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ダクタク句集2023年(令和5年)上期 自選集 [自選集2023]

2023年5月分コピー済 未選定

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5/31wed
友堂々50号の絵梅雨に入る
  (ともどうどうごじゅうごうのえつゆにいる)
   ※友人からの案内で地域絵画グループの美術展
    を見に行った。なかなかどうして手管の面々、
    圧倒された。うなだれて雨模様の中を帰って
    きた。

5/30tue
片陰もなき牛込の柳町
  (かたかげもなきうしごめのやなぎちょう))
   ※先日の東京行続き。
    あの日は背中がじりじりと季節外れの真夏日。
    好きで歩いているとはいえ、一時間休みなし
    というのはやや危険。わかってはいるけど・
    ・・ほう、ここは東京女子医大のすぐ近くだ。
    安心。

白靴で夏目通りよ坂の街
  (しろぐつでなつめどおりよさかのまち)

5/29mon
手拭いを職人風に豆の飯
  (てぬぐいをしょくにんふうにまめのめし)

薬の日どくだみ抜く手てぬるかり
  (くすりのひどくだみぬくててぬるかり)

5/28sun
ランドセル開いたままの子走り梅雨
  (らんどせるあいたままのこはしりづゆ)

西瓜苗植うるに場所の狭まりて
  (すいかなえううるにばしょのせばまりて)
   ※家庭菜園でも連作障害を避けるために知恵
    を絞る。スイカはウリ科、好みの野菜がワ
    ンサとある。4,5年間を空けよとなると
    相当に大変。 

5/26fri
走り梅雨ブラ翁が間奏曲よ
 (はしりづゆぶらおうがかんそうきょくよ)
   ※日ごとの天気の変化、寒暖の差が激しい。
    梅雨も近い。ブラームス親方をブラ翁と称
    し、型にはめようとする無理。句を作る者
    が味わう快感。

5/25thu
緑陰に人や自在に神楽坂
  (りょくいんにひとやじざいにかぐらざか)
   ※先日の東京行続き。
    年に一度のフィエスタが近いとあって、坂
    のそこかしこで関係の人がたむろしている。
    久しぶりの都会の街と人。

日盛りやただ黙々と坂の道
  (ひざかりやただもくもくとさかのみち)
   ※暑いというのに遠回りして坂の途中から大
    久保通りに左折。牛込を経由し市谷を掠めて
    北上、目標の一つ、夏目坂に向かう。
    ただ歩く、これがいい。東京の普通の道を。

5/24wed
毘沙門天賽銭の音友の息
  (びしゃもんてんさいせんのおととものいき)
   ※先日の東京行続き。
    神楽坂を上ると中ほど左手に善国寺がある。
    地域では「毘沙門さま」と呼ばれていると
    か、山の手七福神の一つ。日傘が集ってい
    る。神楽坂は日影が多く、酷暑?の中、こ
    こまでは出足快調だ。

5/23tue
電車今夏の帽子を膝に置く
  (でんしゃいまなつのぼうしをひざにおく)
   ※先日の東京行。電車に乗るのさえ多少興奮し
    ている? それほど久しぶりの出来事。

駅頭は久闊よりも暑さかな
  (えきとうはきゅうかつよりもあつさかな)

5/22mon
麦秋はこの地ここだけ夫婦いる
  (ばくしゅうはこのちここだけふうふいる)

莢豌豆手疲るほどの地の恵み
  (さやえんどうてつかるほどのちのめぐみ)
   ※都会をゆっくり味わい、疲れるほどに歩いた
    が、住まいへの帰巣本能が以前より強い。
    歳のせいもあり、またコロナ禍で寸断された
    都会への思いのせいもあろう。

5/21sun
AIの変革にいるか夏木立
  (え-あいのへんかくにいるかなつこだち)
   ※ほんのしばらくの間で世界中の話題になって
    いる生成AI。良いにつけ悪いにつけ影響を
    まともに被る世代ではない。したがって急速
    な大変革とはいえ、その動きを劇場で味わっ
    ている気分だ。今や出し物としては戦争を凌
    ぐかも。

5/19fri
Тシャツの長き横文字夏来たる
  (てーしゃつのながきよこもじなつきたる)

雨上がる緑の重さ薄暑かな
  (あめあがるみどりのおもさはくしょかな)

5/17wed
薫風や三年見ぬ間の濠の駅
  (くんぷうやみとせみぬまのほりのえき)
   ※気の合った仲間との、三年ぶりの歩き会は真
    夏日の昼下がりの神楽坂に集合した。暑い。
    想定外の「決死行」となった。

5/16tue
風薫る休場明け後の二連勝
  (かぜかおるやすみあけごのにれんしょう)
   ※横綱の両膝のサポーター、単なるテーピング
    ではなくてなにやら角ばったガード材がそこ
    を覆っている。きょうも明日も横綱を応援し
    ている。結果勝ちであればいい。

5/15mon
夏来たる無愛想なる街もよし
  (なつきたるぶあいそうなるまちもよし)
   ※テレビも他のメディアも、また街に出れば商
    店も通りも、東京も地方も「ターゲットは若
    者」とりわけ「Z世代」とか。
    これイコール落ち着かない世の中だ。
    こびちゃいけない。

5/14sun
青嵐打ち捨てられし苗の青
  (あおあらしうちすてられしなえのあお)
   ※当地の田植えは大半が四月中に終わっている
    が、何の品種かもち米か?半月も遅れて田植
    えをした。使いようがない、残った苗の山。

5/13sat
山法師の白は濁手爺の家
  (やまぼうしのしろはにごしでじじのいえ)
   ※ヤマボウシの花が咲き始めている。いつも通
    る家のそれはもう半ばを越えている。しかも
    その白色は実に深い色をしている。家ごとに
    木ごとに白が違う気がする。

5/12fri
聖五月戴冠式に仔細あり
  (せいごがつたいかんしきにしさいあり)

サツマイモ植えず三日の雨続き
  (さつまいもうえずみっかのあめつづき)

5/11thu
芍薬は画材見事な見得を切り
  (しゃくやくはがざいみごとなみえをきり)
   ※今朝4時過ぎ当地を震度5強の強い揺れが襲
    った。人生で初めての5強を体験、その最中
    これが更に強くなったら・・・首都直下地震
    ではないか?の強い恐怖に捕らわれた。
    見舞いのメールなどを受信し、一息ついたの
    は約一時間後。

5/9tue
細き棒ギブスの中を夏に入る
  (ほそきぼうぎぶすのなかをなつにいる)
   ※知人が自分の庭で転倒し踝を骨折した。齢を
    重ねての骨折は時に大変なのだが、時間はか
    かるが完治できる見通しだ。ギブスに合った
    木の棒をプレゼントした。大いに感謝された。

5/8mon
春惜しみ上野の山をただ抜ける
  (はるおしみうえののやまをただぬける)

角曲がる都電見下ろし暮れかぬる
  (かどまがるとでんみおろしくれかぬる)
   ※晩春という言葉にある郷愁を感じるのだが、
    自分の体験と小津安二郎の映画の記憶とが混
    然となって境目が妖しくなってことにも原因
    がある。不甲斐ない自分の記憶力にがっかり
    はするものの、悪い気分ではない。
    春をじっくり惜しむほど情緒のある人間では
    ない。なぜか浮かんでくるのは、言問通りか
    らがら芸大の裏手に上がって、ただ御徒町方
    面に上野の山を突っ切ってくる。もう一つは
    王子駅付近で都電が直角に曲がるあたり、近
    くには飛鳥山がありこの辺もサクラがあった。
    広い道路をまたぐ横断歩道の上から飽かずに
    眺めている。どちらも夕暮れ近く。

草の山と鎌を眺めつ春惜しむ
  (くさのやまとかまをながめつはるおしむ)

5/6sat
芋植うる今日は二畝ばかりなり
  (いもううるきょうはふたうねばかりなり) 

磯茶屋の大椀どっと浅蜊汁
  (いそじゃやのおおわんどっとあさりじる)

5/5fri
チェーホフは春の日そして春の夕
  (ちぇーほふははるのひそしてはるのゆう)
   ※午前中はゆっくり読書と新聞、午後は晴れの
    強風の中畑に駆り出される。行く春を惜しむ、
    どころか黄砂混じりの風の中、サツマイモを
    植える準備をする。今年はちゃんと黒マルチ
    を張って50本植える予定。ちゃんとやるに
    はやはり私の出番。

5/4thu
住職を庭師とまがふ日永かな
  (じゅうしょくをにわしとまがうひながかな)

団地の子女子が率いて日永かな
  (だんちのこじょしがひきいてひながかな)

5/3wed
峠越え八十八夜の歯科通い
  (とうげこえはちじゅうはちやのしかがよい)
   ※家内が歯茎の治療に難渋し、腕の良い口腔
    歯科を求めて隣市の医院を紹介してもらっ
    た。国道沿いで行くと遠くなり、山越えの
    ショートカットを選んで連れて行く。
    それにしても遠い。午後の予約で行くと午
    後一杯取られてしまう。

5/2tue
忌野忌木の間隠れの清志郎
  (いまわのきこのまがくれのきよしろう)
  ※快晴。木漏れ日を浴びながら草むしり。新たに
   入手したイヤホーンで清志郎を聴く。
   フーン・・・いいなあ。いいのは清志郎であっ
   て、値段の割にイヤホーンはだめ。それとも、
   スマホ越しの音ってこんなものか?

5/1mon
句日記や苦あり楽あり柿若葉
  (くにっきやくありらくありかきわかば)
   ※誰にも見てもらっていないという前提なれど
    も、出来ればコンスタントに自分が満足する
    句を作りたいと思う。
    そのための強制力の一つがこのブログだ。始
    めた以上自分で恥ずかしい句は見せられぬ、
    決めて開店休業とはいかぬ、と。


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4/30sun
荷風忌や言葉あふれて街ゆれて
  (かふうきやことばあふれてまちゆれて)
   ※インバウンドの回復のニュースで浅草雷門周
    辺の雑踏が伝えられる。あそこにはすぐ横に
    交番があって、我慢強い優しい警察官が絶え
    ず笑顔で外国人に応対している。日本の若者
    の言葉らしき洪水もある。荷風卒倒。

4/29sat
春爛漫バラは匂いて吾無臭
  (はるらんまんばらはにおいてわれむしゅう)
   ※その昔顔は脂ぎって口の中、パンツの中、靴
    の中は蒸れて異臭があった。普段においてそ
    うだった。ところが今や匂いはないと人に言
    われる。優秀な女歯科医に出会ってからは少
    しのプラークもチェックされる。この10年
    超、自分の歯の数に異動はない。口臭もない。
    生きている証拠も急速に減っているというこ
    とか。

4/27thu
動画見てブドウの芽かきためらわず
  (どうがみてぶどうのめかきためらわず)
   ※動画投稿サイトもユーチューブ以外に様々あ
    るらしいが、DIY・修理・家事・野菜果実栽
    培・ガーデニングなどなど課題に広く応えて
    くれるのはユーチューブだろう。本件のテー
    マも関係のサイトが見きれないほどある。

4/26wed
しなやかな八十路の筆よ豆の花
  (しなやかなやそじのふでよまめのはな)
   ※どこが痛い、ここが痛い、もう歳だからダメ、
    とかいいながら筆を持たせると、対象をきり
    っと見つめ、力強く筆を滑らせる。絵画教室
    の師はまだ当分大丈夫だ。

4/25tue
新人の帽子は二つかげろへる
  (しんじんのぼうしはふたつかげろえる)
   ※中学校野球部でも新人は二人だけ? うち一
    人はつい先月までの小学生を思わせるチビ。
    今部活は曲がり角、顧問の教師の激務防止と
    やらで学校外から人材を呼んで運営や指導を
    委ねるという。さて・・・。そもそも学年二
    人ではチームがそのうち成立しなくなる。
    これは少子化対策か?

4/24mon
喜寿の春尾崎今なら同じ岸
  (きじゅのはるおざきいまならおなじきし)
   ※尾崎豊の歌特集でたっぷりと聴いた。しみじ
    みと繰り返し。

4/22sat
春の蚊や血を吸う知恵はなかりけり
  (はるのかやちをすうちえはなかりけり)

4/21fri
葱坊主貯めし雑草抜きにけり
  (ねぎぼうずためしざっそうぬきにけり)

学年の違う子らいる葱坊主
  (がくねんのちがうこらいるねぎぼうず)
   ※コロナ禍の制限された暮らしは畑仕事を増や
    したとか。周辺でもそれまでの庭を大胆に畑
    にした家が何軒か見受けられる。やせた葱坊
    主がクレイムを言いたがって・・・。

4/20thu
涅槃図や絵解きの僧の若返り
  (ねはんずやえときのそうのわかがえり)
   ※ペンライトを使うところは変わりないが、声
    が変わった、若い透き通るいい声だ。わかり
    やすい。だが、こちとら内容を理解したいと
    聴いているわけではない。嗄れ声のいつもの
    声の方が落ち着くしありがたい。死んだわけ
    じゃないだろう。

4/18tue
捻挫して常より見入るすみれ草
  (ねんざしてつねよりみいるすみれそう)
   ※家内が犬を曳いていて踏み外し、捻挫した。
    初め大層痛がったが、時間を置かず整形外科
    で診てもらい患部を固定した。これが奏功し
    軽くて済んだみたい。ほぼ全快。

4/17mon
大風のやみて間もなく浮かれ猫
  (おおかぜのやみてまもなくうかれねこ)
   ※時々吹きまくる大風が長いこと続いた。建物
    が揺れ撓るほどで睡眠には大敵。ようやく静
    かになったと思ったら、・・・猫の恋の始ま
    り? 早くないか? 温暖化?

4/16sun
外来の受付すれば青柳
  (がいらいのうけつけすればあおやなぎ)

4/14fri
角とれてと言われ久しく蕨餅
  (かどとれてといわれひさしくわらびもち)

4/13thu
屋根の鞠今も探して啄木忌
  (やねのまりいまもさがしてたくぼくき)
   ※ふとしたことで昔のことを思い出し、その前
    後のことまで妙に生々しく覚えていた、なん
    てことがある。啄木の故郷を思っての一首、
    「その昔小学校の柾屋根に
        我が投げし鞠いかにかなりけむ」

4/12wed
どの家も表札のごとハナズオウ
  (どのいえもひょうさつのごとはなずおう)

春愁や宅配人のほころべり
  (しゅんしゅうやたくはいにんのほころべり)

4/11tue
描きし絵の穏やかなれど徂春かな
  (かきしえのおだやかなれどそしゅんかな)
   ※絵画教室の会でOBの来訪があり、腕前の進
    歩と積極的な出展、入賞のことなど、大いに
    アオラレタ。なにこの歳になって、画家にな
    りたいわけじゃなし・・・とお決まりの言い
    訳はするものの、もう少し上手になってもと
    素直に願う気持ちや切なるものがある。

4/10mon
田植え機のギヤなめらかに父となる
  (たうえきのぎやなめらかにちちとなる)
   ※農業後継者の彼はまだ新米のうち。先日父親
    になったらしい。田植えは早くて1週間後、
    腕が鳴って仕方がないというところか?

