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ダクタク句集2019年(令和1年)下期 自選集 [自選集2019]

12/31tue
年越しや 首の後ろの かゆみかな
     (としこしや くびのうしろの かゆみかな)
        ※このところ首の後ろに痒みがある。前にもあ
         った。ジンマシンに似て汗とかウィルスとか
         食い物とか、果てはストレスが原因だとか。
         まあ年寄りの場合一番は単純な加齢のせいだ
         という。面白くない。
         年末だし、いろいろ原因があるらしい方が賑
         やかでいい。
         おやッ、このボツっとあるのは?
         アシカケ2年のカユミかな?

12/30mon
田はまだら 二代目今日も 暮れの酒
     (たはまだら にだいめきょうも くれのさけ)
        ※稲刈りの後をそのまま放置しないで、年内に
         軽く耕しておくのが先代のやり方だった。跡
         取りもやってはいるのだが、やりかけが見え
         見え・・・。
         「春の田起こしは真面目にやるさ」と言った
         かどうか。

数え日や かくも少なき ジョウビタキ
     (かぞえびや かくもすくなき じょうびたき)

12/29sun
妻粋な 姐さん被りよ 年の暮れ
     (つまいきな あねさんかぶりよ としのくれ)

皺の手も ケーキ焼く日に 若返り
     (しわのても けーきやくひに わかがえり)

黒豆と ケーキに望みの カレーかな
     (くろまめと けーきにのぞみの かれーかな)

床磨き 齢な忘れそ 冬薔薇
     (ゆかみがき としなわすれそ ふゆそうび)
        ※前日私の誕生日における家内の風景画です。

12/28sat
エスエヌ比 耳よしばしは 高くあれ
     (えすえぬひ みみよしばしは たかくあれ)
        ※誕生日を迎えた。七十半ばの年齢で格別の抱
         負やら感慨やらはないが、SN比(sound-noise
         ratio)、若いころ一時オーディオに凝ってい
         た時、様々なコンポーネントを選ぶ際にこだ
         わったデータである。音源の音とその他拾っ
         た雑音などとの比率で高い方が性能が良い。
         この年齢でのSN比は、聞きたくない音を捨て
         去って、いかにきれいで好きな音だけを耳に
         入れるかだ。地獄耳と言われたい。

12/27fri
佃より 師走の道を 銀座まで
     (つくだより しわすのみちを ぎんざまで)
        ※都心散歩続き
         越中島を出発してから小一時間たったが、月
         島に適当な飲み屋が見当たらない。賑やかな
         通りは徹底して「もんじゃ焼き屋」の洪水、
         アーケードの両側ともそうだ。しかし夕方5
         時前だが、客の姿は全くない。インバウンド
         は日中らしい。
         諦めて勝鬨橋、築地方面に向かう。この季節、
         にぎやかな街のそぞろ歩きも悪くない。
         ついでに銀座四丁目を通り、有楽町駅までた
         どり着いた。勝手知ったる辺り。今日は三人
         の脚の調子が良い。1万5千歩くらいかな?

健脚は スマホに冬の 記録あり
     (けんきゃくは すまほにふゆの きろくあり)

三人で 分けなとミャンマーの 女の紅
     (さんにんで わけなとみゃんまーの ひとのべに)
        ※とある飲み屋で打ち上げ。ここの女性が注文
         の料理を減らすようにいう。さすがガード下
         近くの店だ。

壮士いま 討ち入りの日に 喜寿となる
     (そうしいま うちいりのひに きじゅとなる)
        ※メンバーの一人が誕生日に孫子を集め、十数
         人の祝いの会を催すという。孫自慢、病気自
         慢で令和元年の会も暮れた。

12/26thu
水門に さすが佃よ 子らの声
     (すいもんに さすがつくだよ こらのこえ)

月島は 外人頼みの 街と化し
     (つきしまは がいじんだのみの まちとかし)

路地裏に 鉢のみ多し 師走かな
     (ろじうらに はちのみおおし しわすかな)
        ※都心散歩続き
         佃は関西から来た漁師が開いた街。古い街並
         みと人情がウリだったのだが、ご多分にもれ
         ず交通の利便性に乗っかってビジネスとマン
         ションとインバウンドが一緒に押し寄せた。
         これは月島も同じ。

12/25wed
気圧されて 橋の名は出ず 冬の呆け
     (けおされて はしのなはでず ふゆのぼけ)
        ※都心散歩続き
         相生橋は、隅田川の永代橋のすぐ下流から分
         かれる晴海運河に架かる。橋のたもとから石
         川島公園を歩く。まわりは水また水の迫力だ。
         造船所跡には遊歩道があり、明治からのウォ
         ーターフロントに今や高層マンションが林立
         する。

短日や 川端を行く 乳母車
     (たんじつや かわばたをいく うばぐるま)
        ※傾いた西日が水面に映える。風が冷たくなっ
         てきた。

12/24tue
パソコンは 言うこと聞かず 上皇の日
     (ぱそこんは いうこときかず じょうこうのひ)

氷雨降る 動かぬマウスの 二三匹
     (ひさめふる うごかぬまうすの にさんびき)

ユーチューブ 30インチとなる 聖夜かな
     (ゆーちゅーぶ 30いんちとなる せいやかな)
        ※今度のパソコンは中古の元高性能機。ウィン
         ドウズ10とディスクSSDは最新版、モニタ
         ーは31.5インチの超大型。合計で6万円弱。
         バラバラ買いだったので散々調整に手間取っ
         たが、どうにか立ち上がった。きれいな大型
         画面でYouTubeを楽しんでいる。

12/23mon
鉄船と リベット撫でし 案内人
     (てつぶねと りべっとなでし あないにん)
        ※鋼船ではなくて鉄船です、懇切な案内人は商
         船大航海科昭和30年台卒業のOBで、建造
         当時は世界でも最新鋭でしたよと胸を張る。
         船内をくまなく案内してくれる。

銀杏見ゆ 訓練受けし 縄バシゴ
     (いちょうみゆ くれんうけし なわばしご)
        ※当時はこの船で学生が訓練を受けたらしい。
         縄バシゴ(シュラウド?)も結構古びていて
         手は縦索を掴めと言われていたと話す。

12/22sun
冬の日に 若い息吹の 明治丸
     (ふゆのひに わかいいぶきの めいじまる)
        ※先日いつもの仲間と都心散歩に出かけた。前
         日までの不順な天気が去って、暖かな晴れ日
         となった。午後の青空を背景にイチョウの葉
         がパラパラと落ちてくる。
         ここは東京海洋大学越中島キャンパス(旧東
         京商船大学)、京葉線で東京から二駅目、越
         中島駅で降りてすぐだ。

マスト見る 猛き眼よ 太刀を佩き
     (ますとみる たけきまなこよ たちをはき)
        ※ここで保存されている明治丸は明治7年英国
         グラスゴーで建造された、我が国初の灯台巡
         視船である。しかし何といっても帆付き鉄製
         のこの船を有名にしたのは、明治9年明治天
         皇の東北北海道巡幸の際にお召し艦となった
         ことである。当時明治天皇は24歳。

明治丸全景.jpg

12/21sat
木枯らしや 裂帛の気合いに たじろげり
     (こがらしや れっぱくのきあいに たじろげり)
        ※オリンピック出場をかけた空手の選手権。型
         の試合とか、採点とか知識がなかった上にや
         や懐疑的であったのだが、テレビでとはいえ
         目にしてして驚いた。その気合いの強さと鋭
         さ、何度繰り返しても寸分ぶれない正確さ。
         なおかつ長年洗練された型の美しさは息を飲
         むばかり。

12/20fri
部品換え もう二十年と 蜜柑むく
     (ぶひんかえ もうにじゅうねんと みかんむく)
        ※トイレの修理、20数年たって新品購入を進
         められると思ったら、タンクの中の主要部品
         を取り換えることで、修理マン曰く「これで
         新品同様ですよ」と。しかも格安。
         いい人に出会った。人間もかくありたいと切
         に思ったが、金属製の心臓が樹脂製の心臓に
         ・・・。格安では無理みたい。

12/19thu
長考や 加湿器の音 聞こえたり
     (ちょうこうや かしつきのおと きこえたり)
        ※将棋の対戦の終盤、息を飲む局面。張り詰め
         た静寂が支配する。

銀杏は 社に山と ありし頃
     (ぎんなんは やしろにやまと ありしころ)
        ※今年はギンナン拾いの時期を逸した。こうい
         う時のために或る神社がとってある。社務所
         の人なのか? 近くに住まう人が毎朝参道沿
         いに落ちたギンナンを、落ち葉と一緒に掃き
         寄せてくれているのだ。結構いい実が遅くま
         であったなあ。あそこなら安心、と出かけて
         みたら今年は実は殆どなかった。10年ぶり
         だからなァと納得しながら帰ってきた。

12/17tue
待ちかねし トイレ直す人 年の暮
     (まちかねし といれなおすひと としのくれ)

