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ダクタク句集2020年(令和2年)下期 自選集 [自選集2020]

12/31tu
年用意メモに救急車の響き
     (としようい めもにきゅうきゅうしゃのひびき)

12/27sun
薔薇切りて 師走ひと月を 咲き尽くす
     (ばらきりて しわすひとつきを さきつくす)

12/23wed        
渋谷には 着ぶくれせぬ人 うごめいて
     (しぶやには きぶくれせぬひと うごめいて)
12/22tue
冬至来て 首の後ろの かゆみかな
     (とうじきて くびのうしろの かゆみかな)

12/19sat
氷点下 会う顔同じ 目で少し
     (ひょうてんか あうかおおなじ めですこし)

12/18fri
短日や 検査結果を 咀嚼する
     (たんじつや けんさけっかを そしゃくする)

12/16wed
コロナ禍に 楽聖の記念日 ありて冬
     (ころなかに がくせいのきねんび ありてふゆ)

12/14mon
教え子も 師もシニアなり 賀状書く
     (おしえごも しもしにあなり がじょうかく)

12/5sat
豆をぬく 婆に笑みあり 頬被り
     (まめをぬく ばばにえみあり ほおかぶり)

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11/29sun
熱湯に 湯がき恐ろし 柿を干す
     (ねっとうに ゆがきおそろし かきをほす)

11/25wed
冬ざれや 三島由紀夫に 娑婆遠し
     (ふゆざれや みしまゆきおに しゃばとおし)

見下ろせば娑婆 冬の自刃に悔みなし
     (みおろせばしゃば ふゆのじじんにくやみなし)

11/22sun
芭蕉忌の 日を確かめんと 暦帳
     (ばしょうきの ひをたしかめんと こよみちょう)

11/21sat
さわしたる 柿箱今日の 開け日かな
     (さわしたる かきばこきょうの あけびかな)

11/17tue
鵙日和 霊園を見て 決めかねて
     (もずびより れいえんをみて きめかねて)
11/15sun
晩生なる たまねぎ植える 小春かな
     (おくてなる たまねぎうえる こはるかな)

11/13fri
冬近し なにもなき日の 薄着かな
     (ふゆちかし なにもなきひの うすぎかな)

11/12thu
色褪せる ドロップ缶や 秋の道
     (いろあせる どろっぷかんや あきのみち)

11/7sat
干す烏賊を 哀れと読みし 人のあり
     (ほすいかを あわれとよみし ひとのあり)

11/5thu
やや寒し 故郷からの 友の声
     (ややさむし ふるさとからの とものこえ)

11/4wed
秋深し 薄きベーコンと 卵焼き
     (あきふかし うすきべーこんと たまごやき)

11/2mon
見つけたり 小さな秋と ちさき老い
     (みつけたり ちいさなあきと ちさきおい)

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10/31sat
海を見る 食堂の人 吾亦紅
     (うみをみる しょくどうのひと われもこう)

10/25sun
秋の蚊や パソコンに問う 言葉あり
     (あきのかや ぱそこんにとう ことばあり)

10/22thu
嵐去り 一人整然 貝割れ菜
     (あらしさり ひとりせいぜん かいわれな)


10/18sun
駅前の 後ろ姿や 秋の宵
     (えきまえの うしろすがたや あきのよい)

10/15thu
高みから 柿が揶揄する わが暮らし
     (たかみから かきがやゆする わがくらし)

むしゃむしゃと 食わざるべからず 次郎柿
    (むしゃむしゃと くわざるべからず じろうがき)

10/11sun
塀越しの シュウメイギクの 視線かな
     (へいごしの しゅうめいぎくの しせんかな)

お土産は 零余子ご飯の レシピ付き
     (おみやげは むかごごはんの れしぴつき)

10/9fri
後頭部 知らぬが仏 秋海棠
     (こうとうぶ しらぬがほとけ しゅうかいどう)

10/8thu
稲妻や ガンを越えにし 床屋いて
     (いなづまや がんをこえにし とこやいて)

10/7wed
腕まくら 鼓動の高き 杜鵑草
     (うでまくら こどうのたかき ほととぎす)

10/6tue
金木犀 宅配人の お世辞かな
     (きんもくせい たくはいにんの おせじかな)

10/3sat
腰痛や 立ち止まり聞く 秋の声
     (ようつうや たちどまりきく あきのこえ)

明月や姪は関節手術とか
     (めいげつや めいはかんせつしゅじゅつとか)

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9/30wed
秋めくや 釜のなおりて 昼の風呂
     (あきめくや かまのなおりて ひるのふろ)

9/27sun
秋薊 男手のひらの なめらかに
     (あきあざみ おとこてのひらの なめらかに)

プールにて 河原撫子 微笑めり
     (ぷーるにて かわらなでしこ ほほえめり)

風立ちて 愁思小さきに 気づきおり
     (かぜたちて しゅうしちさきに きづきおり)

9/22tue
運動会 みな金網に 指かけて
     (うんどうかい みなかなあみに ゆびかけて)

9/21mon
お中日 曼殊沙華は 遅参せず
     (おちゅうにち まんじゅしゃげは ちさんせず)

9/20sun
縁に出て 俳句談義や 獺祭忌
     (えんにでて はいくだんぎや だっさいき)

9/19sat
糸瓜忌や 布団重ねて 二度寝かな
     (へちまきや ふとんかさねて にどねかな)

