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ダクタク句集2020年(令和2年)10月 [ダクタク2020年10月]

10/31sat
海を見る 食堂の人 吾亦紅
     (うみをみる しょくどうのひと われもこう)

土瓶蒸し 客なき店に 香りあり
     (どびんむし きゃくなきみせに かおりあり)
        ※飲食業の人たちには深刻な日々が続く。気を
         つけつつもっと出掛ければとも思うが、当方
         だってなじみの店なのに足を運ぶのは半年ぶ
         りだ。

10/30fri
閑散や この秋街の 検診車
     (かんさんや このあきまちの けんしんしゃ)
        ※街中での検診は最終回なのに、いつもに較べ
         ると受診者の数がかなり少ないという。3密
         の回避が順調なのは半ば皮肉でもある。おい
         しいバリウムをたっぷり味わってきた。

10/29thu
秋深し 第四コーナーの 呼吸荒く
     (あきふかし だいよんこーなーの いきあらく)
        ※長かった米国大統領選挙も大詰め。最後の第
         四コーナーを回って直線コースだ。膨大な人
         の時間と金をつぎ込んでの選挙のプロセスそ
         のものが民主主義の証しなのだが、今回はそ
         うもいかなかったようで。

10/28wed
一様に みな毛膨れて 稲雀
     (いちように みなけぶくれて いなすずめ)
         ※稲雀という季語は半分死語かなと思ってい
          た。万能の稲刈り機は田んぼに稲穂はもち
          ろん稲わらすら残さないから。
          とはいえ機械が不調だったのかどうか、数
          枚の田んぼに雀が群がっているところがあ
          る。寸断した藁が一面に散らばっている。
          きっと稲穂も残っているに違いない。とび
          きり寒い朝のご馳走。

10/26mon
小水の 音かそけくも 秋はよし
     (しょうすいの おとかそけくも あきはよし)
         ※秋晴れが続く。それだけ。

10/25sun
秋晴れや 身にしむ午後の 無聊かな
     (あきばれや みにしむごごの ぶりょうかな)

秋の蚊や パソコンに問う 言葉あり
     (あきのかや ぱそこんにとう ことばあり)
         ※秋晴れのきれいな日。なんにもしないのは
          いい。することは明日以降に。うるさい声
          が聞こえても、耳を閉ざすと日差しと無音
          だ。アッ、いけねえ・・・図書館の本が未
          返却で警告シルシが出てる。貸出期間が3
          週間になって、時々麻痺してしまう。
          運転免許の認知症試験は満点だったのに・
          ・・。アレはチョンボ。多少は来てるね。

10/24sat
マラソンや ゴール近くは 走りけり
     (まらそんや ごーるちかくは はしりけり)
        ※久しぶりにきれいに晴れ上がった。高校時代
         の秋のマラソン大会を思い出す。15キロほ
         どのクラス対抗レース。苦手だった。
         スタートとゴール近くは猛ダッシュで、残り
         は気楽なハイキング。若い先生が自転車で伴
         走し、発破をかける。手を振ってこたえる。
         全校で1200人ほどで一位は1200点と
         なる。欠場者が100人ほどいたからラスト
         でも100点稼げる。200点ほど獲得した
         ら担任から皮肉で褒められたっけ。

10/23fri
なにもかも コロナ被ってね 鰯雲
     (なにもかも ころなかぶってね いわしぐも)
        ※コロナ禍の影響は経済、暮らしの全てに及ん
         でいる。しかし、それはー・・・? コロナ
         と関係ないのでは?と思えることに出会う。
         まあ、いいか。この際悪いのはみんなコロナ
         のせいにしよう。

10/22thu
嵐去り 一人整然 貝割れ菜
     (あらしさり ひとりせいぜん かいわれな)

サツマイモ 我慢できずに 試し掘り
     (さつまいも がまんできずに ためしぼり)

星月夜 あまりに多き 変事かな
     (ほしづきよ あまりにおおき へんじかな)
        ※この身に直接起こる変化、変事は少ないのだ
         けれど、なんとも煩い秋だ。政権交代、コロ
         ナ禍、米大統領選、紛争の勃発等々、更に以
         前なら報道されなかったことがわんさと、鮮
         明に伝えられる。これはIT禍とでもいうべ
         きもの。スイッチこそ味方だ。

10/20tue
コスモスは 咲きて膨らみ 山となり
     (こすもすは さきてふくらみ やまとなり)

コスモスの 上り電車に 良く合いて
     (こすもすの のぼりでんしゃに よくあいて)
        ※近くの久留里線の駅は何の変哲もない無人駅
         だが、この季節の主役はコスモスだ。

10/18sun
長雨や かすれし声のみ しのばれる
     (ながあめや かすれしこえのみ しのばれる)

駅前の 後ろ姿や 秋の宵
     (えきまえの うしろすがたや あきのよい)
        ※親しく付き合った友人だったから彼の早い死
         は時間を追うごとにひきずる。

10/17sat
居酒屋の 秋灯似合う ヤツが逝く
     (いざかやの しゅうとうにあう やつがゆく)
        ※ガンの手術をし療養していた友人が死んだ。
         最後は肺炎と呼吸困難で入退院を繰り返して
         いた。お通夜はしめやかであった。

10/15thu
高みから 柿が揶揄する わが暮らし
     (たかみから かきがやゆする わがくらし)

病葉も なお柿の実の 甘さかな
     (わくらばも なおかきのみの あまさかな)

我が家にも 一本だけの 柿花火
     (わがやにも いっぽんだけの かきはなび)
        ※年寄りと柿の木3句追加

10/14wed
柿とると 今日の計画 決まりけり
     (かきとると きょうのけいかく きまりけり)