大掃除 テープの山の うず高く
     (おおそうじ てーぷのやまの うずたかく)
        ※そろそろ大掃除の時期だが、パソコン変更に
         忙殺されて殆ど何もしていない。家人には甚
         だ評判が悪い。
         長年捨てようか迷っていた録画済みビデオテ
         ープ、今年は思い切って全部捨てることにし
         た。思い入れのあるものが多いが、余りにも
         画質が違いすぎるのと、プレイヤーがもう限
         界を迎えたためだ。この3年間一度も見てい
         なかった。

12/16mon
病める友の パソコンを問う 冬支度
     (やめるともの ぱそこんをとう ふゆじたく)
        ※昨日から新しいパソコンの立ち上げとデータ
         移動に取り組んでいる。PCに関する自分の実
         力を過信して、中古の本体とモニターを別々
         に求めたものだから、かなり苦戦している。
         でも大型のモニターは快適そのもの。
         昨夜友人にその後どうしたか電話した。答え
         は「今回は中古はやめて、ノートを新品で注
         文した」とのこと。それが一番。

12/15sun
アンテナの 傾斜すれども 暮れの空
     (あんてなの けいしゃすれども くれのそら)

飛行機の 音遠くなり 鰯雲
     (ひこうきの おととおくなり いわしぐも)
        ※木更津上空から羽田空港に進入する飛行機、
         特に夕方はひっきりなしだ。晴れた日の、空
         が高い日の爆音は低い。雲が低く垂れ込んで
         いる日のそれはびっくりするほどうるさく聞
         こえる。

12/14sat
曲屋の 土間のにおいや 冬うらら
     (まがりやの どまのにおいや ふゆうらら)

曲屋に 光多き日 鴨来る
     (まがりやに ひかりおおきひ かもきたる)
        ※近郊の元豪農の家を見学した。形はいわゆる
         曲屋作りなのだけれども、格段に立派な構え
         だ。大きな三和土の上には明り取りが作られ
         ていて、大正後期の「便利さとおしゃれ」の
         取り込みを感じさせた。

12/13fri
パソコンを 買い替えかねて 炬燵かな
     (ぱそこんを かいかえかねて こたつかな)
        ※明年1月中旬、Win7のサポートが終了する。
         現在使用中のパソコンにはなんの不満もなく、
         順調に使えているから、もう一つ積極的にな
         れない。シブシブである

12/11wed
師走来て 材料来ても 庭師来ず
     (しわすきて ざいりょうきても にわしこず)

さざんかや 垣根を結ぶ 日にひとつ
     (さざんかや かきねをむすぶ ひにひとつ)
        ※9月の台風15号による被害以来、多くの職
         種の人手不足が今もって続いている。屋根工
         事、瓦葺職人はもちろん、大工、水道屋、ガ
         ラス屋、ペンキ屋、庭師、輸送(トラック)、
         電気工事など屋内外修理屋等々である。ちょ
         っと関連がないと思える職種でもどこかでつ
         ながっていて、「仕事は手一杯!!」と嬉し
         そうに言う。我が家でも庭師を待ちこがれて
         いるのだが。

12/9mon
被災せし 亀山湖にも 錦あり
     (ひさいせし かめやまこにも にしきあり)
        ※上総亀山に亀山ダムがある。先日の大雨で緊
         急放水寸前まで追い込まれたところ。11月
         下旬から12月上旬、関東では最も遅い紅葉
         見物の名所。耳にしていたが、今シーズンの
         紅葉はだめだ。多くが色褪せたままで終わっ
         ている。所々で見事な錦ぶりもあったが。
         多くの人間がトラウマの症状になっているの
         に植物が無縁でいられるはずがない。

12/8sun
大根のにおい 小便のにおい 冬の朝
   (だいこんのにおい しょうべんのにおい ふゆのあさ)
        ※大根のにおいがすると思ったら、自分の小水
         のにおいだった。子供の頃から大根を千切り
         にした味噌汁が好きだった。油揚げが刻んで
         入っていれば、それで大満足。ご馳走だ。登
         校前の時間がない時など、ご飯を味噌汁のお
         椀に全部入れてかき込んで叱られた。
         今は塩分摂取量を考え、味噌汁はたまに・・
         ・。貧しい食生活。

12/7sat
ヒヨドリの 順を作りて ミカン狩り
     (ひよどりの じゅんをつくりて みかんがり)

冬木立 白籏次郎を 語りけり
     (ふゆこだち しらはたしろうを かたりけり)
         ※山岳写真が好きな昔の同僚と、久しぶりに
          電話で話をした。白籏史朗氏の写真集の話。
          机を並べていた頃がなつかしい。
 
12/6fri
枇杷の花 生徒の薄着を 見ていたり
     (びわのはな せいとのうすぎを みていたり)
        ※この朝は一段と冷えたが、元気の良い朝練の
         中学生はなんとトレーニングウェアを脱いで
         抱え、半袖で学校に向かっていた。いっしょ
         の友達と我慢比べでもしていたか?
 
12/4wed
初雪や 散歩の靴の 重装備
     (はつゆきや さんぽのくつの じゅうそうび)
        ※初雪の知らせに電話したら、故郷の兄は散歩
         に出かけるところだった。買ったばかりの、
         滑り防止用の靴を履いているとか。寒気団が
         強いから融けない雪が降り続く。
 
12/3tue
シニア買う 中学前の たい焼き屋
     (しにあかう ちゅうがくまえの たいやきや)
        ※生徒の通る時間を避け、夕方に買いに行って
         いた亡き義兄。極端に食が細った後も少しで
         いいからとせがんでいた。
 
12/2mon
石蕗咲くも 堤の風に 凍えおり
     (つわさくも つつみのかぜに こごえおり)
        ※長年ブログに駄句を載せてきたが、ブログ運
         営会社のミスで、全部が消去されてしまった。
         当人にとっては大事件。復元を求めているが
         どうなることやら。朝の南の風が昼前に氷雨
         に変わり、気温は急落している。困った。
 
12/1sun
暮早し 越す人ありて 暇乞い
     (くれはやし こすひとありて いとまごい)
        ※同年輩で付き合っていた人が子供の住む地に
         引っ越していく。「これも終活です」と。ふ
         と我が身を考えた。狐火が見えそうな夜。



       ********************




11/30sat
山茶花や 清しき顔で 旅立ちぬ
     (さざんかや すがしきかおで たびだちぬ)
        ※本来旗幟鮮明の人、中曽根康弘死去。
         総理が見えてくると手練手管を、風見鶏とも。
         様々な成果をあげる。卒業後、政界引退後は
         信念の人に回帰できた。良い顔に。やっぱり
         逸材。

11/29fri
久々に 丹沢望む 小春かな
     (ひさびさに たんざわのぞむ こはるかな)
        ※小春日和は一向に・・・と書いたら、長い雨
         模様が明け、一転今朝は快晴。富士山は宝永
         火口の下縁辺りまで真っ白、丹沢の山塊も中
         腹まで積雪が見える。当地今朝6時の気温は
         1度台。霜に弱いカラーの葉はまだ大丈夫。

11/28thu
クレマチス サフランも揃い 帰り花
     (くれまちす さふらんもそろい かえりばな)
        ※小春日和の日は一向に来ないけれど、庭だけで
         も帰り花が数種類咲いている。その気で眺める
         せいかもしれないけれど、今年は種類も多いし、
         どこかおかしい。桜、梅、梨、躑躅などであれ
         ば例年のことなのだが・・・。
         9月の台風15号の強風のせいだ。人間でもト
         ラウマの症状に多くの人がなっているのに、植
         物にあのストレスが無害だったとは思われない。
         今年は「狂い咲き」の呼称の方が合う。

11/27wed
火消し壷 どっこいしょと言い 仕事終え
     (ひけしつぼ どっこいしょといい しごとおえ)
        ※昔の母の光景の続き。火消し壷の古いものは石
         をくり抜いて作られていた。蓋といえども分厚
         く重いし、冷たい土間に置かれていた。冬は家
         中の火の始末が大事だった。火消し壷は50年
         前から死語。

11/26tue
朝ドラの 火鉢に練炭の においあり
     (あさどらの ひばちにれんたんの においあり)
        ※毎朝早く母親が火鉢に火のついた炭をおき、新
         しい練炭を入れる。練炭に火がつくまでの間、
         部屋中に独特のにおいがした。この世から消え
         たにおい。

11/25mon
朝霧の 晴れて選挙の 報来たる
     (あさぎりの はれてせんきょの ほうきたる)
        ※香港区議会議員選挙で民主派が過半数確保の見
         込みとの速報が流れた。しかも過去最高の投票
         率とか。最悪のシナリオが回避され、民主化要
         求の一部が現実的な争点となるかもしれない。
         今朝は異常な程の高温で霧が発生、この地は視
         界150mほど、滅多にない朝だった。

11/24sun
オークション 沢庵噛みつ 競り合いぬ
     (おーくしょん たくあんかみつ せりあいぬ)
        ※最近時々こういうことをするようになった。品
         質上心配のない品物だったら、好都合なことも
         あります。今回は早々に退場しましたが、前回
         は中古の額縁f6を他に入札者がいないまま、安
         く落札し、かつ思った以上に良品だったので大
         喜びしました。

11/23sat
時雨るや 欠礼状やや 常となり
     (しぐるるや けつれいじょうやや つねとなり)
        ※殆ど降りやまない雨が昨日から続いている。賀
         状を交換している方には申し訳ないが、3年連
         続の欠礼状を差し上げることに。

11/21thu
酉の市 腰にまわした 革財布
     (とりのいち こしにまわした かわざいふ)
        ※今やネットで鷲(おおとり)神社の光景を眺め
         るのみ。威勢の良い手締めの声とオヤジの腰の
         ガマグチが記憶の定番。

11/20wed
新年の 御札作りや 神の家
     (しんねんの おふだづくりや かみのいえ)
        ※神社の社務所を兼ねた家では戸を開け放って、
         正月の御札やお守り、縁起物の準備をしてい
         た。いくつものダンボールが見える。家に帰
         ったら、一日延ばしにしていた欠礼状書きに
         とりかかろうか。

11/19tue
秋長けて 百万ドルの 夜景揺れ
     (あきたけて ひゃくまんどるの やけいゆれ)
        ※香港のデモ激化が連日伝えられる。デモ側に少
         しでも統制がとれていれば、今だからこそ訴求
         力が強くなるのだが。無秩序、過激化では思う
         ツボ・・・誰の?

