ダクタク句集2017年(平成29年)下期 自選集 [自選集2017]
12/31sun 2017
ほうきやの 嬶が店出す 大晦日
(ほうきやの かかあがみせだす おおみそか)
12/30sat 2017
拍子木の 遠く近くで 動きおり
(ひょうしぎの とおくちかくで うごきおり)
※年末はどの町内も毎日火の用心の声が聞こえる。
軽トラにスピーカーをつけてやっていたところも、
いつしか本来の復古調に。当番を決め、拍子木の
音に続いて皆で声を合わせる。
勤め人は大方家にいる昨日今日、「年末が正月ら
しくなって」きた。あの声、落ち着くなァ・・・。
(正月は年々落ち着かなくなってきている、とか)
12/29fri 2017
おしつまる 障子は小さき 紙を貼り
(おしつまる しょうじはちいさき かみをはり)
※家の大掃除、思ったほどにははかどらず、第4コ
ーナーを回ったところでタメ息が。障子は今年も
全面張替えを断念し、小さな紙で部分補修となる。
紙を花の形にしたり、色紙で昆虫をまねたり、せ
めて工夫したつもりが終わって眺めたら、成果は
イマイチ。もう2日。
12/28thu 2017
賀状書かぬ 師走わずかに 日脚伸ぶ
(がじょうかかぬ しわすわずかに ひあしのぶ)
※新年の挨拶は遠慮することにしている。賀状の用
意をしない12月もおしせまって、今日は誕生日で
やわらかな日差しが降りそそいでいる。俳句は季
語の重なりを原則禁じるが、これはなんと三つも
・・・、季語のテンコモリ。
12/24sun 2017
入院の 寝着でやつれ 聖夜かな
(にゅういんの ねまきでやつれ せいやかな)
※どういうわけか病院の寝間着に着替え、ベッドに
横になると、途端にやつれて見えた。患者らしく
なったということ。
12/23sat 2017
犬が寝て 手が動きおり 冬至の夜
(いぬがねて てがうごきおり とうじのよ)
※犬や猫のペットが寝ぼける、夢を見る、寝言を言
うとか言われるが、どうなのだろう? 当家の7歳
メス雑種犬は眠っている時に、表情は変えないが
オテのように片方の前足を差し出す仕草をする。
夢を見ているとしか思えない。
12/18mon 2017
門前に 居酒屋開くを 待つ初冬
(もんぜんに いざかやあくを まつしょとう)
※居酒屋の席に案内され、営業時間までそのまま
待たされる。ビールもこない。文句は言わない。
12/17sun 2017
男とて 暮らしのことなど 渓紅葉
(おとことて くらしのことなど たにもみじ)
※久しぶりとはいえ、話題はいつも高尚にというわけ
にはいかない。気のおけない間柄はまず暮らし向
きのことに始まる。医療費がどうの、年金がどうの
・・・。話題に男女の差は縮まっていくものなのだろ
うか?
12/13wed 2017
干し柿と 同じ色ともる 友の家
(ほしがきと おなじいろともる とものいえ)
※古い家でどうにも・・・と言っていたが、よその目
からすれば羨ましいことばかり。縁側があり、庭
に面して木製雨戸がある。まして、この御仁は
茶の間の窓に障子を残している。夕方近くを通
ると、今ではレアものとなった「暖か色の光」が
障子窓にほんのり映っている。いいなァと眺め
る。これはもう皆のために残すべきだ。寒さをこ
らえるのは本人。
12/11sat 2017
亡父の名を ちゃんづけで呼ぶ 露時雨
(ちちのなを ちゃんづけでよぶ つゆしぐれ)
※父の親しい友人がいつも「ちゃん」づけで呼んで
いたことをふと思い出した。それを真似てふざけ
て「〇〇ちゃん」と呼んだことも。今は二人ともい
ない。なのに「ちゃん」で呼ぶ音の響きが耳を離
れない。
12/10sun 2017
鼻水の 光る飼い主 曳かれおり
(はなみずの ひかるかいぬし ひかれおり)
※今朝は今シーズン一の冷え込み。風邪気味を押し
ての犬の散歩はきびしい。あれッ、向こうからも元
気な犬に引っ張られてシニアがやってくる。あれあ
れ・・・鼻水たらして。良く見ると、犬も飼い主も似て
いる。誰に?・・・。微熱の朝の幻想。
12/7thu 2017
本線は 50万ボルトと 冬に咆え
(ほんせんは ごじゅうまんぼるとと ふゆにほえ)
※送電線の鉄塔を何本も見通せる場所がある。豪
快な冬空を背景にしたところはなかなかのものだ。
12/6wed 2017
室蘭に 母恋という街 寒夜かな
(むろらんに ぼこいというまち かんやかな)
※なにげなく母恋の街を思い出した。室蘭に住んだ
のは40年以上前、今にして思えばなにもかもが
輝いた体験だった。夏にも思い出すし、冬にも。
きれいに整備された街に、あの頃と同じ素晴らし
い光がさしているだろうか? そしてあの頃の大
好きな人たちは・・・。
12/5tue 2017
秋深し 挑みし本を 置く今宵
(あきふかし いどみしほんを おくこよい)
※なにも今宵に限ったことではない。読んでみた
いなァと思っても、過去の実績から読了困難?
