ダクタク句集2018年(平成30年)10月 [ダクタク2018年10月]
10/31wed
熊さんも 八っつぁんも名残の 虫を聴く
(くまさんも はっつぁんもなごりの むしをきく)
※江戸時代には虫の音を聴く集まりがあったそう
な。ナガ友の酒を呑む口実か? 旦那衆の風情
好みか? 涼しい日が続き、日増しに少なくなっ
てきた。
10/30tue
床の絵も 少し曲がって 秋深し
(とこのえも すこしまがって あきふかし)
※現役の宮仕え時代は仕事に明け暮れ?、家庭
のことに十分な気遣いが出来なかった。60歳代
で家庭でのことが大事に感じてきて、家の中に
ついて喧しくなった。やれゴミがたまっている、
やれ玄関が、浴室が汚れている・・・昔いた口う
るさいご隠居のよう。時には潔癖なまでになる。
しかし自覚はあるのだ。これがさらに高じるとさ
ぞ家人や周囲は大変なことになるだろうと思っ
たものだ。70歳代になって近頃は、音もなくお
となしくなった。気づいても言わない。気にしな
い。我慢するのでもない。ボケの始まり?とい
う声が自分の中にある。
10/29mon
干し柿を 煮てジャムにする 夜寒かな
(ほしがきを にてじゃむにする よさむかな)
※10月中旬に干し柿に吊るした柿が時期が早す
ぎたせいか? うまく乾燥しない。柿から発する
甘いニオイが継続し、発酵を示すエタノール系
のにおいに変化してきた。当然コバエがたかっ
てきた。品種は干し柿のブランド市田柿なのだ
が、暖かい房総育ちだからかな?とも思う。
干し柿を諦め、レシピに従いジャムにしたが、こ
れも成功とは言えぬ。折角だから食べてはいる
が・・・。毒はないみたい。
10/28sun
温暖化 されど十月の 行火かな
(おんだんか されどじゅうがつの あんかかな)
※水彩画の教室が地元の文化祭で作品を展示した。
これに興奮したわけでもないが、昨夜はよく眠れな
かった。足腰が少し冷えたので、急遽夜中に小さな
電気アンカを引っ張り出した。
もうちょっとマシな絵を描ければこういうこともなかっ
たか・・・。
10/27sat
秋冷や 数年ぶんの 月を見し
(しゅうれいや すうねんぶんの つきをみし)
※一昨日の満月、何年かぶりのワクワク、シミジ
ミ。他に感想なし。
10/25thu
霜降や 裸足歩きを やめにけり
(そうこうや はだしあるきを やめにけり)
※外反母趾のため革靴や運動靴は苦手で、朝夕
の散歩はいつも樹脂製のバンド付きサンダルを
愛用している。真冬も裸足でサンダルを履き、
「足の皮膚も丈夫になる」とか言って痩せ我慢を
続けていた。
ところが一昨年の冬に「シモヤケ」になった。もう
死語だと思っていたのに。自分が? 完治するの
に半年近くかかった。
10/24wed
木守りを 残しシニアの 柿始末
(きまもりを のこしシニアの かきしまつ)
※多くの家の柿の木は熟れた実をたわわにつけ
ているが、ひとつも収穫しない家が多い。
我が家では落葉病に見舞われたが、幸い50個
ほどは熟れて残った。きちんと全部収穫するの
が当家のやり方。そして木守りとして数個を残し、
来年のまたの実りを祈る。この祈りは小鳥が仲
介してくれる。
10/23tue
大粒の ブドウ熟さずを 食うている
(おおつぶの ぶどうじゅくさずを くうている)
※最近実をつけたことのない古いブドウの木が、
今年は見事な大ぶりの緑の房をつけた。
巨峰だから緑が濃紺に変わり、熟さねばならな
い。・・・粒々が半分ほど色づいたところで成熟
は止まった。秋も深まり、あとは小さくなるだけ。
「力尽きたか」と言いつつ、毎日数粒ずつ食べ
ている。半分ほど甘い。
10/22mon
秋桑を ここで摘みしと 太い指
(あきくわを ここでつみしと ふといゆび)
※この付近でかつて桑が作られ蚕を飼っていたこ
とを知った。50年以上も前の話とか。指さす先は
高速道下の広い雑草地、少し色づいている。
10/21sun
