ダクタク句集2020年(令和2年)7月 [ダクタク2020年7月]
7/31fri
梅雨明けず 城下の角の 鍵造り
(つゆあけず じょうかのかどの かぎづくり)
※角々の見通しがきかないように「鍵(カギ)
形」に道路が造ってある。商店や家々は姿を
変えても、マンションが上に伸びようが、こ
の造りは何年たっても変わらない。商店街振
興のために過去には道路を造り直そうという
話もあったと聞くが、アホなことをしないで
良かったねえ。おかげでサビれてはいるが。
7/30thu
カンナ咲く 橙明るき 夕まぐれ
(かんなさく だいだいあかるき ゆうまぐれ)
※カンナの初めの色はやはり橙色。どういうわ
けか駅舎近くと川端に咲くカンナがなつかし
い。咲き始めが本当にきれい。
7/29wed
梅雨明けず モリコーネ逝くも アンタッチャブル
(つゆあけず もりこーねゆくも あんたっちゃぶる)
※エンニオ・モリコーネの熱狂的ファンは多い
が、良い年齢になってから大好きになった映
画は「ニュー・シネマ・パラダイス」に尽き
る。主人公トトとアルフレードの長い付き合
い、全部が大好き。もちろんモリコーネのテ
ーマも。断片を聞いただけでしびれる。
(意味の分からない句ですみません)
7/28tue
ガンに勝ち 帰還した顔 タチアオイ
(がんにかち きかんしたかお たちあおい)
※床屋の親父が約半年の入院を耐え抜き、退院
した。今後は予約制で理容を再開したいから
よろしくと電話があった。さすがは親父、生
きて帰ったか。釣りの天才。ガンなどに負け
ちゃいないね。
7/26sun
里芋の 盆栽となり 梅雨晴れ間
(さといもの ぼんさいとなり つゆはれま)
※周囲の畑の立派な里芋に比べ、当家の芋は見
逃すほどの背の高さ。これでは長雨とか日照
不足のせいだとも言えない。
7/24fri
河童忌に 祝日の名を 問われけり
(かっぱきに しゅくじつのなを とわれけり)
※今日24日は河童忌、芥川龍之介の没日。その
ころは当然、ついこの前まで7月に祝日はな
かった。なのに昨日の「海の日」と今日の
「スポーツの日」で連休になるとは。河童に
訊かれてしっかり確認した。間違いなし。
7/23thu
待ちかねて 形見の花茣蓙 干しにけり
(まちかねて かたみのはなござ ほしにけり)
※昔実家では季節になると花茣蓙を商っていた。
荒物屋だった。亡母は気に入った柄の花茣蓙
を送ってくれた。一回でも使ったかな? 記
憶は曖昧である。
何十年かぶりの現物は納戸の奥にひっそりと
してあった。
7/21tue
うたた寝や 海辺の駅の 月見草
(うたたねや うみべのえきの つきみそう)
※回想の句。久しく旅をしていない。串田孫一
は昔の彼のラジオ番組でこんなことを言って
いた。「僕は断言しますが、旅をしない者は
実にあわれな存在に過ぎません。少なくとも
芸術や学問に携わっている人たちなら。凡庸
な人間は旅をしようとしまいと常に凡庸なま
まです」 私は即「うるせェーーッ・・・」
7/20mon
自家製と 桃の甘さを お福分け
(じかせいと もものあまさを おふくわけ)
※庭の桃の実が収穫期に入った。日照不足で甘
さが足りないと家人は言うが、よくぞ一本で
200個近くだ。摘果を程々にしたくせに文
句を言うのは間違っている。消毒も袋掛けも
多くをやったのは誰だ。これ十分甘いよ。
7/19sun
空を見る 法被しとどに 虎が雨
(そらをみる はっぴしとどに とらがあめ)
※「虎が雨」という季語を知った。陰暦5月28
日に降る雨のこととある。その日は曽我兄弟
の仇討決行の日で、兄十郎の死を悲しんで馴
染みの遊女が涙を流した、とか。その涙が雨
になった。勉強になった。
時雨るるや シニア声出す 孫の山車
(しぐるるや しにあこえだす まごのだし)
※町内の子供山車敢行の日。朝方雨が降ったが、
すぐに晴れ上がった。コロナ対策を十分とっ
た上で、子供に元気を出してもらおうと大人
は必死の介添えだ。
7/18sat
髪洗う 女の犬に 曳かれおり
(かみあらう おんなのいぬに ひかれおり)
※今日も朝から雨。家に帰ったら、こちらも朝
風呂でシャンプーといこうか。少し寒いけど
シャワーかな。
7/17fri
長雨や 遅植えの南瓜 実らざる
(ながあめや おそうえのかぼちゃ みのらざる)
※コロナ禍と長雨豪雨の中で、畑の世話ができ
るのは恵まれている。ただし生育状況は芳し
くない。南瓜のみならず、実ものはすべて大
きくならないし、色付きが悪い。
7/15wed
半夏雨 抜歯は疼く 傘の下
(はんげあめ ばっしはうずく かさのした)
※永久歯28本のうち現在22本。上奥歯2本
ずつのブリッジの部分入れ歯も使い始めて以
来7年ほどになるが未だに堅調。
ここ数年は地味な努力と通っている医師の指
導よろしく、ほぼ問題なく本数を維持してい
る。正確に言えば、最後のウスカワ一枚のと
ころで踏ん張っている状況だから人並み平均
というところかな?
