ダクタク句集2017年(平成29年)11月 [ダクタク2017年11月]
11/30thu
鹿野山 古寺は甍も 黄ばみおり
(かのうざん こじはいらかも きばみおり)
神宿る 銀杏の巨木 寺紅葉
(かみやどる いちょうのきょぼく てらもみじ)
※昨日当地はうららかな小春日和。今が紅葉の見頃
との情報で、絵画教室の仲間と急遽鹿野山神野寺
にスケッチに出かけた。名物銀杏の大樹はさかりを
終えていたが、境内の真っ赤なモミジは見事。朝の
霧をかきわけ、登ってきた甲斐があった。
巨木の下で描いていたら、次々と黄色の葉が落ち
てくる。さすが葉もでかい。帽子に落ちる。グサッと
いう。絵はまあまあ、しかしいい一日。
11/29wed
アイフォーン これ買う秋や 金貯めて
(あいふぉーん これかうあきや かねためて)
※次々と最新のものを手にする快感はそんなに大き
いのだろうか? とまらない? 結構高価だし、買っ
たからには朝夕手放せない。
11/27mon
呼び合える 渡り帰る日 風強く
(よびあえる わたりかえるひ かぜつよく)
子を呼ぶか 高く啼きつつ 鳥帰る
(こをよぶか たかくなきつつ とりかえる)
※東京湾でタカの種類の帰りが観察されるという
ニュースを見た。近くでも高く鳴きつつ南に行く
鳥が何度か見られたが、生憎鳥の種類を確認
する知識がない。
11/26sun
蓮根掘り もはや体験 すべからず
(はすねほり もはやたいけん すべからず)
※初冬の風物詩、内房線沿いに蓮田が広がる。以前
住んだ浜松市でも天竜川の支流沿いに蓮田があり、
季節には蓮根堀りの作業を眺めたものだ。発動機
によるポンプで水を噴出させ、泥を飛ばして蓮根を
取り出し、浮かべた舟に乗せる。寒風の中、時には
腰まで畑の水と泥に浸かりながらの作業だ。最近は
観光用の体験教室なんてのもあるらしいが・・・。
11/25sat
早霜や 孫のクルマの 窓を拭く
(はやじもや まごのくるまの まどをふく)
※出勤支度をした孫娘が出てくるまでに窓をきれい
に拭いている。安全を願っての日課だろうが、部
屋着が寒そうでよけい心配。
11/24fri
枯れススキ カラスが歩く ロータリー
(かれすすき からすがあるく ろーたりー)
※JRの駅からの光景。利用客の少なかった側にも
ロータリーが出来ている。海寄りの開発と人口増
を当て込んでいる。しかし時間がかかるのだろう。
暖房車 子供の暮らし 孫のこと
(だんぼうしゃ こどものくらし まごのこと)
※ローカル線は各停に限る。和服姿のオバサンの
一団、お稽古事の帰りなのか、この時刻の常連の
ようだ。「この前の続きだけれど」に始まって、子供
の生活が話題だ。・・・いつしか話は進み、孫の話
に。結構面白い。ウトウトしながら聴いている。
11/23thu
かすかなる 息で「古い顔」 忘年会
(かすかなる いきでふるいかお ぼうねんかい)
※半年に一度の同期会。暮れは忘年会を兼ねる。酒
は弱い上にこの顔ぶれが相手だと、途端にアルコー
ルの回りが速くなる。やっとのことで肩組みして歌う。
♫ 幼い頃に遊んでた
学生時代に付き合った
、いろんな友がいたけれど
みんなみんな今は亡い ああ懐かしい古い顔
11/22wed
干し柿の 数を減らして 見張り番
(ほしがきの かずをへらして みはりばん)
※このところの寒さは一日の寒暖差も大きく、干し
柿には最適らしい。しかし、そろそろとなると鳥た
ちがやって来る。尾長、ヒヨドリなど。実に賢いし、
かつ貪欲である。
畑では良い出来だと楽しみにしていた落花生が
軒並みハクビシンにやられガックリきた。鳥たち
にも寛容ではいられない。
11/21tue
豊作や 僧が風切る スクーター
(ほうさくや そうがかぜきる すくーたー)
※若い僧侶が秋晴れの街道を行く。農家は不順な夏
の天候で心配されたが、まずまずの米作だったとか。
秋の野菜収穫は絶好調。豊作であれば檀家の実入
りも豊かだろう。お布施も・・・。お坊さんの表情も明
るい。
秋の句を 諳んじ若き 僧が行く
