ダクタク句集2020年(令和2年)5月 [ダクタク2020年5月]
5/31sun
鯖と煮る 蕗のうまさよ 卯月かな
(さばとにる ふきのうまさよ うづきかな)
※コロナ禍に振り回されないようにと思いつつ
も、変化のありようもないと思っていた自分
の生活が結局は多少の乱調を来していた。
これが5月末の感想。これは続きそう。
5/30sat
タチアオイ 初入道に 見染められ
(たちあおい はつにゅうどうに みそめられ)
※晴天続きだが、気温が高い分午後の天気が不
安定になる。真っ青な空を背景に、真っ白な
積乱雲がモコモコと湧き出した。なかなかの
男前と見た。
5/29fri
薫風や 教会の静寂に 身をゆだね
(くんぷうや きょうかいのしじまに みをゆだね)
炎天や 帆立の形 道に背に
(えんてんや ほたてのかたち みちにせに)
※7月下旬に終点サンティアゴ・デ・コンポス
テラの大聖堂では聖ヤコブの祝日ミサがある
から、そこを目指して巡礼を組む人が多いと
か。酷暑や荒天の日も多い。
柿若葉 アストゥリアスの 夏思ふ
(かきわかば あすとぅりあすの なつおもう)
※訪れたアストゥリアス州は海洋性気候の地で、
巡礼路のある地方とは山脈を挟んで全く異な
り、夏も比較的穏やかで緑が多い。
5/28thu
ピレネーを 五月に越える 銀の道
(ぴれねーを ごがつにこえる ぎんのみち)
五月雨や 大樹の下で 名乗り合う
(さみだれや たいじゅのしたで なのりあう)
※NHK-BSPでスペインの巡礼路の記録を見た。
3回連続。その昔スペインオタクを自称して
いた頃があり、いずれ近いうちに巡礼路をサ
ンティアゴ・デ・コンポステラまで踏破する
ことを信じて疑わなかった。近くのアストゥ
リアス州には2度出かけたのだが、本命の
「銀の道」には・・・、もうないなァ。
5/27wed
泰山木 登って切って 花賜ふ
(たいさんぼく のぼってきって はなたまう)
※今年も家内の友人の家から「タイサンボク」
の花が届いた。見事な花と数個の蕾がついて
いて、柑橘系の抑えた香りがする。気軽に花
を切るのと違うから、ご苦労と危険を押して
までのご好意に恐縮してしまう。
薄暗くても朝 タイサンボク花開く
(うすぐらくてもあさ たいさんぼくはなひらく)
昨日咲いていた花は夕方にはしぼみ、今朝6
時ころに見たら再び開いていた。何日間かこ
れを繰り返すのかな?と思ったが、今日日中
には蕊が落ちて大きな花びらもとれそう。
終わりに見える。
5/26tue
ていねいに 落花生植えし 解除の日
(ていねいに らっかせいうえし かいじょのひ)
あじさいの 揃いのマスク 登校日
(あじさいの そろいのますく とうこうび)
※まずは胸をなでおろす報道あり。途端に「日
本モデル」と称して自賛する論調もあり。
「百里を行く者は九十里を半ばとす」の例え
もある国なのだが。
5/25mon
蔦若葉 今年も描く 頃となり
(つたわかば ことしもえがく ころとなり)
※このところ絵を描いていない。長続きしない。
「家籠り」は自分のお家芸なのに、世の中が
