ダクタク句集2021年(令和3年)3月 [ダクタク2021年3月]
3/30tue
白木蓮清し人なしと言えど
(しろもくれんすがし ひとなしといえど)
植え替えて こちら向かしむ 黄水仙
(うえかえて こちらむかしむ きすいせん)
3/29mon
涅槃図や 僧絵解きする ペンライト
(ねはんずや そうえときする ぺんらいと)
※日頃は秘仏とされている御本尊を拝見し、こ
れまた秘蔵の涅槃図の説明を受けた。涅槃図
は三仏忌のうち涅槃会の参拝客に公開すると
か。本堂で静かに聞いていると真っ黒に近い
図ながら清新な気分になるから不思議。
3/28sun
陽だまりの ベンチを譲り 西行忌
(ひだまりの べんちをゆずり さいぎょうき)
あれこれと 捨てぬ理由を 西行忌
(あれこれと すてぬりゆうを さいぎょうき)
※旧暦の2月16日は西行忌。釈迦の命日2/15
に桜の下で死にたいと願い、没したと言われ
る。現世のしがらみを捨て、出家し、有り余
る才能を歌に寄せ、その後も信心の一方で煩
悩との闘いに一生を送った、とされる。
3/27sat
春時雨 スクランブルの 街ひそむ
(はるしぐれ すくらんぶるの まちひそむ)
※雨模様で渋谷駅前交差点の人出はやや穏やか。
ここ暫くは大阪、仙台、山形とかとか首都圏
以外の患者増加でワキ役に。でも必ず復活す
る、ニュース主役の座。
長閑さや 江ノ電の音 猫と住む
(のどかさや えのでんのおと ねことすむ)
※養老孟子氏の鎌倉自宅での暮らしを綴ったBS
の番組。おしゃべり孟子に老猫マルの取り合
わせが実に落ち着く。
囀りや 毛を集めおり 犬の留守
(さえずりや けをあつめおり いぬのるす)
3/26fri
水温む シューベルトの ソナタかな
(みずぬるむ しゅーべるとの そなたかな)
※春のせせらぎにぴったりなのがシューベルトの
即興曲(ピアノ)、D899とD935。ピアノソナ
タは別にちゃんとあるから誤解を招くが、余り
に字余りになるので・・・。
針に糸 一度で通す 葱坊主
(はりにいと いちどでとおす ねぎぼうず)
残りし歯 少し異常の 遅日かな
(のこりしは すこしいじょうの ちじつかな)
3/24wed
坂道や こぎてもとまる つくしかな
(さかみちや こぎてもとまる つくしかな)
デュトワふる 春の祭典 血圧高め
(でゅとわふる はるのさいてん けつあつたかめ)
※春に血圧高めは要注意。自転車も、坂道で土
筆が目にとまる程度にしようと思う。
3/23tue
皺の手で 開花の証し 写メールし
(しわのてで かいかのあかし しゃめーるし)
それぞれに 標準木あり サクラかな
(それぞれに ひょうじゅんぼくあり さくらかな)
投票所 出て春雨に 遭いにけり
(とうひょうじょ でてはるさめに あいにけり)
レーダーを 信じた末の 春の雨
(れーだーを しんじたすえの はるのあめ)
※房総半島内房地方でサクラの開花は2~3分
ほど。毎朝通る堤の並木はそれより少し遅い。
3/22mon
桃の花 夕彩るも 客はなし
(もものはな ゆういろどるも きゃくはなし)
うちは桃そとは陽光桜かな
(うちはもも そとはようこうざくらかな)
※桃の花と陽光桜は満開時が今回の雨にあい、
散り始めている。客の少なきを嘆いたことは
なかったが、今回だけは惜しかったなァ、見
せたかったなァと口惜しがっている。
それにしても、今までより色の酷似に驚いて
いるのは年齢のせいなのかな?
