ダクタク句集2021年(令和3年)下期 自選集 [自選集2021]
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12/31fri
コロナ禍や なれど住処に 蜜柑熟れ
(ころなかや なれどすみかに みかんうれ)
冬型の 高気圧良し ガラス拭き
(ふゆがたの こうきあつよし がらすふき)
ご無沙汰しご無沙汰されて除夜の鐘
(ごぶさたしごぶさたされてじょやのかね)
※大晦日の今日、いつもより多めに飲んで、早
めに床に就くのが恒例。「いく年くる年」は
朝ゆっくり見る。
12/30thu
似せ絵しか 描けぬ哀しさ 年の暮れ
(にせえしか かけぬかなしさ としのくれ)
※水彩画、「描きたいのを好きに描けば良い」
と思うのだが、これがなかなか・・・。
水滸伝 年末までに 終わらざる
(すいこでん ねんまつまでに おわらざる)
12/29wed
誕生日 大根焚きに 揚げ入れて
(たんじょうび だいこんだきに あげいれて)
抱負をという声なくて誕生日
(ほうふをというこえなくてたんじょうび)
※使い慣れていないスマホで、食事に訪れたフ
ァミレスのアプリをインストールしたら、な
んと20%割引の上に誕生祝いとかで大きめの
ケーキまでプレゼントされてびっくり!
12/28tue
老庭師 鋏み風に乗る 年の暮れ
(ろうにわし はさみかぜにのる としのくれ)
極月や 垣の揃いに こだわりて
(ごくげつや かきのそろいに こだわりて)
※元プロの義兄が手入れしてくれたものだが、
代わりの老庭師の腕はまだつたない。でも鋏
の音だけはいいようだ。刃物の世話が上手な
のかも。
12/27mon
年内の 仕事と言われ 蜜柑もぐ
(ねんないの しごといわれ みかんもぐ)
※先日述べた蝉の抜け殻が落ちないようにそっ
と鋏を入れる。去年は裏作の年でほんの少し
しか実をつけなかったが、今年は大丈夫!
背の高さほどの、一抱えほどの木一本なのだ
が、ざっと120個くらいかなと皮算用をし
ている。味もいい、濃厚さもある。
12/25sat
金星の 西に隠れて 聖夜かな
(きんせいの にしにかくれて せいやかな)
おとなしい 番組見たり 聖夜なり
(おとなしい ばんぐみみたり せいやなり)
平らかに 聖地の星を 調べたり
(たいらかに せいちのほしを しらべたり)
かしこみつ 上皇様の お歳聞く
(かしこみつ じょうこうさまの おとしきく)
※作夜はクリスマスイヴ。上皇様とは誕生日が
12年と5日違い。干支も同じ。
12/24fri
空蝉や ミカンの枝で 年を越す
(うつせみや みかんのえだで としをこす)
※実写生でもこれはいけないと言われそう。季
語が三つも重なっている。空蝉、ミカン、年
越し。ミカンをもいで試食した時に発見、こ
んなのもいいじゃないかな。
12/23thu
句を添えて 師走の動画を 温めり
(くをそえて しわすのどうがを あたためり)
※今春スマホユーザーとなったのを機に、その
機動性、カメラの高機能を活かして、動画を
アップすることを思いついた。既に30本近
くをアップロード済だ。
しかし動画といっても静止画を繋いで季節の
5句を盛り合わせ、そこに好きな音楽をBGM
とするものだ。1本が3分弱で飾り気のない
動画である。当然見てくれる人は殆ど0。
これが本人には意外と新鮮な「句帳」となる
ことに気がついた。句の羅列より思い出深い、
面白い。メインは句なのか、写真なのか、音
楽なのかすら・・その時々。これが無料とは。
12/23wed
朝コール 声も馥郁 冬至たり
(あさこーる こえもふくいく とうじたり)
柚子なきを 謝して冬至の ジャスミン湯
(ゆずなきを しゃしてとうじの じゃすみんゆ)
冬至日や 光あるうち 長湯かな
(とうじびや ひかりあるうち ながゆかな)
※今日まで太平洋側は比較的暖か。穏やかな冬
至の晴れ間にホッとする。明日からは一段と
寒さが増すとか。今日は頑張って、句の動画
を5個 YouTubeにアップした。
12/21tue
容保は 宸翰胸に 冬すみれ
(かたもりは しんかんむねに ふゆすみれ)
※大通りの歴史が少しずつ見直されている。慶
喜の幕末への思い、容保の誠意吐露、共に朝
敵とされたことへの反発等々。一朝に全てが
きれいに繋がるものではないが・・・。
12/20mon
路地を来て 神田駅前 冬ぬくし
(ろじをきて かんだえきまえ ふゆぬくし)
※久しぶりに神田小川町近辺に行った。帰途は
知ったかぶりをして路地をめぐり遠回りの神
田駅に出ようとした。道路は最盛期?のよう
には導いてくれなかった。スジ違いを何度か
犯した。されど結果は勝手知ったる神田駅界
隈。この辺はまだ大丈夫。
12/19sun
そこらじゅう痒いが目良し耳も良し
(そこらじゅうかゆいがめよしみみもよし)
寄せ鍋も辛くせよ赤くせよという
(よせなべもからくせよあかくせよという)
コロナ禍も上司落研湯気揺れる
(ころなかもじょうしおちけんゆげゆれる)
※年末清掃の束の間に川柳3題
12/18sat
冬の雲日没早くならざる日
(ふゆのくもにちぼつはやくならざるひ)
※日中の時間が一番短いのは冬至の日だが、日
の入り、日没が早いのは冬至以前の12月上
旬、その分日の出が一番遅いのは冬至後の12
月下旬だとか。少し賢くなった。
12/17fri
山茶花や 公家の住まいの 石の塚
(さざんかや くげのすまいの いしのつか)
※かなり以前の冬の日に或る公家の住居跡を訪
ねたことがあった。京都の寒さを身体で思い
知った一日だった。
12/16thu
目うつろに 呆けし役を 初時雨
(めうつろに ほうけしやくを はつしぐれ)
※俳優山崎努が認知症の老人を演じる映画を見
た。目の表情が真に迫っていた。
12/15wed
寒き日や 喪中の葉書 集めけり
(さむきひや もちゅうのはがき あつめけり)
念入りに 少なき賀状 炬燵かな
(ねんいりに すくなきがじょう こたつかな)
※賀状をゆったり書くという経験はない。枚数
をこなすためについ生産的な方法をその都度
考えるからだ。しかし今年は違った。大幅に
枚数を減らし、本来の?書き方に戻った。あ
せってもいない。
12/14tue
義士の日や 堀部弥兵衛の 齢となり
(ぎしのひや ほりべやへえの としとなり)
※冷たい午前、雪が落ちてきてもおかしくない。
安兵衛の義父で、義士の最高齢。自分の年齢
を考えるのに変に現実感がある。
12/13mon
白菜や 妻息災に ざくと割く
(はくさいや つまそくさいに ざくとさく)
※この音、力強いザクッと・・・元気印。
新海苔や 百年の名産 送りたり
(しんのりや ひゃくねんのめいさん おくりたり)
12/12sun
しつこさで 癌に克つさと 冬帽子
(しつこさで がんにかつさと ふゆぼうし)
※再発した肺ガンに化学療法を続けている床屋
はげっそり痩せたが、禿げあがった頭と目力
は精悍でなお意気軒高だ。
12/11sat
身につかず終いの楽器大掃除
(みにつかずじまいのがっきおおそうじ)
※今日明日の気温はぐっと高くなるとあって、
大掃除その1と指定され、召集を受ける。
12/10fri
花札を二人向かいて冬日向
(はなふだをふたりむかいてふゆひなた)
背伸びして取らん梢のレジ袋
(せのびしてとらんこずえのれじぶくろ)
※今朝の気温は厳しいが、十分な日差しが救っ
てくれる。
12/9thu
開戦の日 熱狂せしか 吾もまた
(かいせんのひ ねっきょうせしか われもまた)
※対米開戦80周年の今年は当時の状況発掘のニ
ュースや資料が多い。対中戦争の泥沼化、米
国中心の対日圧迫政策、軍部の好戦姿勢と国
民の支持、開戦に至った要因は様々なウェイ
ト付けが可能だ。
12/8wed
冬ごもり ペトルーシュカを 聴けと友
(ふゆごもり ぺとるーしゅかを きけととも)
ネットに出 たちまち主役 金目鯛
(ねっとにで たちまちしゅやく きんめだい)
※北海道に住んでいた頃、囲炉裏焼き屋で金目
鯛やホッケは馴染みの魚だった。ところが金
目鯛はその後出世?し、内地(北海道では本
州をこう呼んでいた)で高値となった。今や
ネットでももてはやされているとか。
当時から小生はホッケにより親近感を覚えた。
うまいし塩の香りがする。しかし今や居酒屋
では結構高い。ホッケ、お前もかッ。
12/6mon
極月も あかつき闇を 重宝し
(ごくげつも あかつきやみを ちょうほうし)
同じこと 言う人の来る 落ち葉焚き
(おなじこと いうひとのくる おちばたき)
※加齢のせいばかりではなく親からの遺伝もあ
って深夜から未明の時間に目覚め、そのまま
長い時間を過ごすことが多い。あせることも
あるが読書時々うつらうつら・・・楽しめる
ようになった。冬は寝巻の下に長袖のシャツ
を着ていても、寝床から腕を出すと寒いので、
作業用の手さし(袖カバー)を用意している。
厳寒期には指先出し手袋も。
12/4sat
師走来る 時の会釈は 少しだけ
(しわすくる ときのえしゃくは すこしだけ)
垣根刈る 冬支度かと 言われたき
(かきねかる ふゆじたくかと いわれたき)
※早いものだ、と常套句を言わねばならない。
遠慮会釈のない時の流れ。流れに沿って、昔
流の冬支度を。
12/2thu
舳倉島 渡りの鳥の 五万とぞ
(へぐらじま わたりのとりの ごまんとぞ)
※快晴、晩秋の能登舳倉島の様子を見た。テレ
ビで。渡りの鳥のまたとない中継地だ。夥し
い種類と数。多くはシベリアからで冬を日本
以南の地で過ごすためにきている。すごい、
生命力に溢れた島。
12/1wed
勲一等の 柿は一葉に 師走来る
(くんいっとうの かきはひとはに しわすくる)
※今年の柿はたった一本ながら、たわわに甘い
実をつけ、シニアに毎日の楽しみをくれた。
勲一等功一級ものだ。
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11/30tue
秋野菜 画材として後 分けたまふ
(あきやさい がざいとしてのち わけたもう)
秋の暮 一幕ものの 場を数ふ
(あきのくれ いちまくものの ばをかぞふ)
※我が創作にかかる芝居、長かったなァと思っ
たが、アレッ・・・一幕だったか? 今から
考えると色んな幕があって良かった、そうす
るつもりだったのに。残念。まあ場数は多い
し、今も続いているね。
しかしぃ・・ちょっと待ってェな。ちょっと
書き換えるやさかい。エエェ、出来ひんて?
そ、そんな後生な・・・。
小春日の 人居ぬ園や 獏眠る
(こはるびの ひといぬえんや ばくねむる)
11/28sun
小春日や なに食うたとから 長電話
(こはるびや なにくうたとから ながでんわ)
※スマホで通話はスピーカーで。そして胸のポ
ケットに突っ込んだまま話をする。両手フリ
ーで。長引く友人とのスタイルがこれに落ち
着き、スマホって便利だなァと感心。大いに
笑われた。女の長電話を実体験中。
11/26fri
足腰の かすかに重く 石蕗の花
(あしこしの かすかにおもく つわのはな)
※金木犀の生垣の剪定をやった。2日がかり。
11/25thu
母くれし やなぎ行李よ 冬支度
(ははくれし やなぎごうりよ ふゆじたく)
友の笑み 蝶々とともに 冬茜
(とものえみ ちょうちょとともに ふゆあかね)
※後輩の蝶キチの撮った写真が来年のカレンダ
ーに採用されたと、それを贈ってくれた。立
派な全国版で、彼の渾身の写真12枚が各月
を飾っている。すごい出来だ。嬉しい。
11/23tue
マップ上 動線たどる 一葉忌
(まっぷじょう どうせんたどる いちようき)
※一葉人気は根強い。都心の3か所の旧居跡を
訪ねる人は引きも切らず、ネットの「一葉暮
らしの研究」もいまだに旺盛のよう。
・・・アソコへはここを通ったとか、品を仕
入れにアノ道を行った、この道は何歳の時誰
を訪ねに通ったとかである。都心散歩の多く
のファンに支持されているのではと思う。
11/22mon
デジタルや 愁思の顔も 修正し
(でじたるや しゅうしのかおも しゅうせいし)
※顔の整形、といっても画像上のことだが。思
う通りの方向に自分の画像を修正してくれる。
以前からこの手のソフトはあったが、空前の
進歩をしているというのだ。
空前も 過ぎたらてんで 他人の顔
最近、こういう小手先の開発ばかりだ。
11/21sun
起きるには まだたっぷりと 酉の市
(おきるには まだたっぷりと とりのいち)
大いなる がま口腰に 酉の市
(おおいなる がまぐちこしに とりのいち)
冷え込むや 帽子深めに お酉様
(ひえこむや ぼうしふかめに おとりさま)
※久しぶりに熊手の店、露店の行列。ただお参
りの客は寂しくて涙が出るほどの閑古鳥。威
勢のいい手拍子もそこかしこに少しだけ。が
ま口も空いたままか。今年は二の酉どまり。
11/20sat
秋の暮れ 種の袋の 字のうすし
(あきのくれ たねのふくろの じのうすし)
※秋植え用に大切に保存しておいた種子がなん
なのかわからない? 袋の上の鉛筆のメモが
薄れている。そんなの知るか!! 種を見て
もわからないのか?
11/19fri
秋の暮 パテシエ修行の 娘が嫁ぐ
(あきのくれ ぱてしえしゅぎょうの こがとつぐ)
※ケーキ店開業の夢は諦めて結婚するとか。小
さいころから知っている、甥の娘だ。まあそ
れもいいだろう、幸せを祈る。
11/18thu
七五三 子のつく名前 参り札
(しちごさん このつくなまえ まいりふだ)
病葉も 岩風呂に入る 旅の宿
(わくらばも いわぶろにいる たびのやど)
※PCでダウンロードした曲を整理してはせっせ
とスマホに移し、オフで聴ける手筈を整えて
いる。へへ、音の悪いのはリジェクトする。
YouTubeは駄目。
11/17wed
時雨忌や 二の橋を越え 深川へ
(しぐれきや にのはしをこえ ふかがわへ)
※時雨忌は芭蕉の忌日、陰暦10月12日。ゆ
かりの深川へはいつも本所側から歩いて、門
仲をゴールにする。
本所二の橋のたもとには軍鶏なべや「五鉄」
の跡地がある。鬼平の行きつけ。
11/16tue
さざんかや 昵懇の犬 動かざる
(さざんかや じっこんのいぬ うごかざる)
※若い秋田犬が道路のあっちで腹ばいになって
動かないでいる。我が家の犬に興味あっての
ことではない。実はお目当ては小生である。
11/15mon
小春日は畑でワイヤレスイヤホンで
(こはるびははたでわいやれすいやほんで)
秋夕焼 電車の音で 腰伸ばす
(あきゆやけ でんしゃのおとで こしのばす)
幾百の 玉葱植えて 腰立たず
(いくひゃくの たまねぎうえて こしたたず)
※3列の長い畝に黒マルチを張り、300本弱
の玉葱の苗を飽きずに植える。しかし来年の
春までは手間いらず。5月前半収穫の早生。
11/14sun
人の顔したる源氏の人逝ける
(ひとのかおしたるげんじのひとゆける)
※瀬戸内寂聴逝去。若いころは一般的な世評に
乗って、おやおやという思いで眺めていたが、
自分がそこから解き放たれると彼女の顔が生
き生きと穏やかに見え始めた。ますますそう
なった。合掌。
11/12fri
どっしりと 家伝の砧 壁にあり
(どっしりと かでんのきぬた かべにあり)
※郊外から移築した豪農の民家が公園にある。
様々な農具、民具を入れ替わりで展示してい
た。機織りの仕上げに反物の布打ちに使った
とか。生乾きの洗濯物をたたいて柔らかくし
たり皺をのばしたりもした。昔村落の家々で
砧の音がした・・・有名なその光景とは、な
にをしていたんだろう? 聞きそびれた。
11/10wed
男手が スマホを見つつ 菊膾
(おとこでが すまほをみつつ きくなます)
※季節感はあっても好きなものではない。何度
か口にする機会はあったが、ちょっと舌先で
感じてすぐに飲み込む類のものだった。せっ
かくの到来物の食用菊、少し前進したい。年
齢並みに。
11/9tue
歩きけり 新酒試飲は 障子部屋
(あるきけり しんしゅしいんは しょうじべや)
※今は近くに醸造会社はない。昔々の話。
望みしも 秋刀魚一向に 気配なし
(のぞみしも さんまいっこうに けはいなし)
11/8mon
海舟の 呼吸が聞こえる 坂の秋
(かいしゅうの いきがきこえる さかのあき)
※勝海舟は赤坂の地を愛し、都合3度も場所を
変えて住まいした。幕末は氷川下。その場所
はマンションの林の中に埋没しているが、近
くの氷川神社や氷川坂には往時の息吹が残っ
ているように感じた。交通の激しい大通りの
間にあって、不思議な静寂がある。
11/7sun
墓売れて にわか夜なべの 石工かな
(はかうれて にわかよなべの いしくかな)
吾亦紅 午前いっぱい 身じろがず
(われもこう ごぜんいっぱい みじろがず)
※新しいクルマの試乗に行った。今のクルマは
中古だから、二つのクルマの間には10年近
くの隔たりがある。話には聞いていたが、IT
絡みの装備は目を見張るほど。
しかし「安全のために必要なもの」と運転手
サポートという名の「大きなお世話」とが混
然としている。
11/6sat
ゴミ寄せに 鴉が消えて 秋の暮
(ごみよせに からすがきえて あきのくれ)
秋深しジュリーのサンフランシスコ
(あきふかしじゅりーのさんふらんしすこ)
※暦には明日7日は立冬。いくら寒いとは言え
今日明日が冬であるとは肌に合わない。年々
のことだ。新旧暦のずれにあるのだから仕方
がない。しかし自分の句作とかには実感を優
先していきたい。まだ当分は秋の暮だ。
ジュリー・ロンドンの低い声が最も似合う季
節。
11/5fri
日に一つ もいで柿食う 余生良し
(ひにひとつ もいでかきくう よせいよし)
※胃のバリウム検査に行ってきた。1時間ごと
の予約制に改まって待ち時間が短くなった。
この街での検査も25回以上を数える。
11/4thu
文化の日 佳きことありて 嗽二度
(ぶんかのひ よきことありて うがいにど)
文化の日 洗濯しつつ 長電話
(ぶんかのひ せんたくしつつ ながでんわ)
※文化の日とて関係の催しはなにもない。展示
だけの文化祭も繰り上げで既に終わっている。
友人の洗濯時の無聊に付き合う。
11/3wed
背の曲がり 正すこと増え 鱗雲
(せのまがり ただすことふえ うろこぐも)
立冬は とうに来るらし 秋霞
(りっとうは とうにきたるらし あきがすみ)
先生の 甲高い声 秋の午後
(せんせいの かんだかいこえ あきのごご)
※もう晩秋である。様々な老化やその兆候を感
じ始めて久しくなるが、これも秋そのもの。
人生の秋の風情。
11/2tue
山中の 食堂ひとり とろろ汁
(さんちゅうの しょくどうひとり とろろじる)
※房総半島の紅葉の見頃は11月下旬から12
月上旬。年によって短く、気がついた頃には
盛りが終わっていたということも。
今の山のドライブコースは人もクルマもとこ
とんまばら。
11/1mon
故郷の 歳時記重し 秋燈下
(ふるさとの さいじきおもし しゅうとうか)
※昭和55年発行の「会津歳時記」がある。横
になって、うとうとしながら長時間見入るの
が至福の時なのだが、大部だけに仰向けのま
までは5分と持たない。
歳時記といっても当時の俳人仲間が集まり、
地域の俳人と先輩の句を発掘して郷土の匂い
がする俳句集を編んでみよう、ということに
なったらしい。どんな歳時記でもその中に自
分の句がのる、残るというのは俳句人の夢。
あれもこれと話と努力は大きくなり、出来上
がりは重くなった。装丁も立派である。
後にも先にもこれだけの目論見はこれ一回だ
け。匂い豊かで、胸に重くなるのを今日も味
わうことにしよう。
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10/31sun
雁渡し 松籟となる 選挙の日
(かりわたし しょうらいとなる せんきょのひ)
秋燈や 小さき埴輪の 目の丸く
(しゅうとうや ちさきはにわの めのまるく)
※埴輪が机上の電気スタンドに照らされて、今
までにない影が出来、なにやら意味ありげに
見える。何か語りかけるようにも感じられる。
新鮮。今日は玉ねぎの畝作りに駆り出された。
夕方散歩と投票に。
10/30sat
秋祭り かつて担ぎし 大神輿
(あきまつり かつてかつぎし おおみこし)
祭礼の ポスター古き 老舗かな
(さいれいの ぽすたーふるき しにせかな)
※盛んだった秋の祭礼も、今は神社に氏子の主
な者が集まり、祝詞を上げお神酒をいただく
だけとか。コロナ以前からそうだったと主は
話す。
10/28thu
山法師の 実に触れてみる 通学路
(やまぼしの みにふれてみる つうがくろ)
甘柿は 送るべしとて 甥の家
(あまがきは おくるべしとて おいのいえ)
※木に残っている柿の実はもう僅か。甘柿大好
きと言ってくれる家に少し送った。取ってま
でして食べないという家が多い。木守り柿と
かのつもりもないみたい。
10/27wed
栗ご飯 まだ長月の 寒き日に
(くりごはん まだながつきの さむきひに)
※気温はひと月以上も先を行っている。旧暦で
はまだ9月長月だ。しかし寒いおかげで、豚
汁と栗おこわという好みの食卓となった。
10/26tue
ホトトギス清貧の否応なしと
(ほととぎすせいひんのいやおうなしと)
※清貧を旨とする高潔な人と少なくとも外見
は同じになった。老い、億劫、金なしに加
え、with コロナで否応なしの清貧である。
中身もそうありたいと願っているが・・・。
10/25mon
二階まで 朝顔の紺 今日は褒め
(にかいまで あさがおのこん きょうはほめ)
※10月下旬だというのにこの家の朝顔は盛
んだ。一階の壁は葉と蔓が蔽いつくし、紫
がかった紺色の花が二階の板壁と窓辺を半
ば隠している。寒い朝、今朝は季節感の異
常さはさておき、清々しさを感じた。
10/24sun
矯められし もみじ形を 取り戻す
(ためられし もみじかたちを とりもどす)
※長年桃の木いや桃の実優先で、枝が重なって
下部にあるもみじがばっさり伐られ、その後
も伸びる度に切られてきた。やっとこの秋、
桃の大枝を切り、もみじの雪辱を果たしてや
った。家人にはこっぴどく叱られたが。
10/23sat
菊坂の 秋簾ふと 見上げおり
(きくざかの あきすだれふと みあげおり)
※菊坂という響きは昭和、それ以前の明治の暮
らしを彷彿とさせた。源は一葉。谷地ともい
える一帯の佇まいは変わりつつも、訪れる人
々は引きも切らない。傍若無人の観光客は住
民の顰蹙を買っている。今も。小生も観光客。
10/21thu
早く去れ 雉狙わんと 威し銃
(はやくされ きじねらわんと おどしじゅう)
※「有害鳥獣の銃による駆除を行います」朝早
く市のスピーカーから流れる。被害のひどさ
は具体的に知っているけれども、雉もなの?
