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ダクタク2018年1月 ブログトップ

ダクタク句集2018年(平成30年)1月 [ダクタク2018年1月]

1/31wed
春めくや 子だくさんの 岸の家
     (はるめくや こだくさんの きしのいえ)
        ※いつもやや遠目に見ている川沿いの家。今朝はい
         つも以上の満艦飾。大量の洗濯物がやわらかい冬
         の日に揺れている。子だくさんに違いないと踏んで
         いる。

1/30tue
鮒を嗅ぐ 寺の前行く 釣り師かな
     (ふなをかぐ てらのまえいく つりしかな)
        ※道具を抱えた釣り師が川辺に歩いていく。ベテラ
         ンのヘラブナ釣り師は川の善し悪し、釣り場の善
         し悪しを臭いで嗅ぎ分けるという。 本当かな?と
         思うが、分かるような気もする。既に備え付けの
         専用の釣り台にどっかと腰を下ろし、寒風をもの
         ともせず、じっと浮きを見つめる。

1/29mon
衣食住 ぜいたく言わず 冬ごもり
     (いしょくじゅう ぜいたくいわず ふゆごもり)
        ※寒い時のシニアにとって風邪引きとか転倒はも
         ちろん、その原因になる不用意な服装での外出
         もいけない。食べ物、メガネ、孫の手などを周囲
         に配置し、あとはコタツにもぐって本でも読むと
         いう伝統を継承するのが一番。ぜいたくなし。
         これって厳寒期の今だけではなくて、通年の我
         が暮らしそのものだなァ・・・。

1/28sun
コンビニに 冬の残照 子らの声
     (こんびにに ふゆのざんしょう こらのこえ)
        ※日没後の冷え込みはやっぱり大寒だ。部活帰りの
         中学生がコンビニのおでんに群がるのもわかる。

1/27sat
冬の風 鴨一線で 飛び立てり
     (ふゆのかぜ かもいっせんで とびたてり)
        ※一陣の強風が岸辺の木々を揺すり、鴨が飛び立つ。
         飛び立つ際から一本の棒を描いていた。

1/26fri
たどりつく 冬の寝床の 長電話
     (たどりつく ふゆのねどこの ながでんわ)
        ※就寝間際の電話。ちょっと待ってと、冷えた寝室
         まで。厳寒の今、室内移動もきつい。その分温め
         た床の中は天国。ゆっくり一服してから電話する。
         常ならぬ時刻だけれど、友の用件はなんのことも
         ない。相手も寝床の中だろう・・・。

1/25thu
人群れる 谷中の民家や 福寿草
     (ひとむれる やなかのみんかや ふくじゅそう)
        ※人の住まなくなった民家を利用しての観光施設。
         他所では事欠かないが、ここ谷中にも現れたカフェ
         とビールとグッズの店。物珍しさに人が集まる。

着膨れの 通りの人を 見つつ呑む
     (きぶくれの とおりのひとを みつつのむ)
        ※一方人気の谷中商店街。ウィークデーでも、この
         賑わい。通りの商店もアノ手コノ手の工夫を動員
         して迎え撃つ。家々と通りを楽しみながらゆっくり
         ゆったりと時を過ごそうという向きには、もうタイム
         スリップするしかない。

水タバコ 吸うウィグル人や 懐手
     (みずたばこ すううぃぐるじんや ふところで)
        ※谷中変貌中を嘆いているようでも、新しいトルコ
         料理の店に入る。ジュータンに座って色とりどり
         のランプに囲まれる。ここはしっかりした食べ物
         が出て、コスパは抜群。隣に変なウィグル人の
         客がいた。

1/24wed
寒時雨 故郷は雪か 膝埋まる
     (かんしぐれ こきょうはゆきか ひざうまる)
        ※列島のうち、関東や一部太平洋岸を除いて、全国
         大荒れ。毎日雪の被害が報じられる。故郷は街中
         なのに膝を通り越し、腰高にまで積雪が及ぶ。夏
         の豪雨や土砂被害、冬の大雪・・・やはり異常気象
         の影響か、「天災なし」と言われた地方にまで容赦
         なく押し寄せる。

1/23tue
彫像の 精緻と住まいの 冬の粋
     (ちょうぞうの せいちとすまいの ふゆのすい)
        ※東京谷中に朝倉彫塑館を訪ねた。旧住居を展示記
         念館と建物文化財として台東区が保存している。
         午前の冬日を浴びた日本家屋と内部の造作が緊張
         して感じられて良かった。静かさと肌寒さ。

主なき 床の生花に 冬日さす
     (あるじなき とこのせいかに ふゆびさす)
        ※広い洋館とつながっているから、和室は思い切っ
         て和室。広々の畳、襖と欄間、廊下と庭に徹してい
         る。当時の暮らしでも余計なものは置かなかったの
         では? その中で狭い庭を占める自然石と床の間
         の生花。朝倉文夫の生前の趣味を想像した。

