ダクタク句集2022年(令和4年)4月 [ダクタク2022年4月]
4/30sat
我が道を 行く人稀に 荷風の忌
(わがみちを いくひとまれに かふうのき)
白足袋の 軒に干されて 四月尽
(しろたびの のきにほされて しがつじん)
※NHKの王朝文学講座をYouTubeで聴き始めて3
カ月。更級日記、和泉式部日記を聞き流した。
犬の散歩の途中にである。それでも多く登場す
る和歌に接して親しみを感じるようになった。
今日の後者の句にも、続けて七七が出る。上等
ではないが。
「白足袋の 軒に干されて 四月尽
紺地の足袋の 普段なつかし」
「良いことの ながりし四月 疾く過ぎん
枕に脈の 音の健やか」
4/29fri
あちこちで 遂に顔伏す 目借時
(あちこちで ついにかおふす めかりどき)
合宿所 窓開け放つ 春の闇
(がっしゅくじょ まどあけはなつ はるのやみ)
※コロナ禍の近況2句。図書館は読書室使用を条
件付きで再開。隣の人が遠いのでつい安心して
コックリ。昨年クラスターを出してしまった高
校の大きな合宿所は今なお閉鎖中。
4/28thu
新年度 なお坂道の 塾通い
(しんねんどなおさかみちのじゅくがよい)
雪形を 見る人しのぶ メールかな
(ゆきがたをみるひとしのぶめーるかな)
4/27wed
描きつつ 春は病いの 憂さくらべ
(えがきつつ はるはやまいの うさくらべ)
オオデマリ アイリスともに 吾嬲り
(おおでまり あいりすともに われなぶり)
※月2回の絵画教室は絵よりもおしゃべり? オ
オデマリと紫色のアイリスの対照の妙は難しす
ぎる。
4/26tue
草を刈る 鎌の研ぎ初め 日永かな
(くさをかる かまのとぎそめ ひながかな)
ようやくの雨音や 晩春を寝る
(ようやくのあまおとや ばんしゅんをねる)
4/25mon
逃げ水の 先に閉じにし 校舎あり
(にげみずのさきにとじにしこうしゃあり)
※こちらも御多聞に漏れず郊外の小中学校を中心
になお統廃合の話がある。生活圏、友人知人、
仕事や親戚などとの関係、果ては選挙の地盤な
ど、近くに訊けばナルホドと同情が大きくなる。
4/24sun
女二人 スイカの苗の 良し悪し
(おんなふたり すいかのなえの よしわるし)
※当地で西瓜の苗が植え時。例年のごとく2苗だ
けポットで買ってきた。ちょっと遅めのわりに
値段が安い。それでは接ぎ木の苗ではないなと
疑う。案の定。
4/23sat
春の黄に 土偶のまなこ 和らげり
(はるのきに どぐうのまなこ やわらげり)
石楠花や 女御の日記 思わるる
(しゃくなげや にょうごのにっき おもわるる)
4/22fri
田は霞む 植うる順番 我にあり
(たはかすむ ううるじゅんばん われにあり)
すみれ野に埃 顔出す戦車兵
(すみれのにほこり かおだすせんしゃへい)
※ウクライナの要衝マウリポリをめぐる局面が
最終期にある。すみれ野と街を蹂躙すること
は許されない。兵は無表情だ。
4/21thu
ミズキ咲き 木の花なべて 白い朝
(みずきさき きのはななべて しろいあさ)
※石楠花の白い花が満開で、白の花ミズキとク
レマチスが加わった。この季節は期せずして
我が家の庭はちょっと大仰だが「白の競演」
となる。花ニラの消えたあとには白い小さな
ユリ形の花が咲いて、地で白の駄目押しをし
ている。
4/20wed
城はサクラ 路地には黒き 板の塀
(しろはさくら ろじにはくろき いたのへい)
※郷里会津のサクラの盛りは子供時代の昔4月
20日前後であったと思う。戊辰戦役で城下
中心部の古い建物は残っていなかったが、城
下町の人の風情とその人々が家屋に託す矜持
がここかしこにあった(ように思う)。
4/19tue
こころみの 源氏分厚き 春の宵
(こころみの げんじぶあつき はるのよい)
※YouTubeのNHK古典講座で「更級日記」を散
歩の時に聞いている。慣れないことだけれど、
せっかくのスマホのギガを有効活用!するた
めだ。テキストもなし、理解不十分も気にし
ないで、45分×27回を一周聞き終えた。
かなりの新発見があり、大雑把でも習得の体
験は実に久しぶりだ。作者の源氏物語への傾
倒ぶりが随所に現れることも初めてわかった。
4/18mon
風やんで ほんの春雨 耳たてる
(かぜやんで ほんのはるさめ みみたてる)
奥穂高 置きし小石よ 風光る
(おくほだか おきしこいしよ かぜひかる)
めがねかけ 少なくなりし 芹摘みぬ
(めがねかけ すくなくなりし せりつみぬ)
4/16sat
数を聞く 老舗爺売る 桜餅
(かずをきく しにせじじうる さくらもち)
※この季節は桜餅専業とも見える。うーん、や
っぱりコンビニ買いのものとは違う。
花ミズキ 宝飾着物 買い取ると
(はなみずき ほうしょくきもの かいとると)
4/15fri
観音堂 五百年の春 大庇
(かんのんどう ごひゃくねんのはる おおひさし)
※桜見物の足を伸ばし、鳳来寺観音堂再訪を果
たした。初めの時よりしっかり保全されてい
るようで一安心。相変わらずの優美さ。周囲
のサクラを眺めて弁当を開く。
4/14thu
葉桜や 病院互いに 付き添いぬ
(はざくらや びょういんたがいに つきそいぬ)
石楠花の 蕾落とさじ 妻の声
(しゃくなげの つぼみおとさじ つまのこえ)
4/13wed
啄木忌 費え支えし 金田一
(たくぼくき ついえささえし きんだいち)
※同郷の先輩金田一京助は文学上の付き合いの
みならず、常に貧困だった東京の啄木に何く
れとなく援助をした。ちなみに小生の中高使
用の国語辞書は金田一の手になるものだ。
4/12tue
花ニラの 群れるを踏まず 猫黒子
(はなにらの むれるをふまず ねこくろこ)
花冷えや 今宵だけとて 床の暖
(はなびえや こよいだけとて とこのだん)
4/11mon
高齢者試験通れり春の膳
(こうれいしゃしけんとおれりはるのぜん)
※家人の免許更新試験、難関の暗誦試験を優秀
な成績で通過したらしい。これは医者の見立
て以上に安心材料、目出度い。
4/10sun
春の朝手の皺深くなりにけり
(はるのあさてのしわふかくなりにけり)
人間は退歩するらし春爛漫
(にんげんはたいほするらしはるらんまん)
4/9sat
山小屋の 春曙は 闇多く
(やまごやの はるあけぼのは やみおおく)
※久しぶりに若い時に山に行った夢を見た。真
っ暗な中でここはどこだろうと息をひそめて
いると、僅かな窓に山が次第に見えてきた。
安心。山小屋だ、ここは。
4/7thu
風車売り 夢に長屋の前におり
(かざぐるまうり ゆめにながやのまえにおり)
春灯 女二人の 声低く
(はるあかし おんなふたりの こえひくく)
※春は茫漠と夢に遊び、覚めては霞の果てに夕
日を見送る。やや退廃的な心地こそ、季節の
特権なりしも、それを許さざるはだれ。
4/6wed
眺めては また剪定の 日和かな
(ながめては またせんていの ひよりかな)
※柿の木も若芽が出てきた。当家で図抜けて遅
いのはぶどうだ。剪定は一応終えているので
格子のバーに誘引する。これもYouTubeで学
習したから方法は進化したはずだ。
ところが剪定のやり残しが多く見つかる。や
っぱり杜撰だな。
4/4mon
花冷えや 親のビデオの 仕舞い方
(はなびえや おやのびでおの しまいかた)
※生前の両親を撮影したビデオが結構ある。い
ずれもちゃんと編集整理したものだ。他のメ
ディアは散逸しても一向に構わないが、これ
だけは親の面影を残す唯一のものであり、大
げさだが墓をどう整理して後につなぐかを考
えるのと同じ心境だ。
4/3sun
蝉貰う人 喜寿となる 連翹忌
(せみもらうひと きじゅとなる れんぎょうき)
※4月2日は高村光太郎の命日。連翹忌という。
30年ほども前の出張の帰りに、友人と花巻市
郊外の高村光太郎旧居を訪れた。辺り一面深い
雪が積もっていて、今のように保存のための上
屋がなかった旧居は見るからに粗末で寒く、す
き間から雪原が覗けた。戦後すぐに、宮沢賢治
の縁繋がりでこの地を選び、隠れ住むように囲
炉裏に坐して自戒自省の数年を過ごした。
近くに農家はない、地元の人とも交わりを避
けていた。例外は村の子供たちで交遊があった
とか。特に花巻まで買い出しに行ってもどる光
太郎から飴玉を貰うのが楽しみだったと言う。
小さな彫り物を貰うこともあったとか。当時の
子供の一人が、たまたま我々が利用したバスの
運転手だった。発車時刻までの生き証人?の話。
4/2sat
ジャカランダ
ホウオウボクになに 四月バカ
(じゃからんだ ほうおうぼくになに しがつばか)
※熱帯三大花樹のことを言っている。もう一つは
アフリカン・チューリップ・ツリー。別名カエ
ンボク。日本でいうチューリップツリー(別名
半纏の木)とは似ても似つかぬが。
友人撮影の写真が載る蝶のカレンダー、4月は
ホウオウボクの真っ赤な花、花、花に憩うヘレ
ナキシタアゲハ。
4/1fri
柳芽吹く 根岸の里の くねり道
(やなぎめぶく ねぎしのさとの くねりみち)
※都心を歩く会は中断して久しい。遠慮のない友
人と連れ立っての歩き会は実に楽しいものだっ
た。子規庵を訪ねたあと根岸の古い道を辿ると
青々とした柳並木の道があった。5年ほども前
になる。季節は違うが光景がよみがえる。今は
子規庵も閉鎖中と聞いた。
我が道を 行く人稀に 荷風の忌
(わがみちを いくひとまれに かふうのき)
白足袋の 軒に干されて 四月尽
(しろたびの のきにほされて しがつじん)
※NHKの王朝文学講座をYouTubeで聴き始めて3
カ月。更級日記、和泉式部日記を聞き流した。
犬の散歩の途中にである。それでも多く登場す
る和歌に接して親しみを感じるようになった。
今日の後者の句にも、続けて七七が出る。上等
ではないが。
「白足袋の 軒に干されて 四月尽
紺地の足袋の 普段なつかし」
「良いことの ながりし四月 疾く過ぎん
枕に脈の 音の健やか」
4/29fri
あちこちで 遂に顔伏す 目借時
(あちこちで ついにかおふす めかりどき)
合宿所 窓開け放つ 春の闇
(がっしゅくじょ まどあけはなつ はるのやみ)
※コロナ禍の近況2句。図書館は読書室使用を条
件付きで再開。隣の人が遠いのでつい安心して
コックリ。昨年クラスターを出してしまった高
校の大きな合宿所は今なお閉鎖中。
4/28thu
新年度 なお坂道の 塾通い
(しんねんどなおさかみちのじゅくがよい)
雪形を 見る人しのぶ メールかな
(ゆきがたをみるひとしのぶめーるかな)
4/27wed
描きつつ 春は病いの 憂さくらべ
(えがきつつ はるはやまいの うさくらべ)
オオデマリ アイリスともに 吾嬲り
(おおでまり あいりすともに われなぶり)
※月2回の絵画教室は絵よりもおしゃべり? オ
オデマリと紫色のアイリスの対照の妙は難しす
ぎる。
4/26tue
草を刈る 鎌の研ぎ初め 日永かな
(くさをかる かまのとぎそめ ひながかな)
ようやくの雨音や 晩春を寝る
(ようやくのあまおとや ばんしゅんをねる)
4/25mon
逃げ水の 先に閉じにし 校舎あり
(にげみずのさきにとじにしこうしゃあり)
※こちらも御多聞に漏れず郊外の小中学校を中心
になお統廃合の話がある。生活圏、友人知人、
仕事や親戚などとの関係、果ては選挙の地盤な
ど、近くに訊けばナルホドと同情が大きくなる。
4/24sun
女二人 スイカの苗の 良し悪し
(おんなふたり すいかのなえの よしわるし)
※当地で西瓜の苗が植え時。例年のごとく2苗だ
けポットで買ってきた。ちょっと遅めのわりに
値段が安い。それでは接ぎ木の苗ではないなと
疑う。案の定。
4/23sat
春の黄に 土偶のまなこ 和らげり
(はるのきに どぐうのまなこ やわらげり)
石楠花や 女御の日記 思わるる
(しゃくなげや にょうごのにっき おもわるる)
4/22fri
田は霞む 植うる順番 我にあり
(たはかすむ ううるじゅんばん われにあり)
すみれ野に埃 顔出す戦車兵
(すみれのにほこり かおだすせんしゃへい)
※ウクライナの要衝マウリポリをめぐる局面が
最終期にある。すみれ野と街を蹂躙すること
は許されない。兵は無表情だ。
4/21thu
ミズキ咲き 木の花なべて 白い朝
(みずきさき きのはななべて しろいあさ)
※石楠花の白い花が満開で、白の花ミズキとク
レマチスが加わった。この季節は期せずして
我が家の庭はちょっと大仰だが「白の競演」
となる。花ニラの消えたあとには白い小さな
ユリ形の花が咲いて、地で白の駄目押しをし
ている。
4/20wed
城はサクラ 路地には黒き 板の塀
(しろはさくら ろじにはくろき いたのへい)
※郷里会津のサクラの盛りは子供時代の昔4月
20日前後であったと思う。戊辰戦役で城下
中心部の古い建物は残っていなかったが、城
下町の人の風情とその人々が家屋に託す矜持
がここかしこにあった(ように思う)。
4/19tue
こころみの 源氏分厚き 春の宵
(こころみの げんじぶあつき はるのよい)
※YouTubeのNHK古典講座で「更級日記」を散
歩の時に聞いている。慣れないことだけれど、
せっかくのスマホのギガを有効活用!するた
めだ。テキストもなし、理解不十分も気にし
ないで、45分×27回を一周聞き終えた。
かなりの新発見があり、大雑把でも習得の体
験は実に久しぶりだ。作者の源氏物語への傾
倒ぶりが随所に現れることも初めてわかった。
4/18mon
風やんで ほんの春雨 耳たてる
(かぜやんで ほんのはるさめ みみたてる)
奥穂高 置きし小石よ 風光る
(おくほだか おきしこいしよ かぜひかる)
めがねかけ 少なくなりし 芹摘みぬ
(めがねかけ すくなくなりし せりつみぬ)
4/16sat
数を聞く 老舗爺売る 桜餅
(かずをきく しにせじじうる さくらもち)
※この季節は桜餅専業とも見える。うーん、や
っぱりコンビニ買いのものとは違う。
花ミズキ 宝飾着物 買い取ると
(はなみずき ほうしょくきもの かいとると)
4/15fri
観音堂 五百年の春 大庇
(かんのんどう ごひゃくねんのはる おおひさし)
※桜見物の足を伸ばし、鳳来寺観音堂再訪を果
たした。初めの時よりしっかり保全されてい
るようで一安心。相変わらずの優美さ。周囲
のサクラを眺めて弁当を開く。
4/14thu
葉桜や 病院互いに 付き添いぬ
(はざくらや びょういんたがいに つきそいぬ)
石楠花の 蕾落とさじ 妻の声
(しゃくなげの つぼみおとさじ つまのこえ)
4/13wed
啄木忌 費え支えし 金田一
(たくぼくき ついえささえし きんだいち)
※同郷の先輩金田一京助は文学上の付き合いの
みならず、常に貧困だった東京の啄木に何く
れとなく援助をした。ちなみに小生の中高使
用の国語辞書は金田一の手になるものだ。
4/12tue
花ニラの 群れるを踏まず 猫黒子
(はなにらの むれるをふまず ねこくろこ)
花冷えや 今宵だけとて 床の暖
(はなびえや こよいだけとて とこのだん)
4/11mon
高齢者試験通れり春の膳
(こうれいしゃしけんとおれりはるのぜん)
※家人の免許更新試験、難関の暗誦試験を優秀
な成績で通過したらしい。これは医者の見立
て以上に安心材料、目出度い。
4/10sun
春の朝手の皺深くなりにけり
(はるのあさてのしわふかくなりにけり)
人間は退歩するらし春爛漫
(にんげんはたいほするらしはるらんまん)
4/9sat
山小屋の 春曙は 闇多く
(やまごやの はるあけぼのは やみおおく)
※久しぶりに若い時に山に行った夢を見た。真
っ暗な中でここはどこだろうと息をひそめて
いると、僅かな窓に山が次第に見えてきた。
安心。山小屋だ、ここは。
4/7thu
風車売り 夢に長屋の前におり
(かざぐるまうり ゆめにながやのまえにおり)
春灯 女二人の 声低く
(はるあかし おんなふたりの こえひくく)
※春は茫漠と夢に遊び、覚めては霞の果てに夕
日を見送る。やや退廃的な心地こそ、季節の
特権なりしも、それを許さざるはだれ。
4/6wed
眺めては また剪定の 日和かな
(ながめては またせんていの ひよりかな)
※柿の木も若芽が出てきた。当家で図抜けて遅
いのはぶどうだ。剪定は一応終えているので
格子のバーに誘引する。これもYouTubeで学
習したから方法は進化したはずだ。
ところが剪定のやり残しが多く見つかる。や
っぱり杜撰だな。
4/4mon
花冷えや 親のビデオの 仕舞い方
(はなびえや おやのびでおの しまいかた)
※生前の両親を撮影したビデオが結構ある。い
ずれもちゃんと編集整理したものだ。他のメ
ディアは散逸しても一向に構わないが、これ
だけは親の面影を残す唯一のものであり、大
げさだが墓をどう整理して後につなぐかを考
えるのと同じ心境だ。
4/3sun
蝉貰う人 喜寿となる 連翹忌
(せみもらうひと きじゅとなる れんぎょうき)
※4月2日は高村光太郎の命日。連翹忌という。
30年ほども前の出張の帰りに、友人と花巻市
郊外の高村光太郎旧居を訪れた。辺り一面深い
雪が積もっていて、今のように保存のための上
屋がなかった旧居は見るからに粗末で寒く、す
き間から雪原が覗けた。戦後すぐに、宮沢賢治
の縁繋がりでこの地を選び、隠れ住むように囲
炉裏に坐して自戒自省の数年を過ごした。
近くに農家はない、地元の人とも交わりを避
けていた。例外は村の子供たちで交遊があった
とか。特に花巻まで買い出しに行ってもどる光
太郎から飴玉を貰うのが楽しみだったと言う。
小さな彫り物を貰うこともあったとか。当時の
子供の一人が、たまたま我々が利用したバスの
運転手だった。発車時刻までの生き証人?の話。
4/2sat
ジャカランダ
ホウオウボクになに 四月バカ
(じゃからんだ ほうおうぼくになに しがつばか)
※熱帯三大花樹のことを言っている。もう一つは
アフリカン・チューリップ・ツリー。別名カエ
ンボク。日本でいうチューリップツリー(別名
半纏の木)とは似ても似つかぬが。
友人撮影の写真が載る蝶のカレンダー、4月は
ホウオウボクの真っ赤な花、花、花に憩うヘレ
ナキシタアゲハ。
4/1fri
柳芽吹く 根岸の里の くねり道
(やなぎめぶく ねぎしのさとの くねりみち)
※都心を歩く会は中断して久しい。遠慮のない友
人と連れ立っての歩き会は実に楽しいものだっ
た。子規庵を訪ねたあと根岸の古い道を辿ると
青々とした柳並木の道があった。5年ほども前
になる。季節は違うが光景がよみがえる。今は
子規庵も閉鎖中と聞いた。
ダクタク句集2022年(令和4年)3月 [ダクタク2022年3月]
3/31thu
春に惑う 田舎住まいと 街住まい
(はるにまどう いなかずまいと まちずまい)
※コロナ禍で「なにがなんでも都会で」という考
えが見直されているという。もっと積極的に首
都東京と東京圏の規模縮小を図るべきだと思う。
事が起こったときに今の首都圏はゆとりが無さ
過ぎるからだ。しかし・・・
折しもこの週末、目黒川花見と会食の席に誘わ
れた。即刻OK、久しぶりに歩きたい。いや、
やめとけ。やっぱり惑う。
3/30wed
紫雲英田は みちのくにあり トラクター
(げんげだは みちのくにあり とらくたー)
※ようやく田んぼに人の動きが見えた。これから
春耕というか、4月中旬以降の田植えに向けた
耕しが始まる。間に合うのかなと心配になる。
3/29tue
落ち雲雀 見失うほど 草はなし
(おちひばり みうしなうほど くさはなし)
※雲雀は地方によっては姿を消したところもある
とか。ふんだんに見れる当地のアリガタミを再
認識。とはいえ、高速道路の騒音がなかった頃
はさらに格段に良かったのだが。
3/28mon
花曇り 夕餉の好み 尋ねらる
(はなぐもり ゆうげのこのみ たずねらる)
※ご飯のおかずを言い合っているとはなんと平和
ボケで、能天気なことか!と一喝されそうな塩
梅だ。まあ、いいではないか。・・・ちゃんと
ニュースは見ているし。
3/27sun
釘付けは 一人静よ 露天風呂
(くぎづけは ひとりしずかよ ろてんぶろ)
※午後になって雨模様だが気温は下がらない。当
家の桃の花は一気に開く。陽光桜、ソメイヨシ
ノ、桃、プラムなどの開花順はどうであったか、
記憶も曖昧になってしまった。
3/26sat
花種の 名を書く木札 二つ三つ
(はなだねの なをかくきふだ ふたつみつ)
※彼岸中には寒い日の戻りがあるというが、明け
て暖かさが戻ってきた。
春光や かおり貴き 娘あり
(しゅんこうや かおりとうとき むすめあり)
※初秋の9月に上総の国から京に向け、家族と旅
立った娘がいた。菅原孝標の娘13歳である。
この娘、源氏物語に憧れている更級日記の主役。
1020年のこと。ざっと1000年も前の話。
3/24thu
忘るるな メールで頼む さくら餅
(わするるな めーるでたのむ さくらもち)
花を見て より費やせり 御徒町
(はなをみて よりついやせり おかちまち)
※我が家のモモより早く開花したサクラも寒さで
もたもたしている。さて今日は?
3/22tue
春の雲 リルケ詩集の一個でも
(はるのくもりるけししゅうのいっこでも)
敦子女史 鴎外読めと言われ春
(あつこじょしおうがいよめといわれはる)
※春夏秋冬、読書の進まぬ理由をあれこれと並べ
る。今は眠気。
尾崎喜八「音楽への愛と感謝」(平凡社ライブ
ラリー)、著者は昔から尊敬する神様のような
人。怠る理由も許してくれる。
3/21mon
彼岸会も行った気になり庭の隅
(ひがんえもいったきになりにわのすみ)
山茱萸やウィルスいずれと思わしむ
(さんしゅゆやうぃるすいずれとおもわしむ)
※山間部に入ったところに山茱萸が咲き誇ってい
る里を見た。早春の花だが家の周囲では見かけ
ない。別名でハルコガネバナとか、幸運をもた
らすといい。
3/20sun
連翹や 登校の列より高く
(れんぎょうや とうこうのれつよりたかく)
連翹や 家建たぬ地の 主のごと
(れんぎょうや いえたたぬちの ぬしのごと)
3/19sat
落ち雲雀 見失わずに 草の陰
(おちひばり みうしなわずに くさのかげ)
今ならば 濃き草餅と 称えんが
(いまならば こきくさもちと たたえんが)
※母の草餅はヨモギが自ら選んで採集したものだ
けに草のにおい芬々で、子供の時分においしい
と言った記憶がない。
3/18fri
春眠や害鳥駆除のふれ聞こゆ
(しゅんみんやがいちょうくじょのふれきこゆ)
※曜日を決めて春秋に行う農村、野山での駆除。
害獣が対象の場合もある。猟銃を用いるのでオ
ダヤカではないが、実施反対派ではない。
3/17thu
涅槃会は 行けずに朝の まぼろしに
(ねはんえは いけずにあさの まぼろしに)
西行忌 彷徨ふ外の 兵ありて
(さいぎょうき さまよふとつの へいありて)
※旧暦2月15日は釈迦入滅の日。今年は中止。
西行はこの日にサクラの散る中で死にたいと歌
に詠み、何度も言っていたとか。なんと実際に
は翌日の16に亡くなった。
3/16wed
鳥曇り 北に平和を 言伝り
(とりぐもり きたにへいわを ことづてり)
※北に帰る準備に余念がない鴨たちに、せめても
のメッセージを託したつもり。
妻は日々 桃の蕾を 測りおり
(つまはひび もものつぼみを はかりおり)
※桃の開花の前にサクラが咲いてしまうのでは?
3/15tue
遅れ来し ラッパスイセン 仄かなり
(おくれきし らっぱすいせん ほのかなり)
※昨日の異常な暑さは植物に強烈な一撃になった
ようだ。圧巻は近所のふくらみかけた開花前の
木蓮が一日で全部開いたこと。見事を通り越し
て変身だ。脚色された舞台のよう。
3/14mon
子をなして 大事らくらく 嫁の春
(こをなして だいじらくらく よめのはる)
※甥の娘が嫁ぎ先で出産した。幼いころから男顔
負けのやんちゃぶりだったが、なるほど安産だ
ったらしい。電話口でも元気いっぱいだった。
3/13sun
花辛夷 今年は畔を 厚くせん
(はなこぶし ことしはあぜを あつくせん)
※東北地方では辛夷の花は農作業開始の目印とか。
当地では早い所で4月中旬に田植えをする。も
う農作業は始まっている。頑丈そうな分厚い畔
作りも今は機械が行う。
3/12sat
辛夷咲く 今年ラッパは 先駆けず
(こぶしさく ことしらっぱは さきげけず)
※辛夷が咲き始めた。上にコブシ、地にラッパス
イセンというのが定番だったが、今年は違う。
2月の寒さのせいか?でもサクラは例年並みだ
という。丈の短い植物が深刻に寒さの被害に遭
ったのかな。
3/11fri
昼前に 鶯餅の 店の前
(ひるまえにうぐいすもちのみせのまえ)
七輪の 目刺しのコゲと においかな
(しちりんの めざしのこげと においかな)
3/10thu
赤ともる ギフチョウを見し 春の茶屋
(あかともる ぎふちょうをみし はるのちゃや)
※友人が写真と文を担当した全編蝶のカレンダー。
3月は草丈も短い繁みに憩うギフチョウである。
3/9wed
雛仕舞う 長持ちの蓋 ギーとなり
(ひなしまう ながもちのふた ぎーとなり)
※余裕を持って雛を飾り、雛祭りが過ぎたら、だ
らだらせずに仕舞う。いずれにも気を配るゆと
りがあったものだ。
3/8tue
春蘭や病疲れの口多し
(しゅんらんややまいづかれのくちおおし)
※元気な知人が一人、ガンを患っている。なお意
気軒高で治療を受けてきたが、なかなか良い結
果が得られない。さすがに表情に弱さが見られ
るようになった。それでも話は殆ど先方から。
3/7mon
戸惑いぬ 溢るるほどの ミモザ来る
(とまどいぬ あふるるほどの みもざくる)
花ミモザ 図書館に行く 道しるべ
(はなみもざ としょかんにいく みちしるべ)
※例年よりずっと遅いミモザ。今年木を小ぶりに
しようというお宅から大きなバケツいっぱいの
ミモザが届いた。
3/6sun
春の路地 母の友 奥に住みたり
(はるのろじ ははのとも おくにすみたり)
※春一番の風もおさまる。この陽気は昔々の季節
の光景を運んでくる。
3/5sat
蕗の薹 秘めたる場所の いい時分
(ふきのとう ひめたるばしょの いいじぶん)
※昨年はゆったり構えていて終盤の食べごろのヤ
ツをごっそりやられたっけ。この暖かさだ。油
断は出来ない。
3/4fri
ラインにて 妹が句を見る 春の夕
(らいんにて いもがくをみる はるのゆう)
牡丹の芽 見知らぬ人に 教えられ
(ぼたんのめ みしらぬひとに おしえられ)
※兄弟とラインで顔を見たり、句を交換したり、
とてもコロナ禍前にはなぜか恥ずかしくて出来
なかったことだ。かと思うと初めての人に牡丹
の芽の違いを教えられたり、思わぬ交流は以前
と同じ。
3/3thu
雛の家 馳走したため 夕餉かな
(ひなのいえ ちそうしたため ゆうげかな)
※正式にお客を招いて食事をふるまう時には、そ
れがお祝い事でも不祝儀例えば法事とかの場合
でも、ご馳走を予め筆で認め、客に供したもの
だ。洋の東西を越えて共通しているものらしい。
3/2wed
低山の遠きにて春平らかなり
(ていざんのとおきにてはるたいらかなり)
※山高きがゆえに貴からず。房総の山々に高山は
ないが、深い無数の地の皺、人の住む多くの山
並みを作っている。低きがゆえにゆったりとた
おやかに見えることもある。
3/1tue
鷽を見し今日暖かき日となれり
(うそをみし きょうあたたかきひとなれり)
※今朝我が庭の梅の木に「鷽うそ」を見た。確か
に。頭の黒色、それに続くオレンジ・・・間違
いない。留鳥で今頃は低地で過ごすとあるから、
間違いないのだが何せ現れることが少ない。自
信はあるのだが、哀しいかな、ド素人+門外漢
だ。しかし人には尋ねない。しばらくは信じる
ことにした。
春に惑う 田舎住まいと 街住まい
(はるにまどう いなかずまいと まちずまい)
※コロナ禍で「なにがなんでも都会で」という考
えが見直されているという。もっと積極的に首
都東京と東京圏の規模縮小を図るべきだと思う。
事が起こったときに今の首都圏はゆとりが無さ
過ぎるからだ。しかし・・・
折しもこの週末、目黒川花見と会食の席に誘わ
れた。即刻OK、久しぶりに歩きたい。いや、
やめとけ。やっぱり惑う。
3/30wed
紫雲英田は みちのくにあり トラクター
(げんげだは みちのくにあり とらくたー)
※ようやく田んぼに人の動きが見えた。これから
春耕というか、4月中旬以降の田植えに向けた
耕しが始まる。間に合うのかなと心配になる。
3/29tue
落ち雲雀 見失うほど 草はなし
(おちひばり みうしなうほど くさはなし)
※雲雀は地方によっては姿を消したところもある
とか。ふんだんに見れる当地のアリガタミを再
認識。とはいえ、高速道路の騒音がなかった頃
はさらに格段に良かったのだが。
3/28mon
花曇り 夕餉の好み 尋ねらる
(はなぐもり ゆうげのこのみ たずねらる)
※ご飯のおかずを言い合っているとはなんと平和
ボケで、能天気なことか!と一喝されそうな塩
梅だ。まあ、いいではないか。・・・ちゃんと
ニュースは見ているし。
3/27sun
釘付けは 一人静よ 露天風呂
(くぎづけは ひとりしずかよ ろてんぶろ)
※午後になって雨模様だが気温は下がらない。当
家の桃の花は一気に開く。陽光桜、ソメイヨシ
ノ、桃、プラムなどの開花順はどうであったか、
記憶も曖昧になってしまった。
3/26sat
花種の 名を書く木札 二つ三つ
(はなだねの なをかくきふだ ふたつみつ)
※彼岸中には寒い日の戻りがあるというが、明け
て暖かさが戻ってきた。
春光や かおり貴き 娘あり
(しゅんこうや かおりとうとき むすめあり)
※初秋の9月に上総の国から京に向け、家族と旅
立った娘がいた。菅原孝標の娘13歳である。
この娘、源氏物語に憧れている更級日記の主役。
1020年のこと。ざっと1000年も前の話。
3/24thu
忘るるな メールで頼む さくら餅
(わするるな めーるでたのむ さくらもち)
花を見て より費やせり 御徒町
(はなをみて よりついやせり おかちまち)
※我が家のモモより早く開花したサクラも寒さで
もたもたしている。さて今日は?
3/22tue
春の雲 リルケ詩集の一個でも
(はるのくもりるけししゅうのいっこでも)
敦子女史 鴎外読めと言われ春
(あつこじょしおうがいよめといわれはる)
※春夏秋冬、読書の進まぬ理由をあれこれと並べ
る。今は眠気。
尾崎喜八「音楽への愛と感謝」(平凡社ライブ
ラリー)、著者は昔から尊敬する神様のような
人。怠る理由も許してくれる。
3/21mon
彼岸会も行った気になり庭の隅
(ひがんえもいったきになりにわのすみ)
山茱萸やウィルスいずれと思わしむ
(さんしゅゆやうぃるすいずれとおもわしむ)
※山間部に入ったところに山茱萸が咲き誇ってい
る里を見た。早春の花だが家の周囲では見かけ
ない。別名でハルコガネバナとか、幸運をもた
らすといい。
3/20sun
連翹や 登校の列より高く
(れんぎょうや とうこうのれつよりたかく)
連翹や 家建たぬ地の 主のごと
(れんぎょうや いえたたぬちの ぬしのごと)
3/19sat
落ち雲雀 見失わずに 草の陰
(おちひばり みうしなわずに くさのかげ)
今ならば 濃き草餅と 称えんが
(いまならば こきくさもちと たたえんが)
※母の草餅はヨモギが自ら選んで採集したものだ
けに草のにおい芬々で、子供の時分においしい
と言った記憶がない。
3/18fri
春眠や害鳥駆除のふれ聞こゆ
(しゅんみんやがいちょうくじょのふれきこゆ)
※曜日を決めて春秋に行う農村、野山での駆除。
害獣が対象の場合もある。猟銃を用いるのでオ
ダヤカではないが、実施反対派ではない。
3/17thu
涅槃会は 行けずに朝の まぼろしに
(ねはんえは いけずにあさの まぼろしに)
西行忌 彷徨ふ外の 兵ありて
(さいぎょうき さまよふとつの へいありて)
※旧暦2月15日は釈迦入滅の日。今年は中止。
西行はこの日にサクラの散る中で死にたいと歌
に詠み、何度も言っていたとか。なんと実際に
は翌日の16に亡くなった。
3/16wed
鳥曇り 北に平和を 言伝り
(とりぐもり きたにへいわを ことづてり)
※北に帰る準備に余念がない鴨たちに、せめても
のメッセージを託したつもり。
妻は日々 桃の蕾を 測りおり
(つまはひび もものつぼみを はかりおり)
※桃の開花の前にサクラが咲いてしまうのでは?