(あきのくを そらんじわかき そうがいく)
※後を継いだ坊さんは地域の文化活動にも積極的だ。
句会とか歴史講座などにお寺を開放している。彼自
身が句会の有力メンバー。
11/20mon
山茶花や 早咲きだけを 取り柄とし
(さざんかや はやざきだけを とりえとし)
※早朝に山茶花の掃除をした。よその家はやっと咲
き始めが多い。今年の11月は寒い日が続いてい
るから、早咲きの我が家の花が季節感としては最
高だったかな・・・などと、得意になっている。
手袋と ジャンパー厚く 身構えり
(てぶくろと じゃんぱーあつく みがまえり)
※今朝の冷え込みは一段と厳しい。1月並との予報
だった。朝の散歩の武装は2段目に切り替え。犬
は変わらず。
11/19sun
温顔と なる人多く 冬に入る
(おんがんと なるひとおおく ふゆにいる)
※元職場の10年ぶりの同窓会。現役30人を含め、
130人の大盛会だった。懐かしい顔がまわりに
いっぱい。
11/17fri
小春日和 身知らず柿の 箱開ける
(こはるびより みしらずがきの はこあける)
※故郷の兄が送ってくれた会津名産の身知らず柿。
箱に詰めた大粒の柿に焼酎をかけ渋を抜いて食
べる。箱には開ける日が書いてある。子供の時か
ら馴染みの柿、早々と味見する。美味。たくさん食
べると腹を冷やすからと、祖母から注意された日
々が思い起こされる。
柿たわわ 食い散らしたる 日々遥か
(かきたわわ くいちらしたる ひびはるか)
※こちらは時期的にはちょっと前。小粒の甘柿。
11/16thu
松茸や 薄いが施設の 土瓶蒸し
(まつたけや うすいがしせつの どびんむし)
※介護付き有料老人ホームに見学に行った。それ
も丁寧なバージョンらしくて、昼食と喫茶付きであ
る。最近は地方でも街中の一角に開業する例が
多い。自然が多すぎて、人間の住む環境が恋しい、
といった笑えない話は減ったみたい。びっくりした
のは昼食についた土瓶蒸しだ。マッタケを過度に
ありがたがる人種には属さないが、つましい暮ら
しだから何年ぶりだろう?
11/15wed
秋日和 ものみな俳句と 虚子言うが
(あきびより ものみなはいくと きょしいうが)
※虚子は句に言う、「秋風や眼中のもの皆俳句」。
しかし凡人になかなかそうは・・・。
11/14tue
故郷の 紅葉ひときわ チバニアン
(ふるさとの もみじひときわ ちばにあん)
※市原市養老川沿いの地層が地球の歴史を画する
標準標本と認められた。地球新生代の一時期(77
万年前~13万年前)の名称として「チバニアン(千
葉時代)」が採用され、全世界で使用される。一時
期とはいえ、ざっと64万年間、6400世紀分だ。
以前訪れた場所、紅葉の盛りにはちょっと早いが、
地球の磁場NSの転換を証明する地層が朝の光に
輝いている。
11/13mon
潮騒の ような音あり 秋の夜
(しおさいのようなおとあり あきのよる)
※深夜から未明の頃、なんにも音がしない、静寂そ
のものの時でも、じーっと耳を澄ますと「シーーー
ーー」と低いが切れ目のない音を感じる。あれは
なに? この話をして同調してくれる人は三人に
一人もいない。「そんな音しない」「おかしいんじゃ
ないか?」「あれは血流の音?」とさまざま。私と
しては耳の澄まし方が足りないのではと言いたい
気持ちも。しかし、最近読んだ2冊の本で、偶然こ
の音を表現する記事を読んだ。
ほーら、かすかな潮騒はあるんだよ。生理学的な
説明は要らない。山の中でも聞こえる潮騒がなく
なったら大変だから。
11/12sun
人知れず コンビニ裏の アケビかな
(ひとしれず こんびにうらの あけびかな)
※なんとか今年も収穫?したい。侵入罪、窃盗罪に
ならないように気をつけて、暗くなってこっそりと。
ちょうど絵画教室の会があるから格好の素材にな
るのでは、と思っている。
11/11sat
居残りし バリウム重し 秋の夜
(いのこりし ばりうむおもし あきのよる)
※例年11月に胃がん検診を受けている。バリウム
