ダクタク句集2023年(令和5年)2月 [ダクタク2023年2月]
2/28tue
春浅し友の旧居に杭打機
(はるあさしとものきゅうきょにくいうちき)
※随分前に越した友人宅跡だが周囲の土地を合
わせて工事が始まった。杭を打つ必要がある
建物? この近辺では珍しい。
2/26sun
春の海フェリーふわりと波の上
(はるのうみふぇりーふわりとなみのうえ)
※友人を見送って金谷港東京湾フェリーまで出
かけた。天気は良いのだがやや波が高い。心
配のほどではない。でっぷり肥えたフェリー
は無事浮かんで出港した。
2/24fri
春の闇濃かれ三つ星寄り添うて
(はるのやみこかれみつぼしよりそうて)
※昨夕、日の入り後18時30分頃の西の空で、
「新月」と「木星」「金星」とが一列に黄道
上に並ぶ天体ショーを見た。格別レアなこと
ではないが、タイミングと天候がこうもピタ
リと合うことは少ない。写真も撮れたよ。
2/23thu
春の旅ミシン黄色を纏いおり
(はるのたびみしんきいろをまといおり)
旅先の待ちにし膳よ蕗の薹
(たびさきのまちにしぜんよふきのとう)
※旅は思い浮かべるころから出かけるまでが至
福という。明るい黄色はお気に入り、さあ出
かけよう。
2/22wed
猫魔岳街を白くし春むかし
(ねこまだけまちをしろくしはるむかし)
※昔会津若松の点描。2月の午後。通りの遥か
先にあるのは真っ白な残雪をいただく猫魔岳。
これが浮き上がって大きく見える日がある。
市街の根雪は融けて道を洗い、コンクリート
舗装の道はこれも白く見える。家並みは後退。
2/21tue
春一日怠惰の時とのみ記して
(はるひとひたいだのときとのみきして)
ブランコをこいで人待つ青春か
(ぶらんこをこいでひとまつせいしゅんか)
※ろくなニュースはないが、そこは春だからそ
の気になれば春になる。
2/20mon
太陽光パネルが侵す春田かな
(たいようこうぱねるがおかすはるたかな)
蓬髪が床屋帰りで春の風
(ほうはつがとこやがえりではるのかぜ)
2/19sun
街道はうつらうつらの菜の花忌
(かいどうはうつらうつらのなのはなき)
※菜の花忌の頃に古い「街道を行く」のTV番組
を見た。本よりも随分端折ってあるものの、
上手い編集だ。田村高広のナレーションが懐
かしい。
2/18sat
寝もやらずジャガイモ植うる日はうつろ
(ねもやらずじゃがいもううるひはうつろ)
※ちょっと早めのジャガイモの植え付け。肥料
を多めにして、このタイミングの植付けは生
育が良いという話を仕入れてきた。
サボり気味の今年はこれが野良始めだ。ねむ
たい~・・・。
雪形を見たいと思う野良始め
(ゆきがたをみたいとおもうのらはじめ)
2/17fri
梅咲きて痒み嘆きし人いかに
(うめさきてかゆみなげきしひといかに)
※年寄りの冬季の痒みは空気と肌の乾燥が主因
と言われる。彼へのアドバイスは「入浴を一
日おきに、入浴の日は今まで通りちゃんと石
鹸で洗いちゃんと落とすこと。入浴しない日
は一日中石鹸を使わないこと。使わなくとも
すぐ慣れる」というもの。
2/16thu
春の宵億劫という音を上げる
(はるのよいおっくうというねをあげる)
※さて、もう歳かな? 何か動き始めるときに、
初めのひとふんばりを1テンポ待つことが近
頃多くなった。なんのこともないのだけれど、
その時の姿勢でしばしゆっくりするのだ。
2/14tue
家に肌あり初東風の似合う家
(いえにはだありはつこちのにあういえ)
※歳時記は季語とその季語を使った例句を味わ
って、季節感の妙を感じるものだ。しかし季
語の中には違和感どころか時代錯誤と言わざ
るを得ないものも数多い。窮屈でも文句を言
わずにその古い季語に合った対象を見つけよ
ということなのか。
2/12sun
かたや死にかたやはかくも春の声
(かたやしにかたやはかくもはるのこえ)
※久しぶりに聞く彼の声は以前と全然変わらな
い。前回の彼の電話は同期の友の死を伝える
ものだった。昔から二人を対で見がちな私。
2/11sat
生姜酒とめる者なく喜寿の春
(しょうがざけとめるものなくきじゅのはる)
天井のシミ数え切り喜寿の春
(てんじょうのしみかぞえきりきじゅのはる)
※町内会の人から喜寿のお祝いですよね、と言
われて改めて意識した。満77歳の誕生日か
ら2カ月ほど。感慨とてなにもない。
2/10fri
新海苔は産地苦渋の味少し
(しんのりはさんちくじゅうのあじすこし)
※地元木更津、富津の江戸前海苔はここ数年ク
ロダイの養殖場への侵入と食い荒らしなどに
