ダクタク句集2020年(令和2年)1月 [ダクタク2020年1月]
1/31fri
師はこぼす 身内の哀しさ 冬薔薇
(しはこぼす みうちのかなしさ ふゆそうび)
※女先生が女性会員にひそひそとぼやいている。
静かなデッサンの最中だから、少し聞こえる。
「あの子は私とずうっと暮らしたいなんて言
っていたのよ。それが・・・」「食べ物のウ
ラミは切ないね」、妹との諍いのようだ。
犬も食わないの一種かな? 肝心なところが
聞こえない。ついつい筆がとまってしまう。
1/30thu
丹沢は 遥かに白の 帯となり
(たんざわは はるかにしろの おびとなり)
※冷えた夜の翌朝、富士山は五合目辺りまで白
くなり、丹沢もやっと横長に白がつながる。
これもつかの間、たった一日の晴天で白が途
切れる。降雪も寒さも半端だなァ。
漢詩など ふと口にする 寒さなか
(かんしなど ふとくちにする かんさなか)
1/29wed
雪払う ザル屋の後家が 店仕舞う
(ゆきはらう ざるやのごけが みせしまう)
※いつも我が家の犬に話しかけるおばさんが忙
しく店じまいをしている。今日は夜にかけま
すます天気は悪くなる。
臆病な オオバンのみか 寒の川
(おくびょうな おおばんのみか かんのかわ)
1/28tue
冬日和 モンマルトルを 語る人
(ふゆびより もんまるとるを かたるひと)
裸木が パリの憂鬱を うつつとし
(はだかぎが ぱりのゆううつ うつつとし)
※パリの1月に旅行してきた人と会った。次々
とスマホの写真を見せてくれる。名物の並木
道は裸木の行列。寒い時こそパリの味とか。
そうかなァ・・・。コタツが恋しくはなかっ
たか? 負け惜しみ?
1/27mon
大吟醸 わが句のごとくに 歩留れり
(だいぎんじょう わがくのごとくに ぶどまれり)
※大吟醸の仕込みは今が最終期だとか。原料の
玄米1に対し使う精米0.5以下らしい。こ
れが精米歩合。自慢ではないが、私の作句は
それをずっと下回る歩留まりだ。モノになる
のは5つに1句あるかどうか? 超大吟醸?
酒造りでは米を削ることを「磨く」という。
畑にて 見咎められぬ 焚火かな
(はたけにて みとがめられぬ たきびかな)
1/26sun
冬おじや コゲせがむ子の 微熱かな
(ふゆおじや こげせがむこの びねつかな)
セピア色の 友いできたり 冬時雨
(せぴあいろの ともいできたり ふゆしぐれ)
※冷たい雨が朝からやまない。こんな日はレコ
ードを聴くに限ると言いたいが、数年前から
面倒になってご無沙汰。CDすら同様だ。
パソコンで好きな曲の原名を調べ、YouTubeで
検索すると、古今の名演が一瞬のうちにずら
りと出てくる。4KとかHDと添えてやるとライ
ブの演奏も。よりどりみどり。
モノグサには良い時代になった。どうにか間
に合った感じ。音質はこの際贅沢を言わない。
1/25sat
小兵よく アンコ平らげ 冬の場所
(こひょうよく あんこたいらげ ふゆのばしょ)
両国に 冬のどよめき 足を取る
(りょうごくに ふゆのどよめき あしをとる)
※横綱不在、大関目減りの初場所は、意外や平
幕力士の優勝争いが面白く、更に小さな炎鵬
が大活躍を見せて、TV桟敷を喜ばせている。
「柔よく剛を制す」は最早柔道よりも相撲の
キャッチコピーとなるかも。
1/24fri
冬仕事 花あるうちに 垣根編む
(ふゆしごと はなあるうちに かきねあむ)
※昨年の台風で跡形もなくなった垣根を復旧す
る。造園屋に取り寄せてもらった竹を刻み刻
み、自分でやる。作り方は予めネットで調べ
てある。殊に難しいのが棕櫚縄の結び方、何
回見たことか? 苦戦と努力の結果は、素晴
らしいものだ。山茶花が褒めてくれる。
1/22wed
内陣で 少女は受験 阿弥陀堂
(ないじんで しょうじょはじゅけん あみだどう)
※市原から勝浦に向かう
国道沿いに、西願寺阿弥
陀堂がある。寺といって
も里の入り口、田んぼ近
くにお堂があるだけ。県
の指定文化財。近所の家
が管理を委託されている。
訪れた夕暮れ時、その家
の中学生の娘が裸電球だ
けの暗い中で机に向かっ
て受験勉強していた。
親曰く「この子は根性が
あるから・・・ココが一番って言うんです」と。阿弥陀様
の傍で勉強すれば間違いないとは思ったが、秋深くなる頃
暖房も出来ないとかで、とにかくびっくりした。
1/21tue
悴むも 昨夜の絵なお 直したき
(かじかむも さくやのえなお なおしたき)
※冬景色を描いているのだが、なかなか寒さ、
冷たさが表せない。いろいろやって見るが、
やり過ぎて塗り重ねたら収拾不可能になる。
1/20mon
大寒や クレーン車今年 動かざる
(だいかんや くれーんしゃことし うごかざる)
※近くに重機リース屋の置き場がある。昨年末
までは大忙しで殆どが出払っていたのに、今
年はずらっと並んだままだ。昨年来の工事や
建築需要が一段落したのか、2月にかけて冬
の閑散期なのか?