貝割菜 嵐の去るを 待ちかねて
(かいわれな あらしのさるを まちかねて)
※菜は風にも雨にも強いのだが、天気が好転しな
いことには畑には行けない。今朝は空気が澄ん
でいて、当地からは富士山と丹沢山系が今シー
ズン一の見栄え。今日アクアラインマラソン。
10/20sat
コスモスや 妻看る人の 笑みをみる
(こすもすや つまみるひとの えみをみる)
※久しぶりの高田馬場は雨模様。先輩二人に再会。
話はやはり健康のこと、家族のこと、今気に入っ
ていること等々。しみじみと良い時間があった。
現在の環境や暮らしの条件にはそれぞれ差があ
っても、長年培ってきた自分のやり方で暮らしを
織り込んでいくしかない。そのことの重要性を話
の中から痛感した。
10/18thu
落花生 採りごろ来たと 先達は
(らっかせい とりごろきたと せんだつは)
※千葉県の大粒落花生の品種「おおまさり」を栽
培して2年目の今年、種豆を世話してくれた人
からサインが出て、収穫を無事終了した。今年
は狭い畑ながら殻込みで12kgくらい、大喜び
である。昨年は少し待ちすぎた上にハクビシン
かアライグマに襲われて、散々な結果だった。
この品種は茹でて食べるのに適していて、早速
食べてみた。甘さ控えめだが香ばしい・・・素人
栽培者は褒めちぎっています。
10/17wed
バリウムが 在庫を一掃 秋の朝
(ばりうむが ざいこをいっそう あきのあさ)
※先日胃がん検診でバリウムを飲んだ。いつもは
体外排泄に2日は苦しむのに、今回は至極スム
ーズ。ビロウな話で恐縮だが、おまけに宿便とや
らも結構押し出されてとみえて、いつになく腸内
がすっきりした。良いことづくめだと・・・検査結果
はどうなることやら。
10/16tue
無人駅 灯りが見せる 蕎麦畑
(むじんえき あかりがみせる そばばたけ)
無人駅 平成を生き 秋時雨
(むじんえき へいせいをいき あきしぐれ)
※最寄りの駅はJR久留里線の無人駅。廃線を免
れて平成を生き延びた。それを支えた利用客は
朝夕の高校生と通勤客。近くの小湊鉄道のよう
に観光スポットとはなっていないが、地味なが
らも根強いファンがおり堅調である。それに高
校生が町内を歩く様はなんとも心強い。
10/14sun
柿くれし 老婆のシワよ 岸の家
(かきくれし ろうばのしわよ きしのいえ)
※「持っていきなよ」、朝時々顔を合わせる土手横
の畑の老婆が大きな甘柿をいくつもくれた。この
人はどうやら私を団地の住人と思って、畑のこと
果実のことをいつも教えてくれる。
どっこい、こちらは今や第一次産業?の人だ。結
構な広さの畑を借り、家には狭い土地に果樹が
5種類7本もあるし、それなりの収穫もある。言い
出せないまま、ありがたく柿を貰う。
10/13sat
筒先の 残りを出さむ 今朝の秋
(つつさきの のこりをださむ けさのあき)
※年をとると、そうそう爽快な目覚めはない。よう
やく涼しくなって、第一の仕事はオシッコ。
大半は出たにしても、肝心なのは出し尽くすこと。
ブルブルッ、ゆっくり急がず。秋冷を味わう。
10/12fri
秋明菊 亡母の遺せし 色二つ
(しゅうめいぎく ははののこせし いろふたつ)
※しのぎやすい気温、朝夕は少し肌寒いほど。静
かな一日。昨日今日と米国発の世界同時株安が
カマビスしいが、NHKで放映した小津安二郎作
品のうち、まだ見ていなかった映画をゆっくりと
味わう。
10/11thu
母の顔 施設に入れる日 坂の秋
(ははのかお しせつにいれるひ さかのあき)
※友人が高齢の母親を施設に入れた。そのお母
さんも暮らしぶりも以前から知っているので、友
人の心境に思いを馳せた。
10/10wed
新月や 藪の小径の カラスウリ
(しんげつや やぶのこみちの からすうり)
※夜遅くの散歩でもいつものコースを行く。ライ
トで照らした草陰にカラスウリが浮かびでた。
まだ十分色づいていない。熟れた色だったら、