と思われるタイプの本がある。ヒマは無限にあ
るのに・・・と思いつつ、繰り返し押し寄せるギ
ブアップの波に抗しきれずに枕元に放り出す。
12/3sun 2017
さおだけぇ テープなれども 師走かな
(さおだけぇ てーぷなれども しわすかな)
※物干し竿売りの呼び声が聞こえる。スピーカー
から流れるのはテープの音だが、12月なら「い
いかな」と思う。売っているのは最早ステンレス
製だけだけれど。
12/1fri
酉の市 住んだ街まで 廻り道
(とりのいち すんだまちまで まわりみち)
※今年は三の酉まであり、11月30日でした。行く
ことはできませんでしたが、縁起熊手を求める人
と売り手の掛け合い、恒例の手締めの光景が報
道されていました。地方出の者にとっては、こうし
た下町の季節の催しにはなぜか憧れが強く、ちょ
っと遠くの駅で降り、ゆっくり徒歩で出向いたもの
でした。
11/30thu 2017
鹿野山 古寺は甍も 黄ばみおり
(かのうざん こじはいらかも きばみおり)
11/26sun 2017
蓮根掘り もはや体験 すべからず
(はすねほり もはやたいけん すべからず)
※初冬の風物詩、内房線沿いに蓮田が広がる。以前
住んだ浜松市でも天竜川の支流沿いに蓮田があり、
季節には蓮根堀りの作業を眺めたものだ。発動機
によるポンプで水を噴出させ、泥を飛ばして蓮根を
取り出し、浮かべた舟に乗せる。寒風の中、時には
腰まで畑の水と泥に浸かりながらの作業だ。最近は
観光用の体験教室なんてのもあるらしいが・・・。
11/22wed 2017
干し柿の 数を減らして 見張り番
(ほしがきの かずをへらして みはりばん)
※このところの寒さは一日の寒暖差も大きく、干し
柿には最適らしい。しかし、そろそろとなると鳥た
ちがやって来る。尾長、ヒヨドリなど。実に賢いし、
かつ貪欲である。
畑では良い出来だと楽しみにしていた落花生が
軒並みハクビシンにやられガックリきた。鳥たち
にも寛容ではいられない。
豊作や 僧が風切る スクーター
(ほうさくや そうがかぜきる すくーたー)
※若い僧侶が秋晴れの街道を行く。農家は不順な夏
の天候で心配されたが、まずまずの米作だったとか。
秋の野菜収穫は絶好調。豊作であれば檀家の実入
りも豊かだろう。お布施も・・・。お坊さんの表情も明
るい。
11/21tue 2017
秋の句を 諳んじ若き 僧が行く
(あきのくを そらんじわかき そうがいく)
※後を継いだ坊さんは地域の文化活動にも積極的だ。
句会とか歴史講座などにお寺を開放している。彼自
身が句会の有力メンバー。
11/17fri 2017
柿たわわ 食い散らしたる 日々遥か
(かきたわわ くいちらしたる ひびはるか)
※こちらは時期的にはちょっと前。小粒の甘柿。
11/16thu 2017
松茸や 薄いが施設の 土瓶蒸し
(まつたけや うすいがしせつの どびんむし)
※介護付き有料老人ホームに見学に行った。それ
も丁寧なバージョンらしくて、昼食と喫茶付きであ
る。最近は地方でも街中の一角に開業する例が
多い。自然が多すぎて、人間の住む環境が恋しい、
といった笑えない話は減ったみたい。びっくりした
のは昼食についた土瓶蒸しだ。マッタケを過度に
ありがたがる人種には属さないが、つましい暮ら
しだから何年ぶりだろう?
11/14tue 2017
故郷の 紅葉ひときわ チバニアン
(ふるさとの もみじひときわ ちばにあん)
※市原市養老川沿いの地層が地球の歴史を画する
標準標本と認められた。地球新生代の一時期(77
万年前~13万年前)の名称として「チバニアン(千
葉時代)」が採用され、全世界で使用される。一時
期とはいえ、ざっと64万年間、6400世紀分だ。
以前訪れた場所、紅葉の盛りにはちょっと早いが、
地球の磁場NSの転換を証明する地層が朝の光に
輝いている。
11/12sun 2017
人知れず コンビニ裏の アケビかな
(ひとしれず こんびにうらの あけびかな)
※なんとか今年も収穫?したい。侵入罪、窃盗罪に
ならないように気をつけて、暗くなってこっそりと。
ちょうど絵画教室の会があるから格好の素材にな
るのでは、と思っている。
11/8wed 2017
野菜手に ダム人帰る 秋の暮
(やさいてに だむびとかえる あきのくれ)
※ダムを保守する人々が交代で街に帰っていく。近
くの村で求めた野菜を持って。キノコやアケビなど、
ここにはお宝も多い。
11/6mon 2017
ふかしたる 大芋の湯気 子の目線
(ふかしたる おおいものゆげ このめせん)
※今年の収穫したサツマイモは品種のせいかどうか
大ぶりである。無理は覚悟で、切らずにそのまま
ふかしてみた。「アッチッチー」と言いながら半分に
すると盛大な湯気が・・・。その向こうに子供たちの
顔が見える。今時の子供は女の子でもイモ好きは
少なくなったというが、大芋の迫力はすごい。
11/5sun 2017
秋の灯や 父の草書に 歯が立たず
(あきのひや ちちのそうしょに はがたたず)
※文化の日。先人の文物に接し、楽しむなかで、更
なる文化が育まれるものだろうけれど、親の書付
すら読めないとは・・・。
10/29sun 2017
もうとろう 妻まだまだと 柿笑う
(もうとろう つままだまだと かきわらう)
※台風22号が今夜にも接近しそう。強風の前に柿
をとろうとするが反対される。このあたりではたわ
わに実った柿を収穫しようとしない家々が多い中
で、我が家はなんとも・・・。
10/27fri 2017
棄てられし 野菜崩れる 野分かな
(すてられし やさいくずれる のわきかな)
