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ダクタク句集2017年(平成29年)上期 自選集 [自選集2017]

6/24sat 2017
空師いる 森の静けさ 梅雨最中
     (そらしいる もりのしずけさ つゆさなか)
        ※空師は簡単な道具ひとつで、木をするすると登り、
         余分な枝を落として矯正し、下枝を刈ったりする林
         業の専門職。チェーンソーのエンジン音やバサッ
         バサッと鉈で枝が払われる音がする。
         それらの音が止まるとシーンとした静寂。・・・
         音が再び始まっても、かえって森の静けさが感じ
         られるようだ。

6/23fri 2017
短夜や ミュシャの眼に 静まりぬ
     (みじかよや みゅしゃのまなこに しずまりぬ)
        ※ミュシャの展覧会が終わったようだ。スラブ叙事詩
         に描かれた母国の歴史とその変遷そして民衆の悲
         劇、慟哭は凄まじい迫力で迫ってくる。
         一枚に描かれた男の眼は、場面を想像することさえ
         拒否するような深刻さだ。思い出すと・・・静まりはす
         るのだけれど、決して鎮まりはしない。

6/21wed 2017
梅雨寒や 老班ついに 手の甲に
     (つゆざむや ろうはんついに てのこうに)
        ※昨日は蒸し暑い中、上野の美術館に知人が出品し
         た板院展を見に行った。今日は打って変わって朝か
         ら雨。老班というもの、付き合いが始まってもう十年
         近いので、取り立てての感興はない。「手の甲はよ
         せ」って言ったのに・・・。

6/19mon 2017
商店の 引越し荷物 鉢あじさい
     (しょうてんの ひっこしにもつ はちあじさい)
        ※地方の暮らしが便利になるのはいいに違いないが、
         どこも「金太郎飴」のようで街に特色がなくなる。個
         人商店が今も減り続けているのが一因だ。半年ほど
         前に小間物店を閉めた家が、離れた住宅地に越し
         ていくという。丹精を込めた花々がいつも店先を飾
         っていた・・・。
         「今日の便利より、明日のおもてなし」だが。

6/17sat 2017
タチアオイ 小路にラジオの 音漏れて
     (たちあおい こうじにらじおの おともれて)
        ※もうすぐ夏至、日が長い。塀も倒れて朽ちてしま
         った庭に見事なタチアオイが咲いている。3色も
         4色も・・・午後7時を回ったのに夕日にほんのり
         輝いている。ラジオのニュースがこぼれてくる。

6/16fri 2017
予約本 重なり来たる 梅雨の入り
     (よやくぼん かさなりきたる つゆのいり)
        ※当市の図書館は財政上の理由から購入する本の
         数が少ない。人気があって予約が殺到する本も購
         入は大概一冊だ。直木賞と本屋大賞のダブル受賞
         とか聞くと、まず予約するのが私のルーティン。予
         約の消化はゆっくりで、半年余りかかってやっと順
         番がやって来た。 「えっ、なんだっけ? この本」
         貸出の延長はきかないから、第一優先で読まねば
         ならない。

6/13tue 2017
桃の実の ジューンドロップは 音もなく
     (もものみの じゅーんどろっぷは おともなく)
        ※強風や病害などによるものではなく、果樹が自ら
         生育不良の実や過多な実を落とす。子孫(種子)
         の確実な繁栄を期しての現象とか。
         ジューンブライドの花嫁が結婚に幻滅して、同月
         内に身を隠す・・・のではないらしい。

6/9fri 2017
スイカなり 雌花に翻弄されて梅雨
     (すいかなり めばなにほんろうされてつゆ)
        ※素人のスイカ挑戦はなにかと騒がしい。このとこ
         ろ雌花がようやくしっかりしてきたと思ったら、梅
         雨だァ・・・。強い雨に濡れると受粉の確率が落ち
         るとか。ここは、やっぱり虫頼み。

6/8thu 2017
ケータイで 焚き火の許可とる 梅雨の朝
     (けーたいで たきびのきょかとる つゆのあさ)