11/17sun
ジョービタキ 初音こがれて 秋深し
     (じょーびたき はつねこがれて あきふかし)
        ※高い電線でいつも一羽で「ピーイッ」と呼びか
         けるように鳴くジョービタキ。門外漢の小生で
         もいつも楽しみにしていた。季節を問わずに
         「今日もいるな」と。
         それが、この初夏を最後に一度も聞いていない
         のだ。去年までは夏だって初秋だって聞いてい
         て、留鳥だと信じていたのに。まぼろし?
         しかし何の不思議もないのだ。図鑑にはジョー
         ビタキは渡り鳥とある。図鑑を信じよう。もう
         帰って来るはずだ。

11/16sat
笑みつつも 庭師研ぎ尽くす 鰯雲
     (えみつつも にわしとぎつくす いわしぐも)
        ※庭師にとって刃物は命。殆ど使い捨ての者も多
         いが、仕事の仕上がりに歴然とした差が出ると
         いう。こうした職人が愛用する刃物、業物を鍛
         え作る人もどんどん少なくなっているとか。

11/15fri
冴え冴えと 毘沙門沼の 秋残照
     (さえざえと びしゃもんぬまの あきざんしょう)
        ※今朝は予報通りかなり寒い。何十年も前だが故
         郷会津の裏磐梯に行った。夕暮れ時、五色沼の
         一方の出発点、毘沙門沼周辺は誰ひとりいなか
         った。売り物のエメラルド色には程遠いが、湖
         面は神々しく僅かな光を映していた。何度も訪
         れている中で一番の記憶。

11/14thu
秋に吹く ラッパ女子みな 熱き顔
     (あきにふく らっぱじょしみな あつきかお)
        ※吹奏楽コンクール全国大会が10月にあった。
         マーチが中心なんて大昔の話で、入賞した団体
         が選んだ自由曲は吹き映えも聴き映えもする難
         曲が多い。主役は断然女子、圧倒的だ。

11/13wed
京舞や 師匠に秋の 色香あり
     (きょうまいや ししょうにあきの いろかあり)
        ※東京公演が今月下旬にあるらしい。21年ぶり
         とか。五世井上八千代は井上流の家元、64歳
         にして人間国宝。家元を襲名したころから、気
         さくな中に既に凛とした気が漲っていた。今や、
         なんとも言えぬ上品な色香が・・・。

11/11mon
色づきぬ 通りに笑みの 残りけり
     (いろづきぬ とおりにえみの のこりけり)
        ※パレードの様子をテレビで見た。ざわめきが音
         がフウーッと消えて、微笑みだけが残った。そ
         んな感じがした。

11/10sun
祝いの日 心音しかと 命知る
     (いわいのひ しんおんしかと いのちしる)
        ※即位記念パレードの日。きれいに晴れ上がる。
         早朝寝床で枕と頭の間に手のひらを挟んでいた
         ら、ジーッという血流の音?に混じってドクッ
         ドクッという鼓動の音がはっきり聴こえた。手
         のひらを耳の孔にぴったり当てただけでも聴こ
         えるみたい。70年以上にわたって、休みなく
         働いている音。

11/9sat
立冬や 崩れし土手の 土の黒
     (りっとうや くずれしどての つちのくろ)

立冬や 高速下の 鳩の居間
     (りっとうや こうそくしたの はとのいま)
        ※立冬2句。知り合いの農家の後継が随分古い手
         押し式の耕耘機で田を起こしている。2,30
         年前の幅狭だから原動機は積んでいるものの、
         生産性は最新のものに較べればガタ落ちだ。
         聞けば、台風とは関係なく、新しいのは故障で
         修理に手間取るという。これは先代が大事にと
         っておいたものらしい。あの親父がね。
         へえ、この後継ぎ、ちゃんと喋れるんだァ。

11/8fri
早咲きの サザンカ街に 二つ三つ
     (はやざきの さざんかまちに ふたつみつ)
        ※我が家のサザンカは超がつく早咲きで、10月
         も20日前に最初の花が開く。長いことサザン
         カの開花は11月も遅くで、冬近しのシンボル
         として感じてきたから、花を見ると今年ももう
         終わりかと思ってしまう。

11/7thu
木守りの 柿も残さず オラが嬶
     (きまもりの かきものこさず おらがかかぁ)
        ※最近の子は柿を食わないのか? とってまで食
         わないということか? おいしそうな甘柿がた
         わわになったまま・・・もうすぐ冬だよ~と言
         いたくなる。

11/6wed
秋冷や 部活の女子に 気合いあり
     (しゅうれいや ぶかつのじょしに きあいあり)
        ※地元の高校の女子ソフトボール部は全国制覇の
         実績がある強豪チーム。近くの専用グラウンド
         では夕方照明をつけて練習を続ける。急に冷た
         くなったら大きな掛け声が一段と鋭く聞こえる。

11/5tue
落花生 乾すに新聞は 昭和とか
     (らっかせい ほすにしんぶんは しょうわとか)
        ※今年の落花生は総じてまあまあの出来。2,3
         年前からの大粒でなんとか量を確保した。この
         種は通常の3倍ほどの大きさで、乾燥させなく
         ともすぐに茹でて食べられる。生産県の千葉と
         しては通常の、味の豊かな品種で成果を上げた
         かったのだが、こちらは散々。
         しかし今年は鳥獣の被害がなかった。昨年この
         周辺でアライグマの捕物があったお蔭。

11/4mon
アリス聴く それぞれの秋 ・・・
     (ありすきく それぞれのあき てんてんてん)
        ※友人たちとの間でメールでの連絡板がある。こ
         のところの台風、豪雨で多くが被害を受けてい
         たことにびっくり。都内の友人は二人が避難所
         に駆け込んだし、建物がやられた人も何人か。
         こうした連絡の機会には病気や体調不良の人が
         増えてきていたのに、今回の主役は被害に。

11/3sun
熱き血が ありしかと問う 秋の夜
     (あつきちが ありしかととう あきのよる)
        ※ラグビーWCは南アが制覇した。南アは準決で
         ウェイルズを僅差で破ったのに、ニュージーラ
         ンドは3位決定戦でウェイルズに大差で勝った。
         そのニュージーランドを圧倒したのが準決イン
         グランドだから、決勝は算数だとイングランド
         勝利のはずだった。すごい南アの気力が体力に
         乗り移っていた。すごい感激ぶり。熱くなった。

11/2sat
新蕎麦や 到来すれば 間を置かず
     (しんそばや とうらいすれば まをおかず)
        ※「最近うまい蕎麦に行き当たらないなァ」とか
         言っている割には本当の蕎麦の味が分かってい
         ない。今回は地の産、秋の新蕎麦。おいしい。
         土の風味? 温暖なこの土地でも? あっとい
         う間に腹におさまった。

11/1fri
秋長けて 玉ねぎ200の 畝作り
     (あきたけて たまねぎにひゃくの うねづくり)
        ※苗を買う人は準備のタイミング。晴れ間が続き
         畑は気持ちが良い。と思っていたら、シマヘビ
         が出たとかでオバサン連中が騒いでいる。いつ
         ものヤツだろう。見に行ったら随分大きくなっ
         ていた。どうかな?


