてある。ちょっと異様な感じも。
         現代を生きる都会のお寺だなァと感心。

3/21thu
屋形船 女将せわしき 春の夕
     (やかたぶね おかみせわしき はるのゆう)
        ※浅草橋から柳橋にかけての左岸には屋形船や釣
         り船が係留されている。屋形船の料金コースが
         料理の写真と共に貼ってある。2時間30分の
         周遊で料理込み1万円から3万円というところ。

柳橋 古楼はビルに 春の風
     (やなぎばし ころうはびるに はるのかぜ)
        ※柳橋界隈は江戸時代から由緒正しき花街だった
         ところ。隅田川を眺め、柳橋芸者が酌をするお
         座敷遊び、どうにも遠くなってしまったらしい。
         老舗の「亀清楼」はビルとなって閉店中だし、
         柳橋から浅草に向けての通りも見通しがきかず、
         散歩客にはかつての空気を察するよすがもない。

     「お白粉の風薫るなり柳橋」 子規
     「贅沢な人の涼みや柳橋」  子規

水温む 青のかんざしで ぬしに会う
     (みずぬるむ あおのかんざしで ぬしにあう)
        ※柳橋は永代橋を模したデザインの鋼鉄製。昔の
         においはしないが、ガス灯型のライトが吊られ、
         欄干にはかんざしのモチーフが施されている。
         すぐ下流は隅田川。

3/20wed
神田川 北窓開く 岸の家
     (かんだがわ きたまどひらく きしのいえ)

左衛門橋 シニアは春の 帽子かな
     (さえもんばし しにあははるの ぼうしかな)
        ※この会は三人の会。数えること21回、7年目
         に及ぶ。多少の例外はあるが、どの季節も好天
         に恵まれている。今回も晴れて春うらら、下町
         の春は光に溢れている。

橋めぐり トイレを目指す 友の脚
     (はしめぐり といれをめざす とものあし)
        ※橋は河口に向かって、神田ふれあい橋、和泉橋、
         美倉橋、左衛門橋、浅草橋、柳橋と続く。友人
         の脚は前回不調気味に見えたが、今回は快調。
         橋のたもとのトイレにスイスイと向かう。

3/19tue
サクラ待つ おたぬきふれて 歩き初む
     (さくらまつ おたぬきふれて あるきそむ)
        ※先日恒例の都心散歩の会に出かけた。今回は秋
         葉原から神田川沿いに隅田川合流までの橋めぐ
         り。それから両国橋を渡って本所界隈を練り、
         東進して錦糸町まで歩こうというもの。
         秋葉原駅に近い神田川のたもとにある柳森神社
         がスタート地点。ここは「おたぬきさま」を祀
         っている。

3/18mon
兄として どれだけのことを 春疾風
     (あにとして どれだけのことを はるはやて)
        ※弟の命日が来る。満二年。決して順調な生涯で
         はなかっただけに今もじわーと考えている。
         このところ葬式、命日などの記事が多い感あり。
         抹香臭くていけない。もうやーめた。
         もうすぐサクラ開花。

3/16sat
春雨や 盆栽ひとり 傘もなく
     (はるさめや ぼんさいひとり かさもなく)
        ※亡き義兄がくれた松の盆栽が雨に濡れている。
         「春雨じゃ・・・」の風情ではなく、相当弱っ
         ている様子だ。「ダメにするからいらない」と
         言ったのだが。人にものを上げるのが好きな人
         だった。

3/14thu
ふきのとう やや少なきを 惜しみつつ
     (ふきのとう ややすくなきを おしみつつ)
        ※朝早くふきのとうの秘密の場所に出かけた。こ
         のところの暖かさで、殆どが大きくなり過ぎて
         いる。良さそうなのは数えるほど。今シーズン
         はこれが食い納めになりそう。まあ、いいか。
         発ガン物質が含まれるから多食は要注意と友人
         が言っていたっけ。

3/13wed
兄姉を 亡くしことさら 春めぐる
     (きょうだいを なくしことさら はるめぐる)
        ※この冬に兄と姉を亡くした家内はじっとしてい
         る。このところの暖かさで梅の蕾が一気に色づ
         いてきた。

