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ダクタク句集2021年(令和3年)上期 自選集 [自選集2021]

5/31mon
齢重ね 惚れた句多し 万太郎忌
     (としかさね ほれたくおおし まんたろうき)
        ※地方出身者には東京大好き、東京暮らし好き
         という人が多い。小生もその例にもれない。
         東京景色を鮮明に切り取った万太郎の句、し
         みじみとした暮らしの句など、気に入った句
         が多い。
           永代の橋から海の時雨​かな
           時雨るゝや麻布二の橋三の橋

火花散る 駿馬の息や 五月尽
     (ひばなちる しゅんめのいきや ごがつじん)

5/30sun
月蝕は見えず泰山木の花
     (げっしょくはみえず たいさんぼくのはな)

人なくも 参道塵なし 五月晴れ
     (ひとなくも さんどうちりなし さつきばれ)

5/29sat
ヘタムシの 消毒せねば 梅雨近し
     (へたむしの しょうどくせねば つゆちかし)
        ※昨年久しぶりに柿の収穫が良かったのは初夏
         から2度ヘタ虫の駆除をしたからだと信じて
         いる。しかも丹念にやることだ。しかし今年
         は時期が迫っていたのに天気の具合でいまだ
         やれないでいる。

5/28fri
五月闇 リウマチの子の 稽古かな
     (さつきやみ りうまちのこの けいこかな)
        ※リウマチに罹った人が暗くなった小さな公園
         でゆっくりリハビリをしている。照明は一個
         だけ。

五月雨や 梗塞の人 予約とる
     (さまみだれや こうそくのひと よやくとる)

5/27thu
西日まで ひとひゆっくり 文庫本
     (にしびまで ひとひゆっくりの ぶんこぼん)
        ※昼過ぎから寝っ転がり、日のさす方に頭を向
         けて読みふける。うつらうつらするといつの
         間にか方向が変わり角度を変える。
         自在な数時間、なかなか良いものだ。

石碑見る 頭にササと 松落葉
     (せきひみる あたまにささと まつおちば)

5/26tue
二の丸の 自転車で踏む 松落葉
     (にのまるの じてんしゃでふむ まつおちば)
        ※鶴ヶ城址の初夏の思い出。ふと。

5/24mon
誤嚥あり 新茶ゆっくり ゆっくりと
     (ごえんあり しんちゃゆっくり ゆっくりと)
        ※夫婦ともに誤嚥に要注意と話している。深刻
         ではない。今まで無縁のことだと思ってきた
         が、そうでもなさそうだ。

5/23sun
我もまた 青蚊帳吊れる 母持てり
     (われもまた あおがやつれる ははもてり)

背伸びして 蚊帳を吊りたる 早寝かな
     (せのびして かやをつりたる はやねかな)
        ※蚊帳2句。前の句は長塚節の名歌のパクリだ
         けれど感慨は本物。後の句は妙に鮮明に残っ
         ている情景。夕飯を食べて眠くて眠くて、背
         伸びして蚊帳を吊って寝た記憶。遊び疲れの
         ためとテレビもなかった頃の夏の夜の静かさ
         ・・・。

5/22sat
アジサイや ロケ班の群れ 傘の色
     (あじさいや ろけはんのむれ かさのいろ) 

雷鳴や 女優の名前 ついぞ出ず
     (らいめいや じょゆうのなまえ ついぞでず)
        ※毎朝通る川岸で一目でロケーションとわかる
         一隊がいた。こんな所を見つけて、こんなに
         早くから・・・。小雨まじりの中でどこかで
         見た女優?が集団の真ん中にいた。
         だれかなァ? 近づこうとおもったがやめた。

5/21fri
軒下を 燕次々 チェックして
     (のきしたを つばめつぎつぎ ちぇっくして)
        ※新建材のスベスベの壁は燕が嫌い、やっと決
         めて巣作りを始めると大家の親子から追い出
         されてしまったり。ままならない。

夏嵐 地に伏すキューリ サヤエンドウ
     (なつあらし ちにふすきゅーり さやえんどう)

5/20thu
筆入れは 半世紀ものよ 蝸牛
     (ふでいれは はんせいきものよ かたつむり)
        ※さすがにセルロイド製ではない。布製でチャ
         ックで開閉するもの。チャックが壊れ半開き
         で何十年か? 日々の使用に耐えている。

5/19wed
走り梅雨 うつむく花の 憂いかな
     (はしりづゆ うつむくはなの うれいかな)

鈴蘭の 北の故郷は 震えおり
     (すずらんの きたのこきょうは ふるえおり)
        ※鈴蘭は40年以上前北海道暮らしの時に自生
         しているものを採集し、延々元気に今に至る。
         あの地のコロナ禍鎮静を祈る。

5/18tue
うららかや ブルーレイ眼鏡の 伝い落ち
     (うららかや ぶるーれいめがねの つたいおち)

歳並みの 崩し字習う 若葉風
     (としなみの くずしじならう わかばかぜ)
        ※昨日ワクチン接種の予約がとれた。世間の騒
         ぎとは無縁で、女房殿が以前から問い合わせ
         ていた近所のかかりつけ医院に出かけて、も
         のの30分もかからず帰ってきた。あまりの
         楽さに夫婦揃ってびっくり。