7/14tue
突然の 涼気シニアは 背伸びする
(とつぜんの りょうきしにあは せのびする)
※昨日からの涼しさは命の洗濯。長雨はとまり
そうにないが、一拍貴重な休符となる。
この蒸し暑さからの脱却は気圧配置の若干の
ずれ、風向きのきまぐれでもたらされる。
災害もほんの匙加減一つ。これも万古の昔か
ら。
7/13mon
ペンキ屋は 見上げるばかり 梅雨の空
(ぺんきやは みあげるばかり つゆのそら)
恵みなき 雨と新生活と 折り合えず
(めぐみなき あめとしんせいかつと おりあえず)
※長く続く強風と雨、そして豪雨。「記録史上
初めての」が冠に付く災害が列島のここかし
こに起こる。そしてウィズコロナのマナーが
突然暮らしの土台を失った人々に強いられる。
7/12sun
風やむと しかと桃の実 つぶやけり
(かぜやむと しかともものみ つぶやけり)
※庭に一本ある桃の木、この強風続きで枝はし
なり袋をかけた実はしがみついている。その
様子を見る世話人は肝を冷やし続けている。
今朝は一週間ぶりほどだろうか? 風がやん
でいる。この間飛ばされ落果したのは5個ほ
ど。けなげだなァ、強いなァと思う。
7/11sat
脳がジンと 熱中症の 黄の兆し
(のうがじんと ねっちゅうしょうの きのきざし)
※街のスピーカーが熱中症注意を繰り返し流し
ている。午前中から脳みその表面が暑さで波
立ってくる。この兆しはこの季節に以前から
あるものなのだが、どうもそのタイミングが
最近早くなっている。確かに、以前には平気
だった条件下でも黄信号が出てくる。信号が
敏感になったせいか? それとも抵抗力、免
疫力が低下したのか? 疑いもなく、老化に
よる後者だろう。クワバラ、クワバラ・・・。
7/10fri
燕の子 地におりよろっと 飛び立ちぬ
(つばめのこ ちにおりよろっと とびたちぬ)
夏燕 いる軒下に 雨宿り
(なつつばめいる のきしたにあまやどり)
※燕の孵化と巣立ちはもっと早いものと思って
いたが、二度目の育雛というのもあるらしい。
25~29度の中に24時間いる気候、高湿
度で当然熱帯夜、はっきりしない梅雨。24
時間熱中症危険あり。
7/9thu
皺が割く 房州うちわの 女竹かな
(しわがさく ぼうしゅううちわの めだけかな)
※顧みられることの少なかった房州うちわが最
近は人気らしい。地球温暖化のせいではある
まい。分業のネットワークが出来ているとい
うが、一人で全工程をこなす名人が南房総市
周辺に数人いる。こうした方々が伝統を繋い
できた。顔の皺と作業する手の皺・・・、多
少もてはやさようと少しも浮かれない。
7/8wed
良書あり 豪雨の地あり 梅雨騒ぐ
(りょうしょあり ごううのちあり つゆさわぐ)
※当地は二晩続けて熱帯夜だ。7月上旬にして
は記録的なことではないだろうか? 雨風も
伴うなかでまんじりともせずに朝を迎えた。
気に入った本も進まない。
7/7tue
地に斃る 隠元豆の 夕餉かな
(ちにたおる いんげんまめの ゆうげかな)
※熊本球磨川流域の被害はすさまじい。居座る
前線と雨雲が少し北に移動して北部九州一帯
が心配になってきた。
インゲンは蔓が棚の最上部で旺盛に絡まり、
重心が上になって風に弱い。何度補修をさせ
られたことか。しかしこんな苦労は物の数で
はない。
7/6mon
草むしり 目の真ん前を 蟻が行く