3/12tue
春めくも 大三角の いまだなお
     (はるめくも だいさんかくの いまだなお)
        ※冬の大三角が南東の空に昨夜もバッチリ。冬の
         寒さゆえの見事な自然現象は数知れない。朝夕
         厚着しながら外を歩く楽しみはもう少し。

3/10sun
スマホ見つ 春の野を行く 男あり
     (すまほみつ はるののをいく おとこあり)
        ※昨日関東地方に春一番が吹いたとか。平年より
         かなり遅めらしい。今朝は朝から気温がぐんぐ
         ん上昇している。

3/9sat
技継ぎて 菅生の春に 鋏鳴り
     (わざつぎて すごうのはるに はさみなり)

春寒や 二日酔いして 脚絆卷く
     (はるさむや ふつかよいして きゃはんまく)
        ※他界した義兄は造園業の前社長。とはいえ根っ
         からの職人で、それを誇りにしていた。人が良
         くて優しく、家族をそして酒をこよなく愛した。

3/7thu
なつかしき 顔あり春の 通夜の客
     (なつかしき かおありはるの つやのきゃく)

酔い覚まし 椿のかげを 通夜帰り
     (よいざまし つばきのかげを つやがえり)

3/6wed
春めきて 隣家の音が 声になり
     (はるめきて りんかのおとが こえになり)

春の雨 隣りのむすめの 気合かな
     (はるのあめ となりのむすめの きあいかな)
        ※隣家の小学校高学年の娘は会えば会釈する程度
         だが、時々熱心になにかを稽古する声が聞こえ
         る。はて、なにかな? 兄が習っている合気道
         をいっしょにやっている? それとも回転レシ
         ーブの練習? ドタンバタンの音と彼女の気合
         は春の我が家の七不思議。

3/2sat
春の日に 千日ぶりの 我が家かな
     (はるのひに せんにちぶりの わがやかな)
        ※義兄が今朝息を引き取った。3年弱病院や施設
         に滞在し、あれほど念願した生家に無言でもど
         って来た。

3/1fri
春を待つ 昭和のこけしを 描きけり
     (はるをまつ しょうわのこけしを えがきけり)

白360-5.jpegKC3P0011b.jpg          **************************



          **************************


2/28thu
クロッカス 数えている間の 黄八丈
     (くろっかす かぞえているまの きはちじょう)
        ※八丈は長さとしては超おおげさ。1丈=10尺
         で3メートル強。我が家のクロッカスの花壇は
         真っ黄色だけれど、広さは1m×2mほどで長
         辺でも1丈未満。

2/26tue
えんぶりや 七色の烏帽子 雪に舞う
     (えんぶりや なないろのえぼし ゆきにまう)
        ※東北を代表する冬の祭りで2月中旬に開催され
         る。国の重要無形民俗文化財。凶作や飢饉に何
         度も見舞われた、厳しい気候のこの地で、こん
         なにもカラフルで美しい装束、勇壮な舞いが伝
         承されていることにただ驚嘆。

2/25mon
雪解けや 相生町の 兄の家
     (ゆきどけや あいおいちょうの あにのいえ)
        ※会津若松の兄は現役引退後ガーデニングに凝り
         始めた。前庭を道行く人に開放している。しか
         し今は一面真っ白。道路の雪は大半なくなった
         というが。ところでこの句、大したものではな
         いけれども、中7と下5が共にアで始まるため
         に音の調子が良くなる。声に出すと一層それが
         わかる。俳人の手口をちょっとだけ理解した。

2/24sun
蝶のさま PC動画で 追うてみる
     (ちょうのさま ぴーしーどうがで おうてみる)
        ※ストックを露地栽培風に描いている。ちょっと
         だけ季節を先取りしてモンシロチョウをと思い、
         ネットで検索した。動画も画像も、イラストま
         で・・・溢れている。シーズンフリー。