5/16sun
小箪笥を 入れ替える妻 衣替え
     (こだんすを いれかえるつま ころもがえ)
        ※少し早いとは思ったが、最近の気温に音を上
         げてTシャツを出してもらう。初め腕はひん
         やりだが、日射しの下ではちょうどいい。

病床に バラの画像を 添付して
     (びょうしょうに ばらのがぞうを てんぷして)
        ※絵の友人に、お手軽すぎるかな?と思いつつ
         もメールで我が家のバラの香りを。

5/15sat
風薫る 街を見下ろす 茶室あり
     (かぜかおる まちをみおろす ちゃしつあり)
        ※江戸時代の村役人の屋敷が市の中心に移設保
         存されている。村の組頭というが造りは至極
         頑丈で、見えないところ、基礎、木組みなど
         に金がかけてある。当時の豪農が財を蓄え、
         暮らしを楽しんでいたこともわかる。
         茶室とは見えないが、茶道を楽しんだのでは
         と思わせる座敷があった。今は堂々と市街を
         見下ろしている。

5/14fri
花茣蓙や いつを想うと 問いたもう
     (はなござや いつをおもうと といたもう)
        ※花茣蓙を物置から出して乾していたら、通り
         がかりの婦人が話しかけてくれたとか。実家
         の商売柄今もって大事にしているが、使う場
         面は殆どない。骨董好きが時々貯蔵の品のホ
         コリを払って風通しするようなもの。ただし
         これはお宝ではない。

5/13thu
籐寝椅子 出して文人を 招きたき
     (とうねいす だしてぶんじんを まねきたき)
        ※実家に昔籐の応接セットがあった。そんなに
         豊かではなかった頃に、季節の標準家具とし
         て大事にされていた。振り返れば、随分なゆ
         とりだなァと思う。寝椅子は背部が調節でき
         て横たわることが出来るもの。
         多くの文人、作家達が籐寝椅子にゆったりと
         くつろいでいる写真を思い出す。

5/12wed
昨日まで若楓今日は繁りゆく
     (きのうまでわかかえで きょうはしげりゆく)

緑陰で スマホのラジオ 聴きにけり
     (りょくいんで すまほのらじお ききにけり)

虹の環や 静かに巨きな 声を聞く
     (にじのわや しずかにおおきな こえをきく)
        ※ここ2日ほどアブラムシ退治に追われた。今
         日は天候不安定につき身体休め。庭も周囲も
         緑のエネルギーがすごい。

5/10mon
女坂 神輿の声を 登りけり
     (おんなざか みこしのこえを のぼりけり)
        ※神田祭は今年大祭の年だが中止になった。陰
         祭りとして神事を行うらしい。久保田万太郎
         の句に、
          今年またかげ祭なる神田かな
         がある。境内の神輿を見ようと、囃子の音に
         急かされながら女坂の石段を急いで登って息
         を切らしたことを思い出した。昔のこと。

5/9sun
御幣捧ぐ 神主の白 初夏の朝
     (ごへいささぐ かんぬしのしろ しょかのあさ)
        ※神社の祭礼は中止するところが多い。神職を
         中心にごく限られた人だけによる陰祭りを執
         り行うとか。

5/8sat
南国の雹にたちまち犬走る
     (なんごくのひょうに たちまちいぬはしる)

夏嵐 美人に浴衣 着らしめる
     (なつあらし びじんにゆかた きらしめる)
        ※気温は高めだが、列島のどこかで雷雨、突風、
         竜巻、など一時的な不安定気象が出没してい
         る。

5/7fri
フェリアへと 晴れ着と馬車と 埃かな
     (ふぇりあへと はれぎとばしゃと ほこりかな)
        ※スペインセビリアの春祭り、近郷近在から大
         挙して押し寄せるのは巡礼時代と同じ馬車の
         一団だ。飲み踊りしゃべり、到着の頃には疲
         労困憊かと心配するが、彼らのエネルギー
         (信仰心)はそんなものではない。

5/6thu
草むしり いつか立夏の 日となれり
     (くさむしり いつかりっかの ひとなれり)

停車せよ コクリコの花 子を招く
     (ていしゃせよ こくりこのはな こをまねく)

夏立つや 琉球月見草の 名を知れり
   (なつたつや りゅうきゅうつきみそうの なをしれり)
        ※6月並みの気温で立夏と聞いても違和感がな
         い。強い風が続いたので庭の各種修理に駆り
         出される。

5/5wed
子供の日 画数多き 字をさらい
     (こどものひ かくすうおおき じをさらい)

夏隣り 田植え機しかと 磨き上げ
     (なつどなり たうえきしかと みがきあげ)
        ※アクアラインを行く観光客の車列も今朝は少
         ない。仕事を終えた田植え機は半月近く放置
         されていたが、今日めでたく清掃された。良
         かった。購入には決心を要したであろう、最
         新型のヤツだから。

5/4tue
摘果する 八十八夜の 晴れ間故
     (てきかする はちじゅうはちやの はれまゆえ)