と思った。国鳥ではなかったか。
10/20wed
鳥渡る 細長き空を まっすぐに
(とりかえる ほそながきそらを まっすぐに)
美術展 上野の山で 脚さすり
(びじゅつてん うえののやまで あしさすり)
※久しぶりの東京。狭い通りの両側にマンショ
ンなど高いビルが立ち、空を占拠している。
視界に細長の四角い空がある。以前に親しん
だ通りほど、その空の変貌ぶりに驚く。血中
酸素濃度が低くなる。息苦しい。
10/19tue
降り立って 息白き夜は 栗名月
(おりたって いきしろきよは くりめいげつ)
※旧暦9月13日のこの夜の月(十三夜)を栗
名月というらしい。出かけた帰りの電車内か
らは雲が多くとても駄目だなと諦めていたが、
到着した駅頭からはなんときれいに見えた。
10/17sun
銀杏の やしろ前より 遠くなり
(ぎんなんの やしろまえより とおくなり)
※朝の散歩から足を延ばして「銀杏の社」に向
かう。夢にお告げがあったから。それにもか
かわらず時期はちょっと早かった。小さ目の
が袋一杯ほど。
事件ありて 自然薯掘りを とどまりぬ
(じけんありて じねんじょほりを とどまりぬ)
10/16sat
ヒヨドリと 柿を争う 朝の陣
(ひよどりと かきをあらそう あさのじん)
新語見て 却下却下よ 秋の風
(しんごみて きゃっかきゃっかよ あきのかぜ)
※否応なしに飛び込んでくる新語。仮の略語と
しか言いようがない。くだらないのが多い。
しかし言葉とはそれぞれの世代がその時代に
使い残すものだから拒絶しても始まらない。
自浄能力を信じるしかない。
10/15fri
夕闇や サツマイモ掘る 列残す
(ゆうやみや さつまいもほる れつのこす)
※「なーに今日中に終わるさ」と始めたが、半
分近くは明日以降に。概ねいい出来だが、所
々にネキリムシが試食した痕がある。良い色
の外皮が台無しだ。「だから急がないと」と。
10/13wed
化粧瓶なる濁酒を舐めてみる
(けしょうびんなるどぶろくをなめてみる)
※完全な禁煙をして満一カ月の昨日。ご褒美と
いうわけではないが、ちょっと前にお土産に
もらったドブロクを開けてみた。日本酒の原
酒に近い味? 時間がたっただけ変な味。
10/12tue
月見てる 帰宅困難の 客となり
(つきみてる きたくこんなんの きゃくとなり)
※仲間の中に先日夜の地震のために、ホテル泊
りをしたヤツがいた。羨ましいとか馬鹿とか
褒貶半ばの感想が飛び交っている。
10/11mon
ドビュッシーの 曲より速く 妻歩き
(どびゅっしーの きょくよりはやく つまあるき)
小三治の 音を落として 聞いた秋
(こさんじの おとをおとして きいたあき)
※前の句で多くの人が「月の光」を思い浮かべ
るのでは。月は名月、秋の季語。ゆっくり歩
きたいものだねェ・・・といいたいのかよ。
べらぼーめ~。と小三治が言う。バイク、ク
ラシック、音キチ、俳句・・・凝り性が好ま
しかった。
10/10sun
金木犀 欠伸うつしたき 人のあり
(きんもくせい あくびうつしたき ひとのあり)
摘まむ実の次は柿色を見極めつ
(つまむみのつぎはかき いろをみきわめつ)
※雲の低い日、金木犀の香りが強い。朝散歩帰
りに摘まむ庭の果物がぶどうから甘柿に変わ
った。ぶどうの前は桃。我が家の果物だから
おいしいが、いずれも極めて地味なナリであ
る。それでも豊饒を感じている。
10/8fri
房州の団扇 手に良し 秋団扇
(ぼうしゅうの うちわてによし あきうちわ)
※少し蒸し暑い日が続いた。しまい遅れの団扇
が夏の名残り。
10/7thu
秋の日の翳りてモネの日傘かな
(あきのひのかげりてもねのひがさかな)
※肺炎球菌ワクチンの5年前の接種証明を探し
ているが、当然見当たらない。1回目は定期
接種とかで自治体の一部補助があったが、2
回目は任意接種で9千円前後の自己負担とな
る。基礎疾患(習慣病など)がある者は特に
1回目の接種を呼びかけているが、効能5年
でそれ以降のための接種については呼びかけ
どころかコメントもしていない。どの自治体
も概ね然り。無責任とイワザルベカラズ。
10/6wed
紫煙消え 句読点なき 暮らし秋
(しえんきえ くとうてんなき くらしあき)
※禁煙してもうすぐ一カ月。今が踏ん張りどこ
ろだが、なんともメリハリのない暮らしを感
じてしまう。そう感じること自体情けない話
なのだが。
10/5tue
新米の 旬の野菜の ごとくして
(しんまいの しゅんのやさいの ごとくして)
※当地の稲刈りは早いから新米はとっくに出回
っているとか。昨夜当家の食卓にも。
味はよくわからないが、風味・香りは新鮮で
若々しくていい。少し固めのせいもあるかな。
ん、だんだん味も良くなってきた。
10/4mon
過ぎ行くは 渋皮を剥く 背の時間
(すぎゆくは しぶかわをむく せのじかん)
※散歩道を迂回して野山らしき方に向かう。道
沿いに栗の木があり、夕暮れに落ちた実を拾
っても大丈夫みたい。今年は幸運な日に20
個以上をゲット。中学生の通り道でもあるの
で、これ以上はムリ。結局は買って来て栗飯、
甘露煮と相成る。例年のパターン。
10/3sun
風なくて 雲ありてこそ 蕎麦の花
(かぜなくて くもありてこそ そばのはな)
秋時雨 サ行かすかに 朝の床
(あきしぐれ さぎょうかすかに あさのとこ)
※秋のヤセ蚊に散々やられ、真っ暗なうちに目
が覚めてしまう。無駄な思考はせず、ゆっく
り、あせらず、長い時間を過ごす。これがな
かなか難しい。
10/2sat
秋風や 芭蕉が性を 読みしかな
(あきかぜや ばしょうがさがを よみしかな)
※芭蕉が多方面での人脈と才能を持っていたこ
とは既に広く言われている。曰く、山師、ス
パイ、脱藩コーディネーターとか・・・。
しかし、これらの説は芭蕉の俳句が達した高
みを損なう何物でもない。むしろ、到達の要
因となるものだ。こういう評も多い。賛成。
10/1fri
秋の朝 布団変えての 夢路かな
(あきのあさ ふとんかえての ゆめじかな)
※もう一段厚い掛け布団に替えて、台風接近の
朝は意外と健やかに明けた。予想より遅いせ
いで関東南岸最接近は午後になってからだ。
一昨年来のトラウマはあるが、今回は当地
「進路の西側」に当たる。だから比較的平静。
(伊豆諸島の人々には申し訳ないが)
**********
9/30thu
残り出でし 隠元を食う 余生かな
(のこりいでし いんげんをくう よせいかな)
秋が来て 半藤が昭和を 思いけり
(あきがきて はんどうがしょうわを おもいけり)
※半藤一利の著作をまとめて読んだ。おまけに
今回は細君の末利子のエッセイも。昭和と較
べると、今日は甚だグローバルだけれど変動
要因、不安定要素が何倍にも増えた。
好みで二択ならまだいいのだが・・・。
9/29wed
身構える 台風のコース じわりまた
(みがまえる たいふうのこーす じわりまた)
※一昨年の房総半島台風を思わせる台風16号
の不気味な動き。あの時の暴風のすさまじさ
はそれまでの経験の最高値を遥かに超えてい
た。以来トラウマとなって残っている。
9/28tue
総裁選 まともはおらず 票もなし
(そうさいせん まともはおらず ひょうもなし)
画材にと 桜紅葉の シミが好き
(がざいにと さくらもみじの しみがすき)
※候補者はかなりの一長一短、つまり一人トッ
プの器ではないということ。一方朝の散歩道
で拾ったサクラの落ち葉は「お、これがいい、
やや、これも捨てがたい・・・」。
9/27mon
手の震え 医師はムリだった 泡立ち草
(てのふるえ いしはむりだった あわだちそう)
※70歳台でバリバリ現役の医師はごまんとい
る。手術も在宅医療の担い手も・・・少しは
社会に役立ちたいと思うが。
9/26sun
検診の 人まばらにて 秋の鬱
(けんしんの ひとまばらにて あきのうつ)
※コロナ禍の影響でガン検診の受診者が少ない
とか。昨日行ったところが、例年の半分以下
でスイスイだった。ガンの早期発見がそれだ
け困難になり、国民の健康も損なわれ、医療
費負担も嵩むか。必死に呼びかけてはいるが。
9/24fri
吾亦紅 年齢のみ母に 近づいて
(われもこう としのみははに ちかづいて)
※お彼岸のお中日に犬(外飼い)のシャンプー
をした。最近やけにかゆがるので、いい方の
シャンプーで丹念に。薬効はどうか? 少し
はいいみたい。感謝されている。
9/23thu
天高し 分厚き本の 進まざる
(てんたかし ぶあつきほんの すすまざる)
※図書館からのメールで本屋大賞受賞作の順番
が来たことを知る。予約してから半年近くだ。
難渋している読書中の本の次はこれにしよう。
9/22wed
早きこと 今年いずこも 曼殊沙華
(はやきこと ことしいずこも まんじゅしゃげ)
※庭の白い曼殊沙華も久留里線沿いの真っ赤な
曼殊沙華も見事に咲き揃っている。例年はお
彼岸中日にもやや遅れ気味だったのに。
9/21tue
月明かり 術後の姉の いびきかな
(つきあかり じゅつごのあねの いびきかな)
※コロナ禍下での入院と手術、経過は順調だ。
手術直後に限って5分ほどの対面は許された
が、その後の面会はダメ。届け物もナースセ
ンター経由。患者のわがままも抑止される。
ただし、明月は欲しいまま。
名月や 禁煙の唾 飲みこめり
(めいげつや きんえんのつば のみこめり)
9/20mon
電話口 朝飯中だと 敬老日
(でんわぐち あさめしちゅうだと けいろうび)
咽喉が良し 高音も出る 敬老日
(のどがよし こうおんもでる けいろうび)
※実は9月12日を期して禁煙をしている。過
去のようではなく、本当の禁煙だ。完璧な一
週間が経過した。爽快、ではある。
9/19sun
糸瓜忌や くせ爪すこし 治りけり
(へちまきや くせづめすこし なおりけり)
野球忌や 大谷遥かな 峰に立つ
(やきゅうきや おおたにはるかな みねにたつ)
※9月19日は子規忌。おや、子規忌かい、相
変わらず一年は早いなあ、と思う日。子規に
入れ込んでいた頃は少し前から騒いでいた。
9/17fri
秋の猫 リボンなどして 無視しおり
(あきのねこ りぼんなどして むししおり)
※岩合某氏の猫番組。猫の住む歴史、環境など
によって猫の扱い、扱われ方、そして猫の行
動に様々な違いが生じるものだとわかる。
知らない人には愛想のカケラも見せない猫は?
9/16thu
高安の まちまちな房 ぶどう描く
(たかやすの まちまちなふさ ぶどうかく)
※教室終了後の画材分捕りは熾烈を極める。
シャインマスカットの数粒が、昔ながらの小
粒な甲州ブドウ一房より人気を集める。人気
の甲斐路のピンチヒッターだったとはいえ、
ひどい仕打ちだ。甘いのに・・・・。
9/15wed
露草や 嚥下体操の 音きこゆ
(つゆくさや えんげたいそうの おときこゆ)
※開け放ったデイの窓から、大きな声が聞こえ
る。繰り返しの発声のトレーニングが咽喉元
の働きを強くするとか。
9/13mon
床屋言う かつて健脚 キノコ狩り
(とこやいう かつてけんきゃく きのこがり)
肺ガンの シロ点々と 秋澄めり
(はいがんの しろてんてんと あきすめり)
※行きつけの床屋の主人が三度目の癌の攻めに
直面している。手術が可能かどうか?最適の
抗がん剤は?次の外来で決めることになると
いう。
9/12sun
街道に 医家の門柱 帰燕かな
(かいどうに いかのもんちゅう きえんかな)
※季節は確実に過ぎていく。コロナ休みで休講
だった水彩画も来週には再開、画材は季節の
果物だとか。サボり過ぎ、どうしよう。
9/11sat
刈り残す 品種を尋ね うろこ雲
(かりのこす ひんしゅをたずね うろこぐも)
※当地の稲刈りは一部を残し殆どが終了。2年
前の房総半島直撃の台風襲来日も無事に過ぎ
た。まずは目出度い。あの時の強風と被害、
トラウマが完全には癒えていない。
9/10fri
遠きから 思い思いて 風の盆
(とおきから おもいおもいて かぜのぼん)
※いまだに実現していない富山市八尾のおわら
風の盆見物。九月上旬。かすかな憧れだけが
もう何十年も続いている。
若いころは、風の盆という名前に惚れてみた
り女踊りの清楚さが頭に焼き付いていた。中
年の頃は男踊りの渋さ、凛々しさこそ最高だ
と。そして今・・・。
あ、あそこで車椅子に座って飽かず眺めてい
る、あれが私だ。
9/9thu
草のびて 上下交換の 駅のあり
(くさのびて じょうげこうかんの えきのあり)
※晴れ間が見えても遠出はしない。今日は犬の
餌買いにちょっとだけ。単線久留里線の横田
駅は沿線中ほどの駅で、上り下り各一時間1
本の列車が交差する駅。昼下がり、静寂。
9/8wed
騒がしくなれど九月の歌多し
(さわがしくなれど くがつのうたおおし)
※首相最悪のやめ方。にわかに生臭い話が蔓延
しつつある。一方でNHKラジオでこの何日か
で September Song を3,4回聴いた。しか
も歌い手を変えて。耳に断然懐かしいのはや
はりシナトラ。
9/7tue
法師蝉の 影を奪いて 秋の冷え
(ほうしぜみの かげをうばいて あきのひえ)
長雨の 上がらんとして 虫なけど
(ながあめの あがらんとして むしなけど)
※10月下旬並みの気温。風流の人は惜春のよ
うな言葉はなくとも、行く夏を惜しみ次第に
秋めく今頃をしみじみ味わうというのだが・
・・。
9/6mon
刈入れは 爺がビールつぎ 始まれり
(かりいれは じじがびーるつぎ はじまれり)
※刈入れ作業は勤め人の孫の出番。腰を曲げて
眺めていた爺は初日を終えた孫にビールをつ
いでいる。と思う。去年までの主役息子は姿
が見えない。
9/5sun
秋天や 見上げつ半日 畑におり
(しゅうてんや みあげつはんにち はたにおり)
隠元棚 慈しみつつ 撤収す
(いんげんだな いつくしみつつ てっしゅうす)
※秋は畑作業が最高、とか言われ繰り出す。雨
の間の貴重な晴れ間。大当たりだったインゲ
ン豆。
9/3fri
花桔梗 息子寝んとて 帰り来る
(はなききょう むすこねんとて かえりくる)
※アフガニスタン米軍撤退とその後の混沌。
9/2thu
御仏を うたう父の句 二百十日
(みほとけを うたうちちのく にひゃくとうか)
※一気に十月上旬並みの気温に。豪雨被害はあ
ったが、台風の襲来はいまのところ少な目だ。
9/1wed
待ち兼ねて 雨音ソフト 八月尽
(まちかねて あまおとそふと はちがつじん)
秋雨や 雨城楊枝の 代替わり
(あきさめや うじょうようじの だいがわり)
※やっと一雨。雨城は久留里城の別名。長く城
下で作り伝えられた黒もじ楊枝がある。
**********
8/31tue
爽涼や 係船洗う 細き腕
(そうりょうや けいせんあらう ほそきうで)
※久しぶりに木更津港のそばを通った。日中の
気温は今日ぐっと低く、凌ぎやすい。砂利運
搬船が数隻いるだけ。
8/30mon
ホームラン 客なき席に 夏終わる
(ほーむらん きゃくなきせきに なつおわる)
※コロナ禍の真っ最中に、甲子園とパラリンピ
ック。やや不自然な多忙感。プツンッと切る
と田舎の超静寂な午後に。夏今終わる。
8/29sun
塗装屋の 足場の払い 速く秋
(とそうやの あしばのはらい はやくあき)
※近くで長々と丁寧に作業をしていた業者が仕
事を完了した。撤収作業。今日は素早い。
8/27fri
秋暑し 茶筅をしかと 手入れする
(あきあつし ちゃせんをしかと ていれする)
※もどった暑さは一段と強烈、当地は昨日今季
初めての猛暑日をを記録した。
8/26thu
新しき 稲刈り機動く 爺も見る
(あたらしき いねかりきうごく じじもみる)
※中旬までの長雨で大部分倒れた稲田がある。
全く丈夫な田も多い。暑い一日。
8/25wed
調剤の 袋を問われ 残暑かな
(ちょうざいの ふくろをとわれ ざんしょかな)
※毎日飲む薬がまた一つ増えた。山となった薬
を手渡しながら、可愛い薬局のお姉ちゃんが
言ったものだ。「一日おきの薬が多いから大
丈夫ですか?ちゃんと飲めますか?」
バーヤロー!
8/24tue
仕舞た屋に 都会の子いる 秋暑し
(しもたやに とかいのこいる あきあつし)
※東京ナンバーのクルマが子供を迎えに来たと
ころらしい。2学期もどうにか始まるようだ。
8/22sun
商店の消えゆく秋ぞ空を見る
(しょうてんの きえゆくあきぞ そらをみる)
ショーケースに 時計残れり 今朝の秋
(しょーけーすに とけいのこれり けさのあき)
※地方都市の個人商店はこの国の政策で消えゆ
く運命。主の高齢化などで、櫛の歯が抜ける
ようにパタパタと、しかし着実に消え去る。
8/20fri
ゆっくりと 猫が横切る 盆の明け
(ゆっくりと ねこがよこぎる ぼんのあけ)
日に一度 棚のブドウを 摘まみ食い
(ひにいちど たなのぶどうを つまみぐい)
※あれだけの前線が動き、夏の暑さがもどった。
しかし盆明けの世の中の活動再開は?
8/19thu
クロエーの 髪に秋風 手櫛さす
(くろえーの かみにあきかぜ てぐしさす)
※古代ローマ時代の小説のヒロイン、クロエー。
句が出来ないー。こういう日もある、多い。
8/18wed
塔の隅 見詰めて描く 夏帽子
(とうのすみ みつめてえがく なつぼうし)
※また暑い夏がやってきた。立派な山門を残す
寺に子供たちがスケッチしている。外出もま
まならなかったから、付き添いの人が見当た
らないのに、さぼらずに熱心に描いている。
見習わなければ・・・。
8/17tue
新涼というな前線居座れる
(しんりょうというな ぜんせんいすわれる)
※長雨のせいで気温は下がり、爽やかなとも言
える。当地の稲作農家は盆明けの刈り取りを
前にして、倒れた稲を苦々しく見つめる。
一方、水没した西日本の農家は悲嘆に暮れて
いる。
8/15sun
百日草 在宅治療という不安
(ひゃくにちそう ざいたくちりょうというふあん)
※血中酸素濃度94%以上は在宅治療とか。マク
ロの正解を導くための明快すぎる基準。
8/14sat
花魁草 我が家を去りて この宿に
(おいらんそう わがやをさりて このやどに)
※どこの庭も菜園もこの雨続きで手が入らない
ようだ。我が家も同様。西日本の被害状況の
ニュースを見れば、まだまだ恵まれている。
8/13fri
西瓜乗せ 売り声テスト 繰り返し
(すいかのせ うりごえてすと くりかえし)
※列島全体が前線に覆われ、豪雨の危険が広ま
る。気温が下がり、さすがに西瓜の季節は終
わりそう。知合いの西瓜農家も軽トラに満載
し、盆休みの客を頼みに出かける。
自家製の 小玉西瓜を 半分こ
(じかせいの こだますいかを はんぶんこ)
8/12thu
虹現れて 風の通りで 見んとする
(にじあれて かぜのとおりで みんとする)
※先日夕方の二度の夕立ちで、二つの虹が現れ
た。なかなか見事だった。風の通りは一番涼
しい通り、息を切らして駆け付けた。
声なくも 片陰つくる 幼稚園
(こえなくも かたかげつくる ようちえん)
8/11wed
草むしる 目線でじっと 我が家見る
(くさむしる めせんでじっと わがやみる)
※蚊取り線香をしっかり腰に巻いて草むしり。
この目線、この眺めは新鮮。下から目線。住
んで20年以上になるのに・・・。カメラに
収めると狭い庭が数倍の広さに見える。
8/9mon
片陰を スマホのラジオ ならし行く
(かたかげを すまほのらじお ならしゆく)
※オリンピック絡みの放送が消えると、こんな
にも変わるものか。一種静寂という感じ。
これでコロナ禍関連がなくなったら、この世
は何をテーマに回っていくのだろう。
8/8sun
包丁と テレビの音と 晩夏かな
(ほうちょうと てれびのおとと ばんかかな)
※日がな一日テレビに見入る亭主といやでもお
さんどんをする家内。もうそろそろ飽和状態
に近づいたところで、台風と五輪は閉会式だ。
長かった強雨がようやく上がったところで、
昨日が立秋だったことを知った。
8/7fri
原爆忌後期高齢者の二年
(げんばくき こうきこうれいしゃのにねん)
※原爆投下後76年。自分の満年齢に同じ。方
向性を持った着実な動きの象徴になればと思
うが、ここにも小さな分断が蔓延り、根付い
て久しい。
8/5thu
定斎屋の 売り声知らず 盛夏かな
(じょさいやの うりごえしらず せいかかな)
※街も住宅地の通りも見事に閑散。暑気払いの
薬を売り歩く天秤棒を担いだ薬屋。江戸の風
物詩。これ自身が季語だとか。
8/4wed
呆けては 知命いまだに 夏暖簾
(ほうけては ちめいいまだに なつのれん)
※50の歳は遥かになったが、「このまま行く
ことになるなァ」と暫く顔を見ていない友人
と話す。呆けてきそうな午後の話題。
8/3tue
とまる人あり暑しとも言わず行く
(とまるひとあり あつしともいわずいく)
※蒸し暑い。この朝も修行僧のごとく歩く人が
いる。初の熱帯夜になっても時刻はいつもと
同じだ。
8/2mon
豪雨去り 橋脚白し 土用かな
(ごううさり きょうきゃくしろし どようかな)
※不安定な天気になって、午前中の猛暑と午後
の雷雨というのがパターンになりつつある。
気象予報が今ほどでなかった頃は、この天気
パターンを「夏の天気の決まりごと」として
認識していた。
夕方の突然の驟雨と雷鳴、予測されると風物
詩とは言えなくなった。損をしている。
**********
7/31sat
地元紙にくるまれ母の夏野菜
(じもとしに くるまれははの なつやさい)
※下宿先で空に浮かんだ五輪マークを見た。
57年前の10月。東京生活1年目のあの頃、
こういうものが届いた。
7/30fri
激増も マスクと夏の 暮らしかな
(げきぞうも マスクとなつのくらしかな)
勤めあり 熱帯夜あり 五輪あり
(つとめあり ねったいやあり ごりんあり)
※どんなに感染が拡大しても工場勤務は続く。
都心から放射される拡大の波はこれ以上協力
しても限界。抵抗できない・・・と。体力を
誇る知人の息子のコロナ禍2題。
7/29thu
炎天や 白髪だけの 溝掃除
(えんてんや はくはつだけの みぞそうじ)
風鈴の 短冊に願い かけ直し
(ふうりんの たんざくにねがい かけなおし)
※一都三県の感染者数はなにやらキナ臭い匂い
までしそうだ。ピークアウトするのか、更に
暴騰となるのか。
7/28wed
この夏は 遅めの出会い 川とんぼ
(このなつは おそめのであい かわとんぼ)
※興味に任せてテレビ観戦を続けていると、エ
アコンはつけているのに頭がおかしくなりそ
う・・・。自重と口だけでは駄目。年齢相応
の自制を、と再度の自戒。
7/27tue
朝市の 婆こっくりと 紅蜀葵
(あさいちの ばばこっくりと こうしょっき)
※漁港近くの朝市はコロナ禍とオリンピックが
かさなり、地元客だけがパラパラと散歩がて
らの買い物。何十年か前にもどったようだと。
7/26mon
夏の日や 力出し切る 妙ありて
(なつのひや ちからだしきる みょうありて)
百日紅 五輪の色に 咲き初める
(さるすべり ごりんのいろに さきそめる)
※五輪のテレビ観戦を少し控えなくては・・・
と自戒。日本選手の活躍を追おうとは思って
いないのだが、昨日などは自然にそうなって
しまった。今日も自重、自重と念じつつ観戦
三昧。
7/24sat
雷が清め開会式の夜
(かみなりがきよめ かいかいしきのよる)
※紆余曲折を非難されつつも、昨夜の開会式。
控えめとの感想がありつつ、自己主張や国威
発揚の要素は少なく、自国の伝統や文化に過
度に固執することもなく、大人の開会式運営
だった、と思う。
7/23fri
打ち水や リサイクル屋の 浴衣見る
(うちみずや りさいくるやの ゆかたみる)
※衣料や小物を中心としたリサイクル屋がある。
女主人が浴衣姿でホースで水撒きしていた。
7/22thu
白玉や 墓の話を 少しして
(しろたまや はかのはなしを すこしして)
※後期高齢者の仲間入りをして、お墓はその使
用時期が近づいている。しかし夫婦で考え方
が違う。それで「ま、いいか、そのうちに・
・・」とほっといてある。
7/21wed
夏の庭 たしかに降った はずなのに
(なつのにわ たしかにふった はずなのに)
※夜中にかすかな雨音を聞いた。そういえば少
し涼しくなった。これはいい・・・。朝、雨
の痕跡は皆無。気象の記録も降雨は0。なん
だったんだ、あれは?
