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ダクタク句集2018年(平成30年)下期 自選集 [自選集2018]

12/31mon
オリオンが 這いつくばっても 年がいく
     (おりおんが はいつくばっても としがいく)
        ※定刻18時前の夕方の散歩でほんの少し日が長
         くなったのを感じる。この時間帯ではオリオン座が
         民家の屋根すれすれに横たわって見える。

義姉死んで 暮れの馳走も 減りにけり
     (ぎししんで くれのちそうも へりにけり)

12/30sun
シクラメン 妻七十の 布巾がけ
     (しくらめん つましちじゅうの ふきんがけ)

髪を撫で 床屋へ暮れの 坂登る
     (かみをなで とこやへくれの さかのぼる)
        ※年の暮れらしく住まいのあちこちをきれいにする。
         午後は床屋に。年内なにかと動くことが正月をゆ
         っくりするための必須条件と思われる。
         「毎日が日曜日、毎日が寝正月」を長年続けてい
         る者の知恵というか心得だ。

12/29sat
耳すます 電話の先は 吹雪なり
     (みみすます でんわのさきは ふぶきなり)
        ※昨夜遅く兄から電話があった。誕生日を祝ってく
         れる。しかし話題は「寄る年波」、誕生日のめでた
         さはやっぱり半分位。故郷会津は急に雪が強くな
         り、今吹雪いているとか・・・。

12/28fri
カラーの葉 よみがえりたり 誕生日
     (からーのは よみがえりたり たんじょうび)
        ※先日の霜で一気に萎れたカラーが今朝は元の姿
         にもどっていた。73回目の誕生日、お祝いかな?
         と喜ぶ。

妻任せ 誕生日の店 冬の道
     (つままかせ たんじょうびのみせ ふゆのみち)
        ※「主人公が食べたいものを選ぶ」という大原則も
         崩れ、連れまわされるハメに。後期高齢者向け
         運転適正検査(ボケチェック)ではこうした自己主
         張の退潮もチェックされるとか。

冬薔薇や 自分と犬の 年齢数え
     (ふゆばらや じぶんといぬの としかぞえ)
        ※飼い犬との合計年齢は81歳。まだいい。これ
         が7年後は80+15=95、明らかに老老介護。
         生きていればの話だし、まあ先の話だ。

12/26wed
シクラメン セピアのバックで 際立てり
     (しくらめん せぴあのばっくで きわだてり)
        ※年末最後の絵画教室はシクラメン。出来栄えは
         良くない。目の前の花は見事でも、画用紙上の
         花は簡単に際立ってくれない。今年も四苦八苦
         の一年だった。

12/25tue
駅飾の ツリーをめぐり 御子迎え
     (えきしょくの つりーをめぐり みこむかえ)
        ※都会の大エルミネーションはともかく、地方の
         観光施設や駅なども残らず電飾ブームだ。さて
         当家の聖なる御子様はどこかな? ア、来た。

12/24mon
年の瀬に 障子やぶれし 空家また
     (としのせに しょうじやぶれし あきやまた)
        ※大勢の家族が住んでいた家、瓦が立派な邸宅と
         も言える家が空家に。高度成長時代につくられた
         住宅団地では、家々が似通った事情のもとに年を
         重ねている。家族の高齢化、離散や別居。

12/23sun
発電所の 煙まっすぐに 枯野かな
     (はつでんしょの けむりまっすぐに かれのかな)
        ※袖ヶ浦の発電所の煙突が小櫃川の橋越しに見え
         る。一面の田んぼ、純農村風景をアクアラインに
         通じる高速道が貫いている。毎朝夕見ている。
         ここに住む者のささやかな喜び。

12/22sat
何故かいま 女優に惚れて 石蕗の花
     (なぜかいま じょゆうにほれて つわのはな)
        ※その女優は黒木華。以前から注目していたのだ
         が、先日終わった「西郷どん」での存在感ある演
         技でさらに見直した次第。いい女だなァ、自然体
         が素晴らしい・・・と。

12/21fri   
初霜や カンナ茶となり 黒となり
     (はつしもや かんなちゃとなり くろとなり)
        ※河川敷に長期間盛大に花をつけたカンナは、
         今一団の枯れ木枯れ草になっている。年末の光
         景として眺めるのが常となった。カンナは冬の季
         語、かな。

12/20thu
北風を しのぐ友の句 届きおり
     (きたかぜを しのぐとものく とどきおり)
        ※暖かい日が続く。メールで届いた友人の句のよ
         うだ。大掃除日和は必ずしも歓迎ではないが、
         いずれやらされる定例の網戸と窓ガラス清掃を
         やる。 
         こういう作業はおしせまった寒い年末にではな
         く、せめて10月末辺りでやる習慣だったら良か
         ろうと思う。いつもそう思いながらやる。

12/19wed
枯野見る 患者のあらい 口の息
     (かれのみる かんじゃのあらい くちのいき)
        ※病院に義兄を見舞った。長い闘病生活が続く。
         流動食を滴下するようになってからは言葉は極
         端に減り、呼吸のあらい日が多くなった。回復
         を祈る。

暮れの街 薬局厚着の 人多く
     (くれのまち やっきょくあつぎの ひとおおく)

12/16sun
窓を拭く 古新聞の 師走かな
     (まどをふく ふるしんぶんの しわすかな)
        ※このところの冷え込みは半端ない。今朝は0度
         台。小櫃川向こうの農地の景色は冬ざれそのも
         の。こういう句に出会った。
          冬ざるる夜の木更津甚句かな 清水基吉

12/15sat
妻亡くす 人と二人で 熱燗を
     (つまなくす ひととふたりで あつかんを)
        ※アルコールに弱い彼を居酒屋に連れて行く。こ
         ちらも相当弱い。「とりあえずビールで乾杯」など
         はしない。一本の大きめの熱燗を頼み、ちょび
         ちょびと少しずつ呑む。

12/14fri
介護士は 討ち入りの日に 生まれたり
     (かいごしは うちいりのひに うまれたり)
        ※赤穂浪士吉良邸討ち入りの日。当地は快晴で風
         強し。富士山、越前岳、丹沢山塊まですっかり見
         える。寒さが厳しいせいもある。ここまで見えると
         かえってアリガタミは半分ほど。

12/13thu
師走とて 家内マージャン 俺掃除
     (しわすとて かないまーじゃん おれそうじ)
        ※70歳を過ぎて0から麻雀サークルに入った。
         なかなか勇気がある。年末なのに足繁く通って
         いる。初心者でも目一杯頭を使う、ヒヤヒヤ、ド
         キドキもする。おまけに指も使う。
         認知症対策としてはこの上ない。掃除をいい
         つけられても、喜んで送り出す。

12/12wed
シクラメン 仄かな色を 描ききれず
     (しくらめん ほのかないろが かききれず)
        ※時節柄シクラメンは今高価である。比較的安価
         なのは色がホノカで花びらも透けそうなほど薄
         いヤツ。画材に選んだのはこれだ。仲間の評は
         さんざん。

12/10mon
カレンダーに 予定少なく 炬燵かな
     (かれんだーに よていすくなく こたつかな)
        ※11月末から立て込んだ外出や忘年会やらも一
         段落。しばらくゆっくり出来る。相変わらず立て
         込んでいる世間や世界規模の動きをTVで眺め
         るにはコタツが一番。年末年始が急に身近にな
         る。それにしても食傷気味のニュースばかり。
         今朝7時の当地気温は3度台。

12/9sun
時雨るるや 電球色の 路地の奥
     (しぐるるや でんきゅういろの ろじのおく)
        ※LED電灯が街灯の多くに普及してきて、夜道は
         格段に明るくなった。あえて難を言えば、その殆
         どが昼光色で冬には余計寒々とすることだ。
         昔の電球の暖かい、オレンジっぽい光がなつか
         しい。LEDでも昔の電球色は選べるのだが。

12/8sat
顔を見ぬ 友をサカナに 鍋支度
     (かおをみぬ ともをさかなに なべじたく)

冬の宙 酔って回って 友の肩
     (ふゆのそら よってまわって とものかた)
        ※なにひとつ遠慮のいらない宴会。孫と病気の話
         題は禁止しようかとなったが、結局は挫折。
         ワイワイガヤガヤ・・・酔いは急速に。

12/7fri
高速の 下の水面に 鴨寝入る
     (こうそくの したのみなもに かもねいる)
        ※これだけの騒音がある中で、羽に頭を突っ込ん
         で寝入っている。屋根があるから安心なのか?
         今日も別な組の忘年会がある。

12/6thu
師はひとり 和服で凛と 冬の宴
     (しはひとり わふくでりんと ふゆのえん)
        ※水彩画教室の忘年会。先生はなんと大島つむぎ
         のお召し物で現れた。「着て行くところも少ないし、
         これ、私の一番のお気に入りなの」と仰るが、これ
         またカワイイ。泥染めのことは知っている。気が向
         けばさっと和服を着る。良い習慣と気力がないと
         出来ないことだと思う。

12/5wed
文綴る うつろな悦や 冬の窓
     (ぶんつづる うつろなえつや ふゆのまど)
        ※曇天の日は歓迎。たまった本を読み、時に雑文
         をこしらえる。どうにかなるわけでもないが・・・。

12/4tue
年の瀬や 昭和に買いし 絵を飾る
     (としのせや しょうわにかいし えをかざる)
        ※テレビだけでなく周囲でも年号、平成にまつわるイ
         ベントが増えている。そんな昔ではないと思ってい
         たのに、この絵の購入は昭和だった。

12/2sun
自転車の こころ旅来る 冬房総
     (じてんしゃの こころたびくる ふゆぼうそう)
        ※NHK-BS火野正平の自転車隊が千葉県にやってく
         る。いつも味わい深いふれあいを見せる。もう今頃
         県内を通っているのかな?

12/1sat
勧誘員 ねばる師走や 赤き頬
     (かんゆういん ねばるしわすや あかきほほ)
        ※12月だ。国内にも国際的にも目先の懸案が揺
         れ動いている。看過できなものも多いが、さり
         とて日々の動きに振り回されてはかなわない。
         師走は好奇心も半分以下に抑えるのがシニアの
         知恵というもの。


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11/30fri
十一月 今日の晦日を 確かめる
     (じゅういちがつ きょうのみそかを たしかめる)
        ※薄暗い朝、まだ師走ではないことを確認する。

小春日や 初スイセンの 白い点
     (こはるびや はつすいせんの しろいてん)
        ※土手道の水仙ロード、年々長くなる。今朝そこ
         に2輪だけ開花しているのを発見した。かつか
         つ今日は11月。新記録かな?

