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ダクタク句集2017年(平成29年)下期 自選集 [自選集2017]

12/31sun 2017
ほうきやの 嬶が店出す 大晦日
     (ほうきやの かかあがみせだす おおみそか)

12/30sat 2017
拍子木の 遠く近くで 動きおり
     (ひょうしぎの とおくちかくで うごきおり)
        ※年末はどの町内も毎日火の用心の声が聞こえる。
         軽トラにスピーカーをつけてやっていたところも、
         いつしか本来の復古調に。当番を決め、拍子木の
         音に続いて皆で声を合わせる。
         勤め人は大方家にいる昨日今日、「年末が正月ら
         しくなって」きた。あの声、落ち着くなァ・・・。
         (正月は年々落ち着かなくなってきている、とか)

12/29fri 2017
おしつまる 障子は小さき 紙を貼り
     (おしつまる しょうじはちいさき かみをはり)
        ※家の大掃除、思ったほどにははかどらず、第4コ
         ーナーを回ったところでタメ息が。障子は今年も
         全面張替えを断念し、小さな紙で部分補修となる。
         紙を花の形にしたり、色紙で昆虫をまねたり、せ
         めて工夫したつもりが終わって眺めたら、成果は
         イマイチ。もう2日。

12/28thu 2017
賀状書かぬ 師走わずかに 日脚伸ぶ
     (がじょうかかぬ しわすわずかに ひあしのぶ)
        ※新年の挨拶は遠慮することにしている。賀状の用
         意をしない12月もおしせまって、今日は誕生日で
         やわらかな日差しが降りそそいでいる。俳句は季
         語の重なりを原則禁じるが、これはなんと三つも
         ・・・、季語のテンコモリ。

12/24sun 2017
入院の 寝着でやつれ 聖夜かな
     (にゅういんの ねまきでやつれ せいやかな)
        ※どういうわけか病院の寝間着に着替え、ベッドに
         横になると、途端にやつれて見えた。患者らしく
         なったということ。

12/23sat 2017
犬が寝て 手が動きおり 冬至の夜
     (いぬがねて てがうごきおり とうじのよ)
        ※犬や猫のペットが寝ぼける、夢を見る、寝言を言
         うとか言われるが、どうなのだろう? 当家の7歳
         メス雑種犬は眠っている時に、表情は変えないが
         オテのように片方の前足を差し出す仕草をする。
         夢を見ているとしか思えない。

12/18mon 2017
門前に 居酒屋開くを 待つ初冬
     (もんぜんに いざかやあくを まつしょとう)
        ※居酒屋の席に案内され、営業時間までそのまま
         待たされる。ビールもこない。文句は言わない。

12/17sun 2017
男とて 暮らしのことなど 渓紅葉
     (おとことて くらしのことなど たにもみじ)  
        ※久しぶりとはいえ、話題はいつも高尚にというわけ
         にはいかない。気のおけない間柄はまず暮らし向
         きのことに始まる。医療費がどうの、年金がどうの
         ・・・。話題に男女の差は縮まっていくものなのだろ
         うか?

12/13wed 2017
干し柿と 同じ色ともる 友の家
     (ほしがきと おなじいろともる とものいえ)
        ※古い家でどうにも・・・と言っていたが、よその目
         からすれば羨ましいことばかり。縁側があり、庭
         に面して木製雨戸がある。まして、この御仁は
         茶の間の窓に障子を残している。夕方近くを通
         ると、今ではレアものとなった「暖か色の光」が
         障子窓にほんのり映っている。いいなァと眺め
         る。これはもう皆のために残すべきだ。寒さをこ
         らえるのは本人。

12/11sat 2017
亡父の名を ちゃんづけで呼ぶ 露時雨
     (ちちのなを ちゃんづけでよぶ つゆしぐれ)
        ※父の親しい友人がいつも「ちゃん」づけで呼んで
         いたことをふと思い出した。それを真似てふざけ
         て「〇〇ちゃん」と呼んだことも。今は二人ともい
         ない。なのに「ちゃん」で呼ぶ音の響きが耳を離
         れない。

