ダクタク句集2019年(平成31年)1月 [ダクタク2019年1月]
1/31thu
歓呼あり 母の故国の 冬銀河
(かんこあり ははのここくの ふゆぎんが)
※大坂なおみフィーバーも一段落か? それにし
ても稀に見る試合だった。相手の強烈なサーブ
に適応して楽勝かと思われた第2セットは暗転、
逆にとられた時は明らかに劣勢だった。ところ
が・・・。
拳ふり 鼓舞する夏の メルボルン
(こぶしふり こぶするなつの めるぼるん)
※第3セット開始前の休憩時に彼女は自らの力で
蘇生したという。感情の高ぶりを抑え、静かに
自らを鼓舞したとか。すごい。
1/30wed
寒の朝 事故を起こした 顔不憫
(かんのあさ じこをおこした かおふびん)
※出勤途上らしい人が現場で警察を待っている。
寒い朝で、起こした事故のことがまだ信じられ
ない表情。蒼白。他人事ではない。
地が恵む 玉鋼あり 冬出雲
(ちがめぐむ たまはがねあり ふゆいずも)
※テレビで冬の「たたら製鉄」の模様を放送して
いた。ここで出来る「玉鋼」は日本刀作りに欠
かせない原料となる。
去年の島根旅行を思い出した。しかし思い出し
たのは「そば」の味だった。
1/28mon
霜光る 茶畑作りし 人の庭
(しもひかる ちゃばたけつくりし ひとのにわ)
※本場茶畑には防霜ファンがあるが、霜の害が殆
どない内房、今朝の冷え込みはどうか? うっ
すらの霜だ。光っている。ファンはないからビ
ニールシートで覆っているらしい。一人分でも
自家製茶ができれば満足と言っていた。
1/27sun
納骨や 生家に続く つばき道
(のうこつや せいかにつづく つばきみち)
※義姉の納骨の法要。方々に居を構えたが、結局
は生家近くの墓地に眠ることに。風の強い、乾
き切った日。
1/26sat
寒の変事 庭の木はみな 剪られたり
(かんのへんじ にわのきはみな きられたり)
※たまに留守にしたら、庭の木はことごとく短く
剪定されていた。家内の仕業。殆ど面倒を見な
いので文句は言えないが、もみじの古木、ムク
ゲなどいくつかは自分のEEZ(排他的経済圏)
内だと思っている。空しい抗議をする。
1/25fri
冬の日よ 眩しきまでに 鳩の群れ
(ふゆのひよ まぶしきまでに はとのむれ)
※寒、大寒の間も驚くような寒さ、強風の日はな
い。おかげさまでという感じもあるが、何事もな
く日がスルスルと速く過ぎていくという感慨もあ
る。一冊の本を真面目に読んでいるが、これが
なかなかに難行で、渋滞しているうちに日が過
ぎていく。
1/24thu
手袋を 脱がずトランプの 顔を見る
(てぶくろを ぬがずとらんぷの かおをみる)
※帰宅するとテレビがトランプ米大統領の発言
を伝えている。あの声と剥き出しの表現、そ
して劇場型の発信力。すっかり馴れたのだが、
ついつい目と耳が吸い寄せられる。この一、
二年で罹患した生活習慣病。
1/23wed
ためいきや 冬の日照りで 畑萎え
(ためいきや ふゆのひでりで はたけなえ)
※白菜は大丈夫だったが、ブロッコリーや葉物
野菜は軒並みなんと小さいことか。冬眠中の
玉ねぎに影響が出ないようにと水をやる。
1/21mon
出初式 紅白まとう クルマ行く
(でぞめしき こうはくまとう くるまいく)
冬麗ら 三ヶ月のたびに 転院す
(ふゆうらら みつきのたびに てんいんす)
※知人が入院していた一般病院から転院を迫られ
た。入院加療が一段落すると、「老人の療養」
がメインでかつ家族の都合で入院を続けている
と看做され、入院能力を確保するためにも「出て
もらおう」という主旨なそうな。この目的のために、
入院にかかる諸費用(病院側の収入)は逓減す
るシステムになっていて3ヶ月を過ぎるとぐっと
低くなる。だから病院は嫌う。
1/20sun
鏡餅 かけらは丸い ピザの上
(かがみもち かけらはまるい ぴざのうえ)
大寒や ヤビツ峠の 凹みかな
(だいかんや やびつとうげの へこみかな)
※丹沢山塊の東端と「お参りで名高い大山」との
間の鞍部がヤビツ峠だ。冬場は大概くっきりと
眺められる。
1/19sat
悴みて 野仏枯葉を 集めたり