11/29thu
鷹渡る 里芋の茎 枯るる頃
     (たかわたる さといものくき かるるころ)
        ※東京湾を南下する最後らしい?タカの群れが報
         道された。サシバなら9月下旬から10月上旬
         だろうから別な種類かも。昨年は双眼鏡を持ち
         出して、袖ヶ浦臨海公園に出かけたのだが見ら
         れなかった。今年は行かない。畑で最後のサト
         イモの収穫。まあまあの出来だ。

11/28wed
いま一度 畦の草刈り 冬構え
     (いまいちど あぜのくさかり ふゆがまえ)
        ※11月も下旬になると一気に年の瀬の感を強く
         する。知り合いの米農家を継いだ人は「百姓と
         言ったって、今はこつこつ自分でやる仕事は数
         える程、せいぜい十姓かな」とアケスケ。「その
         分全部お金がかかる」とも。
         当方の師走の仕事はガラス戸と網戸の清掃く
         らいなもの。一年を通してほんの「数姓」どまり。

11/27tue
キャッシュレス 余計なお世話と 三の酉
     (きゃっしゅれす よけいなおせわと さんのとり)
        ※今年は11/25が三の酉。現金を前掛けに詰めた
         熊手屋さんの威勢のいい掛け声で手締めとなる。
         これもカード決済となるか?キャッシュレスなど望
         まない、少なくともこの俺は、と思っても社会の仕
         組みをどんどん変えられてしまう。否応なしの追
         い詰め・・・否応なしの昔の消去。

11/25sun
冬の富士 見えるか賭ける 橋の上
     (ふゆのふじ みえるかかける はしのうえ)
        ※富士山からの直線距離で当地木更津は都心とほ
         ぼ同じ。しかし少し高い場所から眺めると当地か
         らは富士山の全容が見える。東京湾越しの富士
         山もいい。冬はちょっと自慢したくなる。

11/24sat
銀杏が 寄せられてあり 石畳
     (ぎんなんが よせられてあり いしだたみ)
        ※朝散歩するコースを迂回して、その神社はある。
         境内の4、5本の銀杏の木から毎年ギンナンの
         実をいただいている。辺りに人家が少ないのと
         実の粒が小さめなのが人気となっていない理由
         かもしれない。

11/21wed
秋空に 声と笑みあり 義姉の逝く
     (あきぞらに こえとえみあり ぎしのいく)

主なき 庭に今年も むかごかな
     (あるじなき にわにことしも むかごかな)
        ※11/19に家内の姉が亡くなった。79歳。気のいい、
         面倒見のいい人だった。合掌。

11/20tue
いつになく カタカナ料理で 秋深む
     (いつになく かたかなりょうりで あきふかむ)
        ※先日の都内散歩の最後は麻布十番で打ち上げ。
         適当な居酒屋がなく、家族連れで賑わうファミレス
         に入る。生魚、焼き鳥などはないが、これも一興。

対岸の 秋雷暗き 海を裂く
     (たいがんの しゅうらいくらき うみをさく)
        ※日産のゴーン会長逮捕。有価証券報告書の虚
         偽記載、会社資金の不正使用など社長以下の
         経営陣の被害者然とした会見内容にびっくり。
         悪事に加担していると見るのが常識。

11/18sun
三人して 麻布十番の 落ち葉踏む
     (みたりして あざぶじゅうばんの おちばふむ)
        ※都内散歩続き。終点予定の麻布十番に着いた
         のは夕方5時。この付近の町並みは山の手とい
         うより庶民的な下町の感じ。「赤い靴」の碑があ
         った。通りは既に灯りがついている。

諭吉墓よ 灯り持たずに 秋の暮
     (ゆきちぼよ あかりもたずに あきのくれ)
        ※浄土真宗麻生山善福寺は閉門17時とあって
         滑り込みセーフ。既に墓地は真っ暗。福沢諭吉
         の墓を手探りで発見する。

11/17sat
海舟も 参りし社の もみじかな
     (かいしゅうも まいりしやしろの もみじかな)
        ※都内散歩続き。夕暮れどきの氷川神社はしっと
         り落ち着いて、東京ド真ん中の神社とは思えな
         い。 

六本木 ときめくビルと 人の群れ
     (ろっぽんぎ ときめくびると ひとのむれ)
        ※東京ミッドタウン、六本木ヒルズの近くを歩く。
         ビルにはときめかないが、歩く人々には若いエ
         ネルギーを感じる。新しい光景。

荷風住みし 偏奇館辺り 坂の秋
     (かふうすみし へんきかんあたり さかのあき)
        ※麻布に入った。永井荷風が戦前に住んだ、お
         気に入りの偏奇館跡はこの辺りだ。

11/16fri
氷川坂 明治の静けさ 今日の秋
     (ひかわざか めいじのしずけさ きょうのあき)

旧居跡 探しあぐねて 坂の秋
     (きゅうきょあと さがしあぐねて さかのあき)
        ※都内散歩続き。六本木寄りの赤坂六丁目にある
         転坂を下ると氷川坂下に出る。ここに明治元年
         までの勝海舟の旧居がある。といっても今はマ
         ンションで案内板があるだけ。ここは坂本龍馬
         も訪ねた場所か。
         明治に入り、駿府に住んだ海舟が東京に戻って
         居を構えたのも同じ氷川坂付近と知った。あの
         氷川清話を語った地だ。これがなかなか見つか
         らない。氷川坂、氷川神社の付近を探したがだ
         め、夕暮れ近く坂道がこたえる。

11/14wed
日枝神社 秋のさわぎを 濾過したり
     (ひえじんじゃ あきのさわぎを ろかしたり)
        ※都内散歩続き。赤坂見附から溜池方面に歩く。
         小高い山の頂に日枝神社がある。東隣は都立日
         比谷高校。下界の喧噪がうそのよう。

人の香と 町のにおいを 秋の風
     (ひとのかと まちのにおいを あきのかぜ)

11/12mon
記念回 坂また坂の 秋を行く
     (きねんかい さかまたさかの あきをいく)
弁慶濠 黄色の水面を ボートさく
     (べんけいぼり きいろのみなもを ぼーとさく)
        ※仲間3人で都内を歩こうと始めた会が先週ちょ
         うど20回を数えた。今回は四谷駅から赤坂を
         抜け、六本木をかすめて、麻布十番までという
         コース。 なじみの所ばかりだが、もちろん全部
         を歩くのは初めて。
         赤坂見附に坂道を下ると、色づいてきた木々が
         濠に映えている。クルマの音はするのだが、な
         ぜか静けさを感じる。

11/11sun
帰り花 大豆引き抜く 影長し
     (かえりばな だいずひきぬく かげながし)
        ※今年はここかしこでサクラの帰り花を見る。各地
         から似たような報道も多い。今日は小春日和。
         ここしばらく、列島各地は概ね穏やかだ。忘れる
         前にやってくるのが最近の災害だから・・・、油断
         はできないが。

11/10sat
シューさんの 三十路の遺作に 聴きすがる
     (しゅーさんの みそじのいさくに ききすがる)
        ※シューベルト 弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956は
         31歳で夭折した彼の遺作。若い作曲家が遺し
         た曲に、ゆうに2倍以上の歳のシニアがはらは
         らと聴き入る。

11/9fri
長き夜や 耳に手をあて 雨を知る
     (ながきよや みみにてをあて あめをしる)
        ※静かな夜でもじっと耳をすますと「シー」という
         音がする。雨の音でも遠くのクルマの音でもな
         い。これは自分の「人体」の音なのか、それとも
         耳内部の「雑音」なのか? 降雨の有無を確か
         めるには、さらに両手で聞き耳を立てなければ
         ならない。

11/7wed
みとりしと 介護士はいう 冬立つ日
     (みとりしと かいごしはいう ふゆたつひ)
        ※夜勤で帰る介護士が出勤の同僚に短く話をして
         いた。介護士と入居患者との間で信頼関係がで
         きる・・・。思いをめぐらせた。

11/6tue
ゆらゆらと 神無月の 痩せ蚊かな
     (ゆらゆらと かみなしづきの やせかかな)
        ※比較的暖かい朝。早いもので明日は立冬? 秋
         深しという言葉はまだまだと思っているのに。

11/5sun
灯りなき 門前ぼおーっと 黄菊かな
     (あかりなき もんぜんぼおーっと きぎくかな)
        ※菊花展にも出品する方から見事な大輪の黄菊を
         いただいた。我が家には不釣り合いだけれども、
         ありがたく朝夕眺めている。

11/4sun
文化祭 写真の空を 語る人
     (ぶんかさい しゃしんのそらを かたるひと)
        ※見事な空を熱く、小さな声で話してくれた。シニア
         男の多くが写真を趣味にしている。高価な機材が
         必要になることもあるが、素人が撮影した空、花、
         紅葉などの「発色のすごさ」を見るとそれも安いも
         のだと感じる。昔ならプロしか出せなかった色だ。
         明らかに時代が技術が後押ししているなと思った。

11/2fri
来し方は 一幕一場 秋の道
     (こしかたは いちまくいちば あきのみち)
        ※図書館の催しで歌舞伎「義経千本桜」(のうち
         3場)をAVで観た。名作だけあって、画像であ
         ってもなかなかのもの。これが8Kでより鮮明
         に迫力ある音響で鑑賞できる日を待っている。

11/1thu
枯れすすき 昭和も遠く なりにけり
     (かれすすき しょうわもとおく なりにけり)
        ※「降る雪や明治は遠くなりにけり」草田男
         残すところ平成はあと半年。今年は明治151
         年であり、昭和93年だ。これからは平成を振
         り返る話が列島中に満ち溢れるだろう。
         シニアにとっては「思い出さぐり」と「悔恨地
         獄」が毎日の商売のようなもの。特段に変化
         はない。


          **************************


10/31wed
熊さんも 八っつぁんも名残の 虫を聴く
     (くまさんも はっつぁんもなごりの むしをきく)
        ※江戸時代には虫の音を聴く集まりがあったそう
         な。ナガ友の酒を呑む口実か? 旦那衆の風情
         好みか? 涼しい日が続き、日増しに少なくなっ
         てきた。

10/30tue
床の絵も 少し曲がって 秋深し
     (とこのえも すこしまがって あきふかし)
        ※現役の宮仕え時代は仕事に明け暮れ?、家庭
         のことに十分な気遣いが出来なかった。60歳代
         で家庭でのことが大事に感じてきて、家の中に
         ついて喧しくなった。やれゴミがたまっている、
         やれ玄関が、浴室が汚れている・・・昔いた口う
         るさいご隠居のよう。時には潔癖なまでになる。
         しかし自覚はあるのだ。これがさらに高じるとさ
         ぞ家人や周囲は大変なことになるだろうと思っ
         たものだ。70歳代になって近頃は、音もなくお
         となしくなった。気づいても言わない。気にしな
         い。我慢するのでもない。ボケの始まり?とい
         う声が自分の中にある。

10/29mon
干し柿を 煮てジャムにする 夜寒かな
     (ほしがきを にてじゃむにする よさむかな)
        ※10月中旬に干し柿に吊るした柿が時期が早す
         ぎたせいか? うまく乾燥しない。柿から発する
         甘いニオイが継続し、発酵を示すエタノール系
         のにおいに変化してきた。当然コバエがたかっ
         てきた。品種は干し柿のブランド市田柿なのだ
         が、暖かい房総育ちだからかな?とも思う。
         干し柿を諦め、レシピに従いジャムにしたが、こ
         れも成功とは言えぬ。折角だから食べてはいる
         が・・・。毒はないみたい。

10/28sun
温暖化 されど十月の 行火かな
     (おんだんか されどじゅうがつの あんかかな)
        ※水彩画の教室が地元の文化祭で作品を展示した。
         これに興奮したわけでもないが、昨夜はよく眠れな
         かった。足腰が少し冷えたので、急遽夜中に小さな
         電気アンカを引っ張り出した。
         もうちょっとマシな絵を描ければこういうこともなかっ
         たか・・・。

10/27sat
秋冷や 数年ぶんの 月を見し
     (しゅうれいや すうねんぶんの つきをみし)
        ※一昨日の満月、何年かぶりのワクワク、シミジ
         ミ。他に感想なし。

10/25thu
霜降や 裸足歩きを やめにけり
     (そうこうや はだしあるきを やめにけり)
        ※外反母趾のため革靴や運動靴は苦手で、朝夕
         の散歩はいつも樹脂製のバンド付きサンダルを
         愛用している。真冬も裸足でサンダルを履き、
         「足の皮膚も丈夫になる」とか言って痩せ我慢を
         続けていた。
         ところが一昨年の冬に「シモヤケ」になった。もう
         死語だと思っていたのに。自分が? 完治するの
         に半年近くかかった。

10/24wed
木守りを 残しシニアの 柿始末
     (きまもりを のこしシニアの かきしまつ)
        ※多くの家の柿の木は熟れた実をたわわにつけ
         ているが、ひとつも収穫しない家が多い。
         我が家では落葉病に見舞われたが、幸い50個
         ほどは熟れて残った。きちんと全部収穫するの
         が当家のやり方。そして木守りとして数個を残し、
         来年のまたの実りを祈る。この祈りは小鳥が仲
         介してくれる。