※日照時間が少なかった夏は野菜の価格が急騰し
たが、旬の野菜は9月後半に入って落ち着いた。
しかしこうなると一部は価格が急落して、運賃す
ら出ないとかで出荷されず、畑の傍らに捨てられ
てしまう。そうした野菜の山が台風21号の風で
散々に吹き飛ばされている。
10/26thu 2017
ヤギ二頭 草食む上に 柿千個
(やぎにとう くさはむうえに かきせんこ)
※今日は「柿の日」とか。いわれは知らない。いつも
散歩で見かけるヤギは薄暮の光でやっと確認できた。
ヤギがいるのは柿の木10本ほどの畑、どの木も葉
が落ちて赤い実がたわわになっている。
古式ゆかしい日本の景色? いや、新型のイルミネ
ーションのデザインかとも思う。その下は明るくは
ないが・・・。
10/22sun 2017
秋さわぎ ロボコン部室の 灯が揺れる
(あきさわぎ ろぼこんぶしつの ひがゆれる)
※台風が接近し、既に強風が吹き荒れている。木更
津高専チームは過去に大会で活躍した強豪。人気
があるのか、部室は結構な数の男女で賑わってい
る。悪天候の週末も遅くまで。
10/21sat 207
野球部の 子ら声変わり オフの秋
(やきゅうぶの こらこえがわり おふのあき)
※近くの中学校の野球部、夏に2年生以下の新チ
ームになり、秋の新人戦も終えた。朝のランニン
グの掛け声がぐっと低くなったような気がする。み
んな声変わりの時期だ。
10/19thu 2017
冷やかに バッハのアダージョ のみを聴く
(ひややかに ばっはのあだーじょ のみをきく)
※大学時代の友人が会社経営を託した子息に先立た
れたという。言葉がなかった。
10/13fri 2017
クレオメは 暑い日々から 三月咲き
(くれおめは あついひびから みつきさき)
※クレオメ(風蝶草)は妻がもらってきて植えたも
のだ。大好きな花の一番のニューフェース。5本
ほどが次々と花をつけ、3ヶ月以上になる。
「花魁草」と間違えた記事を書いたのが8/14。そ
れからもずうっと。現在は最後の一本だから、月
末まで持つかな? 一日花で咲き終わると節を
作るようにして上に伸びて咲くから、咲いた日数、
回数が節の数でわかる。
10/12thu 2017
ウンという 仁王すじ雲の 空に立つ
(うんという におうすじぐもの そらにたつ)
※「阿吽」の両像のうち描くの吽像。秋のすじ雲を
背景にスクッと立つ仁王像は生半可な写生を跳
ね返す。
10/10tue 2017
秋日和 師の絵横目で 描けども
(あきびより しのえよこめで えがけども)
※今日の絵画教室は郊外に出かけてのスケッチ。
天気が良すぎて、10月で熱中症要注意の夏日と
なった。どこを描くかより、いい日陰があるかどう
かを優先。先生のすぐ隣で、真似をする良い機
会だと意気込んだのだが、結果はまだまだ。
10/8sun 2017
赤き紅 真っ赤なバイクの シニア行く
(あかきべに まっかなばいくの しにあいく)
※爽やかな秋の朝にぴったり。
10/6fri 2017
秋の道 老執事行く 恋の旅
(あきのみち ろうしつじゆく こいのたび)
※映画のすじなんかは割愛。最後半に主人公が
信じる女性を訪ねて行くシーンが印象的だ。
9/29fri 2017
秋彼岸 菓子量り売る ジジの店
(あきひがん かしはかりうる じじのみせ)
※孫らしき子供が祖父母と遊ぶ店があった。なつか
しいお菓子、煎餅や飴玉などがガラスの容器に入
っていて見た目が本当にきれい。全てバラ売りか
量り売りとか。
9/28thu 2017
句碑ありて 根岸の里の 路地の秋
(くひありて ねぎしのさとの ろじのあき)
※根岸の里という響きがいい。江戸時代から明治大
正期までの通り呼び名か、今は台東区根岸。隣接
するのは下谷、更に南は入谷、その東側は浅草。
江戸の繁華街の郊外になる。現代の根岸のウリ
は子規庵と路地の散策。
9/24sun 2017
糸瓜忌や 居士の倍なる 年齢数え
(へちまきや こじのばいなる としかぞえ)
※9月22日鶯谷駅近く根岸に子規庵を訪ねた。糸
瓜忌にちなんで友人と行ったのだが、生憎雨降り。
その分しっとりと庵を楽しむことが出来た。加えて
現在「生誕150年記念特別展示」中である。
友人ともども子規没年年齢の倍以上・・・。今更に
子規の偉業を感じた。
9/20wed 2017
メール来る 友の秀句や 秋日和
(めーるくる とものしゅうくや あきびより)
※台風一過で秋日和。友人とは月に一二度メールの
やり取りをしている。お互いに3句ほど直近の句を
交換する。なかなか良い頻度で気に入っている。
強風が吹き荒れた後のほっとした気持ちが感じ取
れた。
9/9sat 2017
遅き実を 黙って待ちし 糸瓜かな
(おそきみを だまってまちし へちまかな)
※6月の畑に棚を作ったが、他のツル物が次々と実
をつけ収穫を迎えたのに、糸瓜は葉っぱと多くの
花をつけるが、実の成長は遅々としていた。
子規が日夜眺めた庭に、夏はヘチマが実をつけた。
彼は成長を喜び、ヘチマ水を飲んだとか。同じヘチ
マでも万分の一の詩心さえないのが哀しい。
9/7thu 2017
ハッピ着た 男が笑う 別な顔
(はっぴきた おとこがわらう べつなかお)
※法被を着て、一杯入った赤い顔の男がこちらを見
て会釈した。アレッ?と一瞬思ったが、時々朝に挨
拶する人と思いついた。あの真面目そうな彼が・・・。
9/1fri 2017
防災の 話あるとて 萩の家
(ぼうさいの はなしあるとて はぎのいえ)
※町内の各班ごとに集合して、防災の学習をすると
か。教材はなにかと問えば、漬物やらお菓子の持
ち寄りと言う。ははーん、食料の備蓄の訓練かな?