(かじかみて のぼとけかれはを あつめたり)
※この周辺の農村では広い田畑の中に村落が点
在していて、その入口などに野仏や地蔵尊が祀
られている。現在では道路が通っているから思っ
てもいない所で出会うことがある。多くは相当古
いものらしい。半ば朽ちているものも。朝日を浴
びた寒中の野仏は暖かそうに見えた。
1/18fri
セピア色 大雪の日の 父と母
(せぴあいろ おおゆきのひの ちちとはは)
※日本海側は雪、関東地方は「バカっ晴れ」で低
湿度。肩の高さまで積もった雪を取り除いてい
る写真を見ながら、昔は大変だったと話をされ
た。故郷で少年の頃である。その大雪を羨まし
く思ったものだ。写真は当然白黒、セピア色だ
った。
1/17thu
冬の日の トンネルぬけた そこにあり
(ふゆのひの とんねるぬけた そこにあり)
※稀勢の里引退。怪我も癒え、体力気力充実と言
われたが、心技体それぞれの充実がうまく噛み
合っていない。それはもう病気で、噛み合わない
症候群に陥っていたのだろう。なんとも微妙なも
のだ。冬の日を浴びれば雲散霧消するかも。
1/15tue
寒空に夕日映え 人ちらと見る
(かんくうにゆうひはえ ひとちらとみる)
振り向いて 教えられたり 冬の虹
(ふりむいて おしえられたり ふゆのにじ)
1/14mon
着付け待つ 父はクルマで 寒の朝
(きつけまつ ちちはくるまで かんのあさ)
※成人の日の朝、近所の美容院は朝暗いうちから
盛況だ。店内は女性だけなのだろう。迎えの父親
は中に入らず、外のクルマで待っている。もうすぐ
娘の晴れ姿が・・・。
1/13sun
鈍色の 寒の空あり ノーサイド
(にぶいろの かんのそらあり のーさいど)
※ラグビー大学選手権で明治が天理を下し、22
大会ぶりに大学日本一の座についた。
惜しかったなァ・・・。僅差で敗れた天理も惜しか
ったが、早稲田が今日日本一になってもおかし
くなかったのに。早稲田は対抗戦で明治を破り、
大学選手権では明治に敗れた。いずれも本当
の僅差だった。ゲームの終了が、ロスタイム方
式ではなく、「終了フォーン後のワンプレイ」方
式というのが時に猛烈にスリリングな展開を見
せる。
1/12sat
寒気団 払暁黒き 風連れて
(かんきだん ふつぎょうくろき かぜつれて)
1/11fri
勝山の 冬の波濤見て 子を産めり
(かつやまの ふゆのはとうみて こをうめり)
※冬の荒い海を見るには内房勝山の海が一番の近
場。そこに住む知人の娘が無事出産したという知ら
せがあった。
寒暁や 釣り宿だけが こうこうと
(かんぎょうや つりやどだけが こうこうと)
1/10thu
櫓へと 昇る石段に 朝の雪
(やぐらへと のぼるいしだんに あさのゆき)
※故郷会津若松の鶴ケ城趾に思い出は尽きないが、
天守閣が再建される前、観光客も少なかった頃に、
城内の石垣の上をずうっと歩いて回るのが好きだ
った。内濠が目の下に眺められ、町並みも遠くの山
々も一望出来た。
うっすら雪が積もった本丸南東隅の月見櫓はなか
でもお気に入り。一番高い石垣の上にあった。
10/8tue
水仙を 揺らすシーソーの 音続き
(すいせんを ゆらすしーそーの おとつずき)
※正月の子供の遊びとして、比較的古典的なシー
ソー。下部についていて地面に当たるクッション
用のタイヤが変な音をたてる。
1/7mon
厚着して デイの迎え待つ 寒の入り
(あつぎして でいのむかえまつ かんのいり)
三が日 明けの病院に 熱気あり
(さんがにち あけのびょういんに ねっきあり)
※正月が過ぎて、いつもの暮らしがもどる。さす
がに寒の厳しさ。人に会うごと、息が白い。
1/6sun
祖父の手が 小さき手さする 火鉢の上
(そふのてが ちさきてさする ひばちのえ)
※一度だけ正月に母の実家に行った、小学生低学
年の時。謹厳そのものだった高齢の祖父がめず
らしく相好を崩して、悴んだ手を火鉢の上でさす
り温めてくれた。なぜか鮮明な記憶。
1/5sat
初夢や 微笑む古き 顔ありき
(はつゆめや ほほえむふるき かおありき)
※会えないでいる友が現れた。病気はどうか?