よって被害を被っている。今季は有明海の海
苔の産地も海水温の上昇が海苔生育の大幅減
産につながっているらしい。
2/9thu
春寒やこころに農具並べおり
(はるざむやこころにのうぐならべおり)
※とっくに農具はラインアップ済み。鎌だって
研いである。
2/8wed
壁の上を春日は円くすべりおり
(かべのえをはるびはまるくすべりおり)
※寝室のカーテンの合わせ目から差し込む朝日
が壁の上に7,8センチの円い明るい形を作る。
日の出の時刻が日々早くなるから、見えだす
時刻は一日ごとに少し早くなり、その位置は
左にずれる。秋分の日以降の秋とはちょうど
逆の形だ。
ついでに言えばそこは床の間で春向きの掛け
軸がかけてある。その上を円い光がすべる。
出来過ぎた話。嘘のような本当の話。
2/6mon
童顔は遺影となりて余寒かな
(どうがんはいえいとなりてよざむかな)
寒紅玉切らさずただに好きなれば
(かんこうぎょくきらさずただにすきなれば)
煮大根においはわが身黙しおり
(にだいこんにおいはわがみもくしおり)
2/4sat
立春や師の舌かくも滑らかに
(りっしゅんやしのしたかくもなめらかに)
※絵にもおしゃべりにも盛んなのはすごい。御
年は80歳台後半で絵筆の軽妙なこと、言葉
に切れ目がないこと。
2/3fri
めずらしく朝のご飯寒卵
(めずらしくあさのごはんかんたまご)
豆まきや声の大きさ迷いつつ
(まめまきやこえのおおきさまよいつつ)
※外に向いてまず一声、大き過ぎたかな? 一
瞬のうちに脳裏を掠める。えいッ、構うな、
この大きさで、鬼に入られてしまう。
声の大きさ! 実は単なる羞恥心の減退、認
知症の手前の始まりだったりして・・・。
2/2thu
宵星の西に沈めば冬銀河
(よいぼしのにしにしずめばふゆぎんが)
※日脚が伸びたものの光はまだ弱い。宵の明星
が沈み暗い星空に変わるまで長い時間は要ら
ない。寒風は身を震わせるが、天空の変化の
微妙さは今頃が味わい深い。
2/1wed
着ぶくれて道ゆずりたる好々爺
(きぶくれてみちゆずりたるこうこうや)
客引きも色とりどりに着ぶくれて
(きゃくひきもいろとりどりにきぶくれて)
※1月の寒波はまだ続いている。客の出足はさ
らに細り、夜の街は大変だ。
春浅し友の旧居に杭打機
(はるあさしとものきゅうきょにくいうちき)
※随分前に越した友人宅跡だが周囲の土地を合
わせて工事が始まった。杭を打つ必要がある
建物? この近辺では珍しい。
2/26sun
春の海フェリーふわりと波の上
(はるのうみふぇりーふわりとなみのうえ)
※友人を見送って金谷港東京湾フェリーまで出
かけた。天気は良いのだがやや波が高い。心
配のほどではない。でっぷり肥えたフェリー
は無事浮かんで出港した。
2/24fri
春の闇濃かれ三つ星寄り添うて
(はるのやみこかれみつぼしよりそうて)
※昨夕、日の入り後18時30分頃の西の空で、
「新月」と「木星」「金星」とが一列に黄道
上に並ぶ天体ショーを見た。格別レアなこと
ではないが、タイミングと天候がこうもピタ
リと合うことは少ない。写真も撮れたよ。
2/23thu
春の旅ミシン黄色を纏いおり
(はるのたびみしんきいろをまといおり)
旅先の待ちにし膳よ蕗の薹
(たびさきのまちにしぜんよふきのとう)
※旅は思い浮かべるころから出かけるまでが至
福という。明るい黄色はお気に入り、さあ出
かけよう。
2/22wed
猫魔岳街を白くし春むかし
(ねこまだけまちをしろくしはるむかし)
※昔会津若松の点描。2月の午後。通りの遥か
先にあるのは真っ白な残雪をいただく猫魔岳。
これが浮き上がって大きく見える日がある。
市街の根雪は融けて道を洗い、コンクリート
舗装の道はこれも白く見える。家並みは後退。
2/21tue
春一日怠惰の時とのみ記して
(はるひとひたいだのときとのみきして)
ブランコをこいで人待つ青春か
(ぶらんこをこいでひとまつせいしゅんか)
※ろくなニュースはないが、そこは春だからそ
の気になれば春になる。
2/20mon
太陽光パネルが侵す春田かな
(たいようこうぱねるがおかすはるたかな)
蓬髪が床屋帰りで春の風
(ほうはつがとこやがえりではるのかぜ)
2/19sun
街道はうつらうつらの菜の花忌
(かいどうはうつらうつらのなのはなき)
※菜の花忌の頃に古い「街道を行く」のTV番組
を見た。本よりも随分端折ってあるものの、
上手い編集だ。田村高広のナレーションが懐
かしい。
2/18sat
寝もやらずジャガイモ植うる日はうつろ
(ねもやらずじゃがいもううるひはうつろ)
