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ダクタク2020年8月 ブログトップ

ダクタク句集2020年(令和2年)8月 [ダクタク2020年8月]

8/31mon
富士黒く 芙蓉の里は 涼しかり
     (ふじくろく ふようのさとは すずしかり)
        ※神奈川県南足柄市の酔芙蓉の里。のどかな農
         道沿いに酔芙蓉が植えられている。ゆっくり
         歩いていると・・・昨日に続き、今日も異質
         な世界に浮遊できる。

8/30sun
知らぬ街に 住む心地する 残暑かな
     (しらぬまちに すむここちする ざんしょかな)
        ※この暑さとコロナ禍で週末の住宅地は通りに
         誰もいない。こちらの頭もぼんやりし始めて
         いるから、見慣れたいつもの通りではないよ
         うに思えてくる。・・・これって熱中症の初
         期症状かも。わるい感じはない、快感に近い。

8/29sat
朝顔や ふの妙語る 亭主あり
     (あさがおや ふのみょうかたる ていしゅあり)
        ※本蔓仕立てというらしい大輪の朝顔。ふの形
         がいいでしょうと解説してくれる。今年の目
         標は団十郎という名の品種とか。こんな色が?
         白いふがかすかな佇まいを見せる。いいなあ。
         腑に落ちた。

8/28fri
ウィズ癌と ウィズコロナとや 友の夏
     (うぃずがんと うぃずころなとや とものなつ)
        ※最悪の状況に思えるが、咽喉を痛めて声が聞
         けないた友のメールには静かな心境が綴られ
         ている。

8/27thu
弱蝉のやみて 紫煙をふうーとはく
     (よわせみのやみて しえんをふうーとはく)
        ※晩夏の朝。残暑への恨み節だけで「行く夏」
         を味わうだけのユトリはない。今年も。

8/25tue
としふれば アイスひとつに さじふたつ
     (としふれば あいすひとつに さじふたつ)
        ※仲の良い老夫婦の光景として、他人様を眺め
         ていたのが、いつのまにか自然体でキャスト
         としている。眺められている? もう気にな
         らない。

8/24mon
稲刈るや 金星見えて オフとする
     (いねかるや きんせいみえて おふとする)
        ※長い梅雨とその後の暑さと日照の洪水、今年
         ほど作柄でひやひやしたことはなかったとか。
         それでも台風や洪水の被害は皆無だったから
         収穫する顔は実に明るい。
         最新の稲刈機のAI全自動はものすごい。リモ
         ートでの自動運転とその学習とかだ。同時脱
         穀、袋詰めなどは当たり前。機械代金もすご
         いのだろう。

8/23sun
秋風のひとすじ 皺のひとつ伸ぶ
     (あきかぜのひとすじ しわのひとつのぶ)
        ※たった一日の気候の変化でかくも涼しくなる
         とは。しかめっ面で暑さに耐えていた昨日ま
         でがウソみたい。記録的な8月の暑さは一休
         み。

8/22sat
ひぐらしや そのころなにも わからざる
     (ひぐらしや そのころなにも わからざる)
        ※読書も飽きた、ネットで音楽もいいや。暑さ
         で外の作業も強いられない。・・・仕方なし
         にかつ思わず知らず、回想とくよくよ思考が
         始まる。殆どが人には言えぬ悔恨ばっかり。

8/21fri
桶動く 風呂場の響き 夏の音
     (おけうごく ふろばのひびき なつのおと)
        ※隣家の浴室の音。決して覗きをしていたわけ
         ではない。日中の音は開け放しているから余
         計響く。いい音。「誰かな? もしかして」
         ・・・妄想は多少膨らむ。

8/20thu 
納得し 夏痩せ気味の 医師を見し
     (なっとくし なつやせぎみの いしをみし)
        ※定期の外来診察。ちょっと心配なことがあっ
         て相談する。大病院の循環器科の科長先生だ
         が長い付き合いで、分野を問わずお世話にな
         っている。「かかりつけ医」と呼んでいいの
         だろうか? 私にとってはそれ以上の存在。

夏焼けや クスリ袋を 山ほどに
     (なつやけや くすりぶくろを やまほどに)
        ※レジ袋を問われ、いらないと言ったら、両手
         両腕に余るほどの薬を渡された。ちょっとオ
         ーバーだが、日焼けした腕に似合わなボリュ
         ームだ。薬代も大変。もうすぐ窓口10%支
         払いになる。

8/19wed
撃沈の時 語る人もマスクあり
     (げきちんのとき かたるひともますくあり)
        ※今年もついつい「8月の特別番組」を見てし
         まった。硬軟ある中で、NHK「太陽の子」が期
         待以上に良かった。原爆開発の仔細には立ち入
         らず、市中の一家族、市民の、戦中のうねる暮
         らしぶりが自然体で描かれていた。

8/18tue
師は今日も 健啖なりき 秋立つ日
     (しはきょうも けんたんなりき あきたつひ)
        ※絵画教室は2月以来休講中。先日展示を依頼
         されたために臨時に集合した。マスク越しの
         近況挨拶と軽い食事。教室閉鎖継続も確認。
         平均年齢が75歳前後であり、「老い先?」
         を考えれば一時的な閉鎖に留まらない、深刻
         なロスである。皆のやる気があるだけに。