を飲む検査だが、医療、検査方法が大きく進歩し
ている中で、これだけは何十年も殆ど変わらない。
受診した人の検査後の苦痛を考えると、どうにか
ならないか?の疑問が残る。バリウムの排出、今
年も翌朝まで持ち越した。
11/10fri
立冬の 夜飼い犬の 鳴きやまず
(りっとうのよる かいいぬの なきやまず)
※今年の立冬は11月7日
11/9thu
風雨去り 青空ランク 「4」の秋
(ふうふさり あおぞららんく よんのあき)
※空の青さを計る評価色票というのがあるらしい。
それも分光器による測定ではなく、5枚の青色の
どれに一番近いかで判定する。超アナログな方
法。今朝の当地の青空は「快適」なランク4。濃
いきれいな秋空だった。
11/8wed
野菜手に ダム人帰る 秋の暮
(やさいてに だむびとかえる あきのくれ)
※ダムを保守する人々が交代で街に帰っていく。近
くの村で求めた野菜を持って。キノコやアケビなど、
ここにはお宝も多い。
紅葉の 中をスーパーの バス来たる
(こうようの なかをすーぱーの ばすきたる)
※客を呼ぶスピーカーの声が村に響く。肉、魚、冷
凍食品やインスタント食品などが満載だ。時刻が
決まっているのか、村の年寄りやおかみさん連中
が通りに出て待っている。
11/7tue
模擬店は 中学生の クリごはん
(もぎてんは ちゅうがくせいの くりごはん)
※「食べてって下さい」とか誘われると弱い。味噌
汁付きで300円。売り子ぶりを眺めながら食べ
る。賑やかだ。いい風味、うまかった。青空だ。
野菜など 持ち寄る秋の 抽選会
(やさいなど もちよるあきの ちゅうせんかい)
※近くの体育館では演芸会。中学生の弦楽演奏に
続き、各種演奏や踊り、詩吟など。最後は延々と
カラオケで歌いまくる。とても聞けたものではない
が、顔見知りが出演するのと、終わった後の抽選
会が楽しみでみんなじいっと堪えて?いる。
11/6mon
ふかしたる 大芋の湯気 子の目線
(ふかしたる おおいものゆげ このめせん)
※今年の収穫したサツマイモは品種のせいかどうか
大ぶりである。無理は覚悟で、切らずにそのまま
ふかしてみた。「アッチッチー」と言いながら半分に
すると盛大な湯気が・・・。その向こうに子供たちの
顔が見える。今時の子供は女の子でもイモ好きは
少なくなったというが、大芋の迫力はすごい。
11/5sun
秋の灯や 父の草書に 歯が立たず
(あきのひや ちちのそうしょに はがたたず)
※文化の日。先人の文物に接し、楽しむなかで、更
なる文化が育まれるものだろうけれど、親の書付
すら読めないとは・・・。
故郷の 料理伝える 秋の風
(ふるさとの りょうりつたえる あきのかぜ)
※知り合いの台湾出身の奥さんが「台湾風中華ち
まき」を文化祭で披露した。大好評。うちの家内は
ミニ料理教室のアシスタントを務めた。
11/4sat
秋を吸う 夫婦の遅き 歩みかな
(あきをすう ふうふのおそき あゆみかな)
※中風を患っている男性を奥さんが肘を支え寄り
添って、川沿いの道をゆっくりゆっくり散歩してい
る。毎朝のことだ。そして絶えず小声で会話しな
がら。多分その一日の会話量は我が家の一ヶ月
分にも相当する。
11/3fri
高台の 校庭柿の 畑あり
(たかだいの こうていかきの はたけあり)
※今日は文化の日。近くの古い小学校は校庭の外
れが果樹園のようになっている。石段を登って校
庭に上がるところも柿畑があるところも今の小学
校の作りにはないゆとりを感じさせる。登校日では
ないが校舎からは歌声が聞こえる。
11/2thu
新涼や ラジオ体操 二番まで
(しんりょうや らじおたいそう にばんまで)
※爽やかな晴天が続く。暑くもなく寒くもない秋の
良さを味わう一日。
11/1wed
屋根伝う 朝顔目指す いわし雲
(やねつたう あさがおめざす いわしぐも)
※11月。台風がやってくる度に秋が深まってきてい
るのに、この家は今でも朝顔が垣根から壁伝いに
屋根まで伸びている。青一色だが見事な大輪だ。
特殊な品種なのだろうか? 樹勢ならぬ花の勢い