なにかすることがあるか? 日ごろ考えていた
のに、それを尋ねることは忘れていた。
スリコギや 三日とろろの 朝仕事
(すりこぎや みっかとろろの あさしごと)
※東北地方の一部では正月三日の朝は「とろろご
飯」で祝う。小さい頃から今に至るまでとろろ飯
が大好きだ。これが高じて、年が明けると三日と
ろろを夢み、なんとか句をひねろうとする。
1/4fri
水洟や 朝の寒さの 異常なる
(みずばなや あさのさむさの いじょうなる)
※今朝の冷え込みは尋常ではなかった。午前7時
で0度付近。世の中は新年始動の日。とはいえ
明日はまた週末。挨拶だけのところも多いのか
な? 朝のクルマは少ない。
1/2wed
お年賀に 同棲若き 二人かな
(おねんがに どうせいわかき ふたりかな)
※親戚の男子とその彼女が挨拶を兼ねて来てくれ
た。年寄りの夫婦からは、年齢だけではない、言
葉もエネルギーも、好みも行動もかけ離れ、対極
にあるカップルだ。眩しさをこらえて見ていた。
「なんかいいこと、ありそう」
1/1tue
元旦や 天井のシミの いとおしく
(がんたんや てんじょうのしみの いとおしく)
※ほんの少しだけ朝寝をのばす。カーテンの外で
青空が広がっていくのがわかる。正月。
歓呼あり 母の故国の 冬銀河
(かんこあり ははのここくの ふゆぎんが)
※大坂なおみフィーバーも一段落か? それにし
ても稀に見る試合だった。相手の強烈なサーブ
に適応して楽勝かと思われた第2セットは暗転、
逆にとられた時は明らかに劣勢だった。ところ
が・・・。
拳ふり 鼓舞する夏の メルボルン
(こぶしふり こぶするなつの めるぼるん)
※第3セット開始前の休憩時に彼女は自らの力で
蘇生したという。感情の高ぶりを抑え、静かに
自らを鼓舞したとか。すごい。
1/30wed
寒の朝 事故を起こした 顔不憫
(かんのあさ じこをおこした かおふびん)
※出勤途上らしい人が現場で警察を待っている。
寒い朝で、起こした事故のことがまだ信じられ
ない表情。蒼白。他人事ではない。
地が恵む 玉鋼あり 冬出雲
(ちがめぐむ たまはがねあり ふゆいずも)
※テレビで冬の「たたら製鉄」の模様を放送して
いた。ここで出来る「玉鋼」は日本刀作りに欠
かせない原料となる。
去年の島根旅行を思い出した。しかし思い出し
たのは「そば」の味だった。
1/28mon
霜光る 茶畑作りし 人の庭
(しもひかる ちゃばたけつくりし ひとのにわ)
※本場茶畑には防霜ファンがあるが、霜の害が殆
どない内房、今朝の冷え込みはどうか? うっ
すらの霜だ。光っている。ファンはないからビ
ニールシートで覆っているらしい。一人分でも
自家製茶ができれば満足と言っていた。
1/27sun
納骨や 生家に続く つばき道
(のうこつや せいかにつづく つばきみち)
※義姉の納骨の法要。方々に居を構えたが、結局
は生家近くの墓地に眠ることに。風の強い、乾
き切った日。
1/26sat
寒の変事 庭の木はみな 剪られたり
(かんのへんじ にわのきはみな きられたり)
※たまに留守にしたら、庭の木はことごとく短く
剪定されていた。家内の仕業。殆ど面倒を見な
いので文句は言えないが、もみじの古木、ムク
ゲなどいくつかは自分のEEZ(排他的経済圏)
内だと思っている。空しい抗議をする。
1/25fri
冬の日よ 眩しきまでに 鳩の群れ
(ふゆのひよ まぶしきまでに はとのむれ)
※寒、大寒の間も驚くような寒さ、強風の日はな
い。おかげさまでという感じもあるが、何事もな