10/23tue
大粒の ブドウ熟さずを 食うている
     (おおつぶの ぶどうじゅくさずを くうている)
        ※最近実をつけたことのない古いブドウの木が、
         今年は見事な大ぶりの緑の房をつけた。
         巨峰だから緑が濃紺に変わり、熟さねばならな
         い。・・・粒々が半分ほど色づいたところで成熟
         は止まった。秋も深まり、あとは小さくなるだけ。
         「力尽きたか」と言いつつ、毎日数粒ずつ食べ
         ている。半分ほど甘い。

10/22mon
秋桑を ここで摘みしと 太い指
     (あきくわを ここでつみしと ふといゆび)
        ※この付近でかつて桑が作られ蚕を飼っていたこ
         とを知った。50年以上も前の話とか。指さす先は
         高速道下の広い雑草地、少し色づいている。

10/21sun
貝割菜 嵐の去るを 待ちかねて
     (かいわれな あらしのさるを まちかねて)
        ※菜は風にも雨にも強いのだが、天気が好転しな
         いことには畑には行けない。今朝は空気が澄ん
         でいて、当地からは富士山と丹沢山系が今シー
         ズン一の見栄え。今日アクアラインマラソン。

10/20sat
コスモスや 妻看る人の 笑みをみる
     (こすもすや つまみるひとの えみをみる)
        ※久しぶりの高田馬場は雨模様。先輩二人に再会。
         話はやはり健康のこと、家族のこと、今気に入っ
         ていること等々。しみじみと良い時間があった。
         現在の環境や暮らしの条件にはそれぞれ差があ
         っても、長年培ってきた自分のやり方で暮らしを
         織り込んでいくしかない。そのことの重要性を話
         の中から痛感した。

10/18thu
落花生 採りごろ来たと 先達は
     (らっかせい とりごろきたと せんだつは)
        ※千葉県の大粒落花生の品種「おおまさり」を栽
         培して2年目の今年、種豆を世話してくれた人
         からサインが出て、収穫を無事終了した。今年
         は狭い畑ながら殻込みで12kgくらい、大喜び
         である。昨年は少し待ちすぎた上にハクビシン
         かアライグマに襲われて、散々な結果だった。
         この品種は茹でて食べるのに適していて、早速
         食べてみた。甘さ控えめだが香ばしい・・・素人
         栽培者は褒めちぎっています。

10/17wed
バリウムが 在庫を一掃 秋の朝
     (ばりうむが ざいこをいっそう あきのあさ)
        ※先日胃がん検診でバリウムを飲んだ。いつもは
         体外排泄に2日は苦しむのに、今回は至極スム
         ーズ。ビロウな話で恐縮だが、おまけに宿便とや
         らも結構押し出されてとみえて、いつになく腸内
         がすっきりした。良いことづくめだと・・・検査結果
         はどうなることやら。

10/16tue
無人駅 灯りが見せる 蕎麦畑
     (むじんえき あかりがみせる そばばたけ)

無人駅 平成を生き 秋時雨
     (むじんえき へいせいをいき あきしぐれ)
        ※最寄りの駅はJR久留里線の無人駅。廃線を免
         れて平成を生き延びた。それを支えた利用客は
         朝夕の高校生と通勤客。近くの小湊鉄道のよう
         に観光スポットとはなっていないが、地味なが
         らも根強いファンがおり堅調である。それに高
         校生が町内を歩く様はなんとも心強い。

10/14sun
柿くれし 老婆のシワよ 岸の家
     (かきくれし ろうばのしわよ きしのいえ)
        ※「持っていきなよ」、朝時々顔を合わせる土手横
         の畑の老婆が大きな甘柿をいくつもくれた。この
         人はどうやら私を団地の住人と思って、畑のこと
         果実のことをいつも教えてくれる。
         どっこい、こちらは今や第一次産業?の人だ。結
         構な広さの畑を借り、家には狭い土地に果樹が
         5種類7本もあるし、それなりの収穫もある。言い
         出せないまま、ありがたく柿を貰う。

10/13sat
筒先の 残りを出さむ 今朝の秋
     (つつさきの のこりをださむ けさのあき)
        ※年をとると、そうそう爽快な目覚めはない。よう
         やく涼しくなって、第一の仕事はオシッコ。
         大半は出たにしても、肝心なのは出し尽くすこと。
         ブルブルッ、ゆっくり急がず。秋冷を味わう。

10/12fri
秋明菊 亡母の遺せし 色二つ
     (しゅうめいぎく ははののこせし いろふたつ)
        ※しのぎやすい気温、朝夕は少し肌寒いほど。静
         かな一日。昨日今日と米国発の世界同時株安が
         カマビスしいが、NHKで放映した小津安二郎作
         品のうち、まだ見ていなかった映画をゆっくりと
         味わう。

10/11thu
母の顔 施設に入れる日 坂の秋
     (ははのかお しせつにいれるひ さかのあき)
        ※友人が高齢の母親を施設に入れた。そのお母
         さんも暮らしぶりも以前から知っているので、友
         人の心境に思いを馳せた。

10/10wed
新月や 藪の小径の カラスウリ
     (しんげつや やぶのこみちの からすうり)
        ※夜遅くの散歩でもいつものコースを行く。ライ
         トで照らした草陰にカラスウリが浮かびでた。
         まだ十分色づいていない。熟れた色だったら、
         ちょっとびっくりするかも。

ボケはじめ ふとしのびよる 秋の風
     (ぼけはじめ ふとしのびよる あきのかぜ)
        ※昨日ある会合に行ったところ、現地に着いて
         から一週間違っていたことに気づいた。「カレ
         ンダーにつけておかないから」と家内は言う。
         実はちゃんと書き込んであったのだ。ただそ
         のメモ自体が間違っていた。
         ボケ来たかな? ・・・この手のことは既に何
         十年も前からあった。ノープロブレム。

10/8mon
展示作 急かずに如かじ 柿の音
    (てんじさく せかずにしかじ かきのおと)
        ※文化祭に展示する水彩画を描いている。一気呵
         成に仕上げるか?慎重に行くか? 出来上がり
         の絵の調子にも影響する。ヘタはヘタなりに悩
         むもの・・・ボサッ、アッ柿が落ちる音。
         我が家の柿の音は鐘の音などではない。

10/7sun
秋の月 犬曳く道を 悔やむのみ
     (あきのつき いぬひくみちを くやむのみ)
        ※今月初めの夜、犬の散歩で怪我をした。飼い主
         の方である。真っ暗なところで道を渡る際に、
         自らが走って縁石に躓いてしまった。軽傷だっ
         たが、膝と両手で支える形で倒れたため両手と
         腕に10箇所以上の擦過傷を負った。勝手知っ
         たる散歩道で「やってはいけないこと」をして
         しまった。傷の経過は至極順調だが、今もって
         腰と膝が痛い。

怪我をして たまりし秋の 仕事かな
     (けがをして たまりしあきの しごとかな)
        ※垣根の刈り込み、干し柿吊るし、落花生の収穫
         など、知的な作業はない。

10/5fri
柿の木は 落葉病なり 空青し
     (かきのきは らくようびょうなり そらあおし)
        ※柿の葉が黄色になり斑点ができ、面白いなと思
         っていたら、実が成長できないまま赤くなり落ち
         た。病原菌の仕業とか。人間が食べても害はな
         いらしい。でも甘くない。残念。
         落葉病と台風による強風で、葉はスカスカにな
         った。知ったのは、青い空と思った以上の柿の
         実の多さだ。
         全滅にはならないだろう。ここに至ってもまだ期
         待している。甘くて大きい富有柿。

10/4thu
草虱 荷風浅草へ 靴の音
     (くさじらみ かふうあさくさへ くつのおと)
        ※荷風は戦後暫くして市川に住んだ。文筆活動は
         一部の小品以外鳴りを潜め、交友もなく、専ら
         浅草に通う。秋になると、背広にコートを着て、
         カバンに傘を持った彼の姿が思い浮かぶ。革靴
         の音。高価なものではなかったとか。

うろこ雲 戸締りしたる 荷風かな
     (うろこぐも とじまりしたる かふうかな)
        ※日常のことにいそいそとする荷風が好きだ。浅
         草で決まった店で昼食をとり、馴染みの劇場に
         立ち寄る。

10/3wed
選挙終え 基地をぼかした 悔いあらん
     (せんきょおえ きちをぼかした くいあらん)
        ※本土からの押し付けを嫌い、旗幟鮮明を好む県
         民性が今回の結果か? 果てしない押し問答が
         なおも続くことに・・・。

父知りて 賢治の秋も 深く知り
     (ちちしりて けんじのあきも ふかくしり)
        ※図書館からのメールで門井慶喜の「銀河鉄道の
         父」の順番が来たことを知る。予約をしたことすら
         忘れた頃に・・・予約システムの醍醐味だ。
         ご存知直木賞受賞の本。賢治の行動や文学のこ
         とで新たなことは殆どないが、父政二郎の細やか
         な心情を通して、人間賢治を味わうことが出来た。
         こんな父親の方が、天才賢治より希少価値があ
         るようにも思われた。すいすい読書。

10/2tue
日常が 台風一過 舞いもどる
     (にちじょうが たいふういっか まいもどる)
        ※例年以上に怯えを覚える今年の台風。備えをし
         て、接近の情報に神経をとがらせ、夜中の強風、
         大雨の音に寝もやらず朝を迎える。被害がなけ
         れば幸い、・・・朝の光がまぶしい。

10/1mon
台風や 堰守る人の 叫びおり
     (たいふうの せきまもるひとの さけびおり)
        ※取水堰を監視、操作する建家の窓が開き、人が
         堰近くにいる作業員に大声で指示をしている。
         最近の各地の災害には、思わぬ出水、氾濫が数
         多く含まれているから、真剣そのもの。西から強
         い台風24号が接近している。


          **************************

9/29sat
新語聴く 姦しからず 女子の会
     (しんごきく かしましからず じょしのかい)
        ※今風のカフェに入った。耳をすます。すぐに聞
         き分けができない言葉が混じる。若い女子かな
         と思ったら、アラフォー世代の数人だ。文庫本
         持参ではあったが、現代語仕入れに切り替え
         ざるを得なかった。かなりカシマシしい。

9/28fri
稲妻や 機影羽田へ 列をなす
     (いなづまや きえいはねだへ れつをなす)
        ※羽田が沖合拡張されてから、風向きや天候にも
         よるが、繁忙時間帯には当地木更津市の上空を
         「2列縦隊」で航空機が進入する。夕方見上げる
         視界に4機の灯りを数えるのは普通のこと。首を
         回すと5機、6機と見えることも。荒天の暗い夜空
         を一刻も早くと急いでいるようだ。

9/25tue
月今宵 里に帰れる 母の声
     (つきこよい さとにかえれる ははのこえ)
        ※母の実家は当時年老いた父親(祖父)と姉が住
         むだけの静かな家だった。それでも子供を連れ
         て里帰りした母はいつも喜んでいた。おしゃべ
         りする声までがいつもより弾んでいたような気
         がする。広い庭を月明かりが照らす遠い記憶。

9/24mon
しなやかな 線が描けない 夜長かな
     (しなやかな せんがかけない よながかな)
        ※70歳から始めた水彩画の教室通い。まだま
         だ入口にいるのだけれど、頭デッカチは難しさ、
         奥の深さだけを思う。
         「君、君、絵かきになるのではないのだから、
         肩の力を抜いて、まずは数を描き給え」・・・
         その声もわかっているのだが。

9/22sat
秋彼岸 ページにうらら 陽が動き
     (あきひがん ぺーじにうらら ひがうごき)
        ※今日一日はひとりで、ゆったり気分。ご先祖様
         に感謝しながらウトウトする。

9/21fri
曼珠沙華 ビル迫り来る 子規の家
     (まんじゅしゃげ びるせまりくる しきのいえ)
        ※9月19日は子規忌(糸瓜忌)。根岸子規庵の
         子規の寝床から庭を見る。ヘチマや鶏頭・・・。
         ビルが見えなくて良かった。
         超々有名な句ふたつ。
          鶏頭の十四五本もありぬべし    子規
          糸瓜咲いて痰のつまりし仏かな   子規

9/20thu
山裾の 村道はるかに 酔芙蓉
     (やますその そんどうはるかに すいふよう)
        ※東名大井松田で下りてすぐ、開成町の福澤地区
         に、目指す酔芙蓉ロードがあった。店などもないし
         入場料をとる人もいない。農道沿い数百メートル
         に酔芙蓉が両側に植えられている。ちょうど見頃
         だし、これぞ静かなる圧巻!!