摘果の実 まどろむ蜥蜴を 驚かせ
     (てきかのみ まどろむとかげを おどろかせ)

5/3mon
雲間陽の 動き激しき 柿若葉
     (くもまびの うごきはげしき かきわかば)
        ※桃の小さな実を摘果した。2回行ううちの初
         回分。こんな無手入れの庭の一隅でよくも毎
         年実をつけるものだ。夥しい実を摘まんで落
         とす。一本で300個近くになったかな。

5/2sun
春色の 背景色は 意に違い
     (はるいろの はいけいしょくは いにたがい)

絵の展示 仲間に告げる 暮の春
     (えのてんじ なかまにつげる くれのはる)
        ※公民館の部屋を借りる絵画教室は、利用の扱
         いが行政の諸施設と同等となるため、急に変
         更になることがある。教室も皆でボチボチと、
         再開したのだがどうなることやら。依頼を受
         けた展示だけは受けることにした。

5/1sat
釣れずとも一人ボートの春の川
     (つれずとも ひとりぼーとの はるのかわ)
        ※ステイホームの呼びかけが厳しい連休だが、
         一人用のボートを川に浮かべる人は哲人のよ
         うに思える。うららかな陽気だが、雨の予報
         もあるからと年寄りは心配してしまう。凡人。
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4/30fri
荷風の忌 傘はなけれど ただ歩く
     (かふうのき かさはなけれど ただあるく)
        ※永井荷風の写真に三つ揃いの背広を着込み、
         中折れ帽子をかぶり、愛用の革手提げと雨傘
         を携えているのがある。街を散策するのもこ
         れで、お決まりのいでたちであったらしい。
         雑司が谷の墓を訪ねたのも昔のことになった。

4/29thu
鳥帰る 病院通いの フェリーから
   (とりかえる びょういんかよいの ふぇりーから)
        ※気功の治療が良かったといって、対岸の横須
         賀市から月1,2度海を渡ってやって来る御
         仁がいる。気功の原理と効果はイマイチ理解
         できないけれどね。まあしかし、本人の効果
         の実感が第一だ。

4/28wed
永吉の 古いアルバム 春惜しむ
     (えいきちの ふるいあるばむ はるおしむ)
        ※FMで80年代リリースのアルバムを聴いた。無
         性に懐かしい。感度が高くなってきた。

丹精を 孫に継がせて 藤の花
     (たんせいを まごにつがせて ふじのはな)

4/27tue
初燕 二番ピッチャーの すこやかさ
    (はつつばめ にばんぴっちゃーんの すこやかさ)
        ※到着したばかりだろうか? 飛び回る燕の姿
         は雄姿だなァ・・・カッコいい。今日の大谷
         にも雄姿期待。

4/26mon
百均へ 吝嗇ゆえに 春の道
     (ひゃっきんへ りんしょくゆえの はるのみち)
        ※百均は比較的賑わっている。なぜかこのとこ
         ろ買い物を頼んだり、自ら出向いたりが多い。
         吝嗇ゆえでなくとも、百均ならではの長所も
         ある。最近では、腰にぶら下げるスマホ入れ
         は立派な革製よりも余計なところを削ぎ落し
         た布製の100円が良かった。家内は畑用の
         野菜の種子に、分量が丁度良いと言う。

4/25sun
閉店も 品いくばくか 鳥曇り
     (へいてんも しないくばくか とりぐもり)
        ※近くの小間物屋兼雑貨屋の店先に4月末で閉
         店するとの張り紙があった。コロナ禍の影響
         か? まだ商品は変わらずあるのに・・・。
         個人商店がまた減る。音もなしに。

4/24sat
むらさきの 隆ッとオダマキ 道の端
     (むらさきの りゅうとおだまき みちのはた)
        ※今シーズンのオダマキで一番の見栄えは、残
         念ながら我が家の庭ではなく門前の道端に咲
         いたこれ。ほんの狭い土から育った、よく言
         われる「ド根性オダマキ」だ。
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4/23fri
春の川 おにぎり女子の ひとり坐し
     (はるのかわ おにぎりじょしの ひとりざし)

黒光り 春の日返し 鵜は憩う
     (くろびかり はるのひかえし うはいこう)

対岸は 緊急事態 春の海
     (たいがんは きんきゅうじたい はるのうみ)

4/22thu
鉢馬酔木 亡父の作りし 旅の歌
     (はちあしび ちちのつくりし たびのうた)
        ※コロナ禍は風雲急を告げているが、窓外の景
         色はなんともうららかだ。雪国の春は旅を想
         う季節である。・・・最近は旅行のことなど、
         てんで夢のまた夢。

4/21wed
陽炎や 聖職に見えず 子は教師
     (かげろうや せいしょくにみえず こはきょうし)
        ※教師は聖職という言葉自体死語に近いが、教
         育の現場で熱情を持って仕事にあたっている
         教師は数限りなくいる。環境に縛られ、自由
         度を失っていることが残念だ。

担任の 教師は走る 竹の秋
     (たんにんの きょうしははしる たけのあき)