12/10sun 2017
鼻水の 光る飼い主 曳かれおり
     (はなみずの ひかるかいぬし ひかれおり)
        ※今朝は今シーズン一の冷え込み。風邪気味を押し
         ての犬の散歩はきびしい。あれッ、向こうからも元
         気な犬に引っ張られてシニアがやってくる。あれあ
         れ・・・鼻水たらして。良く見ると、犬も飼い主も似て
         いる。誰に?・・・。微熱の朝の幻想。

12/7thu 2017
本線は 50万ボルトと 冬に咆え
     (ほんせんは ごじゅうまんぼるとと ふゆにほえ)
        ※送電線の鉄塔を何本も見通せる場所がある。豪
         快な冬空を背景にしたところはなかなかのものだ。

12/6wed 2017
室蘭に 母恋という街 寒夜かな
     (むろらんに ぼこいというまち かんやかな)
        ※なにげなく母恋の街を思い出した。室蘭に住んだ
         のは40年以上前、今にして思えばなにもかもが
         輝いた体験だった。夏にも思い出すし、冬にも。
         きれいに整備された街に、あの頃と同じ素晴らし
         い光がさしているだろうか? そしてあの頃の大
         好きな人たちは・・・。

12/5tue 2017
秋深し 挑みし本を 置く今宵
     (あきふかし いどみしほんを おくこよい)
        ※なにも今宵に限ったことではない。読んでみた
         いなァと思っても、過去の実績から読了困難?
         と思われるタイプの本がある。ヒマは無限にあ
         るのに・・・と思いつつ、繰り返し押し寄せるギ
         ブアップの波に抗しきれずに枕元に放り出す。

12/3sun 2017
さおだけぇ テープなれども 師走かな
     (さおだけぇ てーぷなれども しわすかな)
        ※物干し竿売りの呼び声が聞こえる。スピーカー
         から流れるのはテープの音だが、12月なら「い
         いかな」と思う。売っているのは最早ステンレス
         製だけだけれど。

12/1fri
酉の市 住んだ街まで 廻り道
     (とりのいち すんだまちまで まわりみち)
        ※今年は三の酉まであり、11月30日でした。行く
         ことはできませんでしたが、縁起熊手を求める人
         と売り手の掛け合い、恒例の手締めの光景が報
         道されていました。地方出の者にとっては、こうし
         た下町の季節の催しにはなぜか憧れが強く、ちょ
         っと遠くの駅で降り、ゆっくり徒歩で出向いたもの
         でした。

11/30thu 2017
鹿野山 古寺は甍も 黄ばみおり
     (かのうざん こじはいらかも きばみおり)

11/26sun 2017
蓮根掘り もはや体験 すべからず
     (はすねほり もはやたいけん すべからず)
        ※初冬の風物詩、内房線沿いに蓮田が広がる。以前
         住んだ浜松市でも天竜川の支流沿いに蓮田があり、
         季節には蓮根堀りの作業を眺めたものだ。発動機
         によるポンプで水を噴出させ、泥を飛ばして蓮根を
         取り出し、浮かべた舟に乗せる。寒風の中、時には
         腰まで畑の水と泥に浸かりながらの作業だ。最近は
         観光用の体験教室なんてのもあるらしいが・・・。

11/22wed 2017
干し柿の 数を減らして 見張り番
     (ほしがきの かずをへらして みはりばん)
        ※このところの寒さは一日の寒暖差も大きく、干し
         柿には最適らしい。しかし、そろそろとなると鳥た
         ちがやって来る。尾長、ヒヨドリなど。実に賢いし、
         かつ貪欲である。
         畑では良い出来だと楽しみにしていた落花生が
         軒並みハクビシンにやられガックリきた。鳥たち
         にも寛容ではいられない。

豊作や 僧が風切る スクーター
     (ほうさくや そうがかぜきる すくーたー)
        ※若い僧侶が秋晴れの街道を行く。農家は不順な夏
         の天候で心配されたが、まずまずの米作だったとか。
         秋の野菜収穫は絶好調。豊作であれば檀家の実入
         りも豊かだろう。お布施も・・・。お坊さんの表情も明
         るい。

