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ダクタク2020年4月 ブログトップ

ダクタク句集2020年(令和2年)4月 [ダクタク2020年4月]

4/30thu
鐘楼の 際に保健所 ありて春
     (しょうろうの きわにほけんじょ ありてはる)
        ※各地の保健所が映し出され、故郷の子供時代
         の保健所が思い出された。城下町の外濠に沿
         った重要な郭門があったところで、石垣が残
         り、その上に鐘撞堂の建物があった。
         そのすぐ近くに、通りからは奥まって保健所
         があった。たったそれだけのことなのだが、
         この季節には前庭のサクラが目に浮かぶ。

4/28tue
勢いは ツルエンドウの 高さかな
     (いきおいは つるえんどうの たかさかな)
        ※身の回りで勢いのあるものがもう一つ、2週
         間前から伸ばし始めたヒゲ。慣れない手つき
         で毎日あれこれいじっている。ひまつぶし。
         コロナ禍、ステイホーム記念になにかを始め
         たことになるかと・・・、アホな考え。

4/27mon
やめし田は 紋白蝶と 風の音
     (やめしたは もんしろちょうと かぜのおと)
        ※借りている畑のすぐ横に広がる水田は、家内
         の小中学校時代の同級生のもの。年齢だし病
         気をしたので今年は耕作を減らす決心をした。

4/26sun
手に下げた 早生の新玉 家路かな
     (てにさげた わせのしんたま いえじかな)
        ※ゴールデンウィーク最初の週末、街中もアク
         アラインもクルマは驚くほど少ない。

4/25sat
家籠り 態勢とうに 春更けて
     (いえごもり たいせいとうに はるふけて)

コロナ禍や 人離れ立ち 春送る
     (ころなかや ひとはなれたち はるおくる)
        ※かつてない苦境にあり、暮らしのありようは
         一変しているのだが、どこかまだゆとりはあ
         るようだ。なにを優先させるべきかの行動に
         関する判断が冷静に行われている、と思う。

4/24fri
振り向けば 少女なりけり 鋤起こし
     (ふりむけば しょうじょなりけり くわおこし)
        ※手入れされていない畑を見知らぬ若い女性が
         耕している。もう年齢だからと迷っていた人
         の後継者?孫か? 耕運機を押してお手伝い
         しようというジイサマがきっと現れる。コロ
         ナ禍で静か過ぎる畑に一陣の風が。

4/23thu
苗を積む 妻のやる気は ほとばしり
     (なえをつむ つまのやるきは ほとばしり)
        ※当地は方々で田植えが始まっている。兼業の
         家は夫が家にいる日が多くなり、例年になく
         作業がはかどっているようだ。

4/22wed
目癒えて オダマキの露 小さかり
     (めいえて おだまきのつゆ ちいさかり)
        ※家内が白内障の手術を終えた。視力は回復と
         いえども、長いこと見えなかった細かいとこ
         ろまではっきり見えると喜んでいる。 庭や
         花を好む者としては値千金だ。ただし、草む
         しりは暫く禁じられている。

4/21tue
健啖の ジージが立てたる 幟かな
     (けんたんの じーじがたてたる のぼりかな)
        ※息子に家業を譲った老造園師がいる。老とい
         ってもこちらより若そうだし、なにせ目力が
         すごい。話したことはない。彼が孫のために
         立てた鯉のぼり用の竿が半端ない。アルミ製
         だが余りに長すぎだ。下部だけでは支えきれ
         ずに高さの半分辺りから地面にワイヤーで支
         えをとった。なるほどと思ったが、鯉が絡ん
         でしまうよと心配した。
         果してその通りになった。順々に絡んで、一
         番上の吹き流しまでしっかり竿に絡んでいる。
         フフ・・・笑いながら通り過ぎる。

4/19sun
夕まぐれ クレマチス白き 雨後の舞い
     (ゆうまぐれ くれまちすしろき うごのまい)

オダマキや 一日揺れて なお勁き
     (おだまきや いちにちゆれて なおつよき)
        ※朝早くからほぼ一日強い雨と風が続いた。

4/17fri
春宵や テレビに見入る 髭を撫で
     (しゅんしょうや てれびにみいる ひげをなで)
        ※コロナ禍は全国に広がる様相。腹をくくって
         いるのだが、どうにもならない。行きつけの
         床屋の親父が入院中で髪ボーボーなのに加え、
         ヒゲソリが突然死したため、髭も伸び放題。
         これではコロナで入院しても、いよいよの場
         合ICUに入れて貰えないと家内からは極め
         て不評。

4/16thu
アパートから 美肌の少女 風光る
     (あぱーとから びはだのしょうじょ かぜひかる)
        ※コロナ禍の先は見えない。地方都市でも家ご
         もりが定着してきた。トントンと軽やかにお
         りて来た娘は初めて見る顔。全く悪いことば
         かりでもない。

4/14tue
花おぼろ 十三参りの 虚空蔵
     (はなおぼろ じゅうさんまいりの こくうぞう)
        ※数え年齢13歳の春に会津柳津町の虚空蔵様に
         母に連れられ行った。満々と水を湛えた只見
         川の色が恐ろしいばかりだった。満開の桜の
         記憶はない。参詣の土産の定番は黄色いアワ
         マンジュウ、実は母親が大好きなことを知っ
         ていた。だから心配はなかったけれども、叱
         られるまで何回も督促した。