空の果て 痛む腰なで 柿を食う
     (そらのはて いたむこしなで かきをくう)

むしゃむしゃと 食わざるべからず 次郎柿
    (むしゃむしゃと くわざるべからず じろうがき)
        ※庭の果樹、本数は各々わずかだが恵みは貴重。
         梅、桃、ブドウに続いて今は柿。今年は例年
         になく実が多い。これも夏場にヘタ虫対策を
         入念にやったせいか。

10/12mon
花園や 丹精道から しかと見え
     (はなぞのや たんせいみちから しかとみえ)
        ※毎日のように住宅地の中を通る。退屈である。
         それでも道路から垣間見る住まいと庭の様子
         は興味深い。豪華なのがいいわけではない。
         しっとりと落ち着いて、なおかつ中に入って
         時間を過ごしたくなるような、それが一番。
         「道からフォトジェニックランキング」はも
         う決めてある。

10/11sun
塀越しの シュウメイギクの 視線かな
     (へいごしの しゅうめいぎくの しせんかな)

お土産は 零余子ご飯の レシピ付き
     (おみやげは むかごごはんの れしぴつき)
        ※台風14号は遥か東南の海上に去り、胸をな
         でおろしている。台風の思わぬ迷走で被害は
         伊豆諸島に、大禍なきを祈るのみ。

10/10sat
竜胆や ひるのいこいの ラジオかな
     (りんどうや ひるのいこいの らじおかな)
        ※古関裕而の数多い作品の中で「ひるのいこい」
         のテーマ曲が一番好き。通りを歩いていて、
         これが聞こえてきたら、なにより身に染みる。
         もう一つは日曜名作座のテーマ曲、これもた
         まらない。

10/9fri
後頭部 知らぬが仏 秋海棠
     (こうとうぶ しらぬがほとけ しゅうかいどう)
        ※瀕死の状態から回復した床屋の亭主が「白髪
         増えたね」と言う。「俺が?」、「ほら」と
         頭の後ろに鏡を当てる。前面の大鏡に真っ白
         な頭が映る。唖然。いつも見る鏡はまだゴマ
         塩なのに・・・」

台風や 風の少なく 雨続く
     (たいふうや かぜのすくなく あめつづく)

金木犀 妻が犬引く 後を見し
     (きんもくせい つまがいぬひく あとをみし)
        ※腰痛を押して朝晩の犬の散歩に行っていたら
         悪化した。交代してもらう。
         出来るだけ安静にして3日目。好転はっきり。
         感謝。

10/8thu
稲妻や ガンを越えにし 床屋いて
     (いなづまや がんをこえにし とこやいて)

髪を切る 痩せし腕に 秋の雨
     (かみをきる やせしかいなに あきのあめ)

放射線 治療の仔細 聞く秋ぞ
     (ほうしゃせん ちりょうのしさい きくあきぞ)
        ※同年代の馴染みの床屋に髪を切って貰った。
         手術の出来ない、難しいガンを放射線治療と
         抗がん剤とでやっつけた奴だ。

釣瓶落とし 痩せてもこけぬ 鋏かな
     (つるべおとし やせてもこけぬ はさみかな)
        ※すっかり痩せてしまって可哀想なくらいだが、
         鋏はしっかりと動く。

10/7wed
腕まくら 鼓動の高き 杜鵑草
     (うでまくら こどうのたかき ほととぎす)
        ※腰痛が治らない。初め長い散歩をやめなかっ
         たのがたたったのかも。痛みは腰左側の筋肉
         痛のようだ。急に犬が騒いで動き出し、思わ
         ず石段を2段一緒に降りてしまったことが原
         因なのではと思い到った。きっとそうだ。
         指を怪我したが、そっちはほぼ治った。腰痛
         は遅れて。この時間差は? 今は出来るだけ
         静かにしている。いろいろ考える。

10/6tue
金木犀 宅配人の お世辞かな
     (きんもくせい たくはいにんの おせじかな)

アマゾンで 中国製買う 右翼かな
     (あまぞんで ちゅうごくせいかう うよくかな)
        ※米中対立の中で、国の政策に賛同してても庶
         民や企業はマクロな政策に合致した行動を採
         らない。米国民しかり、日本の同調者しかり。

10/4sun
坂道の 空に吸われし 萩の花
     (さかみちの そらにすわれし はぎのはな)
        ※遠出が億劫になっている間に萩の見頃は峠を
         越したよう。それではと、足を延ばして、道
         路の片側高くに咲いているはずの、とってお
         きの場所まで出かけたが、かなり遅かった。
         一分くらいしか残っていない。

10/3sat
腰痛や 立ち止まり聞く 秋の声
     (ようつうや たちどまりきく あきのこえ)

参道に 桐の落ち葉を 見届けり
     (さんどうに きりのおちばを みとどけり)
        ※ここ四五日軽い腰痛に襲われている。原因見
         当たらず、日を追ってやや悪化の兆しも。ま
         あ静かにして歩きをやめなければ、自然と退
         散するはず。悪いことばかりでもない。天下
         の秋をじっと眺めている。

10/2fri
団子なく テレビ伝える 良夜かな
     (だんごなく てれびつたえる りょうやかな)
        ※月を愛でることでは人後に落ちないつもりだ
         が、中秋の名月を意識したことは何度もない。
         やっぱり季節感に乏しい男なのだ。見えすぎ
         なくらいの見事な満月なのに、我が家も多く
         の家々も雨戸を下している。

明月や姪は関節手術とか
     (めいげつや めいはかんせつしゅじゅつとか)
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