11/21tue 2017
秋の句を 諳んじ若き 僧が行く
     (あきのくを そらんじわかき そうがいく)
        ※後を継いだ坊さんは地域の文化活動にも積極的だ。
         句会とか歴史講座などにお寺を開放している。彼自
         身が句会の有力メンバー。

11/17fri 2017
柿たわわ 食い散らしたる 日々遥か
     (かきたわわ くいちらしたる ひびはるか)
        ※こちらは時期的にはちょっと前。小粒の甘柿。

11/16thu 2017
松茸や 薄いが施設の 土瓶蒸し
     (まつたけや うすいがしせつの どびんむし)
        ※介護付き有料老人ホームに見学に行った。それ
         も丁寧なバージョンらしくて、昼食と喫茶付きであ
         る。最近は地方でも街中の一角に開業する例が
         多い。自然が多すぎて、人間の住む環境が恋しい、
         といった笑えない話は減ったみたい。びっくりした
         のは昼食についた土瓶蒸しだ。マッタケを過度に
         ありがたがる人種には属さないが、つましい暮ら
         しだから何年ぶりだろう?

11/14tue 2017
故郷の 紅葉ひときわ チバニアン
     (ふるさとの もみじひときわ ちばにあん)
        ※市原市養老川沿いの地層が地球の歴史を画する
         標準標本と認められた。地球新生代の一時期(77
         万年前~13万年前)の名称として「チバニアン(千
         葉時代)」が採用され、全世界で使用される。一時
         期とはいえ、ざっと64万年間、6400世紀分だ。
         以前訪れた場所、紅葉の盛りにはちょっと早いが、
         地球の磁場NSの転換を証明する地層が朝の光に
         輝いている。


11/12sun 2017
人知れず コンビニ裏の アケビかな
     (ひとしれず こんびにうらの あけびかな)
        ※なんとか今年も収穫?したい。侵入罪、窃盗罪に
         ならないように気をつけて、暗くなってこっそりと。
         ちょうど絵画教室の会があるから格好の素材にな
         るのでは、と思っている。

11/8wed 2017
野菜手に ダム人帰る 秋の暮
     (やさいてに だむびとかえる あきのくれ)
        ※ダムを保守する人々が交代で街に帰っていく。近
         くの村で求めた野菜を持って。キノコやアケビなど、
         ここにはお宝も多い。 

11/6mon 2017
ふかしたる 大芋の湯気 子の目線
     (ふかしたる おおいものゆげ このめせん)
        ※今年の収穫したサツマイモは品種のせいかどうか
         大ぶりである。無理は覚悟で、切らずにそのまま
         ふかしてみた。「アッチッチー」と言いながら半分に
         すると盛大な湯気が・・・。その向こうに子供たちの
         顔が見える。今時の子供は女の子でもイモ好きは
         少なくなったというが、大芋の迫力はすごい。

11/5sun 2017
秋の灯や 父の草書に 歯が立たず
     (あきのひや ちちのそうしょに はがたたず)
        ※文化の日。先人の文物に接し、楽しむなかで、更
         なる文化が育まれるものだろうけれど、親の書付
         すら読めないとは・・・。

10/29sun 2017
もうとろう 妻まだまだと 柿笑う
     (もうとろう つままだまだと かきわらう)
        ※台風22号が今夜にも接近しそう。強風の前に柿
         をとろうとするが反対される。このあたりではたわ
         わに実った柿を収穫しようとしない家々が多い中
         で、我が家はなんとも・・・。

10/27fri 2017
棄てられし 野菜崩れる 野分かな
     (すてられし やさいくずれる のわきかな)
        ※日照時間が少なかった夏は野菜の価格が急騰し
         たが、旬の野菜は9月後半に入って落ち着いた。
         しかしこうなると一部は価格が急落して、運賃す
         ら出ないとかで出荷されず、畑の傍らに捨てられ
         てしまう。そうした野菜の山が台風21号の風で
         散々に吹き飛ばされている。

10/26thu 2017
ヤギ二頭 草食む上に 柿千個
     (やぎにとう くさはむうえに かきせんこ)
        ※今日は「柿の日」とか。いわれは知らない。いつも
         散歩で見かけるヤギは薄暮の光でやっと確認できた。
         ヤギがいるのは柿の木10本ほどの畑、どの木も葉
         が落ちて赤い実がたわわになっている。
         古式ゆかしい日本の景色? いや、新型のイルミネ
         ーションのデザインかとも思う。その下は明るくは
         ないが・・・。

