ダクタク句集2021年(令和3年)上期 自選集 [自選集2021]
5/31mon
齢重ね 惚れた句多し 万太郎忌
(としかさね ほれたくおおし まんたろうき)
※地方出身者には東京大好き、東京暮らし好き
という人が多い。小生もその例にもれない。
東京景色を鮮明に切り取った万太郎の句、し
みじみとした暮らしの句など、気に入った句
が多い。
永代の橋から海の時雨かな
時雨るゝや麻布二の橋三の橋
火花散る 駿馬の息や 五月尽
(ひばなちる しゅんめのいきや ごがつじん)
5/30sun
月蝕は見えず泰山木の花
(げっしょくはみえず たいさんぼくのはな)
人なくも 参道塵なし 五月晴れ
(ひとなくも さんどうちりなし さつきばれ)
5/29sat
ヘタムシの 消毒せねば 梅雨近し
(へたむしの しょうどくせねば つゆちかし)
※昨年久しぶりに柿の収穫が良かったのは初夏
から2度ヘタ虫の駆除をしたからだと信じて
いる。しかも丹念にやることだ。しかし今年
は時期が迫っていたのに天気の具合でいまだ
やれないでいる。
5/28fri
五月闇 リウマチの子の 稽古かな
(さつきやみ りうまちのこの けいこかな)
※リウマチに罹った人が暗くなった小さな公園
でゆっくりリハビリをしている。照明は一個
だけ。
五月雨や 梗塞の人 予約とる
(さまみだれや こうそくのひと よやくとる)
5/27thu
西日まで ひとひゆっくり 文庫本
(にしびまで ひとひゆっくりの ぶんこぼん)
※昼過ぎから寝っ転がり、日のさす方に頭を向
けて読みふける。うつらうつらするといつの
間にか方向が変わり角度を変える。
自在な数時間、なかなか良いものだ。
石碑見る 頭にササと 松落葉
(せきひみる あたまにささと まつおちば)
5/26tue
二の丸の 自転車で踏む 松落葉
(にのまるの じてんしゃでふむ まつおちば)
※鶴ヶ城址の初夏の思い出。ふと。
5/24mon
誤嚥あり 新茶ゆっくり ゆっくりと
(ごえんあり しんちゃゆっくり ゆっくりと)
※夫婦ともに誤嚥に要注意と話している。深刻
ではない。今まで無縁のことだと思ってきた
が、そうでもなさそうだ。
5/23sun
我もまた 青蚊帳吊れる 母持てり
(われもまた あおがやつれる ははもてり)
背伸びして 蚊帳を吊りたる 早寝かな
(せのびして かやをつりたる はやねかな)
※蚊帳2句。前の句は長塚節の名歌のパクリだ
けれど感慨は本物。後の句は妙に鮮明に残っ
ている情景。夕飯を食べて眠くて眠くて、背
伸びして蚊帳を吊って寝た記憶。遊び疲れの
ためとテレビもなかった頃の夏の夜の静かさ
・・・。
5/22sat
アジサイや ロケ班の群れ 傘の色
(あじさいや ろけはんのむれ かさのいろ)
雷鳴や 女優の名前 ついぞ出ず
(らいめいや じょゆうのなまえ ついぞでず)
※毎朝通る川岸で一目でロケーションとわかる
一隊がいた。こんな所を見つけて、こんなに
早くから・・・。小雨まじりの中でどこかで
見た女優?が集団の真ん中にいた。
だれかなァ? 近づこうとおもったがやめた。
5/21fri
軒下を 燕次々 チェックして
(のきしたを つばめつぎつぎ ちぇっくして)
※新建材のスベスベの壁は燕が嫌い、やっと決
めて巣作りを始めると大家の親子から追い出
されてしまったり。ままならない。
夏嵐 地に伏すキューリ サヤエンドウ
(なつあらし ちにふすきゅーり さやえんどう)
5/20thu
筆入れは 半世紀ものよ 蝸牛
(ふでいれは はんせいきものよ かたつむり)
※さすがにセルロイド製ではない。布製でチャ
ックで開閉するもの。チャックが壊れ半開き
で何十年か? 日々の使用に耐えている。
5/19wed
走り梅雨 うつむく花の 憂いかな
(はしりづゆ うつむくはなの うれいかな)
鈴蘭の 北の故郷は 震えおり
(すずらんの きたのこきょうは ふるえおり)
※鈴蘭は40年以上前北海道暮らしの時に自生
しているものを採集し、延々元気に今に至る。
あの地のコロナ禍鎮静を祈る。
5/18tue
うららかや ブルーレイ眼鏡の 伝い落ち
(うららかや ぶるーれいめがねの つたいおち)
歳並みの 崩し字習う 若葉風
(としなみの くずしじならう わかばかぜ)
※昨日ワクチン接種の予約がとれた。世間の騒
ぎとは無縁で、女房殿が以前から問い合わせ
ていた近所のかかりつけ医院に出かけて、も
のの30分もかからず帰ってきた。あまりの
楽さに夫婦揃ってびっくり。
5/16sun
小箪笥を 入れ替える妻 衣替え
(こだんすを いれかえるつま ころもがえ)
※少し早いとは思ったが、最近の気温に音を上
げてTシャツを出してもらう。初め腕はひん
やりだが、日射しの下ではちょうどいい。
病床に バラの画像を 添付して
(びょうしょうに ばらのがぞうを てんぷして)
※絵の友人に、お手軽すぎるかな?と思いつつ
もメールで我が家のバラの香りを。
5/15sat
風薫る 街を見下ろす 茶室あり
(かぜかおる まちをみおろす ちゃしつあり)
※江戸時代の村役人の屋敷が市の中心に移設保
存されている。村の組頭というが造りは至極
頑丈で、見えないところ、基礎、木組みなど
に金がかけてある。当時の豪農が財を蓄え、
暮らしを楽しんでいたこともわかる。
茶室とは見えないが、茶道を楽しんだのでは
と思わせる座敷があった。今は堂々と市街を
見下ろしている。
5/14fri
花茣蓙や いつを想うと 問いたもう
(はなござや いつをおもうと といたもう)
※花茣蓙を物置から出して乾していたら、通り
がかりの婦人が話しかけてくれたとか。実家
の商売柄今もって大事にしているが、使う場
面は殆どない。骨董好きが時々貯蔵の品のホ
コリを払って風通しするようなもの。ただし
これはお宝ではない。
5/13thu
籐寝椅子 出して文人を 招きたき
(とうねいす だしてぶんじんを まねきたき)
※実家に昔籐の応接セットがあった。そんなに
豊かではなかった頃に、季節の標準家具とし
て大事にされていた。振り返れば、随分なゆ
とりだなァと思う。寝椅子は背部が調節でき
て横たわることが出来るもの。
多くの文人、作家達が籐寝椅子にゆったりと
くつろいでいる写真を思い出す。
5/12wed
昨日まで若楓今日は繁りゆく
(きのうまでわかかえで きょうはしげりゆく)
緑陰で スマホのラジオ 聴きにけり
(りょくいんで すまほのらじお ききにけり)
虹の環や 静かに巨きな 声を聞く
(にじのわや しずかにおおきな こえをきく)
※ここ2日ほどアブラムシ退治に追われた。今
日は天候不安定につき身体休め。庭も周囲も
緑のエネルギーがすごい。
5/10mon
女坂 神輿の声を 登りけり
(おんなざか みこしのこえを のぼりけり)
※神田祭は今年大祭の年だが中止になった。陰
祭りとして神事を行うらしい。久保田万太郎
の句に、
今年またかげ祭なる神田かな
がある。境内の神輿を見ようと、囃子の音に
急かされながら女坂の石段を急いで登って息
を切らしたことを思い出した。昔のこと。
5/9sun
御幣捧ぐ 神主の白 初夏の朝
(ごへいささぐ かんぬしのしろ しょかのあさ)
※神社の祭礼は中止するところが多い。神職を
中心にごく限られた人だけによる陰祭りを執
り行うとか。
5/8sat
南国の雹にたちまち犬走る
(なんごくのひょうに たちまちいぬはしる)
夏嵐 美人に浴衣 着らしめる
(なつあらし びじんにゆかた きらしめる)
※気温は高めだが、列島のどこかで雷雨、突風、
竜巻、など一時的な不安定気象が出没してい
る。
5/7fri
フェリアへと 晴れ着と馬車と 埃かな
(ふぇりあへと はれぎとばしゃと ほこりかな)
※スペインセビリアの春祭り、近郷近在から大
挙して押し寄せるのは巡礼時代と同じ馬車の
一団だ。飲み踊りしゃべり、到着の頃には疲
労困憊かと心配するが、彼らのエネルギー
(信仰心)はそんなものではない。
5/6thu
草むしり いつか立夏の 日となれり
(くさむしり いつかりっかの ひとなれり)
停車せよ コクリコの花 子を招く
(ていしゃせよ こくりこのはな こをまねく)
夏立つや 琉球月見草の 名を知れり
(なつたつや りゅうきゅうつきみそうの なをしれり)
※6月並みの気温で立夏と聞いても違和感がな
い。強い風が続いたので庭の各種修理に駆り
出される。
5/5wed
子供の日 画数多き 字をさらい
(こどものひ かくすうおおき じをさらい)
夏隣り 田植え機しかと 磨き上げ
(なつどなり たうえきしかと みがきあげ)
※アクアラインを行く観光客の車列も今朝は少
ない。仕事を終えた田植え機は半月近く放置
されていたが、今日めでたく清掃された。良
かった。購入には決心を要したであろう、最
新型のヤツだから。
5/4tue