       ********************




10/31thu
幼子を 繰り返し描く 秋深し
     (おさなごを くりかえしかく あきふかし)
        ※このところ顔のデッサンを真面目にやっている。
         多くはテレビやネットで出会ったお気に入りの
         顔、表情だ。
         じっくり時間をかけようとか、15分でしあげ
         ようとか、様々できて楽しい。やっぱり日本人
         の顔がいい。ホリは浅くとも奥は深い。

10/30wed
菊花展 花遅れての 空手形
     (きっかてん はなおくれての からてがた)
        ※知人丹精の菊が先日の15号で皆横倒しとなり、
         花の開きが著しく不調になったという。必死の
         介抱?を続けるが、目指した時期での花のピー
         ク作りは断念したという。しょぼくれている。

10/29tue
掘りしまま 落花生売る 雨上がり
     (ほりしまま らっかせいうる あめあがり)
        ※房総半島に再び豪雨の被害。15号の被害以来、
         ブルーシートをかけただけの住民はいかばかり
         だったか?
         「暑くもなし寒くもない、災害も少ない。だか
         ら人は易々と暮らし、人材は育たない」と揶揄
         付きで語られてきた房総の土地柄なのだが。

絵はどれも 晴天なのに 房総雨
     (えはどれも せいてんなのに ぼうそうう)
        ※強雨の中集まり、週末の文化祭の会場設営をし
         た。出品の絵を架け終わり、帰る頃には房総雨
         転じて暴走雨となった。

10/28mon
黒き影 地に累々と 浜の秋
     (くろきかげ ちにるいるいと はまのあき)
        ※ラグビー決勝はイングランド対南アフリカの対
         戦が決まった。オールブラックスはイングラン
         ドの前にその圧力を封じられ、戦略戦術両面で
         圧倒され敗退した。準々決勝までの比類なき?
         進軍からはちょっと信じられない結果となった。

10/26sat
警報の 解除の知らせ 虫なき夜
     (けいほうの かいじょのしらせ むしなきよ)
        ※千葉県が昨日一日豪雨に襲われた。小櫃川上流
         の亀山ダムが緊急放水する見込みと知り、一気
         に殺気立つ。この事態が自分の近くに? 近く
         の地区に避難勧告が出た。
         幸い放水は取りやめとなり、事なきを得た。

10/24thu
サツマイモ ついでの蔓に 舌鼓
     (さつまいも ついでのつるに したつづみ)
        ※貴重な晴れ間に収穫をした。狭い畑の3列の畝
         に、紅あずま、紅はるか、シルク・スイートの
         3品種。命じられるままに掘り進める。味わい
         はこれからだが、ツルの賞味はすぐ出来る。甘
         めの醤油で煮て、キンピラのようにピリ辛味に
         する。かなりのご馳走。江戸の昔から食されて
         きたと知る。
         イモもツルもと文句ないのだが、大量に出るツ
         ルと葉が曲者。二三ヶ月乾燥しても容易に燃え
         ない。半年近くたって、やっと処分できる。小
         さく切ってゴミ袋に入れて出す人も。

10/22tue
面ざしは 故郷の人に 秋の道
     (おもざしは こきょうのひとに あきのみち)
        ※即位礼当日で祝日。ゴミは集めに来ないし、昨
         夜とれた歯の詰め物を直して貰おうと歯医者に
         電話したらスゲナク休診ですと言われた。
         さりながら今日はおめでたい日、おだやかにつ
         つがなくを祈ること切なり。

10/21mon
美し夢 高みに去りて 鰯雲
     (うましゆめ たかみにさりて いわしぐも)
        ※ラグビー準決勝対南ア戦。格の違いを知らされ
         る圧力だった。ラインアウト、ターンオーバー
         等随所で差が見えた。後半敵にハンドリングミ
         スがなければ、もっと大差になっていたかも。
         夢から覚めて、ため息とこんな句が列島中に満
         ちている。

秋の蚊が ターンオーバー される瞬間
     (あきのかが たーんおーばー されるとき)

10/20sun
同志なる 母娘離り得ず 今朝の秋
     (どうしなる ははこさかりえず けさのあき)
        ※友人の100歳になるお母上が亡くなられた。
         お会いしたことはないが、温かい人柄に加え、
         一本筋の通った方だと以前から推察していた。
         会津盆地と松本盆地とを合わせ、母娘いっしょ
         の暮らしは半世紀近いだろう。合掌。

10/19sat
秋愁い バリウムバスに 並びおり
     (あきうれい ばりうむばすに ならびおり)
        ※度重なる風雨の被害あり、友人の病気あり、友
         人の近親者に不幸が相次いだりと、改めてこの
         秋はろくなことがない。
         ブルブルッ、吹く風は涼しさを通り越した。い
         やなバリウムが待っている。

10/18fri
新米を くれたる人の 黒い指
     (しんまいを くれたるひとの くろいゆび)

常よりも 盛りて新米 供えけり
     (つねよりも もりてしんまい そなえけり)
        ※家内が当地木更津の生まれ育ちなので、小中学
         校の同級生あたりから新米をいただいたりする。
         ブレンドをしていない純粋の地元米。おいしい。
         そうした縁で畑も借りている。稲わらや籾殻な
         ども。小生はありがたく寄生している。

10/16wed
瓦屋の手元に釣瓶落としの日
     (かわらやのてもとに つるべおとしのひ)
        ※台風15号から一ヶ月ちょっと、屋根のスレー
         ト補修と窓ガラスの復旧が終わった。とは言っ
         ても工事は半日だけ、多くは順番待ち。

10/15tue
笑みうかべ 水位を示す 秋の午後
     (えみうかべ すいいをしめす あきのごご)
        ※大河川の決壊による洪水被害が深刻だ。余りの
         様子に水が引いた後も自失状態の人々。呆れ気
         味の微笑みが痛々しい。

10/14mon
木犀の 鬱金遅参し 静かなり
     (もくせいの うこんちさんし しずかなり)
        ※彼岸花の開花遅れ、サクラの狂い咲き、そして
         金木犀の遅刻・・・全て台風襲来のパニックの
         せいだと信じている。

10/13sun
ススキの穂 嵐去る朝に 若々し
     (すすきのほ あらしさるあさに わかわかし)
        ※暴風雨の夜が明けて、被害の大きさが次第に明
         らかになる。各地で甚大な爪跡だ。ここ千葉県
         は心配したよりは比較的軽くて胸を撫でおろす。
         しかし台風15号の被害と合わせると状況は深
         刻だ。ブルーシートを吹き飛ばされた家が散見
         され、被災者の胸中がしのばれる

10/12sat
洋梨は 故郷の産よ 豊の秋
     (ようなしは こきょうのさんよ とよのあき)
        ※私の故郷会津を旅行中の先輩が旅先から「会津
         の果物」を送ってくれた。桃、梨と洋梨の詰め
         合わせ。洋梨の産地というのは初耳、おかげさ
         までおいしくいただいた。

10/11fri
破れたる 窓越し日々の 鱗雲
     (やぶれたる まどごしひびの うろこぐも)
        ※昨日までは台風の接近が嘘のように秋空が広が
         っていた。今日はさすがに雲が厚い。虎視眈々
         19号の露払いの雨雲が近づいている。

10/10thu
ふたまたの 大根十耕 したものの
     (ふたまたの だいこんじゅっこう したものの)
        ※大根十耕~大根は普通の何倍も耕し、土を深く
         柔らかくしてから植えよということらしい。
         「備えあれば・・・」というが、自然の驚異は
         時に一番弱いところをついてくる。備えはした
         ものの。

10/9wed
台風は みな来る気配 そぞろ寒
     (たいふうは みなくるけはい そぞろざむ)
        ※トラウマという症状が良く理解できるようにな
         ったのは台風15号の襲来以降のことだ。台風
         19号は海水温度の高い海域で急速に発達して
         最悪のコースをたどるかも。

10/7mon
爪使い イナゴの脚を もいでおり
     (つめつかい いなごのあしを もいでおり)
        ※東北地方では秋になるとイナゴの佃煮を食べる
         のが一般的だった。新鮮なやつを袋で買い、ま
         ず蒸し上げる。次に細かい異物は取り除き、イ
         ナゴの下肢の先っぽを摘み捨てる。ギザギザが
         ついているから。当時の貴重な蛋白源というよ
         り、甘露煮そのものがおいしく、おかずでもあ
         った。母親の味が一番。ザラメではなく白砂糖
         で薄味に上品に作られたものは苦手だった。

銀歯来る 秋の宝を 籠に詰め
     (ぎんばくる あきのたからを かごにつめ)
        ※小中学生の頃、季節の食材を届ける銀歯のオジ
         サンがいた。秋にはイナゴ、キノコ各種、春に
         は山菜なんでも、タケノコ、他にアユ、ウナギ、
         ドジョウ、川魚やシジミなど。要するに栽培で
         はなく、採集のお宝はなんでも持って来てくれ
         た。自分で採集するばかりでなく、多くの人か
         ら集めてくるネットを持っていた。
         「マムシはいるか?」「い、いらねえッ」

10/6sun
踏切に 若きススキの 少し揺れ
     (ふみきりに わかきすすきの すこしゆれ)

釣り師みな パーカー着込んで 初ふるえ
     (つりしみな ぱーかーきこんで はつふるえ)
        ※今朝は一段と涼しくなった。朝夕のTシャツ半
         袖はやせ我慢。倒壊した手製ブドウ棚のパイプ
         製枠組みが復旧、あとはゆっくり細かい棚をつ
         けていく。

10/5sat
イヌサフラン うすむらさきの 花来たり
     (いぬさふらん うすむらさきの はなきたり)
        ※コルチカムが正式名称で北アフリカ原産とあっ
         た。アヤメ科のサフランとは全くの別物。大き
         な球根で貰ってきたもの。
         季節違いのクロッカスとも似るが、こちらは花
         の時期に葉は全く見えない。