7/20tue
まっすぐに来てさっとよけ夏の蜂
(まっすぐにきてさっとよけ なつのはち)
※長雨と土砂災害、相変わらずのコロナ渦に猛
暑が加わった。右往左往しているうちにオリ
ンピックが直近に迫っていた。
7/19mon
浮草の稼業や三十年人恋し
(うきぐさのかぎょうやみそとせひとこいし)
※小津安二郎監督の映画「浮草」、ひと夏の小
さな漁師町での人の触れ合いと夏の風物を謳
っている。珠玉。
7/18sun
はつどれの 西瓜抱えて たたきおり
(はつどれの すいかかかえて たたきおり)
※ラグビーボール型の小玉西瓜。
「この音どう?」と聞かれても一個だけでは
とんとわからない。テレビで習った高い畝を
作って苗を植え、稲わらを敷き詰めるまでの
仕事は私、受粉のために何度も通ったのは家
内。意気揚々としている。
7/16fri
近道の 線路を跨ぐ 日傘かな
(ちかみちの せんろをまたぐ ひがさかな)
※朝一番の散歩で雲の形を見て「今日梅雨明け」
を確信した。案の定・・・。まだ堂々とはし
ていないけれども、ミニ積乱雲がニョキニョ
キ無数に立っていた。
7/15thu
雨降りの パリ祭とかに 手術決め
(あめふりの ぱりさいとかに しゅじゅつきめ)
※去年の今頃は、まだコロナ禍の何たるかにつ
いて殆ど知っていなかった。アソコの病院は
感染者が担ぎ込まれた、他の手術はキャンセ
ルされる、外来も控えた方がいいとか・・・。
肝心の克服はまだだけれども大分敵の正体は
わかってきた。必要な手術は受けよう。
7/14wed
麻のれん 都会の路地の あの日かな
(あさのれん とかいのろじの あのひかな)
※足が遠のいてどのくらいかなァ? 長雨と暑
さと、気候の変動に翻弄される日々・・・、
暮らしを作る力にふと弱さを感じる。
7/12mon
青梅雨や 落ちたる桃に 色微か
(あおづゆや おちたるももに いろかすか)
捩じり花 二回目無事と 返信し
(ねじりばな にかいめぶじと へんしんし)
※豪雨の後は晴れ間を待ち望んだが、梅雨明け
間近と言われると恐怖の真夏の日々を思い出
す。オリンピックがあるし、只ならぬ胸騒ぎ
も少し。無事を祈りたい。
7/11sun
祖父来る 麦わら帽子の 痕しかと
(そふきたる むぎわらぼうしの あとしかと)
※祖父は夏の外出にはどこに行くにしても昔風
の麦わら帽子をかぶって出かけたらしい。
70年以上過ぎて、私の日常も変わらず愛用
している。祖父が我が家を訪ねて、というこ
とはあり得ないが。
7/9fri
扇風機 車内で首ふる ヤツ恋し
(せんぷうき しゃないでくびふる やつこいし)
※東京での通勤時代の前半は電車にエアコンは
なかった。今日みたいな蒸し暑い日でなくと
も夏の車内は毎日が地獄だった。
7/8thu
御田植祭 乙女の白い 角かくし
(おたうえさい おとめのしろい つのかくし)
※未婚のきれいな女性が花嫁姿で30数名も。
文金高島田に角隠しの行列。旧会津田島町の
伝統の御田植祭り(祇園祭)は6月の遅い田
植えを無事終えて、7月に行われる。
(ただし今年の花嫁行列は中止)
7/7wed
梅雨明けず 瓜盗人という 季語のあり
(つゆあけず うりぬすっとという きごのあり)
卒寿翁 聞こえずはただ 聴かぬなり
(そゆじゅおう きこえずはただ きかぬなり)
※矍鑠としている先輩は目と耳の衰えを訴える。
外界の動きには旺盛な好奇心があるから、存
外耳の方はインプット次第ということかも。
7/6tue
梅雨晴れや 園児の声と 松籟と
(つゆばれや えんじのこえと しょうらいと)
梅雨晴れや デイの窓みな 開けられて
(つゆばれや でいのまどみな あけられて)
※三日三晩の雨が上がった。まだ怪しい空模様
である。長続きはすまい。ここは大きく深呼
吸というところか。
7/4sun
葛餅や 黒文字楊枝 舐めて終え
(くずもちや くろもじようじ なめておえ)
※遠くの大先輩の声が聞けた。卒寿。変わらぬ
声が懐かしい。雨も一休み。
7/3sat
長雨や 桃の実落ちる 音二つ
(ながあめや もものみおちる おとふたつ)
※下屋に落ちた実は雨音にも負けない音がする。
その度に私と家内は嘆息をもらす。
7/2fri
梅雨寒や スマホの容量 持て余し
(つゆざむや すまほのようりょう もてあまし)
※今回の雨はすごい。殆ど間断なく三日目。明
日いっぱいは降り続く模様。出かけてもラジ
オを聴くか、カメラを使うのが主体のスマホ
は1ギガ月千円で十分、なんとガラケー時代
よりも安価で済んでいる。家ではWi-Fi。
7/1thu
枇杷熟るる 二回目無事と 返信し
(びわうるる にかいめぶじと へんしんし)
ワクチンや オクラの花の頃に受く
(わくちんや おくらのはなのころにうく)
※ワクチン2回目の接種を終えた。2回目後の
方が副反応が出やすいと言われる。家内も数
日前、接種部位の腫れと痛みが続き、それが
原因と見られる熱が出た。静かにしている。
12/31fri
コロナ禍や なれど住処に 蜜柑熟れ
(ころなかや なれどすみかに みかんうれ)
冬型の 高気圧良し ガラス拭き
(ふゆがたの こうきあつよし がらすふき)
ご無沙汰しご無沙汰されて除夜の鐘
(ごぶさたしごぶさたされてじょやのかね)
※大晦日の今日、いつもより多めに飲んで、早
めに床に就くのが恒例。「いく年くる年」は
朝ゆっくり見る。
12/30thu
似せ絵しか 描けぬ哀しさ 年の暮れ
(にせえしか かけぬかなしさ としのくれ)
※水彩画、「描きたいのを好きに描けば良い」
と思うのだが、これがなかなか・・・。
水滸伝 年末までに 終わらざる
(すいこでん ねんまつまでに おわらざる)
12/29wed
誕生日 大根焚きに 揚げ入れて
(たんじょうび だいこんだきに あげいれて)
抱負をという声なくて誕生日
(ほうふをというこえなくてたんじょうび)
※使い慣れていないスマホで、食事に訪れたフ
ァミレスのアプリをインストールしたら、な
んと20%割引の上に誕生祝いとかで大きめの
ケーキまでプレゼントされてびっくり!
12/28tue
老庭師 鋏み風に乗る 年の暮れ
(ろうにわし はさみかぜにのる としのくれ)
極月や 垣の揃いに こだわりて
(ごくげつや かきのそろいに こだわりて)
※元プロの義兄が手入れしてくれたものだが、
代わりの老庭師の腕はまだつたない。でも鋏
の音だけはいいようだ。刃物の世話が上手な
のかも。
12/27mon
年内の 仕事と言われ 蜜柑もぐ
(ねんないの しごといわれ みかんもぐ)
※先日述べた蝉の抜け殻が落ちないようにそっ
と鋏を入れる。去年は裏作の年でほんの少し
しか実をつけなかったが、今年は大丈夫!
背の高さほどの、一抱えほどの木一本なのだ
が、ざっと120個くらいかなと皮算用をし
ている。味もいい、濃厚さもある。
12/25sat
金星の 西に隠れて 聖夜かな
(きんせいの にしにかくれて せいやかな)
おとなしい 番組見たり 聖夜なり
(おとなしい ばんぐみみたり せいやなり)
平らかに 聖地の星を 調べたり
(たいらかに せいちのほしを しらべたり)
かしこみつ 上皇様の お歳聞く
(かしこみつ じょうこうさまの おとしきく)
※作夜はクリスマスイヴ。上皇様とは誕生日が
12年と5日違い。干支も同じ。
12/24fri
空蝉や ミカンの枝で 年を越す
(うつせみや みかんのえだで としをこす)
※実写生でもこれはいけないと言われそう。季
語が三つも重なっている。空蝉、ミカン、年
越し。ミカンをもいで試食した時に発見、こ
んなのもいいじゃないかな。
12/23thu
句を添えて 師走の動画を 温めり
(くをそえて しわすのどうがを あたためり)
※今春スマホユーザーとなったのを機に、その
機動性、カメラの高機能を活かして、動画を
アップすることを思いついた。既に30本近
くをアップロード済だ。
しかし動画といっても静止画を繋いで季節の
5句を盛り合わせ、そこに好きな音楽をBGM
とするものだ。1本が3分弱で飾り気のない
動画である。当然見てくれる人は殆ど0。
これが本人には意外と新鮮な「句帳」となる
ことに気がついた。句の羅列より思い出深い、
面白い。メインは句なのか、写真なのか、音
楽なのかすら・・その時々。これが無料とは。
12/23wed
朝コール 声も馥郁 冬至たり
(あさこーる こえもふくいく とうじたり)
柚子なきを 謝して冬至の ジャスミン湯
(ゆずなきを しゃしてとうじの じゃすみんゆ)
冬至日や 光あるうち 長湯かな
(とうじびや ひかりあるうち ながゆかな)
※今日まで太平洋側は比較的暖か。穏やかな冬
至の晴れ間にホッとする。明日からは一段と
寒さが増すとか。今日は頑張って、句の動画
を5個 YouTubeにアップした。
12/21tue
容保は 宸翰胸に 冬すみれ
(かたもりは しんかんむねに ふゆすみれ)
※大通りの歴史が少しずつ見直されている。慶
喜の幕末への思い、容保の誠意吐露、共に朝
敵とされたことへの反発等々。一朝に全てが
きれいに繋がるものではないが・・・。
12/20mon
路地を来て 神田駅前 冬ぬくし
(ろじをきて かんだえきまえ ふゆぬくし)
※久しぶりに神田小川町近辺に行った。帰途は
知ったかぶりをして路地をめぐり遠回りの神
田駅に出ようとした。道路は最盛期?のよう
には導いてくれなかった。スジ違いを何度か
犯した。されど結果は勝手知ったる神田駅界
隈。この辺はまだ大丈夫。
12/19sun
そこらじゅう痒いが目良し耳も良し
(そこらじゅうかゆいがめよしみみもよし)
寄せ鍋も辛くせよ赤くせよという
(よせなべもからくせよあかくせよという)
コロナ禍も上司落研湯気揺れる
(ころなかもじょうしおちけんゆげゆれる)
※年末清掃の束の間に川柳3題
12/18sat
冬の雲日没早くならざる日
(ふゆのくもにちぼつはやくならざるひ)
※日中の時間が一番短いのは冬至の日だが、日
の入り、日没が早いのは冬至以前の12月上
旬、その分日の出が一番遅いのは冬至後の12
月下旬だとか。少し賢くなった。
12/17fri
山茶花や 公家の住まいの 石の塚
(さざんかや くげのすまいの いしのつか)
※かなり以前の冬の日に或る公家の住居跡を訪
ねたことがあった。京都の寒さを身体で思い
知った一日だった。
12/16thu
目うつろに 呆けし役を 初時雨
(めうつろに ほうけしやくを はつしぐれ)
※俳優山崎努が認知症の老人を演じる映画を見
た。目の表情が真に迫っていた。
12/15wed
寒き日や 喪中の葉書 集めけり
(さむきひや もちゅうのはがき あつめけり)
念入りに 少なき賀状 炬燵かな
(ねんいりに すくなきがじょう こたつかな)
※賀状をゆったり書くという経験はない。枚数
をこなすためについ生産的な方法をその都度
考えるからだ。しかし今年は違った。大幅に
枚数を減らし、本来の?書き方に戻った。あ
せってもいない。
12/14tue
義士の日や 堀部弥兵衛の 齢となり
(ぎしのひや ほりべやへえの としとなり)
※冷たい午前、雪が落ちてきてもおかしくない。
安兵衛の義父で、義士の最高齢。自分の年齢
を考えるのに変に現実感がある。
12/13mon
白菜や 妻息災に ざくと割く
(はくさいや つまそくさいに ざくとさく)
※この音、力強いザクッと・・・元気印。
新海苔や 百年の名産 送りたり
(しんのりや ひゃくねんのめいさん おくりたり)
12/12sun
しつこさで 癌に克つさと 冬帽子
(しつこさで がんにかつさと ふゆぼうし)
※再発した肺ガンに化学療法を続けている床屋
はげっそり痩せたが、禿げあがった頭と目力
は精悍でなお意気軒高だ。
12/11sat
身につかず終いの楽器大掃除
(みにつかずじまいのがっきおおそうじ)
※今日明日の気温はぐっと高くなるとあって、
大掃除その1と指定され、召集を受ける。
12/10fri
花札を二人向かいて冬日向
(はなふだをふたりむかいてふゆひなた)
背伸びして取らん梢のレジ袋
(せのびしてとらんこずえのれじぶくろ)
※今朝の気温は厳しいが、十分な日差しが救っ
てくれる。
12/9thu
開戦の日 熱狂せしか 吾もまた
(かいせんのひ ねっきょうせしか われもまた)
※対米開戦80周年の今年は当時の状況発掘のニ
ュースや資料が多い。対中戦争の泥沼化、米
国中心の対日圧迫政策、軍部の好戦姿勢と国
民の支持、開戦に至った要因は様々なウェイ
ト付けが可能だ。
12/8wed
冬ごもり ペトルーシュカを 聴けと友
(ふゆごもり ぺとるーしゅかを きけととも)
ネットに出 たちまち主役 金目鯛
(ねっとにで たちまちしゅやく きんめだい)
※北海道に住んでいた頃、囲炉裏焼き屋で金目
鯛やホッケは馴染みの魚だった。ところが金
目鯛はその後出世?し、内地(北海道では本
州をこう呼んでいた)で高値となった。今や
ネットでももてはやされているとか。
当時から小生はホッケにより親近感を覚えた。
うまいし塩の香りがする。しかし今や居酒屋
では結構高い。ホッケ、お前もかッ。
12/6mon
極月も あかつき闇を 重宝し
(ごくげつも あかつきやみを ちょうほうし)
同じこと 言う人の来る 落ち葉焚き
(おなじこと いうひとのくる おちばたき)
※加齢のせいばかりではなく親からの遺伝もあ
って深夜から未明の時間に目覚め、そのまま
長い時間を過ごすことが多い。あせることも
あるが読書時々うつらうつら・・・楽しめる
ようになった。冬は寝巻の下に長袖のシャツ
を着ていても、寝床から腕を出すと寒いので、
作業用の手さし(袖カバー)を用意している。
厳寒期には指先出し手袋も。
12/4sat
師走来る 時の会釈は 少しだけ
(しわすくる ときのえしゃくは すこしだけ)
垣根刈る 冬支度かと 言われたき
(かきねかる ふゆじたくかと いわれたき)
※早いものだ、と常套句を言わねばならない。
遠慮会釈のない時の流れ。流れに沿って、昔
流の冬支度を。
12/2thu
舳倉島 渡りの鳥の 五万とぞ
(へぐらじま わたりのとりの ごまんとぞ)
※快晴、晩秋の能登舳倉島の様子を見た。テレ
ビで。渡りの鳥のまたとない中継地だ。夥し
い種類と数。多くはシベリアからで冬を日本
以南の地で過ごすためにきている。すごい、
生命力に溢れた島。
12/1wed
勲一等の 柿は一葉に 師走来る
(くんいっとうの かきはひとはに しわすくる)
※今年の柿はたった一本ながら、たわわに甘い
実をつけ、シニアに毎日の楽しみをくれた。
勲一等功一級ものだ。
**********
11/30tue
秋野菜 画材として後 分けたまふ
(あきやさい がざいとしてのち わけたもう)
秋の暮 一幕ものの 場を数ふ
(あきのくれ いちまくものの ばをかぞふ)
※我が創作にかかる芝居、長かったなァと思っ
たが、アレッ・・・一幕だったか? 今から
考えると色んな幕があって良かった、そうす
るつもりだったのに。残念。まあ場数は多い
し、今も続いているね。
しかしぃ・・ちょっと待ってェな。ちょっと
書き換えるやさかい。エエェ、出来ひんて?
そ、そんな後生な・・・。
小春日の 人居ぬ園や 獏眠る
(こはるびの ひといぬえんや ばくねむる)
11/28sun
小春日や なに食うたとから 長電話
(こはるびや なにくうたとから ながでんわ)
※スマホで通話はスピーカーで。そして胸のポ
ケットに突っ込んだまま話をする。両手フリ
ーで。長引く友人とのスタイルがこれに落ち
着き、スマホって便利だなァと感心。大いに
笑われた。女の長電話を実体験中。
11/26fri
足腰の かすかに重く 石蕗の花
(あしこしの かすかにおもく つわのはな)
※金木犀の生垣の剪定をやった。2日がかり。
11/25thu
母くれし やなぎ行李よ 冬支度
(ははくれし やなぎごうりよ ふゆじたく)
友の笑み 蝶々とともに 冬茜
(とものえみ ちょうちょとともに ふゆあかね)
※後輩の蝶キチの撮った写真が来年のカレンダ
ーに採用されたと、それを贈ってくれた。立
派な全国版で、彼の渾身の写真12枚が各月
を飾っている。すごい出来だ。嬉しい。
11/23tue
マップ上 動線たどる 一葉忌
(まっぷじょう どうせんたどる いちようき)
※一葉人気は根強い。都心の3か所の旧居跡を
訪ねる人は引きも切らず、ネットの「一葉暮
らしの研究」もいまだに旺盛のよう。
・・・アソコへはここを通ったとか、品を仕
入れにアノ道を行った、この道は何歳の時誰
を訪ねに通ったとかである。都心散歩の多く
のファンに支持されているのではと思う。
11/22mon
デジタルや 愁思の顔も 修正し
(でじたるや しゅうしのかおも しゅうせいし)
※顔の整形、といっても画像上のことだが。思
う通りの方向に自分の画像を修正してくれる。
以前からこの手のソフトはあったが、空前の
進歩をしているというのだ。
空前も 過ぎたらてんで 他人の顔
最近、こういう小手先の開発ばかりだ。
11/21sun
起きるには まだたっぷりと 酉の市
(おきるには まだたっぷりと とりのいち)
大いなる がま口腰に 酉の市
(おおいなる がまぐちこしに とりのいち)
冷え込むや 帽子深めに お酉様
(ひえこむや ぼうしふかめに おとりさま)
※久しぶりに熊手の店、露店の行列。ただお参
りの客は寂しくて涙が出るほどの閑古鳥。威
勢のいい手拍子もそこかしこに少しだけ。が
ま口も空いたままか。今年は二の酉どまり。
11/20sat
秋の暮れ 種の袋の 字のうすし
(あきのくれ たねのふくろの じのうすし)
※秋植え用に大切に保存しておいた種子がなん
なのかわからない? 袋の上の鉛筆のメモが
薄れている。そんなの知るか!! 種を見て
もわからないのか?