摘果する 八十八夜の 晴れ間故
(てきかする はちじゅうはちやの はれまゆえ)
摘果の実 まどろむ蜥蜴を 驚かせ
(てきかのみ まどろむとかげを おどろかせ)
5/3mon
雲間陽の 動き激しき 柿若葉
(くもまびの うごきはげしき かきわかば)
※桃の小さな実を摘果した。2回行ううちの初
回分。こんな無手入れの庭の一隅でよくも毎
年実をつけるものだ。夥しい実を摘まんで落
とす。一本で300個近くになったかな。
5/2sun
春色の 背景色は 意に違い
(はるいろの はいけいしょくは いにたがい)
絵の展示 仲間に告げる 暮の春
(えのてんじ なかまにつげる くれのはる)
※公民館の部屋を借りる絵画教室は、利用の扱
いが行政の諸施設と同等となるため、急に変
更になることがある。教室も皆でボチボチと、
再開したのだがどうなることやら。依頼を受
けた展示だけは受けることにした。
5/1sat
釣れずとも一人ボートの春の川
(つれずとも ひとりぼーとの はるのかわ)
※ステイホームの呼びかけが厳しい連休だが、
一人用のボートを川に浮かべる人は哲人のよ
うに思える。うららかな陽気だが、雨の予報
もあるからと年寄りは心配してしまう。凡人。
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4/30fri
荷風の忌 傘はなけれど ただ歩く
(かふうのき かさはなけれど ただあるく)
※永井荷風の写真に三つ揃いの背広を着込み、
中折れ帽子をかぶり、愛用の革手提げと雨傘
を携えているのがある。街を散策するのもこ
れで、お決まりのいでたちであったらしい。
雑司が谷の墓を訪ねたのも昔のことになった。
4/29thu
鳥帰る 病院通いの フェリーから
(とりかえる びょういんかよいの ふぇりーから)
※気功の治療が良かったといって、対岸の横須
賀市から月1,2度海を渡ってやって来る御
仁がいる。気功の原理と効果はイマイチ理解
できないけれどね。まあしかし、本人の効果
の実感が第一だ。
4/28wed
永吉の 古いアルバム 春惜しむ
(えいきちの ふるいあるばむ はるおしむ)
※FMで80年代リリースのアルバムを聴いた。無
性に懐かしい。感度が高くなってきた。
丹精を 孫に継がせて 藤の花
(たんせいを まごにつがせて ふじのはな)
4/27tue
初燕 二番ピッチャーの すこやかさ
(はつつばめ にばんぴっちゃーんの すこやかさ)
※到着したばかりだろうか? 飛び回る燕の姿
は雄姿だなァ・・・カッコいい。今日の大谷
にも雄姿期待。
4/26mon
百均へ 吝嗇ゆえに 春の道
(ひゃっきんへ りんしょくゆえの はるのみち)
※百均は比較的賑わっている。なぜかこのとこ
ろ買い物を頼んだり、自ら出向いたりが多い。
吝嗇ゆえでなくとも、百均ならではの長所も
ある。最近では、腰にぶら下げるスマホ入れ
は立派な革製よりも余計なところを削ぎ落し
た布製の100円が良かった。家内は畑用の
野菜の種子に、分量が丁度良いと言う。
4/25sun
閉店も 品いくばくか 鳥曇り
(へいてんも しないくばくか とりぐもり)
※近くの小間物屋兼雑貨屋の店先に4月末で閉
店するとの張り紙があった。コロナ禍の影響
か? まだ商品は変わらずあるのに・・・。
個人商店がまた減る。音もなしに。
4/24sat
むらさきの 隆ッとオダマキ 道の端
(むらさきの りゅうとおだまき みちのはた)
※今シーズンのオダマキで一番の見栄えは、残
念ながら我が家の庭ではなく門前の道端に咲
いたこれ。ほんの狭い土から育った、よく言
われる「ド根性オダマキ」だ。
4/23fri
春の川 おにぎり女子の ひとり坐し
(はるのかわ おにぎりじょしの ひとりざし)
黒光り 春の日返し 鵜は憩う
(くろびかり はるのひかえし うはいこう)
対岸は 緊急事態 春の海
(たいがんは きんきゅうじたい はるのうみ)
4/22thu
鉢馬酔木 亡父の作りし 旅の歌
(はちあしび ちちのつくりし たびのうた)
※コロナ禍は風雲急を告げているが、窓外の景
色はなんともうららかだ。雪国の春は旅を想
う季節である。・・・最近は旅行のことなど、
てんで夢のまた夢。
4/21wed
陽炎や 聖職に見えず 子は教師
(かげろうや せいしょくにみえず こはきょうし)
※教師は聖職という言葉自体死語に近いが、教
育の現場で熱情を持って仕事にあたっている
教師は数限りなくいる。環境に縛られ、自由
度を失っていることが残念だ。
担任の 教師は走る 竹の秋
(たんにんの きょうしははしる たけのあき)
4/20tue
便箋を 用意してさて 日永かな
(びんせんを よういしてさて ひながかな)
※手間がかかることではあるが、それが自然で
普通だった頃にもどろう・・・という提案が
あるようだ。人とのコンタクトもそうだ。そ
うなのだが・・・、なかなか出来ない。
4/18sun
オダマキや 犬の注射の 頃にあり
(おだまきや いぬのちゅうしゃの ころにあり)
春深し インゲン豆の 棚立てん
(はるふかし いんげんまめの たなたてん)
※今朝は快晴、風は強い。田植え作業はこの地
区で真っ盛り。畑に出かけ、強風の被害なし
を確認する。
4/17sat
細道を くねりて急ぐ 義士祭
(ほそみちを くねりていそぐ ぎしまつり)
※春の義士祭に泉岳寺で待ち合わせをした。
ところが用事があって高輪回りで行ったとこ
ろ、近道をしようとして道に迷い往生した。
この近辺は赤穂浪士にまつわる史跡が多いの
だが、戦災を受けていない路地が迷路のよう
だ。何度も歩いていたのだが。ようやく高輪
高校を見つけ胸を撫でおろした。
今ならスマホですいすいというところ。
4/16fri
今どきの 見合いやいかに 木の芽雨
(いまどきの みあいやいかに このめあめ)
※孫が見合いをすると知人が明かした。珍しい
話だから大いに勧めたのだとも。確かに今日
は余り聞かないなあと思ったけれども、さて
本当にそうか? 婚活、集団見合いとかは?
流行の先端だとも思える。
4/15thu
春日ありて眠り少しの充実
(はるひありて ねむりすこしのじゅうじつ)
軒下の 紫煙ゆっくりと 花の冷え
(のきしたの しえんゆっくりと はなのひえ)
※季節外れの「蛍族」ご同輩が方々にいる。
4/14wed
春闘や ОBという 欄はなし
(しゅんとうや おーびーという らんはなし)
※コロナ禍あり、国際関係の激動ありの変化の
中で、企業の栄枯には何とも感慨深いものが
ある。しっかりしたアンテナと想像力、イノ
ベーションとか言われるが・・・。究極は経
営者の洞察力か?
4/13tue
啄木忌 大根の花と 始業ベル
(たくぼくき だいこんのはなと しぎょうべる)
夕霞み おかねが泣いてる 景色かな
(ゆうがすみ おかねがないてる けしきかな)
※啄木の歌、「宗次郎におかねが泣きて口説き
おり 大根の花白き夕暮れ」。『ちゃんと働
いておくれよ~』の涙声が聞こえる。
4/12mon
清明や 我が意半ばの 水の色
(せいめいや わがいなかばの みずのいろ)
※水彩画教室は先月下旬からから再開、時間を
短縮し換気に注意して集まっている。家籠り
でさぞかし腕も上がったのではと、先生が冗
談を言う。しかし現実は遥かにそれに遠い。
4/11sun
妻の手と 機械がありて 早植えし
(つまのてと きかいがありて はやうえし)
※川向こうの一軒の農家が田植えを開始した。
今の言葉でいうと「はやッ」。4月15日前
の田植えを目撃したのは初めて。
4/10sat
鰊曇り室蘭勤務の頃の空
(にしんぐもり むろらんきんむのころのそら)
雨音の やさしくなりて 山笑う
(あまおとの やさしくなりて やまわらう)
※蔓延防止対策の対象地域が東京都をはじめと
して接近してきた。季節の歩みはいつもと変
わりないが・・・。
4/9fri
田を広げ 畔塗り急かる 三代目
(たをひろげ あぜぬりせかる さんだいめ)
※知り合いの農家で昨秋から田の統合、拡大工
事をしている。一枚の田んぼが広いほど、機
械を駆使する現在の農法では断然効率的だか
ら。しかしこれが生半可なことではない。同
じ水準の2枚の田だったらまだ優しいが、水
準の違う田を統合するとなると、大変な土木
工事になる。土壌を入れ替えすることも伴う。
遅れ気味らしく田植え前の仕事に勤しんでい
る。早速田植えから効率が上がる。
4/8thu
朝の音 綴りて長し 虚子忌かな
(あさのおと つづりてながし きょしきかな)
※毎日ではないけれど未明から7時前後まで長
い「オトコ入り」が続く。
朝の物音は激減していると落語家は言う。ま
して地方都市の住宅団地とくれば皆無に近い。
明るくなってJRの踏切音、出勤や配達のクル
マの音がちらほら。清さん、いつまで観察を
続ければいいの?