子規の忌や 朝に帽子の 衣替え
     (しきのきや あさにぼうしの ころもがえ)

9/17thu
風の盆 男踊りを 夢に見し
     (かぜのぼん おとこおどりを ゆめにみし)

おわら節 唸るシニアの 顔涼し
     (おわらぶし うなるしにあの かおすずし

稲妻や 雲の襖を 透かせたり
     (いなづまや くものふすまを すかせたり)

9/13sun
待ちかねし 宅配来る日 白槿
     (まちかねし たくはいくるひ しろむくげ)

入院の人に 最後のぶどう摘む
     (にゅういんのひとに さいごのぶどうつむ)

9/11fri
草の丈 独居老人の 家ありき
     (くさのたけ どっきょろうじんの いえありき)

9/6sun  
秋来る エドワード・ホッパーの 影が好き
   (あききたる えどわーど・ほっぱーの かげがすき)

音は秋 炎暑揺るがずと 見えながら
     (おとはあき えんしょゆるがずと みえながら)


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8/31mon
富士黒く 芙蓉の里は 涼しかり
     (ふじくろく ふようのさとは すずしかり)

8/29sat
朝顔や ふの妙語る 亭主あり
     (あさがおや ふのみょうかたる ていしゅあり)

8/27thu
弱蝉のやみて 紫煙をふうーとはく
     (よわせみのやみて しえんをふうーとはく)

8/25tue
としふれば アイスひとつに さじふたつ
     (としふれば あいすひとつに さじふたつ)

8/19wed
撃沈の時 語る人もマスクあり
     (げきちんのとき かたるひともますくあり)

8/18tue
師は今日も 健啖なりき 秋立つ日
     (しはきょうも けんたんなりき あきたつひ)

8/16sun
駅頭に 弟の顔や 夏帰郷
     (えきとうに おとうとのかおや なつききょう)

山を見る 弟がいて 夏涼し
     (やまをみる おとうとがいて なつずずし)

8/15sat
夏暁や 古き書に蚊の ミイラあり
     (なつあけや ふるきしょにかの みいらあり)

8/14fri
新盆や 黒縮緬の 女の指
     (にいぼんや くろちりめんの ひとのゆび)

8/13thu
盆の朝 長く影ひく 白き道
     (ぼんのあさ ながくかげひく しろきみち)

8/12wed
安曇野の秋 モーツァルトのロンドかな
     (あずみののあき もーつぁるとのろんどかな)

8/10mon
月の夜 ウェットスーツの 影二つ
     (つきのよる うぇっとすーつの かげふたつ)

8/6thu
朝に採る 胡瓜の勁さ 原爆忌
     (あさにとる きゅうりのつよさ げんばくき)

8/5wed
不意に見え 人に告げたる 夏の富士
     (ふいにみえ ひとにつげたる なつのふじ)

8/4tue
サルスベリ 木陰スマホで 泣く娘あり
     (さるすべり こかげすまほで なくこあり)

8/1sat
梅雨明けや 筋力不足の 素振りかな
     (つゆあけや きんりょくぶそくの すぶりかな)

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7/31fri
梅雨明けず 城下の角の 鍵造り
     (つゆあけず じょうかのかどの かぎづくり)

7/28tue
ガンに勝ち 帰還した顔 タチアオイ
     (がんにかち きかんしたかお たちあおい)

7/24fri
河童忌に 祝日の名を 問われけり
     (かっぱきに しゅくじつのなを とわれけり)

7/23thu
待ちかねて 形見の花茣蓙 干しにけり
     (まちかねて かたみのはなござ ほしにけり)

7/21tue
うたた寝や 海辺の駅の 月見草
     (うたたねや うみべのえきの つきみそう)

7/20mon
自家製と 桃の甘さを お福分け
     (じかせいと もものあまさを おふくわけ)

7/19sun
空を見る 法被しとどに 虎が雨
     (そらをみる はっぴしとどに とらがあめ)

時雨るるや シニア声出す 孫の山車
     (しぐるるや しにあこえだす まごのだし)

7/15wed
半夏雨 抜歯は疼く 傘の下
     (はんげあめ ばっしはうずく かさのした)

7/14tue
突然の 涼気シニアは 背伸びする
     (とつぜんの りょうきしにあは せのびする)

7/13mon
ペンキ屋は 見上げるばかり 梅雨の空
     (ぺんきやは みあげるばかり つゆのそら)


7/10fri
燕の子 地におりよろっと 飛び立ちぬ
    (つばめのこ ちにおりよろっと とびたちぬ)

夏燕 いる軒下に 雨宿り
    (なつつばめいる のきしたにあまやどり)

7/9thu
皺が割く 房州うちわの 女竹かな
     (しわがさく ぼうしゅううちわの めだけかな)

7/8wed
良書あり 豪雨の地あり 梅雨騒ぐ
     (りょうしょあり ごううのちあり つゆさわぐ)

7/7tue
地に斃る 隠元豆の 夕餉かな
     (ちにたおる いんげんまめの ゆうげかな)

7/4sat
半夏生 夕日に釣り師の 影崩れ
     (はんげしょう ゆうひにつりしの かげくずれ)

半夏雨 亡父の句集に 栞して
     (はんげあめ ちちのくしゅうに しおりして)

7/1wed
明月記 馴染みの抄あり 半夏生
   (めいげつき なじみのしょうあり はんげしょう)

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