10/4fri
露けしや 線路をまたぐ 女の靴
     (つゆけしや せんろをまたぐ ひとのくつ)
        ※「危険ですので線路横断はしないで下さい」の
         看板は「ここなら安全です」のしるし。しかし
         線路の両側の道は雑草が生い茂り、窪地を跨ぐ
         小橋がかかっている。今の季節は朝露で靴はび
         しょ濡れになる。 

10/3thu
刈田雀 今日海鳥に 追われけり
     (かりたすずめ きょううみどりに おわれけり)
        ※被害を受けた堤道のサクラがどうしたわけかチ
         ラホラと花をつけている。結構な数。返り咲き
         というが、あれは小春日和の季節とかいうし・
         ・・、これは「狂い咲き」としか。
         ここから直線5キロほどの海岸には「盤洲干潟」
         という、動植物が豊かに生息するところがある
         が、海鳥が団体で内陸にやってくるのは冬以外
         には珍しい。

10/2wed
異邦人 昭和の歌もれ 良夜かな
     (いほうじん しょうわのうたもれ りょうやかな)
        ※西空に大きな三日月が見える。空気が澄んでい
         る。今日から10月。





       ********************



9/30mon
愛しきや 柿は五つと なりにけり
     (いとしきや かきはいつつと なりにけり)

長き月 多く描きたり 九月尽
     (ながきつき おおくかきたり くがつじん)
        ※9月9日の台風から20日が過ぎ、明日からも
         う10月。自分の被害とかよりも、あれだけ地
         域の人々が長期間苦しめられたことが重しとな
         った。この間意外と何枚かの絵を描いた。少し
         真面目に取り組んだ。

9/29sun
大金星 そばに関電 大黒星
     (だいきんぼし そばにかんでん だいくろぼし)
        ※ラグビーの快挙の影に隠れない、信じられない
         大失態。ガバナンスが言われて久しい現在、ま
         さに奇跡的な汚れぶりだ。業界2位に甘んじ長
         らく惰眠を貪ってきたせいだと、すぐ思った。

9/28sat
遅れしを 詫びつつ白き 曼珠沙華
     (おくれしを わびつつしろき まんじゅしゃげ)
        ※きちんと季節を守る彼岸花が例年より10日ほ
         ど遅く盛りになった。台風がショックになった
         のかな?

9/27fri
秋寒や 虫もむくげも ふるえおり
     (あきざむや むしもむくげも ふるえおり)
        ※今朝は肌寒いを少し通り越した寒さ。今朝6時
         の気温は17度、窓を開けた際の一句。季語は
         これ三つかな? 素直だけの句。
         昨日からぺしゃんこになったブドウ棚の復旧に
         着手。再びコンクリートで柱の基礎を打つ。

9/26thu
女郎花 似ても似つかぬ 顔思う
     (おみなえし にてもにつかぬ かおおもう)
        ※先日会社で後輩の、関西に住むK氏から見舞い
         の電話を貰った。久しぶりで嬉しかった。電話
         口では元気だったものの、氏はガンをやり、人
         工透析患者になったという。びっくりした。
         病いを寄せ付けない、下駄のような強面の持ち
         主なのだが・・・。絵手紙で礼状を書いた。

絵手紙を 投函すれば 秋の声
     (えてがみを とうかんすれば あきのこえ)

9/25wed
倒木を 伐るに汗なし 昼の虫
     (とうぼくを きるにあせなし ひるのむし)
        ※堤の倒れたサクラ2本は根っこのすぐ上で切ら
         れてしまった。少なくとも1本は重機で持ち上
         げて養生すれば十分蘇生したのに・・・と、お
         役所仕事の杜撰さに腹が立った。現場で仕事を
         した人にとってはチェーンソー一発、涼しい午
         後にアッという間のお手軽さだった。後には刻
         まれた枝や幹が土手に打ち捨てられている。

9/24tue
嵐来る 朝一番の 船便で
     (あらしくる あさいちばんの ふなびんで)
        ※昨日の日中の強風も結構なものだった。房総人
         はすっかりトラウマになっている? 横須賀に
         行っていた家内は早起きして、風が強くなる前
         の便で急ぎ帰ってきた。同じ考えの人で満員だ
         ったとか。

9/22sun
久留里線 カーブにそいて 曼珠沙華
     (くるりせん かーぶにそいて まんじゅしゃげ)
        ※久留里線の木更津-久留里間は一昨日夕方から運
         行を始めた。線路の両脇の彼岸花はこの季節の
         風物詩。

高バシゴ 鋏の音や 秋彼岸
     (たかばしご  はさみのおとや あきひがん)
        ※義兄が亡くなって秋の彼岸は初めて。頭の上から
         元気な声が聞こえてきそう・・・。

9/21sat
秋茄子や 世話せぬ主に 良く尽くし
     (あきなすや せわせぬぬしに よくつくし)
        ※家が一段落した畑仲間が三々五々畑に来ている
         らしい。防虫ネットが滅茶苦茶に倒れ、白菜の
         苗が飛ばされたり、オクラが地面に倒れたりと、
         みんな一様に嘆息をついているとか。
         8月に秋茄子仕立てを怠っていたのに、無残な
         中に茄子は恵みをくれているらしい。

9/20fri
十日過ぎて 列車走らず 捨案山子
     (とおかすぎて れっしゃはしらず すてかかし)
        ※JR久留里線は全線が不通のままである。出退勤
         時、高校生の登下校時には結構な利用者がある。
         その時間帯は3輌編成だ。今朝路線沿いを走る
         代行バスに出会った。

9/19thu
サンダルに 石の入る日 獺祭忌
     (さんだるに いしのはいるひ だっさいき)
        ※9/19は正岡子規の命日。糸爪忌が有名。獺祭と
         正岡子規で検索すると「獺祭の正規販売店」と
         いうのが現れた。獺祭は有名な日本酒の名前、
         もちろん本来は「かわうそ」のこと。
         子規は根岸の住居から言問通りを上って、上野
         の山の野球場に通ったにちがいない。手ぬぐい
         をさげ、下駄履きで。石も入ったかなァ・・・。

蝉鳴きて はてホトトギスと 思い聴く
     (せみなきて はてほととぎすと おもいきく)
        ※九月下旬に蝉来る。さてはホトトギスかと。

9/18wed
水澄むや 微笑みの仏を 描きおり
     (みずすむや えみのほとけを えがきおり)
        ※台風通過から一週間、昨日になってやっと屋根
         の被害確認ができた。ずれた箇所が一箇所あっ
         ただけで他は異常なしという。胸をなでおろし
         たが、窓のガラスを破って飛び込んできたスレ
         ートはどこからのものだったのだろう? 我が
         家の周辺に同種の破片が飛び散っている。
         まあ怪我はなかったし、物損も少しだけ。良し
         としなければならない。すこし落ち着いてきた。

9/17tue
新涼や ブルーシートの 家が増え
     (しんりょうや ぶるーしーとの いえがふえ)
        ※ブルーシートの家は周囲に散見される程度だっ
         たが、台風通過から一週間だというのに、昨日
         の雨の前後で一段と増えてびっくりした。かけ
         たくとも業者の手が間に合わなかったのだろう。

9/16mon
傘折れて 犬と濡れ帰る 敬老日
     (かさおれて いぬとぬれかえる けいろうび)
        ※被災の応急措置も終わり、落ち着いたなと思っ
         た矢先に、傘が大破した。珍しい折れ方、修復
         もままならない。災難は続いていたかと思い直
         し、帰宅した。

嵐寛も 千恵蔵もいる 敬老日
     (あらかんも ちえぞうもいる けいろうび)
        ※「テレビで時代劇でもどうぞ」と言われている
         人がいるかも知れない。なつかしい東映の古い
         映画「十三人の刺客」を見た。

9/15sun
陋屋に 見舞う言葉の 満ちて秋
     (ろうおくに みまうことばの みちてあき)
        ※たくさんの友人知人から電話、メールをいただ
         いている。修復の順番はまだか? 明日にかけ
         て雨と風がくるらしい。ガラスが破損した窓は
         テープで覆っただけの応急措置が甚だ心もとな
         く隙間が見えている。

9/14sat
春に描く 木々や秋には 道の上
     (はるにかく きぎやあきには みちのうえ)
        ※随分涼しくなった。いつも通る小櫃川の土手道、
         並木の中でも大きめの桜が2本根こそぎ倒れて
         いる。クルマは通れない。片付けの重機はいま
         だにこない。ちゃんとケアすれば十分生き返る
         のだが・・・。

9/13fri
ゴルフバックの人 瓦集める 人のそば
     (ごるふばっくのひと かわらあつめる ひとのそば)
        ※被災5日目。次第に落ち着きつつある。風雨の
         直接の被害より、インフラ寸断の被害が何倍に
         もなっている。今日辺りで殆どが回復するらし
         いが。
         多少の被害を被ったとはいえ、僻み目になって
         はいけない。少しそれがにおう句です。

9/12thu
泰山木 秋の野末に 斃れあり
     (たいさんぼく あきののずえに たおれあり)

作物は 田園に死す 秋の風
     (さくもつは でんえんにしす あきのかぜ)
        ※ホンのちょっとの差で災害の大きさ、有無が大
         きく分かれることがある。全く無傷、無被害の
         隣では瓦屋根が飛ばされ、どこから飛来したの
         か建材やらゴミが庭に溢れている。
         いつもその季節には見ているナジミの泰山木が
         根こそぎ倒れ、遥か公園の片隅に片付けられた。