く日がスルスルと速く過ぎていくという感慨もあ
る。一冊の本を真面目に読んでいるが、これが
なかなかに難行で、渋滞しているうちに日が過
ぎていく。
1/24thu
手袋を 脱がずトランプの 顔を見る
(てぶくろを ぬがずとらんぷの かおをみる)
※帰宅するとテレビがトランプ米大統領の発言
を伝えている。あの声と剥き出しの表現、そ
して劇場型の発信力。すっかり馴れたのだが、
ついつい目と耳が吸い寄せられる。この一、
二年で罹患した生活習慣病。
1/23wed
ためいきや 冬の日照りで 畑萎え
(ためいきや ふゆのひでりで はたけなえ)
※白菜は大丈夫だったが、ブロッコリーや葉物
野菜は軒並みなんと小さいことか。冬眠中の
玉ねぎに影響が出ないようにと水をやる。
1/21mon
出初式 紅白まとう クルマ行く
(でぞめしき こうはくまとう くるまいく)
冬麗ら 三ヶ月のたびに 転院す
(ふゆうらら みつきのたびに てんいんす)
※知人が入院していた一般病院から転院を迫られ
た。入院加療が一段落すると、「老人の療養」
がメインでかつ家族の都合で入院を続けている
と看做され、入院能力を確保するためにも「出て
もらおう」という主旨なそうな。この目的のために、
入院にかかる諸費用(病院側の収入)は逓減す
るシステムになっていて3ヶ月を過ぎるとぐっと
低くなる。だから病院は嫌う。
1/20sun
鏡餅 かけらは丸い ピザの上
(かがみもち かけらはまるい ぴざのうえ)
大寒や ヤビツ峠の 凹みかな
(だいかんや やびつとうげの へこみかな)
※丹沢山塊の東端と「お参りで名高い大山」との
間の鞍部がヤビツ峠だ。冬場は大概くっきりと
眺められる。
1/19sat
悴みて 野仏枯葉を 集めたり
(かじかみて のぼとけかれはを あつめたり)
※この周辺の農村では広い田畑の中に村落が点
在していて、その入口などに野仏や地蔵尊が祀
られている。現在では道路が通っているから思っ
てもいない所で出会うことがある。多くは相当古
いものらしい。半ば朽ちているものも。朝日を浴
びた寒中の野仏は暖かそうに見えた。
1/18fri
セピア色 大雪の日の 父と母
(せぴあいろ おおゆきのひの ちちとはは)
※日本海側は雪、関東地方は「バカっ晴れ」で低
湿度。肩の高さまで積もった雪を取り除いてい
る写真を見ながら、昔は大変だったと話をされ
た。故郷で少年の頃である。その大雪を羨まし
く思ったものだ。写真は当然白黒、セピア色だ
った。
1/17thu
冬の日の トンネルぬけた そこにあり
(ふゆのひの とんねるぬけた そこにあり)
※稀勢の里引退。怪我も癒え、体力気力充実と言
われたが、心技体それぞれの充実がうまく噛み
合っていない。それはもう病気で、噛み合わない
症候群に陥っていたのだろう。なんとも微妙なも
のだ。冬の日を浴びれば雲散霧消するかも。
1/15tue
寒空に夕日映え 人ちらと見る
(かんくうにゆうひはえ ひとちらとみる)
振り向いて 教えられたり 冬の虹
(ふりむいて おしえられたり ふゆのにじ)
1/14mon
着付け待つ 父はクルマで 寒の朝
(きつけまつ ちちはくるまで かんのあさ)
※成人の日の朝、近所の美容院は朝暗いうちから
盛況だ。店内は女性だけなのだろう。迎えの父親
は中に入らず、外のクルマで待っている。もうすぐ
娘の晴れ姿が・・・。
1/13sun
鈍色の 寒の空あり ノーサイド
(にぶいろの かんのそらあり のーさいど)
※ラグビー大学選手権で明治が天理を下し、22
大会ぶりに大学日本一の座についた。
