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ダクタク2021年10月 ブログトップ

ダクタク句集2021年(令和3年)10月 [ダクタク2021年10月]

10/31sun
雁渡し 松籟となる 選挙の日
     (かりわたし しょうらいとなる せんきょのひ)

秋燈や 小さき埴輪の 目の丸く
     (しゅうとうや ちさきはにわの めのまるく)
        ※埴輪が机上の電気スタンドに照らされて、今
         までにない影が出来、なにやら意味ありげに
         見える。何か語りかけるようにも感じられる。
         新鮮。今日は玉ねぎの畝作りに駆り出された。
         夕方散歩と投票に。

10/30sat
秋祭り かつて担ぎし 大神輿
     (あきまつり かつてかつぎし おおみこし)

祭礼の ポスター古き 老舗かな 
     (さいれいの ぽすたーふるき しにせかな)
        ※盛んだった秋の祭礼も、今は神社に氏子の主
         な者が集まり、祝詞を上げお神酒をいただく
         だけとか。コロナ以前からそうだったと主は
         話す。

10/28thu
山法師の 実に触れてみる 通学路
     (やまぼしの みにふれてみる つうがくろ)

甘柿は 送るべしとて 甥の家
     (あまがきは おくるべしとて おいのいえ)
        ※木に残っている柿の実はもう僅か。甘柿大好
         きと言ってくれる家に少し送った。取ってま
         でして食べないという家が多い。木守り柿と
         かのつもりもないみたい。

10/27wed
栗ご飯 まだ長月の 寒き日に
     (くりごはん まだながつきの さむきひに)
        ※気温はひと月以上も先を行っている。旧暦で
         はまだ9月長月だ。しかし寒いおかげで、豚
         汁と栗おこわという好みの食卓となった。

10/26tue
ホトトギス清貧の否応なしと
     (ほととぎすせいひんのいやおうなしと)
        ※清貧を旨とする高潔な人と少なくとも外見
         は同じになった。老い、億劫、金なしに加
         え、with コロナで否応なしの清貧である。
         中身もそうありたいと願っているが・・・。

10/25mon
二階まで 朝顔の紺 今日は褒め
     (にかいまで あさがおのこん きょうはほめ)
        ※10月下旬だというのにこの家の朝顔は盛
         んだ。一階の壁は葉と蔓が蔽いつくし、紫
         がかった紺色の花が二階の板壁と窓辺を半
         ば隠している。寒い朝、今朝は季節感の異
         常さはさておき、清々しさを感じた。

10/24sun
矯められし もみじ形を 取り戻す
     (ためられし もみじかたちを とりもどす)
        ※長年桃の木いや桃の実優先で、枝が重なって
         下部にあるもみじがばっさり伐られ、その後
         も伸びる度に切られてきた。やっとこの秋、
         桃の大枝を切り、もみじの雪辱を果たしてや
         った。家人にはこっぴどく叱られたが。

10/23sat
菊坂の 秋簾ふと 見上げおり
     (きくざかの あきすだれふと みあげおり)
        ※菊坂という響きは昭和、それ以前の明治の暮
         らしを彷彿とさせた。源は一葉。谷地ともい
         える一帯の佇まいは変わりつつも、訪れる人
         々は引きも切らない。傍若無人の観光客は住
         民の顰蹙を買っている。今も。小生も観光客。

10/21thu
早く去れ 雉狙わんと 威し銃
     (はやくされ きじねらわんと おどしじゅう)
        ※「有害鳥獣の銃による駆除を行います」朝早
         く市のスピーカーから流れる。被害のひどさ
         は具体的に知っているけれども、雉もなの?
         と思った。国鳥ではなかったか。

10/20wed
鳥渡る 細長き空を まっすぐに
     (とりかえる ほそながきそらを まっすぐに)

美術展 上野の山で 脚さすり
     (びじゅつてん うえののやまで あしさすり)
        ※久しぶりの東京。狭い通りの両側にマンショ
         ンなど高いビルが立ち、空を占拠している。
         視界に細長の四角い空がある。以前に親しん
         だ通りほど、その空の変貌ぶりに驚く。血中
         酸素濃度が低くなる。息苦しい。

10/19tue
降り立って 息白き夜は 栗名月
     (おりたって いきしろきよは くりめいげつ)
        ※旧暦9月13日のこの夜の月(十三夜)を栗
         名月というらしい。出かけた帰りの電車内か
         らは雲が多くとても駄目だなと諦めていたが、
         到着した駅頭からはなんときれいに見えた。

10/17sun
銀杏の やしろ前より 遠くなり
     (ぎんなんの やしろまえより とおくなり)
        ※朝の散歩から足を延ばして「銀杏の社」に向
         かう。夢にお告げがあったから。それにもか
         かわらず時期はちょっと早かった。小さ目の
         が袋一杯ほど。

事件ありて 自然薯掘りを とどまりぬ
     (じけんありて じねんじょほりを とどまりぬ)

10/16sat
ヒヨドリと 柿を争う 朝の陣
     (ひよどりと かきをあらそう あさのじん)

新語見て 却下却下よ 秋の風
     (しんごみて きゃっかきゃっかよ あきのかぜ)
        ※否応なしに飛び込んでくる新語。仮の略語と
         しか言いようがない。くだらないのが多い。
         しかし言葉とはそれぞれの世代がその時代に
         使い残すものだから拒絶しても始まらない。
         自浄能力を信じるしかない。