4/9sun
山笑ふバイクは遅し郵便夫
  (やまわらうばいくはおそしゆうびんふ)

春巻を揚げて届けに手の温み
  (はるまきをあげてとどけにてのぬくみ)
   ※もらった筍の一部を春巻にし届ける。スマホ
    で時刻を確認し揚げたてを。

4/8sat
春爛漫愛想尽かしの果樹あれど
  (はるらんまんあいそづかしのかじゅあれど)
   ※一番遅いぶどうの木が芽吹き始めた。梅、桃、
    プラム、柿に続いてである。狭い土地に果樹
    を縦列に欲張って植えているせいか、昨年は
    殆どの木の収穫が落ち込んだ。対虫害では努
    力するもいずれも効なく終始した。ああ、と
    嘆息すること、今に引きずっている。

4/7fri
旅ごころ蠢き長く放哉忌
  (たびごころうごめきながくほうさいき)
   ※お金もないが、飼い犬がホテル・病院に預け
    にくい事情があるため、旅行は控えることが
    多い。コロナ禍で余計固まった感じ。

4/5wed
学校のサクラを望み湯屋はあり
  (がっこうのさくらをのぞみゆやはあり)
   ※御多聞にもれず、サクラと言えば城に学校で
    ある。小学校の桜並木を思い出していたら、
    ふと何のつながりもなしに近くに建っていた
    温泉会館なるものが頭に浮かんできた。これ
    も小学校も少し離れて故郷の川沿いにあった。
    温泉などではなく「沸かし」だったろう。
    70年ほど前のこと、あのころは農閑期の人
    々など家族連れが客だった。何年かで閉鎖し
    た。二階建ての、それらしくないモルタル塗
    りの白い建物だった。

4/4tue
龍一の音々さやか風光る
  (りゅういちのおとおとさやかかぜひかる)
   ※坂本龍一死去

4/3mon
毎日が今良しと推す山笑ふ
  (まいにちがいまよしとおすやまわらう)
   ※サクラの終盤になると背景の山々の若葉が輝
    き始める。昨日は今が一番いい時季だと思っ
    たが、今朝になると今日の方がもっと良くな
    ったと。

4/2sun
花びらはいつにも増して連翹忌
  (はなびらはいつにもましてれんぎょうき)

記念館は雪深くあり光太郎忌
  (きねんかんはゆきぶかくありこうたろうき)
   ※真冬に訪れた、高村光太路郎記念館は当時の
    厳しさそのままに花巻郊外にあった。藁ぶき
    の小さな一軒家、村はずれで隣家はない。
    大雪の中に見た、強烈な印象は今も鮮明であ
    る。光太郎忌はサクラ咲く、うららかな季節
    だが、思い出は常に雪に埋もれた、あの光景
    だ。したがって句は季重なりとなる。なに、
    構うものか。

4/1sat
桜散り桜餅食い四月馬鹿
  (さくらちりさくらもちくいしがつばか)
   ※今日は文句ない晴れ日。なんと言われようと
    午前中は桜吹雪を見に、午後は甲子園の決勝
    観戦だ。雑草が庭で背伸びして笑っている。


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3/31fri
酒倉は人呼ぶカフェに鳥曇り
  (さかぐらはひとよぶかふぇにとりぐもり)
   ※街がやさしく変貌すると言えば耳障りは良い
    が、街のいたるところでインバウンド向け、
    フリー客向けに変身するのはどうにもいただ
    けない。落ち着かない。
    通りの両側に高いオフィスビルやマンション
    が、目の高さにはいらっしゃいませの声。
    うんざりだ。

3/30thu
春たけなわ入道雲のようなもの
  (はるたけなわにゅうどうぐものようなもの)
   ※兄妹からなかなか良い電話が入った。積乱雲
    のような形がにょきにょきと立ちかけている。
    ちょいと歩くと汗がにじむような午後。

3/28tue
パスで行く博物館は花の道
  (ぱすでいくはくぶつかんははなのみち)
   ※その昔上野の国立博物館年間パスを持ってい
    た。驚くほど安かった。夏は勤務の後でも入
    れる閉館時間だったように思う。ちょいぶら
    っと見て御徒町まで歩く、それが良かった。

3/27mon
人ゆらり高き足場に花の風
  (ひとゆらりたかきあしばにはなのかぜ)

桜湯はサービスとありカフェの午後
  (さくらゆはさーびすとありかふぇのごご)
   ※雨がちな日が続き、当地のサクラはけなげに
    も少しも散らずにピークを迎えている。

尊氏の本心はどこ藪椿
  (たかうじのほんしんはどこやぶつばき)

3/26sun
目も耳も親譲りなり喜寿の春
  (めもみみもおやゆずりなりきじゅのはる)
   ※見た目は別としても、目も耳も鼻も歯や咽喉
    も、役割の面で今でも至極堅調である。親に
    感謝している。

春場所は気付けば楽日花の冷え
  (はるばしょはきづけばらくびはなのひえ)

3/25sat
待て待てと言葉緩めて春の雷
  (まてまてとことばゆるめてはるのらい)
   ※もう言葉を荒げる年齢でもない、とは思うも
    のの・・・。

汚すのも洗うのも雨土筆かな
  (よごすのもあらうのもあめつくしかな)

3/24fri
たんぽぽの絮飛ばすとき命燃え
  (たんぽぽのじょとばすときいのちもえ)

窓開けて歯科に客待つサクラかな
  (まどあけてしかにきゃくまつさくらかな)

声も歌もサクラに吸われデイの庭
  (こえもうたもさくらにすわれでいのにわ)

3/23thu
夕まぐれ野蒜の花が主演なり
  (ゆうまぐれのびるのはながしゅえんなり)
   ※3月は映画の賞の月。我が家の主演賞は断然
    花ニラ。地味で小さな花が夕方薄暗くなると
    庭中に冴えてくる。

3/21tue
木瓜の垣見知る主人の赭ら顔
  (ぼけのかきみしるしゅじんのあからがお)
   ※何年か越しの賜だろう、木瓜が棚いっぱいに
    咲き誇っている。比較的地味な花だから、そ
    の主人ともどもドヤ顔はしない。

3/19sun
春場所や贔屓力士の眉伸びて
  (はるばしょやひいきりきしのまゆのびて)
   ※WBCに選抜高校野球も始まり球春真っ盛り。
    相撲もと行きたいけれど休場相次ぎ、こちら
    は戦国下剋上・・・。

3/17fri
藪椿手折って土の瓶思い
  (やぶつばきたおってつちのびんおもい)
   ※椿らしくない、珍しいと思って、素焼きの花
    瓶にさし、スケッチ始めたまでは良かったが、
    上手に描けたと思った椿の絵がどうも椿に見
    えない。仲間も「これ椿か?」と不評。こち
    らは不満。・・・それもそのはず元々が椿ら
    しくないのだから。

3/16thu
もぐら塚生命力の霞みおり
  (もぐらづかせいめいりょくのかすみおり)
   ※国立科学博物館のもぐら研究の先生が話して
    いた。仕事の半分以上が動物の骨の標本作り
    であると。しかも標本作成には「3無」の特
    徴がある由。「無計画」「無目的」「無制限」
    にやるのだそうな。標本を多種、大量に持つ
    ことが将来の研究のなによりの基盤だ、その
    ためであると。なるほどとびっくり。
    今日も動物園から送られてきた動物の死骸、
    奄美で交通事故死したアマミノクロウサギの
    死骸に向き合う。

3/15wed
春時雨香り充溢今朝のパン
  (はるしぐれかおりじゅういつけさのぱん)
   ※薄暗い朝も許せる。

3/14tue
駅前の円墳にあり白木蓮
  (えきまえのえんぷんにありしろもくれん
   ※すれ違う白マスクの数はそんなに減っていな
    い。近くの駅では白が急増とか。

3/13mon
新設の波止は揺らいで眼張釣り
  (しんせつのはとはゆらいでめばるつり)
   ※次第に風が強くなる。午後は雨も。新しい波
    止は強風で揺れるのではないか、余計なお世
    話。

3/12sun
春霞五重塔の圓遊の
  (はるがすみごじゅうのとうのえんゆうの)
   ※圓遊の新作落語「五重塔から のっそり」を
    聴いた。良かった。露伴「五重塔」のスジに
    沿って、その空気を面白く上手に伝える。
    サクラ前でもいいから谷中を歩きたいものだ。

3/11sat
皺の手や三月十日の句が多く
  (しわのてやさんがつとおかのくがおおく)
   ※三月十日は東京大空襲で季語
    今日三月十一日は東日本大震災、これも季語

うららかや都電の車庫に音ありて
  (うららかやとでんのしゃこにおとありて)

3/10fri
春の夕ジムの灯りのみこうこう
  (はるのゆうじむのあかりのみこうこう)

呼吸器の音と点滅春の闇
  (こきゅうきのおととてんめつはるのやみ)
   ※アカデミー賞の発表が間近いからというので
    もないが、過去の受賞作「ミリオンダラー・
    ベイビー」を見た。以前にも見たが、今回も
    感動した。クリント・イーストウッドにモー
    ガン・フリーマンが揃い、ヒラリー・スワン
    クときたら、2005賞総なめもわかる。

3/9thu
青海苔やこんなのという男あり
  (あおのりやこんなのというおとこあり)
   ※今シーズンは地元木更津周辺の海苔も有明海
    の海苔もそれぞれ違った原因で不漁となって
    いるらしい。江戸前のつやつやした黒い海苔
    がふんだんに・・・もうそんなことはないの
    か? 青海苔は独特の風味があってファンも
    多いのだが、不漁続きでは吐き捨てるように
    しか言わない。

3/7tue
古竹を切りて三月垣直す
  (ふるたけをきりてさんがつかきなおす)
   ※四月下旬並みの暖かさという今日まで延ばし
    ていた作業をする。庭はクロッカス、ムスカ
    リ、花ニラの順で賑やかになりそう。

3/6mon
今読まずはもう読まざるの春の雨
  (いまよまずはもうよまざるのはるのあめ)
   ※楽しみにして用意した本なのに出足で躓くこ
    とがある。年齢のせいもある。またそのうち
    に出直しをと言っても、今回が事実上の最後
    だろうと自分を脅迫し追い詰めてみる。
    それでもだめ・・・。

3/5sun
春眠やふとんの重さ知りてなお
  (しゅんみんやふとんのおもさしりてなお)
   ※うとうと目を覚ましたが、目はまだ開かない。
    冬中使ってきた布団がやけに重く感じる。む
    にゅむにゅ・・・暖かいけど、むにゅむにゅ
    ・・・。やってはいけない自句実況でした。

3/3fri
雪柳最初の白い二三点
  (ゆきやなぎさいしょのしろいにさんてん)

雛の日や女房マージャン公民館
  (ひなのひやにょうぼまーじゃんこうみんかん)
   ※どうやら偕老同穴となる雲行きの桃の節句で
    はある。最近は女房元気で留守がいいという
    常套句もどきが良く似合う。

3/2thu
今朝一はスカルラッティ春一番
  (けさいちはすかるらってぃはるいちばん)

春一番ラインで老けを確認し
  (はるいちばんらいんでふけをかくにんし)
   ※ラインで都心歩きの会再開の日を3人で相談
    する。便利なものだ、しかも無料とはね。

3/1wed
蘖や鑿研ぐ日々を思いたり
  (ひこばえやのみとぐひびをおもいたり)
   ※暖かすぎる日中、友人との再会兼街歩きも良
    かろうと思う。ラインで見る顔もそうは老け
    ていないようだし。



************************************************


2/28tue
春浅し友の旧居に杭打機
  (はるあさしとものきゅうきょにくいうちき)
   ※随分前に越した友人宅跡だが周囲の土地を合
    わせて工事が始まった。杭を打つ必要がある
    建物? この近辺では珍しい。

2/26sun
春の海フェリーふわりと波の上
  (はるのうみふぇりーふわりとなみのうえ)
   ※友人を見送って金谷港東京湾フェリーまで出
    かけた。天気は良いのだがやや波が高い。心
    配のほどではない。でっぷり肥えたフェリー
    は無事浮かんで出港した。

2/24fri
春の闇濃かれ三つ星寄り添うて
  (はるのやみこかれみつぼしよりそうて)
   ※昨夕、日の入り後18時30分頃の西の空で、
    「新月」と「木星」「金星」とが一列に黄道
    上に並ぶ天体ショーを見た。格別レアなこと
    ではないが、タイミングと天候がこうもピタ
    リと合うことは少ない。写真も撮れたよ。

2/23thu
春の旅ミシン黄色を纏いおり
  (はるのたびみしんきいろをまといおり)

旅先の待ちにし膳よ蕗の薹
  (たびさきのまちにしぜんよふきのとう)
   ※旅は思い浮かべるころから出かけるまでが至
    福という。明るい黄色はお気に入り、さあ出
    かけよう。

2/22wed
猫魔岳街を白くし春むかし
  (ねこまだけまちをしろくしはるむかし)
   ※昔会津若松の点描。2月の午後。通りの遥か
    先にあるのは真っ白な残雪をいただく猫魔岳。
    これが浮き上がって大きく見える日がある。
    市街の根雪は融けて道を洗い、コンクリート
    舗装の道はこれも白く見える。家並みは後退。

2/21tue
春一日怠惰の時とのみ記して
  (はるひとひたいだのときとのみきして)

ブランコをこいで人待つ青春か
  (ぶらんこをこいでひとまつせいしゅんか)
   ※ろくなニュースはないが、そこは春だからそ
    の気になれば春になる。

2/20mon
太陽光パネルが侵す春田かな
  (たいようこうぱねるがおかすはるたかな)
   
蓬髪が床屋帰りで春の風
  (ほうはつがとこやがえりではるのかぜ)

2/19sun
街道はうつらうつらの菜の花忌
  (かいどうはうつらうつらのなのはなき)
   ※菜の花忌の頃に古い「街道を行く」のTV番組
    を見た。本よりも随分端折ってあるものの、
    上手い編集だ。田村高広のナレーションが懐
    かしい。

2/18sat
寝もやらずジャガイモ植うる日はうつろ
  (ねもやらずじゃがいもううるひはうつろ)
   ※ちょっと早めのジャガイモの植え付け。肥料
    を多めにして、このタイミングの植付けは生
    育が良いという話を仕入れてきた。
    サボり気味の今年はこれが野良始めだ。ねむ
    たい~・・・。

雪形を見たいと思う野良始め
  (ゆきがたをみたいとおもうのらはじめ)

2/17fri
梅咲きて痒み嘆きし人いかに
  (うめさきてかゆみなげきしひといかに)
   ※年寄りの冬季の痒みは空気と肌の乾燥が主因
    と言われる。彼へのアドバイスは「入浴を一
    日おきに、入浴の日は今まで通りちゃんと石
    鹸で洗いちゃんと落とすこと。入浴しない日
    は一日中石鹸を使わないこと。使わなくとも
    すぐ慣れる」というもの。

2/16thu
春の宵億劫という音を上げる
  (はるのよいおっくうというねをあげる)
   ※さて、もう歳かな? 何か動き始めるときに、
    初めのひとふんばりを1テンポ待つことが近
    頃多くなった。なんのこともないのだけれど、
    その時の姿勢でしばしゆっくりするのだ。

2/14tue
家に肌あり初東風の似合う家
  (いえにはだありはつこちのにあういえ)
   ※歳時記は季語とその季語を使った例句を味わ
    って、季節感の妙を感じるものだ。しかし季
    語の中には違和感どころか時代錯誤と言わざ
    るを得ないものも数多い。窮屈でも文句を言
    わずにその古い季語に合った対象を見つけよ
    ということなのか。

2/12sun
かたや死にかたやはかくも春の声
  (かたやしにかたやはかくもはるのこえ)
   ※久しぶりに聞く彼の声は以前と全然変わらな
    い。前回の彼の電話は同期の友の死を伝える
    ものだった。昔から二人を対で見がちな私。

2/11sat
生姜酒とめる者なく喜寿の春
  (しょうがざけとめるものなくきじゅのはる)

天井のシミ数え切り喜寿の春
  (てんじょうのしみかぞえきりきじゅのはる)
   ※町内会の人から喜寿のお祝いですよね、と言
    われて改めて意識した。満77歳の誕生日か
    ら2カ月ほど。感慨とてなにもない。

2/10fri
新海苔は産地苦渋の味少し
  (しんのりはさんちくじゅうのあじすこし)
   ※地元木更津、富津の江戸前海苔はここ数年ク
    ロダイの養殖場への侵入と食い荒らしなどに
    よって被害を被っている。今季は有明海の海
    苔の産地も海水温の上昇が海苔生育の大幅減
    産につながっているらしい。

2/9thu
春寒やこころに農具並べおり
  (はるざむやこころにのうぐならべおり)
   ※とっくに農具はラインアップ済み。鎌だって
    研いである。

2/8wed
壁の上を春日は円くすべりおり
  (かべのえをはるびはまるくすべりおり)
   ※寝室のカーテンの合わせ目から差し込む朝日
    が壁の上に7,8センチの円い明るい形を作る。
    日の出の時刻が日々早くなるから、見えだす
    時刻は一日ごとに少し早くなり、その位置は
    左にずれる。秋分の日以降の秋とはちょうど
    逆の形だ。
    ついでに言えばそこは床の間で春向きの掛け
    軸がかけてある。その上を円い光がすべる。
    出来過ぎた話。嘘のような本当の話。

2/6mon
童顔は遺影となりて余寒かな
  (どうがんはいえいとなりてよざむかな)