9/11wed
日傘して 水貰う人の 列につく
     (ひがさして みずもらうひとの れつにつく) 
        ※電気と水の停止状態がかなりの地域で続いてい
         る。三日目に入って、生活の不便だけではなく
         身体の辛さと危険につながる。

9/10tue
なにごとも なかった顔で 秋木槿
     (なにごとも なかったかおで あきむくげ)
        ※先日の台風15号、当地では記録的な強風が吹
         き荒れ、一部に被害をもたらした。当家は屋根
         材(コロニアル)が剥がれ落ち、さらに風にあ
         おられ窓のガラスを直撃、ガラスは寝室中に飛
         び散った。未明の3時過ぎ、恐怖の出来事。
         小人はボヤク、「よりによって我が家の屋根が
         なんで壊れるの・・・?」と。とても木槿のよ
         うにはいかない。

9/8sun
シナトラの 九月の歌ハハハ やはり合う
     (しなとらの くがつのうたははは やはりあう)
        ※ご存知 September Song。結構古いCDだ。
         南から台風15号がやって来る。関東直撃と
         なるかも。ハハハとか言っていられない。

9/7sat
富士見える 雲の特異日 秋は良し
     (ふじみえる くものとくいび あきはよし)
        ※「雲の日」があってもいいかなと思った。今日
         9月7日を雲の日にすると、この日は面白い、
         立派な雲が現れる特異日になったりして・・・。

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9/5thu
風の盆 涼風ここに 届きたり
     (かぜのぼん りょうふうここに とどきたり)
        ※八尾町にはJR高山本線で降り立ったことがある
         が、この時期ではない。確か越中八尾駅という
         駅名だった。風の盆の空気を知らないからこそ、
         今でも憧れと恋しさが募る。

涼風や セールスの人の 声軽く
     (りょうふうや せーるすのひとの こえかるく)

9/4wed
愉しみは マスカットの味 筆洗う
     (たのしみは ますかっとのあじ ふであらう)
        ※画題は季節の果物で、当番に当たっていた。買
         い物したり準備する時から、描く楽しさより食
         べる楽しさが待ち遠しかった。絵の上達はなか
         なかに難しい。と思う。

9/3tue
おさまらぬ 揉め事火を吹く 残暑かな
     (おさまらぬ もめごとひをふく ざんしょかな)
        ※世界の紛争が日々詳細に生々しく報道される日
         常をかつて想像しただろか? 進歩の故だとも
         言えるが、これを毎日視聴する我々にとって、
         幸福とはとても呼べない。いい加減にしてくれ
         と言うのはなにも残暑だけではない。

9/2mon
コガネムシ お前の後の ブドウ食う
     (こがねむし おまえのあとの ぶどうくう)
        ※実は我が家のブドウが今採り頃。緑の粒々が日
         を受けて、黄色に飴がかった色に成熟している。
         他の果樹をよそに今年も好調だ。「粒は中ほど、
         甘さ控えめ」・・・褒め言葉は自在に。
         家内の姪の娘を来賓に迎えて、ブドウ刈りフェ
         スタの開会式をやろうかと今朝考えた。

9/1sun 
夏空に 白煙もうもうと 鉄の街
     (なつぞらに はくえんもうもうと てつのまち)
        ※当地から木更津の市街越しに君津製鉄所の煙突
         や煙が遠望できる。北九州市八幡の、遥か昔の
         光景を思い浮かべた。

九州の天空に雨の道哀し
     (きゅうしゅうのてんくうにあめのみちかなし)
        ※台風銀座とかいう言葉は死語のようだが、今年
         も北部九州は豪雨被害が相次いでいる。台風関
         連ではなく、前線が居座るケースが多い。なん
         とかならないものか・・・。





       ********************



8/31sat
夏過ぎし クラクフからの 便りかな
     (なつすぎし くらくふからの たよりかな)
        ※絵の会の友人から絵葉書が届いた。ポーランド
         の古都クラクフは憧れの街。北緯50度という
         と北海道を遥かに越え、樺太の中央辺りだ。

8/30fri
車椅子 押す武士の妻 今朝の秋
     (くるまいす おすぶしのつま けさのあき)
        ※早朝に病院に行った。車椅子のご主人と思われ
         る人を駐車場で下ろし、ゆるい坂道を登ってく
         る夫婦に会った。雨模様だがさわやかな印象を
         受けた。奥さんは毅然としていて周囲に目を配
         り、空模様などを笑顔で語りかけている様子。
         見たのはそれだけだが、いいなァ・・・。

8/29thu
夏休み 明けて様々な 顔揃い
     (なつやすみ あけてさまざまな かおそろい)
        ※今週初めから新学期、続々と中学生が行く。登
         校を待っていた顔、まだ休み気分の顔、寝ぼけ
         ているような顔・・・様々だ。気の毒に。

8/28wed
分断も 一色も嫌い 国の秋
     (ぶんだんも いっしょくもきらい くにのあき)
        ※定見もないポピュリズムは我慢がならない。そ
         れにすがるしかないところまで追い詰めての煽
         りは最低。

8/27tue
ひぐらしの かぼそき声で 缶ビール
     (ひぐらしの かぼそきこえで かんびーる)
        ※夕方の散歩コースに「ひぐらし通り」と名付け
         た道がある。ここの林には何故かひぐらしが多
         い。以前立ち止まって鳴き声を聴いていたら、
         木の上からバサッとシマヘビが落ちてきた。ほ
         んの30センチ先で、これにはびっくりした。
         しばらく寄り付かないことにした。今日は缶ビ
         ール一杯分だけ立ち止まる。

8/26mon
稲刈りや 詮議の末の まだら刈り
     (いねかりや せんぎのすえの まだらがり)
        ※例年なら盆明けに本格化する稲刈りだけれど、
         今年は進行が遅くやや不規則な気配。梅雨時の
         記録的な日照不足と8月に入っての日照り、そ
         の匙加減が微妙に難しいらしい。さらに最近は
         稲作の集約化が進んで耕作面積が大きくなって、
         複数ブランド米を一人が収穫することも珍しく
         ないという。広い田んぼ毎に収穫時期が大きく
         前後してしまう。その間は「まだら田」に。

8/25sun
夏に鍋 三人が囲み クラス会
     (なつになべ さんにんがかこみ くらすかい)
        ※延期が重なった会を東京駅2階の比内鶏を食わ
         せる店で開催。三人は史上最少かな? そう歴
         史がある会ではないけれども。
         話が具合良く往復し、いつにない会になった。

8/23fri
サルスベリ 最後の色の 散りて処暑
     (さるすべり さいごのいろの ちりてしょしょ)
        ※並木のサルスベリは真っ赤な花から始まり、白
         が次に、一番多いピンクが咲き誇る頃に、紫が
         かったピンクが後を追う。他所でもこの順番な
         のだろうか。7月上旬からの長い花期が終わる
         頃、今日は処暑、24節気の一つ。確かに涼し
         い朝だ。

8/22thu
夏越えた 派遣工夫の なで肩よ
     (なつこえた はけんこうふの なでがたよ)
        ※建設現場に人を送り込む会社の宿舎がある。一
         昔前までは様々に呼ばれたが、数が減っている。
         しかしニーズは今でもあるのだろう。出稼ぎと
         いう言葉は死語ではない。

8/20tue
童顔の 白髪の釣り師 日の盛り
     (どうがんの しらがのつりし ひのさかり)
        ※小櫃堰湖は盆休みが過ぎ、地元の釣り客のみと
         なった。しかも多くの人が「毎日が日曜日族」
         のよう。釣果が殆どないところは変わりがない。

8/19mon
贔屓みな 土持ち帰る 残暑かな
     (ひいきみな つちもちかえる ざんしょかな)
        ※甲子園準々決勝4試合は奇しくも東日本勢と西
         日本勢の対戦となった。こうなると、4勝0敗
         で全部いただきかな、などと東に肩入れしてし
         まう。しかしいただいたのは甲子園の土だった。
         4試合とも。

8/18sun
鼻歌や 安きメロンを 胸に抱き
     (はなうたや やすきめろんを むねにだき)
        ※メキシコ産のマスク風メロンを買ってきた。前
         回そのおいしさにびっくりしたヤツだ。しかも
         値段は大ぶりでニーキュッパ、298円とか。
         このコスパからすれば、自家スイカを大きく凌
         ぐ。人工受粉のためのガソリン代もいらないし。

8/17sat
油蝉 崩れきそうな 山の道
     (あぶらぜみ くずれきそうな やまのみち)

鳴き止みて 蝉のつくりし 静寂かな
     (なきやみて せみのつくりし しじまかな)
        ※お盆を過ぎると夏休みは第4コーナーをまわっ
         て、残すは直線100mのみ。東北の小中学校
         の夏休みは8月20日すぎで終わりだった。大
         人のお盆が過ぎると、気持ちの上ではもう休み
         ではなかった。今を盛りと鳴くセミたちにも妙
         な連帯意識があったものだ。今でもそんな気分
         が少し残っている。