3/15tue
遅れ来し ラッパスイセン 仄かなり
(おくれきし らっぱすいせん ほのかなり)
※昨日の異常な暑さは植物に強烈な一撃になった
ようだ。圧巻は近所のふくらみかけた開花前の
木蓮が一日で全部開いたこと。見事を通り越し
て変身だ。脚色された舞台のよう。
3/14mon
子をなして 大事らくらく 嫁の春
(こをなして だいじらくらく よめのはる)
※甥の娘が嫁ぎ先で出産した。幼いころから男顔
負けのやんちゃぶりだったが、なるほど安産だ
ったらしい。電話口でも元気いっぱいだった。
3/13sun
花辛夷 今年は畔を 厚くせん
(はなこぶし ことしはあぜを あつくせん)
※東北地方では辛夷の花は農作業開始の目印とか。
当地では早い所で4月中旬に田植えをする。も
う農作業は始まっている。頑丈そうな分厚い畔
作りも今は機械が行う。
3/12sat
辛夷咲く 今年ラッパは 先駆けず
(こぶしさく ことしらっぱは さきげけず)
※辛夷が咲き始めた。上にコブシ、地にラッパス
イセンというのが定番だったが、今年は違う。
2月の寒さのせいか?でもサクラは例年並みだ
という。丈の短い植物が深刻に寒さの被害に遭
ったのかな。
3/11fri
昼前に 鶯餅の 店の前
(ひるまえにうぐいすもちのみせのまえ)
七輪の 目刺しのコゲと においかな
(しちりんの めざしのこげと においかな)
3/10thu
赤ともる ギフチョウを見し 春の茶屋
(あかともる ぎふちょうをみし はるのちゃや)
※友人が写真と文を担当した全編蝶のカレンダー。
3月は草丈も短い繁みに憩うギフチョウである。
3/9wed
雛仕舞う 長持ちの蓋 ギーとなり
(ひなしまう ながもちのふた ぎーとなり)
※余裕を持って雛を飾り、雛祭りが過ぎたら、だ
らだらせずに仕舞う。いずれにも気を配るゆと
りがあったものだ。
3/8tue
春蘭や病疲れの口多し
(しゅんらんややまいづかれのくちおおし)
※元気な知人が一人、ガンを患っている。なお意
気軒高で治療を受けてきたが、なかなか良い結
果が得られない。さすがに表情に弱さが見られ
るようになった。それでも話は殆ど先方から。
3/7mon
戸惑いぬ 溢るるほどの ミモザ来る
(とまどいぬ あふるるほどの みもざくる)
花ミモザ 図書館に行く 道しるべ
(はなみもざ としょかんにいく みちしるべ)
※例年よりずっと遅いミモザ。今年木を小ぶりに
しようというお宅から大きなバケツいっぱいの
ミモザが届いた。
3/6sun
春の路地 母の友 奥に住みたり
(はるのろじ ははのとも おくにすみたり)
※春一番の風もおさまる。この陽気は昔々の季節
の光景を運んでくる。
3/5sat
蕗の薹 秘めたる場所の いい時分
(ふきのとう ひめたるばしょの いいじぶん)
※昨年はゆったり構えていて終盤の食べごろのヤ
ツをごっそりやられたっけ。この暖かさだ。油
断は出来ない。
3/4fri
ラインにて 妹が句を見る 春の夕
(らいんにて いもがくをみる はるのゆう)
牡丹の芽 見知らぬ人に 教えられ
(ぼたんのめ みしらぬひとに おしえられ)
※兄弟とラインで顔を見たり、句を交換したり、
とてもコロナ禍前にはなぜか恥ずかしくて出来
なかったことだ。かと思うと初めての人に牡丹
の芽の違いを教えられたり、思わぬ交流は以前
と同じ。
3/3thu
雛の家 馳走したため 夕餉かな
(ひなのいえ ちそうしたため ゆうげかな)
※正式にお客を招いて食事をふるまう時には、そ
れがお祝い事でも不祝儀例えば法事とかの場合
でも、ご馳走を予め筆で認め、客に供したもの
だ。洋の東西を越えて共通しているものらしい。
3/2wed
低山の遠きにて春平らかなり
(ていざんのとおきにてはるたいらかなり)
※山高きがゆえに貴からず。房総の山々に高山は
ないが、深い無数の地の皺、人の住む多くの山
並みを作っている。低きがゆえにゆったりとた
おやかに見えることもある。
3/1tue
鷽を見し今日暖かき日となれり
(うそをみし きょうあたたかきひとなれり)
※今朝我が庭の梅の木に「鷽うそ」を見た。確か
に。頭の黒色、それに続くオレンジ・・・間違
いない。留鳥で今頃は低地で過ごすとあるから、
間違いないのだが何せ現れることが少ない。自
信はあるのだが、哀しいかな、ド素人+門外漢
だ。しかし人には尋ねない。しばらくは信じる
ことにした。
ダクタク句集2022年(令和4年)2月 [ダクタク2022年2月]
2/28mon
西郷も 滴り弱き 春の雨
(さいごうも したたりよわき はるのあめ)
※今月は西郷輝彦が亡くなった。前立腺がんを患
っていたとか。合掌。多くのシニアが同じ道を
たどりつつある。小用は出るものの次第に弱く、
時間は長くなる。
2/27sun
移り紅 梅身を染めて 思い初む
(うつりべに うめみをそめて おもいそむ)
※梅の種類で移り紅というのは初め白で開花し、
次第に赤くなるらしい。2月の寒さ続きで梅の
開花は遅れていたが、この陽気で梅の恋が始ま
る?
草の芽の かすかな音の 続々と
(くさのめの かすかなおとの ぞくぞくと)
※球根類の芽出しが盛んだ。他の草花、雑草類も
一斉に地表に出るや、背を伸ばしている。
2/25fri
春の花 鬱なことども ともに増え
(はるのはな うつなことども ともにふえ)
※ウクライナ全土に。かの地の動向を日々記すこ
とはやめることとするが、どうにもこの鬱はや
るせない、見逃しがたい。
2/24thu
菠薐草 コロナ禍の年 青丈夫
(ほうれんそう ころなかのとし あおじょうぶ)
※昨日プーチンが動いた。
2/23wed
黒き幹 黒き節々 梅の花
(くろきみき くろきふしぶし うめのはな)
風の朝 初クロッカスの 地を割いて
(かぜのあさ はつくろっかすの ちをさいて)
2/22tue
看護師が 良く眠る夜 ヒヤシンス
(かんごしが よくねむるよる ひやしんす)
※都心で在宅医療の医院に勤務する親戚の娘が
帰ってきた。日頃心配し通しの親をよそ眼に、
実家での時間の大半をゆっくり眠って過ごし
たという。
2/21mon
全集に すき間のありて 漱石の日
(ぜんしゅうに すきまのありて そうせきのひ)
※今日2月21日は漱石が文部省から文学博士
の称号を打診され、肩書の要なしと回答して
辞退した日だとか。明治44年のこと。
2/20sun
旬の味 到着待てり 春灯り
(しゅんのあじ とうちゃくまてり はるあかり)
春の闇 再配達の 人の笑み
(はるのやみ さいはいたつの ひとのえみ)
※テレビの録画で「プレバト」を見た。お題は
「宅配の手渡し」であった。番組はいつもの
通りだったが、今回同じ題で自分も作ってみ
たのが上記の2句だ。いつも思っているが、
なかなか難しい、これだって「才能あり」は
難しかろうと思う。
2/18fri
電球に笠あり春に灯りあり
(でんきゅうにかさありはるにあかりあり)
※冷たい夕暮れ。近所の家に昔なじみの温かい
電球の灯りがともっている。昨今の明るいけ
れども真っ白な蛍光灯やLEDと違って、見て
いるだけで少しは温かくなってくる。
2/17thu
なすことのあれども春の朝寝かな
(なすことのあれどもはるのあさねかな)
遍路笠去年に廻りし人の笑み
(へんろがさこぞにまわりしひとのえみ)
※朝の夢うつつは値千金。日頃は犬の散歩で許
されないが、今朝だけは別。
友人の友人が四国遍路旅の話をしてくれた。
コロナ禍を思えば冒険と言うか一大決心であ
ったろう。彼に家族はいない。
2/15tue
房総の 光かくやと 春の海
(ぼうそうの ひかりかくやと はるのうみ)
※一年一回の脳MRI検査。昨日とは打って変わ
ってきれいに晴れ上がり、検査、診察後の展
望フロアからの景色が素晴らしい。やれやれ
また一年の命がつながった、と言えば大げさ
か?
2/14mon
ウクライナ 畑焼きしたき 人あらむ
(うくらいな はたやきしたき ひとあらん)
※今日一日は接種翌日とあって静養日。おかげ
で発熱、患部の疼痛、頭痛等は全くと言って
いいほどなかった。今回はモデルナ。
2/13sun
看護師の頬 冬残照の僅か
(かんごしの ほほ ふゆざんしょうのわずか)
※やっと3回目のワクチンを打った。周辺市町
村の知人よりはかなり遅め。4日前に接種券
が届いて、予約し、市の集中接種会場に行っ
た。かなり大勢の人がいた。医療関係の人が
言っていたが、遅れは明らかに接種券の配布
作業の遅れのせいだと。
2/11fri
剪定を 一日延ばす 余寒かな
(せんていを いちにちのばす よかんかな)
スコップも 農具も置いて 冴え返る
(すこっぷも のうぐもおいて さえかえる)
2/10thu
初午や 祠に餅の 紙包み
(はつうまや ほこらにもちの かみづつみ)
※農作業を始める日で、豊作を祈るお稲荷さん
のお祭り日とか。餅もそのままではなくて、
油で揚げたものだった。なるほどキツネ色だ。
2/9wed
針供養 和装で参る 生徒たち
(はりくよう わそうでまいる せいとたち)
※花嫁修業という言葉があった。生け花や茶道
は現在も盛んだが、めっきり姿を消したのは
洋裁、和裁の実用を兼ねた習い事。
2/8tue
マニキュアに選手の泪春灯り
(まにきゅあにせんしゅのなみだはるあかり)
※北京冬季五輪は悲喜こもごもの報道あり。
2/7mon
寝違えて 寒き春のみ 他見えず
(ねちがえて さむきはるのみ ほかみえず)
春嵐 ポンペイ見たし 上野は遠し
(はるあらし ぽんぺいみたし うえのはとおし)
※ポンペイレッドと呼ばれる色が印象的なモザ
イク画。関西の粋な日本家屋の壁色にも似た
色だ。
2/5sat
うかれ猫 続きし会は 画面越し
(うかれねこ つづきしかいは がめんごし)
※テレワークとかが普通になった今、積極的に
これを仲間内で活用する輩もいる。突如テレ
読書会をやろうとか、昔の同僚のテレビ顔合
わせをしようとか・・・。まあお断り。
テレビ飲み会に至っては仲間から「そのうち
春になったら」と遠ざけられたのにも拘わら
ず、立春のその日に呼びかけメールが再び舞
い込んだ。やれやれ・・・。
2/4fri
施設あり節分の声声続き
(しせつあり せつぶんのこえごえつづき)
春立ちて 咽喉を撫でさす 猫のおり
(はるたちて のどをなでさす ねこのおり)
2/2wed
冷蔵庫 朝に頓死す 春隣り
(れいぞうこ あさにとんしす はるどなり)
みぞれ日に 市原悦子の 声ありて
(みぞれびに いちはらえつこの こえありて)
※長いこと使ったものは不思議なことに同じよ
うな時期に更新時期が舞い込む。クルマも冷
蔵庫も・・・、心臓も消化器も・・・とかに
はならないようにしなくては。
2/1tue
大寒の地をはむ妻の新車赤
(だいかんのちをはむ つまのしんしゃあか)
※随分待たされた納車日が訪れた。今までのク
ルマとは年次が離れているので、安全機構や
ナビ、操作方法に至るまでかなり変化があり、
面食らっている。当家のクルマ使用と運転は
殆どが家内だが、慣れるまでは助け合いだ。
西郷も 滴り弱き 春の雨
(さいごうも したたりよわき はるのあめ)
※今月は西郷輝彦が亡くなった。前立腺がんを患
っていたとか。合掌。多くのシニアが同じ道を
たどりつつある。小用は出るものの次第に弱く、
時間は長くなる。
2/27sun
移り紅 梅身を染めて 思い初む
(うつりべに うめみをそめて おもいそむ)
※梅の種類で移り紅というのは初め白で開花し、
次第に赤くなるらしい。2月の寒さ続きで梅の
開花は遅れていたが、この陽気で梅の恋が始ま
る?
草の芽の かすかな音の 続々と
(くさのめの かすかなおとの ぞくぞくと)
※球根類の芽出しが盛んだ。他の草花、雑草類も
一斉に地表に出るや、背を伸ばしている。
2/25fri
春の花 鬱なことども ともに増え
(はるのはな うつなことども ともにふえ)
※ウクライナ全土に。かの地の動向を日々記すこ
とはやめることとするが、どうにもこの鬱はや
るせない、見逃しがたい。
2/24thu
菠薐草 コロナ禍の年 青丈夫
(ほうれんそう ころなかのとし あおじょうぶ)
※昨日プーチンが動いた。
2/23wed
黒き幹 黒き節々 梅の花
(くろきみき くろきふしぶし うめのはな)
風の朝 初クロッカスの 地を割いて
(かぜのあさ はつくろっかすの ちをさいて)
2/22tue
看護師が 良く眠る夜 ヒヤシンス
(かんごしが よくねむるよる ひやしんす)
※都心で在宅医療の医院に勤務する親戚の娘が
帰ってきた。日頃心配し通しの親をよそ眼に、
実家での時間の大半をゆっくり眠って過ごし
たという。
2/21mon
全集に すき間のありて 漱石の日
(ぜんしゅうに すきまのありて そうせきのひ)
※今日2月21日は漱石が文部省から文学博士
の称号を打診され、肩書の要なしと回答して
辞退した日だとか。明治44年のこと。
2/20sun
旬の味 到着待てり 春灯り
(しゅんのあじ とうちゃくまてり はるあかり)
春の闇 再配達の 人の笑み
(はるのやみ さいはいたつの ひとのえみ)
※テレビの録画で「プレバト」を見た。お題は
「宅配の手渡し」であった。番組はいつもの
通りだったが、今回同じ題で自分も作ってみ
たのが上記の2句だ。いつも思っているが、
なかなか難しい、これだって「才能あり」は
難しかろうと思う。
2/18fri
電球に笠あり春に灯りあり
(でんきゅうにかさありはるにあかりあり)
※冷たい夕暮れ。近所の家に昔なじみの温かい
電球の灯りがともっている。昨今の明るいけ
れども真っ白な蛍光灯やLEDと違って、見て
いるだけで少しは温かくなってくる。
2/17thu
なすことのあれども春の朝寝かな
(なすことのあれどもはるのあさねかな)
遍路笠去年に廻りし人の笑み
(へんろがさこぞにまわりしひとのえみ)
※朝の夢うつつは値千金。日頃は犬の散歩で許
されないが、今朝だけは別。
友人の友人が四国遍路旅の話をしてくれた。
コロナ禍を思えば冒険と言うか一大決心であ
ったろう。彼に家族はいない。
2/15tue
房総の 光かくやと 春の海
(ぼうそうの ひかりかくやと はるのうみ)
※一年一回の脳MRI検査。昨日とは打って変わ
ってきれいに晴れ上がり、検査、診察後の展
望フロアからの景色が素晴らしい。やれやれ
また一年の命がつながった、と言えば大げさ
か?
2/14mon
ウクライナ 畑焼きしたき 人あらむ
(うくらいな はたやきしたき ひとあらん)
※今日一日は接種翌日とあって静養日。おかげ
で発熱、患部の疼痛、頭痛等は全くと言って
いいほどなかった。今回はモデルナ。
2/13sun
看護師の頬 冬残照の僅か
(かんごしの ほほ ふゆざんしょうのわずか)
※やっと3回目のワクチンを打った。周辺市町
村の知人よりはかなり遅め。4日前に接種券
が届いて、予約し、市の集中接種会場に行っ
た。かなり大勢の人がいた。医療関係の人が
言っていたが、遅れは明らかに接種券の配布
作業の遅れのせいだと。
2/11fri
剪定を 一日延ばす 余寒かな
(せんていを いちにちのばす よかんかな)
スコップも 農具も置いて 冴え返る
(すこっぷも のうぐもおいて さえかえる)
2/10thu
初午や 祠に餅の 紙包み
(はつうまや ほこらにもちの かみづつみ)
※農作業を始める日で、豊作を祈るお稲荷さん
のお祭り日とか。餅もそのままではなくて、
油で揚げたものだった。なるほどキツネ色だ。
2/9wed
針供養 和装で参る 生徒たち
(はりくよう わそうでまいる せいとたち)
※花嫁修業という言葉があった。生け花や茶道
は現在も盛んだが、めっきり姿を消したのは
洋裁、和裁の実用を兼ねた習い事。
2/8tue
マニキュアに選手の泪春灯り
(まにきゅあにせんしゅのなみだはるあかり)
※北京冬季五輪は悲喜こもごもの報道あり。
2/7mon
寝違えて 寒き春のみ 他見えず
(ねちがえて さむきはるのみ ほかみえず)
春嵐 ポンペイ見たし 上野は遠し
(はるあらし ぽんぺいみたし うえのはとおし)
※ポンペイレッドと呼ばれる色が印象的なモザ
イク画。関西の粋な日本家屋の壁色にも似た
色だ。
2/5sat
うかれ猫 続きし会は 画面越し
(うかれねこ つづきしかいは がめんごし)
※テレワークとかが普通になった今、積極的に
これを仲間内で活用する輩もいる。突如テレ
読書会をやろうとか、昔の同僚のテレビ顔合
わせをしようとか・・・。まあお断り。
テレビ飲み会に至っては仲間から「そのうち
春になったら」と遠ざけられたのにも拘わら
ず、立春のその日に呼びかけメールが再び舞
い込んだ。やれやれ・・・。
2/4fri
施設あり節分の声声続き
(しせつあり せつぶんのこえごえつづき)
春立ちて 咽喉を撫でさす 猫のおり
(はるたちて のどをなでさす ねこのおり)
2/2wed
冷蔵庫 朝に頓死す 春隣り
(れいぞうこ あさにとんしす はるどなり)
みぞれ日に 市原悦子の 声ありて
(みぞれびに いちはらえつこの こえありて)
※長いこと使ったものは不思議なことに同じよ
うな時期に更新時期が舞い込む。クルマも冷
蔵庫も・・・、心臓も消化器も・・・とかに
はならないようにしなくては。
2/1tue
大寒の地をはむ妻の新車赤
(だいかんのちをはむ つまのしんしゃあか)
※随分待たされた納車日が訪れた。今までのク
ルマとは年次が離れているので、安全機構や
ナビ、操作方法に至るまでかなり変化があり、
面食らっている。当家のクルマ使用と運転は
殆どが家内だが、慣れるまでは助け合いだ。
ダクタク句集2022年(令和4年)1月 [ダクタク2022年1月]
1/30sun
蠟梅の寺は散歩に遠くなり
(ろうばいのてらはさんぽにとおくなり)
※片道4千歩近くの寺まで、久しぶりに今回は
クルマで赴いた。かすかだが馥郁とした香り
が漂っていた。以前は毎朝この近くまで歩い
て、帰路も徒歩だった。ところが歳だからと、
大して意識もせずに次第に歩数が減少してい
る。・・・歳と身体のいたわり過ぎかも。
1/29sat
春近し 仏頂面の 料理かな
(はるちかし ぶっちょうづらの りょうりかな)
※なんとなく春の兆しを追い求める気持ちがあ
る。確実な暦の展開をあてにしている。どこ
かでオミクロンの性状に気を許してるのかも
知れないが。
1/28fri
疎開知る 着ぶくれの人 門の内
(そかいしる きぶくれのひと もんのうち)
葬場の閉めたる広さ寒夜かな
(そうじょうのしめたるひろさかんやかな)
1/27thu
野水仙 はためくほどの 風となり
(のすいせん はためくほどの かぜとなり)
鉄火丼 どんと来たりて 寒四郎
(てっかどん どんときたりて かんしろう)
※世の中の活気という意味では否応なしの右往
左往、長い様子見だ。超越?至難の業だ。
1/24mon
三寒の膝粘り切り四温かな
(さんかんのひざねばりきりしおんかな)
動画が師 剪定すれば 春近し
(どうががし せんていすれば はるちかし)
※寒中冬籠りとは言え、コロナ禍対策としてで
あり、気分的には落ち着かない日々だ。読書
も切れ目だし、夢枕獏「白鯨」を読み始める。
アノ「白鯨」と較べれば超読みやすいが、
500頁超の厚さだ。
1/23sun
冬ざれや 故郷の大津絵 耳の底
(ふゆざれや くにのおおつえ みみのそこ)
※実に約60年ぶりに会津大津絵という民謡を
聞いた。祖母の小声の歌を聞いた時以来かも。
いくつもの曲がある中で、地味な曲調と戊辰
戦役とその後の暮らしをうたった歌詞は切々
と訴えるものがある。
1/21fri
新しき 回線通じ 今日大寒
(あたらしき かいせんつうじ きょうだいかん)
怒髪立つも 外の寒気で 鎮まれり
(どはつたつも そとのかんきで しずまれり)
※インターネット、光電話等の契約先を変更し
た。昨年の11月以来やっと全ての工事や手
続きが終了した。
1/20thu
蔵壁に 鴉の影が 日脚伸ぶ
(くらかべに からすのかげが ひあしのぶ)
※大寒の日。さすがに日没後は冷える。しかし
冬至から一カ月近くたって、夕方の定刻に出
かけると確実に明るくなってきている。冷え
てもアッタカイ感じだ。その足は鈍いが。
1/19wed
寒稽古 青の絵の具で 始め見ん
(かんげいこ あおのえのぐで はじめみん)
※千葉県も近く「蔓延防止」対象地域に指定さ
れる。絵画教室も今回で暫くは休止となる。
今年最初の会は季語「寒稽古」に当たるが、
絵の出来は並み。
1/18tue
軒めぐり どんどの藁を 給いたり
(のきめぐり どんどのわらを たまいたり)
※どんど焼きが近くの田んぼで町内ごとに行わ
れた。それに先立って子供たちは、風の吹く
寒い日に町内の商店などを回り、大声で藁を
出してもらった。あの頃の梱包の多くは稲わ
ら製の筵だった。
1/17mon
冬の虹告げ丁重な礼言われ
(ふゆのにじつげていちょうなれいいわれ)
この冬は 筆の遅きが さらになり
(このふゆは ふでのおそきが さらになり)
※何年か前から起こった手の強張り。やさしく
握って書く字がままならない。強張ってペン
先が暴走することもしばしば。それを避けよ
うとゆっくり、軽く・・・結果遅くなる。
1/16sun
寒寝床 本持つ指の 頼りなき
(かんねどこ ほんもつゆびの たよりなき)
※当地温暖ではあるが、エアコンなしの部屋の
未明はさすがにこたえる。「指出し手袋」の
出動も指先や腕全体の冷えにはかなわない。
1/15sat
ウィスキーの 新瓶となり 小正月
(うぃすきーの しんびんとなり こしょうがつ)
※小正月なんて一般家庭では半ば死語。小豆粥
とかどんど焼きとか遥か子供時代にははっき
り残っていたが。
1/14fri
雪の道 おすそ分けとて 姪来たる
(ゆきのみち おすそわけとて めいきたる)
※いただいたカステラがすごくおいしかったか
らと言う。2切れだけだけど、それで十分。
1/13thu
ツィッターも ラインも如かず 冬静寂
(つぃったーも らいんもしかず ふゆしじま)
※冷えたが穏やかに晴れ上がる。この静寂の魅
力に対抗できる音は? 主張と騒音のSMS、
ウィルス禍の激しい噂。・・・。
1/12wed
褞袍てふ 便利はなくて 読書かな
(どてらちょう べんりはなくて どくしょかな)
※椅子に座っても寝っ転がっても、上半身と手
元指先が寒い。ドテラとかワタイレとかが懐
かしい。ヒートテックとかではなくて。
1/11tue
布団干す狭くて二枚ばかりなり
(ふとんほすせまくてにまいばかりなり)
※男が設計した家は家事には不向きと、とかく
の不平には慣れているが、寒中の晴れ間に布
団を干そうとして今更自分でも実感。
1/10mon
寒中は 空のみの野の いとどなり
(かんちゅうは そらのみののの いとどなり)
目方増え 医師に年賀の 声低く
(めかたふえ いしにねんがの こえひくく)
※ここ7,8年安定していた体重が怪しい動き
を見せている。想定範囲をこの半月ほど飛び
ぬけている。一足早く緊急事態宣言発出か。
1/9sun
着ぶくれて 北の民話を 繰り出せり
(きぶくれて きたのみんわを くりだせり)
正月や 突然友の 顔と声
(しょうがつや とつぜんともの かおとこえ)
※おそるおそるLineで友達を増やす。思わぬと
ころで友人とテレビ電話で話した。テレワー
クとかテレビ会議とか世の中では盛んだが、
遅ればせながら。
1/8sat
緩斜面 ゆっくり滑るを 夢に見し
(かんしゃめん ゆっくりすべるを ゆめにみし)
初夢や 主席を好きに 握手せり
(はつゆめや しゅせきをすきに あくしゅせり)
※日頃の思いとは別に、いざ対面すると興奮し
て握手までしてしまう。目覚めて醜態とは思
うのだが。ホンマモノの外交もこうした、イ
デオロギー・安保・経済上の便益・歴史など
・・・複雑なファクターを内包しつつ、目先
の国益で動いてしまう。こんなことがあるの
では?
1/7fri
南房総の雪 子供連れ立ち
(みなみぼうそうのゆき こどもつれだち)
街灯の下に 無限の雪降りて
(がいとうのしたに むげんのゆきふりて)
寒の夜 根雪になれと 思いしも
(かんのよる ねゆきになれと おもいしも)
氷砕く クルマの音や 寒椿
(こおりさく くるまのおとや かんつばき)
※雪国生まれの小生にとって昨日の大雪は予想
外の吉事。雪が降りしきる時の吸音するかの
ような静寂を雪が上がった未明から今朝まで
感じていた。満足。
1/6thu
着ぶくれて 道守る人 旗持てり
(きぶくれて みちまもるひと はたもてり)
※普段の暮らしが始まった。通勤、工事・・・
と周囲を見ていたら、雪が降ってきた。見る
見る積もってきた。降り止まぬ。びっくり。
新年にドクター✕を待つ祈り
(しんねんにどくたーえくすをまついのり)
1/5wed
寒の入り 寝床の日記の 行僅か
(かんのいり ねどこのにっきの ぎょうわずか)
※三が日はすうーと過ぎ、早や今日は寒の入り。
寝床の腕、指は防寒対策を施しているが、さ
すがにそれでも冷たい。就寝は素早く、払暁
はゆっくりと・・・このパターンは抜け出せ
そうにない。
1/4tue
冬茜 坂の途中の 家なりき
(ふゆあかね さかのとちゅうの いえなりき)
※都心住まいの頃の通勤路が不思議と印象深い。
中でも毎日上り下りした坂道は四季の光景が
焼き付いている。
1/3mon
万両や 我が時代に 歌ありて
(まんりょうや わがじだいに うたありて)
※紅白歌合戦の歌にしても、現代の若い人々は
歌、楽曲に本当に恵まれているのだろうか?
と素直な疑念あり。今メディアの多様化の割
にその幅は狭いのでは? 拡散はするが模倣
と好みの境は漠としている。
1/1sat
元朝の 踏切の音 まっすぐ来
(がんちょうの ふみきりのおと まっすぐく)
元日や 妻は普段の 電話をし
(がんじつや つまはふだんの でんわをし)
※犬の散歩に盆も正月もない。ゆっくり帰って
きたら姪夫婦の年賀の来訪。嬉しいスタート。
蠟梅の寺は散歩に遠くなり
(ろうばいのてらはさんぽにとおくなり)
※片道4千歩近くの寺まで、久しぶりに今回は
クルマで赴いた。かすかだが馥郁とした香り
が漂っていた。以前は毎朝この近くまで歩い
て、帰路も徒歩だった。ところが歳だからと、
大して意識もせずに次第に歩数が減少してい
る。・・・歳と身体のいたわり過ぎかも。
1/29sat
春近し 仏頂面の 料理かな
(はるちかし ぶっちょうづらの りょうりかな)
※なんとなく春の兆しを追い求める気持ちがあ
る。確実な暦の展開をあてにしている。どこ
かでオミクロンの性状に気を許してるのかも
知れないが。
1/28fri
疎開知る 着ぶくれの人 門の内
(そかいしる きぶくれのひと もんのうち)
葬場の閉めたる広さ寒夜かな
(そうじょうのしめたるひろさかんやかな)
1/27thu
野水仙 はためくほどの 風となり
(のすいせん はためくほどの かぜとなり)
鉄火丼 どんと来たりて 寒四郎
(てっかどん どんときたりて かんしろう)
※世の中の活気という意味では否応なしの右往
左往、長い様子見だ。超越?至難の業だ。
1/24mon
三寒の膝粘り切り四温かな
(さんかんのひざねばりきりしおんかな)
動画が師 剪定すれば 春近し
(どうががし せんていすれば はるちかし)
※寒中冬籠りとは言え、コロナ禍対策としてで
あり、気分的には落ち着かない日々だ。読書
も切れ目だし、夢枕獏「白鯨」を読み始める。
アノ「白鯨」と較べれば超読みやすいが、
500頁超の厚さだ。
1/23sun
冬ざれや 故郷の大津絵 耳の底
(ふゆざれや くにのおおつえ みみのそこ)
※実に約60年ぶりに会津大津絵という民謡を
聞いた。祖母の小声の歌を聞いた時以来かも。
いくつもの曲がある中で、地味な曲調と戊辰
戦役とその後の暮らしをうたった歌詞は切々
と訴えるものがある。
1/21fri
新しき 回線通じ 今日大寒
(あたらしき かいせんつうじ きょうだいかん)
怒髪立つも 外の寒気で 鎮まれり
(どはつたつも そとのかんきで しずまれり)
※インターネット、光電話等の契約先を変更し
た。昨年の11月以来やっと全ての工事や手
続きが終了した。
1/20thu
蔵壁に 鴉の影が 日脚伸ぶ
(くらかべに からすのかげが ひあしのぶ)
※大寒の日。さすがに日没後は冷える。しかし
冬至から一カ月近くたって、夕方の定刻に出
かけると確実に明るくなってきている。冷え
てもアッタカイ感じだ。その足は鈍いが。
1/19wed
寒稽古 青の絵の具で 始め見ん
(かんげいこ あおのえのぐで はじめみん)
※千葉県も近く「蔓延防止」対象地域に指定さ
れる。絵画教室も今回で暫くは休止となる。
今年最初の会は季語「寒稽古」に当たるが、
絵の出来は並み。
1/18tue
軒めぐり どんどの藁を 給いたり
(のきめぐり どんどのわらを たまいたり)
※どんど焼きが近くの田んぼで町内ごとに行わ
れた。それに先立って子供たちは、風の吹く
寒い日に町内の商店などを回り、大声で藁を
出してもらった。あの頃の梱包の多くは稲わ
ら製の筵だった。
1/17mon
冬の虹告げ丁重な礼言われ
(ふゆのにじつげていちょうなれいいわれ)
この冬は 筆の遅きが さらになり
(このふゆは ふでのおそきが さらになり)
※何年か前から起こった手の強張り。やさしく
握って書く字がままならない。強張ってペン
先が暴走することもしばしば。それを避けよ
うとゆっくり、軽く・・・結果遅くなる。
1/16sun
寒寝床 本持つ指の 頼りなき
(かんねどこ ほんもつゆびの たよりなき)
※当地温暖ではあるが、エアコンなしの部屋の
未明はさすがにこたえる。「指出し手袋」の
出動も指先や腕全体の冷えにはかなわない。
1/15sat
ウィスキーの 新瓶となり 小正月
(うぃすきーの しんびんとなり こしょうがつ)
※小正月なんて一般家庭では半ば死語。小豆粥
とかどんど焼きとか遥か子供時代にははっき
り残っていたが。
1/14fri
雪の道 おすそ分けとて 姪来たる
(ゆきのみち おすそわけとて めいきたる)
※いただいたカステラがすごくおいしかったか
らと言う。2切れだけだけど、それで十分。
1/13thu
ツィッターも ラインも如かず 冬静寂
(つぃったーも らいんもしかず ふゆしじま)
※冷えたが穏やかに晴れ上がる。この静寂の魅
力に対抗できる音は? 主張と騒音のSMS、
ウィルス禍の激しい噂。・・・。
1/12wed
褞袍てふ 便利はなくて 読書かな
(どてらちょう べんりはなくて どくしょかな)
※椅子に座っても寝っ転がっても、上半身と手
元指先が寒い。ドテラとかワタイレとかが懐
かしい。ヒートテックとかではなくて。
1/11tue
布団干す狭くて二枚ばかりなり
(ふとんほすせまくてにまいばかりなり)
※男が設計した家は家事には不向きと、とかく
の不平には慣れているが、寒中の晴れ間に布
団を干そうとして今更自分でも実感。
1/10mon
寒中は 空のみの野の いとどなり
(かんちゅうは そらのみののの いとどなり)
目方増え 医師に年賀の 声低く
(めかたふえ いしにねんがの こえひくく)
※ここ7,8年安定していた体重が怪しい動き
を見せている。想定範囲をこの半月ほど飛び
ぬけている。一足早く緊急事態宣言発出か。
1/9sun
着ぶくれて 北の民話を 繰り出せり
(きぶくれて きたのみんわを くりだせり)
正月や 突然友の 顔と声
(しょうがつや とつぜんともの かおとこえ)
※おそるおそるLineで友達を増やす。思わぬと
ころで友人とテレビ電話で話した。テレワー
クとかテレビ会議とか世の中では盛んだが、
遅ればせながら。
1/8sat
緩斜面 ゆっくり滑るを 夢に見し
(かんしゃめん ゆっくりすべるを ゆめにみし)
初夢や 主席を好きに 握手せり
(はつゆめや しゅせきをすきに あくしゅせり)
※日頃の思いとは別に、いざ対面すると興奮し
て握手までしてしまう。目覚めて醜態とは思
うのだが。ホンマモノの外交もこうした、イ
デオロギー・安保・経済上の便益・歴史など
・・・複雑なファクターを内包しつつ、目先
の国益で動いてしまう。こんなことがあるの
では?