不自然にこちらになびいてきたようで落ち着
かないのだ。
5/24sun
風薫り コロナのグラフに 頬ゆるみ
(かぜかおり ころなのぐらふに ほほゆるみ)
※緊急事態宣言解除の見通しがたってきた。離
れて立つ若いアナウンサーはニュースの間中
微笑みが絶えない。
5/23sat
遥けきや 風涼しかり リラの街
(はるけきや かぜすずしかり りらのまち)
※コロナの緊急事態の解除をめぐって屡々札幌
の街が映し出される。よく行ったのは40年
以上も前、北海道勤務はなつかしい。
5/22fri
新しき 目に青田風 さやさやと
(あたらしき めにあおたかぜ さやさやと)
※田植えから一か月。田をわたる風は目のごち
そう。家内が白内障の手術をして、こちらも
一か月。順調のようである。
5/21thu
鉢馬酔木 父祖伝来の 枝伸ばし
(はちあしび ふそでんらいの えだのばし)
※20年以上前、父が鉢ごと抱えて持ってきて
くれたもの。その時以前からのものだから相
当長生きである。現在は地植え。鉢のままだ
ったら価値が出たかも。
遺品のようなものである。花が咲くとピンポ
ンと父が来る。
5/20wed
桃の実や 妻は摘果の 手を緩め
(もものみや つまはてきかの てをゆるめ)
※桃の実は至極順調のように見える。年々の収
穫は大きな凸凹があるのに、今年こそは最高
の出来が実現するのではと皮算用してしまう。
作業前は半分ほど実を落とそうと目安を立て
るのだが、その半分ほども減らしていない。
あの欲張りめが・・・。
5/19tue
芍薬の 花の重さ知る 七十五
(しゃくやくの はなのおもさしる ななじゅうご)
※しなやかそうでも細い茎は大きな八重の花の
重みに耐えきれずに撓り、花たちは地面に顔
を伏せている。美しい花の代表格でも恥じら
うように。
5/17sun
五月場所 太鼓響きて 遠のきぬ
(ごがつばしょ たいこひびきて とおのきぬ)
楠若葉 グランドの隅で 球磨く
(くすわかば ぐらんどのすみで たまみがく)
※大相撲も夏の甲子園大会も中止に。高校野球
は各県での予選が例年なら始まる頃だから、
当然やむを得ない。しかし球児たちの大会に
かける熱情を思うとやり切れない。
5/16sat
夕焼けや 琉球月見草の ピンクかな
(ゆうやけや りゅうきゅうつきみそうの ぴんくかな)
※ネモフィラのピンク版かな?と思って名前を
尋ねたことを覚えている。全然違うと笑われ
たが。昼咲き月見草というのが正式名称とか。
5/15fri
薫風や 車椅子押す 人に吹く
(くんぷうや くるまいすおす ひとにふく)
※看護師が患者を外に連れ出しているらしい。医
療従事者が大変な状況にあるのはどこでも同じ
だろう。白い看護服がまぶしい。
5/14thu
柏餅 コンビニ詰るも うまければ
(かしわもち こんびになじるも うまければ)
※季節の食品、菓子なども普通にコンビニで売る
ようになった。「本物ではないッ」などと眉を
ひそめていた守旧派の人々も、次第におとなし
くなってきている。そういえばコーヒー党もか
なり懐柔されたとか。うまければ簡便がいいの
か?