8/31thu 2017
病院の 裏手のヤギの 眼が強し
(びょういんの うらてのやぎの めがつよし)
※草を食むヤギに我が家の犬が尻尾を振って近づく。
痩せてはいても大柄のヤギが悠然と振り向く。犬は
この一瞬でたじろぐ。おとなしい、やさしい・・・という
ヤギだが、目と目線は意外と厳しい。
8/27sun 2017
秋来ぬと 沙矢香の弦の 響きかな
(あききぬと さやかのげんの ひびきかな)
※庄司紗矢香の比較的新しいYouTube。ヴィバ
ルディ「四季」のアレンジ版というのも、室内楽
団を彼女がリードしての演奏というのも面白い。
8/26sat 2017
お座敷へ 路地にさやかな 風蝶草
(おざしきへ ろじにさやかな ふうちょうそう)
8/15tue 2017
墓地を掃く 少女なりけり 盆の朝
(ぼちをはく しょうじょなりけり ぼんのあさ)
※早朝墓参の人はまだ殆どいない。静寂。墓地の
通路を掃除していたのは、いつも見かける寺の人
ではなく、作業の服装を整えた若い女性だった。
8/14mon 2017
盆の入り 夕に紅さす 花魁草
(ぼんのいり ゆうにべにさす おいらんそう)
※ピンクの可憐な花々にかんざしのような細いツル
を伸ばした花魁草は、夕方になると蕾が真っ赤に
見えて、色合いが増す。
故人をしのぶ迎え日の気持ちは、恋しい人を待っ
て紅をさす花魁の切ない思いに通じるものがある
・・・。
(実は実は花魁草というのは別の花で、長い間勘
違いしていた。今日句にした花は「クレオメ」が
本名らしい。別名「風蝶草」、「酔蝶花」とか)
8/9wed 2017
長崎の空 絶対悪という響き
(ながさきのそら ぜったいあくというひびき)
※今日9日は長崎原爆の日。
8/8tue 2017
新聞で くるむ野菜の 昭和かな
(しんぶんで くるむやさいの しょうわかな)
※今季の畑で自慢の作は「小玉スイカ」。これを新
聞紙でくるむ。設定も新聞紙の上にズッキーニ、
トウモロコシ、ゴーヤ、ナス、トマトを配し、傍らに
麦わら帽子を添えた。
野趣あふれる昭和の畑のイメージ。
8/7mon 2017
盆踊り 帰りはスイカの 賞品と
(ぼんおどり かえりはすいかの しょうひんと)
※優秀な踊り手に与えられる賞品? いや、そうで
はない。盆踊り大会の今時の売りは「抽選会」で
ある。これがあるから、年寄りも若者も集まる。
長らくクジ運に恵まれなかったが、今年は二等賞
のスイカが当たった。
8/6sun 2017
原爆忌 朝一番の 草むしり
(げんばくき あさいちばんの けさむしり)
※暑さがもどってきて、今日の広島原爆記念日。朝の
うち日陰で庭仕事をする。家の中から記念式典を伝
えるラジオの音が・・・。
7/23sun 2017
夾竹桃 愛煙患者の 吹き溜まり
(きょうちくとう あいえんかんじゃの ふきだまり)
※いつも通る病院の、道路沿いに置いてあるベンチ。
入院患者が朝の一服とおしゃべり。怪我などの外
科の患者だから、包帯は巻いていても至極元気が
良い。こちらの犬にまで挨拶してくれる。
それにしても病院の「敷地内全面禁煙」だが、外来
患者や職員、見舞い客などはわかるが、入院患者
に関してはいかがなものか? 敷地外には行けな
いのだから・・・。喫煙禁止とまで言うんですか?
ちょっと前まではこうした患者の交流の場は病棟の
各階毎にあったものだ。もちろん灰皿付きで。
7/21fri 2017
陽水の 少年時代の 空と雲
(ようすいの しょうねんじだいの そらとくも)
※真っ青な空にモクモクと立ち上る入道雲。自分の
記憶の底にある夏の空と雲、陽水の曲から連想す
る空と雲、8月終戦にまつわる出来事のシンボル
としての空と雲・・・三つとも思い浮かべる空と雲の
イメージはみな同じ。
7/20thu 2017
姉に送る 我が家の桃の 宅急便
(あねにおくる わがやのももの たっきゅうびん)
※家内が、病気で遠くに離れてしまった姉に桃を送
った。一番良いのは鳥にやられ二番手ということ
になるが、甘さと香りは抜群。これを味わって早く
帰って来て・・・と。
7/14fri 2017
熱帯夜 芳紀18歳が 枕辺に
(ねったいや ほうきじゅうはっさいが まくらべに)
※23時前、東に向いた寝室の窓を全開にして就
寝。暑気は残るが心地よい涼風も来る。なによ
り雲のない空に見事な月が・・・。月齢18歳ちょ
っとの色白な月だ。真っ暗な寝床で目を凝らす。
暑苦しさがすーっと引き、落ち着いてくる。絶
妙なタミング。
7/12wed 2017
香港の 一国二制度 明けぬ梅雨
(ほんこんの いっこくにせいど あけぬつゆ)
※文字通りに期待した人は少なかったかも知れない
が、中国一国に占める香港のウェイトがこんなに
も急速に下げるとは、そして大中華思想に浮かれ
る中国の「民意」がこんなにも急に膨張するとは
・・・。かの国に民意があるとしての話だが。
7/8sat 2017
再会は 炎熱の日の ビル影で
(さいかいは えんねつのひの びるかげで)
※昨夜は元の勤務先の同期会。最寄りの駅で待ち
合わせ、馴れた道を歩いて会場まで行く。代々木
の森も喘いでいる。暑さのピークを避けての日程
なのだが、今年はこれだ。ただ暑い。
7/7fri 2017
酔芙蓉 遠き日京島の 親子連れ