4/20tue
便箋を 用意してさて 日永かな
     (びんせんを よういしてさて ひながかな)
        ※手間がかかることではあるが、それが自然で
         普通だった頃にもどろう・・・という提案が
         あるようだ。人とのコンタクトもそうだ。そ
         うなのだが・・・、なかなか出来ない。

4/18sun
オダマキや 犬の注射の 頃にあり
     (おだまきや いぬのちゅうしゃの ころにあり)

春深し インゲン豆の 棚立てん
     (はるふかし いんげんまめの たなたてん)
        ※今朝は快晴、風は強い。田植え作業はこの地
         区で真っ盛り。畑に出かけ、強風の被害なし
         を確認する。

4/17sat
細道を くねりて急ぐ 義士祭
     (ほそみちを くねりていそぐ ぎしまつり)
        ※春の義士祭に泉岳寺で待ち合わせをした。
         ところが用事があって高輪回りで行ったとこ
         ろ、近道をしようとして道に迷い往生した。
         この近辺は赤穂浪士にまつわる史跡が多いの
         だが、戦災を受けていない路地が迷路のよう
         だ。何度も歩いていたのだが。ようやく高輪
         高校を見つけ胸を撫でおろした。
         今ならスマホですいすいというところ。

4/16fri
今どきの 見合いやいかに 木の芽雨
     (いまどきの みあいやいかに このめあめ)
        ※孫が見合いをすると知人が明かした。珍しい
         話だから大いに勧めたのだとも。確かに今日
         は余り聞かないなあと思ったけれども、さて
         本当にそうか? 婚活、集団見合いとかは?
         流行の先端だとも思える。

4/15thu
春日ありて眠り少しの充実
     (はるひありて ねむりすこしのじゅうじつ)

軒下の 紫煙ゆっくりと 花の冷え
     (のきしたの しえんゆっくりと はなのひえ)
        ※季節外れの「蛍族」ご同輩が方々にいる。

4/14wed
春闘や ОBという 欄はなし
     (しゅんとうや おーびーという らんはなし)
        ※コロナ禍あり、国際関係の激動ありの変化の
         中で、企業の栄枯には何とも感慨深いものが
         ある。しっかりしたアンテナと想像力、イノ
         ベーションとか言われるが・・・。究極は経
         営者の洞察力か?

4/13tue
啄木忌 大根の花と 始業ベル
     (たくぼくき だいこんのはなと しぎょうべる)

夕霞み おかねが泣いてる 景色かな
     (ゆうがすみ おかねがないてる けしきかな)
        ※啄木の歌、「宗次郎におかねが泣きて口説き
         おり 大根の花白き夕暮れ」。『ちゃんと働
         いておくれよ~』の涙声が聞こえる。

4/12mon
清明や 我が意半ばの 水の色
     (せいめいや わがいなかばの みずのいろ)
        ※水彩画教室は先月下旬からから再開、時間を
         短縮し換気に注意して集まっている。家籠り
         でさぞかし腕も上がったのではと、先生が冗
         談を言う。しかし現実は遥かにそれに遠い。

4/11sun
妻の手と 機械がありて 早植えし
     (つまのてと きかいがありて はやうえし)
        ※川向こうの一軒の農家が田植えを開始した。
         今の言葉でいうと「はやッ」。4月15日前
         の田植えを目撃したのは初めて。

4/10sat
鰊曇り室蘭勤務の頃の空
     (にしんぐもり むろらんきんむのころのそら)

雨音の やさしくなりて 山笑う
     (あまおとの やさしくなりて やまわらう)
        ※蔓延防止対策の対象地域が東京都をはじめと
         して接近してきた。季節の歩みはいつもと変
         わりないが・・・。

4/9fri
田を広げ 畔塗り急かる 三代目
     (たをひろげ あぜぬりせかる さんだいめ)
        ※知り合いの農家で昨秋から田の統合、拡大工
         事をしている。一枚の田んぼが広いほど、機
         械を駆使する現在の農法では断然効率的だか
         ら。しかしこれが生半可なことではない。同
         じ水準の2枚の田だったらまだ優しいが、水
         準の違う田を統合するとなると、大変な土木
         工事になる。土壌を入れ替えすることも伴う。
         遅れ気味らしく田植え前の仕事に勤しんでい
         る。早速田植えから効率が上がる。

4/8thu
朝の音 綴りて長し 虚子忌かな
     (あさのおと つづりてながし きょしきかな)
        ※毎日ではないけれど未明から7時前後まで長 
         い「オトコ入り」が続く。
         朝の物音は激減していると落語家は言う。ま
         して地方都市の住宅団地とくれば皆無に近い。
         明るくなってJRの踏切音、出勤や配達のクル
         マの音がちらほら。清さん、いつまで観察を
         続ければいいの? 
         小鳥の囀りだけは豊富で種類も多い。

4/7wed
放哉忌 すきとおる声の 門に入る
     (ほうさいき すきとおるこえの もんにいる)
        ※今朝の晴れ間は久しぶりに黄砂の影響も少な
         く、空は透き通っている。今日は尾崎放哉の
         命日。小豆島での暮らしは貧しく想像すべく
         もないが、こんなこともあったろうと思う。

