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ダクタク2017年6月 ブログトップ

ダクタク句集2017年(平成29年)6月 [ダクタク2017年6月]

6/30fri
夏帽子 友の版画に 見入る午後
     (なつぼうし とものはんがに みいるごご)
        ※先週末上野に板院展を見に行った。代表的な版画
         の展覧会。知人は同人で出品は常連。今回の作品
         も作業する人をモチーフにした作品。

空師いる 森の静けさ 梅雨最中
     (そらしいる もりのしずけさ つゆさなか)
        ※空師は簡単な道具ひとつで、木をするすると登り、
         余分な枝を落として矯正し、下枝を刈ったりする林
         業の専門職。チェーンソーのエンジン音やバサッ
         バサッと鉈で枝が払われる音がする。
         それらの音が止まるとシーンとした静寂。・・・
         音が再び始まっても、かえって森の静けさが感じ
         られるようだ。

6/29thu
低く飛ぶ 巣立ちのツバメは 逞しく
     (ひくくとぶ すだちのつばめは たくましく)
        ※蒸し暑い日が続く。雲が垂れこめてくると、子供の
         ツバメのトレーニングらしいのが見られる。もう一人
         前の大きさだが、動きはもう一つ。こんな日の夕方
         はコウモリが抜群の飛翔能力を見せつける。

6/28wed
梅雨の間に 本当の空あり 紺がかり
     (つゆのまに ほんとうのそらあり こんがかり)
        ※半年ほど前弟を見舞いに行ったとき、病院の背後
         の安達太良山の上空がきれいだった。青空なんだ
         けれどちょっと紺色に近いような。なるほど紺碧の
         空というし、宇宙船から眺める地球の外周は青と
         いうより紺色だ。これが本当の空かと納得した。
         ここ房総の地でも、昨日の夕方きれいな空を見る
         ことが出来た。

6/27tue
梅雨の朝 ハンガリア舞曲 第1番
     (つゆのあさ はんがりあぶきょく だいいちばん)
        ※ブラームスのおなじみの曲。これが意外と・・・
         梅雨の朝に合う。やや鬱陶しい雨の朝にも。
         (と思います)

6/26mon
古稀越えて 脚なくしても 野球見る
     (こきこえて あしなくしても やきゅうみる)
        ※義兄が糖尿病の合併症の悪化で、右足を膝下10
         センチのところで切断した。急な展開での処置とな
         り、本人も周囲も驚いてオロオロしたが、切断後2ヶ
         月余り、落ち着いて今はリハビリ専門の病院に移っ
         た。来月からは義足を着けての訓練も。現実を平
         常心で見つめての暮らしが始まっている。

白ムクゲ 残れる脚の いよ細く
     (しろむくげ のこれるあしの いよほそく)
        ※横浜市立の病院は真っ白なムクゲが咲いていた。

6/25sun
潮干狩 油断のやけど 傷深く
     (しおひがり ゆだんのやけど きずふかく)
        ※予想外に強い日差しになって、警戒をして海に入
         ったのだが、首のタオルの隙間とズボンをまくった
         両膝が真っ赤に腫れ上がってしまった。これはもう、
         日焼けどころの話ではない。
         若い人や家族連れは程々に貝を採って、喜んで引
         き上げるが、小さい頃に飢えを知った世代はやみく
         もに砂を掘る。潮の加減が終る時刻間際まで・・・。
         これがいけない、いい歳をして・・・。

列島の 心配パンダの 小さすぎ
     (れっとうの しんぱいぱんだの ちいさすぎ)
        ※久しぶりの赤ちゃん誕生。テレビで報道される姿
         は本当に小さい。「小さく産んで、大きく育てる」
         が極意というけれど、心許ないまでに小さい。注
         意深い母親でいてくれることを願うばかり。

6/23fri
短夜や ミュシャの眼に 静まりぬ
     (みじかよや みゅしゃのまなこに しずまりぬ)
        ※ミュシャの展覧会が終わったようだ。スラブ叙事詩
         に描かれた母国の歴史とその変遷そして民衆の悲
         劇、慟哭は凄まじい迫力で迫ってくる。
         一枚に描かれた男の眼は、場面を想像することさえ
         拒否するような深刻さだ。思い出すと・・・静まりはす
         るのだけれど、決して鎮まりはしない。

6/22thu
一日の 雨を過ごして 夏至を知る
     (いちにちの あめをすごして げしをしる)
        ※昨日は早朝から一日雨が降り続いた。初めての梅
         雨らしい雨。やっと夕方にやんで、急に明るくなった。
         夜になって夏至を知った。ちょっと迂闊。