寒紅玉切らさずただに好きなれば
  (かんこうぎょくきらさずただにすきなれば)

煮大根においはわが身黙しおり
  (にだいこんにおいはわがみもくしおり)

2/4sat
立春や師の舌かくも滑らかに
  (りっしゅんやしのしたかくもなめらかに)
   ※絵にもおしゃべりにも盛んなのはすごい。御
    年は80歳台後半で絵筆の軽妙なこと、言葉
    に切れ目がないこと。

2/3fri
めずらしく朝のご飯寒卵
  (めずらしくあさのごはんかんたまご)

豆まきや声の大きさ迷いつつ
  (まめまきやこえのおおきさまよいつつ)
   ※外に向いてまず一声、大き過ぎたかな? 一
    瞬のうちに脳裏を掠める。えいッ、構うな、
    この大きさで、鬼に入られてしまう。
    声の大きさ! 実は単なる羞恥心の減退、認
    知症の手前の始まりだったりして・・・。

2/2thu
宵星の西に沈めば冬銀河
  (よいぼしのにしにしずめばふゆぎんが)
   ※日脚が伸びたものの光はまだ弱い。宵の明星
    が沈み暗い星空に変わるまで長い時間は要ら
    ない。寒風は身を震わせるが、天空の変化の
    微妙さは今頃が味わい深い。

2/1wed
着ぶくれて道ゆずりたる好々爺
  (きぶくれてみちゆずりたるこうこうや)

客引きも色とりどりに着ぶくれて
  (きゃくひきもいろとりどりにきぶくれて)
   ※1月の寒波はまだ続いている。客の出足はさ
    らに細り、夜の街は大変だ。


************************************************

1/31tue
養蜂をやってみたいと春隣り
  (ようほうをやってみたいとはるどなり)
   ※65歳を前にした人がいる。第2の人生の新入
    生間近。彼は希望に燃えている。ああした頃
    が俺にもあったのだ。

スカーフに冬薔薇置いて画材とす
  (すかーふにふゆばらおいてがざいとす)

1/30mon
昼下がり湯たんぽ抱いて名画かな
  (ひるさがりゆたんぽだいてめいがかな)
   ※テレビで一生懸命映画を見ている。殆どが自
    宅で録画しておいたものだ。エアコンをとめ
    て湯たんぽを抱きかかえる、眠たくならない。

1/29sun
大寒やなんのなんのと言いにけり
  (だいかんやなんのなんのといいにけり)

ケッフェルの番号が出ず冬木立
  (けっふぇるのばんごうがでずふゆこだち)
   ※1/25はモーツァルトの誕生日のようである。
    ゆうに600以上ある作品を網羅して正確に番
    号をつけるのは至難の業といわれるが、なか
    でも一番信頼されるのはケッフェルのつけた
    作品番号だ。YoutubeなどではKの次に番号を
    つけて検索しただけで、世界中でアップされ
    た演奏が並ぶ。
    そんな超便利な番号が今次々と記憶から抜け
    落ちているようだ。がっくりする。少しずつ
    か?わからない。今朝も試しにk516で検索
    する。馴染みの演奏が並ぶ。胸を撫で下ろす。

1/27fri
蕪三つ葉っぱも自慢熨斗はなし
  (かぶみっつはっぱもじまんのしはなし)

金ないか着物はないか冬の声
  (きんないかきものはないかふゆのこえ)

1/26thu
大寒波北国生まれの身なれば
  (だいかんぱきたぐにうまれのみなれば)

冬鷗群れてぞ川を遡る
  (ふゆかもめむれてぞかわをさかのぼる)
   ※当地はマイナス5度まで気温が下がった。と
    は言え、特に変わったことはなにもなかった。
    外で飼っている犬の水が氷ってしまったこと
    ぐらい。頬がピリピリを越えて、ビリビリと
    痛痒いような感覚には遠かった。
    犬はもちろん、周囲も穏やかなようだ。

1/25wed
初天神いかず子供らうるさふて
  (はつてんじんいかずこどもらうるそうて)
   ※子供の騒音「あれ買ってくれこれ買ってくれ」
 
小三治の曾孫が騒ぐ初天神
  (こさんじのひまごがさわぐはつてんじん)
   ※初天神で露店が並ぶ通りに人があふれている。
    こんな光景は暫く落語の中だけだろう。故小
    三治の「初天神」は絶品だった。

滑舌の稽古は落語初天神
  (かつぜつのけいこはらくごはつてんじん)

1/24tue
大寒や譲る畑の草むしる
  (だいかんやゆずるはたけのくさむしる)
   ※家庭菜園を引退するシニアが寒中に草むしり
    をしている。じゃがいもの植え付けに始まる
    春野菜の作業開始に次の人が間に合うように
    との心配りだ。さすがと思う。

しぐるるや明日明後日は寒気来る
  (しぐるるやあすあさってはかんきくる)

1/21sat
電気代一段と大寒しばし
  (でんきだいいちだんとだいかんしばし)

寒釣りや台半畳の座禅かな
  (かんずりやだいはんじょうのざぜんかな)
   ※電気代が高騰した。次の3割近くの値上げ申
    請は円滑に行っても実施は夏前後だろうから、
    今のうちに音を上げていてはどうしようもな
    いのだが・・・。
    寒中に釣りに興ずる人々の境地にはいつまで
    たっても近づけない。

1/20fri
四十雀庭に長く居蕪村の忌
  (しじゅうからにわにながくいぶそんのき)
   ※冬型の気圧配置で関東地方は晴れ上がる。雨
    模様のすぐ後だけに、庭や畑に出ていざ労働
    というわけにはいかない。どこかに正月暮ら
    しの残滓が残っているようだ。

枯れ菊の山となりて焼く人なし
  (かれぎくのやまとなりてやくひとなし)

1/19thu
坐して描く水墨の線寒の雨
  (ざしてかくすいぼくのせんかんのあめ)

1/18wed
マスク越し目が笑いおり初稽古
  (ますくごしめがわらいおりはつげいこ)
   ※水彩画の絵画教室、初会合。恒例でバラを描
    いた。

1/16mon
雨音に冬枯れ思い眠りけり
  (あまおとにふゆがれおもいねむりけり)
   ※睡眠にかけての不器用さでは人後に落ちない。
    いったん思い詰めて固まると、ちょっとのこ
    とではほぐれない。眠れなくとも何の痛痒も
    ない身の上だが、・・・犬がいた。朝少しで
    も遅くなると叱られる。

1/15sun
初風呂や西日の残るうちに入る
  (はつぶろやにしびののこるうちにいる)
   ※新年早々浴室が薄暗い。外の明かりが残るう
    ちに入れば、これはなんと風雅なことか。
    いまだに電球を取り換えていない。

1/14sat
初茜山の端木々のこまごまと
  (はつあかねやまのはきぎのこまごまと)

侘びの戸に年賀の客の爪の色
  (わびのとにねんがのきゃくのつめのいろ)

笑い初め光と電波越しなれど
  (わらいぞめひかりとでんぱごしなれど)
   ※新年も二週間、早いものだ。今日は個人的な
    お祝い事があったが、生憎の雨模様。夫婦し
    てトンカツを食べてきた。ついでに正月絡み
    の句の整理をした。ほどほどのものは今日一
    斉に掲句して決まりをつけよう。

1/13fri
母親の角巻借りてポストまで
  (ははおやのかくまきかりてぽすとまで)
   ※北海道や雪国の部屋の中、ことにリビングな
    どは温かい。それでちょっとの外出の時など、
    簡単な防寒着に、角巻にくるまって出かける。
    しかしとうに廃れたことだろう。

1/11wed
若のつく郷土力士や寒の入り
  (わかのつくきょうどりきしやかんのいり)
   ※この一年着実に実力をつけている若元春、若
    隆景の兄弟力士は福島県出身。先行している
    のは弟若隆景で関脇で大関を狙っている。兄
    若元春もこの初場所で初の三役入り。ともに、
    地力としぶとさが信条の玄人好みの力士だ。

1/10tue
狐火は都会の闇にこそという
  (きつねびはとかいのやみにこそという)
   ※静謐というのか薄気味悪いと表現すればいい
    のか。コロナ禍のもたらした一種人工的な静
    けさは都会において夥しいという。
    そうかも知れない。人工的な喧騒のすぐ隣に
    現れたのだから。

1/9mon
襟巻し杖つき手にはお裾分け
  (えりまきしつえつきてにはおすそわけ)
   ※日中は温かい一日。団地の普段の夕景が戻っ
    てきたと言いたいところだが、通行のクルマ
    も人も少なくナリを潜めているようだ。これ
    がコロナ以降の普段。まるで正月のようと言
    った方が近いかな?

1/8sun
新年に独り住まいの愁い聞く
  (しんねんにひとりずまいのうれいきく)
   ※健康であれば独居の寂しさも気楽さに紛れる
    のでは? と思うのは外野の勝手な観測らし
    い。あれやこれや想定外の問題、煩わしさが
    襲って来るという。

淡雪や停戦告げりうすき唇
  (あわゆきやていせんつげりうすきくち)

1/6fri
弾初めはYouTubeなり弦低く
  (ひきぞめはゆーちゅーぶなりげんひくく)
   ※せめて正月にはちゃんとレコードをと思って
    いたのだが、この気楽さ、即聴性『どんな曲
    でも各種取り揃えて即座に聴ける』には抗し
    がたい。今年もせいぜいお世話になることだ
    ろう。

1/5thu
世を占う知の巨人とな初テレビ
  (よをうらなうちのきょじんとなはつてれび)

三が日休んで鵙の来て黙す
  (さんがにちやすんでもずのきてもくす)

1/4wed
去年の絵の感想ありて師の賀状
  (こぞのえのかんそうありてしのがじょう)

正月の軸は竹林いつぞやの
  (しょうがつのじくはちくりんいつぞやの)

初夢は何本かごちゃごちゃと無理
  (はつゆめはなんぼんかごちゃごちゃとむり)

1/3tue
正月や奥に鎮座の茶碗出し 
  (しょうがつやおくにちんざのちゃわんだし)

耳ふさぎこの世この日は寝正月 
  (みみふさぎこのよこのひはねしょうがつ)

句を書きて手を懐に寝正月 
  (くをかきててをふところにねしょうがつ)
   ※寝正月とかふてくされようと現実にはちょっ
    といいことに満ちている。正月の空と散歩、
    清新の気分は横溢しているし、ラグビーは早
    大が決勝進出、箱根も多くの人の想定より上
    位でゴールした。

1/2mon
初詣善男善女になりたふて 
  (はつもうでぜんなんぜんにょになりとうて)

線香を膝に賜ひて初観音
  (せんこうをひざにたまいてはつかんのん)

喜寿とても年玉賜ふ気のありて 
  (きじゅとてもとしだまたまうきのありて)

1/1sun
新年の祝詞おぐらき犬友と 
  (しんねんのしゅうしおぐらきいぬともと)

初日の出賀状仕舞いを悔やみおり
  (はつひのでがじょうじまいをくやみおり)
   ※日本海沿いを除いて広く晴れ上がったようだ。
    当地も快晴、朝早く犬の散歩を済ませ、お屠
    蘇の前に近くの観音様に出かけ年始のお参り
    をした。おみくじは大吉、甘酒もいただいた。
    交通安全のお札もゲット。こんなにスムーズ
    な出発は珍しい。

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ダクタク句集2023年(令和5年)1月 [ダクタク2023年1月]

1/31tue
養蜂をやってみたいと春隣り
  (ようほうをやってみたいとはるどなり)
   ※65歳を前にした人がいる。第2の人生の新入
    生間近。彼は希望に燃えている。ああした頃
    が俺にもあったのだ。

スカーフに冬薔薇置いて画材とす
  (すかーふにふゆばらおいてがざいとす)

1/30mon
昼下がり湯たんぽ抱いて名画かな
  (ひるさがりゆたんぽだいてめいがかな)
   ※テレビで一生懸命映画を見ている。殆どが自
    宅で録画しておいたものだ。エアコンをとめ
    て湯たんぽを抱きかかえる、眠たくならない。

1/29sun
大寒やなんのなんのと言いにけり
  (だいかんやなんのなんのといいにけり)

ケッフェルの番号が出ず冬木立
  (けっふぇるのばんごうがでずふゆこだち)
   ※1/25はモーツァルトの誕生日のようである。
    ゆうに600以上ある作品を網羅して正確に番
    号をつけるのは至難の業といわれるが、なか
    でも一番信頼されるのはケッフェルのつけた
    作品番号だ。YoutubeなどではKの次に番号を
    つけて検索しただけで、世界中でアップされ
    た演奏が並ぶ。
    そんな超便利な番号が今次々と記憶から抜け
    落ちているようだ。がっくりする。少しずつ
    か?わからない。今朝も試しにk516で検索
    する。馴染みの演奏が並ぶ。胸を撫で下ろす。

1/27fri
蕪三つ葉っぱも自慢熨斗はなし
  (かぶみっつはっぱもじまんのしはなし)

金ないか着物はないか冬の声
  (きんないかきものはないかふゆのこえ)

1/26thu
大寒波北国生まれの身なれば
  (だいかんぱきたぐにうまれのみなれば)

冬鷗群れてぞ川を遡る
  (ふゆかもめむれてぞかわをさかのぼる)
   ※当地はマイナス5度まで気温が下がった。と
    は言え、特に変わったことはなにもなかった。
    外で飼っている犬の水が氷ってしまったこと
    ぐらい。頬がピリピリを越えて、ビリビリと
    痛痒いような感覚には遠かった。
    犬はもちろん、周囲も穏やかなようだ。

1/25wed
初天神いかず子供らうるさふて
  (はつてんじんいかずこどもらうるそうて)
   ※子供の騒音「あれ買ってくれこれ買ってくれ」
 
小三治の曾孫が騒ぐ初天神
  (こさんじのひまごがさわぐはつてんじん)
   ※初天神で露店が並ぶ通りに人があふれている。
    こんな光景は暫く落語の中だけだろう。故小
    三治の「初天神」は絶品だった。

滑舌の稽古は落語初天神
  (かつぜつのけいこはらくごはつてんじん)

1/24tue
大寒や譲る畑の草むしる
  (だいかんやゆずるはたけのくさむしる)
   ※家庭菜園を引退するシニアが寒中に草むしり
    をしている。じゃがいもの植え付けに始まる
    春野菜の作業開始に次の人が間に合うように
    との心配りだ。さすがと思う。

しぐるるや明日明後日は寒気来る
  (しぐるるやあすあさってはかんきくる)

1/21sat
電気代一段と大寒しばし
  (でんきだいいちだんとだいかんしばし)

寒釣りや台半畳の座禅かな
  (かんずりやだいはんじょうのざぜんかな)
   ※電気代が高騰した。次の3割近くの値上げ申
    請は円滑に行っても実施は夏前後だろうから、
    今のうちに音を上げていてはどうしようもな
    いのだが・・・。
    寒中に釣りに興ずる人々の境地にはいつまで
    たっても近づけない。

1/20fri
四十雀庭に長く居蕪村の忌
  (しじゅうからにわにながくいぶそんのき)
   ※冬型の気圧配置で関東地方は晴れ上がる。雨
    模様のすぐ後だけに、庭や畑に出ていざ労働
    というわけにはいかない。どこかに正月暮ら
    しの残滓が残っているようだ。

枯れ菊の山となりて焼く人なし
  (かれぎくのやまとなりてやくひとなし)

1/19thu
坐して描く水墨の線寒の雨
  (ざしてかくすいぼくのせんかんのあめ)

1/18wed
マスク越し目が笑いおり初稽古
  (ますくごしめがわらいおりはつげいこ)
   ※水彩画の絵画教室、初会合。恒例でバラを描
    いた。

1/16mon
雨音に冬枯れ思い眠りけり
  (あまおとにふゆがれおもいねむりけり)
   ※睡眠にかけての不器用さでは人後に落ちない。
    いったん思い詰めて固まると、ちょっとのこ
    とではほぐれない。眠れなくとも何の痛痒も
    ない身の上だが、・・・犬がいた。朝少しで
    も遅くなると叱られる。

1/15sun
初風呂や西日の残るうちに入る
  (はつぶろやにしびののこるうちにいる)
   ※新年早々浴室が薄暗い。外の明かりが残るう
    ちに入れば、これはなんと風雅なことか。
    いまだに電球を取り換えていない。

1/14sat
初茜山の端木々のこまごまと
  (はつあかねやまのはきぎのこまごまと)

侘びの戸に年賀の客の爪の色
  (わびのとにねんがのきゃくのつめのいろ)

笑い初め光と電波越しなれど
  (わらいぞめひかりとでんぱごしなれど)
   ※新年も二週間、早いものだ。今日は個人的な
    お祝い事があったが、生憎の雨模様。夫婦し
    てトンカツを食べてきた。ついでに正月絡み
    の句の整理をした。ほどほどのものは今日一
    斉に掲句して決まりをつけよう。

1/13fri
母親の角巻借りてポストまで
  (ははおやのかくまきかりてぽすとまで)
   ※北海道や雪国の部屋の中、ことにリビングな
    どは温かい。それでちょっとの外出の時など、
    簡単な防寒着に、角巻にくるまって出かける。
    しかしとうに廃れたことだろう。

1/11wed
若のつく郷土力士や寒の入り
  (わかのつくきょうどりきしやかんのいり)
   ※この一年着実に実力をつけている若元春、若
    隆景の兄弟力士は福島県出身。先行している
    のは弟若隆景で関脇で大関を狙っている。兄
    若元春もこの初場所で初の三役入り。ともに、
    地力としぶとさが信条の玄人好みの力士だ。

1/10tue
狐火は都会の闇にこそという
  (きつねびはとかいのやみにこそという)
   ※静謐というのか薄気味悪いと表現すればいい
    のか。コロナ禍のもたらした一種人工的な静
    けさは都会において夥しいという。
    そうかも知れない。人工的な喧騒のすぐ隣に
    現れたのだから。

1/9mon
襟巻し杖つき手にはお裾分け
  (えりまきしつえつきてにはおすそわけ)
   ※日中は温かい一日。団地の普段の夕景が戻っ
    てきたと言いたいところだが、通行のクルマ
    も人も少なくナリを潜めているようだ。これ
    がコロナ以降の普段。まるで正月のようと言
    った方が近いかな?

