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ダクタク句集2023年(令和5年)3月 [ダクタク2023年3月]

3/31fri
酒倉は人呼ぶカフェに鳥曇り
  (さかぐらはひとよぶかふぇにとりぐもり)
   ※街がやさしく変貌すると言えば耳障りは良い
    が、街のいたるところでインバウンド向け、
    フリー客向けに変身するのはどうにもいただ
    けない。落ち着かない。
    通りの両側に高いオフィスビルやマンション
    が、目の高さにはいらっしゃいませの声。
    うんざりだ。

3/30thu
春たけなわ入道雲のようなもの
  (はるたけなわにゅうどうぐものようなもの)
   ※兄妹からなかなか良い電話が入った。積乱雲
    のような形がにょきにょきと立ちかけている。
    ちょいと歩くと汗がにじむような午後。

3/28tue
パスで行く博物館は花の道
  (ぱすでいくはくぶつかんははなのみち)
   ※その昔上野の国立博物館年間パスを持ってい
    た。驚くほど安かった。夏は勤務の後でも入
    れる閉館時間だったように思う。ちょいぶら
    っと見て御徒町まで歩く、それが良かった。

3/27mon
人ゆらり高き足場に花の風
  (ひとゆらりたかきあしばにはなのかぜ)

桜湯はサービスとありカフェの午後
  (さくらゆはさーびすとありかふぇのごご)
   ※雨がちな日が続き、当地のサクラはけなげに
    も少しも散らずにピークを迎えている。

尊氏の本心はどこ藪椿
  (たかうじのほんしんはどこやぶつばき)

3/26sun
目も耳も親譲りなり喜寿の春
  (めもみみもおやゆずりなりきじゅのはる)
   ※見た目は別としても、目も耳も鼻も歯や咽喉
    も、役割の面で今でも至極堅調である。親に
    感謝している。

春場所は気付けば楽日花の冷え
  (はるばしょはきづけばらくびはなのひえ)

3/25sat
待て待てと言葉緩めて春の雷
  (まてまてとことばゆるめてはるのらい)
   ※もう言葉を荒げる年齢でもない、とは思うも
    のの・・・。

汚すのも洗うのも雨土筆かな
  (よごすのもあらうのもあめつくしかな)

3/24fri
たんぽぽの絮飛ばすとき命燃え
  (たんぽぽのじょとばすときいのちもえ)

窓開けて歯科に客待つサクラかな
  (まどあけてしかにきゃくまつさくらかな)

声も歌もサクラに吸われデイの庭
  (こえもうたもさくらにすわれでいのにわ)

3/23thu
夕まぐれ野蒜の花が主演なり
  (ゆうまぐれのびるのはながしゅえんなり)
   ※3月は映画の賞の月。我が家の主演賞は断然
    花ニラ。地味で小さな花が夕方薄暗くなると
    庭中に冴えてくる。

3/21tue
木瓜の垣見知る主人の赭ら顔
  (ぼけのかきみしるしゅじんのあからがお)
   ※何年か越しの賜だろう、木瓜が棚いっぱいに
    咲き誇っている。比較的地味な花だから、そ
    の主人ともどもドヤ顔はしない。

3/19sun
春場所や贔屓力士の眉伸びて
  (はるばしょやひいきりきしのまゆのびて)
   ※WBCに選抜高校野球も始まり球春真っ盛り。
    相撲もと行きたいけれど休場相次ぎ、こちら
    は戦国下剋上・・・。

3/17fri
藪椿手折って土の瓶思い
  (やぶつばきたおってつちのびんおもい)
   ※椿らしくない、珍しいと思って、素焼きの花
    瓶にさし、スケッチ始めたまでは良かったが、
    上手に描けたと思った椿の絵がどうも椿に見
    えない。仲間も「これ椿か?」と不評。こち
    らは不満。・・・それもそのはず元々が椿ら
    しくないのだから。

3/16thu
もぐら塚生命力の霞みおり
  (もぐらづかせいめいりょくのかすみおり)
   ※国立科学博物館のもぐら研究の先生が話して
    いた。仕事の半分以上が動物の骨の標本作り
    であると。しかも標本作成には「3無」の特
    徴がある由。「無計画」「無目的」「無制限」
    にやるのだそうな。標本を多種、大量に持つ
    ことが将来の研究のなによりの基盤だ、その
    ためであると。なるほどとびっくり。
    今日も動物園から送られてきた動物の死骸、
    奄美で交通事故死したアマミノクロウサギの
    死骸に向き合う。