11/19fri
秋の暮 パテシエ修行の 娘が嫁ぐ
(あきのくれ ぱてしえしゅぎょうの こがとつぐ)
※ケーキ店開業の夢は諦めて結婚するとか。小
さいころから知っている、甥の娘だ。まあそ
れもいいだろう、幸せを祈る。
11/18thu
七五三 子のつく名前 参り札
(しちごさん このつくなまえ まいりふだ)
病葉も 岩風呂に入る 旅の宿
(わくらばも いわぶろにいる たびのやど)
※PCでダウンロードした曲を整理してはせっせ
とスマホに移し、オフで聴ける手筈を整えて
いる。へへ、音の悪いのはリジェクトする。
YouTubeは駄目。
11/17wed
時雨忌や 二の橋を越え 深川へ
(しぐれきや にのはしをこえ ふかがわへ)
※時雨忌は芭蕉の忌日、陰暦10月12日。ゆ
かりの深川へはいつも本所側から歩いて、門
仲をゴールにする。
本所二の橋のたもとには軍鶏なべや「五鉄」
の跡地がある。鬼平の行きつけ。
11/16tue
さざんかや 昵懇の犬 動かざる
(さざんかや じっこんのいぬ うごかざる)
※若い秋田犬が道路のあっちで腹ばいになって
動かないでいる。我が家の犬に興味あっての
ことではない。実はお目当ては小生である。
11/15mon
小春日は畑でワイヤレスイヤホンで
(こはるびははたでわいやれすいやほんで)
秋夕焼 電車の音で 腰伸ばす
(あきゆやけ でんしゃのおとで こしのばす)
幾百の 玉葱植えて 腰立たず
(いくひゃくの たまねぎうえて こしたたず)
※3列の長い畝に黒マルチを張り、300本弱
の玉葱の苗を飽きずに植える。しかし来年の
春までは手間いらず。5月前半収穫の早生。
11/14sun
人の顔したる源氏の人逝ける
(ひとのかおしたるげんじのひとゆける)
※瀬戸内寂聴逝去。若いころは一般的な世評に
乗って、おやおやという思いで眺めていたが、
自分がそこから解き放たれると彼女の顔が生
き生きと穏やかに見え始めた。ますますそう
なった。合掌。
11/12fri
どっしりと 家伝の砧 壁にあり
(どっしりと かでんのきぬた かべにあり)
※郊外から移築した豪農の民家が公園にある。
様々な農具、民具を入れ替わりで展示してい
た。機織りの仕上げに反物の布打ちに使った
とか。生乾きの洗濯物をたたいて柔らかくし
たり皺をのばしたりもした。昔村落の家々で
砧の音がした・・・有名なその光景とは、な
にをしていたんだろう? 聞きそびれた。
11/10wed
男手が スマホを見つつ 菊膾
(おとこでが すまほをみつつ きくなます)
※季節感はあっても好きなものではない。何度
か口にする機会はあったが、ちょっと舌先で
感じてすぐに飲み込む類のものだった。せっ
かくの到来物の食用菊、少し前進したい。年
齢並みに。
11/9tue
歩きけり 新酒試飲は 障子部屋
(あるきけり しんしゅしいんは しょうじべや)
※今は近くに醸造会社はない。昔々の話。
望みしも 秋刀魚一向に 気配なし
(のぞみしも さんまいっこうに けはいなし)
11/8mon
海舟の 呼吸が聞こえる 坂の秋
(かいしゅうの いきがきこえる さかのあき)
※勝海舟は赤坂の地を愛し、都合3度も場所を
変えて住まいした。幕末は氷川下。その場所
はマンションの林の中に埋没しているが、近
くの氷川神社や氷川坂には往時の息吹が残っ
ているように感じた。交通の激しい大通りの
間にあって、不思議な静寂がある。
11/7sun
墓売れて にわか夜なべの 石工かな
(はかうれて にわかよなべの いしくかな)
吾亦紅 午前いっぱい 身じろがず
(われもこう ごぜんいっぱい みじろがず)
※新しいクルマの試乗に行った。今のクルマは
中古だから、二つのクルマの間には10年近
くの隔たりがある。話には聞いていたが、IT
絡みの装備は目を見張るほど。
しかし「安全のために必要なもの」と運転手
サポートという名の「大きなお世話」とが混
然としている。
11/6sat
ゴミ寄せに 鴉が消えて 秋の暮
(ごみよせに からすがきえて あきのくれ)
秋深しジュリーのサンフランシスコ
(あきふかしじゅりーのさんふらんしすこ)
※暦には明日7日は立冬。いくら寒いとは言え
今日明日が冬であるとは肌に合わない。年々
のことだ。新旧暦のずれにあるのだから仕方
がない。しかし自分の句作とかには実感を優
先していきたい。まだ当分は秋の暮だ。
ジュリー・ロンドンの低い声が最も似合う季
節。
11/5fri
日に一つ もいで柿食う 余生良し
(ひにひとつ もいでかきくう よせいよし)
※胃のバリウム検査に行ってきた。1時間ごと
の予約制に改まって待ち時間が短くなった。
この街での検査も25回以上を数える。
11/4thu
文化の日 佳きことありて 嗽二度
(ぶんかのひ よきことありて うがいにど)
文化の日 洗濯しつつ 長電話
(ぶんかのひ せんたくしつつ ながでんわ)
※文化の日とて関係の催しはなにもない。展示
だけの文化祭も繰り上げで既に終わっている。
友人の洗濯時の無聊に付き合う。
11/3wed
背の曲がり 正すこと増え 鱗雲
(せのまがり ただすことふえ うろこぐも)
立冬は とうに来るらし 秋霞
(りっとうは とうにきたるらし あきがすみ)
先生の 甲高い声 秋の午後
(せんせいの かんだかいこえ あきのごご)
※もう晩秋である。様々な老化やその兆候を感
じ始めて久しくなるが、これも秋そのもの。
人生の秋の風情。
11/2tue
山中の 食堂ひとり とろろ汁
(さんちゅうの しょくどうひとり とろろじる)
※房総半島の紅葉の見頃は11月下旬から12
月上旬。年によって短く、気がついた頃には
盛りが終わっていたということも。
今の山のドライブコースは人もクルマもとこ
とんまばら。
11/1mon
故郷の 歳時記重し 秋燈下
(ふるさとの さいじきおもし しゅうとうか)
※昭和55年発行の「会津歳時記」がある。横
になって、うとうとしながら長時間見入るの
が至福の時なのだが、大部だけに仰向けのま
までは5分と持たない。
歳時記といっても当時の俳人仲間が集まり、
地域の俳人と先輩の句を発掘して郷土の匂い
がする俳句集を編んでみよう、ということに
なったらしい。どんな歳時記でもその中に自
分の句がのる、残るというのは俳句人の夢。
あれもこれと話と努力は大きくなり、出来上
がりは重くなった。装丁も立派である。
後にも先にもこれだけの目論見はこれ一回だ
け。匂い豊かで、胸に重くなるのを今日も味
わうことにしよう。
**********
10/31sun
雁渡し 松籟となる 選挙の日
(かりわたし しょうらいとなる せんきょのひ)
秋燈や 小さき埴輪の 目の丸く
(しゅうとうや ちさきはにわの めのまるく)
※埴輪が机上の電気スタンドに照らされて、今
までにない影が出来、なにやら意味ありげに
見える。何か語りかけるようにも感じられる。
新鮮。今日は玉ねぎの畝作りに駆り出された。
夕方散歩と投票に。
10/30sat
秋祭り かつて担ぎし 大神輿
(あきまつり かつてかつぎし おおみこし)
祭礼の ポスター古き 老舗かな
(さいれいの ぽすたーふるき しにせかな)
※盛んだった秋の祭礼も、今は神社に氏子の主
な者が集まり、祝詞を上げお神酒をいただく
だけとか。コロナ以前からそうだったと主は
話す。
10/28thu
山法師の 実に触れてみる 通学路
(やまぼしの みにふれてみる つうがくろ)
甘柿は 送るべしとて 甥の家
(あまがきは おくるべしとて おいのいえ)
※木に残っている柿の実はもう僅か。甘柿大好
きと言ってくれる家に少し送った。取ってま
でして食べないという家が多い。木守り柿と
かのつもりもないみたい。
10/27wed
栗ご飯 まだ長月の 寒き日に
(くりごはん まだながつきの さむきひに)
※気温はひと月以上も先を行っている。旧暦で
はまだ9月長月だ。しかし寒いおかげで、豚
汁と栗おこわという好みの食卓となった。
10/26tue
ホトトギス清貧の否応なしと
(ほととぎすせいひんのいやおうなしと)
※清貧を旨とする高潔な人と少なくとも外見
は同じになった。老い、億劫、金なしに加
え、with コロナで否応なしの清貧である。
中身もそうありたいと願っているが・・・。
10/25mon
二階まで 朝顔の紺 今日は褒め
(にかいまで あさがおのこん きょうはほめ)
※10月下旬だというのにこの家の朝顔は盛
んだ。一階の壁は葉と蔓が蔽いつくし、紫
がかった紺色の花が二階の板壁と窓辺を半
ば隠している。寒い朝、今朝は季節感の異
常さはさておき、清々しさを感じた。
10/24sun
矯められし もみじ形を 取り戻す
(ためられし もみじかたちを とりもどす)
※長年桃の木いや桃の実優先で、枝が重なって
下部にあるもみじがばっさり伐られ、その後
も伸びる度に切られてきた。やっとこの秋、
桃の大枝を切り、もみじの雪辱を果たしてや
った。家人にはこっぴどく叱られたが。
10/23sat
菊坂の 秋簾ふと 見上げおり
(きくざかの あきすだれふと みあげおり)
※菊坂という響きは昭和、それ以前の明治の暮
らしを彷彿とさせた。源は一葉。谷地ともい
える一帯の佇まいは変わりつつも、訪れる人
々は引きも切らない。傍若無人の観光客は住
民の顰蹙を買っている。今も。小生も観光客。
10/21thu
早く去れ 雉狙わんと 威し銃
(はやくされ きじねらわんと おどしじゅう)
※「有害鳥獣の銃による駆除を行います」朝早
く市のスピーカーから流れる。被害のひどさ
は具体的に知っているけれども、雉もなの?
と思った。国鳥ではなかったか。
10/20wed
鳥渡る 細長き空を まっすぐに
(とりかえる ほそながきそらを まっすぐに)
美術展 上野の山で 脚さすり
(びじゅつてん うえののやまで あしさすり)
※久しぶりの東京。狭い通りの両側にマンショ
ンなど高いビルが立ち、空を占拠している。
視界に細長の四角い空がある。以前に親しん
だ通りほど、その空の変貌ぶりに驚く。血中
酸素濃度が低くなる。息苦しい。
10/19tue
降り立って 息白き夜は 栗名月
(おりたって いきしろきよは くりめいげつ)
※旧暦9月13日のこの夜の月(十三夜)を栗
名月というらしい。出かけた帰りの電車内か
らは雲が多くとても駄目だなと諦めていたが、
到着した駅頭からはなんときれいに見えた。
10/17sun
銀杏の やしろ前より 遠くなり
(ぎんなんの やしろまえより とおくなり)
※朝の散歩から足を延ばして「銀杏の社」に向
かう。夢にお告げがあったから。それにもか
かわらず時期はちょっと早かった。小さ目の
が袋一杯ほど。
事件ありて 自然薯掘りを とどまりぬ
(じけんありて じねんじょほりを とどまりぬ)
10/16sat
ヒヨドリと 柿を争う 朝の陣
(ひよどりと かきをあらそう あさのじん)
新語見て 却下却下よ 秋の風
(しんごみて きゃっかきゃっかよ あきのかぜ)
※否応なしに飛び込んでくる新語。仮の略語と
しか言いようがない。くだらないのが多い。
しかし言葉とはそれぞれの世代がその時代に
使い残すものだから拒絶しても始まらない。
自浄能力を信じるしかない。
10/15fri
夕闇や サツマイモ掘る 列残す
(ゆうやみや さつまいもほる れつのこす)
※「なーに今日中に終わるさ」と始めたが、半
分近くは明日以降に。概ねいい出来だが、所
々にネキリムシが試食した痕がある。良い色
の外皮が台無しだ。「だから急がないと」と。
10/13wed
化粧瓶なる濁酒を舐めてみる
(けしょうびんなるどぶろくをなめてみる)
※完全な禁煙をして満一カ月の昨日。ご褒美と
いうわけではないが、ちょっと前にお土産に
もらったドブロクを開けてみた。日本酒の原
酒に近い味? 時間がたっただけ変な味。
10/12tue
月見てる 帰宅困難の 客となり
(つきみてる きたくこんなんの きゃくとなり)
※仲間の中に先日夜の地震のために、ホテル泊
りをしたヤツがいた。羨ましいとか馬鹿とか
褒貶半ばの感想が飛び交っている。
10/11mon
ドビュッシーの 曲より速く 妻歩き
(どびゅっしーの きょくよりはやく つまあるき)
小三治の 音を落として 聞いた秋
(こさんじの おとをおとして きいたあき)
※前の句で多くの人が「月の光」を思い浮かべ
るのでは。月は名月、秋の季語。ゆっくり歩
きたいものだねェ・・・といいたいのかよ。
べらぼーめ~。と小三治が言う。バイク、ク
ラシック、音キチ、俳句・・・凝り性が好ま
しかった。
10/10sun
金木犀 欠伸うつしたき 人のあり
(きんもくせい あくびうつしたき ひとのあり)
摘まむ実の次は柿色を見極めつ
(つまむみのつぎはかき いろをみきわめつ)
※雲の低い日、金木犀の香りが強い。朝散歩帰
りに摘まむ庭の果物がぶどうから甘柿に変わ
った。ぶどうの前は桃。我が家の果物だから
おいしいが、いずれも極めて地味なナリであ
る。それでも豊饒を感じている。
10/8fri
房州の団扇 手に良し 秋団扇
(ぼうしゅうの うちわてによし あきうちわ)
※少し蒸し暑い日が続いた。しまい遅れの団扇
が夏の名残り。
10/7thu
秋の日の翳りてモネの日傘かな
(あきのひのかげりてもねのひがさかな)
※肺炎球菌ワクチンの5年前の接種証明を探し
ているが、当然見当たらない。1回目は定期
接種とかで自治体の一部補助があったが、2
回目は任意接種で9千円前後の自己負担とな
る。基礎疾患(習慣病など)がある者は特に
1回目の接種を呼びかけているが、効能5年
でそれ以降のための接種については呼びかけ
どころかコメントもしていない。どの自治体
も概ね然り。無責任とイワザルベカラズ。
10/6wed
紫煙消え 句読点なき 暮らし秋
(しえんきえ くとうてんなき くらしあき)
※禁煙してもうすぐ一カ月。今が踏ん張りどこ
ろだが、なんともメリハリのない暮らしを感
じてしまう。そう感じること自体情けない話
なのだが。
10/5tue
新米の 旬の野菜の ごとくして
(しんまいの しゅんのやさいの ごとくして)
※当地の稲刈りは早いから新米はとっくに出回
っているとか。昨夜当家の食卓にも。
味はよくわからないが、風味・香りは新鮮で
若々しくていい。少し固めのせいもあるかな。
ん、だんだん味も良くなってきた。
10/4mon
過ぎ行くは 渋皮を剥く 背の時間
(すぎゆくは しぶかわをむく せのじかん)
※散歩道を迂回して野山らしき方に向かう。道
沿いに栗の木があり、夕暮れに落ちた実を拾
っても大丈夫みたい。今年は幸運な日に20
個以上をゲット。中学生の通り道でもあるの
で、これ以上はムリ。結局は買って来て栗飯、
甘露煮と相成る。例年のパターン。
10/3sun
風なくて 雲ありてこそ 蕎麦の花
(かぜなくて くもありてこそ そばのはな)
秋時雨 サ行かすかに 朝の床
(あきしぐれ さぎょうかすかに あさのとこ)
※秋のヤセ蚊に散々やられ、真っ暗なうちに目
が覚めてしまう。無駄な思考はせず、ゆっく
り、あせらず、長い時間を過ごす。これがな
かなか難しい。
10/2sat
秋風や 芭蕉が性を 読みしかな
(あきかぜや ばしょうがさがを よみしかな)
※芭蕉が多方面での人脈と才能を持っていたこ
とは既に広く言われている。曰く、山師、ス
パイ、脱藩コーディネーターとか・・・。
しかし、これらの説は芭蕉の俳句が達した高
みを損なう何物でもない。むしろ、到達の要
因となるものだ。こういう評も多い。賛成。
10/1fri
秋の朝 布団変えての 夢路かな
(あきのあさ ふとんかえての ゆめじかな)
※もう一段厚い掛け布団に替えて、台風接近の
朝は意外と健やかに明けた。予想より遅いせ
いで関東南岸最接近は午後になってからだ。
一昨年来のトラウマはあるが、今回は当地
「進路の西側」に当たる。だから比較的平静。
(伊豆諸島の人々には申し訳ないが)
**********
9/30thu
残り出でし 隠元を食う 余生かな
(のこりいでし いんげんをくう よせいかな)
秋が来て 半藤が昭和を 思いけり
(あきがきて はんどうがしょうわを おもいけり)
※半藤一利の著作をまとめて読んだ。おまけに
今回は細君の末利子のエッセイも。昭和と較
べると、今日は甚だグローバルだけれど変動
要因、不安定要素が何倍にも増えた。
好みで二択ならまだいいのだが・・・。
9/29wed
身構える 台風のコース じわりまた
(みがまえる たいふうのこーす じわりまた)
※一昨年の房総半島台風を思わせる台風16号
の不気味な動き。あの時の暴風のすさまじさ
はそれまでの経験の最高値を遥かに超えてい
た。以来トラウマとなって残っている。
9/28tue
総裁選 まともはおらず 票もなし
(そうさいせん まともはおらず ひょうもなし)
画材にと 桜紅葉の シミが好き
(がざいにと さくらもみじの しみがすき)
※候補者はかなりの一長一短、つまり一人トッ
プの器ではないということ。一方朝の散歩道
で拾ったサクラの落ち葉は「お、これがいい、
やや、これも捨てがたい・・・」。
9/27mon
手の震え 医師はムリだった 泡立ち草
(てのふるえ いしはむりだった あわだちそう)
※70歳台でバリバリ現役の医師はごまんとい
る。手術も在宅医療の担い手も・・・少しは
社会に役立ちたいと思うが。
9/26sun
検診の 人まばらにて 秋の鬱
(けんしんの ひとまばらにて あきのうつ)
※コロナ禍の影響でガン検診の受診者が少ない
とか。昨日行ったところが、例年の半分以下
でスイスイだった。ガンの早期発見がそれだ
け困難になり、国民の健康も損なわれ、医療
費負担も嵩むか。必死に呼びかけてはいるが。
9/24fri
吾亦紅 年齢のみ母に 近づいて
(われもこう としのみははに ちかづいて)
※お彼岸のお中日に犬(外飼い)のシャンプー
をした。最近やけにかゆがるので、いい方の
シャンプーで丹念に。薬効はどうか? 少し
はいいみたい。感謝されている。
9/23thu
天高し 分厚き本の 進まざる
(てんたかし ぶあつきほんの すすまざる)
※図書館からのメールで本屋大賞受賞作の順番
が来たことを知る。予約してから半年近くだ。
難渋している読書中の本の次はこれにしよう。
9/22wed
早きこと 今年いずこも 曼殊沙華
(はやきこと ことしいずこも まんじゅしゃげ)
※庭の白い曼殊沙華も久留里線沿いの真っ赤な
曼殊沙華も見事に咲き揃っている。例年はお
彼岸中日にもやや遅れ気味だったのに。
9/21tue
月明かり 術後の姉の いびきかな
(つきあかり じゅつごのあねの いびきかな)
※コロナ禍下での入院と手術、経過は順調だ。
手術直後に限って5分ほどの対面は許された
が、その後の面会はダメ。届け物もナースセ
ンター経由。患者のわがままも抑止される。
ただし、明月は欲しいまま。
名月や 禁煙の唾 飲みこめり
(めいげつや きんえんのつば のみこめり)
9/20mon
電話口 朝飯中だと 敬老日
(でんわぐち あさめしちゅうだと けいろうび)
咽喉が良し 高音も出る 敬老日
(のどがよし こうおんもでる けいろうび)
※実は9月12日を期して禁煙をしている。過
去のようではなく、本当の禁煙だ。完璧な一
週間が経過した。爽快、ではある。
9/19sun
糸瓜忌や くせ爪すこし 治りけり
(へちまきや くせづめすこし なおりけり)
野球忌や 大谷遥かな 峰に立つ
(やきゅうきや おおたにはるかな みねにたつ)
※9月19日は子規忌。おや、子規忌かい、相
変わらず一年は早いなあ、と思う日。子規に
入れ込んでいた頃は少し前から騒いでいた。
9/17fri
秋の猫 リボンなどして 無視しおり
(あきのねこ りぼんなどして むししおり)
※岩合某氏の猫番組。猫の住む歴史、環境など
によって猫の扱い、扱われ方、そして猫の行
動に様々な違いが生じるものだとわかる。
知らない人には愛想のカケラも見せない猫は?
9/16thu
高安の まちまちな房 ぶどう描く
(たかやすの まちまちなふさ ぶどうかく)
※教室終了後の画材分捕りは熾烈を極める。
シャインマスカットの数粒が、昔ながらの小
粒な甲州ブドウ一房より人気を集める。人気
の甲斐路のピンチヒッターだったとはいえ、
ひどい仕打ちだ。甘いのに・・・・。
9/15wed
露草や 嚥下体操の 音きこゆ
(つゆくさや えんげたいそうの おときこゆ)
※開け放ったデイの窓から、大きな声が聞こえ
る。繰り返しの発声のトレーニングが咽喉元
の働きを強くするとか。
9/13mon
床屋言う かつて健脚 キノコ狩り
(とこやいう かつてけんきゃく きのこがり)
肺ガンの シロ点々と 秋澄めり
(はいがんの しろてんてんと あきすめり)
※行きつけの床屋の主人が三度目の癌の攻めに
直面している。手術が可能かどうか?最適の
抗がん剤は?次の外来で決めることになると
いう。
9/12sun
街道に 医家の門柱 帰燕かな
(かいどうに いかのもんちゅう きえんかな)
※季節は確実に過ぎていく。コロナ休みで休講
だった水彩画も来週には再開、画材は季節の
果物だとか。サボり過ぎ、どうしよう。
9/11sat
刈り残す 品種を尋ね うろこ雲
(かりのこす ひんしゅをたずね うろこぐも)
※当地の稲刈りは一部を残し殆どが終了。2年
前の房総半島直撃の台風襲来日も無事に過ぎ
た。まずは目出度い。あの時の強風と被害、
トラウマが完全には癒えていない。
9/10fri
遠きから 思い思いて 風の盆
(とおきから おもいおもいて かぜのぼん)
※いまだに実現していない富山市八尾のおわら
風の盆見物。九月上旬。かすかな憧れだけが
もう何十年も続いている。
若いころは、風の盆という名前に惚れてみた
り女踊りの清楚さが頭に焼き付いていた。中
年の頃は男踊りの渋さ、凛々しさこそ最高だ
と。そして今・・・。
あ、あそこで車椅子に座って飽かず眺めてい
る、あれが私だ。
9/9thu
草のびて 上下交換の 駅のあり
(くさのびて じょうげこうかんの えきのあり)
※晴れ間が見えても遠出はしない。今日は犬の
餌買いにちょっとだけ。単線久留里線の横田
駅は沿線中ほどの駅で、上り下り各一時間1
本の列車が交差する駅。昼下がり、静寂。
9/8wed
騒がしくなれど九月の歌多し
(さわがしくなれど くがつのうたおおし)
※首相最悪のやめ方。にわかに生臭い話が蔓延
しつつある。一方でNHKラジオでこの何日か
で September Song を3,4回聴いた。しか
も歌い手を変えて。耳に断然懐かしいのはや
はりシナトラ。
9/7tue
法師蝉の 影を奪いて 秋の冷え
(ほうしぜみの かげをうばいて あきのひえ)
長雨の 上がらんとして 虫なけど
(ながあめの あがらんとして むしなけど)
※10月下旬並みの気温。風流の人は惜春のよ
うな言葉はなくとも、行く夏を惜しみ次第に
秋めく今頃をしみじみ味わうというのだが・
・・。
9/6mon
刈入れは 爺がビールつぎ 始まれり
(かりいれは じじがびーるつぎ はじまれり)
※刈入れ作業は勤め人の孫の出番。腰を曲げて
眺めていた爺は初日を終えた孫にビールをつ
いでいる。と思う。去年までの主役息子は姿
が見えない。
9/5sun
秋天や 見上げつ半日 畑におり
(しゅうてんや みあげつはんにち はたにおり)
隠元棚 慈しみつつ 撤収す
(いんげんだな いつくしみつつ てっしゅうす)
※秋は畑作業が最高、とか言われ繰り出す。雨
の間の貴重な晴れ間。大当たりだったインゲ
ン豆。
9/3fri
花桔梗 息子寝んとて 帰り来る
(はなききょう むすこねんとて かえりくる)
※アフガニスタン米軍撤退とその後の混沌。
9/2thu
御仏を うたう父の句 二百十日
(みほとけを うたうちちのく にひゃくとうか)
※一気に十月上旬並みの気温に。豪雨被害はあ
ったが、台風の襲来はいまのところ少な目だ。
9/1wed
待ち兼ねて 雨音ソフト 八月尽
(まちかねて あまおとそふと はちがつじん)
秋雨や 雨城楊枝の 代替わり
(あきさめや うじょうようじの だいがわり)
※やっと一雨。雨城は久留里城の別名。長く城
下で作り伝えられた黒もじ楊枝がある。
**********
8/31tue
爽涼や 係船洗う 細き腕
(そうりょうや けいせんあらう ほそきうで)
※久しぶりに木更津港のそばを通った。日中の
気温は今日ぐっと低く、凌ぎやすい。砂利運
搬船が数隻いるだけ。
8/30mon
ホームラン 客なき席に 夏終わる
(ほーむらん きゃくなきせきに なつおわる)
※コロナ禍の真っ最中に、甲子園とパラリンピ
ック。やや不自然な多忙感。プツンッと切る
と田舎の超静寂な午後に。夏今終わる。
8/29sun
塗装屋の 足場の払い 速く秋
(とそうやの あしばのはらい はやくあき)
※近くで長々と丁寧に作業をしていた業者が仕
事を完了した。撤収作業。今日は素早い。
8/27fri
秋暑し 茶筅をしかと 手入れする
(あきあつし ちゃせんをしかと ていれする)
※もどった暑さは一段と強烈、当地は昨日今季
初めての猛暑日をを記録した。
8/26thu
新しき 稲刈り機動く 爺も見る
(あたらしき いねかりきうごく じじもみる)
※中旬までの長雨で大部分倒れた稲田がある。
全く丈夫な田も多い。暑い一日。
8/25wed
調剤の 袋を問われ 残暑かな
(ちょうざいの ふくろをとわれ ざんしょかな)
※毎日飲む薬がまた一つ増えた。山となった薬
を手渡しながら、可愛い薬局のお姉ちゃんが
言ったものだ。「一日おきの薬が多いから大
丈夫ですか?ちゃんと飲めますか?」
バーヤロー!