(くさむしり めのまんまえを ありがいく)
※多雨の取柄はその合間にやる草むしりである。
畑の葦の根も庭に蔓延るドクダミもいつもの
何分の一の力で根こそぎ取り除くことが出来
るから。やらされ仕事だけれど、案外好きな
のではないかと思う。
おっとォ、カミキリムシが! おらがミカン
の天敵。これは踏みつぶす。
7/4sat
半夏生 夕日に釣り師の 影崩れ
(はんげしょう ゆうひにつりしの かげくずれ)
半夏雨 亡父の句集に 栞して
(はんげあめ ちちのくしゅうに しおりして)
※父は一度だけ句集を出した。句集を句会仲間
や俳句関係の知人に贈って、評を返してもら
うのが習慣だったようだ。手元の句集には、
集まった仲間の評点◎〇△(天地人方式か)
が句の上に鉛筆で書き添えてある。
「嬉しい!」「ふふーん、なるほど」「え、
なんでえ?」、当時の父の呟きが聞こえる。
7/2thu
玉屋ァ パソコン上げる 花火かな
(たぁまやぁ ぱそこんあげる はなびかな)
※長い雨がやみ、強風は残るがきれいに晴れ上
がる。暑い。7月といえば花火。最近の花火
は音楽や効果音を大音響で交え、秒単位以下
で花火の打ち上げと同期させることらしい。
全てをパソコン上のプログラムに仕組む。
打ち上げ花火とは全くの別物。ま、たまには
良いか。隅田の花火大会、今年は中止。
7/1wed
明月記 馴染みの抄あり 半夏生
(めいげつき なじみのしょうあり はんげしょう)
※藤原定家の明月記。平安末期、鎌倉初期の歌
人、新古今集の編者にして中流公家の日記。
当時は日記を記すのが一種の流行だったとか。
原本は全漢字で、訳本、解説本すら難解でか
つ退屈だ。堀田善衛の私抄本上下がある。こ
れが結構面白い。通読した後も時々拾い読み
している。学者の訳本を借りてきて横におき
ながら。ゆっくり。新生活に最適。
梅雨明けず 城下の角の 鍵造り
(つゆあけず じょうかのかどの かぎづくり)
※角々の見通しがきかないように「鍵(カギ)
形」に道路が造ってある。商店や家々は姿を
変えても、マンションが上に伸びようが、こ
の造りは何年たっても変わらない。商店街振
興のために過去には道路を造り直そうという
話もあったと聞くが、アホなことをしないで
良かったねえ。おかげでサビれてはいるが。
7/30thu
カンナ咲く 橙明るき 夕まぐれ
(かんなさく だいだいあかるき ゆうまぐれ)
※カンナの初めの色はやはり橙色。どういうわ
けか駅舎近くと川端に咲くカンナがなつかし
い。咲き始めが本当にきれい。
7/29wed
梅雨明けず モリコーネ逝くも アンタッチャブル
(つゆあけず もりこーねゆくも あんたっちゃぶる)
※エンニオ・モリコーネの熱狂的ファンは多い
が、良い年齢になってから大好きになった映
画は「ニュー・シネマ・パラダイス」に尽き
る。主人公トトとアルフレードの長い付き合
い、全部が大好き。もちろんモリコーネのテ
ーマも。断片を聞いただけでしびれる。
(意味の分からない句ですみません)
7/28tue
ガンに勝ち 帰還した顔 タチアオイ
(がんにかち きかんしたかお たちあおい)
※床屋の親父が約半年の入院を耐え抜き、退院
した。今後は予約制で理容を再開したいから
よろしくと電話があった。さすがは親父、生
きて帰ったか。釣りの天才。ガンなどに負け
ちゃいないね。