1/19sun
母送り 独り身の友の 凍え声
(ははおくり ひとりみのともの こごえごえ)
※今年はさびしいお正月。東京は根津神社近く
の一軒家。都電の音が坂下からチンチンと聞
こえ、子供らが駆け、初詣客の話し声がする
のでは?という冗談に、「なんのこと?」
「何にも聞こえない。クルマの音だけだ」と。
1/18sat
手作りの 木椅子冷たき 寒の朝
(てづくりの きいすつめたき かんのあさ)
※ファーマーズチェア
(farmers chair,peasant chair)
という名で呼ばれる素
朴な味わいの椅子が欧
米にある。民芸調とい
ったらいいか。
それを真似て20年ほ
ど前に作ったもの。こ
の頃になって、ちょっ
と自慢したい一品に。
1/16thu
待ちかねて オオバンのみか 日脚伸ぶ
(まちかねて おおばんのみか ひあしのぶ)
※夕方の川面にはオオバンのみ。例年のマガモ
の姿はない。もう日が長くなってきているの
に。
コンビニの 袋持ていつも 冬灯り
(こんびにの ふくろもていつも ふゆあかり)
※近くのコンビニで勤め帰りに買い物をして、
我が家の前を定刻に通る若者がいる。今日は
袋が大きい。
1/15wed
松とれて ネットニュースの 果てしなく
(まつとれて ねっとにゅーすの はてしなく)
水仙も 嵐に傷み 花遅く
(すいせんも あらしにいたみ はなおそく)
※正月はいつから開店するかで一悶着あり、イ
ラン周辺では早々から事件続発。
ゆっくり正月を休んで、「さて本業に精出す
ぞ」という松がとれる日。そんな文化はとっ
くにない。
1/14tue
姉がいる 手袋の下の 時計かな
※年末の整理で、改めて亡き姉の形見の品を見
た妻はそれ以来腕につけている。
記念日は 忘却の彼方 冬日和
※50回間近い結婚記念日。まあ双方が忘れず
にいるということは心身ともに健康な証拠だ。
1/13mon
晴れ着なくも 光見つめる 男あり
(はれぎなくも ひかりみつめる おとこあり)
※成人式、どの会場も色とりどり。前々から親
に散財させるバカ騒ぎと思ってきたが、あの
事件で殆どがレンタルであることを知った。
それにしても、多くの例に染まらないでわが
道を行く人がいる。
普段着に+アルファで他人と比べない人もい
る。地味を主張する人も。そういう多彩なら
大歓迎。
水仙も 嵐に傷み 花遅く
(すいせんも あらしにいたみ はなおそく)
丹沢は 遥かに白の 帯となり
(たんざわは はるかにしろの おびとなり)
1/12sun
国立に 新たな冬日 ノーサイド
(こくりつに あらたなふゆび のーさいど)
北風に 期したる荒ぶる 響きおり
(きたかぜに きしたるあらぶる ひびきおり)
十一年 待ちし賜杯よ 冬満月
(じゅういちねん まちししはいよ ふゆまんげつ)
※ラグビー大学選手権で早稲田が優勝した。な
んと11年ぶり。劣勢が伝えられた決勝で明
大を降した。優勝した時しか歌わない「荒ぶ
る」(第二部歌)が、真冬の新国立にこだま
した。予想や期待を超えた快挙、快挙。
1/11sat
寒の日や 正月ごとの 辞世の句
(かんのひや しょうがつごとの じせいのく)
※こういうことをしている友人がいる。真似し
てみようかと思った。意外に手ごわい。人の
暮らしや自然の観察が中心で、素朴簡明な句
しか作れない自分には、一種構えた句は岩盤
だ。背伸びした句は自らの選考でみな落第。
いつもの句がみな辞世の句と考えるのがいい
みたい。
1/10fri
正月や 楽聖を聴く 髭の主
(しょうがつや がくせいをきく ひげのぬし)
※かのドイツの宰相ビスマルクはベートーヴェ
ンを、とりわけピアノソナタ第23番熱情を
こよなく愛したとか。「この曲をたびたび聴
けたなら、私は常に勇敢であろう」と語った
と或る本にのっていた。
正月に 越し来る人の 顔赤し
(しょうがつに こしきたるひとの かおあかし)
※「年内に転居するつもりが事情があって・・
・」と引っ越しの挨拶。酒が入っているらし
い、良いご近所になるかも。
1/9thu
角々に デイのお迎え 初時雨
(かどかどに でいのおむかえ はつしぐれ)
※朝の散歩で何台も見かける。女性の運転手も
多いようだ。冷たい小雨が降る中、傘をさし
かけ、ゆっくりクルマに導く。
1/8wed
新年の 画題は豪華な バラに決め
(しんねんの がだいはごうかな ばらにきめ)
※これは絵画教室の先生のこと。この季節バラ
は高価だし、なにより上手に描けない。新年
早々腕の貧しさを思い知らされるのは迷惑こ
の上ないのだが・・・。
年齢の数 誕生祝いの 蜜柑もぐ
(としのかず たんじょういわいの みかんもぐ)
※2m弱の一本の温州みかんの木。昨年9月の
台風にも堪えて、たわわに実をつけてくれた。
1/7tue
新年会 口真似上手な 母がいて
(しんねんかい くちまねじょうずな ははがいて)
※かつての母の仲間が生前明かしてくれた。
「和ちゃんの物まねがいつも大人気でスター
だったよ」と。
地吹雪や ビール飲みたき 男あり
(じふぶきや びーるのみたき おとこあり)
※この正月、東北北海道の日本海側では風雪が
吹き荒れた。しかしそこは地元の人間、吹雪
を押して軽装で飲み屋に駆け込み、ただ「ビ
ール」と叫ぶ男を見た。
1/6mon
水仙や ささくれ少なき 年にせん
(すいせんや ささくれすくなき としにせん)
寒の入り 日差しは強く なりにけり
(かんのいり ひざしはつよく なりにけり)
※世の中なかなか思うようにはいかない。年末
のG氏逃亡、中東の焦げ臭さに新たな火種が
・・・。
自分の胸の内くらいはしっかり実りあるもの
にしなくては。それが年の功というものだが。
1/5sun
もう五日 松の内にも 日を数え
(もういつか まつのうちにも ひをかぞえ)
※「もういくつ寝ると…」が、惰眠を貪ってい
るうちに「もう五日も過ぎたのか」に。これ
も日を数えるうち。立派な季語?