小鳥の囀りだけは豊富で種類も多い。
4/7wed
放哉忌 すきとおる声の 門に入る
(ほうさいき すきとおるこえの もんにいる)
※今朝の晴れ間は久しぶりに黄砂の影響も少な
く、空は透き通っている。今日は尾崎放哉の
命日。小豆島での暮らしは貧しく想像すべく
もないが、こんなこともあったろうと思う。
4/6tue
庭中が うすむらさきの 地の躑躅
(にわじゅうが うすむらさきの じのつつじ)
※隣の君津市の花はミツバツツジ。房総半島に
多いが、太平洋岸の野山に広く自生するとか。
薄紫の花は咲き揃うと実に華やか。庭はにわ
かに変貌する。見た家のバアさまのドヤ顔も
理解できる。
4/5mon
椿餅 踏切そばに 老舗あり
(つばきもち ふみきりそばに しにせあり)
草餅や 被りの婆が なしという
(くさもちや かぶりのばばが なしという)
※今日は一転肌寒い、平年並みの気温だ。雨の
日は外への誘惑もないし、使役に駆り出され
ることもない。最近すっかりご無沙汰のスケ
ッチのトレーニングをすることにする。
4/4sun
癌癒えて 目方戻りし 翁草
(がんいえて めかたもどりし おきなぐさ)
※行きつけの床屋のおやじがさりげなく言う。
ガンが肺に転移して先々週切ってきたと。内
視鏡手術の生々しい傷跡を見せる。一年前の
大手術で10キロも減った体重がやっと戻っ
た矢先のことだ。
病院を信頼してか、本人の胆力か、悲壮感は
ない。もう畑をやっている。帰りにワケギを
貰ってきた。
無骨なる手が春花を山と盛る
(ぶこつなるてが はるばなをやまともる)
4/3sat
里の家 みな勤め人と なりて春
(さとのいえ みなつとめにんと なりてはる)
※下の娘が就職し、クルマがまた一台増えた。
家と周りの畑、持山などは専業農家の時のま
まなのに。
4/2fri
ガラケーや 無傷十年 春の空
(がらけーや むきずじゅうねん はるのそら)
新しき スマホの青や 春蚊出ず
(あたらしき すまほのあおや はるかいず)
山笑う スマホ操作に 汗少し
(やまわらう すまほそうさに あせすこし)
※10年以上続けてきた3Gガラケーがもう一年
で使えなくなる。しぶしぶスマホに替えた。
通話とカメラ、Cメールだけの世界から大き
く可能性は広がるが、期待はカメラ機能の格
段の充実だけ。画面の字も読めないし、外出
もないから外でのネット活用もない。期待は
していない。月千円以下というから・・・。
4/1thu
四月馬鹿 不意に筍ご飯かな
(しがつばか ふいにたけのこごはんかな)
四月馬鹿 知らずに高い アプリかな
(しがつばか しらずにたかい あぷりかな)
※エープリルフールとはいえ、思いつくウソ話
はない。それにしても昨夕の筍ご飯は不意を
突かれた。春一番の到来もの。
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3/30tue
白木蓮清し人なしと言えど
(しろもくれんすがし ひとなしといえど)
植え替えて こちら向かしむ 黄水仙
(うえかえて こちらむかしむ きすいせん)
3/29mon
涅槃図や 僧絵解きする ペンライト
(ねはんずや そうえときする ぺんらいと)
※日頃は秘仏とされている御本尊を拝見し、こ
れまた秘蔵の涅槃図の説明を受けた。涅槃図
は三仏忌のうち涅槃会の参拝客に公開すると
か。本堂で静かに聞いていると真っ黒に近い
図ながら清新な気分になるから不思議。
3/28sun
陽だまりの ベンチを譲り 西行忌
(ひだまりの べんちをゆずり さいぎょうき)
あれこれと 捨てぬ理由を 西行忌
(あれこれと すてぬりゆうを さいぎょうき)
※旧暦の2月16日は西行忌。釈迦の命日2/15
に桜の下で死にたいと願い、没したと言われ
る。現世のしがらみを捨て、出家し、有り余
る才能を歌に寄せ、その後も信心の一方で煩
悩との闘いに一生を送った、とされる。
3/27sat
春時雨 スクランブルの 街ひそむ
(はるしぐれ すくらんぶるの まちひそむ)
※雨模様で渋谷駅前交差点の人出はやや穏やか。
ここ暫くは大阪、仙台、山形とかとか首都圏
以外の患者増加でワキ役に。でも必ず復活す
る、ニュース主役の座。
長閑さや 江ノ電の音 猫と住む
(のどかさや えのでんのおと ねことすむ)
※養老孟子氏の鎌倉自宅での暮らしを綴ったBS
の番組。おしゃべり孟子に老猫マルの取り合
わせが実に落ち着く。
囀りや 毛を集めおり 犬の留守
(さえずりや けをあつめおり いぬのるす)
3/26fri
水温む シューベルトの ソナタかな
(みずぬるむ しゅーべるとの そなたかな)
※春のせせらぎにぴったりなのがシューベルトの
即興曲(ピアノ)、D899とD935。ピアノソナ
タは別にちゃんとあるから誤解を招くが、余り
に字余りになるので・・・。
針に糸 一度で通す 葱坊主
(はりにいと いちどでとおす ねぎぼうず)
残りし歯 少し異常の 遅日かな
(のこりしは すこしいじょうの ちじつかな)
3/24wed
坂道や こぎてもとまる つくしかな
(さかみちや こぎてもとまる つくしかな)
デュトワふる 春の祭典 血圧高め
(でゅとわふる はるのさいてん けつあつたかめ)
※春に血圧高めは要注意。自転車も、坂道で土
筆が目にとまる程度にしようと思う。
3/23tue
皺の手で 開花の証し 写メールし
(しわのてで かいかのあかし しゃめーるし)
それぞれに 標準木あり サクラかな
(それぞれに ひょうじゅんぼくあり さくらかな)
投票所 出て春雨に 遭いにけり
(とうひょうじょ でてはるさめに あいにけり)
レーダーを 信じた末の 春の雨
(れーだーを しんじたすえの はるのあめ)
※房総半島内房地方でサクラの開花は2~3分
ほど。毎朝通る堤の並木はそれより少し遅い。
3/22mon
桃の花 夕彩るも 客はなし
(もものはな ゆういろどるも きゃくはなし)
うちは桃そとは陽光桜かな
(うちはもも そとはようこうざくらかな)
※桃の花と陽光桜は満開時が今回の雨にあい、
散り始めている。客の少なきを嘆いたことは
なかったが、今回だけは惜しかったなァ、見
せたかったなァと口惜しがっている。
それにしても、今までより色の酷似に驚いて
いるのは年齢のせいなのかな?
3/21sun
剪定を いつくしみつつ し残せり
(せんていを いつくしみつつ しのこせり)
花ニラや 我が庭の素直なる日々
(はなにらや わがにわのすなおなるひび)
花冷えや 病む首都圏に 解除あり
(はなびえや やむしゅとけんに かいじょあり)
3/20sat
彼岸会や 300年の 門なりき
(ひがんえや さんびゃくねんの もんなりき)
秘仏見て 石段中ほど 風光る
(ひぶつみて いしだんなかほど かぜひかる)
あるはずの 色揃いてや クロッカス
(あるはずの いろそろいてや くろっかす)
3/19fri
火を浴びて 沓音を聞く 二月堂
(ひをあびて くつおとをきく にがつどう)
春の闇 五体投地の 板の音
(はるのやみ ごたいとうちの いたのおと)
春の月 十四日間の 修行終え
(はるのつき じゅうよっかかんの しゅぎょうおえ)
※二月堂の修二会、今年は参拝客なしで行われ、
その代わりにBSテレビが中継した。
今まで目に触れなかった堂内の儀式、秘儀と
言われるものも含め、4時間余りだ。コロナ
禍も悪いことばかりではない。
番組を見るだけで疲れたが、おかげで心身の
煤払いが出来た(ような気がした)。
3/18thu
蕗の薹 遅きを悔いて 二つ三つ
(ふきのとう おそきをくいて ふたつみつ)
本来は 答辞読む子に 春日かな
(ほんらいは とうじよむこに はるひかな)
※なんにもない暮らしだが、それでも春はなに
かとあるものだ。卒業式は保護者なし、式次
第も簡素化して行われるとか。本人は喜んで
いるというが、親は・・・。
蕗の薹の秘密の場所は今年も無事だったが、
とうにタイミングを逸していた。
3/17wed
うながされ 免許貰いに 目借時
(うながされ めんきょもらいに めかりどき)
海の上に 高炉かすみて 入り彼岸
(うみのえに こうろかすみて いりひがん)
※溶鉱炉が三つも四つもあった光景は昔。地元
の製鉄所も縮小の運命にあり。高炉の薄い煙
ははかなげに。
3/16tue
桃咲くや 高齢免許は 金の色
(ももさくや こうれいめんきょは きんのいろ)
※午後に警察から電話あり。今日中に取りにこ
なければ交付しませんと。春の夕日が沈む前
に無事入手。認知症には免許更新しないはず
だが・・・。良かった。ちゃんとゴールド。
3/15mon
マスクして 杉の道掃く 春の僧
(ますくして すぎのみちはく はるのそう)
※地元の図書館に電子図書の登録をした。ファ
イルでの貸借だから、この時代に最適。当地
にもやってきたか。
今は青空文庫のコンテンツが多いというから
特段のメリットはない。充実はこれから。
3/14sun
修二会僧 あの激しさに 魅かれおり
(しゅにえそう あのはげしさに ひかれおり)
※東大寺二月堂の修二会中継を見た。現場の興
奮を思いやる。1261年続くという。
3/13sat
春宵や 気功の不思議 妻語る
(しゅんしょうや きこうのふしぎ つまかたる)
飛行機と まがいし春の 長いびき
(ひこうきと まがいしはるの ながいびき)
※春なれば妻を詠んだ句を。
3/12fri
春暁や さて寝なばやと 布団引く
(しゅんぎょうや さてねなばやと ふとんひく)
春暁や 待ち兼ねノソッと 床を出る
(しゅんぎょうや まちかねのそっと とこをでる)
※日の出は早くなったものの、ずっと前から待
っている日もある。寝ようか、いっそ起きよ
うか? きままで非生産的な一日の始まり。
3/11thu
雅には 遠くなりけり 桃の花
(みやびには とおくなりけり もものはな)
※桃の最初の一輪が今日咲いた。濃いピンクの
蕾が目白押しである。やわらかい日射しと花
の動きは例年と変わらずでなんとも貴重。近
所の陽光桜並木も昨日開花した。
3/10wed
いとおしや 春の朝の かゆみどめ
(いとおしや はるのあしたの かゆみどめ)
※高齢者に多い肌の乾燥症。かゆみが時に襲っ
てくる。じっと我慢、かかない。
3/9tue
春暁や まだかと闇に 灯をさぐり
(しゅんぎょうや まだかとやみに ひをさぐり)
春の朝 踏切音で 時を知り
(はるのあさ ふみきりおんで ときをしり)
※最近御多聞に漏れず、朝早く目を覚まして、
その後の長い時間を寝床で過ごしている。真
っ暗い中で、半覚醒のタイトルレスの思考、
かすかな光をカーテン越しに待っている。さ
て寝ようか、本を読むか・・・頭がすっきり
してくるとメニューが広がる。寝なくてはと
あせることはない。
3/8mon
早咲きの サクラ確かめん 遠回り
(はやざきの さくらたしかめん とおまわり)
沈丁花匂いありと妻闇の中
(ちんちょうげにおいありと つまやみのなか)
春の朝見上げても暦は見えず
(はるのあさ みあげてもこよみはみえず)
3/7sun
啓蟄や 生徒試験の 穴を出る
(けいちつや せいとしけんの あなをでる)
啓蟄や 老うちわ師の 女竹割く
(けいちつや ろううちわしの めたけさく)
※房州うちわは素朴な名品が多い。以前は多く
の職人が分業で作っていたらしいが、今や出
荷量は減り、名人と言われる人が材料の竹の
栽培・伐採・乾燥から竹の加工、絵柄の作成、
貼り、仕上げまでを一人でやっている。皺く
ちゃの手が見事な動きを見せる。
3/5fri
ミモザ咲く 山なす空の 植木鉢
(みもざさく やまなすからの うえきばち)
微笑みて 黄の春服が 退院す
(ほほえみて きのはるふくが たいいんす)
※図らずもイエロー句2つ。最近は古い顔とメ
ールを交換したり、夢マクラに出て来たり、
良いことが続いた。コロナ禍で強がりを言っ
ていてもやっぱり孤独オンリーでは長くはも
たないということか?
