ダクタク句集2023年(令和5年)4月 [ダクタク2023年4月]
4/30sun
荷風忌や言葉あふれて街ゆれて
(かふうきやことばあふれてまちゆれて)
※インバウンドの回復のニュースで浅草雷門周
辺の雑踏が伝えられる。あそこにはすぐ横に
交番があって、我慢強い優しい警察官が絶え
ず笑顔で外国人に応対している。日本の若者
の言葉らしき洪水もある。荷風卒倒。
4/29sat
春爛漫バラは匂いて吾無臭
(はるらんまんばらはにおいてわれむしゅう)
※その昔顔は脂ぎって口の中、パンツの中、靴
の中は蒸れて異臭があった。普段においてそ
うだった。ところが今や匂いはないと人に言
われる。優秀な女歯科医に出会ってからは少
しのプラークもチェックされる。この10年
超、自分の歯の数に異動はない。口臭もない。
生きている証拠も急速に減っているというこ
とか。
4/27thu
動画見てブドウの芽かきためらわず
(どうがみてぶどうのめかきためらわず)
※動画投稿サイトもユーチューブ以外に様々あ
るらしいが、DIY・修理・家事・野菜果実栽
培・ガーデニングなどなど課題に広く応えて
くれるのはユーチューブだろう。本件のテー
マも関係のサイトが見きれないほどある。
4/26wed
しなやかな八十路の筆よ豆の花
(しなやかなやそじのふでよまめのはな)
※どこが痛い、ここが痛い、もう歳だからダメ、
とかいいながら筆を持たせると、対象をきり
っと見つめ、力強く筆を滑らせる。絵画教室
の師はまだ当分大丈夫だ。
4/25tue
新人の帽子は二つかげろへる
(しんじんのぼうしはふたつかげろえる)
※中学校野球部でも新人は二人だけ? うち一
人はつい先月までの小学生を思わせるチビ。
今部活は曲がり角、顧問の教師の激務防止と
やらで学校外から人材を呼んで運営や指導を
委ねるという。さて・・・。そもそも学年二
人ではチームがそのうち成立しなくなる。
これは少子化対策か?
4/24mon
喜寿の春尾崎今なら同じ岸
(きじゅのはるおざきいまならおなじきし)
※尾崎豊の歌特集でたっぷりと聴いた。しみじ
みと繰り返し。
4/22sat
春の蚊や血を吸う知恵はなかりけり
(はるのかやちをすうちえはなかりけり)
4/21fri
葱坊主貯めし雑草抜きにけり
(ねぎぼうずためしざっそうぬきにけり)
学年の違う子らいる葱坊主
(がくねんのちがうこらいるねぎぼうず)
※コロナ禍の制限された暮らしは畑仕事を増や
したとか。周辺でもそれまでの庭を大胆に畑
にした家が何軒か見受けられる。やせた葱坊
主がクレイムを言いたがって・・・。
4/20thu
涅槃図や絵解きの僧の若返り
(ねはんずやえときのそうのわかがえり)
※ペンライトを使うところは変わりないが、声
が変わった、若い透き通るいい声だ。わかり
やすい。だが、こちとら内容を理解したいと
聴いているわけではない。嗄れ声のいつもの
声の方が落ち着くしありがたい。死んだわけ
じゃないだろう。
4/18tue
捻挫して常より見入るすみれ草
(ねんざしてつねよりみいるすみれそう)
※家内が犬を曳いていて踏み外し、捻挫した。
初め大層痛がったが、時間を置かず整形外科
で診てもらい患部を固定した。これが奏功し
軽くて済んだみたい。ほぼ全快。
4/17mon
大風のやみて間もなく浮かれ猫
(おおかぜのやみてまもなくうかれねこ)
※時々吹きまくる大風が長いこと続いた。建物
が揺れ撓るほどで睡眠には大敵。ようやく静
かになったと思ったら、・・・猫の恋の始ま
り? 早くないか? 温暖化?