6/7wed 2017
美女柳 二日見ぬ間の 黄の乱舞
     (びじょやなぎ ふつかみぬまの きのらんぶ)
        ※留守にしていた2日の間に一気に「満開」。ちょ
         っともったいない。明日辺りから曇りがちとなり、
         梅雨入りとなるかも。

6/7wed 2017
早寝して かわず鳴く音の 一二分
     (はやねして かわずなくねの いちにふん)
        ※疲労対策で早寝した。遠くでカエルの声が・・・。
         田舎暮らしの特権、寝入り薬。

6/5mon 2017
タチアオイ 郵便局の 門構え
     (たちあおい ゆうびんきょくの もんがまえ)
        ※郵政民営化で名称はなくなったものの、今も続く
         特定郵便局。弊害は指摘されるが、土地も建物も
         局長の所有物だから局ごとに違う装いと習慣が出
         来る。良く言えばお役所仕事とは違う独特のアイ
         デンティティがあったものだ。この立葵もその名残
         りのひとつ。

6/4sun 2017
背を合わせ キャストする二人 水の上
     (せをあわせ きゃすとするふたり みずのうえ)
        ※ここ2、3日は暑さ一服。今朝の微風は目をつぶれ
         れ高原の涼風だ。近くの小櫃川取水堰ダム湖に釣
         り客多数。小さな釣り用のボートにルアーを操る2
         人。バッテリーで動く小さなモーターがついているか
         ら、水面を音も立てずにゆっくりゆっくり移動する。
         最近のウィークエンド光景。

6/3sat 2017
新しき 畑に馬鈴薯の 花二列
     (あたらしき はたにばれいしょの はなにれつ)
        ※スギナ満載?だった畑に立派な畝がいくつか、汗
         の結晶である。
         スイカ、馬鈴薯、サツマイモなど酸性土壌に比較的
         強い苗を植えた。今しも遅めの馬鈴薯が花をつけ
         ている。これからはオクラを植える。

6/1thu 2017
新築の 家浮かびおり 茅萱の穂
     (しんちくの いえうかびおり ちがやのほ)
        ※4月下旬~6月にかけて空き地や野原に繁茂する。
         穂が出る前の実を口に入れ舐めると、かすかに甘
         い味がすると言われる。家内は小学生の頃何度も
         口にしたという。おやつもろくになかった時代。
         穂が重なると白くて厚いジュウタンのよう。その向こ
         うの家々が白い穂の上に浮かんで見える。

6/1thu 2017
茅萱の穂 道路に沿いて 飛びつくす
     (ちがやのほ どうろにそいて とびつくす)
        ※5月下旬あたりから穂は次第に細くなり、風に舞
         い始める。

5/31wed 2017
泰山木 母の金歯の 恋しかり
     (たいさんぼく ははのきんばの こいしかり)
        ※母が死亡したのは故郷とは遠く離れた九州勤務の
         時だった。知らせのあった翌朝、空港に向かう時に
         目にしたのが社宅の庭にあった見事な泰山木。
         早朝の光に輝いていた、真っ白な花々を忘れない。

5/30tue 2017
二株の スイカの開花に 通いづめ
     (ふたかぶの すいかのかいかに かよいづめ)
        ※スイカは3度目の挑戦。小さめのラグビーボール
         型の品種。初心者は安全な接木済の苗で、やや
         高価。雌花の咲いた早朝に受粉をしてやるのだが、
         結構きまぐれでうまくいかない日も・・・。クルマで
         出かけ、よ~く会話をしながら・・・?。実がなる日
         を夢見れば、苦にならない。

5/27sat 2017
泰山木 根元に続く 靴の跡
     (たいさんぼく ねもとにつずく くつのあと)
        ※久しぶりのお湿りあり。泰山木の葉っぱが格段に
         光って見える。蕾がいくつか大きく、いい色になり
         つつある。夕方蕾を数えに近づいて見上げる。

5/18thu 2017
焼き鳥を買って帰る 真っ赤な夕焼け
     (やきとりをかってかえる まっかなゆうやけ)
        ※近くの坂道の中程にある焼き鳥屋。坂道は商売
         に向かないというが、商店が次々と廃業していく
         中で、ここだけは30年近く繁盛している。実にう
         まくて、安い。ネクタイのサラリーマンから、子供
         連れの母親、トラックの運転手などなど、夕方は
         いつも客が待っている。