鮎壷の 滝轟々と 彼岸花
     (あゆつぼの たきごうごうと ひがんばな)
        ※水の町三島市の西隣長泉町にある「鮎壷の滝」
         を初めて目にした。富士の裾野から発した黄瀬
         川が住宅地のど真ん中に雄大な滝を作っている。
         思った以上の雄大さと富士山の恵みに驚く。

9/19wed
添乗員も またシニアなり 秋の旅
     (てんじょういんも またしにあなり あきのたび)
        ※先週末に静岡県三島、南足柄方面へ日帰りバ
         スハイクに出かけた。お決まりの観光地と買い
         物施設をめぐるコース。○○フルーツパーク、△
         △ヒモノセンターなどなど、その合間に観光地
         をちょこっと挟む。参加者の多くがシニアで、昼
         ご飯と買い物が目当てだから、文句は言えない。

9/17mon
老老が 敬うべしと この日あり
     (ろうろうが うやまうべしと このひあり)
        ※「敬われる」のではなく、老老が互いに敬う日。
         ハードルが高くなった。

9/14fri
アライグマ 捕まえ畑は 秋の声
     (あらいぐま つかまえはたけは あきのこえ)
        ※素人が作っている野菜畑にも明らかに四つ足動
         物の仕業とされる被害が続いた。県内で繁殖して
         いるハクビシンかと思ったら・・・、捕えてみれば
         アライグマ。これも「特定外来生物」として駆除
         対象になっている。顔はカワイイし、尻尾は大き
         くて人気者のそれ。

9/8sat
胆振なる 地方はいかに 秋の闇
     (いぶりなる ちほうはいかに あきのやみ)
        ※北海道地震の震源地は胆振地方東端の厚真町。
         室蘭に住んで胆振という地方名を初めて知った。
         今回その名が繰り返しTVで流れる。火山や湖に
         恵まれた景勝の地でもあるが、地震はごく少なか
         った。多くの人々の顔を思い出す。

9/7fri
稲妻や 枝豆ぬいて 駆けもどる 
      (いなずまや えだまめぬいて かけもどる)
        ※台風が過ぎ去っても強風がおさまらない。天気
         も不安定だ。我が家の枝豆は時期を遅らせてネ
         ットで囲い虫害対策を施したのだったが、肝心の
         成長が不十分、失敗に終わった。数少ない青豆
         は美味、と自らを慰めている。
         昨年は見事な枝豆を大量に収穫したが、信じら
         れないことに悉くカメムシに豆のエキスをチュー
         チューされていた。

9/4tue
鉄道を 越える小道に ウリひとつ
     (てつどうを こえるこみちに うりひとつ)
        ※「線路をわたってはいけません」の立札。これは
         「ここなら近道でわたれます」のお知らせ。
         さすがに伸び放題の夏草は刈られていない。地
         べたが見えない。何が出てくるか? なんと栄養
         満点の大きな白い瓜があった。びっくり。

9/3mon
露草の 踏まれしほどに ありて秋
     (つゆくさの ふあれしほどに ありてあき)
        ※台風21号の影響で前線が刺激され、雨模様が
         涼しさをもたらした。新学期が始まったばかりの
         中学生たちも落ち着いているように見えるのは
         気のせいか? この時期、生徒の自殺が一年の
         中で一番多いと聞いた。

9/2sun
店頭に 息子引き継ぐ 鉢あざみ
     (てんとうに むすこひきつぐ はちあざみ)

鉢もみじ 一子相伝の 極意をば
     (はちもみじ いっしそうでんの ごくいをば)
        ※近くの商店では跡を継いだ主が、花好き、盆栽
         好きだった亡父の遺産を引き継いだようだ。勤
         め人だったらしい彼はその道の秘伝を授けられ
         ているのだろうか?


          **************************


8/31fri
炎天や 岸辺の闇に サギは待つ
        ※簡単に戻ってきた猛暑。シラサギは岸辺の丈の
         長い草が茂った根元から離れない。じっと小魚
         を待っている。暗闇でも真っ白だから丸見えだ
         と思ったが、餌よりも熱中症対策優先か。

8/30thu
ぶどう棚 竿撓るほどに 房満ちて  
     (ぶどうだな さおしなるほどに ふさみちて)
        ※我が家のぶどうは新しい棚に旺盛に絡み、すで
         に食べ頃の実をつけている。6月からの暑さ続
         きで例年より早い感じ。棚の部材である竿が重
         さのため中央で少しだけ撓っている。豊作のシ
         ルシ。品種は名前も覚えていない、地味な薄緑
         色のもの。ほんのり甘いのが「いとおしい」。

8/28tue
胡弓なく 街いまだ見ず 風の盆
     (こきゅうなく まちいまだみず かぜのぼん)
        ※9/1-9/3は富山県八尾の風の盆。この季節でなく
         とも訪れたことはない。古い町並みを薄暗いまま
         にして踊りは進み、哀しげな越中おわら節にのせ
         て、菅笠で顔を隠した女性連が優雅に手と指に
         神経を払う。しゃしゃり出ることの多い今日の盆
         の踊りの中で・・・いいなァ。

8/24fri
二人して うめても熱き 夏出湯
     (ふたりして うめてもあつき なついでゆ)
        ※福島県磐梯山近くの沼尻高原、亡くなった登山
         家田部井淳子さんがオーナーだったロッジが閉
         館したらしい。以前になるが弟といっしょに訪れ、
         ゆっくり午後を過ごした。かなり強度の酸性湯で
         熱く、殆どが源泉ということだった。

六十歳の 兄弟裸で 夏惜しむ
     (ろくじゅうの きょうだいはだかで なつおしむ)
        ※カッコーがしきりに鳴いていた。弟の裸を見た
         最後の日。

8/21tue
秋風や 白河の関に 出迎えん
     (あきかぜや しらかわのせきに でむかえん)
        ※準優勝の金足農高には緒戦から、その全員野球
         とエース吉田の颯爽とした投球ぶりに注目した。
         あれよあれよという間の決勝進出。勝てば東北勢
         初の優勝だったのだが、残念。しかしおかげでTV
         観戦を堪能した。

8/20mon
ケイタイに 残りし露や 秋あざみ
     (けいたいに のこりしつゆや あきあざみ)
        ※今朝も涼しさが続く。朝の小雨でアザミの花が
         みずみずしく、いい色になる。

8/19sun
朝涼し 足引く人の 微笑かな
     (あさすずし あしひくひとの びしょうかな)
        ※朝ウォーキングの人の中に、足を引きずるよう
         にしてリハビリを兼ねた人達が意外と多い。脳
         内出血等の後遺症と戦っている、多くはシニア
         またはシニア近くの男性だ。昨日今日は本当に
         涼しい。顔つきが全然違っている。

8/17fri
暑いねと それだけ言って 盆は明け
     (あついねと それだけいって ぼんはあけ)
        ※この夏は並みの時候の挨拶は不要だ。ただ「暑
         い」と言えばいい。
         ・・・そうしたら今日は一転関東地方も涼しい、さ
         わやかな天気に。びっくりするほどの心地よさ。
         北海道大雪山系の黒岳から観測史上最速の初
         雪の知らせが届いた。どうなっているんだか?

8/15wed
姉が住む 博士の生家 油蝉
     (あねがすむ はかせのせいか あぶらぜみ)
        ※小学生高学年の時、野口英世記念館をクラスで
         訪ねた。現在のような観光施設ではなく、わら葺
         きの生家はトタン屋根で覆われ、実姉のイヌさん
         が暮らしておられた。別棟で記念館があった。
         昭和30年頃の話。一列になって帽子をとり、お
         姉さんに挨拶をした。「よく来なさったなァ。ゆっく
         りしていきなさい」と言われた。とっても緊張して
         いた。

8/12sun
シャバはもう 盆かナースの 冷たい手
     (しゃばはもう ぼんかなーすの つめたいて)
        ※明け方の雷雨ですっかり涼しくなった。近くの
         病院の入院患者が通りに面したところで談笑し
         ている。顔ぶれは変わっても朝ここに来る人々
         は誰も犬にやさしい。

8/11sat
角曲がる 父のスクーター 油照り
     (かどまがる ちちのすくーたー あぶらでり)
        ※クルマの運転免許を持っていなかった父が短期
         間スクーターを乗っていたことを思い出した。 暑
         い夏の日のシーン。こちらが小学生の頃だ。
         今だったら「二輪車は危ないから絶対やめて」と
         言い張るのだが。すぐに乗るのをやめたから、意
         外と事故でやめたのかも・・・。

8/9thu
南天や 永井博士の 歌聞こゆ
     (なんてんや ながいはかせの うたきこゆ)
        ※長崎 原爆忌
         「南天の花」 永井  隆 作詞
                  山田耕筰 作曲

8/8wed
居酒屋の 夏のざわめき 連れの声
     (いざかやの なつのざわめき つれのこえ)
        ※気のおけない仲間との飲み会、こんなに楽しい
         ものはないが、このところ殆ど毎回「酔い潰れて」
         いる。断って、その場に横になる程度なのだが、
         連れにも悪いし、いい年をしてとも思っている。
         20歳前後の飲み始めの頃は、本当に弱かった。
         あの頃にもどりつつあるのか・・・。

8/6mon
朝の道 急いで帰る 原爆忌
     (あさのみち いそいでかえる げんばくき)
        ※広島73回目の原爆忌

8/4sat
火星来る 猛暑の赤き 色をして
     (かせいきたる もうしょのあかき いろをして)

火星には ウィスキーかと 夏の闇
     (かせいには うぃすきーかと なつのやみ)
        ※どこどこ?というほど、知っているようで何も
         知らない。火星、南東のおおよそ仰角30度く
         らいにあった。後は色と明るさで忘れない。
         大接近故にことさら赤いようだ。この暑さはこ
         のせいだったか?  だったら鎮静を願って、
         ウィスキーで乾杯。

旱星 地上は怨嗟の 声で満つ
     (ひでりぼし ちじょうはえんさの こえでみつ)
        ※旱星という言葉を知った。ちゃんと夏の季語に
         なるらしい。炎天続きの夜にひでりを象徴する
         ような星。火星やアンタレス(知らない)などの
         赤い星をいうらしい。

8/2thu
土用凪 配達夫白き 歯を見せる
     (どようなぎ はいたつふしろき はをみせる)
        ※気圧配置が変わらない。朝からの猛暑が続く。
         バイクの郵便配達が一番つらそう。ハイテクだ、
         ITだとかいっても、ここには及ばない。汗を拭き
         つつ、苦笑を見せる。

8/1wed
遅刻する 子が会釈する 蝉しぐれ
     (ちこくする こがえしゃくする せみしぐれ)
        ※夏休み朝一番の部活。いつもの子がいつものよ
         うに駆けてくる。集合時刻遅刻の常習犯だとか言
         っていた。下半身が鍛えられるなァと思っていた
         らもう前方の角を曲がった。


          **************************

7/30mon
グラナダに 眼光ありて 夏の闇
     (ぐらなだに がんこうありて なつのやみ)

生き尽くす アルバイシンの 驟雨かな
     (いきつくす あるばいしんの しゅううかな)
        ※7/27「戸嶋靖昌記念館」訪問
          戸嶋靖昌1934-2006
           後半生をスペイングラナダに過ごし、魂を
           燃焼させた孤高の画家
  戸嶋01.jpg戸嶋02.jpg

7/26thu
旧友と 雑魚寝願望の ありて夏
     (きゅうゆうと ざこねがんぼうの ありてなつ)
        ※猛暑、酷暑ということで様々なことを思い出す。
         標高のある山荘で仲間数人と避暑とシャレ込ん
         だら、とんでもない暑さ。あの雑魚寝の日々が
         なつかしい。それにしても、なんだアレは? 
         すさまじい夏だった。

7/23mon
無花果の 向こうに白き ヘルメット
     (いちじくの むこうにしろき へるめっと)
        ※現場建築の仕事は急遽7時30分からにしたら
         しい。それでも相当暑いが、無花果の実の色が
         日一日と濃くなり、真っ白なヘルメットが忙しく立
         ち回る。

スケッチを 済ませて朝餉 河童の忌
     (すけっちを すませてあさげ かっぱのき)
        ※芥川が死んだ年の7月も相当暑く、それを無性
         に気にしていたとする説があるらしい。気に入っ
         た景色をササッとスケッチブックに書き留め、で
         きれば日陰で色をつける。水彩画は上手にとは
         望むべくもないから、このスピードと手軽さが目
         標だ。しかもこの夏は正念場。ササッとできなけ
         れば死んでしまうかも?