3/21sun
剪定を いつくしみつつ し残せり
(せんていを いつくしみつつ しのこせり)
花ニラや 我が庭の素直なる日々
(はなにらや わがにわのすなおなるひび)
花冷えや 病む首都圏に 解除あり
(はなびえや やむしゅとけんに かいじょあり)
3/20sat
彼岸会や 300年の 門なりき
(ひがんえや さんびゃくねんの もんなりき)
秘仏見て 石段中ほど 風光る
(ひぶつみて いしだんなかほど かぜひかる)
あるはずの 色揃いてや クロッカス
(あるはずの いろそろいてや くろっかす)
3/19fri
火を浴びて 沓音を聞く 二月堂
(ひをあびて くつおとをきく にがつどう)
春の闇 五体投地の 板の音
(はるのやみ ごたいとうちの いたのおと)
春の月 十四日間の 修行終え
(はるのつき じゅうよっかかんの しゅぎょうおえ)
※二月堂の修二会、今年は参拝客なしで行われ、
その代わりにBSテレビが中継した。
今まで目に触れなかった堂内の儀式、秘儀と
言われるものも含め、4時間余りだ。コロナ
禍も悪いことばかりではない。
番組を見るだけで疲れたが、おかげで心身の
煤払いが出来た(ような気がした)。
3/18thu
蕗の薹 遅きを悔いて 二つ三つ
(ふきのとう おそきをくいて ふたつみつ)
本来は 答辞読む子に 春日かな
(ほんらいは とうじよむこに はるひかな)
※なんにもない暮らしだが、それでも春はなに
かとあるものだ。卒業式は保護者なし、式次
第も簡素化して行われるとか。本人は喜んで
いるというが、親は・・・。
蕗の薹の秘密の場所は今年も無事だったが、
とうにタイミングを逸していた。
3/17wed
うながされ 免許貰いに 目借時
(うながされ めんきょもらいに めかりどき)
海の上に 高炉かすみて 入り彼岸
(うみのえに こうろかすみて いりひがん)
※溶鉱炉が三つも四つもあった光景は昔。地元
の製鉄所も縮小の運命にあり。高炉の薄い煙
ははかなげに。
3/16tue
桃咲くや 高齢免許は 金の色
(ももさくや こうれいめんきょは きんのいろ)
※午後に警察から電話あり。今日中に取りにこ
なければ交付しませんと。春の夕日が沈む前
に無事入手。認知症には免許更新しないはず
だが・・・。良かった。ちゃんとゴールド。
3/15mon
マスクして 杉の道掃く 春の僧
(ますくして すぎのみちはく はるのそう)
※地元の図書館に電子図書の登録をした。ファ
イルでの貸借だから、この時代に最適。当地
にもやってきたか。
今は青空文庫のコンテンツが多いというから
特段のメリットはない。充実はこれから。
3/14sun
修二会僧 あの激しさに 魅かれおり
(しゅにえそう あのはげしさに ひかれおり)
※東大寺二月堂の修二会中継を見た。現場の興
奮を思いやる。1261年続くという。
3/13sat
春宵や 気功の不思議 妻語る
(しゅんしょうや きこうのふしぎ つまかたる)
飛行機と まがいし春の 長いびき
(ひこうきと まがいしはるの ながいびき)
※春なれば妻を詠んだ句を。
3/12fri
春暁や さて寝なばやと 布団引く
(しゅんぎょうや さてねなばやと ふとんひく)
春暁や 待ち兼ねノソッと 床を出る
(しゅんぎょうや まちかねのそっと とこをでる)
※日の出は早くなったものの、ずっと前から待
っている日もある。寝ようか、いっそ起きよ
うか? きままで非生産的な一日の始まり。
3/11thu
雅には 遠くなりけり 桃の花
(みやびには とおくなりけり もものはな)
※桃の最初の一輪が今日咲いた。濃いピンクの
蕾が目白押しである。やわらかい日射しと花
の動きは例年と変わらずでなんとも貴重。近
所の陽光桜並木も昨日開花した。
3/10wed
いとおしや 春の朝の かゆみどめ
(いとおしや はるのあしたの かゆみどめ)
※高齢者に多い肌の乾燥症。かゆみが時に襲っ
てくる。じっと我慢、かかない。
3/9tue
春暁や まだかと闇に 灯をさぐり
(しゅんぎょうや まだかとやみに ひをさぐり)
春の朝 踏切音で 時を知り
(はるのあさ ふみきりおんで ときをしり)
※最近御多聞に漏れず、朝早く目を覚まして、
その後の長い時間を寝床で過ごしている。真
っ暗い中で、半覚醒のタイトルレスの思考、
かすかな光をカーテン越しに待っている。さ
て寝ようか、本を読むか・・・頭がすっきり
してくるとメニューが広がる。寝なくてはと
あせることはない。
3/8mon
早咲きの サクラ確かめん 遠回り
(はやざきの さくらたしかめん とおまわり)
沈丁花匂いありと妻闇の中
(ちんちょうげにおいありと つまやみのなか)
春の朝見上げても暦は見えず
(はるのあさ みあげてもこよみはみえず)
3/7sun
啓蟄や 生徒試験の 穴を出る
(けいちつや せいとしけんの あなをでる)
啓蟄や 老うちわ師の 女竹割く
(けいちつや ろううちわしの めたけさく)
※房州うちわは素朴な名品が多い。以前は多く
の職人が分業で作っていたらしいが、今や出
荷量は減り、名人と言われる人が材料の竹の
栽培・伐採・乾燥から竹の加工、絵柄の作成、
貼り、仕上げまでを一人でやっている。皺く
ちゃの手が見事な動きを見せる。
3/5fri
ミモザ咲く 山なす空の 植木鉢
(みもざさく やまなすからの うえきばち)
微笑みて 黄の春服が 退院す
(ほほえみて きのはるふくが たいいんす)
※図らずもイエロー句2つ。最近は古い顔とメ
ールを交換したり、夢マクラに出て来たり、
良いことが続いた。コロナ禍で強がりを言っ
ていてもやっぱり孤独オンリーでは長くはも
たないということか?