1/8sun
新年に独り住まいの愁い聞く
  (しんねんにひとりずまいのうれいきく)
   ※健康であれば独居の寂しさも気楽さに紛れる
    のでは? と思うのは外野の勝手な観測らし
    い。あれやこれや想定外の問題、煩わしさが
    襲って来るという。

淡雪や停戦告げりうすき唇
  (あわゆきやていせんつげりうすきくち)

1/6fri
弾初めはYouTubeなり弦低く
  (ひきぞめはゆーちゅーぶなりげんひくく)
   ※せめて正月にはちゃんとレコードをと思って
    いたのだが、この気楽さ、即聴性『どんな曲
    でも各種取り揃えて即座に聴ける』には抗し
    がたい。今年もせいぜいお世話になることだ
    ろう。

1/5thu
世を占う知の巨人とな初テレビ
  (よをうらなうちのきょじんとなはつてれび)

三が日休んで鵙の来て黙す
  (さんがにちやすんでもずのきてもくす)

1/4wed
去年の絵の感想ありて師の賀状
  (こぞのえのかんそうありてしのがじょう)

正月の軸は竹林いつぞやの
  (しょうがつのじくはちくりんいつぞやの)

初夢は何本かごちゃごちゃと無理
  (はつゆめはなんぼんかごちゃごちゃとむり)

1/3tue
正月や奥に鎮座の茶碗出し 
  (しょうがつやおくにちんざのちゃわんだし)

耳ふさぎこの世この日は寝正月 
  (みみふさぎこのよこのひはねしょうがつ)

句を書きて手を懐に寝正月 
  (くをかきててをふところにねしょうがつ)
   ※寝正月とかふてくされようと現実にはちょっ
    といいことに満ちている。正月の空と散歩、
    清新の気分は横溢しているし、ラグビーは早
    大が決勝進出、箱根も多くの人の想定より上
    位でゴールした。

1/2mon
初詣善男善女になりたふて 
  (はつもうでぜんなんぜんにょになりとうて)

線香を膝に賜ひて初観音
  (せんこうをひざにたまいてはつかんのん)

喜寿とても年玉賜ふ気のありて 
  (きじゅとてもとしだまたまうきのありて)

1/1sun
新年の祝詞おぐらき犬友と 
  (しんねんのしゅうしおぐらきいぬともと)

初日の出賀状仕舞いを悔やみおり
  (はつひのでがじょうじまいをくやみおり)
   ※日本海沿いを除いて広く晴れ上がったようだ。
    当地も快晴、朝早く犬の散歩を済ませ、お屠
    蘇の前に近くの観音様に出かけ年始のお参り
    をした。おみくじは大吉、甘酒もいただいた。
    交通安全のお札もゲット。こんなにスムーズ
    な出発は珍しい。

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ダクタク句集2022年(令和4年)12月 [ダクタク2022年12月]

12/31sat
行く年も走りおおせし鉄路あり 
  (ゆくとしもはしおおせしてつろあり)
さわし柿切れ干し柿を食らう暮れ
  (さわしがききれほしがきをくらうくれ)
暮れなれど二人ポカンと映画見る
  (くれなれどふたりぽかんとえいがみる)
歳晩に火鉢を出して非日常 
  (さいばんにひばちをだしてひにちじょう)
愚痴を言う大晦日にも三つだけ 
  (ぐちをいうおおみそかせにもみっつだけ)
   ※年内の仕事は最低限にして昨日までに終わっ
    た。今日は心身ともに予備日? これが大正
    解。それで句の方をちょっと棚卸し。暮れの
    句を掃除し残った句を羅列する。
    映画は「恋におちたシェイクスピア」、なぜ
    かちゃんと通しでは見なかったヤツ。

12/30fri
煤払い終え扇橋の千代女かな 
  (すすはらいおえせんきょうのちよじょかな)
   ※先代入船亭扇橋の得意演目ではなかったよう
    だが、古いテープで「加賀の千代女」を聴き、
    いっぺんで好きになった。今その動画はアッ
    プされていないようだ。
    千代女の有名な句に「あさがおやつるべとら
    れてもらひみず」がある。扇橋は落語界一の
    俳句好きだった。

黒豆の出来は如何と長電話 
  (くろまめのできはいかんとながでんわ)

12/29thu
耕筰忌 からたちの花の 今やっと 
  (こうさくき からたちのはなの いまやっと)
   ※明治以降の日本の歌には、メロディの繰り返
    しで1番2番ではなくて全曲流れるように一
    つのメロディによるものが多い。
    城ヶ島の雨(梁田貞)初恋(越谷達之助)小
    諸なる古城のほとり(弘田龍太郎)などなど。
    へたくそな私が歌えるようになるまで大いに
    時間を要したが、その分味わい深い。当時は
    一種の流行だったのかも。

12/28wed
海鼠腸を 食う人を見て 喜寿迎ふ 
  (このわたを くうひとをみて きじゅむこう)

喜寿の席 トンカツ食いて 見つめらる
  (きじゅのせき とんかつくいて みつめらる)

生きるのみ 雨のあがりて 喜寿の冬
  (いきるのみ あめのあがりて きじゅのふゆ)
   ※満77歳の誕生日を迎えた。祝いの宴で一席、
    羞恥心を抑えて喜寿の3句。

12/27tue
極月や 火の用心の 江戸言葉 
  (ごくげつや ひのようじんの えどことば)
   ※年末は毎日夕方に「火の用心」の見回りをし
    ている。最近はうるさいとかやめろとか一部
    住民が反発する所があったらしい。なんとア
    ホがいることか。
    拍子木の音のあとに、「火の用心さっしゃり
    ましょう」と粋な呼びかけをする人がいる。
    ハハーンあの人だな。

12/26mon
歳末に 展望しえぬ 世事多く 
  (さいまつに てんぼうしえぬ せじおおく)
   ※メディアは一斉に年末モード。一年を振り返
    り、翌一年をばっさりと展望する、・・・の
    だが。展望と言える内容は少ない。

12/25sun
車椅子 押すは孫の子 クリスマス
  (くるまいす おすはまごのこ くりすます)

手袋やクルマ待つ間の毛玉とり
  (てぶくろやくるままつまのけだまとり)
   ※クリスマス光景点描。平和だ。

12/24sat
窓越しにダンス練習見る聖夜
  (まどごしにだんすれんしゅうみるせいや)
   ※クリスマスめいたものは身辺にも近所にもな
    いと思っていたが、そうでもない。
    近くに越して来た中国人の中年独身男性がど
    ういうわけか家にイルミネーションを飾って
    いる。へえ・・と驚いて眺める。公民館のホ
    ールでは練習か本番か・・・。優雅だ。

12/23fri
冬嵐 アクア通いの 医師休診
  (ふゆあらし あくあがよいの いしきゅうしん)

名を聞きぬ 顔はメールで 冬の孫
  (なをききぬ かおはめーるで ふゆのまご)
   ※安全を考えるときりがない。まして冬に生ま
    れた初孫だ。

12/22thu
新聞を 素早く読みて 冬至かな
  (しんぶんを すばやくよみて とうじかな)

さわし柿切れ干し柿を食らう暮れ
  (さわしがききれほしがきをくらうくれ)
   ※12月はバタバタと忙しいとか、あっという
    間だとかの声を聞く気はない。こう寒いので
    は暖かい屋内でじっとしているにしくはない。
    今日は冬至ではないか。

12/20tue
木枯らしや不意なる喉の内視鏡
  (こがらしやふいなるのどのないしきょう)
   ※親しい友が甲状腺ガンで死んでから2年にな
    る。こちとらも甲状腺ホルモン某の持病があ
    る上に最近とみに喉元のところでミニトラブ
    ルが起こる。美声もかすれることが多い。
    呼吸器科に行って訴えた。心配を取り除いて
    と。そしていきなりの内視鏡だ。結論は、
    「きれいです。なんにもありません。あって
    も年齢相応の嚥下トラブルでしょう」と。

12/19mon
サッカーは 冬の季語なり メッシ勝つ
  (さっかーは ふゆのきごなり めっしかつ)
   ※アルゼンチン、PK戦の末に優勝。冬の季語で
    ある所以はシーズン設定にあるだろうと想像で
    きるが、この熱戦にはふさわしくない。手に汗
    握る2時間だった。

12/18sun
年賀状仕舞いを告げて月下弦
  (ねんがじょうしまいをつげてつきかげん)
   ※年賀状仕舞いとした。迷った。ここでも下りの
    明確な階段を降りることになるのだぞ、と言い
    聞かせる。

12/17sat
農道の一角カフェとなりて冬
  (のうどうのいっかくかふぇとなりてふゆ)
   ※行ってみると洒落た料理をこざっぱりと提供
    する、地元にはない店だ。この手の店が方々
    に現れ、センスを感じながらも、音もなく
    消えていく。お客は地方都市の若い女房連、
    30km圏内、単価1500円で基本的にはゼロサム
    ゲームである。逞しい例外もあるけれど。

12/16fri
木賃といふアパートの煤払い
  (もくちんというあぱーとのすすはらい)
   ※周辺の他の物件に較べ、50年以上前に建て
    られたもの。居住者がいっしょに大掃除して
    いた。今どき貴重な光景。黒光りしている?

12/13tue
出勤は 冬夕焼け見て 深夜番
  (しゅっきんは ふゆゆやけみて しんやばん)

人参のとれてシチュウに大切りに
  (にんじんのとれてしちゅうにおおぎりに)

12/11sun
着ぶくれて 週末頼みの 吊り革に
  (きぶくれて しゅうまつだのみの つりかわに)
   ※久々に「週末頼みの通勤」の感覚を思い出し
    た。ところがちっとも苦ではない。

12/10sat
湯気の音 剃刀の音 昼下がり
  (ゆげのおと かみそりのおと ひるさがり)
   ※馴染みの床屋の主人がなくなり、そのまま閉
    店。ずっと近くの格安店に行った。料金はほ
    ぼ半分、時間は1/3、「どうしましょう」以
    外無言、悪くない。

12/9fri
十二月 火星いざよふ 月を待つ
  (じゅうにがつ かせいいざよう つきをまつ)
   ※18時前の散歩のときに十六夜の月が山の端
    を離れた。行く先には火星が待っている。見
    事な月だが、なかなか火星に追いつけない。
    さて、このレース、今夜はどうなるか?

12/8thu
滑子汁 ふうふうする間の 香りかな
  (なめこじる ふうふうするまの かおりかな)
   ※寒さはなかなか戻らないなと嘆いている間に、
    これが平年並みとなってしまう。とにかく暖
    かい部屋、熱いものが欲しい。

12/7wed
神無月 四万人を 呼ぶ娘
  (かんなづき よんまんにんを よぶむすめ)
   ※先月初旬あいみょんがワンマン・ライヴで甲
    子園球場を札止めにした!! よく知らない
    歌手、二三度聴いたことはある。とても信じ
    られないペンライトの波また波。

12/6tue
モーツァルト忌 朝一番で ジュピターを
 (もーつぁるとき あさいちばんで じゅぴたーを)
   ※季語にモーツァルト忌というのがあると知っ
    た。やや異様な感じがするが、せっかくだから
    交響曲第41番で記念日(の一日遅れ)を刻む
    ことにした。

12/5mon
戦ありて 落ち葉の上に 松落葉
  (いくさありて おちばのうえに まつおちば)
   ※公民館、集会所の大掃除。こういうのをしっか
    りやるのが、シニアの役目だと少しは認識して
    出かける。それにしても外の作業は今日あたり
    かなり酷だ。彼の地では、寒さの酷さを知る者
    が寒さ攻めにしている。

12/3sat
初炬燵 文庫本にて 漱石を
  (はつごたつ ぶんこぼんにて そうせきを)
   ※昨日今日一段と冷え込む。リビングにコタツと
    いうのは今まで避けてきたが、もうこの歳、そ
    んなことは言っていられない。

12/2fri
大どれの大根 店を攻略す
  (おおどれのだいこん みせをこうりゃくす)

新聞は 瑣事のみ多く 日向ぼこ
  (しんぶんは さじのみおおく ひなたぼこ)
   ※ネットを初め情報過多の今日では新聞の位置も
    難しい。ヘッドラインはとっくに知られている
    し、深掘りするにしても対象の選択は読者によ
    ってことなる。全方位型になると、瑣事の羅列
    となりかねない。購読料を払っているので目を
    通さざるを得ない。半ばいやいやだ。家内はチ
    ラシ以外殆ど読まない、はっきりしている。こ
    れがうらやましい。

12/1thu
干し柿の 遅れて吊るす 十余り
  (ほしがきの おくれてつるす とおあまり)
   ※日々の瑣事のみで静かにしていると12月の到
    来に感慨はない。しかしこの日長いこと途切れ
    ていた友人とのメール交換が出来て、これから
    年末の幸いなる予感がする。
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ダクタク句集2022年(令和4年)11月 [ダクタク2022年11月]

11/30wed
小春日の港に人のいぬ無残
  (こはるびのみなとにひとのいぬむざん)
   ※カップル観光客の聖地になりかけた木更津港
    をまたぐ中の島大橋も人っ子ひとりいない。
    海と港を見渡す昔日の静けさと言えないこと
    もないが、今度は船が断然少ない。

11/28mon
朝刊の 読めぬ昏さや 時雨雲
  (ちょうかんの よめぬくらさや しぐれぐも)
   ※いやでも冬の到来を感じた朝。真っ黒な雲が
    空を覆い続けた。寒さもひとしお。
    そうだ、コタツを作ろう。

11/27sun
冬めく日 自宅待機とやらでいる
  (ふゆめくひ じたくたいきとやらでいる)
   ※ゼロコロナ目標ではないから、濃厚接触者の
    更なる探索はしていない。しかしそれに準じ
    た注意喚起はある。その筋から「自宅観察・
    外出自粛」の要請があった。感染ルートは仄
    めかす程度で、最後に「通常の日常対策で十
    分です」とも。それなら言って来るな、と思
    ったが。

11/26sat
曲りても 玉葱の苗 植え終わる
  (まがりても たまねぎのなえ うえおわる)
   ※早生の苗を植えたところで雑事が増えたため
    一休み。今回で予定した苗は全部植え終わっ
    た。鉛筆の木軸ほどの太さの葉鞘が望ましい
    というが苗の調達段階でそれは挫折する。そ
    んな立派な苗ではない。黒マルチは使わない。