3/3wed
春の闇 教師のクルマは プラグイン
(はるのゆう きょうしのくるまは ぷらぐいん)
※これはトヨタの最新鋭車だなと見送る。
3/2tue
ライン見る 若き教師の 春放課
(らいんみる わかききょうしの はるほうか)
春の夕 校舎は声を 失えり
(はるのゆう こうしゃはこえを うしなえり)
※近所に中学校がある。顧問教師の負荷が問題
になった折に部活が抑制されたところに、コ
ロナ禍が重なり、放課後の校舎は様変わりだ。
3/1mon
如月の 山なめつくす 赤き舌
(きさらぎの やまなめつくす あかきした)
如月や 店守る顔の 白々と
(きさらぎや みせまもるひとの しらじらと)
※営業時間短縮の補償を叫ぶ人が多い中で、切
盛りに万策尽きた人も多い。働けと言われれ
ば寝ないで頑張るのだがと、力を駆使する場
を失った人の無言の表情は悲痛だ。
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2/28sun
鵜はもぐる 二月みそかの 朝まだき
(うはもぐる にがつみそかの あさまだき)
うたたねや 二月みそかの ひなたかな
(うたたねや にがつみそかの ひなたかな)
猫二匹 二月みそかの 夕まぐれ
(ねこにひき にがつみそかの ゆうまぐれ)
※二月みそかの三句。朝は冷え込んだが、日中
の日差しは値千金。コロナ禍さえなければ、
穏やかな天気に脳はとろとろ。
2/27sat
春うらら 断捨離とかを 考える
(はるうらら だんしゃりとかを かんがえる)
※いつも春になり新年度を前に、本やレコード
など大事にしてきたものをそろそろ処分しよ
うと真剣に思う。
しかし春の計画を実行した試しがない。今回
も? しかし後期高齢者だからなァ・・・。
2/26fri
春耕の 鍬のガタとり なお深く
(しゅんこうの くわのがたとり なおふかく)
野仏は 深く耕せと 言い給う
(のぼとけは ふかくたがやせと いいたもう)
※捻挫も大方直ったので、久しぶりの畑仕事。
寒起こしのつもりで深く土壌を掘り返すが、
季節はもう春、春耕はやり方が違うのではな
いかな? 歩行欠場の間は犬の散歩を代わっ
てもらったので、我が家の野仏に従うことに
する。日差しが暖かい。
2/24wed
畔塗りも 機械がすれば 泥厚く
(あぜぬりも きかいがすれば どろあつく)
※三寒四温の季節だが、当地では早くも畔作り
が始まっている。歩くのもゆっくりというシ
ニア農夫の、機械を使っての仕事はなんと力
強いことか。分厚い畔が見る見るのうちに。
2/23tue
ウグイスパン 味半世紀を ひとっ飛び
(うぐいすぱん あじはんせいきを ひとっとび)
※菓子パンのジャムパンやクリームパンは忘れ
た頃になつかしく食べたものだが、ウグイス
パンとなると高校生のころ以来か?
ぞろぞろと記憶が舌からよみがえる。
2/22mon
特売の 肉の情報 春電話
(とくばいの にくのじょほう はるでんわ)
言い出せば 限りなく恋し 目刺しかな
(いいだせば かぎりなくこいし めざしかな)
※それは豚肉の特売どうする?とかの電話に始
まった。肉より久しぶりに目刺しが食いたい
と私が差し出口。
途端に焼いた目刺しの香りが・・・。
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2/21sun
春陰や 股肱の足を 痛めけり
(しゅんいんや ここうのあしを いためけり)
2/18thu
句を詠むは 女性が多し 春の風
(くをよむは じょせいがおおし はるのかぜ)
2/17wed
ガンガンと 春の嵐よ MR
(がんがんと はるのあらしよ えむあーる)
2/16tue
墓地を売る 旗たはめきて 春の山
(ぼちをうる はたはためきて はるのやま)
2/14sun
蕗味噌や 伯父の手になる 味遥か
(ふきみそや おじのてになる あじはるか)
2/13sat
春服や 病室の壁に 飾りおり
(はるふくや びょうしつのかべに かざりおり)
2/11thu
春の道 白線を引く チームあり
(はるのみち はくせんをひく ちーむあり)
2/8mon
春近し テレ読書会の 案内来る
(はるちかし てれどくしょかいの あないくる)
2/7sun
ぼろ市で 買いし錦の 笛鳴らず
(ぼろいちで かいしにしきの ふえならず)
2/6sat
余病消え 寒明けの街 明るかり
(よびょうきえ かんあけのまち あかるかり)
2/4thu
着ぶくれて つい空耳の 音を聞き
(きぶくれて ついそらみみの おとをきき)
2/2tue
下の子が 急に泣きやむ 鬼火なり
(したのこが きゅうになきやむ おにびなり)
豪雪の街や 角巻の影を見る
(ごうせつのまちや かくまきのかげをみる)
耳かくし 剣玉の孔を 広げいし
(みみかくし けんだまのあなを ひろげいし)
冬灯り タバコ屋の子の まぶしかり
(ふゆあかり たばこやのこの まぶしかり)
1/29fri
寒紅や CTの日に 少し濃し
(かんべにや シーティーのひに すこしこし)
1/24sun
降りる人ありて線路の先は雪
(おりるひとありて せんろのさきはゆき)
1/22fri
大寒や 外食暮らしで 糖不如意
(だいかんや がいしょくぐらしで とうふにょい)
1/21thu
冬の日や 皆なにがしの 失意あり
(ふゆのひや みななにがしの しついあり)
※おとなしい暮らし、人さまざまな思い。
1/19tue
マスクして 人には会わず 寒念仏
(ますくして ひとにはあわず かんねんぶつ)
1/17sun
小三治の 初天神の 音しぼり
(こさんじの はつてんじんの おとしぼり)
1/15fri
寒月や 自転車ではもる 下校かな
(かんげつや じてんしゃではもる げこうかな)
1/13wed
寒暁や キンカン三個 しのばせて
(かんぎょうや きんかんさんこ しのばせて)
1/12tue
サクラソウ マスクをせよと 子が見上げ
(さくらそう ますくをせよと こがみあげ)
1/11mon
七変化 七之助見る 冬籠り
(しちへんげ しちのすけみる ふゆごもり)
1/10sun
白き息 妻退院と 告げる人
(しろきいき つまたいいんと つげるひと)
1/9sat
冬枯れの 庭に鋏の 音高く
(ふゆがれの にわにはさみの おとたかく)
1/8fri
人日や 列島に風雨 家に粥
(じんじつや れっとうにふうう いえにかゆ)
1/7thu
紙漉師 手には何をか つけたもう
(かみすきし てにはなにをか つけたもう)
1/6wed
寒の暁 早番の娘 湯を沸かす
(かんのぎょう はやばんのむすめ ゆをわかす)
1/5tue
竹馬や 出来ぬ理由を 七十年
(たけうまや できぬりゆうを しちじゅうねん)
1/1fri
バーバーの アダージョじっと 初日かな
(ばーばーの あだーじょじっと はつひかな)
初歩き キンカン三個 しのばせて
(はつあるき きんかんさんこ しのばせて)
齢重ね 惚れた句多し 万太郎忌
(としかさね ほれたくおおし まんたろうき)
※地方出身者には東京大好き、東京暮らし好き
という人が多い。小生もその例にもれない。
東京景色を鮮明に切り取った万太郎の句、し
みじみとした暮らしの句など、気に入った句
が多い。
永代の橋から海の時雨かな
時雨るゝや麻布二の橋三の橋
火花散る 駿馬の息や 五月尽
(ひばなちる しゅんめのいきや ごがつじん)
5/30sun
月蝕は見えず泰山木の花
(げっしょくはみえず たいさんぼくのはな)
人なくも 参道塵なし 五月晴れ
(ひとなくも さんどうちりなし さつきばれ)
5/29sat
ヘタムシの 消毒せねば 梅雨近し
(へたむしの しょうどくせねば つゆちかし)
※昨年久しぶりに柿の収穫が良かったのは初夏
から2度ヘタ虫の駆除をしたからだと信じて
いる。しかも丹念にやることだ。しかし今年
は時期が迫っていたのに天気の具合でいまだ
やれないでいる。
5/28fri
五月闇 リウマチの子の 稽古かな
(さつきやみ りうまちのこの けいこかな)
※リウマチに罹った人が暗くなった小さな公園
でゆっくりリハビリをしている。照明は一個
だけ。