5/17wed 2017
タラの芽は 得られず戻る 山の駅
     (たらのめは えられずもどる やまのえき)
        ※会津若松市内では既に遅く買えなかった。それで
         はと、会津鉄道の停車時間の間に山間の駅前スー
         パーらしき店に急行。結果は「今日はない」と。
         雨も強くなり、諦める。今年はだめ。

5/17wed 2017
五月雨や 県境の村の 道くねり
     (さみだれや けんざかいのむらの みちくねり)
        ※会津鉄道の県境近く。サクラが咲いている。まだ
         春の真っ盛り。

5/17wed 2017
花ミズキ 赤のみ多き 村のあり
     (はなみずき あかのみおおき むらのあり)
        ※会津山村道場とか七ケ岳登山口とかの駅名があ
         る。このあたりは秋の紅葉が素晴らしい。
         会津高原尾瀬口駅からは東武線で、今市経由で
         浅草まで行く。この春から、この路線に速い特急
         が走っている。速すぎるかな? 今回はバカ空き。
         今市近くになると集落にミズキが目立つ。

5/17wed 2017
雨をおして ソースカツ丼で ビール飲み
     (あめをおして そーすかつどんで びーるのみ)
        ※会津から今市に抜けるローカル線に乗った。生憎
         の雨で眺望は良くないが、山々や線路沿いの谷は
         若い新緑が煙っていて、なかなかのもの。途中の
         駅で降りて、見知りの店まで歩き昼食をとった。
         至極満足しました。

5/15mon 2017
故郷の町並みは 歯の抜けるごと
     (ふるさとのまちなみは はのぬけるごと)
        ※地方都市はどこも同じだろうが、個人商店の衰退
         は通りに空き地を量産している。昔通りの家々が
         空き地のせいで、昔見えなかった角度から見えて、
         「ほほう・・・」と感心したり。
         粗末な家が多かったにしても、通りにびっしり詰
         まった頃の方が街としては断然豊かだった。

5/15mon 2017
友は孫に 店を譲りて ヤマボウシ
     (ともはまごに みせをゆずりて やまぼうし)
        ※こうした街の有り様、変遷に多くの感慨を持つで
         あろう友人は多くを語らない。何十年もここに暮
         らしてきたのだから。

5/14sun 2017
桐の花 昔家業の 栄えた日
     (きりのはな むかしかぎょうの さかえたひ)
        ※弟の納骨の法要のため会津若松市に帰省。小雨
         の中、久しぶりにゆっくり街を歩いた。その昔名家と
         言われた特産下駄の老舗はとっくに廃業。塀越しに
         見頃の桐の花が見えた。


5/10wed 2017
ネギ坊主 中学生の 口喧嘩
     (ねぎぼうず ちゅうがくせいの くちげんか)
        ※畑に沿った通学路で、男の生徒同士の諍いの声
         が・・・。結構険悪な感じ。手や足が出るか・・・。
         大変だ。でも、大丈夫。パタッと口喧嘩がやみ、
         黙って並んで歩いていく。この二人は大丈夫だ、
         仲良くなるためのケンカ・・ネギ坊主が見ている。

5/5fri 2017
ナツユキソウ 北海道からの 同居人
     (なつゆきそう ほっかいどうからの どうきょにん)
        ※今から40年ほど前北海道勤務の頃に出会った花。
         白い清楚な花で、塀や垣根が少ない道内の家々に
         良く似合っていた。調べてみたらセラスチューム
         Cerastiumが正式名みたい。Snow in Summer
         とも呼ばれるらしい。日本ではシロミミナグサとも。
         今日は「子供の日」。先日前を通りかかった女子中
         学生が「可愛いね。この花、大好き」と言う声が聞こ
         えた。度重なる引越しにもめげず、同居してきた甲斐
         があったというもの。
白360-5.jpegなつゆきそう.jpg