8/24tue
仕舞た屋に 都会の子いる 秋暑し
(しもたやに とかいのこいる あきあつし)
※東京ナンバーのクルマが子供を迎えに来たと
ころらしい。2学期もどうにか始まるようだ。
8/22sun
商店の消えゆく秋ぞ空を見る
(しょうてんの きえゆくあきぞ そらをみる)
ショーケースに 時計残れり 今朝の秋
(しょーけーすに とけいのこれり けさのあき)
※地方都市の個人商店はこの国の政策で消えゆ
く運命。主の高齢化などで、櫛の歯が抜ける
ようにパタパタと、しかし着実に消え去る。
8/20fri
ゆっくりと 猫が横切る 盆の明け
(ゆっくりと ねこがよこぎる ぼんのあけ)
日に一度 棚のブドウを 摘まみ食い
(ひにいちど たなのぶどうを つまみぐい)
※あれだけの前線が動き、夏の暑さがもどった。
しかし盆明けの世の中の活動再開は?
8/19thu
クロエーの 髪に秋風 手櫛さす
(くろえーの かみにあきかぜ てぐしさす)
※古代ローマ時代の小説のヒロイン、クロエー。
句が出来ないー。こういう日もある、多い。
8/18wed
塔の隅 見詰めて描く 夏帽子
(とうのすみ みつめてえがく なつぼうし)
※また暑い夏がやってきた。立派な山門を残す
寺に子供たちがスケッチしている。外出もま
まならなかったから、付き添いの人が見当た
らないのに、さぼらずに熱心に描いている。
見習わなければ・・・。
8/17tue
新涼というな前線居座れる
(しんりょうというな ぜんせんいすわれる)
※長雨のせいで気温は下がり、爽やかなとも言
える。当地の稲作農家は盆明けの刈り取りを
前にして、倒れた稲を苦々しく見つめる。
一方、水没した西日本の農家は悲嘆に暮れて
いる。
8/15sun
百日草 在宅治療という不安
(ひゃくにちそう ざいたくちりょうというふあん)
※血中酸素濃度94%以上は在宅治療とか。マク
ロの正解を導くための明快すぎる基準。
8/14sat
花魁草 我が家を去りて この宿に
(おいらんそう わがやをさりて このやどに)
※どこの庭も菜園もこの雨続きで手が入らない
ようだ。我が家も同様。西日本の被害状況の
ニュースを見れば、まだまだ恵まれている。
8/13fri
西瓜乗せ 売り声テスト 繰り返し
(すいかのせ うりごえてすと くりかえし)
※列島全体が前線に覆われ、豪雨の危険が広ま
る。気温が下がり、さすがに西瓜の季節は終
わりそう。知合いの西瓜農家も軽トラに満載
し、盆休みの客を頼みに出かける。
自家製の 小玉西瓜を 半分こ
(じかせいの こだますいかを はんぶんこ)
8/12thu
虹現れて 風の通りで 見んとする
(にじあれて かぜのとおりで みんとする)
※先日夕方の二度の夕立ちで、二つの虹が現れ
た。なかなか見事だった。風の通りは一番涼
しい通り、息を切らして駆け付けた。
声なくも 片陰つくる 幼稚園
(こえなくも かたかげつくる ようちえん)
8/11wed
草むしる 目線でじっと 我が家見る
(くさむしる めせんでじっと わがやみる)
※蚊取り線香をしっかり腰に巻いて草むしり。
この目線、この眺めは新鮮。下から目線。住
んで20年以上になるのに・・・。カメラに
収めると狭い庭が数倍の広さに見える。
8/9mon
片陰を スマホのラジオ ならし行く
(かたかげを すまほのらじお ならしゆく)
※オリンピック絡みの放送が消えると、こんな
にも変わるものか。一種静寂という感じ。
これでコロナ禍関連がなくなったら、この世
は何をテーマに回っていくのだろう。
8/8sun
包丁と テレビの音と 晩夏かな
(ほうちょうと てれびのおとと ばんかかな)
※日がな一日テレビに見入る亭主といやでもお
さんどんをする家内。もうそろそろ飽和状態
に近づいたところで、台風と五輪は閉会式だ。
長かった強雨がようやく上がったところで、
昨日が立秋だったことを知った。
8/7fri
原爆忌後期高齢者の二年
(げんばくき こうきこうれいしゃのにねん)
※原爆投下後76年。自分の満年齢に同じ。方
向性を持った着実な動きの象徴になればと思
うが、ここにも小さな分断が蔓延り、根付い
て久しい。
8/5thu
定斎屋の 売り声知らず 盛夏かな
(じょさいやの うりごえしらず せいかかな)
※街も住宅地の通りも見事に閑散。暑気払いの
薬を売り歩く天秤棒を担いだ薬屋。江戸の風
物詩。これ自身が季語だとか。
8/4wed
呆けては 知命いまだに 夏暖簾
(ほうけては ちめいいまだに なつのれん)
※50の歳は遥かになったが、「このまま行く
ことになるなァ」と暫く顔を見ていない友人
と話す。呆けてきそうな午後の話題。
8/3tue
とまる人あり暑しとも言わず行く
(とまるひとあり あつしともいわずいく)
※蒸し暑い。この朝も修行僧のごとく歩く人が
いる。初の熱帯夜になっても時刻はいつもと
同じだ。
8/2mon
豪雨去り 橋脚白し 土用かな
(ごううさり きょうきゃくしろし どようかな)
※不安定な天気になって、午前中の猛暑と午後
の雷雨というのがパターンになりつつある。
気象予報が今ほどでなかった頃は、この天気
パターンを「夏の天気の決まりごと」として
認識していた。
夕方の突然の驟雨と雷鳴、予測されると風物
詩とは言えなくなった。損をしている。
**********
7/31sat
地元紙にくるまれ母の夏野菜
(じもとしに くるまれははの なつやさい)
※下宿先で空に浮かんだ五輪マークを見た。
57年前の10月。東京生活1年目のあの頃、
こういうものが届いた。
7/30fri
激増も マスクと夏の 暮らしかな
(げきぞうも マスクとなつのくらしかな)
勤めあり 熱帯夜あり 五輪あり
(つとめあり ねったいやあり ごりんあり)
※どんなに感染が拡大しても工場勤務は続く。
都心から放射される拡大の波はこれ以上協力
しても限界。抵抗できない・・・と。体力を
誇る知人の息子のコロナ禍2題。
7/29thu
炎天や 白髪だけの 溝掃除
(えんてんや はくはつだけの みぞそうじ)
風鈴の 短冊に願い かけ直し
(ふうりんの たんざくにねがい かけなおし)
※一都三県の感染者数はなにやらキナ臭い匂い
までしそうだ。ピークアウトするのか、更に
暴騰となるのか。
7/28wed
この夏は 遅めの出会い 川とんぼ
(このなつは おそめのであい かわとんぼ)
※興味に任せてテレビ観戦を続けていると、エ
アコンはつけているのに頭がおかしくなりそ
う・・・。自重と口だけでは駄目。年齢相応
の自制を、と再度の自戒。
7/27tue
朝市の 婆こっくりと 紅蜀葵
(あさいちの ばばこっくりと こうしょっき)
※漁港近くの朝市はコロナ禍とオリンピックが
かさなり、地元客だけがパラパラと散歩がて
らの買い物。何十年か前にもどったようだと。
7/26mon
夏の日や 力出し切る 妙ありて
(なつのひや ちからだしきる みょうありて)
百日紅 五輪の色に 咲き初める
(さるすべり ごりんのいろに さきそめる)
※五輪のテレビ観戦を少し控えなくては・・・
と自戒。日本選手の活躍を追おうとは思って
いないのだが、昨日などは自然にそうなって
しまった。今日も自重、自重と念じつつ観戦
三昧。
7/24sat
雷が清め開会式の夜
(かみなりがきよめ かいかいしきのよる)
※紆余曲折を非難されつつも、昨夜の開会式。
控えめとの感想がありつつ、自己主張や国威
発揚の要素は少なく、自国の伝統や文化に過
度に固執することもなく、大人の開会式運営
だった、と思う。
7/23fri
打ち水や リサイクル屋の 浴衣見る
(うちみずや りさいくるやの ゆかたみる)
※衣料や小物を中心としたリサイクル屋がある。
女主人が浴衣姿でホースで水撒きしていた。
7/22thu
白玉や 墓の話を 少しして
(しろたまや はかのはなしを すこしして)
※後期高齢者の仲間入りをして、お墓はその使
用時期が近づいている。しかし夫婦で考え方
が違う。それで「ま、いいか、そのうちに・
・・」とほっといてある。
7/21wed
夏の庭 たしかに降った はずなのに
(なつのにわ たしかにふった はずなのに)
※夜中にかすかな雨音を聞いた。そういえば少
し涼しくなった。これはいい・・・。朝、雨
の痕跡は皆無。気象の記録も降雨は0。なん
だったんだ、あれは?
7/20tue
まっすぐに来てさっとよけ夏の蜂
(まっすぐにきてさっとよけ なつのはち)
※長雨と土砂災害、相変わらずのコロナ渦に猛
暑が加わった。右往左往しているうちにオリ
ンピックが直近に迫っていた。
7/19mon
浮草の稼業や三十年人恋し
(うきぐさのかぎょうやみそとせひとこいし)
※小津安二郎監督の映画「浮草」、ひと夏の小
さな漁師町での人の触れ合いと夏の風物を謳
っている。珠玉。
7/18sun
はつどれの 西瓜抱えて たたきおり
(はつどれの すいかかかえて たたきおり)
※ラグビーボール型の小玉西瓜。
「この音どう?」と聞かれても一個だけでは
とんとわからない。テレビで習った高い畝を
作って苗を植え、稲わらを敷き詰めるまでの
仕事は私、受粉のために何度も通ったのは家
内。意気揚々としている。
7/16fri
近道の 線路を跨ぐ 日傘かな
(ちかみちの せんろをまたぐ ひがさかな)
※朝一番の散歩で雲の形を見て「今日梅雨明け」
を確信した。案の定・・・。まだ堂々とはし
ていないけれども、ミニ積乱雲がニョキニョ
キ無数に立っていた。
7/15thu
雨降りの パリ祭とかに 手術決め
(あめふりの ぱりさいとかに しゅじゅつきめ)
※去年の今頃は、まだコロナ禍の何たるかにつ
いて殆ど知っていなかった。アソコの病院は
感染者が担ぎ込まれた、他の手術はキャンセ
ルされる、外来も控えた方がいいとか・・・。
肝心の克服はまだだけれども大分敵の正体は
わかってきた。必要な手術は受けよう。
7/14wed
麻のれん 都会の路地の あの日かな
(あさのれん とかいのろじの あのひかな)
※足が遠のいてどのくらいかなァ? 長雨と暑
さと、気候の変動に翻弄される日々・・・、
暮らしを作る力にふと弱さを感じる。
7/12mon
青梅雨や 落ちたる桃に 色微か
(あおづゆや おちたるももに いろかすか)
捩じり花 二回目無事と 返信し
(ねじりばな にかいめぶじと へんしんし)
※豪雨の後は晴れ間を待ち望んだが、梅雨明け
間近と言われると恐怖の真夏の日々を思い出
す。オリンピックがあるし、只ならぬ胸騒ぎ
も少し。無事を祈りたい。
7/11sun
祖父来る 麦わら帽子の 痕しかと
(そふきたる むぎわらぼうしの あとしかと)
※祖父は夏の外出にはどこに行くにしても昔風
の麦わら帽子をかぶって出かけたらしい。
70年以上過ぎて、私の日常も変わらず愛用
している。祖父が我が家を訪ねて、というこ
とはあり得ないが。
7/9fri
扇風機 車内で首ふる ヤツ恋し
(せんぷうき しゃないでくびふる やつこいし)
※東京での通勤時代の前半は電車にエアコンは
なかった。今日みたいな蒸し暑い日でなくと
も夏の車内は毎日が地獄だった。
7/8thu
御田植祭 乙女の白い 角かくし
(おたうえさい おとめのしろい つのかくし)
※未婚のきれいな女性が花嫁姿で30数名も。
文金高島田に角隠しの行列。旧会津田島町の
伝統の御田植祭り(祇園祭)は6月の遅い田
植えを無事終えて、7月に行われる。
(ただし今年の花嫁行列は中止)
7/7wed
梅雨明けず 瓜盗人という 季語のあり
(つゆあけず うりぬすっとという きごのあり)
卒寿翁 聞こえずはただ 聴かぬなり
(そゆじゅおう きこえずはただ きかぬなり)
※矍鑠としている先輩は目と耳の衰えを訴える。
外界の動きには旺盛な好奇心があるから、存
外耳の方はインプット次第ということかも。
7/6tue
梅雨晴れや 園児の声と 松籟と
(つゆばれや えんじのこえと しょうらいと)
梅雨晴れや デイの窓みな 開けられて
(つゆばれや でいのまどみな あけられて)
※三日三晩の雨が上がった。まだ怪しい空模様
である。長続きはすまい。ここは大きく深呼
吸というところか。
7/4sun
葛餅や 黒文字楊枝 舐めて終え
(くずもちや くろもじようじ なめておえ)
※遠くの大先輩の声が聞けた。卒寿。変わらぬ
声が懐かしい。雨も一休み。
7/3sat
長雨や 桃の実落ちる 音二つ
(ながあめや もものみおちる おとふたつ)
※下屋に落ちた実は雨音にも負けない音がする。
その度に私と家内は嘆息をもらす。
7/2fri
梅雨寒や スマホの容量 持て余し
(つゆざむや すまほのようりょう もてあまし)
※今回の雨はすごい。殆ど間断なく三日目。明
日いっぱいは降り続く模様。出かけてもラジ
オを聴くか、カメラを使うのが主体のスマホ
は1ギガ月千円で十分、なんとガラケー時代
よりも安価で済んでいる。家ではWi-Fi。
7/1thu
枇杷熟るる 二回目無事と 返信し
(びわうるる にかいめぶじと へんしんし)
ワクチンや オクラの花の頃に受く
(わくちんや おくらのはなのころにうく)
※ワクチン2回目の接種を終えた。2回目後の
方が副反応が出やすいと言われる。家内も数
日前、接種部位の腫れと痛みが続き、それが
原因と見られる熱が出た。静かにしている。
ダクタク句集2021年(令和3年)上期 自選集 [自選集2021]
5/31mon
齢重ね 惚れた句多し 万太郎忌
(としかさね ほれたくおおし まんたろうき)
※地方出身者には東京大好き、東京暮らし好き
という人が多い。小生もその例にもれない。
東京景色を鮮明に切り取った万太郎の句、し
みじみとした暮らしの句など、気に入った句
が多い。
永代の橋から海の時雨かな
時雨るゝや麻布二の橋三の橋
火花散る 駿馬の息や 五月尽
(ひばなちる しゅんめのいきや ごがつじん)
5/30sun
月蝕は見えず泰山木の花
(げっしょくはみえず たいさんぼくのはな)
人なくも 参道塵なし 五月晴れ
(ひとなくも さんどうちりなし さつきばれ)
5/29sat
ヘタムシの 消毒せねば 梅雨近し
(へたむしの しょうどくせねば つゆちかし)
※昨年久しぶりに柿の収穫が良かったのは初夏
から2度ヘタ虫の駆除をしたからだと信じて
いる。しかも丹念にやることだ。しかし今年
は時期が迫っていたのに天気の具合でいまだ
やれないでいる。
5/28fri
五月闇 リウマチの子の 稽古かな
(さつきやみ りうまちのこの けいこかな)
※リウマチに罹った人が暗くなった小さな公園
でゆっくりリハビリをしている。照明は一個
だけ。
五月雨や 梗塞の人 予約とる
(さまみだれや こうそくのひと よやくとる)
5/27thu
西日まで ひとひゆっくり 文庫本
(にしびまで ひとひゆっくりの ぶんこぼん)
※昼過ぎから寝っ転がり、日のさす方に頭を向
けて読みふける。うつらうつらするといつの
間にか方向が変わり角度を変える。
自在な数時間、なかなか良いものだ。
石碑見る 頭にササと 松落葉
(せきひみる あたまにささと まつおちば)
5/26tue
二の丸の 自転車で踏む 松落葉
(にのまるの じてんしゃでふむ まつおちば)
※鶴ヶ城址の初夏の思い出。ふと。
5/24mon
誤嚥あり 新茶ゆっくり ゆっくりと
(ごえんあり しんちゃゆっくり ゆっくりと)
※夫婦ともに誤嚥に要注意と話している。深刻
ではない。今まで無縁のことだと思ってきた
が、そうでもなさそうだ。
5/23sun
我もまた 青蚊帳吊れる 母持てり
(われもまた あおがやつれる ははもてり)
背伸びして 蚊帳を吊りたる 早寝かな
(せのびして かやをつりたる はやねかな)
※蚊帳2句。前の句は長塚節の名歌のパクリだ
けれど感慨は本物。後の句は妙に鮮明に残っ
ている情景。夕飯を食べて眠くて眠くて、背
伸びして蚊帳を吊って寝た記憶。遊び疲れの
ためとテレビもなかった頃の夏の夜の静かさ
・・・。
5/22sat
アジサイや ロケ班の群れ 傘の色
(あじさいや ろけはんのむれ かさのいろ)
雷鳴や 女優の名前 ついぞ出ず
(らいめいや じょゆうのなまえ ついぞでず)
※毎朝通る川岸で一目でロケーションとわかる
一隊がいた。こんな所を見つけて、こんなに
早くから・・・。小雨まじりの中でどこかで
見た女優?が集団の真ん中にいた。
だれかなァ? 近づこうとおもったがやめた。
5/21fri
軒下を 燕次々 チェックして
(のきしたを つばめつぎつぎ ちぇっくして)
※新建材のスベスベの壁は燕が嫌い、やっと決
めて巣作りを始めると大家の親子から追い出
されてしまったり。ままならない。
夏嵐 地に伏すキューリ サヤエンドウ
(なつあらし ちにふすきゅーり さやえんどう)
5/20thu
筆入れは 半世紀ものよ 蝸牛
(ふでいれは はんせいきものよ かたつむり)
※さすがにセルロイド製ではない。布製でチャ
ックで開閉するもの。チャックが壊れ半開き
で何十年か? 日々の使用に耐えている。
5/19wed
走り梅雨 うつむく花の 憂いかな
(はしりづゆ うつむくはなの うれいかな)
鈴蘭の 北の故郷は 震えおり
(すずらんの きたのこきょうは ふるえおり)
※鈴蘭は40年以上前北海道暮らしの時に自生
しているものを採集し、延々元気に今に至る。
あの地のコロナ禍鎮静を祈る。
5/18tue
うららかや ブルーレイ眼鏡の 伝い落ち
(うららかや ぶるーれいめがねの つたいおち)
歳並みの 崩し字習う 若葉風
(としなみの くずしじならう わかばかぜ)
※昨日ワクチン接種の予約がとれた。世間の騒
ぎとは無縁で、女房殿が以前から問い合わせ
ていた近所のかかりつけ医院に出かけて、も
のの30分もかからず帰ってきた。あまりの
楽さに夫婦揃ってびっくり。
5/16sun
小箪笥を 入れ替える妻 衣替え
(こだんすを いれかえるつま ころもがえ)
※少し早いとは思ったが、最近の気温に音を上
げてTシャツを出してもらう。初め腕はひん
やりだが、日射しの下ではちょうどいい。
病床に バラの画像を 添付して
(びょうしょうに ばらのがぞうを てんぷして)
※絵の友人に、お手軽すぎるかな?と思いつつ
もメールで我が家のバラの香りを。
5/15sat
風薫る 街を見下ろす 茶室あり
(かぜかおる まちをみおろす ちゃしつあり)
※江戸時代の村役人の屋敷が市の中心に移設保
存されている。村の組頭というが造りは至極
頑丈で、見えないところ、基礎、木組みなど
に金がかけてある。当時の豪農が財を蓄え、
暮らしを楽しんでいたこともわかる。
茶室とは見えないが、茶道を楽しんだのでは
と思わせる座敷があった。今は堂々と市街を
見下ろしている。
5/14fri
花茣蓙や いつを想うと 問いたもう
(はなござや いつをおもうと といたもう)
※花茣蓙を物置から出して乾していたら、通り
がかりの婦人が話しかけてくれたとか。実家
の商売柄今もって大事にしているが、使う場
面は殆どない。骨董好きが時々貯蔵の品のホ
コリを払って風通しするようなもの。ただし
これはお宝ではない。
5/13thu
籐寝椅子 出して文人を 招きたき
(とうねいす だしてぶんじんを まねきたき)
※実家に昔籐の応接セットがあった。そんなに
豊かではなかった頃に、季節の標準家具とし
て大事にされていた。振り返れば、随分なゆ
とりだなァと思う。寝椅子は背部が調節でき
て横たわることが出来るもの。
多くの文人、作家達が籐寝椅子にゆったりと
くつろいでいる写真を思い出す。
5/12wed
昨日まで若楓今日は繁りゆく
(きのうまでわかかえで きょうはしげりゆく)
緑陰で スマホのラジオ 聴きにけり
(りょくいんで すまほのらじお ききにけり)
虹の環や 静かに巨きな 声を聞く
(にじのわや しずかにおおきな こえをきく)
※ここ2日ほどアブラムシ退治に追われた。今
日は天候不安定につき身体休め。庭も周囲も
緑のエネルギーがすごい。
5/10mon
女坂 神輿の声を 登りけり
(おんなざか みこしのこえを のぼりけり)
※神田祭は今年大祭の年だが中止になった。陰
祭りとして神事を行うらしい。久保田万太郎
の句に、
今年またかげ祭なる神田かな
がある。境内の神輿を見ようと、囃子の音に
急かされながら女坂の石段を急いで登って息
を切らしたことを思い出した。昔のこと。
5/9sun
御幣捧ぐ 神主の白 初夏の朝
(ごへいささぐ かんぬしのしろ しょかのあさ)
※神社の祭礼は中止するところが多い。神職を
中心にごく限られた人だけによる陰祭りを執
り行うとか。
5/8sat
南国の雹にたちまち犬走る
(なんごくのひょうに たちまちいぬはしる)
夏嵐 美人に浴衣 着らしめる
(なつあらし びじんにゆかた きらしめる)
※気温は高めだが、列島のどこかで雷雨、突風、
竜巻、など一時的な不安定気象が出没してい
る。
5/7fri
フェリアへと 晴れ着と馬車と 埃かな
(ふぇりあへと はれぎとばしゃと ほこりかな)
※スペインセビリアの春祭り、近郷近在から大
挙して押し寄せるのは巡礼時代と同じ馬車の
一団だ。飲み踊りしゃべり、到着の頃には疲
労困憊かと心配するが、彼らのエネルギー
(信仰心)はそんなものではない。
5/6thu
草むしり いつか立夏の 日となれり
(くさむしり いつかりっかの ひとなれり)
停車せよ コクリコの花 子を招く
(ていしゃせよ こくりこのはな こをまねく)