10/22sun 2017
秋さわぎ ロボコン部室の 灯が揺れる
     (あきさわぎ ろぼこんぶしつの ひがゆれる)
        ※台風が接近し、既に強風が吹き荒れている。木更
         津高専チームは過去に大会で活躍した強豪。人気
         があるのか、部室は結構な数の男女で賑わってい
         る。悪天候の週末も遅くまで。

10/21sat 207
野球部の 子ら声変わり オフの秋
     (やきゅうぶの こらこえがわり おふのあき)
        ※近くの中学校の野球部、夏に2年生以下の新チ
         ームになり、秋の新人戦も終えた。朝のランニン
         グの掛け声がぐっと低くなったような気がする。み
         んな声変わりの時期だ。

10/19thu 2017
冷やかに バッハのアダージョ のみを聴く
     (ひややかに ばっはのあだーじょ のみをきく)
        ※大学時代の友人が会社経営を託した子息に先立た
         れたという。言葉がなかった。

10/13fri 2017
クレオメは 暑い日々から 三月咲き 
     (くれおめは あついひびから みつきさき)
        ※クレオメ(風蝶草)は妻がもらってきて植えたも
         のだ。大好きな花の一番のニューフェース。5本
         ほどが次々と花をつけ、3ヶ月以上になる。
         「花魁草」と間違えた記事を書いたのが8/14。そ
         れからもずうっと。現在は最後の一本だから、月
         末まで持つかな? 一日花で咲き終わると節を
         作るようにして上に伸びて咲くから、咲いた日数、
         回数が節の数でわかる。

10/12thu 2017
ウンという 仁王すじ雲の 空に立つ
     (うんという におうすじぐもの そらにたつ)
        ※「阿吽」の両像のうち描くの吽像。秋のすじ雲を
         背景にスクッと立つ仁王像は生半可な写生を跳
         ね返す。

10/10tue 2017
秋日和 師の絵横目で 描けども
     (あきびより しのえよこめで えがけども)
        ※今日の絵画教室は郊外に出かけてのスケッチ。
         天気が良すぎて、10月で熱中症要注意の夏日と
         なった。どこを描くかより、いい日陰があるかどう
         かを優先。先生のすぐ隣で、真似をする良い機
         会だと意気込んだのだが、結果はまだまだ。

10/8sun 2017
赤き紅 真っ赤なバイクの シニア行く
     (あかきべに まっかなばいくの しにあいく)
        ※爽やかな秋の朝にぴったり。

10/6fri 2017
秋の道 老執事行く 恋の旅
     (あきのみち ろうしつじゆく こいのたび)
        ※映画のすじなんかは割愛。最後半に主人公が
         信じる女性を訪ねて行くシーンが印象的だ。

9/29fri 2017
秋彼岸 菓子量り売る ジジの店
     (あきひがん かしはかりうる じじのみせ)
        ※孫らしき子供が祖父母と遊ぶ店があった。なつか
         しいお菓子、煎餅や飴玉などがガラスの容器に入
         っていて見た目が本当にきれい。全てバラ売りか
         量り売りとか。

9/28thu 2017
句碑ありて 根岸の里の 路地の秋
     (くひありて ねぎしのさとの ろじのあき)
        ※根岸の里という響きがいい。江戸時代から明治大
         正期までの通り呼び名か、今は台東区根岸。隣接
         するのは下谷、更に南は入谷、その東側は浅草。
         江戸の繁華街の郊外になる。現代の根岸のウリ
         は子規庵と路地の散策。

9/24sun 2017
糸瓜忌や 居士の倍なる 年齢数え
     (へちまきや こじのばいなる としかぞえ)
        ※9月22日鶯谷駅近く根岸に子規庵を訪ねた。糸
         瓜忌にちなんで友人と行ったのだが、生憎雨降り。
         その分しっとりと庵を楽しむことが出来た。加えて
         現在「生誕150年記念特別展示」中である。
         友人ともども子規没年年齢の倍以上・・・。今更に
         子規の偉業を感じた。 
       
