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ダクタク2020年1月 ブログトップ

ダクタク句集2020年(令和2年)1月 [ダクタク2020年1月]

1/31fri
師はこぼす 身内の哀しさ 冬薔薇
     (しはこぼす みうちのかなしさ ふゆそうび)
        ※女先生が女性会員にひそひそとぼやいている。
         静かなデッサンの最中だから、少し聞こえる。
         「あの子は私とずうっと暮らしたいなんて言
         っていたのよ。それが・・・」「食べ物のウ
         ラミは切ないね」、妹との諍いのようだ。
         犬も食わないの一種かな? 肝心なところが
         聞こえない。ついつい筆がとまってしまう。

1/30thu
丹沢は 遥かに白の 帯となり
     (たんざわは はるかにしろの おびとなり)
        ※冷えた夜の翌朝、富士山は五合目辺りまで白
         くなり、丹沢もやっと横長に白がつながる。
         これもつかの間、たった一日の晴天で白が途
         切れる。降雪も寒さも半端だなァ。   

漢詩など ふと口にする 寒さなか
     (かんしなど ふとくちにする かんさなか)

1/29wed
雪払う ザル屋の後家が 店仕舞う
     (ゆきはらう ざるやのごけが みせしまう)
        ※いつも我が家の犬に話しかけるおばさんが忙
         しく店じまいをしている。今日は夜にかけま
         すます天気は悪くなる。

臆病な オオバンのみか 寒の川
     (おくびょうな おおばんのみか かんのかわ)

1/28tue
冬日和 モンマルトルを 語る人
     (ふゆびより もんまるとるを かたるひと)

裸木が パリの憂鬱を うつつとし
     (はだかぎが ぱりのゆううつ うつつとし)
        ※パリの1月に旅行してきた人と会った。次々
         とスマホの写真を見せてくれる。名物の並木
         道は裸木の行列。寒い時こそパリの味とか。
         そうかなァ・・・。コタツが恋しくはなかっ
         たか? 負け惜しみ?

1/27mon
大吟醸 わが句のごとくに 歩留れり
     (だいぎんじょう わがくのごとくに ぶどまれり)
        ※大吟醸の仕込みは今が最終期だとか。原料の
         玄米1に対し使う精米0.5以下らしい。こ
         れが精米歩合。自慢ではないが、私の作句は
         それをずっと下回る歩留まりだ。モノになる
         のは5つに1句あるかどうか? 超大吟醸?
         酒造りでは米を削ることを「磨く」という。

畑にて 見咎められぬ 焚火かな
     (はたけにて みとがめられぬ たきびかな)

1/26sun
冬おじや コゲせがむ子の 微熱かな
     (ふゆおじや こげせがむこの びねつかな)

セピア色の 友いできたり 冬時雨
     (せぴあいろの ともいできたり ふゆしぐれ)
        ※冷たい雨が朝からやまない。こんな日はレコ
         ードを聴くに限ると言いたいが、数年前から
         面倒になってご無沙汰。CDすら同様だ。
         パソコンで好きな曲の原名を調べ、YouTubeで
         検索すると、古今の名演が一瞬のうちにずら
         りと出てくる。4KとかHDと添えてやるとライ
         ブの演奏も。よりどりみどり。
         モノグサには良い時代になった。どうにか間
         に合った感じ。音質はこの際贅沢を言わない。

1/25sat
小兵よく アンコ平らげ 冬の場所
     (こひょうよく あんこたいらげ ふゆのばしょ)

両国に 冬のどよめき 足を取る
     (りょうごくに ふゆのどよめき あしをとる)
        ※横綱不在、大関目減りの初場所は、意外や平
         幕力士の優勝争いが面白く、更に小さな炎鵬
         が大活躍を見せて、TV桟敷を喜ばせている。
         「柔よく剛を制す」は最早柔道よりも相撲の
         キャッチコピーとなるかも。

1/24fri
冬仕事 花あるうちに 垣根編む
     (ふゆしごと はなあるうちに かきねあむ)
        ※昨年の台風で跡形もなくなった垣根を復旧す
         る。造園屋に取り寄せてもらった竹を刻み刻
         み、自分でやる。作り方は予めネットで調べ
         てある。殊に難しいのが棕櫚縄の結び方、何
         回見たことか? 苦戦と努力の結果は、素晴
         らしいものだ。山茶花が褒めてくれる。