ちょっとびっくりするかも。
ボケはじめ ふとしのびよる 秋の風
(ぼけはじめ ふとしのびよる あきのかぜ)
※昨日ある会合に行ったところ、現地に着いて
から一週間違っていたことに気づいた。「カレ
ンダーにつけておかないから」と家内は言う。
実はちゃんと書き込んであったのだ。ただそ
のメモ自体が間違っていた。
ボケ来たかな? ・・・この手のことは既に何
十年も前からあった。ノープロブレム。
10/8mon
展示作 急かずに如かじ 柿の音
(てんじさく せかずにしかじ かきのおと)
※文化祭に展示する水彩画を描いている。一気呵
成に仕上げるか?慎重に行くか? 出来上がり
の絵の調子にも影響する。ヘタはヘタなりに悩
むもの・・・ボサッ、アッ柿が落ちる音。
我が家の柿の音は鐘の音などではない。
10/7sun
秋の月 犬曳く道を 悔やむのみ
(あきのつき いぬひくみちを くやむのみ)
※今月初めの夜、犬の散歩で怪我をした。飼い主
の方である。真っ暗なところで道を渡る際に、
自らが走って縁石に躓いてしまった。軽傷だっ
たが、膝と両手で支える形で倒れたため両手と
腕に10箇所以上の擦過傷を負った。勝手知っ
たる散歩道で「やってはいけないこと」をして
しまった。傷の経過は至極順調だが、今もって
腰と膝が痛い。
怪我をして たまりし秋の 仕事かな
(けがをして たまりしあきの しごとかな)
※垣根の刈り込み、干し柿吊るし、落花生の収穫
など、知的な作業はない。
10/5fri
柿の木は 落葉病なり 空青し
(かきのきは らくようびょうなり そらあおし)
※柿の葉が黄色になり斑点ができ、面白いなと思
っていたら、実が成長できないまま赤くなり落ち
た。病原菌の仕業とか。人間が食べても害はな
いらしい。でも甘くない。残念。
落葉病と台風による強風で、葉はスカスカにな
った。知ったのは、青い空と思った以上の柿の
実の多さだ。
全滅にはならないだろう。ここに至ってもまだ期
待している。甘くて大きい富有柿。
10/4thu
草虱 荷風浅草へ 靴の音
(くさじらみ かふうあさくさへ くつのおと)
※荷風は戦後暫くして市川に住んだ。文筆活動は
一部の小品以外鳴りを潜め、交友もなく、専ら
浅草に通う。秋になると、背広にコートを着て、
カバンに傘を持った彼の姿が思い浮かぶ。革靴
の音。高価なものではなかったとか。
うろこ雲 戸締りしたる 荷風かな
(うろこぐも とじまりしたる かふうかな)
※日常のことにいそいそとする荷風が好きだ。浅
草で決まった店で昼食をとり、馴染みの劇場に
立ち寄る。
10/3wed
選挙終え 基地をぼかした 悔いあらん
(せんきょおえ きちをぼかした くいあらん)
※本土からの押し付けを嫌い、旗幟鮮明を好む県
民性が今回の結果か? 果てしない押し問答が
なおも続くことに・・・。
父知りて 賢治の秋も 深く知り
(ちちしりて けんじのあきも ふかくしり)
※図書館からのメールで門井慶喜の「銀河鉄道の
父」の順番が来たことを知る。予約をしたことすら
忘れた頃に・・・予約システムの醍醐味だ。
ご存知直木賞受賞の本。賢治の行動や文学のこ
とで新たなことは殆どないが、父政二郎の細やか
な心情を通して、人間賢治を味わうことが出来た。
こんな父親の方が、天才賢治より希少価値があ
るようにも思われた。すいすい読書。
10/2tue
日常が 台風一過 舞いもどる
(にちじょうが たいふういっか まいもどる)
※例年以上に怯えを覚える今年の台風。備えをし
て、接近の情報に神経をとがらせ、夜中の強風、
大雨の音に寝もやらず朝を迎える。被害がなけ
れば幸い、・・・朝の光がまぶしい。
10/1mon
台風や 堰守る人の 叫びおり
(たいふうの せきまもるひとの さけびおり)
※取水堰を監視、操作する建家の窓が開き、人が
堰近くにいる作業員に大声で指示をしている。
最近の各地の災害には、思わぬ出水、氾濫が数
多く含まれているから、真剣そのもの。西から強
