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ダクタク句集2021年(令和3年)下期 自選集 [自選集2021]

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12/31fri
コロナ禍や なれど住処に 蜜柑熟れ
   (ころなかや なれどすみかに みかんうれ)

冬型の 高気圧良し ガラス拭き
   (ふゆがたの こうきあつよし がらすふき)

ご無沙汰しご無沙汰されて除夜の鐘
   (ごぶさたしごぶさたされてじょやのかね)
   ※大晦日の今日、いつもより多めに飲んで、早
    めに床に就くのが恒例。「いく年くる年」は
    朝ゆっくり見る。

12/30thu
似せ絵しか 描けぬ哀しさ 年の暮れ
  (にせえしか かけぬかなしさ としのくれ)
   ※水彩画、「描きたいのを好きに描けば良い」
    と思うのだが、これがなかなか・・・。

水滸伝 年末までに 終わらざる
  (すいこでん ねんまつまでに おわらざる)

12/29wed
誕生日 大根焚きに 揚げ入れて
  (たんじょうび だいこんだきに あげいれて)

抱負をという声なくて誕生日
  (ほうふをというこえなくてたんじょうび)
   ※使い慣れていないスマホで、食事に訪れたフ
    ァミレスのアプリをインストールしたら、な
    んと20%割引の上に誕生祝いとかで大きめの
    ケーキまでプレゼントされてびっくり!

12/28tue
老庭師 鋏み風に乗る 年の暮れ
  (ろうにわし はさみかぜにのる としのくれ)

極月や 垣の揃いに こだわりて
  (ごくげつや かきのそろいに こだわりて)
   ※元プロの義兄が手入れしてくれたものだが、
    代わりの老庭師の腕はまだつたない。でも鋏
    の音だけはいいようだ。刃物の世話が上手な
    のかも。

12/27mon
年内の 仕事と言われ 蜜柑もぐ
  (ねんないの しごといわれ みかんもぐ)
   ※先日述べた蝉の抜け殻が落ちないようにそっ
    と鋏を入れる。去年は裏作の年でほんの少し
    しか実をつけなかったが、今年は大丈夫! 
    背の高さほどの、一抱えほどの木一本なのだ
    が、ざっと120個くらいかなと皮算用をし
    ている。味もいい、濃厚さもある。

12/25sat
金星の 西に隠れて 聖夜かな
  (きんせいの にしにかくれて せいやかな)

おとなしい 番組見たり 聖夜なり
  (おとなしい ばんぐみみたり せいやなり)

平らかに 聖地の星を 調べたり
  (たいらかに せいちのほしを しらべたり)

かしこみつ 上皇様の お歳聞く
  (かしこみつ じょうこうさまの おとしきく)
   ※作夜はクリスマスイヴ。上皇様とは誕生日が
    12年と5日違い。干支も同じ。

12/24fri
空蝉や ミカンの枝で 年を越す
  (うつせみや みかんのえだで としをこす)
   ※実写生でもこれはいけないと言われそう。季
    語が三つも重なっている。空蝉、ミカン、年
    越し。ミカンをもいで試食した時に発見、こ
    んなのもいいじゃないかな。

12/23thu
句を添えて 師走の動画を 温めり
  (くをそえて しわすのどうがを あたためり)
   ※今春スマホユーザーとなったのを機に、その
    機動性、カメラの高機能を活かして、動画を
    アップすることを思いついた。既に30本近
    くをアップロード済だ。
    しかし動画といっても静止画を繋いで季節の
    5句を盛り合わせ、そこに好きな音楽をBGM
    とするものだ。1本が3分弱で飾り気のない
    動画である。当然見てくれる人は殆ど0。
    これが本人には意外と新鮮な「句帳」となる
    ことに気がついた。句の羅列より思い出深い、
    面白い。メインは句なのか、写真なのか、音
    楽なのかすら・・その時々。これが無料とは。

12/23wed
朝コール 声も馥郁 冬至たり
  (あさこーる こえもふくいく とうじたり)

柚子なきを 謝して冬至の ジャスミン湯
  (ゆずなきを しゃしてとうじの じゃすみんゆ)

冬至日や 光あるうち 長湯かな
  (とうじびや ひかりあるうち ながゆかな)
   ※今日まで太平洋側は比較的暖か。穏やかな冬
    至の晴れ間にホッとする。明日からは一段と
    寒さが増すとか。今日は頑張って、句の動画
    を5個 YouTubeにアップした。

12/21tue
容保は 宸翰胸に 冬すみれ
  (かたもりは しんかんむねに ふゆすみれ)
   ※大通りの歴史が少しずつ見直されている。慶
    喜の幕末への思い、容保の誠意吐露、共に朝
    敵とされたことへの反発等々。一朝に全てが
    きれいに繋がるものではないが・・・。

12/20mon
路地を来て 神田駅前 冬ぬくし
  (ろじをきて かんだえきまえ ふゆぬくし)
   ※久しぶりに神田小川町近辺に行った。帰途は
    知ったかぶりをして路地をめぐり遠回りの神
    田駅に出ようとした。道路は最盛期?のよう
    には導いてくれなかった。スジ違いを何度か
    犯した。されど結果は勝手知ったる神田駅界
    隈。この辺はまだ大丈夫。

12/19sun
そこらじゅう痒いが目良し耳も良し
  (そこらじゅうかゆいがめよしみみもよし)

寄せ鍋も辛くせよ赤くせよという
  (よせなべもからくせよあかくせよという)

コロナ禍も上司落研湯気揺れる
  (ころなかもじょうしおちけんゆげゆれる)
   ※年末清掃の束の間に川柳3題

12/18sat
冬の雲日没早くならざる日
  (ふゆのくもにちぼつはやくならざるひ)
   ※日中の時間が一番短いのは冬至の日だが、日
    の入り、日没が早いのは冬至以前の12月上
    旬、その分日の出が一番遅いのは冬至後の12
    月下旬だとか。少し賢くなった。

12/17fri
山茶花や 公家の住まいの 石の塚
  (さざんかや くげのすまいの いしのつか)
   ※かなり以前の冬の日に或る公家の住居跡を訪
    ねたことがあった。京都の寒さを身体で思い
    知った一日だった。

12/16thu
目うつろに 呆けし役を 初時雨
  (めうつろに ほうけしやくを はつしぐれ)
   ※俳優山崎努が認知症の老人を演じる映画を見
    た。目の表情が真に迫っていた。

12/15wed
寒き日や 喪中の葉書 集めけり
  (さむきひや もちゅうのはがき あつめけり)

念入りに 少なき賀状 炬燵かな
  (ねんいりに すくなきがじょう こたつかな)
   ※賀状をゆったり書くという経験はない。枚数
    をこなすためについ生産的な方法をその都度
    考えるからだ。しかし今年は違った。大幅に
    枚数を減らし、本来の?書き方に戻った。あ
    せってもいない。

12/14tue
義士の日や 堀部弥兵衛の 齢となり
  (ぎしのひや ほりべやへえの としとなり)
   ※冷たい午前、雪が落ちてきてもおかしくない。
    安兵衛の義父で、義士の最高齢。自分の年齢
    を考えるのに変に現実感がある。

12/13mon
白菜や 妻息災に ざくと割く
  (はくさいや つまそくさいに ざくとさく)
   ※この音、力強いザクッと・・・元気印。

新海苔や 百年の名産 送りたり
  (しんのりや ひゃくねんのめいさん おくりたり)

12/12sun
しつこさで 癌に克つさと 冬帽子
  (しつこさで がんにかつさと ふゆぼうし)
   ※再発した肺ガンに化学療法を続けている床屋
    はげっそり痩せたが、禿げあがった頭と目力
    は精悍でなお意気軒高だ。

12/11sat
身につかず終いの楽器大掃除
  (みにつかずじまいのがっきおおそうじ)
   ※今日明日の気温はぐっと高くなるとあって、
    大掃除その1と指定され、召集を受ける。

12/10fri
花札を二人向かいて冬日向
  (はなふだをふたりむかいてふゆひなた)
        
背伸びして取らん梢のレジ袋
  (せのびしてとらんこずえのれじぶくろ)
   ※今朝の気温は厳しいが、十分な日差しが救っ
    てくれる。

12/9thu
開戦の日 熱狂せしか 吾もまた
  (かいせんのひ ねっきょうせしか われもまた)
   ※対米開戦80周年の今年は当時の状況発掘のニ
    ュースや資料が多い。対中戦争の泥沼化、米
    国中心の対日圧迫政策、軍部の好戦姿勢と国
    民の支持、開戦に至った要因は様々なウェイ
    ト付けが可能だ。

12/8wed
冬ごもり ペトルーシュカを 聴けと友
  (ふゆごもり ぺとるーしゅかを きけととも)

ネットに出 たちまち主役 金目鯛
  (ねっとにで たちまちしゅやく きんめだい)
   ※北海道に住んでいた頃、囲炉裏焼き屋で金目
    鯛やホッケは馴染みの魚だった。ところが金
    目鯛はその後出世?し、内地(北海道では本
    州をこう呼んでいた)で高値となった。今や
    ネットでももてはやされているとか。
    当時から小生はホッケにより親近感を覚えた。
    うまいし塩の香りがする。しかし今や居酒屋
    では結構高い。ホッケ、お前もかッ。

12/6mon
極月も あかつき闇を 重宝し
  (ごくげつも あかつきやみを ちょうほうし)

同じこと 言う人の来る 落ち葉焚き
  (おなじこと いうひとのくる おちばたき)
   ※加齢のせいばかりではなく親からの遺伝もあ
    って深夜から未明の時間に目覚め、そのまま
    長い時間を過ごすことが多い。あせることも
    あるが読書時々うつらうつら・・・楽しめる
    ようになった。冬は寝巻の下に長袖のシャツ
    を着ていても、寝床から腕を出すと寒いので、
    作業用の手さし(袖カバー)を用意している。
    厳寒期には指先出し手袋も。

12/4sat
師走来る 時の会釈は 少しだけ
  (しわすくる ときのえしゃくは すこしだけ)

垣根刈る 冬支度かと 言われたき
  (かきねかる ふゆじたくかと いわれたき)
   ※早いものだ、と常套句を言わねばならない。
    遠慮会釈のない時の流れ。流れに沿って、昔
    流の冬支度を。

12/2thu
舳倉島 渡りの鳥の 五万とぞ
  (へぐらじま わたりのとりの ごまんとぞ)
   ※快晴、晩秋の能登舳倉島の様子を見た。テレ
    ビで。渡りの鳥のまたとない中継地だ。夥し
    い種類と数。多くはシベリアからで冬を日本
    以南の地で過ごすためにきている。すごい、
    生命力に溢れた島。

12/1wed
勲一等の 柿は一葉に 師走来る
  (くんいっとうの かきはひとはに しわすくる)
   ※今年の柿はたった一本ながら、たわわに甘い
    実をつけ、シニアに毎日の楽しみをくれた。
    勲一等功一級ものだ。



          **********


11/30tue
秋野菜 画材として後 分けたまふ
     (あきやさい がざいとしてのち わけたもう)

秋の暮 一幕ものの 場を数ふ
     (あきのくれ いちまくものの ばをかぞふ)
        ※我が創作にかかる芝居、長かったなァと思っ
         たが、アレッ・・・一幕だったか? 今から
         考えると色んな幕があって良かった、そうす
         るつもりだったのに。残念。まあ場数は多い
         し、今も続いているね。
         しかしぃ・・ちょっと待ってェな。ちょっと
         書き換えるやさかい。エエェ、出来ひんて?
         そ、そんな後生な・・・。

小春日の 人居ぬ園や 獏眠る
     (こはるびの ひといぬえんや ばくねむる)

11/28sun
小春日や なに食うたとから 長電話
     (こはるびや なにくうたとから ながでんわ)
        ※スマホで通話はスピーカーで。そして胸のポ
         ケットに突っ込んだまま話をする。両手フリ
         ーで。長引く友人とのスタイルがこれに落ち
         着き、スマホって便利だなァと感心。大いに
         笑われた。女の長電話を実体験中。

11/26fri
足腰の かすかに重く 石蕗の花
     (あしこしの かすかにおもく つわのはな)
        ※金木犀の生垣の剪定をやった。2日がかり。

11/25thu
母くれし やなぎ行李よ 冬支度
     (ははくれし やなぎごうりよ ふゆじたく)