4/16sun
外来の受付すれば青柳
(がいらいのうけつけすればあおやなぎ)
4/14fri
角とれてと言われ久しく蕨餅
(かどとれてといわれひさしくわらびもち)
4/13thu
屋根の鞠今も探して啄木忌
(やねのまりいまもさがしてたくぼくき)
※ふとしたことで昔のことを思い出し、その前
後のことまで妙に生々しく覚えていた、なん
てことがある。啄木の故郷を思っての一首、
「その昔小学校の柾屋根に
我が投げし鞠いかにかなりけむ」
4/12wed
どの家も表札のごとハナズオウ
(どのいえもひょうさつのごとはなずおう)
春愁や宅配人のほころべり
(しゅんしゅうやたくはいにんのほころべり)
4/11tue
描きし絵の穏やかなれど徂春かな
(かきしえのおだやかなれどそしゅんかな)
※絵画教室の会でOBの来訪があり、腕前の進
歩と積極的な出展、入賞のことなど、大いに
アオラレタ。なにこの歳になって、画家にな
りたいわけじゃなし・・・とお決まりの言い
訳はするものの、もう少し上手になってもと
素直に願う気持ちや切なるものがある。
4/10mon
田植え機のギヤなめらかに父となる
(たうえきのぎやなめらかにちちとなる)
※農業後継者の彼はまだ新米のうち。先日父親
になったらしい。田植えは早くて1週間後、
腕が鳴って仕方がないというところか?
4/9sun
山笑ふバイクは遅し郵便夫
(やまわらうばいくはおそしゆうびんふ)
春巻を揚げて届けに手の温み
(はるまきをあげてとどけにてのぬくみ)
※もらった筍の一部を春巻にし届ける。スマホ
で時刻を確認し揚げたてを。
4/8sat
春爛漫愛想尽かしの果樹あれど
(はるらんまんあいそづかしのかじゅあれど)
※一番遅いぶどうの木が芽吹き始めた。梅、桃、
プラム、柿に続いてである。狭い土地に果樹
を縦列に欲張って植えているせいか、昨年は
殆どの木の収穫が落ち込んだ。対虫害では努
力するもいずれも効なく終始した。ああ、と
嘆息すること、今に引きずっている。
4/7fri
旅ごころ蠢き長く放哉忌
(たびごころうごめきながくほうさいき)
※お金もないが、飼い犬がホテル・病院に預け
にくい事情があるため、旅行は控えることが
多い。コロナ禍で余計固まった感じ。
4/5wed
学校のサクラを望み湯屋はあり
(がっこうのさくらをのぞみゆやはあり)
※御多聞にもれず、サクラと言えば城に学校で
ある。小学校の桜並木を思い出していたら、
ふと何のつながりもなしに近くに建っていた
温泉会館なるものが頭に浮かんできた。これ
も小学校も少し離れて故郷の川沿いにあった。
温泉などではなく「沸かし」だったろう。
70年ほど前のこと、あのころは農閑期の人
々など家族連れが客だった。何年かで閉鎖し
た。二階建ての、それらしくないモルタル塗
りの白い建物だった。
4/4tue
龍一の音々さやか風光る
(りゅういちのおとおとさやかかぜひかる)
※坂本龍一死去
4/3mon
毎日が今良しと推す山笑ふ
(まいにちがいまよしとおすやまわらう)
※サクラの終盤になると背景の山々の若葉が輝
き始める。昨日は今が一番いい時季だと思っ
たが、今朝になると今日の方がもっと良くな
ったと。
4/2sun
花びらはいつにも増して連翹忌
(はなびらはいつにもましてれんぎょうき)
記念館は雪深くあり光太郎忌
(きねんかんはゆきぶかくありこうたろうき)
※真冬に訪れた、高村光太路郎記念館は当時の
厳しさそのままに花巻郊外にあった。藁ぶき
の小さな一軒家、村はずれで隣家はない。
大雪の中に見た、強烈な印象は今も鮮明であ
る。光太郎忌はサクラ咲く、うららかな季節
だが、思い出は常に雪に埋もれた、あの光景
だ。したがって句は季重なりとなる。なに、