1/22mon
卓球や 寒の痼りを 解きほぐす
     (たっきゅうや かんのしこりを ときほぐす)
        ※卓球をしたのではなく、TVで男女の日本選手権
         を観た。見るスポーツになって久しいが、聞きしに
         勝る熱闘ぶりだ。男子は14歳の張本が常勝水谷
         を圧倒。女子は17歳伊藤が前年女王平野17歳
         を翻弄。若い力の台頭は新鮮だ。なまった身体に
         僅かながら力が蘇る心地。

1/21sun
新年の 田起こし鳥を したがえて
     (しんねんの たおこしとりを したがえて)
        ※正月をはさんで田起こしが続いている。最近では
         どこも大きめのトラクターだ。掘り起こした田の土
         に多くの大小の鳥たちが群がる。土の中のミミズ
         や冬眠中の虫が狙いだ。エサの少ない季節だか
         ら、田起こしが始まると方方から鳥がやって来る。

1/19fri
寒気団 関東の鴨 静かなり
     (かんきだん かんとうのかも しずかなり)
        ※関東は時に風の強い日があるが、概ね好天が続く。

1/17wed
蝋梅や 思い出もまた かすかなり
     (ろうばいや おもいでもまた かすかなり)
        ※今朝は蝋梅が里山への道沿いに並んでいるところ
         まで足を伸ばした。ここのは色も匂いも地味なほう
         だが、それがなんとも興趣をそそる。一時のぞいた
         青空を背景にした花の見事さは一流。遠い思い出
         がかすかに浮かんでくる。

1/16tue 
寒灯や クルマ4台 帰り来ぬ
     (かんとうや くるまよんだい かえりきぬ)
        ※子供二人が社会人になってそれぞれクルマで通勤。
         一家で4台だ。地方都市ではこれが普通だ。狭い敷
         地だから駐車場を広くとると、地面が殆ど残らないこ
         とも。一年間4台がアクシデントにあわずに無事帰る
         ・・・年頭にそれを祈る。

1/15mon
日短か 銅版画多く 見残しぬ
     (ひみじか どうはんがおおく みのこしぬ)
        ※まだまだ日暮れが早い。閉館のアナウンスで渋々
         帰路に着く。銅版画の第一人者深沢幸雄の追悼を
         兼ねた回顧展を最終日に訪ねた。ゆっくり見ていた
         ら思わぬ知らせにびっくり・・・。

1/14sun
寒晴れや 犬のふとんは 日々干して
     (かんばれや いぬのふとんは ひびほして)
        ※関東地方は毎日安定した晴れが続く。とはいえ寝
         具干しは毎日とはいかない。犬のそれは欠かさず
         ・・・感謝しているようではないが。

1/13sat
広辞苑 枕代わりに 第七版
     (こうじえん まくらがわりに だいななはん)
        ※昨日新版販売開始。新語の登録が話題になって
         いる。売れ行きもいいらしい。随分前の版を一冊
         持っているが、その後の改訂版はいらない。第一
         部厚くなりすぎ、枕には高過ぎる・・・。

1/12fri
障害の子 無人駅掃く 霧の朝
     (しょうがいのこ むじんえきはく きりのあさ)
        ※週末を除いて下りJRで通う人がいる。駅付近で
         会うだけだから、詳しいことは知らない。乗車時
         刻の20~30分も前に駅に着いて、誰もいない
         待合所の掃除をしている。

1/11thu 
その昔 図書館寒き 机の上
     (そのむかし としょかんさむき つくえのえ)
        ※いつも行く隣市の図書館は季節柄勉強する学生や
         生徒でいっぱい。館内暖房もばっちり。でも長いこと
         室内にいたら眠くなるのは必至。机や椅子も立派。
         パソコンも常備されている。

1/10wed
寒晴れや 浜の小店に 集まれり
     (かんばれや はまのこみせに あつまれり)
        ※寒中なのに異常なほど気温が高い。しかし風が強
         く、野外スケッチの会は中止。新年会のみの開催
         となった。ゆったりした昼食会で、この一年も良い
         集まりになることを予感させる。

今年の絵 抱負を問われ 新年会
     (ことしのえ ほうふをとわれ しんねんかい)
        ※不意に先生から絵の抱負をきかれた。70歳越え
         の弟子たちはどぎまぎ・・・、やっと「上手になりた
         い」「大きな絵に挑戦する」「外国にスケッチ旅行」
         等々・・・。「なんと素直な弟子たちよ」という表情で
         聞き入る先生。その先生も和服姿が可愛い。

1/8mon
松の内 カレンダー壁に そりかえり
     (まつのうち かれんだーかべに そりかえり)
        ※このあたりでは昨日に松飾りをしまった家が多い。
         関西から西では15日までが松の内というのが多
         いというが、地方によってマチマチとか。
          ついこの間まで職人の家ではゆっくり7日まで、
         時には10日まで仕事は休みというのが相場だっ
         たが。それもサラリーマン化して休みの日取りま
         で変わってしまった。