1/7fri
南房総の雪 子供連れ立ち
(みなみぼうそうのゆき こどもつれだち)
街灯の下に 無限の雪降りて
(がいとうのしたに むげんのゆきふりて)
寒の夜 根雪になれと 思いしも
(かんのよる ねゆきになれと おもいしも)
氷砕く クルマの音や 寒椿
(こおりさく くるまのおとや かんつばき)
※雪国生まれの小生にとって昨日の大雪は予想
外の吉事。雪が降りしきる時の吸音するかの
ような静寂を雪が上がった未明から今朝まで
感じていた。満足。
1/6thu
着ぶくれて 道守る人 旗持てり
(きぶくれて みちまもるひと はたもてり)
※普段の暮らしが始まった。通勤、工事・・・
と周囲を見ていたら、雪が降ってきた。見る
見る積もってきた。降り止まぬ。びっくり。
新年にドクター✕を待つ祈り
(しんねんにどくたーえくすをまついのり)
1/5wed
寒の入り 寝床の日記の 行僅か
(かんのいり ねどこのにっきの ぎょうわずか)
※三が日はすうーと過ぎ、早や今日は寒の入り。
寝床の腕、指は防寒対策を施しているが、さ
すがにそれでも冷たい。就寝は素早く、払暁
はゆっくりと・・・このパターンは抜け出せ
そうにない。
1/4tue
冬茜 坂の途中の 家なりき
(ふゆあかね さかのとちゅうの いえなりき)
※都心住まいの頃の通勤路が不思議と印象深い。
中でも毎日上り下りした坂道は四季の光景が
焼き付いている。
1/3mon
万両や 我が時代に 歌ありて
(まんりょうや わがじだいに うたありて)
※紅白歌合戦の歌にしても、現代の若い人々は
歌、楽曲に本当に恵まれているのだろうか?
と素直な疑念あり。今メディアの多様化の割
にその幅は狭いのでは? 拡散はするが模倣
と好みの境は漠としている。
1/1sat
元朝の 踏切の音 まっすぐ来
(がんちょうの ふみきりのおと まっすぐく)
元日や 妻は普段の 電話をし
(がんじつや つまはふだんの でんわをし)
※犬の散歩に盆も正月もない。ゆっくり帰って
きたら姪夫婦の年賀の来訪。嬉しいスタート。
ダクタク句集2021年(令和3年)12月 [ダクタク2021年12月]
12/31fri
コロナ禍や なれど住処に 蜜柑熟れ
(ころなかや なれどすみかに みかんうれ)
冬型の 高気圧良し ガラス拭き
(ふゆがたの こうきあつよし がらすふき)
ご無沙汰しご無沙汰されて除夜の鐘
(ごぶさたしごぶさたされてじょやのかね)
※大晦日の今日、いつもより多めに飲んで、早
めに床に就くのが恒例。「いく年くる年」は
朝ゆっくり見る。
12/30thu
似せ絵しか 描けぬ哀しさ 年の暮れ
(にせえしか かけぬかなしさ としのくれ)
※水彩画、「描きたいのを好きに描けば良い」
と思うのだが、これがなかなか・・・。
水滸伝 年末までに 終わらざる
(すいこでん ねんまつまでに おわらざる)
12/29wed
誕生日 大根焚きに 揚げ入れて
(たんじょうび だいこんだきに あげいれて)
抱負をという声なくて誕生日
(ほうふをというこえなくてたんじょうび)
※使い慣れていないスマホで、食事に訪れたフ
ァミレスのアプリをインストールしたら、な
んと20%割引の上に誕生祝いとかで大きめの
ケーキまでプレゼントされてびっくり!
12/28tue
老庭師 鋏み風に乗る 年の暮れ
(ろうにわし はさみかぜにのる としのくれ)
極月や 垣の揃いに こだわりて
(ごくげつや かきのそろいに こだわりて)
※元プロの義兄が手入れしてくれたものだが、
代わりの老庭師の腕はまだつたない。でも鋏
の音だけはいいようだ。刃物の世話が上手な
のかも。
12/27mon
年内の 仕事と言われ 蜜柑もぐ
(ねんないの しごといわれ みかんもぐ)
※先日述べた蝉の抜け殻が落ちないようにそっ
と鋏を入れる。去年は裏作の年でほんの少し
しか実をつけなかったが、今年は大丈夫!
背の高さほどの、一抱えほどの木一本なのだ
が、ざっと120個くらいかなと皮算用をし
ている。味もいい、濃厚さもある。
12/25sat
金星の 西に隠れて 聖夜かな
(きんせいの にしにかくれて せいやかな)
おとなしい 番組見たり 聖夜なり
(おとなしい ばんぐみみたり せいやなり)
平らかに 聖地の星を 調べたり
(たいらかに せいちのほしを しらべたり)
かしこみつ 上皇様の お歳聞く
(かしこみつ じょうこうさまの おとしきく)
※作夜はクリスマスイヴ。上皇様とは誕生日が
12年と5日違い。干支も同じ。
12/24fri
空蝉や ミカンの枝で 年を越す
(うつせみや みかんのえだで としをこす)
※実写生でもこれはいけないと言われそう。季
語が三つも重なっている。空蝉、ミカン、年
越し。ミカンをもいで試食した時に発見、こ
んなのもいいじゃないかな。
12/23thu
句を添えて 師走の動画を 温めり
(くをそえて しわすのどうがを あたためり)
※今春スマホユーザーとなったのを機に、その
機動性、カメラの高機能を活かして、動画を
アップすることを思いついた。既に30本近
くをアップロード済だ。
しかし動画といっても静止画を繋いで季節の
5句を盛り合わせ、そこに好きな音楽をBGM
とするものだ。1本が3分弱で飾り気のない
動画である。当然見てくれる人は殆ど0。
これが本人には意外と新鮮な「句帳」となる
ことに気がついた。句の羅列より思い出深い、
面白い。メインは句なのか、写真なのか、音
楽なのかすら・・その時々。これが無料とは。
12/23wed
朝コール 声も馥郁 冬至たり
(あさこーる こえもふくいく とうじたり)
柚子なきを 謝して冬至の ジャスミン湯
(ゆずなきを しゃしてとうじの じゃすみんゆ)
冬至日や 光あるうち 長湯かな
(とうじびや ひかりあるうち ながゆかな)
※今日まで太平洋側は比較的暖か。穏やかな冬
至の晴れ間にホッとする。明日からは一段と
寒さが増すとか。今日は頑張って、句の動画
を5個 YouTubeにアップした。
12/21tue
容保は 宸翰胸に 冬すみれ
(かたもりは しんかんむねに ふゆすみれ)
※大通りの歴史が少しずつ見直されている。慶
喜の幕末への思い、容保の誠意吐露、共に朝
敵とされたことへの反発等々。一朝に全てが
きれいに繋がるものではないが・・・。
12/20mon
路地を来て 神田駅前 冬ぬくし
(ろじをきて かんだえきまえ ふゆぬくし)
※久しぶりに神田小川町近辺に行った。帰途は
知ったかぶりをして路地をめぐり遠回りの神
田駅に出ようとした。道路は最盛期?のよう
には導いてくれなかった。スジ違いを何度か
犯した。されど結果は勝手知ったる神田駅界
隈。この辺はまだ大丈夫。
12/19sun
そこらじゅう痒いが目良し耳も良し
(そこらじゅうかゆいがめよしみみもよし)
寄せ鍋も辛くせよ赤くせよという
(よせなべもからくせよあかくせよという)
コロナ禍も上司落研湯気揺れる
(ころなかもじょうしおちけんゆげゆれる)
※年末清掃の束の間に川柳3題
12/18sat
冬の雲日没早くならざる日
(ふゆのくもにちぼつはやくならざるひ)
※日中の時間が一番短いのは冬至の日だが、日
の入り、日没が早いのは冬至以前の12月上
旬、その分日の出が一番遅いのは冬至後の12
月下旬だとか。少し賢くなった。
12/17fri
山茶花や 公家の住まいの 石の塚
(さざんかや くげのすまいの いしのつか)
※かなり以前の冬の日に或る公家の住居跡を訪
ねたことがあった。京都の寒さを身体で思い
知った一日だった。
12/16thu
目うつろに 呆けし役を 初時雨
(めうつろに ほうけしやくを はつしぐれ)
※俳優山崎努が認知症の老人を演じる映画を見
た。目の表情が真に迫っていた。
12/15wed
寒き日や 喪中の葉書 集めけり
(さむきひや もちゅうのはがき あつめけり)
念入りに 少なき賀状 炬燵かな
(ねんいりに すくなきがじょう こたつかな)
※賀状をゆったり書くという経験はない。枚数
をこなすためについ生産的な方法をその都度
考えるからだ。しかし今年は違った。大幅に
枚数を減らし、本来の?書き方に戻った。あ
せってもいない。
12/14tue
義士の日や 堀部弥兵衛の 齢となり
(ぎしのひや ほりべやへえの としとなり)
※冷たい午前、雪が落ちてきてもおかしくない。
安兵衛の義父で、義士の最高齢。自分の年齢
を考えるのに変に現実感がある。
12/13mon
白菜や 妻息災に ざくと割く
(はくさいや つまそくさいに ざくとさく)
※この音、力強いザクッと・・・元気印。
新海苔や 百年の名産 送りたり
(しんのりや ひゃくねんのめいさん おくりたり)
12/12sun
しつこさで 癌に克つさと 冬帽子
(しつこさで がんにかつさと ふゆぼうし)
※再発した肺ガンに化学療法を続けている床屋
はげっそり痩せたが、禿げあがった頭と目力
は精悍でなお意気軒高だ。
12/11sat
身につかず終いの楽器大掃除
(みにつかずじまいのがっきおおそうじ)
※今日明日の気温はぐっと高くなるとあって、
大掃除その1と指定され、召集を受ける。
12/10fri
花札を二人向かいて冬日向
(はなふだをふたりむかいてふゆひなた)
背伸びして取らん梢のレジ袋
(せのびしてとらんこずえのれじぶくろ)
※今朝の気温は厳しいが、十分な日差しが救っ
てくれる。
12/9thu
開戦の日 熱狂せしか 吾もまた
(かいせんのひ ねっきょうせしか われもまた)
※対米開戦80周年の今年は当時の状況発掘のニ
ュースや資料が多い。対中戦争の泥沼化、米
国中心の対日圧迫政策、軍部の好戦姿勢と国
民の支持、開戦に至った要因は様々なウェイ
ト付けが可能だ。
12/8wed
冬ごもり ペトルーシュカを 聴けと友
(ふゆごもり ぺとるーしゅかを きけととも)
ネットに出 たちまち主役 金目鯛
(ねっとにで たちまちしゅやく きんめだい)
※北海道に住んでいた頃、囲炉裏焼き屋で金目
鯛やホッケは馴染みの魚だった。ところが金
目鯛はその後出世?し、内地(北海道では本
州をこう呼んでいた)で高値となった。今や
ネットでももてはやされているとか。
当時から小生はホッケにより親近感を覚えた。
うまいし塩の香りがする。しかし今や居酒屋
では結構高い。ホッケ、お前もかッ。
12/6mon
極月も あかつき闇を 重宝し
(ごくげつも あかつきやみを ちょうほうし)
同じこと 言う人の来る 落ち葉焚き
(おなじこと いうひとのくる おちばたき)
※加齢のせいばかりではなく親からの遺伝もあ
って深夜から未明の時間に目覚め、そのまま
長い時間を過ごすことが多い。あせることも
あるが読書時々うつらうつら・・・楽しめる
ようになった。冬は寝巻の下に長袖のシャツ
を着ていても、寝床から腕を出すと寒いので、
作業用の手さし(袖カバー)を用意している。
厳寒期には指先出し手袋も。
12/4sat
師走来る 時の会釈は 少しだけ
(しわすくる ときのえしゃくは すこしだけ)
垣根刈る 冬支度かと 言われたき
(かきねかる ふゆじたくかと いわれたき)
※早いものだ、と常套句を言わねばならない。
遠慮会釈のない時の流れ。流れに沿って、昔
流の冬支度を。
12/2thu
舳倉島 渡りの鳥の 五万とぞ
(へぐらじま わたりのとりの ごまんとぞ)
※快晴、晩秋の能登舳倉島の様子を見た。テレ
ビで。渡りの鳥のまたとない中継地だ。夥し
い種類と数。多くはシベリアからで冬を日本
以南の地で過ごすためにきている。すごい、
生命力に溢れた島。
12/1wed
勲一等の 柿は一葉に 師走来る
(くんいっとうの かきはひとはに しわすくる)
※今年の柿はたった一本ながら、たわわに甘い
実をつけ、シニアに毎日の楽しみをくれた。
勲一等功一級ものだ。
コロナ禍や なれど住処に 蜜柑熟れ
(ころなかや なれどすみかに みかんうれ)
冬型の 高気圧良し ガラス拭き
(ふゆがたの こうきあつよし がらすふき)
ご無沙汰しご無沙汰されて除夜の鐘
(ごぶさたしごぶさたされてじょやのかね)
※大晦日の今日、いつもより多めに飲んで、早
めに床に就くのが恒例。「いく年くる年」は
朝ゆっくり見る。
12/30thu
似せ絵しか 描けぬ哀しさ 年の暮れ
(にせえしか かけぬかなしさ としのくれ)
※水彩画、「描きたいのを好きに描けば良い」
と思うのだが、これがなかなか・・・。
水滸伝 年末までに 終わらざる
(すいこでん ねんまつまでに おわらざる)
12/29wed
誕生日 大根焚きに 揚げ入れて
(たんじょうび だいこんだきに あげいれて)
抱負をという声なくて誕生日
(ほうふをというこえなくてたんじょうび)
※使い慣れていないスマホで、食事に訪れたフ
ァミレスのアプリをインストールしたら、な
んと20%割引の上に誕生祝いとかで大きめの
ケーキまでプレゼントされてびっくり!
12/28tue
老庭師 鋏み風に乗る 年の暮れ
(ろうにわし はさみかぜにのる としのくれ)
極月や 垣の揃いに こだわりて
(ごくげつや かきのそろいに こだわりて)
※元プロの義兄が手入れしてくれたものだが、
代わりの老庭師の腕はまだつたない。でも鋏
の音だけはいいようだ。刃物の世話が上手な
のかも。
12/27mon
年内の 仕事と言われ 蜜柑もぐ
(ねんないの しごといわれ みかんもぐ)
※先日述べた蝉の抜け殻が落ちないようにそっ
と鋏を入れる。去年は裏作の年でほんの少し
しか実をつけなかったが、今年は大丈夫!
背の高さほどの、一抱えほどの木一本なのだ
が、ざっと120個くらいかなと皮算用をし
ている。味もいい、濃厚さもある。
12/25sat
金星の 西に隠れて 聖夜かな
(きんせいの にしにかくれて せいやかな)
おとなしい 番組見たり 聖夜なり
(おとなしい ばんぐみみたり せいやなり)
平らかに 聖地の星を 調べたり
(たいらかに せいちのほしを しらべたり)
かしこみつ 上皇様の お歳聞く
(かしこみつ じょうこうさまの おとしきく)
※作夜はクリスマスイヴ。上皇様とは誕生日が
12年と5日違い。干支も同じ。
12/24fri
空蝉や ミカンの枝で 年を越す
(うつせみや みかんのえだで としをこす)
※実写生でもこれはいけないと言われそう。季
語が三つも重なっている。空蝉、ミカン、年
越し。ミカンをもいで試食した時に発見、こ
んなのもいいじゃないかな。
12/23thu
句を添えて 師走の動画を 温めり
(くをそえて しわすのどうがを あたためり)
※今春スマホユーザーとなったのを機に、その
機動性、カメラの高機能を活かして、動画を
アップすることを思いついた。既に30本近
くをアップロード済だ。
しかし動画といっても静止画を繋いで季節の
5句を盛り合わせ、そこに好きな音楽をBGM
とするものだ。1本が3分弱で飾り気のない
動画である。当然見てくれる人は殆ど0。
これが本人には意外と新鮮な「句帳」となる
ことに気がついた。句の羅列より思い出深い、
面白い。メインは句なのか、写真なのか、音
楽なのかすら・・その時々。これが無料とは。
12/23wed
朝コール 声も馥郁 冬至たり
(あさこーる こえもふくいく とうじたり)
柚子なきを 謝して冬至の ジャスミン湯
(ゆずなきを しゃしてとうじの じゃすみんゆ)
冬至日や 光あるうち 長湯かな
(とうじびや ひかりあるうち ながゆかな)
※今日まで太平洋側は比較的暖か。穏やかな冬
至の晴れ間にホッとする。明日からは一段と
寒さが増すとか。今日は頑張って、句の動画
を5個 YouTubeにアップした。
12/21tue
容保は 宸翰胸に 冬すみれ
(かたもりは しんかんむねに ふゆすみれ)
※大通りの歴史が少しずつ見直されている。慶
喜の幕末への思い、容保の誠意吐露、共に朝
敵とされたことへの反発等々。一朝に全てが
きれいに繋がるものではないが・・・。
12/20mon
路地を来て 神田駅前 冬ぬくし
(ろじをきて かんだえきまえ ふゆぬくし)
※久しぶりに神田小川町近辺に行った。帰途は
知ったかぶりをして路地をめぐり遠回りの神
田駅に出ようとした。道路は最盛期?のよう
には導いてくれなかった。スジ違いを何度か
犯した。されど結果は勝手知ったる神田駅界
隈。この辺はまだ大丈夫。
12/19sun
そこらじゅう痒いが目良し耳も良し
(そこらじゅうかゆいがめよしみみもよし)
寄せ鍋も辛くせよ赤くせよという
(よせなべもからくせよあかくせよという)
コロナ禍も上司落研湯気揺れる
(ころなかもじょうしおちけんゆげゆれる)
※年末清掃の束の間に川柳3題
12/18sat
冬の雲日没早くならざる日
(ふゆのくもにちぼつはやくならざるひ)
※日中の時間が一番短いのは冬至の日だが、日
の入り、日没が早いのは冬至以前の12月上
旬、その分日の出が一番遅いのは冬至後の12
月下旬だとか。少し賢くなった。
12/17fri
山茶花や 公家の住まいの 石の塚
(さざんかや くげのすまいの いしのつか)
※かなり以前の冬の日に或る公家の住居跡を訪
ねたことがあった。京都の寒さを身体で思い
知った一日だった。
12/16thu
目うつろに 呆けし役を 初時雨
(めうつろに ほうけしやくを はつしぐれ)
※俳優山崎努が認知症の老人を演じる映画を見
た。目の表情が真に迫っていた。
12/15wed
寒き日や 喪中の葉書 集めけり
(さむきひや もちゅうのはがき あつめけり)
念入りに 少なき賀状 炬燵かな
(ねんいりに すくなきがじょう こたつかな)
※賀状をゆったり書くという経験はない。枚数
をこなすためについ生産的な方法をその都度
考えるからだ。しかし今年は違った。大幅に
枚数を減らし、本来の?書き方に戻った。あ
せってもいない。
12/14tue
義士の日や 堀部弥兵衛の 齢となり
(ぎしのひや ほりべやへえの としとなり)
※冷たい午前、雪が落ちてきてもおかしくない。
安兵衛の義父で、義士の最高齢。自分の年齢
を考えるのに変に現実感がある。
12/13mon
白菜や 妻息災に ざくと割く
(はくさいや つまそくさいに ざくとさく)
※この音、力強いザクッと・・・元気印。
新海苔や 百年の名産 送りたり
(しんのりや ひゃくねんのめいさん おくりたり)
12/12sun
しつこさで 癌に克つさと 冬帽子
(しつこさで がんにかつさと ふゆぼうし)
※再発した肺ガンに化学療法を続けている床屋
はげっそり痩せたが、禿げあがった頭と目力
は精悍でなお意気軒高だ。
12/11sat
身につかず終いの楽器大掃除
(みにつかずじまいのがっきおおそうじ)
※今日明日の気温はぐっと高くなるとあって、
大掃除その1と指定され、召集を受ける。
12/10fri
花札を二人向かいて冬日向
(はなふだをふたりむかいてふゆひなた)
背伸びして取らん梢のレジ袋
(せのびしてとらんこずえのれじぶくろ)
※今朝の気温は厳しいが、十分な日差しが救っ
てくれる。
12/9thu
開戦の日 熱狂せしか 吾もまた
(かいせんのひ ねっきょうせしか われもまた)
※対米開戦80周年の今年は当時の状況発掘のニ
ュースや資料が多い。対中戦争の泥沼化、米
国中心の対日圧迫政策、軍部の好戦姿勢と国
民の支持、開戦に至った要因は様々なウェイ
ト付けが可能だ。
12/8wed
冬ごもり ペトルーシュカを 聴けと友
(ふゆごもり ぺとるーしゅかを きけととも)
ネットに出 たちまち主役 金目鯛
(ねっとにで たちまちしゅやく きんめだい)
※北海道に住んでいた頃、囲炉裏焼き屋で金目
鯛やホッケは馴染みの魚だった。ところが金
目鯛はその後出世?し、内地(北海道では本
州をこう呼んでいた)で高値となった。今や
ネットでももてはやされているとか。
当時から小生はホッケにより親近感を覚えた。
うまいし塩の香りがする。しかし今や居酒屋
では結構高い。ホッケ、お前もかッ。
12/6mon
極月も あかつき闇を 重宝し
(ごくげつも あかつきやみを ちょうほうし)
同じこと 言う人の来る 落ち葉焚き
(おなじこと いうひとのくる おちばたき)
※加齢のせいばかりではなく親からの遺伝もあ
って深夜から未明の時間に目覚め、そのまま
長い時間を過ごすことが多い。あせることも
あるが読書時々うつらうつら・・・楽しめる
ようになった。冬は寝巻の下に長袖のシャツ
を着ていても、寝床から腕を出すと寒いので、
作業用の手さし(袖カバー)を用意している。
厳寒期には指先出し手袋も。
12/4sat
師走来る 時の会釈は 少しだけ
(しわすくる ときのえしゃくは すこしだけ)
垣根刈る 冬支度かと 言われたき
(かきねかる ふゆじたくかと いわれたき)
※早いものだ、と常套句を言わねばならない。
遠慮会釈のない時の流れ。流れに沿って、昔
流の冬支度を。
12/2thu
舳倉島 渡りの鳥の 五万とぞ
(へぐらじま わたりのとりの ごまんとぞ)
※快晴、晩秋の能登舳倉島の様子を見た。テレ
ビで。渡りの鳥のまたとない中継地だ。夥し
い種類と数。多くはシベリアからで冬を日本
以南の地で過ごすためにきている。すごい、
生命力に溢れた島。
12/1wed
勲一等の 柿は一葉に 師走来る
(くんいっとうの かきはひとはに しわすくる)
※今年の柿はたった一本ながら、たわわに甘い
実をつけ、シニアに毎日の楽しみをくれた。
勲一等功一級ものだ。
ダクタク句集2022年(令和4年)下期 自選集 [自選集2022]
12/31sat
行く年も走りおおせし鉄路あり
(ゆくとしもはしおおせしてつろあり)
さわし柿切れ干し柿を食らう暮れ
(さわしがききれほしがきをくらうくれ)
暮れなれど二人ポカンと映画見る
(くれなれどふたりぽかんとえいがみる)
歳晩に火鉢を出して非日常
(さいばんにひばちをだしてひにちじょう)
愚痴を言う大晦日にも三つだけ
(ぐちをいうおおみそかせにもみっつだけ)
※年内の仕事は最低限にして昨日までに終わっ
た。今日は心身ともに予備日? これが大正
解。それで句の方をちょっと棚卸し。暮れの
句を掃除し残った句を羅列する。
映画は「恋におちたシェイクスピア」、なぜ
かちゃんと通しでは見なかったヤツ。
12/30fri
煤払い終え扇橋の千代女かな
(すすはらいおえせんきょうのちよじょかな)
※先代入船亭扇橋の得意演目ではなかったよう
だが、古いテープで「加賀の千代女」を聴き、
いっぺんで好きになった。今その動画はアッ
プされていないようだ。
千代女の有名な句に「あさがおやつるべとら
れてもらひみず」がある。扇橋は落語界一の
俳句好きだった。
黒豆の出来は如何と長電話
(くろまめのできはいかんとながでんわ)
12/29thu
耕筰忌 からたちの花の 今やっと
(こうさくき からたちのはなの いまやっと)
※明治以降の日本の歌には、メロディの繰り返
しで1番2番ではなくて全曲流れるように一
つのメロディによるものが多い。
城ヶ島の雨(梁田貞)初恋(越谷達之助)小
諸なる古城のほとり(弘田龍太郎)などなど。
へたくそな私が歌えるようになるまで大いに
時間を要したが、その分味わい深い。当時は
一種の流行だったのかも。
12/28wed
海鼠腸を 食う人を見て 喜寿迎ふ
(このわたを くうひとをみて きじゅむこう)
喜寿の席 トンカツ食いて 見つめらる
(きじゅのせき とんかつくいて みつめらる)
生きるのみ 雨のあがりて 喜寿の冬
(いきるのみ あめのあがりて きじゅのふゆ)
※満77歳の誕生日を迎えた。祝いの宴で一席、
羞恥心を抑えて喜寿の3句。
12/27tue
極月や 火の用心の 江戸言葉
(ごくげつや ひのようじんの えどことば)
※年末は毎日夕方に「火の用心」の見回りをし
ている。最近はうるさいとかやめろとか一部
住民が反発する所があったらしい。なんとア
ホがいることか。
拍子木の音のあとに、「火の用心さっしゃり
ましょう」と粋な呼びかけをする人がいる。
ハハーンあの人だな。
12/26mon
歳末に 展望しえぬ 世事多く
(さいまつに てんぼうしえぬ せじおおく)
※メディアは一斉に年末モード。一年を振り返
り、翌一年をばっさりと展望する、・・・の
だが。展望と言える内容は少ない。
12/25sun
車椅子 押すは孫の子 クリスマス
(くるまいす おすはまごのこ くりすます)
手袋やクルマ待つ間の毛玉とり
(てぶくろやくるままつまのけだまとり)
※クリスマス光景点描。平和だ。
12/24sat
窓越しにダンス練習見る聖夜
(まどごしにだんすれんしゅうみるせいや)
※クリスマスめいたものは身辺にも近所にもな
いと思っていたが、そうでもない。
近くに越して来た中国人の中年独身男性がど
ういうわけか家にイルミネーションを飾って
いる。へえ・・と驚いて眺める。公民館のホ
ールでは練習か本番か・・・。優雅だ。
12/23fri
冬嵐 アクア通いの 医師休診
(ふゆあらし あくあがよいの いしきゅうしん)
名を聞きぬ 顔はメールで 冬の孫
(なをききぬ かおはめーるで ふゆのまご)
※安全を考えるときりがない。まして冬に生ま
れた初孫だ。
12/22thu
新聞を 素早く読みて 冬至かな
(しんぶんを すばやくよみて とうじかな)
さわし柿切れ干し柿を食らう暮れ
(さわしがききれほしがきをくらうくれ)
※12月はバタバタと忙しいとか、あっという
間だとかの声を聞く気はない。こう寒いので
は暖かい屋内でじっとしているにしくはない。
今日は冬至ではないか。
12/20tue
木枯らしや不意なる喉の内視鏡
(こがらしやふいなるのどのないしきょう)
※親しい友が甲状腺ガンで死んでから2年にな
る。こちとらも甲状腺ホルモン某の持病があ
る上に最近とみに喉元のところでミニトラブ
ルが起こる。美声もかすれることが多い。
呼吸器科に行って訴えた。心配を取り除いて
と。そしていきなりの内視鏡だ。結論は、
「きれいです。なんにもありません。あって
も年齢相応の嚥下トラブルでしょう」と。
12/19mon
サッカーは 冬の季語なり メッシ勝つ
(さっかーは ふゆのきごなり めっしかつ)
※アルゼンチン、PK戦の末に優勝。冬の季語で
ある所以はシーズン設定にあるだろうと想像で
きるが、この熱戦にはふさわしくない。手に汗
握る2時間だった。
12/18sun
年賀状仕舞いを告げて月下弦
(ねんがじょうしまいをつげてつきかげん)
※年賀状仕舞いとした。迷った。ここでも下りの
明確な階段を降りることになるのだぞ、と言い
聞かせる。
12/17sat
農道の一角カフェとなりて冬
(のうどうのいっかくかふぇとなりてふゆ)
※行ってみると洒落た料理をこざっぱりと提供
する、地元にはない店だ。この手の店が方々
に現れ、センスを感じながらも、音もなく
消えていく。お客は地方都市の若い女房連、
30km圏内、単価1500円で基本的にはゼロサム
ゲームである。逞しい例外もあるけれど。
12/16fri
木賃といふアパートの煤払い
(もくちんというあぱーとのすすはらい)
※周辺の他の物件に較べ、50年以上前に建て
られたもの。居住者がいっしょに大掃除して
いた。今どき貴重な光景。黒光りしている?
12/13tue
出勤は 冬夕焼け見て 深夜番
(しゅっきんは ふゆゆやけみて しんやばん)
人参のとれてシチュウに大切りに
(にんじんのとれてしちゅうにおおぎりに)
12/11sun
着ぶくれて 週末頼みの 吊り革に
(きぶくれて しゅうまつだのみの つりかわに)
※久々に「週末頼みの通勤」の感覚を思い出し
た。ところがちっとも苦ではない。
12/10sat
湯気の音 剃刀の音 昼下がり
(ゆげのおと かみそりのおと ひるさがり)
※馴染みの床屋の主人がなくなり、そのまま閉
店。ずっと近くの格安店に行った。料金はほ
ぼ半分、時間は1/3、「どうしましょう」以
外無言、悪くない。
12/9fri
十二月 火星いざよふ 月を待つ
(じゅうにがつ かせいいざよう つきをまつ)
※18時前の散歩のときに十六夜の月が山の端
を離れた。行く先には火星が待っている。見
事な月だが、なかなか火星に追いつけない。
さて、このレース、今夜はどうなるか?