惜しかったなァ・・・。僅差で敗れた天理も惜しか
ったが、早稲田が今日日本一になってもおかし
くなかったのに。早稲田は対抗戦で明治を破り、
大学選手権では明治に敗れた。いずれも本当
の僅差だった。ゲームの終了が、ロスタイム方
式ではなく、「終了フォーン後のワンプレイ」方
式というのが時に猛烈にスリリングな展開を見
せる。
1/12sat
寒気団 払暁黒き 風連れて
(かんきだん ふつぎょうくろき かぜつれて)
1/11fri
勝山の 冬の波濤見て 子を産めり
(かつやまの ふゆのはとうみて こをうめり)
※冬の荒い海を見るには内房勝山の海が一番の近
場。そこに住む知人の娘が無事出産したという知ら
せがあった。
寒暁や 釣り宿だけが こうこうと
(かんぎょうや つりやどだけが こうこうと)
1/10thu
櫓へと 昇る石段に 朝の雪
(やぐらへと のぼるいしだんに あさのゆき)
※故郷会津若松の鶴ケ城趾に思い出は尽きないが、
天守閣が再建される前、観光客も少なかった頃に、
城内の石垣の上をずうっと歩いて回るのが好きだ
った。内濠が目の下に眺められ、町並みも遠くの山
々も一望出来た。
うっすら雪が積もった本丸南東隅の月見櫓はなか
でもお気に入り。一番高い石垣の上にあった。
10/8tue
水仙を 揺らすシーソーの 音続き
(すいせんを ゆらすしーそーの おとつずき)
※正月の子供の遊びとして、比較的古典的なシー
ソー。下部についていて地面に当たるクッション
用のタイヤが変な音をたてる。
1/7mon
厚着して デイの迎え待つ 寒の入り
(あつぎして でいのむかえまつ かんのいり)
三が日 明けの病院に 熱気あり
(さんがにち あけのびょういんに ねっきあり)
※正月が過ぎて、いつもの暮らしがもどる。さす
がに寒の厳しさ。人に会うごと、息が白い。
1/6sun
祖父の手が 小さき手さする 火鉢の上
(そふのてが ちさきてさする ひばちのえ)
※一度だけ正月に母の実家に行った、小学生低学
年の時。謹厳そのものだった高齢の祖父がめず
らしく相好を崩して、悴んだ手を火鉢の上でさす
り温めてくれた。なぜか鮮明な記憶。
1/5sat
初夢や 微笑む古き 顔ありき
(はつゆめや ほほえむふるき かおありき)
※会えないでいる友が現れた。病気はどうか?
なにかすることがあるか? 日ごろ考えていた
のに、それを尋ねることは忘れていた。
スリコギや 三日とろろの 朝仕事
(すりこぎや みっかとろろの あさしごと)
※東北地方の一部では正月三日の朝は「とろろご
飯」で祝う。小さい頃から今に至るまでとろろ飯
が大好きだ。これが高じて、年が明けると三日と
ろろを夢み、なんとか句をひねろうとする。
1/4fri
水洟や 朝の寒さの 異常なる
(みずばなや あさのさむさの いじょうなる)
※今朝の冷え込みは尋常ではなかった。午前7時
で0度付近。世の中は新年始動の日。とはいえ
明日はまた週末。挨拶だけのところも多いのか
な? 朝のクルマは少ない。
1/2wed
お年賀に 同棲若き 二人かな
(おねんがに どうせいわかき ふたりかな)
※親戚の男子とその彼女が挨拶を兼ねて来てくれ
た。年寄りの夫婦からは、年齢だけではない、言
葉もエネルギーも、好みも行動もかけ離れ、対極
にあるカップルだ。眩しさをこらえて見ていた。
「なんかいいこと、ありそう」
1/1tue
元旦や 天井のシミの いとおしく
(がんたんや てんじょうのしみの いとおしく)
※ほんの少しだけ朝寝をのばす。カーテンの外で
青空が広がっていくのがわかる。正月。