8/16sun
駅頭に 弟の顔や 夏帰郷
     (えきとうに おとうとのかおや なつききょう)

故郷の 滝沢峠 夏木立
     (ふるさとの たきざわとうげ なつこだち)

山を見る 弟がいて 夏涼し
     (やまをみる おとうとがいて なつずずし)
        ※夏になるとずうっと昔の帰郷を、亡き弟を思
         い出す。クルマで帰ったときは市街に降りて
         行く滝沢峠の幾重にもくねった道から、会津
         盆地が青くけむって見えた。鮮烈な猛暑の思
         い出。

8/15sat
夏暁や 古き書に蚊の ミイラあり
     (なつあけや ふるきしょにかの みいらあり)
        ※朝未明のうちに目が覚める癖がついた。それ
         でも熱帯夜が続く割には寝入りがいいので苦
         にならない。日中はなんにもしないと宣言す
         ると、朝の寝床の読書は快適でさえある。

8/14fri
新盆や 黒縮緬の 女の指
     (にいぼんや くろちりめんの ひとのゆび)
        ※新盆の法要はごく内輪でということだが、だ
         れだろう? 近所の町内会の人? クソ暑い
         日の目の保養。

8/13thu
盆の朝 長く影ひく 白き道
     (ぼんのあさ ながくかげひく しろきみち)

松籟や 公園下の 片陰に
     (しょうらいや こうえんしたの かたかげに)
        ※盆の入りの今日、外に出かける人は少ない。

8/12wed
安曇野の秋 モーツァルトのロンドかな
     (あずみののあき もーつぁるとのろんどかな)

    ※尾崎喜八の詩「田舎のモーツァルト」

      中学の音楽室でピアノが鳴っている。
      生徒たちは、男も女も、
      両手を膝に、目をすえて、
      きらめくような、流れるような、
      音の造形に聞き入っている。
      そとは秋晴れの安曇野平。
      青い常念と黄ばんだアカシア。
      自然にも形成と傾聴のあるこの田舎で、
      新任の若い女の先生が孜々として
      モーツァルトのみごとなロンドを弾いている。

8/11tue
この陰影 作りし妙法熱帯夜
     (このいんえい つくりしみょうほうねったいや)
        ※今季初めてエアコンをつけた部屋で寝た。心
         地よいはずがどうもよく眠れなかった。起き
         て朝日の濃い陰影に驚いた。庭や近所の景色
         すら新鮮だ。風がある。ムンムンとした空気
         が一蹴されたかな。

8/10mon
月の夜 ウェットスーツの 影二つ
     (つきのよる うぇっとすーつの かげふたつ)
        ※これ実は海岸近くでのことではない。近くの
         アパートのベランダに並んでいた。それでも、
         アソコは二人住まいだったか? 自粛を押し
         て出かけたんかな? 外房?話題の一宮近く
         か? ガラはよく見えないけど?・・・と推
         測は尽きない。

8/9sun
絵葉書や 家からなれど 夏便り
     (えはがきや いえからなれど なつだより)
        ※北部東北は梅雨明けが立秋過ぎにずれ込み、
         今年はその宣言はなしとか。その他の地方で
         はコロナ禍と酷暑が異様な夏休みの光景を見
         せる。連日のニュースはやや食傷気味。

8/7fri
炎熱の鳥よ 餌運び怠れず
     (えんねつのとりよ えはこびおこたれず)
        ※生命維持に邁進するのは鳥も人間も同じ。た
         だ人間のうち年金生活者は少し違うかな?

8/6thu
朝に採る 胡瓜の勁さ 原爆忌
     (あさにとる きゅうりのつよさ げんばくき)
        ※連日の暑さには辟易しながらも、朝はそれな
         りに一日の希望と強さが漲る。あの日、勤め
         先に動員先にと向かった人々、送り出した人
         々にもそれはあった。

8/5wed
不意に見え 人に告げたる 夏の富士
     (ふいにみえ ひとにつげたる なつのふじ)
        ※久しぶりの富士が見えた。ただそれだけの話。
         暑い。

8/4tue
サルスベリ 木陰スマホで 泣く娘あり
     (さるすべり こかげすまほで なくこあり)

暑き色 涼やかな色 サルスベリ
     (あつきいろ すずやかないろ さるすべり)
        ※近所の百日紅の並木道に色が揃った。やはり
         暑い日が似合う。長期予報の梅雨の期間は当
         たらなかったけれど、その後の本格的な夏は
         どれも暑い夏になると言っている。

8/3mon
その昔 水羊羹の 切り心地
     (そのむかし みずようかんの きりごこち)
        ※最近の水羊羹は高級品ぽいものか便利な缶入
         りか。どちらも悪くはないが、本来水羊羹は
         近場の製造元から届けられるものだった。長
         持ちもしないし、冷やしてすぐ切って食べる。
         だからこそ季節感たっぷりだったのだが。

8/1sat
梅雨明けや 筋力不足の 素振りかな
     (つゆあけや きんりょくぶそくの すぶりかな)
        ※どうやら梅雨明けらしい。一転炎熱地獄の様
         相も。コロナ禍と長い梅雨で散歩以外に体力
         を使っていない。箸より重いのは草刈りの小
         さな鎌くらい。これで8月をエアコンなしで
         乗り切れるかな?


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