12/8thu
滑子汁 ふうふうする間の 香りかな
(なめこじる ふうふうするまの かおりかな)
※寒さはなかなか戻らないなと嘆いている間に、
これが平年並みとなってしまう。とにかく暖
かい部屋、熱いものが欲しい。
12/7wed
神無月 四万人を 呼ぶ娘
(かんなづき よんまんにんを よぶむすめ)
※先月初旬あいみょんがワンマン・ライヴで甲
子園球場を札止めにした!! よく知らない
歌手、二三度聴いたことはある。とても信じ
られないペンライトの波また波。
12/6tue
モーツァルト忌 朝一番で ジュピターを
(もーつぁるとき あさいちばんで じゅぴたーを)
※季語にモーツァルト忌というのがあると知っ
た。やや異様な感じがするが、せっかくだから
交響曲第41番で記念日(の一日遅れ)を刻む
ことにした。
12/5mon
戦ありて 落ち葉の上に 松落葉
(いくさありて おちばのうえに まつおちば)
※公民館、集会所の大掃除。こういうのをしっか
りやるのが、シニアの役目だと少しは認識して
出かける。それにしても外の作業は今日あたり
かなり酷だ。彼の地では、寒さの酷さを知る者
が寒さ攻めにしている。
12/3sat
初炬燵 文庫本にて 漱石を
(はつごたつ ぶんこぼんにて そうせきを)
※昨日今日一段と冷え込む。リビングにコタツと
いうのは今まで避けてきたが、もうこの歳、そ
んなことは言っていられない。
12/2fri
大どれの大根 店を攻略す
(おおどれのだいこん みせをこうりゃくす)
新聞は 瑣事のみ多く 日向ぼこ
(しんぶんは さじのみおおく ひなたぼこ)
※ネットを初め情報過多の今日では新聞の位置も
難しい。ヘッドラインはとっくに知られている
し、深掘りするにしても対象の選択は読者によ
ってことなる。全方位型になると、瑣事の羅列
となりかねない。購読料を払っているので目を
通さざるを得ない。半ばいやいやだ。家内はチ
ラシ以外殆ど読まない、はっきりしている。こ
れがうらやましい。
12/1thu
干し柿の 遅れて吊るす 十余り
(ほしがきの おくれてつるす とおあまり)
※日々の瑣事のみで静かにしていると12月の到
来に感慨はない。しかしこの日長いこと途切れ
ていた友人とのメール交換が出来て、これから
年末の幸いなる予感がする。
**********
11/30wed
小春日の港に人のいぬ無残
(こはるびのみなとにひとのいぬむざん)
※カップル観光客の聖地になりかけた木更津港
をまたぐ中の島大橋も人っ子ひとりいない。
海と港を見渡す昔日の静けさと言えないこと
もないが、今度は船が断然少ない。
11/28mon
朝刊の 読めぬ昏さや 時雨雲
(ちょうかんの よめぬくらさや しぐれぐも)
※いやでも冬の到来を感じた朝。真っ黒な雲が
空を覆い続けた。寒さもひとしお。
そうだ、コタツを作ろう。
11/27sun
冬めく日 自宅待機とやらでいる
(ふゆめくひ じたくたいきとやらでいる)
※ゼロコロナ目標ではないから、濃厚接触者の
更なる探索はしていない。しかしそれに準じ
た注意喚起はある。その筋から「自宅観察・
外出自粛」の要請があった。感染ルートは仄
めかす程度で、最後に「通常の日常対策で十
分です」とも。それなら言って来るな、と思
ったが。
11/26sat
曲りても 玉葱の苗 植え終わる
(まがりても たまねぎのなえ うえおわる)
※早生の苗を植えたところで雑事が増えたため
一休み。今回で予定した苗は全部植え終わっ
た。鉛筆の木軸ほどの太さの葉鞘が望ましい
というが苗の調達段階でそれは挫折する。そ
んな立派な苗ではない。黒マルチは使わない。
11/25fri
ワクチンの五回目 初冬の静寂
(わくちんのごかいめ しょとうのせいじゃく)
※集団接種会場で粛々と済ませた。慣れて哀し。
11/23wed
冬の日や事故せし妻の帰宅かな
(ふゆのひやじこせしつまのきたくかな)
事故調書自署なめらかに石蕗の花
(じこちょうしょじしょなめらかにつわのはな)
冬夕焼け惑い長きに見ずに果て
(ふゆゆやけまどいながきにみずにはて)
11/22tue
剪定の音続きたり冬支度
(せんていのおとつづきたりふゆじたく)
バサと落ち研ぎ手の腕を暮れに聞く
(ばさとおちとぎてのうでをくれにきく)
※11月恒例の垣根の刈り込みだが、近年は次
第に億劫になりつつある。着手せずに、今日
は刃物の研ぎ日とか勝手に決めて一日延ばし
にする。
11/21mon
テレビ電話互いに冬の身づくろい
(てれびでんわたがいにふゆのみづくろい)
三の酉あり火の用心と時候言い
(さんのとりありひのようじんとじこういい)
11/19sat
保母開ける窓少しだけ冬はじめ
(ほぼあけるまどすこしだけふゆはじめ)
※コロナ渦で換気は怠れない、しかい今朝の風
はつめたい。この前までのゆったり換気があ
っという間に冬の光景に。
11/18fri
雨音は幻聴 小春の日の朝
(あまおとはげんちょう こはるのひのあさ)
犬こばむ 晩秋日々の同じ道
(いぬこばむ ばんしゅうひびのおなじみち)
※5回目のワクチンを打ってきた。集団接種会
場では打つ人も迎えるスタッフも粛々と仕事
をこなしている印象。結構な形の雲が面白お
かしく晩秋の空を飾っているのに、ワクチン
接種にかくも馴れ切ってしまうとは・・・。
11/17thu
顎引いて 若く撮れると 秋の宿
(あごひいて わかくとれると あきのやど)
※小人数で近場の温泉郷に。家族外の同伴者と
の宿泊は何年ぶりか? もちろん恐る恐るの
出立だったが、ホテルに着いて湯に入って酒
が入れば・・・もう心配は雲散霧消。これが
いけない。
11/16wed
月島の 路地に山芋 並べあり
(つきしまの ろじにやまいも ならべあり)
病葉や 柿のヘタ虫 駆除を聞く
(わくらばや かきのへたむし くじょをきく)
11/15tue
秋フェスタ 膝をさすりて 餅の列
(あきふぇすた ひざをさすりて もちのれつ)
※農協の収穫祭と言えどもフェスタと称する。
一番人気はつきたての餅の販売だ。列のすぐ
そばで絶えずついてこねて・・・。
11/14mon
孫自慢 歴史好きだと 葛の花
(まごじまん れきしずきだと くずのはな)
※シニア同士の話題は、結局は子と孫と病気の
自慢に落ち着く。幸いコロナ禍のせいで、聞
く被害からは遠ざかっていたが、ぼちぼち再
開の気配だ。
11/12sat
お十夜といふを知りてぞ喜寿の坂
(おじゅうやというをしりてぞきじゅのさか)
※もうひと月余りで満で喜寿の歳を迎える。関
西で主に浄土宗の仏事として十夜法要という
のがある。「現世で十日十夜善いことをすれ
ば・・・」という、これからでも間に合う、
ドロナワOKの教えらしい。すがりたい気持
ち?あります。
11/10thu
喜寿の日に 会社退けりと 星月夜
(きじゅのひに かいしゃひけりと ほしづきよ)
※会社生活を終える感慨はその長さによるので
はなかろうが、恵まれてかつ望まれて勤務を
続けられたことは幸せなことだと思う。お疲
れさま。
11/9wed
橡餅を 目指し竈に 火をくべぬ
(とちもちを めざしかまどに ひをくべぬ)
子が可愛 鴉が泣きて 秋澄めり
(こがかわい からすがなきて あきすめり)
蚯蚓鳴き 酒も喉越し 緩やかに
(みみずなき さけものどご しゆるやかに)
※絵画教室の例会で先生が来ない。一番熱心な
のに。何度電話をしたのに出ない・・・。も
しかして? 彼女は80歳台中盤、一人暮ら
し。終わるころ、ひょっこり顔を見せた。
スマホ持たずに出先で一時間以上も立ち話と
か。帰宅して着信の多さにびっくり。
11/6sun
秋の空 数合わせ気味の 守備位置に
(あきのそら かずあわせぎみの しゅびいちに)
フェスなるも 法被が主役 いわし雲
(ふぇすなるもはっぴがしゅやくいわしぐも)
※地域の蘇生と祭りのリベンジなど思惑が交錯
しても、お天気には恵まれた。若手のエンジ
ンに少しでも火がつくか?
11/5sat
ナレーターの 声ゆったりと 古都の秋
(なれーたーの こえゆったりと ことのあき)
※養老孟司の愛読者、ファンではないが、彼と
鎌倉を描いたBSシリーズ番組は好きだ。鎌倉
への対し方、愛し方は大好きだし、それ以上
に断然妬ましい。
11/4fri
ミサイルと 地震頻りに 夜長とて
(みさいると じしんしきりに よながとて)
合唱の 女史再デビュー 雁渡る
(がっしょうの じょしさいでびゅー かりわたる)
※地域の活発な女性陣、鳴りを潜めていたが、
この週の各種催しから息を吹き返した感があ
る。その昔のお局さんも加わる。
11/3thu
死ぬまでの 替え芯ありて 文化の日
(しぬまでの かえしんありて ぶんかのひ)
※シャープペンシル用に替芯0.5mm,2Bを取り
寄せた。普通の店にはないから少し多めに3
ケースを買った。それ以来ではないが、次第
に字を書くことは少なくなった。書く機会が
減ったのと、PC,スマホのせいだ。
一生懸命毎日書くようにしているが・・・。
国宝を みな見せるとぞ 文化の日
(こくほうを みなみせると ぞぶんかのひ)
11/2wed
城下秋 旧町名を 音に読む
(じょうかあき きゅうちょうめいを おとによむ)
※全国の城下町共通の、それらしい町名にはど
うも馴染めない。大手町、馬場町、鍛治町、
本町、寺町等々。せっかくのユニークな町名
があったのに。ちなみに生まれた町の名は融
通寺町。近くに桂林寺町。
11/1tue
畳織る 今年のイグサの 香りかな
(たたみおる ことしのいぐさの かおりかな)
※7月までに収穫するイグサは油の処理、形状
不良の厳しいリジェクトなどを経て、秋に
「織り」が本格化し畳表となる。
**********
10/31mon
友の待つ 広き階段 見上げ秋
(とものまつ ひろきかいだん みあげあき)
※立派な階段、踊りがあって、また階段が。彼
はどうやって登ったのかな? そう、エレベ
ーターがあるのでは? ・・・もう遅い。
お隣の シュウメイギクの 揃い踏み
(おとなりの しゅうめいぎくの そろいぶみ)
10/30sun
秋の夜のライン顔見し黙しおり
(あきのよのらいんかおみしもくしおり)
※ラインが開通して初めて友人と顔を見ながら
の会話を始めた時、相手がふっと押し黙った
時があったならよーく考えた方が良い。相手
は対面会話に感激したのではなく、こちらの
顔の想像以上の老け込みに唖然として息を吞
んだのだ。毎日見ている顔では気づかない老
けの大きな溝がある。きっと。
10/29sat
杜鵑草 思い出しつつ つい疎遠
(ほととぎす おもいだしつつ ついそえん)
※こんな時だからこそ親しい友人とはせめて連
絡を保ちたい。遠隔での連絡手段が一般的に
なっているとはいえ、ついその一歩が出ない
ことも。
10/28fri
文化祭 準備を仕切る 嗄れ声
(ぶんかさい じゅんびをしきる しゃがれごえ)
白マスク白髪が秋の草むしり
(しろますくしらががあきのくさむしり)
※いくらなんでも俺は公民館の世話にはならな
い、とイッパシの口をたたいていた男が、ど
っぷりとは言わないまでも文化祭などの活動
に参加している。アアとため息も出るが、同
じ年代の人たちが手練れのエースである。
10/26wed
介護する 合間の絵筆 いわし雲
(かいごする あいまのえふで いわしぐも)
※絵仲間の女性は80歳で介護の仕事をしてい
る。絵教室も遅刻早退で忙しい。肝心の絵は
あっさりしていて外連味がない。ごてごて塗
りたくるコチトラは感心しきり。
10/25tue
公園に シニア週一 落葉掃き
(こうえんに しにあしゅういち おちばはき)
※町内の道路、公園などの清掃はシニアの無償
の労働に負っている。老人会、誘われたこと
もない。とか言っているうちに10年近くだ。
10/24mon
イチジクの 絵にむらさきの 熟したり
(いちじくの えにむらさきの じゅくしたり)
※当地の文化祭に仲間と水彩画を出展すること
になった。いつもは間際に非才さを嘆くのだ
が、今回は秋の野菜や果物をうまく描けた。
それがどこであれ衆目に晒すというのは大変
なことで、実はかなりホッとしている。
10/23sun
さつまいも 半分掘って 虫の里
(さつまいも はんぶんほって むしのさと)
※関東南部は曇り日と雨天続きで日照時間が極
端に少なかった。もう少しかな?と残してお
いたサツマイモは意図せざる放置でどうなっ
ていることやら。気をもんでいる。
10/22sat
教師褒め 親父酒出す 秋の夕
(きょうしほめ おやじさけだす あきのゆう)
※この句は8/5の
「ほろ酔いの 教師は黒く 大夕焼」
と同じ思い出につながる。中学校の事務の先
生が帰途に我が家に寄って、私の部活の充実
ぶりを褒めていった。
誰も覚えていないかもしれないが、テニスと
タバコと酒が大好きな、しょうもない先生。
俺は好きだったよ。
10/20thu
欅 自らなる形 秋に満つ
(けやき みずからなるかたち あきにみつ)
※散歩ルートにある3本のケヤキ。紅葉、落葉
前の今、一年の成長を全身で現わしているよ
うに思われる。何の変哲もないケヤキなのだ
が、一年の成績は5だなと思う。
10/19wed
秋冷えて 昨夜は風呂に 入りしかと
(あきひえて さくやはふろに いりしかと)
※実はよくある話。もっと寒くなると毎晩風呂
に入るが、多少肌寒くなっても風呂は二日に
一度、もう一日はシャワーで済ます。済ます
というより、のんびり・ゆったりかつ気軽な
シャワーが好きだ。それで掲句のような疑問
が湧き出る。ボケのせいではない証拠にかな
り以前からのことなのだが。
10/18tue
児童向け 大きな字読む 良夜かな
(じどうむけ おおきなじよむ りょうやかな)
※図書館にはシニア向けに大文字本が用意され
ているが、その分がさばるので敬遠していた。
この前借りてきた季語写真集は親切な内容で
わかりやすく気に入っていたら、中高生向け
の児童図書とあった。
10/17mon
柿の実や 製材所の お茶時間
(かきのみや せいざいしょの おちゃじかん)
※当家の一本の柿の木は今年お休み。数少ない
実が殆ど7月までで落果した。周期的な不作
なのか、以前のようなヘタ虫の被害か、今の
ところ不明。
10/16sun
リヤカーに 子と芋と鍋 芋煮行
(りやかーに こといもとなべ いもにこう)
※町内の親しい母親仲間が集まり、日と持ち寄
りを決め、一切合切を積み込んで、町中から
郊外の広い河畔の湧水場まで歩いていく。小
一時間ほどもある女集団のおしゃべり付きの
移動だ。今なら目立って、鼻つまみにもなろ
うが、当時はなんとも街の光景になじんでい
た。行った先は天国、おしゃべりと芋煮。息
抜きと骨休め。
10/15sat
垣を剪り 果樹には秋の お礼肥
(かきをきり かじゅにはあきの おれいごえ)
※金木犀も大方花を落としたし、少ししたら一
年分の丈を詰める。秋の作業の一つ。
10/14fri
涼気早や 寒気となりて 坂の家
(りょうきはや かんきとなりて さかのいえ)
※挨拶は寒いですねに変わった。坂の中途から
見下ろす夕方の光景は光を失って空も地も鈍
色。
10/12wed
長身の 荷風が覗く 路地の秋
(ちょうしんの かふうがのぞく ろじのあき)
※YouTubeの朗読で荷風の「日和下駄」「濹東
綺譚」を聞く。朗読で扱われているものの中
では長い方、後者は3時間余りだ。しかし、
いずれも以前に読んでいるので、歩きながら
でも気軽に聞ける。細部は聞き流しても、む
しろ荷風文章の達者なリズムが味わえる。
10/10mon
竿売りの 音高らかに 刈田道
(さおうりの おとたからかに かりたみち)
※その道は行き止まりだよと言ってあげたかった
が、農道をまっすぐに行く。テープの音が両側
の小高い丘に反射するようだ。ナビ圏外の小道。
あの手の軽トラのセールスは多分地の人ではな
い。大量に安く仕入れて、県を跨ってでもひた
すらに売り歩くと聞いた。
10/9sun
栗名月 雲の間にこそ 香りあり
(くりめいげつ くものまにこそ かおりあり)
※ここ数日の曇天に半ば諦めていた十三夜、厚か
った雲が夕方にかけゆっくり薄くなり、格好の
名月待ちとなった。
客なくて 金木犀の 盛りかな
(きゃくなくて きんもくせいの さかりかな)
10/7fri
コスモスや 犬に拒まれ 花の道
(こすもすや いぬにこばまれ はなのみち)
※異常な寒さに我が家の犬はより元気になる。や
や夏バテ気味の頃散歩を短縮して来のこと、今
日その道に拒否権を発動した。
10/6thu
鰯雲 静かがよろし スピーカー
(いわしぐも しずかがよろし すぴーかー)
※市がつけている広報スピーカー。防犯上の注意
喚起や気候情報がメイン。不審者、詐欺電話情
報、大雨や強風注意、警報、行方不明者捜索な
ど幅広い。この季節に多いのが有害鳥獣駆除実
施のお知らせ。等々。
良く聞こえないという人も多い中で、近い人々
は音の大きさに頭を抱えている。いずれにして
も静かがいい。使わないで済むような。
10/4tue
露草や林間一帯を領す
(つゆくさやりんかんいったいをりょうす)
※この光景は昨年まではなかった。一年草と言わ
れる露草が辺り一面をわがもの顔に青い花を散
りばめている。
10/3mon
クラス会 秋集合は 動物園
(くらすかい あきしゅうごうは どうぶつえん)
※ミニクラス会を3年ぶりにやろうということに。
年末年始の危険、風邪とのダブルパンチ、第8
波だってこわいが・・・。慎重派と決行派、間
をとってなるべく速やかに、ということになっ
た。動物園の後は谷中に降りて一散歩、店に急
ぐことに。
10/2sun
牛乳で コーヒー飲む癖 今朝の秋
(ぎゅうにゅうで こーひーのむくせ けさのあき)
※コーヒーファンを自認して小うるさいことを
言っていたのも今は昔。一日に一杯とする必
要があり、その貴重な一杯を朝食の牛乳にイ
ンスタントコーヒーを入れたことが運の尽き。
「おや、おいしいねえ」となった。
10/1sat
法要の 客と出会いぬ 風蝶草
(ほうようの きゃくとであいぬ ふうちょうそう)
※喪服の3人と出会った。理容店主の四十九日
とわかった。故人は8月の暑い盛りに逝った。
残暑が厳しいといわれていたが、台風と大雨
が列島を翻弄している間にすっかり例年並み
の気温になった。涼しい天国に早く来過ぎた
と思っているかもしれない。
**********
9/30fri
秋西日 茶筅日向に 干されあり
(あきにしび ちゃせんひなたに ほされあり)
四方から 今ぞ今ぞと 虫の闇
(しほうから いまぞいまぞと むしのやみ)
9/29thu
野分去り 他家の毬栗 数えけり
(のわきさり たけのいがぐり かぞえけり)
秋場所や 初老力士の 力こぶ
(あきばしょや しょろうりきしの ちからこぶ)
※台風後の散歩、俳句作り、九月場所テレビ桟敷
そして草むしりか、九月もすっかり年寄りの種
目で終わりそう。
9/28wed
国葬の過ぎてボートは生き返り
(こくそうのすぎてぼーとはいきかえり)
※総意とは何だろう? 総意とは言えないけれど、
本来は総意となってすべきことを識り重視し、
右顧左眄せず突き進んだ・・・安部元総理の業
績だと思う。右っぽいとか言われそうだが。
9/27tue
さびしいね大変ねとぞ彼岸過ぎ
(さびしいねたいへんねとぞひがんすぎ)
※友人は男一人住まいの後期高齢者。都心でもさ
まざまに支援の手、声掛けがあるという。しか
しこの手の言葉は慰めにもなんにもならない、
と友人は苦笑。そこまで落ち込んでいない、と。
彼は175センチを超える偉丈夫である。
9/25sun
今朝の秋 呉服店主の 紺の足袋
(けさのあき ごふくてんしゅの こんのたび)
※後ろに土蔵の蔵屋敷を構えた呉服商店。商売
は今や細々とらしい。足袋の裏は白い。
9/24sat
かすかなる 踏切の音 自在秋
(かすかなる ふみきりのおと じざいあき)
※台風が近くを通過している深夜、強風の合間
に近くの踏切の音が聞こえる。かすかだが。
耳が良いせい? 年齢と鍛錬?のせいで好き
な音を自由に呼び起こすことが出来るように
なった。この時間にローカル線が走るわけが
ない。
9/23fri
短めの 形見の杖で 彼岸まで
(みじかめの かたみのつえで ひがんまで)
秋彼岸 風に戦の末予感
(あきひがん かぜにいくさのすえよかん)
※戦争、内外国葬2題、インフレ・経済、災害
・・・落ち着かないこと限りないが、これも
聞こえ過ぎ、情報化社会故の不幸かもしれな
い。どこかで分水嶺を越えてすうーっと静か
になることもある。それが秋分の日。
9/22thu
風の盆 男踊りは 空を切り
(かぜのぼん おとこおどりは くうをきり)
※今月初めの富山八尾町、越中おわら節のお祭
り「風の盆」。この旋律と踊り、何故こんな
にも哀切極まるものが生まれて、かつ継がれ
ているのか? みんなで踊るのと、保存会の
踊りを静粛に大事にただ眺めるのが並行して
あるからなのかな?
9/21wed
木彫師 師の師は光雲 いわし雲
(もくちょうし しのしはこううん いわしぐも)
※内房の小さな街に住む木彫師は高名な名前を
口にする。僅かに「知ってる?」という気分
が漂う。例の野猿像どころか最近は彫りたい
ものとは無縁であると残念がる。
9/19mon
子規忌なり 少し老けたと 言いにけり
(しききなり すこしふけたと いいにけり)
下弦なる 月確かめて 敬老の日
(かげんなる つきたしかめて けいろうのひ)
※浮遊する敬老の日は今年子規忌と同じ19日
になった。その業績から子規翁と呼ばれるこ
とも多いが、亡くなったのは35歳。
9/18sun
街なかで 熊除けの鈴 秋まみれ
(まちなかで くまよけのすず あきまみれ)
※無人を思わせる団地の静謐を破って鈴の音が
聞こえる。日曜日の住人が無聊に任せてスピ
ーカーで流しているのではない。
9/17sat
秋の日やメインツリーは果樹となる
(あきのひやめいんつりーはかじゅとなる)
※ガーデニング風に言えば、我が家のメインツ
リーはモモ、ブドウ、柿の3本。今年の成績
を言えばいろいろあるが、後期高齢者の思い
込みは安定していて、功が拮抗している。
9/15thu
よろず屋にバス待つ人の宿場町
(よろずやにばすまつひとのしゅくばまち)
街なかに街道ありて秋夕暮れ
(まちなかにかいどうありてあきゆぐれ)
※米を収穫して現金収入を手にした農家にとっ
て一年で一番豊かさを感じる季節だ。思い切
って遠出して温泉で骨を休めたり、近くの街
に買い物に出たり。小さな商店街のある街ま
では多くはバスで行きかえりだ。日常使いの
品ではなく、好きな品を既に考えてある。
小さな街の小さな商店街。一日声があふれる。
9/14wed
秋の日強し団地音一つなし
(あきのひつよしだんちおとひとつなし)
※こんな音のない風景はミステリー映画の撮影
に使えるのでは?なんて思いがうかぶが、今
やこうしたシーンは全国に溢れ、履いて捨て
るほどある。洗濯物のそよぎが「使用中」を
示す。
9/13tue
無人駅の読書 針の進む音
(むじんえきのどくしょ はりのすすむおと)
※こんな静かな無人駅があるところは貴重かな?
いまどきは遠隔で音声案内がある。
9/11sun
耳元で癌を語りて夏に逝く
(みみもとでがんをかたりてなつにいく)
ワケギ好き冷凍を説く床屋あり
(わけぎずきれいとうをとくとこやあり)
※仲の良かった床屋の親父が死んだ。3年近く
の肺ガンとの闘いの末である。なにをさせて
も執念とこだわりの強い人だったから、ゆっ
くりした床屋タイムの話はいつも楽しみだっ
た。合掌。
9/10sat
名月もかすむ蝮の噂かな
(めいげつもかすむまむしのうわさかな)
※見事な名月。さすがに。見えすぎなくらい。
9/7wed
我慢して 追肥をかてに 秋茄子
(がまんして ついひをかてに あきなすび)
※9/7泉鏡花の忌日。代表作以外は読むことのな
かった作家だが、ネットの朗読に親しんで鏡
花も三つほど聴いた。いずれもスマホのおか
げ、YouTubeのおかげ、ヒマのおかげ。鏡花
との距離が随分縮まった。
9/6tue
稲刈り機揺られウクライナのことを
(いねかりきゆられうくらいなのことを)
運転は孫に勝りて刈田かな
(うんてんはまごにまさりてかりたかな)
一族も郎党もいず刈り終わる
(いちぞくもろうとうもいずかりおわる)
稲刈りてデータを入れる月明かり
(いねかりてでーたをいれるつきあかり)
9/5mon
カタロニア 野の鳥を見る 善衛の忌
(かたろにあ ののとりをみる よしえのき)
※少し左派がかった元日本ペンクラブ会長堀田
善衛が亡くなったのが1998年9月5日。
スペインアスツゥリアスとカタロニアに合わ
せて5年近く住んだ作家である。著作も多い。
小生がスペインオタクになった機縁である。
野の鳥はピースピースと鳴く、とカザルス。
9/4sun
飴色の ぶどう袋に 妻方々
(あめいろの ぶどうふくろに つまほうぼう)
※甘くはありませんがとお裾分けするが、おい
しかったと言ってくれる人もいる。高級品が
多い最近では昔のぶどうの味でなつかしかっ
たという感想かな?
9/3sat
剃りたての 頬を撫でつつ 桐一葉
(そりたての ほほをなでつつ きりひとは)
※例年より低い気温が続く。台風は沖縄県先島
近辺で停滞の後東北に動き始めた。
朝に切る ぶどう三房を 仏前に
(あさにきる ぶどうみふさを ぶつぜんに)
9/2fri
近道の 秋灯の家 時計鳴る
(ちかみちの しゅうとうのいえ とけいなる)
※やっぱり昭和か?ちょっと古めの時計の音が
聞こえた。窓に映る灯りも古めの暖色系だし、
新しい家にしてはやや奇々怪々。
9/1thu
度を重ね 二百十日の 俄雨
(どをかさね にひゃくとおかの にわかあめ)
小椋鳥 夕立家に 帰りかね
(こむくどり ゆうだちいえに かえりかね)
※ムクドリは常に群れで行動するのに、突然の
激しい雨に打たれ、一羽が木の根元に取り残
された。いつもは群れの旺盛な動きに舌打ち
することもあるが今日の姿はほんの小鳥だ。
**********
8/30tue
秋の風来て花痩せしサルスベリ
(あきのかぜきてはなやせしさるすべり)
露草や 初お目見えの 庭の朝
(つゆくさや はつおめみえの にわのあさ)
※曇り日が続いたのち昨日今日は一段と涼しい
日。夜の気温が20度を切ると涼しいから一
気に寒いへ悲鳴に変わる。庭の草の中に露草
発見! 25年来、我が庭で初めて。
8/28sun
秋と聞き 山門今日は 中に入る
(あきときき さんもんきょうは なかにいる)
眼鏡かえ スマホで秋の 季語一つ
(めがねかえ すまほであきの きごひとつ)
8/27sat
夏豪雨 気圧配置の 骨身まで
(なつごうう きあつはいちの ほねみまで)
※秋田、山形、新潟を中心に、この夏豪雨の被
害が広がった。気圧配置の固定化と前線の居
座り、線状降水帯の連続発生等によるものだ
った。一週間ほど前からの事前の予報の通り
であったが、それでも被害は甚大なものに。
8/25thu
眠らねば 班増えるとて 晩夏かな
(ねむらねば はんふえるとて ばんかかな)
譲られし 苗のトマトの 味野生
(ゆずられし なえのとまとの あじやせい)
8/24wed
少年の目に父祖の地よ盆地秋
(しょうねんのめにふそのちよぼんちあき)
※8/23は白虎隊の日、自刃した日。その場所飯
盛山からは砲煙にかすむ城下だけでなく会津
盆地の初秋の景色が広く見えただろう。命全
うすればもっともっと馴染んだはずの故郷の
景色が。
8/22mon
朗読の声朝に聞く邦子の忌
(ろうどくのこえあさにきくくにこのき)
※8/22は向田邦子忌日。YouTubeの朗読物は特に
この1,2年で優良コンテンツが激増してい
る。中でも人気を博しているのは、明治以降
の大作家連の短編と向田邦子のドラマものだ。
わかるような気がする。
8/21sun
三代の 球児いよよの ガッツあり
(さんだいの きゅうじいよよの がっつあり)
※夏の甲子園も決勝を残すのみ。東北勢同士の
決勝を夢見たが、まあ仙台育英の優勝が実現
すれば大殊勲だ。
8/19fri
つかまらせ 花緒をすげる 秋めく日
(つかまらせ はなおをすげる あきめくひ)
※当地はからっとした天気。こんな日はあらぬ
ことを幻のように想像してみたい。下駄ばき
で鼻緒が切れて困っていた少女がいた・・・。
8/18thu
対策の 水を飲みつつ 白槿
(たいさくの みずをのみつつ しろむくげ)
溶接工 腕さえわたる 盆の明け
(ようせつこう うでさえわたる ぼんのあけ)
※60歳を超えて所属した会社で一緒だった人
と偶然会った。何年ぶりか? 溶接工のキャ
ップを務めていた名人、その腕の変わらぬ自
信はほんの2,3言でわかる。
8/17wed
葡萄一房光を貯めて下がりおり
(ぶどうひとふさひかりをためてさがりおり)
※不順な気候の中で、我が家の名もないぶどう
は大奮闘。例年より遅れ気味だがより多くの
房をつけている。緑色の固い粒々が次第に飴
色に、光を通すようになってきた。早いヤツ
をつまみ食い出来るのがこの時期の無上の喜
び。
8/16tue
学徒兵命全うすれば夏
(がくとへいいのちまっとうすればなつ)
※学徒の繰上げ卒業にまつわる事実が新たにわ
かったことを伝える特別番組を見た。決然と
出陣式で雨中行進をした人たちの中で、なお
多くの若人が戦地に行かなくても済んだこと
を知る。
8/15mon
逢ひとふて 驟雨疾走 孫産まる
(あいとうて しゅううしっそう まごうまる)
※姪夫婦に待望の初孫ができた。日頃冷静な二
人だが、狂喜して病院に向かう。
8/14sun
嵐去る 盆の街角 見渡しぬ
(あらしさる ぼんのまちかど みわたしぬ)
久闊の 言葉探して 盂蘭盆会
(きゅうかつの ことばさがして うらぼんえ)
年寄りて 盆にことなし 風の音
(としよりて ぼんにことなし かぜのおと)
8/13sat
盂蘭盆会 レーダーで追う 故郷の雲
(うらぼんえ れーだーでおう くにのくも)
※スマホでPCで現在地以外の地域の天気、雨
雲レーダー、災害可能性や警報・注意報のチ
ェックが容易にかつ即座に出来る。
必要があればそのまま即電話でコンタクトを
とる、地域のメディアにアクセスをすること
も可能だ。通信とデータ送受の革新は急速。
しかし自然の猛威を前にして、出来ることは
限られる。これは変わらない。
8/12fri
調律の 待たれる頭 炎天下
(ちょうりつの またれるあたま えんてんか)
起動時の 膝の重さよ 秋立ちぬ
(きどうじのひざのおもさよあきたちぬ)
※朝起きがけの膝の重さは老化速報。一年後の
歩行能力を知ることが出来る。そう思う。ほ
んの5~10歩で重さは消え、快調になるの
だが。PCのように再起動で問題解決、とは
いかない。立秋、しばらくは残暑、その後は
確実に秋、着実に老化。
8/11thu
高山病 肩の小屋にて 米を炊く
(こうざんびょう かたのこやにて こめをたく)
※若い頃4月に連休を待ちきれず、登山に出か
けた。槍沢小屋を朝に出て槍ヶ岳を目指すシ
ンプルな計画。ただ積雪は多く、ジグザグの
登りが最後まで直登となる。登りの残り1/4
くらいのところでガタンと体力が落ちた。
先に着いて小屋で寛ぐ人の姿がはっきり見え
るところだった。そこからなんと2時間強か
かったのだ。1時間半はその場所でストップ。
動けない。好天で良かった。50年前のこと。
今では最高の思い出。今日は「山の日」とか。
8/10tue
眼前は 水被る稲 晩夏光
(がんぜんは みずかぶるいね ばんかこう)
※東北北部に豪雨被害が続いている。当地は暑
さ続きで、盆明けの稲の刈入れを前にしてい
る。とんでもない違い。
8/8mon
小型船 夏のくらしの 音がもれ
(こがたせん なつのくらしの おとがもれ)
※くらしの音と問われたら、NHKラジオの正午
過ぎ「昼のいこい」のテーマと答えるかもし
れない。木更津港に係留している小型鋼船の
一つからこれが聞こえた時、ジーーンときま
したね。
8/7sun
白球の清涼と女子のブラスよ
(はっきゅうのせいりょうとじょしのぶらすよ)
※夏の甲子園開幕。観客、応援団を入れての試
合は一層熱が入る。それにしても応援席は女
性上位だ。チェアガールにブラスバンド、女
子は皆余裕たっぷり、笑顔がこぼれている。
お付き合い参加ではない。
がしんたれ強豪以外よ暴れたれ
(がしんたれきょうごういがいよあばれたれ)
※大阪桐蔭、何馬身か空いて智弁和歌山等々下
馬評はどれも関西勢優位のよう。
8/6sat
原爆忌 乞ひ願ふこと 今多く
(げんばくき こいねがうこと いまおおく)
母削る 鉛筆が誇り 原爆忌
(ははけずる えんぴつがほこり げんばくき)
※今でも当時母が毎晩削ってくれた鉛筆のカッコ
良さは周囲を寄せ付けなかったと思っている。
ちなみに、幼少時代の私は暴れたら手が付けら
れないと匙を投げられた挙句、家の中で「原爆」
と呼ばれていた。
8/5fri
ホーン越し やや声低く 大暑かな
(ほーんごし ややこえひくく たいしょかな)
上向いて ヴィーナス夏の かんばせを
(うえむいて びーなすなつの かんばせを)
揺らぐごと 雲海に浮く 肩の小屋
(ゆらぐごと うんかいにうく かたのこや)
8/4thu
外人の 教師が走る 夏の朝
(がいじんの きょうしがはしる なつのあさ)
※オーストラリア出身の幼稚園の外人先生が走
る。いつも遅れてくるようだ。おはようござ
いますと挨拶する表情はいつも照れている。
大きい幼稚園は差別化の目玉として英語教育
を掲げる。ネーティヴの先生がいますよとい
うわけだ。しかしそれ以外の仕事もなんでも
やらされるみたい。園児を乗せたバスが着く
と、にこやかにお迎えする。到着園児の顔、
人数、バスの座席点検・・・朝から大変だ。
8/3wed
潮干狩り 一坪ほどが わが漁場
(しおひがり ひとつぼほどが わがりょうば)
※海上は風通し万全だけれど、アサリを求めて
さまようと予期せぬ密にもなりかねない。そ
れで「動き回らないで」とスピーカーが。マ
スク着用の注意はないが、しっかり着けてい
る人が多い。もう今年は終わり、死なないで。
8/2tue
ほろ酔いの 教師は黒く 大夕焼
(ほろよいの きょうしはくろく おおゆやけ)
※部活の指導を終えた教師は自転車でいち早く
ご帰還。近くの一杯飲み屋に駆け込む。真っ
赤な顔で家に向かう頃、生徒たちに会う。そ
して「おう、気をつけて帰れよ」と。自転車
はすでにふらふら・・・。世の中がすべて今
より寛容な時代。
8/1mon
雨音は 夢か幻聴 蝉しぐれ
(あまおとは ゆめかげんちょう せみしぐれ)
※深夜確かに雨音を聴いた。朝になってあれは
雨でなかったとがっかりすることのないよう
に、寝床でしっかり耳をそばだてた。しかし
朝がっかりした。余計落胆した。降雨のシル
シは露ほどもない。
今朝はほんのちょっとだけど涼しいが、これ
ぞ降雨のシルシでは? 家人はすげなく否定。
降雨なしが決定。
これからは寝床から起きて立って外を眺めて
確認しようということになった。もっとも小
生は少年時代に寝ぼけ癖の輝かしい戦歴があ
るから、起き上がっての確認もそこまで含め
て睡眠中の出来事となるかも。
認知症の忍び寄っているせいなのか、熱中症
近辺の暑さのせいなのか?