10/15fri
夕闇や サツマイモ掘る 列残す
     (ゆうやみや さつまいもほる れつのこす)
        ※「なーに今日中に終わるさ」と始めたが、半
         分近くは明日以降に。概ねいい出来だが、所
         々にネキリムシが試食した痕がある。良い色
         の外皮が台無しだ。「だから急がないと」と。

10/13wed
化粧瓶なる濁酒を舐めてみる
     (けしょうびんなるどぶろくをなめてみる)
        ※完全な禁煙をして満一カ月の昨日。ご褒美と
         いうわけではないが、ちょっと前にお土産に
         もらったドブロクを開けてみた。日本酒の原
         酒に近い味? 時間がたっただけ変な味。

10/12tue
月見てる 帰宅困難の 客となり
     (つきみてる きたくこんなんの きゃくとなり)
        ※仲間の中に先日夜の地震のために、ホテル泊
         りをしたヤツがいた。羨ましいとか馬鹿とか
         褒貶半ばの感想が飛び交っている。

10/11mon
ドビュッシーの 曲より速く 妻歩き
     (どびゅっしーの きょくよりはやく つまあるき)

小三治の 音を落として 聞いた秋
     (こさんじの おとをおとして きいたあき)
        ※前の句で多くの人が「月の光」を思い浮かべ
         るのでは。月は名月、秋の季語。ゆっくり歩
         きたいものだねェ・・・といいたいのかよ。
         べらぼーめ~。と小三治が言う。バイク、ク
         ラシック、音キチ、俳句・・・凝り性が好ま
         しかった。

10/10sun
金木犀 欠伸うつしたき 人のあり
     (きんもくせい あくびうつしたき ひとのあり)

摘まむ実の次は柿色を見極めつ
     (つまむみのつぎはかき いろをみきわめつ)
        ※雲の低い日、金木犀の香りが強い。朝散歩帰
         りに摘まむ庭の果物がぶどうから甘柿に変わ
         った。ぶどうの前は桃。我が家の果物だから
         おいしいが、いずれも極めて地味なナリであ
         る。それでも豊饒を感じている。

10/8fri
房州の団扇 手に良し 秋団扇
     (ぼうしゅうの うちわてによし あきうちわ)
        ※少し蒸し暑い日が続いた。しまい遅れの団扇
         が夏の名残り。

10/7thu
秋の日の翳りてモネの日傘かな
     (あきのひのかげりてもねのひがさかな)
        ※肺炎球菌ワクチンの5年前の接種証明を探し
         ているが、当然見当たらない。1回目は定期
         接種とかで自治体の一部補助があったが、2
         回目は任意接種で9千円前後の自己負担とな
         る。基礎疾患(習慣病など)がある者は特に
         1回目の接種を呼びかけているが、効能5年
         でそれ以降のための接種については呼びかけ
         どころかコメントもしていない。どの自治体
         も概ね然り。無責任とイワザルベカラズ。

10/6wed
紫煙消え 句読点なき 暮らし秋
     (しえんきえ くとうてんなき くらしあき)
        ※禁煙してもうすぐ一カ月。今が踏ん張りどこ
         ろだが、なんともメリハリのない暮らしを感
         じてしまう。そう感じること自体情けない話
         なのだが。

10/5tue
新米の 旬の野菜の ごとくして
     (しんまいの しゅんのやさいの ごとくして)
        ※当地の稲刈りは早いから新米はとっくに出回
         っているとか。昨夜当家の食卓にも。
         味はよくわからないが、風味・香りは新鮮で
         若々しくていい。少し固めのせいもあるかな。
         ん、だんだん味も良くなってきた。

10/4mon
過ぎ行くは 渋皮を剥く 背の時間
     (すぎゆくは しぶかわをむく せのじかん)
        ※散歩道を迂回して野山らしき方に向かう。道
         沿いに栗の木があり、夕暮れに落ちた実を拾
         っても大丈夫みたい。今年は幸運な日に20
         個以上をゲット。中学生の通り道でもあるの
         で、これ以上はムリ。結局は買って来て栗飯、
         甘露煮と相成る。例年のパターン。

10/3sun
風なくて 雲ありてこそ 蕎麦の花
     (かぜなくて くもありてこそ そばのはな)

秋時雨 サ行かすかに 朝の床
     (あきしぐれ さぎょうかすかに あさのとこ)
        ※秋のヤセ蚊に散々やられ、真っ暗なうちに目
         が覚めてしまう。無駄な思考はせず、ゆっく
         り、あせらず、長い時間を過ごす。これがな
         かなか難しい。

10/2sat
秋風や 芭蕉が性を 読みしかな
     (あきかぜや ばしょうがさがを よみしかな)
        ※芭蕉が多方面での人脈と才能を持っていたこ
         とは既に広く言われている。曰く、山師、ス
         パイ、脱藩コーディネーターとか・・・。
         しかし、これらの説は芭蕉の俳句が達した高
         みを損なう何物でもない。むしろ、到達の要
         因となるものだ。こういう評も多い。賛成。

10/1fri
秋の朝 布団変えての 夢路かな
     (あきのあさ ふとんかえての ゆめじかな)
        ※もう一段厚い掛け布団に替えて、台風接近の
         朝は意外と健やかに明けた。予想より遅いせ
         いで関東南岸最接近は午後になってからだ。
         一昨年来のトラウマはあるが、今回は当地
         「進路の西側」に当たる。だから比較的平静。
         (伊豆諸島の人々には申し訳ないが)
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