7/26sun
里芋の 盆栽となり 梅雨晴れ間
(さといもの ぼんさいとなり つゆはれま)
※周囲の畑の立派な里芋に比べ、当家の芋は見
逃すほどの背の高さ。これでは長雨とか日照
不足のせいだとも言えない。
7/24fri
河童忌に 祝日の名を 問われけり
(かっぱきに しゅくじつのなを とわれけり)
※今日24日は河童忌、芥川龍之介の没日。その
ころは当然、ついこの前まで7月に祝日はな
かった。なのに昨日の「海の日」と今日の
「スポーツの日」で連休になるとは。河童に
訊かれてしっかり確認した。間違いなし。
7/23thu
待ちかねて 形見の花茣蓙 干しにけり
(まちかねて かたみのはなござ ほしにけり)
※昔実家では季節になると花茣蓙を商っていた。
荒物屋だった。亡母は気に入った柄の花茣蓙
を送ってくれた。一回でも使ったかな? 記
憶は曖昧である。
何十年かぶりの現物は納戸の奥にひっそりと
してあった。
7/21tue
うたた寝や 海辺の駅の 月見草
(うたたねや うみべのえきの つきみそう)
※回想の句。久しく旅をしていない。串田孫一
は昔の彼のラジオ番組でこんなことを言って
いた。「僕は断言しますが、旅をしない者は
実にあわれな存在に過ぎません。少なくとも
芸術や学問に携わっている人たちなら。凡庸
な人間は旅をしようとしまいと常に凡庸なま
まです」 私は即「うるせェーーッ・・・」
7/20mon
自家製と 桃の甘さを お福分け
(じかせいと もものあまさを おふくわけ)
※庭の桃の実が収穫期に入った。日照不足で甘
さが足りないと家人は言うが、よくぞ一本で
200個近くだ。摘果を程々にしたくせに文
句を言うのは間違っている。消毒も袋掛けも
多くをやったのは誰だ。これ十分甘いよ。
7/19sun
空を見る 法被しとどに 虎が雨
(そらをみる はっぴしとどに とらがあめ)
※「虎が雨」という季語を知った。陰暦5月28
日に降る雨のこととある。その日は曽我兄弟
の仇討決行の日で、兄十郎の死を悲しんで馴
染みの遊女が涙を流した、とか。その涙が雨
になった。勉強になった。
時雨るるや シニア声出す 孫の山車
(しぐるるや しにあこえだす まごのだし)
※町内の子供山車敢行の日。朝方雨が降ったが、
すぐに晴れ上がった。コロナ対策を十分とっ
た上で、子供に元気を出してもらおうと大人
は必死の介添えだ。
7/18sat
髪洗う 女の犬に 曳かれおり
(かみあらう おんなのいぬに ひかれおり)
※今日も朝から雨。家に帰ったら、こちらも朝
風呂でシャンプーといこうか。少し寒いけど
シャワーかな。
7/17fri
長雨や 遅植えの南瓜 実らざる
(ながあめや おそうえのかぼちゃ みのらざる)
※コロナ禍と長雨豪雨の中で、畑の世話ができ
るのは恵まれている。ただし生育状況は芳し
くない。南瓜のみならず、実ものはすべて大
きくならないし、色付きが悪い。
7/15wed
半夏雨 抜歯は疼く 傘の下
(はんげあめ ばっしはうずく かさのした)
※永久歯28本のうち現在22本。上奥歯2本
ずつのブリッジの部分入れ歯も使い始めて以
来7年ほどになるが未だに堅調。
ここ数年は地味な努力と通っている医師の指
導よろしく、ほぼ問題なく本数を維持してい
る。正確に言えば、最後のウスカワ一枚のと
ころで踏ん張っている状況だから人並み平均
というところかな?