**********
7/31sun
風鈴や 南部湯宿の 闇の濃さ
(ふうりんや なんぶゆやどの やみのこさ)
※花巻市郊外の花巻温泉郷台温泉に宿泊したこ
とがある。いい湯いい宿だった。遅くついた
のに印象深いのは夏の闇の深さと透明な湯の
せいか。
7/30sat
兜虫 遅き経済の 良さ知らず
(かぶとむし おそきけいざいの よさしらず)
※この国はかつて高い経済成長を実現し、効率
第一を叫んで、その果実を満喫した。その頃、
個人商店は消え失せ、全国の街々が画一化し
ていった。背後で家庭が地域が変質した。
人間だって(後の言葉で言えば)クローンの
ようなサラリーマンが労働者が生きがいとし
て、その路線に沿い、貢献した。絶頂時には
「21世紀は日本の世紀」とまで。
ところが今、「失いし20~30年」とかを
聞いている。聞いて久しい。
「経済成長は神話だよ、続かない」「多くを
失っているんだよ。今良く考えなければ手遅
れになると・・・」50年以上前にアンチ高
度成長を言った人はいっぱいいたね、そう言
えば。ためにする人も多かったが、深刻な正
論もあった。
7/29fri
煙草屋の 解体終わり 晩夏なる
(たばこやの かいたいおわり ばんかなる)
※店先販売はとうの昔にやめ、長いこと自販機
がならんでいた。不思議なもので店も住まい
も一緒に解体されると、かなりのおばあさん
が日がな店番をしていたことが思い出される。
7/28thu
夏号の 稿を渡せり 白き道
(なつごうの こうをわたせり しろきみち)
※一回きりと代理を頼まれた。夏を迎えるエッセ
イなんでも、という。地域のミニコミ誌みたい
なもの。安請け合いした直後に梅雨が明け、真
夏の暑さが襲ってきた。「なんでも」を頼りに
やっとこ駄文を弄した。どうせ誰も見ない、と
思ったことを後悔した。
7/27wed
端居やめ 犬の背たんと 流しけり
(はしいやめ いぬのせたんと ながしけり)
冷麺や 腰にさしたる 扇子かな
(れいめんや こしにさしたる せんすかな)
7/25mon
夏稽古 代役の子に 黒子あり
(なつげいこ だいやくのこに ほくろあり)
夏稽古 来ぬ子の役を 全部やり
(なつげいこ こぬこのやくを ぜんぶやり)
※地域で演劇の指導をしている人の稽古場を端
で見せてもらった。こんな人がいることが大
変貴重に思えるが、やはりコロナ禍のせいで、
せっかくの夏休みの強化練習も参加者が思う
に任せないとのことだ。
7/23sat
蝉時雨「巴里は燃えているか」聞こゆ
(せみしぐれ ぱりはもえているかきこゆ)
百日紅の赤「巴里は燃えているか」
(さるすべりのあか ぱりはもえているか)
※NHKスペシャル「映像の世紀」シリーズの通
しのテーマ。作曲した加古隆のインタビュー
番組を聴いた。やっぱり憎いねェ。
7/22fri
百日紅 警報の声 流れけり
(さるすべり けいほうのこえ ながれけり)
※当家の一本の桃の木。小粒とは言え実は多く
たわわだが、今年は虫の被害が多かった。プ
ラムのカイアガラムシに気を取られノーケア
だった。
やっと不順な天候の合間を縫って収穫し終え
た。さて来年に向けてはどうしようか? 思
案を始めている。
7/20wed
ああいえばこういう夏の国訛り
(ああいえばこういうなつのくになまり)
※Lineでのテレビ電話、これが少し前だったら、
「用もないのに顔はいらない」とか言って一
方的に敬遠したろうに、この齢になると、晩
くやってきた、この便利な仕組みに結構素直
になじんでいる。年齢による羞恥心の欠如?
いやそんなことをいうほど衒いもない。
7/19tue
夏時雨桃の実落ちる音にせく
(なつしぐれもものみおちるおとにせく)
※不順な天候が続く。担当の雑草刈りも果樹の
世話も意に沿っては進まない。やっぱり九州
山口地方に梅雨末期に似た豪雨の被害が心配
になる。
7/18mon
祇園会や 小雨に白の 角隠し
(ぎおんえや こさめにしろの つのかくし)
※故郷の近く会津田島町の祇園会のメインは花
嫁行列。今年はどうなるのだろうか? 近年
は嫁のナリテが町の内外から押し寄せるとい
う。7月16日は1月16日とともに、昔の
言葉で「藪入り」、奉公人や嫁入りした娘が
実家に里帰りした日だ。今や完全な死語。
こちらの花嫁はその日のうちに帰るのだろう。
7/17sun
宵山に 泣いたらあかん 稚児の声
(よいやまに ないたらあかん ちごのこえ)
※久しぶりの京都祇園祭のフル日程が無事に進
むことを切に祈る。NHKドラマ『京都人の密
かな愉しみ』はええなァ。直近は「Blue修業
中 門出の桜」かな。源孝志ディレクターに
よるもの。くせはあるものの、ええ腕しては
るわァ。
7/16sat
夏の雨 頼朝が行く 国境
(なつのあめ よりともがいく くにざかい)
※近くに鎌倉街道という古道がある。随分説明
を受け、フィールドワークにも出かけたが、
仔細の記憶はゼロ。ただ南の安房の国から上
総の国に、頼朝が土地の豪族、兵を募りなが
ら北上したのはテレビの通りらしい。
7/15fri
ラケット背に 女剣士が 夏椿
(らけっとせに おんなけんしが なつつばき)
※小雨の中を自転車で行く姿は凛々しい。コー
ト使えまいに、と思うが今は体育館で大勢で
乱打練習が出来るらしい。
7/13wed
短夜や ひそかに話す 人通る
(みじかよ やひそかにはなす ひととおる)
夏帽子 カフェを待つ間の 立ち向かい
(なつぼうし かふぇをまつまの たちむかい)
※カフェテラスという屋外の店が大都市で増え
ている。最近は地方都市でも狭い舗道を占拠
してテラスと称しているのが多い。ましてや
そこの空くのを待っている御婦人連がある。
7/11mon
命がけ 炎暑の選挙 いかと見る
(いのちがけ えんしょのせんきょ いかとみる)
※参議院選挙が終わった。普通の人が普通に与
えられる選挙権、それは勝ち取った権利。被
選挙数の比較優位によってのみ代議員となれ
る。この価値をどうみる、どうみるべきか?
これのない国々の人々よ。
7/10sun
短夜に口の遅さを嘆じけり
(みじかよにくちのおそさをたんじけり)
※加齢とともに口が重くなる、口数が減る。語
彙も減る。自分だけはそこまでにはならない
と、根拠なしの自信もあるにはあったのだが、
そんな希望もあえなくコロナ禍によって潰え
去った。
7/9sat
涼しけり政治の海に笑み消えぬ
(すずしけりせいじのうみにえみきえぬ)
長州と江戸の間で夏憤死
(ちょうしゅうとえどのあいだでなつふんし)
※元首相の街頭演説中の死。毀誉の混じるとこ
ろはあったが、圧倒的な天性とそれ故のゆと
りとユーモアを備えた政治家。合掌。
7/8fri
若妻が 夫の腕ひく 夏木立
(わかづまが おっとのうでひく なつこだち)
杖を持て 実を引き寄せて 袋掛け
(つえをもて みをひきよせて ふくろがけ)
7/7thu
築地塀 驟雨のあとを 見せてあり
(ついじべい しゅううのあとを みせてあり)
※文化財に指定されている江戸時代の築地。荒
い素地がむき出しになっているから年々の雨
等による浸食が心配だ。とは言え、俄雨の後
の箇所を指でエグルように強く触れてみた。
大丈夫だ。指にはなにもついてこない。
7/6wed
浮雲の 行先知らず 芙美子の忌
(うきぐもの いきさきしらず ふみこのき)
※林芙美子の「浮雲」をネットの朗読で全編聞
いた。全部で8時間余り。戦争と男と女の物
語。名匠成瀬巳喜男、高峰秀子、森雅之主演
の同名の映画も鮮明に覚えているが、ネット
朗読版も気に入った。忍耐あっての「聴破」
だが、この長い時間が戦中戦後の時間の経過
と変遷を味わうにはよりフィットするのかも
知れない。芙美子忌は6月28日。
7/4mon
暁に僅かに僅かなれど喜雨
(あかつきにわずかにわずかなれどきう)
※台風の影響で暑さをもたらした気圧配置が崩
れ、雨模様の不安定な天気になった。文字通
りの「喜雨」。西日本の豪雨の気配がないで
もないが、当地当家の野菜、果樹にとっては
喜雨だ。人間にとっても。
7/3sun
なお強き 膝をさすりて 半夏かな
(なおつよき ひざをさすりて はんげかな)
7/2sat
半夏生 犬ともに我れ 脚強く
(はんげしょう いぬともにわれ あしつよし)
※山登りなどには長くネックになっていた右膝
が、この十年近く朝夕の平地歩行には悲鳴を
あげず、持ちこたえている。幸い今に至って
も平地に限れば2、3時間連続でも行ける。
これも、臆病に無理を避けたこと、そして我
が家の犬のお蔭だ。
7/1fri
街ゆがみ 夏の絵描くは ゆがむまま
(まちゆがみ なつのえかくは ゆがむまま)
※都心の馴染みの通りもしばらく見ぬ間に変貌
し、ニョキニョキと高層マンションとやらが
両側に。不自然に見上げてやっと変化を知る。
猛暑がその歪みを激しく助長する。
行く年も走りおおせし鉄路あり
(ゆくとしもはしおおせしてつろあり)
さわし柿切れ干し柿を食らう暮れ
(さわしがききれほしがきをくらうくれ)
暮れなれど二人ポカンと映画見る
(くれなれどふたりぽかんとえいがみる)
歳晩に火鉢を出して非日常
(さいばんにひばちをだしてひにちじょう)
愚痴を言う大晦日にも三つだけ
(ぐちをいうおおみそかせにもみっつだけ)
※年内の仕事は最低限にして昨日までに終わっ
た。今日は心身ともに予備日? これが大正
解。それで句の方をちょっと棚卸し。暮れの
句を掃除し残った句を羅列する。
映画は「恋におちたシェイクスピア」、なぜ
かちゃんと通しでは見なかったヤツ。
12/30fri
煤払い終え扇橋の千代女かな
(すすはらいおえせんきょうのちよじょかな)
※先代入船亭扇橋の得意演目ではなかったよう
だが、古いテープで「加賀の千代女」を聴き、
いっぺんで好きになった。今その動画はアッ
プされていないようだ。
千代女の有名な句に「あさがおやつるべとら
れてもらひみず」がある。扇橋は落語界一の
俳句好きだった。
黒豆の出来は如何と長電話
(くろまめのできはいかんとながでんわ)
12/29thu
耕筰忌 からたちの花の 今やっと
(こうさくき からたちのはなの いまやっと)
※明治以降の日本の歌には、メロディの繰り返
しで1番2番ではなくて全曲流れるように一
つのメロディによるものが多い。
城ヶ島の雨(梁田貞)初恋(越谷達之助)小
諸なる古城のほとり(弘田龍太郎)などなど。
へたくそな私が歌えるようになるまで大いに
時間を要したが、その分味わい深い。当時は
一種の流行だったのかも。
12/28wed
海鼠腸を 食う人を見て 喜寿迎ふ
(このわたを くうひとをみて きじゅむこう)
喜寿の席 トンカツ食いて 見つめらる
(きじゅのせき とんかつくいて みつめらる)
生きるのみ 雨のあがりて 喜寿の冬
(いきるのみ あめのあがりて きじゅのふゆ)
※満77歳の誕生日を迎えた。祝いの宴で一席、
羞恥心を抑えて喜寿の3句。
12/27tue
極月や 火の用心の 江戸言葉
(ごくげつや ひのようじんの えどことば)
※年末は毎日夕方に「火の用心」の見回りをし
ている。最近はうるさいとかやめろとか一部
住民が反発する所があったらしい。なんとア
ホがいることか。
拍子木の音のあとに、「火の用心さっしゃり
ましょう」と粋な呼びかけをする人がいる。
ハハーンあの人だな。
12/26mon
歳末に 展望しえぬ 世事多く
(さいまつに てんぼうしえぬ せじおおく)
※メディアは一斉に年末モード。一年を振り返
り、翌一年をばっさりと展望する、・・・の
だが。展望と言える内容は少ない。
12/25sun
車椅子 押すは孫の子 クリスマス
(くるまいす おすはまごのこ くりすます)
手袋やクルマ待つ間の毛玉とり
(てぶくろやくるままつまのけだまとり)
※クリスマス光景点描。平和だ。
12/24sat
窓越しにダンス練習見る聖夜
(まどごしにだんすれんしゅうみるせいや)
※クリスマスめいたものは身辺にも近所にもな
いと思っていたが、そうでもない。
近くに越して来た中国人の中年独身男性がど
ういうわけか家にイルミネーションを飾って
いる。へえ・・と驚いて眺める。公民館のホ
ールでは練習か本番か・・・。優雅だ。
12/23fri
冬嵐 アクア通いの 医師休診
(ふゆあらし あくあがよいの いしきゅうしん)
名を聞きぬ 顔はメールで 冬の孫
(なをききぬ かおはめーるで ふゆのまご)
※安全を考えるときりがない。まして冬に生ま
れた初孫だ。
12/22thu
新聞を 素早く読みて 冬至かな
(しんぶんを すばやくよみて とうじかな)
さわし柿切れ干し柿を食らう暮れ
(さわしがききれほしがきをくらうくれ)
※12月はバタバタと忙しいとか、あっという
間だとかの声を聞く気はない。こう寒いので
は暖かい屋内でじっとしているにしくはない。
今日は冬至ではないか。
12/20tue
木枯らしや不意なる喉の内視鏡
(こがらしやふいなるのどのないしきょう)
※親しい友が甲状腺ガンで死んでから2年にな
る。こちとらも甲状腺ホルモン某の持病があ
る上に最近とみに喉元のところでミニトラブ
ルが起こる。美声もかすれることが多い。
呼吸器科に行って訴えた。心配を取り除いて
と。そしていきなりの内視鏡だ。結論は、
「きれいです。なんにもありません。あって
も年齢相応の嚥下トラブルでしょう」と。
12/19mon
サッカーは 冬の季語なり メッシ勝つ
(さっかーは ふゆのきごなり めっしかつ)
※アルゼンチン、PK戦の末に優勝。冬の季語で
ある所以はシーズン設定にあるだろうと想像で
きるが、この熱戦にはふさわしくない。手に汗
握る2時間だった。
12/18sun
年賀状仕舞いを告げて月下弦
(ねんがじょうしまいをつげてつきかげん)
※年賀状仕舞いとした。迷った。ここでも下りの
明確な階段を降りることになるのだぞ、と言い
聞かせる。
12/17sat
農道の一角カフェとなりて冬
(のうどうのいっかくかふぇとなりてふゆ)
※行ってみると洒落た料理をこざっぱりと提供
する、地元にはない店だ。この手の店が方々
に現れ、センスを感じながらも、音もなく
消えていく。お客は地方都市の若い女房連、
30km圏内、単価1500円で基本的にはゼロサム
ゲームである。逞しい例外もあるけれど。
12/16fri
木賃といふアパートの煤払い
(もくちんというあぱーとのすすはらい)
※周辺の他の物件に較べ、50年以上前に建て
られたもの。居住者がいっしょに大掃除して
いた。今どき貴重な光景。黒光りしている?
12/13tue
出勤は 冬夕焼け見て 深夜番
(しゅっきんは ふゆゆやけみて しんやばん)
人参のとれてシチュウに大切りに
(にんじんのとれてしちゅうにおおぎりに)
12/11sun
着ぶくれて 週末頼みの 吊り革に
(きぶくれて しゅうまつだのみの つりかわに)
※久々に「週末頼みの通勤」の感覚を思い出し
た。ところがちっとも苦ではない。
12/10sat
湯気の音 剃刀の音 昼下がり
(ゆげのおと かみそりのおと ひるさがり)
※馴染みの床屋の主人がなくなり、そのまま閉
店。ずっと近くの格安店に行った。料金はほ
ぼ半分、時間は1/3、「どうしましょう」以
外無言、悪くない。
12/9fri
十二月 火星いざよふ 月を待つ
(じゅうにがつ かせいいざよう つきをまつ)
※18時前の散歩のときに十六夜の月が山の端
を離れた。行く先には火星が待っている。見
事な月だが、なかなか火星に追いつけない。
さて、このレース、今夜はどうなるか?
12/8thu
滑子汁 ふうふうする間の 香りかな
(なめこじる ふうふうするまの かおりかな)
※寒さはなかなか戻らないなと嘆いている間に、
これが平年並みとなってしまう。とにかく暖
かい部屋、熱いものが欲しい。
12/7wed
神無月 四万人を 呼ぶ娘
(かんなづき よんまんにんを よぶむすめ)
※先月初旬あいみょんがワンマン・ライヴで甲
子園球場を札止めにした!! よく知らない
歌手、二三度聴いたことはある。とても信じ
られないペンライトの波また波。
12/6tue
モーツァルト忌 朝一番で ジュピターを
(もーつぁるとき あさいちばんで じゅぴたーを)
※季語にモーツァルト忌というのがあると知っ
た。やや異様な感じがするが、せっかくだから
交響曲第41番で記念日(の一日遅れ)を刻む
ことにした。
12/5mon
戦ありて 落ち葉の上に 松落葉
(いくさありて おちばのうえに まつおちば)
※公民館、集会所の大掃除。こういうのをしっか
りやるのが、シニアの役目だと少しは認識して
出かける。それにしても外の作業は今日あたり
かなり酷だ。彼の地では、寒さの酷さを知る者
が寒さ攻めにしている。
12/3sat
初炬燵 文庫本にて 漱石を
(はつごたつ ぶんこぼんにて そうせきを)
※昨日今日一段と冷え込む。リビングにコタツと
いうのは今まで避けてきたが、もうこの歳、そ
んなことは言っていられない。
12/2fri
大どれの大根 店を攻略す
(おおどれのだいこん みせをこうりゃくす)
新聞は 瑣事のみ多く 日向ぼこ
(しんぶんは さじのみおおく ひなたぼこ)
※ネットを初め情報過多の今日では新聞の位置も
難しい。ヘッドラインはとっくに知られている
し、深掘りするにしても対象の選択は読者によ
ってことなる。全方位型になると、瑣事の羅列
となりかねない。購読料を払っているので目を
通さざるを得ない。半ばいやいやだ。家内はチ
ラシ以外殆ど読まない、はっきりしている。こ
れがうらやましい。
12/1thu
干し柿の 遅れて吊るす 十余り
(ほしがきの おくれてつるす とおあまり)
※日々の瑣事のみで静かにしていると12月の到
来に感慨はない。しかしこの日長いこと途切れ
ていた友人とのメール交換が出来て、これから
年末の幸いなる予感がする。
**********
11/30wed
小春日の港に人のいぬ無残
(こはるびのみなとにひとのいぬむざん)
※カップル観光客の聖地になりかけた木更津港
をまたぐ中の島大橋も人っ子ひとりいない。
海と港を見渡す昔日の静けさと言えないこと
もないが、今度は船が断然少ない。
11/28mon
朝刊の 読めぬ昏さや 時雨雲
(ちょうかんの よめぬくらさや しぐれぐも)
※いやでも冬の到来を感じた朝。真っ黒な雲が
空を覆い続けた。寒さもひとしお。
そうだ、コタツを作ろう。
11/27sun
冬めく日 自宅待機とやらでいる
(ふゆめくひ じたくたいきとやらでいる)
※ゼロコロナ目標ではないから、濃厚接触者の
更なる探索はしていない。しかしそれに準じ
た注意喚起はある。その筋から「自宅観察・
外出自粛」の要請があった。感染ルートは仄
めかす程度で、最後に「通常の日常対策で十
分です」とも。それなら言って来るな、と思
ったが。
11/26sat
曲りても 玉葱の苗 植え終わる
(まがりても たまねぎのなえ うえおわる)
※早生の苗を植えたところで雑事が増えたため
一休み。今回で予定した苗は全部植え終わっ
た。鉛筆の木軸ほどの太さの葉鞘が望ましい
というが苗の調達段階でそれは挫折する。そ
んな立派な苗ではない。黒マルチは使わない。
11/25fri
ワクチンの五回目 初冬の静寂
(わくちんのごかいめ しょとうのせいじゃく)
※集団接種会場で粛々と済ませた。慣れて哀し。
11/23wed
冬の日や事故せし妻の帰宅かな
(ふゆのひやじこせしつまのきたくかな)
事故調書自署なめらかに石蕗の花
(じこちょうしょじしょなめらかにつわのはな)
冬夕焼け惑い長きに見ずに果て
(ふゆゆやけまどいながきにみずにはて)
11/22tue
剪定の音続きたり冬支度
(せんていのおとつづきたりふゆじたく)
バサと落ち研ぎ手の腕を暮れに聞く
(ばさとおちとぎてのうでをくれにきく)
※11月恒例の垣根の刈り込みだが、近年は次
第に億劫になりつつある。着手せずに、今日
は刃物の研ぎ日とか勝手に決めて一日延ばし
にする。
11/21mon
テレビ電話互いに冬の身づくろい
(てれびでんわたがいにふゆのみづくろい)
三の酉あり火の用心と時候言い
(さんのとりありひのようじんとじこういい)
11/19sat
保母開ける窓少しだけ冬はじめ
(ほぼあけるまどすこしだけふゆはじめ)
※コロナ渦で換気は怠れない、しかい今朝の風
はつめたい。この前までのゆったり換気があ
っという間に冬の光景に。
11/18fri
雨音は幻聴 小春の日の朝
(あまおとはげんちょう こはるのひのあさ)
犬こばむ 晩秋日々の同じ道
(いぬこばむ ばんしゅうひびのおなじみち)
※5回目のワクチンを打ってきた。集団接種会
場では打つ人も迎えるスタッフも粛々と仕事
をこなしている印象。結構な形の雲が面白お
かしく晩秋の空を飾っているのに、ワクチン
接種にかくも馴れ切ってしまうとは・・・。
11/17thu
顎引いて 若く撮れると 秋の宿
(あごひいて わかくとれると あきのやど)
※小人数で近場の温泉郷に。家族外の同伴者と
の宿泊は何年ぶりか? もちろん恐る恐るの
出立だったが、ホテルに着いて湯に入って酒
が入れば・・・もう心配は雲散霧消。これが
いけない。
11/16wed
月島の 路地に山芋 並べあり
(つきしまの ろじにやまいも ならべあり)
病葉や 柿のヘタ虫 駆除を聞く
(わくらばや かきのへたむし くじょをきく)
11/15tue
秋フェスタ 膝をさすりて 餅の列
(あきふぇすた ひざをさすりて もちのれつ)
※農協の収穫祭と言えどもフェスタと称する。
一番人気はつきたての餅の販売だ。列のすぐ
そばで絶えずついてこねて・・・。
11/14mon
孫自慢 歴史好きだと 葛の花
(まごじまん れきしずきだと くずのはな)
※シニア同士の話題は、結局は子と孫と病気の
自慢に落ち着く。幸いコロナ禍のせいで、聞
く被害からは遠ざかっていたが、ぼちぼち再
開の気配だ。
11/12sat
お十夜といふを知りてぞ喜寿の坂
(おじゅうやというをしりてぞきじゅのさか)
※もうひと月余りで満で喜寿の歳を迎える。関
西で主に浄土宗の仏事として十夜法要という
のがある。「現世で十日十夜善いことをすれ
ば・・・」という、これからでも間に合う、
ドロナワOKの教えらしい。すがりたい気持
ち?あります。
11/10thu
喜寿の日に 会社退けりと 星月夜
(きじゅのひに かいしゃひけりと ほしづきよ)
※会社生活を終える感慨はその長さによるので
はなかろうが、恵まれてかつ望まれて勤務を
続けられたことは幸せなことだと思う。お疲
れさま。
11/9wed
橡餅を 目指し竈に 火をくべぬ
(とちもちを めざしかまどに ひをくべぬ)
子が可愛 鴉が泣きて 秋澄めり
(こがかわい からすがなきて あきすめり)
蚯蚓鳴き 酒も喉越し 緩やかに
(みみずなき さけものどご しゆるやかに)
※絵画教室の例会で先生が来ない。一番熱心な
のに。何度電話をしたのに出ない・・・。も
しかして? 彼女は80歳台中盤、一人暮ら
し。終わるころ、ひょっこり顔を見せた。
スマホ持たずに出先で一時間以上も立ち話と
か。帰宅して着信の多さにびっくり。
11/6sun
秋の空 数合わせ気味の 守備位置に
(あきのそら かずあわせぎみの しゅびいちに)
フェスなるも 法被が主役 いわし雲
(ふぇすなるもはっぴがしゅやくいわしぐも)
※地域の蘇生と祭りのリベンジなど思惑が交錯
しても、お天気には恵まれた。若手のエンジ
ンに少しでも火がつくか?
11/5sat
ナレーターの 声ゆったりと 古都の秋
(なれーたーの こえゆったりと ことのあき)
※養老孟司の愛読者、ファンではないが、彼と
鎌倉を描いたBSシリーズ番組は好きだ。鎌倉
への対し方、愛し方は大好きだし、それ以上
に断然妬ましい。
11/4fri
ミサイルと 地震頻りに 夜長とて
(みさいると じしんしきりに よながとて)
合唱の 女史再デビュー 雁渡る
(がっしょうの じょしさいでびゅー かりわたる)
※地域の活発な女性陣、鳴りを潜めていたが、
この週の各種催しから息を吹き返した感があ
る。その昔のお局さんも加わる。
11/3thu
死ぬまでの 替え芯ありて 文化の日
(しぬまでの かえしんありて ぶんかのひ)
※シャープペンシル用に替芯0.5mm,2Bを取り
寄せた。普通の店にはないから少し多めに3
ケースを買った。それ以来ではないが、次第
に字を書くことは少なくなった。書く機会が
減ったのと、PC,スマホのせいだ。
一生懸命毎日書くようにしているが・・・。
国宝を みな見せるとぞ 文化の日
(こくほうを みなみせると ぞぶんかのひ)
11/2wed
城下秋 旧町名を 音に読む
(じょうかあき きゅうちょうめいを おとによむ)
※全国の城下町共通の、それらしい町名にはど
うも馴染めない。大手町、馬場町、鍛治町、
本町、寺町等々。せっかくのユニークな町名
があったのに。ちなみに生まれた町の名は融
通寺町。近くに桂林寺町。
11/1tue
畳織る 今年のイグサの 香りかな
(たたみおる ことしのいぐさの かおりかな)
※7月までに収穫するイグサは油の処理、形状
不良の厳しいリジェクトなどを経て、秋に
「織り」が本格化し畳表となる。
**********
10/31mon
友の待つ 広き階段 見上げ秋
(とものまつ ひろきかいだん みあげあき)
※立派な階段、踊りがあって、また階段が。彼
はどうやって登ったのかな? そう、エレベ
ーターがあるのでは? ・・・もう遅い。
お隣の シュウメイギクの 揃い踏み
(おとなりの しゅうめいぎくの そろいぶみ)
10/30sun
秋の夜のライン顔見し黙しおり
(あきのよのらいんかおみしもくしおり)
※ラインが開通して初めて友人と顔を見ながら
の会話を始めた時、相手がふっと押し黙った
時があったならよーく考えた方が良い。相手
は対面会話に感激したのではなく、こちらの
顔の想像以上の老け込みに唖然として息を吞
んだのだ。毎日見ている顔では気づかない老
けの大きな溝がある。きっと。
10/29sat
杜鵑草 思い出しつつ つい疎遠
(ほととぎす おもいだしつつ ついそえん)
※こんな時だからこそ親しい友人とはせめて連
絡を保ちたい。遠隔での連絡手段が一般的に
なっているとはいえ、ついその一歩が出ない
ことも。
10/28fri
文化祭 準備を仕切る 嗄れ声
(ぶんかさい じゅんびをしきる しゃがれごえ)
白マスク白髪が秋の草むしり
(しろますくしらががあきのくさむしり)
※いくらなんでも俺は公民館の世話にはならな
い、とイッパシの口をたたいていた男が、ど
っぷりとは言わないまでも文化祭などの活動
に参加している。アアとため息も出るが、同
じ年代の人たちが手練れのエースである。
10/26wed
介護する 合間の絵筆 いわし雲
(かいごする あいまのえふで いわしぐも)
※絵仲間の女性は80歳で介護の仕事をしてい
る。絵教室も遅刻早退で忙しい。肝心の絵は
あっさりしていて外連味がない。ごてごて塗
りたくるコチトラは感心しきり。
10/25tue
公園に シニア週一 落葉掃き
(こうえんに しにあしゅういち おちばはき)
※町内の道路、公園などの清掃はシニアの無償
の労働に負っている。老人会、誘われたこと
もない。とか言っているうちに10年近くだ。
10/24mon
イチジクの 絵にむらさきの 熟したり
(いちじくの えにむらさきの じゅくしたり)
※当地の文化祭に仲間と水彩画を出展すること
になった。いつもは間際に非才さを嘆くのだ
が、今回は秋の野菜や果物をうまく描けた。
それがどこであれ衆目に晒すというのは大変
なことで、実はかなりホッとしている。
10/23sun
さつまいも 半分掘って 虫の里
(さつまいも はんぶんほって むしのさと)
※関東南部は曇り日と雨天続きで日照時間が極
端に少なかった。もう少しかな?と残してお
いたサツマイモは意図せざる放置でどうなっ
ていることやら。気をもんでいる。
10/22sat
教師褒め 親父酒出す 秋の夕
(きょうしほめ おやじさけだす あきのゆう)
※この句は8/5の
「ほろ酔いの 教師は黒く 大夕焼」
と同じ思い出につながる。中学校の事務の先
生が帰途に我が家に寄って、私の部活の充実
ぶりを褒めていった。
誰も覚えていないかもしれないが、テニスと
タバコと酒が大好きな、しょうもない先生。
俺は好きだったよ。
10/20thu
欅 自らなる形 秋に満つ
(けやき みずからなるかたち あきにみつ)
※散歩ルートにある3本のケヤキ。紅葉、落葉
前の今、一年の成長を全身で現わしているよ
うに思われる。何の変哲もないケヤキなのだ
が、一年の成績は5だなと思う。
10/19wed
秋冷えて 昨夜は風呂に 入りしかと
(あきひえて さくやはふろに いりしかと)
※実はよくある話。もっと寒くなると毎晩風呂
に入るが、多少肌寒くなっても風呂は二日に
一度、もう一日はシャワーで済ます。済ます
というより、のんびり・ゆったりかつ気軽な
シャワーが好きだ。それで掲句のような疑問
が湧き出る。ボケのせいではない証拠にかな
り以前からのことなのだが。
10/18tue
児童向け 大きな字読む 良夜かな
(じどうむけ おおきなじよむ りょうやかな)
※図書館にはシニア向けに大文字本が用意され
ているが、その分がさばるので敬遠していた。
この前借りてきた季語写真集は親切な内容で
わかりやすく気に入っていたら、中高生向け
の児童図書とあった。
10/17mon
柿の実や 製材所の お茶時間
(かきのみや せいざいしょの おちゃじかん)
※当家の一本の柿の木は今年お休み。数少ない
実が殆ど7月までで落果した。周期的な不作
なのか、以前のようなヘタ虫の被害か、今の
ところ不明。
10/16sun
リヤカーに 子と芋と鍋 芋煮行
(りやかーに こといもとなべ いもにこう)
※町内の親しい母親仲間が集まり、日と持ち寄
りを決め、一切合切を積み込んで、町中から
郊外の広い河畔の湧水場まで歩いていく。小
一時間ほどもある女集団のおしゃべり付きの
移動だ。今なら目立って、鼻つまみにもなろ
うが、当時はなんとも街の光景になじんでい
た。行った先は天国、おしゃべりと芋煮。息
抜きと骨休め。
10/15sat
垣を剪り 果樹には秋の お礼肥
(かきをきり かじゅにはあきの おれいごえ)
※金木犀も大方花を落としたし、少ししたら一
年分の丈を詰める。秋の作業の一つ。
10/14fri
涼気早や 寒気となりて 坂の家
(りょうきはや かんきとなりて さかのいえ)
※挨拶は寒いですねに変わった。坂の中途から
見下ろす夕方の光景は光を失って空も地も鈍
色。
10/12wed
長身の 荷風が覗く 路地の秋
(ちょうしんの かふうがのぞく ろじのあき)
※YouTubeの朗読で荷風の「日和下駄」「濹東
綺譚」を聞く。朗読で扱われているものの中
では長い方、後者は3時間余りだ。しかし、
いずれも以前に読んでいるので、歩きながら
でも気軽に聞ける。細部は聞き流しても、む
しろ荷風文章の達者なリズムが味わえる。
10/10mon
竿売りの 音高らかに 刈田道
(さおうりの おとたからかに かりたみち)
※その道は行き止まりだよと言ってあげたかった
が、農道をまっすぐに行く。テープの音が両側
の小高い丘に反射するようだ。ナビ圏外の小道。
あの手の軽トラのセールスは多分地の人ではな
い。大量に安く仕入れて、県を跨ってでもひた
すらに売り歩くと聞いた。
10/9sun
栗名月 雲の間にこそ 香りあり
(くりめいげつ くものまにこそ かおりあり)
※ここ数日の曇天に半ば諦めていた十三夜、厚か
った雲が夕方にかけゆっくり薄くなり、格好の
名月待ちとなった。
客なくて 金木犀の 盛りかな
(きゃくなくて きんもくせいの さかりかな)
10/7fri
コスモスや 犬に拒まれ 花の道
(こすもすや いぬにこばまれ はなのみち)
※異常な寒さに我が家の犬はより元気になる。や
や夏バテ気味の頃散歩を短縮して来のこと、今
日その道に拒否権を発動した。
10/6thu
鰯雲 静かがよろし スピーカー
(いわしぐも しずかがよろし すぴーかー)
※市がつけている広報スピーカー。防犯上の注意
喚起や気候情報がメイン。不審者、詐欺電話情
報、大雨や強風注意、警報、行方不明者捜索な
ど幅広い。この季節に多いのが有害鳥獣駆除実
施のお知らせ。等々。
良く聞こえないという人も多い中で、近い人々
は音の大きさに頭を抱えている。いずれにして
も静かがいい。使わないで済むような。
10/4tue
露草や林間一帯を領す
(つゆくさやりんかんいったいをりょうす)
※この光景は昨年まではなかった。一年草と言わ
れる露草が辺り一面をわがもの顔に青い花を散
りばめている。
10/3mon
クラス会 秋集合は 動物園
(くらすかい あきしゅうごうは どうぶつえん)
※ミニクラス会を3年ぶりにやろうということに。
年末年始の危険、風邪とのダブルパンチ、第8
波だってこわいが・・・。慎重派と決行派、間
をとってなるべく速やかに、ということになっ
た。動物園の後は谷中に降りて一散歩、店に急
ぐことに。
10/2sun
牛乳で コーヒー飲む癖 今朝の秋
(ぎゅうにゅうで こーひーのむくせ けさのあき)
※コーヒーファンを自認して小うるさいことを
言っていたのも今は昔。一日に一杯とする必
要があり、その貴重な一杯を朝食の牛乳にイ
ンスタントコーヒーを入れたことが運の尽き。
「おや、おいしいねえ」となった。
10/1sat
法要の 客と出会いぬ 風蝶草
(ほうようの きゃくとであいぬ ふうちょうそう)
※喪服の3人と出会った。理容店主の四十九日
とわかった。故人は8月の暑い盛りに逝った。
残暑が厳しいといわれていたが、台風と大雨
が列島を翻弄している間にすっかり例年並み
の気温になった。涼しい天国に早く来過ぎた
と思っているかもしれない。
**********
9/30fri
秋西日 茶筅日向に 干されあり
(あきにしび ちゃせんひなたに ほされあり)
四方から 今ぞ今ぞと 虫の闇
(しほうから いまぞいまぞと むしのやみ)
9/29thu
野分去り 他家の毬栗 数えけり
(のわきさり たけのいがぐり かぞえけり)
秋場所や 初老力士の 力こぶ
(あきばしょや しょろうりきしの ちからこぶ)
※台風後の散歩、俳句作り、九月場所テレビ桟敷
そして草むしりか、九月もすっかり年寄りの種
目で終わりそう。
9/28wed
国葬の過ぎてボートは生き返り
(こくそうのすぎてぼーとはいきかえり)
※総意とは何だろう? 総意とは言えないけれど、
本来は総意となってすべきことを識り重視し、
右顧左眄せず突き進んだ・・・安部元総理の業
績だと思う。右っぽいとか言われそうだが。
9/27tue
さびしいね大変ねとぞ彼岸過ぎ
(さびしいねたいへんねとぞひがんすぎ)
※友人は男一人住まいの後期高齢者。都心でもさ
まざまに支援の手、声掛けがあるという。しか
しこの手の言葉は慰めにもなんにもならない、
と友人は苦笑。そこまで落ち込んでいない、と。
彼は175センチを超える偉丈夫である。
9/25sun
今朝の秋 呉服店主の 紺の足袋
(けさのあき ごふくてんしゅの こんのたび)
※後ろに土蔵の蔵屋敷を構えた呉服商店。商売
は今や細々とらしい。足袋の裏は白い。
9/24sat
かすかなる 踏切の音 自在秋
(かすかなる ふみきりのおと じざいあき)
※台風が近くを通過している深夜、強風の合間
に近くの踏切の音が聞こえる。かすかだが。
耳が良いせい? 年齢と鍛錬?のせいで好き
な音を自由に呼び起こすことが出来るように
なった。この時間にローカル線が走るわけが
ない。
9/23fri
短めの 形見の杖で 彼岸まで
(みじかめの かたみのつえで ひがんまで)
秋彼岸 風に戦の末予感
(あきひがん かぜにいくさのすえよかん)
※戦争、内外国葬2題、インフレ・経済、災害
・・・落ち着かないこと限りないが、これも
聞こえ過ぎ、情報化社会故の不幸かもしれな
い。どこかで分水嶺を越えてすうーっと静か
になることもある。それが秋分の日。
9/22thu
風の盆 男踊りは 空を切り
(かぜのぼん おとこおどりは くうをきり)
※今月初めの富山八尾町、越中おわら節のお祭
り「風の盆」。この旋律と踊り、何故こんな
にも哀切極まるものが生まれて、かつ継がれ
ているのか? みんなで踊るのと、保存会の
踊りを静粛に大事にただ眺めるのが並行して
あるからなのかな?