夏立つや 琉球月見草の 名を知れり
(なつたつや りゅうきゅうつきみそうの なをしれり)
※6月並みの気温で立夏と聞いても違和感がな
い。強い風が続いたので庭の各種修理に駆り
出される。
5/5wed
子供の日 画数多き 字をさらい
(こどものひ かくすうおおき じをさらい)
夏隣り 田植え機しかと 磨き上げ
(なつどなり たうえきしかと みがきあげ)
※アクアラインを行く観光客の車列も今朝は少
ない。仕事を終えた田植え機は半月近く放置
されていたが、今日めでたく清掃された。良
かった。購入には決心を要したであろう、最
新型のヤツだから。
5/4tue
摘果する 八十八夜の 晴れ間故
(てきかする はちじゅうはちやの はれまゆえ)
摘果の実 まどろむ蜥蜴を 驚かせ
(てきかのみ まどろむとかげを おどろかせ)
5/3mon
雲間陽の 動き激しき 柿若葉
(くもまびの うごきはげしき かきわかば)
※桃の小さな実を摘果した。2回行ううちの初
回分。こんな無手入れの庭の一隅でよくも毎
年実をつけるものだ。夥しい実を摘まんで落
とす。一本で300個近くになったかな。
5/2sun
春色の 背景色は 意に違い
(はるいろの はいけいしょくは いにたがい)
絵の展示 仲間に告げる 暮の春
(えのてんじ なかまにつげる くれのはる)
※公民館の部屋を借りる絵画教室は、利用の扱
いが行政の諸施設と同等となるため、急に変
更になることがある。教室も皆でボチボチと、
再開したのだがどうなることやら。依頼を受
けた展示だけは受けることにした。
5/1sat
釣れずとも一人ボートの春の川
(つれずとも ひとりぼーとの はるのかわ)
※ステイホームの呼びかけが厳しい連休だが、
一人用のボートを川に浮かべる人は哲人のよ
うに思える。うららかな陽気だが、雨の予報
もあるからと年寄りは心配してしまう。凡人。
**********************************************************
4/30fri
荷風の忌 傘はなけれど ただ歩く
(かふうのき かさはなけれど ただあるく)
※永井荷風の写真に三つ揃いの背広を着込み、
中折れ帽子をかぶり、愛用の革手提げと雨傘
を携えているのがある。街を散策するのもこ
れで、お決まりのいでたちであったらしい。
雑司が谷の墓を訪ねたのも昔のことになった。
4/29thu
鳥帰る 病院通いの フェリーから
(とりかえる びょういんかよいの ふぇりーから)
※気功の治療が良かったといって、対岸の横須
賀市から月1,2度海を渡ってやって来る御
仁がいる。気功の原理と効果はイマイチ理解
できないけれどね。まあしかし、本人の効果
の実感が第一だ。
4/28wed
永吉の 古いアルバム 春惜しむ
(えいきちの ふるいあるばむ はるおしむ)
※FMで80年代リリースのアルバムを聴いた。無
性に懐かしい。感度が高くなってきた。
丹精を 孫に継がせて 藤の花
(たんせいを まごにつがせて ふじのはな)
4/27tue
初燕 二番ピッチャーの すこやかさ
(はつつばめ にばんぴっちゃーんの すこやかさ)
※到着したばかりだろうか? 飛び回る燕の姿
は雄姿だなァ・・・カッコいい。今日の大谷
にも雄姿期待。
4/26mon
百均へ 吝嗇ゆえに 春の道
(ひゃっきんへ りんしょくゆえの はるのみち)
※百均は比較的賑わっている。なぜかこのとこ
ろ買い物を頼んだり、自ら出向いたりが多い。
吝嗇ゆえでなくとも、百均ならではの長所も
ある。最近では、腰にぶら下げるスマホ入れ
は立派な革製よりも余計なところを削ぎ落し
た布製の100円が良かった。家内は畑用の
野菜の種子に、分量が丁度良いと言う。
4/25sun
閉店も 品いくばくか 鳥曇り
(へいてんも しないくばくか とりぐもり)
※近くの小間物屋兼雑貨屋の店先に4月末で閉
店するとの張り紙があった。コロナ禍の影響
か? まだ商品は変わらずあるのに・・・。
個人商店がまた減る。音もなしに。
4/24sat
むらさきの 隆ッとオダマキ 道の端
(むらさきの りゅうとおだまき みちのはた)
※今シーズンのオダマキで一番の見栄えは、残
念ながら我が家の庭ではなく門前の道端に咲
いたこれ。ほんの狭い土から育った、よく言
われる「ド根性オダマキ」だ。
4/23fri
春の川 おにぎり女子の ひとり坐し
(はるのかわ おにぎりじょしの ひとりざし)
黒光り 春の日返し 鵜は憩う
(くろびかり はるのひかえし うはいこう)
対岸は 緊急事態 春の海
(たいがんは きんきゅうじたい はるのうみ)
4/22thu
鉢馬酔木 亡父の作りし 旅の歌
(はちあしび ちちのつくりし たびのうた)
※コロナ禍は風雲急を告げているが、窓外の景
色はなんともうららかだ。雪国の春は旅を想
う季節である。・・・最近は旅行のことなど、
てんで夢のまた夢。
4/21wed
陽炎や 聖職に見えず 子は教師
(かげろうや せいしょくにみえず こはきょうし)
※教師は聖職という言葉自体死語に近いが、教
育の現場で熱情を持って仕事にあたっている
教師は数限りなくいる。環境に縛られ、自由
度を失っていることが残念だ。
担任の 教師は走る 竹の秋
(たんにんの きょうしははしる たけのあき)
4/20tue
便箋を 用意してさて 日永かな
(びんせんを よういしてさて ひながかな)
※手間がかかることではあるが、それが自然で
普通だった頃にもどろう・・・という提案が
あるようだ。人とのコンタクトもそうだ。そ
うなのだが・・・、なかなか出来ない。
4/18sun
オダマキや 犬の注射の 頃にあり
(おだまきや いぬのちゅうしゃの ころにあり)
春深し インゲン豆の 棚立てん
(はるふかし いんげんまめの たなたてん)
※今朝は快晴、風は強い。田植え作業はこの地
区で真っ盛り。畑に出かけ、強風の被害なし
を確認する。
4/17sat
細道を くねりて急ぐ 義士祭
(ほそみちを くねりていそぐ ぎしまつり)
※春の義士祭に泉岳寺で待ち合わせをした。
ところが用事があって高輪回りで行ったとこ
ろ、近道をしようとして道に迷い往生した。
この近辺は赤穂浪士にまつわる史跡が多いの
だが、戦災を受けていない路地が迷路のよう
だ。何度も歩いていたのだが。ようやく高輪
高校を見つけ胸を撫でおろした。
今ならスマホですいすいというところ。
4/16fri
今どきの 見合いやいかに 木の芽雨
(いまどきの みあいやいかに このめあめ)
※孫が見合いをすると知人が明かした。珍しい
話だから大いに勧めたのだとも。確かに今日
は余り聞かないなあと思ったけれども、さて
本当にそうか? 婚活、集団見合いとかは?
流行の先端だとも思える。
4/15thu
春日ありて眠り少しの充実
(はるひありて ねむりすこしのじゅうじつ)
軒下の 紫煙ゆっくりと 花の冷え
(のきしたの しえんゆっくりと はなのひえ)
※季節外れの「蛍族」ご同輩が方々にいる。
4/14wed
春闘や ОBという 欄はなし
(しゅんとうや おーびーという らんはなし)
※コロナ禍あり、国際関係の激動ありの変化の
中で、企業の栄枯には何とも感慨深いものが
ある。しっかりしたアンテナと想像力、イノ
ベーションとか言われるが・・・。究極は経
営者の洞察力か?
4/13tue
啄木忌 大根の花と 始業ベル
(たくぼくき だいこんのはなと しぎょうべる)
夕霞み おかねが泣いてる 景色かな
(ゆうがすみ おかねがないてる けしきかな)
※啄木の歌、「宗次郎におかねが泣きて口説き
おり 大根の花白き夕暮れ」。『ちゃんと働
いておくれよ~』の涙声が聞こえる。
4/12mon
清明や 我が意半ばの 水の色
(せいめいや わがいなかばの みずのいろ)
※水彩画教室は先月下旬からから再開、時間を
短縮し換気に注意して集まっている。家籠り
でさぞかし腕も上がったのではと、先生が冗
談を言う。しかし現実は遥かにそれに遠い。
4/11sun
妻の手と 機械がありて 早植えし
(つまのてと きかいがありて はやうえし)
※川向こうの一軒の農家が田植えを開始した。
今の言葉でいうと「はやッ」。4月15日前
の田植えを目撃したのは初めて。
4/10sat
鰊曇り室蘭勤務の頃の空
(にしんぐもり むろらんきんむのころのそら)
雨音の やさしくなりて 山笑う
(あまおとの やさしくなりて やまわらう)
※蔓延防止対策の対象地域が東京都をはじめと
して接近してきた。季節の歩みはいつもと変
わりないが・・・。
4/9fri
田を広げ 畔塗り急かる 三代目
(たをひろげ あぜぬりせかる さんだいめ)
※知り合いの農家で昨秋から田の統合、拡大工
事をしている。一枚の田んぼが広いほど、機
械を駆使する現在の農法では断然効率的だか
ら。しかしこれが生半可なことではない。同
じ水準の2枚の田だったらまだ優しいが、水
準の違う田を統合するとなると、大変な土木
工事になる。土壌を入れ替えすることも伴う。
遅れ気味らしく田植え前の仕事に勤しんでい
る。早速田植えから効率が上がる。
4/8thu
朝の音 綴りて長し 虚子忌かな
(あさのおと つづりてながし きょしきかな)
※毎日ではないけれど未明から7時前後まで長
い「オトコ入り」が続く。
朝の物音は激減していると落語家は言う。ま
して地方都市の住宅団地とくれば皆無に近い。
明るくなってJRの踏切音、出勤や配達のクル
マの音がちらほら。清さん、いつまで観察を
続ければいいの?
小鳥の囀りだけは豊富で種類も多い。
4/7wed
放哉忌 すきとおる声の 門に入る
(ほうさいき すきとおるこえの もんにいる)
※今朝の晴れ間は久しぶりに黄砂の影響も少な
く、空は透き通っている。今日は尾崎放哉の
命日。小豆島での暮らしは貧しく想像すべく
もないが、こんなこともあったろうと思う。
4/6tue
庭中が うすむらさきの 地の躑躅
(にわじゅうが うすむらさきの じのつつじ)
※隣の君津市の花はミツバツツジ。房総半島に
多いが、太平洋岸の野山に広く自生するとか。
薄紫の花は咲き揃うと実に華やか。庭はにわ
かに変貌する。見た家のバアさまのドヤ顔も
理解できる。
4/5mon
椿餅 踏切そばに 老舗あり
(つばきもち ふみきりそばに しにせあり)
草餅や 被りの婆が なしという
(くさもちや かぶりのばばが なしという)
※今日は一転肌寒い、平年並みの気温だ。雨の
日は外への誘惑もないし、使役に駆り出され
ることもない。最近すっかりご無沙汰のスケ
ッチのトレーニングをすることにする。
4/4sun
癌癒えて 目方戻りし 翁草
(がんいえて めかたもどりし おきなぐさ)
※行きつけの床屋のおやじがさりげなく言う。
ガンが肺に転移して先々週切ってきたと。内
視鏡手術の生々しい傷跡を見せる。一年前の
大手術で10キロも減った体重がやっと戻っ
た矢先のことだ。
病院を信頼してか、本人の胆力か、悲壮感は
ない。もう畑をやっている。帰りにワケギを
貰ってきた。
無骨なる手が春花を山と盛る
(ぶこつなるてが はるばなをやまともる)
4/3sat
里の家 みな勤め人と なりて春
(さとのいえ みなつとめにんと なりてはる)
※下の娘が就職し、クルマがまた一台増えた。
家と周りの畑、持山などは専業農家の時のま
まなのに。
4/2fri
ガラケーや 無傷十年 春の空
(がらけーや むきずじゅうねん はるのそら)
新しき スマホの青や 春蚊出ず
(あたらしき すまほのあおや はるかいず)
山笑う スマホ操作に 汗少し
(やまわらう すまほそうさに あせすこし)
※10年以上続けてきた3Gガラケーがもう一年
で使えなくなる。しぶしぶスマホに替えた。
通話とカメラ、Cメールだけの世界から大き
く可能性は広がるが、期待はカメラ機能の格
段の充実だけ。画面の字も読めないし、外出
もないから外でのネット活用もない。期待は
していない。月千円以下というから・・・。
4/1thu
四月馬鹿 不意に筍ご飯かな
(しがつばか ふいにたけのこごはんかな)
四月馬鹿 知らずに高い アプリかな
(しがつばか しらずにたかい あぷりかな)
※エープリルフールとはいえ、思いつくウソ話
はない。それにしても昨夕の筍ご飯は不意を
突かれた。春一番の到来もの。
**********************************************************
3/30tue
白木蓮清し人なしと言えど
(しろもくれんすがし ひとなしといえど)
植え替えて こちら向かしむ 黄水仙
(うえかえて こちらむかしむ きすいせん)
3/29mon
涅槃図や 僧絵解きする ペンライト
(ねはんずや そうえときする ぺんらいと)
※日頃は秘仏とされている御本尊を拝見し、こ
れまた秘蔵の涅槃図の説明を受けた。涅槃図
は三仏忌のうち涅槃会の参拝客に公開すると
か。本堂で静かに聞いていると真っ黒に近い
図ながら清新な気分になるから不思議。
3/28sun
陽だまりの ベンチを譲り 西行忌
(ひだまりの べんちをゆずり さいぎょうき)
あれこれと 捨てぬ理由を 西行忌
(あれこれと すてぬりゆうを さいぎょうき)
※旧暦の2月16日は西行忌。釈迦の命日2/15
に桜の下で死にたいと願い、没したと言われ
る。現世のしがらみを捨て、出家し、有り余
る才能を歌に寄せ、その後も信心の一方で煩
悩との闘いに一生を送った、とされる。
3/27sat
春時雨 スクランブルの 街ひそむ
(はるしぐれ すくらんぶるの まちひそむ)
※雨模様で渋谷駅前交差点の人出はやや穏やか。
ここ暫くは大阪、仙台、山形とかとか首都圏
以外の患者増加でワキ役に。でも必ず復活す
る、ニュース主役の座。
長閑さや 江ノ電の音 猫と住む
(のどかさや えのでんのおと ねことすむ)
※養老孟子氏の鎌倉自宅での暮らしを綴ったBS
の番組。おしゃべり孟子に老猫マルの取り合
わせが実に落ち着く。
囀りや 毛を集めおり 犬の留守
(さえずりや けをあつめおり いぬのるす)
3/26fri
水温む シューベルトの ソナタかな
(みずぬるむ しゅーべるとの そなたかな)
※春のせせらぎにぴったりなのがシューベルトの
即興曲(ピアノ)、D899とD935。ピアノソナ
タは別にちゃんとあるから誤解を招くが、余り
に字余りになるので・・・。
針に糸 一度で通す 葱坊主
(はりにいと いちどでとおす ねぎぼうず)
残りし歯 少し異常の 遅日かな
(のこりしは すこしいじょうの ちじつかな)
3/24wed
坂道や こぎてもとまる つくしかな
(さかみちや こぎてもとまる つくしかな)
デュトワふる 春の祭典 血圧高め
(でゅとわふる はるのさいてん けつあつたかめ)
※春に血圧高めは要注意。自転車も、坂道で土
筆が目にとまる程度にしようと思う。
3/23tue
皺の手で 開花の証し 写メールし
(しわのてで かいかのあかし しゃめーるし)
それぞれに 標準木あり サクラかな
(それぞれに ひょうじゅんぼくあり さくらかな)
投票所 出て春雨に 遭いにけり
(とうひょうじょ でてはるさめに あいにけり)
レーダーを 信じた末の 春の雨
(れーだーを しんじたすえの はるのあめ)
※房総半島内房地方でサクラの開花は2~3分
ほど。毎朝通る堤の並木はそれより少し遅い。
3/22mon
桃の花 夕彩るも 客はなし
(もものはな ゆういろどるも きゃくはなし)
うちは桃そとは陽光桜かな
(うちはもも そとはようこうざくらかな)
※桃の花と陽光桜は満開時が今回の雨にあい、
散り始めている。客の少なきを嘆いたことは
なかったが、今回だけは惜しかったなァ、見
せたかったなァと口惜しがっている。
それにしても、今までより色の酷似に驚いて
いるのは年齢のせいなのかな?
3/21sun
剪定を いつくしみつつ し残せり
(せんていを いつくしみつつ しのこせり)
花ニラや 我が庭の素直なる日々
(はなにらや わがにわのすなおなるひび)
花冷えや 病む首都圏に 解除あり
(はなびえや やむしゅとけんに かいじょあり)
3/20sat
彼岸会や 300年の 門なりき
(ひがんえや さんびゃくねんの もんなりき)
秘仏見て 石段中ほど 風光る
(ひぶつみて いしだんなかほど かぜひかる)
あるはずの 色揃いてや クロッカス
(あるはずの いろそろいてや くろっかす)
3/19fri
火を浴びて 沓音を聞く 二月堂
(ひをあびて くつおとをきく にがつどう)
春の闇 五体投地の 板の音
(はるのやみ ごたいとうちの いたのおと)
春の月 十四日間の 修行終え
(はるのつき じゅうよっかかんの しゅぎょうおえ)
※二月堂の修二会、今年は参拝客なしで行われ、
その代わりにBSテレビが中継した。
今まで目に触れなかった堂内の儀式、秘儀と
言われるものも含め、4時間余りだ。コロナ
禍も悪いことばかりではない。
番組を見るだけで疲れたが、おかげで心身の
煤払いが出来た(ような気がした)。
3/18thu
蕗の薹 遅きを悔いて 二つ三つ
(ふきのとう おそきをくいて ふたつみつ)
本来は 答辞読む子に 春日かな
(ほんらいは とうじよむこに はるひかな)
※なんにもない暮らしだが、それでも春はなに
かとあるものだ。卒業式は保護者なし、式次
第も簡素化して行われるとか。本人は喜んで
いるというが、親は・・・。
蕗の薹の秘密の場所は今年も無事だったが、
とうにタイミングを逸していた。
3/17wed
うながされ 免許貰いに 目借時
(うながされ めんきょもらいに めかりどき)
海の上に 高炉かすみて 入り彼岸
(うみのえに こうろかすみて いりひがん)
※溶鉱炉が三つも四つもあった光景は昔。地元
の製鉄所も縮小の運命にあり。高炉の薄い煙
ははかなげに。
3/16tue
桃咲くや 高齢免許は 金の色
(ももさくや こうれいめんきょは きんのいろ)
※午後に警察から電話あり。今日中に取りにこ
なければ交付しませんと。春の夕日が沈む前
に無事入手。認知症には免許更新しないはず
だが・・・。良かった。ちゃんとゴールド。
3/15mon
マスクして 杉の道掃く 春の僧
(ますくして すぎのみちはく はるのそう)
※地元の図書館に電子図書の登録をした。ファ
イルでの貸借だから、この時代に最適。当地
にもやってきたか。
今は青空文庫のコンテンツが多いというから
特段のメリットはない。充実はこれから。
3/14sun
修二会僧 あの激しさに 魅かれおり
(しゅにえそう あのはげしさに ひかれおり)
※東大寺二月堂の修二会中継を見た。現場の興
奮を思いやる。1261年続くという。
3/13sat
春宵や 気功の不思議 妻語る
(しゅんしょうや きこうのふしぎ つまかたる)
飛行機と まがいし春の 長いびき
(ひこうきと まがいしはるの ながいびき)
※春なれば妻を詠んだ句を。
3/12fri
春暁や さて寝なばやと 布団引く
(しゅんぎょうや さてねなばやと ふとんひく)
春暁や 待ち兼ねノソッと 床を出る
(しゅんぎょうや まちかねのそっと とこをでる)
※日の出は早くなったものの、ずっと前から待
っている日もある。寝ようか、いっそ起きよ
うか? きままで非生産的な一日の始まり。
3/11thu
雅には 遠くなりけり 桃の花
(みやびには とおくなりけり もものはな)
※桃の最初の一輪が今日咲いた。濃いピンクの
蕾が目白押しである。やわらかい日射しと花
の動きは例年と変わらずでなんとも貴重。近
所の陽光桜並木も昨日開花した。
3/10wed
いとおしや 春の朝の かゆみどめ
(いとおしや はるのあしたの かゆみどめ)
※高齢者に多い肌の乾燥症。かゆみが時に襲っ
てくる。じっと我慢、かかない。
3/9tue
春暁や まだかと闇に 灯をさぐり
(しゅんぎょうや まだかとやみに ひをさぐり)
春の朝 踏切音で 時を知り
(はるのあさ ふみきりおんで ときをしり)
※最近御多聞に漏れず、朝早く目を覚まして、
その後の長い時間を寝床で過ごしている。真
っ暗い中で、半覚醒のタイトルレスの思考、
かすかな光をカーテン越しに待っている。さ
て寝ようか、本を読むか・・・頭がすっきり
してくるとメニューが広がる。寝なくてはと
あせることはない。
3/8mon
早咲きの サクラ確かめん 遠回り
(はやざきの さくらたしかめん とおまわり)
沈丁花匂いありと妻闇の中
(ちんちょうげにおいありと つまやみのなか)
春の朝見上げても暦は見えず
(はるのあさ みあげてもこよみはみえず)
3/7sun
啓蟄や 生徒試験の 穴を出る
(けいちつや せいとしけんの あなをでる)
啓蟄や 老うちわ師の 女竹割く
(けいちつや ろううちわしの めたけさく)
※房州うちわは素朴な名品が多い。以前は多く
の職人が分業で作っていたらしいが、今や出
荷量は減り、名人と言われる人が材料の竹の
栽培・伐採・乾燥から竹の加工、絵柄の作成、
貼り、仕上げまでを一人でやっている。皺く
ちゃの手が見事な動きを見せる。
3/5fri
ミモザ咲く 山なす空の 植木鉢
(みもざさく やまなすからの うえきばち)
微笑みて 黄の春服が 退院す
(ほほえみて きのはるふくが たいいんす)
※図らずもイエロー句2つ。最近は古い顔とメ
ールを交換したり、夢マクラに出て来たり、
良いことが続いた。コロナ禍で強がりを言っ
ていてもやっぱり孤独オンリーでは長くはも
たないということか?