昨夜は関東地方にも寒気が入り込み、降雪も
あったとか。おかげで富士山は見えすぎ、素
晴らしい青空に。
1/4sat
音もなく 正月が来て 三日過ぎ
(おともなく しょうがつがきて みっかすぎ)
※静かな三が日だった。当地は穏やかな天気。
ラグビー大学選手権準決勝で早大快勝。対明
大決勝は11日土曜日。
1/3fri
シクラメン 一人住まいが タオル干し
(しくらめん ひとりずまいが たおるほし)
※この句、侘し気にとられるかなァ?と思った。
が、アパートの正月二日、歳末に買ってきた
鉢物をベランダに出し、ゆっくりして日が高
いうちに丘の上の銭湯に行ってきたのだ(と
思う)。この快適さ、ゆとりは優雅そのもの
(とみた)。
1/1wed
良き除夜よ 三尊とみに 若返り
(よきじょやよ さんぞんとみに わかがえり)
光ありて 犬に元旦を 言い聞かす
(ひかりありて いぬにがんたんを いいきかす)
※静かなお正月。昨年親族が亡くなっているの
でお祝いの膳はない。光は溢れている。
師はこぼす 身内の哀しさ 冬薔薇
(しはこぼす みうちのかなしさ ふゆそうび)
※女先生が女性会員にひそひそとぼやいている。
静かなデッサンの最中だから、少し聞こえる。
「あの子は私とずうっと暮らしたいなんて言
っていたのよ。それが・・・」「食べ物のウ
ラミは切ないね」、妹との諍いのようだ。
犬も食わないの一種かな? 肝心なところが
聞こえない。ついつい筆がとまってしまう。
1/30thu
丹沢は 遥かに白の 帯となり
(たんざわは はるかにしろの おびとなり)
※冷えた夜の翌朝、富士山は五合目辺りまで白
くなり、丹沢もやっと横長に白がつながる。
これもつかの間、たった一日の晴天で白が途
切れる。降雪も寒さも半端だなァ。
漢詩など ふと口にする 寒さなか
(かんしなど ふとくちにする かんさなか)
1/29wed
雪払う ザル屋の後家が 店仕舞う
(ゆきはらう ざるやのごけが みせしまう)
※いつも我が家の犬に話しかけるおばさんが忙
しく店じまいをしている。今日は夜にかけま
すます天気は悪くなる。
臆病な オオバンのみか 寒の川
(おくびょうな おおばんのみか かんのかわ)
1/28tue
冬日和 モンマルトルを 語る人
(ふゆびより もんまるとるを かたるひと)
裸木が パリの憂鬱を うつつとし
(はだかぎが ぱりのゆううつ うつつとし)
※パリの1月に旅行してきた人と会った。次々
とスマホの写真を見せてくれる。名物の並木
道は裸木の行列。寒い時こそパリの味とか。
そうかなァ・・・。コタツが恋しくはなかっ
たか? 負け惜しみ?
1/27mon
大吟醸 わが句のごとくに 歩留れり
(だいぎんじょう わがくのごとくに ぶどまれり)
※大吟醸の仕込みは今が最終期だとか。原料の
玄米1に対し使う精米0.5以下らしい。こ
れが精米歩合。自慢ではないが、私の作句は
それをずっと下回る歩留まりだ。モノになる