9/21wed
木彫師 師の師は光雲 いわし雲
(もくちょうし しのしはこううん いわしぐも)
※内房の小さな街に住む木彫師は高名な名前を
口にする。僅かに「知ってる?」という気分
が漂う。例の野猿像どころか最近は彫りたい
ものとは無縁であると残念がる。
9/19mon
子規忌なり 少し老けたと 言いにけり
(しききなり すこしふけたと いいにけり)
下弦なる 月確かめて 敬老の日
(かげんなる つきたしかめて けいろうのひ)
※浮遊する敬老の日は今年子規忌と同じ19日
になった。その業績から子規翁と呼ばれるこ
とも多いが、亡くなったのは35歳。
9/18sun
街なかで 熊除けの鈴 秋まみれ
(まちなかで くまよけのすず あきまみれ)
※無人を思わせる団地の静謐を破って鈴の音が
聞こえる。日曜日の住人が無聊に任せてスピ
ーカーで流しているのではない。
9/17sat
秋の日やメインツリーは果樹となる
(あきのひやめいんつりーはかじゅとなる)
※ガーデニング風に言えば、我が家のメインツ
リーはモモ、ブドウ、柿の3本。今年の成績
を言えばいろいろあるが、後期高齢者の思い
込みは安定していて、功が拮抗している。
9/15thu
よろず屋にバス待つ人の宿場町
(よろずやにばすまつひとのしゅくばまち)
街なかに街道ありて秋夕暮れ
(まちなかにかいどうありてあきゆぐれ)
※米を収穫して現金収入を手にした農家にとっ
て一年で一番豊かさを感じる季節だ。思い切
って遠出して温泉で骨を休めたり、近くの街
に買い物に出たり。小さな商店街のある街ま
では多くはバスで行きかえりだ。日常使いの
品ではなく、好きな品を既に考えてある。
小さな街の小さな商店街。一日声があふれる。
9/14wed
秋の日強し団地音一つなし
(あきのひつよしだんちおとひとつなし)
※こんな音のない風景はミステリー映画の撮影
に使えるのでは?なんて思いがうかぶが、今
やこうしたシーンは全国に溢れ、履いて捨て
るほどある。洗濯物のそよぎが「使用中」を
示す。
9/13tue
無人駅の読書 針の進む音
(むじんえきのどくしょ はりのすすむおと)
※こんな静かな無人駅があるところは貴重かな?
いまどきは遠隔で音声案内がある。
9/11sun
耳元で癌を語りて夏に逝く
(みみもとでがんをかたりてなつにいく)
ワケギ好き冷凍を説く床屋あり
(わけぎずきれいとうをとくとこやあり)
※仲の良かった床屋の親父が死んだ。3年近く
の肺ガンとの闘いの末である。なにをさせて
も執念とこだわりの強い人だったから、ゆっ
くりした床屋タイムの話はいつも楽しみだっ
た。合掌。
9/10sat
名月もかすむ蝮の噂かな
(めいげつもかすむまむしのうわさかな)
※見事な名月。さすがに。見えすぎなくらい。
9/7wed
我慢して 追肥をかてに 秋茄子
(がまんして ついひをかてに あきなすび)
※9/7泉鏡花の忌日。代表作以外は読むことのな
かった作家だが、ネットの朗読に親しんで鏡
花も三つほど聴いた。いずれもスマホのおか
げ、YouTubeのおかげ、ヒマのおかげ。鏡花
との距離が随分縮まった。
9/6tue
稲刈り機揺られウクライナのことを
(いねかりきゆられうくらいなのことを)
運転は孫に勝りて刈田かな
(うんてんはまごにまさりてかりたかな)
一族も郎党もいず刈り終わる
(いちぞくもろうとうもいずかりおわる)
稲刈りてデータを入れる月明かり
(いねかりてでーたをいれるつきあかり)
9/5mon
カタロニア 野の鳥を見る 善衛の忌
(かたろにあ ののとりをみる よしえのき)
※少し左派がかった元日本ペンクラブ会長堀田
善衛が亡くなったのが1998年9月5日。
スペインアスツゥリアスとカタロニアに合わ
せて5年近く住んだ作家である。著作も多い。
小生がスペインオタクになった機縁である。
野の鳥はピースピースと鳴く、とカザルス。
9/4sun
飴色の ぶどう袋に 妻方々
(あめいろの ぶどうふくろに つまほうぼう)
※甘くはありませんがとお裾分けするが、おい
しかったと言ってくれる人もいる。高級品が
多い最近では昔のぶどうの味でなつかしかっ
たという感想かな?
9/3sat
剃りたての 頬を撫でつつ 桐一葉
(そりたての ほほをなでつつ きりひとは)
※例年より低い気温が続く。台風は沖縄県先島
近辺で停滞の後東北に動き始めた。
朝に切る ぶどう三房を 仏前に
(あさにきる ぶどうみふさを ぶつぜんに)
9/2fri
近道の 秋灯の家 時計鳴る
(ちかみちの しゅうとうのいえ とけいなる)
※やっぱり昭和か?ちょっと古めの時計の音が
聞こえた。窓に映る灯りも古めの暖色系だし、
新しい家にしてはやや奇々怪々。
9/1thu
度を重ね 二百十日の 俄雨
(どをかさね にひゃくとおかの にわかあめ)
小椋鳥 夕立家に 帰りかね
(こむくどり ゆうだちいえに かえりかね)
※ムクドリは常に群れで行動するのに、突然の
激しい雨に打たれ、一羽が木の根元に取り残
された。いつもは群れの旺盛な動きに舌打ち
することもあるが今日の姿はほんの小鳥だ。
**********
8/30tue
秋の風来て花痩せしサルスベリ
(あきのかぜきてはなやせしさるすべり)
露草や 初お目見えの 庭の朝
(つゆくさや はつおめみえの にわのあさ)
※曇り日が続いたのち昨日今日は一段と涼しい
日。夜の気温が20度を切ると涼しいから一
気に寒いへ悲鳴に変わる。庭の草の中に露草
発見! 25年来、我が庭で初めて。
8/28sun
秋と聞き 山門今日は 中に入る
(あきときき さんもんきょうは なかにいる)
眼鏡かえ スマホで秋の 季語一つ
(めがねかえ すまほであきの きごひとつ)
8/27sat
夏豪雨 気圧配置の 骨身まで
(なつごうう きあつはいちの ほねみまで)
※秋田、山形、新潟を中心に、この夏豪雨の被
害が広がった。気圧配置の固定化と前線の居
座り、線状降水帯の連続発生等によるものだ
った。一週間ほど前からの事前の予報の通り
であったが、それでも被害は甚大なものに。
8/25thu
眠らねば 班増えるとて 晩夏かな
(ねむらねば はんふえるとて ばんかかな)
譲られし 苗のトマトの 味野生
(ゆずられし なえのとまとの あじやせい)
8/24wed
少年の目に父祖の地よ盆地秋
(しょうねんのめにふそのちよぼんちあき)
※8/23は白虎隊の日、自刃した日。その場所飯
盛山からは砲煙にかすむ城下だけでなく会津
盆地の初秋の景色が広く見えただろう。命全
うすればもっともっと馴染んだはずの故郷の
景色が。
8/22mon
朗読の声朝に聞く邦子の忌
(ろうどくのこえあさにきくくにこのき)
※8/22は向田邦子忌日。YouTubeの朗読物は特に
この1,2年で優良コンテンツが激増してい
る。中でも人気を博しているのは、明治以降
の大作家連の短編と向田邦子のドラマものだ。
わかるような気がする。
8/21sun
三代の 球児いよよの ガッツあり
(さんだいの きゅうじいよよの がっつあり)
※夏の甲子園も決勝を残すのみ。東北勢同士の
決勝を夢見たが、まあ仙台育英の優勝が実現
すれば大殊勲だ。
8/19fri
つかまらせ 花緒をすげる 秋めく日
(つかまらせ はなおをすげる あきめくひ)
※当地はからっとした天気。こんな日はあらぬ
ことを幻のように想像してみたい。下駄ばき
で鼻緒が切れて困っていた少女がいた・・・。
8/18thu
対策の 水を飲みつつ 白槿
(たいさくの みずをのみつつ しろむくげ)
溶接工 腕さえわたる 盆の明け
(ようせつこう うでさえわたる ぼんのあけ)
※60歳を超えて所属した会社で一緒だった人
と偶然会った。何年ぶりか? 溶接工のキャ
ップを務めていた名人、その腕の変わらぬ自
信はほんの2,3言でわかる。
8/17wed
葡萄一房光を貯めて下がりおり
(ぶどうひとふさひかりをためてさがりおり)
※不順な気候の中で、我が家の名もないぶどう
は大奮闘。例年より遅れ気味だがより多くの
房をつけている。緑色の固い粒々が次第に飴
色に、光を通すようになってきた。早いヤツ
をつまみ食い出来るのがこの時期の無上の喜
び。
8/16tue
学徒兵命全うすれば夏
(がくとへいいのちまっとうすればなつ)
※学徒の繰上げ卒業にまつわる事実が新たにわ
かったことを伝える特別番組を見た。決然と
出陣式で雨中行進をした人たちの中で、なお
多くの若人が戦地に行かなくても済んだこと
を知る。
8/15mon
逢ひとふて 驟雨疾走 孫産まる
(あいとうて しゅううしっそう まごうまる)
※姪夫婦に待望の初孫ができた。日頃冷静な二
人だが、狂喜して病院に向かう。
8/14sun
嵐去る 盆の街角 見渡しぬ
(あらしさる ぼんのまちかど みわたしぬ)
久闊の 言葉探して 盂蘭盆会
(きゅうかつの ことばさがして うらぼんえ)
年寄りて 盆にことなし 風の音
(としよりて ぼんにことなし かぜのおと)
8/13sat
盂蘭盆会 レーダーで追う 故郷の雲
(うらぼんえ れーだーでおう くにのくも)
※スマホでPCで現在地以外の地域の天気、雨
雲レーダー、災害可能性や警報・注意報のチ
ェックが容易にかつ即座に出来る。
必要があればそのまま即電話でコンタクトを
とる、地域のメディアにアクセスをすること
も可能だ。通信とデータ送受の革新は急速。
しかし自然の猛威を前にして、出来ることは
限られる。これは変わらない。
8/12fri
調律の 待たれる頭 炎天下
(ちょうりつの またれるあたま えんてんか)
起動時の 膝の重さよ 秋立ちぬ
(きどうじのひざのおもさよあきたちぬ)
※朝起きがけの膝の重さは老化速報。一年後の
歩行能力を知ることが出来る。そう思う。ほ
んの5~10歩で重さは消え、快調になるの
だが。PCのように再起動で問題解決、とは
いかない。立秋、しばらくは残暑、その後は
確実に秋、着実に老化。
8/11thu
高山病 肩の小屋にて 米を炊く
(こうざんびょう かたのこやにて こめをたく)
※若い頃4月に連休を待ちきれず、登山に出か
けた。槍沢小屋を朝に出て槍ヶ岳を目指すシ
ンプルな計画。ただ積雪は多く、ジグザグの
登りが最後まで直登となる。登りの残り1/4
くらいのところでガタンと体力が落ちた。
先に着いて小屋で寛ぐ人の姿がはっきり見え
るところだった。そこからなんと2時間強か
かったのだ。1時間半はその場所でストップ。
動けない。好天で良かった。50年前のこと。
今では最高の思い出。今日は「山の日」とか。
8/10tue
眼前は 水被る稲 晩夏光
(がんぜんは みずかぶるいね ばんかこう)
※東北北部に豪雨被害が続いている。当地は暑
さ続きで、盆明けの稲の刈入れを前にしてい
る。とんでもない違い。
8/8mon
小型船 夏のくらしの 音がもれ
(こがたせん なつのくらしの おとがもれ)
※くらしの音と問われたら、NHKラジオの正午
過ぎ「昼のいこい」のテーマと答えるかもし
れない。木更津港に係留している小型鋼船の
一つからこれが聞こえた時、ジーーンときま
したね。
8/7sun
白球の清涼と女子のブラスよ
(はっきゅうのせいりょうとじょしのぶらすよ)
※夏の甲子園開幕。観客、応援団を入れての試
合は一層熱が入る。それにしても応援席は女
性上位だ。チェアガールにブラスバンド、女
子は皆余裕たっぷり、笑顔がこぼれている。
お付き合い参加ではない。
がしんたれ強豪以外よ暴れたれ
(がしんたれきょうごういがいよあばれたれ)
※大阪桐蔭、何馬身か空いて智弁和歌山等々下
馬評はどれも関西勢優位のよう。
8/6sat
原爆忌 乞ひ願ふこと 今多く
(げんばくき こいねがうこと いまおおく)
母削る 鉛筆が誇り 原爆忌
(ははけずる えんぴつがほこり げんばくき)
※今でも当時母が毎晩削ってくれた鉛筆のカッコ
良さは周囲を寄せ付けなかったと思っている。
ちなみに、幼少時代の私は暴れたら手が付けら
れないと匙を投げられた挙句、家の中で「原爆」
と呼ばれていた。
8/5fri
ホーン越し やや声低く 大暑かな
(ほーんごし ややこえひくく たいしょかな)
上向いて ヴィーナス夏の かんばせを
(うえむいて びーなすなつの かんばせを)
揺らぐごと 雲海に浮く 肩の小屋
(ゆらぐごと うんかいにうく かたのこや)
8/4thu
外人の 教師が走る 夏の朝
(がいじんの きょうしがはしる なつのあさ)
※オーストラリア出身の幼稚園の外人先生が走
る。いつも遅れてくるようだ。おはようござ
いますと挨拶する表情はいつも照れている。
大きい幼稚園は差別化の目玉として英語教育
を掲げる。ネーティヴの先生がいますよとい
うわけだ。しかしそれ以外の仕事もなんでも
やらされるみたい。園児を乗せたバスが着く
と、にこやかにお迎えする。到着園児の顔、
人数、バスの座席点検・・・朝から大変だ。
8/3wed
潮干狩り 一坪ほどが わが漁場
(しおひがり ひとつぼほどが わがりょうば)
※海上は風通し万全だけれど、アサリを求めて
さまようと予期せぬ密にもなりかねない。そ
れで「動き回らないで」とスピーカーが。マ
スク着用の注意はないが、しっかり着けてい
る人が多い。もう今年は終わり、死なないで。
8/2tue
ほろ酔いの 教師は黒く 大夕焼
(ほろよいの きょうしはくろく おおゆやけ)
※部活の指導を終えた教師は自転車でいち早く
ご帰還。近くの一杯飲み屋に駆け込む。真っ
赤な顔で家に向かう頃、生徒たちに会う。そ
して「おう、気をつけて帰れよ」と。自転車
はすでにふらふら・・・。世の中がすべて今
より寛容な時代。
8/1mon
雨音は 夢か幻聴 蝉しぐれ
(あまおとは ゆめかげんちょう せみしぐれ)
※深夜確かに雨音を聴いた。朝になってあれは
雨でなかったとがっかりすることのないよう
に、寝床でしっかり耳をそばだてた。しかし
朝がっかりした。余計落胆した。降雨のシル
シは露ほどもない。
今朝はほんのちょっとだけど涼しいが、これ
ぞ降雨のシルシでは? 家人はすげなく否定。
降雨なしが決定。
これからは寝床から起きて立って外を眺めて
確認しようということになった。もっとも小
生は少年時代に寝ぼけ癖の輝かしい戦歴があ
るから、起き上がっての確認もそこまで含め
て睡眠中の出来事となるかも。
認知症の忍び寄っているせいなのか、熱中症
近辺の暑さのせいなのか?
**********
7/31sun
風鈴や 南部湯宿の 闇の濃さ
(ふうりんや なんぶゆやどの やみのこさ)
※花巻市郊外の花巻温泉郷台温泉に宿泊したこ
とがある。いい湯いい宿だった。遅くついた
のに印象深いのは夏の闇の深さと透明な湯の
せいか。
7/30sat
兜虫 遅き経済の 良さ知らず
(かぶとむし おそきけいざいの よさしらず)
※この国はかつて高い経済成長を実現し、効率
第一を叫んで、その果実を満喫した。その頃、
個人商店は消え失せ、全国の街々が画一化し
ていった。背後で家庭が地域が変質した。
人間だって(後の言葉で言えば)クローンの
ようなサラリーマンが労働者が生きがいとし
て、その路線に沿い、貢献した。絶頂時には
「21世紀は日本の世紀」とまで。
ところが今、「失いし20~30年」とかを
聞いている。聞いて久しい。
「経済成長は神話だよ、続かない」「多くを
失っているんだよ。今良く考えなければ手遅
れになると・・・」50年以上前にアンチ高
度成長を言った人はいっぱいいたね、そう言
えば。ためにする人も多かったが、深刻な正
論もあった。
7/29fri
煙草屋の 解体終わり 晩夏なる
(たばこやの かいたいおわり ばんかなる)
※店先販売はとうの昔にやめ、長いこと自販機
がならんでいた。不思議なもので店も住まい
も一緒に解体されると、かなりのおばあさん
が日がな店番をしていたことが思い出される。
7/28thu
夏号の 稿を渡せり 白き道
(なつごうの こうをわたせり しろきみち)
※一回きりと代理を頼まれた。夏を迎えるエッセ
イなんでも、という。地域のミニコミ誌みたい
なもの。安請け合いした直後に梅雨が明け、真
夏の暑さが襲ってきた。「なんでも」を頼りに
やっとこ駄文を弄した。どうせ誰も見ない、と
思ったことを後悔した。
7/27wed
端居やめ 犬の背たんと 流しけり
(はしいやめ いぬのせたんと ながしけり)
冷麺や 腰にさしたる 扇子かな
(れいめんや こしにさしたる せんすかな)
7/25mon
夏稽古 代役の子に 黒子あり
(なつげいこ だいやくのこに ほくろあり)
夏稽古 来ぬ子の役を 全部やり
(なつげいこ こぬこのやくを ぜんぶやり)
※地域で演劇の指導をしている人の稽古場を端
で見せてもらった。こんな人がいることが大
変貴重に思えるが、やはりコロナ禍のせいで、
せっかくの夏休みの強化練習も参加者が思う
に任せないとのことだ。
7/23sat
蝉時雨「巴里は燃えているか」聞こゆ
(せみしぐれ ぱりはもえているかきこゆ)
百日紅の赤「巴里は燃えているか」
(さるすべりのあか ぱりはもえているか)
※NHKスペシャル「映像の世紀」シリーズの通
しのテーマ。作曲した加古隆のインタビュー
番組を聴いた。やっぱり憎いねェ。
7/22fri
百日紅 警報の声 流れけり
(さるすべり けいほうのこえ ながれけり)
※当家の一本の桃の木。小粒とは言え実は多く
たわわだが、今年は虫の被害が多かった。プ
ラムのカイアガラムシに気を取られノーケア
だった。
やっと不順な天候の合間を縫って収穫し終え
た。さて来年に向けてはどうしようか? 思
案を始めている。
7/20wed
ああいえばこういう夏の国訛り
(ああいえばこういうなつのくになまり)
※Lineでのテレビ電話、これが少し前だったら、
「用もないのに顔はいらない」とか言って一
方的に敬遠したろうに、この齢になると、晩
くやってきた、この便利な仕組みに結構素直
になじんでいる。年齢による羞恥心の欠如?
いやそんなことをいうほど衒いもない。
7/19tue
夏時雨桃の実落ちる音にせく
(なつしぐれもものみおちるおとにせく)
※不順な天候が続く。担当の雑草刈りも果樹の
世話も意に沿っては進まない。やっぱり九州
山口地方に梅雨末期に似た豪雨の被害が心配
になる。
7/18mon
祇園会や 小雨に白の 角隠し
(ぎおんえや こさめにしろの つのかくし)
※故郷の近く会津田島町の祇園会のメインは花
嫁行列。今年はどうなるのだろうか? 近年
は嫁のナリテが町の内外から押し寄せるとい
う。7月16日は1月16日とともに、昔の
言葉で「藪入り」、奉公人や嫁入りした娘が
実家に里帰りした日だ。今や完全な死語。
こちらの花嫁はその日のうちに帰るのだろう。
7/17sun
宵山に 泣いたらあかん 稚児の声
(よいやまに ないたらあかん ちごのこえ)
※久しぶりの京都祇園祭のフル日程が無事に進
むことを切に祈る。NHKドラマ『京都人の密
かな愉しみ』はええなァ。直近は「Blue修業
中 門出の桜」かな。源孝志ディレクターに
よるもの。くせはあるものの、ええ腕しては
るわァ。
7/16sat
夏の雨 頼朝が行く 国境
(なつのあめ よりともがいく くにざかい)
※近くに鎌倉街道という古道がある。随分説明
を受け、フィールドワークにも出かけたが、
仔細の記憶はゼロ。ただ南の安房の国から上
総の国に、頼朝が土地の豪族、兵を募りなが
ら北上したのはテレビの通りらしい。
7/15fri
ラケット背に 女剣士が 夏椿
(らけっとせに おんなけんしが なつつばき)
※小雨の中を自転車で行く姿は凛々しい。コー
ト使えまいに、と思うが今は体育館で大勢で
乱打練習が出来るらしい。
7/13wed
短夜や ひそかに話す 人通る
(みじかよ やひそかにはなす ひととおる)
夏帽子 カフェを待つ間の 立ち向かい
(なつぼうし かふぇをまつまの たちむかい)
※カフェテラスという屋外の店が大都市で増え
ている。最近は地方都市でも狭い舗道を占拠
してテラスと称しているのが多い。ましてや
そこの空くのを待っている御婦人連がある。
7/11mon
命がけ 炎暑の選挙 いかと見る
(いのちがけ えんしょのせんきょ いかとみる)
※参議院選挙が終わった。普通の人が普通に与
えられる選挙権、それは勝ち取った権利。被
選挙数の比較優位によってのみ代議員となれ
る。この価値をどうみる、どうみるべきか?
これのない国々の人々よ。
7/10sun
短夜に口の遅さを嘆じけり
(みじかよにくちのおそさをたんじけり)
※加齢とともに口が重くなる、口数が減る。語
彙も減る。自分だけはそこまでにはならない
と、根拠なしの自信もあるにはあったのだが、
そんな希望もあえなくコロナ禍によって潰え
去った。
7/9sat
涼しけり政治の海に笑み消えぬ
(すずしけりせいじのうみにえみきえぬ)
長州と江戸の間で夏憤死
(ちょうしゅうとえどのあいだでなつふんし)
※元首相の街頭演説中の死。毀誉の混じるとこ
ろはあったが、圧倒的な天性とそれ故のゆと
りとユーモアを備えた政治家。合掌。
7/8fri
若妻が 夫の腕ひく 夏木立
(わかづまが おっとのうでひく なつこだち)
杖を持て 実を引き寄せて 袋掛け
(つえをもて みをひきよせて ふくろがけ)
7/7thu
築地塀 驟雨のあとを 見せてあり
(ついじべい しゅううのあとを みせてあり)
※文化財に指定されている江戸時代の築地。荒
い素地がむき出しになっているから年々の雨
等による浸食が心配だ。とは言え、俄雨の後
の箇所を指でエグルように強く触れてみた。
大丈夫だ。指にはなにもついてこない。
7/6wed
浮雲の 行先知らず 芙美子の忌
(うきぐもの いきさきしらず ふみこのき)
※林芙美子の「浮雲」をネットの朗読で全編聞
いた。全部で8時間余り。戦争と男と女の物
語。名匠成瀬巳喜男、高峰秀子、森雅之主演
の同名の映画も鮮明に覚えているが、ネット
朗読版も気に入った。忍耐あっての「聴破」
だが、この長い時間が戦中戦後の時間の経過
と変遷を味わうにはよりフィットするのかも
知れない。芙美子忌は6月28日。
7/4mon
暁に僅かに僅かなれど喜雨
(あかつきにわずかにわずかなれどきう)
※台風の影響で暑さをもたらした気圧配置が崩
れ、雨模様の不安定な天気になった。文字通
りの「喜雨」。西日本の豪雨の気配がないで
もないが、当地当家の野菜、果樹にとっては
喜雨だ。人間にとっても。
7/3sun
なお強き 膝をさすりて 半夏かな
(なおつよき ひざをさすりて はんげかな)
7/2sat
半夏生 犬ともに我れ 脚強く
(はんげしょう いぬともにわれ あしつよし)
※山登りなどには長くネックになっていた右膝
が、この十年近く朝夕の平地歩行には悲鳴を
あげず、持ちこたえている。幸い今に至って
も平地に限れば2、3時間連続でも行ける。
これも、臆病に無理を避けたこと、そして我
が家の犬のお蔭だ。
7/1fri
街ゆがみ 夏の絵描くは ゆがむまま
(まちゆがみ なつのえかくは ゆがむまま)
※都心の馴染みの通りもしばらく見ぬ間に変貌
し、ニョキニョキと高層マンションとやらが
両側に。不自然に見上げてやっと変化を知る。
猛暑がその歪みを激しく助長する。
ダクタク句集2021年(令和3年)11月 [ダクタク2021年11月]
11/30tue
秋野菜 画材として後 分けたまふ
(あきやさい がざいとしてのち わけたもう)
秋の暮 一幕ものの 場を数ふ
(あきのくれ いちまくものの ばをかぞふ)
※我が創作にかかる芝居、長かったなァと思っ
たが、アレッ・・・一幕だったか? 今から
考えると色んな幕があって良かった、そうす
るつもりだったのに。残念。まあ場数は多い
し、今も続いているね。
しかしぃ・・ちょっと待ってェな。ちょっと
書き換えるやさかい。エエェ、出来ひんて?
そ、そんな後生な・・・。
小春日の 人居ぬ園や 獏眠る
(こはるびの ひといぬえんや ばくねむる)
11/28sun
小春日や なに食うたとから 長電話
(こはるびや なにくうたとから ながでんわ)
※スマホで通話はスピーカーで。そして胸のポ
ケットに突っ込んだまま話をする。両手フリ
ーで。長引く友人とのスタイルがこれに落ち
着き、スマホって便利だなァと感心。大いに
笑われた。女の長電話を実体験中。
11/26fri
足腰の かすかに重く 石蕗の花
(あしこしの かすかにおもく つわのはな)
※金木犀の生垣の剪定をやった。2日がかり。
11/25thu
母くれし やなぎ行李よ 冬支度
(ははくれし やなぎごうりよ ふゆじたく)
友の笑み 蝶々とともに 冬茜
(とものえみ ちょうちょとともに ふゆあかね)
※後輩の蝶キチの撮った写真が来年のカレンダ
ーに採用されたと、それを贈ってくれた。立
派な全国版で、彼の渾身の写真12枚が各月
を飾っている。すごい出来だ。嬉しい。
11/23tue
マップ上 動線たどる 一葉忌
(まっぷじょう どうせんたどる いちようき)
※一葉人気は根強い。都心の3か所の旧居跡を
訪ねる人は引きも切らず、ネットの「一葉暮
らしの研究」もいまだに旺盛のよう。
・・・アソコへはここを通ったとか、品を仕
入れにアノ道を行った、この道は何歳の時誰
を訪ねに通ったとかである。都心散歩の多く
のファンに支持されているのではと思う。
11/22mon
デジタルや 愁思の顔も 修正し
(でじたるや しゅうしのかおも しゅうせいし)
※顔の整形、といっても画像上のことだが。思
う通りの方向に自分の画像を修正してくれる。
以前からこの手のソフトはあったが、空前の
進歩をしているというのだ。
空前も 過ぎたらてんで 他人の顔
最近、こういう小手先の開発ばかりだ。
11/21sun
起きるには まだたっぷりと 酉の市
(おきるには まだたっぷりと とりのいち)
大いなる がま口腰に 酉の市
(おおいなる がまぐちこしに とりのいち)
冷え込むや 帽子深めに お酉様
(ひえこむや ぼうしふかめに おとりさま)
※久しぶりに熊手の店、露店の行列。ただお参
りの客は寂しくて涙が出るほどの閑古鳥。威
勢のいい手拍子もそこかしこに少しだけ。が
ま口も空いたままか。今年は二の酉どまり。
11/20sat
秋の暮れ 種の袋の 字のうすし
(あきのくれ たねのふくろの じのうすし)
※秋植え用に大切に保存しておいた種子がなん
なのかわからない? 袋の上の鉛筆のメモが
薄れている。そんなの知るか!! 種を見て
もわからないのか?