3/3wed
春の闇 教師のクルマは プラグイン
(はるのゆう きょうしのくるまは ぷらぐいん)
※これはトヨタの最新鋭車だなと見送る。
3/2tue
ライン見る 若き教師の 春放課
(らいんみる わかききょうしの はるほうか)
春の夕 校舎は声を 失えり
(はるのゆう こうしゃはこえを うしなえり)
※近所に中学校がある。顧問教師の負荷が問題
になった折に部活が抑制されたところに、コ
ロナ禍が重なり、放課後の校舎は様変わりだ。
3/1mon
如月の 山なめつくす 赤き舌
(きさらぎの やまなめつくす あかきした)
如月や 店守る顔の 白々と
(きさらぎや みせまもるひとの しらじらと)
※営業時間短縮の補償を叫ぶ人が多い中で、切
盛りに万策尽きた人も多い。働けと言われれ
ば寝ないで頑張るのだがと、力を駆使する場
を失った人の無言の表情は悲痛だ。
白木蓮清し人なしと言えど
(しろもくれんすがし ひとなしといえど)
植え替えて こちら向かしむ 黄水仙
(うえかえて こちらむかしむ きすいせん)
3/29mon
涅槃図や 僧絵解きする ペンライト
(ねはんずや そうえときする ぺんらいと)
※日頃は秘仏とされている御本尊を拝見し、こ
れまた秘蔵の涅槃図の説明を受けた。涅槃図
は三仏忌のうち涅槃会の参拝客に公開すると
か。本堂で静かに聞いていると真っ黒に近い
図ながら清新な気分になるから不思議。
3/28sun
陽だまりの ベンチを譲り 西行忌
(ひだまりの べんちをゆずり さいぎょうき)
あれこれと 捨てぬ理由を 西行忌
(あれこれと すてぬりゆうを さいぎょうき)
※旧暦の2月16日は西行忌。釈迦の命日2/15
に桜の下で死にたいと願い、没したと言われ
る。現世のしがらみを捨て、出家し、有り余
る才能を歌に寄せ、その後も信心の一方で煩
悩との闘いに一生を送った、とされる。
3/27sat
春時雨 スクランブルの 街ひそむ
(はるしぐれ すくらんぶるの まちひそむ)
※雨模様で渋谷駅前交差点の人出はやや穏やか。
ここ暫くは大阪、仙台、山形とかとか首都圏
以外の患者増加でワキ役に。でも必ず復活す
る、ニュース主役の座。
長閑さや 江ノ電の音 猫と住む
(のどかさや えのでんのおと ねことすむ)
※養老孟子氏の鎌倉自宅での暮らしを綴ったBS
の番組。おしゃべり孟子に老猫マルの取り合
わせが実に落ち着く。
囀りや 毛を集めおり 犬の留守
(さえずりや けをあつめおり いぬのるす)
3/26fri
水温む シューベルトの ソナタかな
(みずぬるむ しゅーべるとの そなたかな)
※春のせせらぎにぴったりなのがシューベルトの
即興曲(ピアノ)、D899とD935。ピアノソナ
タは別にちゃんとあるから誤解を招くが、余り
に字余りになるので・・・。
針に糸 一度で通す 葱坊主
(はりにいと いちどでとおす ねぎぼうず)
残りし歯 少し異常の 遅日かな
(のこりしは すこしいじょうの ちじつかな)
3/24wed
坂道や こぎてもとまる つくしかな
(さかみちや こぎてもとまる つくしかな)
デュトワふる 春の祭典 血圧高め
(でゅとわふる はるのさいてん けつあつたかめ)
※春に血圧高めは要注意。自転車も、坂道で土
筆が目にとまる程度にしようと思う。
3/23tue
皺の手で 開花の証し 写メールし
(しわのてで かいかのあかし しゃめーるし)
それぞれに 標準木あり サクラかな
(それぞれに ひょうじゅんぼくあり さくらかな)
投票所 出て春雨に 遭いにけり
(とうひょうじょ でてはるさめに あいにけり)