友の笑み 蝶々とともに 冬茜
     (とものえみ ちょうちょとともに ふゆあかね)
        ※後輩の蝶キチの撮った写真が来年のカレンダ
         ーに採用されたと、それを贈ってくれた。立
         派な全国版で、彼の渾身の写真12枚が各月
         を飾っている。すごい出来だ。嬉しい。

11/23tue
マップ上 動線たどる 一葉忌
     (まっぷじょう どうせんたどる いちようき)
        ※一葉人気は根強い。都心の3か所の旧居跡を
         訪ねる人は引きも切らず、ネットの「一葉暮
         らしの研究」もいまだに旺盛のよう。
         ・・・アソコへはここを通ったとか、品を仕
         入れにアノ道を行った、この道は何歳の時誰
         を訪ねに通ったとかである。都心散歩の多く
         のファンに支持されているのではと思う。

11/22mon
デジタルや 愁思の顔も 修正し
     (でじたるや しゅうしのかおも しゅうせいし)
        ※顔の整形、といっても画像上のことだが。思
         う通りの方向に自分の画像を修正してくれる。
         以前からこの手のソフトはあったが、空前の
         進歩をしているというのだ。
           空前も 過ぎたらてんで 他人の顔
         最近、こういう小手先の開発ばかりだ。

11/21sun
起きるには まだたっぷりと 酉の市
     (おきるには まだたっぷりと とりのいち)

大いなる がま口腰に 酉の市
     (おおいなる がまぐちこしに とりのいち)

冷え込むや 帽子深めに お酉様
     (ひえこむや ぼうしふかめに おとりさま)
        ※久しぶりに熊手の店、露店の行列。ただお参
         りの客は寂しくて涙が出るほどの閑古鳥。威
         勢のいい手拍子もそこかしこに少しだけ。が
         ま口も空いたままか。今年は二の酉どまり。

11/20sat
秋の暮れ 種の袋の 字のうすし
     (あきのくれ たねのふくろの じのうすし)
        ※秋植え用に大切に保存しておいた種子がなん
         なのかわからない? 袋の上の鉛筆のメモが
         薄れている。そんなの知るか!! 種を見て
         もわからないのか?

11/19fri      
秋の暮 パテシエ修行の 娘が嫁ぐ
     (あきのくれ ぱてしえしゅぎょうの こがとつぐ)
        ※ケーキ店開業の夢は諦めて結婚するとか。小
         さいころから知っている、甥の娘だ。まあそ
         れもいいだろう、幸せを祈る。

11/18thu
七五三 子のつく名前 参り札
     (しちごさん このつくなまえ まいりふだ)

病葉も 岩風呂に入る 旅の宿
     (わくらばも いわぶろにいる たびのやど)
        ※PCでダウンロードした曲を整理してはせっせ
         とスマホに移し、オフで聴ける手筈を整えて
         いる。へへ、音の悪いのはリジェクトする。
         YouTubeは駄目。

11/17wed
時雨忌や 二の橋を越え 深川へ
     (しぐれきや にのはしをこえ ふかがわへ)
        ※時雨忌は芭蕉の忌日、陰暦10月12日。ゆ
         かりの深川へはいつも本所側から歩いて、門
         仲をゴールにする。
         本所二の橋のたもとには軍鶏なべや「五鉄」
         の跡地がある。鬼平の行きつけ。

11/16tue
さざんかや 昵懇の犬 動かざる
     (さざんかや じっこんのいぬ うごかざる)
        ※若い秋田犬が道路のあっちで腹ばいになって
         動かないでいる。我が家の犬に興味あっての
         ことではない。実はお目当ては小生である。


11/15mon
小春日は畑でワイヤレスイヤホンで
     (こはるびははたでわいやれすいやほんで)

秋夕焼 電車の音で 腰伸ばす
     (あきゆやけ でんしゃのおとで こしのばす)

幾百の 玉葱植えて 腰立たず
     (いくひゃくの たまねぎうえて こしたたず)
        ※3列の長い畝に黒マルチを張り、300本弱
         の玉葱の苗を飽きずに植える。しかし来年の
         春までは手間いらず。5月前半収穫の早生。

11/14sun
人の顔したる源氏の人逝ける
     (ひとのかおしたるげんじのひとゆける)
        ※瀬戸内寂聴逝去。若いころは一般的な世評に
         乗って、おやおやという思いで眺めていたが、
         自分がそこから解き放たれると彼女の顔が生
         き生きと穏やかに見え始めた。ますますそう
         なった。合掌。

11/12fri
どっしりと 家伝の砧 壁にあり
     (どっしりと かでんのきぬた かべにあり)
        ※郊外から移築した豪農の民家が公園にある。
         様々な農具、民具を入れ替わりで展示してい
         た。機織りの仕上げに反物の布打ちに使った
         とか。生乾きの洗濯物をたたいて柔らかくし
         たり皺をのばしたりもした。昔村落の家々で
         砧の音がした・・・有名なその光景とは、な
         にをしていたんだろう? 聞きそびれた。

11/10wed  
男手が スマホを見つつ 菊膾
     (おとこでが すまほをみつつ きくなます)
        ※季節感はあっても好きなものではない。何度
         か口にする機会はあったが、ちょっと舌先で
         感じてすぐに飲み込む類のものだった。せっ
         かくの到来物の食用菊、少し前進したい。年
         齢並みに。

11/9tue
歩きけり 新酒試飲は 障子部屋
     (あるきけり しんしゅしいんは しょうじべや)
        ※今は近くに醸造会社はない。昔々の話。

望みしも 秋刀魚一向に 気配なし
     (のぞみしも さんまいっこうに けはいなし)

11/8mon
海舟の 呼吸が聞こえる 坂の秋
     (かいしゅうの いきがきこえる さかのあき)
        ※勝海舟は赤坂の地を愛し、都合3度も場所を
         変えて住まいした。幕末は氷川下。その場所
         はマンションの林の中に埋没しているが、近
         くの氷川神社や氷川坂には往時の息吹が残っ
         ているように感じた。交通の激しい大通りの
         間にあって、不思議な静寂がある。

11/7sun
墓売れて にわか夜なべの 石工かな
     (はかうれて にわかよなべの いしくかな)

吾亦紅 午前いっぱい 身じろがず
     (われもこう ごぜんいっぱい みじろがず)
        ※新しいクルマの試乗に行った。今のクルマは
         中古だから、二つのクルマの間には10年近
         くの隔たりがある。話には聞いていたが、IT
         絡みの装備は目を見張るほど。
         しかし「安全のために必要なもの」と運転手
         サポートという名の「大きなお世話」とが混
         然としている。

11/6sat
ゴミ寄せに 鴉が消えて 秋の暮
     (ごみよせに からすがきえて あきのくれ)
    
秋深しジュリーのサンフランシスコ
     (あきふかしじゅりーのさんふらんしすこ)
        ※暦には明日7日は立冬。いくら寒いとは言え
         今日明日が冬であるとは肌に合わない。年々
         のことだ。新旧暦のずれにあるのだから仕方
         がない。しかし自分の句作とかには実感を優
         先していきたい。まだ当分は秋の暮だ。 
         ジュリー・ロンドンの低い声が最も似合う季
         節。

11/5fri
日に一つ もいで柿食う 余生良し
     (ひにひとつ もいでかきくう よせいよし)
        ※胃のバリウム検査に行ってきた。1時間ごと
         の予約制に改まって待ち時間が短くなった。
         この街での検査も25回以上を数える。

11/4thu
文化の日 佳きことありて 嗽二度
     (ぶんかのひ よきことありて うがいにど)

文化の日 洗濯しつつ 長電話
     (ぶんかのひ せんたくしつつ ながでんわ)
        ※文化の日とて関係の催しはなにもない。展示
         だけの文化祭も繰り上げで既に終わっている。
         友人の洗濯時の無聊に付き合う。

11/3wed
背の曲がり 正すこと増え 鱗雲
     (せのまがり ただすことふえ うろこぐも)

立冬は とうに来るらし 秋霞
     (りっとうは とうにきたるらし あきがすみ)

先生の 甲高い声 秋の午後
     (せんせいの かんだかいこえ あきのごご)
        ※もう晩秋である。様々な老化やその兆候を感
         じ始めて久しくなるが、これも秋そのもの。
         人生の秋の風情。

11/2tue
山中の 食堂ひとり とろろ汁
     (さんちゅうの しょくどうひとり とろろじる)
        ※房総半島の紅葉の見頃は11月下旬から12
         月上旬。年によって短く、気がついた頃には
         盛りが終わっていたということも。
         今の山のドライブコースは人もクルマもとこ
         とんまばら。

11/1mon
故郷の 歳時記重し 秋燈下
     (ふるさとの さいじきおもし しゅうとうか)
        ※昭和55年発行の「会津歳時記」がある。横
         になって、うとうとしながら長時間見入るの
         が至福の時なのだが、大部だけに仰向けのま
         までは5分と持たない。
         歳時記といっても当時の俳人仲間が集まり、
         地域の俳人と先輩の句を発掘して郷土の匂い
         がする俳句集を編んでみよう、ということに
         なったらしい。どんな歳時記でもその中に自
         分の句がのる、残るというのは俳句人の夢。
         あれもこれと話と努力は大きくなり、出来上
         がりは重くなった。装丁も立派である。
         後にも先にもこれだけの目論見はこれ一回だ
         け。匂い豊かで、胸に重くなるのを今日も味
         わうことにしよう。



          **********


10/31sun
雁渡し 松籟となる 選挙の日
     (かりわたし しょうらいとなる せんきょのひ)

秋燈や 小さき埴輪の 目の丸く
     (しゅうとうや ちさきはにわの めのまるく)
        ※埴輪が机上の電気スタンドに照らされて、今
         までにない影が出来、なにやら意味ありげに
         見える。何か語りかけるようにも感じられる。
         新鮮。今日は玉ねぎの畝作りに駆り出された。
         夕方散歩と投票に。

10/30sat
秋祭り かつて担ぎし 大神輿
     (あきまつり かつてかつぎし おおみこし)

祭礼の ポスター古き 老舗かな 
     (さいれいの ぽすたーふるき しにせかな)
        ※盛んだった秋の祭礼も、今は神社に氏子の主
         な者が集まり、祝詞を上げお神酒をいただく
         だけとか。コロナ以前からそうだったと主は
         話す。

10/28thu
山法師の 実に触れてみる 通学路
     (やまぼしの みにふれてみる つうがくろ)

甘柿は 送るべしとて 甥の家
     (あまがきは おくるべしとて おいのいえ)
        ※木に残っている柿の実はもう僅か。甘柿大好
         きと言ってくれる家に少し送った。取ってま
         でして食べないという家が多い。木守り柿と
         かのつもりもないみたい。

10/27wed
栗ご飯 まだ長月の 寒き日に
     (くりごはん まだながつきの さむきひに)
        ※気温はひと月以上も先を行っている。旧暦で
         はまだ9月長月だ。しかし寒いおかげで、豚
         汁と栗おこわという好みの食卓となった。

10/26tue
ホトトギス清貧の否応なしと
     (ほととぎすせいひんのいやおうなしと)
        ※清貧を旨とする高潔な人と少なくとも外見
         は同じになった。老い、億劫、金なしに加
         え、with コロナで否応なしの清貧である。
         中身もそうありたいと願っているが・・・。

10/25mon
二階まで 朝顔の紺 今日は褒め
     (にかいまで あさがおのこん きょうはほめ)
        ※10月下旬だというのにこの家の朝顔は盛
         んだ。一階の壁は葉と蔓が蔽いつくし、紫
         がかった紺色の花が二階の板壁と窓辺を半
         ば隠している。寒い朝、今朝は季節感の異
         常さはさておき、清々しさを感じた。

10/24sun
矯められし もみじ形を 取り戻す
     (ためられし もみじかたちを とりもどす)
        ※長年桃の木いや桃の実優先で、枝が重なって
         下部にあるもみじがばっさり伐られ、その後
         も伸びる度に切られてきた。やっとこの秋、
         桃の大枝を切り、もみじの雪辱を果たしてや
         った。家人にはこっぴどく叱られたが。