1/22wed
内陣で 少女は受験 阿弥陀堂
     (ないじんで しょうじょはじゅけん あみだどう)
16565_max.jpg ※市原から勝浦に向かう
 国道沿いに、西願寺阿弥
 陀堂がある。寺といって
 も里の入り口、田んぼ近
 くにお堂があるだけ。県
 の指定文化財。近所の家
 が管理を委託されている。
 訪れた夕暮れ時、その家
 の中学生の娘が裸電球だ
 けの暗い中で机に向かっ
 て受験勉強していた。
 親曰く「この子は根性が
         あるから・・・ココが一番って言うんです」と。阿弥陀様
         の傍で勉強すれば間違いないとは思ったが、秋深くなる頃
         暖房も出来ないとかで、とにかくびっくりした。

1/21tue
悴むも 昨夜の絵なお 直したき
     (かじかむも さくやのえなお なおしたき)
        ※冬景色を描いているのだが、なかなか寒さ、
         冷たさが表せない。いろいろやって見るが、
         やり過ぎて塗り重ねたら収拾不可能になる。

1/20mon
大寒や クレーン車今年 動かざる
     (だいかんや くれーんしゃことし うごかざる)
        ※近くに重機リース屋の置き場がある。昨年末
         までは大忙しで殆どが出払っていたのに、今
         年はずらっと並んだままだ。昨年来の工事や
         建築需要が一段落したのか、2月にかけて冬
         の閑散期なのか?

1/19sun
母送り 独り身の友の 凍え声
     (ははおくり ひとりみのともの こごえごえ)
        ※今年はさびしいお正月。東京は根津神社近く
         の一軒家。都電の音が坂下からチンチンと聞
         こえ、子供らが駆け、初詣客の話し声がする
         のでは?という冗談に、「なんのこと?」
         「何にも聞こえない。クルマの音だけだ」と。

1/18sat
手作りの 木椅子冷たき 寒の朝
     (てづくりの きいすつめたき かんのあさ)

peasant0044.JPG
 ※ファーマーズチェア
 (farmers chair,peasant chair)
 という名で呼ばれる素
 朴な味わいの椅子が欧
 米にある。民芸調とい
 ったらいいか。

 それを真似て20年ほ
 ど前に作ったもの。こ
 の頃になって、ちょっ
 と自慢したい一品に。




1/16thu
待ちかねて オオバンのみか 日脚伸ぶ
     (まちかねて おおばんのみか ひあしのぶ)
        ※夕方の川面にはオオバンのみ。例年のマガモ
         の姿はない。もう日が長くなってきているの
         に。

コンビニの 袋持ていつも 冬灯り
     (こんびにの ふくろもていつも ふゆあかり)
        ※近くのコンビニで勤め帰りに買い物をして、
         我が家の前を定刻に通る若者がいる。今日は
         袋が大きい。

1/15wed
松とれて ネットニュースの 果てしなく
     (まつとれて ねっとにゅーすの はてしなく)

水仙も 嵐に傷み 花遅く
     (すいせんも あらしにいたみ はなおそく)
        ※正月はいつから開店するかで一悶着あり、イ
         ラン周辺では早々から事件続発。
         ゆっくり正月を休んで、「さて本業に精出す
         ぞ」という松がとれる日。そんな文化はとっ
         くにない。

1/14tue
姉がいる 手袋の下の 時計かな
        ※年末の整理で、改めて亡き姉の形見の品を見
         た妻はそれ以来腕につけている。

記念日は 忘却の彼方 冬日和
        ※50回間近い結婚記念日。まあ双方が忘れず
         にいるということは心身ともに健康な証拠だ。

1/13mon
晴れ着なくも 光見つめる 男あり
     (はれぎなくも ひかりみつめる おとこあり)
        ※成人式、どの会場も色とりどり。前々から親
         に散財させるバカ騒ぎと思ってきたが、あの
         事件で殆どがレンタルであることを知った。
         それにしても、多くの例に染まらないでわが
         道を行く人がいる。
         普段着に+アルファで他人と比べない人もい
         る。地味を主張する人も。そういう多彩なら
         大歓迎。

水仙も 嵐に傷み 花遅く
     (すいせんも あらしにいたみ はなおそく)

丹沢は 遥かに白の 帯となり
     (たんざわは はるかにしろの おびとなり)

1/12sun
国立に 新たな冬日 ノーサイド
     (こくりつに あらたなふゆび のーさいど)

北風に 期したる荒ぶる 響きおり
     (きたかぜに きしたるあらぶる ひびきおり)

十一年 待ちし賜杯よ 冬満月
     (じゅういちねん まちししはいよ ふゆまんげつ)
        ※ラグビー大学選手権で早稲田が優勝した。な
         んと11年ぶり。劣勢が伝えられた決勝で明
         大を降した。優勝した時しか歌わない「荒ぶ
         る」(第二部歌)が、真冬の新国立にこだま
         した。予想や期待を超えた快挙、快挙。