母ついぞ 柏餅には 見向きせず
(ははついぞ かしわもちには みむきせず)
※男の節句の餅菓子、東日本では柏餅、西日本で
は粽(ちまち)が多いとか。故郷の会津では毎
年欠かさずに母が作った。それは笹団子と角巻。
後者はもち米を笹の葉でくるんで蒸したもの。
5/13wed
矢車草 透明な青を 今朝見たり
(やぐるまそう とうめいなあおを けさみたり)
※昨年9月の台風被害のショックで、人間のみな
らず植物一般がかなりの変調を来した例を昨秋
以来様々に目にしてきたが、この春はその分を
取り戻そうとするかのように花々、木々ともに
勢いがある。まだブルーシートを被った家があ
るのとは対照的だ。
5/12tue
ヤマボウシ マスクをふたつ 洗いけり
(やまぼうし ますくをふたつ あらいけり)
※数少ない庭の山法師、いつも一番早く花をつ
けるお宅がある。これを見て10日ほどした
ら、袖ケ浦公園のヤマボウシの並木道が見ご
ろとなる。ヒマな年寄りの花暦。
5/11mon
筍飯 今年遅きを 忘れけり
(たけのこめし ことしおそきを わすれけり)
※有力な「筍いただきルート」を失った家内は
早めに買ったりしない。私の督促を生半可な
返事で受け流し、旬も旬値段が下がった頃に
なって・・・。
5/9sat
草餅や 香り強くと 企みぬ
(くさもちや かおりつよくと たくらみぬ)
※家人が借りている畑の仲間は同年配の人が多
い。数人が年齢と体力を理由にやめることに
なった。後をやる人もなく寂しい限りだ。こ
れを機会に畑の割り振りを変えたとかで、随
分広くなってびっくりした。家人は「いつま
で続けられるかな?」とか言いつつも意気軒
高なご様子。祝着。労働のシワ寄せが心配。
5/8fri
五月晴れ 国が認めし 家籠り
(さつきばれ くにがみとめし いえごもり)
※天気が良いと、畑に行こうとか、草むしりし
ろと言われたり、自分でも好天気に家にいる
のはちょっと後ろめたいなァとか、どこか気
持ちが落ち着かないものだ。
しかし今は? この手の強制はいいものだ。
安心して家籠り三昧。極楽。
5/7thu
見上げるは 冬に繕いし 藤の棚
(みあげるは ふゆにつくろいし ふじのたな)
藤の花 蜂入りしまま 迷路かな
(ふじのはな はちいりしまま めいろかな)
※藤の花は見事だが、見上げるこの家の人の視
線は花よりも頑丈な藤棚に注がれているので
は?と思った。この冬、私がぶどうの棚を再
建(?)していた頃、同年配の彼は一生懸命藤
棚を修理していた。寒さにめげずに作った棚
は花やぶどうにも勝る。と思う。
5/6wed
友ありて 独居老人と なりし春
(ともありて どっきょろうじんと なりしはる)
※高齢の母親を見送り、近くに暮らしていたパ
ートナーとも引き離され、急転直下独り身と
なった。後期高齢者。
妹が運んでくれる食材が頼り。多くを外食で
済ませているらしい。自炊?野菜摂取?など
てんで受け付けない。今日も電話でなにを食
ったかを尋ねる。
5/5tue
春愁や 犬は十五で わしゃ八十
(しゅんしゅうや いぬはじゅうごで わしゃはちじゅう)
※これは今から5年後の年勘定である。飼い始
めるときに、この問いを自分にして納得づく
だった。今にして思えばと後悔しているので
はないが、散歩大好きの二人(一人+一匹)
がこの先どうなるかは、不安が全くないわけ
ではない。「老人度」がうまく同じくらいで
進めば、一番長続きするのかも。
5/4mon
荷風忌や 浅草参りは 控えしか
(かふうきや あさくさまいりは ひかえしか)
※4/30は永井荷風の忌日。戦後すぐから没年の
昭和34年まで市川市に住んで、足繁く浅草に
通った。全く閑散とした浅草を見たらなんと
言うだろう。
5/3sun
おさえめに 八十八夜の くしゃみかな
(おさえめに はちじゅうはちやの くしゃみかな)