3/3wed
春の闇 教師のクルマは プラグイン
(はるのゆう きょうしのくるまは ぷらぐいん)
※これはトヨタの最新鋭車だなと見送る。
3/2tue
ライン見る 若き教師の 春放課
(らいんみる わかききょうしの はるほうか)
春の夕 校舎は声を 失えり
(はるのゆう こうしゃはこえを うしなえり)
※近所に中学校がある。顧問教師の負荷が問題
になった折に部活が抑制されたところに、コ
ロナ禍が重なり、放課後の校舎は様変わりだ。
3/1mon
如月の 山なめつくす 赤き舌
(きさらぎの やまなめつくす あかきした)
如月や 店守る顔の 白々と
(きさらぎや みせまもるひとの しらじらと)
※営業時間短縮の補償を叫ぶ人が多い中で、切
盛りに万策尽きた人も多い。働けと言われれ
ば寝ないで頑張るのだがと、力を駆使する場
を失った人の無言の表情は悲痛だ。
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2/28sun
鵜はもぐる 二月みそかの 朝まだき
(うはもぐる にがつみそかの あさまだき)
うたたねや 二月みそかの ひなたかな
(うたたねや にがつみそかの ひなたかな)
猫二匹 二月みそかの 夕まぐれ
(ねこにひき にがつみそかの ゆうまぐれ)
※二月みそかの三句。朝は冷え込んだが、日中
の日差しは値千金。コロナ禍さえなければ、
穏やかな天気に脳はとろとろ。
2/27sat
春うらら 断捨離とかを 考える
(はるうらら だんしゃりとかを かんがえる)
※いつも春になり新年度を前に、本やレコード
など大事にしてきたものをそろそろ処分しよ
うと真剣に思う。
しかし春の計画を実行した試しがない。今回
も? しかし後期高齢者だからなァ・・・。
2/26fri
春耕の 鍬のガタとり なお深く
(しゅんこうの くわのがたとり なおふかく)
野仏は 深く耕せと 言い給う
(のぼとけは ふかくたがやせと いいたもう)
※捻挫も大方直ったので、久しぶりの畑仕事。
寒起こしのつもりで深く土壌を掘り返すが、
季節はもう春、春耕はやり方が違うのではな
いかな? 歩行欠場の間は犬の散歩を代わっ
てもらったので、我が家の野仏に従うことに
する。日差しが暖かい。
2/24wed
畔塗りも 機械がすれば 泥厚く
(あぜぬりも きかいがすれば どろあつく)
※三寒四温の季節だが、当地では早くも畔作り
が始まっている。歩くのもゆっくりというシ
ニア農夫の、機械を使っての仕事はなんと力
強いことか。分厚い畔が見る見るのうちに。
2/23tue
ウグイスパン 味半世紀を ひとっ飛び
(うぐいすぱん あじはんせいきを ひとっとび)
※菓子パンのジャムパンやクリームパンは忘れ
た頃になつかしく食べたものだが、ウグイス
パンとなると高校生のころ以来か?
ぞろぞろと記憶が舌からよみがえる。
2/22mon
特売の 肉の情報 春電話
(とくばいの にくのじょほう はるでんわ)
言い出せば 限りなく恋し 目刺しかな
(いいだせば かぎりなくこいし めざしかな)
※それは豚肉の特売どうする?とかの電話に始
まった。肉より久しぶりに目刺しが食いたい
と私が差し出口。
途端に焼いた目刺しの香りが・・・。
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2/21sun
春陰や 股肱の足を 痛めけり
(しゅんいんや ここうのあしを いためけり)
2/18thu
句を詠むは 女性が多し 春の風
(くをよむは じょせいがおおし はるのかぜ)
2/17wed
ガンガンと 春の嵐よ MR
(がんがんと はるのあらしよ えむあーる)
2/16tue
墓地を売る 旗たはめきて 春の山
(ぼちをうる はたはためきて はるのやま)
2/14sun
蕗味噌や 伯父の手になる 味遥か
(ふきみそや おじのてになる あじはるか)
2/13sat
春服や 病室の壁に 飾りおり
(はるふくや びょうしつのかべに かざりおり)
2/11thu
春の道 白線を引く チームあり
(はるのみち はくせんをひく ちーむあり)
2/8mon
春近し テレ読書会の 案内来る
(はるちかし てれどくしょかいの あないくる)
2/7sun
ぼろ市で 買いし錦の 笛鳴らず
(ぼろいちで かいしにしきの ふえならず)
2/6sat
余病消え 寒明けの街 明るかり
(よびょうきえ かんあけのまち あかるかり)
2/4thu
着ぶくれて つい空耳の 音を聞き
(きぶくれて ついそらみみの おとをきき)
2/2tue
下の子が 急に泣きやむ 鬼火なり
(したのこが きゅうになきやむ おにびなり)
豪雪の街や 角巻の影を見る
(ごうせつのまちや かくまきのかげをみる)
耳かくし 剣玉の孔を 広げいし
(みみかくし けんだまのあなを ひろげいし)
冬灯り タバコ屋の子の まぶしかり
(ふゆあかり たばこやのこの まぶしかり)
1/29fri
寒紅や CTの日に 少し濃し
(かんべにや シーティーのひに すこしこし)
1/24sun
降りる人ありて線路の先は雪
(おりるひとありて せんろのさきはゆき)
1/22fri
大寒や 外食暮らしで 糖不如意
(だいかんや がいしょくぐらしで とうふにょい)
1/21thu
冬の日や 皆なにがしの 失意あり
(ふゆのひや みななにがしの しついあり)
※おとなしい暮らし、人さまざまな思い。
1/19tue
マスクして 人には会わず 寒念仏
(ますくして ひとにはあわず かんねんぶつ)
1/17sun
小三治の 初天神の 音しぼり
(こさんじの はつてんじんの おとしぼり)
1/15fri
寒月や 自転車ではもる 下校かな
(かんげつや じてんしゃではもる げこうかな)
1/13wed
寒暁や キンカン三個 しのばせて
(かんぎょうや きんかんさんこ しのばせて)
1/12tue
サクラソウ マスクをせよと 子が見上げ
(さくらそう ますくをせよと こがみあげ)
1/11mon
七変化 七之助見る 冬籠り
(しちへんげ しちのすけみる ふゆごもり)
1/10sun
白き息 妻退院と 告げる人
(しろきいき つまたいいんと つげるひと)
1/9sat
冬枯れの 庭に鋏の 音高く
(ふゆがれの にわにはさみの おとたかく)
1/8fri
人日や 列島に風雨 家に粥
(じんじつや れっとうにふうう いえにかゆ)
1/7thu
紙漉師 手には何をか つけたもう
(かみすきし てにはなにをか つけたもう)
1/6wed
寒の暁 早番の娘 湯を沸かす
(かんのぎょう はやばんのむすめ ゆをわかす)
1/5tue
竹馬や 出来ぬ理由を 七十年
(たけうまや できぬりゆうを しちじゅうねん)
1/1fri
バーバーの アダージョじっと 初日かな
(ばーばーの あだーじょじっと はつひかな)
初歩き キンカン三個 しのばせて
(はつあるき きんかんさんこ しのばせて)
齢重ね 惚れた句多し 万太郎忌
(としかさね ほれたくおおし まんたろうき)
※地方出身者には東京大好き、東京暮らし好き
という人が多い。小生もその例にもれない。
東京景色を鮮明に切り取った万太郎の句、し
みじみとした暮らしの句など、気に入った句
が多い。
永代の橋から海の時雨かな
時雨るゝや麻布二の橋三の橋
火花散る 駿馬の息や 五月尽
(ひばなちる しゅんめのいきや ごがつじん)
5/30sun
月蝕は見えず泰山木の花
(げっしょくはみえず たいさんぼくのはな)
人なくも 参道塵なし 五月晴れ
(ひとなくも さんどうちりなし さつきばれ)
5/29sat
ヘタムシの 消毒せねば 梅雨近し
(へたむしの しょうどくせねば つゆちかし)
※昨年久しぶりに柿の収穫が良かったのは初夏
から2度ヘタ虫の駆除をしたからだと信じて
いる。しかも丹念にやることだ。しかし今年
は時期が迫っていたのに天気の具合でいまだ
やれないでいる。
5/28fri
五月闇 リウマチの子の 稽古かな
(さつきやみ りうまちのこの けいこかな)
※リウマチに罹った人が暗くなった小さな公園
でゆっくりリハビリをしている。照明は一個
だけ。
五月雨や 梗塞の人 予約とる
(さまみだれや こうそくのひと よやくとる)
5/27thu
西日まで ひとひゆっくり 文庫本
(にしびまで ひとひゆっくりの ぶんこぼん)
※昼過ぎから寝っ転がり、日のさす方に頭を向
けて読みふける。うつらうつらするといつの
間にか方向が変わり角度を変える。
自在な数時間、なかなか良いものだ。
石碑見る 頭にササと 松落葉
(せきひみる あたまにささと まつおちば)
5/26tue
二の丸の 自転車で踏む 松落葉
(にのまるの じてんしゃでふむ まつおちば)
※鶴ヶ城址の初夏の思い出。ふと。
5/24mon
誤嚥あり 新茶ゆっくり ゆっくりと
(ごえんあり しんちゃゆっくり ゆっくりと)
※夫婦ともに誤嚥に要注意と話している。深刻
ではない。今まで無縁のことだと思ってきた
が、そうでもなさそうだ。
5/23sun
我もまた 青蚊帳吊れる 母持てり
(われもまた あおがやつれる ははもてり)
背伸びして 蚊帳を吊りたる 早寝かな
(せのびして かやをつりたる はやねかな)
※蚊帳2句。前の句は長塚節の名歌のパクリだ
けれど感慨は本物。後の句は妙に鮮明に残っ
ている情景。夕飯を食べて眠くて眠くて、背
伸びして蚊帳を吊って寝た記憶。遊び疲れの
ためとテレビもなかった頃の夏の夜の静かさ
・・・。
5/22sat
アジサイや ロケ班の群れ 傘の色
(あじさいや ろけはんのむれ かさのいろ)
雷鳴や 女優の名前 ついぞ出ず
(らいめいや じょゆうのなまえ ついぞでず)
※毎朝通る川岸で一目でロケーションとわかる
一隊がいた。こんな所を見つけて、こんなに
早くから・・・。小雨まじりの中でどこかで
見た女優?が集団の真ん中にいた。
だれかなァ? 近づこうとおもったがやめた。
5/21fri
軒下を 燕次々 チェックして
(のきしたを つばめつぎつぎ ちぇっくして)
※新建材のスベスベの壁は燕が嫌い、やっと決
めて巣作りを始めると大家の親子から追い出
されてしまったり。ままならない。
夏嵐 地に伏すキューリ サヤエンドウ
(なつあらし ちにふすきゅーり さやえんどう)
5/20thu
筆入れは 半世紀ものよ 蝸牛
(ふでいれは はんせいきものよ かたつむり)
※さすがにセルロイド製ではない。布製でチャ
ックで開閉するもの。チャックが壊れ半開き
で何十年か? 日々の使用に耐えている。
5/19wed
走り梅雨 うつむく花の 憂いかな
(はしりづゆ うつむくはなの うれいかな)
鈴蘭の 北の故郷は 震えおり
(すずらんの きたのこきょうは ふるえおり)
※鈴蘭は40年以上前北海道暮らしの時に自生
しているものを採集し、延々元気に今に至る。
あの地のコロナ禍鎮静を祈る。
5/18tue
うららかや ブルーレイ眼鏡の 伝い落ち
(うららかや ぶるーれいめがねの つたいおち)
歳並みの 崩し字習う 若葉風
(としなみの くずしじならう わかばかぜ)
※昨日ワクチン接種の予約がとれた。世間の騒
ぎとは無縁で、女房殿が以前から問い合わせ
ていた近所のかかりつけ医院に出かけて、も
のの30分もかからず帰ってきた。あまりの
楽さに夫婦揃ってびっくり。
5/16sun
小箪笥を 入れ替える妻 衣替え
(こだんすを いれかえるつま ころもがえ)
※少し早いとは思ったが、最近の気温に音を上
げてTシャツを出してもらう。初め腕はひん
やりだが、日射しの下ではちょうどいい。
病床に バラの画像を 添付して
(びょうしょうに ばらのがぞうを てんぷして)
※絵の友人に、お手軽すぎるかな?と思いつつ
もメールで我が家のバラの香りを。
5/15sat
風薫る 街を見下ろす 茶室あり
(かぜかおる まちをみおろす ちゃしつあり)
※江戸時代の村役人の屋敷が市の中心に移設保
存されている。村の組頭というが造りは至極
頑丈で、見えないところ、基礎、木組みなど
に金がかけてある。当時の豪農が財を蓄え、
暮らしを楽しんでいたこともわかる。
茶室とは見えないが、茶道を楽しんだのでは
と思わせる座敷があった。今は堂々と市街を
見下ろしている。
5/14fri
花茣蓙や いつを想うと 問いたもう
(はなござや いつをおもうと といたもう)
※花茣蓙を物置から出して乾していたら、通り
がかりの婦人が話しかけてくれたとか。実家
の商売柄今もって大事にしているが、使う場
面は殆どない。骨董好きが時々貯蔵の品のホ
コリを払って風通しするようなもの。ただし
これはお宝ではない。
5/13thu
籐寝椅子 出して文人を 招きたき
(とうねいす だしてぶんじんを まねきたき)
※実家に昔籐の応接セットがあった。そんなに
豊かではなかった頃に、季節の標準家具とし
て大事にされていた。振り返れば、随分なゆ
とりだなァと思う。寝椅子は背部が調節でき
て横たわることが出来るもの。
多くの文人、作家達が籐寝椅子にゆったりと
くつろいでいる写真を思い出す。
5/12wed
昨日まで若楓今日は繁りゆく
(きのうまでわかかえで きょうはしげりゆく)
緑陰で スマホのラジオ 聴きにけり
(りょくいんで すまほのらじお ききにけり)
虹の環や 静かに巨きな 声を聞く
(にじのわや しずかにおおきな こえをきく)
※ここ2日ほどアブラムシ退治に追われた。今
日は天候不安定につき身体休め。庭も周囲も
緑のエネルギーがすごい。
5/10mon
女坂 神輿の声を 登りけり
(おんなざか みこしのこえを のぼりけり)
※神田祭は今年大祭の年だが中止になった。陰
祭りとして神事を行うらしい。久保田万太郎
の句に、
今年またかげ祭なる神田かな
がある。境内の神輿を見ようと、囃子の音に
急かされながら女坂の石段を急いで登って息
を切らしたことを思い出した。昔のこと。
5/9sun
御幣捧ぐ 神主の白 初夏の朝
(ごへいささぐ かんぬしのしろ しょかのあさ)
※神社の祭礼は中止するところが多い。神職を
中心にごく限られた人だけによる陰祭りを執
り行うとか。
5/8sat
南国の雹にたちまち犬走る
(なんごくのひょうに たちまちいぬはしる)
夏嵐 美人に浴衣 着らしめる
(なつあらし びじんにゆかた きらしめる)
※気温は高めだが、列島のどこかで雷雨、突風、
竜巻、など一時的な不安定気象が出没してい
る。
5/7fri
フェリアへと 晴れ着と馬車と 埃かな
(ふぇりあへと はれぎとばしゃと ほこりかな)
※スペインセビリアの春祭り、近郷近在から大
挙して押し寄せるのは巡礼時代と同じ馬車の
一団だ。飲み踊りしゃべり、到着の頃には疲
労困憊かと心配するが、彼らのエネルギー
(信仰心)はそんなものではない。
5/6thu
草むしり いつか立夏の 日となれり
(くさむしり いつかりっかの ひとなれり)
停車せよ コクリコの花 子を招く
(ていしゃせよ こくりこのはな こをまねく)
夏立つや 琉球月見草の 名を知れり
(なつたつや りゅうきゅうつきみそうの なをしれり)
※6月並みの気温で立夏と聞いても違和感がな
い。強い風が続いたので庭の各種修理に駆り
出される。
5/5wed
子供の日 画数多き 字をさらい
(こどものひ かくすうおおき じをさらい)
夏隣り 田植え機しかと 磨き上げ
(なつどなり たうえきしかと みがきあげ)
※アクアラインを行く観光客の車列も今朝は少
ない。仕事を終えた田植え機は半月近く放置
されていたが、今日めでたく清掃された。良
かった。購入には決心を要したであろう、最
新型のヤツだから。
5/4tue
摘果する 八十八夜の 晴れ間故
(てきかする はちじゅうはちやの はれまゆえ)
摘果の実 まどろむ蜥蜴を 驚かせ
(てきかのみ まどろむとかげを おどろかせ)
5/3mon
雲間陽の 動き激しき 柿若葉
(くもまびの うごきはげしき かきわかば)
※桃の小さな実を摘果した。2回行ううちの初
回分。こんな無手入れの庭の一隅でよくも毎
年実をつけるものだ。夥しい実を摘まんで落
とす。一本で300個近くになったかな。
5/2sun
春色の 背景色は 意に違い
(はるいろの はいけいしょくは いにたがい)
絵の展示 仲間に告げる 暮の春
(えのてんじ なかまにつげる くれのはる)
※公民館の部屋を借りる絵画教室は、利用の扱
いが行政の諸施設と同等となるため、急に変
更になることがある。教室も皆でボチボチと、
再開したのだがどうなることやら。依頼を受
けた展示だけは受けることにした。
5/1sat
釣れずとも一人ボートの春の川
(つれずとも ひとりぼーとの はるのかわ)
※ステイホームの呼びかけが厳しい連休だが、
一人用のボートを川に浮かべる人は哲人のよ
うに思える。うららかな陽気だが、雨の予報
もあるからと年寄りは心配してしまう。凡人。
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4/30fri
荷風の忌 傘はなけれど ただ歩く
(かふうのき かさはなけれど ただあるく)
※永井荷風の写真に三つ揃いの背広を着込み、
中折れ帽子をかぶり、愛用の革手提げと雨傘
を携えているのがある。街を散策するのもこ
れで、お決まりのいでたちであったらしい。
雑司が谷の墓を訪ねたのも昔のことになった。
4/29thu
鳥帰る 病院通いの フェリーから
(とりかえる びょういんかよいの ふぇりーから)
※気功の治療が良かったといって、対岸の横須
賀市から月1,2度海を渡ってやって来る御
仁がいる。気功の原理と効果はイマイチ理解
できないけれどね。まあしかし、本人の効果
の実感が第一だ。
4/28wed
永吉の 古いアルバム 春惜しむ
(えいきちの ふるいあるばむ はるおしむ)
※FMで80年代リリースのアルバムを聴いた。無
性に懐かしい。感度が高くなってきた。
丹精を 孫に継がせて 藤の花
(たんせいを まごにつがせて ふじのはな)
4/27tue
初燕 二番ピッチャーの すこやかさ
(はつつばめ にばんぴっちゃーんの すこやかさ)
※到着したばかりだろうか? 飛び回る燕の姿
は雄姿だなァ・・・カッコいい。今日の大谷
にも雄姿期待。
4/26mon
百均へ 吝嗇ゆえに 春の道
(ひゃっきんへ りんしょくゆえの はるのみち)
※百均は比較的賑わっている。なぜかこのとこ
ろ買い物を頼んだり、自ら出向いたりが多い。
吝嗇ゆえでなくとも、百均ならではの長所も
ある。最近では、腰にぶら下げるスマホ入れ
は立派な革製よりも余計なところを削ぎ落し
た布製の100円が良かった。家内は畑用の
野菜の種子に、分量が丁度良いと言う。
4/25sun
閉店も 品いくばくか 鳥曇り
(へいてんも しないくばくか とりぐもり)
※近くの小間物屋兼雑貨屋の店先に4月末で閉
店するとの張り紙があった。コロナ禍の影響
か? まだ商品は変わらずあるのに・・・。
個人商店がまた減る。音もなしに。
4/24sat
むらさきの 隆ッとオダマキ 道の端
(むらさきの りゅうとおだまき みちのはた)
※今シーズンのオダマキで一番の見栄えは、残
念ながら我が家の庭ではなく門前の道端に咲
いたこれ。ほんの狭い土から育った、よく言
われる「ド根性オダマキ」だ。
4/23fri
春の川 おにぎり女子の ひとり坐し
(はるのかわ おにぎりじょしの ひとりざし)
黒光り 春の日返し 鵜は憩う
(くろびかり はるのひかえし うはいこう)
対岸は 緊急事態 春の海
(たいがんは きんきゅうじたい はるのうみ)
4/22thu
鉢馬酔木 亡父の作りし 旅の歌
(はちあしび ちちのつくりし たびのうた)
※コロナ禍は風雲急を告げているが、窓外の景
色はなんともうららかだ。雪国の春は旅を想
う季節である。・・・最近は旅行のことなど、
てんで夢のまた夢。
4/21wed
陽炎や 聖職に見えず 子は教師
(かげろうや せいしょくにみえず こはきょうし)
※教師は聖職という言葉自体死語に近いが、教
育の現場で熱情を持って仕事にあたっている
教師は数限りなくいる。環境に縛られ、自由
度を失っていることが残念だ。
担任の 教師は走る 竹の秋
(たんにんの きょうしははしる たけのあき)
4/20tue
便箋を 用意してさて 日永かな
(びんせんを よういしてさて ひながかな)
※手間がかかることではあるが、それが自然で
普通だった頃にもどろう・・・という提案が
あるようだ。人とのコンタクトもそうだ。そ
うなのだが・・・、なかなか出来ない。
4/18sun
オダマキや 犬の注射の 頃にあり
(おだまきや いぬのちゅうしゃの ころにあり)
春深し インゲン豆の 棚立てん
(はるふかし いんげんまめの たなたてん)
※今朝は快晴、風は強い。田植え作業はこの地
区で真っ盛り。畑に出かけ、強風の被害なし
を確認する。
4/17sat
細道を くねりて急ぐ 義士祭
(ほそみちを くねりていそぐ ぎしまつり)
※春の義士祭に泉岳寺で待ち合わせをした。
ところが用事があって高輪回りで行ったとこ
ろ、近道をしようとして道に迷い往生した。
この近辺は赤穂浪士にまつわる史跡が多いの
だが、戦災を受けていない路地が迷路のよう
だ。何度も歩いていたのだが。ようやく高輪
高校を見つけ胸を撫でおろした。
今ならスマホですいすいというところ。
4/16fri
今どきの 見合いやいかに 木の芽雨
(いまどきの みあいやいかに このめあめ)
※孫が見合いをすると知人が明かした。珍しい
話だから大いに勧めたのだとも。確かに今日
は余り聞かないなあと思ったけれども、さて
本当にそうか? 婚活、集団見合いとかは?