7/21sat
夏冨士や 通い詰めたる 麓まで
     (なつふじや かよいつめたる ふもとまで)
        ※うっすらと富士山が見えた。表富士裾野市の標
         高900m付近にその昔小屋を建てて、週末ごと
         に東京から通いつめた。仕事もキツかった頃の
         十年余り、山での暮らしがあって辛うじて息をし
         ていた。

7/19thu
月の白 白サルスベリに 白灯り
     (つきのしろ しろさるすべりに しろあかり)
        ※通りの両側にサルスベリの並木がある。最初に
         満開になるのは決まって白。今、毎晩見事な光
         景を見せて、しばし酷暑を忘れさせる。白い上弦
         の月とLEDの白い街灯が演出者。
         ついで花を多くつけているのは真っ赤。しばらく
         してピンクとバイオレット系がわあーっと咲きそ
         ろう。

灯り消し 闇にうなって 熱帯夜
     (あかりけし やみにうなって ねったいや)
        ※「うなっても熱帯夜」。放哉のパクリ。
         尾崎放哉「咳をしても一人」。これは冬。ちょっと
         小高いところにあるお堂の庵主(小屋守り)が
         最後の暮らしだったが、夏は風がよく通って涼
         しかったこと、参詣の客があり賽銭収入があっ
         たこと、村人から瓜の差し入れがこよなくありが
         たかったこと等が記されている。

7/15sun
丁寧な 敬老言葉よ 猛暑日に
     (ていねいな けいろうことばよ もうしょびに)
        ※市の検診を受けに行った。係員の説明の懇切
         丁寧なこと!「ここはこうです。わかりますよね?
         次はちょっと複雑な設問で申し訳ないのですが
         ・・・すみません、わかりまちゅ?」 丁寧を通り
         越して、子供扱いだ。外見ではボケているかど
         うかはわからないから、仕方がないか。それに
         しても午前中から暑い日だ。

7/14sat
石垣や 百五十年の 苔青し
     (いしがきや ひゃくごじゅうねんの こけあおし)
        ※明治維新150年。歴史点検の動きあり。懐疑派
         はこの2,3年論調を高めるようにしてきたから、
         むしろ新鮮味は少ないかも。迎え撃つ正統派、主
         流派の方にこそ異論や差別化の主張があり、耳
         目を集めている(ようだ)。

7/13fri
桃の実を 香りを熨斗に 無沙汰わび
     (もものみを かおりをのしに ぶさたわび)
        ※例年より早く、数も多くかつ大きな桃が収穫で
         きた。我が家の庭にある、一本の桃の木である。
         とはいえ素人の哀しさ、大きさはマチマチで袋
         はかけたものの虫にやられたものも多い。A級、
         B級品は近くの世話になった人におすそわけ。
         「いつもより早いね。おいしい」と言ってくれる。
         自慢できるのはおいしさ、家では半ばを占める
         「C級品」と級外品?を食べる。けれど、おいし
         さは変わらず。

7/11wed
フェリー乗る 日焼けした顔が 土産持ち
     (ふぇりーのる ひやけしたかおが みやげもち)
        ※横須賀から帰る家人を東京湾フェリー金谷港ま
         で迎えに行った。平日の夕暮れ近く、ゴルフ帰
         りのシニア族が溢れている。笑顔の白い歯が目
         立つ。これって、保険の効かないデイサービス
         かな。
 
泡盛を 出す房総の 海の家
     (あわもりを だすぼうそうの うみのいえ)
        ※予想以上の猛暑の到来で、海の家の拵えも急
         ピッチ。泡盛のメニューがある。心地よい風が吹
         いてきた。泡盛1杯で夕暮れの海を眺めるのも
         いいなァ。

7/10tue
欠と出す 夏の盆地の クラス会
     (けつとだす なつのぼんちの くらすかい)
        ※今回もちょっと無理。「欠」と書いた途端に或る
         顔が浮かぶ。先日高校卒業以来久しぶりに声
         を聞いた友人だ。故郷の夏の光景、煙ったよう
         な青い盆地・・・。

7/8sun
ヤコブ呼ぶ まだ見ぬ道や 夏帽子
     (やこぶよぶ まだみぬみちや なつぼうし)
        ※久しぶりに友人I に会った。最近スペインの巡
         礼の道とサンティアゴ・デ・コンポスティラを旅し
         たという。興奮していた。羨ましい限り。

7/3tue
惜敗の 朝夏つばきの さやかなり
     (せきはいの あさなつつばきの さやかなり)
        ※朝5時前の劇的な幕切れ。格上のベルギー相
         手に良く戦った。門外漢だが、攻撃力を言われ
         て久しい日本チームが、どのチームと試合をし
         ても果敢に攻めている。最後のシュートにまで
         結びつける執念と度胸がある。敗れても新しい
         時代を画した。

顔しかめ 猛暑の午後に すれちがう
     (かおしかめ もうしょのごごに すれちがう)
        ※この暑さと太陽の光線。おだやかに見えなくて
         もいい。

7/2mon
来し方を ねほりはほりと 半夏生
     (こしかたを ねほりはほりと はんげしょう)
        ※夏至から数えて11日目、これからの5日間を
         半夏生というらしい。夏も半ばを越えて「半夏
         生」の花の咲く頃、といえばなにやら奥ゆかし
         いが、現実のこの世は猛烈に暑く、シニアの悔
         恨癖すら長続きしない。

7/1sun
七月は 蒸し蒸し夏日で 始まりぬ
     (しちがつは むしむしなつびで はじまりぬ)
        ※記録的に早い梅雨明けは、記録的に暑い7月を
         呼び寄せるかも。今日は最高33度予想で、しか
         も朝から相当な蒸し暑さだ。豪雨の西日本各地、
         地震後の大阪ほどではないにしても、この夏は
         かなりの覚悟を強いられるようだ。戸嶋02.jpg


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ダクタク句集2018年(平成30年)上期 自選集 [自選集2018]

6/28thu
紫陽花の 色に迷いて 午後は過ぎ
     (あじさいの いろにまよいて ごごはすぎ)
        ※今日の画題はガクアジサイ。青のガクが濃い青
         に変わり、一部は赤みを帯びている。この見事な
         色の変化と組み合わせは、紙の上に再現しよう
         とした途端に、憎らしいほど微妙なものになる。

6/27wed
色付きし ジューンドロップの 実を干しぬ
     (いろづきし じゅーんどろっぷの みをほしぬ)
        ※果樹は確実な子孫確保のために、多すぎる果
         実を6月頃に落とすという。栽培者からすれば、
         「最低限の自動摘果」。しかし欲の深い栽培者
         はそれらを拾い、「食べられるかも・・・」と日向
         に干してみる。7センチほどの桃の実がほんの
         りピンクがかる。

6/26tue
ひっそりと 西瓜の花に 通う朝
     (ひっそりと すいかのはなに かようあさ)
        ※早朝にスイカを植えた畑にクルマで駆けつける。
         貴重な梅雨の晴れ間、人工授粉の好機だ。去年
         成功の小玉ではなく大玉スイカだからハードルが
         高い。とはいえ、たった2苗。雌花が咲いている
         かな? ガソリンをかけて通う。

6/24sun
梅雨の風 荷風翁ふと 空見上げ
     (つゆのかぜ かふうおうふと そらみあげ)
        ※年齢のせいか、永井荷風の作品にしきりにふれ
         たくなる。散歩を好んだ彼の身なりはいつもきち
         んとしていた。背広にネクタイ、手にはいつもの
         カバンと傘が。

6/23sat
梅雨の朝 人待ち顔の 床屋かな
     (つゆのあさ ひとまちがおの とこやかな)
        ※今年の梅雨は梅雨らしい日が続く。知り合いの
         床屋の親父さんが空を眺めて店先にたたずんで
         いた。畑が気になるが商売優先、月曜日までお
         預け・・・。

6/21thu
おのずから 廻廊なるや 立ち葵
     (おのずから かいろうなるや たちあおい)
        ※以前に農業と造園業勤務をしていたらしい人が
         作っている畑。野菜に混じって花々がたくさん
         ある、広いゆとりの畑だ。土地が肥えているの
         か、タチアオイの成長がハンパない。それが畑
         への道を飾っている。タチアオイ、ムクゲ、そし
         て畑のオクラの花も・・・大好きな日本の花。

6/20wed
ホトトギス レジ待つ人と 聞きにけり
     (ほととぎす れじまつひとと ききにけり)
        ※小雨模様の午後、鳴き声が聞こえた。山とは距
         離があるのに、かすかにしかししっかりと。梅雨
         の合間の清涼剤。いい土地だなァと目で会話す
         る。

6/19tue
泰山木 白き香りが 届けられ
     (たいさんぼく しろきかおりが とどけられ)
        ※泰山木は切花にはならないが、家内の同級生
         のご主人が枝を切って届けてくれる。「泰山木が
         好き」と言ってから毎年のことだ。真っ白な、
         大きな花は柑橘系のような、控えめな香り。朝
         晩顔を寄せる。切花ならではの贅沢なクンクン
         ・・・。ありがたい。

6/18mon
梅雨寒や 病む姉に妻 メール打ち
     (つゆざむや やむあねにつま めーるうち)
        ※ゆっくりと指を動かしメールを読む、時に何度
         も・・・。これ、病人の希望。気がついたときに
         時間をかけて返信を打つ。メールは人にやさ
         しい通信手段。

6/17sun
つゆの午後 オルガのバラード 指でぽんッ
     (つゆのごご おるがのばらーど ゆびでぽんっ)
        ※降り止まぬ雨を見ながら美人の一曲を聴く。
          オルガ・シェプス(piano)
          ヒラリー・ハーン(violin)
          アナ・ヴィドヴィチ(guitar)
         勝手に選んだ、同じ年代の若く美しい3人。庄
         司紗耶香は入らないけれど、彼女は別格本山。

6/16sat
小糠雨 上野の山の 昔かな
     (こぬかあめ うえののやまの むかしかな)
        ※シニア男の相合傘で公園を横切る。知人が出
         品している版画展を見に行く。動物園も静か。
         ホッとする静かさ。

6/13wed
新茶飲み ためらいつつも 「買う」を押す
     (しんちゃのみ ためらいつつも かうをおす)
        ※ネットで買い物をする。慣れたつもりでも一抹の
         不安が頭をよぎる。

6/9sat
梅雨台風 週間予報で 身構えぬ
     (つゆたいふう しゅうかんよほうで みがまえぬ)
        ※最近の天気予報は精度が高い。週間予報もま
         るで物語つきで教えてくれる。うーーん、暮らし
         ぶりが決まってしまうみたいで、良いことばかり
         ではないが・・・。