※異常なほどの暑さだ。夕方薄着をしていたら
途端にくしゃみが・・・。散歩の人々から睨
まれるからおさえたのだが。
5/2sat
小さき字で 街の患者増え 春惜しむ
(ちさきじで まちのかんじゃふえ はるおしむ)
※いよいよ長期戦の構えだ。試練だ、国の底力
が、国民の性情が問われている・・・とか、
様々な意見や感想が報じられる。それらを悠
揚と受け入れるだけの覚悟が必要な時かも。
5/1fri
コロナいつ わからぬ問いを さくらんぼ
(ころないつ わからぬといを さくらんぼ)
※緊急事態の解除をどうするか、をめぐっての
国会の中継を見た。先の見えない状況で質疑
自体が不毛だと思うが、首相も大変だ。やや
疲労の色が・・・。
と言いつつ、なにかの拍子についつい愚痴っ
てしまうのは「コロナはいつまで?」だ。
鯖と煮る 蕗のうまさよ 卯月かな
(さばとにる ふきのうまさよ うづきかな)
※コロナ禍に振り回されないようにと思いつつ
も、変化のありようもないと思っていた自分
の生活が結局は多少の乱調を来していた。
これが5月末の感想。これは続きそう。
5/30sat
タチアオイ 初入道に 見染められ
(たちあおい はつにゅうどうに みそめられ)
※晴天続きだが、気温が高い分午後の天気が不
安定になる。真っ青な空を背景に、真っ白な
積乱雲がモコモコと湧き出した。なかなかの
男前と見た。
5/29fri
薫風や 教会の静寂に 身をゆだね
(くんぷうや きょうかいのしじまに みをゆだね)
炎天や 帆立の形 道に背に
(えんてんや ほたてのかたち みちにせに)
※7月下旬に終点サンティアゴ・デ・コンポス
テラの大聖堂では聖ヤコブの祝日ミサがある
から、そこを目指して巡礼を組む人が多いと
か。酷暑や荒天の日も多い。
柿若葉 アストゥリアスの 夏思ふ
(かきわかば あすとぅりあすの なつおもう)
※訪れたアストゥリアス州は海洋性気候の地で、
巡礼路のある地方とは山脈を挟んで全く異な
り、夏も比較的穏やかで緑が多い。
5/28thu
ピレネーを 五月に越える 銀の道
(ぴれねーを ごがつにこえる ぎんのみち)
五月雨や 大樹の下で 名乗り合う
(さみだれや たいじゅのしたで なのりあう)
※NHK-BSPでスペインの巡礼路の記録を見た。
3回連続。その昔スペインオタクを自称して
いた頃があり、いずれ近いうちに巡礼路をサ
ンティアゴ・デ・コンポステラまで踏破する
ことを信じて疑わなかった。近くのアストゥ
リアス州には2度出かけたのだが、本命の
「銀の道」には・・・、もうないなァ。
5/27wed
泰山木 登って切って 花賜ふ
(たいさんぼく のぼってきって はなたまう)
※今年も家内の友人の家から「タイサンボク」
の花が届いた。見事な花と数個の蕾がついて
いて、柑橘系の抑えた香りがする。気軽に花
を切るのと違うから、ご苦労と危険を押して
までのご好意に恐縮してしまう。
薄暗くても朝 タイサンボク花開く
(うすぐらくてもあさ たいさんぼくはなひらく)
昨日咲いていた花は夕方にはしぼみ、今朝6
時ころに見たら再び開いていた。何日間かこ
れを繰り返すのかな?と思ったが、今日日中
には蕊が落ちて大きな花びらもとれそう。
終わりに見える。
5/26tue
ていねいに 落花生植えし 解除の日
(ていねいに らっかせいうえし かいじょのひ)
あじさいの 揃いのマスク 登校日
(あじさいの そろいのますく とうこうび)
※まずは胸をなでおろす報道あり。途端に「日
本モデル」と称して自賛する論調もあり。
「百里を行く者は九十里を半ばとす」の例え
もある国なのだが。
5/25mon
蔦若葉 今年も描く 頃となり
(つたわかば ことしもえがく ころとなり)
※このところ絵を描いていない。長続きしない。
「家籠り」は自分のお家芸なのに、世の中が
不自然にこちらになびいてきたようで落ち着
かないのだ。