構うものか。
4/1sat
桜散り桜餅食い四月馬鹿
(さくらちりさくらもちくいしがつばか)
※今日は文句ない晴れ日。なんと言われようと
午前中は桜吹雪を見に、午後は甲子園の決勝
観戦だ。雑草が庭で背伸びして笑っている。
荷風忌や言葉あふれて街ゆれて
(かふうきやことばあふれてまちゆれて)
※インバウンドの回復のニュースで浅草雷門周
辺の雑踏が伝えられる。あそこにはすぐ横に
交番があって、我慢強い優しい警察官が絶え
ず笑顔で外国人に応対している。日本の若者
の言葉らしき洪水もある。荷風卒倒。
4/29sat
春爛漫バラは匂いて吾無臭
(はるらんまんばらはにおいてわれむしゅう)
※その昔顔は脂ぎって口の中、パンツの中、靴
の中は蒸れて異臭があった。普段においてそ
うだった。ところが今や匂いはないと人に言
われる。優秀な女歯科医に出会ってからは少
しのプラークもチェックされる。この10年
超、自分の歯の数に異動はない。口臭もない。
生きている証拠も急速に減っているというこ
とか。
4/27thu
動画見てブドウの芽かきためらわず
(どうがみてぶどうのめかきためらわず)
※動画投稿サイトもユーチューブ以外に様々あ
るらしいが、DIY・修理・家事・野菜果実栽
培・ガーデニングなどなど課題に広く応えて
くれるのはユーチューブだろう。本件のテー
マも関係のサイトが見きれないほどある。
4/26wed
しなやかな八十路の筆よ豆の花
(しなやかなやそじのふでよまめのはな)
※どこが痛い、ここが痛い、もう歳だからダメ、
とかいいながら筆を持たせると、対象をきり
っと見つめ、力強く筆を滑らせる。絵画教室
の師はまだ当分大丈夫だ。
4/25tue
新人の帽子は二つかげろへる
(しんじんのぼうしはふたつかげろえる)
※中学校野球部でも新人は二人だけ? うち一
人はつい先月までの小学生を思わせるチビ。
今部活は曲がり角、顧問の教師の激務防止と
やらで学校外から人材を呼んで運営や指導を
委ねるという。さて・・・。そもそも学年二
人ではチームがそのうち成立しなくなる。
これは少子化対策か?
4/24mon
喜寿の春尾崎今なら同じ岸
(きじゅのはるおざきいまならおなじきし)
※尾崎豊の歌特集でたっぷりと聴いた。しみじ
みと繰り返し。
4/22sat
春の蚊や血を吸う知恵はなかりけり
(はるのかやちをすうちえはなかりけり)
4/21fri
葱坊主貯めし雑草抜きにけり
(ねぎぼうずためしざっそうぬきにけり)
学年の違う子らいる葱坊主
(がくねんのちがうこらいるねぎぼうず)
※コロナ禍の制限された暮らしは畑仕事を増や
したとか。周辺でもそれまでの庭を大胆に畑
にした家が何軒か見受けられる。やせた葱坊
主がクレイムを言いたがって・・・。
4/20thu
涅槃図や絵解きの僧の若返り
(ねはんずやえときのそうのわかがえり)
※ペンライトを使うところは変わりないが、声
が変わった、若い透き通るいい声だ。わかり
やすい。だが、こちとら内容を理解したいと
聴いているわけではない。嗄れ声のいつもの
声の方が落ち着くしありがたい。死んだわけ
じゃないだろう。
4/18tue
捻挫して常より見入るすみれ草
(ねんざしてつねよりみいるすみれそう)
※家内が犬を曳いていて踏み外し、捻挫した。
初め大層痛がったが、時間を置かず整形外科
で診てもらい患部を固定した。これが奏功し
軽くて済んだみたい。ほぼ全快。
4/17mon
大風のやみて間もなく浮かれ猫
(おおかぜのやみてまもなくうかれねこ)
※時々吹きまくる大風が長いこと続いた。建物
が揺れ撓るほどで睡眠には大敵。ようやく静
かになったと思ったら、・・・猫の恋の始ま
り? 早くないか? 温暖化?