5/2tue 2017
春陰や 森繁が誦む 千曲川
     (しゅんいんや もりしげがよむ ちくまがわ)
        ※YouTubeに森繁久彌が朗読する藤村「千曲川旅
         情の歌」がある。春先のやわらかな光の信州が目
         に浮かぶ。いいなァ・・・。絶品。

4/29sat 2017
断崖の椿は 叫びつつ落ちて
     (だんがいのつばきは さけびつつおちて)
        ※日の当たらない岩壁に月遅れ?の椿が咲いていた。
         真紅に白の斑が見事な花々。それが見ているうちに
         ポロッと落ち、真下に転げ落ちた。

4/25tue 2017
オダマキは 虫ふところに あやしおり
     (おだまきは むしふところに あやしおり)
        ※このところの陽気で背丈を増したオダマキだが、
         意外と強い。かなりの風にも揺れるけれども実
         は軸はびくともしない。しかし、そよ風にゆっくり
         揺れるのがいい・・・。

4/24mon 2017
東北の 茎わかめ届く 友の味
     (とうほくの くきわかめとどく とものあじ)
        ※我が家にとっては季節の風物詩。今年採れたての
         わかめが届いた。岩手県産。ポン酢でいただく。

4/13thu 2017
フィエスタの 埃と脂粉 夢に見る
     (ふぃえすたの ほこりとしふん ゆめにみる)
        ※今年の聖週間は4/9~15。スペインアンダルシア
         では各地で伝統の催しが続く。なかでも聖像を聖
         地に運ぶ巡礼の行進はすさまじいほど熱気に溢
         れている。会社や学校はどうなる? いやいや、
         その数日はひたすら歩き、歌い、踊り、食べ、飲
         み、そして祈る。

4/13thu 2017
桜舞う 息子今流 ハグ2回
     (さくらまう むすこいまりゅう はぐにかい)
        ※決して今流とは言えぬ息子が、玄関先で母親
         をハグ。顔を見合わせて黙って。そして笑顔で
         「もう一度」と。

4/6thu 2017
花愛でる 言葉を学ぶ 橋の上
     (はなめでる ことばをまなぶ はしのうえ)
        ※今年も恒例の目黒川沿いの花見。昨年は中目
         黒の雑踏に辟易したので、今年は目黒行人坂下
         の周辺にした。夕暮れ、人出はまあまあ、ゆっく
         り散策が出来る。それでもサクラを眺める橋の上
         は人がいっぱい、各国の言葉が混じっている。
         しっとりと、しみじみと花見を楽しむ気分、「・・・今
         宵会う人みなうつくしき」とかにはちょっと遠いかな。
         目黒の住人が良い店に案内してくれた。満足。

4/3mon 2017
悪妻と 良妻はいつも 紙一重
     (あくさいと りょうさいはいつも かみひとえ)
        ※ハタ目には全面的な悪妻も、ホンの一面で夫に好
         かれ、世間からも珍重されたり。その逆、誰の目に
         も良妻賢母間違いなしなのに、ホンの一面の偏向、
         性癖で悪妻確定となる。
         「良かったね」と「ご愁傷様」が交錯する。

4/2sun 2017
虫たちに 任せておけぬと 桃受粉
     (むしたちに まかせておけぬと ももじゅふん)
        ※三月は暖かい日が続かず、桃の開花も遅いし、
         虫たちも影を潜めているようだ。今年は去年に引
         き続き、桃の豊作を夢見ているが、そうは問屋は
         卸してくれぬかも・・・。

3/27mon 2017
両側を見て 泣きべその我が絵かな
     (りょうがわをみて なきべそのわがえかな)
        ※ところが絵自身は正直で、周りの絵を見ておろお
         ろしている・・・。

3/27mon 2017
作品展 うれし恥ずかし 春幻
     (さくひんてん うれしはずかし はるまぼろし)
        ※隣市の図書館で絵画教室の作品展を行う。今日
         はそのために作品を持ち寄る日(搬入日というら
         しい)。立派な図書館で、広いフリースペースが企
         画もので常に活用されているところ。そんなところ
         で一ヶ月も・・・? でも戦線離脱は無理なよう。で
         も、少し嬉しくもある。
 