10/23sat
菊坂の 秋簾ふと 見上げおり
     (きくざかの あきすだれふと みあげおり)
        ※菊坂という響きは昭和、それ以前の明治の暮
         らしを彷彿とさせた。源は一葉。谷地ともい
         える一帯の佇まいは変わりつつも、訪れる人
         々は引きも切らない。傍若無人の観光客は住
         民の顰蹙を買っている。今も。小生も観光客。

10/21thu
早く去れ 雉狙わんと 威し銃
     (はやくされ きじねらわんと おどしじゅう)
        ※「有害鳥獣の銃による駆除を行います」朝早
         く市のスピーカーから流れる。被害のひどさ
         は具体的に知っているけれども、雉もなの?
         と思った。国鳥ではなかったか。

10/20wed
鳥渡る 細長き空を まっすぐに
     (とりかえる ほそながきそらを まっすぐに)

美術展 上野の山で 脚さすり
     (びじゅつてん うえののやまで あしさすり)
        ※久しぶりの東京。狭い通りの両側にマンショ
         ンなど高いビルが立ち、空を占拠している。
         視界に細長の四角い空がある。以前に親しん
         だ通りほど、その空の変貌ぶりに驚く。血中
         酸素濃度が低くなる。息苦しい。

10/19tue
降り立って 息白き夜は 栗名月
     (おりたって いきしろきよは くりめいげつ)
        ※旧暦9月13日のこの夜の月(十三夜)を栗
         名月というらしい。出かけた帰りの電車内か
         らは雲が多くとても駄目だなと諦めていたが、
         到着した駅頭からはなんときれいに見えた。

10/17sun
銀杏の やしろ前より 遠くなり
     (ぎんなんの やしろまえより とおくなり)
        ※朝の散歩から足を延ばして「銀杏の社」に向
         かう。夢にお告げがあったから。それにもか
         かわらず時期はちょっと早かった。小さ目の
         が袋一杯ほど。

事件ありて 自然薯掘りを とどまりぬ
     (じけんありて じねんじょほりを とどまりぬ)

10/16sat
ヒヨドリと 柿を争う 朝の陣
     (ひよどりと かきをあらそう あさのじん)

新語見て 却下却下よ 秋の風
     (しんごみて きゃっかきゃっかよ あきのかぜ)
        ※否応なしに飛び込んでくる新語。仮の略語と
         しか言いようがない。くだらないのが多い。
         しかし言葉とはそれぞれの世代がその時代に
         使い残すものだから拒絶しても始まらない。
         自浄能力を信じるしかない。

10/15fri
夕闇や サツマイモ掘る 列残す
     (ゆうやみや さつまいもほる れつのこす)
        ※「なーに今日中に終わるさ」と始めたが、半
         分近くは明日以降に。概ねいい出来だが、所
         々にネキリムシが試食した痕がある。良い色
         の外皮が台無しだ。「だから急がないと」と。

10/13wed
化粧瓶なる濁酒を舐めてみる
     (けしょうびんなるどぶろくをなめてみる)
        ※完全な禁煙をして満一カ月の昨日。ご褒美と
         いうわけではないが、ちょっと前にお土産に
         もらったドブロクを開けてみた。日本酒の原
         酒に近い味? 時間がたっただけ変な味。

10/12tue
月見てる 帰宅困難の 客となり
     (つきみてる きたくこんなんの きゃくとなり)
        ※仲間の中に先日夜の地震のために、ホテル泊
         りをしたヤツがいた。羨ましいとか馬鹿とか
         褒貶半ばの感想が飛び交っている。

10/11mon
ドビュッシーの 曲より速く 妻歩き
     (どびゅっしーの きょくよりはやく つまあるき)

小三治の 音を落として 聞いた秋
     (こさんじの おとをおとして きいたあき)
        ※前の句で多くの人が「月の光」を思い浮かべ
         るのでは。月は名月、秋の季語。ゆっくり歩
         きたいものだねェ・・・といいたいのかよ。
         べらぼーめ~。と小三治が言う。バイク、ク
         ラシック、音キチ、俳句・・・凝り性が好ま
         しかった。

10/10sun
金木犀 欠伸うつしたき 人のあり
     (きんもくせい あくびうつしたき ひとのあり)

摘まむ実の次は柿色を見極めつ
     (つまむみのつぎはかき いろをみきわめつ)
        ※雲の低い日、金木犀の香りが強い。朝散歩帰
         りに摘まむ庭の果物がぶどうから甘柿に変わ
         った。ぶどうの前は桃。我が家の果物だから
         おいしいが、いずれも極めて地味なナリであ
         る。それでも豊饒を感じている。

10/8fri
房州の団扇 手に良し 秋団扇
     (ぼうしゅうの うちわてによし あきうちわ)
        ※少し蒸し暑い日が続いた。しまい遅れの団扇
         が夏の名残り。

10/7thu
秋の日の翳りてモネの日傘かな
     (あきのひのかげりてもねのひがさかな)
        ※肺炎球菌ワクチンの5年前の接種証明を探し
         ているが、当然見当たらない。1回目は定期
         接種とかで自治体の一部補助があったが、2
         回目は任意接種で9千円前後の自己負担とな
         る。基礎疾患(習慣病など)がある者は特に
         1回目の接種を呼びかけているが、効能5年
         でそれ以降のための接種については呼びかけ
         どころかコメントもしていない。どの自治体
         も概ね然り。無責任とイワザルベカラズ。

10/6wed
紫煙消え 句読点なき 暮らし秋
     (しえんきえ くとうてんなき くらしあき)
        ※禁煙してもうすぐ一カ月。今が踏ん張りどこ
         ろだが、なんともメリハリのない暮らしを感
         じてしまう。そう感じること自体情けない話
         なのだが。

10/5tue
新米の 旬の野菜の ごとくして
     (しんまいの しゅんのやさいの ごとくして)
        ※当地の稲刈りは早いから新米はとっくに出回
         っているとか。昨夜当家の食卓にも。
         味はよくわからないが、風味・香りは新鮮で
         若々しくていい。少し固めのせいもあるかな。
         ん、だんだん味も良くなってきた。

10/4mon
過ぎ行くは 渋皮を剥く 背の時間
     (すぎゆくは しぶかわをむく せのじかん)
        ※散歩道を迂回して野山らしき方に向かう。道
         沿いに栗の木があり、夕暮れに落ちた実を拾
         っても大丈夫みたい。今年は幸運な日に20
         個以上をゲット。中学生の通り道でもあるの
         で、これ以上はムリ。結局は買って来て栗飯、
         甘露煮と相成る。例年のパターン。

10/3sun
風なくて 雲ありてこそ 蕎麦の花
     (かぜなくて くもありてこそ そばのはな)

秋時雨 サ行かすかに 朝の床
     (あきしぐれ さぎょうかすかに あさのとこ)
        ※秋のヤセ蚊に散々やられ、真っ暗なうちに目
         が覚めてしまう。無駄な思考はせず、ゆっく
         り、あせらず、長い時間を過ごす。これがな
         かなか難しい。

10/2sat
秋風や 芭蕉が性を 読みしかな
     (あきかぜや ばしょうがさがを よみしかな)
        ※芭蕉が多方面での人脈と才能を持っていたこ
         とは既に広く言われている。曰く、山師、ス
         パイ、脱藩コーディネーターとか・・・。
         しかし、これらの説は芭蕉の俳句が達した高
         みを損なう何物でもない。むしろ、到達の要
         因となるものだ。こういう評も多い。賛成。

10/1fri
秋の朝 布団変えての 夢路かな
     (あきのあさ ふとんかえての ゆめじかな)
        ※もう一段厚い掛け布団に替えて、台風接近の
         朝は意外と健やかに明けた。予想より遅いせ
         いで関東南岸最接近は午後になってからだ。
         一昨年来のトラウマはあるが、今回は当地
         「進路の西側」に当たる。だから比較的平静。
         (伊豆諸島の人々には申し訳ないが)


          **********


9/30thu
残り出でし 隠元を食う 余生かな
     (のこりいでし いんげんをくう よせいかな)

秋が来て 半藤が昭和を 思いけり
     (あきがきて はんどうがしょうわを おもいけり)
        ※半藤一利の著作をまとめて読んだ。おまけに
         今回は細君の末利子のエッセイも。昭和と較
         べると、今日は甚だグローバルだけれど変動
         要因、不安定要素が何倍にも増えた。
         好みで二択ならまだいいのだが・・・。

9/29wed
身構える 台風のコース じわりまた
     (みがまえる たいふうのこーす じわりまた)
        ※一昨年の房総半島台風を思わせる台風16号
         の不気味な動き。あの時の暴風のすさまじさ
         はそれまでの経験の最高値を遥かに超えてい
         た。以来トラウマとなって残っている。

9/28tue
総裁選 まともはおらず 票もなし
     (そうさいせん まともはおらず ひょうもなし)

画材にと 桜紅葉の シミが好き
     (がざいにと さくらもみじの しみがすき)
        ※候補者はかなりの一長一短、つまり一人トッ
         プの器ではないということ。一方朝の散歩道
         で拾ったサクラの落ち葉は「お、これがいい、
         やや、これも捨てがたい・・・」。

9/27mon
手の震え 医師はムリだった 泡立ち草
     (てのふるえ いしはむりだった あわだちそう)
        ※70歳台でバリバリ現役の医師はごまんとい
         る。手術も在宅医療の担い手も・・・少しは
         社会に役立ちたいと思うが。

9/26sun
検診の 人まばらにて 秋の鬱
     (けんしんの ひとまばらにて あきのうつ)
        ※コロナ禍の影響でガン検診の受診者が少ない
         とか。昨日行ったところが、例年の半分以下
         でスイスイだった。ガンの早期発見がそれだ
         け困難になり、国民の健康も損なわれ、医療
         費負担も嵩むか。必死に呼びかけてはいるが。

9/24fri
吾亦紅 年齢のみ母に 近づいて
     (われもこう としのみははに ちかづいて)
        ※お彼岸のお中日に犬(外飼い)のシャンプー
         をした。最近やけにかゆがるので、いい方の
         シャンプーで丹念に。薬効はどうか? 少し
         はいいみたい。感謝されている。

9/23thu
天高し 分厚き本の 進まざる
     (てんたかし ぶあつきほんの すすまざる)
        ※図書館からのメールで本屋大賞受賞作の順番
         が来たことを知る。予約してから半年近くだ。
         難渋している読書中の本の次はこれにしよう。

9/22wed
早きこと 今年いずこも 曼殊沙華
     (はやきこと ことしいずこも まんじゅしゃげ)
        ※庭の白い曼殊沙華も久留里線沿いの真っ赤な
         曼殊沙華も見事に咲き揃っている。例年はお
         彼岸中日にもやや遅れ気味だったのに。

9/21tue
月明かり 術後の姉の いびきかな
     (つきあかり じゅつごのあねの いびきかな)
        ※コロナ禍下での入院と手術、経過は順調だ。
         手術直後に限って5分ほどの対面は許された
         が、その後の面会はダメ。届け物もナースセ
         ンター経由。患者のわがままも抑止される。
         ただし、明月は欲しいまま。

名月や 禁煙の唾 飲みこめり
     (めいげつや きんえんのつば のみこめり)

9/20mon
電話口 朝飯中だと 敬老日
     (でんわぐち あさめしちゅうだと けいろうび)

咽喉が良し 高音も出る 敬老日
     (のどがよし こうおんもでる けいろうび)
        ※実は9月12日を期して禁煙をしている。過
         去のようではなく、本当の禁煙だ。完璧な一
         週間が経過した。爽快、ではある。

9/19sun
糸瓜忌や くせ爪すこし 治りけり
     (へちまきや くせづめすこし なおりけり)

野球忌や 大谷遥かな 峰に立つ
     (やきゅうきや おおたにはるかな みねにたつ)
        ※9月19日は子規忌。おや、子規忌かい、相
         変わらず一年は早いなあ、と思う日。子規に
         入れ込んでいた頃は少し前から騒いでいた。

9/17fri
秋の猫 リボンなどして 無視しおり
     (あきのねこ りぼんなどして むししおり)
        ※岩合某氏の猫番組。猫の住む歴史、環境など
         によって猫の扱い、扱われ方、そして猫の行
         動に様々な違いが生じるものだとわかる。
         知らない人には愛想のカケラも見せない猫は?

