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ダクタク2021年5月 ブログトップ

ダクタク句集2021年(令和3年)5月 [ダクタク2021年5月]

5/31mon
齢重ね 惚れた句多し 万太郎忌
     (としかさね ほれたくおおし まんたろうき)
        ※地方出身者には東京大好き、東京暮らし好き
         という人が多い。小生もその例にもれない。
         東京景色を鮮明に切り取った万太郎の句、し
         みじみとした暮らしの句など、気に入った句
         が多い。
           永代の橋から海の時雨​かな
           時雨るゝや麻布二の橋三の橋

火花散る 駿馬の息や 五月尽
     (ひばなちる しゅんめのいきや ごがつじん)

5/30sun
月蝕は見えず泰山木の花
     (げっしょくはみえず たいさんぼくのはな)

人なくも 参道塵なし 五月晴れ
     (ひとなくも さんどうちりなし さつきばれ)

5/29sat
ヘタムシの 消毒せねば 梅雨近し
     (へたむしの しょうどくせねば つゆちかし)
        ※昨年久しぶりに柿の収穫が良かったのは初夏
         から2度ヘタ虫の駆除をしたからだと信じて
         いる。しかも丹念にやることだ。しかし今年
         は時期が迫っていたのに天気の具合でいまだ
         やれないでいる。

5/28fri
五月闇 リウマチの子の 稽古かな
     (さつきやみ りうまちのこの けいこかな)
        ※リウマチに罹った人が暗くなった小さな公園
         でゆっくりリハビリをしている。照明は一個
         だけ。

五月雨や 梗塞の人 予約とる
     (さまみだれや こうそくのひと よやくとる)

5/27thu
西日まで ひとひゆっくり 文庫本
     (にしびまで ひとひゆっくりの ぶんこぼん)
        ※昼過ぎから寝っ転がり、日のさす方に頭を向
         けて読みふける。うつらうつらするといつの
         間にか方向が変わり角度を変える。
         自在な数時間、なかなか良いものだ。

石碑見る 頭にササと 松落葉
     (せきひみる あたまにささと まつおちば)

5/26tue
二の丸の 自転車で踏む 松落葉
     (にのまるの じてんしゃでふむ まつおちば)
        ※鶴ヶ城址の初夏の思い出。ふと。

5/24mon
誤嚥あり 新茶ゆっくり ゆっくりと
     (ごえんあり しんちゃゆっくり ゆっくりと)
        ※夫婦ともに誤嚥に要注意と話している。深刻
         ではない。今まで無縁のことだと思ってきた
         が、そうでもなさそうだ。

5/23sun
我もまた 青蚊帳吊れる 母持てり
     (われもまた あおがやつれる ははもてり)

背伸びして 蚊帳を吊りたる 早寝かな
     (せのびして かやをつりたる はやねかな)
        ※蚊帳2句。前の句は長塚節の名歌のパクリだ
         けれど感慨は本物。後の句は妙に鮮明に残っ
         ている情景。夕飯を食べて眠くて眠くて、背
         伸びして蚊帳を吊って寝た記憶。遊び疲れの
         ためとテレビもなかった頃の夏の夜の静かさ
         ・・・。

5/22sat
アジサイや ロケ班の群れ 傘の色
     (あじさいや ろけはんのむれ かさのいろ) 

雷鳴や 女優の名前 ついぞ出ず
     (らいめいや じょゆうのなまえ ついぞでず)
        ※毎朝通る川岸で一目でロケーションとわかる
         一隊がいた。こんな所を見つけて、こんなに
         早くから・・・。小雨まじりの中でどこかで
         見た女優?が集団の真ん中にいた。
         だれかなァ? 近づこうとおもったがやめた。

5/21fri
軒下を 燕次々 チェックして
     (のきしたを つばめつぎつぎ ちぇっくして)
        ※新建材のスベスベの壁は燕が嫌い、やっと決
         めて巣作りを始めると大家の親子から追い出
         されてしまったり。ままならない。