2/23sat
うらやまし いまだ真冬の 常念を
     (うらやまし いまだまふゆの じょうねんを)
        ※松本市に住む友人のメールに冬の常念岳を讃え
         る文があった。朝の張り詰めた空気の向こうに
         真っ白な常念岳が・・・。

2/22fri
春一番 昔はもっと 待たれしを
     (はるいちばん むかしはもっと またれしを)
        ※花粉症の先達である家人は、この季節私が鼻を
         むずむずさせたりすると、「あ、それ花粉症の
         始まり」と言ってきて20年にもなる。しかし
         いまだにその恐れはない。春一番を待っている。

春未暁 風の戸音が 和らげり
     (はるみぎょう かぜのとおとが やわらげり)

2/21thu
ジョービタキ 寒空ここに いましたか
     (じょーびたき かんくうここに いましたか)
        ※ある雑誌の巻頭カラーページでジョービタキが
         紹介されていた。晩秋に北方から飛来する好き
         な野鳥。紋付鳥とも。「餌が少ないため殆ど単
         独で行動し」、「ピーーヨ」と啼くと。この簡
         単な記述が今までは得られなかった。
         この近所では特に早朝宅地内で、電線の上でよ
         く見かける。いつも一羽。
         「ピーーヨ」・・7~8秒・・「ピーーヨ」。

2/20wed
金文字の 残るガラス戸に 吹雪くかな
     (きんもじの のこるがらすどに ふぶくかな)
        ※小学生の時の通学路に商人宿があった。通りに
         面した入口のガラス戸に、金文字で宿の名が書
         いてあった。その後の長い間、前を取った記憶
         がない。日本海側が分厚い雪雲におおわれる荒
         天の予報を見る時など、時折金文字がどうなっ
         たか、かすれてしまったかと思いやられる。

2/18mon
年月は 盗人なれども 春めぐむ
     (としつきは ぬすっとなれども はるめぐむ)
        ※古今の明哲は言う。「年月は人にとって命にと
         って一番大事な時間を奪っていく」、「流れる
         年月はわれわれの幸福を一つ一つ盗んでいく」
         ・・・。今朝は暖かい、また春めぐるの気配だ。
         これも流れる年月のおかげか。

2/17sun
風邪癒えて 冬の務めを 果たしけり
     (かぜいえて ふゆのつとめを はたしけり)
        ※風邪本復。散々だったが、リバウンド気味だっ
         た体重が目標の50kg台にワンタッチした。世
         間の人の多くがインフルエンザに罹っている。
         仲間入りしたかな? 小さな達成感が残った。
         「風邪癒えて」3題。

風邪癒えて 菜花水仙を 凌駕せり
     (かぜいえて なばなすいせんを りょうがせり)
        ※早朝の犬の散歩は短々バージョンでお茶を濁し
         ていた。犬の体重は増加。久しぶりのフルバー
         ジョンで小櫃川の堤に出かけたら、全然なかっ
         た菜の花が咲き始めていた。

風邪癒えて 春シューさんの 即興曲
     (かぜいえて はるしゅーさんの そっきょうきょく)
        ※好きなシューベルトの即興曲を聴く。この曲を
         初めて耳にした時、4曲とも「水の流れ」のイ
         メージを持った。このことは一人合点かな?と
         思っていたら、広くそのイメージが定着してい
         ることも知った。風邪から回復したら、やっぱ
         りこれだ。アップロードは数知れない。
         その中で。 

2/16sat
蒲公英や 幽かに霰を 撥ね返し
     (たんぽぽや かすかにあられを はねかえし)

玉ねぎに 年の初めの 馳走する
     (たまねぎに としのはじめの ちそうする)
       ※2月に入っての雪、霰は珍しくない。そんな荒れ
        気味の2月も下旬に入ると、着実に日々の気温を
        高めていくようだ。晩秋に苗を植えてから、なん
        にも世話しないできた玉ねぎの冬越しも終わりだ。
        「2月下旬に初めての追肥をせよ」とある。