9/16thu
高安の まちまちな房 ぶどう描く
     (たかやすの まちまちなふさ ぶどうかく)
        ※教室終了後の画材分捕りは熾烈を極める。
         シャインマスカットの数粒が、昔ながらの小
         粒な甲州ブドウ一房より人気を集める。人気
         の甲斐路のピンチヒッターだったとはいえ、
         ひどい仕打ちだ。甘いのに・・・・。

9/15wed
露草や 嚥下体操の 音きこゆ
     (つゆくさや えんげたいそうの おときこゆ)
        ※開け放ったデイの窓から、大きな声が聞こえ
         る。繰り返しの発声のトレーニングが咽喉元
         の働きを強くするとか。

9/13mon
床屋言う かつて健脚 キノコ狩り
     (とこやいう かつてけんきゃく きのこがり)

肺ガンの シロ点々と 秋澄めり
     (はいがんの しろてんてんと あきすめり)
        ※行きつけの床屋の主人が三度目の癌の攻めに
         直面している。手術が可能かどうか?最適の
         抗がん剤は?次の外来で決めることになると
         いう。

9/12sun
街道に 医家の門柱 帰燕かな
     (かいどうに いかのもんちゅう きえんかな)
        ※季節は確実に過ぎていく。コロナ休みで休講
         だった水彩画も来週には再開、画材は季節の
         果物だとか。サボり過ぎ、どうしよう。

9/11sat
刈り残す 品種を尋ね うろこ雲
     (かりのこす ひんしゅをたずね うろこぐも)
        ※当地の稲刈りは一部を残し殆どが終了。2年
         前の房総半島直撃の台風襲来日も無事に過ぎ
         た。まずは目出度い。あの時の強風と被害、
         トラウマが完全には癒えていない。

9/10fri
遠きから 思い思いて 風の盆
     (とおきから おもいおもいて かぜのぼん)
        ※いまだに実現していない富山市八尾のおわら
         風の盆見物。九月上旬。かすかな憧れだけが
         もう何十年も続いている。
         若いころは、風の盆という名前に惚れてみた
         り女踊りの清楚さが頭に焼き付いていた。中
         年の頃は男踊りの渋さ、凛々しさこそ最高だ
         と。そして今・・・。
         あ、あそこで車椅子に座って飽かず眺めてい
         る、あれが私だ。

9/9thu
草のびて 上下交換の 駅のあり
     (くさのびて じょうげこうかんの えきのあり)
        ※晴れ間が見えても遠出はしない。今日は犬の
         餌買いにちょっとだけ。単線久留里線の横田
         駅は沿線中ほどの駅で、上り下り各一時間1
         本の列車が交差する駅。昼下がり、静寂。

9/8wed
騒がしくなれど九月の歌多し
     (さわがしくなれど くがつのうたおおし)
        ※首相最悪のやめ方。にわかに生臭い話が蔓延
         しつつある。一方でNHKラジオでこの何日か
         で September Song を3,4回聴いた。しか
         も歌い手を変えて。耳に断然懐かしいのはや
         はりシナトラ。

9/7tue
法師蝉の 影を奪いて 秋の冷え
     (ほうしぜみの かげをうばいて あきのひえ)

長雨の 上がらんとして 虫なけど
     (ながあめの あがらんとして むしなけど)
        ※10月下旬並みの気温。風流の人は惜春のよ
         うな言葉はなくとも、行く夏を惜しみ次第に
         秋めく今頃をしみじみ味わうというのだが・
         ・・。

9/6mon
刈入れは 爺がビールつぎ 始まれり
     (かりいれは じじがびーるつぎ はじまれり)
        ※刈入れ作業は勤め人の孫の出番。腰を曲げて
         眺めていた爺は初日を終えた孫にビールをつ
         いでいる。と思う。去年までの主役息子は姿
         が見えない。

9/5sun
秋天や 見上げつ半日 畑におり
     (しゅうてんや みあげつはんにち はたにおり)

隠元棚 慈しみつつ 撤収す
     (いんげんだな いつくしみつつ てっしゅうす)
        ※秋は畑作業が最高、とか言われ繰り出す。雨
         の間の貴重な晴れ間。大当たりだったインゲ
         ン豆。

9/3fri
花桔梗 息子寝んとて 帰り来る
     (はなききょう むすこねんとて かえりくる)
        ※アフガニスタン米軍撤退とその後の混沌。

9/2thu
御仏を うたう父の句 二百十日
     (みほとけを うたうちちのく にひゃくとうか)
        ※一気に十月上旬並みの気温に。豪雨被害はあ
         ったが、台風の襲来はいまのところ少な目だ。

9/1wed
待ち兼ねて 雨音ソフト 八月尽
     (まちかねて あまおとそふと はちがつじん)

秋雨や 雨城楊枝の 代替わり
     (あきさめや うじょうようじの だいがわり)
        ※やっと一雨。雨城は久留里城の別名。長く城
         下で作り伝えられた黒もじ楊枝がある。


          **********

8/31tue
爽涼や 係船洗う 細き腕
     (そうりょうや けいせんあらう ほそきうで)
        ※久しぶりに木更津港のそばを通った。日中の
         気温は今日ぐっと低く、凌ぎやすい。砂利運
         搬船が数隻いるだけ。

8/30mon
ホームラン 客なき席に 夏終わる
     (ほーむらん きゃくなきせきに なつおわる)
        ※コロナ禍の真っ最中に、甲子園とパラリンピ
         ック。やや不自然な多忙感。プツンッと切る
         と田舎の超静寂な午後に。夏今終わる。

8/29sun
塗装屋の 足場の払い 速く秋
     (とそうやの あしばのはらい はやくあき)
        ※近くで長々と丁寧に作業をしていた業者が仕
         事を完了した。撤収作業。今日は素早い。

8/27fri
秋暑し 茶筅をしかと 手入れする
     (あきあつし ちゃせんをしかと ていれする)
        ※もどった暑さは一段と強烈、当地は昨日今季
         初めての猛暑日をを記録した。

8/26thu
新しき 稲刈り機動く 爺も見る
     (あたらしき いねかりきうごく じじもみる)
        ※中旬までの長雨で大部分倒れた稲田がある。
         全く丈夫な田も多い。暑い一日。

8/25wed
調剤の 袋を問われ 残暑かな
     (ちょうざいの ふくろをとわれ ざんしょかな)
        ※毎日飲む薬がまた一つ増えた。山となった薬
         を手渡しながら、可愛い薬局のお姉ちゃんが
         言ったものだ。「一日おきの薬が多いから大
         丈夫ですか?ちゃんと飲めますか?」
         バーヤロー!

8/24tue
仕舞た屋に 都会の子いる 秋暑し
     (しもたやに とかいのこいる あきあつし)
        ※東京ナンバーのクルマが子供を迎えに来たと
         ころらしい。2学期もどうにか始まるようだ。

8/22sun
商店の消えゆく秋ぞ空を見る
     (しょうてんの きえゆくあきぞ そらをみる) 

ショーケースに 時計残れり 今朝の秋
     (しょーけーすに とけいのこれり けさのあき)
        ※地方都市の個人商店はこの国の政策で消えゆ
         く運命。主の高齢化などで、櫛の歯が抜ける
         ようにパタパタと、しかし着実に消え去る。

8/20fri
ゆっくりと 猫が横切る 盆の明け
     (ゆっくりと ねこがよこぎる ぼんのあけ)

日に一度 棚のブドウを 摘まみ食い
     (ひにいちど たなのぶどうを つまみぐい)
        ※あれだけの前線が動き、夏の暑さがもどった。
         しかし盆明けの世の中の活動再開は?

8/19thu
クロエーの 髪に秋風 手櫛さす
     (くろえーの かみにあきかぜ てぐしさす)
        ※古代ローマ時代の小説のヒロイン、クロエー。
         句が出来ないー。こういう日もある、多い。

8/18wed
塔の隅 見詰めて描く 夏帽子
     (とうのすみ みつめてえがく なつぼうし)
        ※また暑い夏がやってきた。立派な山門を残す
         寺に子供たちがスケッチしている。外出もま
         まならなかったから、付き添いの人が見当た
         らないのに、さぼらずに熱心に描いている。
         見習わなければ・・・。

8/17tue
新涼というな前線居座れる
     (しんりょうというな ぜんせんいすわれる)
        ※長雨のせいで気温は下がり、爽やかなとも言
         える。当地の稲作農家は盆明けの刈り取りを
         前にして、倒れた稲を苦々しく見つめる。
         一方、水没した西日本の農家は悲嘆に暮れて
         いる。

8/15sun
百日草 在宅治療という不安
     (ひゃくにちそう ざいたくちりょうというふあん)
        ※血中酸素濃度94%以上は在宅治療とか。マク
         ロの正解を導くための明快すぎる基準。

8/14sat
花魁草 我が家を去りて この宿に
     (おいらんそう わがやをさりて このやどに)
        ※どこの庭も菜園もこの雨続きで手が入らない
         ようだ。我が家も同様。西日本の被害状況の
         ニュースを見れば、まだまだ恵まれている。

8/13fri
西瓜乗せ 売り声テスト 繰り返し
     (すいかのせ うりごえてすと くりかえし)
        ※列島全体が前線に覆われ、豪雨の危険が広ま
         る。気温が下がり、さすがに西瓜の季節は終
         わりそう。知合いの西瓜農家も軽トラに満載
         し、盆休みの客を頼みに出かける。

自家製の 小玉西瓜を 半分こ
     (じかせいの こだますいかを はんぶんこ)

8/12thu
虹現れて 風の通りで 見んとする
     (にじあれて かぜのとおりで みんとする)
        ※先日夕方の二度の夕立ちで、二つの虹が現れ
         た。なかなか見事だった。風の通りは一番涼
         しい通り、息を切らして駆け付けた。

声なくも 片陰つくる 幼稚園
     (こえなくも かたかげつくる ようちえん)

8/11wed
草むしる 目線でじっと 我が家見る
     (くさむしる めせんでじっと わがやみる)
        ※蚊取り線香をしっかり腰に巻いて草むしり。
         この目線、この眺めは新鮮。下から目線。住
         んで20年以上になるのに・・・。カメラに
         収めると狭い庭が数倍の広さに見える。

8/9mon
片陰を スマホのラジオ ならし行く
     (かたかげを すまほのらじお ならしゆく)
        ※オリンピック絡みの放送が消えると、こんな
         にも変わるものか。一種静寂という感じ。
         これでコロナ禍関連がなくなったら、この世
         は何をテーマに回っていくのだろう。

8/8sun
包丁と テレビの音と 晩夏かな
     (ほうちょうと てれびのおとと ばんかかな)
        ※日がな一日テレビに見入る亭主といやでもお
         さんどんをする家内。もうそろそろ飽和状態
         に近づいたところで、台風と五輪は閉会式だ。
         長かった強雨がようやく上がったところで、
         昨日が立秋だったことを知った。

8/7fri
原爆忌後期高齢者の二年
     (げんばくき こうきこうれいしゃのにねん)
        ※原爆投下後76年。自分の満年齢に同じ。方
         向性を持った着実な動きの象徴になればと思
         うが、ここにも小さな分断が蔓延り、根付い
         て久しい。

8/5thu
定斎屋の 売り声知らず 盛夏かな
     (じょさいやの うりごえしらず せいかかな)
        ※街も住宅地の通りも見事に閑散。暑気払いの
         薬を売り歩く天秤棒を担いだ薬屋。江戸の風
         物詩。これ自身が季語だとか。

8/4wed
呆けては 知命いまだに 夏暖簾
     (ほうけては ちめいいまだに なつのれん)
        ※50の歳は遥かになったが、「このまま行く
         ことになるなァ」と暫く顔を見ていない友人
         と話す。呆けてきそうな午後の話題。

8/3tue
とまる人あり暑しとも言わず行く
     (とまるひとあり あつしともいわずいく)
        ※蒸し暑い。この朝も修行僧のごとく歩く人が
         いる。初の熱帯夜になっても時刻はいつもと
         同じだ。

8/2mon
豪雨去り 橋脚白し 土用かな
     (ごううさり きょうきゃくしろし どようかな)
        ※不安定な天気になって、午前中の猛暑と午後
         の雷雨というのがパターンになりつつある。
         気象予報が今ほどでなかった頃は、この天気
         パターンを「夏の天気の決まりごと」として
         認識していた。
         夕方の突然の驟雨と雷鳴、予測されると風物
         詩とは言えなくなった。損をしている。