(すいふよう とおきひきょうじまの おやこづれ)
※酔芙蓉の見事な花を見た。ちょうど一年ほど前、
曳舟で降りて、京島界隈を訪ねた時を思い出した。
初めてなのに何故か懐かしい町並みと路地のたた
ずまいがいい。スカイツリーが見下ろす街として再
開発が進行しているようだが、もう少しそっとしてお
いて貰いたい・・・、と勝手な希望が。
突然の降雨で、子の手を引く女性が傘をさして歩
く傍らに酔芙蓉が咲いていた。
ほうきやの 嬶が店出す 大晦日
(ほうきやの かかあがみせだす おおみそか)
12/30sat 2017
拍子木の 遠く近くで 動きおり
(ひょうしぎの とおくちかくで うごきおり)
※年末はどの町内も毎日火の用心の声が聞こえる。
軽トラにスピーカーをつけてやっていたところも、
いつしか本来の復古調に。当番を決め、拍子木の
音に続いて皆で声を合わせる。
勤め人は大方家にいる昨日今日、「年末が正月ら
しくなって」きた。あの声、落ち着くなァ・・・。
(正月は年々落ち着かなくなってきている、とか)
12/29fri 2017
おしつまる 障子は小さき 紙を貼り
(おしつまる しょうじはちいさき かみをはり)
※家の大掃除、思ったほどにははかどらず、第4コ
ーナーを回ったところでタメ息が。障子は今年も
全面張替えを断念し、小さな紙で部分補修となる。
紙を花の形にしたり、色紙で昆虫をまねたり、せ
めて工夫したつもりが終わって眺めたら、成果は
イマイチ。もう2日。
12/28thu 2017
賀状書かぬ 師走わずかに 日脚伸ぶ
(がじょうかかぬ しわすわずかに ひあしのぶ)
※新年の挨拶は遠慮することにしている。賀状の用
意をしない12月もおしせまって、今日は誕生日で
やわらかな日差しが降りそそいでいる。俳句は季
語の重なりを原則禁じるが、これはなんと三つも
・・・、季語のテンコモリ。
12/24sun 2017
入院の 寝着でやつれ 聖夜かな
(にゅういんの ねまきでやつれ せいやかな)
※どういうわけか病院の寝間着に着替え、ベッドに
横になると、途端にやつれて見えた。患者らしく
なったということ。
12/23sat 2017
犬が寝て 手が動きおり 冬至の夜
(いぬがねて てがうごきおり とうじのよ)
※犬や猫のペットが寝ぼける、夢を見る、寝言を言
うとか言われるが、どうなのだろう? 当家の7歳
メス雑種犬は眠っている時に、表情は変えないが
オテのように片方の前足を差し出す仕草をする。
夢を見ているとしか思えない。
12/18mon 2017
門前に 居酒屋開くを 待つ初冬
(もんぜんに いざかやあくを まつしょとう)
※居酒屋の席に案内され、営業時間までそのまま
待たされる。ビールもこない。文句は言わない。
12/17sun 2017
男とて 暮らしのことなど 渓紅葉
(おとことて くらしのことなど たにもみじ)
※久しぶりとはいえ、話題はいつも高尚にというわけ
にはいかない。気のおけない間柄はまず暮らし向
きのことに始まる。医療費がどうの、年金がどうの
・・・。話題に男女の差は縮まっていくものなのだろ
うか?
12/13wed 2017
干し柿と 同じ色ともる 友の家
(ほしがきと おなじいろともる とものいえ)
※古い家でどうにも・・・と言っていたが、よその目
からすれば羨ましいことばかり。縁側があり、庭
に面して木製雨戸がある。まして、この御仁は
茶の間の窓に障子を残している。夕方近くを通
ると、今ではレアものとなった「暖か色の光」が
障子窓にほんのり映っている。いいなァと眺め
る。これはもう皆のために残すべきだ。寒さをこ
らえるのは本人。
12/11sat 2017
亡父の名を ちゃんづけで呼ぶ 露時雨
(ちちのなを ちゃんづけでよぶ つゆしぐれ)
※父の親しい友人がいつも「ちゃん」づけで呼んで
いたことをふと思い出した。それを真似てふざけ
て「〇〇ちゃん」と呼んだことも。今は二人ともい
ない。なのに「ちゃん」で呼ぶ音の響きが耳を離
れない。
12/10sun 2017
鼻水の 光る飼い主 曳かれおり
(はなみずの ひかるかいぬし ひかれおり)
※今朝は今シーズン一の冷え込み。風邪気味を押し
ての犬の散歩はきびしい。あれッ、向こうからも元
気な犬に引っ張られてシニアがやってくる。あれあ
れ・・・鼻水たらして。良く見ると、犬も飼い主も似て
いる。誰に?・・・。微熱の朝の幻想。
12/7thu 2017
本線は 50万ボルトと 冬に咆え
(ほんせんは ごじゅうまんぼるとと ふゆにほえ)
※送電線の鉄塔を何本も見通せる場所がある。豪
快な冬空を背景にしたところはなかなかのものだ。
12/6wed 2017
室蘭に 母恋という街 寒夜かな
(むろらんに ぼこいというまち かんやかな)
※なにげなく母恋の街を思い出した。室蘭に住んだ
のは40年以上前、今にして思えばなにもかもが
輝いた体験だった。夏にも思い出すし、冬にも。
きれいに整備された街に、あの頃と同じ素晴らし
い光がさしているだろうか? そしてあの頃の大
好きな人たちは・・・。
12/5tue 2017
秋深し 挑みし本を 置く今宵
(あきふかし いどみしほんを おくこよい)
※なにも今宵に限ったことではない。読んでみた
いなァと思っても、過去の実績から読了困難?