2/15fri
湯たんぽと 氷枕で 三日過ぎ
     (ゆたんぽと こおりまくらで みっかすぎ)
       ※風邪もう一週間近く、結果的にはダウンが続く。
        強がりを言っても、今季もやってしまった。喉と
        痰が中心なので、頭寒足熱を徹底するのが一番。
        灯油ストーブなどで頭が下手に暖房されると途端
        に痰が絡む。二度目の処方薬をもらった。

2/14thu
寒鰤や いまだ本復に 不足あり
     (かんぶりや いまだほんぷくに ふそくあり)
       ※風邪は幸い重くはならない。なんど治ったと思っ
        たことか? いまだにノド変調と微熱がある。治
        ったとは思わず、静かにしよう。

2/12tue
絵ろうそく 冬に仏の 華やげり
     (えろうそく ふゆにほとけの はなやげり)
        ※故郷では昔旧正月もつつましく祝った。寒さの
         底になることの多い、この季節、家の中の行事
         が嬉しかった。仏壇にはお供えも花も少しだけ、
         絵ろうそくが際立った。

2/11mon
春の雪 キャベツの列を まっさらに
     (はるのゆき きゃべつのれつを まっさらに) 
        ※今日も朝方は雪。畑に取り残されたキャベツは
         すっぽりと雪の綿帽子をかぶっている。長いこ
         とハチマキがしてあったから、もう枯れ葉色に
         なり、大きさも縮こまってきていた。

2/10sun
風強し 福寿草咲いて 喉癒えり
     (かぜつよし ふくじゅそうさいて のどいえり)
        ※強風が残っているなか、我が家の絶滅危惧種、
         福寿草が健気にも花開いた。もう一つの危惧種
         は「風邪も寄り付かない」と言っていたのに、
         微熱とのど痛の風邪の症状で三日ほど静かにし
         ていた。こちらも頑張る。

2/9sat
雪模様 独尊唱えし 人は今
     (ゆきもよう どくそんとなえし ひとはいま)
        ※確実と言われた降雪。窓からの光は全面白で華
         やかにさえ見える。何故か主張の強かった人の
         ことを思い出す。ああ、彼も20年近くの間に
         変わっただろうか?

2/8fri
申告の 縁切れ娑婆は 遠くなり
     (しんこくの えんきれしゃばは とおくなり)
        ※社会とのつながり、催しなどは一つ一つ減って
         いく。シニア世代の急増で、こうしたボヤキは
         世に溢れている。

2/7thu
飛び起きて 胸さすりおり 春の夢
     (とびおきて むねさすりおり はるのゆめ)
        ※2月の約束をうっかり失念した、夢を見た。め
         ずらしく飛び起きて、「やっぱり3月じゃん」
         で終わり。

泣く夢を 見しとまた泣く 春の朝
     (なくゆめを みしとまたなく はるのあさ)
        ※悩み多きシニアにはこういうこともある。画と
         して似合わないだろうけど。

2/6wed
虎落笛 故郷の山を なぞりけり
     (もがりぶえ こきょうのやまを なぞりけり)
        ※今日は雨。風もある。しかし虎落笛など、この
         地では期待できない。強風が家の周りの垣根や
         植え込み、防風林などを襲ってできる独特の風
         音を言うとか。故郷では荒天の日など、いくら
         でも聞けたのだろう。その頃は言葉そのものを
         知らなかった。

2/4mon
湯たんぽや 久方ぶりの 朝寝かな
     (ゆたんぽや ひさかたぶりの あさねかな)
        ※立春。朝7時、犬と散歩に行く時の気温は17
         度。昨日は3度。皮膚感覚も狂ってしまう。

冬苦行 プラトンよりも 沙翁かな
     (ふゆくぎょう ぷらとんよりも さおうかな)
        ※古典を読むことは誰しも隠居後の目標。しかし
         プラトンなどギリシャ、ローマの古典は読める
         はずもない。辛うじて今実行中なのはモンテー
         ニュ「随想録」とシェークスピアの併読。双方
         に関連はないのだが、少しは楽しみながら読み
         進むことが出来る。でも大部分は難行、続くこ
         とだけにこだわっている。