4/6tue
庭中が うすむらさきの 地の躑躅
     (にわじゅうが うすむらさきの じのつつじ)
        ※隣の君津市の花はミツバツツジ。房総半島に
         多いが、太平洋岸の野山に広く自生するとか。
         薄紫の花は咲き揃うと実に華やか。庭はにわ
         かに変貌する。見た家のバアさまのドヤ顔も
         理解できる。

4/5mon
椿餅 踏切そばに 老舗あり
     (つばきもち ふみきりそばに しにせあり)

草餅や 被りの婆が なしという
     (くさもちや かぶりのばばが なしという)
        ※今日は一転肌寒い、平年並みの気温だ。雨の
         日は外への誘惑もないし、使役に駆り出され
         ることもない。最近すっかりご無沙汰のスケ
         ッチのトレーニングをすることにする。

4/4sun
癌癒えて 目方戻りし 翁草
     (がんいえて めかたもどりし おきなぐさ)
        ※行きつけの床屋のおやじがさりげなく言う。
         ガンが肺に転移して先々週切ってきたと。内
         視鏡手術の生々しい傷跡を見せる。一年前の
         大手術で10キロも減った体重がやっと戻っ
         た矢先のことだ。
         病院を信頼してか、本人の胆力か、悲壮感は
         ない。もう畑をやっている。帰りにワケギを
         貰ってきた。

無骨なる手が春花を山と盛る
     (ぶこつなるてが はるばなをやまともる)

4/3sat
里の家 みな勤め人と なりて春
     (さとのいえ みなつとめにんと なりてはる)
        ※下の娘が就職し、クルマがまた一台増えた。
         家と周りの畑、持山などは専業農家の時のま
         まなのに。

4/2fri
ガラケーや 無傷十年 春の空
     (がらけーや むきずじゅうねん はるのそら)

新しき スマホの青や 春蚊出ず
     (あたらしき すまほのあおや はるかいず)

山笑う スマホ操作に 汗少し
     (やまわらう すまほそうさに あせすこし)
        ※10年以上続けてきた3Gガラケーがもう一年
         で使えなくなる。しぶしぶスマホに替えた。
         通話とカメラ、Cメールだけの世界から大き
         く可能性は広がるが、期待はカメラ機能の格
         段の充実だけ。画面の字も読めないし、外出
         もないから外でのネット活用もない。期待は
         していない。月千円以下というから・・・。

4/1thu
四月馬鹿 不意に筍ご飯かな
     (しがつばか ふいにたけのこごはんかな)

四月馬鹿 知らずに高い アプリかな
     (しがつばか しらずにたかい あぷりかな)
        ※エープリルフールとはいえ、思いつくウソ話
         はない。それにしても昨夕の筍ご飯は不意を
         突かれた。春一番の到来もの。


**********************************************************


3/30tue
白木蓮清し人なしと言えど
     (しろもくれんすがし ひとなしといえど)

植え替えて こちら向かしむ 黄水仙
     (うえかえて こちらむかしむ きすいせん)

3/29mon
涅槃図や 僧絵解きする ペンライト
     (ねはんずや そうえときする ぺんらいと)
        ※日頃は秘仏とされている御本尊を拝見し、こ
         れまた秘蔵の涅槃図の説明を受けた。涅槃図
         は三仏忌のうち涅槃会の参拝客に公開すると
         か。本堂で静かに聞いていると真っ黒に近い
         図ながら清新な気分になるから不思議。

3/28sun
陽だまりの ベンチを譲り 西行忌
     (ひだまりの べんちをゆずり さいぎょうき)

あれこれと 捨てぬ理由を 西行忌
     (あれこれと すてぬりゆうを さいぎょうき)
        ※旧暦の2月16日は西行忌。釈迦の命日2/15
         に桜の下で死にたいと願い、没したと言われ
         る。現世のしがらみを捨て、出家し、有り余
         る才能を歌に寄せ、その後も信心の一方で煩
         悩との闘いに一生を送った、とされる。

3/27sat
春時雨 スクランブルの 街ひそむ
     (はるしぐれ すくらんぶるの まちひそむ)
        ※雨模様で渋谷駅前交差点の人出はやや穏やか。
         ここ暫くは大阪、仙台、山形とかとか首都圏
         以外の患者増加でワキ役に。でも必ず復活す
         る、ニュース主役の座。

長閑さや 江ノ電の音 猫と住む
     (のどかさや えのでんのおと ねことすむ)
        ※養老孟子氏の鎌倉自宅での暮らしを綴ったBS
         の番組。おしゃべり孟子に老猫マルの取り合
         わせが実に落ち着く。

囀りや 毛を集めおり 犬の留守
     (さえずりや けをあつめおり いぬのるす)

3/26fri
水温む シューベルトの ソナタかな
     (みずぬるむ しゅーべるとの そなたかな)
        ※春のせせらぎにぴったりなのがシューベルトの
         即興曲(ピアノ)、D899とD935。ピアノソナ
         タは別にちゃんとあるから誤解を招くが、余り
         に字余りになるので・・・。

針に糸 一度で通す 葱坊主
     (はりにいと いちどでとおす ねぎぼうず)