11/25fri
ワクチンの五回目 初冬の静寂
  (わくちんのごかいめ しょとうのせいじゃく)
   ※集団接種会場で粛々と済ませた。慣れて哀し。

11/23wed
冬の日や事故せし妻の帰宅かな
  (ふゆのひやじこせしつまのきたくかな)

事故調書自署なめらかに石蕗の花
  (じこちょうしょじしょなめらかにつわのはな)

冬夕焼け惑い長きに見ずに果て
  (ふゆゆやけまどいながきにみずにはて)

11/22tue
剪定の音続きたり冬支度
  (せんていのおとつづきたりふゆじたく)

バサと落ち研ぎ手の腕を暮れに聞く
  (ばさとおちとぎてのうでをくれにきく)
   ※11月恒例の垣根の刈り込みだが、近年は次
    第に億劫になりつつある。着手せずに、今日
    は刃物の研ぎ日とか勝手に決めて一日延ばし
    にする。

11/21mon
テレビ電話互いに冬の身づくろい
  (てれびでんわたがいにふゆのみづくろい)

三の酉あり火の用心と時候言い
  (さんのとりありひのようじんとじこういい)

11/19sat
保母開ける窓少しだけ冬はじめ
  (ほぼあけるまどすこしだけふゆはじめ)
   ※コロナ渦で換気は怠れない、しかい今朝の風
    はつめたい。この前までのゆったり換気があ
    っという間に冬の光景に。

11/18fri
雨音は幻聴 小春の日の朝
  (あまおとはげんちょう こはるのひのあさ)

犬こばむ 晩秋日々の同じ道
  (いぬこばむ ばんしゅうひびのおなじみち)
   ※5回目のワクチンを打ってきた。集団接種会
    場では打つ人も迎えるスタッフも粛々と仕事
    をこなしている印象。結構な形の雲が面白お
    かしく晩秋の空を飾っているのに、ワクチン
    接種にかくも馴れ切ってしまうとは・・・。

11/17thu
顎引いて 若く撮れると 秋の宿
  (あごひいて わかくとれると あきのやど)
   ※小人数で近場の温泉郷に。家族外の同伴者と
    の宿泊は何年ぶりか? もちろん恐る恐るの
    出立だったが、ホテルに着いて湯に入って酒
    が入れば・・・もう心配は雲散霧消。これが
    いけない。

11/16wed
月島の 路地に山芋 並べあり
  (つきしまの ろじにやまいも ならべあり)

病葉や 柿のヘタ虫 駆除を聞く
  (わくらばや かきのへたむし くじょをきく)

11/15tue
秋フェスタ 膝をさすりて 餅の列
  (あきふぇすた ひざをさすりて もちのれつ)
   ※農協の収穫祭と言えどもフェスタと称する。
    一番人気はつきたての餅の販売だ。列のすぐ
    そばで絶えずついてこねて・・・。

11/14mon
孫自慢 歴史好きだと 葛の花
  (まごじまん れきしずきだと くずのはな)
   ※シニア同士の話題は、結局は子と孫と病気の
    自慢に落ち着く。幸いコロナ禍のせいで、聞
    く被害からは遠ざかっていたが、ぼちぼち再
    開の気配だ。

11/12sat
お十夜といふを知りてぞ喜寿の坂
  (おじゅうやというをしりてぞきじゅのさか)
   ※もうひと月余りで満で喜寿の歳を迎える。関
    西で主に浄土宗の仏事として十夜法要という
    のがある。「現世で十日十夜善いことをすれ
    ば・・・」という、これからでも間に合う、
    ドロナワOKの教えらしい。すがりたい気持
    ち?あります。

11/10thu
喜寿の日に 会社退けりと 星月夜
  (きじゅのひに かいしゃひけりと ほしづきよ)
   ※会社生活を終える感慨はその長さによるので
    はなかろうが、恵まれてかつ望まれて勤務を
    続けられたことは幸せなことだと思う。お疲
    れさま。

11/9wed
橡餅を 目指し竈に 火をくべぬ
  (とちもちを めざしかまどに ひをくべぬ)

子が可愛 鴉が泣きて 秋澄めり
  (こがかわい からすがなきて あきすめり)

蚯蚓鳴き 酒も喉越し 緩やかに
  (みみずなき さけものどご しゆるやかに)
   ※絵画教室の例会で先生が来ない。一番熱心な
    のに。何度電話をしたのに出ない・・・。も
    しかして? 彼女は80歳台中盤、一人暮ら
    し。終わるころ、ひょっこり顔を見せた。
    スマホ持たずに出先で一時間以上も立ち話と
    か。帰宅して着信の多さにびっくり。

11/6sun
秋の空 数合わせ気味の 守備位置に
  (あきのそら かずあわせぎみの しゅびいちに)

フェスなるも 法被が主役 いわし雲
  (ふぇすなるもはっぴがしゅやくいわしぐも)
   ※地域の蘇生と祭りのリベンジなど思惑が交錯
    しても、お天気には恵まれた。若手のエンジ
    ンに少しでも火がつくか?

11/5sat
ナレーターの 声ゆったりと 古都の秋
  (なれーたーの こえゆったりと ことのあき)
   ※養老孟司の愛読者、ファンではないが、彼と
    鎌倉を描いたBSシリーズ番組は好きだ。鎌倉
    への対し方、愛し方は大好きだし、それ以上
    に断然妬ましい。

11/4fri
ミサイルと 地震頻りに 夜長とて
  (みさいると じしんしきりに よながとて)

合唱の 女史再デビュー 雁渡る
  (がっしょうの じょしさいでびゅー かりわたる)
   ※地域の活発な女性陣、鳴りを潜めていたが、
    この週の各種催しから息を吹き返した感があ
    る。その昔のお局さんも加わる。

11/3thu
死ぬまでの 替え芯ありて 文化の日
  (しぬまでの かえしんありて ぶんかのひ)
   ※シャープペンシル用に替芯0.5mm,2Bを取り
    寄せた。普通の店にはないから少し多めに3
    ケースを買った。それ以来ではないが、次第
    に字を書くことは少なくなった。書く機会が
    減ったのと、PC,スマホのせいだ。
    一生懸命毎日書くようにしているが・・・。

国宝を みな見せるとぞ 文化の日
  (こくほうを みなみせると ぞぶんかのひ)

11/2wed
城下秋 旧町名を 音に読む
  (じょうかあき きゅうちょうめいを おとによむ)
   ※全国の城下町共通の、それらしい町名にはど
    うも馴染めない。大手町、馬場町、鍛治町、
    本町、寺町等々。せっかくのユニークな町名
    があったのに。ちなみに生まれた町の名は融
    通寺町。近くに桂林寺町。

11/1tue
畳織る 今年のイグサの 香りかな
  (たたみおる ことしのいぐさの かおりかな)
   ※7月までに収穫するイグサは油の処理、形状
    不良の厳しいリジェクトなどを経て、秋に
    「織り」が本格化し畳表となる。


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ダクタク句集2022年(令和4年)10月 [ダクタク2022年10月]

10/31mon
友の待つ 広き階段 見上げ秋
  (とものまつ ひろきかいだん みあげあき)
   ※立派な階段、踊りがあって、また階段が。彼
    はどうやって登ったのかな? そう、エレベ
    ーターがあるのでは? ・・・もう遅い。

お隣の シュウメイギクの 揃い踏み
  (おとなりの しゅうめいぎくの そろいぶみ)

10/30sun
秋の夜のライン顔見し黙しおり
  (あきのよのらいんかおみしもくしおり)
   ※ラインが開通して初めて友人と顔を見ながら
    の会話を始めた時、相手がふっと押し黙った
    時があったならよーく考えた方が良い。相手
    は対面会話に感激したのではなく、こちらの
    顔の想像以上の老け込みに唖然として息を吞
    んだのだ。毎日見ている顔では気づかない老
    けの大きな溝がある。きっと。

10/29sat
杜鵑草 思い出しつつ つい疎遠
  (ほととぎす おもいだしつつ ついそえん)
   ※こんな時だからこそ親しい友人とはせめて連
    絡を保ちたい。遠隔での連絡手段が一般的に
    なっているとはいえ、ついその一歩が出ない
    ことも。

10/28fri
文化祭 準備を仕切る 嗄れ声
  (ぶんかさい じゅんびをしきる しゃがれごえ)

白マスク白髪が秋の草むしり
  (しろますくしらががあきのくさむしり)
   ※いくらなんでも俺は公民館の世話にはならな
    い、とイッパシの口をたたいていた男が、ど
    っぷりとは言わないまでも文化祭などの活動
    に参加している。アアとため息も出るが、同
    じ年代の人たちが手練れのエースである。

10/26wed
介護する 合間の絵筆 いわし雲
  (かいごする あいまのえふで いわしぐも)
   ※絵仲間の女性は80歳で介護の仕事をしてい
    る。絵教室も遅刻早退で忙しい。肝心の絵は
    あっさりしていて外連味がない。ごてごて塗
    りたくるコチトラは感心しきり。

10/25tue
公園に シニア週一 落葉掃き
  (こうえんに しにあしゅういち おちばはき)
   ※町内の道路、公園などの清掃はシニアの無償
    の労働に負っている。老人会、誘われたこと
    もない。とか言っているうちに10年近くだ。

10/24mon
イチジクの 絵にむらさきの 熟したり
  (いちじくの えにむらさきの じゅくしたり)
   ※当地の文化祭に仲間と水彩画を出展すること
    になった。いつもは間際に非才さを嘆くのだ
    が、今回は秋の野菜や果物をうまく描けた。
    それがどこであれ衆目に晒すというのは大変
    なことで、実はかなりホッとしている。

10/23sun
さつまいも 半分掘って 虫の里
  (さつまいも はんぶんほって むしのさと)
   ※関東南部は曇り日と雨天続きで日照時間が極
    端に少なかった。もう少しかな?と残してお
    いたサツマイモは意図せざる放置でどうなっ
    ていることやら。気をもんでいる。

10/22sat
教師褒め 親父酒出す 秋の夕
  (きょうしほめ おやじさけだす あきのゆう)
   ※この句は8/5の
    「ほろ酔いの 教師は黒く 大夕焼」
    と同じ思い出につながる。中学校の事務の先
    生が帰途に我が家に寄って、私の部活の充実
    ぶりを褒めていった。
    誰も覚えていないかもしれないが、テニスと
    タバコと酒が大好きな、しょうもない先生。
    俺は好きだったよ。

10/20thu
欅 自らなる形 秋に満つ
  (けやき みずからなるかたち あきにみつ)
   ※散歩ルートにある3本のケヤキ。紅葉、落葉
    前の今、一年の成長を全身で現わしているよ
    うに思われる。何の変哲もないケヤキなのだ
    が、一年の成績は5だなと思う。

10/19wed
秋冷えて 昨夜は風呂に 入りしかと
  (あきひえて さくやはふろに いりしかと)
   ※実はよくある話。もっと寒くなると毎晩風呂
    に入るが、多少肌寒くなっても風呂は二日に
    一度、もう一日はシャワーで済ます。済ます
    というより、のんびり・ゆったりかつ気軽な
    シャワーが好きだ。それで掲句のような疑問
    が湧き出る。ボケのせいではない証拠にかな
    り以前からのことなのだが。

10/18tue
児童向け 大きな字読む 良夜かな
  (じどうむけ おおきなじよむ りょうやかな)
   ※図書館にはシニア向けに大文字本が用意され
    ているが、その分がさばるので敬遠していた。
    この前借りてきた季語写真集は親切な内容で
    わかりやすく気に入っていたら、中高生向け
    の児童図書とあった。

10/17mon
柿の実や 製材所の お茶時間
  (かきのみや せいざいしょの おちゃじかん)
   ※当家の一本の柿の木は今年お休み。数少ない
    実が殆ど7月までで落果した。周期的な不作
    なのか、以前のようなヘタ虫の被害か、今の
    ところ不明。

10/16sun
リヤカーに 子と芋と鍋 芋煮行
  (りやかーに こといもとなべ いもにこう)
   ※町内の親しい母親仲間が集まり、日と持ち寄
    りを決め、一切合切を積み込んで、町中から
    郊外の広い河畔の湧水場まで歩いていく。小
    一時間ほどもある女集団のおしゃべり付きの
    移動だ。今なら目立って、鼻つまみにもなろ
    うが、当時はなんとも街の光景になじんでい
    た。行った先は天国、おしゃべりと芋煮。息
    抜きと骨休め。

10/15sat
垣を剪り 果樹には秋の お礼肥
  (かきをきり かじゅにはあきの おれいごえ)
   ※金木犀も大方花を落としたし、少ししたら一
    年分の丈を詰める。秋の作業の一つ。

10/14fri
涼気早や 寒気となりて 坂の家
  (りょうきはや かんきとなりて さかのいえ)
   ※挨拶は寒いですねに変わった。坂の中途から
    見下ろす夕方の光景は光を失って空も地も鈍
    色。

10/12wed
長身の 荷風が覗く 路地の秋
  (ちょうしんの かふうがのぞく ろじのあき)
   ※YouTubeの朗読で荷風の「日和下駄」「濹東
    綺譚」を聞く。朗読で扱われているものの中
    では長い方、後者は3時間余りだ。しかし、
    いずれも以前に読んでいるので、歩きながら
    でも気軽に聞ける。細部は聞き流しても、む
    しろ荷風文章の達者なリズムが味わえる。

10/10mon
竿売りの 音高らかに 刈田道
  (さおうりの おとたからかに かりたみち)
  ※その道は行き止まりだよと言ってあげたかった
   が、農道をまっすぐに行く。テープの音が両側
   の小高い丘に反射するようだ。ナビ圏外の小道。
   あの手の軽トラのセールスは多分地の人ではな
   い。大量に安く仕入れて、県を跨ってでもひた
   すらに売り歩くと聞いた。

10/9sun
栗名月 雲の間にこそ 香りあり
  (くりめいげつ くものまにこそ かおりあり)
  ※ここ数日の曇天に半ば諦めていた十三夜、厚か
   った雲が夕方にかけゆっくり薄くなり、格好の
   名月待ちとなった。

客なくて 金木犀の 盛りかな
  (きゃくなくて きんもくせいの さかりかな)

10/7fri
コスモスや 犬に拒まれ 花の道
  (こすもすや いぬにこばまれ はなのみち)
  ※異常な寒さに我が家の犬はより元気になる。や
   や夏バテ気味の頃散歩を短縮して来のこと、今
   日その道に拒否権を発動した。

10/6thu
鰯雲 静かがよろし スピーカー
  (いわしぐも しずかがよろし すぴーかー)
  ※市がつけている広報スピーカー。防犯上の注意
   喚起や気候情報がメイン。不審者、詐欺電話情
   報、大雨や強風注意、警報、行方不明者捜索な
   ど幅広い。この季節に多いのが有害鳥獣駆除実
   施のお知らせ。等々。
   良く聞こえないという人も多い中で、近い人々
   は音の大きさに頭を抱えている。いずれにして
   も静かがいい。使わないで済むような。

10/4tue
露草や林間一帯を領す
  (つゆくさやりんかんいったいをりょうす)
  ※この光景は昨年まではなかった。一年草と言わ
   れる露草が辺り一面をわがもの顔に青い花を散
   りばめている。

10/3mon
クラス会 秋集合は 動物園
  (くらすかい あきしゅうごうは どうぶつえん)
  ※ミニクラス会を3年ぶりにやろうということに。
   年末年始の危険、風邪とのダブルパンチ、第8
   波だってこわいが・・・。慎重派と決行派、間
   をとってなるべく速やかに、ということになっ
   た。動物園の後は谷中に降りて一散歩、店に急
   ぐことに。

10/2sun
牛乳で コーヒー飲む癖 今朝の秋
  (ぎゅうにゅうで こーひーのむくせ けさのあき)
   ※コーヒーファンを自認して小うるさいことを
    言っていたのも今は昔。一日に一杯とする必
    要があり、その貴重な一杯を朝食の牛乳にイ
    ンスタントコーヒーを入れたことが運の尽き。
    「おや、おいしいねえ」となった。

10/1sat
法要の 客と出会いぬ 風蝶草
  (ほうようの きゃくとであいぬ ふうちょうそう)
   ※喪服の3人と出会った。理容店主の四十九日
    とわかった。故人は8月の暑い盛りに逝った。
    残暑が厳しいといわれていたが、台風と大雨
    が列島を翻弄している間にすっかり例年並み
    の気温になった。涼しい天国に早く来過ぎた
    と思っているかもしれない。