い台風24号が接近している。
熊さんも 八っつぁんも名残の 虫を聴く
(くまさんも はっつぁんもなごりの むしをきく)
※江戸時代には虫の音を聴く集まりがあったそう
な。ナガ友の酒を呑む口実か? 旦那衆の風情
好みか? 涼しい日が続き、日増しに少なくなっ
てきた。
10/30tue
床の絵も 少し曲がって 秋深し
(とこのえも すこしまがって あきふかし)
※現役の宮仕え時代は仕事に明け暮れ?、家庭
のことに十分な気遣いが出来なかった。60歳代
で家庭でのことが大事に感じてきて、家の中に
ついて喧しくなった。やれゴミがたまっている、
やれ玄関が、浴室が汚れている・・・昔いた口う
るさいご隠居のよう。時には潔癖なまでになる。
しかし自覚はあるのだ。これがさらに高じるとさ
ぞ家人や周囲は大変なことになるだろうと思っ
たものだ。70歳代になって近頃は、音もなくお
となしくなった。気づいても言わない。気にしな
い。我慢するのでもない。ボケの始まり?とい
う声が自分の中にある。
10/29mon
干し柿を 煮てジャムにする 夜寒かな
(ほしがきを にてじゃむにする よさむかな)
※10月中旬に干し柿に吊るした柿が時期が早す
ぎたせいか? うまく乾燥しない。柿から発する
甘いニオイが継続し、発酵を示すエタノール系
のにおいに変化してきた。当然コバエがたかっ
てきた。品種は干し柿のブランド市田柿なのだ
が、暖かい房総育ちだからかな?とも思う。
干し柿を諦め、レシピに従いジャムにしたが、こ
れも成功とは言えぬ。折角だから食べてはいる
が・・・。毒はないみたい。
10/28sun
温暖化 されど十月の 行火かな
(おんだんか されどじゅうがつの あんかかな)
※水彩画の教室が地元の文化祭で作品を展示した。
これに興奮したわけでもないが、昨夜はよく眠れな
かった。足腰が少し冷えたので、急遽夜中に小さな
電気アンカを引っ張り出した。
もうちょっとマシな絵を描ければこういうこともなかっ
たか・・・。
10/27sat
秋冷や 数年ぶんの 月を見し
(しゅうれいや すうねんぶんの つきをみし)
※一昨日の満月、何年かぶりのワクワク、シミジ
ミ。他に感想なし。
10/25thu
霜降や 裸足歩きを やめにけり
(そうこうや はだしあるきを やめにけり)
※外反母趾のため革靴や運動靴は苦手で、朝夕
の散歩はいつも樹脂製のバンド付きサンダルを
愛用している。真冬も裸足でサンダルを履き、
「足の皮膚も丈夫になる」とか言って痩せ我慢を
続けていた。
ところが一昨年の冬に「シモヤケ」になった。もう
死語だと思っていたのに。自分が? 完治するの
に半年近くかかった。
10/24wed
木守りを 残しシニアの 柿始末
(きまもりを のこしシニアの かきしまつ)
※多くの家の柿の木は熟れた実をたわわにつけ
ているが、ひとつも収穫しない家が多い。
我が家では落葉病に見舞われたが、幸い50個
ほどは熟れて残った。きちんと全部収穫するの
が当家のやり方。そして木守りとして数個を残し、
来年のまたの実りを祈る。この祈りは小鳥が仲
介してくれる。
10/23tue
大粒の ブドウ熟さずを 食うている
(おおつぶの ぶどうじゅくさずを くうている)
※最近実をつけたことのない古いブドウの木が、
今年は見事な大ぶりの緑の房をつけた。
巨峰だから緑が濃紺に変わり、熟さねばならな
い。・・・粒々が半分ほど色づいたところで成熟
は止まった。秋も深まり、あとは小さくなるだけ。
「力尽きたか」と言いつつ、毎日数粒ずつ食べ
ている。半分ほど甘い。
10/22mon
秋桑を ここで摘みしと 太い指
(あきくわを ここでつみしと ふといゆび)
※この付近でかつて桑が作られ蚕を飼っていたこ
とを知った。50年以上も前の話とか。指さす先は
高速道下の広い雑草地、少し色づいている。
10/21sun
貝割菜 嵐の去るを 待ちかねて