残りし歯 少し異常の 遅日かな
     (のこりしは すこしいじょうの ちじつかな)

3/24wed
坂道や こぎてもとまる つくしかな
     (さかみちや こぎてもとまる つくしかな)

デュトワふる 春の祭典 血圧高め
   (でゅとわふる はるのさいてん けつあつたかめ)
        ※春に血圧高めは要注意。自転車も、坂道で土
         筆が目にとまる程度にしようと思う。

3/23tue
皺の手で 開花の証し 写メールし
     (しわのてで かいかのあかし しゃめーるし)

それぞれに 標準木あり サクラかな
    (それぞれに ひょうじゅんぼくあり さくらかな)

投票所 出て春雨に 遭いにけり
     (とうひょうじょ でてはるさめに あいにけり)

レーダーを 信じた末の 春の雨
     (れーだーを しんじたすえの はるのあめ)
        ※房総半島内房地方でサクラの開花は2~3分
         ほど。毎朝通る堤の並木はそれより少し遅い。

3/22mon
桃の花 夕彩るも 客はなし
     (もものはな ゆういろどるも きゃくはなし)

うちは桃そとは陽光桜かな
     (うちはもも そとはようこうざくらかな)
        ※桃の花と陽光桜は満開時が今回の雨にあい、
         散り始めている。客の少なきを嘆いたことは
         なかったが、今回だけは惜しかったなァ、見
         せたかったなァと口惜しがっている。
         それにしても、今までより色の酷似に驚いて
         いるのは年齢のせいなのかな?

3/21sun
剪定を いつくしみつつ し残せり
     (せんていを いつくしみつつ しのこせり)

花ニラや 我が庭の素直なる日々
     (はなにらや わがにわのすなおなるひび)

花冷えや 病む首都圏に 解除あり
     (はなびえや やむしゅとけんに かいじょあり)

3/20sat
彼岸会や 300年の 門なりき
     (ひがんえや さんびゃくねんの もんなりき)

秘仏見て 石段中ほど 風光る
     (ひぶつみて いしだんなかほど かぜひかる)

あるはずの 色揃いてや クロッカス
     (あるはずの いろそろいてや くろっかす)

3/19fri
火を浴びて 沓音を聞く 二月堂
     (ひをあびて くつおとをきく にがつどう)

春の闇 五体投地の 板の音
     (はるのやみ ごたいとうちの いたのおと)

春の月 十四日間の 修行終え
   (はるのつき じゅうよっかかんの しゅぎょうおえ)
        ※二月堂の修二会、今年は参拝客なしで行われ、
         その代わりにBSテレビが中継した。
         今まで目に触れなかった堂内の儀式、秘儀と
         言われるものも含め、4時間余りだ。コロナ
         禍も悪いことばかりではない。
         番組を見るだけで疲れたが、おかげで心身の
         煤払いが出来た(ような気がした)。
       
3/18thu
蕗の薹 遅きを悔いて 二つ三つ
     (ふきのとう おそきをくいて ふたつみつ)

本来は 答辞読む子に 春日かな
     (ほんらいは とうじよむこに はるひかな)
        ※なんにもない暮らしだが、それでも春はなに
         かとあるものだ。卒業式は保護者なし、式次
         第も簡素化して行われるとか。本人は喜んで
         いるというが、親は・・・。
         蕗の薹の秘密の場所は今年も無事だったが、
         とうにタイミングを逸していた。

3/17wed
うながされ 免許貰いに 目借時
     (うながされ めんきょもらいに めかりどき)

海の上に 高炉かすみて 入り彼岸
     (うみのえに こうろかすみて いりひがん)
        ※溶鉱炉が三つも四つもあった光景は昔。地元
         の製鉄所も縮小の運命にあり。高炉の薄い煙
         ははかなげに。

3/16tue
桃咲くや 高齢免許は 金の色
     (ももさくや こうれいめんきょは きんのいろ)
        ※午後に警察から電話あり。今日中に取りにこ
         なければ交付しませんと。春の夕日が沈む前
         に無事入手。認知症には免許更新しないはず
         だが・・・。良かった。ちゃんとゴールド。

3/15mon
マスクして 杉の道掃く 春の僧
     (ますくして すぎのみちはく はるのそう)
        ※地元の図書館に電子図書の登録をした。ファ
         イルでの貸借だから、この時代に最適。当地
         にもやってきたか。
         今は青空文庫のコンテンツが多いというから
         特段のメリットはない。充実はこれから。

3/14sun
修二会僧 あの激しさに 魅かれおり
     (しゅにえそう あのはげしさに ひかれおり)
        ※東大寺二月堂の修二会中継を見た。現場の興
         奮を思いやる。1261年続くという。

3/13sat
春宵や 気功の不思議 妻語る
     (しゅんしょうや きこうのふしぎ つまかたる)

飛行機と まがいし春の 長いびき
     (ひこうきと まがいしはるの ながいびき)
        ※春なれば妻を詠んだ句を。

3/12fri
春暁や さて寝なばやと 布団引く
     (しゅんぎょうや さてねなばやと ふとんひく)