五月雨や 梗塞の人 予約とる
(さまみだれや こうそくのひと よやくとる)
5/27thu
西日まで ひとひゆっくり 文庫本
(にしびまで ひとひゆっくりの ぶんこぼん)
※昼過ぎから寝っ転がり、日のさす方に頭を向
けて読みふける。うつらうつらするといつの
間にか方向が変わり角度を変える。
自在な数時間、なかなか良いものだ。
石碑見る 頭にササと 松落葉
(せきひみる あたまにささと まつおちば)
5/26tue
二の丸の 自転車で踏む 松落葉
(にのまるの じてんしゃでふむ まつおちば)
※鶴ヶ城址の初夏の思い出。ふと。
5/24mon
誤嚥あり 新茶ゆっくり ゆっくりと
(ごえんあり しんちゃゆっくり ゆっくりと)
※夫婦ともに誤嚥に要注意と話している。深刻
ではない。今まで無縁のことだと思ってきた
が、そうでもなさそうだ。
5/23sun
我もまた 青蚊帳吊れる 母持てり
(われもまた あおがやつれる ははもてり)
背伸びして 蚊帳を吊りたる 早寝かな
(せのびして かやをつりたる はやねかな)
※蚊帳2句。前の句は長塚節の名歌のパクリだ
けれど感慨は本物。後の句は妙に鮮明に残っ
ている情景。夕飯を食べて眠くて眠くて、背
伸びして蚊帳を吊って寝た記憶。遊び疲れの
ためとテレビもなかった頃の夏の夜の静かさ
・・・。
5/22sat
アジサイや ロケ班の群れ 傘の色
(あじさいや ろけはんのむれ かさのいろ)
雷鳴や 女優の名前 ついぞ出ず
(らいめいや じょゆうのなまえ ついぞでず)
※毎朝通る川岸で一目でロケーションとわかる
一隊がいた。こんな所を見つけて、こんなに
早くから・・・。小雨まじりの中でどこかで
見た女優?が集団の真ん中にいた。
だれかなァ? 近づこうとおもったがやめた。
5/21fri
軒下を 燕次々 チェックして
(のきしたを つばめつぎつぎ ちぇっくして)
※新建材のスベスベの壁は燕が嫌い、やっと決
めて巣作りを始めると大家の親子から追い出
されてしまったり。ままならない。
夏嵐 地に伏すキューリ サヤエンドウ
(なつあらし ちにふすきゅーり さやえんどう)
5/20thu
筆入れは 半世紀ものよ 蝸牛
(ふでいれは はんせいきものよ かたつむり)
※さすがにセルロイド製ではない。布製でチャ
ックで開閉するもの。チャックが壊れ半開き
で何十年か? 日々の使用に耐えている。
5/19wed
走り梅雨 うつむく花の 憂いかな
(はしりづゆ うつむくはなの うれいかな)
鈴蘭の 北の故郷は 震えおり
(すずらんの きたのこきょうは ふるえおり)
※鈴蘭は40年以上前北海道暮らしの時に自生
しているものを採集し、延々元気に今に至る。
あの地のコロナ禍鎮静を祈る。
5/18tue
うららかや ブルーレイ眼鏡の 伝い落ち
(うららかや ぶるーれいめがねの つたいおち)
歳並みの 崩し字習う 若葉風
(としなみの くずしじならう わかばかぜ)
※昨日ワクチン接種の予約がとれた。世間の騒
ぎとは無縁で、女房殿が以前から問い合わせ
ていた近所のかかりつけ医院に出かけて、も
のの30分もかからず帰ってきた。あまりの
楽さに夫婦揃ってびっくり。
5/16sun
小箪笥を 入れ替える妻 衣替え
(こだんすを いれかえるつま ころもがえ)
※少し早いとは思ったが、最近の気温に音を上
げてTシャツを出してもらう。初め腕はひん
やりだが、日射しの下ではちょうどいい。
病床に バラの画像を 添付して
(びょうしょうに ばらのがぞうを てんぷして)
※絵の友人に、お手軽すぎるかな?と思いつつ
もメールで我が家のバラの香りを。
5/15sat
風薫る 街を見下ろす 茶室あり
(かぜかおる まちをみおろす ちゃしつあり)
※江戸時代の村役人の屋敷が市の中心に移設保
存されている。村の組頭というが造りは至極
頑丈で、見えないところ、基礎、木組みなど
に金がかけてある。当時の豪農が財を蓄え、
暮らしを楽しんでいたこともわかる。
茶室とは見えないが、茶道を楽しんだのでは
と思わせる座敷があった。今は堂々と市街を
見下ろしている。
5/14fri
花茣蓙や いつを想うと 問いたもう
(はなござや いつをおもうと といたもう)
※花茣蓙を物置から出して乾していたら、通り
がかりの婦人が話しかけてくれたとか。実家
の商売柄今もって大事にしているが、使う場
面は殆どない。骨董好きが時々貯蔵の品のホ
コリを払って風通しするようなもの。ただし
これはお宝ではない。
5/13thu
籐寝椅子 出して文人を 招きたき
(とうねいす だしてぶんじんを まねきたき)
※実家に昔籐の応接セットがあった。そんなに
豊かではなかった頃に、季節の標準家具とし
て大事にされていた。振り返れば、随分なゆ
とりだなァと思う。寝椅子は背部が調節でき
て横たわることが出来るもの。
多くの文人、作家達が籐寝椅子にゆったりと
くつろいでいる写真を思い出す。
5/12wed
昨日まで若楓今日は繁りゆく
(きのうまでわかかえで きょうはしげりゆく)
緑陰で スマホのラジオ 聴きにけり
(りょくいんで すまほのらじお ききにけり)
虹の環や 静かに巨きな 声を聞く
(にじのわや しずかにおおきな こえをきく)
※ここ2日ほどアブラムシ退治に追われた。今
日は天候不安定につき身体休め。庭も周囲も
緑のエネルギーがすごい。
5/10mon
女坂 神輿の声を 登りけり
(おんなざか みこしのこえを のぼりけり)
※神田祭は今年大祭の年だが中止になった。陰
祭りとして神事を行うらしい。久保田万太郎
の句に、
今年またかげ祭なる神田かな
がある。境内の神輿を見ようと、囃子の音に
急かされながら女坂の石段を急いで登って息
を切らしたことを思い出した。昔のこと。
5/9sun
御幣捧ぐ 神主の白 初夏の朝
(ごへいささぐ かんぬしのしろ しょかのあさ)
※神社の祭礼は中止するところが多い。神職を
中心にごく限られた人だけによる陰祭りを執
り行うとか。
5/8sat
南国の雹にたちまち犬走る
(なんごくのひょうに たちまちいぬはしる)
夏嵐 美人に浴衣 着らしめる
(なつあらし びじんにゆかた きらしめる)
※気温は高めだが、列島のどこかで雷雨、突風、
竜巻、など一時的な不安定気象が出没してい
る。
5/7fri
フェリアへと 晴れ着と馬車と 埃かな
(ふぇりあへと はれぎとばしゃと ほこりかな)
※スペインセビリアの春祭り、近郷近在から大
挙して押し寄せるのは巡礼時代と同じ馬車の
一団だ。飲み踊りしゃべり、到着の頃には疲
労困憊かと心配するが、彼らのエネルギー
(信仰心)はそんなものではない。
5/6thu
草むしり いつか立夏の 日となれり
(くさむしり いつかりっかの ひとなれり)
停車せよ コクリコの花 子を招く
(ていしゃせよ こくりこのはな こをまねく)
夏立つや 琉球月見草の 名を知れり
(なつたつや りゅうきゅうつきみそうの なをしれり)
※6月並みの気温で立夏と聞いても違和感がな
い。強い風が続いたので庭の各種修理に駆り
出される。
5/5wed
子供の日 画数多き 字をさらい
(こどものひ かくすうおおき じをさらい)
夏隣り 田植え機しかと 磨き上げ
(なつどなり たうえきしかと みがきあげ)
※アクアラインを行く観光客の車列も今朝は少
ない。仕事を終えた田植え機は半月近く放置
されていたが、今日めでたく清掃された。良
かった。購入には決心を要したであろう、最
新型のヤツだから。
5/4tue
摘果する 八十八夜の 晴れ間故
(てきかする はちじゅうはちやの はれまゆえ)
摘果の実 まどろむ蜥蜴を 驚かせ
(てきかのみ まどろむとかげを おどろかせ)
5/3mon
雲間陽の 動き激しき 柿若葉
(くもまびの うごきはげしき かきわかば)
※桃の小さな実を摘果した。2回行ううちの初
回分。こんな無手入れの庭の一隅でよくも毎
年実をつけるものだ。夥しい実を摘まんで落
とす。一本で300個近くになったかな。
5/2sun
春色の 背景色は 意に違い
(はるいろの はいけいしょくは いにたがい)
絵の展示 仲間に告げる 暮の春
(えのてんじ なかまにつげる くれのはる)