2/3sun
駄句三歳 梅の小さな つぼみかな
     (だくみとせ うめのちいさな つぼみかな)
        ※このブログを始めて満三年。俳句も内容も進歩
         はないが、ちょっとホッとしている。取り柄は
         自然体で衒いのない書き付けをしようと継続で
         きたこと。実生活に面白みや変化が乏しいから、
         ブログも充実というには遠い。まあ、これでい
         いかな、と思っている。

2/2sat
黒き指 逝き海苔農家の 三代目
     (くろきゆび ゆきのりのうかの さんだいめ)
        ※木更津周辺の海苔出荷は近年振るわない。有明
         海産と覇を競う時代は再来するのだろうか。逞
         しかった先代が少し前になくなり、半勤半漁の
         三代目は60歳少し前、前途はいかに。
         多くを期待していないのか、当人は意外やのほ
         ほんとしている。

2/1fri
曲がり来る 冬場のバスの 足遅し
     (まがりくる ふゆばのばすの あしおそし)
        ※昨夜の雨と強風は朝にはあがり、快晴の2月の
         空が広がる。なにもかもすっきりしている中で、
         バスだけが相変わらずのんびりと走ってくる。
         春近しを思わせる光景だ。



          **************************


1/31thu
歓呼あり 母の故国の 冬銀河
     (かんこあり ははのここくの ふゆぎんが)
        ※大坂なおみフィーバーも一段落か? それにし
         ても稀に見る試合だった。相手の強烈なサーブ
         に適応して楽勝かと思われた第2セットは暗転、
         逆にとられた時は明らかに劣勢だった。ところ
         が・・・。

拳ふり 鼓舞する夏の メルボルン
     (こぶしふり こぶするなつの めるぼるん)
        ※第3セット開始前の休憩時に彼女は自らの力で
         蘇生したという。感情の高ぶりを抑え、静かに
         自らを鼓舞したとか。すごい。

1/30wed
寒の朝 事故を起こした 顔不憫
     (かんのあさ じこをおこした かおふびん)
        ※出勤途上らしい人が現場で警察を待っている。
         寒い朝で、起こした事故のことがまだ信じられ
         ない表情。蒼白。他人事ではない。

地が恵む 玉鋼あり 冬出雲
     (ちがめぐむ たまはがねあり ふゆいずも)
        ※テレビで冬の「たたら製鉄」の模様を放送して
         いた。ここで出来る「玉鋼」は日本刀作りに欠
         かせない原料となる。
         去年の島根旅行を思い出した。しかし思い出し
         たのは「そば」の味だった。

1/28mon
霜光る 茶畑作りし 人の庭
     (しもひかる ちゃばたけつくりし ひとのにわ)
        ※本場茶畑には防霜ファンがあるが、霜の害が殆
         どない内房、今朝の冷え込みはどうか? うっ
         すらの霜だ。光っている。ファンはないからビ
         ニールシートで覆っているらしい。一人分でも
         自家製茶ができれば満足と言っていた。

1/27sun
納骨や 生家に続く つばき道
     (のうこつや せいかにつづく つばきみち)
        ※義姉の納骨の法要。方々に居を構えたが、結局
         は生家近くの墓地に眠ることに。風の強い、乾
         き切った日。

1/26sat
寒の変事 庭の木はみな 剪られたり
     (かんのへんじ にわのきはみな きられたり)
        ※たまに留守にしたら、庭の木はことごとく短く
         剪定されていた。家内の仕業。殆ど面倒を見な
         いので文句は言えないが、もみじの古木、ムク
         ゲなどいくつかは自分のEEZ(排他的経済圏)
         内だと思っている。空しい抗議をする。

1/25fri
冬の日よ 眩しきまでに 鳩の群れ
     (ふゆのひよ まぶしきまでに はとのむれ)
        ※寒、大寒の間も驚くような寒さ、強風の日はな
         い。おかげさまでという感じもあるが、何事もな
         く日がスルスルと速く過ぎていくという感慨もあ
         る。一冊の本を真面目に読んでいるが、これが
         なかなかに難行で、渋滞しているうちに日が過
         ぎていく。