8/16fri
夕立の 一部始終見る 雨宿り
     (ゆうだちの いちぶしじゅうみる あまやどり)
        ※このところ毎日夕立やにわか雨がある。散歩の
         途中で降り出し急に大降りになり、慌てて橋の
         下に駆け込んだ。実は降ったらアソコで雨宿り
         と当て込んでいたのだ。おかげで20分ほど激
         しい雨を見、ゆっくり音を聞いていた。
         街並みには雨宿りに適した場所が意外と少ない。

8/15thu
遠き夏 土蔵の中の 眠りかな
     (とおきなつ どぞうのなかの ねむりかな)
        ※8月15日なのに、今朝の通りは居住まいもゆ
         るやかで、連日の暑さにやや呆けた感じ。人も
         クルマも通りには少ない。
         遊び疲れて家に帰るなり、涼しい土蔵で眠った
         ままだったとか。今に起きるだろうと、夕食に
         も起こさなかったと母親は言った。記憶に残る
         長い昼寝の記録だ。「日本の一番長い日」。

8/14wed
亡き義姉の 安否問う人 月見草
     (なきあねの あんぴとうひと つきみそう) 

盆踊り アイサツ終わるを 待つ子かな
     (ぼんおどり あいさつおわるを まつこかな)
        ※町内会ごとの盆踊り大会。地域の活性化が言わ
         れて久しいが、どっこい盆踊りは生きている。
         主役は子供たち。長いアイサツNG、福引大会
         ベリーグッド。

8/13tue
盆の入り 坂の上なる 白き雲
     (ぼんのいり さかのうえなる しろきくも)

炎熱に けぶる家並や 盆の入り
     (えんねつに けぶるやなみや ぼんのいり)
        ※我が家に帰ってくる仏様はいないはずだが、ア
         ノ白い雲は客人か? ここ2日ほどにわか雨が
         あり、焼けた地面から土煙のような、水蒸気の
         ようなものが立ち込めた。迎え火も見えないか
         も・・・。

8/12mon
新盆の 読経涼しや 寺の風
     (にいぼんの どきょうすずしや てらのかぜ)

新盆や 廿日待ちいし 湿りかな
     (にいぼんや はつかまちいし しめりかな)
        ※家人の兄姉と義兄3人の新盆の法要があり、会
         食をした。その時に黒い雨雲が来たと思ったら
        、突然雨が来た。しっかりした雨になった。7月
         下旬以来のお湿りである。誰もがホーッとして
         料亭の大きなガラス戸に見入った。
         故人3人からはなにくれと「もらいもの」する
         ことが多かった。この雨もそうか・・・。

8/10sat
端居して 流れるニュースの 瀬音かな
     (はしいして ながれるにゅーすの せおとかな)
        ※8月のテレビや新聞は毎年のように終戦特集が
         多い。またかと思う内容もあるが、新鮮に考え
         させられるニュースや番組もある。自分の年齢
         である、戦後74年にしてである。

8/9fri
水張りて 八月の空を 染め上げる
     (みずはりて はちがつのそらを そめあげる)
        ※水彩画特有の画法が画用紙に水を張り、それが
         乾かないうちに色をのせる。自然な形が出来、
         地の白色との境界はぼかされる。また色を微妙
         に変えることでグラデーションも可能だ。ウェ
         ット・オン・ウェットwet on wetと言うらしい。
         口で説明するのは簡単だが、この画法を駆使す
         るには相当な訓練が必要のようだ。
         真っ青な空に、もくもくと白い雲が湧き上がる
         ・・・8月の空を自在に表現できる日は遠い。

8/8thu
立秋や わらうしかない 暑さかな
     (りっしゅうや わらうしかない あつさかな)
    
甲子園 朝ドラなつに めぐり会い
     (こうしえん あさどらなつに めぐりあい)
        ※高校野球放送のハザマに主役のなつに出会った。
         可愛さと顔の部品の良品揃いで、女優としては
         表情が乏しくなるかなァ?と思ったのだが、果
         たしてその通りの印象を受けた。まあ、1,2
         回の視聴での印象だが・・・。

8/7wed
インゲンの 微かなにおい 夏の夕
     (いんげんの かすかなにおい なつのゆう)
        ※インゲンのおひたしが好き。しょうが風味のシ
         ンプルなやつ。茹でているときのほのかな香り
         で、もう分かってしまう。

8/6tue
原爆忌 シラサギとただ 蝉しぐれ
     (げんばくき しらさぎとただ せみしぐれ)
        ※74回目の広島原爆忌

8/5mon
線香を やり過ごす蚊や 朝に刺す
     (せんこうを やりすごすかや  あさにさす)
        ※一週間続いた熱帯夜が昨夜に途絶えた。熱い夜
         と蚊の襲来が重なると間違いなく睡眠不足にな
         る。蚊取り線香を焚いて万全を期したつもりで
         も、敵は鴨居のカゲやカーテンのテッペンにじ
         ーっと耐え忍び、しらじらとした頃になって元
         気に攻撃を始める。昔の蚊帳を思い出して、ぷ
         っくりした皮膚を掻く。

8/4sun
坂道や 格子戸の音と 桔梗かな
     (さかみちや こうしどのおとと ききょうかな)
        ※暑い部屋で根岸の里の子規庵を思い浮かべた。
         鶯谷駅徒歩5分、暑い最中に訪問したことはな
         い。
         こんな暑い日があったんだろうか?「ノボさん、
         大丈夫すか?」と声をかけて、我が家産のスイ
         カを差し入れたい。

8/3sat
稲穂波 薄き雲影が 行くごとし
     (いなほなみ うすきくもかげが いくごとし)
        ※日中の猛暑続きをテレビが「災害並」と伝えた。
         朝の散歩もサマータイム1時間半で凌いでいる。
         稲穂の実は7、8月で成長するという。今年の
         8月は挽回の時であり、肝腎な時なのだ。

8/2fri
目を合わせ 並びとどまる 燕の子
     (めをあわせ ならびとどまる つばめのこ)

初飛びは 同じ所へ 燕の子
     (はつとびは おなじところへ つばめのこ)
        ※最近の家はツバメにとって巣を作りにくい上に、
         敬遠する家庭も多い。ところが新築の家の夫婦
         が玄関でそっと上を眺めていた。ツバメの巣だ
         った。小さな女の姉妹がいるからハハンと思っ
         た。この家のツバメの子も巣立ったようだ。

8/1thu
梅雨明けや タンクの群れの 黒き影
     (つゆあけの たんくのむれの くろきかげ)

片影で タンクナンバーの 意味を聞く
     (かたかげで たんくなんばーの いみをきく)
        ※4、5年前の梅雨明け直後の季節に、福島県の
         被災地見学と東電福島第一原発を見てまわるツ
         アーに参加した。汚染水を入れた無数のタンク
         が今も増え続けていることがやりきれなかった。
         午後の傾いた日差しでタンクとその影が真っ黒
         に。言葉を失うとはこのことか?
         今回東電は第二原発を併せ、10基の廃炉を決
         めた。道のりの遠さを思った。



       ********************


7/31wed
黒人も 東欧もメダル 夏光州
     (こくじんも とうおうもめだる なつこうしゅう)
        ※世界水泳選手権が終わった。印象に残ったのは、
         黒人勢とハンガリーなど旧東欧勢の台頭だ。長
         いこと様々な理由で、水泳というスポーツが一
         般的ではなかったのが、自然体で取り払われた
         ことによるらしい。

長雨に 耐え我がスイカ 甘露なり
     (ながあめに たえわがすいか かんろなり)
        ※クソ暑い日が続いてはいるが、長い梅雨で日差
         しもない日が記録的に連続したのにである。
         苗を2本だけ植える恒例のスイカ栽培。まあ、
         というか最高に成功の部類だ。ラグビーボール
         型の、まず2個が真っ赤でうまかった。
         受粉をしに通った家内の努力賞でもある。

7/30tue
梅雨明けや 木々が待ちいし 消毒を
     (つゆあけや きぎがまちいし しょうどくを)
        ※梅雨の最後半が蒸し暑いまま梅雨明け。猛烈な
         暑さが加わった。いきなりだから生存ぎりぎり
         ? 畑も庭も植物たちは消毒を欲しがっている
         ように見える・・・サボれない。

7/29mon
熱闘の チームは散りて 土用かな
     (ねっとうの ちーむはちりて どようかな)
        ※夏の高校野球県予選。ヒイキの木更津総合は準
         決で敗退、4年連続の甲子園出場の夢は潰えた。
         この夏は気楽に眺められそう。

熱低と なりて頼れぬ 副え木無事
     (ねっていと なりてたよれぬ そえぎぶじ)

7/28sun
シニアあり 飼犬を木陰に 梅雨晴れ間
     (しにああり かいいぬをこかげに つゆはれま)

梅雨明けや 猛者が似合わぬ 犬を曳き
     (つゆあけや もさがにあわぬ いぬをひき)
        ※短命の台風6号が過ぎ去り、晴れ間が広がる。
         これはきっと梅雨明けかな? じっとりと汗が
         にじむ、蒸し暑さ。待ちかねた木々の消毒に精
         を出す。