流行の先端だとも思える。
4/15thu
春日ありて眠り少しの充実
(はるひありて ねむりすこしのじゅうじつ)
軒下の 紫煙ゆっくりと 花の冷え
(のきしたの しえんゆっくりと はなのひえ)
※季節外れの「蛍族」ご同輩が方々にいる。
4/14wed
春闘や ОBという 欄はなし
(しゅんとうや おーびーという らんはなし)
※コロナ禍あり、国際関係の激動ありの変化の
中で、企業の栄枯には何とも感慨深いものが
ある。しっかりしたアンテナと想像力、イノ
ベーションとか言われるが・・・。究極は経
営者の洞察力か?
4/13tue
啄木忌 大根の花と 始業ベル
(たくぼくき だいこんのはなと しぎょうべる)
夕霞み おかねが泣いてる 景色かな
(ゆうがすみ おかねがないてる けしきかな)
※啄木の歌、「宗次郎におかねが泣きて口説き
おり 大根の花白き夕暮れ」。『ちゃんと働
いておくれよ~』の涙声が聞こえる。
4/12mon
清明や 我が意半ばの 水の色
(せいめいや わがいなかばの みずのいろ)
※水彩画教室は先月下旬からから再開、時間を
短縮し換気に注意して集まっている。家籠り
でさぞかし腕も上がったのではと、先生が冗
談を言う。しかし現実は遥かにそれに遠い。
4/11sun
妻の手と 機械がありて 早植えし
(つまのてと きかいがありて はやうえし)
※川向こうの一軒の農家が田植えを開始した。
今の言葉でいうと「はやッ」。4月15日前
の田植えを目撃したのは初めて。
4/10sat
鰊曇り室蘭勤務の頃の空
(にしんぐもり むろらんきんむのころのそら)
雨音の やさしくなりて 山笑う
(あまおとの やさしくなりて やまわらう)
※蔓延防止対策の対象地域が東京都をはじめと
して接近してきた。季節の歩みはいつもと変
わりないが・・・。
4/9fri
田を広げ 畔塗り急かる 三代目
(たをひろげ あぜぬりせかる さんだいめ)
※知り合いの農家で昨秋から田の統合、拡大工
事をしている。一枚の田んぼが広いほど、機
械を駆使する現在の農法では断然効率的だか
ら。しかしこれが生半可なことではない。同
じ水準の2枚の田だったらまだ優しいが、水
準の違う田を統合するとなると、大変な土木
工事になる。土壌を入れ替えすることも伴う。
遅れ気味らしく田植え前の仕事に勤しんでい
る。早速田植えから効率が上がる。
4/8thu
朝の音 綴りて長し 虚子忌かな
(あさのおと つづりてながし きょしきかな)
※毎日ではないけれど未明から7時前後まで長
い「オトコ入り」が続く。
朝の物音は激減していると落語家は言う。ま
して地方都市の住宅団地とくれば皆無に近い。
明るくなってJRの踏切音、出勤や配達のクル
マの音がちらほら。清さん、いつまで観察を
続ければいいの?
小鳥の囀りだけは豊富で種類も多い。
4/7wed
放哉忌 すきとおる声の 門に入る
(ほうさいき すきとおるこえの もんにいる)
※今朝の晴れ間は久しぶりに黄砂の影響も少な
く、空は透き通っている。今日は尾崎放哉の
命日。小豆島での暮らしは貧しく想像すべく
もないが、こんなこともあったろうと思う。
4/6tue
庭中が うすむらさきの 地の躑躅
(にわじゅうが うすむらさきの じのつつじ)
※隣の君津市の花はミツバツツジ。房総半島に
多いが、太平洋岸の野山に広く自生するとか。
薄紫の花は咲き揃うと実に華やか。庭はにわ
かに変貌する。見た家のバアさまのドヤ顔も
理解できる。
4/5mon
椿餅 踏切そばに 老舗あり
(つばきもち ふみきりそばに しにせあり)
草餅や 被りの婆が なしという
(くさもちや かぶりのばばが なしという)
※今日は一転肌寒い、平年並みの気温だ。雨の
日は外への誘惑もないし、使役に駆り出され
ることもない。最近すっかりご無沙汰のスケ
ッチのトレーニングをすることにする。
4/4sun
癌癒えて 目方戻りし 翁草
(がんいえて めかたもどりし おきなぐさ)
※行きつけの床屋のおやじがさりげなく言う。
ガンが肺に転移して先々週切ってきたと。内
視鏡手術の生々しい傷跡を見せる。一年前の
大手術で10キロも減った体重がやっと戻っ
た矢先のことだ。
病院を信頼してか、本人の胆力か、悲壮感は
ない。もう畑をやっている。帰りにワケギを
貰ってきた。
無骨なる手が春花を山と盛る
(ぶこつなるてが はるばなをやまともる)
4/3sat
里の家 みな勤め人と なりて春
(さとのいえ みなつとめにんと なりてはる)
※下の娘が就職し、クルマがまた一台増えた。
家と周りの畑、持山などは専業農家の時のま
まなのに。
4/2fri
ガラケーや 無傷十年 春の空
(がらけーや むきずじゅうねん はるのそら)
新しき スマホの青や 春蚊出ず
(あたらしき すまほのあおや はるかいず)
山笑う スマホ操作に 汗少し
(やまわらう すまほそうさに あせすこし)
※10年以上続けてきた3Gガラケーがもう一年
で使えなくなる。しぶしぶスマホに替えた。
通話とカメラ、Cメールだけの世界から大き
く可能性は広がるが、期待はカメラ機能の格
段の充実だけ。画面の字も読めないし、外出
もないから外でのネット活用もない。期待は
していない。月千円以下というから・・・。
4/1thu
四月馬鹿 不意に筍ご飯かな
(しがつばか ふいにたけのこごはんかな)
四月馬鹿 知らずに高い アプリかな
(しがつばか しらずにたかい あぷりかな)
※エープリルフールとはいえ、思いつくウソ話
はない。それにしても昨夕の筍ご飯は不意を
突かれた。春一番の到来もの。
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3/30tue
白木蓮清し人なしと言えど
(しろもくれんすがし ひとなしといえど)
植え替えて こちら向かしむ 黄水仙
(うえかえて こちらむかしむ きすいせん)
3/29mon
涅槃図や 僧絵解きする ペンライト
(ねはんずや そうえときする ぺんらいと)
※日頃は秘仏とされている御本尊を拝見し、こ
れまた秘蔵の涅槃図の説明を受けた。涅槃図
は三仏忌のうち涅槃会の参拝客に公開すると
か。本堂で静かに聞いていると真っ黒に近い
図ながら清新な気分になるから不思議。
3/28sun
陽だまりの ベンチを譲り 西行忌
(ひだまりの べんちをゆずり さいぎょうき)
あれこれと 捨てぬ理由を 西行忌
(あれこれと すてぬりゆうを さいぎょうき)
※旧暦の2月16日は西行忌。釈迦の命日2/15
に桜の下で死にたいと願い、没したと言われ
る。現世のしがらみを捨て、出家し、有り余
る才能を歌に寄せ、その後も信心の一方で煩
悩との闘いに一生を送った、とされる。
3/27sat
春時雨 スクランブルの 街ひそむ
(はるしぐれ すくらんぶるの まちひそむ)
※雨模様で渋谷駅前交差点の人出はやや穏やか。
ここ暫くは大阪、仙台、山形とかとか首都圏
以外の患者増加でワキ役に。でも必ず復活す
る、ニュース主役の座。
長閑さや 江ノ電の音 猫と住む
(のどかさや えのでんのおと ねことすむ)
※養老孟子氏の鎌倉自宅での暮らしを綴ったBS
の番組。おしゃべり孟子に老猫マルの取り合
わせが実に落ち着く。
囀りや 毛を集めおり 犬の留守
(さえずりや けをあつめおり いぬのるす)
3/26fri
水温む シューベルトの ソナタかな
(みずぬるむ しゅーべるとの そなたかな)
※春のせせらぎにぴったりなのがシューベルトの
即興曲(ピアノ)、D899とD935。ピアノソナ
タは別にちゃんとあるから誤解を招くが、余り
に字余りになるので・・・。
針に糸 一度で通す 葱坊主
(はりにいと いちどでとおす ねぎぼうず)
残りし歯 少し異常の 遅日かな
(のこりしは すこしいじょうの ちじつかな)
3/24wed
坂道や こぎてもとまる つくしかな
(さかみちや こぎてもとまる つくしかな)
デュトワふる 春の祭典 血圧高め
(でゅとわふる はるのさいてん けつあつたかめ)
※春に血圧高めは要注意。自転車も、坂道で土
筆が目にとまる程度にしようと思う。
3/23tue
皺の手で 開花の証し 写メールし
(しわのてで かいかのあかし しゃめーるし)
それぞれに 標準木あり サクラかな
(それぞれに ひょうじゅんぼくあり さくらかな)
投票所 出て春雨に 遭いにけり
(とうひょうじょ でてはるさめに あいにけり)
レーダーを 信じた末の 春の雨
(れーだーを しんじたすえの はるのあめ)
※房総半島内房地方でサクラの開花は2~3分
ほど。毎朝通る堤の並木はそれより少し遅い。
3/22mon
桃の花 夕彩るも 客はなし
(もものはな ゆういろどるも きゃくはなし)
うちは桃そとは陽光桜かな
(うちはもも そとはようこうざくらかな)
※桃の花と陽光桜は満開時が今回の雨にあい、
散り始めている。客の少なきを嘆いたことは
なかったが、今回だけは惜しかったなァ、見
せたかったなァと口惜しがっている。
それにしても、今までより色の酷似に驚いて
いるのは年齢のせいなのかな?
3/21sun
剪定を いつくしみつつ し残せり
(せんていを いつくしみつつ しのこせり)
花ニラや 我が庭の素直なる日々
(はなにらや わがにわのすなおなるひび)
花冷えや 病む首都圏に 解除あり
(はなびえや やむしゅとけんに かいじょあり)
3/20sat
彼岸会や 300年の 門なりき
(ひがんえや さんびゃくねんの もんなりき)
秘仏見て 石段中ほど 風光る
(ひぶつみて いしだんなかほど かぜひかる)
あるはずの 色揃いてや クロッカス
(あるはずの いろそろいてや くろっかす)
3/19fri
火を浴びて 沓音を聞く 二月堂
(ひをあびて くつおとをきく にがつどう)
春の闇 五体投地の 板の音
(はるのやみ ごたいとうちの いたのおと)
春の月 十四日間の 修行終え
(はるのつき じゅうよっかかんの しゅぎょうおえ)
※二月堂の修二会、今年は参拝客なしで行われ、
その代わりにBSテレビが中継した。
今まで目に触れなかった堂内の儀式、秘儀と
言われるものも含め、4時間余りだ。コロナ
禍も悪いことばかりではない。
番組を見るだけで疲れたが、おかげで心身の
煤払いが出来た(ような気がした)。
3/18thu
蕗の薹 遅きを悔いて 二つ三つ
(ふきのとう おそきをくいて ふたつみつ)
本来は 答辞読む子に 春日かな
(ほんらいは とうじよむこに はるひかな)
※なんにもない暮らしだが、それでも春はなに
かとあるものだ。卒業式は保護者なし、式次
第も簡素化して行われるとか。本人は喜んで
いるというが、親は・・・。
蕗の薹の秘密の場所は今年も無事だったが、
とうにタイミングを逸していた。
3/17wed
うながされ 免許貰いに 目借時
(うながされ めんきょもらいに めかりどき)
海の上に 高炉かすみて 入り彼岸
(うみのえに こうろかすみて いりひがん)
※溶鉱炉が三つも四つもあった光景は昔。地元
の製鉄所も縮小の運命にあり。高炉の薄い煙
ははかなげに。
3/16tue
桃咲くや 高齢免許は 金の色
(ももさくや こうれいめんきょは きんのいろ)
※午後に警察から電話あり。今日中に取りにこ
なければ交付しませんと。春の夕日が沈む前
に無事入手。認知症には免許更新しないはず
だが・・・。良かった。ちゃんとゴールド。
3/15mon
マスクして 杉の道掃く 春の僧
(ますくして すぎのみちはく はるのそう)
※地元の図書館に電子図書の登録をした。ファ
イルでの貸借だから、この時代に最適。当地
にもやってきたか。
今は青空文庫のコンテンツが多いというから
特段のメリットはない。充実はこれから。
3/14sun
修二会僧 あの激しさに 魅かれおり
(しゅにえそう あのはげしさに ひかれおり)
※東大寺二月堂の修二会中継を見た。現場の興
奮を思いやる。1261年続くという。
3/13sat
春宵や 気功の不思議 妻語る
(しゅんしょうや きこうのふしぎ つまかたる)
飛行機と まがいし春の 長いびき
(ひこうきと まがいしはるの ながいびき)
※春なれば妻を詠んだ句を。
3/12fri
春暁や さて寝なばやと 布団引く
(しゅんぎょうや さてねなばやと ふとんひく)
春暁や 待ち兼ねノソッと 床を出る
(しゅんぎょうや まちかねのそっと とこをでる)
※日の出は早くなったものの、ずっと前から待
っている日もある。寝ようか、いっそ起きよ
うか? きままで非生産的な一日の始まり。
3/11thu
雅には 遠くなりけり 桃の花
(みやびには とおくなりけり もものはな)
※桃の最初の一輪が今日咲いた。濃いピンクの
蕾が目白押しである。やわらかい日射しと花
の動きは例年と変わらずでなんとも貴重。近
所の陽光桜並木も昨日開花した。
3/10wed
いとおしや 春の朝の かゆみどめ
(いとおしや はるのあしたの かゆみどめ)
※高齢者に多い肌の乾燥症。かゆみが時に襲っ
てくる。じっと我慢、かかない。
3/9tue
春暁や まだかと闇に 灯をさぐり
(しゅんぎょうや まだかとやみに ひをさぐり)
春の朝 踏切音で 時を知り
(はるのあさ ふみきりおんで ときをしり)
※最近御多聞に漏れず、朝早く目を覚まして、
その後の長い時間を寝床で過ごしている。真
っ暗い中で、半覚醒のタイトルレスの思考、
かすかな光をカーテン越しに待っている。さ
て寝ようか、本を読むか・・・頭がすっきり
してくるとメニューが広がる。寝なくてはと
あせることはない。
3/8mon
早咲きの サクラ確かめん 遠回り
(はやざきの さくらたしかめん とおまわり)
沈丁花匂いありと妻闇の中
(ちんちょうげにおいありと つまやみのなか)
春の朝見上げても暦は見えず
(はるのあさ みあげてもこよみはみえず)
3/7sun
啓蟄や 生徒試験の 穴を出る
(けいちつや せいとしけんの あなをでる)
啓蟄や 老うちわ師の 女竹割く
(けいちつや ろううちわしの めたけさく)
※房州うちわは素朴な名品が多い。以前は多く
の職人が分業で作っていたらしいが、今や出
荷量は減り、名人と言われる人が材料の竹の
栽培・伐採・乾燥から竹の加工、絵柄の作成、
貼り、仕上げまでを一人でやっている。皺く
ちゃの手が見事な動きを見せる。
3/5fri
ミモザ咲く 山なす空の 植木鉢
(みもざさく やまなすからの うえきばち)
微笑みて 黄の春服が 退院す
(ほほえみて きのはるふくが たいいんす)
※図らずもイエロー句2つ。最近は古い顔とメ
ールを交換したり、夢マクラに出て来たり、
良いことが続いた。コロナ禍で強がりを言っ
ていてもやっぱり孤独オンリーでは長くはも
たないということか?
3/3wed
春の闇 教師のクルマは プラグイン
(はるのゆう きょうしのくるまは ぷらぐいん)
※これはトヨタの最新鋭車だなと見送る。
3/2tue
ライン見る 若き教師の 春放課
(らいんみる わかききょうしの はるほうか)
春の夕 校舎は声を 失えり
(はるのゆう こうしゃはこえを うしなえり)
※近所に中学校がある。顧問教師の負荷が問題
になった折に部活が抑制されたところに、コ
ロナ禍が重なり、放課後の校舎は様変わりだ。
3/1mon
如月の 山なめつくす 赤き舌
(きさらぎの やまなめつくす あかきした)
如月や 店守る顔の 白々と
(きさらぎや みせまもるひとの しらじらと)
※営業時間短縮の補償を叫ぶ人が多い中で、切
盛りに万策尽きた人も多い。働けと言われれ
ば寝ないで頑張るのだがと、力を駆使する場
を失った人の無言の表情は悲痛だ。
**********************************************************
2/28sun
鵜はもぐる 二月みそかの 朝まだき
(うはもぐる にがつみそかの あさまだき)
うたたねや 二月みそかの ひなたかな
(うたたねや にがつみそかの ひなたかな)
猫二匹 二月みそかの 夕まぐれ
(ねこにひき にがつみそかの ゆうまぐれ)
※二月みそかの三句。朝は冷え込んだが、日中
の日差しは値千金。コロナ禍さえなければ、
穏やかな天気に脳はとろとろ。
2/27sat
春うらら 断捨離とかを 考える
(はるうらら だんしゃりとかを かんがえる)
※いつも春になり新年度を前に、本やレコード
など大事にしてきたものをそろそろ処分しよ
うと真剣に思う。
しかし春の計画を実行した試しがない。今回
も? しかし後期高齢者だからなァ・・・。
2/26fri
春耕の 鍬のガタとり なお深く
(しゅんこうの くわのがたとり なおふかく)
野仏は 深く耕せと 言い給う
(のぼとけは ふかくたがやせと いいたもう)
※捻挫も大方直ったので、久しぶりの畑仕事。
寒起こしのつもりで深く土壌を掘り返すが、
季節はもう春、春耕はやり方が違うのではな
いかな? 歩行欠場の間は犬の散歩を代わっ
てもらったので、我が家の野仏に従うことに
する。日差しが暖かい。
2/24wed
畔塗りも 機械がすれば 泥厚く
(あぜぬりも きかいがすれば どろあつく)
※三寒四温の季節だが、当地では早くも畔作り
が始まっている。歩くのもゆっくりというシ
ニア農夫の、機械を使っての仕事はなんと力
強いことか。分厚い畔が見る見るのうちに。
2/23tue
ウグイスパン 味半世紀を ひとっ飛び
(うぐいすぱん あじはんせいきを ひとっとび)
※菓子パンのジャムパンやクリームパンは忘れ
た頃になつかしく食べたものだが、ウグイス
パンとなると高校生のころ以来か?
ぞろぞろと記憶が舌からよみがえる。
2/22mon
特売の 肉の情報 春電話
(とくばいの にくのじょほう はるでんわ)
言い出せば 限りなく恋し 目刺しかな
(いいだせば かぎりなくこいし めざしかな)
※それは豚肉の特売どうする?とかの電話に始
まった。肉より久しぶりに目刺しが食いたい
と私が差し出口。
途端に焼いた目刺しの香りが・・・。
**********************************************************
2/21sun
春陰や 股肱の足を 痛めけり
(しゅんいんや ここうのあしを いためけり)
2/18thu
句を詠むは 女性が多し 春の風
(くをよむは じょせいがおおし はるのかぜ)
2/17wed
ガンガンと 春の嵐よ MR
(がんがんと はるのあらしよ えむあーる)
2/16tue
墓地を売る 旗たはめきて 春の山
(ぼちをうる はたはためきて はるのやま)
2/14sun
蕗味噌や 伯父の手になる 味遥か
(ふきみそや おじのてになる あじはるか)
2/13sat
春服や 病室の壁に 飾りおり
(はるふくや びょうしつのかべに かざりおり)
2/11thu
春の道 白線を引く チームあり
(はるのみち はくせんをひく ちーむあり)
2/8mon
春近し テレ読書会の 案内来る
(はるちかし てれどくしょかいの あないくる)
2/7sun
ぼろ市で 買いし錦の 笛鳴らず
(ぼろいちで かいしにしきの ふえならず)
2/6sat
余病消え 寒明けの街 明るかり
(よびょうきえ かんあけのまち あかるかり)
2/4thu
着ぶくれて つい空耳の 音を聞き
(きぶくれて ついそらみみの おとをきき)
2/2tue
下の子が 急に泣きやむ 鬼火なり
(したのこが きゅうになきやむ おにびなり)
豪雪の街や 角巻の影を見る
(ごうせつのまちや かくまきのかげをみる)
耳かくし 剣玉の孔を 広げいし
(みみかくし けんだまのあなを ひろげいし)
冬灯り タバコ屋の子の まぶしかり
(ふゆあかり たばこやのこの まぶしかり)
1/29fri
寒紅や CTの日に 少し濃し
(かんべにや シーティーのひに すこしこし)
1/24sun
降りる人ありて線路の先は雪
(おりるひとありて せんろのさきはゆき)
1/22fri
大寒や 外食暮らしで 糖不如意
(だいかんや がいしょくぐらしで とうふにょい)
1/21thu
冬の日や 皆なにがしの 失意あり
(ふゆのひや みななにがしの しついあり)
※おとなしい暮らし、人さまざまな思い。
1/19tue
マスクして 人には会わず 寒念仏
(ますくして ひとにはあわず かんねんぶつ)
1/17sun
小三治の 初天神の 音しぼり
(こさんじの はつてんじんの おとしぼり)
1/15fri
寒月や 自転車ではもる 下校かな
(かんげつや じてんしゃではもる げこうかな)
1/13wed
寒暁や キンカン三個 しのばせて
(かんぎょうや きんかんさんこ しのばせて)
1/12tue
サクラソウ マスクをせよと 子が見上げ
(さくらそう ますくをせよと こがみあげ)
1/11mon
七変化 七之助見る 冬籠り
(しちへんげ しちのすけみる ふゆごもり)
1/10sun
白き息 妻退院と 告げる人
(しろきいき つまたいいんと つげるひと)
1/9sat
冬枯れの 庭に鋏の 音高く
(ふゆがれの にわにはさみの おとたかく)
1/8fri
人日や 列島に風雨 家に粥
(じんじつや れっとうにふうう いえにかゆ)
1/7thu
紙漉師 手には何をか つけたもう
(かみすきし てにはなにをか つけたもう)
1/6wed
寒の暁 早番の娘 湯を沸かす
(かんのぎょう はやばんのむすめ ゆをわかす)
1/5tue
竹馬や 出来ぬ理由を 七十年
(たけうまや できぬりゆうを しちじゅうねん)
1/1fri
バーバーの アダージョじっと 初日かな
(ばーばーの あだーじょじっと はつひかな)
初歩き キンカン三個 しのばせて
(はつあるき きんかんさんこ しのばせて)