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ダクタク句集2022年(令和4年)9月 [ダクタク2022年9月]

9/30fri
秋西日 茶筅日向に 干されあり
  (あきにしび ちゃせんひなたに ほされあり)

四方から 今ぞ今ぞと 虫の闇
  (しほうから いまぞいまぞと むしのやみ)

9/29thu
野分去り 他家の毬栗 数えけり
  (のわきさり たけのいがぐり かぞえけり)

秋場所や 初老力士の 力こぶ
  (あきばしょや しょろうりきしの ちからこぶ)
  ※台風後の散歩、俳句作り、九月場所テレビ桟敷
   そして草むしりか、九月もすっかり年寄りの種
   目で終わりそう。

9/28wed
国葬の過ぎてボートは生き返り
  (こくそうのすぎてぼーとはいきかえり)
  ※総意とは何だろう? 総意とは言えないけれど、
   本来は総意となってすべきことを識り重視し、
   右顧左眄せず突き進んだ・・・安部元総理の業
   績だと思う。右っぽいとか言われそうだが。

9/27tue
さびしいね大変ねとぞ彼岸過ぎ
  (さびしいねたいへんねとぞひがんすぎ)
  ※友人は男一人住まいの後期高齢者。都心でもさ
   まざまに支援の手、声掛けがあるという。しか
   しこの手の言葉は慰めにもなんにもならない、
   と友人は苦笑。そこまで落ち込んでいない、と。
   彼は175センチを超える偉丈夫である。

9/25sun
今朝の秋 呉服店主の 紺の足袋
  (けさのあき ごふくてんしゅの こんのたび)
   ※後ろに土蔵の蔵屋敷を構えた呉服商店。商売
    は今や細々とらしい。足袋の裏は白い。

9/24sat
かすかなる 踏切の音 自在秋
  (かすかなる ふみきりのおと じざいあき)
   ※台風が近くを通過している深夜、強風の合間
    に近くの踏切の音が聞こえる。かすかだが。
    耳が良いせい? 年齢と鍛錬?のせいで好き
    な音を自由に呼び起こすことが出来るように
    なった。この時間にローカル線が走るわけが
    ない。

9/23fri
短めの 形見の杖で 彼岸まで
  (みじかめの かたみのつえで ひがんまで)

秋彼岸 風に戦の末予感
  (あきひがん かぜにいくさのすえよかん)
   ※戦争、内外国葬2題、インフレ・経済、災害
    ・・・落ち着かないこと限りないが、これも
    聞こえ過ぎ、情報化社会故の不幸かもしれな
    い。どこかで分水嶺を越えてすうーっと静か
    になることもある。それが秋分の日。

9/22thu
風の盆 男踊りは 空を切り
  (かぜのぼん おとこおどりは くうをきり)
   ※今月初めの富山八尾町、越中おわら節のお祭
    り「風の盆」。この旋律と踊り、何故こんな
    にも哀切極まるものが生まれて、かつ継がれ
    ているのか? みんなで踊るのと、保存会の
    踊りを静粛に大事にただ眺めるのが並行して
    あるからなのかな?

9/21wed
木彫師 師の師は光雲 いわし雲
  (もくちょうし しのしはこううん いわしぐも)
   ※内房の小さな街に住む木彫師は高名な名前を
    口にする。僅かに「知ってる?」という気分
    が漂う。例の野猿像どころか最近は彫りたい
    ものとは無縁であると残念がる。

9/19mon
子規忌なり 少し老けたと 言いにけり
  (しききなり すこしふけたと いいにけり)

下弦なる 月確かめて 敬老の日
  (かげんなる つきたしかめて けいろうのひ)
   ※浮遊する敬老の日は今年子規忌と同じ19日
    になった。その業績から子規翁と呼ばれるこ
    とも多いが、亡くなったのは35歳。

9/18sun
街なかで 熊除けの鈴 秋まみれ
  (まちなかで くまよけのすず あきまみれ)
   ※無人を思わせる団地の静謐を破って鈴の音が
    聞こえる。日曜日の住人が無聊に任せてスピ
    ーカーで流しているのではない。

9/17sat
秋の日やメインツリーは果樹となる
  (あきのひやめいんつりーはかじゅとなる)
   ※ガーデニング風に言えば、我が家のメインツ
    リーはモモ、ブドウ、柿の3本。今年の成績
    を言えばいろいろあるが、後期高齢者の思い
    込みは安定していて、功が拮抗している。

9/15thu
よろず屋にバス待つ人の宿場町
  (よろずやにばすまつひとのしゅくばまち)

街なかに街道ありて秋夕暮れ
  (まちなかにかいどうありてあきゆぐれ)
   ※米を収穫して現金収入を手にした農家にとっ
    て一年で一番豊かさを感じる季節だ。思い切
    って遠出して温泉で骨を休めたり、近くの街
    に買い物に出たり。小さな商店街のある街ま
    では多くはバスで行きかえりだ。日常使いの
    品ではなく、好きな品を既に考えてある。
    小さな街の小さな商店街。一日声があふれる。

9/14wed
秋の日強し団地音一つなし
  (あきのひつよしだんちおとひとつなし)
   ※こんな音のない風景はミステリー映画の撮影
    に使えるのでは?なんて思いがうかぶが、今
    やこうしたシーンは全国に溢れ、履いて捨て
    るほどある。洗濯物のそよぎが「使用中」を
    示す。

9/13tue
無人駅の読書 針の進む音
  (むじんえきのどくしょ はりのすすむおと)
   ※こんな静かな無人駅があるところは貴重かな?
    いまどきは遠隔で音声案内がある。

9/11sun
耳元で癌を語りて夏に逝く
  (みみもとでがんをかたりてなつにいく)

ワケギ好き冷凍を説く床屋あり
  (わけぎずきれいとうをとくとこやあり)
   ※仲の良かった床屋の親父が死んだ。3年近く
    の肺ガンとの闘いの末である。なにをさせて
    も執念とこだわりの強い人だったから、ゆっ
    くりした床屋タイムの話はいつも楽しみだっ
    た。合掌。

9/10sat
名月もかすむ蝮の噂かな
  (めいげつもかすむまむしのうわさかな)
   ※見事な名月。さすがに。見えすぎなくらい。

9/7wed
我慢して 追肥をかてに 秋茄子
  (がまんして ついひをかてに あきなすび)
   ※9/7泉鏡花の忌日。代表作以外は読むことのな
    かった作家だが、ネットの朗読に親しんで鏡
    花も三つほど聴いた。いずれもスマホのおか
    げ、YouTubeのおかげ、ヒマのおかげ。鏡花
    との距離が随分縮まった。

9/6tue
稲刈り機揺られウクライナのことを
  (いねかりきゆられうくらいなのことを)

運転は孫に勝りて刈田かな
  (うんてんはまごにまさりてかりたかな)

一族も郎党もいず刈り終わる
  (いちぞくもろうとうもいずかりおわる)

稲刈りてデータを入れる月明かり
  (いねかりてでーたをいれるつきあかり)

9/5mon
カタロニア 野の鳥を見る 善衛の忌 
  (かたろにあ ののとりをみる よしえのき)
   ※少し左派がかった元日本ペンクラブ会長堀田
    善衛が亡くなったのが1998年9月5日。
    スペインアスツゥリアスとカタロニアに合わ
    せて5年近く住んだ作家である。著作も多い。
    小生がスペインオタクになった機縁である。
    野の鳥はピースピースと鳴く、とカザルス。

9/4sun
飴色の ぶどう袋に 妻方々
  (あめいろの ぶどうふくろに つまほうぼう)
   ※甘くはありませんがとお裾分けするが、おい
    しかったと言ってくれる人もいる。高級品が
    多い最近では昔のぶどうの味でなつかしかっ
    たという感想かな?

9/3sat
剃りたての 頬を撫でつつ 桐一葉
  (そりたての ほほをなでつつ きりひとは)
   ※例年より低い気温が続く。台風は沖縄県先島
    近辺で停滞の後東北に動き始めた。

朝に切る ぶどう三房を 仏前に
  (あさにきる ぶどうみふさを ぶつぜんに)

9/2fri
近道の 秋灯の家 時計鳴る
  (ちかみちの しゅうとうのいえ とけいなる)
   ※やっぱり昭和か?ちょっと古めの時計の音が
    聞こえた。窓に映る灯りも古めの暖色系だし、
    新しい家にしてはやや奇々怪々。

9/1thu
度を重ね 二百十日の 俄雨
  (どをかさね にひゃくとおかの にわかあめ)

小椋鳥 夕立家に 帰りかね
  (こむくどり ゆうだちいえに かえりかね)
   ※ムクドリは常に群れで行動するのに、突然の
    激しい雨に打たれ、一羽が木の根元に取り残
    された。いつもは群れの旺盛な動きに舌打ち
    することもあるが今日の姿はほんの小鳥だ。

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ダクタク句集2022年(令和4年)8月 [ダクタク2022年8月]

8/30tue
秋の風来て花痩せしサルスベリ
  (あきのかぜきてはなやせしさるすべり)

露草や 初お目見えの 庭の朝
  (つゆくさや はつおめみえの にわのあさ)
   ※曇り日が続いたのち昨日今日は一段と涼しい
    日。夜の気温が20度を切ると涼しいから一
    気に寒いへ悲鳴に変わる。庭の草の中に露草
    発見! 25年来、我が庭で初めて。

8/28sun
秋と聞き 山門今日は 中に入る
  (あきときき さんもんきょうは なかにいる)

眼鏡かえ スマホで秋の 季語一つ
  (めがねかえ すまほであきの きごひとつ)

8/27sat
夏豪雨 気圧配置の 骨身まで
  (なつごうう きあつはいちの ほねみまで)
   ※秋田、山形、新潟を中心に、この夏豪雨の被
    害が広がった。気圧配置の固定化と前線の居
    座り、線状降水帯の連続発生等によるものだ
    った。一週間ほど前からの事前の予報の通り
    であったが、それでも被害は甚大なものに。

8/25thu
眠らねば 班増えるとて 晩夏かな
  (ねむらねば はんふえるとて ばんかかな)

譲られし 苗のトマトの 味野生
  (ゆずられし なえのとまとの あじやせい)

8/24wed
少年の目に父祖の地よ盆地秋
  (しょうねんのめにふそのちよぼんちあき)
   ※8/23は白虎隊の日、自刃した日。その場所飯
    盛山からは砲煙にかすむ城下だけでなく会津
    盆地の初秋の景色が広く見えただろう。命全
    うすればもっともっと馴染んだはずの故郷の
    景色が。

8/22mon
朗読の声朝に聞く邦子の忌
  (ろうどくのこえあさにきくくにこのき)
   ※8/22は向田邦子忌日。YouTubeの朗読物は特に
    この1,2年で優良コンテンツが激増してい
    る。中でも人気を博しているのは、明治以降
    の大作家連の短編と向田邦子のドラマものだ。
    わかるような気がする。

8/21sun
三代の 球児いよよの ガッツあり
  (さんだいの きゅうじいよよの がっつあり)
   ※夏の甲子園も決勝を残すのみ。東北勢同士の
    決勝を夢見たが、まあ仙台育英の優勝が実現
    すれば大殊勲だ。

8/19fri
つかまらせ 花緒をすげる 秋めく日
  (つかまらせ はなおをすげる あきめくひ)
   ※当地はからっとした天気。こんな日はあらぬ
    ことを幻のように想像してみたい。下駄ばき
    で鼻緒が切れて困っていた少女がいた・・・。

8/18thu
対策の 水を飲みつつ 白槿
  (たいさくの みずをのみつつ しろむくげ)

溶接工 腕さえわたる 盆の明け
  (ようせつこう うでさえわたる ぼんのあけ)
   ※60歳を超えて所属した会社で一緒だった人
    と偶然会った。何年ぶりか? 溶接工のキャ
    ップを務めていた名人、その腕の変わらぬ自
    信はほんの2,3言でわかる。

8/17wed
葡萄一房光を貯めて下がりおり
  (ぶどうひとふさひかりをためてさがりおり)
   ※不順な気候の中で、我が家の名もないぶどう
    は大奮闘。例年より遅れ気味だがより多くの
    房をつけている。緑色の固い粒々が次第に飴
    色に、光を通すようになってきた。早いヤツ
    をつまみ食い出来るのがこの時期の無上の喜
    び。

8/16tue
学徒兵命全うすれば夏
  (がくとへいいのちまっとうすればなつ)
   ※学徒の繰上げ卒業にまつわる事実が新たにわ
    かったことを伝える特別番組を見た。決然と
    出陣式で雨中行進をした人たちの中で、なお
    多くの若人が戦地に行かなくても済んだこと
    を知る。

8/15mon
逢ひとふて 驟雨疾走 孫産まる
  (あいとうて しゅううしっそう まごうまる)
   ※姪夫婦に待望の初孫ができた。日頃冷静な二
    人だが、狂喜して病院に向かう。

8/14sun
嵐去る 盆の街角 見渡しぬ
  (あらしさる ぼんのまちかど みわたしぬ)

久闊の 言葉探して 盂蘭盆会
  (きゅうかつの ことばさがして うらぼんえ)

年寄りて 盆にことなし 風の音
  (としよりて ぼんにことなし かぜのおと)

8/13sat
盂蘭盆会 レーダーで追う 故郷の雲
  (うらぼんえ れーだーでおう くにのくも)
   ※スマホでPCで現在地以外の地域の天気、雨
    雲レーダー、災害可能性や警報・注意報のチ
    ェックが容易にかつ即座に出来る。
    必要があればそのまま即電話でコンタクトを
    とる、地域のメディアにアクセスをすること
    も可能だ。通信とデータ送受の革新は急速。
    しかし自然の猛威を前にして、出来ることは
    限られる。これは変わらない。

8/12fri
調律の 待たれる頭 炎天下
  (ちょうりつの またれるあたま えんてんか)

起動時の 膝の重さよ 秋立ちぬ
  (きどうじのひざのおもさよあきたちぬ)
   ※朝起きがけの膝の重さは老化速報。一年後の
    歩行能力を知ることが出来る。そう思う。ほ
    んの5~10歩で重さは消え、快調になるの
    だが。PCのように再起動で問題解決、とは
    いかない。立秋、しばらくは残暑、その後は
    確実に秋、着実に老化。

8/11thu
高山病 肩の小屋にて 米を炊く
  (こうざんびょう かたのこやにて こめをたく)
   ※若い頃4月に連休を待ちきれず、登山に出か
    けた。槍沢小屋を朝に出て槍ヶ岳を目指すシ
    ンプルな計画。ただ積雪は多く、ジグザグの
    登りが最後まで直登となる。登りの残り1/4
    くらいのところでガタンと体力が落ちた。
    先に着いて小屋で寛ぐ人の姿がはっきり見え
    るところだった。そこからなんと2時間強か
    かったのだ。1時間半はその場所でストップ。
    動けない。好天で良かった。50年前のこと。
    今では最高の思い出。今日は「山の日」とか。  

8/10tue
眼前は 水被る稲 晩夏光
  (がんぜんは みずかぶるいね ばんかこう)
   ※東北北部に豪雨被害が続いている。当地は暑
    さ続きで、盆明けの稲の刈入れを前にしてい
    る。とんでもない違い。

8/8mon
小型船 夏のくらしの 音がもれ
  (こがたせん なつのくらしの おとがもれ)
   ※くらしの音と問われたら、NHKラジオの正午
    過ぎ「昼のいこい」のテーマと答えるかもし
    れない。木更津港に係留している小型鋼船の
    一つからこれが聞こえた時、ジーーンときま
    したね。

8/7sun
白球の清涼と女子のブラスよ
  (はっきゅうのせいりょうとじょしのぶらすよ)
   ※夏の甲子園開幕。観客、応援団を入れての試
    合は一層熱が入る。それにしても応援席は女
    性上位だ。チェアガールにブラスバンド、女
    子は皆余裕たっぷり、笑顔がこぼれている。
    お付き合い参加ではない。

がしんたれ強豪以外よ暴れたれ
  (がしんたれきょうごういがいよあばれたれ)
   ※大阪桐蔭、何馬身か空いて智弁和歌山等々下
    馬評はどれも関西勢優位のよう。