7/27sat
釣りボート 船跡広がりて 夏の色
     (つりぼーと ふなあとひろがりて なつのいろ)
        ※近くの小櫃堰貯水池に若い釣り人がボートを繰
         り出している。一人乗り、バッテリー付きのス
         クリューで動く。様々な形がある。
         長い雨で水面はいつも濁っていたが、今朝はき
         れいに。台風がやってくるようだが・・・。

7/25thu
八月の あの雲のごと 梅雨晴れ間
     (はちがつの あのくものごと つゆはれま)
        ※関東の梅雨明けはおあずけ。朝から暑い。青空
         にもくもくと白い雲が・・・、テレビの8月終
         戦記念特番に決まって登場する「あの日の暑い
         一日」のシンボルだ。
         梅雨も好きではないが、クソ暑い猛暑もねえ・
         ・・。

サルスベリ 咲いて去る梅雨の 餞けに
     (さすすべり さいてさるつゆの はなむけに)

7/24wed
ここまでと 泥流のあと 戻り梅雨
     (ここまでと でいりゅうのあと もどりづゆ)
        ※当地でも近くの小櫃川が梅雨時や台風襲来時に
         氾濫したという。現在ある小櫃堰が出来る前の
         ことだ。その名残りが農家の壁に残る泥流の跡
         だったり、今も倉庫に吊るされている非常用の
         舟だ。

梅雨という 他に季語なきや 曇り空
     (つゆという ほかにきごなきや くもりぞら)
        ※こうも「充実した梅雨」だと、湿度に蒸された
         軽い頭は一種思考停止に近い症状を呈する。に
         わか雨が突如強雨となり、雷鳴が襲う。梅雨明
         けを間近に丹念な仕上げをしている。

7/22mon
グラジオラス 真紅の紅に なりそうな
     (ぐらじおらす しんくのべにに なりそうな)
        ※いろんな色がある中に、こんなにも真っ赤な赤
         はなかったと言ったら、「前からあった」と。
         「いや、ずうっと前のグラジオラスにはなかっ
         た」、「ずうっとって、どれぐらい前のことよ
         ?」かなりあどけないけれど、答えはまだない。

7/21sun
命日を 違える不孝 沙羅の花
     (めいにちを たがえるふこう しゃらのはな)
        ※日差しのない曇り日が続いている。蒸し暑い。
         モモの収穫の頃だが、今年は裏年、実が少ない。
         見事な桃を仏前にというわけにもいかない。

7/19fri
農薬を 撒き忘れた田や 青田風
     (のうやくを まきわすれたたや あおたかぜ)
        ※今水田に人を見かけることは少ない。その中に
         盛大に「雑草を育てて」いる田があった!? 農
         薬の効果とはこんなにも、と教えてくれる。昔
         は働き手が腰をかがめ、雑草を抜いていた。夏
         場の仕事で最も辛い仕事だったろう。今この田
         の草はほったらかしだ。(それとも、この田だ
         け飼料用米で、除草農薬を控えているのだろう
         か?我々は農薬OK? これも恐ろしい話だが)

7/18thu
朝顔の 日差し忘れて 細き蔓
     (あさがおの ひざしわすれて ほそきつる)
        ※梅雨の晴れ間も半日ほどで長続きしない。花も
         野菜も日光を忘れてしまうのでは。

7/16tue
プロの手に 曲がったキュウリや 長き梅雨
     (ぷろのてに まがったきゅうりや ながきつゆ)
        ※日照時間の少なさが記録破りのレベルに。生活
         に経済に深刻な影響が・・・報道が続く。これ
         ばっかりはお任せするしかない。

7/15mon
脂なし 口は臭わず 老いの梅雨
     (あぶらなし くちはにおわず おいのつゆ)
        ※時として自分の老いを強く感じる。心持ちや好
         奇心などが前向きな時に限って、外見や運動能
         力など加齢の足音が非日常的に揺す振りをかけ
         てくる。カウンターだからこれが効くのだ。
         「ハハーン、またか・・・」、自虐的に半ば笑
         顔で受け入れるのだが、もとより余裕はない。
         ひたいの脂はこの前まで「売る」ほどあったの
         だが。歯槽膿漏は60歳台後半で縁を切って以
         来無菌無臭。

7/14sun
梅雨空や 太鼓を据えて ひとたたき
     (つゆぞらや たいこをすえて ひとたたき)

団扇持ち エースの肩に ざわめけり
     (うちわもち えーすのかたに ざわめけり)
        ※夏の高校野球県予選が始まっている。雨模様の
         天気が続き、中断あり、思わぬ選手の故障あり、
         どのチームも応援団は苦戦している。

7/13sat
アジサイや 髪結いの亭主の 知らん顔
     (あじさいや かみゆいのていしゅの しらんかお)
        ※散歩道沿いに小さな美容院がある。そこの広め
         の駐車場には「犬の・・おことわり」の立札が
         二つもあある。朝旦那さんらしい人がいた。過
         去に一二度失敬したことがあるので、私も犬も
         うしろめたさもあり、軽く会釈をした。彼はそ
         れを冷たく無視した。愛犬家はイケスカナイと
         思っているのだろう。きっと。

7/12fri
梅雨明けず 工夫の肩に 赤トンボ
     (つゆあけず こうふのかたに あかとんぼ)
        ※小雨の中道路工事をしている人の肩に赤とんぼ
         がとまっていた。昨日のオハグロトンボといい、
         今日の赤トンボ、梅雨明けが近いのか? それ
         とも何かいいことの前兆か?

7/11thu
梅雨の夕 オハグロ低く 家路かな
     (つゆのゆう おはぐろひくく いえじかな)
        ※梅雨の晴れ間も2日とは持たない。今日は朝の
         日差しも次第に弱く、午後には今にも降り出す
         ような雲に覆われた。ハグロトンボ(羽黒蜻蛉)
         はどうしても梅雨明け後暑い日の木陰の印象。
         今シーズン初お目見え。

7/10wed
どの家も 紫陽花ムクゲ タチアオイ
     (どのいえも あじさいむくげ たちあおい)
        ※朝から久しぶりの晴れ間。しっかりした日差し
         はほぼ10日ぶりかな? それで、この駄句。
         小学生の作のよう? この季節、散歩道沿いの
         家々にはなじみの深い花が咲いている。ムクゲ
         とくれば畑にはオクラの花が。
         ついでにダクをもう一つ。

カンナ咲く 同じ色した 橋近く
     (かんなさく おなじいろした はしちかく)

7/8mon
緑陰に エレクトーン鳴るか 皺の手よ
     (りょくいんに えれくとーんなるか しわのてよ)
        ※昔のエレクトーンを引っ張り出し、机のすぐ横
         にセットしてみた。教則本の類は見つからない。
         古い挫折に対してリベンジなんて露ほども思わ
         ないが、鍵盤を押せば音が出るゥ。少しも狂っ
         ていないようだ。
         指も動くよ。やっぱり才能あるのかな・・・。

7/7sun
梅雨寒や 犬の病の 癒えざる日
     (つゆざむや いぬのやまいの いえざるひ)
        ※今日も朝からどんより曇り、時々雨。こんな日
         がまだ続くようだ。義兄の納骨で近くの寺まで
         出かける。晴れ男がいなくなって肌寒いほど。
         我が家の犬8歳は抗生物質服用で一週間がたつ。
         目の下の腫れも大分おさまったが、元通りには
         遠い。やっぱり歯槽膿漏だろうか?

7/6sat
しなやかに 山男の筆や 白むくげ
     (しなやかに やまおとこのふでや しろむくげ)
        ※胃の手術を受けた友人に会った。一時的にせよ
         痩せて弱っているかと思ったが、久しぶりに見
         た印象はかえって健康的に見えたからびっくり。
         過剰なものが削ぎ落とされて、すっきりした感
         じ。一安心。ビールで乾杯。
         アレコレとやりたいものは一向に削ぎ落とされ
         ていないようだ。書道を何年か前から師匠につ
         いているとか、彼のガラには合わないけれど、
         そこがまたいいなァ・・・。

7/4thu
破れ家に 軒より低き 桐の花
     (やぶれやに のきよりひくき きりのはな)
        ※九州南部や四国では豪雨が深刻な状況に。当地
         も朝から強い風を伴った雨が続く。

7/2tue
なければと 免許の話 半夏生
     (なければと めんきょのはなし はんげしょう)
        ※高齢者の運転免許返上の話題。地方のシニア仲
         間は「生活が成り立たない」の意見が圧倒的。
         都内のようにバスなど交通手段の支援施策もな
         いし、それ以前に交通手段が少ないから。
         でも、「白タク容認」の下では現実的提案があ
         りそうな気もする。

7/1mon
図書館の 返却口に 桔梗濃き
     (としょかんの へんきゃくぐちに ききょうこき)

読書室 静謐涼し 白い服
     (どくしょしつ せいひつすずし しろいふく)
        ※家内のクルマで図書館に行き、3、4時間後再
         びクルマに拾ってもらって帰る。これって図書
         館をデイケアに使っているのでは?と疑われか
         ねない。否定はできない。だけど昼ご飯や入浴
         はないからね。
         午前中早くの図書館はシーンとしてて至福の時
         間。ワクワクしてしまって落ち着かない。


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