春暁や 待ち兼ねノソッと 床を出る
     (しゅんぎょうや まちかねのそっと とこをでる)
        ※日の出は早くなったものの、ずっと前から待
         っている日もある。寝ようか、いっそ起きよ
         うか? きままで非生産的な一日の始まり。

3/11thu
雅には 遠くなりけり 桃の花
     (みやびには とおくなりけり もものはな)
        ※桃の最初の一輪が今日咲いた。濃いピンクの
         蕾が目白押しである。やわらかい日射しと花
         の動きは例年と変わらずでなんとも貴重。近
         所の陽光桜並木も昨日開花した。

3/10wed
いとおしや 春の朝の かゆみどめ
     (いとおしや はるのあしたの かゆみどめ)
        ※高齢者に多い肌の乾燥症。かゆみが時に襲っ
         てくる。じっと我慢、かかない。

3/9tue
春暁や まだかと闇に 灯をさぐり
     (しゅんぎょうや まだかとやみに ひをさぐり)

春の朝 踏切音で 時を知り
     (はるのあさ ふみきりおんで ときをしり)
        ※最近御多聞に漏れず、朝早く目を覚まして、
         その後の長い時間を寝床で過ごしている。真
         っ暗い中で、半覚醒のタイトルレスの思考、
         かすかな光をカーテン越しに待っている。さ
         て寝ようか、本を読むか・・・頭がすっきり
         してくるとメニューが広がる。寝なくてはと
         あせることはない。

3/8mon
早咲きの サクラ確かめん 遠回り
     (はやざきの さくらたしかめん とおまわり) 

沈丁花匂いありと妻闇の中
     (ちんちょうげにおいありと つまやみのなか)

春の朝見上げても暦は見えず
     (はるのあさ みあげてもこよみはみえず)

3/7sun
啓蟄や 生徒試験の 穴を出る
     (けいちつや せいとしけんの あなをでる)

啓蟄や 老うちわ師の 女竹割く
     (けいちつや ろううちわしの めたけさく)
        ※房州うちわは素朴な名品が多い。以前は多く
         の職人が分業で作っていたらしいが、今や出
         荷量は減り、名人と言われる人が材料の竹の
         栽培・伐採・乾燥から竹の加工、絵柄の作成、
         貼り、仕上げまでを一人でやっている。皺く
         ちゃの手が見事な動きを見せる。

3/5fri
ミモザ咲く 山なす空の 植木鉢
     (みもざさく やまなすからの うえきばち)

微笑みて 黄の春服が 退院す
     (ほほえみて きのはるふくが たいいんす)
        ※図らずもイエロー句2つ。最近は古い顔とメ
         ールを交換したり、夢マクラに出て来たり、
         良いことが続いた。コロナ禍で強がりを言っ
         ていてもやっぱり孤独オンリーでは長くはも
         たないということか?

3/3wed
春の闇 教師のクルマは プラグイン
     (はるのゆう きょうしのくるまは ぷらぐいん)
        ※これはトヨタの最新鋭車だなと見送る。

3/2tue
ライン見る 若き教師の 春放課
     (らいんみる わかききょうしの はるほうか)

春の夕 校舎は声を 失えり
     (はるのゆう こうしゃはこえを うしなえり)
        ※近所に中学校がある。顧問教師の負荷が問題
         になった折に部活が抑制されたところに、コ
         ロナ禍が重なり、放課後の校舎は様変わりだ。

3/1mon
如月の 山なめつくす 赤き舌
     (きさらぎの やまなめつくす あかきした)

如月や 店守る顔の 白々と
     (きさらぎや みせまもるひとの しらじらと)
        ※営業時間短縮の補償を叫ぶ人が多い中で、切
         盛りに万策尽きた人も多い。働けと言われれ
         ば寝ないで頑張るのだがと、力を駆使する場
         を失った人の無言の表情は悲痛だ。


**********************************************************


2/28sun
鵜はもぐる 二月みそかの 朝まだき
     (うはもぐる にがつみそかの あさまだき)

うたたねや 二月みそかの ひなたかな
     (うたたねや にがつみそかの ひなたかな)

猫二匹 二月みそかの 夕まぐれ
     (ねこにひき にがつみそかの ゆうまぐれ)
        ※二月みそかの三句。朝は冷え込んだが、日中
         の日差しは値千金。コロナ禍さえなければ、
         穏やかな天気に脳はとろとろ。

2/27sat
春うらら 断捨離とかを 考える
     (はるうらら だんしゃりとかを かんがえる)
        ※いつも春になり新年度を前に、本やレコード
         など大事にしてきたものをそろそろ処分しよ
         うと真剣に思う。
         しかし春の計画を実行した試しがない。今回
         も? しかし後期高齢者だからなァ・・・。

2/26fri
春耕の 鍬のガタとり なお深く
     (しゅんこうの くわのがたとり なおふかく)

野仏は 深く耕せと 言い給う
     (のぼとけは ふかくたがやせと いいたもう)
        ※捻挫も大方直ったので、久しぶりの畑仕事。
         寒起こしのつもりで深く土壌を掘り返すが、
         季節はもう春、春耕はやり方が違うのではな
         いかな? 歩行欠場の間は犬の散歩を代わっ
         てもらったので、我が家の野仏に従うことに
         する。日差しが暖かい。