8/6sat
原爆忌 乞ひ願ふこと 今多く
  (げんばくき こいねがうこと いまおおく)
 
母削る 鉛筆が誇り 原爆忌
  (ははけずる えんぴつがほこり げんばくき)
  ※今でも当時母が毎晩削ってくれた鉛筆のカッコ
   良さは周囲を寄せ付けなかったと思っている。
   ちなみに、幼少時代の私は暴れたら手が付けら
   れないと匙を投げられた挙句、家の中で「原爆」
   と呼ばれていた。
   
8/5fri
ホーン越し やや声低く 大暑かな
  (ほーんごし ややこえひくく たいしょかな)

上向いて ヴィーナス夏の かんばせを
  (うえむいて びーなすなつの かんばせを)

揺らぐごと 雲海に浮く 肩の小屋
  (ゆらぐごと うんかいにうく かたのこや)

8/4thu
外人の 教師が走る 夏の朝
  (がいじんの きょうしがはしる なつのあさ)
   ※オーストラリア出身の幼稚園の外人先生が走
    る。いつも遅れてくるようだ。おはようござ
    いますと挨拶する表情はいつも照れている。
    大きい幼稚園は差別化の目玉として英語教育
    を掲げる。ネーティヴの先生がいますよとい
    うわけだ。しかしそれ以外の仕事もなんでも
    やらされるみたい。園児を乗せたバスが着く
    と、にこやかにお迎えする。到着園児の顔、
    人数、バスの座席点検・・・朝から大変だ。

8/3wed
潮干狩り 一坪ほどが わが漁場
  (しおひがり ひとつぼほどが わがりょうば)
   ※海上は風通し万全だけれど、アサリを求めて
    さまようと予期せぬ密にもなりかねない。そ
    れで「動き回らないで」とスピーカーが。マ
    スク着用の注意はないが、しっかり着けてい
    る人が多い。もう今年は終わり、死なないで。
8/2tue
ほろ酔いの 教師は黒く 大夕焼
  (ほろよいの きょうしはくろく おおゆやけ)
   ※部活の指導を終えた教師は自転車でいち早く
    ご帰還。近くの一杯飲み屋に駆け込む。真っ
    赤な顔で家に向かう頃、生徒たちに会う。そ
    して「おう、気をつけて帰れよ」と。自転車
    はすでにふらふら・・・。世の中がすべて今
    より寛容な時代。

8/1mon
雨音は 夢か幻聴 蝉しぐれ
  (あまおとは ゆめかげんちょう せみしぐれ)
   ※深夜確かに雨音を聴いた。朝になってあれは
    雨でなかったとがっかりすることのないよう
    に、寝床でしっかり耳をそばだてた。しかし
    朝がっかりした。余計落胆した。降雨のシル
    シは露ほどもない。
    今朝はほんのちょっとだけど涼しいが、これ
    ぞ降雨のシルシでは? 家人はすげなく否定。
    降雨なしが決定。
    これからは寝床から起きて立って外を眺めて
    確認しようということになった。もっとも小
    生は少年時代に寝ぼけ癖の輝かしい戦歴があ
    るから、起き上がっての確認もそこまで含め
    て睡眠中の出来事となるかも。
    認知症の忍び寄っているせいなのか、熱中症
    近辺の暑さのせいなのか?



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ダクタク句集2022年(令和4年)7月 [ダクタク2022年7月]

7/31sun
風鈴や 南部湯宿の 闇の濃さ
  (ふうりんや なんぶゆやどの やみのこさ)
   ※花巻市郊外の花巻温泉郷台温泉に宿泊したこ
    とがある。いい湯いい宿だった。遅くついた
    のに印象深いのは夏の闇の深さと透明な湯の
    せいか。

7/30sat
兜虫 遅き経済の 良さ知らず
  (かぶとむし おそきけいざいの よさしらず)
   ※この国はかつて高い経済成長を実現し、効率
    第一を叫んで、その果実を満喫した。その頃、
    個人商店は消え失せ、全国の街々が画一化し
    ていった。背後で家庭が地域が変質した。
    画一化は街だけではない。人間だって(後の
    言葉で言えば)クローンのようなサラリーマ
    ンや労働者が自分の生きがいとして、その路
    線に沿い、成長に貢献した。絶頂時には
    「21世紀は日本の世紀」とまで。
    ところが今、「失いし20~30年」とかを
    耳に痛いほど聞いている。聞いて久しい。
    「経済成長は神話だよ、続かない」「成長の
    代わりに多くを失っているんだよ。今良く考
    えなければ手遅れになる・・・」50年以上
    前にアンチ高度成長を言った人はいっぱいい
    たね、そう言えば。ためにする人も多かった
    が、深刻な正論もあった。

7/29fri
煙草屋の 解体終わり 晩夏なる
  (たばこやの かいたいおわり ばんかなる)
   ※店先販売はとうの昔にやめ、長いこと自販機
    がならんでいた。不思議なもので店も住まい
    も一緒に解体されると、かなりのおばあさん
    が日がな店番をしていたことが思い出される。

7/28thu
夏号の 稿を渡せり 白き道
  (なつごうの こうをわたせり しろきみち)
  ※一回きりと代理を頼まれた。夏を迎えるエッセ
   イなんでも、という。地域のミニコミ誌みたい
   なもの。安請け合いした直後に梅雨が明け、真
   夏の暑さが襲ってきた。「なんでも」を頼りに
   やっとこ駄文を弄した。どうせ誰も見ない、と
   思ったことを後悔した。

7/27wed
端居やめ 犬の背たんと 流しけり
  (はしいやめ いぬのせたんと ながしけり)

冷麺や 腰にさしたる 扇子かな
  (れいめんや こしにさしたる せんすかな)

7/25mon
夏稽古 代役の子に 黒子あり
  (なつげいこ だいやくのこに ほくろあり)

夏稽古 来ぬ子の役を 全部やり
  (なつげいこ こぬこのやくを ぜんぶやり)
   ※地域で演劇の指導をしている人の稽古場を端
    で見せてもらった。こんな人がいることが大
    変貴重に思えるが、やはりコロナ禍のせいで、
    せっかくの夏休みの強化練習も参加者が思う
    に任せないとのことだ。

7/23sat
蝉時雨「巴里は燃えているか」聞こゆ
  (せみしぐれ ぱりはもえているかきこゆ)

百日紅の赤「巴里は燃えているか」
  (さるすべりのあか ぱりはもえているか)
   ※NHKスペシャル「映像の世紀」シリーズの通
    しのテーマ。作曲した加古隆のインタビュー
    番組を聴いた。やっぱり憎いねェ。

7/22fri
百日紅 警報の声 流れけり
  (さるすべり けいほうのこえ ながれけり)
   ※当家の一本の桃の木。小粒とは言え実は多く
    たわわだが、今年は虫の被害が多かった。プ
    ラムのカイアガラムシに気を取られノーケア
    だった。
    やっと不順な天候の合間を縫って収穫し終え
    た。さて来年に向けてはどうしようか? 思
    案を始めている。

7/20wed  
ああいえばこういう夏の国訛り
  (ああいえばこういうなつのくになまり)
   ※Lineでのテレビ電話、これが少し前だったら、
    「用もないのに顔はいらない」とか言って一
    方的に敬遠したろうに、この齢になると、晩
    くやってきた、この便利な仕組みに結構素直
    になじんでいる。年齢による羞恥心の欠如?
    いやそんなことをいうほど衒いもない。

7/19tue
夏時雨桃の実落ちる音にせく
  (なつしぐれもものみおちるおとにせく)
   ※不順な天候が続く。担当の雑草刈りも果樹の
    世話も意に沿っては進まない。やっぱり九州
    山口地方に梅雨末期に似た豪雨の被害が心配
    になる。

7/18mon
祇園会や 小雨に白の 角隠し
  (ぎおんえや こさめにしろの つのかくし)
   ※故郷の近く会津田島町の祇園会のメインは花
    嫁行列。今年はどうなるのだろうか? 近年
    は嫁のナリテが町の内外から押し寄せるとい
    う。7月16日は1月16日とともに、昔の
    言葉で「藪入り」、奉公人や嫁入りした娘が
    実家に里帰りした日だ。今や完全な死語。
    こちらの花嫁はその日のうちに帰るのだろう。

7/17sun
宵山に 泣いたらあかん 稚児の声
  (よいやまに ないたらあかん ちごのこえ)
   ※久しぶりの京都祇園祭のフル日程が無事に進
    むことを切に祈る。NHKドラマ『京都人の密
    かな愉しみ』はええなァ。直近は「Blue修業
    中 門出の桜」かな。源孝志ディレクターに
    よるもの。くせはあるものの、ええ腕しては
    るわァ。

7/16sat
夏の雨 頼朝が行く 国境
  (なつのあめ よりともがいく くにざかい)
   ※近くに鎌倉街道という古道がある。随分説明
    を受け、フィールドワークにも出かけたが、
    仔細の記憶はゼロ。ただ南の安房の国から上
    総の国に、頼朝が土地の豪族、兵を募りなが
    ら北上したのはテレビの通りらしい。

7/15fri
ラケット背に 女剣士が 夏椿
  (らけっとせに おんなけんしが なつつばき)
   ※小雨の中を自転車で行く姿は凛々しい。コー
    ト使えまいに、と思うが今は体育館で大勢で
    乱打練習が出来るらしい。

7/13wed
短夜や ひそかに話す 人通る
  (みじかよ やひそかにはなす ひととおる)

夏帽子 カフェを待つ間の 立ち向かい
  (なつぼうし かふぇをまつまの たちむかい)
   ※カフェテラスという屋外の店が大都市で増え
    ている。最近は地方都市でも狭い舗道を占拠
    してテラスと称しているのが多い。ましてや
    そこの空くのを待っている御婦人連がある。

7/11mon
命がけ 炎暑の選挙 いかと見る
  (いのちがけ えんしょのせんきょ いかとみる)
   ※参議院選挙が終わった。普通の人が普通に与
    えられる選挙権、それは勝ち取った権利。被
    選挙数の比較優位によってのみ代議員となれ
    る。この価値をどうみる、どうみるべきか? 
    これのない国々の人々よ。

7/10sun
短夜に口の遅さを嘆じけり
  (みじかよにくちのおそさをたんじけり)
   ※加齢とともに口が重くなる、口数が減る。語
    彙も減る。自分だけはそこまでにはならない
    と、根拠なしの自信もあるにはあったのだが、
    そんな希望もあえなくコロナ禍によって潰え
    去った。

7/9sat
涼しけり政治の海に笑み消えぬ
  (すずしけりせいじのうみにえみきえぬ)

長州と江戸の間で夏憤死
  (ちょうしゅうとえどのあいだでなつふんし)
   ※元首相の街頭演説中の死。毀誉の混じるとこ
    ろはあったが、圧倒的な天性とそれ故のゆと
    りとユーモアを備えた政治家。合掌。

7/8fri
若妻が 夫の腕ひく 夏木立
  (わかづまが おっとのうでひく なつこだち)

杖を持て 実を引き寄せて 袋掛け
  (つえをもて みをひきよせて ふくろがけ)

7/7thu
築地塀 驟雨のあとを 見せてあり
  (ついじべい しゅううのあとを みせてあり)
   ※文化財に指定されている江戸時代の築地。荒
    い素地がむき出しになっているから年々の雨
    等による浸食が心配だ。とは言え、俄雨の後
    の箇所を指でエグルように強く触れてみた。
    大丈夫だ。指にはなにもついてこない。

7/6wed
浮雲の 行先知らず 芙美子の忌
  (うきぐもの いきさきしらず ふみこのき)
   ※林芙美子の「浮雲」をネットの朗読で全編聞
    いた。全部で8時間余り。戦争と男と女の物
    語。名匠成瀬巳喜男、高峰秀子、森雅之主演
    の同名の映画も鮮明に覚えているが、ネット
    朗読版も気に入った。忍耐あっての「聴破」
    だが、この長い時間が戦中戦後の時間の経過
    と変遷を味わうにはよりフィットするのかも
    知れない。芙美子忌は6月28日。

7/4mon
暁に僅かに僅かなれど喜雨
  (あかつきにわずかにわずかなれどきう)
   ※台風の影響で暑さをもたらした気圧配置が崩
    れ、雨模様の不安定な天気になった。文字通
    りの「喜雨」。西日本の豪雨の気配がないで
    もないが、当地当家の野菜、果樹にとっては
    喜雨だ。人間にとっても。

7/3sun
なお強き 膝をさすりて 半夏かな
  (なおつよき ひざをさすりて はんげかな)

7/2sat
半夏生 犬ともに我れ 脚強く
  (はんげしょう いぬともにわれ あしつよし)
   ※山登りなどには長くネックになっていた右膝
    が、この十年近く朝夕の平地歩行には悲鳴を
    あげず、持ちこたえている。幸い今に至って
    も平地に限れば2、3時間連続でも行ける。
    これも、臆病に無理を避けたこと、そして我
    が家の犬のお蔭だ。

7/1fri
街ゆがみ 夏の絵描くは ゆがむまま
  (まちゆがみ なつのえかくは ゆがむまま)
   ※都心の馴染みの通りもしばらく見ぬ間に変貌
    し、ニョキニョキと高層マンションとやらが
    両側に。不自然に見上げてやっと変化を知る。
    猛暑がその歪みを激しく助長する。

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ダクタク句集2022年(令和4年)6月 [ダクタク2022年6月]

6/30thu
果樹の実の 普段のように 夏越しかな
  (かじゅのみの ふだんのように なごしかな)
   ※家を取り巻くように狭い土地にいくつもの果
    樹があり、今年も至極順調だ。このような酷
    い環境でもと思わざるを得ない。今日も酷暑。

6/29wed
半休を 取りて谷中の 沙羅を見に
  (はんきゅうを とりてやなかの しゃらをみに)
   ※勤務時代の半休を思い出した。昼前に会社を
    辞すともう自由、どこに行ってもすぐそこ。
    この季節には日暮里駅に行って、谷中、上野
    を通って御徒町まで。こんなクソ暑い日では
    なかった。

6/28tue
じりじりと 梅雨明けの日の 静かなる
  (じりじりと つゆあけのひの しずかなる)

松落葉 園児マスクを 外さざる
  (まつおちば えんじますくを はずさざる)

片陰を 六月とても 片陰を
  (かたかげをろくがつとてもかたかげを)
   ※梅雨が明けた。今度の明け方が如何に稀なこ
    とかを述べ立てる。仕方がない、こっちも茫
    然自失である。

6/27mon
ニュース見る プラム凍るを 砕きおり
  (にゅーすみる ぷらむこおるを くだきおり)
   ※ニュースを見続けることも戦争反対の意思表
    示だとか。それにしてもかなりの苦痛を伴う。
    ウ軍劣勢を仔細に伝える映像が続く、ついプ
    ラムをがぶりと・・・。
    いかん、いかん、昔の歯と違うのだから。

6/26sun
今朝1メートル20の桔梗咲く
  (けさいちめーとるにじゅうのききょうさく)

生きており 鼻毛が騒ぐ 青葉風
  (いきており はなげがさわぐ あおばかぜ)

6/25sat
後頭部 撮りて見入るや 夏の月
  (こうとうぶ とりてみいるや なつのつき)
   ※「後ろ髪がもじゃもじゃだよ。床屋に行った
    ら?」と言われて鏡の前に。スマホをかざし
    カメラで見れば、自らの後頭部がチェックで
    きる。「まだまだ大丈夫!」。しかし便利ば
    かりではない。後頭部のてっぺんの薄さをい
    やでも確認することになる。お月様。

6/24fri
返信に 水ようかんが あそことぞ
  (へんしんに みずようかんが あそことぞ)
   ※妻の留守は四季を問わず快適だが、今日は当
    地も初の真夏日になろうかという暑さ、節電
    協力ではないがエアコンなしでいく。

6/23thu
沖縄忌 後の沖縄 よろしくと
  (おきなわき のちのおきなわ よろしくと)
   ※1945年6月海軍司令官の大田実海軍中将
    は自決直前に海軍次官にあてた電文で、沖縄
    戦の惨状と沖縄県民の献身をつづり、「後世
    特別の配慮を」と訴えた。
    原文の最後は以下の通り。
    「一木一草焦土ト化セン 糧食六月一杯ヲ支
     フルノミナリト謂フ 沖縄県民斯ク戦ヘリ 
     県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ 賜ランコ
     トヲ」
    復帰後の50年、特別の配慮がなかったとは
    思わないが、十分だったとはとても思えない。

