春***花 [四季の名句]
>春***花 作者の熱情が流れてくる
梅咲いて庭中に青鮫が来ている 金子兜太
落椿投げて暖炉の火の上に 高浜虚子
折鶴のごとくたためる牡丹の芽 山口青邨
山茱萸(さんしゅゆ)に明るき言葉こぼし合ふ 鍵和田秞子
わが山河まだ見尽くさず花辛夷 相馬遷子
連翹の一枝走る松の中 阿部みどり女
さまざまの事おもひ出す桜哉 芭 蕉
山はみな浮きつ沈みつ桜かな 長谷川 櫂
山つゝじ照る只中に田を墾(ひら)く 飯田龍太
雪柳ふぶくごとくに今や咳(せ)く 石田波郷
白藤や揺りやみしかばうすみどり 芝 不器男
傷舐めて母は全能桃の花 茨木和生
サイネリア咲くかしら咲くかしら水をやる 正木ゆう子
チューリップ喜びだけを持ってゐる 細身綾子
サフランや映画はきのう人を殺め 宇多喜代子
銀河系のとある酒場のヒヤシンス 橋 間石
春蘭に木もれ陽斯かる愛もあり 佐藤鬼房
>春***天 緩やかな調べ
妻の遺品ならざるはなし春星(しゅんせい)も 右城暮石
遺書書けば遠ざかる死や朝がすみ 相馬遷子
死は春の空の渚に遊ぶべし 石原八束
春の雪春菜をゆでてゐたる間も 細見綾子
傘ささぬ人のゆきゝや春の雨 永井荷風
貝寄風(かいよせ)に乗りて帰郷の船迅し 中村草田男
春風や闘志いだきて丘に立つ 高浜虚子
紺絣春月重く出でしかな 飯田龍太
外(と)にも出よ触るるばかりに春の月 中村汀女
歩みそめし子を陽炎の中におろす 田川飛旅子
綺羅星の中にわが星春の星 富安風声
春の日やあの世この世と馬車を駆り 中村苑子
おぼろ夜のかたまりとしてものおもふ 加藤楸邨
鳥ぐもり子が嫁してあと妻残る 安住 敦
春天に鳩をあげたる伽藍かな 川端茅舎
春の雲ながめてをればうごきけり 日野草城
忘れ潮いくたび春の雲通る 大獄青児
>春***地 土も水も目覚める
春の山たたいてここへ坐れよと 石田郷子
末黒野(すぐろの)に雨の切尖(きっさき)限りなし 波多野爽波
昃(ひかげ)れば春水の心あともどり 星野立子
水温むうしろに人のゐるごとし 原 公平
一桶の藍流しけり春の川 正岡子規
春の海終日のたりのたりかな 蕪 村
ハモニカがあれば今吹く春の磯 鈴木鷹夫
春潮の遠鳴る能登を母郷とす 能村登四郎
みほとけに干潟の裾のひろかりき 田中裕明
客土より湯気立ちのぼる春田かな 若井新一
はるかなる天動説や畑を打つ 坂本宮尾
苗代の水のつゞきや鳰の海(にれ、かいつぶり) 松瀬青々
みごもりや春土は吾に乾きゆく 細見綾子
雪とけて村いっぱいの子ども哉 一 茶
緩急を自在に雪解雫かな 千田一路
せりせりと薄氷(うすらひ)杖のなすまゝに 山口誓子
流氷や宗谷の門波(となみ)荒れやまず 山口誓子
>春***時 春の時
立春の米こぼれをり葛西橋 石田波郷
母思ふ二月の空に頬杖し 長谷川かな女
雨がちにはや三月もなかばかな 久保田万太郎
妹の嫁ぎて四月永かりき 中村草田男
ねむる子に北の春暁すみれ色 成田千空
春は曙そろそろ帰ってくれないか 櫂美知子
春昼や魔法の利かぬ魔法瓶 安住 敦
つながれて牛考へる春の暮 桂 信子
春宵の色湛へたる乱れ籠 はし かんせき 橋 閒石
時計屋の時計春の夜どれがほんと 久保田万太郎
おぼろ夜のかたまりとしてものおもふ 加藤楸邨
永き日のにはとり柵を越えにけり 芝不器男