6/8fri
双つ子を 前後に乗せて 梅雨の母
     (ふたつごを ぜんごにのせて つゆのはは)
        ※小雨なんか気にしない。鼻歌まじりの自転車の
         ママ。保育園に預けた後は勤めがあるのだろう。
         時々見かけると、こちらもパワーがもらえそう。

6/7thu
じゃがいもの まだ小さくて 走り梅雨
     (じゃがいもの まだちいさくて はしりづゆ)

6/6wed
山路さす 二人を追いて 蛍がり
     (やまじさす ふたりをおいて ほたるがり)
        ※蛍を見たという人がいたのに、一番信頼する
         ウォッチャーからはなんの連絡もない。啄木の
         歌に、「ほたる狩り川に行かむという我を 山
         路にさそう君にてありき」というのがあった。
         その歌をパクって、ホタル待ちかねの句としま
         した。

6/5tue
真菰畑 少し減りしも 雉住めり
     (まこもばた すこしへりしも きじすめり)
        ※真菰畑では今ヨシキリが盛んに鳴いている。し
         かし真の主人はキジの一団。朝夕よく見かける
         のだが、ここに棲み着いているか? 何家族な
         のか?は実は不明。

6/4mon
雲映す 父の作りし シャボン玉
     (くもうつす ちちのつくりし しゃぼんだま)
        ※6月の声を聞くとなぜかシャボン玉を思い浮か
         べる。昔は普通の石鹸をとくばかり、ストローも
         工夫なしで、シャボン玉はただ大きさを競うだけ
         だった。いびつな大きな玉の表面は家を写し、
         空を写し、雲も・・・。その雲がゆらゆら揺れてい
         た。

6/2sat
旅終えて すぐの仕事や 袋かけ
     (たびおえて すぐのしごとや ふくろかけ)
        ※作物は待ってはくれない。モモの2度目の摘果
         を兼ねて袋かけをする。モモは果軸の部分が短
         いから袋かけがむずかしい。・・・思い切って摘果
         して実を減らしたが、それでも170枚ほど袋をか
         けた。これが一本の木なのだから、我が家の桃
         の木は立派なもの、と思う。
         ただ大きな実にはならない。味は良い。

6/1fri
くちなしや 庭で髪すく 女を見し
     (くちなしや にわでかみすく ひとをみし)
        ※今日から6月。今となってはやや古風な光景を
         目にした。女性がもう少し若ければ・・・。 


          *****************************
 

5/31thu
蚕豆や 変わらぬ仲の 夫婦かな
     (そらまめや かわらぬなかの ふうふかな)
        ※5/25北九州、長年お世話になっている元上司の
         お宅を訪問した。今年米寿のお祝いと聞いて、お
         元気さにびっくり。好奇心と筋にこだわる志の強
         さも相変わらず。奥様との仲も。

5/30wed
パーク潰え 緑のみ伸びて 夏の空
     (ぱーくついえ みどりのみのびて なつのそら)
        ※5/25北九州、午後空路羽田へ
         宿泊はホテルの12階。眼前にスペースワールド
         の絶叫ライドが聳え立つ。閉鎖、廃業して、今は
         更地化工事が進んでいる。話は聞いて知ってい
         たが、こうして目の当たりにすると、言い知れぬ
         辛い感慨がこみ上げる。様々な人がいた。必死
         に取り組んだ人も。

片蔭や 帆柱山に 向かう道
     (かたかげや ほばしらやまに むかうみち)
        ※今日は入社同期の50周年パーティの日。一応
         今回が最後となる。なつかしい通り、なつかしい山。

5/28mon
五月雨や 湖面の色の 減りて佳し
     (さみだれや こめんのいろの へりてよし)
        ※5/23松江は生憎の雨降り。宍道湖は煙っている。
         こんな日もお城見物には最適かも。城内はしっと
         り落ち着いている。二の丸から眺める、急峻な石
         垣の上にそびえる天守は最高。

アカシアや 城の裏なる 濠深く
     (あかしあや しろのうらなる ほりふかく)

濠を行く 船頭の歌や 瓜の花
     (ほりをいく せんどうのうたや うりのはな)
        ※お城をぐるっと廻る観光船は取りやめたが、船
         頭の渋い歌声が聞こえた時は少し後悔した。

ヘルン家の 小さき池や かきつばた
     (へるんけの ちいさきいけや かきつばた)
        ※小泉八雲旧居跡を訪問。当時武家屋敷を借り
         たものだという。武家屋敷の簡素さとヘルン氏の
         日本趣味が見事に融合していると感じた。

5/27sun
松江いま 夏の初めの 水の街
     (まつえいま なつのはじめの みずのまち)
        ※5/22松江市内は実に50年ぶり。夕暮れの町並
         みはこの街の売りの一つ。城下町の区割りを色
         濃く残している。いい街だなァ・・・。

安来市は 石州瓦の 照り返し
     (やすぎしは せきしゅうがわらの てりかえし)

借景の 新緑揺れて 驚きぬ
     (しゃっけいの しんりょくゆれて おどろきぬ)
        ※念願の足立美術館を訪問。おなじみの日本画、
         庭園を目の当たりにする。ガラス越しの庭園は
         「なじみ過ぎ」と感じたが、遠くの山肌の緑が
         そよぐのを見て、本物を実感する。

5/21mon
アオイ咲く 賢治の父の 帰る朝
     (あおいさく けんじのちちの かえるあさ)
        ※図書館の本はパソコンで延長が出来る。とこ
         ろが或る本を延長しようとしたら出来なかった。
         延長可能マークがついていない。「え? 読み
         始めたばかりなのに・・・」と戸惑ったが、実は
         2週間前に一度延長したから、というのが理
         由だった。
         10冊も借りてくると、どれがどうだったか分か
         らなくなってしまうことが原因。プラス、ボケ?
         渋々返しに行った、その本が小説「銀河鉄道の
         父」(門井慶喜著)。

5/20sun
キョンという 鹿駆け去りて 麦の秋
     (きょんという しかかけさりて むぎのあき)
        ※昼下がりに借りている畑にいたら、すぐ近くを
         鹿らしい動物が駆けて行くのを目撃した。あわ
         てているらしく大股?でJRの線路沿いに去って
         いった。こちらも我が目を疑った。近くには国
         道が通りクルマも多いし、人通りもあるのに、
         なんだアレは!! 
         千葉県では外来種のキョンが猛繁殖していると
         いう。被害も急増しているらしい。

5/19sat
衣替え なしくずし故 記録せず
     (ころもがえ なしくずしゆえ きろくせず)
        ※サクラが咲く前の3月中旬から、6、7月並み
         の気温の日があった。今は7月下旬並みとか。
         合間に涼しい日もあるから、行事としての衣替
         え(更衣)は中高生の制服のチェンジくらい?

5/18fri
春暑き 兄の帽子が 草のかげ
     (はるあつき あにのぼうしが くさのかげ)
        ※故郷の東北は今が春真っ盛り。急に伸びた雑草
         を始末していると電話があった。

5/17thu     
五月雨や 水飴つくる 小鍋かな
     (さみだれや みずあめつくる こなべかな)
        ※桃の摘果でたまった若桃からジャムを作ること
         は取りやめて、余った材料を使って水飴を作る
         ことに。リスクなし。

5/16wed
風薫る 妻は麻雀の サークルに
     (かぜかおる つまはまーじゃんの さーくるに)
        ※今が一番いい季節と感じる。昨日まで草むしり
         も果樹の摘果と消毒もやらされて一段落だ。お
         まけに家内は今日公民館へ。マージャンで認知
         症発症の懸念が多少でも減ってくれたら、言う
         ことない。こんなにいい日はない。

5/15tue
桃摘む 形良き実に 躊躇して
     (ももつまむ かたちよきみに ちゅうちょして)
        ※今年の桃の出来はすごく良いようだ。気候のせ
         いか? 摘果も一仕事。 

5/14mon
五月雨や モデルは美形に あらねども
     (さみだれや もでるはびけいに あらねども)
        ※仲間内で順番にモデルとなって描こうと相談し
         た。大部分の人は反対気味であったが、初回は
         自分がつとめますと言ったら、渋々?納得。
         あるシワ、見えないシワ、心のシワ・・・皆描いて
         と開き直って。

5/12sat
荷風忌や 翁の年齢と なりにけり
     (かふうきや おきなのとしと なりにけり)
        ※永井荷風の「濹東綺譚」「つゆのあとさき」を久
         しぶりに読み直した。荷風全集(筑摩)の装丁
         ?に憧れて何冊かを求めた昔がよみがえる。
         今中古の全巻がたった4,000円とか?

玉ノ井も 寺島町も なくて春
     (たまのいも てらじまちょうも なくてはる)
        ※旧遊郭の跡は痕跡もない。地名も駅名もすべ
         て別名に置き換えられた。潔癖なまでに・・・。

初夏の風 ネットで読みいる 荷風かな
     (しょかのかぜ ねっとでよみいる かふうかな)
        ※さわやかな風には合わない本かもしれないが、
         青空文庫で読んだ。リーダーアプリによっては、
         難解な字句や地名などをなぞると、即座にグー
         グル検索で結果が得られる。これは便利だ。痒
         いところに手が届く。

5/11fri
団子坂 四月五人の クラス会
     (だんござか しがつごにんの くらすかい)

若葉風 英世指さす 梢かな
     (わかばかぜ ひでよゆびさす こずえかな)
        ※先日中学校の同級会の帰り、谷中に出て上野を
         経由して帰宅した。上野では出席の友といっしょ
         に、国立科学博物館前の野口英世像を久しぶり
         に見た。おや、ここにも同郷人がいたっけ。

5/10thu
工場閉ず 栄枯の機械を 撫でて春
     (こうばとず えいこのきかいを なでてはる)

春逝きて 油と人の においあり
     (はるゆきて あぶらとひとの においあり)
        ※九州の知人から工場を閉じたと知らせがあった。
         父親の跡を継いで長かったのと機械加工の仕事
         そのものが好きだったから、予定の閉鎖とはいえ
         彼の嘆息が聞こえてきそうだ。中小企業では、こ
         うした後継者不足、人手不足理由の廃業が増え
         ているとか。問題は裾野を形成する、こうした中
         小製造企業に、新規参入も含めて相当の利益
         機会があるかどうかだと思う。

親の字と 並べて似るを 知る若葉
     (おやのじと ならべてにるを しるわかば)
        ※好みは親父の字。じっと見つめて少しでも似て
         いると思えればそれで喜んでいる。

5/7mon
筆握る 力みが哀し 冬のバラ
     (ふでにぎる りきみがかなし ふゆのばら)
        ※70歳近くなって、字を書くときに力が入って
         しまい、ちゃんとした字が書けないばかりか、
         時々鉛筆やペンが大きく飛んでしまうようにな
         った。その都度握り直して「そっと力を抜いて」
         とリセットするのだが、思わず知らずガチガチ
         になってしまう。老化と字を書かない日常習慣、
         それに神経性のなにかのせいだろうか?