夏嵐 地に伏すキューリ サヤエンドウ
     (なつあらし ちにふすきゅーり さやえんどう)

5/20thu
筆入れは 半世紀ものよ 蝸牛
     (ふでいれは はんせいきものよ かたつむり)
        ※さすがにセルロイド製ではない。布製でチャ
         ックで開閉するもの。チャックが壊れ半開き
         で何十年か? 日々の使用に耐えている。

5/19wed
走り梅雨 うつむく花の 憂いかな
     (はしりづゆ うつむくはなの うれいかな)

鈴蘭の 北の故郷は 震えおり
     (すずらんの きたのこきょうは ふるえおり)
        ※鈴蘭は40年以上前北海道暮らしの時に自生
         しているものを採集し、延々元気に今に至る。
         あの地のコロナ禍鎮静を祈る。

5/18tue
うららかや ブルーレイ眼鏡の 伝い落ち
     (うららかや ぶるーれいめがねの つたいおち)

歳並みの 崩し字習う 若葉風
     (としなみの くずしじならう わかばかぜ)
        ※昨日ワクチン接種の予約がとれた。世間の騒
         ぎとは無縁で、女房殿が以前から問い合わせ
         ていた近所のかかりつけ医院に出かけて、も
         のの30分もかからず帰ってきた。あまりの
         楽さに夫婦揃ってびっくり。

5/16sun
小箪笥を 入れ替える妻 衣替え
     (こだんすを いれかえるつま ころもがえ)
        ※少し早いとは思ったが、最近の気温に音を上
         げてTシャツを出してもらう。初め腕はひん
         やりだが、日射しの下ではちょうどいい。

病床に バラの画像を 添付して
     (びょうしょうに ばらのがぞうを てんぷして)
        ※絵の友人に、お手軽すぎるかな?と思いつつ
         もメールで我が家のバラの香りを。

5/15sat
風薫る 街を見下ろす 茶室あり
     (かぜかおる まちをみおろす ちゃしつあり)
        ※江戸時代の村役人の屋敷が市の中心に移設保
         存されている。村の組頭というが造りは至極
         頑丈で、見えないところ、基礎、木組みなど
         に金がかけてある。当時の豪農が財を蓄え、
         暮らしを楽しんでいたこともわかる。
         茶室とは見えないが、茶道を楽しんだのでは
         と思わせる座敷があった。今は堂々と市街を
         見下ろしている。

5/14fri
花茣蓙や いつを想うと 問いたもう
     (はなござや いつをおもうと といたもう)
        ※花茣蓙を物置から出して乾していたら、通り
         がかりの婦人が話しかけてくれたとか。実家
         の商売柄今もって大事にしているが、使う場
         面は殆どない。骨董好きが時々貯蔵の品のホ
         コリを払って風通しするようなもの。ただし
         これはお宝ではない。

5/13thu
籐寝椅子 出して文人を 招きたき
     (とうねいす だしてぶんじんを まねきたき)
        ※実家に昔籐の応接セットがあった。そんなに
         豊かではなかった頃に、季節の標準家具とし
         て大事にされていた。振り返れば、随分なゆ
         とりだなァと思う。寝椅子は背部が調節でき
         て横たわることが出来るもの。
         多くの文人、作家達が籐寝椅子にゆったりと
         くつろいでいる写真を思い出す。

5/12wed
昨日まで若楓今日は繁りゆく
     (きのうまでわかかえで きょうはしげりゆく)

緑陰で スマホのラジオ 聴きにけり
     (りょくいんで すまほのらじお ききにけり)

虹の環や 静かに巨きな 声を聞く
     (にじのわや しずかにおおきな こえをきく)
        ※ここ2日ほどアブラムシ退治に追われた。今
         日は天候不安定につき身体休め。庭も周囲も
         緑のエネルギーがすごい。