※公民館の部屋を借りる絵画教室は、利用の扱
いが行政の諸施設と同等となるため、急に変
更になることがある。教室も皆でボチボチと、
再開したのだがどうなることやら。依頼を受
けた展示だけは受けることにした。
5/1sat
釣れずとも一人ボートの春の川
(つれずとも ひとりぼーとの はるのかわ)
※ステイホームの呼びかけが厳しい連休だが、
一人用のボートを川に浮かべる人は哲人のよ
うに思える。うららかな陽気だが、雨の予報
もあるからと年寄りは心配してしまう。凡人。
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4/30fri
荷風の忌 傘はなけれど ただ歩く
(かふうのき かさはなけれど ただあるく)
※永井荷風の写真に三つ揃いの背広を着込み、
中折れ帽子をかぶり、愛用の革手提げと雨傘
を携えているのがある。街を散策するのもこ
れで、お決まりのいでたちであったらしい。
雑司が谷の墓を訪ねたのも昔のことになった。
4/29thu
鳥帰る 病院通いの フェリーから
(とりかえる びょういんかよいの ふぇりーから)
※気功の治療が良かったといって、対岸の横須
賀市から月1,2度海を渡ってやって来る御
仁がいる。気功の原理と効果はイマイチ理解
できないけれどね。まあしかし、本人の効果
の実感が第一だ。
4/28wed
永吉の 古いアルバム 春惜しむ
(えいきちの ふるいあるばむ はるおしむ)
※FMで80年代リリースのアルバムを聴いた。無
性に懐かしい。感度が高くなってきた。
丹精を 孫に継がせて 藤の花
(たんせいを まごにつがせて ふじのはな)
4/27tue
初燕 二番ピッチャーの すこやかさ
(はつつばめ にばんぴっちゃーんの すこやかさ)
※到着したばかりだろうか? 飛び回る燕の姿
は雄姿だなァ・・・カッコいい。今日の大谷
にも雄姿期待。
4/26mon
百均へ 吝嗇ゆえに 春の道
(ひゃっきんへ りんしょくゆえの はるのみち)
※百均は比較的賑わっている。なぜかこのとこ
ろ買い物を頼んだり、自ら出向いたりが多い。
吝嗇ゆえでなくとも、百均ならではの長所も
ある。最近では、腰にぶら下げるスマホ入れ
は立派な革製よりも余計なところを削ぎ落し
た布製の100円が良かった。家内は畑用の
野菜の種子に、分量が丁度良いと言う。
4/25sun
閉店も 品いくばくか 鳥曇り
(へいてんも しないくばくか とりぐもり)
※近くの小間物屋兼雑貨屋の店先に4月末で閉
店するとの張り紙があった。コロナ禍の影響
か? まだ商品は変わらずあるのに・・・。
個人商店がまた減る。音もなしに。
4/24sat
むらさきの 隆ッとオダマキ 道の端
(むらさきの りゅうとおだまき みちのはた)
※今シーズンのオダマキで一番の見栄えは、残
念ながら我が家の庭ではなく門前の道端に咲
いたこれ。ほんの狭い土から育った、よく言
われる「ド根性オダマキ」だ。
4/23fri
春の川 おにぎり女子の ひとり坐し
(はるのかわ おにぎりじょしの ひとりざし)
黒光り 春の日返し 鵜は憩う
(くろびかり はるのひかえし うはいこう)
対岸は 緊急事態 春の海
(たいがんは きんきゅうじたい はるのうみ)
4/22thu
鉢馬酔木 亡父の作りし 旅の歌
(はちあしび ちちのつくりし たびのうた)
※コロナ禍は風雲急を告げているが、窓外の景
色はなんともうららかだ。雪国の春は旅を想
う季節である。・・・最近は旅行のことなど、
てんで夢のまた夢。
4/21wed
陽炎や 聖職に見えず 子は教師
(かげろうや せいしょくにみえず こはきょうし)
※教師は聖職という言葉自体死語に近いが、教
育の現場で熱情を持って仕事にあたっている
教師は数限りなくいる。環境に縛られ、自由
度を失っていることが残念だ。
担任の 教師は走る 竹の秋
(たんにんの きょうしははしる たけのあき)
4/20tue
便箋を 用意してさて 日永かな
(びんせんを よういしてさて ひながかな)
※手間がかかることではあるが、それが自然で
普通だった頃にもどろう・・・という提案が
あるようだ。人とのコンタクトもそうだ。そ
うなのだが・・・、なかなか出来ない。
4/18sun
オダマキや 犬の注射の 頃にあり
(おだまきや いぬのちゅうしゃの ころにあり)
春深し インゲン豆の 棚立てん
(はるふかし いんげんまめの たなたてん)
※今朝は快晴、風は強い。田植え作業はこの地
区で真っ盛り。畑に出かけ、強風の被害なし
を確認する。
4/17sat
細道を くねりて急ぐ 義士祭
(ほそみちを くねりていそぐ ぎしまつり)
※春の義士祭に泉岳寺で待ち合わせをした。
ところが用事があって高輪回りで行ったとこ
ろ、近道をしようとして道に迷い往生した。
この近辺は赤穂浪士にまつわる史跡が多いの
だが、戦災を受けていない路地が迷路のよう
だ。何度も歩いていたのだが。ようやく高輪
高校を見つけ胸を撫でおろした。
今ならスマホですいすいというところ。
4/16fri
今どきの 見合いやいかに 木の芽雨
(いまどきの みあいやいかに このめあめ)
※孫が見合いをすると知人が明かした。珍しい
話だから大いに勧めたのだとも。確かに今日
は余り聞かないなあと思ったけれども、さて
本当にそうか? 婚活、集団見合いとかは?
流行の先端だとも思える。
4/15thu
春日ありて眠り少しの充実
(はるひありて ねむりすこしのじゅうじつ)
軒下の 紫煙ゆっくりと 花の冷え
(のきしたの しえんゆっくりと はなのひえ)
※季節外れの「蛍族」ご同輩が方々にいる。
4/14wed
春闘や ОBという 欄はなし
(しゅんとうや おーびーという らんはなし)
※コロナ禍あり、国際関係の激動ありの変化の
中で、企業の栄枯には何とも感慨深いものが
ある。しっかりしたアンテナと想像力、イノ
ベーションとか言われるが・・・。究極は経
営者の洞察力か?
4/13tue
啄木忌 大根の花と 始業ベル
(たくぼくき だいこんのはなと しぎょうべる)
夕霞み おかねが泣いてる 景色かな
(ゆうがすみ おかねがないてる けしきかな)
※啄木の歌、「宗次郎におかねが泣きて口説き
おり 大根の花白き夕暮れ」。『ちゃんと働
いておくれよ~』の涙声が聞こえる。
4/12mon
清明や 我が意半ばの 水の色
(せいめいや わがいなかばの みずのいろ)
※水彩画教室は先月下旬からから再開、時間を
短縮し換気に注意して集まっている。家籠り
でさぞかし腕も上がったのではと、先生が冗
談を言う。しかし現実は遥かにそれに遠い。
4/11sun
妻の手と 機械がありて 早植えし
(つまのてと きかいがありて はやうえし)
※川向こうの一軒の農家が田植えを開始した。
今の言葉でいうと「はやッ」。4月15日前
の田植えを目撃したのは初めて。
4/10sat
鰊曇り室蘭勤務の頃の空
(にしんぐもり むろらんきんむのころのそら)
雨音の やさしくなりて 山笑う
(あまおとの やさしくなりて やまわらう)
※蔓延防止対策の対象地域が東京都をはじめと
して接近してきた。季節の歩みはいつもと変
わりないが・・・。
4/9fri
田を広げ 畔塗り急かる 三代目
(たをひろげ あぜぬりせかる さんだいめ)
※知り合いの農家で昨秋から田の統合、拡大工
事をしている。一枚の田んぼが広いほど、機
械を駆使する現在の農法では断然効率的だか
ら。しかしこれが生半可なことではない。同
じ水準の2枚の田だったらまだ優しいが、水
準の違う田を統合するとなると、大変な土木
工事になる。土壌を入れ替えすることも伴う。
遅れ気味らしく田植え前の仕事に勤しんでい
る。早速田植えから効率が上がる。
4/8thu
朝の音 綴りて長し 虚子忌かな
(あさのおと つづりてながし きょしきかな)
※毎日ではないけれど未明から7時前後まで長
い「オトコ入り」が続く。
朝の物音は激減していると落語家は言う。ま
して地方都市の住宅団地とくれば皆無に近い。
明るくなってJRの踏切音、出勤や配達のクル
マの音がちらほら。清さん、いつまで観察を
続ければいいの?