朝ぼらけ 春の句を書く 寝床かな 
     (あさぼらけ はるのくをかく ねどこかな)
        ※一年ほど前から対策に乗り出した。ただ字を
         書く、力まずに軽く書くことを毎日やることにし
         た。雑記帳に、なんでもいい、下手でもいい・
         ・・ただ力まずに。横になったままやるのも良
         い習慣になった。どうせ書くならと、図書館の
         本から季節の名句を写した。一石二鳥。
         ・・・少しずつ力みが減った。

5/6sun
訪ねしも 主は留守か 白つつじ
      (たずねしも あるじはるすか しろつつじ)
        ※4月から四国のお遍路に出かけていた知人の
         家に寄ってみたが留守だった。帰ったという話は
         聞いていた。なるほど一人住まいの庭はきれい
         に手入れがなされている。土産話は次の機会に。

5/3thu
自分より 若き俳人の 春の歌
     (じぶんより わかきはいじんの はるのうた)
        ※片山由美子、千葉県出身。季節をさりげなく詠
        う句がなんとも好ましい。自分の感慨、家族や知
        人を交えたミニ歴史を光景の中に溶け込ませてい
        る。いいなア・・・。
          流されて花びらほどの浮き氷
          ここまでは来ぬはずの波さくら貝
          逃げ水にいつしか追はれゐるここち

春の川 気鬱なること 投げきれず
     (はるのかわ きうつなること なげきれず)
        ※7月並みの気温から今日午後には久しぶりの雨
         模様となるかも。

5/1tue
今日からは 白きシランも 通学路
     (きょうからは しろきしらんも つうがくろ)
        ※ぶどう棚の脚は土を掘り、セメントで固めて基
         礎を作った。その過程でたくさんの植栽を掘り
         出したので、近くの中学校の通学路に植えて来
         た。ピンクのシランがたくさんあるところに白い
         シランを植えた。他にはたくさんの水仙。

オダマキは 匍匐すれども 春嵐
     (おだまきは ほふくすれども はるあらし)
        ※いつも感心するのはオダマキの強さ、勁さ。

三日経て 勤める人は 田植え終え
     (みっかへて つとめるひとは たうえおえ)  



        *********************************


4/30mon
土筆ニョキ アニメのごとく 地べた割る
     (つくしにょき  あにめのごとく じべたわる)
        ※気がつくと、ここにもあそこにも。そして2、3日
         後には立派な土筆になる。

4/26thu
おらもまだ この春なまり とめどなぐ
     (おらもまだ このはるなまり とめどなぐ)
        ※芥川賞の若竹千佐子著「おら おらで ひとりい
         ぐも」を読んだ。この著者は岩手県出身で木更
         津市在住とか。オラが出身地のなまりとはちょ
         っと違うが、よーくわかる。

4/25wed
春届く ヤナギ行李の においかな
     (はるとどく やなぎごおりの においかな)
        ※その昔故郷から届いた行李荷物を思い出した。
         母の手になる紐掛けはヘタで簡単に解けるのだ
         が、あわててやるから失敗する。柳行李はなつ
         かしい。行李自体ににおいはない。「カラで送り
         返せ」とメモがある。

4/24tue
臈長けし 八重のサクラを 惜しむかな
     (ろうたけし やえのさくらを おしむかな)
        ※3、4月の高い気温で桜前線はすでに遥か北方
         にある。それでも遅い品種の八重が残っていた。
         今年は殊にきれいで、名残りを感じるのは年齢
         のせいもある。

故郷で 見る障子戸の 春灯り
     (ふるさとで みるしょうじどの はるあかり)

帝劇の 地下かつて我 春がすみ
     (ていげきの ちかかつてわれ はるがすみ)
        ※その昔東京駅京葉線から徒歩で帝劇地下まで歩
         き、三田線で西台まで通勤していた。毎日4時間
         余りの通勤時間をよくも通ったものだ。

日くれたり 行幸通りに 春灯り
     (ひくれたり ぎょうこうどおりに はるあかり)
        ※東京駅から馬場先門まで、途中日比谷通りをま
         たぐ形で、広い「行幸通り」が整備された。首都の
         玄関口にふさわしい、シンプルで堂々とした通り
         になった。東に東京駅、西には二重橋が見渡せ
         る。折しも点灯された通りは薄い夕焼け空を背
         景になかなかきれいだ。

季節なき ビルの谷間に 庭ぞ春
     (きせつなき びるのたにまに にわぞはる)
        ※浜離宮
         東京都立浜離宮恩賜庭園というのが正式名称。
         汐留操車場跡再開発の高層ビル群が林立する、
         すぐ側にある。江戸時代6代将軍家宣の別邸
         「浜御殿」として整備されたらしい。江戸城の出
         城としての役目から海に面し、潮水を取り入れ
         た泉水庭が広大な敷地に残る。かつては多くの
         建物、樹木があったけれども戦災等で消失し、
         一部が復元されている。茶屋は復元中だ。

4/17tue
春のお堂 低きつぶやきと 抹香と
     (はるのおどう ひくきつぶやきと まっこうと)
        ※先日4月上旬に仲間と都内を歩く会があった。
         今回は築地市場と浜離宮、そこから歩いて銀座
         ~日比谷~東京駅に至るコースだ。集合場所は
         築地本願寺。

4/16mon
隅田川 ふくらむ水や 遅日かな
     (すみだがわ ふくらむみずや ちじつかな)
        ※過日夕方、相生橋のたもとの越中島公園から永
         代橋方面を眺めていた。圧倒的な水量が日が傾
         くにつれ牙を剥くように思われた。

筍の 茹で上がるころや 朝の鳥
     (たけのこの ゆであがるころや あさのとり)
        ※今朝、今採れたばかりという筍が届いた。時を
         移さず茹で上げる。

4/15sun
門仲の 暗き店から 春を見る
     (もんなかの くらきみせから はるをみる)
        ※葉桜の門前仲町で待ち合わせ。昼下がりの眩し
         い通りから、とある居酒屋に。薄暗い店内が妙に
         落ち着く。通りの喧騒がBGMのよう・・・。

4/12thu
さわさわと 水田に白い 雲のかげ
     (さわさわと みずたにしろい くものかげ)
        ※当地早いところは田植えが始まった。これから
         のところも満々と水を湛えている。

4/11wed
常ならず サクラ描きたき 心あり
     (つねならず さくらかきたき こころあり)
        ※下手な描き手にサクラは高嶺の花だ。いつも敬
         遠していたのに、毎朝の或るポイントからの眺め
         に魅せられ俄然描く気になった。堤の満開のサ
         クラ並木に沿って菜の花の満開があり、すこし
         離れて田舎道が平行している、というもの。
         何故かキュンときた。こんなものかな? 画材と
         の幸せな出会いとは。勝手に上機嫌。

4/8sun
菜の花や 親子の指が バスを待つ
     (なのはなや おやこのゆびが ばすをまつ)
        ※毎朝支援学校のバスを待つ親子に会う。決まっ
         て母親の指は我が子の指をじっと握っている。
         濃密な愛情。今日は暖かい日。

4/5thu
選抜の 終わりて患者の 無聊かな
     (せんばつの おわりてかんじゃの ぶりょうかな)
        ※病院一階ホールの大きなテレビの前には入院患
         者や会計待ちの人達がいっぱい見ていた。「高校
         野球、やっぱり人気だね」と思った。

4/4wed
戸隠の 編み師がしごく 竹や春
     (とがくしの あみしがしごく たけやはる)
        ※細々とつないできた信州伝統の竹細工。ザル類
         や農作業用の背負かご、買い物カゴなど多くは
         地味なものだが、ネットや観光ブームのおかげ
         で信じられない注文が舞い込んでいるとか。後
         継者になるかも知れない若い弟子も・・・。浮か
         れることもなく高齢の職人は竹を小割にしてしご
         き、目の前で練習用の編み方を見せてやってい
         る。若者が思い描く、新たなデザインや用途に
         目を細めることもある。

4/2mon
春のバラ 主は遍路 空の果て
     (はるのばら あるじはへんろ そらのはて)

春の宵 髪を乾かす 音のあり
     (はるのよい かみをかわかす おとのあり)

新年度 朔日シャクナゲ ほころびぬ
     (しんねんど ついたちしゃくなげ ほころびぬ)
        ※このところの暖かさでスタンバッていたシャクナ
         ゲが平成30年度早々に開花した。シャクナゲは
         初夏の季語。

おやおやー 患者呼ぶ声 ニューフェース
     (おやおやー かんじゃよぶこえ にゅーふぇーす)
        ※近くのかかりつけの医院、さわやかな声。皆黙
         ってはいるが、新人看護師に目をみはる。



          **************************


3/31sat
春風や 畦におりたつ 海の鳥
     (しゅんぷうや あぜにおりたつ うみのとり)
        ※朝の散歩コースにしている辺は海岸から3~5
         kmの内陸だが、群れをなす海鳥をみかけること
         がある。旅鳥のシギの仲間か? 目の前の小櫃
         川は東京湾に注ぐところで広大な干潟を形成し
         ている。生物が豊かに生息していて首都圏では
         数少ない貴重な場所らしい。川の上流を目指して、
         食事?に来てもおかしくない。 不詳。

3/28wed
春宵の 赤き通りと 通夜の客
     (しゅんしょうの あかきとおりと つやのきゃく)
        ※5月並みの気温も夕方には少し冷える。気温の
         せいで霞がかかったような大気も透き通ってきて、
         夕焼けの光が通りを染めている。

3/26mon
遍路行く 室戸吉良川 蔵の町
     (へんろいく むろときらがわ くらのまち)

湯上りに 主人の語り 春遍路
     (ゆあがりに しゅじんのかたり はるへんろ)
        ※「いつかは四国遍路へ・・・」と思い始めたのが
         50歳前後の頃。「全路徒歩で」が「一部でも」と
         なり、「ちょっとだけでも」という現在に至って、
         まだ実行していない。蔵の街を朝日に見るか、
         夕焼けか? 遍路宿って? いい主人がいる
         かな? いらぬ心配ばかりしている。

春うらら 椅子組み立てる 釣り師かな
     (はるうらら いすくみたてる つりしかな)
        ※休日の釣り師、ゆっくりとアルミの椅子を準備
         している。ヘラブナ釣りは寒い中が似合う光景
         だが、こんな日もいいものだ。釣り師も一番落
         ち着くのはこの椅子の上だから、この季節この
         好天では釣れそうもないけれど家を出た・・・。

3/24sat           
法事終え 兄の横顔 春の風
     (ほうじおえ あにのよこがお はるのかぜ)
        ※両親と弟の回忌法要をまとめる形で郷里で行った。
         生憎みぞれ混じりの雨。肉親の法事としては今回
         を節目としていた兄はほっと一息という面持ち。温
         泉宿に移動してのお斎も楽しかった。

3/22thu
被り上げ タバコ吸ってる 獅子の春
     (かぶりあげ たばこすってる ししのはる)

あの笛は 母の背中よ 温かき
     (あのふえは ははのせなかよ あたたかき)

彼岸獅子 道端に黒き 雪ありて
     (ひがんじし みちばたにくろき ゆきありて)

春うらら 急くな雄獅子の 弓くぐり
     (はるうらら せくなおじしの ゆみくぐり)
        ※獅子団それぞれに特徴があり、ご贔屓も生まれる。
         舞いを頼むとその家の前で、包んだ芳志(金額)に
         よって舞いのメニューが決まる。通常の3人の舞手
         によるものに加え、真ん中の牝獅子だけの舞い、
         連れてきている子供と牡獅子の舞い、牡獅子によ
         る弓くぐりの舞い・・・と多彩だ。子供の頃は圧巻の
         弓くぐりが見たくて、今で言う「おっかけ」をしたもの
         だ。なつかしい思い出。
         各家では椅子を持ち出し、年寄りを中央に座らせ、
         舞いを楽しんだ。テレビもない、観劇など滅多にな
         い時代であった。家の主人の親孝行。

彼岸獅子 子役のありて 恋しかり
     (ひがんじし こやくのありて こいしかり)
        ※郷里会津若松市では春の彼岸に伝統の「彼岸
         獅子」が市内の各所で披露される。近郊の町か
         ら4、5組の獅子団が市中の商店、家を巡り、縁
         起物の舞を踊る。獅子団は連とも言える集団で、
         今は伝統文化保存会と称して、舞い方、笛太鼓
         の囃子方から構成される。会津に獅子団の音が
         聞こえるとやっと本格的な春が訪れる。

3/18sun
春嵐 備長炭の 窯たたく
     (はるあらし びんちょうたんの かまたたく)
        ※雨混じりの強風が窯をたたき続ける。わずかに
         白い湯気が立つ。原料はカシ。紀伊半島から伝
         えられた備長炭の生産を守っている。

春風に 備長炭は チンとなり
     (はるかぜに びんちょうたんは ちんとなり)
        ※炭の断面を見ると、真っ黒で密度が高い。炭同士
         がふれて出す音は金属音。