5/24sun
風薫り コロナのグラフに 頬ゆるみ
(かぜかおり ころなのぐらふに ほほゆるみ)
※緊急事態宣言解除の見通しがたってきた。離
れて立つ若いアナウンサーはニュースの間中
微笑みが絶えない。
5/23sat
遥けきや 風涼しかり リラの街
(はるけきや かぜすずしかり りらのまち)
※コロナの緊急事態の解除をめぐって屡々札幌
の街が映し出される。よく行ったのは40年
以上も前、北海道勤務はなつかしい。
5/22fri
新しき 目に青田風 さやさやと
(あたらしき めにあおたかぜ さやさやと)
※田植えから一か月。田をわたる風は目のごち
そう。家内が白内障の手術をして、こちらも
一か月。順調のようである。
5/21thu
鉢馬酔木 父祖伝来の 枝伸ばし
(はちあしび ふそでんらいの えだのばし)
※20年以上前、父が鉢ごと抱えて持ってきて
くれたもの。その時以前からのものだから相
当長生きである。現在は地植え。鉢のままだ
ったら価値が出たかも。
遺品のようなものである。花が咲くとピンポ
ンと父が来る。
5/20wed
桃の実や 妻は摘果の 手を緩め
(もものみや つまはてきかの てをゆるめ)
※桃の実は至極順調のように見える。年々の収
穫は大きな凸凹があるのに、今年こそは最高
の出来が実現するのではと皮算用してしまう。
作業前は半分ほど実を落とそうと目安を立て
るのだが、その半分ほども減らしていない。
あの欲張りめが・・・。
5/19tue
芍薬の 花の重さ知る 七十五
(しゃくやくの はなのおもさしる ななじゅうご)
※しなやかそうでも細い茎は大きな八重の花の
重みに耐えきれずに撓り、花たちは地面に顔
を伏せている。美しい花の代表格でも恥じら
うように。
5/17sun
五月場所 太鼓響きて 遠のきぬ
(ごがつばしょ たいこひびきて とおのきぬ)
楠若葉 グランドの隅で 球磨く
(くすわかば ぐらんどのすみで たまみがく)
※大相撲も夏の甲子園大会も中止に。高校野球
は各県での予選が例年なら始まる頃だから、
当然やむを得ない。しかし球児たちの大会に
かける熱情を思うとやり切れない。
5/16sat
夕焼けや 琉球月見草の ピンクかな
(ゆうやけや りゅうきゅうつきみそうの ぴんくかな)
※ネモフィラのピンク版かな?と思って名前を
尋ねたことを覚えている。全然違うと笑われ
たが。昼咲き月見草というのが正式名称とか。
5/15fri
薫風や 車椅子押す 人に吹く
(くんぷうや くるまいすおす ひとにふく)
※看護師が患者を外に連れ出しているらしい。医
療従事者が大変な状況にあるのはどこでも同じ
だろう。白い看護服がまぶしい。
5/14thu
柏餅 コンビニ詰るも うまければ
(かしわもち こんびになじるも うまければ)
※季節の食品、菓子なども普通にコンビニで売る
ようになった。「本物ではないッ」などと眉を
ひそめていた守旧派の人々も、次第におとなし
くなってきている。そういえばコーヒー党もか
なり懐柔されたとか。うまければ簡便がいいの
か?
母ついぞ 柏餅には 見向きせず
(ははついぞ かしわもちには みむきせず)
※男の節句の餅菓子、東日本では柏餅、西日本で
は粽(ちまち)が多いとか。故郷の会津では毎
年欠かさずに母が作った。それは笹団子と角巻。
後者はもち米を笹の葉でくるんで蒸したもの。
5/13wed
矢車草 透明な青を 今朝見たり
(やぐるまそう とうめいなあおを けさみたり)
※昨年9月の台風被害のショックで、人間のみな
らず植物一般がかなりの変調を来した例を昨秋
以来様々に目にしてきたが、この春はその分を
取り戻そうとするかのように花々、木々ともに
勢いがある。まだブルーシートを被った家があ
るのとは対照的だ。
5/12tue
ヤマボウシ マスクをふたつ 洗いけり
(やまぼうし ますくをふたつ あらいけり)