1/24thu
手袋を 脱がずトランプの 顔を見る
     (てぶくろを ぬがずとらんぷの かおをみる)
        ※帰宅するとテレビがトランプ米大統領の発言
         を伝えている。あの声と剥き出しの表現、そ
         して劇場型の発信力。すっかり馴れたのだが、
         ついつい目と耳が吸い寄せられる。この一、
         二年で罹患した生活習慣病。

1/23wed
ためいきや 冬の日照りで 畑萎え
     (ためいきや ふゆのひでりで はたけなえ)
        ※白菜は大丈夫だったが、ブロッコリーや葉物
         野菜は軒並みなんと小さいことか。冬眠中の
         玉ねぎに影響が出ないようにと水をやる。

1/21mon
出初式 紅白まとう クルマ行く
     (でぞめしき こうはくまとう くるまいく)

冬麗ら 三ヶ月のたびに 転院す
     (ふゆうらら みつきのたびに てんいんす)
        ※知人が入院していた一般病院から転院を迫られ
         た。入院加療が一段落すると、「老人の療養」
         がメインでかつ家族の都合で入院を続けている
         と看做され、入院能力を確保するためにも「出て
         もらおう」という主旨なそうな。この目的のために、
         入院にかかる諸費用(病院側の収入)は逓減す
         るシステムになっていて3ヶ月を過ぎるとぐっと
         低くなる。だから病院は嫌う。

1/20sun
鏡餅 かけらは丸い ピザの上
     (かがみもち かけらはまるい ぴざのうえ)

大寒や ヤビツ峠の 凹みかな
     (だいかんや やびつとうげの へこみかな)
        ※丹沢山塊の東端と「お参りで名高い大山」との
         間の鞍部がヤビツ峠だ。冬場は大概くっきりと
         眺められる。

1/19sat
悴みて 野仏枯葉を 集めたり
     (かじかみて のぼとけかれはを あつめたり)
        ※この周辺の農村では広い田畑の中に村落が点
         在していて、その入口などに野仏や地蔵尊が祀
         られている。現在では道路が通っているから思っ
         てもいない所で出会うことがある。多くは相当古
         いものらしい。半ば朽ちているものも。朝日を浴
         びた寒中の野仏は暖かそうに見えた。

1/18fri      
セピア色 大雪の日の 父と母
     (せぴあいろ おおゆきのひの ちちとはは)
        ※日本海側は雪、関東地方は「バカっ晴れ」で低
         湿度。肩の高さまで積もった雪を取り除いてい
         る写真を見ながら、昔は大変だったと話をされ
         た。故郷で少年の頃である。その大雪を羨まし
         く思ったものだ。写真は当然白黒、セピア色だ
         った。

1/17thu
冬の日の トンネルぬけた そこにあり
     (ふゆのひの とんねるぬけた そこにあり)
        ※稀勢の里引退。怪我も癒え、体力気力充実と言
         われたが、心技体それぞれの充実がうまく噛み
         合っていない。それはもう病気で、噛み合わない
         症候群に陥っていたのだろう。なんとも微妙なも
         のだ。冬の日を浴びれば雲散霧消するかも。

1/15tue
寒空に夕日映え 人ちらと見る
     (かんくうにゆうひはえ ひとちらとみる)

振り向いて 教えられたり 冬の虹
     (ふりむいて おしえられたり ふゆのにじ)

1/14mon
着付け待つ 父はクルマで 寒の朝
     (きつけまつ ちちはくるまで かんのあさ)
        ※成人の日の朝、近所の美容院は朝暗いうちから
         盛況だ。店内は女性だけなのだろう。迎えの父親
         は中に入らず、外のクルマで待っている。もうすぐ
         娘の晴れ姿が・・・。