と思われるタイプの本がある。ヒマは無限にあ
るのに・・・と思いつつ、繰り返し押し寄せるギ
ブアップの波に抗しきれずに枕元に放り出す。
12/3sun 2017
さおだけぇ テープなれども 師走かな
(さおだけぇ てーぷなれども しわすかな)
※物干し竿売りの呼び声が聞こえる。スピーカー
から流れるのはテープの音だが、12月なら「い
いかな」と思う。売っているのは最早ステンレス
製だけだけれど。
12/1fri
酉の市 住んだ街まで 廻り道
(とりのいち すんだまちまで まわりみち)
※今年は三の酉まであり、11月30日でした。行く
ことはできませんでしたが、縁起熊手を求める人
と売り手の掛け合い、恒例の手締めの光景が報
道されていました。地方出の者にとっては、こうし
た下町の季節の催しにはなぜか憧れが強く、ちょ
っと遠くの駅で降り、ゆっくり徒歩で出向いたもの
でした。
11/30thu 2017
鹿野山 古寺は甍も 黄ばみおり
(かのうざん こじはいらかも きばみおり)
11/26sun 2017
蓮根掘り もはや体験 すべからず
(はすねほり もはやたいけん すべからず)
※初冬の風物詩、内房線沿いに蓮田が広がる。以前
住んだ浜松市でも天竜川の支流沿いに蓮田があり、
季節には蓮根堀りの作業を眺めたものだ。発動機
によるポンプで水を噴出させ、泥を飛ばして蓮根を
取り出し、浮かべた舟に乗せる。寒風の中、時には
腰まで畑の水と泥に浸かりながらの作業だ。最近は
観光用の体験教室なんてのもあるらしいが・・・。
11/22wed 2017
干し柿の 数を減らして 見張り番
(ほしがきの かずをへらして みはりばん)
※このところの寒さは一日の寒暖差も大きく、干し
柿には最適らしい。しかし、そろそろとなると鳥た
ちがやって来る。尾長、ヒヨドリなど。実に賢いし、
かつ貪欲である。
畑では良い出来だと楽しみにしていた落花生が
軒並みハクビシンにやられガックリきた。鳥たち
にも寛容ではいられない。
豊作や 僧が風切る スクーター
(ほうさくや そうがかぜきる すくーたー)
※若い僧侶が秋晴れの街道を行く。農家は不順な夏
の天候で心配されたが、まずまずの米作だったとか。
秋の野菜収穫は絶好調。豊作であれば檀家の実入
りも豊かだろう。お布施も・・・。お坊さんの表情も明
るい。
11/21tue 2017
秋の句を 諳んじ若き 僧が行く
(あきのくを そらんじわかき そうがいく)
※後を継いだ坊さんは地域の文化活動にも積極的だ。
句会とか歴史講座などにお寺を開放している。彼自
身が句会の有力メンバー。
11/17fri 2017
柿たわわ 食い散らしたる 日々遥か
(かきたわわ くいちらしたる ひびはるか)
※こちらは時期的にはちょっと前。小粒の甘柿。
11/16thu 2017
松茸や 薄いが施設の 土瓶蒸し
(まつたけや うすいがしせつの どびんむし)
※介護付き有料老人ホームに見学に行った。それ
も丁寧なバージョンらしくて、昼食と喫茶付きであ
る。最近は地方でも街中の一角に開業する例が
多い。自然が多すぎて、人間の住む環境が恋しい、
といった笑えない話は減ったみたい。びっくりした
のは昼食についた土瓶蒸しだ。マッタケを過度に
ありがたがる人種には属さないが、つましい暮ら
しだから何年ぶりだろう?
11/14tue 2017
故郷の 紅葉ひときわ チバニアン
(ふるさとの もみじひときわ ちばにあん)
※市原市養老川沿いの地層が地球の歴史を画する
標準標本と認められた。地球新生代の一時期(77
万年前~13万年前)の名称として「チバニアン(千
葉時代)」が採用され、全世界で使用される。一時
期とはいえ、ざっと64万年間、6400世紀分だ。
以前訪れた場所、紅葉の盛りにはちょっと早いが、
地球の磁場NSの転換を証明する地層が朝の光に
輝いている。
11/12sun 2017
人知れず コンビニ裏の アケビかな
(ひとしれず こんびにうらの あけびかな)
※なんとか今年も収穫?したい。侵入罪、窃盗罪に
ならないように気をつけて、暗くなってこっそりと。
ちょうど絵画教室の会があるから格好の素材にな
るのでは、と思っている。
11/8wed 2017
野菜手に ダム人帰る 秋の暮
(やさいてに だむびとかえる あきのくれ)
※ダムを保守する人々が交代で街に帰っていく。近
くの村で求めた野菜を持って。キノコやアケビなど、
ここにはお宝も多い。
11/6mon 2017
ふかしたる 大芋の湯気 子の目線
(ふかしたる おおいものゆげ このめせん)
※今年の収穫したサツマイモは品種のせいかどうか
大ぶりである。無理は覚悟で、切らずにそのまま
ふかしてみた。「アッチッチー」と言いながら半分に
すると盛大な湯気が・・・。その向こうに子供たちの
顔が見える。今時の子供は女の子でもイモ好きは
少なくなったというが、大芋の迫力はすごい。
11/5sun 2017
秋の灯や 父の草書に 歯が立たず
(あきのひや ちちのそうしょに はがたたず)
※文化の日。先人の文物に接し、楽しむなかで、更
なる文化が育まれるものだろうけれど、親の書付
すら読めないとは・・・。
10/29sun 2017
もうとろう 妻まだまだと 柿笑う
(もうとろう つままだまだと かきわらう)
※台風22号が今夜にも接近しそう。強風の前に柿
をとろうとするが反対される。このあたりではたわ
わに実った柿を収穫しようとしない家々が多い中
で、我が家はなんとも・・・。
10/27fri 2017
棄てられし 野菜崩れる 野分かな
(すてられし やさいくずれる のわきかな)