          **********

7/31sat
地元紙にくるまれ母の夏野菜
     (じもとしに くるまれははの なつやさい)
        ※下宿先で空に浮かんだ五輪マークを見た。
         57年前の10月。東京生活1年目のあの頃、
         こういうものが届いた。

7/30fri
激増も マスクと夏の 暮らしかな
     (げきぞうも マスクとなつのくらしかな)

勤めあり 熱帯夜あり 五輪あり
     (つとめあり ねったいやあり ごりんあり)
        ※どんなに感染が拡大しても工場勤務は続く。
         都心から放射される拡大の波はこれ以上協力
         しても限界。抵抗できない・・・と。体力を
         誇る知人の息子のコロナ禍2題。

7/29thu
炎天や 白髪だけの 溝掃除
     (えんてんや はくはつだけの みぞそうじ)

風鈴の 短冊に願い かけ直し
     (ふうりんの たんざくにねがい かけなおし)
        ※一都三県の感染者数はなにやらキナ臭い匂い
         までしそうだ。ピークアウトするのか、更に
         暴騰となるのか。

7/28wed
この夏は 遅めの出会い 川とんぼ
     (このなつは おそめのであい かわとんぼ)
        ※興味に任せてテレビ観戦を続けていると、エ
         アコンはつけているのに頭がおかしくなりそ
         う・・・。自重と口だけでは駄目。年齢相応
         の自制を、と再度の自戒。

7/27tue
朝市の 婆こっくりと 紅蜀葵
     (あさいちの ばばこっくりと こうしょっき)
        ※漁港近くの朝市はコロナ禍とオリンピックが
         かさなり、地元客だけがパラパラと散歩がて
         らの買い物。何十年か前にもどったようだと。

7/26mon
夏の日や 力出し切る 妙ありて
     (なつのひや ちからだしきる みょうありて)

百日紅 五輪の色に 咲き初める
     (さるすべり ごりんのいろに さきそめる)
        ※五輪のテレビ観戦を少し控えなくては・・・
         と自戒。日本選手の活躍を追おうとは思って
         いないのだが、昨日などは自然にそうなって
         しまった。今日も自重、自重と念じつつ観戦
         三昧。

7/24sat
雷が清め開会式の夜
     (かみなりがきよめ かいかいしきのよる)
        ※紆余曲折を非難されつつも、昨夜の開会式。
         控えめとの感想がありつつ、自己主張や国威
         発揚の要素は少なく、自国の伝統や文化に過
         度に固執することもなく、大人の開会式運営
         だった、と思う。

7/23fri
打ち水や リサイクル屋の 浴衣見る
     (うちみずや りさいくるやの ゆかたみる)
        ※衣料や小物を中心としたリサイクル屋がある。
         女主人が浴衣姿でホースで水撒きしていた。

7/22thu
白玉や 墓の話を 少しして
     (しろたまや はかのはなしを すこしして)
        ※後期高齢者の仲間入りをして、お墓はその使
         用時期が近づいている。しかし夫婦で考え方
         が違う。それで「ま、いいか、そのうちに・
         ・・」とほっといてある。

7/21wed
夏の庭 たしかに降った はずなのに
     (なつのにわ たしかにふった はずなのに)
        ※夜中にかすかな雨音を聞いた。そういえば少
         し涼しくなった。これはいい・・・。朝、雨
         の痕跡は皆無。気象の記録も降雨は0。なん
         だったんだ、あれは?

7/20tue
まっすぐに来てさっとよけ夏の蜂
     (まっすぐにきてさっとよけ なつのはち)
        ※長雨と土砂災害、相変わらずのコロナ渦に猛
         暑が加わった。右往左往しているうちにオリ
         ンピックが直近に迫っていた。

7/19mon
浮草の稼業や三十年人恋し
     (うきぐさのかぎょうやみそとせひとこいし)
        ※小津安二郎監督の映画「浮草」、ひと夏の小
         さな漁師町での人の触れ合いと夏の風物を謳
         っている。珠玉。

7/18sun
はつどれの 西瓜抱えて たたきおり
     (はつどれの すいかかかえて たたきおり)
        ※ラグビーボール型の小玉西瓜。
         「この音どう?」と聞かれても一個だけでは
         とんとわからない。テレビで習った高い畝を
         作って苗を植え、稲わらを敷き詰めるまでの
         仕事は私、受粉のために何度も通ったのは家
         内。意気揚々としている。

7/16fri
近道の 線路を跨ぐ 日傘かな
     (ちかみちの せんろをまたぐ ひがさかな)
        ※朝一番の散歩で雲の形を見て「今日梅雨明け」
         を確信した。案の定・・・。まだ堂々とはし
         ていないけれども、ミニ積乱雲がニョキニョ
         キ無数に立っていた。

7/15thu
雨降りの パリ祭とかに 手術決め
     (あめふりの ぱりさいとかに しゅじゅつきめ)
        ※去年の今頃は、まだコロナ禍の何たるかにつ
         いて殆ど知っていなかった。アソコの病院は
         感染者が担ぎ込まれた、他の手術はキャンセ
         ルされる、外来も控えた方がいいとか・・・。
         肝心の克服はまだだけれども大分敵の正体は
         わかってきた。必要な手術は受けよう。

7/14wed
麻のれん 都会の路地の あの日かな
     (あさのれん とかいのろじの あのひかな)
        ※足が遠のいてどのくらいかなァ? 長雨と暑
         さと、気候の変動に翻弄される日々・・・、
         暮らしを作る力にふと弱さを感じる。

7/12mon
青梅雨や 落ちたる桃に 色微か
     (あおづゆや おちたるももに いろかすか)

捩じり花 二回目無事と 返信し
     (ねじりばな にかいめぶじと へんしんし)
        ※豪雨の後は晴れ間を待ち望んだが、梅雨明け
         間近と言われると恐怖の真夏の日々を思い出
         す。オリンピックがあるし、只ならぬ胸騒ぎ
         も少し。無事を祈りたい。

7/11sun
祖父来る 麦わら帽子の 痕しかと
     (そふきたる むぎわらぼうしの あとしかと)
        ※祖父は夏の外出にはどこに行くにしても昔風
         の麦わら帽子をかぶって出かけたらしい。
         70年以上過ぎて、私の日常も変わらず愛用
         している。祖父が我が家を訪ねて、というこ
         とはあり得ないが。

7/9fri
扇風機 車内で首ふる ヤツ恋し
     (せんぷうき しゃないでくびふる やつこいし)
        ※東京での通勤時代の前半は電車にエアコンは
         なかった。今日みたいな蒸し暑い日でなくと
         も夏の車内は毎日が地獄だった。

7/8thu
御田植祭 乙女の白い 角かくし
     (おたうえさい おとめのしろい つのかくし)
        ※未婚のきれいな女性が花嫁姿で30数名も。
         文金高島田に角隠しの行列。旧会津田島町の
         伝統の御田植祭り(祇園祭)は6月の遅い田
         植えを無事終えて、7月に行われる。
         (ただし今年の花嫁行列は中止)

7/7wed
梅雨明けず 瓜盗人という 季語のあり
     (つゆあけず うりぬすっとという きごのあり)

卒寿翁 聞こえずはただ 聴かぬなり
     (そゆじゅおう きこえずはただ きかぬなり)
        ※矍鑠としている先輩は目と耳の衰えを訴える。
         外界の動きには旺盛な好奇心があるから、存
         外耳の方はインプット次第ということかも。

7/6tue
梅雨晴れや 園児の声と 松籟と
     (つゆばれや えんじのこえと しょうらいと)

梅雨晴れや デイの窓みな 開けられて
     (つゆばれや でいのまどみな あけられて)
        ※三日三晩の雨が上がった。まだ怪しい空模様
         である。長続きはすまい。ここは大きく深呼
         吸というところか。

7/4sun
葛餅や 黒文字楊枝 舐めて終え
     (くずもちや くろもじようじ なめておえ)
        ※遠くの大先輩の声が聞けた。卒寿。変わらぬ
         声が懐かしい。雨も一休み。

7/3sat
長雨や 桃の実落ちる 音二つ
     (ながあめや もものみおちる おとふたつ)
        ※下屋に落ちた実は雨音にも負けない音がする。
         その度に私と家内は嘆息をもらす。

7/2fri
梅雨寒や スマホの容量 持て余し
     (つゆざむや すまほのようりょう もてあまし)
        ※今回の雨はすごい。殆ど間断なく三日目。明
         日いっぱいは降り続く模様。出かけてもラジ
         オを聴くか、カメラを使うのが主体のスマホ
         は1ギガ月千円で十分、なんとガラケー時代
         よりも安価で済んでいる。家ではWi-Fi。

7/1thu
枇杷熟るる 二回目無事と 返信し
     (びわうるる にかいめぶじと へんしんし)

ワクチンや オクラの花の頃に受く
     (わくちんや おくらのはなのころにうく)
        ※ワクチン2回目の接種を終えた。2回目後の
         方が副反応が出やすいと言われる。家内も数
         日前、接種部位の腫れと痛みが続き、それが
         原因と見られる熱が出た。静かにしている。

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ダクタク句集2021年(令和3年)上期 自選集 [自選集2021]

5/31mon
齢重ね 惚れた句多し 万太郎忌
     (としかさね ほれたくおおし まんたろうき)
        ※地方出身者には東京大好き、東京暮らし好き
         という人が多い。小生もその例にもれない。
         東京景色を鮮明に切り取った万太郎の句、し
         みじみとした暮らしの句など、気に入った句
         が多い。
           永代の橋から海の時雨​かな
           時雨るゝや麻布二の橋三の橋

火花散る 駿馬の息や 五月尽
     (ひばなちる しゅんめのいきや ごがつじん)

5/30sun
月蝕は見えず泰山木の花
     (げっしょくはみえず たいさんぼくのはな)

人なくも 参道塵なし 五月晴れ
     (ひとなくも さんどうちりなし さつきばれ)

5/29sat
ヘタムシの 消毒せねば 梅雨近し
     (へたむしの しょうどくせねば つゆちかし)
        ※昨年久しぶりに柿の収穫が良かったのは初夏
         から2度ヘタ虫の駆除をしたからだと信じて
         いる。しかも丹念にやることだ。しかし今年
         は時期が迫っていたのに天気の具合でいまだ
         やれないでいる。

5/28fri
五月闇 リウマチの子の 稽古かな
     (さつきやみ りうまちのこの けいこかな)
        ※リウマチに罹った人が暗くなった小さな公園
         でゆっくりリハビリをしている。照明は一個
         だけ。

五月雨や 梗塞の人 予約とる
     (さまみだれや こうそくのひと よやくとる)

5/27thu
西日まで ひとひゆっくり 文庫本
     (にしびまで ひとひゆっくりの ぶんこぼん)
        ※昼過ぎから寝っ転がり、日のさす方に頭を向
         けて読みふける。うつらうつらするといつの
         間にか方向が変わり角度を変える。
         自在な数時間、なかなか良いものだ。

石碑見る 頭にササと 松落葉
     (せきひみる あたまにささと まつおちば)

5/26tue
二の丸の 自転車で踏む 松落葉
     (にのまるの じてんしゃでふむ まつおちば)
        ※鶴ヶ城址の初夏の思い出。ふと。

5/24mon
誤嚥あり 新茶ゆっくり ゆっくりと
     (ごえんあり しんちゃゆっくり ゆっくりと)
        ※夫婦ともに誤嚥に要注意と話している。深刻
         ではない。今まで無縁のことだと思ってきた
         が、そうでもなさそうだ。

5/23sun
我もまた 青蚊帳吊れる 母持てり
     (われもまた あおがやつれる ははもてり)

背伸びして 蚊帳を吊りたる 早寝かな
     (せのびして かやをつりたる はやねかな)
        ※蚊帳2句。前の句は長塚節の名歌のパクリだ
         けれど感慨は本物。後の句は妙に鮮明に残っ
         ている情景。夕飯を食べて眠くて眠くて、背
         伸びして蚊帳を吊って寝た記憶。遊び疲れの
         ためとテレビもなかった頃の夏の夜の静かさ
         ・・・。

5/22sat
アジサイや ロケ班の群れ 傘の色
     (あじさいや ろけはんのむれ かさのいろ) 