(かいわれな あらしのさるを まちかねて)
※菜は風にも雨にも強いのだが、天気が好転しな
いことには畑には行けない。今朝は空気が澄ん
でいて、当地からは富士山と丹沢山系が今シー
ズン一の見栄え。今日アクアラインマラソン。
10/20sat
コスモスや 妻看る人の 笑みをみる
(こすもすや つまみるひとの えみをみる)
※久しぶりの高田馬場は雨模様。先輩二人に再会。
話はやはり健康のこと、家族のこと、今気に入っ
ていること等々。しみじみと良い時間があった。
現在の環境や暮らしの条件にはそれぞれ差があ
っても、長年培ってきた自分のやり方で暮らしを
織り込んでいくしかない。そのことの重要性を話
の中から痛感した。
10/18thu
落花生 採りごろ来たと 先達は
(らっかせい とりごろきたと せんだつは)
※千葉県の大粒落花生の品種「おおまさり」を栽
培して2年目の今年、種豆を世話してくれた人
からサインが出て、収穫を無事終了した。今年
は狭い畑ながら殻込みで12kgくらい、大喜び
である。昨年は少し待ちすぎた上にハクビシン
かアライグマに襲われて、散々な結果だった。
この品種は茹でて食べるのに適していて、早速
食べてみた。甘さ控えめだが香ばしい・・・素人
栽培者は褒めちぎっています。
10/17wed
バリウムが 在庫を一掃 秋の朝
(ばりうむが ざいこをいっそう あきのあさ)
※先日胃がん検診でバリウムを飲んだ。いつもは
体外排泄に2日は苦しむのに、今回は至極スム
ーズ。ビロウな話で恐縮だが、おまけに宿便とや
らも結構押し出されてとみえて、いつになく腸内
がすっきりした。良いことづくめだと・・・検査結果
はどうなることやら。
10/16tue
無人駅 灯りが見せる 蕎麦畑
(むじんえき あかりがみせる そばばたけ)
無人駅 平成を生き 秋時雨
(むじんえき へいせいをいき あきしぐれ)
※最寄りの駅はJR久留里線の無人駅。廃線を免
れて平成を生き延びた。それを支えた利用客は
朝夕の高校生と通勤客。近くの小湊鉄道のよう
に観光スポットとはなっていないが、地味なが
らも根強いファンがおり堅調である。それに高
校生が町内を歩く様はなんとも心強い。
10/14sun
柿くれし 老婆のシワよ 岸の家
(かきくれし ろうばのしわよ きしのいえ)
※「持っていきなよ」、朝時々顔を合わせる土手横
の畑の老婆が大きな甘柿をいくつもくれた。この
人はどうやら私を団地の住人と思って、畑のこと
果実のことをいつも教えてくれる。
どっこい、こちらは今や第一次産業?の人だ。結
構な広さの畑を借り、家には狭い土地に果樹が
5種類7本もあるし、それなりの収穫もある。言い
出せないまま、ありがたく柿を貰う。
10/13sat
筒先の 残りを出さむ 今朝の秋
(つつさきの のこりをださむ けさのあき)
※年をとると、そうそう爽快な目覚めはない。よう
やく涼しくなって、第一の仕事はオシッコ。
大半は出たにしても、肝心なのは出し尽くすこと。
ブルブルッ、ゆっくり急がず。秋冷を味わう。
10/12fri
秋明菊 亡母の遺せし 色二つ
(しゅうめいぎく ははののこせし いろふたつ)
※しのぎやすい気温、朝夕は少し肌寒いほど。静
かな一日。昨日今日と米国発の世界同時株安が
カマビスしいが、NHKで放映した小津安二郎作
品のうち、まだ見ていなかった映画をゆっくりと
味わう。
10/11thu
母の顔 施設に入れる日 坂の秋
(ははのかお しせつにいれるひ さかのあき)
※友人が高齢の母親を施設に入れた。そのお母
さんも暮らしぶりも以前から知っているので、友
人の心境に思いを馳せた。
10/10wed
新月や 藪の小径の カラスウリ
(しんげつや やぶのこみちの からすうり)
※夜遅くの散歩でもいつものコースを行く。ライ
トで照らした草陰にカラスウリが浮かびでた。
まだ十分色づいていない。熟れた色だったら、
ちょっとびっくりするかも。
ボケはじめ ふとしのびよる 秋の風