3/24fri 2017
老班の手が 班なきを撫で別れ
     (ろうはんのてが はんなきをなでわかれ)
        ※昨日告別式。弟との別れ。

span style="font-size:x-small;">3/20mon 2017
桃は咲きてあり 弟は逝きてあり
     (ももはさきてあり おとうとはゆきてあり)
        ※昨夜入院先で弟が死んだ。今朝桃が数輪開花した。

3/10fri 2017
また髪が 薄くなったねと 初雲雀
     (またかみが うすくなったねと はつひばり)
        ※大きなお世話。

3/7tue 2017
春雷や 不義理をわびる 電話口
     (しゅんらいや ふぎりをわびる でんわぐち)
        ※週末は急遽遠出したので、予定していた会合を
         電話でドタキャンした。もどってから、幹事役の友
         人からキツーイ詰問の電話が・・・。少しわけを話
         してやっと了解してくれた。

3/6mon 2017
安達太良の 麓でかすかな 息をする
     (あだたらの ふもとでかすかな いきをする)
        ※週末に入院中の弟を郡山市に見舞う。

3/6mon 2017
寝たきりの 視線すがしや 春の山
     (ねたきりの しせんすがしや はるのやま)
        ※重篤と聞いてかけつけたが、幸い持ち直している。
         視線は以前より落ち着いているように見受けられ
         た。静かに窓外を見る眼は穏やかだが動かない。

3/6mon 2017
出迎えは この顔なりき 夏の駅
     (でむかえは このかおなりき なつのえき)
        ※夏休みなどに帰省した時、駅で待っていてくれた
         のは、いつもこの顔。いつも笑顔だった。

3/1wed 2017
春眠や 父の遺した 軸の前
     (しゅんみんや ちちののこした じくのまえ)
        ※世界情勢が落ち着かない?とか言っても、たっぷ
         り春眠を貪る日もある。雪解けで疎らに見え始め
         た地面をジョウビタキが餌を探して歩いている図、
         故郷の今ごろのイメージだ。気に入っている。

2/22wed 2014
春燈や 万太郎の句を 口ごもる
     (しゅんとうや まんたろうのくを くちごもる)
        ※「春燈」は久保田万太郎の主宰した俳句誌。夕方
         の散歩で彼の好きな句がどうしても出てこない。
         記憶力の減退? 仕方なしに有名な句を諳んじる
         ことに。季節が合わない・・・。
           草笛を ふいて神田の 生まれかな
           時雨るるや 麻布二の橋 三の橋

2/20mon 2017
70歳の デニムパンツや カラス啼く
     (ななじゅうの でにむぱんつや からすなく)
        ※久しぶりに新調する。現在の体重、体型に合わせ
         た最初の一本で、今までより細身だ。やや恥ずか
         しい・・・。カラスがひやかしたらどうしよう。

2/17fri 2017
とちもちは 手間を惜しまぬ 風味あり
     (とちもちは てまをおしまぬ ふうみあり)
        ※遥か昔、山に遊びに行って、トチノミが「食べら
         れる」と聞いて、リュックに目一杯詰め込んで意
         気揚々と家に持ち帰った。しかし母親にあえなく
         引取りを拒否された。ちょっと苦い記憶。
         時間をかけて丹念にアクを抜き、もち米と合わ
         せ蒸して撞く。丁寧にやると短くとも20日ほど
         日にちがかかる。
         山に落ちている実は、そのままではクマもイノシ
         シも目もくれない。

2/15wed 2017
あげるけど 場所は秘密と ふきのとう
     (あげるけど ばしょはひみつと ふきのとう)
        ※早取りのふきのとうをくれた御仁は場所を明かさ
         ないとか。ふふふ、こちらも実は良い場所を知っ
         ている。そこはまだ早い。
         ・・・しかし本命はタラの芽だ。知っていた場所
         はことごとく荒らされてしまっている・・・。

2/13mon 2017
ふきのとう 大雪報道の 日に届く
     (ふきのとう おおゆきほうどうの ひにとどく)
        ※西日本に執拗な降雪が続く。ところがフキノトウ
         が届いた。葉が開く前なのにずっしり大きなもの
         で、粒ぞろい。びっくり、こんなにも早い? 
         当地は晴れ続きで少し後ろめたさを感じるほどな
         のに、外房などは更に暖かだからなあ?