レーダーを 信じた末の 春の雨
(れーだーを しんじたすえの はるのあめ)
※房総半島内房地方でサクラの開花は2~3分
ほど。毎朝通る堤の並木はそれより少し遅い。
3/22mon
桃の花 夕彩るも 客はなし
(もものはな ゆういろどるも きゃくはなし)
うちは桃そとは陽光桜かな
(うちはもも そとはようこうざくらかな)
※桃の花と陽光桜は満開時が今回の雨にあい、
散り始めている。客の少なきを嘆いたことは
なかったが、今回だけは惜しかったなァ、見
せたかったなァと口惜しがっている。
それにしても、今までより色の酷似に驚いて
いるのは年齢のせいなのかな?
3/21sun
剪定を いつくしみつつ し残せり
(せんていを いつくしみつつ しのこせり)
花ニラや 我が庭の素直なる日々
(はなにらや わがにわのすなおなるひび)
花冷えや 病む首都圏に 解除あり
(はなびえや やむしゅとけんに かいじょあり)
3/20sat
彼岸会や 300年の 門なりき
(ひがんえや さんびゃくねんの もんなりき)
秘仏見て 石段中ほど 風光る
(ひぶつみて いしだんなかほど かぜひかる)
あるはずの 色揃いてや クロッカス
(あるはずの いろそろいてや くろっかす)
3/19fri
火を浴びて 沓音を聞く 二月堂
(ひをあびて くつおとをきく にがつどう)
春の闇 五体投地の 板の音
(はるのやみ ごたいとうちの いたのおと)
春の月 十四日間の 修行終え
(はるのつき じゅうよっかかんの しゅぎょうおえ)
※二月堂の修二会、今年は参拝客なしで行われ、
その代わりにBSテレビが中継した。
今まで目に触れなかった堂内の儀式、秘儀と
言われるものも含め、4時間余りだ。コロナ
禍も悪いことばかりではない。
番組を見るだけで疲れたが、おかげで心身の
煤払いが出来た(ような気がした)。
3/18thu
蕗の薹 遅きを悔いて 二つ三つ
(ふきのとう おそきをくいて ふたつみつ)
本来は 答辞読む子に 春日かな
(ほんらいは とうじよむこに はるひかな)
※なんにもない暮らしだが、それでも春はなに
かとあるものだ。卒業式は保護者なし、式次
第も簡素化して行われるとか。本人は喜んで
いるというが、親は・・・。
蕗の薹の秘密の場所は今年も無事だったが、
とうにタイミングを逸していた。
3/17wed
うながされ 免許貰いに 目借時
(うながされ めんきょもらいに めかりどき)
海の上に 高炉かすみて 入り彼岸
(うみのえに こうろかすみて いりひがん)
※溶鉱炉が三つも四つもあった光景は昔。地元
の製鉄所も縮小の運命にあり。高炉の薄い煙
ははかなげに。
3/16tue
桃咲くや 高齢免許は 金の色
(ももさくや こうれいめんきょは きんのいろ)
※午後に警察から電話あり。今日中に取りにこ
なければ交付しませんと。春の夕日が沈む前
に無事入手。認知症には免許更新しないはず
だが・・・。良かった。ちゃんとゴールド。
3/15mon
マスクして 杉の道掃く 春の僧
(ますくして すぎのみちはく はるのそう)
※地元の図書館に電子図書の登録をした。ファ
イルでの貸借だから、この時代に最適。当地
にもやってきたか。
今は青空文庫のコンテンツが多いというから
特段のメリットはない。充実はこれから。
3/14sun
修二会僧 あの激しさに 魅かれおり
(しゅにえそう あのはげしさに ひかれおり)
※東大寺二月堂の修二会中継を見た。現場の興
奮を思いやる。1261年続くという。
3/13sat
春宵や 気功の不思議 妻語る
(しゅんしょうや きこうのふしぎ つまかたる)
