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ダクタク2021年1月 ブログトップ

ダクタク句集2021年(令和3年)1月 [ダクタク2021年1月]

1/31sun
雪下ろし 形見のシャツを 着込むかな
     (ゆきおろし かたみのしゃつを きこむかな)

豪雪の街や 角巻の影を見る
     (ごうせつのまちや かくまきのかげをみる)

地吹雪や わからぬ教師に 叛きたり
     (じふぶきや わからぬきょうしに そむきたり)

耳かくし 剣玉の孔を 広げいし
     (みみかくし けんだまのあなを ひろげいし)

冬灯り タバコ屋の子の まぶしかり
     (ふゆあかり たばこやのこの まぶしかり)

        ※今シーズンは東北、北陸の豪雪のニュースが
         続く。雪に埋もれた街、ホワイトアウトの凄
         まじさ等々、自分の雪の記憶、冬の暮らしの
         光景が限りなく蘇る。

1/30sat
寒見舞い レビューを消して くれといい
     (かんみまい れびゅーをけして くれといい)
        ※アマゾンで買った商品にレビューを送ったと
         ころ、出品者側からメールが届き、代金相当
         のギフト券を提供するので、レビューを改竄
         するか削除してくれとの依頼だった。
         レビューは買い物の際大いに参考になるが、
         こうした操作やフェークも横行していると聞
         いいていた。ただ、こうした誘いが身辺に及
         ぶとは・・・。腹は立ったが、受け入れた。

1/29fri
寒紅や CTの日に 少し濃し
     (かんべにや シーティーのひに すこしこし)
        ※受診控えが言われている。家内は予定通り決
         然と病院に乗り込む。決意漲る口紅。

1/28thu
風花や 茶のたまごの おすそわけ
     (かざはなや ちゃのたまごの おすそわけ)
        ※卵は物価の超優等生。昔は貴重であった。
         一個の卵を醤油でといて、兄弟でわけて麦ご
         はんにかけて食べたものだ。
         あの頃は卵をもみ殻に入れて届けたりもした。

1/27wed
マスク舞う スクランブルの 人人ひと
     (ますくまう すくらんぶるの ひとひとひと)
        ※渋谷の街を、多くの心配性の人々がうらめし
         く眺めたことか? 若者のマイクへの言葉が
         どれだけ嘆きを誘ったか? それでも新規発
         症者数に減少の気配が。ようやく。

1/26tue
炬燵から 祖父のそろばん 音ちょちょん
     (こたつから そふのそろばん おとちょちょん)
        ※昔のコタツ、中は暖かいが部屋は寒い。祖父
         は炬燵から短く手首だけを出し、ゆっくり帳
         簿を見ていた。

1/25mon
寒き夜にサイレン 運転人の目
     (さむきよにさいれん うんてんびとのめ)
        ※当地のコロナ感染は人口の割に高水準。思わ
         ぬ所でクラスター発生とか聞くと、自分の周
         りは安全という思い込みが一瞬にして消える。
         それにしても医療従事者の奮闘続く。

1/24sun
降りる人ありて線路の先は雪
     (おりるひとありて せんろのさきはゆき)
        ※雪が少し舞い散っている。めずらしい、こん
         な日の日中に無人駅に降りる人がいるか? 
         なんでもない景色。

1/23sat
寒起こし スコップの音に 励まされ
     (かんおこし すこっぷのおとに はげまされ)
        ※「家籠りにはいい運動」とかなんとか言われ
         て、畑の土壌の天地返しに駆り出される。サ
         クッと30センチほどの深さにスコップを入
         れ、土を起こし塊のまま放置する。
         畑作に詳しい人がせっせとやるものだから、
         周囲の素人衆も真似をする。

1/22fri
大寒や 外食暮らしで 糖不如意
     (だいかんや がいしょくぐらしで とうふにょい)
        ※独身で後期高齢者の友がいる。かつ糖尿病管
         理患者でインスリン注射を使用している。そ
         れでも本人は体調管理に自信満々だから余計
         始末が悪い。

1/21thu
日向ぼこ 背中に証拠の 白き跡
     (ひなたぼこ せなかにしょうこの しろきあと)

冬の日や 皆なにがしの 失意あり
     (ふゆのひや みななにがしの しついあり)
        ※おとなしい暮らし、人さまざまな思い。

1/20wed
蝋塗って するりと滑る 冬襖
     (ろうぬって するりとすべる ふゆぶすま)
        ※ロウの代わりに潤滑スプレーをシューッと。
         乾燥の季節なのにと思いながら、これで一丁
         上がり。ついでに我が方々の関節にシュッ、
         シューッとやっておこうかな。

1/19tue
マスクして 人には会わず 寒念仏
     (ますくして ひとにはあわず かんねんぶつ)
        ※寒中の坊さんの姿もこの地では見られない。
         禅宗の厳しい戒律、北陸の今年の豪雪を思う。

1/18mon
病院に シワ隠す群れ 紋白蝶
     (びょういんに しわかくすむれ もんしろちょう)
        ※病院通いを躊躇する人が多いと聞くが、どう
         してどうしてマスクの高齢者で溢れている。
         という当方も高齢者、定期の診察と投薬は避
         けられないよね。でも、確かに駐車場は空い
         ている。