※ちょっと早めのジャガイモの植え付け。肥料
を多めにして、このタイミングの植付けは生
育が良いという話を仕入れてきた。
サボり気味の今年はこれが野良始めだ。ねむ
たい~・・・。
雪形を見たいと思う野良始め
(ゆきがたをみたいとおもうのらはじめ)
2/17fri
梅咲きて痒み嘆きし人いかに
(うめさきてかゆみなげきしひといかに)
※年寄りの冬季の痒みは空気と肌の乾燥が主因
と言われる。彼へのアドバイスは「入浴を一
日おきに、入浴の日は今まで通りちゃんと石
鹸で洗いちゃんと落とすこと。入浴しない日
は一日中石鹸を使わないこと。使わなくとも
すぐ慣れる」というもの。
2/16thu
春の宵億劫という音を上げる
(はるのよいおっくうというねをあげる)
※さて、もう歳かな? 何か動き始めるときに、
初めのひとふんばりを1テンポ待つことが近
頃多くなった。なんのこともないのだけれど、
その時の姿勢でしばしゆっくりするのだ。
2/14tue
家に肌あり初東風の似合う家
(いえにはだありはつこちのにあういえ)
※歳時記は季語とその季語を使った例句を味わ
って、季節感の妙を感じるものだ。しかし季
語の中には違和感どころか時代錯誤と言わざ
るを得ないものも数多い。窮屈でも文句を言
わずにその古い季語に合った対象を見つけよ
ということなのか。
2/12sun
かたや死にかたやはかくも春の声
(かたやしにかたやはかくもはるのこえ)
※久しぶりに聞く彼の声は以前と全然変わらな
い。前回の彼の電話は同期の友の死を伝える
ものだった。昔から二人を対で見がちな私。
2/11sat
生姜酒とめる者なく喜寿の春
(しょうがざけとめるものなくきじゅのはる)
天井のシミ数え切り喜寿の春
(てんじょうのしみかぞえきりきじゅのはる)
※町内会の人から喜寿のお祝いですよね、と言
われて改めて意識した。満77歳の誕生日か
ら2カ月ほど。感慨とてなにもない。
2/10fri
新海苔は産地苦渋の味少し
(しんのりはさんちくじゅうのあじすこし)
※地元木更津、富津の江戸前海苔はここ数年ク
ロダイの養殖場への侵入と食い荒らしなどに
よって被害を被っている。今季は有明海の海
苔の産地も海水温の上昇が海苔生育の大幅減
産につながっているらしい。
2/9thu
春寒やこころに農具並べおり
(はるざむやこころにのうぐならべおり)
※とっくに農具はラインアップ済み。鎌だって
研いである。
2/8wed
壁の上を春日は円くすべりおり
(かべのえをはるびはまるくすべりおり)
※寝室のカーテンの合わせ目から差し込む朝日
が壁の上に7,8センチの円い明るい形を作る。
日の出の時刻が日々早くなるから、見えだす
時刻は一日ごとに少し早くなり、その位置は
左にずれる。秋分の日以降の秋とはちょうど
逆の形だ。
ついでに言えばそこは床の間で春向きの掛け
軸がかけてある。その上を円い光がすべる。
出来過ぎた話。嘘のような本当の話。
2/6mon
童顔は遺影となりて余寒かな
(どうがんはいえいとなりてよざむかな)
寒紅玉切らさずただに好きなれば
(かんこうぎょくきらさずただにすきなれば)
煮大根においはわが身黙しおり
(にだいこんにおいはわがみもくしおり)
2/4sat
立春や師の舌かくも滑らかに
(りっしゅんやしのしたかくもなめらかに)
※絵にもおしゃべりにも盛んなのはすごい。御
年は80歳台後半で絵筆の軽妙なこと、言葉
に切れ目がないこと。
2/3fri
めずらしく朝のご飯寒卵
(めずらしくあさのごはんかんたまご)
豆まきや声の大きさ迷いつつ
(まめまきやこえのおおきさまよいつつ)
※外に向いてまず一声、大き過ぎたかな? 一
瞬のうちに脳裏を掠める。えいッ、構うな、
この大きさで、鬼に入られてしまう。
声の大きさ! 実は単なる羞恥心の減退、認
知症の手前の始まりだったりして・・・。
2/2thu
宵星の西に沈めば冬銀河
(よいぼしのにしにしずめばふゆぎんが)
※日脚が伸びたものの光はまだ弱い。宵の明星
が沈み暗い星空に変わるまで長い時間は要ら
ない。寒風は身を震わせるが、天空の変化の
微妙さは今頃が味わい深い。
2/1wed
着ぶくれて道ゆずりたる好々爺
(きぶくれてみちゆずりたるこうこうや)
客引きも色とりどりに着ぶくれて
(きゃくひきもいろとりどりにきぶくれて)
※1月の寒波はまだ続いている。客の出足はさ
らに細り、夜の街は大変だ。
2023-02-28 19:00
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