3/15wed
春時雨香り充溢今朝のパン
  (はるしぐれかおりじゅういつけさのぱん)
   ※薄暗い朝も許せる。

3/14tue
駅前の円墳にあり白木蓮
  (えきまえのえんぷんにありしろもくれん
   ※すれ違う白マスクの数はそんなに減っていな
    い。近くの駅では白が急増とか。

3/13mon
新設の波止は揺らいで眼張釣り
  (しんせつのはとはゆらいでめばるつり)
   ※次第に風が強くなる。午後は雨も。新しい波
    止は強風で揺れるのではないか、余計なお世
    話。

3/12sun
春霞五重塔の圓遊の
  (はるがすみごじゅうのとうのえんゆうの)
   ※圓遊の新作落語「五重塔から のっそり」を
    聴いた。良かった。露伴「五重塔」のスジに
    沿って、その空気を面白く上手に伝える。
    サクラ前でもいいから谷中を歩きたいものだ。

3/11sat
皺の手や三月十日の句が多く
  (しわのてやさんがつとおかのくがおおく)
   ※三月十日は東京大空襲で季語
    今日三月十一日は東日本大震災、これも季語

うららかや都電の車庫に音ありて
  (うららかやとでんのしゃこにおとありて)

3/10fri
春の夕ジムの灯りのみこうこう
  (はるのゆうじむのあかりのみこうこう)

呼吸器の音と点滅春の闇
  (こきゅうきのおととてんめつはるのやみ)
   ※アカデミー賞の発表が間近いからというので
    もないが、過去の受賞作「ミリオンダラー・
    ベイビー」を見た。以前にも見たが、今回も
    感動した。クリント・イーストウッドにモー
    ガン・フリーマンが揃い、ヒラリー・スワン
    クときたら、2005賞総なめもわかる。

3/9thu
青海苔やこんなのという男あり
  (あおのりやこんなのというおとこあり)
   ※今シーズンは地元木更津周辺の海苔も有明海
    の海苔もそれぞれ違った原因で不漁となって
    いるらしい。江戸前のつやつやした黒い海苔
    がふんだんに・・・もうそんなことはないの
    か? 青海苔は独特の風味があってファンも
    多いのだが、不漁続きでは吐き捨てるように
    しか言わない。

3/7tue
古竹を切りて三月垣直す
  (ふるたけをきりてさんがつかきなおす)
   ※四月下旬並みの暖かさという今日まで延ばし
    ていた作業をする。庭はクロッカス、ムスカ
    リ、花ニラの順で賑やかになりそう。

3/6mon
今読まずはもう読まざるの春の雨
  (いまよまずはもうよまざるのはるのあめ)
   ※楽しみにして用意した本なのに出足で躓くこ
    とがある。年齢のせいもある。またそのうち
    に出直しをと言っても、今回が事実上の最後
    だろうと自分を脅迫し追い詰めてみる。
    それでもだめ・・・。

3/5sun
春眠やふとんの重さ知りてなお
  (しゅんみんやふとんのおもさしりてなお)
   ※うとうと目を覚ましたが、目はまだ開かない。
    冬中使ってきた布団がやけに重く感じる。む
    にゅむにゅ・・・暖かいけど、むにゅむにゅ
    ・・・。やってはいけない自句実況でした。

3/3fri
雪柳最初の白い二三点
  (ゆきやなぎさいしょのしろいにさんてん)

雛の日や女房マージャン公民館
  (ひなのひやにょうぼまーじゃんこうみんかん)
   ※どうやら偕老同穴となる雲行きの桃の節句で
    はある。最近は女房元気で留守がいいという
    常套句もどきが良く似合う。

3/2thu
今朝一はスカルラッティ春一番
  (けさいちはすかるらってぃはるいちばん)

春一番ラインで老けを確認し
  (はるいちばんらいんでふけをかくにんし)
   ※ラインで都心歩きの会再開の日を3人で相談
    する。便利なものだ、しかも無料とはね。

3/1wed
蘖や鑿研ぐ日々を思いたり
  (ひこばえやのみとぐひびをおもいたり)
   ※暖かすぎる日中、友人との再会兼街歩きも良
    かろうと思う。ラインで見る顔もそうは老け
    ていないようだし。


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