1/17sun
小三治の 初天神の 音しぼり
     (こさんじの はつてんじんの おとしぼり)
        ※飴を買ってとわめく子供が主役の初天神。一
         人で楽しむにはボリュームがちと大き過ぎた。

犬逃げる 凍える指で 歯磨きを
     (いぬにげる こごえるゆびで はみがきを)

1/15fri
寒月や 自転車ではもる 下校かな
     (かんげつや じてんしゃではもる げこうかな)
        ※女子ソフトボール部の寒稽古、学校とグラウ
         ンド間は自転車で。暗い中、意外とおしとや
         かなメロディが聞こえてきた。

1/13wed
寒暁や キンカン三個 しのばせて
     (かんぎょうや きんかんさんこ しのばせて)
        ※日々のコロナ禍情報も、いかに緊張の局面と
         は言え、いささか食傷気味だ。
         国産のワクチンがなんとしても待たれる。周
         回遅れとか悪口は見られるが、有用な情報が
         少ない。

1/12tue
サクラソウ マスクをせよと 子が見上げ
     (さくらそう ますくをせよと こがみあげ)
        ※大人は自粛慣れしたりするが、案外子供はし
         っかりしている。登下校時の密を避け道順を
         変えたりもしているとか。
         さくら草は春の季語とあるが、当地では現に
         寒中に咲いている。江戸期に武士の間で流行
         ったとも。

1/11mon
七変化 七之助見る 冬籠り
     (しちへんげ しちのすけみる ふゆごもり)
        ※コロナ禍のステイホームは我慢ばかりではな
         い。家内ひいきの七之助やら万作、萬斎、裕
         基の野村三代の近況ものやら、普段見慣れな
         い番組を探しては楽しんでいる。

1/10sun
白き息 妻退院と 告げる人
     (しろきいき つまたいいんと つげるひと)
        ※この人、言葉には出さないが、喜びが溢れて
         いる。夫婦の愛情と言えば、大河ドラマの解
         説で主人公明智光秀の妻にふれていた。地味
         ながらかなりの良妻賢母であったとか。

          月さびよ明智が妻の咄しせむ 芭蕉
           (つきさびよ あけちがつまの はなしせむ)
1/9sat
冬枯れの 庭に鋏の 音高く
     (ふゆがれの にわにはさみの おとたかく)
        ※家内が再診結果で無罪放免となった。まだ残
         りがあるものの、「こいつは春から縁起がい
         い」。寒い風の中でチョキンチョキンやって
         いる。一番の栄養剤だ。

1/8fri
人日や 列島に風雨 家に粥
     (じんじつや れっとうにふうう いえにかゆ)
        ※西からの強風で団地内のそこかしこに落ち葉
         の吹き溜まりが発生。その量が凄まじい。
         家にじっとしているのが推奨され、これを更
         にという非常事態宣言。読書に絵描きに「コ
         ロナは追い風」とした初心に戻らなければ。

1/7thu
紙漉師 手には何をか つけたもう
     (かみすきし てにはなにをか つけたもう)
        ※仕事始めからざんぶと冷水の中に。この厳し
         さが独特の繊維の絡み、紙の強さ、しなりを
         生むのだろう。

1/6wed
寒の暁 早番の娘 湯を沸かす
     (かんのぎょう はやばんのむすめ ゆをわかす)
        ※さすがに寒の入り、家の中の空気もピリッと
         している。物静かな中にお湯の音だけが聞こ
         える。窓を少し開けると、近くの高速道の音
         が低くワァーッと聞こえる。そんなにクルマ
         は通っていないのに。

1/5tue
竹馬や 出来ぬ理由を 七十年
     (たけうまや できぬりゆうを しちじゅうねん)
        ※正月の遊びに竹馬があった。周囲の友達は皆
         できるのにできなかった。子供心にどうして
         自分だけできないのか、真剣に悩んだことを
         思い出す。腰が引けている、前に倒れること
         を怖がっている等々、いまだに考えている。
         今ならきっとできるとも・・・。

1/4mon
凍る日に 居並ぶ鳩の 羽落ちず
     (こおるひに いならぶはとの はねおちず)

冬晴れや けものの雲を テレビにと
     (ふゆばれや けもののくもを てれびにと)
        ※年末年始はせめて貯めてある「読むべき本」
         を読もうと思ったのだが、善戦空しく、いず
         れも途中で討ち死にの始末。読解力と我慢の
         衰えを知る結果となり、すこぶる機嫌が良く
         ない。
         テレビの「ナニコレ珍百景」のネタでもない
         かと・・・頭の中を空っぽにしたが、もとも
         と空っぽだったらしく音もしなかった。

1/3sun
アツアツと まず風呂吹きに 身を忘れ
     (あつあつと まずふろふきに みをわすれ)
        ※静かな正月を迎えることができた。三が日は
        遅い朝食に早めの夕食で二食で済ます。忙しい
        主婦に正月くらいは少しゆっくりしてもらう、
        と教わって七十年ほど。心からの実践は難しい。

1/1fri
バーバーの アダージョじっと 初日かな
     (ばーばーの あだーじょじっと はつひかな)

初歩き キンカン三個 しのばせて
     (はつあるき きんかんさんこ しのばせて)
        ※犬の散歩は朝晩2回必須で盆も正月もない。
         両者は時間がどう経過しようと貫く棒のよう
         なものと言える関係。おかげで飼い主の健康
         は辛うじて支えられている。
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