雷鳴や 女優の名前 ついぞ出ず
     (らいめいや じょゆうのなまえ ついぞでず)
        ※毎朝通る川岸で一目でロケーションとわかる
         一隊がいた。こんな所を見つけて、こんなに
         早くから・・・。小雨まじりの中でどこかで
         見た女優?が集団の真ん中にいた。
         だれかなァ? 近づこうとおもったがやめた。

5/21fri
軒下を 燕次々 チェックして
     (のきしたを つばめつぎつぎ ちぇっくして)
        ※新建材のスベスベの壁は燕が嫌い、やっと決
         めて巣作りを始めると大家の親子から追い出
         されてしまったり。ままならない。

夏嵐 地に伏すキューリ サヤエンドウ
     (なつあらし ちにふすきゅーり さやえんどう)

5/20thu
筆入れは 半世紀ものよ 蝸牛
     (ふでいれは はんせいきものよ かたつむり)
        ※さすがにセルロイド製ではない。布製でチャ
         ックで開閉するもの。チャックが壊れ半開き
         で何十年か? 日々の使用に耐えている。

5/19wed
走り梅雨 うつむく花の 憂いかな
     (はしりづゆ うつむくはなの うれいかな)

鈴蘭の 北の故郷は 震えおり
     (すずらんの きたのこきょうは ふるえおり)
        ※鈴蘭は40年以上前北海道暮らしの時に自生
         しているものを採集し、延々元気に今に至る。
         あの地のコロナ禍鎮静を祈る。

5/18tue
うららかや ブルーレイ眼鏡の 伝い落ち
     (うららかや ぶるーれいめがねの つたいおち)

歳並みの 崩し字習う 若葉風
     (としなみの くずしじならう わかばかぜ)
        ※昨日ワクチン接種の予約がとれた。世間の騒
         ぎとは無縁で、女房殿が以前から問い合わせ
         ていた近所のかかりつけ医院に出かけて、も
         のの30分もかからず帰ってきた。あまりの
         楽さに夫婦揃ってびっくり。

5/16sun
小箪笥を 入れ替える妻 衣替え
     (こだんすを いれかえるつま ころもがえ)
        ※少し早いとは思ったが、最近の気温に音を上
         げてTシャツを出してもらう。初め腕はひん
         やりだが、日射しの下ではちょうどいい。

病床に バラの画像を 添付して
     (びょうしょうに ばらのがぞうを てんぷして)
        ※絵の友人に、お手軽すぎるかな?と思いつつ
         もメールで我が家のバラの香りを。

5/15sat
風薫る 街を見下ろす 茶室あり
     (かぜかおる まちをみおろす ちゃしつあり)
        ※江戸時代の村役人の屋敷が市の中心に移設保
         存されている。村の組頭というが造りは至極
         頑丈で、見えないところ、基礎、木組みなど
         に金がかけてある。当時の豪農が財を蓄え、
         暮らしを楽しんでいたこともわかる。
         茶室とは見えないが、茶道を楽しんだのでは
         と思わせる座敷があった。今は堂々と市街を
         見下ろしている。

5/14fri
花茣蓙や いつを想うと 問いたもう
     (はなござや いつをおもうと といたもう)
        ※花茣蓙を物置から出して乾していたら、通り
         がかりの婦人が話しかけてくれたとか。実家
         の商売柄今もって大事にしているが、使う場
         面は殆どない。骨董好きが時々貯蔵の品のホ
         コリを払って風通しするようなもの。ただし
         これはお宝ではない。

5/13thu
籐寝椅子 出して文人を 招きたき
     (とうねいす だしてぶんじんを まねきたき)
        ※実家に昔籐の応接セットがあった。そんなに
         豊かではなかった頃に、季節の標準家具とし
         て大事にされていた。振り返れば、随分なゆ
         とりだなァと思う。寝椅子は背部が調節でき
         て横たわることが出来るもの。
         多くの文人、作家達が籐寝椅子にゆったりと
         くつろいでいる写真を思い出す。

5/12wed
昨日まで若楓今日は繁りゆく
     (きのうまでわかかえで きょうはしげりゆく)

緑陰で スマホのラジオ 聴きにけり
     (りょくいんで すまほのらじお ききにけり)

虹の環や 静かに巨きな 声を聞く
     (にじのわや しずかにおおきな こえをきく)
        ※ここ2日ほどアブラムシ退治に追われた。今
         日は天候不安定につき身体休め。庭も周囲も
         緑のエネルギーがすごい。

5/10mon
女坂 神輿の声を 登りけり
     (おんなざか みこしのこえを のぼりけり)
        ※神田祭は今年大祭の年だが中止になった。陰
         祭りとして神事を行うらしい。久保田万太郎
         の句に、
          今年またかげ祭なる神田かな
         がある。境内の神輿を見ようと、囃子の音に
         急かされながら女坂の石段を急いで登って息
         を切らしたことを思い出した。昔のこと。

5/9sun
御幣捧ぐ 神主の白 初夏の朝
     (ごへいささぐ かんぬしのしろ しょかのあさ)
        ※神社の祭礼は中止するところが多い。神職を
         中心にごく限られた人だけによる陰祭りを執
         り行うとか。

5/8sat
南国の雹にたちまち犬走る
     (なんごくのひょうに たちまちいぬはしる)

夏嵐 美人に浴衣 着らしめる
     (なつあらし びじんにゆかた きらしめる)
        ※気温は高めだが、列島のどこかで雷雨、突風、
         竜巻、など一時的な不安定気象が出没してい
         る。

5/7fri
フェリアへと 晴れ着と馬車と 埃かな
     (ふぇりあへと はれぎとばしゃと ほこりかな)
        ※スペインセビリアの春祭り、近郷近在から大
         挙して押し寄せるのは巡礼時代と同じ馬車の
         一団だ。飲み踊りしゃべり、到着の頃には疲
         労困憊かと心配するが、彼らのエネルギー
         (信仰心)はそんなものではない。

5/6thu
草むしり いつか立夏の 日となれり
     (くさむしり いつかりっかの ひとなれり)

停車せよ コクリコの花 子を招く
     (ていしゃせよ こくりこのはな こをまねく)

夏立つや 琉球月見草の 名を知れり
   (なつたつや りゅうきゅうつきみそうの なをしれり)
        ※6月並みの気温で立夏と聞いても違和感がな
         い。強い風が続いたので庭の各種修理に駆り
         出される。

5/5wed
子供の日 画数多き 字をさらい
     (こどものひ かくすうおおき じをさらい)

夏隣り 田植え機しかと 磨き上げ
     (なつどなり たうえきしかと みがきあげ)
        ※アクアラインを行く観光客の車列も今朝は少
         ない。仕事を終えた田植え機は半月近く放置
         されていたが、今日めでたく清掃された。良
         かった。購入には決心を要したであろう、最
         新型のヤツだから。

5/4tue
摘果する 八十八夜の 晴れ間故
     (てきかする はちじゅうはちやの はれまゆえ)

摘果の実 まどろむ蜥蜴を 驚かせ
     (てきかのみ まどろむとかげを おどろかせ)

5/3mon
雲間陽の 動き激しき 柿若葉
     (くもまびの うごきはげしき かきわかば)
        ※桃の小さな実を摘果した。2回行ううちの初
         回分。こんな無手入れの庭の一隅でよくも毎
         年実をつけるものだ。夥しい実を摘まんで落
         とす。一本で300個近くになったかな。

5/2sun
春色の 背景色は 意に違い
     (はるいろの はいけいしょくは いにたがい)

絵の展示 仲間に告げる 暮の春
     (えのてんじ なかまにつげる くれのはる)
        ※公民館の部屋を借りる絵画教室は、利用の扱
         いが行政の諸施設と同等となるため、急に変
         更になることがある。教室も皆でボチボチと、
         再開したのだがどうなることやら。依頼を受
         けた展示だけは受けることにした。

5/1sat
釣れずとも一人ボートの春の川
     (つれずとも ひとりぼーとの はるのかわ)
        ※ステイホームの呼びかけが厳しい連休だが、
         一人用のボートを川に浮かべる人は哲人のよ
         うに思える。うららかな陽気だが、雨の予報
         もあるからと年寄りは心配してしまう。凡人。
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4/30fri
荷風の忌 傘はなけれど ただ歩く
     (かふうのき かさはなけれど ただあるく)
        ※永井荷風の写真に三つ揃いの背広を着込み、
         中折れ帽子をかぶり、愛用の革手提げと雨傘
         を携えているのがある。街を散策するのもこ
         れで、お決まりのいでたちであったらしい。
         雑司が谷の墓を訪ねたのも昔のことになった。

4/29thu
鳥帰る 病院通いの フェリーから
   (とりかえる びょういんかよいの ふぇりーから)
        ※気功の治療が良かったといって、対岸の横須
         賀市から月1,2度海を渡ってやって来る御
         仁がいる。気功の原理と効果はイマイチ理解
         できないけれどね。まあしかし、本人の効果
         の実感が第一だ。

4/28wed
永吉の 古いアルバム 春惜しむ
     (えいきちの ふるいあるばむ はるおしむ)
        ※FMで80年代リリースのアルバムを聴いた。無
         性に懐かしい。感度が高くなってきた。

丹精を 孫に継がせて 藤の花
     (たんせいを まごにつがせて ふじのはな)

4/27tue
初燕 二番ピッチャーの すこやかさ
    (はつつばめ にばんぴっちゃーんの すこやかさ)
        ※到着したばかりだろうか? 飛び回る燕の姿
         は雄姿だなァ・・・カッコいい。今日の大谷
         にも雄姿期待。

4/26mon
百均へ 吝嗇ゆえに 春の道
     (ひゃっきんへ りんしょくゆえの はるのみち)
        ※百均は比較的賑わっている。なぜかこのとこ
         ろ買い物を頼んだり、自ら出向いたりが多い。
         吝嗇ゆえでなくとも、百均ならではの長所も
         ある。最近では、腰にぶら下げるスマホ入れ
         は立派な革製よりも余計なところを削ぎ落し
         た布製の100円が良かった。家内は畑用の
         野菜の種子に、分量が丁度良いと言う。

4/25sun
閉店も 品いくばくか 鳥曇り
     (へいてんも しないくばくか とりぐもり)
        ※近くの小間物屋兼雑貨屋の店先に4月末で閉
         店するとの張り紙があった。コロナ禍の影響
         か? まだ商品は変わらずあるのに・・・。
         個人商店がまた減る。音もなしに。

4/24sat
むらさきの 隆ッとオダマキ 道の端
     (むらさきの りゅうとおだまき みちのはた)
        ※今シーズンのオダマキで一番の見栄えは、残
         念ながら我が家の庭ではなく門前の道端に咲
         いたこれ。ほんの狭い土から育った、よく言
         われる「ド根性オダマキ」だ。
白360-5.jpeg20210422_082826.jpg

                           
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

4/23fri
春の川 おにぎり女子の ひとり坐し
     (はるのかわ おにぎりじょしの ひとりざし)

黒光り 春の日返し 鵜は憩う
     (くろびかり はるのひかえし うはいこう)

対岸は 緊急事態 春の海
     (たいがんは きんきゅうじたい はるのうみ)

4/22thu
鉢馬酔木 亡父の作りし 旅の歌
     (はちあしび ちちのつくりし たびのうた)
        ※コロナ禍は風雲急を告げているが、窓外の景
         色はなんともうららかだ。雪国の春は旅を想
         う季節である。・・・最近は旅行のことなど、
         てんで夢のまた夢。

4/21wed
陽炎や 聖職に見えず 子は教師
     (かげろうや せいしょくにみえず こはきょうし)
        ※教師は聖職という言葉自体死語に近いが、教
         育の現場で熱情を持って仕事にあたっている
         教師は数限りなくいる。環境に縛られ、自由
         度を失っていることが残念だ。

担任の 教師は走る 竹の秋
     (たんにんの きょうしははしる たけのあき)

4/20tue
便箋を 用意してさて 日永かな
     (びんせんを よういしてさて ひながかな)
        ※手間がかかることではあるが、それが自然で
         普通だった頃にもどろう・・・という提案が
         あるようだ。人とのコンタクトもそうだ。そ
         うなのだが・・・、なかなか出来ない。

4/18sun
オダマキや 犬の注射の 頃にあり
     (おだまきや いぬのちゅうしゃの ころにあり)

春深し インゲン豆の 棚立てん
     (はるふかし いんげんまめの たなたてん)
        ※今朝は快晴、風は強い。田植え作業はこの地
         区で真っ盛り。畑に出かけ、強風の被害なし
         を確認する。

4/17sat
細道を くねりて急ぐ 義士祭
     (ほそみちを くねりていそぐ ぎしまつり)
        ※春の義士祭に泉岳寺で待ち合わせをした。
         ところが用事があって高輪回りで行ったとこ
         ろ、近道をしようとして道に迷い往生した。
         この近辺は赤穂浪士にまつわる史跡が多いの
         だが、戦災を受けていない路地が迷路のよう
         だ。何度も歩いていたのだが。ようやく高輪
         高校を見つけ胸を撫でおろした。
         今ならスマホですいすいというところ。

4/16fri
今どきの 見合いやいかに 木の芽雨
     (いまどきの みあいやいかに このめあめ)
        ※孫が見合いをすると知人が明かした。珍しい
         話だから大いに勧めたのだとも。確かに今日
         は余り聞かないなあと思ったけれども、さて
         本当にそうか? 婚活、集団見合いとかは?
         流行の先端だとも思える。

4/15thu
春日ありて眠り少しの充実
     (はるひありて ねむりすこしのじゅうじつ)

軒下の 紫煙ゆっくりと 花の冷え
     (のきしたの しえんゆっくりと はなのひえ)
        ※季節外れの「蛍族」ご同輩が方々にいる。

4/14wed
春闘や ОBという 欄はなし
     (しゅんとうや おーびーという らんはなし)
        ※コロナ禍あり、国際関係の激動ありの変化の
         中で、企業の栄枯には何とも感慨深いものが
         ある。しっかりしたアンテナと想像力、イノ
         ベーションとか言われるが・・・。究極は経
         営者の洞察力か?