9/20wed 2017
メール来る 友の秀句や 秋日和
     (めーるくる とものしゅうくや あきびより)
        ※台風一過で秋日和。友人とは月に一二度メールの
         やり取りをしている。お互いに3句ほど直近の句を
         交換する。なかなか良い頻度で気に入っている。
         強風が吹き荒れた後のほっとした気持ちが感じ取
         れた。

9/9sat 2017
遅き実を 黙って待ちし 糸瓜かな
     (おそきみを だまってまちし へちまかな)
        ※6月の畑に棚を作ったが、他のツル物が次々と実
         をつけ収穫を迎えたのに、糸瓜は葉っぱと多くの
         花をつけるが、実の成長は遅々としていた。
         子規が日夜眺めた庭に、夏はヘチマが実をつけた。
         彼は成長を喜び、ヘチマ水を飲んだとか。同じヘチ
         マでも万分の一の詩心さえないのが哀しい。

9/7thu 2017
ハッピ着た 男が笑う 別な顔
     (はっぴきた おとこがわらう べつなかお)
        ※法被を着て、一杯入った赤い顔の男がこちらを見
         て会釈した。アレッ?と一瞬思ったが、時々朝に挨
         拶する人と思いついた。あの真面目そうな彼が・・・。

9/1fri 2017
防災の 話あるとて 萩の家
     (ぼうさいの はなしあるとて はぎのいえ)
        ※町内の各班ごとに集合して、防災の学習をすると
         か。教材はなにかと問えば、漬物やらお菓子の持
         ち寄りと言う。ははーん、食料の備蓄の訓練かな?

8/31thu 2017
病院の 裏手のヤギの 眼が強し
     (びょういんの うらてのやぎの めがつよし)
        ※草を食むヤギに我が家の犬が尻尾を振って近づく。
         痩せてはいても大柄のヤギが悠然と振り向く。犬は
         この一瞬でたじろぐ。おとなしい、やさしい・・・という
         ヤギだが、目と目線は意外と厳しい。

8/27sun 2017
秋来ぬと 沙矢香の弦の 響きかな
     (あききぬと さやかのげんの ひびきかな)
        ※庄司紗矢香の比較的新しいYouTube。ヴィバ
         ルディ「四季」のアレンジ版というのも、室内楽
         団を彼女がリードしての演奏というのも面白い。

8/26sat 2017
お座敷へ 路地にさやかな 風蝶草
     (おざしきへ ろじにさやかな ふうちょうそう)
8/15tue 2017
墓地を掃く 少女なりけり 盆の朝
     (ぼちをはく しょうじょなりけり ぼんのあさ)
        ※早朝墓参の人はまだ殆どいない。静寂。墓地の
         通路を掃除していたのは、いつも見かける寺の人
         ではなく、作業の服装を整えた若い女性だった。

8/14mon 2017
盆の入り 夕に紅さす 花魁草
     (ぼんのいり ゆうにべにさす おいらんそう)
        ※ピンクの可憐な花々にかんざしのような細いツル
         を伸ばした花魁草は、夕方になると蕾が真っ赤に
         見えて、色合いが増す。
         故人をしのぶ迎え日の気持ちは、恋しい人を待っ
         て紅をさす花魁の切ない思いに通じるものがある
         ・・・。
         (実は実は花魁草というのは別の花で、長い間勘
          違いしていた。今日句にした花は「クレオメ」が
          本名らしい。別名「風蝶草」、「酔蝶花」とか)

8/9wed 2017
長崎の空 絶対悪という響き
      (ながさきのそら ぜったいあくというひびき)
        ※今日9日は長崎原爆の日。

8/8tue 2017
新聞で くるむ野菜の 昭和かな
     (しんぶんで くるむやさいの しょうわかな)
        ※今季の畑で自慢の作は「小玉スイカ」。これを新
         聞紙でくるむ。設定も新聞紙の上にズッキーニ、
         トウモロコシ、ゴーヤ、ナス、トマトを配し、傍らに
         麦わら帽子を添えた。
         野趣あふれる昭和の畑のイメージ。