11/19fri
秋の暮 パテシエ修行の 娘が嫁ぐ
(あきのくれ ぱてしえしゅぎょうの こがとつぐ)
※ケーキ店開業の夢は諦めて結婚するとか。小
さいころから知っている、甥の娘だ。まあそ
れもいいだろう、幸せを祈る。
11/18thu
七五三 子のつく名前 参り札
(しちごさん このつくなまえ まいりふだ)
病葉も 岩風呂に入る 旅の宿
(わくらばも いわぶろにいる たびのやど)
※PCでダウンロードした曲を整理してはせっせ
とスマホに移し、オフで聴ける手筈を整えて
いる。へへ、音の悪いのはリジェクトする。
YouTubeは駄目。
11/17wed
時雨忌や 二の橋を越え 深川へ
(しぐれきや にのはしをこえ ふかがわへ)
※時雨忌は芭蕉の忌日、陰暦10月12日。ゆ
かりの深川へはいつも本所側から歩いて、門
仲をゴールにする。
本所二の橋のたもとには軍鶏なべや「五鉄」
の跡地がある。鬼平の行きつけ。
11/16tue
さざんかや 昵懇の犬 動かざる
(さざんかや じっこんのいぬ うごかざる)
※若い秋田犬が道路のあっちで腹ばいになって
動かないでいる。我が家の犬に興味あっての
ことではない。実はお目当ては小生である。
11/15mon
小春日は畑でワイヤレスイヤホンで
(こはるびははたでわいやれすいやほんで)
秋夕焼 電車の音で 腰伸ばす
(あきゆやけ でんしゃのおとで こしのばす)
幾百の 玉葱植えて 腰立たず
(いくひゃくの たまねぎうえて こしたたず)
※3列の長い畝に黒マルチを張り、300本弱
の玉葱の苗を飽きずに植える。しかし来年の
春までは手間いらず。5月前半収穫の早生。
11/14sun
人の顔したる源氏の人逝ける
(ひとのかおしたるげんじのひとゆける)
※瀬戸内寂聴逝去。若いころは一般的な世評に
乗って、おやおやという思いで眺めていたが、
自分がそこから解き放たれると彼女の顔が生
き生きと穏やかに見え始めた。ますますそう
なった。合掌。
11/12fri
どっしりと 家伝の砧 壁にあり
(どっしりと かでんのきぬた かべにあり)
※郊外から移築した豪農の民家が公園にある。
様々な農具、民具を入れ替わりで展示してい
た。機織りの仕上げに反物の布打ちに使った
とか。生乾きの洗濯物をたたいて柔らかくし
たり皺をのばしたりもした。昔村落の家々で
砧の音がした・・・有名なその光景とは、な
にをしていたんだろう? 聞きそびれた。
11/10wed
男手が スマホを見つつ 菊膾
(おとこでが すまほをみつつ きくなます)
※季節感はあっても好きなものではない。何度
か口にする機会はあったが、ちょっと舌先で
感じてすぐに飲み込む類のものだった。せっ
かくの到来物の食用菊、少し前進したい。年
齢並みに。
11/9tue
歩きけり 新酒試飲は 障子部屋
(あるきけり しんしゅしいんは しょうじべや)
※今は近くに醸造会社はない。昔々の話。
望みしも 秋刀魚一向に 気配なし
(のぞみしも さんまいっこうに けはいなし)
11/8mon
海舟の 呼吸が聞こえる 坂の秋
(かいしゅうの いきがきこえる さかのあき)
※勝海舟は赤坂の地を愛し、都合3度も場所を
変えて住まいした。幕末は氷川下。その場所
はマンションの林の中に埋没しているが、近
くの氷川神社や氷川坂には往時の息吹が残っ
ているように感じた。交通の激しい大通りの
間にあって、不思議な静寂がある。
11/7sun
墓売れて にわか夜なべの 石工かな
(はかうれて にわかよなべの いしくかな)
吾亦紅 午前いっぱい 身じろがず
(われもこう ごぜんいっぱい みじろがず)
※新しいクルマの試乗に行った。今のクルマは
中古だから、二つのクルマの間には10年近
くの隔たりがある。話には聞いていたが、IT
絡みの装備は目を見張るほど。
しかし「安全のために必要なもの」と運転手
サポートという名の「大きなお世話」とが混
然としている。
11/6sat
ゴミ寄せに 鴉が消えて 秋の暮
(ごみよせに からすがきえて あきのくれ)
秋深しジュリーのサンフランシスコ
(あきふかしじゅりーのさんふらんしすこ)
※暦には明日7日は立冬。いくら寒いとは言え
今日明日が冬であるとは肌に合わない。年々
のことだ。新旧暦のずれにあるのだから仕方
がない。しかし自分の句作とかには実感を優
先していきたい。まだ当分は秋の暮だ。
ジュリー・ロンドンの低い声が最も似合う季
節。
11/5fri
日に一つ もいで柿食う 余生良し
(ひにひとつ もいでかきくう よせいよし)
※胃のバリウム検査に行ってきた。1時間ごと
の予約制に改まって待ち時間が短くなった。
この街での検査も25回以上を数える。
11/4thu
文化の日 佳きことありて 嗽二度
(ぶんかのひ よきことありて うがいにど)
文化の日 洗濯しつつ 長電話
(ぶんかのひ せんたくしつつ ながでんわ)
※文化の日とて関係の催しはなにもない。展示
だけの文化祭も繰り上げで既に終わっている。
友人の洗濯時の無聊に付き合う。
11/3wed
背の曲がり 正すこと増え 鱗雲
(せのまがり ただすことふえ うろこぐも)
立冬は とうに来るらし 秋霞
(りっとうは とうにきたるらし あきがすみ)
先生の 甲高い声 秋の午後
(せんせいの かんだかいこえ あきのごご)
※もう晩秋である。様々な老化やその兆候を感
じ始めて久しくなるが、これも秋そのもの。
人生の秋の風情。
11/2tue
山中の 食堂ひとり とろろ汁
(さんちゅうの しょくどうひとり とろろじる)
※房総半島の紅葉の見頃は11月下旬から12
月上旬。年によって短く、気がついた頃には
盛りが終わっていたということも。
今の山のドライブコースは人もクルマもとこ
とんまばら。
11/1mon
故郷の 歳時記重し 秋燈下
(ふるさとの さいじきおもし しゅうとうか)
※昭和55年発行の「会津歳時記」がある。横
になって、うとうとしながら長時間見入るの
が至福の時なのだが、大部だけに仰向けのま
までは5分と持たない。
歳時記といっても当時の俳人仲間が集まり、
地域の俳人と先輩の句を発掘して郷土の匂い
がする俳句集を編んでみよう、ということに
なったらしい。どんな歳時記でもその中に自
分の句がのる、残るというのは俳句人の夢。
あれもこれと話と努力は大きくなり、出来上
がりは重くなった。装丁も立派である。
後にも先にもこれだけの目論見はこれ一回だ
け。匂い豊かで、胸に重くなるのを今日も味
わうことにしよう。
秋野菜 画材として後 分けたまふ
(あきやさい がざいとしてのち わけたもう)
秋の暮 一幕ものの 場を数ふ
(あきのくれ いちまくものの ばをかぞふ)
※我が創作にかかる芝居、長かったなァと思っ
たが、アレッ・・・一幕だったか? 今から
考えると色んな幕があって良かった、そうす
るつもりだったのに。残念。まあ場数は多い
し、今も続いているね。
しかしぃ・・ちょっと待ってェな。ちょっと
書き換えるやさかい。エエェ、出来ひんて?
そ、そんな後生な・・・。
小春日の 人居ぬ園や 獏眠る
(こはるびの ひといぬえんや ばくねむる)
11/28sun
小春日や なに食うたとから 長電話
(こはるびや なにくうたとから ながでんわ)
※スマホで通話はスピーカーで。そして胸のポ
ケットに突っ込んだまま話をする。両手フリ
ーで。長引く友人とのスタイルがこれに落ち
着き、スマホって便利だなァと感心。大いに
笑われた。女の長電話を実体験中。
11/26fri
足腰の かすかに重く 石蕗の花
(あしこしの かすかにおもく つわのはな)
※金木犀の生垣の剪定をやった。2日がかり。
11/25thu
母くれし やなぎ行李よ 冬支度
(ははくれし やなぎごうりよ ふゆじたく)
友の笑み 蝶々とともに 冬茜
(とものえみ ちょうちょとともに ふゆあかね)
※後輩の蝶キチの撮った写真が来年のカレンダ
ーに採用されたと、それを贈ってくれた。立
派な全国版で、彼の渾身の写真12枚が各月
を飾っている。すごい出来だ。嬉しい。
11/23tue
マップ上 動線たどる 一葉忌
(まっぷじょう どうせんたどる いちようき)
※一葉人気は根強い。都心の3か所の旧居跡を
訪ねる人は引きも切らず、ネットの「一葉暮
らしの研究」もいまだに旺盛のよう。
・・・アソコへはここを通ったとか、品を仕
入れにアノ道を行った、この道は何歳の時誰
を訪ねに通ったとかである。都心散歩の多く
のファンに支持されているのではと思う。
11/22mon
デジタルや 愁思の顔も 修正し
(でじたるや しゅうしのかおも しゅうせいし)
※顔の整形、といっても画像上のことだが。思
う通りの方向に自分の画像を修正してくれる。
以前からこの手のソフトはあったが、空前の
進歩をしているというのだ。
空前も 過ぎたらてんで 他人の顔
最近、こういう小手先の開発ばかりだ。
11/21sun
起きるには まだたっぷりと 酉の市
(おきるには まだたっぷりと とりのいち)
大いなる がま口腰に 酉の市
(おおいなる がまぐちこしに とりのいち)
冷え込むや 帽子深めに お酉様
(ひえこむや ぼうしふかめに おとりさま)
※久しぶりに熊手の店、露店の行列。ただお参
りの客は寂しくて涙が出るほどの閑古鳥。威
勢のいい手拍子もそこかしこに少しだけ。が
ま口も空いたままか。今年は二の酉どまり。
11/20sat
秋の暮れ 種の袋の 字のうすし
(あきのくれ たねのふくろの じのうすし)
※秋植え用に大切に保存しておいた種子がなん
なのかわからない? 袋の上の鉛筆のメモが
薄れている。そんなの知るか!! 種を見て
もわからないのか?
11/19fri
秋の暮 パテシエ修行の 娘が嫁ぐ
(あきのくれ ぱてしえしゅぎょうの こがとつぐ)
※ケーキ店開業の夢は諦めて結婚するとか。小
さいころから知っている、甥の娘だ。まあそ
れもいいだろう、幸せを祈る。
11/18thu
七五三 子のつく名前 参り札
(しちごさん このつくなまえ まいりふだ)
病葉も 岩風呂に入る 旅の宿
(わくらばも いわぶろにいる たびのやど)
※PCでダウンロードした曲を整理してはせっせ
とスマホに移し、オフで聴ける手筈を整えて
いる。へへ、音の悪いのはリジェクトする。
YouTubeは駄目。
11/17wed
時雨忌や 二の橋を越え 深川へ
(しぐれきや にのはしをこえ ふかがわへ)
※時雨忌は芭蕉の忌日、陰暦10月12日。ゆ
かりの深川へはいつも本所側から歩いて、門
仲をゴールにする。
本所二の橋のたもとには軍鶏なべや「五鉄」
の跡地がある。鬼平の行きつけ。
11/16tue
さざんかや 昵懇の犬 動かざる
(さざんかや じっこんのいぬ うごかざる)
※若い秋田犬が道路のあっちで腹ばいになって
動かないでいる。我が家の犬に興味あっての
ことではない。実はお目当ては小生である。
11/15mon
小春日は畑でワイヤレスイヤホンで
(こはるびははたでわいやれすいやほんで)
秋夕焼 電車の音で 腰伸ばす
(あきゆやけ でんしゃのおとで こしのばす)
幾百の 玉葱植えて 腰立たず
(いくひゃくの たまねぎうえて こしたたず)
※3列の長い畝に黒マルチを張り、300本弱
の玉葱の苗を飽きずに植える。しかし来年の
春までは手間いらず。5月前半収穫の早生。
11/14sun
人の顔したる源氏の人逝ける
(ひとのかおしたるげんじのひとゆける)
※瀬戸内寂聴逝去。若いころは一般的な世評に
乗って、おやおやという思いで眺めていたが、
自分がそこから解き放たれると彼女の顔が生
き生きと穏やかに見え始めた。ますますそう
なった。合掌。
11/12fri
どっしりと 家伝の砧 壁にあり
(どっしりと かでんのきぬた かべにあり)
※郊外から移築した豪農の民家が公園にある。
様々な農具、民具を入れ替わりで展示してい
た。機織りの仕上げに反物の布打ちに使った
とか。生乾きの洗濯物をたたいて柔らかくし
たり皺をのばしたりもした。昔村落の家々で
砧の音がした・・・有名なその光景とは、な
にをしていたんだろう? 聞きそびれた。
11/10wed
男手が スマホを見つつ 菊膾
(おとこでが すまほをみつつ きくなます)
※季節感はあっても好きなものではない。何度
か口にする機会はあったが、ちょっと舌先で
感じてすぐに飲み込む類のものだった。せっ
かくの到来物の食用菊、少し前進したい。年
齢並みに。
11/9tue
歩きけり 新酒試飲は 障子部屋
(あるきけり しんしゅしいんは しょうじべや)
※今は近くに醸造会社はない。昔々の話。
望みしも 秋刀魚一向に 気配なし
(のぞみしも さんまいっこうに けはいなし)
11/8mon
海舟の 呼吸が聞こえる 坂の秋
(かいしゅうの いきがきこえる さかのあき)
※勝海舟は赤坂の地を愛し、都合3度も場所を
変えて住まいした。幕末は氷川下。その場所
はマンションの林の中に埋没しているが、近
くの氷川神社や氷川坂には往時の息吹が残っ
ているように感じた。交通の激しい大通りの
間にあって、不思議な静寂がある。
11/7sun
墓売れて にわか夜なべの 石工かな
(はかうれて にわかよなべの いしくかな)
吾亦紅 午前いっぱい 身じろがず
(われもこう ごぜんいっぱい みじろがず)
※新しいクルマの試乗に行った。今のクルマは
中古だから、二つのクルマの間には10年近
くの隔たりがある。話には聞いていたが、IT
絡みの装備は目を見張るほど。
しかし「安全のために必要なもの」と運転手
サポートという名の「大きなお世話」とが混
然としている。
11/6sat
ゴミ寄せに 鴉が消えて 秋の暮
(ごみよせに からすがきえて あきのくれ)
秋深しジュリーのサンフランシスコ
(あきふかしじゅりーのさんふらんしすこ)
※暦には明日7日は立冬。いくら寒いとは言え
今日明日が冬であるとは肌に合わない。年々
のことだ。新旧暦のずれにあるのだから仕方
がない。しかし自分の句作とかには実感を優
先していきたい。まだ当分は秋の暮だ。
ジュリー・ロンドンの低い声が最も似合う季
節。
11/5fri
日に一つ もいで柿食う 余生良し
(ひにひとつ もいでかきくう よせいよし)
※胃のバリウム検査に行ってきた。1時間ごと
の予約制に改まって待ち時間が短くなった。
この街での検査も25回以上を数える。
11/4thu
文化の日 佳きことありて 嗽二度
(ぶんかのひ よきことありて うがいにど)
文化の日 洗濯しつつ 長電話
(ぶんかのひ せんたくしつつ ながでんわ)
※文化の日とて関係の催しはなにもない。展示
だけの文化祭も繰り上げで既に終わっている。
友人の洗濯時の無聊に付き合う。
11/3wed
背の曲がり 正すこと増え 鱗雲
(せのまがり ただすことふえ うろこぐも)
立冬は とうに来るらし 秋霞
(りっとうは とうにきたるらし あきがすみ)
先生の 甲高い声 秋の午後
(せんせいの かんだかいこえ あきのごご)
※もう晩秋である。様々な老化やその兆候を感
じ始めて久しくなるが、これも秋そのもの。
人生の秋の風情。
11/2tue
山中の 食堂ひとり とろろ汁
(さんちゅうの しょくどうひとり とろろじる)
※房総半島の紅葉の見頃は11月下旬から12
月上旬。年によって短く、気がついた頃には
盛りが終わっていたということも。
今の山のドライブコースは人もクルマもとこ
とんまばら。
11/1mon
故郷の 歳時記重し 秋燈下
(ふるさとの さいじきおもし しゅうとうか)
※昭和55年発行の「会津歳時記」がある。横
になって、うとうとしながら長時間見入るの
が至福の時なのだが、大部だけに仰向けのま
までは5分と持たない。
歳時記といっても当時の俳人仲間が集まり、
地域の俳人と先輩の句を発掘して郷土の匂い
がする俳句集を編んでみよう、ということに
なったらしい。どんな歳時記でもその中に自
分の句がのる、残るというのは俳句人の夢。
あれもこれと話と努力は大きくなり、出来上
がりは重くなった。装丁も立派である。
後にも先にもこれだけの目論見はこれ一回だ
け。匂い豊かで、胸に重くなるのを今日も味
わうことにしよう。
ダクタク句集2021年(令和3年)10月 [ダクタク2021年10月]
10/31sun
雁渡し 松籟となる 選挙の日
(かりわたし しょうらいとなる せんきょのひ)
秋燈や 小さき埴輪の 目の丸く
(しゅうとうや ちさきはにわの めのまるく)
※埴輪が机上の電気スタンドに照らされて、今
までにない影が出来、なにやら意味ありげに
見える。何か語りかけるようにも感じられる。
新鮮。今日は玉ねぎの畝作りに駆り出された。
夕方散歩と投票に。
10/30sat
秋祭り かつて担ぎし 大神輿
(あきまつり かつてかつぎし おおみこし)
祭礼の ポスター古き 老舗かな
(さいれいの ぽすたーふるき しにせかな)
※盛んだった秋の祭礼も、今は神社に氏子の主
な者が集まり、祝詞を上げお神酒をいただく
だけとか。コロナ以前からそうだったと主は
話す。
10/28thu
山法師の 実に触れてみる 通学路
(やまぼしの みにふれてみる つうがくろ)
甘柿は 送るべしとて 甥の家
(あまがきは おくるべしとて おいのいえ)
※木に残っている柿の実はもう僅か。甘柿大好
きと言ってくれる家に少し送った。取ってま
でして食べないという家が多い。木守り柿と
かのつもりもないみたい。
10/27wed
栗ご飯 まだ長月の 寒き日に
(くりごはん まだながつきの さむきひに)
※気温はひと月以上も先を行っている。旧暦で
はまだ9月長月だ。しかし寒いおかげで、豚
汁と栗おこわという好みの食卓となった。
10/26tue
ホトトギス清貧の否応なしと
(ほととぎすせいひんのいやおうなしと)
※清貧を旨とする高潔な人と少なくとも外見
は同じになった。老い、億劫、金なしに加
え、with コロナで否応なしの清貧である。
中身もそうありたいと願っているが・・・。
10/25mon
二階まで 朝顔の紺 今日は褒め
(にかいまで あさがおのこん きょうはほめ)
※10月下旬だというのにこの家の朝顔は盛
んだ。一階の壁は葉と蔓が蔽いつくし、紫
がかった紺色の花が二階の板壁と窓辺を半
ば隠している。寒い朝、今朝は季節感の異
常さはさておき、清々しさを感じた。
10/24sun
矯められし もみじ形を 取り戻す
(ためられし もみじかたちを とりもどす)
※長年桃の木いや桃の実優先で、枝が重なって
下部にあるもみじがばっさり伐られ、その後
も伸びる度に切られてきた。やっとこの秋、
桃の大枝を切り、もみじの雪辱を果たしてや
った。家人にはこっぴどく叱られたが。
10/23sat
菊坂の 秋簾ふと 見上げおり
(きくざかの あきすだれふと みあげおり)
※菊坂という響きは昭和、それ以前の明治の暮
らしを彷彿とさせた。源は一葉。谷地ともい
える一帯の佇まいは変わりつつも、訪れる人
々は引きも切らない。傍若無人の観光客は住
民の顰蹙を買っている。今も。小生も観光客。
10/21thu
早く去れ 雉狙わんと 威し銃
(はやくされ きじねらわんと おどしじゅう)
※「有害鳥獣の銃による駆除を行います」朝早
く市のスピーカーから流れる。被害のひどさ
は具体的に知っているけれども、雉もなの?
と思った。国鳥ではなかったか。
10/20wed
鳥渡る 細長き空を まっすぐに
(とりかえる ほそながきそらを まっすぐに)
美術展 上野の山で 脚さすり
(びじゅつてん うえののやまで あしさすり)
※久しぶりの東京。狭い通りの両側にマンショ
ンなど高いビルが立ち、空を占拠している。
視界に細長の四角い空がある。以前に親しん
だ通りほど、その空の変貌ぶりに驚く。血中
酸素濃度が低くなる。息苦しい。
10/19tue
降り立って 息白き夜は 栗名月
(おりたって いきしろきよは くりめいげつ)
※旧暦9月13日のこの夜の月(十三夜)を栗
名月というらしい。出かけた帰りの電車内か
らは雲が多くとても駄目だなと諦めていたが、
到着した駅頭からはなんときれいに見えた。
10/17sun
銀杏の やしろ前より 遠くなり
(ぎんなんの やしろまえより とおくなり)
※朝の散歩から足を延ばして「銀杏の社」に向
かう。夢にお告げがあったから。それにもか
かわらず時期はちょっと早かった。小さ目の
が袋一杯ほど。
事件ありて 自然薯掘りを とどまりぬ
(じけんありて じねんじょほりを とどまりぬ)
10/16sat
ヒヨドリと 柿を争う 朝の陣
(ひよどりと かきをあらそう あさのじん)
新語見て 却下却下よ 秋の風
(しんごみて きゃっかきゃっかよ あきのかぜ)
※否応なしに飛び込んでくる新語。仮の略語と
しか言いようがない。くだらないのが多い。
しかし言葉とはそれぞれの世代がその時代に
使い残すものだから拒絶しても始まらない。
自浄能力を信じるしかない。
10/15fri
夕闇や サツマイモ掘る 列残す
(ゆうやみや さつまいもほる れつのこす)
※「なーに今日中に終わるさ」と始めたが、半
分近くは明日以降に。概ねいい出来だが、所
々にネキリムシが試食した痕がある。良い色
の外皮が台無しだ。「だから急がないと」と。
10/13wed
化粧瓶なる濁酒を舐めてみる
(けしょうびんなるどぶろくをなめてみる)
※完全な禁煙をして満一カ月の昨日。ご褒美と
いうわけではないが、ちょっと前にお土産に
もらったドブロクを開けてみた。日本酒の原
酒に近い味? 時間がたっただけ変な味。
10/12tue
月見てる 帰宅困難の 客となり
(つきみてる きたくこんなんの きゃくとなり)
※仲間の中に先日夜の地震のために、ホテル泊
りをしたヤツがいた。羨ましいとか馬鹿とか
褒貶半ばの感想が飛び交っている。
10/11mon
ドビュッシーの 曲より速く 妻歩き
(どびゅっしーの きょくよりはやく つまあるき)
小三治の 音を落として 聞いた秋
(こさんじの おとをおとして きいたあき)
※前の句で多くの人が「月の光」を思い浮かべ
るのでは。月は名月、秋の季語。ゆっくり歩
きたいものだねェ・・・といいたいのかよ。
べらぼーめ~。と小三治が言う。バイク、ク
ラシック、音キチ、俳句・・・凝り性が好ま
しかった。
10/10sun
金木犀 欠伸うつしたき 人のあり
(きんもくせい あくびうつしたき ひとのあり)
摘まむ実の次は柿色を見極めつ
(つまむみのつぎはかき いろをみきわめつ)
※雲の低い日、金木犀の香りが強い。朝散歩帰
りに摘まむ庭の果物がぶどうから甘柿に変わ
った。ぶどうの前は桃。我が家の果物だから
おいしいが、いずれも極めて地味なナリであ
る。それでも豊饒を感じている。
10/8fri
房州の団扇 手に良し 秋団扇
(ぼうしゅうの うちわてによし あきうちわ)
※少し蒸し暑い日が続いた。しまい遅れの団扇
が夏の名残り。
10/7thu
秋の日の翳りてモネの日傘かな
(あきのひのかげりてもねのひがさかな)
※肺炎球菌ワクチンの5年前の接種証明を探し
ているが、当然見当たらない。1回目は定期
接種とかで自治体の一部補助があったが、2
回目は任意接種で9千円前後の自己負担とな
る。基礎疾患(習慣病など)がある者は特に
1回目の接種を呼びかけているが、効能5年
でそれ以降のための接種については呼びかけ
どころかコメントもしていない。どの自治体
も概ね然り。無責任とイワザルベカラズ。
10/6wed
紫煙消え 句読点なき 暮らし秋
(しえんきえ くとうてんなき くらしあき)
※禁煙してもうすぐ一カ月。今が踏ん張りどこ
ろだが、なんともメリハリのない暮らしを感
じてしまう。そう感じること自体情けない話
なのだが。
10/5tue
新米の 旬の野菜の ごとくして
(しんまいの しゅんのやさいの ごとくして)
※当地の稲刈りは早いから新米はとっくに出回
っているとか。昨夜当家の食卓にも。
味はよくわからないが、風味・香りは新鮮で
若々しくていい。少し固めのせいもあるかな。
ん、だんだん味も良くなってきた。
10/4mon
過ぎ行くは 渋皮を剥く 背の時間
(すぎゆくは しぶかわをむく せのじかん)
※散歩道を迂回して野山らしき方に向かう。道
沿いに栗の木があり、夕暮れに落ちた実を拾
っても大丈夫みたい。今年は幸運な日に20
個以上をゲット。中学生の通り道でもあるの
で、これ以上はムリ。結局は買って来て栗飯、
甘露煮と相成る。例年のパターン。
10/3sun
風なくて 雲ありてこそ 蕎麦の花
(かぜなくて くもありてこそ そばのはな)
秋時雨 サ行かすかに 朝の床
(あきしぐれ さぎょうかすかに あさのとこ)
※秋のヤセ蚊に散々やられ、真っ暗なうちに目
が覚めてしまう。無駄な思考はせず、ゆっく
り、あせらず、長い時間を過ごす。これがな
かなか難しい。
10/2sat
秋風や 芭蕉が性を 読みしかな
(あきかぜや ばしょうがさがを よみしかな)
※芭蕉が多方面での人脈と才能を持っていたこ
とは既に広く言われている。曰く、山師、ス
パイ、脱藩コーディネーターとか・・・。
しかし、これらの説は芭蕉の俳句が達した高
みを損なう何物でもない。むしろ、到達の要
因となるものだ。こういう評も多い。賛成。
10/1fri
秋の朝 布団変えての 夢路かな
(あきのあさ ふとんかえての ゆめじかな)
※もう一段厚い掛け布団に替えて、台風接近の
朝は意外と健やかに明けた。予想より遅いせ
いで関東南岸最接近は午後になってからだ。
一昨年来のトラウマはあるが、今回は当地
「進路の西側」に当たる。だから比較的平静。
(伊豆諸島の人々には申し訳ないが)
雁渡し 松籟となる 選挙の日
(かりわたし しょうらいとなる せんきょのひ)
秋燈や 小さき埴輪の 目の丸く
(しゅうとうや ちさきはにわの めのまるく)
※埴輪が机上の電気スタンドに照らされて、今
までにない影が出来、なにやら意味ありげに
見える。何か語りかけるようにも感じられる。
新鮮。今日は玉ねぎの畝作りに駆り出された。
夕方散歩と投票に。
10/30sat
秋祭り かつて担ぎし 大神輿
(あきまつり かつてかつぎし おおみこし)
祭礼の ポスター古き 老舗かな
(さいれいの ぽすたーふるき しにせかな)
※盛んだった秋の祭礼も、今は神社に氏子の主
な者が集まり、祝詞を上げお神酒をいただく
だけとか。コロナ以前からそうだったと主は
話す。
10/28thu
山法師の 実に触れてみる 通学路
(やまぼしの みにふれてみる つうがくろ)
甘柿は 送るべしとて 甥の家
(あまがきは おくるべしとて おいのいえ)
※木に残っている柿の実はもう僅か。甘柿大好
きと言ってくれる家に少し送った。取ってま
でして食べないという家が多い。木守り柿と
かのつもりもないみたい。
10/27wed
栗ご飯 まだ長月の 寒き日に
(くりごはん まだながつきの さむきひに)
※気温はひと月以上も先を行っている。旧暦で
はまだ9月長月だ。しかし寒いおかげで、豚
汁と栗おこわという好みの食卓となった。
10/26tue
ホトトギス清貧の否応なしと
(ほととぎすせいひんのいやおうなしと)
※清貧を旨とする高潔な人と少なくとも外見
は同じになった。老い、億劫、金なしに加
え、with コロナで否応なしの清貧である。
中身もそうありたいと願っているが・・・。
10/25mon
二階まで 朝顔の紺 今日は褒め
(にかいまで あさがおのこん きょうはほめ)
※10月下旬だというのにこの家の朝顔は盛
んだ。一階の壁は葉と蔓が蔽いつくし、紫
がかった紺色の花が二階の板壁と窓辺を半
ば隠している。寒い朝、今朝は季節感の異
常さはさておき、清々しさを感じた。
10/24sun
矯められし もみじ形を 取り戻す
(ためられし もみじかたちを とりもどす)
※長年桃の木いや桃の実優先で、枝が重なって
下部にあるもみじがばっさり伐られ、その後
も伸びる度に切られてきた。やっとこの秋、
桃の大枝を切り、もみじの雪辱を果たしてや
った。家人にはこっぴどく叱られたが。
10/23sat
菊坂の 秋簾ふと 見上げおり
(きくざかの あきすだれふと みあげおり)
※菊坂という響きは昭和、それ以前の明治の暮
らしを彷彿とさせた。源は一葉。谷地ともい
える一帯の佇まいは変わりつつも、訪れる人
々は引きも切らない。傍若無人の観光客は住
民の顰蹙を買っている。今も。小生も観光客。
10/21thu
早く去れ 雉狙わんと 威し銃
(はやくされ きじねらわんと おどしじゅう)
※「有害鳥獣の銃による駆除を行います」朝早
く市のスピーカーから流れる。被害のひどさ
は具体的に知っているけれども、雉もなの?