がすさまじい程たくましい。
鹿野山 古寺は甍も 黄ばみおり
(かのうざん こじはいらかも きばみおり)
神宿る 銀杏の巨木 寺紅葉
(かみやどる いちょうのきょぼく てらもみじ)
※昨日当地はうららかな小春日和。今が紅葉の見頃
との情報で、絵画教室の仲間と急遽鹿野山神野寺
にスケッチに出かけた。名物銀杏の大樹はさかりを
終えていたが、境内の真っ赤なモミジは見事。朝の
霧をかきわけ、登ってきた甲斐があった。
巨木の下で描いていたら、次々と黄色の葉が落ち
てくる。さすが葉もでかい。帽子に落ちる。グサッと
いう。絵はまあまあ、しかしいい一日。
11/29wed
アイフォーン これ買う秋や 金貯めて
(あいふぉーん これかうあきや かねためて)
※次々と最新のものを手にする快感はそんなに大き
いのだろうか? とまらない? 結構高価だし、買っ
たからには朝夕手放せない。
11/27mon
呼び合える 渡り帰る日 風強く
(よびあえる わたりかえるひ かぜつよく)
子を呼ぶか 高く啼きつつ 鳥帰る
(こをよぶか たかくなきつつ とりかえる)
※東京湾でタカの種類の帰りが観察されるという
ニュースを見た。近くでも高く鳴きつつ南に行く
鳥が何度か見られたが、生憎鳥の種類を確認
する知識がない。
11/26sun
蓮根掘り もはや体験 すべからず
(はすねほり もはやたいけん すべからず)
※初冬の風物詩、内房線沿いに蓮田が広がる。以前
住んだ浜松市でも天竜川の支流沿いに蓮田があり、
季節には蓮根堀りの作業を眺めたものだ。発動機
によるポンプで水を噴出させ、泥を飛ばして蓮根を
取り出し、浮かべた舟に乗せる。寒風の中、時には
腰まで畑の水と泥に浸かりながらの作業だ。最近は
観光用の体験教室なんてのもあるらしいが・・・。
11/25sat
早霜や 孫のクルマの 窓を拭く
(はやじもや まごのくるまの まどをふく)
※出勤支度をした孫娘が出てくるまでに窓をきれい
に拭いている。安全を願っての日課だろうが、部
屋着が寒そうでよけい心配。
11/24fri
枯れススキ カラスが歩く ロータリー
(かれすすき からすがあるく ろーたりー)
※JRの駅からの光景。利用客の少なかった側にも
ロータリーが出来ている。海寄りの開発と人口増
を当て込んでいる。しかし時間がかかるのだろう。
暖房車 子供の暮らし 孫のこと
(だんぼうしゃ こどものくらし まごのこと)
※ローカル線は各停に限る。和服姿のオバサンの
一団、お稽古事の帰りなのか、この時刻の常連の
ようだ。「この前の続きだけれど」に始まって、子供
の生活が話題だ。・・・いつしか話は進み、孫の話
に。結構面白い。ウトウトしながら聴いている。
11/23thu
かすかなる 息で「古い顔」 忘年会
(かすかなる いきでふるいかお ぼうねんかい)
※半年に一度の同期会。暮れは忘年会を兼ねる。酒
は弱い上にこの顔ぶれが相手だと、途端にアルコー
ルの回りが速くなる。やっとのことで肩組みして歌う。
♫ 幼い頃に遊んでた
学生時代に付き合った
、いろんな友がいたけれど
みんなみんな今は亡い ああ懐かしい古い顔
11/22wed
干し柿の 数を減らして 見張り番
(ほしがきの かずをへらして みはりばん)
※このところの寒さは一日の寒暖差も大きく、干し
柿には最適らしい。しかし、そろそろとなると鳥た
ちがやって来る。尾長、ヒヨドリなど。実に賢いし、
かつ貪欲である。
畑では良い出来だと楽しみにしていた落花生が
軒並みハクビシンにやられガックリきた。鳥たち
にも寛容ではいられない。
11/21tue
豊作や 僧が風切る スクーター
(ほうさくや そうがかぜきる すくーたー)
※若い僧侶が秋晴れの街道を行く。農家は不順な夏
の天候で心配されたが、まずまずの米作だったとか。
秋の野菜収穫は絶好調。豊作であれば檀家の実入
りも豊かだろう。お布施も・・・。お坊さんの表情も明
るい。
秋の句を 諳んじ若き 僧が行く
(あきのくを そらんじわかき そうがいく)