(ぼけはじめ ふとしのびよる あきのかぜ)
※昨日ある会合に行ったところ、現地に着いて
から一週間違っていたことに気づいた。「カレ
ンダーにつけておかないから」と家内は言う。
実はちゃんと書き込んであったのだ。ただそ
のメモ自体が間違っていた。
ボケ来たかな? ・・・この手のことは既に何
十年も前からあった。ノープロブレム。
10/8mon
展示作 急かずに如かじ 柿の音
(てんじさく せかずにしかじ かきのおと)
※文化祭に展示する水彩画を描いている。一気呵
成に仕上げるか?慎重に行くか? 出来上がり
の絵の調子にも影響する。ヘタはヘタなりに悩
むもの・・・ボサッ、アッ柿が落ちる音。
我が家の柿の音は鐘の音などではない。
10/7sun
秋の月 犬曳く道を 悔やむのみ
(あきのつき いぬひくみちを くやむのみ)
※今月初めの夜、犬の散歩で怪我をした。飼い主
の方である。真っ暗なところで道を渡る際に、
自らが走って縁石に躓いてしまった。軽傷だっ
たが、膝と両手で支える形で倒れたため両手と
腕に10箇所以上の擦過傷を負った。勝手知っ
たる散歩道で「やってはいけないこと」をして
しまった。傷の経過は至極順調だが、今もって
腰と膝が痛い。
怪我をして たまりし秋の 仕事かな
(けがをして たまりしあきの しごとかな)
※垣根の刈り込み、干し柿吊るし、落花生の収穫
など、知的な作業はない。
10/5fri
柿の木は 落葉病なり 空青し
(かきのきは らくようびょうなり そらあおし)
※柿の葉が黄色になり斑点ができ、面白いなと思
っていたら、実が成長できないまま赤くなり落ち
た。病原菌の仕業とか。人間が食べても害はな
いらしい。でも甘くない。残念。
落葉病と台風による強風で、葉はスカスカにな
った。知ったのは、青い空と思った以上の柿の
実の多さだ。
全滅にはならないだろう。ここに至ってもまだ期
待している。甘くて大きい富有柿。
10/4thu
草虱 荷風浅草へ 靴の音
(くさじらみ かふうあさくさへ くつのおと)
※荷風は戦後暫くして市川に住んだ。文筆活動は
一部の小品以外鳴りを潜め、交友もなく、専ら
浅草に通う。秋になると、背広にコートを着て、
カバンに傘を持った彼の姿が思い浮かぶ。革靴
の音。高価なものではなかったとか。
うろこ雲 戸締りしたる 荷風かな
(うろこぐも とじまりしたる かふうかな)
※日常のことにいそいそとする荷風が好きだ。浅
草で決まった店で昼食をとり、馴染みの劇場に
立ち寄る。
10/3wed
選挙終え 基地をぼかした 悔いあらん
(せんきょおえ きちをぼかした くいあらん)
※本土からの押し付けを嫌い、旗幟鮮明を好む県
民性が今回の結果か? 果てしない押し問答が
なおも続くことに・・・。
父知りて 賢治の秋も 深く知り
(ちちしりて けんじのあきも ふかくしり)
※図書館からのメールで門井慶喜の「銀河鉄道の
父」の順番が来たことを知る。予約をしたことすら
忘れた頃に・・・予約システムの醍醐味だ。
ご存知直木賞受賞の本。賢治の行動や文学のこ
とで新たなことは殆どないが、父政二郎の細やか
な心情を通して、人間賢治を味わうことが出来た。
こんな父親の方が、天才賢治より希少価値があ
るようにも思われた。すいすい読書。
10/2tue
日常が 台風一過 舞いもどる
(にちじょうが たいふういっか まいもどる)
※例年以上に怯えを覚える今年の台風。備えをし
て、接近の情報に神経をとがらせ、夜中の強風、
大雨の音に寝もやらず朝を迎える。被害がなけ
れば幸い、・・・朝の光がまぶしい。
10/1mon
台風や 堰守る人の 叫びおり
(たいふうの せきまもるひとの さけびおり)
※取水堰を監視、操作する建家の窓が開き、人が
堰近くにいる作業員に大声で指示をしている。
最近の各地の災害には、思わぬ出水、氾濫が数
多く含まれているから、真剣そのもの。西から強
い台風24号が接近している。