小鳥の囀りだけは豊富で種類も多い。
4/7wed
放哉忌 すきとおる声の 門に入る
(ほうさいき すきとおるこえの もんにいる)
※今朝の晴れ間は久しぶりに黄砂の影響も少な
く、空は透き通っている。今日は尾崎放哉の
命日。小豆島での暮らしは貧しく想像すべく
もないが、こんなこともあったろうと思う。
4/6tue
庭中が うすむらさきの 地の躑躅
(にわじゅうが うすむらさきの じのつつじ)
※隣の君津市の花はミツバツツジ。房総半島に
多いが、太平洋岸の野山に広く自生するとか。
薄紫の花は咲き揃うと実に華やか。庭はにわ
かに変貌する。見た家のバアさまのドヤ顔も
理解できる。
4/5mon
椿餅 踏切そばに 老舗あり
(つばきもち ふみきりそばに しにせあり)
草餅や 被りの婆が なしという
(くさもちや かぶりのばばが なしという)
※今日は一転肌寒い、平年並みの気温だ。雨の
日は外への誘惑もないし、使役に駆り出され
ることもない。最近すっかりご無沙汰のスケ
ッチのトレーニングをすることにする。
4/4sun
癌癒えて 目方戻りし 翁草
(がんいえて めかたもどりし おきなぐさ)
※行きつけの床屋のおやじがさりげなく言う。
ガンが肺に転移して先々週切ってきたと。内
視鏡手術の生々しい傷跡を見せる。一年前の
大手術で10キロも減った体重がやっと戻っ
た矢先のことだ。
病院を信頼してか、本人の胆力か、悲壮感は
ない。もう畑をやっている。帰りにワケギを
貰ってきた。
無骨なる手が春花を山と盛る
(ぶこつなるてが はるばなをやまともる)
4/3sat
里の家 みな勤め人と なりて春
(さとのいえ みなつとめにんと なりてはる)
※下の娘が就職し、クルマがまた一台増えた。
家と周りの畑、持山などは専業農家の時のま
まなのに。
4/2fri
ガラケーや 無傷十年 春の空
(がらけーや むきずじゅうねん はるのそら)
新しき スマホの青や 春蚊出ず
(あたらしき すまほのあおや はるかいず)
山笑う スマホ操作に 汗少し
(やまわらう すまほそうさに あせすこし)
※10年以上続けてきた3Gガラケーがもう一年
で使えなくなる。しぶしぶスマホに替えた。
通話とカメラ、Cメールだけの世界から大き
く可能性は広がるが、期待はカメラ機能の格
段の充実だけ。画面の字も読めないし、外出
もないから外でのネット活用もない。期待は
していない。月千円以下というから・・・。
4/1thu
四月馬鹿 不意に筍ご飯かな
(しがつばか ふいにたけのこごはんかな)
四月馬鹿 知らずに高い アプリかな
(しがつばか しらずにたかい あぷりかな)
※エープリルフールとはいえ、思いつくウソ話
はない。それにしても昨夕の筍ご飯は不意を
突かれた。春一番の到来もの。
**********************************************************
3/30tue
白木蓮清し人なしと言えど
(しろもくれんすがし ひとなしといえど)
植え替えて こちら向かしむ 黄水仙
(うえかえて こちらむかしむ きすいせん)
3/29mon
涅槃図や 僧絵解きする ペンライト
(ねはんずや そうえときする ぺんらいと)
※日頃は秘仏とされている御本尊を拝見し、こ
れまた秘蔵の涅槃図の説明を受けた。涅槃図
は三仏忌のうち涅槃会の参拝客に公開すると
か。本堂で静かに聞いていると真っ黒に近い
図ながら清新な気分になるから不思議。
3/28sun
陽だまりの ベンチを譲り 西行忌
(ひだまりの べんちをゆずり さいぎょうき)
あれこれと 捨てぬ理由を 西行忌
(あれこれと すてぬりゆうを さいぎょうき)
※旧暦の2月16日は西行忌。釈迦の命日2/15
に桜の下で死にたいと願い、没したと言われ
る。現世のしがらみを捨て、出家し、有り余
る才能を歌に寄せ、その後も信心の一方で煩
悩との闘いに一生を送った、とされる。
3/27sat
春時雨 スクランブルの 街ひそむ
(はるしぐれ すくらんぶるの まちひそむ)
※雨模様で渋谷駅前交差点の人出はやや穏やか。
ここ暫くは大阪、仙台、山形とかとか首都圏
以外の患者増加でワキ役に。でも必ず復活す
る、ニュース主役の座。
長閑さや 江ノ電の音 猫と住む
(のどかさや えのでんのおと ねことすむ)
※養老孟子氏の鎌倉自宅での暮らしを綴ったBS
の番組。おしゃべり孟子に老猫マルの取り合
わせが実に落ち着く。
囀りや 毛を集めおり 犬の留守
(さえずりや けをあつめおり いぬのるす)
3/26fri
水温む シューベルトの ソナタかな
(みずぬるむ しゅーべるとの そなたかな)
※春のせせらぎにぴったりなのがシューベルトの
即興曲(ピアノ)、D899とD935。ピアノソナ
タは別にちゃんとあるから誤解を招くが、余り
に字余りになるので・・・。
針に糸 一度で通す 葱坊主
(はりにいと いちどでとおす ねぎぼうず)
残りし歯 少し異常の 遅日かな
(のこりしは すこしいじょうの ちじつかな)
3/24wed
坂道や こぎてもとまる つくしかな
(さかみちや こぎてもとまる つくしかな)
デュトワふる 春の祭典 血圧高め
(でゅとわふる はるのさいてん けつあつたかめ)
※春に血圧高めは要注意。自転車も、坂道で土
筆が目にとまる程度にしようと思う。
3/23tue
皺の手で 開花の証し 写メールし
(しわのてで かいかのあかし しゃめーるし)
それぞれに 標準木あり サクラかな
(それぞれに ひょうじゅんぼくあり さくらかな)
投票所 出て春雨に 遭いにけり
(とうひょうじょ でてはるさめに あいにけり)
レーダーを 信じた末の 春の雨
(れーだーを しんじたすえの はるのあめ)
※房総半島内房地方でサクラの開花は2~3分
ほど。毎朝通る堤の並木はそれより少し遅い。
3/22mon
桃の花 夕彩るも 客はなし
(もものはな ゆういろどるも きゃくはなし)
うちは桃そとは陽光桜かな
(うちはもも そとはようこうざくらかな)
※桃の花と陽光桜は満開時が今回の雨にあい、
散り始めている。客の少なきを嘆いたことは
なかったが、今回だけは惜しかったなァ、見
せたかったなァと口惜しがっている。
それにしても、今までより色の酷似に驚いて
いるのは年齢のせいなのかな?
3/21sun
剪定を いつくしみつつ し残せり
(せんていを いつくしみつつ しのこせり)
花ニラや 我が庭の素直なる日々
(はなにらや わがにわのすなおなるひび)
花冷えや 病む首都圏に 解除あり
(はなびえや やむしゅとけんに かいじょあり)
3/20sat
彼岸会や 300年の 門なりき
(ひがんえや さんびゃくねんの もんなりき)
秘仏見て 石段中ほど 風光る
(ひぶつみて いしだんなかほど かぜひかる)
あるはずの 色揃いてや クロッカス
(あるはずの いろそろいてや くろっかす)
3/19fri
火を浴びて 沓音を聞く 二月堂
(ひをあびて くつおとをきく にがつどう)
春の闇 五体投地の 板の音
(はるのやみ ごたいとうちの いたのおと)
春の月 十四日間の 修行終え
(はるのつき じゅうよっかかんの しゅぎょうおえ)
※二月堂の修二会、今年は参拝客なしで行われ、
その代わりにBSテレビが中継した。
今まで目に触れなかった堂内の儀式、秘儀と
言われるものも含め、4時間余りだ。コロナ
禍も悪いことばかりではない。
番組を見るだけで疲れたが、おかげで心身の
煤払いが出来た(ような気がした)。
3/18thu
蕗の薹 遅きを悔いて 二つ三つ
(ふきのとう おそきをくいて ふたつみつ)
本来は 答辞読む子に 春日かな
(ほんらいは とうじよむこに はるひかな)
※なんにもない暮らしだが、それでも春はなに
かとあるものだ。卒業式は保護者なし、式次
第も簡素化して行われるとか。本人は喜んで
いるというが、親は・・・。
蕗の薹の秘密の場所は今年も無事だったが、
とうにタイミングを逸していた。
3/17wed
うながされ 免許貰いに 目借時
(うながされ めんきょもらいに めかりどき)
海の上に 高炉かすみて 入り彼岸
(うみのえに こうろかすみて いりひがん)
※溶鉱炉が三つも四つもあった光景は昔。地元
の製鉄所も縮小の運命にあり。高炉の薄い煙
ははかなげに。
3/16tue
桃咲くや 高齢免許は 金の色
(ももさくや こうれいめんきょは きんのいろ)
※午後に警察から電話あり。今日中に取りにこ
なければ交付しませんと。春の夕日が沈む前
に無事入手。認知症には免許更新しないはず
だが・・・。良かった。ちゃんとゴールド。
3/15mon
マスクして 杉の道掃く 春の僧
(ますくして すぎのみちはく はるのそう)
※地元の図書館に電子図書の登録をした。ファ
イルでの貸借だから、この時代に最適。当地
にもやってきたか。
今は青空文庫のコンテンツが多いというから
特段のメリットはない。充実はこれから。
3/14sun
修二会僧 あの激しさに 魅かれおり
(しゅにえそう あのはげしさに ひかれおり)
※東大寺二月堂の修二会中継を見た。現場の興
奮を思いやる。1261年続くという。
3/13sat
春宵や 気功の不思議 妻語る
(しゅんしょうや きこうのふしぎ つまかたる)
飛行機と まがいし春の 長いびき
(ひこうきと まがいしはるの ながいびき)
※春なれば妻を詠んだ句を。
3/12fri
春暁や さて寝なばやと 布団引く
(しゅんぎょうや さてねなばやと ふとんひく)
春暁や 待ち兼ねノソッと 床を出る
(しゅんぎょうや まちかねのそっと とこをでる)
※日の出は早くなったものの、ずっと前から待
っている日もある。寝ようか、いっそ起きよ
うか? きままで非生産的な一日の始まり。
3/11thu
雅には 遠くなりけり 桃の花
(みやびには とおくなりけり もものはな)
※桃の最初の一輪が今日咲いた。濃いピンクの
蕾が目白押しである。やわらかい日射しと花
の動きは例年と変わらずでなんとも貴重。近
所の陽光桜並木も昨日開花した。
3/10wed
いとおしや 春の朝の かゆみどめ
(いとおしや はるのあしたの かゆみどめ)
※高齢者に多い肌の乾燥症。かゆみが時に襲っ
てくる。じっと我慢、かかない。
3/9tue
春暁や まだかと闇に 灯をさぐり
(しゅんぎょうや まだかとやみに ひをさぐり)
春の朝 踏切音で 時を知り
(はるのあさ ふみきりおんで ときをしり)
※最近御多聞に漏れず、朝早く目を覚まして、
その後の長い時間を寝床で過ごしている。真
っ暗い中で、半覚醒のタイトルレスの思考、
かすかな光をカーテン越しに待っている。さ
て寝ようか、本を読むか・・・頭がすっきり
してくるとメニューが広がる。寝なくてはと
あせることはない。
3/8mon
早咲きの サクラ確かめん 遠回り
(はやざきの さくらたしかめん とおまわり)
沈丁花匂いありと妻闇の中
(ちんちょうげにおいありと つまやみのなか)
春の朝見上げても暦は見えず
(はるのあさ みあげてもこよみはみえず)
3/7sun
啓蟄や 生徒試験の 穴を出る
(けいちつや せいとしけんの あなをでる)
啓蟄や 老うちわ師の 女竹割く
(けいちつや ろううちわしの めたけさく)
※房州うちわは素朴な名品が多い。以前は多く
の職人が分業で作っていたらしいが、今や出
荷量は減り、名人と言われる人が材料の竹の
栽培・伐採・乾燥から竹の加工、絵柄の作成、
貼り、仕上げまでを一人でやっている。皺く
ちゃの手が見事な動きを見せる。
3/5fri
ミモザ咲く 山なす空の 植木鉢
(みもざさく やまなすからの うえきばち)
微笑みて 黄の春服が 退院す
(ほほえみて きのはるふくが たいいんす)
※図らずもイエロー句2つ。最近は古い顔とメ
ールを交換したり、夢マクラに出て来たり、
良いことが続いた。コロナ禍で強がりを言っ
ていてもやっぱり孤独オンリーでは長くはも
たないということか?