4/13tue
啄木忌 大根の花と 始業ベル
     (たくぼくき だいこんのはなと しぎょうべる)

夕霞み おかねが泣いてる 景色かな
     (ゆうがすみ おかねがないてる けしきかな)
        ※啄木の歌、「宗次郎におかねが泣きて口説き
         おり 大根の花白き夕暮れ」。『ちゃんと働
         いておくれよ~』の涙声が聞こえる。

4/12mon
清明や 我が意半ばの 水の色
     (せいめいや わがいなかばの みずのいろ)
        ※水彩画教室は先月下旬からから再開、時間を
         短縮し換気に注意して集まっている。家籠り
         でさぞかし腕も上がったのではと、先生が冗
         談を言う。しかし現実は遥かにそれに遠い。

4/11sun
妻の手と 機械がありて 早植えし
     (つまのてと きかいがありて はやうえし)
        ※川向こうの一軒の農家が田植えを開始した。
         今の言葉でいうと「はやッ」。4月15日前
         の田植えを目撃したのは初めて。

4/10sat
鰊曇り室蘭勤務の頃の空
     (にしんぐもり むろらんきんむのころのそら)

雨音の やさしくなりて 山笑う
     (あまおとの やさしくなりて やまわらう)
        ※蔓延防止対策の対象地域が東京都をはじめと
         して接近してきた。季節の歩みはいつもと変
         わりないが・・・。

4/9fri
田を広げ 畔塗り急かる 三代目
     (たをひろげ あぜぬりせかる さんだいめ)
        ※知り合いの農家で昨秋から田の統合、拡大工
         事をしている。一枚の田んぼが広いほど、機
         械を駆使する現在の農法では断然効率的だか
         ら。しかしこれが生半可なことではない。同
         じ水準の2枚の田だったらまだ優しいが、水
         準の違う田を統合するとなると、大変な土木
         工事になる。土壌を入れ替えすることも伴う。
         遅れ気味らしく田植え前の仕事に勤しんでい
         る。早速田植えから効率が上がる。

4/8thu
朝の音 綴りて長し 虚子忌かな
     (あさのおと つづりてながし きょしきかな)
        ※毎日ではないけれど未明から7時前後まで長 
         い「オトコ入り」が続く。
         朝の物音は激減していると落語家は言う。ま
         して地方都市の住宅団地とくれば皆無に近い。
         明るくなってJRの踏切音、出勤や配達のクル
         マの音がちらほら。清さん、いつまで観察を
         続ければいいの? 
         小鳥の囀りだけは豊富で種類も多い。

4/7wed
放哉忌 すきとおる声の 門に入る
     (ほうさいき すきとおるこえの もんにいる)
        ※今朝の晴れ間は久しぶりに黄砂の影響も少な
         く、空は透き通っている。今日は尾崎放哉の
         命日。小豆島での暮らしは貧しく想像すべく
         もないが、こんなこともあったろうと思う。

4/6tue
庭中が うすむらさきの 地の躑躅
     (にわじゅうが うすむらさきの じのつつじ)
        ※隣の君津市の花はミツバツツジ。房総半島に
         多いが、太平洋岸の野山に広く自生するとか。
         薄紫の花は咲き揃うと実に華やか。庭はにわ
         かに変貌する。見た家のバアさまのドヤ顔も
         理解できる。

4/5mon
椿餅 踏切そばに 老舗あり
     (つばきもち ふみきりそばに しにせあり)

草餅や 被りの婆が なしという
     (くさもちや かぶりのばばが なしという)
        ※今日は一転肌寒い、平年並みの気温だ。雨の
         日は外への誘惑もないし、使役に駆り出され
         ることもない。最近すっかりご無沙汰のスケ
         ッチのトレーニングをすることにする。

4/4sun
癌癒えて 目方戻りし 翁草
     (がんいえて めかたもどりし おきなぐさ)
        ※行きつけの床屋のおやじがさりげなく言う。
         ガンが肺に転移して先々週切ってきたと。内
         視鏡手術の生々しい傷跡を見せる。一年前の
         大手術で10キロも減った体重がやっと戻っ
         た矢先のことだ。
         病院を信頼してか、本人の胆力か、悲壮感は
         ない。もう畑をやっている。帰りにワケギを
         貰ってきた。

無骨なる手が春花を山と盛る
     (ぶこつなるてが はるばなをやまともる)

4/3sat
里の家 みな勤め人と なりて春
     (さとのいえ みなつとめにんと なりてはる)
        ※下の娘が就職し、クルマがまた一台増えた。
         家と周りの畑、持山などは専業農家の時のま
         まなのに。

4/2fri
ガラケーや 無傷十年 春の空
     (がらけーや むきずじゅうねん はるのそら)

新しき スマホの青や 春蚊出ず
     (あたらしき すまほのあおや はるかいず)

山笑う スマホ操作に 汗少し
     (やまわらう すまほそうさに あせすこし)
        ※10年以上続けてきた3Gガラケーがもう一年
         で使えなくなる。しぶしぶスマホに替えた。
         通話とカメラ、Cメールだけの世界から大き
         く可能性は広がるが、期待はカメラ機能の格
         段の充実だけ。画面の字も読めないし、外出
         もないから外でのネット活用もない。期待は
         していない。月千円以下というから・・・。

4/1thu
四月馬鹿 不意に筍ご飯かな
     (しがつばか ふいにたけのこごはんかな)

四月馬鹿 知らずに高い アプリかな
     (しがつばか しらずにたかい あぷりかな)
        ※エープリルフールとはいえ、思いつくウソ話
         はない。それにしても昨夕の筍ご飯は不意を
         突かれた。春一番の到来もの。


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3/30tue
白木蓮清し人なしと言えど
     (しろもくれんすがし ひとなしといえど)

植え替えて こちら向かしむ 黄水仙
     (うえかえて こちらむかしむ きすいせん)

3/29mon
涅槃図や 僧絵解きする ペンライト
     (ねはんずや そうえときする ぺんらいと)
        ※日頃は秘仏とされている御本尊を拝見し、こ
         れまた秘蔵の涅槃図の説明を受けた。涅槃図
         は三仏忌のうち涅槃会の参拝客に公開すると
         か。本堂で静かに聞いていると真っ黒に近い
         図ながら清新な気分になるから不思議。

3/28sun
陽だまりの ベンチを譲り 西行忌
     (ひだまりの べんちをゆずり さいぎょうき)

あれこれと 捨てぬ理由を 西行忌
     (あれこれと すてぬりゆうを さいぎょうき)
        ※旧暦の2月16日は西行忌。釈迦の命日2/15
         に桜の下で死にたいと願い、没したと言われ
         る。現世のしがらみを捨て、出家し、有り余
         る才能を歌に寄せ、その後も信心の一方で煩
         悩との闘いに一生を送った、とされる。

3/27sat
春時雨 スクランブルの 街ひそむ
     (はるしぐれ すくらんぶるの まちひそむ)
        ※雨模様で渋谷駅前交差点の人出はやや穏やか。
         ここ暫くは大阪、仙台、山形とかとか首都圏
         以外の患者増加でワキ役に。でも必ず復活す
         る、ニュース主役の座。

長閑さや 江ノ電の音 猫と住む
     (のどかさや えのでんのおと ねことすむ)
        ※養老孟子氏の鎌倉自宅での暮らしを綴ったBS
         の番組。おしゃべり孟子に老猫マルの取り合
         わせが実に落ち着く。

囀りや 毛を集めおり 犬の留守
     (さえずりや けをあつめおり いぬのるす)

3/26fri
水温む シューベルトの ソナタかな
     (みずぬるむ しゅーべるとの そなたかな)
        ※春のせせらぎにぴったりなのがシューベルトの
         即興曲(ピアノ)、D899とD935。ピアノソナ
         タは別にちゃんとあるから誤解を招くが、余り
         に字余りになるので・・・。

針に糸 一度で通す 葱坊主
     (はりにいと いちどでとおす ねぎぼうず)

残りし歯 少し異常の 遅日かな
     (のこりしは すこしいじょうの ちじつかな)

3/24wed
坂道や こぎてもとまる つくしかな
     (さかみちや こぎてもとまる つくしかな)

デュトワふる 春の祭典 血圧高め
   (でゅとわふる はるのさいてん けつあつたかめ)
        ※春に血圧高めは要注意。自転車も、坂道で土
         筆が目にとまる程度にしようと思う。

3/23tue
皺の手で 開花の証し 写メールし
     (しわのてで かいかのあかし しゃめーるし)

それぞれに 標準木あり サクラかな
    (それぞれに ひょうじゅんぼくあり さくらかな)

投票所 出て春雨に 遭いにけり
     (とうひょうじょ でてはるさめに あいにけり)

レーダーを 信じた末の 春の雨
     (れーだーを しんじたすえの はるのあめ)
        ※房総半島内房地方でサクラの開花は2~3分
         ほど。毎朝通る堤の並木はそれより少し遅い。

3/22mon
桃の花 夕彩るも 客はなし
     (もものはな ゆういろどるも きゃくはなし)

うちは桃そとは陽光桜かな
     (うちはもも そとはようこうざくらかな)
        ※桃の花と陽光桜は満開時が今回の雨にあい、
         散り始めている。客の少なきを嘆いたことは
         なかったが、今回だけは惜しかったなァ、見
         せたかったなァと口惜しがっている。
         それにしても、今までより色の酷似に驚いて
         いるのは年齢のせいなのかな?