3/16fri
この春も 黄の競艶の 名に迷い
     (このはるも きのきょうえんの なにまよい)
        ※春に虫が一番好む色は黄色だとか。黄色の花は
         多いが、ここでいう黄の競艶?は「黄色の花をつけ
         る木」である。公園の植栽に、家々の庭の垣根越
         しに見られるもの。春を感じます。
         迷うのは(一年たつと忘れるのは)、
           マンサク(万作)
           レンギョウ(連翹)
           サンシュユ(山茱萸)
           ヤマブキ(山吹)
           トサミズキ(土佐水木)

3/13tue
ヘッドライト 後悔のみあり 春の霧
     (へっどらいと こうかいのみあり はるのきり)
        ※ちょっと前にTVで映画「ヘッド・ライト」(仏1955)
         を見た。なつかしかった。若い女との恋に家族を
         捨てた中年トラックドライバーの心の動きを描い
         たものだ。女との新たな暮らしを思い描いた矢先、
         女は病気で急死してしまう。中年男の恋とエゴ、
         暮らしと哀愁・・・をギャンは渋く演じる。

3/11sun
春つかむ 指のよごれや ふきのとう
     (はるつかむ ゆびのよごれや ふきのとう)
        ※この春も既にフキノトウの天ぷらを賞味した。そ
         してもう終盤なので、終盤向きの場所に採りに行
         く。数はないけれど大きくてうまそうな・・・。

3/10sat
雨音を しのぐ声あり 猫の恋
     (あまおとを しのぐこえあり ねこのこい)
        ※我が家の犬は猫が嫌い。先代もそうだった。雨音
         と猫の声、そして止まない犬の吠え・・・これが深夜
         に続くとちょっと困る。

3/8thu
雲雀来て 川面は鳥の なかりけり
     (ひばりきて かわもはとりの なかりけり)
        ※昨日いつもの散歩コースで初雲雀観察。今年の
         特色は初日から盛んに鳴き立てていることだ。

3/7wed
もどり寒 鵯の黙して 横切れり
     (もどりざむ ひよのもくして よこぎれり)
        ※身近な鳥の中でヒヨドリはとかく行儀が悪い。鳴
         き声がうるさい、食欲が旺盛、他の小鳥をやっつ
         ける・・・等々。それにしても「鵯」とはちょっと可哀
         想な気も。

3/5mon
梅の香に 楊枝作りの 主歩く
     (うめのかに ようじづくりの ぬしあるく)
        ※君津市久留里の伝統工芸に楊枝作りがある。ク
          ロモジから削り出され、久留里城にちなんで「雨
         城楊枝」と呼ばれる。本格的な職人は一人きり、
         後継者も弟子もいないとか。座っての仕事。普段
         はろくに運動もしない。一徹な人柄。その人がウォ
         ーキング・・・。

3/4sun
ゴイサギの 首回し見る 岸の春
     (ごいさぎの くびまわしみる きしのはる)
        ※他の鳥と違って、近くを通ってもゴイサギは悠然と
         している。川面を見張っていた目はぐるりとこちらに
         向けられる。

3/3sat
雛の段 重ねる亡母の 太い指
     (ひなのだん かさねるははの ふといゆび)
        ※思い出すのは、雛人形を優しく飾る姿ではなく、
         蔵の二階から人形が入った大きな木箱を下ろして
         来て、大小の箱を利用してひな壇を作っていた姿
         だ。緋毛氈で覆って出来た時、いつも手品のよう
         だと感心した。

3/1thu
春の日や 師の筆先の すこやかさ
     (はるのひや しのふでさきの すこやかさ)
        ※花特にバラを描かせると先生の絵は生き生きとす
         る。のびやかさは筆先の動きもそうだ。


          **************************


2/28wed
句を作る 春本格の 前にこそ
     (くをつくる はるほんかくの まえにこそ)
        ※春爛漫の時期は間近。しかし本格的な春は根暗の
         者には明るすぎて眩しいし、賑やかすぎる。微妙さ
         に欠ける、陰影がない。暖かくなったり、みぞれが降
         ったり・・・今のうちにこそ句をしたため、詩を作るの
         がいい。
         これ、みんなイメージだけの考え。現実にはなにも
         浮かばない。時期ではなくて要は感性や才能か。

2/27tue
日を映す 水面に気泡の ありて春
     (ひをうつす みなもにきほうの ありて春
        ※いささか古風な句ですが、うららかな午前の日が
         水面に揺れて、そこかしこに水底からの気泡が浮
         き出している様は「水温む」の季語そのものに感
         じました。

2/25sun
暗き日よ 野焼きの赤が 横に這い
     (くらきひよ のやきのあかが よこにはい)

2/22thu
春の駅 夢二の女と すれ違う
     (はるのえき ゆめじのおんなと すれちがう)
        ※夢二の女といってもいっぱいいるから、そのうち
         の誰?ということになるが、幸い彼の描く女性像
         はほぼ決まっている。そう、あのタイプの女性が
         不意にすれ違った。まあ、単にそういうこと。
         金沢、北九州・・・夢二の足跡にまつわる地方都
         市は多い。ここ千葉県では九十九里浜が有名。
         大正時代のように自由でおおらかな、美と情緒を
         楽しむような時代の再現はないだろうか? 夢二
         の再来もない。

2/17sat
春眠や 氷上の冴えは 夢ならず
     (しゅんみんや ひょうじょうのさえは ゆめならず)
        ※目覚めても羽生の演技が幻のように・・・。

春眠や 鴨は一羽も 身じろがず
     (しゅんみんや かもはいちわも みじろがず)

2/16fri
逢魔が時 冬の地震に 立ち竦む
     (おうまがとき ふゆのじしんに たちすくむ)
        ※「逢魔が時」とは夕方薄暗くなった時分をいうら
         しい。クルマでも歩く人でも識別しにくい時間帯
         で事故も多い。こんな夕暮れに地震があった。
         歩いていてわかったのだから相当ひどかったか
         と思ったが、家にいても感じた人は少なかった。
         「逢魔が時」は気味が悪い時間・・・。

2/12mon
カフェ用の 文庫本選ぶ 春の午後
     (かふぇようの ぶんこぼんえらぶ はるのごご)
        ※風は強いが、日差しは暖かい。古くていい喫茶店
         はあるが、なじみになったことはない。都内ではコ
         ダワリのチェーン店が随分増えたとも聞く。こちら
         ではすぐ近くにスターバックスがある。久しぶりに
         出かけよう。

2/11sun
春霧や 異国の街の 気配見せ
       (はるぎりや いこくのまちの けはいみせ)
        ※住んでいるのは丘に広がる、普通の団地だが、一
         番高い辺りに木更津総合高の高い塔が聳えている。
         春の朝霧が立ちこめて、遠くから団地を眺めると、
         自分の住む団地をちょっと見直す。丘の裾はすっ
         ぽり霧に囲まれ、その上に件の塔がいつになく気
         高く見える。ヨーロッパの街に見えないこともない。

2/9fri
梅咲けり されど剪りすぎを 後悔し
     (うめさけり されどきりすぎを こうかいし)
        ※豪雪の峠もようやく過ぎたか、一転春本番ほどの
         温度上昇が続くとか。家人はウォーキングの会で
         南房総市保田に河津桜(地元では「頼朝桜」)を見
         に行った。留守番役は庭の白梅を見ていた。
           梅いくつ数えるほどの寂しさよ

2/7wed
MRI 半年ごとの 命乞い
     (えむあーるあい はんとしごとの いのちごい)
        ※定期的な脳のMRI検査に行く。命乞いという意識
         はないが、動脈瘤の大きさに変化がなければ「向
         こう半年の命を猶予」ということになる。
         やや大げさだが、こんな変にシビアで厄介な状況
         に陥ったのは脳ドッグを受診したのがきっかけだ。

MRI ご託宣待つ 春の午後
     (えむあーるあい ごたくせんまつ はるのごご)
        ※午後になり患者の減った院内はぽかぽかと快適。
         うつらうつらしてたら順番が来た。なんとかセーフ。
         やれやれ・・・。

みぞれ降る バザーの女の あくびかな
     (みぞれふる ばざーのひとの あくびかな)
        ※年に一度の福祉会館でのバザー。生憎の空模様
         である。それをいいことに旺盛に買い占める人もい
         るが、張り切った店の人はやや拍子抜け。

2/1thu
春の窓 幻影前穂の 峰三つ
     (はるのまど げんえいまえほの みねみっつ)
        ※大寒らしい厳しい寒さが続く。寒気団が居座って
         いる。暖かい寝床からなかなか立ち上がれない。
         うとうとしていると、日が差し込む窓に穂高の岩
         稜が霞んでいる。



          **************************

1/31wed 2018
春めくや 子だくさんの 岸の家
     (はるめくや こだくさんの きしのいえ)
        ※いつもやや遠目に見ている川沿いの家。今朝はい
         つも以上の満艦飾。大量の洗濯物がやわらかい冬
         の日に揺れている。子だくさんに違いないと踏んで
         いる。

1/30tue 2018
鮒を嗅ぐ 寺の前行く 釣り師かな
     (ふなをかぐ てらのまえいく つりしかな)
        ※道具を抱えた釣り師が川辺に歩いていく。ベテラ
         ンのヘラブナ釣り師は川の善し悪し、釣り場の善
         し悪しを臭いで嗅ぎ分けるという。 本当かな?と
         思うが、分かるような気もする。既に備え付けの
         専用の釣り台にどっかと腰を下ろし、寒風をもの
         ともせず、じっと浮きを見つめる。

1/17wed
蝋梅や 思い出もまた かすかなり
     (ろうばいや おもいでもまた かすかなり)
        ※今朝は蝋梅が里山への道沿いに並んでいるところ
         まで足を伸ばした。ここのは色も匂いも地味なほう
         だが、それがなんとも興趣をそそる。一時のぞいた
         青空を背景にした花の見事さは一流。遠い思い出
         がかすかに浮かんでくる。

1/7sun 2018
七草の 欠けるを数え 粥啜る
     (ななくさの かけるをかぞえ かゆすする)
        ※強風で体感温度はきびしい。冷えた身体には足り
         ない粥でもすごくありがたい。

1/3wed 2018
すり鉢や 三日とろろの 朝仕事
     (すりばちや みっかとろろの あさしごと)
        ※東北(の一部)では正月三日の朝に「とろろ飯」
         を食べる。とろろ芋をその朝にすり鉢に摺り下ろ
         し、更にすりこぎ棒で延々とすり込む。大家族で
         全て大量だったから、この仕事の長かったことが
         忘れられない。「まだ?」「だめッ、まだまだ」
         これが終わらないと朝ごはんにありつけない。

         円谷幸吉は「父上様、母上様、三日とろろ美味し
         うございました。・・・幸吉はもう走れません。
         幸吉は父母上様の側で暮しとうございました」と
         遺書に記した。

1/1mon 2018
青ペンで 去年の賀状を 恩師褒め
     (あおぺんで こぞのがじょうを おんしほめ)
        ※一年前に賀状に刷ったスケッチの絵を褒められた。
         学校時代に褒められれば、また別な道があったか
         なァ? 70歳過ぎてもうれしい。

1/1mon 2018
戸のすきに 電車の音と 初明かり
    (とのすきに でんしゃのおとと はつあかり)
        ※「戸の隙を洩れ入る光・・・」、中原中也の「朝の
         歌」冒頭の一節。新年早々からパクリ?実はパ
         クりたくてウズウズしていた。こいつは春から縁
         起が良いようで・・・。

1/1mon 2018
遊ぶ子の 路地に声聞く 子規の春
     (あそぶこの ろじにこえきく しきのはる)
        ※昨年正岡子規の明治34年の歳旦帳が発見さ
         れた。亡くなる前の年のものである。中に未発
         表の5句があったという。その中の一句、
           『暗きより元朝を騒く子供哉』
         これから子規の正月を思い描いた。
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