7/14tue
突然の 涼気シニアは 背伸びする
(とつぜんの りょうきしにあは せのびする)
※昨日からの涼しさは命の洗濯。長雨はとまり
そうにないが、一拍貴重な休符となる。
この蒸し暑さからの脱却は気圧配置の若干の
ずれ、風向きのきまぐれでもたらされる。
災害もほんの匙加減一つ。これも万古の昔か
ら。
7/13mon
ペンキ屋は 見上げるばかり 梅雨の空
(ぺんきやは みあげるばかり つゆのそら)
恵みなき 雨と新生活と 折り合えず
(めぐみなき あめとしんせいかつと おりあえず)
※長く続く強風と雨、そして豪雨。「記録史上
初めての」が冠に付く災害が列島のここかし
こに起こる。そしてウィズコロナのマナーが
突然暮らしの土台を失った人々に強いられる。
7/12sun
風やむと しかと桃の実 つぶやけり
(かぜやむと しかともものみ つぶやけり)
※庭に一本ある桃の木、この強風続きで枝はし
なり袋をかけた実はしがみついている。その
様子を見る世話人は肝を冷やし続けている。
今朝は一週間ぶりほどだろうか? 風がやん
でいる。この間飛ばされ落果したのは5個ほ
ど。けなげだなァ、強いなァと思う。
7/11sat
脳がジンと 熱中症の 黄の兆し
(のうがじんと ねっちゅうしょうの きのきざし)
※街のスピーカーが熱中症注意を繰り返し流し
ている。午前中から脳みその表面が暑さで波
立ってくる。この兆しはこの季節に以前から
あるものなのだが、どうもそのタイミングが
最近早くなっている。確かに、以前には平気
だった条件下でも黄信号が出てくる。信号が
敏感になったせいか? それとも抵抗力、免
疫力が低下したのか? 疑いもなく、老化に
よる後者だろう。クワバラ、クワバラ・・・。
7/10fri
燕の子 地におりよろっと 飛び立ちぬ
(つばめのこ ちにおりよろっと とびたちぬ)
夏燕 いる軒下に 雨宿り
(なつつばめいる のきしたにあまやどり)
※燕の孵化と巣立ちはもっと早いものと思って
いたが、二度目の育雛というのもあるらしい。
25~29度の中に24時間いる気候、高湿
度で当然熱帯夜、はっきりしない梅雨。24
時間熱中症危険あり。
7/9thu
皺が割く 房州うちわの 女竹かな
(しわがさく ぼうしゅううちわの めだけかな)
※顧みられることの少なかった房州うちわが最
近は人気らしい。地球温暖化のせいではある
まい。分業のネットワークが出来ているとい
うが、一人で全工程をこなす名人が南房総市
周辺に数人いる。こうした方々が伝統を繋い
できた。顔の皺と作業する手の皺・・・、多
少もてはやさようと少しも浮かれない。
7/8wed
良書あり 豪雨の地あり 梅雨騒ぐ
(りょうしょあり ごううのちあり つゆさわぐ)
※当地は二晩続けて熱帯夜だ。7月上旬にして
は記録的なことではないだろうか? 雨風も
伴うなかでまんじりともせずに朝を迎えた。
気に入った本も進まない。
7/7tue
地に斃る 隠元豆の 夕餉かな
(ちにたおる いんげんまめの ゆうげかな)
※熊本球磨川流域の被害はすさまじい。居座る
前線と雨雲が少し北に移動して北部九州一帯
が心配になってきた。
インゲンは蔓が棚の最上部で旺盛に絡まり、
重心が上になって風に弱い。何度補修をさせ
られたことか。しかしこんな苦労は物の数で
はない。
7/6mon
草むしり 目の真ん前を 蟻が行く
(くさむしり めのまんまえを ありがいく)
※多雨の取柄はその合間にやる草むしりである。
畑の葦の根も庭に蔓延るドクダミもいつもの
何分の一の力で根こそぎ取り除くことが出来
るから。やらされ仕事だけれど、案外好きな
のではないかと思う。
おっとォ、カミキリムシが! おらがミカン
の天敵。これは踏みつぶす。
7/4sat
半夏生 夕日に釣り師の 影崩れ
(はんげしょう ゆうひにつりしの かげくずれ)
半夏雨 亡父の句集に 栞して
(はんげあめ ちちのくしゅうに しおりして)
※父は一度だけ句集を出した。句集を句会仲間
や俳句関係の知人に贈って、評を返してもら
うのが習慣だったようだ。手元の句集には、
集まった仲間の評点◎〇△(天地人方式か)
が句の上に鉛筆で書き添えてある。
「嬉しい!」「ふふーん、なるほど」「え、
なんでえ?」、当時の父の呟きが聞こえる。
7/2thu
玉屋ァ パソコン上げる 花火かな
(たぁまやぁ ぱそこんあげる はなびかな)
※長い雨がやみ、強風は残るがきれいに晴れ上
がる。暑い。7月といえば花火。最近の花火
は音楽や効果音を大音響で交え、秒単位以下
で花火の打ち上げと同期させることらしい。
全てをパソコン上のプログラムに仕組む。
打ち上げ花火とは全くの別物。ま、たまには
良いか。隅田の花火大会、今年は中止。
7/1wed
明月記 馴染みの抄あり 半夏生
(めいげつき なじみのしょうあり はんげしょう)
※藤原定家の明月記。平安末期、鎌倉初期の歌
人、新古今集の編者にして中流公家の日記。
当時は日記を記すのが一種の流行だったとか。
原本は全漢字で、訳本、解説本すら難解でか
つ退屈だ。堀田善衛の私抄本上下がある。こ
れが結構面白い。通読した後も時々拾い読み
している。学者の訳本を借りてきて横におき
ながら。ゆっくり。新生活に最適。