5/10mon
女坂 神輿の声を 登りけり
     (おんなざか みこしのこえを のぼりけり)
        ※神田祭は今年大祭の年だが中止になった。陰
         祭りとして神事を行うらしい。久保田万太郎
         の句に、
          今年またかげ祭なる神田かな
         がある。境内の神輿を見ようと、囃子の音に
         急かされながら女坂の石段を急いで登って息
         を切らしたことを思い出した。昔のこと。

5/9sun
御幣捧ぐ 神主の白 初夏の朝
     (ごへいささぐ かんぬしのしろ しょかのあさ)
        ※神社の祭礼は中止するところが多い。神職を
         中心にごく限られた人だけによる陰祭りを執
         り行うとか。

5/8sat
南国の雹にたちまち犬走る
     (なんごくのひょうに たちまちいぬはしる)

夏嵐 美人に浴衣 着らしめる
     (なつあらし びじんにゆかた きらしめる)
        ※気温は高めだが、列島のどこかで雷雨、突風、
         竜巻、など一時的な不安定気象が出没してい
         る。

5/7fri
フェリアへと 晴れ着と馬車と 埃かな
     (ふぇりあへと はれぎとばしゃと ほこりかな)
        ※スペインセビリアの春祭り、近郷近在から大
         挙して押し寄せるのは巡礼時代と同じ馬車の
         一団だ。飲み踊りしゃべり、到着の頃には疲
         労困憊かと心配するが、彼らのエネルギー
         (信仰心)はそんなものではない。

5/6thu
草むしり いつか立夏の 日となれり
     (くさむしり いつかりっかの ひとなれり)

停車せよ コクリコの花 子を招く
     (ていしゃせよ こくりこのはな こをまねく)

夏立つや 琉球月見草の 名を知れり
   (なつたつや りゅうきゅうつきみそうの なをしれり)
        ※6月並みの気温で立夏と聞いても違和感がな
         い。強い風が続いたので庭の各種修理に駆り
         出される。

5/5wed
子供の日 画数多き 字をさらい
     (こどものひ かくすうおおき じをさらい)

夏隣り 田植え機しかと 磨き上げ
     (なつどなり たうえきしかと みがきあげ)
        ※アクアラインを行く観光客の車列も今朝は少
         ない。仕事を終えた田植え機は半月近く放置
         されていたが、今日めでたく清掃された。良
         かった。購入には決心を要したであろう、最
         新型のヤツだから。

5/4tue
摘果する 八十八夜の 晴れ間故
     (てきかする はちじゅうはちやの はれまゆえ)

摘果の実 まどろむ蜥蜴を 驚かせ
     (てきかのみ まどろむとかげを おどろかせ)

5/3mon
雲間陽の 動き激しき 柿若葉
     (くもまびの うごきはげしき かきわかば)
        ※桃の小さな実を摘果した。2回行ううちの初
         回分。こんな無手入れの庭の一隅でよくも毎
         年実をつけるものだ。夥しい実を摘まんで落
         とす。一本で300個近くになったかな。

5/2sun
春色の 背景色は 意に違い
     (はるいろの はいけいしょくは いにたがい)

絵の展示 仲間に告げる 暮の春
     (えのてんじ なかまにつげる くれのはる)
        ※公民館の部屋を借りる絵画教室は、利用の扱
         いが行政の諸施設と同等となるため、急に変
         更になることがある。教室も皆でボチボチと、
         再開したのだがどうなることやら。依頼を受
         けた展示だけは受けることにした。

5/1sat
釣れずとも一人ボートの春の川
     (つれずとも ひとりぼーとの はるのかわ)
        ※ステイホームの呼びかけが厳しい連休だが、
         一人用のボートを川に浮かべる人は哲人のよ
         うに思える。うららかな陽気だが、雨の予報
         もあるからと年寄りは心配してしまう。凡人。

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