※数少ない庭の山法師、いつも一番早く花をつ
けるお宅がある。これを見て10日ほどした
ら、袖ケ浦公園のヤマボウシの並木道が見ご
ろとなる。ヒマな年寄りの花暦。
5/11mon
筍飯 今年遅きを 忘れけり
(たけのこめし ことしおそきを わすれけり)
※有力な「筍いただきルート」を失った家内は
早めに買ったりしない。私の督促を生半可な
返事で受け流し、旬も旬値段が下がった頃に
なって・・・。
5/9sat
草餅や 香り強くと 企みぬ
(くさもちや かおりつよくと たくらみぬ)
※家人が借りている畑の仲間は同年配の人が多
い。数人が年齢と体力を理由にやめることに
なった。後をやる人もなく寂しい限りだ。こ
れを機会に畑の割り振りを変えたとかで、随
分広くなってびっくりした。家人は「いつま
で続けられるかな?」とか言いつつも意気軒
高なご様子。祝着。労働のシワ寄せが心配。
5/8fri
五月晴れ 国が認めし 家籠り
(さつきばれ くにがみとめし いえごもり)
※天気が良いと、畑に行こうとか、草むしりし
ろと言われたり、自分でも好天気に家にいる
のはちょっと後ろめたいなァとか、どこか気
持ちが落ち着かないものだ。
しかし今は? この手の強制はいいものだ。
安心して家籠り三昧。極楽。
5/7thu
見上げるは 冬に繕いし 藤の棚
(みあげるは ふゆにつくろいし ふじのたな)
藤の花 蜂入りしまま 迷路かな
(ふじのはな はちいりしまま めいろかな)
※藤の花は見事だが、見上げるこの家の人の視
線は花よりも頑丈な藤棚に注がれているので
は?と思った。この冬、私がぶどうの棚を再
建(?)していた頃、同年配の彼は一生懸命藤
棚を修理していた。寒さにめげずに作った棚
は花やぶどうにも勝る。と思う。
5/6wed
友ありて 独居老人と なりし春
(ともありて どっきょろうじんと なりしはる)
※高齢の母親を見送り、近くに暮らしていたパ
ートナーとも引き離され、急転直下独り身と
なった。後期高齢者。
妹が運んでくれる食材が頼り。多くを外食で
済ませているらしい。自炊?野菜摂取?など
てんで受け付けない。今日も電話でなにを食
ったかを尋ねる。
5/5tue
春愁や 犬は十五で わしゃ八十
(しゅんしゅうや いぬはじゅうごで わしゃはちじゅう)
※これは今から5年後の年勘定である。飼い始
めるときに、この問いを自分にして納得づく
だった。今にして思えばと後悔しているので
はないが、散歩大好きの二人(一人+一匹)
がこの先どうなるかは、不安が全くないわけ
ではない。「老人度」がうまく同じくらいで
進めば、一番長続きするのかも。
5/4mon
荷風忌や 浅草参りは 控えしか
(かふうきや あさくさまいりは ひかえしか)
※4/30は永井荷風の忌日。戦後すぐから没年の
昭和34年まで市川市に住んで、足繁く浅草に
通った。全く閑散とした浅草を見たらなんと
言うだろう。
5/3sun
おさえめに 八十八夜の くしゃみかな
(おさえめに はちじゅうはちやの くしゃみかな)
※異常なほどの暑さだ。夕方薄着をしていたら
途端にくしゃみが・・・。散歩の人々から睨
まれるからおさえたのだが。
5/2sat
小さき字で 街の患者増え 春惜しむ
(ちさきじで まちのかんじゃふえ はるおしむ)
※いよいよ長期戦の構えだ。試練だ、国の底力
が、国民の性情が問われている・・・とか、
様々な意見や感想が報じられる。それらを悠
揚と受け入れるだけの覚悟が必要な時かも。
5/1fri
コロナいつ わからぬ問いを さくらんぼ
(ころないつ わからぬといを さくらんぼ)
※緊急事態の解除をどうするか、をめぐっての
国会の中継を見た。先の見えない状況で質疑
自体が不毛だと思うが、首相も大変だ。やや
疲労の色が・・・。
と言いつつ、なにかの拍子についつい愚痴っ
てしまうのは「コロナはいつまで?」だ。