6/21tue
夏至の陽は 毒消しとなる 街に出よ
  (げしのひは どくけしとなる まちにでよ)

黄金虫 ぶどうの葉食う かすかなる
  (こがねむし ぶどうのはくう かすかなる)

6/20mon
方丈を 走る囃子や 山車なくも
  (ほうじょうを はしるはやしや だしなくも)
   ※夏の催しのお祭り、盆踊りを忘れないでと、
    祭り囃子をスピーカーに載せたクルマが町内
    を回る。かえって寂しいかな?とも思うが町
    内の役員のせめてもの心配り。

6/19sun
父の日や 藤村が字を 真似しおり
  (ちちのひや とうそんがじを まねしおり)
   ※父は若い頃から島崎藤村に傾倒していた。昭
    和20年代の家の本棚に藤村全集が揃っていた
    し、単行本、詩集も豊富だった。なによりの
    証拠は藤村の字、書体に憧れ、懸命に真似て
    いたことだ。毛筆もペン字も後年聞かされて
    から眺めると随分似ている。さすがと思う。

6/17fri
梅雨昏し 四山のあるを 瞑想す
  (つゆくらし しざんのあるを めいそうす)
   ※曇り空の裾に真っ黒な雲が広がり急に暗くな
    った。暗さは増すのに雨は降り出さない。近
    くに高い山があって周囲に立ち塞がっている
    様を想像できる。

6/16thu
あじさいは 素焼きがいいか 惑いおり
  (あじさいは すやきがいいか まどいおり)

鬼灯を 鳴らす名人 亡母なりき
  (ほおずきを ならすめいじん ははなりき)
   ※赤く熟れた鬼灯の実を取り出し、楊枝等で慎
    重に中の汁体(種?)だけを取り除け、外側
    の皮のみとする。これを口に入れ、空気を入
    れて膨らましたら舌と口蓋の間に挟んで空気
    を出し、音を出す。
    汁欲しさに何度も作りはしたが、一度も鳴っ
    たことはなかった。

6/15wed
梅雨寒や テレビの欄は スルーして
  (つゆざむや てれびのらんは するーして)

アジサイや 紙と腕を越え 色過剰
  (あじさいや かみとうでをこえ いろかじょう)
   ※絵画教室も地味に控えめな集まりを続けてい
    るうちに、当市コロナ禍もはっきり下火にな
    ってきた。持ち寄ったアジサイは色の多彩さ
    だけでなく、形も様々だ。描くには当惑気味。

6/14tue
虞美人草 昭和遠しに 頷きし
 (ぐびじんそう しょうわとおしに うなづきし)
   ※降る雪や明治は遠くなりにけりは大学生だっ
    た中村草田男が昭和6年に詠んだ名句。明治
    が行って20年の頃、昭和が行って今は34
    年。計算するまでもないが。

6/13mon
妻帰る 三浦三崎の 開き鯵
  (つまかえる みうらみさきの ひらきあじ)
   ※フェリーで久里浜から帰って来る。こっち岸
    も魚は本場だが、持たされるままに鯵の干物、
    申し分ない。

6/11sat
値上げにも 三度の飯や 梅雨晴れ間
  (ねあげにも さんどのめしや つゆはれま)

泰山木 エバーグリーンと 唱えた日
  (たいさんぼく えばーぐりーんと となえたひ)
   ※元勤務先製鉄所の50年間の軌跡をドキュメン
    タリーに仕立てて放映していた。懐かしかっ
    た。50年前の発足時の熱い思いは事業の様変
    わりはあっても今も当事者の胸の中にあると
    感じた。

6/10fri
立葵 赤を框の 前に見る
  (たちあおい あかをかまちの まえにみる)
  ※当地ではタチアオイの咲き始めと琉球月見草が
   いつもいっしょだ。そしてタチアオイの最初は
   大抵赤。今年はそれらよりも梅雨の入りが先行
   した。

6/9thu
方丈記 古き女優の 声のごと
  (ほうじょうき ふるきじょゆうの こえのごと)
   ※愛聴していたYouTubeコンテンツが消え怒っ
    ていたが、そこは無尽蔵、類似サイトも多く、
    探す楽しみを味わっている。方丈記解説文の
    朗読ではナレーターがあの田中絹代の声のソ
    ックリさんで気に入っている。

6/8wed
盆踊り 中止を決めて 梅雨入りぬ
  (ぼんおどり ちゅうしをきめて つゆいりぬ)
   ※町内の役員会、3年連続で盆踊り取りやめを
    決めた。子供や年寄り中心の催しだから、も
    しものことを考えての決断。

6/6mon
蜻蛉消え 紫式部も 五月闇
  (かげろうきえ むらさきしきぶも さつきやみ)
   ※YouTubeで聴いてきたNHK古典講座「紫式部
    日記」が忽然と消えた。NHK関連の著作権者
    側がアカウントごと消去したらしい。
    ウワー、突然こんなことがァ・・・愕然とし
    た。王朝日記シリーズでは更級日記、和泉式
    部日記、蜻蛉日記と聴いてきたが、それらは
    全部消えた。いずれ繰り返し聴くはずだった。

6/4sat
うこぎ味噌 作らず終いと いい給ふ
  (うこぎみそ つくらずじまいと いいたもう)
   ※格好の話題にうこぎ味噌が浮かび電話をした
    が、今年はとりやめたと。垣根の新芽がやや
    少なかったから様子を見ているうちに・・・、
    とのことだ。電話することが目的だった。
    うこぎの天ぷらが話題になった。ネットで買
    えるかな。

6/3fri
五月晴 早書き無理も 苦にならず
  (さつきばれ はやがきむりも くにならず)
   ※しゃちほこばって字を書くと手と指がこわば
    って、ひどい時には筆が暴走する。気をとり
    直して持ち直して書くと回復する。結構同じ
    症状の人がいるという。老化現象の一つとか。
    なに、緊張して字を書く機会なんて殆どない
    し、あってもゆっくり書けばいい。

6/2thu
あじさいや 慎重いまだ 剥がれざる
  (あじさいや しんちょういまだ はがれざる)

ドクダミの 節で曲りて 武骨なる
   (どくだみの ふしでまがりて ぶこつなる)

6/1wed
夏空や いとうあさこの 生きるって
  (なつぞらや いとうあさこの いきるって)
   ※ラジオのインタビュー番組で「いとうあさこ」
    を聞いた。最後半でこれからの抱負と訊かれ、
    ただ「生きる」、「生きること」って答えて
    いた。孤独な気っ風を感じたね。


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ダクタク句集2022年(令和4年)5月 [ダクタク2022年5月]

5/31tue
南瓜咲く 雄しべ貰いて 婿となす
  (かぼちゃさく おしべもらいて むことなす)
   ※初夏の間は虫たちに任せておけない。しかし
    雌しべと雄しべがタイミング良く揃わないこ
    とがある。そこで隣近所の畑に声をかける。

5/30mon
祭り化粧 見知らぬ顔と なりて笑む
  (まつりげしょう みしらぬかおと なりてえむ)

5/28sat
御用聞き バイクが登る 五月晴
  (ごようきき ばいくがのぼる さつきばれ)
   ※原付バイクと今も言うのか?軽いエンジン音
    でゆっくり急坂を登っていく。新緑の坂道。
    御用聞きに違いないと思った。御用聞き?今
    どき? あの音、ポンポン蒸気を思い出した。
    古いなァ。

5/27fri
風薫る さすが汀子の 遺文かな
  (かぜかおる さすがていこの いぶんかな)
   ※虚子の孫稲畑汀子がこの2月に亡くなった。
    父の後を継いでホトトギスの大所帯を切盛り
    した。最晩年の素直な句境は得難い。

5/26thu
空想は 卯の花髪に 飾る人
  (くうそうは うのはなかみに かざるひと)
   ※NHKの古典講読、王朝日記の世界はいよいよ
    「紫式部日記」に入った。散歩しながらYou
    Tubeで聞き流しするのだから、もとよりいい
    加減なものなのだが、何回か同じところを繰
    り返し聞くものだから何%かは頭に残る。原
    文に親しむには程遠いが・・・。
    既に終わった「更級日記」「和泉式部日記」
    「蜻蛉日記」に較べると、理解度がいいのは
    何故だろう。ホッとしている。

5/25wed
バイカウツギ バッハの森の ふところに
  (ばいかうつぎ ばっはのもりの ふところに)
   ※バッハのピアノ曲はもっぱらグールドで聴く
    ようになった。バッハとて最近はやや凝った、
    変形気味の演奏が目立つ中で、正統派の演奏
    を聴く思いがする。あのグールドがである。

5/24tue
蘇る バラはアーチを またぎ咲く
  (よみがえる ばらはあーちを またぎさく)

グールドの 親ほどになり 五月雨
  (ぐーるどの おやほどになり さつきあめ)
   ※一回り年長のグールドをその活躍の時代から
    愛聴している。50歳で急逝した彼は、今や自
    分の子供の年齢だ。高価なレコードはお宝も
    のだが、YouTubeで毎日のように違った彼を
    聴けるのも今日なればこそ。演奏しながらの
    ハミングというかうなりというべきか、これ
    もちゃんと残っている。(1932-1982)

5/23mon
泰山木 見上げるほどに 蕾増え
  (たいさんぼく みあげるほどに つぼみふえ)
   ※その蕾の小さいうちは葉裏の色と混じり合い
    わからない。5月20日を過ぎる辺りでと次
    々と大きくなり、真っ白な見事な蕾に、そし
    てやがて花開く。この季節に亡くなった母の
    記念樹と一人で決めている。

5/22sat
柿若葉 セピアな祖母の 顔ほどに
  (かきわかば せぴあなそぼの かおほどに)
   ※昔は写真はなんであれ貴重だった。黒いシー
    トの厚いアルバムに貼られた写真は枚数が限
    られたが故に、その時々を思い返す手段だっ
    た。それが今は・・・省略。

5/20fri
普段着を 詫びて淑女の バラの香を
  (ふだんぎを わびてしゅくじょの ばらのかを)
   ※バラ園は谷津遊園の跡地。遊園はライダーや
    プールなど先端の施設を誇ったが、昭和57年
    に閉園した。40年も前のことだ。

      行かばやと思いし園は白黒の
           写真となりてバラ園飾る

5/19thu
バラに寄す 皺ものびてる 至福かな
  (ばらによす しわものびてる しふくかな)
   ※開花の盛りを越えたというので急遽谷津バラ
    園に出掛けた。駐車場を心配したが、ウィー
    クデイの午後でなんなくセーフ。幸せそうな
    顔、顔がいっぱい。時間ゆっくり。

5/17tue
神田祭 女坂急を ものとせず
  (かんださい おんなざかきゅうを ものとせず)
   ※神田祭は今年2022年偶数年とかで陰祭。ハイ
    ライトのひとつ神輿宮入とかは行われなかっ
    た。境内からお囃子が聞こえてくると、明神
    下から女坂の石段を駆け上がる。比較的近く
    に住んでいた頃の、昔々のお話。

5/16mon
カレンダーに桃の摘果と書き込みぬ
  (かれんだーにもものてきかとかきこみぬ)
  ※晴れたら・・・、草むしり、カイガラムシ退治、
   ぶどう誘引、桃摘果と労働項目が増えていく。
   雨模様のままでもいいっていう気になってきた。

5/15sun
ジャガイモの 花は色あり 長雨よ
  (じゃがいもの はなはいろあり ながあめよ)

夕闇に カラー一列 浮かびおり
  (ゆうやみに からーいちれつ うかびおり)
  ※今年4月後半以降関東地方の南部は不純な天候
   が続く。ここ房総半島は長雨の後も曇りが続き、
   今日も雨模様。

5/14sat
梅雨前の なお梅雨らしき 雨雨が
  (つゆまえの なおつゆらしき あめあめが)

薔薇見行 晴れの予想に 恵まれず
  (ばらみこう はれのよそうに めぐまれず)

苗見やる 暇なき雨 線状の
  (なえみやる いとまなきあめ せんじょうの)


5/13fri
新緑や 名前をずっと 思い出しつつ
  (しんりょくやなまえをずっとおもいだしつつ)
  ※新緑は今が最高。家を出るときから或る人の名
   前が思い出せないままだ。目は新緑を愛でてい
   る。・・・夏めく、認知症めく。後期高齢者の
   暗記試験は満点だったのに・・・。

5/12thu
薔薇の花 吉事を待たず 咲き揃う
  (ばらのはな きちじをまたず さきそろう)

雨雲に追われ 野ばらの家の前
  (あまぐもにおわれ のばらのいえのまえ)

5/11wed
夏めいて 頭の吹き出 消えにけり
  (なつめいて あたまのふきで きえにけり)
  ※晴れた一日、この時節は寒くも暑くもなく、湿
   度も低いし、空気が澄んで正に薫風の光景。一
   番贅沢な一日。

5/9mon
青堀の 駅の前なる 古墳初夏
  (あおほりの えきのまえなる こふんしょか)
  ※千葉県は古墳の数では近畿諸府県に比しても遅
   れをとらぬ多さであるという。案内板、説明板
   の充実、メディアでのアピールなどPRに努めて
   いる。

5/8sun
年一度 筍掘りて 友となり
  (ねんいちど たけのこほりて ともとなり)

筍を 分けて竹婆の 友となり
  (たけのこを わけてちくばの ともとなり)

筍で 通じ壮なり 三品食い
  (たけのこで つうじそうなり みしなくい)
  ※当地の孟宗竹掘りはもう終盤。タケノコ三句。
   殆ど川柳だが、家内とその友に感謝。小生はお
   相伴に与っている。

5/6fri
立夏の日 カイガラムシの 蔓延れる
  (りっかのひ かいがらむしの はびこれる)

今ほどに 端午の写真 あらばこそ
  (いまほどに たんごのしゃしん あらばこそ)
  ※端午の節句に立派な武者人形の前で微笑む男の
   子の映像を見た。晴れの舞台にいい写真もムー
   ビーすら手軽に残せる時代だなと思ったが、今
   日どれだけの家庭でこうした節目節目のお祝い
   や、季節の催しをしているだろうか? ネック
   はお金ではない。

5/5thu
半袖や オランダ帰りの 鯉のぼり
  (はんそでや おらんだがえりの こいのぼり)

大凧や 駐車場行く 連法被
  (おおだこや ちゅうしゃじょういく れんはっぴ)

浜松や 大人の揚げる 凧の音
  (はままつや おとなのあげる たこのおと)
  ※5月連休後半に浜松の大凧上げが開催される。
   「浜松まつり」という。久しぶりのほぼフルバ
    ージョンとか。風がなければ凧が上がらず、
   あればあったで凧が乱舞して合戦ともなれば恐
   ろしいまでの音が響く。

5/4wed
蝶々が 世をば明るく してもなお
  (ちょうちょうが よおばあかるく してもなお)

店先の 春のブラウス 少し褪せ
  (みせさきの はるのぶらうす すこしあせ)

5/3tue
春愁を払いのけよと一日吹く
  (しゅんしゅうをはらいのけよとひとひふく)

春の雨 人犬濡れて 意気いまだ
  (はるのあめ ひといぬぬれて いきいまだ)
  ※今日は打って変わってきれいな晴れ日。気温も
   ぐんぐん上がる。当地観光地とされる所の一部
   をを巡回? どこも連休の人出という感じが戻
   っている。テークアウトの弁当をクルマの中で
   食べると、こちらも外出・外食をした気分にな
   った。

5/2mon
八十八夜 欠けたる急須 捨てられず
 (はちじゅうはちや かけたるきゅうす すてられず)

春昼や 鮮魚卸しは 店洗う
 (しゅんちゅうや せんぎょおろしは みせあらう)

5/1sun
バス停の あるコンビニに 春幟
  (ばすていの あるこんびにに はるのぼり)

春の風 今年一枚 耕さず
  (はるのかぜ ことしいちまい たがやさず)
  ※新たに休耕田かと思ったが、品種別の需給の関
   係だとか。一時は稲作担い手の減少・高齢化で
   休耕田が増え、やがて担い手の統合と耕作大規
   模化とで今はほぼ安定していると聞いていたが、
   様々な事情があるようだ。

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