4/16sun
外来の受付すれば青柳
(がいらいのうけつけすればあおやなぎ)
4/14fri
角とれてと言われ久しく蕨餅
(かどとれてといわれひさしくわらびもち)
4/13thu
屋根の鞠今も探して啄木忌
(やねのまりいまもさがしてたくぼくき)
※ふとしたことで昔のことを思い出し、その前
後のことまで妙に生々しく覚えていた、なん
てことがある。啄木の故郷を思っての一首、
「その昔小学校の柾屋根に
我が投げし鞠いかにかなりけむ」
4/12wed
どの家も表札のごとハナズオウ
(どのいえもひょうさつのごとはなずおう)
春愁や宅配人のほころべり
(しゅんしゅうやたくはいにんのほころべり)
4/11tue
描きし絵の穏やかなれど徂春かな
(かきしえのおだやかなれどそしゅんかな)
※絵画教室の会でOBの来訪があり、腕前の進
歩と積極的な出展、入賞のことなど、大いに
アオラレタ。なにこの歳になって、画家にな
りたいわけじゃなし・・・とお決まりの言い
訳はするものの、もう少し上手になってもと
素直に願う気持ちや切なるものがある。
4/10mon
田植え機のギヤなめらかに父となる
(たうえきのぎやなめらかにちちとなる)
※農業後継者の彼はまだ新米のうち。先日父親
になったらしい。田植えは早くて1週間後、
腕が鳴って仕方がないというところか?
4/9sun
山笑ふバイクは遅し郵便夫
(やまわらうばいくはおそしゆうびんふ)
春巻を揚げて届けに手の温み
(はるまきをあげてとどけにてのぬくみ)
※もらった筍の一部を春巻にし届ける。スマホ
で時刻を確認し揚げたてを。
4/8sat
春爛漫愛想尽かしの果樹あれど
(はるらんまんあいそづかしのかじゅあれど)
※一番遅いぶどうの木が芽吹き始めた。梅、桃、
プラム、柿に続いてである。狭い土地に果樹
を縦列に欲張って植えているせいか、昨年は
殆どの木の収穫が落ち込んだ。対虫害では努
力するもいずれも効なく終始した。ああ、と
嘆息すること、今に引きずっている。
4/7fri
旅ごころ蠢き長く放哉忌
(たびごころうごめきながくほうさいき)
※お金もないが、飼い犬がホテル・病院に預け
にくい事情があるため、旅行は控えることが
多い。コロナ禍で余計固まった感じ。
4/5wed
学校のサクラを望み湯屋はあり
(がっこうのさくらをのぞみゆやはあり)
※御多聞にもれず、サクラと言えば城に学校で
ある。小学校の桜並木を思い出していたら、
ふと何のつながりもなしに近くに建っていた
温泉会館なるものが頭に浮かんできた。これ
も小学校も少し離れて故郷の川沿いにあった。
温泉などではなく「沸かし」だったろう。
70年ほど前のこと、あのころは農閑期の人
々など家族連れが客だった。何年かで閉鎖し
た。二階建ての、それらしくないモルタル塗
りの白い建物だった。
4/4tue
龍一の音々さやか風光る
(りゅういちのおとおとさやかかぜひかる)
※坂本龍一死去
4/3mon
毎日が今良しと推す山笑ふ
(まいにちがいまよしとおすやまわらう)
※サクラの終盤になると背景の山々の若葉が輝
き始める。昨日は今が一番いい時季だと思っ
たが、今朝になると今日の方がもっと良くな
ったと。
4/2sun
花びらはいつにも増して連翹忌
(はなびらはいつにもましてれんぎょうき)
記念館は雪深くあり光太郎忌
(きねんかんはゆきぶかくありこうたろうき)
※真冬に訪れた、高村光太路郎記念館は当時の
厳しさそのままに花巻郊外にあった。藁ぶき
の小さな一軒家、村はずれで隣家はない。
大雪の中に見た、強烈な印象は今も鮮明であ
る。光太郎忌はサクラ咲く、うららかな季節
だが、思い出は常に雪に埋もれた、あの光景
だ。したがって句は季重なりとなる。なに、
構うものか。
4/1sat
桜散り桜餅食い四月馬鹿
(さくらちりさくらもちくいしがつばか)
※今日は文句ない晴れ日。なんと言われようと
午前中は桜吹雪を見に、午後は甲子園の決勝
観戦だ。雑草が庭で背伸びして笑っている。