※日照時間が少なかった夏は野菜の価格が急騰し
たが、旬の野菜は9月後半に入って落ち着いた。
しかしこうなると一部は価格が急落して、運賃す
ら出ないとかで出荷されず、畑の傍らに捨てられ
てしまう。そうした野菜の山が台風21号の風で
散々に吹き飛ばされている。
10/26thu 2017
ヤギ二頭 草食む上に 柿千個
(やぎにとう くさはむうえに かきせんこ)
※今日は「柿の日」とか。いわれは知らない。いつも
散歩で見かけるヤギは薄暮の光でやっと確認できた。
ヤギがいるのは柿の木10本ほどの畑、どの木も葉
が落ちて赤い実がたわわになっている。
古式ゆかしい日本の景色? いや、新型のイルミネ
ーションのデザインかとも思う。その下は明るくは
ないが・・・。
10/22sun 2017
秋さわぎ ロボコン部室の 灯が揺れる
(あきさわぎ ろぼこんぶしつの ひがゆれる)
※台風が接近し、既に強風が吹き荒れている。木更
津高専チームは過去に大会で活躍した強豪。人気
があるのか、部室は結構な数の男女で賑わってい
る。悪天候の週末も遅くまで。
10/21sat 207
野球部の 子ら声変わり オフの秋
(やきゅうぶの こらこえがわり おふのあき)
※近くの中学校の野球部、夏に2年生以下の新チ
ームになり、秋の新人戦も終えた。朝のランニン
グの掛け声がぐっと低くなったような気がする。み
んな声変わりの時期だ。
10/19thu 2017
冷やかに バッハのアダージョ のみを聴く
(ひややかに ばっはのあだーじょ のみをきく)
※大学時代の友人が会社経営を託した子息に先立た
れたという。言葉がなかった。
10/13fri 2017
クレオメは 暑い日々から 三月咲き
(くれおめは あついひびから みつきさき)
※クレオメ(風蝶草)は妻がもらってきて植えたも
のだ。大好きな花の一番のニューフェース。5本
ほどが次々と花をつけ、3ヶ月以上になる。
「花魁草」と間違えた記事を書いたのが8/14。そ
れからもずうっと。現在は最後の一本だから、月
末まで持つかな? 一日花で咲き終わると節を
作るようにして上に伸びて咲くから、咲いた日数、
回数が節の数でわかる。
10/12thu 2017
ウンという 仁王すじ雲の 空に立つ
(うんという におうすじぐもの そらにたつ)
※「阿吽」の両像のうち描くの吽像。秋のすじ雲を
背景にスクッと立つ仁王像は生半可な写生を跳
ね返す。
10/10tue 2017
秋日和 師の絵横目で 描けども
(あきびより しのえよこめで えがけども)
※今日の絵画教室は郊外に出かけてのスケッチ。
天気が良すぎて、10月で熱中症要注意の夏日と
なった。どこを描くかより、いい日陰があるかどう
かを優先。先生のすぐ隣で、真似をする良い機
会だと意気込んだのだが、結果はまだまだ。
10/8sun 2017
赤き紅 真っ赤なバイクの シニア行く
(あかきべに まっかなばいくの しにあいく)
※爽やかな秋の朝にぴったり。
10/6fri 2017
秋の道 老執事行く 恋の旅
(あきのみち ろうしつじゆく こいのたび)
※映画のすじなんかは割愛。最後半に主人公が
信じる女性を訪ねて行くシーンが印象的だ。
9/29fri 2017
秋彼岸 菓子量り売る ジジの店
(あきひがん かしはかりうる じじのみせ)
※孫らしき子供が祖父母と遊ぶ店があった。なつか
しいお菓子、煎餅や飴玉などがガラスの容器に入
っていて見た目が本当にきれい。全てバラ売りか
量り売りとか。
9/28thu 2017
句碑ありて 根岸の里の 路地の秋
(くひありて ねぎしのさとの ろじのあき)
※根岸の里という響きがいい。江戸時代から明治大
正期までの通り呼び名か、今は台東区根岸。隣接
するのは下谷、更に南は入谷、その東側は浅草。
江戸の繁華街の郊外になる。現代の根岸のウリ
は子規庵と路地の散策。
9/24sun 2017
糸瓜忌や 居士の倍なる 年齢数え
(へちまきや こじのばいなる としかぞえ)
※9月22日鶯谷駅近く根岸に子規庵を訪ねた。糸
瓜忌にちなんで友人と行ったのだが、生憎雨降り。
その分しっとりと庵を楽しむことが出来た。加えて
現在「生誕150年記念特別展示」中である。
友人ともども子規没年年齢の倍以上・・・。今更に
子規の偉業を感じた。
9/20wed 2017
メール来る 友の秀句や 秋日和
(めーるくる とものしゅうくや あきびより)
※台風一過で秋日和。友人とは月に一二度メールの
やり取りをしている。お互いに3句ほど直近の句を
交換する。なかなか良い頻度で気に入っている。
強風が吹き荒れた後のほっとした気持ちが感じ取
れた。
9/9sat 2017
遅き実を 黙って待ちし 糸瓜かな
(おそきみを だまってまちし へちまかな)
※6月の畑に棚を作ったが、他のツル物が次々と実
をつけ収穫を迎えたのに、糸瓜は葉っぱと多くの
花をつけるが、実の成長は遅々としていた。
子規が日夜眺めた庭に、夏はヘチマが実をつけた。
彼は成長を喜び、ヘチマ水を飲んだとか。同じヘチ
マでも万分の一の詩心さえないのが哀しい。
9/7thu 2017
ハッピ着た 男が笑う 別な顔
(はっぴきた おとこがわらう べつなかお)
※法被を着て、一杯入った赤い顔の男がこちらを見
て会釈した。アレッ?と一瞬思ったが、時々朝に挨
拶する人と思いついた。あの真面目そうな彼が・・・。
9/1fri 2017
防災の 話あるとて 萩の家
(ぼうさいの はなしあるとて はぎのいえ)
※町内の各班ごとに集合して、防災の学習をすると
か。教材はなにかと問えば、漬物やらお菓子の持
ち寄りと言う。ははーん、食料の備蓄の訓練かな?