飛行機と まがいし春の 長いびき
(ひこうきと まがいしはるの ながいびき)
※春なれば妻を詠んだ句を。
3/12fri
春暁や さて寝なばやと 布団引く
(しゅんぎょうや さてねなばやと ふとんひく)
春暁や 待ち兼ねノソッと 床を出る
(しゅんぎょうや まちかねのそっと とこをでる)
※日の出は早くなったものの、ずっと前から待
っている日もある。寝ようか、いっそ起きよ
うか? きままで非生産的な一日の始まり。
3/11thu
雅には 遠くなりけり 桃の花
(みやびには とおくなりけり もものはな)
※桃の最初の一輪が今日咲いた。濃いピンクの
蕾が目白押しである。やわらかい日射しと花
の動きは例年と変わらずでなんとも貴重。近
所の陽光桜並木も昨日開花した。
3/10wed
いとおしや 春の朝の かゆみどめ
(いとおしや はるのあしたの かゆみどめ)
※高齢者に多い肌の乾燥症。かゆみが時に襲っ
てくる。じっと我慢、かかない。
3/9tue
春暁や まだかと闇に 灯をさぐり
(しゅんぎょうや まだかとやみに ひをさぐり)
春の朝 踏切音で 時を知り
(はるのあさ ふみきりおんで ときをしり)
※最近御多聞に漏れず、朝早く目を覚まして、
その後の長い時間を寝床で過ごしている。真
っ暗い中で、半覚醒のタイトルレスの思考、
かすかな光をカーテン越しに待っている。さ
て寝ようか、本を読むか・・・頭がすっきり
してくるとメニューが広がる。寝なくてはと
あせることはない。
3/8mon
早咲きの サクラ確かめん 遠回り
(はやざきの さくらたしかめん とおまわり)
沈丁花匂いありと妻闇の中
(ちんちょうげにおいありと つまやみのなか)
春の朝見上げても暦は見えず
(はるのあさ みあげてもこよみはみえず)
3/7sun
啓蟄や 生徒試験の 穴を出る
(けいちつや せいとしけんの あなをでる)
啓蟄や 老うちわ師の 女竹割く
(けいちつや ろううちわしの めたけさく)
※房州うちわは素朴な名品が多い。以前は多く
の職人が分業で作っていたらしいが、今や出
荷量は減り、名人と言われる人が材料の竹の
栽培・伐採・乾燥から竹の加工、絵柄の作成、
貼り、仕上げまでを一人でやっている。皺く
ちゃの手が見事な動きを見せる。
3/5fri
ミモザ咲く 山なす空の 植木鉢
(みもざさく やまなすからの うえきばち)
微笑みて 黄の春服が 退院す
(ほほえみて きのはるふくが たいいんす)
※図らずもイエロー句2つ。最近は古い顔とメ
ールを交換したり、夢マクラに出て来たり、
良いことが続いた。コロナ禍で強がりを言っ
ていてもやっぱり孤独オンリーでは長くはも
たないということか?
3/3wed
春の闇 教師のクルマは プラグイン
(はるのゆう きょうしのくるまは ぷらぐいん)
※これはトヨタの最新鋭車だなと見送る。
3/2tue
ライン見る 若き教師の 春放課
(らいんみる わかききょうしの はるほうか)
春の夕 校舎は声を 失えり
(はるのゆう こうしゃはこえを うしなえり)
※近所に中学校がある。顧問教師の負荷が問題
になった折に部活が抑制されたところに、コ
ロナ禍が重なり、放課後の校舎は様変わりだ。
3/1mon
如月の 山なめつくす 赤き舌
(きさらぎの やまなめつくす あかきした)
如月や 店守る顔の 白々と
(きさらぎや みせまもるひとの しらじらと)
※営業時間短縮の補償を叫ぶ人が多い中で、切
盛りに万策尽きた人も多い。働けと言われれ
ば寝ないで頑張るのだがと、力を駆使する場
を失った人の無言の表情は悲痛だ。