と思った。国鳥ではなかったか。
10/20wed
鳥渡る 細長き空を まっすぐに
(とりかえる ほそながきそらを まっすぐに)
美術展 上野の山で 脚さすり
(びじゅつてん うえののやまで あしさすり)
※久しぶりの東京。狭い通りの両側にマンショ
ンなど高いビルが立ち、空を占拠している。
視界に細長の四角い空がある。以前に親しん
だ通りほど、その空の変貌ぶりに驚く。血中
酸素濃度が低くなる。息苦しい。
10/19tue
降り立って 息白き夜は 栗名月
(おりたって いきしろきよは くりめいげつ)
※旧暦9月13日のこの夜の月(十三夜)を栗
名月というらしい。出かけた帰りの電車内か
らは雲が多くとても駄目だなと諦めていたが、
到着した駅頭からはなんときれいに見えた。
10/17sun
銀杏の やしろ前より 遠くなり
(ぎんなんの やしろまえより とおくなり)
※朝の散歩から足を延ばして「銀杏の社」に向
かう。夢にお告げがあったから。それにもか
かわらず時期はちょっと早かった。小さ目の
が袋一杯ほど。
事件ありて 自然薯掘りを とどまりぬ
(じけんありて じねんじょほりを とどまりぬ)
10/16sat
ヒヨドリと 柿を争う 朝の陣
(ひよどりと かきをあらそう あさのじん)
新語見て 却下却下よ 秋の風
(しんごみて きゃっかきゃっかよ あきのかぜ)
※否応なしに飛び込んでくる新語。仮の略語と
しか言いようがない。くだらないのが多い。
しかし言葉とはそれぞれの世代がその時代に
使い残すものだから拒絶しても始まらない。
自浄能力を信じるしかない。
10/15fri
夕闇や サツマイモ掘る 列残す
(ゆうやみや さつまいもほる れつのこす)
※「なーに今日中に終わるさ」と始めたが、半
分近くは明日以降に。概ねいい出来だが、所
々にネキリムシが試食した痕がある。良い色
の外皮が台無しだ。「だから急がないと」と。
10/13wed
化粧瓶なる濁酒を舐めてみる
(けしょうびんなるどぶろくをなめてみる)
※完全な禁煙をして満一カ月の昨日。ご褒美と
いうわけではないが、ちょっと前にお土産に
もらったドブロクを開けてみた。日本酒の原
酒に近い味? 時間がたっただけ変な味。
10/12tue
月見てる 帰宅困難の 客となり
(つきみてる きたくこんなんの きゃくとなり)
※仲間の中に先日夜の地震のために、ホテル泊
りをしたヤツがいた。羨ましいとか馬鹿とか
褒貶半ばの感想が飛び交っている。
10/11mon
ドビュッシーの 曲より速く 妻歩き
(どびゅっしーの きょくよりはやく つまあるき)
小三治の 音を落として 聞いた秋
(こさんじの おとをおとして きいたあき)
※前の句で多くの人が「月の光」を思い浮かべ
るのでは。月は名月、秋の季語。ゆっくり歩
きたいものだねェ・・・といいたいのかよ。
べらぼーめ~。と小三治が言う。バイク、ク
ラシック、音キチ、俳句・・・凝り性が好ま
しかった。
10/10sun
金木犀 欠伸うつしたき 人のあり
(きんもくせい あくびうつしたき ひとのあり)
摘まむ実の次は柿色を見極めつ
(つまむみのつぎはかき いろをみきわめつ)
※雲の低い日、金木犀の香りが強い。朝散歩帰
りに摘まむ庭の果物がぶどうから甘柿に変わ
った。ぶどうの前は桃。我が家の果物だから
おいしいが、いずれも極めて地味なナリであ
る。それでも豊饒を感じている。
10/8fri
房州の団扇 手に良し 秋団扇
(ぼうしゅうの うちわてによし あきうちわ)
※少し蒸し暑い日が続いた。しまい遅れの団扇
が夏の名残り。
10/7thu
秋の日の翳りてモネの日傘かな
(あきのひのかげりてもねのひがさかな)
※肺炎球菌ワクチンの5年前の接種証明を探し
ているが、当然見当たらない。1回目は定期
接種とかで自治体の一部補助があったが、2
回目は任意接種で9千円前後の自己負担とな
る。基礎疾患(習慣病など)がある者は特に
1回目の接種を呼びかけているが、効能5年
でそれ以降のための接種については呼びかけ
どころかコメントもしていない。どの自治体
も概ね然り。無責任とイワザルベカラズ。
10/6wed
紫煙消え 句読点なき 暮らし秋
(しえんきえ くとうてんなき くらしあき)
※禁煙してもうすぐ一カ月。今が踏ん張りどこ
ろだが、なんともメリハリのない暮らしを感
じてしまう。そう感じること自体情けない話
なのだが。
10/5tue
新米の 旬の野菜の ごとくして
(しんまいの しゅんのやさいの ごとくして)
※当地の稲刈りは早いから新米はとっくに出回
っているとか。昨夜当家の食卓にも。
味はよくわからないが、風味・香りは新鮮で
若々しくていい。少し固めのせいもあるかな。
ん、だんだん味も良くなってきた。
10/4mon
過ぎ行くは 渋皮を剥く 背の時間
(すぎゆくは しぶかわをむく せのじかん)
※散歩道を迂回して野山らしき方に向かう。道
沿いに栗の木があり、夕暮れに落ちた実を拾
っても大丈夫みたい。今年は幸運な日に20
個以上をゲット。中学生の通り道でもあるの
で、これ以上はムリ。結局は買って来て栗飯、
甘露煮と相成る。例年のパターン。
10/3sun
風なくて 雲ありてこそ 蕎麦の花
(かぜなくて くもありてこそ そばのはな)
秋時雨 サ行かすかに 朝の床
(あきしぐれ さぎょうかすかに あさのとこ)
※秋のヤセ蚊に散々やられ、真っ暗なうちに目
が覚めてしまう。無駄な思考はせず、ゆっく
り、あせらず、長い時間を過ごす。これがな
かなか難しい。
10/2sat
秋風や 芭蕉が性を 読みしかな
(あきかぜや ばしょうがさがを よみしかな)
※芭蕉が多方面での人脈と才能を持っていたこ
とは既に広く言われている。曰く、山師、ス
パイ、脱藩コーディネーターとか・・・。
しかし、これらの説は芭蕉の俳句が達した高
みを損なう何物でもない。むしろ、到達の要
因となるものだ。こういう評も多い。賛成。
10/1fri
秋の朝 布団変えての 夢路かな
(あきのあさ ふとんかえての ゆめじかな)
※もう一段厚い掛け布団に替えて、台風接近の
朝は意外と健やかに明けた。予想より遅いせ
いで関東南岸最接近は午後になってからだ。
一昨年来のトラウマはあるが、今回は当地
「進路の西側」に当たる。だから比較的平静。
(伊豆諸島の人々には申し訳ないが)
ダクタク句集2021年(令和3年)9月 [ダクタク2021年9月]
9/30thu
残り出でし 隠元を食う 余生かな
(のこりいでし いんげんをくう よせいかな)
秋が来て 半藤が昭和を 思いけり
(あきがきて はんどうがしょうわを おもいけり)
※半藤一利の著作をまとめて読んだ。おまけに
今回は細君の末利子のエッセイも。昭和と較
べると、今日は甚だグローバルだけれど変動
要因、不安定要素が何倍にも増えた。
好みで二択ならまだいいのだが・・・。
9/29wed
身構える 台風のコース じわりまた
(みがまえる たいふうのこーす じわりまた)
※一昨年の房総半島台風を思わせる台風16号
の不気味な動き。あの時の暴風のすさまじさ
はそれまでの経験の最高値を遥かに超えてい
た。以来トラウマとなって残っている。
9/28tue
総裁選 まともはおらず 票もなし
(そうさいせん まともはおらず ひょうもなし)
画材にと 桜紅葉の シミが好き
(がざいにと さくらもみじの しみがすき)
※候補者はかなりの一長一短、つまり一人トッ
プの器ではないということ。一方朝の散歩道
で拾ったサクラの落ち葉は「お、これがいい、
やや、これも捨てがたい・・・」。
9/27mon
手の震え 医師はムリだった 泡立ち草
(てのふるえ いしはむりだった あわだちそう)
※70歳台でバリバリ現役の医師はごまんとい
る。手術も在宅医療の担い手も・・・少しは
社会に役立ちたいと思うが。
9/26sun
検診の 人まばらにて 秋の鬱
(けんしんの ひとまばらにて あきのうつ)
※コロナ禍の影響でガン検診の受診者が少ない
とか。昨日行ったところが、例年の半分以下
でスイスイだった。ガンの早期発見がそれだ
け困難になり、国民の健康も損なわれ、医療
費負担も嵩むか。必死に呼びかけてはいるが。
9/24fri
吾亦紅 年齢のみ母に 近づいて
(われもこう としのみははに ちかづいて)
※お彼岸のお中日に犬(外飼い)のシャンプー
をした。最近やけにかゆがるので、いい方の
シャンプーで丹念に。薬効はどうか? 少し
はいいみたい。感謝されている。
9/23thu
天高し 分厚き本の 進まざる
(てんたかし ぶあつきほんの すすまざる)
※図書館からのメールで本屋大賞受賞作の順番
が来たことを知る。予約してから半年近くだ。
難渋している読書中の本の次はこれにしよう。
9/22wed
早きこと 今年いずこも 曼殊沙華
(はやきこと ことしいずこも まんじゅしゃげ)
※庭の白い曼殊沙華も久留里線沿いの真っ赤な
曼殊沙華も見事に咲き揃っている。例年はお
彼岸中日にもやや遅れ気味だったのに。
9/21tue
月明かり 術後の姉の いびきかな
(つきあかり じゅつごのあねの いびきかな)
※コロナ禍下での入院と手術、経過は順調だ。
手術直後に限って5分ほどの対面は許された
が、その後の面会はダメ。届け物もナースセ
ンター経由。患者のわがままも抑止される。
ただし、明月は欲しいまま。
名月や 禁煙の唾 飲みこめり
(めいげつや きんえんのつば のみこめり)
9/20mon
電話口 朝飯中だと 敬老日
(でんわぐち あさめしちゅうだと けいろうび)
咽喉が良し 高音も出る 敬老日
(のどがよし こうおんもでる けいろうび)
※実は9月12日を期して禁煙をしている。過
去のようではなく、本当の禁煙だ。完璧な一
週間が経過した。爽快、ではある。
9/19sun
糸瓜忌や くせ爪すこし 治りけり
(へちまきや くせづめすこし なおりけり)
野球忌や 大谷遥かな 峰に立つ
(やきゅうきや おおたにはるかな みねにたつ)
※9月19日は子規忌。おや、子規忌かい、相
変わらず一年は早いなあ、と思う日。子規に
入れ込んでいた頃は少し前から騒いでいた。
9/17fri
秋の猫 リボンなどして 無視しおり
(あきのねこ りぼんなどして むししおり)
※岩合某氏の猫番組。猫の住む歴史、環境など
によって猫の扱い、扱われ方、そして猫の行
動に様々な違いが生じるものだとわかる。
知らない人には愛想のカケラも見せない猫は?
9/16thu
高安の まちまちな房 ぶどう描く
(たかやすの まちまちなふさ ぶどうかく)
※教室終了後の画材分捕りは熾烈を極める。
シャインマスカットの数粒が、昔ながらの小
粒な甲州ブドウ一房より人気を集める。人気
の甲斐路のピンチヒッターだったとはいえ、
ひどい仕打ちだ。甘いのに・・・・。
9/15wed
露草や 嚥下体操の 音きこゆ
(つゆくさや えんげたいそうの おときこゆ)
※開け放ったデイの窓から、大きな声が聞こえ
る。繰り返しの発声のトレーニングが咽喉元
の働きを強くするとか。
9/13mon
床屋言う かつて健脚 キノコ狩り
(とこやいう かつてけんきゃく きのこがり)
肺ガンの シロ点々と 秋澄めり
(はいがんの しろてんてんと あきすめり)
※行きつけの床屋の主人が三度目の癌の攻めに
直面している。手術が可能かどうか?最適の
抗がん剤は?次の外来で決めることになると
いう。
9/12sun
街道に 医家の門柱 帰燕かな
(かいどうに いかのもんちゅう きえんかな)
※季節は確実に過ぎていく。コロナ休みで休講
だった水彩画も来週には再開、画材は季節の
果物だとか。サボり過ぎ、どうしよう。
9/11sat
刈り残す 品種を尋ね うろこ雲
(かりのこす ひんしゅをたずね うろこぐも)
※当地の稲刈りは一部を残し殆どが終了。2年
前の房総半島直撃の台風襲来日も無事に過ぎ
た。まずは目出度い。あの時の強風と被害、
トラウマが完全には癒えていない。
9/10fri
遠きから 思い思いて 風の盆
(とおきから おもいおもいて かぜのぼん)
※いまだに実現していない富山市八尾のおわら
風の盆見物。九月上旬。かすかな憧れだけが
もう何十年も続いている。
若いころは、風の盆という名前に惚れてみた
り女踊りの清楚さが頭に焼き付いていた。中
年の頃は男踊りの渋さ、凛々しさこそ最高だ
と。そして今・・・。
あ、あそこで車椅子に座って飽かず眺めてい
る、あれが私だ。
9/9thu
草のびて 上下交換の 駅のあり
(くさのびて じょうげこうかんの えきのあり)
※晴れ間が見えても遠出はしない。今日は犬の
餌買いにちょっとだけ。単線久留里線の横田
駅は沿線中ほどの駅で、上り下り各一時間1
本の列車が交差する駅。昼下がり、静寂。
9/8wed
騒がしくなれど九月の歌多し
(さわがしくなれど くがつのうたおおし)
※首相最悪のやめ方。にわかに生臭い話が蔓延
しつつある。一方でNHKラジオでこの何日か
で September Song を3,4回聴いた。しか
も歌い手を変えて。耳に断然懐かしいのはや
はりシナトラ。
9/7tue
法師蝉の 影を奪いて 秋の冷え
(ほうしぜみの かげをうばいて あきのひえ)
長雨の 上がらんとして 虫なけど
(ながあめの あがらんとして むしなけど)
※10月下旬並みの気温。風流の人は惜春のよ
うな言葉はなくとも、行く夏を惜しみ次第に
秋めく今頃をしみじみ味わうというのだが・
・・。
9/6mon
刈入れは 爺がビールつぎ 始まれり
(かりいれは じじがびーるつぎ はじまれり)
※刈入れ作業は勤め人の孫の出番。腰を曲げて
眺めていた爺は初日を終えた孫にビールをつ
いでいる。と思う。去年までの主役息子は姿
が見えない。
9/5sun
秋天や 見上げつ半日 畑におり
(しゅうてんや みあげつはんにち はたにおり)
隠元棚 慈しみつつ 撤収す
(いんげんだな いつくしみつつ てっしゅうす)
※秋は畑作業が最高、とか言われ繰り出す。雨
の間の貴重な晴れ間。大当たりだったインゲ
ン豆。
9/3fri
花桔梗 息子寝んとて 帰り来る
(はなききょう むすこねんとて かえりくる)
※アフガニスタン米軍撤退とその後の混沌。
9/2thu
御仏を うたう父の句 二百十日
(みほとけを うたうちちのく にひゃくとうか)
※一気に十月上旬並みの気温に。豪雨被害はあ
ったが、台風の襲来はいまのところ少な目だ。
9/1wed
待ち兼ねて 雨音ソフト 八月尽
(まちかねて あまおとそふと はちがつじん)
秋雨や 雨城楊枝の 代替わり
(あきさめや うじょうようじの だいがわり)
※やっと一雨。雨城は久留里城の別名。長く城
下で作り伝えられた黒もじ楊枝がある。
残り出でし 隠元を食う 余生かな
(のこりいでし いんげんをくう よせいかな)
秋が来て 半藤が昭和を 思いけり
(あきがきて はんどうがしょうわを おもいけり)
※半藤一利の著作をまとめて読んだ。おまけに
今回は細君の末利子のエッセイも。昭和と較
べると、今日は甚だグローバルだけれど変動
要因、不安定要素が何倍にも増えた。
好みで二択ならまだいいのだが・・・。
9/29wed
身構える 台風のコース じわりまた
(みがまえる たいふうのこーす じわりまた)
※一昨年の房総半島台風を思わせる台風16号
の不気味な動き。あの時の暴風のすさまじさ
はそれまでの経験の最高値を遥かに超えてい
た。以来トラウマとなって残っている。
9/28tue
総裁選 まともはおらず 票もなし
(そうさいせん まともはおらず ひょうもなし)
画材にと 桜紅葉の シミが好き
(がざいにと さくらもみじの しみがすき)
※候補者はかなりの一長一短、つまり一人トッ
プの器ではないということ。一方朝の散歩道
で拾ったサクラの落ち葉は「お、これがいい、
やや、これも捨てがたい・・・」。
9/27mon
手の震え 医師はムリだった 泡立ち草
(てのふるえ いしはむりだった あわだちそう)
※70歳台でバリバリ現役の医師はごまんとい
る。手術も在宅医療の担い手も・・・少しは
社会に役立ちたいと思うが。
9/26sun
検診の 人まばらにて 秋の鬱
(けんしんの ひとまばらにて あきのうつ)
※コロナ禍の影響でガン検診の受診者が少ない
とか。昨日行ったところが、例年の半分以下
でスイスイだった。ガンの早期発見がそれだ
け困難になり、国民の健康も損なわれ、医療
費負担も嵩むか。必死に呼びかけてはいるが。
9/24fri
吾亦紅 年齢のみ母に 近づいて
(われもこう としのみははに ちかづいて)
※お彼岸のお中日に犬(外飼い)のシャンプー
をした。最近やけにかゆがるので、いい方の
シャンプーで丹念に。薬効はどうか? 少し
はいいみたい。感謝されている。
9/23thu
天高し 分厚き本の 進まざる
(てんたかし ぶあつきほんの すすまざる)
※図書館からのメールで本屋大賞受賞作の順番
が来たことを知る。予約してから半年近くだ。
難渋している読書中の本の次はこれにしよう。
9/22wed
早きこと 今年いずこも 曼殊沙華
(はやきこと ことしいずこも まんじゅしゃげ)
※庭の白い曼殊沙華も久留里線沿いの真っ赤な
曼殊沙華も見事に咲き揃っている。例年はお
彼岸中日にもやや遅れ気味だったのに。
9/21tue
月明かり 術後の姉の いびきかな
(つきあかり じゅつごのあねの いびきかな)
※コロナ禍下での入院と手術、経過は順調だ。
手術直後に限って5分ほどの対面は許された
が、その後の面会はダメ。届け物もナースセ
ンター経由。患者のわがままも抑止される。
ただし、明月は欲しいまま。
名月や 禁煙の唾 飲みこめり
(めいげつや きんえんのつば のみこめり)
9/20mon
電話口 朝飯中だと 敬老日
(でんわぐち あさめしちゅうだと けいろうび)
咽喉が良し 高音も出る 敬老日
(のどがよし こうおんもでる けいろうび)
※実は9月12日を期して禁煙をしている。過
去のようではなく、本当の禁煙だ。完璧な一
週間が経過した。爽快、ではある。
9/19sun
糸瓜忌や くせ爪すこし 治りけり
(へちまきや くせづめすこし なおりけり)
野球忌や 大谷遥かな 峰に立つ
(やきゅうきや おおたにはるかな みねにたつ)
※9月19日は子規忌。おや、子規忌かい、相
変わらず一年は早いなあ、と思う日。子規に
入れ込んでいた頃は少し前から騒いでいた。
9/17fri
秋の猫 リボンなどして 無視しおり
(あきのねこ りぼんなどして むししおり)
※岩合某氏の猫番組。猫の住む歴史、環境など
によって猫の扱い、扱われ方、そして猫の行
動に様々な違いが生じるものだとわかる。
知らない人には愛想のカケラも見せない猫は?
9/16thu
高安の まちまちな房 ぶどう描く
(たかやすの まちまちなふさ ぶどうかく)
※教室終了後の画材分捕りは熾烈を極める。
シャインマスカットの数粒が、昔ながらの小
粒な甲州ブドウ一房より人気を集める。人気
の甲斐路のピンチヒッターだったとはいえ、
ひどい仕打ちだ。甘いのに・・・・。
9/15wed
露草や 嚥下体操の 音きこゆ
(つゆくさや えんげたいそうの おときこゆ)
※開け放ったデイの窓から、大きな声が聞こえ
る。繰り返しの発声のトレーニングが咽喉元
の働きを強くするとか。
9/13mon
床屋言う かつて健脚 キノコ狩り
(とこやいう かつてけんきゃく きのこがり)
肺ガンの シロ点々と 秋澄めり
(はいがんの しろてんてんと あきすめり)
※行きつけの床屋の主人が三度目の癌の攻めに
直面している。手術が可能かどうか?最適の
抗がん剤は?次の外来で決めることになると
いう。
9/12sun
街道に 医家の門柱 帰燕かな
(かいどうに いかのもんちゅう きえんかな)
※季節は確実に過ぎていく。コロナ休みで休講
だった水彩画も来週には再開、画材は季節の
果物だとか。サボり過ぎ、どうしよう。
9/11sat
刈り残す 品種を尋ね うろこ雲
(かりのこす ひんしゅをたずね うろこぐも)
※当地の稲刈りは一部を残し殆どが終了。2年
前の房総半島直撃の台風襲来日も無事に過ぎ
た。まずは目出度い。あの時の強風と被害、
トラウマが完全には癒えていない。
9/10fri
遠きから 思い思いて 風の盆
(とおきから おもいおもいて かぜのぼん)
※いまだに実現していない富山市八尾のおわら
風の盆見物。九月上旬。かすかな憧れだけが
もう何十年も続いている。
若いころは、風の盆という名前に惚れてみた
り女踊りの清楚さが頭に焼き付いていた。中
年の頃は男踊りの渋さ、凛々しさこそ最高だ
と。そして今・・・。
あ、あそこで車椅子に座って飽かず眺めてい
る、あれが私だ。
9/9thu
草のびて 上下交換の 駅のあり
(くさのびて じょうげこうかんの えきのあり)
※晴れ間が見えても遠出はしない。今日は犬の
餌買いにちょっとだけ。単線久留里線の横田
駅は沿線中ほどの駅で、上り下り各一時間1
本の列車が交差する駅。昼下がり、静寂。
9/8wed
騒がしくなれど九月の歌多し
(さわがしくなれど くがつのうたおおし)
※首相最悪のやめ方。にわかに生臭い話が蔓延
しつつある。一方でNHKラジオでこの何日か
で September Song を3,4回聴いた。しか
も歌い手を変えて。耳に断然懐かしいのはや
はりシナトラ。
9/7tue
法師蝉の 影を奪いて 秋の冷え
(ほうしぜみの かげをうばいて あきのひえ)
長雨の 上がらんとして 虫なけど
(ながあめの あがらんとして むしなけど)
※10月下旬並みの気温。風流の人は惜春のよ
うな言葉はなくとも、行く夏を惜しみ次第に
秋めく今頃をしみじみ味わうというのだが・
・・。
9/6mon
刈入れは 爺がビールつぎ 始まれり
(かりいれは じじがびーるつぎ はじまれり)
※刈入れ作業は勤め人の孫の出番。腰を曲げて
眺めていた爺は初日を終えた孫にビールをつ
いでいる。と思う。去年までの主役息子は姿
が見えない。
9/5sun
秋天や 見上げつ半日 畑におり
(しゅうてんや みあげつはんにち はたにおり)
隠元棚 慈しみつつ 撤収す
(いんげんだな いつくしみつつ てっしゅうす)
※秋は畑作業が最高、とか言われ繰り出す。雨
の間の貴重な晴れ間。大当たりだったインゲ
ン豆。
9/3fri
花桔梗 息子寝んとて 帰り来る
(はなききょう むすこねんとて かえりくる)
※アフガニスタン米軍撤退とその後の混沌。
9/2thu
御仏を うたう父の句 二百十日
(みほとけを うたうちちのく にひゃくとうか)
※一気に十月上旬並みの気温に。豪雨被害はあ
ったが、台風の襲来はいまのところ少な目だ。
9/1wed
待ち兼ねて 雨音ソフト 八月尽
(まちかねて あまおとそふと はちがつじん)
秋雨や 雨城楊枝の 代替わり
(あきさめや うじょうようじの だいがわり)
※やっと一雨。雨城は久留里城の別名。長く城
下で作り伝えられた黒もじ楊枝がある。
ダクタク句集2021年(令和3年)8月 [ダクタク2021年8月]
8/31tue
爽涼や 係船洗う 細き腕
(そうりょうや けいせんあらう ほそきうで)
※久しぶりに木更津港のそばを通った。日中の
気温は今日ぐっと低く、凌ぎやすい。砂利運
搬船が数隻いるだけ。
8/30mon
ホームラン 客なき席に 夏終わる
(ほーむらん きゃくなきせきに なつおわる)
※コロナ禍の真っ最中に、甲子園とパラリンピ
ック。やや不自然な多忙感。プツンッと切る
と田舎の超静寂な午後に。夏今終わる。
8/29sun
塗装屋の 足場の払い 速く秋
(とそうやの あしばのはらい はやくあき)
※近くで長々と丁寧に作業をしていた業者が仕
事を完了した。撤収作業。今日は素早い。
8/27fri
秋暑し 茶筅をしかと 手入れする
(あきあつし ちゃせんをしかと ていれする)
※もどった暑さは一段と強烈、当地は昨日今季
初めての猛暑日をを記録した。
8/26thu
新しき 稲刈り機動く 爺も見る
(あたらしき いねかりきうごく じじもみる)
※中旬までの長雨で大部分倒れた稲田がある。
全く丈夫な田も多い。暑い一日。
8/25wed
調剤の 袋を問われ 残暑かな
(ちょうざいの ふくろをとわれ ざんしょかな)
※毎日飲む薬がまた一つ増えた。山となった薬
を手渡しながら、可愛い薬局のお姉ちゃんが
言ったものだ。「一日おきの薬が多いから大
丈夫ですか?ちゃんと飲めますか?」
バーヤロー!
8/24tue
仕舞た屋に 都会の子いる 秋暑し
(しもたやに とかいのこいる あきあつし)
※東京ナンバーのクルマが子供を迎えに来たと
ころらしい。2学期もどうにか始まるようだ。
8/22sun
商店の消えゆく秋ぞ空を見る
(しょうてんの きえゆくあきぞ そらをみる)
ショーケースに 時計残れり 今朝の秋
(しょーけーすに とけいのこれり けさのあき)
※地方都市の個人商店はこの国の政策で消えゆ
く運命。主の高齢化などで、櫛の歯が抜ける
ようにパタパタと、しかし着実に消え去る。
8/20fri
ゆっくりと 猫が横切る 盆の明け
(ゆっくりと ねこがよこぎる ぼんのあけ)
日に一度 棚のブドウを 摘まみ食い
(ひにいちど たなのぶどうを つまみぐい)
※あれだけの前線が動き、夏の暑さがもどった。
しかし盆明けの世の中の活動再開は?
8/19thu
クロエーの 髪に秋風 手櫛さす
(くろえーの かみにあきかぜ てぐしさす)
※古代ローマ時代の小説のヒロイン、クロエー。
句が出来ないー。こういう日もある、多い。
8/18wed
塔の隅 見詰めて描く 夏帽子
(とうのすみ みつめてえがく なつぼうし)
※また暑い夏がやってきた。立派な山門を残す
寺に子供たちがスケッチしている。外出もま
まならなかったから、付き添いの人が見当た
らないのに、さぼらずに熱心に描いている。
見習わなければ・・・。
8/17tue
新涼というな前線居座れる
(しんりょうというな ぜんせんいすわれる)
※長雨のせいで気温は下がり、爽やかなとも言
える。当地の稲作農家は盆明けの刈り取りを
前にして、倒れた稲を苦々しく見つめる。
一方、水没した西日本の農家は悲嘆に暮れて
いる。
8/15sun
百日草 在宅治療という不安
(ひゃくにちそう ざいたくちりょうというふあん)
※血中酸素濃度94%以上は在宅治療とか。マク
ロの正解を導くための明快すぎる基準。
8/14sat
花魁草 我が家を去りて この宿に
(おいらんそう わがやをさりて このやどに)
※どこの庭も菜園もこの雨続きで手が入らない
ようだ。我が家も同様。西日本の被害状況の
ニュースを見れば、まだまだ恵まれている。
8/13fri
西瓜乗せ 売り声テスト 繰り返し
(すいかのせ うりごえてすと くりかえし)
※列島全体が前線に覆われ、豪雨の危険が広ま
る。気温が下がり、さすがに西瓜の季節は終
わりそう。知合いの西瓜農家も軽トラに満載
し、盆休みの客を頼みに出かける。
自家製の 小玉西瓜を 半分こ
(じかせいの こだますいかを はんぶんこ)
8/12thu
虹現れて 風の通りで 見んとする
(にじあれて かぜのとおりで みんとする)
※先日夕方の二度の夕立ちで、二つの虹が現れ
た。なかなか見事だった。風の通りは一番涼
しい通り、息を切らして駆け付けた。
声なくも 片陰つくる 幼稚園
(こえなくも かたかげつくる ようちえん)
8/11wed
草むしる 目線でじっと 我が家見る
(くさむしる めせんでじっと わがやみる)
※蚊取り線香をしっかり腰に巻いて草むしり。
この目線、この眺めは新鮮。下から目線。住
んで20年以上になるのに・・・。カメラに
収めると狭い庭が数倍の広さに見える。
8/9mon
片陰を スマホのラジオ ならし行く
(かたかげを すまほのらじお ならしゆく)
※オリンピック絡みの放送が消えると、こんな
にも変わるものか。一種静寂という感じ。
これでコロナ禍関連がなくなったら、この世
は何をテーマに回っていくのだろう。
8/8sun
包丁と テレビの音と 晩夏かな
(ほうちょうと てれびのおとと ばんかかな)
※日がな一日テレビに見入る亭主といやでもお
さんどんをする家内。もうそろそろ飽和状態
に近づいたところで、台風と五輪は閉会式だ。
長かった強雨がようやく上がったところで、
昨日が立秋だったことを知った。
8/7fri
原爆忌後期高齢者の二年
(げんばくき こうきこうれいしゃのにねん)
※原爆投下後76年。自分の満年齢に同じ。方
向性を持った着実な動きの象徴になればと思
うが、ここにも小さな分断が蔓延り、根付い
て久しい。
8/5thu
定斎屋の 売り声知らず 盛夏かな
(じょさいやの うりごえしらず せいかかな)
※街も住宅地の通りも見事に閑散。暑気払いの
薬を売り歩く天秤棒を担いだ薬屋。江戸の風
物詩。これ自身が季語だとか。
8/4wed
呆けては 知命いまだに 夏暖簾
(ほうけては ちめいいまだに なつのれん)
※50の歳は遥かになったが、「このまま行く
ことになるなァ」と暫く顔を見ていない友人
と話す。呆けてきそうな午後の話題。
8/3tue
とまる人あり暑しとも言わず行く
(とまるひとあり あつしともいわずいく)
※蒸し暑い。この朝も修行僧のごとく歩く人が
いる。初の熱帯夜になっても時刻はいつもと
同じだ。
8/2mon
豪雨去り 橋脚白し 土用かな
(ごううさり きょうきゃくしろし どようかな)
※不安定な天気になって、午前中の猛暑と午後
の雷雨というのがパターンになりつつある。
気象予報が今ほどでなかった頃は、この天気
パターンを「夏の天気の決まりごと」として
認識していた。
夕方の突然の驟雨と雷鳴、予測されると風物
詩とは言えなくなった。損をしている。
爽涼や 係船洗う 細き腕
(そうりょうや けいせんあらう ほそきうで)
※久しぶりに木更津港のそばを通った。日中の
気温は今日ぐっと低く、凌ぎやすい。砂利運
搬船が数隻いるだけ。
8/30mon
ホームラン 客なき席に 夏終わる
(ほーむらん きゃくなきせきに なつおわる)
※コロナ禍の真っ最中に、甲子園とパラリンピ
ック。やや不自然な多忙感。プツンッと切る
と田舎の超静寂な午後に。夏今終わる。
8/29sun
塗装屋の 足場の払い 速く秋
(とそうやの あしばのはらい はやくあき)
※近くで長々と丁寧に作業をしていた業者が仕
事を完了した。撤収作業。今日は素早い。
8/27fri
秋暑し 茶筅をしかと 手入れする
(あきあつし ちゃせんをしかと ていれする)
※もどった暑さは一段と強烈、当地は昨日今季
初めての猛暑日をを記録した。
8/26thu
新しき 稲刈り機動く 爺も見る
(あたらしき いねかりきうごく じじもみる)
※中旬までの長雨で大部分倒れた稲田がある。
全く丈夫な田も多い。暑い一日。
8/25wed
調剤の 袋を問われ 残暑かな
(ちょうざいの ふくろをとわれ ざんしょかな)
※毎日飲む薬がまた一つ増えた。山となった薬
を手渡しながら、可愛い薬局のお姉ちゃんが
言ったものだ。「一日おきの薬が多いから大
丈夫ですか?ちゃんと飲めますか?」
バーヤロー!
8/24tue
仕舞た屋に 都会の子いる 秋暑し
(しもたやに とかいのこいる あきあつし)
※東京ナンバーのクルマが子供を迎えに来たと
ころらしい。2学期もどうにか始まるようだ。
8/22sun
商店の消えゆく秋ぞ空を見る
(しょうてんの きえゆくあきぞ そらをみる)
ショーケースに 時計残れり 今朝の秋
(しょーけーすに とけいのこれり けさのあき)
※地方都市の個人商店はこの国の政策で消えゆ
く運命。主の高齢化などで、櫛の歯が抜ける
ようにパタパタと、しかし着実に消え去る。
8/20fri
ゆっくりと 猫が横切る 盆の明け
(ゆっくりと ねこがよこぎる ぼんのあけ)
日に一度 棚のブドウを 摘まみ食い
(ひにいちど たなのぶどうを つまみぐい)
※あれだけの前線が動き、夏の暑さがもどった。
しかし盆明けの世の中の活動再開は?
8/19thu
クロエーの 髪に秋風 手櫛さす
(くろえーの かみにあきかぜ てぐしさす)
※古代ローマ時代の小説のヒロイン、クロエー。
句が出来ないー。こういう日もある、多い。
8/18wed
塔の隅 見詰めて描く 夏帽子
(とうのすみ みつめてえがく なつぼうし)
※また暑い夏がやってきた。立派な山門を残す
寺に子供たちがスケッチしている。外出もま
まならなかったから、付き添いの人が見当た
らないのに、さぼらずに熱心に描いている。
見習わなければ・・・。
8/17tue
新涼というな前線居座れる
(しんりょうというな ぜんせんいすわれる)
※長雨のせいで気温は下がり、爽やかなとも言
える。当地の稲作農家は盆明けの刈り取りを
前にして、倒れた稲を苦々しく見つめる。
一方、水没した西日本の農家は悲嘆に暮れて
いる。
8/15sun
百日草 在宅治療という不安
(ひゃくにちそう ざいたくちりょうというふあん)
※血中酸素濃度94%以上は在宅治療とか。マク
ロの正解を導くための明快すぎる基準。
8/14sat
花魁草 我が家を去りて この宿に
(おいらんそう わがやをさりて このやどに)
※どこの庭も菜園もこの雨続きで手が入らない
ようだ。我が家も同様。西日本の被害状況の
ニュースを見れば、まだまだ恵まれている。
8/13fri
西瓜乗せ 売り声テスト 繰り返し
(すいかのせ うりごえてすと くりかえし)
※列島全体が前線に覆われ、豪雨の危険が広ま
る。気温が下がり、さすがに西瓜の季節は終
わりそう。知合いの西瓜農家も軽トラに満載
し、盆休みの客を頼みに出かける。
自家製の 小玉西瓜を 半分こ
(じかせいの こだますいかを はんぶんこ)
8/12thu
虹現れて 風の通りで 見んとする
(にじあれて かぜのとおりで みんとする)
※先日夕方の二度の夕立ちで、二つの虹が現れ
た。なかなか見事だった。風の通りは一番涼
しい通り、息を切らして駆け付けた。
声なくも 片陰つくる 幼稚園
(こえなくも かたかげつくる ようちえん)
8/11wed
草むしる 目線でじっと 我が家見る
(くさむしる めせんでじっと わがやみる)
※蚊取り線香をしっかり腰に巻いて草むしり。
この目線、この眺めは新鮮。下から目線。住
んで20年以上になるのに・・・。カメラに
収めると狭い庭が数倍の広さに見える。
8/9mon
片陰を スマホのラジオ ならし行く
(かたかげを すまほのらじお ならしゆく)
※オリンピック絡みの放送が消えると、こんな
にも変わるものか。一種静寂という感じ。
これでコロナ禍関連がなくなったら、この世
は何をテーマに回っていくのだろう。
8/8sun
包丁と テレビの音と 晩夏かな
(ほうちょうと てれびのおとと ばんかかな)
※日がな一日テレビに見入る亭主といやでもお
さんどんをする家内。もうそろそろ飽和状態
に近づいたところで、台風と五輪は閉会式だ。
長かった強雨がようやく上がったところで、
昨日が立秋だったことを知った。
8/7fri
原爆忌後期高齢者の二年
(げんばくき こうきこうれいしゃのにねん)
※原爆投下後76年。自分の満年齢に同じ。方
向性を持った着実な動きの象徴になればと思
うが、ここにも小さな分断が蔓延り、根付い
て久しい。
8/5thu
定斎屋の 売り声知らず 盛夏かな
(じょさいやの うりごえしらず せいかかな)
※街も住宅地の通りも見事に閑散。暑気払いの
薬を売り歩く天秤棒を担いだ薬屋。江戸の風
物詩。これ自身が季語だとか。
8/4wed
呆けては 知命いまだに 夏暖簾
(ほうけては ちめいいまだに なつのれん)
※50の歳は遥かになったが、「このまま行く
ことになるなァ」と暫く顔を見ていない友人
と話す。呆けてきそうな午後の話題。
8/3tue
とまる人あり暑しとも言わず行く
(とまるひとあり あつしともいわずいく)
※蒸し暑い。この朝も修行僧のごとく歩く人が
いる。初の熱帯夜になっても時刻はいつもと
同じだ。
8/2mon
豪雨去り 橋脚白し 土用かな
(ごううさり きょうきゃくしろし どようかな)
※不安定な天気になって、午前中の猛暑と午後
の雷雨というのがパターンになりつつある。
気象予報が今ほどでなかった頃は、この天気
パターンを「夏の天気の決まりごと」として
認識していた。
夕方の突然の驟雨と雷鳴、予測されると風物
詩とは言えなくなった。損をしている。