6/21wed
梅雨寒や 老班ついに 手の甲に
     (つゆざむや ろうはんついに てのこうに)
        ※昨日は蒸し暑い中、上野の美術館に知人が出品し
         た板院展を見に行った。今日は打って変わって朝か
         ら雨。老班というもの、付き合いが始まってもう十年
         近いので、取り立てての感興はない。「手の甲はよ
         せ」って言ったのに・・・。

6/19mon
商店の 引越し荷物 鉢あじさい
     (しょうてんの ひっこしにもつ はちあじさい)
        ※地方の暮らしが便利になるのはいいに違いないが、
         どこも「金太郎飴」のようで街に特色がなくなる。個
         人商店が今も減り続けているのが一因だ。半年ほど
         前に小間物店を閉めた家が、離れた住宅地に越し
         ていくという。丹精を込めた花々がいつも店先を飾
         っていた・・・。
         「今日の便利より、明日のおもてなし」だが。

6/18sun
ユリは今年 女っぷりの いや増して
     (ゆりはことし おんなっぷりの いやまして)
        ※我が家の庭のユリはどの種類も咲きっぷりが非常
         に良い。花の色、形、姿、数などは例年と変わりな
         いが、なぜか咲きっぷりがいい。見る人に向かって、
         実に良い塩梅に開花しているのだ。数、バランス、
         角度とかとか。見る方の気持ちの問題?錯覚かな?
         でも単に美人は世にあまたいるけれど、女っぷりの
         いい女はレアです。錯覚ではない。

6/17sat
タチアオイ 小路にラジオの 音漏れて
     (たちあおい こうじにらじおの おともれて)
        ※もうすぐ夏至、日が長い。塀も倒れて朽ちてしま
         った庭に見事なタチアオイが咲いている。3色も
         4色も・・・午後7時を回ったのに夕日にほんのり
         輝いている。ラジオのニュースがこぼれてくる。

6/16fri
予約本 重なり来たる 梅雨の入り
     (よやくぼん かさなりきたる つゆのいり)
        ※当市の図書館は財政上の理由から購入する本の
         数が少ない。人気があって予約が殺到する本も購
         入は大概一冊だ。直木賞と本屋大賞のダブル受賞
         とか聞くと、まず予約するのが私のルーティン。予
         約の消化はゆっくりで、半年余りかかってやっと順
         番がやって来た。 「えっ、なんだっけ? この本」
         貸出の延長はきかないから、第一優先で読まねば
         ならない。

6/15thu
梅雨の日や てんとう虫の 遅く来て
     (つゆのひや てんとうむしの おそくきて)
        ※梅雨入りして、てんとう虫が急に多く見られる。
         これがひと月も早く来てくれていたら? てんと
         う虫はアブラムシの天敵。旺盛な食欲を満たし
         てくれていたら?

6/14wed
ズッキーニ 受粉通いの 初成果
     (ずっきーに じゅふんがよいの はつせいか)
        ※サラダになって食卓に上った。シーズン初の収
         穫だから何とも味わい深い。よく味わうとガソリ
         ンのにおいが・・・。原料は愛情とガソリン。

6/13tue
桃の実の ジューンドロップは 音もなく
     (もものみの じゅーんどろっぷは おともなく)
        ※強風や病害などによるものではなく、果樹が自ら
         生育不良の実や過多な実を落とす。子孫(種子)
         の確実な繁栄を期しての現象とか。
         ジューンブライドの花嫁が結婚に幻滅して、同月
         内に身を隠す・・・のではないらしい。

6/12mon
日立でも さすがの防御と ならず梅雨
     (ひたちでも さすがのぼうぎょと ならずつゆ)
        ※先日の全世界を襲ったサイバー攻撃。データを暗
         号化して動作不能とし、復旧のための料金を請求
         する内容だった。比較的日本は被害が少なかった
         らしいが、あの日立が結構ひどくやられたとか。
         IT専門企業ではないにしても、IOTを手がける大
         手が先頭を切って「手もなくひねられる」というの
         は・・・。いただけない。

6/11sun
崩落や 工事中断で また梅雨に
     (ほうらくや こうじちゅうだんで またつゆに)
        ※さて梅雨。昨年市道が大きく崩落。復旧工事が長
         い間始まらず、始まったと思ったら、中断とかで一
         向に進まない。結局水入りならぬ梅雨入りに。
         無残な崩落面はブルーシートで隠れたまま。通行
         止で静かになったが、一年近くも不便を余儀なくさ
         れている人々も。

道崩れ 雨中にヘルメット 群がりて
     (みちくずれ うちゅうにへるめっと むらがりて)
        ※崩落事故が起こった時は、団地の中だけに大事
         件となり、早速多くの関係者が現場に駆けつけた
         のだが・・・。