2/24wed
畔塗りも 機械がすれば 泥厚く
     (あぜぬりも きかいがすれば どろあつく)
        ※三寒四温の季節だが、当地では早くも畔作り
         が始まっている。歩くのもゆっくりというシ
         ニア農夫の、機械を使っての仕事はなんと力
         強いことか。分厚い畔が見る見るのうちに。

2/23tue
ウグイスパン 味半世紀を ひとっ飛び
     (うぐいすぱん あじはんせいきを ひとっとび)
        ※菓子パンのジャムパンやクリームパンは忘れ
         た頃になつかしく食べたものだが、ウグイス
         パンとなると高校生のころ以来か? 
         ぞろぞろと記憶が舌からよみがえる。

2/22mon
特売の 肉の情報 春電話
     (とくばいの にくのじょほう はるでんわ)

言い出せば 限りなく恋し 目刺しかな
     (いいだせば かぎりなくこいし めざしかな)
        ※それは豚肉の特売どうする?とかの電話に始
         まった。肉より久しぶりに目刺しが食いたい
         と私が差し出口。
         途端に焼いた目刺しの香りが・・・。


**********************************************************


2/21sun
春陰や 股肱の足を 痛めけり
     (しゅんいんや ここうのあしを いためけり)

2/18thu
句を詠むは 女性が多し 春の風
     (くをよむは じょせいがおおし はるのかぜ)

2/17wed
ガンガンと 春の嵐よ MR 
     (がんがんと はるのあらしよ えむあーる)

2/16tue
墓地を売る 旗たはめきて 春の山
     (ぼちをうる はたはためきて はるのやま)

2/14sun
蕗味噌や 伯父の手になる 味遥か
     (ふきみそや おじのてになる あじはるか)

2/13sat
春服や 病室の壁に 飾りおり
     (はるふくや びょうしつのかべに かざりおり)

2/11thu
春の道 白線を引く チームあり
     (はるのみち はくせんをひく ちーむあり)


2/8mon
春近し テレ読書会の 案内来る
     (はるちかし てれどくしょかいの あないくる)

2/7sun
ぼろ市で 買いし錦の 笛鳴らず
     (ぼろいちで かいしにしきの ふえならず)

2/6sat
余病消え 寒明けの街 明るかり
     (よびょうきえ かんあけのまち あかるかり)


2/4thu
着ぶくれて つい空耳の 音を聞き
     (きぶくれて ついそらみみの おとをきき)
 

2/2tue
下の子が 急に泣きやむ 鬼火なり
     (したのこが きゅうになきやむ おにびなり)


豪雪の街や 角巻の影を見る
     (ごうせつのまちや かくまきのかげをみる)

耳かくし 剣玉の孔を 広げいし
     (みみかくし けんだまのあなを ひろげいし)

冬灯り タバコ屋の子の まぶしかり
     (ふゆあかり たばこやのこの まぶしかり)


1/29fri
寒紅や CTの日に 少し濃し
     (かんべにや シーティーのひに すこしこし)

1/24sun
降りる人ありて線路の先は雪
     (おりるひとありて せんろのさきはゆき)


1/22fri
大寒や 外食暮らしで 糖不如意
     (だいかんや がいしょくぐらしで とうふにょい)
1/21thu
冬の日や 皆なにがしの 失意あり
     (ふゆのひや みななにがしの しついあり)
        ※おとなしい暮らし、人さまざまな思い。


1/19tue
マスクして 人には会わず 寒念仏
     (ますくして ひとにはあわず かんねんぶつ)


1/17sun
小三治の 初天神の 音しぼり
     (こさんじの はつてんじんの おとしぼり)

1/15fri
寒月や 自転車ではもる 下校かな
     (かんげつや じてんしゃではもる げこうかな)

1/13wed
寒暁や キンカン三個 しのばせて
     (かんぎょうや きんかんさんこ しのばせて)

1/12tue
サクラソウ マスクをせよと 子が見上げ
     (さくらそう ますくをせよと こがみあげ)

1/11mon
七変化 七之助見る 冬籠り
     (しちへんげ しちのすけみる ふゆごもり)

1/10sun
白き息 妻退院と 告げる人
     (しろきいき つまたいいんと つげるひと)

1/9sat
冬枯れの 庭に鋏の 音高く
     (ふゆがれの にわにはさみの おとたかく)

1/8fri
人日や 列島に風雨 家に粥
     (じんじつや れっとうにふうう いえにかゆ)

1/7thu
紙漉師 手には何をか つけたもう
     (かみすきし てにはなにをか つけたもう)

1/6wed
寒の暁 早番の娘 湯を沸かす
     (かんのぎょう はやばんのむすめ ゆをわかす)

1/5tue
竹馬や 出来ぬ理由を 七十年
     (たけうまや できぬりゆうを しちじゅうねん)

1/1fri
バーバーの アダージョじっと 初日かな
     (ばーばーの あだーじょじっと はつひかな)

初歩き キンカン三個 しのばせて
     (はつあるき きんかんさんこ しのばせて)

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