8/7mon 2017
盆踊り 帰りはスイカの 賞品と
     (ぼんおどり かえりはすいかの しょうひんと)
        ※優秀な踊り手に与えられる賞品? いや、そうで
         はない。盆踊り大会の今時の売りは「抽選会」で
         ある。これがあるから、年寄りも若者も集まる。
         長らくクジ運に恵まれなかったが、今年は二等賞
         のスイカが当たった。

8/6sun 2017
原爆忌 朝一番の 草むしり
     (げんばくき あさいちばんの けさむしり)
        ※暑さがもどってきて、今日の広島原爆記念日。朝の
         うち日陰で庭仕事をする。家の中から記念式典を伝
         えるラジオの音が・・・。

7/23sun 2017
夾竹桃 愛煙患者の 吹き溜まり
     (きょうちくとう あいえんかんじゃの ふきだまり)
        ※いつも通る病院の、道路沿いに置いてあるベンチ。
         入院患者が朝の一服とおしゃべり。怪我などの外
         科の患者だから、包帯は巻いていても至極元気が
         良い。こちらの犬にまで挨拶してくれる。
         それにしても病院の「敷地内全面禁煙」だが、外来
         患者や職員、見舞い客などはわかるが、入院患者
         に関してはいかがなものか? 敷地外には行けな
         いのだから・・・。喫煙禁止とまで言うんですか? 
         ちょっと前まではこうした患者の交流の場は病棟の
         各階毎にあったものだ。もちろん灰皿付きで。

7/21fri 2017
陽水の 少年時代の 空と雲
     (ようすいの しょうねんじだいの そらとくも)
        ※真っ青な空にモクモクと立ち上る入道雲。自分の
         記憶の底にある夏の空と雲、陽水の曲から連想す
         る空と雲、8月終戦にまつわる出来事のシンボル
         としての空と雲・・・三つとも思い浮かべる空と雲の
         イメージはみな同じ。

7/20thu 2017
姉に送る 我が家の桃の 宅急便
     (あねにおくる わがやのももの たっきゅうびん)
        ※家内が、病気で遠くに離れてしまった姉に桃を送
         った。一番良いのは鳥にやられ二番手ということ
         になるが、甘さと香りは抜群。これを味わって早く
         帰って来て・・・と。

7/14fri 2017
熱帯夜 芳紀18歳が 枕辺に
     (ねったいや ほうきじゅうはっさいが まくらべに)
         ※23時前、東に向いた寝室の窓を全開にして就
          寝。暑気は残るが心地よい涼風も来る。なによ
          り雲のない空に見事な月が・・・。月齢18歳ちょ
          っとの色白な月だ。真っ暗な寝床で目を凝らす。
          暑苦しさがすーっと引き、落ち着いてくる。絶
          妙なタミング。

7/12wed 2017
香港の 一国二制度 明けぬ梅雨
     (ほんこんの いっこくにせいど あけぬつゆ)
        ※文字通りに期待した人は少なかったかも知れない
         が、中国一国に占める香港のウェイトがこんなに
         も急速に下げるとは、そして大中華思想に浮かれ
         る中国の「民意」がこんなにも急に膨張するとは
         ・・・。かの国に民意があるとしての話だが。

7/8sat 2017
再会は 炎熱の日の ビル影で
     (さいかいは えんねつのひの びるかげで)
        ※昨夜は元の勤務先の同期会。最寄りの駅で待ち
         合わせ、馴れた道を歩いて会場まで行く。代々木
         の森も喘いでいる。暑さのピークを避けての日程
         なのだが、今年はこれだ。ただ暑い。

7/7fri 2017
酔芙蓉 遠き日京島の 親子連れ
     (すいふよう とおきひきょうじまの おやこづれ)
        ※酔芙蓉の見事な花を見た。ちょうど一年ほど前、
         曳舟で降りて、京島界隈を訪ねた時を思い出した。
         初めてなのに何故か懐かしい町並みと路地のたた
         ずまいがいい。スカイツリーが見下ろす街として再
         開発が進行しているようだが、もう少しそっとしてお
         いて貰いたい・・・、と勝手な希望が。
         突然の降雨で、子の手を引く女性が傘をさして歩
         く傍らに酔芙蓉が咲いていた。



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