3/3wed
春の闇 教師のクルマは プラグイン
(はるのゆう きょうしのくるまは ぷらぐいん)
※これはトヨタの最新鋭車だなと見送る。
3/2tue
ライン見る 若き教師の 春放課
(らいんみる わかききょうしの はるほうか)
春の夕 校舎は声を 失えり
(はるのゆう こうしゃはこえを うしなえり)
※近所に中学校がある。顧問教師の負荷が問題
になった折に部活が抑制されたところに、コ
ロナ禍が重なり、放課後の校舎は様変わりだ。
3/1mon
如月の 山なめつくす 赤き舌
(きさらぎの やまなめつくす あかきした)
如月や 店守る顔の 白々と
(きさらぎや みせまもるひとの しらじらと)
※営業時間短縮の補償を叫ぶ人が多い中で、切
盛りに万策尽きた人も多い。働けと言われれ
ば寝ないで頑張るのだがと、力を駆使する場
を失った人の無言の表情は悲痛だ。
**********************************************************
2/28sun
鵜はもぐる 二月みそかの 朝まだき
(うはもぐる にがつみそかの あさまだき)
うたたねや 二月みそかの ひなたかな
(うたたねや にがつみそかの ひなたかな)
猫二匹 二月みそかの 夕まぐれ
(ねこにひき にがつみそかの ゆうまぐれ)
※二月みそかの三句。朝は冷え込んだが、日中
の日差しは値千金。コロナ禍さえなければ、
穏やかな天気に脳はとろとろ。
2/27sat
春うらら 断捨離とかを 考える
(はるうらら だんしゃりとかを かんがえる)
※いつも春になり新年度を前に、本やレコード
など大事にしてきたものをそろそろ処分しよ
うと真剣に思う。
しかし春の計画を実行した試しがない。今回
も? しかし後期高齢者だからなァ・・・。
2/26fri
春耕の 鍬のガタとり なお深く
(しゅんこうの くわのがたとり なおふかく)
野仏は 深く耕せと 言い給う
(のぼとけは ふかくたがやせと いいたもう)
※捻挫も大方直ったので、久しぶりの畑仕事。
寒起こしのつもりで深く土壌を掘り返すが、
季節はもう春、春耕はやり方が違うのではな
いかな? 歩行欠場の間は犬の散歩を代わっ
てもらったので、我が家の野仏に従うことに
する。日差しが暖かい。
2/24wed
畔塗りも 機械がすれば 泥厚く
(あぜぬりも きかいがすれば どろあつく)
※三寒四温の季節だが、当地では早くも畔作り
が始まっている。歩くのもゆっくりというシ
ニア農夫の、機械を使っての仕事はなんと力
強いことか。分厚い畔が見る見るのうちに。
2/23tue
ウグイスパン 味半世紀を ひとっ飛び
(うぐいすぱん あじはんせいきを ひとっとび)
※菓子パンのジャムパンやクリームパンは忘れ
た頃になつかしく食べたものだが、ウグイス
パンとなると高校生のころ以来か?
ぞろぞろと記憶が舌からよみがえる。
2/22mon
特売の 肉の情報 春電話
(とくばいの にくのじょほう はるでんわ)
言い出せば 限りなく恋し 目刺しかな
(いいだせば かぎりなくこいし めざしかな)
※それは豚肉の特売どうする?とかの電話に始
まった。肉より久しぶりに目刺しが食いたい
と私が差し出口。
途端に焼いた目刺しの香りが・・・。
**********************************************************
2/21sun
春陰や 股肱の足を 痛めけり
(しゅんいんや ここうのあしを いためけり)
2/18thu
句を詠むは 女性が多し 春の風
(くをよむは じょせいがおおし はるのかぜ)
2/17wed
ガンガンと 春の嵐よ MR
(がんがんと はるのあらしよ えむあーる)
2/16tue
墓地を売る 旗たはめきて 春の山
(ぼちをうる はたはためきて はるのやま)
2/14sun
蕗味噌や 伯父の手になる 味遥か
(ふきみそや おじのてになる あじはるか)
2/13sat
春服や 病室の壁に 飾りおり
(はるふくや びょうしつのかべに かざりおり)
2/11thu
春の道 白線を引く チームあり
(はるのみち はくせんをひく ちーむあり)
2/8mon
春近し テレ読書会の 案内来る
(はるちかし てれどくしょかいの あないくる)
2/7sun
ぼろ市で 買いし錦の 笛鳴らず
(ぼろいちで かいしにしきの ふえならず)
2/6sat
余病消え 寒明けの街 明るかり
(よびょうきえ かんあけのまち あかるかり)
2/4thu
着ぶくれて つい空耳の 音を聞き
(きぶくれて ついそらみみの おとをきき)
2/2tue
下の子が 急に泣きやむ 鬼火なり
(したのこが きゅうになきやむ おにびなり)
豪雪の街や 角巻の影を見る
(ごうせつのまちや かくまきのかげをみる)
耳かくし 剣玉の孔を 広げいし
(みみかくし けんだまのあなを ひろげいし)
冬灯り タバコ屋の子の まぶしかり
(ふゆあかり たばこやのこの まぶしかり)
1/29fri
寒紅や CTの日に 少し濃し
(かんべにや シーティーのひに すこしこし)
1/24sun
降りる人ありて線路の先は雪
(おりるひとありて せんろのさきはゆき)
1/22fri
大寒や 外食暮らしで 糖不如意
(だいかんや がいしょくぐらしで とうふにょい)
1/21thu
冬の日や 皆なにがしの 失意あり
(ふゆのひや みななにがしの しついあり)
※おとなしい暮らし、人さまざまな思い。
1/19tue
マスクして 人には会わず 寒念仏
(ますくして ひとにはあわず かんねんぶつ)
1/17sun
小三治の 初天神の 音しぼり
(こさんじの はつてんじんの おとしぼり)
1/15fri
寒月や 自転車ではもる 下校かな
(かんげつや じてんしゃではもる げこうかな)
1/13wed
寒暁や キンカン三個 しのばせて
(かんぎょうや きんかんさんこ しのばせて)
1/12tue
サクラソウ マスクをせよと 子が見上げ
(さくらそう ますくをせよと こがみあげ)
1/11mon
七変化 七之助見る 冬籠り
(しちへんげ しちのすけみる ふゆごもり)
1/10sun
白き息 妻退院と 告げる人
(しろきいき つまたいいんと つげるひと)
1/9sat
冬枯れの 庭に鋏の 音高く
(ふゆがれの にわにはさみの おとたかく)
1/8fri
人日や 列島に風雨 家に粥
(じんじつや れっとうにふうう いえにかゆ)
1/7thu
紙漉師 手には何をか つけたもう
(かみすきし てにはなにをか つけたもう)
1/6wed
寒の暁 早番の娘 湯を沸かす
(かんのぎょう はやばんのむすめ ゆをわかす)
1/5tue
竹馬や 出来ぬ理由を 七十年
(たけうまや できぬりゆうを しちじゅうねん)
1/1fri
バーバーの アダージョじっと 初日かな
(ばーばーの あだーじょじっと はつひかな)
初歩き キンカン三個 しのばせて
(はつあるき きんかんさんこ しのばせて)
2020-01-21 12:56
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