のは5つに1句あるかどうか? 超大吟醸?
酒造りでは米を削ることを「磨く」という。
畑にて 見咎められぬ 焚火かな
(はたけにて みとがめられぬ たきびかな)
1/26sun
冬おじや コゲせがむ子の 微熱かな
(ふゆおじや こげせがむこの びねつかな)
セピア色の 友いできたり 冬時雨
(せぴあいろの ともいできたり ふゆしぐれ)
※冷たい雨が朝からやまない。こんな日はレコ
ードを聴くに限ると言いたいが、数年前から
面倒になってご無沙汰。CDすら同様だ。
パソコンで好きな曲の原名を調べ、YouTubeで
検索すると、古今の名演が一瞬のうちにずら
りと出てくる。4KとかHDと添えてやるとライ
ブの演奏も。よりどりみどり。
モノグサには良い時代になった。どうにか間
に合った感じ。音質はこの際贅沢を言わない。
1/25sat
小兵よく アンコ平らげ 冬の場所
(こひょうよく あんこたいらげ ふゆのばしょ)
両国に 冬のどよめき 足を取る
(りょうごくに ふゆのどよめき あしをとる)
※横綱不在、大関目減りの初場所は、意外や平
幕力士の優勝争いが面白く、更に小さな炎鵬
が大活躍を見せて、TV桟敷を喜ばせている。
「柔よく剛を制す」は最早柔道よりも相撲の
キャッチコピーとなるかも。
1/24fri
冬仕事 花あるうちに 垣根編む
(ふゆしごと はなあるうちに かきねあむ)
※昨年の台風で跡形もなくなった垣根を復旧す
る。造園屋に取り寄せてもらった竹を刻み刻
み、自分でやる。作り方は予めネットで調べ
てある。殊に難しいのが棕櫚縄の結び方、何
回見たことか? 苦戦と努力の結果は、素晴
らしいものだ。山茶花が褒めてくれる。
1/22wed
内陣で 少女は受験 阿弥陀堂
(ないじんで しょうじょはじゅけん あみだどう)
※市原から勝浦に向かう
国道沿いに、西願寺阿弥
陀堂がある。寺といって
も里の入り口、田んぼ近
くにお堂があるだけ。県
の指定文化財。近所の家
が管理を委託されている。
訪れた夕暮れ時、その家
の中学生の娘が裸電球だ
けの暗い中で机に向かっ
て受験勉強していた。
親曰く「この子は根性が
あるから・・・ココが一番って言うんです」と。阿弥陀様
の傍で勉強すれば間違いないとは思ったが、秋深くなる頃
暖房も出来ないとかで、とにかくびっくりした。
1/21tue
悴むも 昨夜の絵なお 直したき
(かじかむも さくやのえなお なおしたき)
※冬景色を描いているのだが、なかなか寒さ、
冷たさが表せない。いろいろやって見るが、
やり過ぎて塗り重ねたら収拾不可能になる。
1/20mon
大寒や クレーン車今年 動かざる
(だいかんや くれーんしゃことし うごかざる)
※近くに重機リース屋の置き場がある。昨年末
までは大忙しで殆どが出払っていたのに、今
年はずらっと並んだままだ。昨年来の工事や
建築需要が一段落したのか、2月にかけて冬
の閑散期なのか?