8/31thu 2017
病院の 裏手のヤギの 眼が強し
(びょういんの うらてのやぎの めがつよし)
※草を食むヤギに我が家の犬が尻尾を振って近づく。
痩せてはいても大柄のヤギが悠然と振り向く。犬は
この一瞬でたじろぐ。おとなしい、やさしい・・・という
ヤギだが、目と目線は意外と厳しい。
8/27sun 2017
秋来ぬと 沙矢香の弦の 響きかな
(あききぬと さやかのげんの ひびきかな)
※庄司紗矢香の比較的新しいYouTube。ヴィバ
ルディ「四季」のアレンジ版というのも、室内楽
団を彼女がリードしての演奏というのも面白い。
8/26sat 2017
お座敷へ 路地にさやかな 風蝶草
(おざしきへ ろじにさやかな ふうちょうそう)
8/15tue 2017
墓地を掃く 少女なりけり 盆の朝
(ぼちをはく しょうじょなりけり ぼんのあさ)
※早朝墓参の人はまだ殆どいない。静寂。墓地の
通路を掃除していたのは、いつも見かける寺の人
ではなく、作業の服装を整えた若い女性だった。
8/14mon 2017
盆の入り 夕に紅さす 花魁草
(ぼんのいり ゆうにべにさす おいらんそう)
※ピンクの可憐な花々にかんざしのような細いツル
を伸ばした花魁草は、夕方になると蕾が真っ赤に
見えて、色合いが増す。
故人をしのぶ迎え日の気持ちは、恋しい人を待っ
て紅をさす花魁の切ない思いに通じるものがある
・・・。
(実は実は花魁草というのは別の花で、長い間勘
違いしていた。今日句にした花は「クレオメ」が
本名らしい。別名「風蝶草」、「酔蝶花」とか)
8/9wed 2017
長崎の空 絶対悪という響き
(ながさきのそら ぜったいあくというひびき)
※今日9日は長崎原爆の日。
8/8tue 2017
新聞で くるむ野菜の 昭和かな
(しんぶんで くるむやさいの しょうわかな)
※今季の畑で自慢の作は「小玉スイカ」。これを新
聞紙でくるむ。設定も新聞紙の上にズッキーニ、
トウモロコシ、ゴーヤ、ナス、トマトを配し、傍らに
麦わら帽子を添えた。
野趣あふれる昭和の畑のイメージ。
8/7mon 2017
盆踊り 帰りはスイカの 賞品と
(ぼんおどり かえりはすいかの しょうひんと)
※優秀な踊り手に与えられる賞品? いや、そうで
はない。盆踊り大会の今時の売りは「抽選会」で
ある。これがあるから、年寄りも若者も集まる。
長らくクジ運に恵まれなかったが、今年は二等賞
のスイカが当たった。
8/6sun 2017
原爆忌 朝一番の 草むしり
(げんばくき あさいちばんの けさむしり)
※暑さがもどってきて、今日の広島原爆記念日。朝の
うち日陰で庭仕事をする。家の中から記念式典を伝
えるラジオの音が・・・。
7/23sun 2017
夾竹桃 愛煙患者の 吹き溜まり
(きょうちくとう あいえんかんじゃの ふきだまり)
※いつも通る病院の、道路沿いに置いてあるベンチ。
入院患者が朝の一服とおしゃべり。怪我などの外
科の患者だから、包帯は巻いていても至極元気が
良い。こちらの犬にまで挨拶してくれる。
それにしても病院の「敷地内全面禁煙」だが、外来
患者や職員、見舞い客などはわかるが、入院患者
に関してはいかがなものか? 敷地外には行けな
いのだから・・・。喫煙禁止とまで言うんですか?
ちょっと前まではこうした患者の交流の場は病棟の
各階毎にあったものだ。もちろん灰皿付きで。
7/21fri 2017
陽水の 少年時代の 空と雲
(ようすいの しょうねんじだいの そらとくも)
※真っ青な空にモクモクと立ち上る入道雲。自分の
記憶の底にある夏の空と雲、陽水の曲から連想す
る空と雲、8月終戦にまつわる出来事のシンボル
としての空と雲・・・三つとも思い浮かべる空と雲の
イメージはみな同じ。
7/20thu 2017
姉に送る 我が家の桃の 宅急便
(あねにおくる わがやのももの たっきゅうびん)
※家内が、病気で遠くに離れてしまった姉に桃を送
った。一番良いのは鳥にやられ二番手ということ
になるが、甘さと香りは抜群。これを味わって早く
帰って来て・・・と。
7/14fri 2017
熱帯夜 芳紀18歳が 枕辺に
(ねったいや ほうきじゅうはっさいが まくらべに)
※23時前、東に向いた寝室の窓を全開にして就
寝。暑気は残るが心地よい涼風も来る。なによ
り雲のない空に見事な月が・・・。月齢18歳ちょ
っとの色白な月だ。真っ暗な寝床で目を凝らす。
暑苦しさがすーっと引き、落ち着いてくる。絶
妙なタミング。
7/12wed 2017
香港の 一国二制度 明けぬ梅雨
(ほんこんの いっこくにせいど あけぬつゆ)
※文字通りに期待した人は少なかったかも知れない
が、中国一国に占める香港のウェイトがこんなに
も急速に下げるとは、そして大中華思想に浮かれ
る中国の「民意」がこんなにも急に膨張するとは
・・・。かの国に民意があるとしての話だが。
7/8sat 2017
再会は 炎熱の日の ビル影で
(さいかいは えんねつのひの びるかげで)
※昨夜は元の勤務先の同期会。最寄りの駅で待ち
合わせ、馴れた道を歩いて会場まで行く。代々木
の森も喘いでいる。暑さのピークを避けての日程
なのだが、今年はこれだ。ただ暑い。
7/7fri 2017
酔芙蓉 遠き日京島の 親子連れ
(すいふよう とおきひきょうじまの おやこづれ)
※酔芙蓉の見事な花を見た。ちょうど一年ほど前、
曳舟で降りて、京島界隈を訪ねた時を思い出した。
初めてなのに何故か懐かしい町並みと路地のたた
ずまいがいい。スカイツリーが見下ろす街として再
開発が進行しているようだが、もう少しそっとしてお
いて貰いたい・・・、と勝手な希望が。
突然の降雨で、子の手を引く女性が傘をさして歩
く傍らに酔芙蓉が咲いていた。
2020-01-18 07:52
nice!(0)
コメント(0)
コメント 0