6/9fri
スイカなり 雌花に翻弄されて梅雨
     (すいかなり めばなにほんろうされてつゆ)
        ※素人のスイカ挑戦はなにかと騒がしい。このとこ
         ろ雌花がようやくしっかりしてきたと思ったら、梅
         雨だァ・・・。強い雨に濡れると受粉の確率が落ち
         るとか。ここは、やっぱり虫頼み。

6/8thu
ケータイで 焚き火の許可とる 梅雨の朝
     (けーたいで たきびのきょかとる つゆのあさ)

梅雨近く 刈草煙りて 土手に這う
     (つゆちかく かりくさけむりて どてにはう)
        ※毎朝のウォーキングコースの土手道が地元の皆
         さんの手できれいになった。今日は刈った草を燃
         やしている。飼い犬は煙の中を喜ぶかと思ったが、
         盛んにクシャミをして、そのうち苦しそうにゲーゲ
         ーし始めた。人間よりも対煙耐性はない・・・。

梅雨を知り 今日で終えたき 袋かけ
     (つゆをしり きょうでおえたき ふくろかけ)
        ※家でも梅雨前に片付けたい仕事が待っていた。
         やりかけの袋かけ作業。桃にぶどう・・・袋かけを
         するときはまだ夢が膨らみます。

6/7wed
美女柳 二日見ぬ間の 黄の乱舞
     (びじょやなぎ ふつかみぬまの きのらんぶ)
        ※留守にしていた2日の間に一気に「満開」。ちょ
         っともったいない。明日辺りから曇りがちとなり、
         梅雨入りとなるかも。

早寝して かわず鳴く音の 一二分
     (はやねして かわずなくねの いちにふん)
        ※疲労対策で早寝した。遠くでカエルの声が・・・。
         田舎暮らしの特権、寝入り薬。

6/6tue
梅雨近し 女のすなる 絵手紙を
     (つゆちかし おんなのすなる えてがみを)
        ※旅行先からお土産を送ってくれた友人にお礼の絵
         手紙を描いた。さらさらと描いている人を何度も見
         てきたが、初体験でやってみるとなかなか上手くい
         かない。後刻の辛辣な感想は覚悟して、投函する。

6/5mon
タチアオイ 郵便局の 門構え
     (たちあおい ゆうびんきょくの もんがまえ)
        ※郵政民営化で名称はなくなったものの、今も続く
         特定郵便局。弊害は指摘されるが、土地も建物も
         局長の所有物だから局ごとに違う装いと習慣が出
         来る。良く言えばお役所仕事とは違う独特のアイ
         デンティティがあったものだ。この立葵もその名残
         りのひとつ。

6/4sun
背を合わせ キャストする二人 水の上
     (せをあわせ きゃすとするふたり みずのうえ)
        ※ここ2、3日は暑さ一服。今朝の微風は目をつぶれ
         れ高原の涼風だ。近くの小櫃川取水堰ダム湖に釣
         り客多数。小さな釣り用のボートにルアーを操る2
         人。バッテリーで動く小さなモーターがついているか
         ら、水面を音も立てずにゆっくりゆっくり移動する。
         最近のウィークエンド光景。

6/3sat
新しき 畑に馬鈴薯の 花二列
     (あたらしき はたにばれいしょの はなにれつ)
        ※スギナ満載?だった畑に立派な畝がいくつか、汗
         の結晶である。
         スイカ、馬鈴薯、サツマイモなど酸性土壌に比較的
         強い苗を植えた。今しも遅めの馬鈴薯が花をつけ
         ている。これからはオクラを植える。

6/2fri
トランプはアホか 引き返す勇気なし
     (とらんぷはあほか ひきかえすゆうきなし)
        ※本格的な終わりの始まりか。言葉なし。

足らぬ分 時価ン百円の 切手貼り
     (たらぬぶん じかんひゃくえんの きってはり)
        ※昨日からハガキも値上げ。足りぬ10円の切手を
         探して、10円でハガキや封書が送れた時代の記
         念切手を張り足した。ええ、その切手を使う?

6/1thu
新築の 家浮かびおり 茅萱の穂
     (しんちくの いえうかびおり ちがやのほ)
        ※4月下旬~6月にかけて空き地や野原に繁茂する。
         穂が出る前の実を口に入れ舐めると、かすかに甘
         い味がすると言われる。家内は小学生の頃何度も
         口にしたという。おやつもろくになかった時代。
         穂が重なると白くて厚いジュウタンのよう。その向こ
         うの家々が白い穂の上に浮かんで見える。

茅萱の穂 道路に沿いて 飛びつくす
     (ちがやのほ どうろにそいて とびつくす)
        ※5月下旬あたりから穂は次第に細くなり、風に舞
         い始める。
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