1/19sun
母送り 独り身の友の 凍え声
(ははおくり ひとりみのともの こごえごえ)
※今年はさびしいお正月。東京は根津神社近く
の一軒家。都電の音が坂下からチンチンと聞
こえ、子供らが駆け、初詣客の話し声がする
のでは?という冗談に、「なんのこと?」
「何にも聞こえない。クルマの音だけだ」と。
1/18sat
手作りの 木椅子冷たき 寒の朝
(てづくりの きいすつめたき かんのあさ)
※ファーマーズチェア
(farmers chair,peasant chair)
という名で呼ばれる素
朴な味わいの椅子が欧
米にある。民芸調とい
ったらいいか。
それを真似て20年ほ
ど前に作ったもの。こ
の頃になって、ちょっ
と自慢したい一品に。
1/16thu
待ちかねて オオバンのみか 日脚伸ぶ
(まちかねて おおばんのみか ひあしのぶ)
※夕方の川面にはオオバンのみ。例年のマガモ
の姿はない。もう日が長くなってきているの
に。
コンビニの 袋持ていつも 冬灯り
(こんびにの ふくろもていつも ふゆあかり)
※近くのコンビニで勤め帰りに買い物をして、
我が家の前を定刻に通る若者がいる。今日は
袋が大きい。
1/15wed
松とれて ネットニュースの 果てしなく
(まつとれて ねっとにゅーすの はてしなく)
水仙も 嵐に傷み 花遅く
(すいせんも あらしにいたみ はなおそく)
※正月はいつから開店するかで一悶着あり、イ
ラン周辺では早々から事件続発。
ゆっくり正月を休んで、「さて本業に精出す
ぞ」という松がとれる日。そんな文化はとっ
くにない。
1/14tue
姉がいる 手袋の下の 時計かな
※年末の整理で、改めて亡き姉の形見の品を見
た妻はそれ以来腕につけている。
記念日は 忘却の彼方 冬日和
※50回間近い結婚記念日。まあ双方が忘れず
にいるということは心身ともに健康な証拠だ。
1/13mon
晴れ着なくも 光見つめる 男あり
(はれぎなくも ひかりみつめる おとこあり)
※成人式、どの会場も色とりどり。前々から親
に散財させるバカ騒ぎと思ってきたが、あの
事件で殆どがレンタルであることを知った。
それにしても、多くの例に染まらないでわが
道を行く人がいる。
普段着に+アルファで他人と比べない人もい
る。地味を主張する人も。そういう多彩なら
大歓迎。
水仙も 嵐に傷み 花遅く
(すいせんも あらしにいたみ はなおそく)
丹沢は 遥かに白の 帯となり
(たんざわは はるかにしろの おびとなり)
1/12sun
国立に 新たな冬日 ノーサイド
(こくりつに あらたなふゆび のーさいど)
北風に 期したる荒ぶる 響きおり
(きたかぜに きしたるあらぶる ひびきおり)
十一年 待ちし賜杯よ 冬満月
(じゅういちねん まちししはいよ ふゆまんげつ)
※ラグビー大学選手権で早稲田が優勝した。な
んと11年ぶり。劣勢が伝えられた決勝で明
大を降した。優勝した時しか歌わない「荒ぶ
る」(第二部歌)が、真冬の新国立にこだま
した。予想や期待を超えた快挙、快挙。
1/11sat
寒の日や 正月ごとの 辞世の句
(かんのひや しょうがつごとの じせいのく)
※こういうことをしている友人がいる。真似し
てみようかと思った。意外に手ごわい。人の
暮らしや自然の観察が中心で、素朴簡明な句
しか作れない自分には、一種構えた句は岩盤
だ。背伸びした句は自らの選考でみな落第。
いつもの句がみな辞世の句と考えるのがいい
みたい。
1/10fri