1/13sun
鈍色の 寒の空あり ノーサイド
     (にぶいろの かんのそらあり のーさいど)
        ※ラグビー大学選手権で明治が天理を下し、22
         大会ぶりに大学日本一の座についた。
         惜しかったなァ・・・。僅差で敗れた天理も惜しか
         ったが、早稲田が今日日本一になってもおかし
         くなかったのに。早稲田は対抗戦で明治を破り、
         大学選手権では明治に敗れた。いずれも本当
         の僅差だった。ゲームの終了が、ロスタイム方
         式ではなく、「終了フォーン後のワンプレイ」方
         式というのが時に猛烈にスリリングな展開を見
         せる。

1/12sat
寒気団 払暁黒き 風連れて
     (かんきだん ふつぎょうくろき かぜつれて)

1/11fri
勝山の 冬の波濤見て 子を産めり
     (かつやまの ふゆのはとうみて こをうめり)
        ※冬の荒い海を見るには内房勝山の海が一番の近
         場。そこに住む知人の娘が無事出産したという知ら
         せがあった。

寒暁や 釣り宿だけが こうこうと
     (かんぎょうや つりやどだけが こうこうと)

1/10thu
櫓へと 昇る石段に 朝の雪
     (やぐらへと のぼるいしだんに あさのゆき)
        ※故郷会津若松の鶴ケ城趾に思い出は尽きないが、
         天守閣が再建される前、観光客も少なかった頃に、
         城内の石垣の上をずうっと歩いて回るのが好きだ
         った。内濠が目の下に眺められ、町並みも遠くの山
         々も一望出来た。
         うっすら雪が積もった本丸南東隅の月見櫓はなか
         でもお気に入り。一番高い石垣の上にあった。

10/8tue
水仙を 揺らすシーソーの 音続き
     (すいせんを ゆらすしーそーの おとつずき)
        ※正月の子供の遊びとして、比較的古典的なシー
         ソー。下部についていて地面に当たるクッション
         用のタイヤが変な音をたてる。

1/7mon
厚着して デイの迎え待つ 寒の入り
     (あつぎして でいのむかえまつ かんのいり)

三が日 明けの病院に 熱気あり
     (さんがにち あけのびょういんに ねっきあり)
        ※正月が過ぎて、いつもの暮らしがもどる。さす
         がに寒の厳しさ。人に会うごと、息が白い。

1/6sun
祖父の手が 小さき手さする 火鉢の上
     (そふのてが ちさきてさする ひばちのえ)
        ※一度だけ正月に母の実家に行った、小学生低学
         年の時。謹厳そのものだった高齢の祖父がめず
         らしく相好を崩して、悴んだ手を火鉢の上でさす
         り温めてくれた。なぜか鮮明な記憶。

1/5sat
初夢や 微笑む古き 顔ありき
     (はつゆめや ほほえむふるき かおありき)
        ※会えないでいる友が現れた。病気はどうか? 
         なにかすることがあるか? 日ごろ考えていた
         のに、それを尋ねることは忘れていた。

スリコギや 三日とろろの 朝仕事
     (すりこぎや みっかとろろの あさしごと)
        ※東北地方の一部では正月三日の朝は「とろろご
         飯」で祝う。小さい頃から今に至るまでとろろ飯
         が大好きだ。これが高じて、年が明けると三日と
         ろろを夢み、なんとか句をひねろうとする。

1/4fri
水洟や 朝の寒さの 異常なる
     (みずばなや あさのさむさの いじょうなる)
        ※今朝の冷え込みは尋常ではなかった。午前7時
         で0度付近。世の中は新年始動の日。とはいえ
         明日はまた週末。挨拶だけのところも多いのか
         な? 朝のクルマは少ない。

1/2wed
お年賀に 同棲若き 二人かな
     (おねんがに どうせいわかき ふたりかな)
        ※親戚の男子とその彼女が挨拶を兼ねて来てくれ
         た。年寄りの夫婦からは、年齢だけではない、言
         葉もエネルギーも、好みも行動もかけ離れ、対極
         にあるカップルだ。眩しさをこらえて見ていた。
         「なんかいいこと、ありそう」

1/1tue
元旦や 天井のシミの いとおしく
     (がんたんや てんじょうのしみの いとおしく)
        ※ほんの少しだけ朝寝をのばす。カーテンの外で
         青空が広がっていくのがわかる。正月。

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