3/21sun
剪定を いつくしみつつ し残せり
     (せんていを いつくしみつつ しのこせり)

花ニラや 我が庭の素直なる日々
     (はなにらや わがにわのすなおなるひび)

花冷えや 病む首都圏に 解除あり
     (はなびえや やむしゅとけんに かいじょあり)

3/20sat
彼岸会や 300年の 門なりき
     (ひがんえや さんびゃくねんの もんなりき)

秘仏見て 石段中ほど 風光る
     (ひぶつみて いしだんなかほど かぜひかる)

あるはずの 色揃いてや クロッカス
     (あるはずの いろそろいてや くろっかす)

3/19fri
火を浴びて 沓音を聞く 二月堂
     (ひをあびて くつおとをきく にがつどう)

春の闇 五体投地の 板の音
     (はるのやみ ごたいとうちの いたのおと)

春の月 十四日間の 修行終え
   (はるのつき じゅうよっかかんの しゅぎょうおえ)
        ※二月堂の修二会、今年は参拝客なしで行われ、
         その代わりにBSテレビが中継した。
         今まで目に触れなかった堂内の儀式、秘儀と
         言われるものも含め、4時間余りだ。コロナ
         禍も悪いことばかりではない。
         番組を見るだけで疲れたが、おかげで心身の
         煤払いが出来た(ような気がした)。
       
3/18thu
蕗の薹 遅きを悔いて 二つ三つ
     (ふきのとう おそきをくいて ふたつみつ)

本来は 答辞読む子に 春日かな
     (ほんらいは とうじよむこに はるひかな)
        ※なんにもない暮らしだが、それでも春はなに
         かとあるものだ。卒業式は保護者なし、式次
         第も簡素化して行われるとか。本人は喜んで
         いるというが、親は・・・。
         蕗の薹の秘密の場所は今年も無事だったが、
         とうにタイミングを逸していた。

3/17wed
うながされ 免許貰いに 目借時
     (うながされ めんきょもらいに めかりどき)

海の上に 高炉かすみて 入り彼岸
     (うみのえに こうろかすみて いりひがん)
        ※溶鉱炉が三つも四つもあった光景は昔。地元
         の製鉄所も縮小の運命にあり。高炉の薄い煙
         ははかなげに。

3/16tue
桃咲くや 高齢免許は 金の色
     (ももさくや こうれいめんきょは きんのいろ)
        ※午後に警察から電話あり。今日中に取りにこ
         なければ交付しませんと。春の夕日が沈む前
         に無事入手。認知症には免許更新しないはず
         だが・・・。良かった。ちゃんとゴールド。

3/15mon
マスクして 杉の道掃く 春の僧
     (ますくして すぎのみちはく はるのそう)
        ※地元の図書館に電子図書の登録をした。ファ
         イルでの貸借だから、この時代に最適。当地
         にもやってきたか。
         今は青空文庫のコンテンツが多いというから
         特段のメリットはない。充実はこれから。

3/14sun
修二会僧 あの激しさに 魅かれおり
     (しゅにえそう あのはげしさに ひかれおり)
        ※東大寺二月堂の修二会中継を見た。現場の興
         奮を思いやる。1261年続くという。

3/13sat
春宵や 気功の不思議 妻語る
     (しゅんしょうや きこうのふしぎ つまかたる)

飛行機と まがいし春の 長いびき
     (ひこうきと まがいしはるの ながいびき)
        ※春なれば妻を詠んだ句を。

3/12fri
春暁や さて寝なばやと 布団引く
     (しゅんぎょうや さてねなばやと ふとんひく)

春暁や 待ち兼ねノソッと 床を出る
     (しゅんぎょうや まちかねのそっと とこをでる)
        ※日の出は早くなったものの、ずっと前から待
         っている日もある。寝ようか、いっそ起きよ
         うか? きままで非生産的な一日の始まり。

3/11thu
雅には 遠くなりけり 桃の花
     (みやびには とおくなりけり もものはな)
        ※桃の最初の一輪が今日咲いた。濃いピンクの
         蕾が目白押しである。やわらかい日射しと花
         の動きは例年と変わらずでなんとも貴重。近
         所の陽光桜並木も昨日開花した。

3/10wed
いとおしや 春の朝の かゆみどめ
     (いとおしや はるのあしたの かゆみどめ)
        ※高齢者に多い肌の乾燥症。かゆみが時に襲っ
         てくる。じっと我慢、かかない。

3/9tue
春暁や まだかと闇に 灯をさぐり
     (しゅんぎょうや まだかとやみに ひをさぐり)

春の朝 踏切音で 時を知り
     (はるのあさ ふみきりおんで ときをしり)
        ※最近御多聞に漏れず、朝早く目を覚まして、
         その後の長い時間を寝床で過ごしている。真
         っ暗い中で、半覚醒のタイトルレスの思考、
         かすかな光をカーテン越しに待っている。さ
         て寝ようか、本を読むか・・・頭がすっきり
         してくるとメニューが広がる。寝なくてはと
         あせることはない。

3/8mon
早咲きの サクラ確かめん 遠回り
     (はやざきの さくらたしかめん とおまわり) 

沈丁花匂いありと妻闇の中
     (ちんちょうげにおいありと つまやみのなか)

春の朝見上げても暦は見えず
     (はるのあさ みあげてもこよみはみえず)

3/7sun
啓蟄や 生徒試験の 穴を出る
     (けいちつや せいとしけんの あなをでる)

啓蟄や 老うちわ師の 女竹割く
     (けいちつや ろううちわしの めたけさく)
        ※房州うちわは素朴な名品が多い。以前は多く
         の職人が分業で作っていたらしいが、今や出
         荷量は減り、名人と言われる人が材料の竹の
         栽培・伐採・乾燥から竹の加工、絵柄の作成、
         貼り、仕上げまでを一人でやっている。皺く
         ちゃの手が見事な動きを見せる。

3/5fri
ミモザ咲く 山なす空の 植木鉢
     (みもざさく やまなすからの うえきばち)

微笑みて 黄の春服が 退院す
     (ほほえみて きのはるふくが たいいんす)
        ※図らずもイエロー句2つ。最近は古い顔とメ
         ールを交換したり、夢マクラに出て来たり、
         良いことが続いた。コロナ禍で強がりを言っ
         ていてもやっぱり孤独オンリーでは長くはも
         たないということか?

3/3wed
春の闇 教師のクルマは プラグイン
     (はるのゆう きょうしのくるまは ぷらぐいん)
        ※これはトヨタの最新鋭車だなと見送る。

3/2tue
ライン見る 若き教師の 春放課
     (らいんみる わかききょうしの はるほうか)

春の夕 校舎は声を 失えり
     (はるのゆう こうしゃはこえを うしなえり)
        ※近所に中学校がある。顧問教師の負荷が問題
         になった折に部活が抑制されたところに、コ
         ロナ禍が重なり、放課後の校舎は様変わりだ。

3/1mon
如月の 山なめつくす 赤き舌
     (きさらぎの やまなめつくす あかきした)

如月や 店守る顔の 白々と
     (きさらぎや みせまもるひとの しらじらと)
        ※営業時間短縮の補償を叫ぶ人が多い中で、切
         盛りに万策尽きた人も多い。働けと言われれ
         ば寝ないで頑張るのだがと、力を駆使する場
         を失った人の無言の表情は悲痛だ。


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2/28sun
鵜はもぐる 二月みそかの 朝まだき
     (うはもぐる にがつみそかの あさまだき)

うたたねや 二月みそかの ひなたかな
     (うたたねや にがつみそかの ひなたかな)

猫二匹 二月みそかの 夕まぐれ
     (ねこにひき にがつみそかの ゆうまぐれ)
        ※二月みそかの三句。朝は冷え込んだが、日中
         の日差しは値千金。コロナ禍さえなければ、
         穏やかな天気に脳はとろとろ。

2/27sat
春うらら 断捨離とかを 考える
     (はるうらら だんしゃりとかを かんがえる)
        ※いつも春になり新年度を前に、本やレコード
         など大事にしてきたものをそろそろ処分しよ
         うと真剣に思う。
         しかし春の計画を実行した試しがない。今回
         も? しかし後期高齢者だからなァ・・・。

2/26fri
春耕の 鍬のガタとり なお深く
     (しゅんこうの くわのがたとり なおふかく)

野仏は 深く耕せと 言い給う
     (のぼとけは ふかくたがやせと いいたもう)
        ※捻挫も大方直ったので、久しぶりの畑仕事。
         寒起こしのつもりで深く土壌を掘り返すが、
         季節はもう春、春耕はやり方が違うのではな
         いかな? 歩行欠場の間は犬の散歩を代わっ
         てもらったので、我が家の野仏に従うことに
         する。日差しが暖かい。

2/24wed
畔塗りも 機械がすれば 泥厚く
     (あぜぬりも きかいがすれば どろあつく)
        ※三寒四温の季節だが、当地では早くも畔作り
         が始まっている。歩くのもゆっくりというシ
         ニア農夫の、機械を使っての仕事はなんと力
         強いことか。分厚い畔が見る見るのうちに。

2/23tue
ウグイスパン 味半世紀を ひとっ飛び
     (うぐいすぱん あじはんせいきを ひとっとび)
        ※菓子パンのジャムパンやクリームパンは忘れ
         た頃になつかしく食べたものだが、ウグイス
         パンとなると高校生のころ以来か? 
         ぞろぞろと記憶が舌からよみがえる。

2/22mon
特売の 肉の情報 春電話
     (とくばいの にくのじょほう はるでんわ)

言い出せば 限りなく恋し 目刺しかな
     (いいだせば かぎりなくこいし めざしかな)
        ※それは豚肉の特売どうする?とかの電話に始
         まった。肉より久しぶりに目刺しが食いたい
         と私が差し出口。
         途端に焼いた目刺しの香りが・・・。


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2/21sun
春陰や 股肱の足を 痛めけり
     (しゅんいんや ここうのあしを いためけり)

2/18thu
句を詠むは 女性が多し 春の風
     (くをよむは じょせいがおおし はるのかぜ)

2/17wed
ガンガンと 春の嵐よ MR 
     (がんがんと はるのあらしよ えむあーる)

2/16tue
墓地を売る 旗たはめきて 春の山
     (ぼちをうる はたはためきて はるのやま)

2/14sun
蕗味噌や 伯父の手になる 味遥か
     (ふきみそや おじのてになる あじはるか)

2/13sat
春服や 病室の壁に 飾りおり
     (はるふくや びょうしつのかべに かざりおり)

2/11thu
春の道 白線を引く チームあり
     (はるのみち はくせんをひく ちーむあり)


2/8mon
春近し テレ読書会の 案内来る
     (はるちかし てれどくしょかいの あないくる)

2/7sun
ぼろ市で 買いし錦の 笛鳴らず
     (ぼろいちで かいしにしきの ふえならず)

2/6sat
余病消え 寒明けの街 明るかり
     (よびょうきえ かんあけのまち あかるかり)


2/4thu
着ぶくれて つい空耳の 音を聞き
     (きぶくれて ついそらみみの おとをきき)
 

2/2tue
下の子が 急に泣きやむ 鬼火なり
     (したのこが きゅうになきやむ おにびなり)


豪雪の街や 角巻の影を見る
     (ごうせつのまちや かくまきのかげをみる)

耳かくし 剣玉の孔を 広げいし
     (みみかくし けんだまのあなを ひろげいし)

冬灯り タバコ屋の子の まぶしかり
     (ふゆあかり たばこやのこの まぶしかり)


1/29fri
寒紅や CTの日に 少し濃し
     (かんべにや シーティーのひに すこしこし)

1/24sun
降りる人ありて線路の先は雪
     (おりるひとありて せんろのさきはゆき)


1/22fri
大寒や 外食暮らしで 糖不如意
     (だいかんや がいしょくぐらしで とうふにょい)
1/21thu
冬の日や 皆なにがしの 失意あり
     (ふゆのひや みななにがしの しついあり)
        ※おとなしい暮らし、人さまざまな思い。


1/19tue
マスクして 人には会わず 寒念仏
     (ますくして ひとにはあわず かんねんぶつ)


1/17sun
小三治の 初天神の 音しぼり
     (こさんじの はつてんじんの おとしぼり)

1/15fri
寒月や 自転車ではもる 下校かな
     (かんげつや じてんしゃではもる げこうかな)

1/13wed
寒暁や キンカン三個 しのばせて
     (かんぎょうや きんかんさんこ しのばせて)

1/12tue
サクラソウ マスクをせよと 子が見上げ
     (さくらそう ますくをせよと こがみあげ)

1/11mon
七変化 七之助見る 冬籠り
     (しちへんげ しちのすけみる ふゆごもり)

1/10sun
白き息 妻退院と 告げる人
     (しろきいき つまたいいんと つげるひと)

1/9sat
冬枯れの 庭に鋏の 音高く
     (ふゆがれの にわにはさみの おとたかく)

1/8fri
人日や 列島に風雨 家に粥
     (じんじつや れっとうにふうう いえにかゆ)

1/7thu
紙漉師 手には何をか つけたもう
     (かみすきし てにはなにをか つけたもう)

1/6wed
寒の暁 早番の娘 湯を沸かす
     (かんのぎょう はやばんのむすめ ゆをわかす)

1/5tue
竹馬や 出来ぬ理由を 七十年
     (たけうまや できぬりゆうを しちじゅうねん)

1/1fri
バーバーの アダージョじっと 初日かな
     (ばーばーの あだーじょじっと はつひかな)

初歩き キンカン三個 しのばせて
     (はつあるき きんかんさんこ しのばせて)

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