この庭の遅日の石のいつまでも 高浜虚子
梅咲いて庭中に青鮫が来ている 金子兜太
落椿投げて暖炉の火の上に 高浜虚子
折鶴のごとくたためる牡丹の芽 山口青邨
山茱萸(さんしゅゆ)に明るき言葉こぼし合ふ 鍵和田秞子
わが山河まだ見尽くさず花辛夷 相馬遷子
連翹の一枝走る松の中 阿部みどり女
さまざまの事おもひ出す桜哉 芭 蕉
山はみな浮きつ沈みつ桜かな 長谷川 櫂
山つゝじ照る只中に田を墾(ひら)く 飯田龍太
雪柳ふぶくごとくに今や咳(せ)く 石田波郷
白藤や揺りやみしかばうすみどり 芝 不器男
傷舐めて母は全能桃の花 茨木和生
サイネリア咲くかしら咲くかしら水をやる 正木ゆう子
チューリップ喜びだけを持ってゐる 細身綾子
サフランや映画はきのう人を殺め 宇多喜代子
銀河系のとある酒場のヒヤシンス 橋 間石
春蘭に木もれ陽斯かる愛もあり 佐藤鬼房
>春***天 緩やかな調べ
妻の遺品ならざるはなし春星(しゅんせい)も 右城暮石
遺書書けば遠ざかる死や朝がすみ 相馬遷子
死は春の空の渚に遊ぶべし 石原八束
春の雪春菜をゆでてゐたる間も 細見綾子
傘ささぬ人のゆきゝや春の雨 永井荷風
貝寄風(かいよせ)に乗りて帰郷の船迅し 中村草田男
春風や闘志いだきて丘に立つ 高浜虚子
紺絣春月重く出でしかな 飯田龍太
外(と)にも出よ触るるばかりに春の月 中村汀女
歩みそめし子を陽炎の中におろす 田川飛旅子
綺羅星の中にわが星春の星 富安風声
春の日やあの世この世と馬車を駆り 中村苑子
おぼろ夜のかたまりとしてものおもふ 加藤楸邨
鳥ぐもり子が嫁してあと妻残る 安住 敦
春天に鳩をあげたる伽藍かな 川端茅舎
春の雲ながめてをればうごきけり 日野草城
忘れ潮いくたび春の雲通る 大獄青児
>春***地 土も水も目覚める
春の山たたいてここへ坐れよと 石田郷子
末黒野(すぐろの)に雨の切尖(きっさき)限りなし 波多野爽波
昃(ひかげ)れば春水の心あともどり 星野立子
水温むうしろに人のゐるごとし 原 公平
一桶の藍流しけり春の川 正岡子規
春の海終日のたりのたりかな 蕪 村
ハモニカがあれば今吹く春の磯 鈴木鷹夫
春潮の遠鳴る能登を母郷とす 能村登四郎
みほとけに干潟の裾のひろかりき 田中裕明
客土より湯気立ちのぼる春田かな 若井新一
はるかなる天動説や畑を打つ 坂本宮尾
苗代の水のつゞきや鳰の海(にれ、かいつぶり) 松瀬青々
みごもりや春土は吾に乾きゆく 細見綾子
雪とけて村いっぱいの子ども哉 一 茶
緩急を自在に雪解雫かな 千田一路
せりせりと薄氷(うすらひ)杖のなすまゝに 山口誓子
流氷や宗谷の門波(となみ)荒れやまず 山口誓子
>春***時 春の時
立春の米こぼれをり葛西橋 石田波郷
母思ふ二月の空に頬杖し 長谷川かな女
雨がちにはや三月もなかばかな 久保田万太郎
妹の嫁ぎて四月永かりき 中村草田男
ねむる子に北の春暁すみれ色 成田千空
春は曙そろそろ帰ってくれないか 櫂美知子
春昼や魔法の利かぬ魔法瓶 安住 敦
つながれて牛考へる春の暮 桂 信子
春宵の色湛へたる乱れ籠 はし かんせき 橋 閒石
時計屋の時計春の夜どれがほんと 久保田万太郎
おぼろ夜のかたまりとしてものおもふ 加藤楸邨
永き日のにはとり柵を越えにけり 芝不器男
この庭の遅日の石のいつまでも 高浜虚子