※後を継いだ坊さんは地域の文化活動にも積極的だ。
句会とか歴史講座などにお寺を開放している。彼自
身が句会の有力メンバー。
11/20mon
山茶花や 早咲きだけを 取り柄とし
(さざんかや はやざきだけを とりえとし)
※早朝に山茶花の掃除をした。よその家はやっと咲
き始めが多い。今年の11月は寒い日が続いてい
るから、早咲きの我が家の花が季節感としては最
高だったかな・・・などと、得意になっている。
手袋と ジャンパー厚く 身構えり
(てぶくろと じゃんぱーあつく みがまえり)
※今朝の冷え込みは一段と厳しい。1月並との予報
だった。朝の散歩の武装は2段目に切り替え。犬
は変わらず。
11/19sun
温顔と なる人多く 冬に入る
(おんがんと なるひとおおく ふゆにいる)
※元職場の10年ぶりの同窓会。現役30人を含め、
130人の大盛会だった。懐かしい顔がまわりに
いっぱい。
11/17fri
小春日和 身知らず柿の 箱開ける
(こはるびより みしらずがきの はこあける)
※故郷の兄が送ってくれた会津名産の身知らず柿。
箱に詰めた大粒の柿に焼酎をかけ渋を抜いて食
べる。箱には開ける日が書いてある。子供の時か
ら馴染みの柿、早々と味見する。美味。たくさん食
べると腹を冷やすからと、祖母から注意された日
々が思い起こされる。
柿たわわ 食い散らしたる 日々遥か
(かきたわわ くいちらしたる ひびはるか)
※こちらは時期的にはちょっと前。小粒の甘柿。
11/16thu
松茸や 薄いが施設の 土瓶蒸し
(まつたけや うすいがしせつの どびんむし)
※介護付き有料老人ホームに見学に行った。それ
も丁寧なバージョンらしくて、昼食と喫茶付きであ
る。最近は地方でも街中の一角に開業する例が
多い。自然が多すぎて、人間の住む環境が恋しい、
といった笑えない話は減ったみたい。びっくりした
のは昼食についた土瓶蒸しだ。マッタケを過度に
ありがたがる人種には属さないが、つましい暮ら
しだから何年ぶりだろう?
11/15wed
秋日和 ものみな俳句と 虚子言うが
(あきびより ものみなはいくと きょしいうが)
※虚子は句に言う、「秋風や眼中のもの皆俳句」。
しかし凡人になかなかそうは・・・。
11/14tue
故郷の 紅葉ひときわ チバニアン
(ふるさとの もみじひときわ ちばにあん)
※市原市養老川沿いの地層が地球の歴史を画する
標準標本と認められた。地球新生代の一時期(77
万年前~13万年前)の名称として「チバニアン(千
葉時代)」が採用され、全世界で使用される。一時
期とはいえ、ざっと64万年間、6400世紀分だ。
以前訪れた場所、紅葉の盛りにはちょっと早いが、
地球の磁場NSの転換を証明する地層が朝の光に
輝いている。
11/13mon
潮騒の ような音あり 秋の夜
(しおさいのようなおとあり あきのよる)
※深夜から未明の頃、なんにも音がしない、静寂そ
のものの時でも、じーっと耳を澄ますと「シーーー
ーー」と低いが切れ目のない音を感じる。あれは
なに? この話をして同調してくれる人は三人に
一人もいない。「そんな音しない」「おかしいんじゃ
ないか?」「あれは血流の音?」とさまざま。私と
しては耳の澄まし方が足りないのではと言いたい
気持ちも。しかし、最近読んだ2冊の本で、偶然こ
の音を表現する記事を読んだ。
ほーら、かすかな潮騒はあるんだよ。生理学的な
説明は要らない。山の中でも聞こえる潮騒がなく
なったら大変だから。
11/12sun
人知れず コンビニ裏の アケビかな
(ひとしれず こんびにうらの あけびかな)
※なんとか今年も収穫?したい。侵入罪、窃盗罪に
ならないように気をつけて、暗くなってこっそりと。
ちょうど絵画教室の会があるから格好の素材にな
るのでは、と思っている。
11/11sat
居残りし バリウム重し 秋の夜
(いのこりし ばりうむおもし あきのよる)
※例年11月に胃がん検診を受けている。バリウム
を飲む検査だが、医療、検査方法が大きく進歩し