正月や 楽聖を聴く 髭の主
(しょうがつや がくせいをきく ひげのぬし)
※かのドイツの宰相ビスマルクはベートーヴェ
ンを、とりわけピアノソナタ第23番熱情を
こよなく愛したとか。「この曲をたびたび聴
けたなら、私は常に勇敢であろう」と語った
と或る本にのっていた。
正月に 越し来る人の 顔赤し
(しょうがつに こしきたるひとの かおあかし)
※「年内に転居するつもりが事情があって・・
・」と引っ越しの挨拶。酒が入っているらし
い、良いご近所になるかも。
1/9thu
角々に デイのお迎え 初時雨
(かどかどに でいのおむかえ はつしぐれ)
※朝の散歩で何台も見かける。女性の運転手も
多いようだ。冷たい小雨が降る中、傘をさし
かけ、ゆっくりクルマに導く。
1/8wed
新年の 画題は豪華な バラに決め
(しんねんの がだいはごうかな ばらにきめ)
※これは絵画教室の先生のこと。この季節バラ
は高価だし、なにより上手に描けない。新年
早々腕の貧しさを思い知らされるのは迷惑こ
の上ないのだが・・・。
年齢の数 誕生祝いの 蜜柑もぐ
(としのかず たんじょういわいの みかんもぐ)
※2m弱の一本の温州みかんの木。昨年9月の
台風にも堪えて、たわわに実をつけてくれた。
1/7tue
新年会 口真似上手な 母がいて
(しんねんかい くちまねじょうずな ははがいて)
※かつての母の仲間が生前明かしてくれた。
「和ちゃんの物まねがいつも大人気でスター
だったよ」と。
地吹雪や ビール飲みたき 男あり
(じふぶきや びーるのみたき おとこあり)
※この正月、東北北海道の日本海側では風雪が
吹き荒れた。しかしそこは地元の人間、吹雪
を押して軽装で飲み屋に駆け込み、ただ「ビ
ール」と叫ぶ男を見た。
1/6mon
水仙や ささくれ少なき 年にせん
(すいせんや ささくれすくなき としにせん)
寒の入り 日差しは強く なりにけり
(かんのいり ひざしはつよく なりにけり)
※世の中なかなか思うようにはいかない。年末
のG氏逃亡、中東の焦げ臭さに新たな火種が
・・・。
自分の胸の内くらいはしっかり実りあるもの
にしなくては。それが年の功というものだが。
1/5sun
もう五日 松の内にも 日を数え
(もういつか まつのうちにも ひをかぞえ)
※「もういくつ寝ると…」が、惰眠を貪ってい
るうちに「もう五日も過ぎたのか」に。これ
も日を数えるうち。立派な季語?
昨夜は関東地方にも寒気が入り込み、降雪も
あったとか。おかげで富士山は見えすぎ、素
晴らしい青空に。
1/4sat
音もなく 正月が来て 三日過ぎ
(おともなく しょうがつがきて みっかすぎ)
※静かな三が日だった。当地は穏やかな天気。
ラグビー大学選手権準決勝で早大快勝。対明
大決勝は11日土曜日。
1/3fri
シクラメン 一人住まいが タオル干し
(しくらめん ひとりずまいが たおるほし)
※この句、侘し気にとられるかなァ?と思った。
が、アパートの正月二日、歳末に買ってきた
鉢物をベランダに出し、ゆっくりして日が高
いうちに丘の上の銭湯に行ってきたのだ(と
思う)。この快適さ、ゆとりは優雅そのもの
(とみた)。
1/1wed
良き除夜よ 三尊とみに 若返り
(よきじょやよ さんぞんとみに わかがえり)
光ありて 犬に元旦を 言い聞かす
(ひかりありて いぬにがんたんを いいきかす)
※静かなお正月。昨年親族が亡くなっているの
でお祝いの膳はない。光は溢れている。