1/7sun
帽子飛ぶ 棄ててはいけぬ 冬の旅
     (ぼうしとぶ すててはいけぬ ふゆのたび)
        ※今朝は晴天だが風がめっぽう強い。フード付きに
         すればよかった。飛んだ帽子が転々と思わぬ方へ
         犬がそれを追いかけ引っ張る。そう、「冬の旅」を
         気取ってはいても、「・・・笠はとべども棄てて急ぎ
         ぬ」(菩提樹)というわけにはいかない。

七草の 欠けるを数え 粥啜る
     (ななくさの かけるをかぞえ かゆすする)
        ※強風で体感温度はきびしい。冷えた身体には足り
         ない粥でもすごくありがたい。

1/6sat
御代の春 あの痛恨事の なかりせば
     (みよのはる あのつうこんじの なかりせば)
        ※平成の世も一年と少し。東日本大震災の記憶があ
         まりにも大きく、未だに衝撃的だ。

天に向く 極楽鳥花の 寒に咲く
     (てんにむく ごくらくちょうかの かんにさく)
        ※夏の暑さに弱いといわれる。春と秋が開花時期。
         外で普通の鉢植えなのに、いつもより開花が遅く、
         11月~1月で元気に咲いている。昨日寒の入り。

1/5fri
人不足 早き初売りを 駆逐せり
     (ひとぶそく はやきはつうりを くちくせり)
        ※商魂行き過ぎと見えた正月商戦。待ったをかけた
         かに見えるのが人手不足とは。元日からの福袋、
         我さきにと群がるお客、服装はいつもと変わらぬ
         戦闘モード・・・いやです。

寒の入り 五輪見据えた 息白く
     (かんのいり ごりんみすえた いきしろく)
        ※当地木更津総合高の女子ソフトボール部の練習
         が始まった。全国制覇を成し遂げ、五輪選手を輩
         出した名門。まなじりが違います。

寒の入り 窓際の鯉が 浅間見る
     (かんのいり まどぎわのこいが あさまみる)
        ※友の故郷佐久市の光景が目に浮かぶ。道路沿
         いの堀に活発な鯉がいる。

1/4thu
床で待つ いつもの時刻 三が日
     (とこでまつ いつものじこく さんがにち)

晴れ上がる 大雪よそに 三が日
     (はれあがる おおゆきよそに さんがにち)

水仙の 丈伸ばしてや 三が日
     (すいせんの たけのばしてや さんがにち)
        ※今年の正月三が日三題
         上三句と並べなかった、もう一句がある。
          「三が日 三回寝れば 普通の日」
         (さんがにち さんかいねれば ふつうのひ)

         お粗末。これは過ぎ去った三が日を惜しんでいる
         のではなく、「早く来い来い普通の日」。普通の日
         礼賛の句です。毎日が日曜日。

1/3wed
すり鉢や 三日とろろの 朝仕事
     (すりばちや みっかとろろの あさしごと)
        ※東北(の一部)では正月三日の朝に「とろろ飯」
         を食べる。とろろ芋をその朝にすり鉢に摺り下ろ
         し、更にすりこぎ棒で延々とすり込む。大家族で
         全て大量だったから、この仕事の長かったことが
         忘れられない。「まだ?」「だめッ、まだまだ」
         これが終わらないと朝ごはんにありつけない。

         円谷幸吉は「父上様、母上様、三日とろろ美味し
         うございました。・・・幸吉はもう走れません。
         幸吉は父母上様の側で暮しとうございました」と
         遺書に記した。

青ペンで 去年の賀状を 恩師褒め
     (あおぺんで こぞのがじょうを おんしほめ)
        ※一年前に賀状に刷ったスケッチの絵を褒められた。
         学校時代に褒められれば、また別な道があったか
         なァ? 70歳過ぎてもうれしい。

長き夢 駅伝見ずに 寝正月
     (ながきゆめ えきでんみずに ねしょうがつ)

1/2tue
妻言うも 去年の服着て 初歩き
     (つまいうも こぞのふくきて はつあるき)

初日の出 べべ着た犬を 抱えおり
     (はつひので べべきたいぬを かかえおり)

酒肴なき テレビなき屠蘇や 今日ありて
     (さかななき てれびなきとそや きょうありて)
        ※静かな、いつもと変わらない一日。カマボコを少
         し食べ屠蘇をいただく。

1/1mon
戸のすきに 電車の音と 初明かり
     (とのすきに でんしゃのおとと はつあかり)
        ※「戸の隙を洩れ入る光・・・」、中原中也の「朝の
         歌」冒頭の一節。新年早々からパクリ?実はパ
         クりたくてウズウズしていた。こいつは春から縁
         起が良いようで・・・。
遊ぶ子の 路地に声聞く 子規の春
     (あそぶこの ろじにこえきく しきのはる)
        ※昨年正岡子規の明治34年の歳旦帳が発見さ
         れた。亡くなる前の年のものである。中に未発
         表の5句があったという。その中の一句、
           『暗きより元朝を騒く子供哉』
         これから子規の正月を思い描いた。
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