4/13mon
啄木忌 三年不作の 柿新葉
     (たくぼくき さんねんふさくの かきしんば)
        ※例年より春の木々、花々の勢いが強いように
         思う。貰い物のトルコ桔梗が玄関にある。

     夕暮れに 白き花買ふ 啄木忌     藤原紅
     宗次郎に おかねが泣きて くどきおり
              大根の花 白き夕暮れ 啄木

4/12sun
斃れたる ぶどうの新葉 二つ三つ
     (たおれたる ぶどうのしんば ふたつみつ)
        ※昨年の台風で滅茶苦茶になった棚を修復し、
         冬の間に枝を誘引しておいた。ショック死し
         たのではと心配したが、いつもの新葉が顔を
         見せた。今年は収穫よりも養生第一で行こう。

4/11sat
春風や つましきも快 然りかな
     (しゅんぷうや つましきもかい しかりかな)

春風や 世に飽きしとも 恙なき
     (はるかぜや よにあきしとも つつがなき)
        ※世の中音をたてて変動しつつあるのだが、こ
         の静かな暮らしは望んだわけでもないのに、
         まあ外見至極波静かである。身体の方も自信
         がなかったわりには人一倍順調だ。
         なんだろう? 外濠はすべて順調で埋め尽く
         されている。

4/10fri
テレワーク 常より余裕の 田植え前
     (てれわーく つねよりゆとりの たうえまえ)

テレワークという名で 永き日を送る
     (てれわーくというなで ながきひをおくる)
        ※これだけの、大きな社会事件となっているの
         に、身の回りの変化は至って小さい。もとも
         と365日外出自粛しているようなもの。む
         ずがゆいような違和感あり。

4/9thu
半呆けが いいという人 さくら餅
     (はんぼけが いいというひと さくらもち)
        ※良いことも悪いことも何が起こるかわからな
         い。ハンボケが一番いい。なるほど、と思わ
         ず唸ってしまった。

4/8wed
春宵や 謡の会なる 旦那衆
     (しゅんしょうや うたいのかいなる だんなしゅう)
        ※家業が多少傾こうとも、コロナウィルスが世
         に蔓延ろうとも、浮世離れのひと時を趣味に
         現を抜かす・・・。地方の商家の旦那はかく
         あるべし。いつの時代の話?

4/7tue
篝火草 非常事態の 出し夕べ
     (かがりびそう ひじょうじたいの でしゆうべ)
        ※非常事態が宣言されると、日常の中に居座っ
         たコロナ禍の如何に常ならざるかを改めて感
         じさせられる。

4/6mon
運転し 杖で通院 今朝の春
     (うんてんし つえでつういん けさのはる)
        ※一日入院した家内の病室から通院する人々と
         満開の桜を眺めていた。地方ではクルマの運
         転が暮らしに欠かせないという議論はよくあ
         るが、地方に限らず歩けない人が自分の意志
         で移動する手段としてのクルマという側面も
         あるなァ。以前に脚が全く使えない人の運転
         するクルマに乗ったことがある。もちろん特
         別仕様車。自分の運転より余程安全に感じた
         ことだった。

4/5sun
雨ならば あの道行かむ 花ズオウ
     (あめならば あのみちいかむ はなずおう)

毎夜見る 知事の見比べ 花見席
     (まいやみる ちじのみくらべ はなみせき)
        ※毎晩夕方のニュースでコロナ感染者に関する
         都道府県知事の会見の様子が報じられる。い
         つのまにか各知事の担当となってしまった。
         競演である。今更副知事とかに任せられない。

4/4sat
春の雨 融通寺町と 声に出す
     (はるのあめ ゆうずうじまちと こえにだす)
        ※雨の朝意味もなく生まれた町を思い出した。
         城下町会津若松に初めて城を築いたのは芦田
         氏。その芦田氏が、城が完成する迄の仮の館
         と小さな寺を建立したのがわが出生せし町。
         今は別な場所に移築された寺の名が融通寺で
         ある。とまあ・・・町名の由来を学んだのは
         いつのことだったか?

4/3fri
コロナ禍や わが絵ひとしお おとなしく
     (ころなかや わがえひとしお おとなしく)

言葉なく 春の展示を 仕舞いけり
     (ことばなく はるのてんじを しまいけり)

願わくは 春の遊びを 春色に
     (ねがわくは はるのあそびを はるいろに)
        ※雨の中、春の作品展を閉じ搬出した。図書館
         は閉鎖中だから、ギャラリーを訪れた人も前
         年の3分の1ほど。なんとも湿っぽい。
         絵も句も出来の悪いのはコロナのせい。

4/2thu
春霞 バブル世代の 白髪かな
     (はるがすみ ばぶるせだいの しらがかな)
        ※会社勤務時代に入社した若き後輩の顔をテレ
         ビで見た。面影はあるが、髪の毛がなんとも
         信じられない。立派になってと月並みなこと
         を言ってみたが、これエープリルフールかと
         も思った。

四月バカ 喜ぶ年齢を とうに越え
     (しがつばか よろこぶとしを とうにこえ)

4/1wed
山笑う 晩学という 言葉知る
     (やまわらう ばんがくという ことばしる)
        ※今日から新年度。地味な目標ならないことも
         ないけれど、「晩学」という言葉は・・・と
         てもとても発奮の材料にならない。この言葉
         は、「晩学といえども碩学に昇る」とか、年
         齢をとってからでも自分の意志で学び、なに
         かを得た人のことを指すようだ。
         "Not too Late"くらいかなァ。最高の言葉。

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