2/11sat 2017
初午や 祖母にひかれて 祠参り
     (はつうまや そぼにひかれて ほこらまいり)
        ※次々と商家のお稲荷さまを訪ね、好物のお土産
         を供え、お祈りした。固いモチをサイコロ状に切り
         油で揚げたもの、だったような気がする。商家の
         庭はどこも屋根から落ちた雪が小山のようにあり、
         小さな祠には家人の足跡を辿って行った

2/5sun 2017
ダクタク集 一年となりぬ ジョウビタキ
     (だくたくしゅう いちねんとなりぬ じょうびたき)
        ※ダクタク【駄句多句】句集、一周年を迎える

2/5sun 2017
夢に見て 句にさいなまれ 春めぐる
     (ゆめにみて くにさいなまれ はるめぐる)
        ※おおげさだが、こうしたことも一再ならず

2/4sat 2017
春立つ日 豆食う犬を 妻叱る
     (はるたつひ まめくういぬを つましかる)
        ※節分の翌朝、散歩コースの家の玄関前に豆が落ち
         ている。摂食中の我が家の愛犬は見逃さない。帰
         って家人に言うと大いに怒る。「豆とチョコそしてネ
         ギ」は絶対与えたら駄目と。叱られたのは私・・

1/26thu 2017
大寒や クリームすりこむ 白き爪
     (だいかんや くりーむすりこむ しろきつめ)
        ※乾燥で足の指の爪が硬くなり、少し白くなってい
         る。生色がない。爪は万病を映すとも言われる。
         歳のせいもあろうが、裸足で寒風にさらしたこと
         にも原因があるかも? 気休めかも知れないが、
         ハンドクリームを爪の下にすり込んだ

1/25wed 2017
冬のバラ 仲間の筆の 速く見え
     (ふゆのばら なかまのふでの はやくみえ)
        ※今年最初の絵画教室。年末年始から続くサボリ癖
         を断ち切らんと出かけたが、筆は遅々として進まず。
         どうも花はいけないと言い訳。顔は笑顔で・・・


1/24tue 2017
寒風や 場末の店の 煮込みかな
     (かんぷうや ばすえのみせの にこみかな)
        ※場末といってもここは浅草。売りは煮込み。湯気
         の向こうの、80歳過ぎの越後出身の女将さんが
         「もう閉めるよ」と。まだ五時前なのに・・・

1/20fri 2017
妻倒れ 難聴進む 友の顔
     (つまたおれ なんちょうすすむ とものかお)
        ※行きつけの理髪店の奥さんが入院した。やつれ
         顔の主人が不安と睡眠不足を訴える。しかし、こ
         ちらの言うことが殆ど聞き取れない。少しの間に
         悪化した・・・。奥さんの快癒を祈ること切なり

1/17tue 2017
統計は 最後ではないと 年男
     (とうけいは さいごではないと としおとこ)
        ※酉年年男。72歳の平均余命は13.4年とか
         (厚生労働省「平成19年簡易生命表」)。今はこ
         の種のデータが一瞬のうちに入手できる。統計
         曰く、「君の年齢では今年が最後の年男ではな
         いよ」「12年後まで頑張ってね、平均では生き
         られるはずだよ」
         ありがたいことなのか、どうか? 「たかが統計、
         されど統計」である・・・

1/15sun 2017
ブログ書く 今の農家の 冬仕事
     (ぶろぐかく いまののうかの ふゆしごと)
        ※知り合いの農家の後継は四季の仕事と交友など
         を中心にいいブログを持っている。冬は時間があ
         り、遊びもブログも充実しているという。冬仕事と
         言えば、稲わらの加工、筵や縄作りなどが定番
         で、ささやかな現金収入となっていたのは遥か昔
         の話で今はゼロとか。それに代わる収入の道が
         アルバイト以外にないのが悩み・・・