ている中で、これだけは何十年も殆ど変わらない。
受診した人の検査後の苦痛を考えると、どうにか
ならないか?の疑問が残る。バリウムの排出、今
年も翌朝まで持ち越した。
11/10fri
立冬の 夜飼い犬の 鳴きやまず
(りっとうのよる かいいぬの なきやまず)
※今年の立冬は11月7日
11/9thu
風雨去り 青空ランク 「4」の秋
(ふうふさり あおぞららんく よんのあき)
※空の青さを計る評価色票というのがあるらしい。
それも分光器による測定ではなく、5枚の青色の
どれに一番近いかで判定する。超アナログな方
法。今朝の当地の青空は「快適」なランク4。濃
いきれいな秋空だった。
11/8wed
野菜手に ダム人帰る 秋の暮
(やさいてに だむびとかえる あきのくれ)
※ダムを保守する人々が交代で街に帰っていく。近
くの村で求めた野菜を持って。キノコやアケビなど、
ここにはお宝も多い。
紅葉の 中をスーパーの バス来たる
(こうようの なかをすーぱーの ばすきたる)
※客を呼ぶスピーカーの声が村に響く。肉、魚、冷
凍食品やインスタント食品などが満載だ。時刻が
決まっているのか、村の年寄りやおかみさん連中
が通りに出て待っている。
11/7tue
模擬店は 中学生の クリごはん
(もぎてんは ちゅうがくせいの くりごはん)
※「食べてって下さい」とか誘われると弱い。味噌
汁付きで300円。売り子ぶりを眺めながら食べ
る。賑やかだ。いい風味、うまかった。青空だ。
野菜など 持ち寄る秋の 抽選会
(やさいなど もちよるあきの ちゅうせんかい)
※近くの体育館では演芸会。中学生の弦楽演奏に
続き、各種演奏や踊り、詩吟など。最後は延々と
カラオケで歌いまくる。とても聞けたものではない
が、顔見知りが出演するのと、終わった後の抽選
会が楽しみでみんなじいっと堪えて?いる。
11/6mon
ふかしたる 大芋の湯気 子の目線
(ふかしたる おおいものゆげ このめせん)
※今年の収穫したサツマイモは品種のせいかどうか
大ぶりである。無理は覚悟で、切らずにそのまま
ふかしてみた。「アッチッチー」と言いながら半分に
すると盛大な湯気が・・・。その向こうに子供たちの
顔が見える。今時の子供は女の子でもイモ好きは
少なくなったというが、大芋の迫力はすごい。
11/5sun
秋の灯や 父の草書に 歯が立たず
(あきのひや ちちのそうしょに はがたたず)
※文化の日。先人の文物に接し、楽しむなかで、更
なる文化が育まれるものだろうけれど、親の書付
すら読めないとは・・・。
故郷の 料理伝える 秋の風
(ふるさとの りょうりつたえる あきのかぜ)
※知り合いの台湾出身の奥さんが「台湾風中華ち
まき」を文化祭で披露した。大好評。うちの家内は
ミニ料理教室のアシスタントを務めた。
11/4sat
秋を吸う 夫婦の遅き 歩みかな
(あきをすう ふうふのおそき あゆみかな)
※中風を患っている男性を奥さんが肘を支え寄り
添って、川沿いの道をゆっくりゆっくり散歩してい
る。毎朝のことだ。そして絶えず小声で会話しな
がら。多分その一日の会話量は我が家の一ヶ月
分にも相当する。
11/3fri
高台の 校庭柿の 畑あり
(たかだいの こうていかきの はたけあり)
※今日は文化の日。近くの古い小学校は校庭の外
れが果樹園のようになっている。石段を登って校
庭に上がるところも柿畑があるところも今の小学
校の作りにはないゆとりを感じさせる。登校日では
ないが校舎からは歌声が聞こえる。
11/2thu
新涼や ラジオ体操 二番まで
(しんりょうや らじおたいそう にばんまで)
※爽やかな晴天が続く。暑くもなく寒くもない秋の
良さを味わう一日。
11/1wed
屋根伝う 朝顔目指す いわし雲
(やねつたう あさがおめざす いわしぐも)
※11月。台風がやってくる度に秋が深まってきてい
るのに、この家は今でも朝顔が垣根から壁伝いに
屋根まで伸びている。青一色だが見事な大輪だ。
特殊な品種なのだろうか? 樹勢ならぬ花の勢い
がすさまじい程たくましい。