1/11sat
寒の日や 正月ごとの 辞世の句
     (かんのひや しょうがつごとの じせいのく)
        ※こういうことをしている友人がいる。真似し
         てみようかと思った。意外に手ごわい。人の
         暮らしや自然の観察が中心で、素朴簡明な句
         しか作れない自分には、一種構えた句は岩盤
         だ。背伸びした句は自らの選考でみな落第。
         いつもの句がみな辞世の句と考えるのがいい
         みたい。

1/10fri
正月や 楽聖を聴く 髭の主
     (しょうがつや がくせいをきく ひげのぬし)
        ※かのドイツの宰相ビスマルクはベートーヴェ
         ンを、とりわけピアノソナタ第23番熱情を
         こよなく愛したとか。「この曲をたびたび聴
         けたなら、私は常に勇敢であろう」と語った
         と或る本にのっていた。

正月に 越し来る人の 顔赤し
     (しょうがつに こしきたるひとの かおあかし)
        ※「年内に転居するつもりが事情があって・・
         ・」と引っ越しの挨拶。酒が入っているらし
         い、良いご近所になるかも。

1/9thu
角々に デイのお迎え 初時雨
     (かどかどに でいのおむかえ はつしぐれ)
        ※朝の散歩で何台も見かける。女性の運転手も
         多いようだ。冷たい小雨が降る中、傘をさし
         かけ、ゆっくりクルマに導く。

1/8wed
新年の 画題は豪華な バラに決め
     (しんねんの がだいはごうかな ばらにきめ)
        ※これは絵画教室の先生のこと。この季節バラ
         は高価だし、なにより上手に描けない。新年
         早々腕の貧しさを思い知らされるのは迷惑こ
         の上ないのだが・・・。

年齢の数 誕生祝いの 蜜柑もぐ
     (としのかず たんじょういわいの みかんもぐ)
        ※2m弱の一本の温州みかんの木。昨年9月の
         台風にも堪えて、たわわに実をつけてくれた。

1/7tue
新年会 口真似上手な 母がいて
     (しんねんかい くちまねじょうずな ははがいて)
        ※かつての母の仲間が生前明かしてくれた。
         「和ちゃんの物まねがいつも大人気でスター
         だったよ」と。

地吹雪や ビール飲みたき 男あり
     (じふぶきや びーるのみたき おとこあり)
        ※この正月、東北北海道の日本海側では風雪が
         吹き荒れた。しかしそこは地元の人間、吹雪
         を押して軽装で飲み屋に駆け込み、ただ「ビ
         ール」と叫ぶ男を見た。

1/6mon
水仙や ささくれ少なき 年にせん
     (すいせんや ささくれすくなき としにせん)

寒の入り 日差しは強く なりにけり
     (かんのいり ひざしはつよく なりにけり)
        ※世の中なかなか思うようにはいかない。年末
         のG氏逃亡、中東の焦げ臭さに新たな火種が
         ・・・。
         自分の胸の内くらいはしっかり実りあるもの
         にしなくては。それが年の功というものだが。

1/5sun
もう五日 松の内にも 日を数え
     (もういつか まつのうちにも ひをかぞえ)
        ※「もういくつ寝ると…」が、惰眠を貪ってい
         るうちに「もう五日も過ぎたのか」に。これ
         も日を数えるうち。立派な季語? 
         昨夜は関東地方にも寒気が入り込み、降雪も
         あったとか。おかげで富士山は見えすぎ、素
         晴らしい青空に。

1/4sat
音もなく 正月が来て 三日過ぎ
     (おともなく しょうがつがきて みっかすぎ)
        ※静かな三が日だった。当地は穏やかな天気。
         ラグビー大学選手権準決勝で早大快勝。対明
         大決勝は11日土曜日。

1/3fri
シクラメン 一人住まいが タオル干し
     (しくらめん ひとりずまいが たおるほし)
        ※この句、侘し気にとられるかなァ?と思った。
         が、アパートの正月二日、歳末に買ってきた
         鉢物をベランダに出し、ゆっくりして日が高
         いうちに丘の上の銭湯に行ってきたのだ(と
         思う)。この快適さ、ゆとりは優雅そのもの
         (とみた)。

1/1wed
良き除夜よ 三尊とみに 若返り
     (よきじょやよ さんぞんとみに わかがえり)

光ありて 犬に元旦を 言い聞かす
     (ひかりありて いぬにがんたんを いいきかす)
        ※静かなお正月。昨年親族が亡くなっているの
         でお祝いの膳はない。光は溢れている。
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