1/14sat 2017
カレンダーに 叱られ防止の WA
     (かれんだーに しかられぼうしの だぶりゅーえい)
        ※結婚記念日Wedding Anniversaryだ。小さく印刷
         文字のような字で2文字だけのサイン。このところ、
         この書き込みのおかげで事なきを得ている。以前
         は時々あった。その日になって突然言うものだから、
         どうしよう? かなり困った。やや陰険だと思った。
         来年頑張ろう・・と思った

1/13fri 2017
寒坊主と 呼びし昔は 雪の中
     (かんぼうずと よびしむかしは ゆきのなか)
        ※故郷の街では寒行托鉢のお坊さんを良く見かけた。
         今はどうかな? 編笠と黒づくめの僧形に、小学生
         は悪態をついてこう呼んでいた。根雪で道路が狭く
         なり、まっすぐに路肩を歩けなかった光景が蘇る

1/12thu 2017
朝練の 子が切なげに 咳をする
     (あされんの こがせつなげに せきをする)
        ※中学校の周囲を白い息を吐きながらランニングし
         ている。寒稽古という言葉が浮かぶ。あの子はや
         めとけばいいのに・・・

1/11wed 2017
二年越し 鳥の名調べ 初ひかり
     (にねんごし とりのなしらべ はつひかり)
        ※ジョービタキ? アカハラ? 年が明けてもまだ
         名前に行き着かない。留鳥で、見かける時はいつ
         も一羽。うすい赤茶色の胴体で腹に真っ白な部分
         がある。ピヨーーヨ?いい声で鳴く。もっと真面目
         に調べてみよう 

1/9mon 2017
駅頭に 師を待つ父の 赭い顔
     (えきとうに しをまつちちの あかいかお)
        ※戦後間もない年の正月に、師の篠田悌二郎とその
         師の水原秋桜子を待っている。若い父にとって大巨
         人を迎える喜びと緊張・・・

1/7sat 2017
寒の入り スーラの光 欲しいまま
     (かんのいり すーらのひかり ほしいまま)
        ※厳しい寒さ。今朝の光はピリピリしている。季節は
         違うが、点描の絵の光を思い出す。寒い朝に景色
         を眺めている者などいないから、独り占め、欲しい
         まま・・・。しかし「欲しいまま」というフレーズはいく
         つかの句で見たことがある。パクリ。
         点描風景画の趣味からすればスーラよりシスレー
         だが、字数がね・・・

1/6fri 2017
タオルまき 隣町まで 初湯かな
     (たおるまき となりまちまで はつゆかな)
        ※近くの温泉施設へなどではない。隣の町にある老
         舗の銭湯へクルマで出かける。節目節目でしか行
         かないが、本当にゆったりする。身も心も・・・

1/3tue 2017
名を知らぬ 読者に一礼 ブログ初め
     (なをしらぬ どくしゃにいちれい ぶろぐぞめ)
        ※こんな「シニアの雑記帳」のようなブログにも一定
         の読者がいる。感謝しながら、今年初めのブログ
         を書いた。よろしくお願いします

1/2mon 2017
初詣 樹木葬とやらを 見て廻り
     (はつもうで じゅもくそうとやらを みてまわり)
        ※清新な気持ちでお参りが出来た。最近は地方のお
         寺や自治体でも様々な形で「新しい墓」を売り出して
         いる。評判を読んだ都の「樹木葬」、当地でも古い寺
         が境内の一角に樹木葬を設置した。なかなかの場
         所だし、提案の内容もいい。ただ代替わりした、こ
         の寺の坊主が「かなりのやり手」なのが気にかかる

1/1sun 2017
去年今年 虚子を手本に 句をひねる
     (こぞことし きょしをてほんに くをひねる)
        ※しょうもない川柳らしき駄句を今年も作ろうと思っ
         ている。このダクタク(駄句多句)句集は日々の小
         文とあわせ「暮らしの意識」書き付け帳である。レ
         ベルは低いが、比較はなしよ・・・
         一年の計のつもり




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